JP6495042B2 - セパレータ及びその製造方法、リチウムイオン二次電池 - Google Patents

セパレータ及びその製造方法、リチウムイオン二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、セパレータ及びその製造方法、リチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、ノートパソコン、携帯電話等の小型電子機器の電源としてだけでなく、電気自動車やハイブリッド車等の電源としても用いられている。このように、電源として用いられるリチウムイオン二次電池の大型化に伴い、リチウムイオン二次電池は、高エネルギー密度を有することが求められている。それに伴い、リチウムイオン二次電池は、内部短絡や過充電等の電池温度が高温となる異常時において高い安全性を有することが求められている。
リチウムイオン二次電池は、正極と、負極と、それらの間に配置されるセパレータとを有する。セパレータは、正極と負極の物理的な接触を抑制し、かつLiイオンを移動させるために、通常、多孔質樹脂材料で構成される。そのようなセパレータは、電池の安全性を高めるためには、電池温度が高温となる異常時に速やかに孔を閉塞してLiイオンの移動をシャットダウンし、かつ高温下で変形(メルトダウン)しない耐熱性を有することが求められる。
これに対して、多孔質構造材料上に、窒素含有ポリマーとジケトン化合物とを反応させて得られる高分岐ポリマーと、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)バインダーとの混合液をコーティングして得られるセパレータが提案されている(特許文献1)。
特開2012−134145号公報
特許文献1のセパレータは、一定以上の高温で速やかに閉孔する良好なシャットダウン特性を有するものの、電池の内部抵抗を増大させる傾向があった。それにより、電池の初期特性が低下するという問題があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、初期特性を低下させることなく、電池が高温となる異常時において良好なシャットダウン特性を示し、電池の安全性を高めうるセパレータ及びそれを含むリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
[1] 多孔質基材と、前記多孔質基材に設けられ、アミン化合物、アミド化合物、イミド化合物、マレイミド化合物及びイミン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の窒素含有化合物とジケトン化合物とを反応させて得られる窒素含有重合体を含む多孔質コーティング部Aと、前記多孔質基材に設けられ、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む多孔質コーティング部Bとを有し、前記多孔質コーティング部Aにおける前記窒素含有重合体とポリフッ化ビニリデン系樹脂の合計質量に対する前記窒素含有重合体の含有質量比Cが、前記多孔質コーティング部Bにおける前記窒素含有重合体と前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂の合計質量に対する前記窒素含有重合体の含有質量比Cよりも多い、セパレータ。
[2] 前記含有質量比Cと前記含有質量比Cの差(C−C)が0.05以上である、[1]に記載のセパレータ。
[3] 前記多孔質コーティング部Aと前記多孔質コーティング部Bとは、厚み方向に積層されている、[1]又は[2]に記載のセパレータ。
[4] 前記多孔質コーティング部Aは、前記多孔質基材の一方の面を含む領域に設けられ、前記多孔質コーティング部Bは、前記多孔質基材の他方の面を含む領域に設けられている、[1]〜[3]のいずれかに記載のセパレータ。
[5] 前記窒素含有重合体は、マレイミド化合物と、バルビツール酸又はその誘導体とを反応させて得られる重合体である、[1]〜[4]のいずれかに記載のセパレータ。
[6] [1]〜[5]のいずれかに記載のセパレータを製造する方法であって、多孔質基材に、アミン化合物、アミド化合物、イミド化合物、マレイミド化合物及びイミン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の窒素含有化合物とジケトン化合物を反応させて得られる窒素含有重合体を含み、かつポリフッ化ビニリデン系樹脂を含まないコーティング液aを塗布して、前記窒素含有重合体を含む多孔質コーティング部Aを形成する工程と、多孔質基材に、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を含み、かつ前記窒素含有重合体を含まないコーティング液bを塗布して、前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む多孔質コーティング部Bを形成する工程とを含む、セパレータの製造方法。
[7] 前記コーティング液a又は前記コーティング液bが塗布された多孔質基材を乾燥させる工程をさらに含む、[6]に記載のセパレータの製造方法。
[8] [1]〜[5]のいずれか一項に記載のセパレータを製造する方法であって、アミン化合物、アミド化合物、イミド化合物、マレイミド化合物及びイミン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の窒素含有化合物とジケトン化合物を反応させて得られる窒素含有重合体を含む多孔質コーティング部Aを有する多孔質基材、又はポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む多孔質コーティング部Bを有する多孔質基材を準備する工程と、前記多孔質コーティング部Aを有する多孔質基材に、前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂を含み、かつ前記窒素含有重合体を含まないコーティング液bを塗布して前記多孔質コーティング部Bを形成するか、又は前記多孔質コーティング部Bを有する多孔質基材に、前記窒素含有重合体を含み、かつ前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂を含まないコーティング液aを塗布して前記多孔質コーティング部Aを形成する工程とを含む、セパレータの製造方法。
[9] 前記窒素含有重合体は、マレイミド化合物と、バルビツール酸又はその誘導体とを反応させて得られる重合体である、[6]〜[8]のいずれかに記載のセパレータの製造方法。
[10] 正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に配置された[1]〜[5]のいずれかに記載のセパレータと、電解液とを有する、リチウムイオン二次電池。
本発明によれば、初期特性を低下させることなく、電池が高温となる異常時において良好なシャットダウン特性を示し、電池の安全性を高めうるセパレータを提供できる。
セパレータの構成の一例を示す断面図である。 セパレータの構成の一例を示す断面図である。 セパレータの構成の一例を示す断面図である。
本発明者らは、多孔質基材に、前述の高分岐ポリマー等の窒素含有重合体とポリフッ化ビニリデン系樹脂を互いに独立して設けたセパレータは、窒素含有重合体とポリフッ化ビニリデン系樹脂とを混在させたセパレータよりも、電池の初期特性の低下が少なく、かつ高いシャットダウン特性を示すことを見出した。
この理由は必ずしも明らかではないが、以下のように推測される。即ち、窒素含有重合体とポリフッ化ビニリデン系樹脂が互いに独立して設けた多孔質基材は、窒素含有重合体とポリフッ化ビニリデン系樹脂を混在させた従来の多孔質基材よりも、Liイオンの移動抵抗の低い構造を有すると考えられる。それにより、電池の初期特性の低下を少なくできると考えられる。
一方で、高温下では、窒素含有重合体の架橋反応が促進されると考えられる。それにより形成される絶縁膜が、多孔質基材の孔を速やかに塞ぐことから、良好なシャットダウン特性を示すと考えられる。
1.セパレータ
セパレータは、多孔質基材と、それに設けられた、窒素含有重合体を含む多孔質コーティング部Aと、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む多孔質コーティング部Bとを有する。
1-1.多孔質基材
多孔質基材は、内部に空孔ないし空隙を有する基材をいう。このような基材としては、微多孔膜、繊維状物からなる多孔性シート(例えば不織布、紙状シート等)、微多孔膜や多孔性シートに他の多孔性層を1層以上積層させた複合多孔質シート等が含まれる。微多孔膜とは、内部に多数の微細孔を有し、これら微細孔が一方の面から他方の面へと連結された構造となった膜をいう。
多孔質基材を構成する材料は、絶縁性材料であればよく、良好なシャットダウン機能を付与する観点から、熱可塑性樹脂であることが好ましい。そのような熱可塑性樹脂の例には、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド等が含まれる。中でも、良好なシャットダウン特性を有する点で、融点200℃未満の熱可塑性樹脂が好ましく、ポリオレフィンがより好ましい。
ポリオレフィンは、良好なシャットダウン機能を付与する観点から、ポリエチレンを含むことが好ましい。ポリオレフィンにおけるポリエチレンの含有割合は、好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。
一方、ポリオレフィンは、高温にさらされたときに容易に破膜しない程度の耐熱性を付与するという観点では、ポリエチレンとポリプロピレンとを含むことが好ましい。シャットダウン機能と耐熱性の両立という観点から、ポリオレフィンは、95質量%以上のポリエチレンと5質量%以下のポリプロピレンとを含むことが好ましい。
ポリオレフィンの重量平均分子量は、10万〜500万であることが好ましい。重量平均分子量が10万以上であると、十分な機械的特性を有する基材が得られやすい。一方、重量平均分子量が500万以下であると、シャットダウン特性が良好となりやすく、かつ成形性も損なわれにくい。
微多孔膜は、例えば以下の方法で製造することができる。即ち、溶融樹脂をT−ダイから押し出した後、冷却してシートを得る。得られたシートを結晶化処理した後、延伸し、熱処理して微多孔膜を得ることができる。或いは、流動パラフィンなどの可塑剤と一緒に溶融した樹脂をT−ダイから押し出し、冷却してシートを得る。得られたシートを延伸した後、可塑剤を抽出し、熱処理して微多孔膜を得ることができる。
複合多孔質シートは、微多孔膜又は繊維状物からなる多孔性シートと、それに積層された機能層とを有しうる。そのような複合多孔質シートは、機能層によって更なる機能を付与できる。機能層は、例えば耐熱性を付与する観点では、耐熱性樹脂からなる多孔質層や、耐熱性樹脂と無機フィラーとを含む多孔質層であることが好ましい。
耐熱性樹脂は、微多孔膜又は繊維状物からなる多孔性シートを構成する樹脂よりも高い融点を有する樹脂であり、その例には、前述と同様に、ポリプロピレン、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルケトン及びポリエーテルイミドから選ばれる1種又は2種以上の耐熱性樹脂が含まれる。例えば、微多孔膜又は繊維状物からなる多孔性シートを構成する樹脂をポリエチレンとし、機能層を構成する樹脂をポリプロピレンとしてもよい。無機フィラーは、アルミナ等の金属酸化物や、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物等を好適に使用できる。
複合化は、微多孔膜や多孔性シートに機能層を塗工する方法、微多孔膜や多孔性シートと機能層とを接着剤で接合する方法、微多孔膜や多孔性シートと機能層とを熱圧着する方法等で行うことができる。
多孔質基材の膜厚は、良好な力学物性と膜抵抗を得る観点から、5μm〜25μmの範囲が好適である。
多孔質基材のガーレ値(JIS P8117)は、電池の短絡防止や十分なイオン透過性を得る観点から、50秒/100cc〜800秒/100ccの範囲が好適である。
多孔質基材の突刺強度は、製造歩留まりを向上させる観点から、300g以上が好適である。
1-2.多孔質コーティング部A
多孔質コーティング部Aは、好ましくは多孔質基材に、窒素含有重合体を含み、かつポリフッ化ビニリデン系樹脂を含まないコーティング液aを塗布して得られる。多孔質コーティング部Aは、窒素含有重合体を含む。
1-2-1.窒素含有重合体
窒素含有重合体は、アミン化合物、アミド化合物、イミド化合物、マレイミド化合物及びイミン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の窒素含有化合物と、1分子内に2以上のカルボニル基を有するジケトン化合物とを重合反応させて得られる重合体である。
(窒素含有化合物)
窒素含有化合物は、アミン化合物、アミド化合物、イミド化合物、マレイミド化合物及びイミン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である。これらの窒素含有化合物は、いずれもアミノ基、アミド基、イミド基、イミノ基等の架橋反応に関与する官能基を含むことから、これらの官能基を含む窒素含有重合体は、高温時に架橋して絶縁膜を形成しうる。これらの中でも、良好な架橋反応性を示すことから、マレイミド化合物が好ましい。
マレイミド化合物は、1分子内に2以上のマレイミドを有する化合物であることが好ましく、一般式(1)〜(4)のいずれかで表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
Figure 0006495042
一般式(1)のXは、−O−、−SO−、−S−、−CO−、−CH−、−C(CH−、−C(CF−、−CR=CR−(Rは水素原子又はアルキル基)、又は単結合を表す。1分子内に複数のXが存在するときは、複数のXは同一であっても異なっていてもよい。
一般式(1)のRは、独立して水素原子、ハロゲン原子又は炭化水素基を表す。1分子内に複数存在するRは、同一であっても異なっていてもよい。一般式(1)のR及びRは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。
一般式(1)のnは、0以上の整数、好ましくは1〜10の整数である。
Figure 0006495042
一般式(2)のX、R、R及びRは、一般式(1)のX、R、R及びRとそれぞれ同義である。
Figure 0006495042
一般式(3)のX、R、R及びRは、一般式(1)のX、R、R及びRとそれぞれ同義である。
一般式(3)のmは、1以上1000以下の実数を表す。一般式(3)で表される化合物は、一般式(3)中のmが異なる複数の化合物の混合物であってもよい。
Figure 0006495042
一般式(4)のR、R及びRは、一般式(1)のR、R及びRとそれぞれ同義である。
一般式(4)のRは、側鎖を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基、−NR−、−C(O)CH−、−CHOCH−、−C(O)−、−O−、−O−O−、−S−、−S−S−,−S(O)−、−CHS(O)CH−、又は−SO−を表す。
これらの中でも、ビスマレイミドが好ましい。ビスマレイミドの好ましい例には、1,1’−(メチレンジ−4,1−フェニレン)ビスマレイミド、N,N’−(1,1’−ビフェニル−4,4’−ジイル)ビスマレイミド、N,N’−(4−メチル−1,3−フェニレン)ビスマレイミド、1,1’−(3,3’−ジメチル1,1’−ビフェニル−4,4’−ジイル)ビスマレイミド、N,N’−エチレンジマレイミド、N,N’−(1,2−フェニレン)ジマレイミド、N,N’−(1,3−フェニレン)ジマレイミド、N,N’−ケトンジマレイミド、N,N’−メチレンビスマレイミド、ビスマレイミドメチルエーテル、1,2−ビス−(マレイミド)−1,2−エタンジオール、N,N’−4,4’−ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4’−ビス(マレイミド)−ジフェニルスルホン等が含まれる。
窒素含有化合物は、一種類であってもよいし、二種類以上を組み合わせてもよい。
(ジケトン化合物)
ジケトン化合物は、1分子内に2以上のカルボニル基を含む化合物である。ジケトン化合物の例には、バルビツール酸又はその誘導体、アセチルアセトン又はその誘導体等が含まれる。中でも、バルビツール酸又はその誘導体が好ましい。
バルビツール酸又はその誘導体は、一般式(5)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0006495042
一般式(5)のR及びRは、それぞれ独立して水素原子、メチル基、エチル基、フェニル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基又は2−ペンチル基を表す。
ジケトン化合物は、一種類であってもよいし、二種類以上を組み合わせてもよい。
このような窒素含有重合体は、溶媒中で、窒素含有化合物とジケトン化合物とを重合反応させて得ることができる。中でも、窒素含有重合体は、ビスマレイミド化合物と、バルビツール酸又はその誘導体とを重合反応させて得られるハイパーブランチポリマー(高分岐ポリマー)であることが好ましい。反応させるビスマレイミド化合物とバルビツール酸又はその誘導体とのモル比は、20:1〜1:5であることが好ましく、5:1〜1:2であることがより好ましい。用いられる溶剤や開始剤は、特開2012−134145号の段落0048及び0049に記載のものを使用できる。
ハイパーブランチポリマーは、複数の反応性二重結合を有することが好ましい。ハイパーブランチポリマーは、下記の分岐構造を有しうる。
[(ビスマレイミド単量体)−(バルビツール酸又はその誘導体)x]m
(x:0〜4の整数、かつmは20未満の整数である)
窒素含有重合体の数平均分子量は、コーティング液の粘度を過剰に増加させることなく、良好なシャットダウン特性を得る観点から、例えば1500以上としうる。数平均分子量は、例えばゲルパーミエーションクロマトフラフィー(GPC)により、標準ポリマーとしてポリスチレンを用いて測定することができる。
多孔質コーティング部Aにおける窒素含有重合体の含有割合は、多孔質コーティング部Aに対して例えば1質量%〜100質量%であり、20質量%〜100質量%であることが好ましく、50質量%〜100質量%であることがより好ましい。窒素含有重合体の含有割合が一定以上であると、シャットダウン特性が良好となり、電池の安全性を高めやすい。
多孔質コーティング部Aは、本発明の効果を損なわない範囲でポリフッ化ビニリデン系樹脂をさらに含んでもよい。
多孔質コーティング部Aにおける、窒素含有重合体とポリフッ化ビニリデン系樹脂との合計質量に対する窒素含有重合体の含有質量比Cは、多孔質コーティング部Bにおける窒素含有重合体とポリフッ化ビニリデン系樹脂の合計質量に対する窒素含有重合体の含有質量比Cよりも多い。窒素含有重合体の含有質量比Cと窒素含有重合体の含有質量比Cの差(C−C)は、良好なシャットダウン特性を得やすくする観点から、一定以上であることが好ましく、例えば0.05以上、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは0.8以上、特に好ましくは1としうる。
多孔質コーティング部Aにおける、窒素含有重合体とポリフッ化ビニリデン系樹脂との合計質量に対する窒素含有重合体の含有質量比Cは、特に制限されないが、例えば0.05以上であることが好ましく、0.1〜1であることがより好ましく、0.5〜1であることが更に好ましく、0.8〜1であることが更に好ましく、1であることが最も好ましい。良好なシャットダウン特性を得やすくする観点では、多孔質コーティング部Aにおける窒素含有重合体の含有質量比Cは、多孔質コーティング部Aにおけるポリフッ化ビニリデン系樹脂の含有質量比(=ポリフッ化ビニリデン系樹脂の含有質量/窒素含有重合体とポリフッ化ビニリデン系樹脂の合計質量)よりも多いことが好ましい。
1-2-2.その他成分
多孔質コーティング部Aは、本発明の効果を損なわない範囲で無機物又は有機物からなるフィラー、添加剤又は他の樹脂をさらに含有していてもよい。中でも、フィラーを含有することで、セパレータの滑り性や耐熱性を向上しうる。
無機フィラーの材質の例には、アルミナやジルコニア等の金属酸化物や、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物が含まれる。有機フィラーの材質の例には、架橋ポリ(メタ)アクリル酸、架橋ポリ(メタ)アクリル酸エステル等のアクリル樹脂;架橋ポリスチレン等のスチレン系樹脂;架橋ポリシリコーン等のシリコーン樹脂が含まれる。中でも、セパレータの耐熱性を効果的に高めうる点で、無機フィラーが好ましい。
フィラーの平均粒子径は、セパレータのイオン透過性や成形性を確保する観点等から、例えば0.01μm〜10μmとしうる。
多孔質コーティング部Aにおけるフィラーの含有割合は、多孔質コーティング部Aに対して例えば99質量%以下であり、80質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましい。フィラーの含有割合を一定以上とすることで、セパレータの耐熱性を効果的に高めることができる。
1-2-3.多孔質コーティング部Aの物性
多孔質コーティング部Aの多孔質基材に対する付着量の合計は、0.005g/m〜10g/mであることが好ましく、0.01g/m〜1g/mであることがより好ましく、0.02g/m〜0.5g/mであることがさらに好ましい。付着量の合計が0.005g/m以上であると、電池の安全性が向上する。付着量の合計が10g/m以下であると、イオン透過性が良好で、電池の負荷特性がよい。
「付着量の合計」とは、多孔質コーティング部Aが多孔質基材の片面に設けられている場合は片面の付着量であり、多孔質コーティング部Aが多孔質基材の両面に設けられている場合は両面の付着量の合計である。
多孔質コーティング部Aの付着量は、例えば多孔質コーティング部Aの構成樹脂を溶解する溶剤(例えば窒素含有重合体の良溶媒等)中にセパレータを浸漬して、多孔質コーティング部Aを多孔質基材から分離した後;該分離された溶液から溶媒を留去し、重量を測定することにより確認することができる。具体的には、該分離された溶液を、必要に応じてさらにカラム等で成分ごとに分離後、各成分についてIR、NMR、GPC又は質量分析等を行うことにより、多孔質コーティング部Aの構成成分ごとの含有量を測定することができる。
1-3.多孔質コーティング部B
多孔質コーティング部Bは、好ましくは多孔質基材にポリフッ化ビニリデン系樹脂を含み、かつ窒素含有重合体を含まないコーティング液bを塗布して得られる。多孔質コーティング部Bは、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む。
1-3-1.ポリフッ化ビニリデン系樹脂
ポリフッ化ビニリデン系樹脂は、フッ化ビニリデンの単独重合体であってもよいし、フッ化ビニリデンと他の共重合可能なモノマーとの共重合体であってもよい。
フッ化ビニリデンと共重合可能なモノマーの例には、テトラフロロエチレン、ヘキサフロロプロピレン、トリフロロエチレン、トリクロロエチレン、フッ化ビニル等が含まれる。これらは、1種類又は2種類以上を用いることができる。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂における、フッ化ビニリデン由来の構成単位の含有割合は98モル%以上であることが好ましい。フッ化ビニリデン由来の構成単位の含有割合が98モル%以上であると、十分な機械的強度と耐熱性を確保できる。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂の重量平均分子量は、30万〜300万であることが好ましく、30万〜200万であることがより好ましく、50万〜150万であることがさらに好ましく、60万〜100万であることが特に好ましい。重量平均分子量が30万以上であると、多孔質コーティング部Bの機械的強度を確保でき、十分な接着性が得られやすい。重量平均分子量が300万以下であると、成形時の粘度が高くなり過ぎず、成形性が損なわれにくい。
多孔質コーティング部Bに電解液を含浸させたとき、多孔質コーティング部Bに含まれる樹脂の膨潤の度合いは、樹脂の種類や電解液の組成によって異なる。樹脂の膨潤に伴う不具合を抑制するためには、膨潤しにくいポリフッ化ビニリデン系樹脂を選択することが好ましい。例えば共重合成分を多く含むポリフッ化ビニリデン系樹脂は膨潤しやすいのに対し、フッ化ビニリデンを98モル%以上含むポリフッ化ビニリデン系樹脂は膨潤しにくい。
多孔質コーティング部B中のポリフッ化ビニリデン系樹脂の含有割合は、多孔質コーティング部Bに対して1質量%〜100質量%であり、20質量%〜100質量%であることが好ましく、50質量%〜100質量%であることが更に好ましい。ポリフッ化ビニリデン系樹脂の含有割合が一定以上であると、シャットダウン特性が良好となり、電池の安全性をより高めやすい。
多孔質コーティング部Bは、本発明の効果を損なわない範囲で窒素含有重合体をさらに含んでいてもよい。多孔質コーティング部Bにおける、窒素含有重合体とポリフッ化ビニリデン系樹脂との合計質量に対する窒素含有重合体の含有質量比Cは特に制限されないが、例えば0.95以下であることが好ましく、0.9以下であることがより好ましく、0.5以下であることが更に好ましく、0.2以下であることが更に好ましく、0であることが最も好ましい。良好なシャットダウン特性を得やすくする観点では、多孔質コーティング部Bにおける窒素含有重合体の含有質量比Cは、多孔質コーティング部Bにおけるポリフッ化ビニリデン系樹脂の含有質量比よりも少ないことが好ましい。
1-3-2.その他成分
多孔質コーティング部Bは、前述と同様に、必要に応じて無機物又は有機物からなるフィラーやその他の成分をさらに含有していてもよい。フィラーは、前述と同様のものを用いることができる。多孔質コーティング部Bにおけるフィラーの含有割合は、多孔質コーティング部Aにおけるフィラーの含有割合と同様としうる。
1-3-3.多孔質コーティング部Bの物性
多孔質コーティング部Bの多孔質基材に対する付着量の合計は、0.005g/m〜10g/mであることが好ましく、0.01g/m〜1g/mであることがより好ましく、0.02g/m〜0.5g/mであることがさらに好ましい。付着量の合計が0.005g/m以上であると、電極との接着性が良好であるだけでなく、電池の安全性を高めうる。付着量の合計が10g/m以下であると、イオン透過性が良好で、電池の負荷特性がよい。
多孔質コーティング部Bの付着量の測定は、多孔質コーティング部Bを溶解させる溶剤を用いる以外は前述と同様にして行うことができる。
多孔質コーティング部Aの付着量と多孔質コーティング部Bの付着量の比率(多孔質コーティング部Aの付着量/多孔質コーティング部Bの付着量)は、得られるセパレータの膜抵抗を小さくし、かつ一定以上のシャットダウン特性を得る観点から、例えば10/90〜90/10(質量比)としうる。
セパレータのイオン透過性を確保する観点から、多孔質コーティング部Aと多孔質コーティング部Bの付着量の合計は、以下の範囲を満たすように設定されることが好ましい。多孔質基材のガーレ値と、多孔質コーティング部Aと多孔質コーティング部Bが設けられた多孔質基材のガーレ値との差が、300秒/100cc以下であることが好ましく、150秒/100cc以下であることがより好ましく、100秒/100cc以下であることがさらに好ましい。
1-4.セパレータの構成
多孔質コーティング部Aと多孔質コーティング部Bは、多孔質基材の表面を含む領域に設けられる。「多孔質基材の表面を含む領域に設けられる」とは、多孔質基材の表層に設けられるか、多孔質基材の表面に直接又は他の層を介して設けられることをいう。多孔質コーティング部Aと多孔質コーティング部Bは、多孔質基材の面内の一部又は全部に設けられうる。
多孔質コーティング部Aと多孔質コーティング部Bは、一部が互いに混和していてもよいが、その割合は少ないことが好ましい。電池の初期特性を高めるためには、多孔質コーティング部Aと多孔質コーティング部Bは、互いに独立していること;即ち、互いに混和する部分を含まないことが好ましい。
多孔質コーティング部Aと多孔質コーティング部Bが互いに独立しているかどうかは、例えばセパレータの厚み方向の切断面、又はセパレータの表面において、EDS−SEMによる元素マッピングを行うことにより確認することができる。
多孔質コーティング部Aと多孔質コーティング部Bは、多孔質基材の厚み方向に重なっていてもよいし;同一面内に配列されていてもよい。
多孔質コーティング部Aと多孔質コーティング部Bが厚み方向に重なっている態様の例には、多孔質コーティング部Aと多孔質コーティング部Bが積層される態様(後述の図1参照)や;多孔質コーティング部Aが多孔質基材の一方の面を含む領域に設けられ、多孔質コーティング部Bが多孔質基材の他方の面を含む領域に設けられる態様が含まれる(後述の図2参照)。多孔質コーティング部Aと多孔質コーティング部Bが積層される場合、多孔質コーティング部Aと多孔質コーティング部Bとの間には、必要に応じて他の層が設けられてもよい。
図1及び図2は、セパレータの構成例を示す断面図である。図1のセパレータ10は、多孔質基材11と、その一方の面に積層された多孔質コーティング部A13及び多孔質コーティング部B15とを有する。図1の積層順は、図1に限定されず、多孔質コーティング部B15の上に、多孔質コーティング部A13が積層されてもよい。
図2のセパレータ20は、多孔質基材11と、その一方の面に積層された多孔質コーティング部A13と、他方の面に積層された多孔質コーティング部B15とを有する。
多孔質コーティング部Aと多孔質コーティング部Bが同一面内に配列される態様の例には、多孔質基材の同一面に、多孔質コーティング部Aと多孔質コーティング部Bが交互に配置される態様が含まれる(後述の図3参照)。多孔質コーティング部Aと多孔質コーティング部Bとの間には、必要に応じて他の層が設けられてもよい。
図3に示されるように、セパレータ30は、多孔質基材11と、その同一面内に配列された多孔質コーティング部A13及び多孔質コーティング部B15とを有する。
多孔質コーティング部Aと多孔質コーティング部Bは、それぞれ複数設けられてもよい。
1-5.セパレータの物性
セパレータの膜厚は、5μm〜35μmであることが好ましい。セパレータの膜厚みが一定以上であると、十分な機械的強度が得られやすい。セパレータの膜厚みが一定以下であると、膜抵抗の増大による電池特性の低下を抑制しやすい。
セパレータの空孔率は、機械的強度、ハンドリング性及びイオン透過性の観点から、30%〜60%であることが好ましい。
セパレータのガーレ値(JIS P8117)は、機械強度と膜抵抗のバランスがよい点で、50秒/100cc〜800秒/100ccであることが好ましい。
セパレータの膜抵抗は、電池の負荷特性の観点から、0.2ohm・cm〜10ohm・cmであることが好ましい。膜抵抗は、セパレータに電解液を含浸させたときの抵抗値であり、交流法にて測定される。電解液として1M LiBF−プロピレンカーボネート/エチレンカーボネート(質量比1/1)を用い、20℃にて測定されうる。
2.セパレータの製造方法
本発明のセパレータの製造方法は、多孔質基材に前述の窒素含有重合体を含む多孔質コーティング部Aを形成する工程と;多孔質基材にポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む多孔質コーティング部Bを形成する工程とを含む。
多孔質コーティング部Aや多孔質コーティング部Bを形成する工程は、多孔質コーティング部Aの前駆体溶液(コーティング液a)や多孔質コーティング部Bの前駆体溶液(コーティング液b)を、多孔質基材に塗布する工程であってもよいし;剥離シート上に予め形成した多孔質コーティング部Aや多孔質コーティング部Bを、多孔質基材に転写する工程であってもよい。中でも、製造工程を簡易化できることから、コーティング液aやコーティング液bを、多孔質基材に塗布することが好ましい。
即ち、本発明のセパレータの製造方法は、以下の工程を含むことが好ましい(方法1)。
1-1)多孔質基材に、コーティング液aを塗布して多孔質コーティング部Aを形成する工程
1-2)多孔質基材に、コーティング液bを塗布して多孔質コーティング部Bを形成する工程
本発明のセパレータの製造方法は、コーティング液aとコーティング液bの混和を抑制する観点から、1-3)コーティング液a又は前記コーティング液bが塗布された基材を乾燥させる工程をさらに含むことが好ましい。
1-1)の工程について
多孔質基材にコーティング液aを塗布して、多孔質コーティング部Aを形成する。
コーティング液aの塗布は、多孔質基材上に直接又は他の層を介して行うことができる。他の層の例には、コーティング液bの塗膜も含まれる。つまり、コーティング液aの塗布は、多孔質基材の、コーティング液bの塗布部分に行ってもよいし、それ以外の部分に行ってもよい。コーティング液aの塗布領域は、多孔質基材の表面の一部であってもよいし、全部であってもよい。
(コーティング液a)
コーティング液aは、前述の窒素含有重合体と、それを溶解又は分散させる溶剤とを含み、かつポリフッ化ビニリデン系樹脂を含まない。
コーティング液aの調製に用いられる溶剤は、窒素含有重合体の良溶媒を含むことが好ましい。良溶媒の例には、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、プロピレンカーボネート、ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクトン等の非プロトン性極性溶媒が含まれる。これらの非プロトン性極性溶媒は、1種類で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
溶剤は、良好な多孔構造を形成する観点からは、相分離を誘発させる相分離剤をさらに含んでもよい。相分離剤の例には、水、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ブタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリプロピレングリコール等が含まれる。相分離剤は、塗工に適切な粘度が確保できる範囲で添加することが好ましい。相分離剤の含有割合は、溶剤に対して40質量%以下としうる。
コーティング液aは、必要に応じてフィラーやその他成分をさらに含みうる。コーティング液a中の窒素含有重合体の含有割合は、良好な多孔構造を形成する観点から、3質量%〜10質量%程度としうる。
コーティング液aの塗布は、スピンコーティング、キャスティング、ダイコーティング、バーコーティング、ブレードコーティング、ローラコーティング、グラビアコーティング、リバースコーティング、浸漬コーティング、スプレーコーティング、インクジェットコーティング等により行うことができる。
1-2)の工程について
多孔質基材にコーティング液bを塗布して、多孔質コーティング部Bを形成する。
コーティング液bの塗布は、多孔質基材上に直接又は他の層を介して行うことができる。他の層の例には、コーティング液aの塗膜も含まれる。つまり、コーティング液bの塗布は、多孔質基材の、コーティング液aの塗布部分に行ってもよいし、それ以外の部分に行ってもよい。コーティング液bの塗布領域は、多孔質基材の表面の一部であってもよいし、全部であってもよい。
コーティング液bの塗布方式は、前述と同様としうる。
(コーティング液b)
コーティング液bは、ポリフッ化ビニリデン系樹脂と、それを溶解又は分散させる溶剤とを含み、かつ前述の窒素含有重合体を含まない。
溶剤は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を溶解又は分散することができる溶剤であればよく、例えばN-メチルピロリドン等は好適である。コーティング液b中のポリフッ化ビニリデン系樹脂の含有割合は、良好な多孔化構造を形成する観点から、0.1質量%〜20質量%程度としうる。
前記1-1)の工程と前記1-2)の工程は、逐次的に行ってもよいし、同時に行ってもよい。前記1-1)の工程と前記1-2)の工程を逐次的に行う場合、1-1)の工程の後、1-2)の工程を行ってもよいし;1-2)の工程の後、1-1)の工程を行ってもよい。
例えば、図1に示されるようなセパレータ10を得る場合、前記1-1)の工程の後、前記1-2)の工程を行うことが好ましい。図2に示されるようなセパレータ20を得る場合、前記1-1)の工程と前記1-2)の工程を同時に行うことができる。
1-3)の工程について
コーティング液aとコーティング液bの混和を抑制する観点から、コーティング液a又はコーティング液bが塗布された基材を乾燥させる工程をさらに行うことが好ましい。
例えば、前記1-1)の工程の後、前記1-2)の工程を行う場合、前記1-2)の工程を行う前に、コーティング液aが塗布された基材を乾燥させることが好ましい。前記1-1)の工程と前記1-2)の工程を同時に行う場合、コーティング液a及びコーティング液bが塗布された基材を速やかに乾燥させることが好ましい。
前記1-1)及び1-2)の工程に代えて、下記1-1’)及び1-2’)の工程を行ってもよい。
1-1’)多孔質コーティング部Aを有する多孔質基材、又は多孔質コーティング部Bを有する多孔質基材を準備する工程
1-2’)多孔質コーティング部Aを有する多孔質基材にコーティング液bを塗布して、多孔質コーティング部Bを形成するか、又は
多孔質コーティング部Bを有する多孔質基材にコーティング液aを塗布して、多孔質コーティング部Aを形成する工程
1-1’)の工程で用いられる、多孔質コーティング部Aを有する多孔質基材又は多孔質コーティング部Bを有する多孔質基材は、市販品であってよい。例えば、多孔質コーティングBを有する多孔質基材として、前述のポリフッ化ビニリデン系樹脂とフィラーを含む機能層が設けられた多孔質基材を用いてもよい。
このように、本発明のセパレータは、一の多孔質基材にコーティング液aやコーティング液bを塗布して得られるが、これに限らず、コーティング液aを塗布した多孔質基材とコーティング液bを塗布した多孔質基材とを積層(又は複合化)して得てもよい。
即ち、本発明のセパレータの製造方法は、以下の工程を含んでもよい(方法2)。
2-1)コーティング液aが塗布された多孔質基材αと、コーティング液bが塗布された多孔質基材βとを準備する工程
2-2)多孔質基材αと多孔質基材βとを積層する工程
2-1)の工程について
多孔質基材α及び多孔質基材βは、それぞれ前述の1-1)及び1-2)の工程と同様にして得ることができる。
2-2)の工程について
コーティング液aを塗布した多孔質基材αとコーティング液bを塗布した多孔質基材βとを積層する。多孔質基材αと多孔質基材βの積層は、互いに接するように行ってもよいし、他の層を介して行ってもよい。積層物は、熱圧着又は接着剤により一体化されてもよいし、一体化されなくてもよいが、膜抵抗を低減する点から、一体化されることが好ましい。
3.リチウムイオン二次電池
本発明のリチウムイオン二次電池は、正極と、負極と、それらの間に配置された本発明のセパレータと、電解液とを有する。具体的には、負極と正極とがセパレータを介して対向した構造体に電解液が含浸された電池要素が、外装材内に封入された構造を有する。
3-1.正極
正極は、集電体と、その上に設けられた正極活物質層とを含む。
3-1-1.集電体
集電体は、通常、アルミニウム箔、ステンレス箔、チタン箔等でありうる。集電体の厚みは、5μm〜20μmであることが好ましい。
3-1-2.正極活物質層
正極活物質層は、正極活物質と、バインダー樹脂とを含み、必要に応じて導電助剤をさらに含んでもよい。
正極活物質は、リチウム含有遷移金属酸化物等が挙げられ、その具体例には、リチウム−マンガン複合酸化物(LiMn等)、リチウム−ニッケル複合酸化物(LiNiO等)、リチウム−コバルト複合酸化物(LiCoO等)、リチウム−鉄複合酸化物(LiFeO等)、リチウム−ニッケル−マンガン複合酸化物(LiNi0.5Mn0.5など)、リチウム−ニッケル−コバルト複合酸化物(LiNi0.8Co0.2等)、リチウム−ニッケル−コバルト−マンガン複合酸化物、リチウム−遷移金属リン酸化合物(LiFePO等)、及びリチウム−遷移金属硫酸化合物(LiFe(SO)が含まれる。これらの正極活物質は、1種類で用いても2種類以上を混合して用いてもよい。
正極活物質層中の正極活物質の含有割合は、通常10質量%以上、好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上である。また、通常99.9質量%以下、好ましくは99質量%以下である。
バインダー樹脂の例には、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、スチレン−ブタジエンゴム等が含まれる。
正極活物質層中のバインダー樹脂の含有割合は、通常、0.1質量%〜80質量%であり、1質量%〜40質量%であることが好ましく、5質量%〜10質量%であることがより好ましい。バインダー樹脂の含有割合が一定以上であると、正極活物質を十分保持されやすく、サイクル特性等の電池性能を損ないにくい。バインダー樹脂の含有割合が一定以下であると、電池容量や導電性の低下を抑制しうる。
導電助剤の例には、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛粉末といった炭素材料が含まれる。
正極活物質層の厚さは、通常10〜200μm程度である。
正極は、集電体に、前述の正極活物質、バインダー樹脂、必要に応じて導電助剤等を溶媒に分散させた正極合材ペーストを塗布した後、加熱硬化させて正極活物質層とすることで得られる。
3-2.負極
負極は、集電体と、その上に設けられた負極活物質層とを含む。
3-2-1.集電体
集電体は、通常、銅箔、ニッケル箔、ステンレス箔等でありうる。集電体の厚みは、5μm〜20μmであることが好ましい。
3-2-2.負極活物質層
負極活物質層は、負極活物質と、バインダー樹脂とを含み、必要に応じて導電助剤をさらに含んでもよい。
負極活物質としては、炭素材料、ケイ素を含む材料(Si、Si合金、Si窒化物、炭化物又は酸化物)、スズを含む材料(Sn合金、Sn炭化物又は酸化物)及びゲルマニウムを含む材料(Ge酸化物、炭化物又は窒化物)が含まれる。ケイ素の合金又は化合物の例には、SiC、Si、SiOx(0<x≦2)が含まれる。スズの合金又は化合物の例には、SnOw(0<w≦2)、SnSiO、MgSn等が含まれる。これらの負極活物質は、1種類で用いても2種類以上を混合して用いてもよい。
負極活物質層中の負極活物質の含有割合は、通常10質量%〜99.9質量%であり、30質量%〜99質量%であることが好ましく、50質量%〜99質量%であることがより好ましい。
バインダー樹脂や導電助剤の例には、前述と同様のものが含まれる。負極活物質中のバインダーの含有割合は、前述と同様としうる。
負極活物質層の厚さは、通常5〜200μm、好ましくは10〜100μm程度である。
負極は、集電体に、前述の負極活物質、バインダー樹脂、必要に応じて導電助剤等を溶媒に分散させた負極合材ペーストを塗布した後、加熱硬化させて負極活物質層とすることで得られる。
3-3.電解液
電解液は、リチウム塩を非水系溶媒に溶解させた溶液である。また、この電解液に有機高分子化合物等を添加して、ゲル状、ゴム状、固体シート状にしたものであってもよい。
リチウム塩の例には、LiPF、LiBF、LiClO等が含まれる。リチウム塩の電解液中の濃度は、0.5M〜1.5M程度としうる。
非水系溶媒の例には、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、フロロエチレンカーボネート、ジフロロエチレンカーボネート等の環状カーボネート;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、及びそのフッ素置換体等の鎖状カーボネート;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステルが含まれる。これらは単独で用いても混合して用いてもよい。
非水系溶媒は、環状カーボネートと鎖状カーボネートを、環状カーボネート/鎖状カーボネート=20/80〜40/60(質量比)で含むことが好ましい。
電解液に有機高分子化合物をさらに含有させて、ゲル状、ゴム状、或いは固体シート状の電解液としてもよい。そのような有機高分子化合物の例には、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系高分子化合物;ポリエーテル系高分子化合物の架橋体高分子;ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のビニルアルコール系高分子化合物のポリマー共重合体等が含まれる。
本発明のリチウムイオン二次電池は、本発明のセパレータを有する。本発明のセパレータは、通常時は、多孔質コーティング部Aと多孔質コーティング部Bとが互いに独立しているため、Liイオン移動抵抗の低い構造を採りうると考えられる。従って、本発明のリチウムイオン二次電池は、良好な初期特性を有する。
一方で、本発明のセパレータは、電池温度が高温となる異常時は、多孔質コーティング部Aや多孔質コーティング部Bから電解液中に溶出又は多孔質基材中で拡散した前述の窒素含有重合体やポリフッ化ビニリデン系樹脂が絶縁膜を形成し、Liイオンの移動を良好にシャットダウンすると考えられる。それにより、本発明のリチウムイオン二次電池は、高い安全性を有しうる。
本発明によれば、初期特性を低下させることなく、電池が高温となる異常時において良好なシャットダウン特性を示し、電池の安全性を高めうるセパレータを提供することができる。
10、20、30 セパレータ
11 多孔質基材
13 多孔質コーティング部A
15 多孔質コーティング部B

Claims (4)

  1. 多孔質基材と、
    それに設けられ
    アミン化合物、アミド化合物、イミド化合物、マレイミド化合物及びイミン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の窒素含有化合物とジケトン化合物とを反応させて得られる窒素含有重合体を含み、かつポリフッ化ビニリデン系樹脂を含まない多孔質コーティング部Aと、
    ポリフッ化ビニリデン系樹脂を含み、かつ前記窒素含有重合体を含まない多孔質コーティング部Bとを有する、
    セパレータ。
  2. 前記多孔質コーティング部Aと前記多孔質コーティング部Bとは、厚み方向に積層されている、請求項に記載のセパレータ。
  3. 前記多孔質コーティング部Aは、前記多孔質基材の一方の面を含む領域に設けられ、
    前記多孔質コーティング部Bは、前記多孔質基材の他方の面を含む領域に設けられている、請求項1又は2に記載のセパレータ。
  4. 前記窒素含有重合体は、マレイミド化合物と、バルビツール酸又はその誘導体とを反応させて得られる重合体である、請求項1〜のいずれか一項に記載のセパレータ。
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