JP6494972B2 - 熱電対ケーブル固定用治具、タービンロータの軸受構造および熱電対ケーブル固定方法 - Google Patents
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Description
本発明による熱電対ケーブル固定用治具は、少なくとも1つの熱電対のケーブルが通り、前記熱電対を保持する貫通孔が形成されるプラグと、前記プラグが固定される固定プレートと前記プラグとの間に挟まれることにより、前記固定プレートに沿って配置されるように固定される固定用金具と、一端部に固定部があり、他端部に前記ケーブルの外周を押えるケーブルクリップとを備え、前記ケーブルの一部を少なくとも1つの前記ケーブルクリップが前記プラグに固定し、前記ケーブルの一部を少なくとも1つの前記ケーブルクリップが前記固定用金具に固定する。
このとき、固定用金具は、突起物(たとえば、固定ボルトの頭部またはナット)を回避するように固定プレートに配置される。
このような熱電対ケーブル固定用治具は、ケーブルクリップが熱電対のケーブルの外周を囲むことにより、熱電対のケーブルの移動方向が拘束されるように固定用金具に固定することができ、熱電対のケーブルの保持安定性が高い。
このような熱電対ケーブル固定用治具は、プラグの縁に丸みが形成されていることにより、プラグの周縁と上面とに沿って熱電対のケーブルが曲げられて固定されても、ケーブルの曲げ半径が小さくなり過ぎず、熱電対のケーブルの振動も抑制されるので、熱電対のケーブルの曲げ部分の破損を防止することができる。
[第1実施形態]
熱電対ケーブル固定用治具は、蒸気タービンの軸受に設けられているものを事例として説明する。蒸気タービンは、複数の軸受を介して回転可能に支持されているロータと、蒸気を用いてロータを回転させる複数の蒸気タービン本体と、ロータの回転を用いて発電する発電機とを備えている。複数の蒸気タービン本体は、高圧の蒸気が導かれる高圧タービン部を備えたHPタービンと、高圧タービン部から排気される中圧の蒸気が導かれる中圧タービン部を備えたIPタービンと、IPタービンから排気される低圧の蒸気を用いてロータを回転させるLPタービンとを含んでいる。複数の軸受のうちのLPタービンに隣接する軸受1は、図1に示されるように、軸受箱2の内部空間3に配置されている。軸受箱2は、内部空間3に真空雰囲気を形成している。
すなわち、固定用金具23は、サイドプレート5−1に予め形成される貫通孔29−iにプラグ22の円筒部26が締め付けられる際に、プラグ22の頭部27により、サイドプレート5−1に固定されている。
このように、熱電対12−iのケーブル14は、熱電対ケーブル固定用治具21−iの固定用金具23に、プラグ側ケーブルクリップ25と金具側ケーブルクリップ24により固定される。金具側ケーブルクリップ24はプラグ側ケーブルクリップ25と離れた位置でケーブル14を固定することが好ましいが、他部位との干渉を防止するために、固定用金具23はサイドプレート5−iから必要以上にはみ出さない長さとされている。
なお、ケーブル14は、熱電対ケーブル固定用治具21−iに固定するにあたり、プラグ側ケーブルクリップ25と金具側ケーブルクリップ24により固定される間に、さらに金具側ケーブルクリップ24を追加して固定用金具23との固定箇所を増加させても良い。
このような熱電対ケーブル固定用治具21−iは、プラグ22を介して軸受1から取り出された熱電対12−iのケーブル14がサイドプレート5−1に沿うように、ケーブル14を軸受1に固定している。熱電対12−iのケーブル14は、サイドプレート5−1からロータ8の軸方向に離れた位置に配置されるときに、ケーブル14が固定されずに浮遊した部分に軸受1から垂れる潤滑油滴がかかることや軸受1の振動が伝わることにより、ケーブル14に振動を発生する要因になることがある。熱電対12−iのケーブル14は、長期間にわたり振動することにより、ケーブル14をプラグ22で固定した部分で応力集中部分により破断することがある。
ここで、プラグ22は、貫通孔28に曲面31を形成して、ケーブル14を固定する部分に発生する応力集中を低減し、適切に固定している。
さらに、熱電対ケーブル固定用治具21−iは、熱電対12−iのケーブル14がサイドプレート5−1の近傍に配置することにより、熱電対12−iのケーブル14に潤滑油滴がかかったり、軸受1からの振動が伝わっても、ケーブル14に発生する振動を大幅に低減することができる。
したがい、熱電対ケーブル固定用治具21−iは、熱電対12−iのケーブル14の振動を抑制することができるので、ケーブル14がプラグ22で固定された部分で応力集中により破断することを効果的に防止することができる。
既存のサイドプレート5−1に対しても、プラグ22によりサイドプレート5−1に固定された固定用金具23を設けることで、熱電対12−iのケーブル14を適切に固定することができる。
第2実施形態における熱電対ケーブル固定用治具は、既述の第1実施形態における固定用金具23が他の固定用金具に置換されている。その固定用金具51は、図9に示されているように、長方形の板状に形成され、一端に取付孔52が形成されている。
第3実施形態における熱電対ケーブル固定用治具は、既述の第1実施形態における固定用金具23がさらに他の固定用金具に置換されている。その固定用金具53は、図10に示されているように、平坦な帯状に形成され、一端に取付孔54が形成され、他端の両方の側の縁に切り欠き55が形成されている。固定用金具53は、両方の側の縁に切り欠き55が形成されていることにより、表側から見た形状と裏側から見た形状とが概ね等しい。
また固定用金具53を表裏いずれでも使用できるので、取り付け作業に間違いが生じることがなく作業が容易化する。
第4実施形態における熱電対ケーブル固定用治具は、既述の第1実施形態における固定用金具23がさらに他の固定用金具に置換されている。その固定用金具56は、図11に示されているように、固定用金具23にさらに溝57が形成されている。溝57は、ケーブル14が嵌まるように形成され、取付孔41から、取付孔41が形成される一端の反対側の他端までを繋ぐように形成されている。
また、溝57は、固定用金具56の表裏ともにケーブル14が嵌まるように形成されていることが好ましい。サイドプレート5−1の突起の状況に合わせて固定用金具56を表裏いずれかを選びサイドプレート5−1に沿わせることが可能となる。
第5実施形態における熱電対ケーブル固定用治具は、既述の第1実施形態における金具側ケーブルクリップ24が他のケーブルクリップに置換されている。そのケーブルクリップ61は、図12に示されるように、既述の第1実施形態における金具側ケーブルクリップ24に緩み止め部分62がさらに形成されている。緩み止め部分62は、取付部分35の屈曲部分34に接合される側と反対側に設けられ、取付部分35が沿う平面に垂直な平面に沿うように、かつ、ボルト37の外周の複数の平坦側面のうちの1つの側面に密着するように、形成されている。
図13は、第6実施形態における熱電対ケーブル固定用治具が備えるケーブルクリップ63を示している。ケーブルクリップ63は、既述の第5実施形態におけるケーブルクリップ61に追加部分64が形成されている。追加部分64は、屈曲部分34の取付部分35が接合されている側の反対側に接合され、ケーブルクリップ61が固定用金具23に取り付けられているときに、ケーブル14と固定用金具23との間に配置されるように形成されている。
図14は、第7実施形態における熱電対ケーブル固定用治具が備えるケーブルクリップ65を示している。ケーブルクリップ65は、既述の第5実施形態におけるケーブルクリップ61に他の取付部分66が形成されている。取付部分66は、屈曲部分34の取付部分35が接合されている側の反対側に接合され、ケーブルクリップ61が固定用金具23に取り付けられているときに、ケーブル14と固定用金具23との間に配置されるように、かつ、取付部分35と固定用金具23との間に配置されるように、形成されている。
図15は、第8実施形態における熱電対ケーブル固定用治具が備えるプラグ71を示している。プラグ71は、第1実施形態におけるプラグ22の頭部27が他の頭部72に置換されている。頭部72は、概ね正八角柱状に形成されている。頭部72は、図16に示されるように、中央に貫通孔73が形成されている。頭部72は、さらに、円筒部26に接合している側の反対側の上面74と貫通孔73との間に内側曲面75が形成され、上面74の縁(すなわち、上面74と側面76との間であり、上面74が形成する八角形の辺の部分)に外側曲面77が形成されている。
プラグ71は、上面74と側面76との間に外側曲面77で丸みが形成され、ケーブル14の最少曲げ半径より大きな曲率を設けていることにより、上面74と側面76との間の外側曲面77にケーブル14の外側曲面77に接する部分をケーブル14の最小曲げ半径より小さく折り曲げることがなく、ケーブル14の外側曲面77に接する部分に発生する応力集中を許容応力以下へ低減する。その結果、プラグ71を備える熱電対ケーブル固定用治具は、ケーブル14を適切に固定することができる。
5−1〜5−2:2つのサイドプレート(固定プレート)
8 :ロータ
11−1〜11−2:複数のパッド
12−i:熱電対
14:ケーブル
15:測温部
21−1〜21−2:複数の熱電対ケーブル固定用治具
22:プラグ
23:固定用金具
24:金具側ケーブルクリップ(ケーブルクリップ)
25:プラグ側ケーブルクリップ(ケーブルクリップ)
26:円筒部
27:頭部
28:貫通孔
31:曲面
32:上面
34:屈曲部分(保持部)
35:取付部分(固定部)
37:ボルト
41:取付孔
42:切り欠き
51:固定用金具
53:固定用金具
56:固定用金具
57:溝
61:ケーブルクリップ
62:緩み止め部分
63:ケーブルクリップ
65:ケーブルクリップ
71:プラグ
74:上面
76:側面(周縁)
77:外側曲面
Claims (15)
- 少なくとも1つの熱電対のケーブルが通り、前記熱電対を保持する貫通孔が形成されるプラグと、
前記プラグが固定される固定プレートと前記プラグとの間に挟まれることにより、前記固定プレートに沿って配置されるように固定される固定用金具と、
前記ケーブルの外周を押えるケーブルクリップと
を備え、
前記ケーブルの一部が少なくとも1つの前記ケーブルクリップで前記固定用金具に固定される熱電対ケーブル固定用治具。 - 前記ケーブルクリップは、一端部に固定部があり、他端部に前記ケーブルの外周を押える保持部がある請求項1に記載される熱電対ケーブル固定用治具。
- 前記ケーブルの一部が少なくとも1つの前記ケーブルクリップで前記プラグに固定される請求項1又は2に記載される熱電対ケーブル固定用治具。
- 前記固定プレートは、前記固定用金具に面する側に突起物が存在する請求項1から請求項3のうちのいずれか一項に記載される熱電対ケーブル固定用治具。
- 前記ケーブルクリップの一端部を前記固定用金具に固定するボルトをさらに備え、
前記ケーブルクリップの一端部に延在して、前記ボルト頭部に接触して前記ボルト頭部の回転と干渉し、前記ボルト頭部に引っ掛かる緩み止め部分が形成される請求項2に記載される熱電対ケーブル固定用治具。 - 前記ケーブルクリップの他端部は、前記ケーブルの外周を囲むように形成される請求項2に記載される熱電対ケーブル固定用治具。
- 前記ケーブルクリップの一端部を前記固定用金具に固定するボルトをさらに備え、
前記ケーブルクリップの他端部は、前記ケーブルクリップの一端部から延在し、前記ケーブルの外周を囲むとともに再び前記ケーブルクリップの一端部の側へと延在し、前記ボルトにより締め付けられることにより、前記ケーブルを締め込む請求項2に記載される熱電対ケーブル固定用治具。 - 前記固定用金具の一端は、前記プラグで固定される所定の幅があり、
前記固定用金具の他端は、前記プラグに固定される所定の幅より小さい幅の形状に形成される請求項1から請求項7のうちのいずれか一項に記載される熱電対ケーブル固定用治具。 - 前記固定用金具は、一端を固定する前記プラグの中心を通り前記固定用金具の長手方向へと延びる直線に関して対称でない形状に形成される請求項1から請求項7のうちのいずれか一項に記載される熱電対ケーブル固定用治具。
- 前記固定用金具の少なくとも片側表面には、前記ケーブルが沿う溝が形成される請求項1から請求項8のうちのいずれか一項に記載される熱電対ケーブル固定用治具。
- 前記プラグは、前記固定プレートの反対側の上面と、前記上面に隣り合う周縁との間に丸みが形成される請求項1から請求項9のうちのいずれか一項に記載される熱電対ケーブル固定用治具。
- 請求項1から請求項3のうちのいずれか一項に記載される熱電対ケーブル固定用治具を備え、
前記熱電対は、ロータを回転可能に支持する軸受の温度を測定するタービンロータの軸受構造。 - 熱電対のケーブルが通る貫通孔が形成されるプラグを用いて、固定用金具を固定プレートに固定することと、
前記ケーブルを前記固定用金具に固定することと
を備える熱電対ケーブル固定方法。 - 請求項5に記載される熱電対ケーブル固定用治具を用いて前記ケーブルを前記固定プレートに固定する熱電対ケーブル固定方法であり、
前記ボルトを前記固定用金具に締め付けることにより、前記ケーブルクリップを前記固定用金具に固定することと、
前記ボルトを前記固定用金具に締め付けた後に、前記ケーブルクリップの一部を折り曲げることにより前記緩み止め部分を形成することと
を備える熱電対ケーブル固定方法。 - 固定用金具をプラグと固定プレートとの間に挟んで前記プラグが前記固定プレートに固定されることにより、前記固定用金具が前記固定プレートに沿って配置されるように前記固定用金具を固定する固定用治具取付ステップと、
前記固定用金具のうちの前記プラグにより固定される一端の反対側の他端にケーブルクリップを取り付けるケーブルクリップ取付ステップと、
前記プラグに形成される貫通孔に挿入されて保持される熱電対のケーブルを、前記ケーブルクリップを介して前記固定用金具に固定する熱電対取付ステップとを備え、
前記ケーブルの最小曲率半径の部分が所定の破損応力に至らない熱電対ケーブル固定方法。
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