JP6494055B2 - 伝送装置 - Google Patents
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Description
以下の説明においては、カメラヘッド部からカメラ制御部への伝送を下り回線(Down Link:DL)と称し、カメラ制御部からカメラヘッド部への伝送を上り回線(Up Link:UL)と称することにする。これらのDL、UL伝送を、ケーブルを用いて伝送する場合、電源用、グランド用、信号伝送用の3本の同軸ケーブルが1組となったトライアックスケーブルが使用されることが多い。
このように、トライアックスケーブルでは、DL、UL伝送を信号伝送用の1本のケーブルを用いて伝送する。
このような伝送ケーブルを用いた伝送を行う場合の例について説明する。図5は例えば、ケーブル長が100mの時のそれぞれの受信端で観測した受信スペクトルを示している。また、図5には受信アンプで混入する熱雑音も記載している。
この場合では、ケーブルによる減衰により高周波のスペクトル、即ちULスペクトルのレベルが若干減衰しているが、ケーブル長も短く、減衰量も少ないため、熱雑音に対するSN比(Signal to Noise ratio、信号対雑音比)も大きい。従って、ケーブル長100mの伝送では問題なく伝送を行うことが可能である。
次に、ケーブル長が1kmの場合の受信スペクトルを図6に示す。この場合では、DLのスペクトルはケーブルによる減衰が少ないため、SN比も高く問題なく伝送が実現できるが、ULの高い周波数ではSN比が大きく劣化し、正しい伝送を行うことができない。このように、ケーブル長が長い場合には周波数分割多重方式で伝送を行うと、DL伝送特性とUL伝送特性に大きな差が生じてしまうことがある。
そのため、周波数分割多重方式で伝送を行う場合には、ケーブルによる減衰の大きい高周波スペクトルのSN比を、誤りが生じることのないSN比(所要SN比)になるようにケーブル長を短く制限する必要がある。
本発明の目的は、伝送ケーブルに対して帯域幅、変調方式の最適化を行うことで安定伝送を図ることである。
本発明の第一の実施例について図1を用いて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施例に係る伝送装置のブロック図である。
図1において、伝送装置は、カメラヘッド部110とカメラ制御部120と伝送ケーブル130で構成されている。
カメラヘッド部110は、既知信号発生部111、適応変調送信部112、選択部113、受信部114、SN比判定部115、適応変調制御部116、時分割選択部117で構成されている。
カメラ制御部120は、既知信号発生部121、適応変調送信部122、選択部123、受信部124、SN比判定部125、適応変調制御部126、時分割選択部127で構成されている。
伝送路である伝送ケーブル130は、トライアックスケーブルであってもよい。
図7は本発明の一実施例に係る伝送装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
ケーブル長に応じて最適な伝送方式と伝送帯域幅を選定は2つの処理ステップによる。
図7において、上のタイミングチャートがカメラヘッド部を示し、下のタイミングチャートがカメラ制御部を示している。また、四角の実線は送信信号を示し、点線は受信信号を示している。
更に、カメラヘッド部とカメラ制御部間でのDL、ULの双方向伝送を時間的に分割して伝送を行う時分割分割多重方式について説明を行うが、単方向の伝送であってもよい。
キャリブレーション処理では、カメラヘッド部110に具備されている既知信号発生部111からキャリブレーション用の信号を生成する。キャリブレーション信号はケーブル伝送に使用できる最も低い周波数から最も高い周波数までをカバーする広帯域信号を発生し、選択部113に送出する。選択部113では、キャリブレーション処理期間は既知信号発生部111を選択して出力するように動作し、データ伝送処理期間では適応変調送信部112からの信号を選択して出力するように動作する。
キャリブレーション処理期間では、既知信号発生部111からの広帯域既知信号を出力し、時分割選択部117に送出する。
広帯域既知信号は伝送ケーブル130を経由して、カメラ制御部120に伝送される。この際、図4に示すように、長いケーブル長を使用する場合には、高い周波数での減衰量が大きくなる。この広帯域既知信号のカメラヘッド部110での送信信号とカメラ制御部120の受信信号の信号レベルの特性を図8に示す。図8は広帯域既知信号の送信信号と受信信号の特性例を示す図である。
キャリブレーション期間ではSN比判定部115には図8に示すような受信スペクトルが入力され、SN比判定部115では周波数毎のSN比を測定する。
第一の具体例として、受信信号を高速フーリエ変換(FFT)等の周波数解析処理により、周波数毎の受信信号レベルを観測し、各周波数で熱雑音とのレベル差を算出することにより、周波数毎のSN比を測定する。
以上の処理により、伝送ケーブル130の周波数毎のSN比がカメラヘッド部110とカメラ制御部120にてそれぞれ算出される。DL、UL共に同一の伝送ケーブル130を経由しているため、上記のSN比はDL、ULで同一の値となる。
カメラヘッド部110のSN比判定部115の出力は、適応変調制御部116に入力され、カメラ制御部120も同様に、SN比判定部125の出力は適応変調制御部126に入力される。
なお、変調方式はOFDM方式に類して、伝送帯域を複数に分割して伝送を行う方式であってもよい。
一般的なシャノンの通信路容量定理によれば、通信路容量はSN比と帯域幅BWに依存し、(式1)で表される。
このことから、有線伝送に対してシャノンの通信路容量定理を適用すると、(式2)として表される。
(式2)は、サブキャリアの変数をωとし、伝送帯域の開始周波数をωst、終了周波数をωenとすると、帯域幅BWはBW=ωen−ωstとなる。
また、変数αに関しては、(式1)で示されるシャノンの通信路容量定理で示される通信路容量は理論的な限界値であり、装置化を考慮した現実の伝送容量はそれを下回る。そのため、変数αは現実のシステムにおける伝送容量の劣化量を示すために設けられており、α<1となる。
具体的には、多値変調を行う場合に装置に含まれるシステム雑音を考慮した場合、例えば4096QAM(Quadrature Amplitude Modulation)程度が伝送可能な限界となり、この場合には4096=212であるため、L=12で制限されることになる。
以上が(式2)に関する説明である。
SNR(ω,BW)はサブキャリアωと帯域幅BWの関数で表される。SN比は送信電力Pに対して、伝送ケーブル130の特性L(ω)の特性が乗算された結果が受信部124に到達する信号電力となる。この際、伝送ケーブル特性L(ω)は、例えば、図4に示すように、伝送距離により異なる特性となる。
また、雑音成分は受信部124の初段に設けられる低雑音電力増幅器で印可される熱雑音が支配的となり、N0(BW)=kT・BWとなる。
ここで、kはボルツマン定数、Tは絶対温度、BWは帯域幅である。
図9は本発明の一実施例に係る伝送装置の適応変調制御部を説明するためのブロック図である。
適応変調制御部116,126は、SN比補正部901、BW可変部902、最適帯域幅算出部903、SN比補正部904、SNR対変調多値数算出部905で構成されている。
適応変調制御部116,126では、SN比判定部115,125により得られたSN比に対して、帯域幅BWを可変しながら、(式2)及び(式3)を計算することで、帯域幅BW対伝送容量Cの関係を得る。
図10では、例えばケーブル長が1.5kmを想定した場合、帯域幅BWが約80MHzの時に最大のビットレート約640Mbpsを実現できることを示している。
この最適帯域幅の算出は、図9のSN比補正部901、BW可変部902、最適帯域幅算出部903にて実施し、この具体的な処理について説明する。
また、SN比補正部901にはSN比判定部115,125で算出したSN比が入力される。SN比は帯域幅BWの逆数に比例するため、キャリブレーション期間で算出した際の広帯域既知信号の帯域幅をBW0とするとSN比補正部901での補正後のSNR’(ω,BW)は(式4)となる。
図9の最適帯域幅算出部903からの最適帯域幅BWoptはSN比補正部904に入力され、SN比補正部904のもう一方の入力にはSN比判定部115,125で算出したSN比が入力される。SN比補正部904では(式5)に示すように、最適帯域幅BWoptに対応する補正SN比のSNR’(ω,BWopt)を算出する。
サブキャリア毎に算出された変調多値数の設定は、図1の適応変調送信部112,122に入力され、それぞれDL送信データ、UL送信データに対して変調多値数に応じたマッピングを行う。その後、逆フーリエ変換等の処理を用いてOFDM変調信号を生成する。このOFDM変調信号の生成は周知の技術を使用する。
時分割選択部117からのDL信号は伝送ケーブル130を経由して時分割選択部127に入力される。DL期間では時分割選択部127は伝送ケーブル130の信号を受信部124に選択して出力する。
受信部124は、送信側で割り当てられたサブキャリア毎の変調多値数に基づいて復調処理を行い、復調結果の信号をDLの受信データとして出力する。このOFDM復調及び誤り訂正復号は周知の技術を使用する。
時分割選択部127からのUL信号は伝送ケーブル130を経由して時分割選択部117に入力される。UL期間では時分割選択部117は伝送ケーブル130の信号を受信部114に選択して出力する。
このUL伝送は図7のデータ伝送期間DLにあるBWopt帯域幅変調信号として示している。
受信部114は、受信部124と同様に時分割選択部117からの信号に対して復調処理を行い、復調結果の信号をULの受信データとして出力する。
また、上記の説明ではDL期間とUL期間の比率については特に明記していないが、DL/UL時間比率は要求されるシステム要求によって異なる。例えば、本線信号を伝送するDL伝送に対して、モニタ用の信号を伝送するUL伝送の伝送レートの比が2:1である場合には、DL/UL時間比率も2:1に設定すれば良い。
図2は本発明の他の一実施例に係る伝送装置のブロック図である。
図2において、伝送装置は、カメラヘッド部210とカメラ制御部220と伝送ケーブル130で構成されている。
第二の実施例は、図1に示す第一の実施例におけるSN比判定部115,125を省略し、適応変調制御部116,126へのSNR(ω)信号を外部から入力できる構成となっており、それ以外の構成は第一の実施例と同様である。
伝送ケーブル130の特性が把握できているため、SNR(ω)も既知の特性であり、このSNR(ω)は適応変調制御部116,126に入力される。
また、適応変調制御部116,126はオフラインの計算により最適帯域幅BWoptと変調多値数を算出することであってもよい。
以上の説明した第二の実施例により、演算処理数が多い適応変調制御部116,126の処理を外部の計算機で計算させることにより、装置の負荷を軽減できるという利点がある。
Claims (3)
- 一つの伝送路を介して双方向に、映像信号を送受する伝送装置であって、
キャリブレーション期間において、
一方の装置から少なくとも伝送帯域幅以上の帯域幅を有するキャリブレーション用の信号を伝送路に送出し、
他方の装置は、受信したキャリブレーション信号に基づいて伝送路の周波数毎のSN比を算出し、当該SN比における帯域幅ごとの伝送容量を帯域幅を可変しながら算出し、前記伝送容量の最大値となる帯域幅を伝送容量に対する最適伝送帯域幅として算出し、当該最適伝送帯域幅でのサブキャリアごとの所要SN比を満足し最も伝送容量が大きくなる変調多値数を算出し、
データ伝送期間において、
最適伝送帯域幅および当該最適伝送帯域幅でのサブキャリアごとの所要SN比を満足し最も伝送容量が大きくなる変調多値数を算出した装置は、前記最適伝送帯域幅を複数のサブキャリアに分割して、当該分割されたサブキャリアごとに所要SN比を満足し最も伝送容量が大きくなる変調多値数を割り当てる制御を行いデータ伝送するとともに、前記最適伝送帯域幅とサブキャリアごとの変調多値数の割り当ての情報を伝送することを特徴とする伝送装置。 - 請求項1に記載の伝送装置であって、
データ伝送期間において、
前記データ伝送する装置は、映像信号をさらに時間的に分割することを特徴とするデータ伝送装置。 - 請求項1または請求項2に記載の伝送装置であって、
前記伝送路がトライアックスケーブルであることを特徴とする伝送装置。
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