以下図面を参照しながら、発明を実施するための形態を説明する。
<実施形態に従った光伝送システムの構成例>
図1は、実施形態に従った光伝送システムの例示的な構成図である。図1に示す一例では、光伝送システム1は、OADMノード2−1及び2−2と、1つ以上の中継ノード3とを含む。OADMノード2−1及びOADMノード2−2は、1つ以上の中継ノード3を介して双方向に接続する。
OADMノード2−1及び2−2は、実施形態に従った光伝送装置の一例である。図2A及び図2Bを参照しながら後述するように、光伝送装置は、光信号の送受信ユニットであるトランスポンダを含む。光伝送装置は、トランスポンダから光ケーブルである伝送路へ所定の光信号を挿入(Add)し、伝送路からトランスポンダへ所定の光信号を分岐(Drop)を行う。中継ノード3は、インライン増幅器(In-Line Amplifier、ILA)と称される光増幅器を含み、伝送路上の光信号の電力を増幅する。
なお、図1は、実施形態に従った光伝送システムの構成例にすぎない。例えば、光伝送システム1には、3つ以上のOADMノードが含まれてよく、3つ以上のOADMノードは、中継ノード3を介して相互に接続されてよい。
<実施形態に従った光伝送装置の構成例>
図2A及び図2Bは、実施形態に従った光伝送装置の例示的な構成図である。光伝送装置2は、図1に示すOADMノード2−1及び2−2に対応する。
図2A及び図2Bに示す構成例では、光伝送装置2は、制御回路21(1)及び21(2)、光アッテネータ(attenuator、ATT)22(1)及び22(2)、並びにプリアンプ(Pre-Amplifier、Pre AMP)23(1)及び23(2)を含む。光伝送装置2は、光分岐スイッチ24(1)及び24(2)、光挿入スイッチ30(1)及び30(2)、並びにポストアンプ31(1)及び31(2)を更に含む。光伝送装置2は、光アンプ(AMP)25(1)−1〜25(1)−n及び25(2)−1〜25(2)−n、並びに光カプラ(coupler、CPL)26(1)−1〜26(1)−n及び26(2)−1〜26(2)−nを更に含む。光伝送装置2は、送受信装置であるトランスポンダ27(A)−1−1〜27(A)−n−m及び27(B)−1−1〜27(B)−n−mを更に含む。光伝送装置2は、光カプラ(CPL)28(1)−1〜28(1)−n及び28(2)−1〜28(2)−n、並びに光アンプ(AMP)29(1)−1〜29(1)−n及び29(2)−1〜29(2)−nを更に含む。光伝送装置2に含まれる上述の構成部品は、2方路のOADMに相当する。ただし、図2A及び図2Bに示した光伝送装置2は、実施形態に従った光伝送装置の構成例にすぎない。実施形態に従った光伝送装置は、2よりも大きい方路数に対応したmulti-degreeのOADMを含むように構成されてもよい。
また、図2A及び図2Bに示す構成例では、光伝送装置2は、第1の制御信号送受信器32(1)及び32(2)、並びに第2の制御信号送受信器33(1)及び33(2)を更に含む。第1の制御信号送受信器32(1)及び32(2)、並びに第2の制御信号送受信器33(1)及び33(2)は、Optical Supervisory Channel(OSC)といった制御信号を他の光伝送装置2との間で送受信するための装置である。
光伝送装置2の各構成部品に付された参照符号の内、記号“(1)”は、方路1(図面左の方路)から方路2(図面右の方路)へ光信号が伝送される第1の伝送方向を表す。また、記号“(2)”は、方路2から方路1へ光信号が伝送される第2の伝送方向を表す。参照符号の内、記号“(1)”又は記号“(2)”のみが異なる構成部品は、同じ機能を有する。例えば、光分岐スイッチ24(1)及び光分岐スイッチ24(2)は、同じ機能を有する。
また、光伝送装置2のトランスポンダに付された参照符号の内、記号“(A)”及び“B”は、トランスポンダの2つのセットを表す。具体的には、トランスポンダ27(A)−1−1〜27(A)−n−mは、第1の伝送方向の光信号に波長多重される特定波長の光信号を夫々送信し、第2の伝送方向の光信号から波長分離された特定波長の光信号を夫々受信するトランスポンダのセットである。また、トランスポンダ27(B)−1−1〜27(B)−n−mは、第2の伝送方向の光信号に波長多重される特定波長の光信号を夫々送信し、第1の伝送方向の光信号から波長分離された特定波長の光信号を夫々受信するトランスポンダのセットである。なお、図2に示す構成例では、各トランスポンダは、送受信ユニットとして纏めて構成されているが、各トランスポンダは送信器及び受信器に分けて構成されてもよい。
更に、光伝送装置2の各構成部品に付された参照符号の内、記号“n”は、光分岐スイッチ24(1)又は24(2)から分岐される波長分離多重(Wavelength Division Multiplexing、WDM)光信号の分岐数を表す2以上の整数である。或いは、記号“n”は、光挿入スイッチ30(1)又は30(2)へ挿入される波長分離多重光信号の挿入数を表す2以上の整数である。また、記号“m”は、光カプラ26(1)−1〜26(1)−n及び26(2)−1〜26(2)−nにより夫々分岐される光信号の分岐数を表す2以上の整数である。或いは、記号“m”は、光カプラ28(1)−1〜28(1)−n及び28(2)−1〜28(2)−nにより夫々合波される光信号の合波数を表す2以上の整数である。
光伝送装置2において、第2の伝送方向の光信号に対する処理動作は、第1の伝送方向の光信号に対する処理動作と同様に説明可能である。そこで、以下では、第1の伝送方向の光信号に対する光伝送装置2の処理動作について説明する。
方路1において光伝送装置2に隣接する装置(例えば、中継ノード3)から送信された光信号は、光アッテネータ22(1)に入力される。光アッテネータ22(1)は、入力された光信号を所定の信号レベルに減衰する。光アッテネータ22(1)から出力された光信号は、プリアンプ23(1)に入力される。プリアンプ23(1)は、入力された光信号の電力を増幅し、該光信号を光分岐スイッチ24(1)へ出力する。
光分岐スイッチ24(1)は、例えばWavelength Selectable Switch(WSS)及びArrayed Waveguide Grating(AWG)等である。光分岐スイッチ24(1)は、プリアンプ23(1)から出力された光信号から、n個の分岐に含まれる個々の波長の光信号を選択する。光分岐スイッチ24(1)により選択された各光信号は、対応する光アンプ25(1)−1〜25(1)−nにより夫々増幅された後、対応する光カプラ26(1)−1〜26(1)−nに夫々入力される。
光カプラ26(1)−1〜26(1)−nに入力される各光信号は、スーパーチャネルを単位とする光信号である。スーパーチャネルは、例えば、37.5 GHzのサブキャリアの光信号が2〜4波(n=2〜4)束ねられた光信号であってよい。光カプラ26(1)−1〜26(1)−nは、入力された光信号をm個のサブキャリアの光信号に夫々分岐する。光カプラ26(1)−1〜26(1)−nから夫々出力されたm個の光信号は、対応するトランスポンダに27(B)−1−1〜27(B)−n−mに夫々入力される。
トランスポンダ27(B)−1−1〜27(B)−n−mは、入力された光信号に対する受信処理を行い、クライアント信号を出力する。トランスポンダ27(B)−1−1〜27(B)−n−mの受信処理の具体例は、図3等を参照しながら後述する。
トランスポンダ27(A)−1−1〜27(A)−n−mは、入力されたクライアント信号に対する送信処理を行い、光信号を出力する。トランスポンダ27(A)−1−1〜27(A)−n−mの送信処理の具体例は、図3等を参照しながら後述する。トランスポンダ27(A)−1−1〜27(A)−n−mから夫々出力される光信号は、n個のスーパーチャネルの内の対応するスーパーチャネルに束ねられるサブキャリアに対応し、対応する光カプラ28(1)−1〜28(1)−nに入力される。
光カプラ28(1)−1〜28(1)−nは、入力されたm個の光信号を合波することで、スーパーチャネルを単位とする光信号を夫々生成する。光カプラ28(1)−1〜28(1)−nから出力された各光信号は、対応する光アンプ29(1)−1〜29(1)−nにより夫々増幅された後、光挿入スイッチ30(1)に入力される。
光挿入スイッチ30(1)は、例えばWSS及びAWG等である。光挿入スイッチ30(1)は、入力されたn個の光信号を多重する。光挿入スイッチ30(1)から出力された光信号は、ポストアンプ31(1)により増幅された後、方路2において光伝送装置2に隣接する装置(例えば、別の中継ノード3)へ送信される。
また、方路1に存在する別の光伝送装置2から送信された制御信号は、光アッテネータ22(1)を介して第1の制御信号送受信器32(1)により受信される。受信された制御信号の宛先が第1の伝送方向の光信号の処理動作を制御する制御回路21(1)である場合、第1の制御信号送受信器32(1)は、受信された制御信号を制御回路21(1)へ送信する。受信された制御信号の宛先が第2の伝送方向の光信号の処理動作を制御する制御回路21(2)である場合、第1の制御信号送受信器32(1)は、受信された制御信号を第2の制御信号送受信器33(2)を介して制御回路21(2)へ送信する。受信された制御信号の宛先が方路2に存在する別の光伝送装置2である場合、第1の制御信号送受信器32(1)は、受信された制御信号を第2の制御信号送受信器33(1)へ送信する。第2の制御信号送受信器33(1)は、受信された制御信号を方路2に存在する別の光伝送装置2へ向けて送信する。
制御回路21(1)は、第1の伝送方向の信号に対して上述の処理を行う各構成部品の処理動作を制御する。図を簡明にするために示していないが、制御回路21(1)は、第1の伝送方向の信号に対して上述の処理を行う各構成部品と接続する。
第2の伝送方向の光信号に対する処理動作は、第1の伝送方向の光信号に対する上述の処理動作と同様である。なお、第2の伝送方向の光信号に対する処理動作では、トランスポンダに27(A)−1−1〜27(A)−n−mは、入力された光信号に対する受信処理を行う。トランスポンダ27(B)−1−1〜27(B)−n−mは、入力されたクライアント信号に対する送信処理を行う。
トランスポンダ27(A)−1−1〜27(A)−n−m及び27(B)−1−1〜27(B)−n−mの構成及び処理動作の一例を図3を参照しながら説明する。
<実施形態に従ったトランスポンダの構成例>
図3は、実施形態に従ったトランスポンダの例示的な構成図である。図3において、光カプラ26は、光カプラ26(1)−1〜26(1)−n及び26(2)−1〜26(2)−nの一例である。光カプラ28は、光カプラ28(1)−1〜28(1)−n及び28(2)−1〜28(2)−nの一例である。例えば、光カプラ26が光カプラ26(2)−1〜26(2)−nに相当する場合、光カプラ28は、光カプラ28(1)−1〜28(1)−nに相当する。
また、図3において、トランスポンダ27−1及び27−2は、分岐数(挿入数)n及び分岐数(合波数)mの値を夫々2(n=m=2)とした場合におけるトランスポンダ27(A)−1−1〜27(A)−n−m及び27(B)−1−1〜27(B)−n−mの一例である。例えば、光カプラ26が光カプラ26(2)−1〜26(2)−nに相当する場合、トランスポンダ27−1及び27−2は、トランスポンダ27(A)−1−1〜27(A)−n−mに相当する。
図3に示した一例では、トランスポンダ27−1によりサブキャリア(SC)1の光信号が送受信され、トランスポンダ27−1によりサブキャリア(SC)2の光信号が送受信される。トランスポンダ27−1から送信されたサブキャリア(SC)1の光信号と、トランスポンダ27−2から送信されたサブキャリア(SC)2の光信号は、光カプラ28により合波され、2つのサブキャリアが束ねられたスーパーチャネルの光信号が生成される。また、スーパーチャネルの光信号は、光カプラ26によりサブキャリア(SC)1の光信号及びサブキャリア(SC)2の光信号に分岐される。そして、サブキャリア(SC)1の光信号はトランスポンダ27−1により受信され、サブキャリア(SC)2の光信号はトランスポンダ27−2により受信される。
トランスポンダ27−1は、フレーマ271−1−1及び271−1−2、送信信号処理回路272−1、デジタル・アナログ変換器(Digital Analog Converter、DAC)273−1を含む。トランスポンダ27−1は、光変調器274−1、レーザーダイオード(Laser Diode、LD)275−1、光復調器276−1、レーザーダイオード(LD)277−1を更に含む。トランスポンダ27−1は、アナログ・デジタル変換器(Analog Digital Converter、ADC)278−1、及び受信信号処理回路279−1を含む。
トランスポンダ27−2は、トランスポンダ27−1と同様の構成部品を含む。すなわち、トランスポンダ27−2は、フレーマ271−2−1及び271−2−2、送信信号処理回路272−2、デジタル・アナログ変換器(DAC)273−2を含む。トランスポンダ27−2は、光変調器274−2、レーザーダイオード(LD)275−2、光復調器276−2、レーザーダイオード(LD)277−2を更に含む。トランスポンダ27−2は、アナログ・デジタル変換器(ADC)278−2、及び受信信号処理回路279−2を含む。
トランスポンダ27−2の処理動作は、トランスポンダ27−1の処理動作と同様に説明可能である。そこで、以下では、トランスポンダ27−1の処理動作について説明する。
トランスポンダ27−1において、送信対象の各クライアント信号はフレーマ271−1−1及び271−1−2に入力される。各クライアント信号の伝送速度は、例えば100 Gbpsである。フレーマ271−1−1及び271−1−2は、入力されたクライアント信号を所定形式のフレームに夫々変換し、送信信号処理回路272−1へ送信する。所定形式のフレームの一例としては、Optical Transport Network(OTN)フレームが挙げられる。
送信信号処理回路272−1は、フレーマ271−1−1及び271−1−2から受信した各フレームに含まれるペイロードを抽出する。抽出されるペイロードは、例えばOTUフレームに含まれるOptical Data Unit(ODU)である。送信信号処理回路272−1は、抽出された各ペイロードを多重化し、より高次のフレームの主信号を生成する。より高次のフレームは、例えばOTUフレームが多重化された高次のOTUフレームである。生成される主信号は、例えば高次のOTUフレームに含まれるOptical Data Unit(ODU)であり、所定のビット長の情報ビットを含む。送信信号処理回路272−1は、Forward Error Correction(FEC)といった誤り訂正符号をオーバヘッドと共に主信号に付加することで、送信信号を生成し、生成された送信信号をデジタル・アナログ変換器273−1へ出力する。
デジタル・アナログ変換器273−1は、送信信号処理回路272−1から出力された送信信号をデジタルからアナログに変換する。光変調器274−1は、レーザーダイオード275−1からの出力光を、デジタル・アナログ変換器273−1によりアナログに変換された送信信号によって変調することで、光信号を生成する。レーザーダイオード275−1は半導体レーザの一例である。生成された光信号の伝送速度は、例えば200 Gbpsである。光変調器274−1により生成された光信号は、光ケーブルを介して光カプラ28に入力される。
また、光カプラ26から出力された光信号は、光ケーブルを介して光復調器276−1に入力される。光復調器276−1は、レーザーダイオード277−1からの出力光を用いて光信号を復調し、電気信号を出力する。レーザーダイオード277−1は半導体レーザの一例である。アナログ・デジタル変換器278−1は、光復調器276−1から出力された電気信号をアナログからデジタルに変換する。
受信信号処理回路279−1は、誤り訂正符号を用いて、デジタルに変換された電気信号から高次のフレームの主信号を復号する。そして、受信信号処理回路279−1は、復号された主信号から低次の各フレームを抽出し、抽出された低次の各フレームを対応するフレーマ271−1−1及び271−1−2へ送信する。フレーマ271−1−1及び271−1−2は、抽出された低次のフレームからクライアント信号を抽出し、抽出されたクライアント信号を出力する。
なお、図3は、実施形態に従ったトランスポンダの例示的な構成例にすぎない。例えば、挿入数)n及び分岐数(合波数)mの値は2に限られず、3以上であってもよい。また、各トランスポンダが送受信対象とするクライアント信号の数は任意であってよい。
<実施形態に従った送信信号処理回路及び受信信号処理回路の構成例>
次に、実施形態に従った送信信号処理回路及び受信信号処理回路の構成及び処理動作の一例を説明する。
図4は、実施形態に従った送信信号処理回路の例示的な構成図である。図4に示す送信信号処理回路272は、送信信号処理回路272−1及び272−2に相当する。送信信号処理回路272は、誤り訂正符号化回路5及び予等化回路6を含む。
誤り訂正符号化回路6は、所定形式のフレームに含まれる主信号にFECといった誤り訂正符号を付加する。前述したように、主信号は、例えばOTUフレームに含まれるOptical Data Unit(ODU)であり、所定のビット長の情報ビットを含む。予等化回路6は、主信号に誤り訂正符号が付加された送信信号に対して、波長分散の補償、周波数オフセットの補償、並びにデジタル・アナログ変換器や光変調器の入出力特性の補償等を行う。
図5は、実施形態に従った受信信号処理回路の例示的な構成図である。図5に示す受信信号処理回路279は、受信信号処理回路279−1及び279−2に相当する。受信信号処理回路279は、等化回路7、搬送波位相復元回路8、及び誤り訂正復号回路9を含む。
等化回路7は、入力されたデジタルの受信信号に対して、波長分散の補償、周波数オフセットの補償、偏波モード分散の補償、及び非線形光学効果による波形歪みの補償等を行う。搬送波位相復元回路8は、等化回路7から出力された信号から、同相(In-phase、I)軸及び直交位相(Quadrature、I)軸で表される信号(シンボル)を復元する。誤り訂正復号回路9は、誤り訂正符号を用いて、搬送波位相復元回路8により復元された信号から主信号を復号する。
<実施形態に従った誤り訂正符号化回路及び誤り訂正復号回路の構成例>
実施形態に従った誤り訂正符号化回路及び誤り訂正復号回路の構成及び処理動作の一例を以下に説明する。
<<実施形態に従った誤り訂正符号化回路の構成例>>
まず、実施形態に従った誤り訂正符号化回路の構成及び処理動作の一例を図6〜図12を参照しながら説明する。
図6は、実施形態に従った誤り訂正符号化回路の例示的な構成図である。図6に示す誤り訂正符号化回路5−1及び5−2は、送信信号処理回路272に含まれる誤り訂正符号化回路5(図4)の一例である。また、誤り訂正符号化回路5−1は、サブキャリア(SC)1の送信信号を処理する送信信号処理回路272−1(図3)に含まれる誤り訂正符号化回路に相当する。誤り訂正符号化回路5−2は、サブキャリア(SC)2の送信信号を処理する送信信号処理回路272−2(図3)に含まれる誤り訂正符号化回路に相当する。
図6に示す一例では、誤り訂正符号化回路5−1は、誤り訂正符号化部51−1、誤り訂正符号分配部52−1、及び誤り訂正符号結合部53−1を含む。同様に、誤り訂正符号化回路5−2は、誤り訂正符号化部51−2、誤り訂正符号分配部52−2、及び誤り訂正符号結合部53−2を含む。
誤り訂正符号化部51−1及び51−2は、スーパーチャネルに束ねられる各サブキャリアの伝送品質に応じた符号長の誤り訂正符号を主信号に付加する。すなわち、誤り訂正符号化部51−1は、サブキャリア1の伝送品質に応じた符号長の誤り訂正符号を主信号に付加し、誤り訂正符号化部51−2は、サブキャリア2の伝送品質に応じた符号長の誤り訂正符号を主信号に付加する。実施形態に従った誤り訂正符号化部がスーパーチャネルに束ねられる各サブキャリアの伝送品質に応じて符号長の誤り訂正符号を主信号に付加する理由を以下に説明する。
スーパーチャネル伝送では、複数のサブキャリアが束ねられたスーパーチャネルが光パスを構成する。このため、スーパーチャネルの伝送性能は、束ねられる複数のサブキャリアの中で最も伝送品質が悪いサブチャネルによって制限される。例えば、400 Gbps (100 Gbpsのサブチャネル×4)といったスーパーチャネルのように、束ねられるサブキャリアの数が4である場合、図7に示すように、伝送条件に応じてサブチャネル間に受信Q値のばらつきが発生する。
図7は、受信Q値が劣化する要因例の説明図である。図7において、縦軸は電力であり、横軸は波長である。受信Q値は、受信された光信号の伝送品質の一例である。マーク「1」のレベル及びスペース「0」の各分布が標準偏差σ1、σ0のガウス分布である場合、Q値は、次の式(1)により定義される。
式(1)において、μ1は、マーク「1」のレベルの平均値であり、μ0は、スペース「0」のレベルの平均値である。なお、Bit Error Rate (BER)はQ値から次の式(2)により求められる。
式(2)において、erfcは相補誤差関数を表す。
スーパーチャネルに束ねられる複数のサブキャリアの内、スーパーチャネルの両端に位置するサブキャリア(例えば、図7のSC1及びSC4)は、光伝送装置のOADMに含まれる光分岐・挿入スイッチ(例えば、WSS又はAWG等)のパスバンド特性の影響を受ける。このため、パスバンド特性の影響によるQ値の劣化は、スーパーチャネルの中央付近に位置するサブキャリア(例えば、図7のSC2及びSC3)と比較してスーパーチャネルの両端に配置するサブキャリアにおいて大きくなる。
一方、スーパーチャネルに束ねられる複数のサブキャリアの内、スーパーチャネルの中央付近に位置するサブキャリア(例えば、図7のSC2及びSC3)は、隣接サブキャリア間のリニアクロストーク及び光ファイバ上での非線形光学効果(Cross Phase Modulation) の影響を受ける。このため、リニアクロストーク及び非線形光学効果の影響によるQ値の劣化は、スーパーチャネルの両端に配置するサブキャリアと比較してスーパーチャネルの中央付近に位置するサブキャリアにおいて大きくなる。
上述したパスバンド特性の影響によるQ値の劣化とリニアクロストーク及び非線形光学効果の影響によるQ値の劣化との何れが大きくなるかは、光伝送装置を含む光伝送システムの構成によって異なる。例えば、Point-to-Pointの光伝送システム等のように光伝送装置内のOADM段数が少なく、Non- zero Dispersion Shifted Fiber(NZ-DSF)といった非線形光学効果による波形劣化が大きい光ファイバが伝送路に用いられた光伝送システムを仮定する。こうした仮定の光伝送システムでは、サブキャリア間のリニアクロストークの影響によるQ値の劣化量は、パスバンド特性の影響によるQ値劣化量を上回る可能性がある。
このように、スーパーチャネルに束ねられる各サブキャリアの伝送品質は異なり得る。各チャネルの異なり得る伝送品質が所値以上に維持されるためには、スーパーチャネルは、伝送品質が悪いサブキャリアに合わせて伝送されることが望ましい。この結果、スーパーチャネルの伝送性能は、伝送品質が悪いサブチャネルによって制限される。
そこで、誤り訂正符号化部51−1及び51−2(図6)といった実施形態に従った誤り訂正符号化部は、スーパーチャネルに束ねられる各サブキャリアの伝送品質に応じて所望の符号長の誤り訂正符号を主信号に付加するように構成される。こうした構成によって、伝送品質が悪いサブキャリア対しては、より多くのビット数の誤り訂正符号が付加される。この結果、スーパーチャネルに束ねられる各サブキャリアの伝送品質のばらつきに関わらず、スーパーチャネルの伝送性能は改善される。
誤り訂正符号分配部52−1及び52−2は、処理対象のサブキャリアの主信号に付加された誤り訂正符号の内、所定の冗長度を超える符号部分を他のサブキャリアに分配する。図6に示した一例では、誤り訂正符号分配部52−1は、誤り訂正符号化部51−1によってサブキャリア1の主信号に付加された誤り訂正符号の内、所定の冗長度を超える符号部分をサブキャリア2を処理対象とする誤り訂正符号結合部53−2へバス10−1を介して送信する。また、誤り訂正符号分配部52−2は、サブキャリア2の主信号に付加された誤り訂正符号の内、所定の冗長度を超える符号部分をサブキャリア1を処理対象とする誤り訂正符号結合部53−1へバス10−2を介して送信する。所定の冗長度とは、スーパーチャネルに束ねられる各サブキャリアの送受信信号に対して予め決められた冗長度を指す。
図8は、送受信信号の冗長度の説明図である。主信号(情報ビット)のビット長をk、主信号に誤り訂正符号が付加された送信信号又は受信信号の全ビット長をlとすると、送信信号又は受信信号の冗長度は、次の式(3)で表される。
なお、実施形態において符号化率は、次の式(4)で表される。
処理対象のサブキャリアの主信号に付加された誤り訂正符号の内、所定の冗長度を超える符号部分を、実施形態に従った誤り訂正符号分配部が他のサブキャリアに分配する理由を以下に説明する。
図9は、誤り訂正符号がサブキャリア間で分配されない場合の各サブキャリアの信号の説明図である。前述したように、伝送品質が悪いサブキャリアに対しては、伝送品質所値以上に改善するために符号長が長い誤り訂正符号が用いられる。そこで、誤り訂正符号がサブキャリア間で共有されない場合、伝送品質が悪いサブキャリアの主信号には、符号長が長い誤り訂正符号が付加される。図9に示す一例では、伝送品質が悪いサブキャリア(SC)1には、伝送品質がよいサブキャリア(SC)2と比較して符号長がより長い誤り訂正符号が主信号(情報ビット)に付加される。ペイロードである情報ビットの長さは所定の長さ(所定のビット数)に維持することが望ましいことから、誤り訂正符号の符号長を長くするためには、各サブキャリアにおける送受信信号のビットレートを上昇させることが望ましい。しかしながら、ビットレートを上昇させると、図10に示すように、各サブキャリアの光スペクトル幅が広がって隣接サブキャリア間の干渉(図10中の斜線部分)が発生し、スーパーチャネルの伝送性能が劣化する。図10は、誤り訂正符号がサブキャリア間で分配されない場合のスーパーチャネルの説明図である。このように、スーパーチャネル伝送では、サブキャリア間隔を維持してスーパーチャネルの伝送品質を所値以上に保つために許容可能なビットレートの上限が存在する。例えば、75GHzの帯域に2波のサブキャリアが収容される場合、サブキャリア間隔は37.5GHzであることが望ましい。
そこで、誤り訂正符号分配部52−1及び52−2(図6)といった実施形態に従った誤り訂正符号分配部は、処理対象のサブキャリアの主信号に付加された誤り訂正符号の内、所定の冗長度を超える符号部分を、他のサブキャリアに分配する。なお、式(3)から理解し得るように、スーパーチャネルの伝送品質を保つために各サブキャリアの送受信信号に対して望ましい所定の冗長度は、主信号(情報ビット)の長さと、主信号に誤り訂正符号が付加された送受信信号の全ビット長とから算出可能である。主信号のビット長は、所定の長さに予め決定されてよい。送受信信号の全ビット長は、スーパーチャネルの伝送品質を保つために許容可能なビットレートの上限に対応して決定されてよい。
図11は、誤り訂正符号がサブキャリア間で分配された場合の各サブキャリアの信号の説明図である。図11に示す一例では、サブキャリア(SC)1の主信号に付加された誤り訂正符号の内、所定の冗長度を超える符号部分は、サブキャリア(SC)2に分配される。このように、実施形態に従った光伝送装置では、伝送品質が悪いサブキャリアに対する誤り訂正符号の内、所定の冗長度を超える符号部分が、伝送品質のよい他のサブキャリアに分配される。このため、各サブキャリアの送受信信号のビットレートは、スーパーチャネルの伝送品質を所値以上に保つために許容可能なビットレートの範囲内に抑えられる。図12は、誤り訂正符号がサブキャリア間で分配された場合のスーパーチャネルの説明図である。各サブキャリアにおける送受信信号のビットレートが許容可能なビットレートの範囲内に抑えられるため、図12に示すように、各サブキャリアの光スペクトル幅は、隣接するサブキャリア間隔以内に収まる。このため、隣接サブキャリア間に干渉は発生せず、スーパーチャネルの伝送性能の劣化は抑制される。このように、誤り訂正符号がサブキャリア間で分配されることで主信号に所望長の誤り訂正符号が付加された送受信信号の冗長度は抑制され、スーパーチャネルの伝送性能は改善される。
誤り訂正符号結合部53−1及び53−2は、他のサブキャリアの主信号に付加された誤り訂正符号の内、所定の冗長度を超える符号部分を、処理対象のサブキャリアの主信号に付加された誤り訂正符号に結合する。図6に示した一例では、誤り訂正符号結合部53−1は、サブキャリア2の主信号に付加された誤り訂正符号の内、所定の冗長度を超える符号部分を誤り訂正符号分配部52−2から受信する。そして、誤り訂正符号結合部53−1は、受信した符号部分をサブキャリア1の主信号に付加された誤り訂正符号と結合することで、サブキャリア1の送信信号を生成する。同様に、誤り訂正符号結合部53−2は、サブキャリア1の主信号に付加された誤り訂正符号の内、所定の冗長度を超える符号部分を誤り訂正符号分配部52−1から受信する。そして、誤り訂正符号結合部53−2は、受信した符号部分をサブキャリア2の主信号に付加された誤り訂正符号と結合することで、サブキャリア2の送信信号を生成する。このように、誤り訂正符号がサブキャリア間で分配されることで主信号に所望長の誤り訂正符号が付加された送受信信号の冗長度は抑制され、スーパーチャネルの伝送性能は改善される。
<<実施形態に従った誤り訂正復号回路の構成例>>
次に、実施形態に従った誤り訂正復号回路の構成及び処理動作の一例を図13を参照しながら説明する。
図13は、実施形態に従った誤り訂正復号回路の例示的な構成図である。図13に示す誤り訂正復号回路9−1及び9−2は、受信信号処理回路279(図5)に含まれる誤り訂正復号回路9の一例である。また、誤り訂正復号回路9−1は、サブキャリア(SC)1の受信信号を処理する受信信号処理回路279−1(図3)内の誤り訂正復号回路に相当する。誤り訂正復号回路9−2は、サブキャリア(SC)2の受信信号を処理する受信信号処理回路279−2(図3)内の誤り訂正復号回路に相当する。
図13に示す一例では、誤り訂正復号回路9−1は、伝送品質測定部91−1、誤り訂正符号分配部92−1、誤り訂正符号結合部93−1、及び誤り訂正復号部94−1を含む。同様に、誤り訂正復号回路9−2は、伝送品質測定部91−2、誤り訂正符号分配部92−2、誤り訂正符号結合部93−2、及び誤り訂正復号部94−2を含む。
伝送品質測定部91−1及び91−2は、誤り訂正符号が付加されていない受信信号の伝送品質を測定する。すなわち、伝送品質測定部91−1は、サブキャリア(SC)1の受信信号の伝送品質(例えば、Q値)を測定する。伝送品質測定部91−2は、サブキャリア(SC)2の受信信号の伝送品質(例えば、Q値)を測定する。
図23〜図30を参照しながら後述するように、伝送品質測定部91−1及び91−2により測定された伝送品質は、各サブキャリアに対して予め備えられた設定可能な複数の冗長度の中から所望の冗長度を決定するために用いられる。冗長度の決定は、実施形態に従った光伝送システムの運用前に行われてよい。また、冗長度の決定は、実施形態に従った光伝送システムの運用中に行われてよい。
各サブキャリアに対して予め備えられる設定可能な冗長度は、実施形態に従った光伝送システムの構成に応じて1つであってもよく、複数であってもよい。ただし、誤り訂正符号化部(例えば、誤り訂正符号化部51−1又は51−2)及び誤り訂正復号部(例えば、誤り訂正復号部94−1又は94−2)は、冗長度毎に備えられる。このため、過剰に多くの冗長度を備えようとすると、光伝送装置の回路規模の増加につながる。また、複数の異なる冗長度の誤り訂正符号を用いても、それらの冗長度を合計した冗長度の誤り訂正符号による伝送品質の改善効果は得られない。例えば、冗長度5 %に対応する誤り訂正符号化部及び誤り訂正復号部と、冗長度10 %に対応する誤り訂正符号化部及び誤り訂正復号部を組み合わせても、冗長度15 %に対応する誤り訂正符号化部及び誤り訂正復号部により得られるQ値の改善効果は得られない。そこで、選択可能な複数の冗長度が予め備えられる場合には、設定される可能性のある冗長度のみを用意し、その中から所望の冗長度が決定されるように誤り訂正符号化部及び誤り訂正復号部は構成されてよい。
誤り訂正符号分配部92−1及び92−2は、他のサブキャリアに対して分配された誤り訂正符号を、処理対象であるサブキャリアの受信信号から抽出する。抽出される誤り訂正符号は、他のサブキャリアの主信号に付加される誤り訂正符号の内、所定の冗長度を超える符号部分である。図13に示した一例では、誤り訂正符号分配部92−1は、サブキャリア(SC)2の主信号に付加される符号部分を抽出し、抽出された符号部分をサブキャリア2を処理対象とする誤り訂正符号結合部93−2へバス11−1を介して送信する。また、誤り訂正符号分配部92−2は、サブキャリア(SC)1に付加される符号部分を抽出し、抽出された符号部分をサブキャリア1を処理対象とする誤り訂正符号結合部93−1へバス11−2を介して送信する。このように、誤り訂正符号がサブキャリア間で分配されることで主信号に所望長の誤り訂正符号が付加された送受信信号の冗長度は抑制され、スーパーチャネルの伝送性能は改善される。
誤り訂正符号結合部93−1及び93−2は、処理対象のサブキャリアの主信号に付加される誤り訂正符号の内、所定の冗長度を超える符号部分を受信信号に含まれる誤り訂正符号と結合する。図13に示した一例では、誤り訂正符号結合部93−1は、サブキャリア1の主信号に付加される誤り訂正符号の内、所定の冗長度を超える符号部分を誤り訂正符号分配部92−2から受信する。そして、誤り訂正符号結合部93−1は、受信した符号部分を受信信号に含まれる誤り訂正符号と結合することで、サブキャリア1の受信信号を生成する。同様に、誤り訂正符号結合部93−2は、サブキャリア2の主信号に付加される誤り訂正符号の内、所定の冗長度を超える符号部分を誤り訂正符号分配部92−1から受信する。そして、誤り訂正符号結合部93−2は、受信した符号部分を受信信号に含まれる誤り訂正符号と結合することで、サブキャリア2の受信信号を生成する。誤り訂正符号結合部93−1及び93−2により結合された誤り訂正符号は、スーパーチャネルに束ねられる各サブキャリアの伝送品質に応じた符号長を有する。このため、スーパーチャネルに束ねられる各サブキャリアの伝送品質のばらつきに関わらず、スーパーチャネルの伝送性能は改善される。
誤り訂正復号部94−1及び94−2は、結合された誤り訂正符号を用いて、対応するサブキャリアの受信信号から主信号を復号する。
<実施形態に従った誤り訂正符号化回路及び誤り訂正復号回路の具体的な構成例>
実施形態に従った誤り訂正符号化回路及び誤り訂正復号回路のより具体的な構成例を図14〜図22Bを参照しながら以下に説明する。
<<実施形態に従った誤り訂正符号化回路及び誤り訂正復号回路の第1の構成例>>
まず、第1の構成例として、複数のサブチャネルが束ねられるスーパーチャネルにおいて、特定のサブチャネルの伝送品質の改善を図る回路の構成を図14〜図18を参照しながら説明する。
図14は、実施形態に従った誤り訂正符号化回路の第1の構成例である。図14には、サブキャリア(SC)1及びサブキャリア(SC)2がスーパーチャネルに束ねられる誤り訂正符号化回路の第1の構成例が示されている。誤り訂正符号化回路5´−1は、サブキャリア1に対応する主信号に誤り訂正符号を付加する回路であり、誤り訂正符号化回路5´−2は、サブキャリア2に対応する主信号に誤り訂正符号を付加する回路である。第1の構成例では、サブキャリア1に付加された誤り訂正符号の内、所定の冗長度を超える部分が第2のサブキャリアに分配されるように、誤り訂正符号化回路5´−1及び5´−2は構成される。
図15は、第1の構成例におけるサブキャリア間の冗長度分配の説明図である。図15において、N11及びN21は、所望の符号長の誤り訂正符号が情報ビット(主信号)に付加された送信信号の全ビット長を夫々表す。所望のビット長の誤り訂正符号とは、対応するサブキャリアの光信号が所定の伝送品質が得られる長さの誤り訂正符号を指す。
具体的には、サブキャリア1の信号について所定の伝送品質が得られるように、Kビットの情報ビット(主信号)に(N11-K)ビットの誤り訂正符号が付加される。すなわち、誤り訂正符号化回路5´−1において、符号化回路511−1は、送信信号の冗長度が(N11/K-1)となる誤り訂正符号をKビットの情報ビット(主信号)に付加する。符号化回路511−1は誤り訂正符号化部51´−1の具体的な構成例である。
また、サブキャリア2の光信号について所定の伝送品質が得られるように、Kビットの情報ビット(主信号)に(N21-K)ビットの誤り訂正符号が付加される。すなわち、誤り訂正符号化回路5´−2において、符号化回路511−2は、送信信号の冗長度がN21/K-1となる誤り訂正符号をKビットの情報ビット(主信号)に付加する。符号化回路511−2は誤り訂正符号化部51´−2の具体的な構成例である。
図15において、Nは、各サブキャリアの送受信信号に対する所定のビット長であり、例えば、ビットレートの上昇に応じてスーパーチャネルの伝送品質を所値以上に保つために望ましい長さに決められる。図15に示す一例では、Nは以下の式(5)で定義される。
図15に示す一例では、サブキャリア1の送信信号の全ビット長N11は、各サブキャリアの送受信信号に対して望ましい全ビット長Nよりも長い。一方、サブキャリア2の送信信号の全ビット長N21は、各サブキャリアの送受信信号に対して望ましい全ビット長Nよりも短い。そこで、第1の構成例では、サブキャリア1に付加された(N11-K)の誤り訂正符号の内、各サブキャリアの送受信信号に対して望ましい所定の冗長度(N/K-1)を超える部分が第2のサブキャリアに分配される。
具体的には、誤り訂正符号化回路5´−1において、分配器521−1は、(N11-K)ビットの誤り訂正符号の内、所定の冗長度(N/K-1)を超える部分(N11-N)を誤り訂正符号化回路5´−2へバス10´−1を介して分配する。分配器521−1は誤り訂正符号分配部52´−1の具体的な構成例である。
また、誤り訂正符号化回路5´−2において、結合器531−2は、サブキャリア1に対して付加された誤り訂正符号の内、分配器521−1により分配された部分(N11-N)を、サブキャリア2に対して付加された誤り訂正符号と結合する。結合器531−2は誤り訂正符号結合部53´−2の具体的な構成例である。
上述のように誤り訂正符号が分配されることで、サブキャリア1及びサブキャリア2の主信号に夫々付加される誤り訂正符号の符号長は(N-K)になる。この結果、主信号に所望長の誤り訂正符号が付加された場合であっても各サブチャネルの送受信信号の冗長度は抑制され、スーパーチャネルの伝送性能は改善される。
なお、図14に示す構成例では、バス10´−1のビット幅は、分配されるビット数(N11-N)に応じて割り振られる。こうしたビット幅の割り振りによって、スーパーチャネルに束ねられる各サブキャリアで誤り訂正符号の所望の符号長が異なることに起因して発生する動作クロックの乗せ替えが不要になる。
また、実施形態に従った誤り訂正符号化回路の具体的な構成によっては、First-In First-Out (FIFO)バッファ等を用いて動作クロックの載せ替えが行われてもよい。図16は、動作クロックの載せ替えを実行する誤り訂正符号化回路の構成例である。図16の構成例では、誤り訂正符号化回路5´−1及び5´−2は、第1のFIFOバッファ54´−1及び54´−2、並びに第2のFIFOバッファ55´−1及び55´−2を含む。第1のFIFOバッファ54´−1及び54´−2は、動作周波数1で処理される主信号(Kビットの情報ビット)から、所望の符号長の誤り訂正符号が付加された送信信号(N11及びN21ビットの送信信号)が生成及び出力される動作周波数2に変換するための回路である。第2のFIFOバッファ55´−1及び55´−2は、動作周波数2で処理される送信信号から、所定の冗長度を超える誤り訂正符号の部分がサブキャリア間で分配された送信信号(Nビットの送信信号)が生成及び出力される動作周波数3に変換するための回路である。図16に示した一例では、動作周波数1、動作周波数、及び動作周波数3は、次の式(6)で示される関係を有する。
図16に示したような構成によれば、バス10´−1のビット幅は、サブキャリア間で分配されるビット数に応じて割り振られなくてもよい。
図17は、実施形態に従った誤り訂正復号回路の第1の構成例である。図17において、誤り訂正復号回路9´−1及び9´−2は、誤り訂正符号化回路5´−1及び5´−2に対向する回路である。すなわち、誤り訂正復号回路9´−1及び9´−2は、サブキャリア1に付加された所望長の誤り訂正符号の内、所定の冗長度を超える部分(N11-N)がサブキャリア2に分配された受信信号(Nビットの受信信号)から、対応する主信号を夫々復号する。
具体的には、誤り訂正復号回路9´−2において、分配器921−2は、Nビットの受信信号の内、処理対象であるサブキャリア2の信号の符号長N21を超える誤り訂正符号の部分(N-N21)を誤り訂正復号回路9´−1へバス11´−2を介して分配する。分配器921−2は、誤り訂正符号分配部92´−2の具体的な構成例である。図15及び式(5)から明らかなように、分配器921−2により分配される誤り訂正符号の部分(N-N21)は、分配器521−1(図14)により分配された誤り訂正符号の部分(N11-N)と同じである。復号回路941−2は、分配器921−2から出力されたN21ビットの受信信号に含まれる(N21-K)ビットの誤り訂正符号を用いてKビットの主信号を復号する。復号回路941−2は、誤り訂正復号部94´−2の具体的な構成例である。
また、誤り訂正復号回路9´−1において、結合器931−1は、誤り訂正復号回路9´−2から分配された誤り訂正符号の部分(N-N21)をNビットの受信信号と結合することで、N11ビットの受信信号を生成する。結合器931−1は、誤り訂正符号結合部93´−1の具体的な構成例である。復号回路941−1は、結合器931−1から出力されたN11ビットの信号に含まれる(N11-K)ビットの誤り訂正符号を用いてKビットの主信号を復号する。復号回路941−1は、誤り訂正復号部94´−1の具体的な構成例である。
上述のように誤り訂正符号が分配されることで、各サブチャネルの伝送品質を所値以上に保ちながら、各サブキャリアの送信信号の全ビット長を、スーパーチャネルの伝送品質が所値以上となる長さに抑えることができる。
なお、図17に示す構成例では、バス11´−2のビット幅は、分配されるビット数(N-N21)に応じて割り振られる。こうしたビット幅の割り振りによって、スーパーチャネルに束ねられる各サブキャリアで誤り訂正符号の所望の符号長が異なることに起因して発生する動作クロックの乗せ替えが不要になる。
また、実施形態に従った誤り訂正復号回路の具体的な構成によっては、FIFOバッファ等を用いて動作クロックの載せ替えが行われてもよい。図18は、動作クロックの載せ替えを実行する誤り訂正復号回路の構成例である。図18の構成例では、誤り訂正復号回路9´−1及び9´−2は、第3のFIFOバッファ95´−1及び95´−2、並びに第4のFIFOバッファ96´−1及び96´−2を含む。第3のFIFOバッファ95´−1及び95´−2は、動作周波数3で処理される受信信号(Nビットの受信信号)から、所望の符号長の誤り訂正符号が付加された送信信号(N11及びN21ビットの受信信号)が生成及び出力される動作周波数2に変換するための回路である。第4のFIFOバッファ96´−1及び96´−2は、動作周波数2で処理される受信信号から主信号(Kビットの情報ビット)が復号及び出力される動作周波数3に変換するための回路である。動作周波数1、動作周波数、及び動作周波数3は、前述した式(6)で示される関係を有する。図18に示したような構成によれば、バス11´−2のビット幅は、サブキャリア間で分配されるビット数に応じて割り振られなくてもよい。
<<実施形態に従った誤り訂正符号化回路及び誤り訂正復号回路の第2の構成例>>
次に、第2の構成例として、スーパーチャネルに束ねられる各サブチャネルの伝送品質を選択的に改善可能な回路の構成を図19及び図20を参照しながら説明する。
図19は、実施形態に従った誤り訂正符号化回路の第2の構成例である。図19に示す誤り訂正符号化回路5´´−1及び5´´−2の構成部品の内、図14に示した誤り訂正符号化回路5´−1及び5´−2の構成部品と同じ構成部品には、同じ参照符号が付されている。
図14及び図15を参照しながら前述したように、第1の構成例では、伝送品質を所値以上に改善するためにサブキャリア1に対して付加された所望の符号長の誤り訂正符号の内、所定の冗長度を超える部分がサブキャリア2に分配される。第2の構成例では、第1の構成例と同様の処理に加えて、伝送品質を所値以上に改善するためにサブキャリア2に対して付加された所望の符号長の誤り訂正符号の内、所定の冗長度を超える部分がサブキャリア1に分配される。また、第2の構成例では、サブキャリア1及びサブキャリア2の送信信号の符号長を共にNとし、各送信信号の冗長度が等しくなるように更に構成される。前述したように、Nは、各サブキャリアの送受信信号に対する所定のビット長であり、例えば、ビットレートの上昇に応じてスーパーチャネルの伝送品質を所値以上に保つために望ましい長さに決められる。図19に示した第2の構成例では、Nは次の式(7)で定義される。
具体的には、誤り訂正符号化回路5´´−1は、誤り訂正符号化回路5´−1(図14)と同様の構成部品を含む。また、誤り訂正符号化回路5´´−2は、誤り訂正符号化回路5´−2(図14)と同様の構成部品を含む。そこで、誤り訂正符号化回路5´´−1及び5´´−2は、誤り訂正符号化回路5´−1及び5´−2と同様の処理動作を行う。すなわち、誤り訂正符号化回路5´´−1及び5´´−2は、サブキャリア1に対して付加された所望の符号長の誤り訂正符号の内、所定の冗長度を超える部分をサブキャリア2に分配することで、Nビットの送信信号を夫々出力する。
例えば、サブキャリア1に対する伝送品質を改善するために、符号化回路511−1は、送信信号の冗長度(N11/K-1)が25.5 %となる誤り訂正符号を主信号に付加するように構成される。また、所定の冗長度(N/K-1)が20.5 %である場合、分配器521−1及び結合器531−2は、サブキャリア1に対して付加された誤り訂正符号の内、所定の冗長度20.5 %を超える部分5.5 %がサブキャリア2に分配されるように構成される。そして、分配された冗長度5.5 %の部分が結合された後のサブキャリア2の送信信号の冗長度が20.5 %以内に収まるように、符号化回路511−2は、送信信号の冗長度(N21/K-1)が15.5 %となる誤り訂正符号を主信号に付加するように構成される。
また、サブキャリア2に対して付加された所望の符号長の誤り訂正符号の内、所定の冗長度を超える部分をサブキャリア1に分配するために、誤り訂正符号化回路5´´−2は、符号化回路512−2及び分配器521−2を更に含む。誤り訂正符号化回路5´´−1は、符号化回路512−1及び結合器531−1を更に含む。符号化回路512−2は誤り訂正符号化部51´´−2の具体的な構成例であり、分配器521−2は誤り訂正符号分配部52´´−2の具体的な構成例である。符号化回路512−1は誤り訂正符号化部51´´−1の具体的な構成例であり、結合器531−1は誤り訂正符号結合部53´´−1の具体的な構成例である。
例えば、サブキャリア2に対する伝送品質を改善するために、符号化回路512−2は、送信信号の冗長度(N22/K-1)が25.5 %となる誤り訂正符号を主信号に付加するように構成される。また、所定の冗長度(N/K-1)が20.5 %である場合、分配器521−2及び結合器531−1は、サブキャリア2に対して付加された誤り訂正符号の内、所定の冗長度20.5 %を超える部分5.5 %がサブキャリア1に分配されるように構成される。そして、分配された冗長度5.5 %の部分が結合された後のサブキャリア1の送信信号の冗長度が20.5 %以内に収まるように、符号化回路512−1は、送信信号の冗長度(N12/K-1)が15.5 %となる誤り訂正符号を主信号に付加するように構成される。
更に、サブキャリア1及びサブキャリア2の各送信信号の冗長度を等しくするために、誤り訂正符号化回路5´´−1は符号化回路513−1を更に含み、誤り訂正符号化回路5´´−2は符号化回路513−2を更に含む。符号化回路513−1は誤り訂正符号化部51´´−1の具体的な構成例であり、符号化回路513−2は誤り訂正符号化部51´´−2の具体的な構成例である。
例えば、所定の冗長度(N/K-1)が20.5 %であると仮定すると、符号化回路513−1は、送信信号の冗長度(N/K-1)が20.5 %となる誤り訂正符号を主信号に付加するように構成される。また、符号化回路513−2が、送信信号の冗長度(N/K-1)が20.5 %となる誤り訂正符号を主信号に付加するように構成される。このケースでは、主信号に誤り訂正符号が付加された送信信号の符号長は、Nであるため、サブキャリア1及びサブキャリア2の間で誤り訂正符号の分配は実施されない。
そして、上述したようなサブキャリア1及びサブキャリア2に対して設定可能な複数の冗長度の中から特定の冗長度を選択するために、誤り訂正符号化回路5´´−1は、第1のセレクタ(selector、SEL)56´´−1及び第2のセレクタ(SEL)57´´−1を更に含む。また、誤り訂正符号化回路5´´−2は、第1のセレクタ(SEL)56´´−2及び第2のセレクタ(SEL)57´´−2を更に含む。
具体的には、サブキャリア1に対する伝送品質を改善する場合、第1のセレクタ56´´−1は、主信号が符号化回路511−1へ入力される信号線を選択する。第2のセレクタ57´´−1は、分配器521−1の出力信号が誤り訂正符号化回路5´´−1外へ出力される信号線を選択する。また、第1のセレクタ56´´−2は、主信号が符号化回路511−2へ入力される信号線を選択する。第2のセレクタ57´´−2は、結合器531−2の出力信号が誤り訂正符号化回路5´−2外へ出力される信号線を選択する。
また、サブキャリア2に対する伝送品質を改善する場合、第1のセレクタ56´´−1は、主信号が符号化回路512−1へ入力される信号線を選択する。第2のセレクタ57´´−1は、結合器531−1の出力信号が誤り訂正符号化回路5´´−1外へ出力される信号線を選択する。また、第1のセレクタ56´´−2は、主信号が符号化回路512−2へ入力される信号線を選択する。第2のセレクタ57´´−2は、分配器521−2の出力信号が誤り訂正符号化回路5´´−2外へ出力される信号線を選択する。
更に、サブキャリア1及びサブキャリア2の各送信信号の冗長度を等しくする場合、第1のセレクタ56´´−1は、主信号が符号化回路513−1へ入力される信号線を選択する。第2のセレクタ57´´−1は、符号化回路513−1の出力信号が誤り訂正符号化回路5´−1外へ出力される信号線を選択する。また、第1のセレクタ56´´−2は、主信号が符号化回路513−2へ入力される信号線を選択する。第2のセレクタ57´´−2は、符号化回路513−2の出力信号が誤り訂正符号化回路5´´−2外へ出力される信号線を選択する。
第1のセレクタ56´´−1及び56´´−2、並びに第2のセレクタ57´´−1及び57´´−2による上述の選択は、実施形態に従った光伝送装置に含まれる制御回路(例えば、図2の制御回路21(1)及び21(2))からの指示に従って行われてよい。
第2の構成例に従った誤り訂正符号化回路によれば、スーパーチャネルに束ねられる各サブチャネルの伝送品質を改善しつつ、スーパーチャネルの伝送性能を所値以上に維持することができる。また、2の構成例に従った誤り訂正符号化回路によれば、スーパーチャネルに束ねられる各サブチャネルに対する冗長度を等しくすることができる。
なお、図19に示す構成例では、バス10´−1及び10´´−2の各ビット幅は、分配されるビット数(N11-N)及び(N22-N)に応じて夫々割り振られる。ただし、実施形態に従った誤り訂正符号化回路の具体的な構成によっては、FIFOバッファ等を用いて動作クロックの載せ替えが行われてもよい。この場合、バス10´−1及び10´´−2の各ビット幅は、分配されるビット数(N11-N)及び(N22-N)に応じて割り振られなくてもよい。
図20は、実施形態に従った誤り訂正復号回路の第2の構成例である。図20に示す誤り訂正復号回路9´´−1及び9´´−2の構成部品の内、図17に示した誤り訂正復号回路9´−1及び9´−2の構成部品と同じ構成部品には、同じ参照符号が付されている。誤り訂正復号回路9´´−1及び9´´−2は、図19に示した誤り訂正符号化回路5´´−1及び5´´−2に対向する回路である。
誤り訂正復号回路9´´−1及び9´´−2は、誤り訂正復号回路9´−1及び9´−2の構成部品と同様の構成部品を含む。そこで、誤り訂正復号回路9´´−1及び9´´−2は、誤り訂正復号回路9´−1及び9´−2と同様の処理動作を行う。すなわち、誤り訂正復号回路9´´−1及び9´´−2は、サブキャリア1に付加された所望長の誤り訂正符号の内、所定の冗長度を超える部分(N11-N)がサブキャリア2に分配された受信信号(Nビットの受信信号)から、対応する主信号を夫々復号する。
また、誤り訂正復号回路9´´−1は、分配器921−1及び復号回路942−1を更に含む。誤り訂正復号回路9´´−2は、結合器931−2及び復号回路942−2を更に含む。分配器921−1は、誤り訂正符号分配部92´´―1の具体的な構成例であり、復号回路942−1は、誤り訂正符号復号部94´´―1の具体的な構成例である。結合器931−2は、誤り訂正符号結合部93´´―2の具体的な構成例であり、復号回路942−2は、誤り訂正符号復号部94´´―2の具体的な構成例である。分配器921−1、復号回路942−1、結合器931−2、及び復号回路942−2によって、サブキャリア2に対して付加された所望の符号長の誤り訂正符号の内、所定の冗長度を超える部分がサブキャリア1に分配された受信信号(Nビットの受信信号)から、対応する主信号を夫々復号する。
具体的には、分配器921−1は、Nビットの受信信号の内、処理対象であるサブキャリア1の信号の符号長N12を超える誤り訂正符号の部分(N-N12)を誤り訂正復号回路9´´−2へバス11´´−1を介して分配する。式(7)から明らかなように、分配器921−1により分配される誤り訂正符号の部分(N-N12)は、分配器521−2(図19)により分配された誤り訂正符号の部分(N22-N)と同じである。復号回路942−1は、分配器921−1から出力されたN12ビットの信号に含まれる(N12-K)ビットの誤り訂正符号を用いてKビットの主信号を復号する。
また、結合器931−2は、誤り訂正復号回路9´´−1から分配された誤り訂正符号の部分(N-N12)をNビットの受信信号と結合し、N22ビットの信号を生成する。復号回路942−1は、結合器931−2から出力されたN22ビットの信号に含まれる(N22-K)ビットの誤り訂正符号を用いてKビットの主信号を復号する。
更に、誤り訂正復号回路9´´−1は復号回路943−1を更に含み、誤り訂正復号回路9´´−2は復号回路943−2を更に含む。復号回路943−1は誤り訂正符号復号部94´´―1の具体的な構成例であり、復号回路943−2は誤り訂正符号復号部94´´―2の具体的な構成例である。復号回路943−1及び943−2によって、Nビットの受信信号から対応する主信号を復号する。
そして、上述したようなサブキャリア1及びサブキャリア2に対して設定可能な複数の冗長度の中から特定の冗長度を選択するために、誤り訂正復号回路9´´−1は、第3のセレクタ(SEL)97´´−1及び第4のセレクタ(SEL)98´´−1を更に含む。また、誤り訂正復号回路9´´−2は、第3のセレクタ(SEL)97´´−2及び第5のセレクタ(SEL)98´´−2を更に含む。
具体的には、サブキャリア1に対する伝送品質を改善する場合、第3のセレクタ97´´−1は、受信信号が結合器931−1へ入力される信号線を選択する。第4のセレクタ98´´−1は、復号回路941−1の出力信号が誤り訂正復号回路9´´−1外へ出力される信号線を選択する。また、第3のセレクタ97´´−2は、受信信号が分配器921−2へ入力される信号線を選択する。第4のセレクタ98´´−2は、復号回路941−2の出力信号が誤り訂正復号回路9´´−2外へ出力される信号線を選択する。
また、サブキャリア2に対する伝送品質を改善する場合、第3のセレクタ97´´−1は、受信信号が分配器921−1へ入力される信号線を選択する。第4のセレクタ98´´−1は、復号回路942−1の出力信号が誤り訂正復号回路9´´−1外へ出力される信号線を選択する。また、第3のセレクタ97´´−2は、受信信号が結合器931−2へ入力される信号線を選択する。第4のセレクタ98´´−2は、復号回路942−2の出力信号が誤り訂正復号回路9´´−2外へ出力される信号線を選択する。
更に、サブキャリア1及びサブキャリア2の各送信信号の冗長度を等しくする場合、第3のセレクタ97´´−1は、受信信号が復号回路943−1へ入力される信号線を選択する。第4のセレクタ98´´−1は、復号回路943−1の出力信号が誤り訂正復号回路9´´−1外へ出力される信号線を選択する。また、第3のセレクタ97´´−2は、受信信号が復号回路943−2へ入力される信号線を選択する。第4のセレクタ98´´−1は、復号回路943−2の出力信号が誤り訂正復号回路9´´−2外へ出力される信号線を選択する。
第3のセレクタ97´´−1及び97´´−2、並びに第4のセレクタ98´´−1及び98´´−2による上述の選択は、実施形態に従った光伝送装置に含まれる制御回路(例えば、図2の制御回路21(1)及び21(2))からの指示に従って行われてよい。
第2の構成例に従った誤り訂正復号回路によれば、スーパーチャネルに束ねられる各サブチャネルの伝送品質を改善しつつ、スーパーチャネルの伝送性能を所値以上に維持することができる。また、第2の構成例に従った誤り訂正復号回路によれば、スーパーチャネルに束ねられる各サブチャネルに対する冗長度を等しくすることができる。
なお、図20に示す構成例では、バス11´−2及び11´´−1の各ビット幅は、分配されるビット数(N-N21)及び(N-N12)に応じて夫々割り振られる。式(7)から明らかなように、ビット数(N-N21)とビット数(N11-N)とは同じである。ビット数(N-N12)とビット数(N22-N)とは同じである。
ただし、実施形態に従った誤り訂正復号回路の具体的な構成によっては、FIFOバッファ等を用いて動作クロックの載せ替えが行われてもよい。この場合、バス11´−2及び11´´−1の各ビット幅は、分配されるビット数(N-N21)及び(N-N12)に応じて割り振られなくてもよい。
<<実施形態に従った誤り訂正符号化回路及び誤り訂正復号回路の第3の構成例>>
最後に、第3の構成例として、スーパーチャネルに束ねられる各サブチャネルに対して、複数の伝送品質に応じた複数の冗長度の中から所望の伝送品質に応じた冗長度を選択可能な回路の構成を図21A〜図22Bを参照しながら説明する。
図21A及び図21Bは、実施形態に従った誤り訂正符号化回路の第3の構成例である。図21A及び図21Bに示す誤り訂正符号化回路5´´´−1及び5´´´−2の構成部品の内、図19に示した誤り訂正符号化回路5´´−1及び5´´−2の構成部品と同じ構成部品には、同じ参照符号が付されている。
図19を参照しながら前述したように、第2の構成例では、サブキャリア1に対する伝送品質を改善する場合、冗長度が(N11/K-1)である符号化回路511−1に主信号が入力される信号線が選択される。また、サブキャリア2に対する伝送品質を改善する場合、冗長度が(N22/K-1)である符号化回路512−2に主信号が入力される信号線が選択される。このように、第2の構成例では、あるサブキャリアに対する伝送品質を改善する場合に選択可能な誤り訂正信号の冗長度の数は1つである。第3の構成例では、誤り訂正符号化回路5´´´−1及び5´´´−2は、あるサブキャリアに対する伝送品質を改善する場合に、予め設定された複数の冗長度の中から所望の冗長度を選択するように構成される。
具体的には、サブキャリア1に対する伝送品質を改善するために、誤り訂正符号化回路5´´´−1は、冗長度が(N11/K-1)である符号化回路511−1及び分配器521−1を含む。また、誤り訂正符号化回路5´´´−2は、冗長度が(N21/K-1)である符号化回路511−2及び結合器531−2を含む。これらの構成部品は誤り訂正符号化回路5´´−1及び5´´−2の構成部品と同じである。
また、サブキャリア1に対する伝送品質を改善する場合に複数の冗長度の中から所望の冗長度を選択可能にするために、誤り訂正符号化回路5´´´−1は、冗長度が(N13/K-1)である符号化回路514−1及び分配器522−1を更に含む。また、誤り訂正符号化回路5´´´−2は、冗長度が(N23/K-1)である符号化回路514−2及び結合器532−2を更に含む。冗長度が異なる点を除いて、符号化回路514−1、分配器522−1、符号化回路514−2、及び結合器532−2の処理動作は、符号化回路511−1、分配器521−1、符号化回路511−2、及び結合器531−2の処理動作と同様である。
例えば、サブキャリア1に対する伝送品質を改善するために符号化回路511−1の冗長度(N11/K-1)は25.5 %に設定され、所定の冗長度(N/K-1)として設定された20.5 %に対応して符号化回路511−2の冗長度(N21/K-1)は15.5 %に設定されたと仮定する。この場合、例えば、サブキャリア1に対する伝送品質をより改善するために符号化回路514−1の冗長度(N13/K-1)は35.5 %に設定され、所定の冗長度(N/K-1)として設定された20.5 %に対応して符号化回路514−2の冗長度(N23/K-1)は5.5 %に設定される。
一方、サブキャリア2に対する伝送品質を改善するために、誤り訂正符号化回路5´´´−2は、冗長度が(N22/K-1)である符号化回路512−2及び分配器521−2を含む。また、誤り訂正符号化回路5´´´−1は、冗長度が(N12/K-1)である符号化回路5121−2及び結合器531−1を含む。これらの構成部品は誤り訂正符号化回路5´´−1及び5´´−2の構成部品と同じである。
また、サブキャリア2に対する伝送品質を改善する場合に複数の冗長度の中から所望の冗長度を選択可能にするために、誤り訂正符号化回路5´´´−2は、冗長度が(N24/K-1)である符号化回路515−2及び分配器522−2を更に含む。また、誤り訂正符号化回路5´´´−1は、冗長度が(N14/K-1)である符号化回路515−2及び結合器532−1を更に含む。冗長度が異なる点を除いて、符号化回路515−2、分配器522−2、符号化回路515−1、及び結合器532−1の処理動作は、符号化回路512−2、分配器521−1、符号化回路512−1、及び結合器531−1の処理動作と同様である。
例えば、サブキャリア2に対する伝送品質を改善するために符号化回路512−2の冗長度(N22/K-1)は25.5 %に設定され、所定の冗長度(N/K-1)として設定された20.5 %に対応して符号化回路512−1の冗長度(N12/K-1)は15.5 %に設定されたと仮定する。この場合、例えば、サブキャリア2に対する伝送品質をより改善するために符号化回路515−2の冗長度(N24/K-1)は35.5 %に設定され、所定の冗長度(N/K-1) として設定された20.5 %に対応して符号化回路515−1の冗長度(N14/K-1)は5.5 %に設定される。
更に、サブキャリア1及びサブキャリア2の各送信信号の冗長度を等しくするために、誤り訂正符号化回路5´´−1は符号化回路513−1を更に含み、誤り訂正符号化回路5´´−2は符号化回路513−2を更に含む。これらの構成部品は誤り訂正符号化回路5´´−1及び5´´−2の構成部品と同じである。
図21A及び図21Bに示した第3の構成例では、Nは以下の式(8)により定義される。
そして、上述したようなサブキャリア1及びサブキャリア2に対して設定された複数の冗長度の中から任意の冗長度を選択するために、誤り訂正符号化回路5´´´−1は、第1のセレクタ(SEL)56´´´−1及び第2のセレクタ(SEL)57´´´−1を更に含む。また、誤り訂正符号化回路5´´´−2は、第1のセレクタ(SEL)56´´´−2及び第2のセレクタ(SEL)57´´´−2を更に含む。第1のセレクタ56´´´−1及び56´´´−2、並びに第2のセレクタ57´´´−1及び57´´´−2による上述の選択は、実施形態に従った光伝送装置に含まれる制御回路(例えば、図2の制御回路21(1)及び21(2))からの指示に従って行われてよい。
第3の構成例に従った誤り訂正符号化回路によれば、スーパーチャネルに束ねられる各サブチャネルの伝送品質を改善する場合に、複数の伝送品質に応じた複数の冗長度の中から所望の伝送品質に応じた冗長度を選択することができる。
なお、図21A及び図21Bに示す構成例では、バス10´−1、10´´−2、10´´´−1、及び10´´´−2の各ビット幅は、分配されるビット数(N11-N)、(N22-N)、(N13-N)、及び(N24-N)に応じて夫々割り振られる。ただし、実施形態に従った誤り訂正符号化回路の具体的な構成によっては、FIFOバッファ等を用いて動作クロックの載せ替えが行われてもよい。この場合、バス10´−1、10´´−2、10´´´−1、及び10´´´−2の各ビット幅は、分配されるビット数(N11-N)、(N22-N)、(N13-N)、及び(N24-N)に応じて割り振られなくてもよい。
図22A及び図22Bは、実施形態に従った誤り訂正復号回路の第3の構成例である。図22A及び図22Bに示す誤り訂正復号回路9´´´−1及び9´´´−2の構成部品の内、図20に示した誤り訂正復号回路9´´−1及び9´´−2の構成部品と同じ構成部品には、同じ参照符号が付されている。誤り訂正復号回路9´´´−1及び9´´´−2は、図21A及び図21Bに示した誤り訂正符号化回路5´´´−1及び5´´´−2に対向する回路である。
誤り訂正復号回路9´´´−1及び9´´´−2は、誤り訂正復号回路9´´−1及び9´´−2の構成部品と同様の構成部品を含む。そこで、誤り訂正復号回路9´´´−1及び9´´−2は、誤り訂正復号回路9´´−1及び9´´−2と同様の処理動作を行う。また、第3の構成例では、誤り訂正復号回路9´´´−1及び9´´´−2は、複数の伝送品質に応じた複数の冗長度の中から選択された所望の冗長度を有する各サブキャリアの受信信号から主信号を復号するように構成される。
具体的には、冗長度が(N11/K-1)に設定されたサブキャリア1の受信信号を再生し、再生された受信信号から主信号を復号するために、誤り訂正復号回路9´´´−1は、結合器931−1及び復号回路941−1を含む。また、冗長度が(N21/K-1)に設定されたサブキャリア2の受信信号を再生し、再生された受信信号から主信号を復号するために、誤り訂正復号回路9´´´−2は、分配器921−1及び復号回路941−2を含む。これらの構成部品は誤り訂正復号回路9´´−1及び9´´−2の構成部品と同じである。
また、冗長度が(N13/K-1)に設定されたサブキャリア1の受信信号を再生し、再生された受信信号から主信号を復号するために、誤り訂正復号回路9´´´−1は、結合器932−1及び復号回路944−1を含む。また、冗長度が(N23/K-1)に設定されたサブキャリア2の受信信号を再生し、再生された受信信号から主信号を復号するために、誤り訂正復号回路9´´´−2は、分配器922−2及び復号回路944−2を含む。
一方、冗長度が(N22/K-1)に設定されたサブキャリア2の受信信号を再生し、再生された受信信号から主信号を復号するために、誤り訂正復号回路9´´´−2は、結合器931−2及び復号回路942−2を含む。また、冗長度が(N12/K-1)に設定されたサブキャリア1の受信信号を再生し、再生された受信信号から主信号を復号するために、誤り訂正復号回路9´´´−1は、分配器921−1及び復号回路942−1を含む。これらの構成部品は誤り訂正復号回路9´´−1及び9´´−2の構成部品と同じである。
また、冗長度が(N24/K-1)に設定されたサブキャリア2の受信信号を再生し、再生された受信信号から主信号を復号するために、誤り訂正復号回路9´´´−2は、結合器932−2及び復号回路945−2を含む。また、冗長度が(N14/K-1)に設定されたサブキャリア1の受信信号を再生し、再生された受信信号から主信号を復号するために、誤り訂正復号回路9´´´−1は、分配器922−1及び復号回路945−2を含む。
更に、サブキャリア1及びサブキャリア2に対する冗長度を等しく設定された受信信号から主信号を復号するために、誤り訂正復号回路9´´´−1は復号回路943−1を更に含む。また、誤り訂正復号回路9´´´−2は復号回路943−2を更に含む。これらの構成部品は誤り訂正復号回路9´´−1及び9´´−2の構成部品と同じである。
そして、上述したようなサブキャリア1及びサブキャリア2に対して設定された複数の冗長度の中から任意の冗長度を選択するために、誤り訂正復号回路9´´´−1は、第3のセレクタ(SEL)97´´´−1及び第4のセレクタ(SEL)98´´´−1を更に含む。また、誤り訂正復号回路9´´´−2は、第3のセレクタ(SEL)97´´´−2及び第4のセレクタ(SEL)98´´´−2を更に含む。第3のセレクタ97´´´−1及び97´´´−2、並びに第4のセレクタ98´´´−1及び98´´´−2による上述の選択は、実施形態に従った光伝送装置に含まれる制御回路(例えば、図2の制御回路21(1)及び21(2))からの指示に従って行われてよい。
第3の構成例に従った誤り訂正復号回路によれば、スーパーチャネルに束ねられる各サブチャネルの伝送品質を改善する場合に、複数の伝送品質に応じた複数の冗長度の中から所望の伝送品質に応じた冗長度を選択することができる。
なお、図22A及び図22Bに示す構成例では、バス11´−2、11´´−1、11´´´−1、及び11´´´−2の各ビット幅は、分配されるビット数(N-N21)、(N-N12)、(N-N14)、及び(N-N23)に応じて夫々割り振られる。式(8)から明らかなように、ビット数(N-N21)とビット数(N11-N)とは同じである。ビット数(N-N12)とビット数(N22-N)とは同じである。ビット数(N-N14)とビット数(N24-N)とは同じである。ビット数(N-N23)とビット数(N13-N)とは同じである。
ただし、実施形態に従った誤り訂正符号化回路の具体的な構成によっては、FIFOバッファ等を用いて動作クロックの載せ替えが行われてもよい。この場合、バス11´−2、11´´−1、11´´´−1、及び11´´´−2の各ビット幅は、分配されるビット数(N-N21)、(N-N12)、(N-N14)、及び(N-N23)に応じて割り振られなくてよい。
<実施形態に従った光伝送装置が実行する伝送方法の一例>
実施形態に従った光伝送装置が実行する伝送方法の一例を説明する。一例として、図1に示した光伝送システム1において、スーパーチャネルの光信号がOADMノード2−1からOADMノード2−2へ伝送されるケースを説明する。すなわち、OADMノード2−1を送信側の光伝送装置2(図2)とし、OADMノード2−2を受信側の光伝送装置2として伝送方法の一例を説明する。図1においてOADMノード2−1からOADMノード2−2への信号の伝送方向は、図2に関して前述した第1の伝送方向に対応する。また、OADMノード2−2からOADMノード2−1へ信号の伝送方向は、図2に関して前述した第2伝送方向に対応する。
実施形態に従った誤り訂正符号化回路及び誤り訂正復号回路の第2及び第3の構成例において前述したように、実施形態に従った光伝送装置では、各サブキャリアの信号の冗長度は、予め備えられた複数の冗長度の中から選択されてよい。こうした冗長度の選択は、実施形態に従った光伝送システムの運用開始前に実施されてよく、光伝送システムの運用中に実施されてもよい。
<<光伝送システムの運用開始前に実行される伝送方法の一例>>
まず、光伝送システムの運用開始前に実行される伝送方法の一例として、実施形態に従った光伝送装置が実行する冗長度設定処理を図23〜図27を参照しながら説明する。
図23は、運用開始前に実行される冗長度設定処理の第1例のフロー図である。冗長度設定処理の第1例では、一連の冗長度設定処理全体の制御を受信側の光伝送装置2(OADMノード2−2)の制御回路21(1)が受け持つ。
一連の冗長度設定処理が開始されると(ステップS1001)、受信側の光伝送装置2の制御回路21(1)は、送信側の光伝送装置2の制御回路21(1)に次のような指示を含む制御信号を送信する(ステップS1002)。すなわち、受信側の光伝送装置2の制御回路21(1)は、各サブキャリア(SC)の主信号として既知信号を用いたスーパーチャネルの光信号を送信する指示を含む制御信号を第1の制御信号送受信器32(1)及び第2の制御信号送受信器33(2)を介して送信側の光伝送装置2の制御回路21(1)へ送信する。
送信側の光伝送装置の制御装置21(1)は、受信側の光伝送装置2の制御回路21(1)から送信された制御信号を光アッテネータ22(2)、第1の制御信号送受信器32(2)、及び第2の制御信号送受信器33(1)を介して受信する。制御回路21(1)は、制御信号に含まれる指示に従って、既知信号を用いたサブキャリア信号を送信するように、トランスポンダ27(A)−1−1〜27(A)−n−mに指示する。トランスポンダ27(A)−1−1〜27(A)−n−mは、対応するサブキャリアで既知信号を送信する。トランスポンダ27(A)−1−1〜27(A)−n−mから送信された既知信号は、光カプラ28(1)−1〜28(1)−n、光アンプ29(1)−1〜29(1)−n、及び光挿入スイッチ30(1)を経て、スーパーチャネルの光信号の形式で送信される。
送信側の光伝送装置2から送信された各サブキャリアの既知信号は、光アッテネータ22(1)、プリアンプ23(1)、光分岐スイッチ24(1)、光アンプ25(1)−1〜25(1)−n、光カプラ26(1)−1〜26(1)−nを経て、トランスポンダ27(B)−1−1〜27(B)−n−mに受信される。トランスポンダ27(B)−1−1〜27(B)−n−mは、受信信号処理回路279(図5)の誤り訂正復号回路9内に伝送品質測定部(図13)を夫々含む。トランスポンダ27(B)−1−1〜27(B)−n−m内の各伝送品質測定部は、対応するサブキャリアの既知信号のQ値を測定する(ステップS1003)。Q値は、伝送品質の一例である。また、伝送品質測定部により測定されるQ値は、誤り訂正符号が付加される前の既知信号のQ値である。トランスポンダ27(B)−1−1〜27(B)−n−mの各伝送品質測定部により測定されたQ値は、制御回路21(1)に送信される。
受信側の光伝送装置2の制御回路21(1)は、トランスポンダ27(B)−1−1〜27(B)−n−mの各伝送品質測定部により測定されたQ値を受信する。制御回路21(1)は、受信されたQ値を用いて各サブキャリアに対する冗長度の配分を決定する(ステップS1004)。ステップS1004で実行される冗長度配分処理の一例を図24を参照しながら説明する。
図24は、実施形態に従った冗長度配分処理の例示的なフロー図である。一連の冗長度配分処理が開始されると(ステップS2001)、制御回路21(1)は、スーパーチャネルに束ねられる各サブキャリアにおいて測定されたQ値から、各サブキャリアの信号に対する所望の冗長度を夫々取得する(ステップS2002)。
例えば、制御回路21(1)は、図25に示すような冗長度・伝送品質対応テーブル211を予め記憶する。図25は、実施形態に従った冗長度・伝送品質対応テーブルの例図である。冗長度・伝送品質対応表211には、サブキャリアの信号に与えられる冗長度とQ値閾値との対応関係が冗長度毎に記録される。Q値閾値は、当該冗長度が与えられたサブキャリアの信号が正しく復号されるために最低限必要なQ値を表す。制御回路21(1)は、測定されたサブキャリアの既知信号のQ値と冗長度・伝送品質対応テーブル211に記録されたQ値閾値とを次の式(9)を用いて比較する。そして、制御回路21(1)は、式(9)を満足するQ値閾値の中で値が最も大きなQ値閾値に対応する冗長度を冗長度・伝送品質対応テーブル211から取得する。
式(9)中のαは、経年劣化や光レベル調整誤差等を含む伝送マージンであり、例えば2.0 dBである。
制御回路21(1)は、各サブキャリアについて夫々取得された冗長度の平均値を算出する。そして、制御回路21(1)は、算出された平均値が各サブキャリアに設定可能な冗長度以下であるか否かを判定する(ステップS2003)。各サブキャリアに設定可能な冗長度とは、前述した所定の冗長度(N/K-1)を指し、例えば、スーパーチャネルの伝送品質を所値以上に保つために許容可能なビットレートの上限に対応して決定される。
例えば、スーパーチャネルに束ねられるサブキャリアの数が4(m=4)である場合に、各サブキャリアに設定可能な冗長度が20.5 %であり、サブキャリア1〜4について夫々取得された冗長度が25.5 %、7 %、7 %、及び25.5 %であるケース1を仮定する。ケース1では、取得された冗長度の平均値は、16.25 %であり、各サブキャリアに設定可能な冗長度である20.5 %以下であると判定される。一方、各サブキャリアに設定可能な冗長度が20.5 %であり、サブキャリア1〜4について夫々取得された冗長度が25.5 %、20.5 %、20.5 %、及び25.5 %であるケース2を仮定する。ケース2では、取得された冗長度の平均は、23 %であり、各サブキャリアに設定可能な冗長度である20.5 %を超えると判定される。
上述したケース2のように、各サブキャリアについて夫々取得された冗長度の平均値が各サブキャリアに設定可能な冗長度を超えると判定される場合(ステップS2003で“NO”)、伝送不可と決定される(ステップS2004)。すなわち、スーパーチャネルの伝送品質を所値以上に保ちつつ各サブキャリアを所望の伝送品質で伝送することはできないと決定される。なぜなら、実施形態に従った冗長度の分配方法により各サブキャリア間で冗長度を分配したとしても各サブキャリアの冗長度を各サブキャリアに設定可能な冗長度以下できないためである。伝送不可と決定された場合、光伝送システム1の構成が変更又は修正されてよい。
一方、上述したケース1のように、各サブキャリアについて夫々取得された冗長度の平均値が各サブキャリアに設定可能な冗長度以下であると判定される場合(ステップS2003で“YES”)、一連の冗長度配分処理は、ステップS2005に進む。ステップS2005において、制御回路21(1)は、各サブキャリア間での冗長度の分配が必要か否かを判定する。具体的には、制御回路21(1)は、各サブキャリアについて夫々取得された冗長度の中に、各サブキャリアに設定可能な冗長度を超える冗長度があるか否かを判定する。例えば、前述したケース1では、サブキャリア1〜4について夫々取得された冗長度の中で、サブキャリア1及び4について取得された冗長度25.5 %は、各サブキャリアに設定可能な冗長度である20.5 %を超える。そこで、ケース1では、制御回路21(1)は、各サブキャリア間で冗長度の分配が必要と判定する。
各サブキャリア間での冗長度の分配が不要と判定される場合(ステップS2005で“NO”)、一連の冗長度配分処理は、ステップS2006に進む。ステップS2006において、制御回路21(1)は、各サブキャリアに対して設定される冗長度を、各サブキャリアに設定可能な冗長度(例えば、上述の例では20.5 %)に決定する(ステップS2006)。各サブキャリアに対して設定される冗長度が決定されると、一連の冗長度配分処理は終了する(ステップS2008)。
一方、各サブキャリア間での冗長度の分配が必要と判定される場合(ステップS2005で“YES”)、一連の冗長度配分処理は、ステップS2007に進む。ステップS2007において、制御回路21(1)は、各サブキャリアに対して設定される冗長度が各サブキャリアに設定可能な冗長度以下になるように、各サブキャリア間で冗長度の分配を実施し、各サブキャリアに対して設定される冗長度を決定する。
例えば、前述のケース1では、制御回路21(1)は、サブキャリア1に対して設定される冗長度を、各サブキャリアに設定可能な冗長度20.5 %に決定する。そして、制御回路21(1)は、サブキャリア1に対して取得された冗長度25. 5 %の内、サブキャリア1に対して設定された冗長度20.5 %を超える部分5.5 %をサブキャリア2に分配する。制御回路21(1)は、サブキャリア2に対して取得された冗長度20.5 %とサブキャリア1から分配された冗長度5 %とを合計し、サブキャリア2に対して設定される冗長度を25.5 %に決定する。同様に、制御回路21(1)は、サブキャリア4に対して設定される冗長度を、各サブキャリアに設定可能な冗長度20.5 %に決定する。そして、制御回路21(1)は、サブキャリア4に対して取得された冗長度25. 5 %の内、サブキャリア4に対して設定された冗長度20.5 %を超える部分5.5 %をサブキャリア3に分配する。制御回路21(1)は、サブキャリア3に対して取得された冗長度20.5 %とサブキャリア4から分配された冗長度5 %とを合計し、サブキャリア3に対して設定される冗長度を25.5 %に決定する。
各サブキャリアに対して設定される冗長度が決定されると、一連の冗長度配分処理は終了する(ステップS2008)。
ステップS1005において、受信側の光伝送装置2の制御回路21(1)は、各サブキャリアに対して決定された冗長度を送信側の光伝送装置2へフィードバックし、送信側の光伝送装置2内の誤り訂正符号化回路5(図4)の設定を指示する。具体的には、制御回路21(1)は、各サブキャリアに対して決定された冗長度と誤り訂正符号化回路の設定指示とを含む制御信号を第1の制御信号送受信器32(1)及び第2の制御信号送受信器33(2)を介して送信する。受信側の光伝送装置2から送信された制御信号は、光アッテネータ22(2)、第1の制御信号送受信器32(2)、及び第2の制御信号送受信器33(1)を介して送信側の光伝送装置2の制御回路21(1)に受信される。
送信側の光伝送装置2の制御回路21(1)は、受信された制御信号に従って誤り訂正符号化回路5を制御する。具体的には、制御回路21(1)は、誤り訂正符号化回路5内に含まれる誤り訂正符号化部の内、各サブキャリアに対して決定された冗長度に対応する誤り訂正符号化部が選択されるようにセレクタを制御する。
例えば、前述した第2の構成例(図19)では、制御回路21(1)は、符号化回路511−1〜513−1の中から、サブキャリア1に対して決定された冗長度に対応する符号化回路が選択されるように、セレクタ56´´−1及び57´´−1を制御する。また、制御回路21(1)は、符号化回路511−2〜513−2の中から、サブキャリア2に対して決定された冗長度に対応する符号化回路が選択されるように、セレクタ56´´−2及び57´´−2を制御する。
また、第3の構成例(図21A、図21B)では、制御回路21(1)は、符号化回路511−1〜515−1の中から、サブキャリア1に対して決定された冗長度に対応する符号化回路が選択されるように、セレクタ56´´´−1及び57´´´−1を制御する。また、制御回路21(1)は、符号化回路511−2〜515−2の中から、サブキャリア2に対して決定された冗長度に対応する符号化回路が選択されるように、セレクタ56´´´−2及び57´´−2を制御する。
ステップS1006において、受信側の光伝送装置2の制御回路21(1)は、誤り訂正復号回路9(図5)内に含まれる誤り訂正復号部の内、各サブキャリアに対して決定された冗長度に対応する誤り訂正復号部が選択されるようにセレクタを制御する。
例えば、前述した第2の構成例(図20)では、制御回路21(1)は、復号回路941−1〜943−1の中から、サブキャリア1に対して決定された冗長度に対応する復号回路が選択されるように、セレクタ97´´−1及び98´´−1を制御する。また、制御回路21(1)は、復号回路941−2〜943−2の中から、サブキャリア2に対して決定された冗長度に対応する符号化回路が選択されるように、セレクタ97´´−2及び98´´−2を制御する。
また、第3の構成例(図22A及び図22B)では、制御回路21(1)は、復号回路941−1〜945−1の中から、サブキャリア1に対して決定された冗長度に対応する復号回路が選択されるように、セレクタ97´´´−1及び98´´´−1を制御する。また、制御回路21(1)は、復号回路941−2〜945−2の中から、サブキャリア2に対して決定された冗長度に対応する復号回路が選択されるように、セレクタ97´´´−2及び98´´−2を制御する。
誤り訂正復号回路が設定されると、受信側の光伝送装置2の制御回路21(1)は、誤り訂正復号回路の設定完了通知を含む制御信号を送信側の光伝送装置2へ送信する。送信側の光伝送装置2の制御回路21(1)は、受信側の光伝送装置2から送信された制御信号を受信する。そして、送信側の光伝送装置2から受信側の光伝送装置への光信号の送信が開始され(ステップS1007)、一連の冗長度設定処理は終了する(ステップS1008)。
このように、実施形態に従った伝送方法に従えば、伝送品質が悪いサブキャリア対しては、より多くのビット数の誤り訂正符号が付加される。このため、スーパーチャネルに束ねられる各サブキャリアの伝送品質のばらつきに関わらず、スーパーチャネルの伝送性能は改善される。また、実施形態に従った伝送方法に従えば、所定の冗長度を超える誤り訂正符号がサブキャリア間で共有される。このため、各サブキャリアの送受信信号の冗長度は抑制され、スーパーチャネルの伝送性能は改善される。
なお、前述した説明では、各サブキャリアに用いられた既知信号の送信は、受信側の光伝送装置2の指示に従って送信側の光伝送装置2が開始する(ステップS1002)。しかしながら、実施形態によっては、送信側の光伝送装置2の設置後、送信側の光伝送装置2が各サブキャリアに用いられた既知信号を一定周期で送信するように構成してもよい。
また、第1例では、誤り訂正符号付加前の各サブキャリア信号の伝送品質は、受信側の光伝送装置2が各サブキャリアに用いられた既知信号を送信側の光伝送装置2から受信し、該既知信号を測定することで取得される(ステップS1002及びステップS1003)。しかしながら、図26に示す第2例のように、ステップS1002及びステップS1003での処理に代えて、ステップ3002での処理が行われるように構成してもよい。
図26は、運用開始前に実行される冗長度設定処理の第2例のフロー図である。冗長度設定処理の第2例では、誤り訂正符号付加前の各サブキャリアの受信信号の伝送品質は、任意の計算機を用いて計算され、計算された伝送品質は、ステップS3002において制御回路21(1)に予め取得される。
例えば、VPI Transmission Makerといったシミュレーションソフトを用いた計算に必要なネットワーク情報が計算機に入力され、誤り訂正符号付加前の各サブキャリアの受信信号の伝送品質が計算機により計算される。入力されるネットワーク情報は、例えば、各々の伝送路の伝送距離、光損失、及び光ファイバの種類である。また、入力されるネットワーク情報は、例えば、OADMノード2−1及び2−2といった各局舎におけるアンプのNoise Figure (NF)特性や出力レベル、及びOADM段数である。
なお、実施形態によっては、様々な条件応じて複数パターンの伝送品質が予め計算され、計算された複数パターンの伝送品質がデータベース化されてもよい。そして、データベース化された複数パターンの伝送品質の中から所望の条件に適合する伝送品質が制御回路21(1)に予め取得されるように構成してもよい。
図26において、ステップS3003〜ステップS3006での処理は、ステップS1004〜ステップS1007での処理と同様であってよい。
冗長度設定処理の第2例に従えば、光伝送システム1の運用開始前に光伝送装置2間で光信号を送受信しなくてよい。
なお、第1例及び第2例では、冗長度設定処理フロー全体の制御を受信側の光伝送装置2(OADMノード2−2)の制御回路21(1)が受け持つ。しかしながら、図27に示す第3例のように、一連の冗長度設定処理全体の制御を送信側の光伝送装置2(OADMノード2−1)の制御回路21(1)が受け持つように構成してもよい。
図27は、運用開始前に実行される冗長度設定処理の第3例のフロー図である。一連の冗長度設定処理が開始されると(ステップS4001)、送信側の光伝送装置2の制御装置21(1)は、各サブキャリア(SC)の主信号として既知信号を用いたスーパーチャネルの光信号を受信側の光伝送装置2へ送信する(ステップS4002)。また、制御装置21(1)は、送信された既知信号の伝送品質を測定する指示を含む制御信号を第2の制御信号送受信器33(1)を介して受信側の光伝送装置2へ送信する。
送信側の光伝送装置2から送信された各サブキャリアの既知信号は、受信側の光伝送装置2のトランスポンダ27(B)−1−1〜27(B)−n−mに受信される。また、送信側の光伝送装置2から送信された制御信号は、アッテネータ22(1)及び第1の制御回路32(1)を介して制御回路21(1)に受信される。制御回路21(1)は、受信された制御信号に含まれる指示に従って、受信された各サブキャリアの既知信号のQ値をトランスポンダ27(B)−1−1〜27(B)−n−mに測定させる。
トランスポンダ27(B)−1−1〜27(B)−n−m内の各伝送品質測定部(図13)は、対応するサブキャリアの既知信号のQ値を測定する。Q値は、伝送品質の一例である。また、伝送品質測定部により測定されるQ値は、誤り訂正符号が付加される前の既知信号のQ値である。トランスポンダ27(B)−1−1〜27(B)−n−mの各伝送品質測定部により測定されたQ値は、制御回路21(1)に送信される。制御回路21(1)は、受信されたQ値を含む制御信号を第1の制御信号送受信器32(1)及び第2の制御信号送受信器33(2)を介して送信する。
ステップS4003において、送信側の光伝送装置2の制御回路21(1)は、受信側の光伝送装置2から送信された制御信号を光アッテネータ22(2)、第1の制御信号送受信器32(2)、及び第2の制御信号送受信器33(1)を介して受信する。制御回路21(1)は、受信された制御信号に含まれる各サブキャリアの既知信号に対するQ値を用いて、各サブキャリアに対する冗長度の配分を決定する(ステップS4004)。ステップS4004で実行される冗長度配分処理は、図24を参照しながら前述した処理と同様であってよい。
ステップS4005において、送信側の光伝送装置2の制御回路21(1)は、各サブキャリアに対して決定された冗長度を受信側の光伝送装置2へフィードバックし、受信側の光伝送装置2内の誤り訂正復号回路9(図5)の設定を指示する。具体的には、制御回路21(1)は、各サブキャリアに対して決定された冗長度と誤り訂正符号化回路の設定指示とを含む制御信号を制御信号送受信器33(1)を介して送信する。
送信側の光伝送装置2から送信された制御信号は、光アッテネータ22(1)及び第1の制御信号送受信器32(1)を介して受信側の光伝送装置2の制御回路21(1)に受信される。受信側の光伝送装置2の制御回路21(1)は、受信された制御信号に従って誤り訂正復号回路9を制御する。具体的には、制御回路21(1)は、誤り訂正復号回路9内に含まれる誤り訂正復号部の内、各サブキャリアに対して決定された冗長度に対応する誤り訂正復号部が選択されるようにセレクタを制御する。誤り訂正復号回路が設定されると、制御回路21(1)は、誤り訂正復号回路の設定完了通知を含む制御信号を送信側の光伝送装置2へ送信する。
ステップS4006において、送信側の光伝送装置2の制御回路21(1)は、誤り訂正符号化回路5(図4)内に含まれる誤り訂正符号化部の内、各サブキャリアに対して決定された冗長度に対応する誤り訂正符号化部が選択されるようにセレクタを制御する。
送信側の光伝送装置2の制御回路21(1)は、ステップS4005で受信側の光伝送装置2から送信された制御信号を受信する。そして、送信側の光伝送装置2から受信側の光伝送装置への光信号の送信を開始され(ステップS4007)、一連の冗長度設定処理は終了する(ステップS4008)。
このように、冗長度設定処理の第3例においても、伝送品質が悪いサブキャリア対しては、より多くのビット数の誤り訂正符号が付加される。このため、スーパーチャネルに束ねられる各サブキャリアの伝送品質のばらつきに関わらず、スーパーチャネルの伝送性能は改善される。また、冗長度設定処理の第3例においても、所定の冗長度を超える誤り訂正符号がサブキャリア間で共有される。このため、各サブキャリアの送受信信号の冗長度は抑制され、スーパーチャネルの伝送性能は改善される。
なお、前述した説明では、受信側の光伝送装置2は、受信された既知信号のQ値を送信側の光伝送装置2の指示に従って測定する。しかしながら、実施形態によっては、受信側の光伝送装置2は、受信側の光伝送装置2の設置後に任意のタイミングに受信した既知信号のQ値を測定し、測定されたQ値を送信側の光伝送装置へ送信するように構成してもよい。
また、第3例では、誤り訂正符号付加前の各サブキャリア信号の伝送品質は、受信側の光伝送装置2が各サブキャリアに用いられた既知信号を送信側の光伝送装置2から受信し、該既知信号を測定することで取得される(ステップS4002及びステップS4003)。しかしながら、図26に示した第2例のように、ステップS4002及びステップS4003での処理に代えて、ステップ3002での処理が行われるように構成してもよい。すなわち、誤り訂正符号付加前の各サブキャリア信号の伝送品質は、任意の計算機を用いて計算され、計算された伝送品質が送信側の光伝送装置2の制御回路21(1)に予め取得されるように構成してもよい。こうした構成によれば、光伝送システム1の運用開始前に光伝送装置2間で光信号を送受信しなくてよい。
<<光伝送システムの運用中に実行される伝送方法の一例>>
次に、光伝送システムの運用中に実行される伝送方法の一例として、実施形態に従った光伝送装置が実行する冗長度設定処理を図28〜図30を参照しながら説明する。
図28は、運用中に実行される冗長度設定処理の第1例のフロー図である。冗長度設定処理の第1例では、一連の冗長度設定処理全体の制御を受信側の光伝送装置2(OADMノード2−2)の制御回路21(1)が受け持つ。図28に示す冗長度設定処理の第1例は、光伝送システムの運用中に所定の時間間隔で実行されてもよく、光伝送システム1の運用者の指示に基づき実行されてもよい。
一連の冗長度設定処理が開始されると(ステップS5001)、ステップS5002及びステップS5003において、受信側の光伝送装置2の制御回路21(1)は、ステップS1002及びステップS1003(図23)と同様の処理を実行する。ステップS5002及びステップS5003での処理が実行されることで、制御回路21(1)は、各サブキャリアに用いられた既知信号に対する誤り訂正符号付加前のQ値を取得する。
ステップS5004において、受信側の光伝送装置の制御回路21(1)は、各サブキャリアに対する冗長度の再配分を実施するか否かを判定する。
光伝送システム1の運用中、スーパーチャネルに束ねられる各サブキャリアの信号の受信Q値は、様々な要因によって変動する。例えば、受信Q値が劣化する要因としては、光伝送装置2に含まれる光アンプ及び光部品の経時劣化や、伝送路の状態変化に起因する波形劣化(例えば、局舎内で運用中のファイバが作業者に触れられることで偏波変動が発生する)等が挙げられる。そこで、運用中に伝送品質が低下したサブキャリアが存在する場合、光伝送装置2は、各サブキャリアの伝送品質を保つために各サブキャリアに対する冗長度の再配分を実施する。また、運用中に何らかの要因で受信Q値が改善された場合には、サブキャリアの主信号に付加された誤り訂正符号の符号長は短くてもよく、送受信信号の冗長度は小さくてもよい。そこで、運用中に何らかの要因で受信Q値が改善された場合、光伝送装置2は、光信号が送受信される際の消費電力を抑制するために各サブキャリアに対する冗長度の再配分を実施する。
例えば、受信側の光伝送装置の制御回路21(1)は、取得されたサブキャリアの既知信号のQ値と冗長度・伝送品質対応テーブル211に記録されたQ値閾値とを式(9)を用いて比較する。そして、制御回路21(1)は、式(9)を満足するQ値閾値の中で値が最も大きなQ値閾値に対応する冗長度を冗長度・伝送品質対応テーブル211から取得する。制御回路21(1)は、サブキャリアの既知信号を基に取得されたQ値と、サブキャリアに現在設定されている冗長度に対応するQ値とを各サブキャリアについて比較する。
サブキャリアに現在設定されている冗長度に対応するQ値よりも、サブキャリアの既知信号を基に取得されたQ値が小さい場合、当該サブキャリアの冗長度を、サブキャリアの既知信号を基に取得されたQ値に対応した冗長度に大きくすることが望ましい。そこで、制御回路21(1)は、各サブキャリアに対する冗長度の再配分を実施すると判定し(ステップS5004で“YES”)、ステップS5005の処理に進む。
また、サブキャリアに現在設定されている冗長度に対応するQ値よりも、サブキャリアの既知信号を基に取得されたQ値が大きい場合、当該サブキャリアの冗長度をサブキャリアの既知信号を基に取得されたQ値に対応した冗長度に小さくすることが望ましい。そこで、制御回路21(1)は、各サブキャリアに対する冗長度の再配分を実施すると判定し(ステップS5004で“YES”)、ステップS5005の処理に進む。
一方、現在設定されている冗長度に対応するQ値と既知信号を基に取得されたQ値とが全てのサブキャリアにおいて同じである場合、各サブキャリアの冗長度は変更しないことが望ましい。そこで、制御回路21(1)は、各サブキャリアに対する冗長度の再配分を実施しないと判定し(ステップS5004で“NO”)、一連の冗長度設定処理を終了する(ステップS5008)。
ステップS5005において、受信側の光伝送装置2の制御回路21(1)は、各サブキャリアに対する冗長度の再分配を実施する。ステップS5005での処理の一例を図29を参照しながら説明する。
図29は、実施形態に従った冗長度再配分処理の例示的なフロー図である。一連の冗長度再配分処理が開始されると(ステップS6001)、制御回路21(1)は、ステップS6002の処理を行う。すなわち、制御回路21(1)は、既知信号を基に取得されたQ値に対応する所望の冗長度を、各サブキャリアについて冗長度・伝送品質対応テーブル211内から夫々取得する(ステップS6002)。ステップS6002での冗長度の取得方法は、ステップS2002での冗長度の取得方法と同様であってよい。
制御回路21(1)は、各サブキャリアについて夫々取得された冗長度の平均値を算出する。そして、制御回路21(1)は、算出された平均値が各サブキャリアに設定可能な冗長度以下であるか否かを判定する(ステップS6003)。ステップS6003での判定方法は、ステップS2003での判定方法と同様であってよい。
各サブキャリアについて夫々取得された冗長度の平均値が各サブキャリアに設定可能な冗長度を超えると判定される場合(ステップS6003で“NO”)、伝送不可と決定される(ステップS6004)。すなわち、光伝送システム1の運用中の信号品質の劣化に起因してサブキャリアの信号にエラーが発生している可能性があるため、伝送不可と決定される。この場合、制御回路21(1)は、制御信号等を用いてアラームを送信してもよい。
一方、各サブキャリアについて夫々取得された冗長度の平均値が各サブキャリアに設定可能な冗長度以下であると判定される場合(ステップS6003で“YES”)、一連の冗長度再配分処理は、ステップS6005に進む。ステップS6005において、制御回路21(1)は、各サブキャリア間での冗長度の分配が必要か否かを判定する。具体的には、制御回路21(1)は、各サブキャリアについて夫々取得された冗長度の中に、各サブキャリアに設定可能な冗長度を超える冗長度があるか否かを判定する。ステップS6005での判定方法は、ステップS2005での判定方法と同様であってよい。
各サブキャリア間での冗長度の分配が不要と判定される場合(ステップS6005で“NO”)、制御回路21(1)は、各サブキャリアに対して設定される冗長度として、各サブキャリアに対する冗長度を、ステップS6002で夫々取得された冗長度に決定し、一連の冗長度再配分処理を終了する(ステップS6007)。
一方、各サブキャリア間での冗長度の分配が必要と判定される場合(ステップS6005で“YES”)、一連の冗長度再配分処理は、ステップS6006に進む。ステップS6006において、制御回路21(1)は、各サブキャリアに対して設定される冗長度が各サブキャリアに設定可能な冗長度以下になるように、各サブキャリア間で冗長度の分配を実施し、各サブキャリアに対して設定される冗長度を決定する。ステップS6006での冗長度の決定方法は、ステップS2007での冗長度の決定方法と同様であってよい。
各サブキャリアに対して設定される冗長度が決定されると、一連の冗長度再配分処理は終了する(ステップS6007)。
ステップS5006において、受信側の光伝送装置2の制御回路21(1)は、各サブキャリアに対して決定された冗長度を送信側の光伝送装置2へフィードバックし、送信側の光伝送装置2内の誤り訂正符号化回路5(図4)の設定を指示する。ステップS5006で行われる処理の詳細は、ステップS1005での処理と同様であってよい。
ステップS5007において、受信側の光伝送装置2の制御回路21(1)は、誤り訂正復号回路9(図5)内に含まれる誤り訂正復号部の内、各サブキャリアに対して決定された冗長度に対応する誤り訂正復号部が選択されるようにセレクタを制御する。ステップS5007で行われる処理の詳細は、ステップS1006での処理と同様であってよい。
誤り訂正復号回路が設定されると、受信側の光伝送装置2の制御回路21(1)は、誤り訂正復号回路の設定完了通知を含む制御信号を送信側の光伝送装置2へ送信する。送信側の光伝送装置2の制御回路21(1)は、受信側の光伝送装置2から送信された制御信号を受信する。そして、送信側の光伝送装置2から受信側の光伝送装置への光信号の送信が、冗長度が再配分された状態で再開され、一連の冗長度設定処理は終了する(ステップS5008)。
このように、実施形態に従った伝送方法に従えば、伝送品質が悪いサブキャリア対しては、より多くのビット数の誤り訂正符号が付加される。このため、スーパーチャネルに束ねられる各サブキャリアの伝送品質のばらつきに関わらず、スーパーチャネルの伝送性能は改善される。また、実施形態に従った伝送方法に従えば、スーパーチャネルに束ねられる各サブキャリアの信号の伝送品質が光伝送システムの運用中に変化した場合であっても、所定の冗長度を超える誤り訂正符号がサブキャリア間で共有される。このため、各サブキャリアの送受信信号の冗長度は抑制され、スーパーチャネルの伝送性能は改善される。
なお、前述した説明では、各サブキャリアに用いられた既知信号の送信は、受信側の光伝送装置2の指示に従って送信側の光伝送装置2が開始する(ステップS5002)。しかしながら、実施形態によっては、送信側の光伝送装置2は、各サブキャリアに用いられた既知信号を一定周期で送信するように構成してもよい。
また、第1例では、冗長度設定処理フロー全体の制御を受信側の光伝送装置2(OADMノード2−2)の制御回路21(1)が受け持つ。しかしながら、図30に示す第2例のように、一連の冗長度設定処理全体の制御を送信側の光伝送装置2(OADMノード2−1)の制御回路21(1)が受け持つように構成してもよい。
図30は、運用中に実行される冗長度設定処理の第2例のフロー図である。図28に示す冗長度設定処理の第2例は、光伝送システムの運用中に所定の時間間隔で実行されてもよく、光伝送システム1の運用者の指示に基づき実行されてもよい。
一連の冗長度設定処理が開始されると(ステップS7001)、ステップS7002及びステップS7003において、送信側の光伝送装置2の制御回路21(1)は、ステップS4002及びステップS4003(図27)と同様の処理を実行する。ステップS7002及びステップS7003での処理が実行されることで、制御回路21(1)は、各サブキャリアに用いられた既知信号に対する誤り訂正符号付加前のQ値を取得する。
ステップS7004において、送信側の光伝送装置の制御回路21(1)は、各サブキャリアに対する冗長度の再配分を実施するか否かを判定する。ステップS7004での判定方法は、ステップS5004(図28)での判定方法と同様であってよい。
各サブキャリアに対する冗長度の再配分を実施しないと判定された場合(ステップS7004で“NO”)、制御回路21(1)は、一連の冗長度設定処理を終了する(ステップS7008)。一方、各サブキャリアに対する冗長度の再配分を実施すると判定された場合(ステップS7004で“YES”)、制御回路21(1)は、ステップS7005の冗長度設定処理に進む。ステップS7005の冗長度設定処理は、図29を参照しながら前述した処理と同様であってよい。
ステップS7006において、送信側の光伝送装置2の制御回路21(1)は、各サブキャリアに対して決定された冗長度を受信側の光伝送装置2へフィードバックし、受信側の光伝送装置2内の誤り訂正復号回路9(図5)の設定を指示する。ステップS7006で行われる処理の詳細は、ステップS4005(図27)での処理と同様であってよい。
ステップS7007において、送信側の光伝送装置2の制御回路21(1)は、誤り訂正符号化回路5(図4)内に含まれる誤り訂正符号化部の内、各サブキャリアに対して決定された冗長度に対応する誤り訂正符号化部が選択されるようにセレクタを制御する。
送信側の光伝送装置2の制御回路21(1)は、ステップS7006で受信側の光伝送装置2から送信された制御信号を受信する。そして、送信側の光伝送装置2から受信側の光伝送装置への光信号の送信が、冗長度が再配分された状態で再開され、一連の冗長度設定処理は終了する(ステップS7008)。
このように、第2例の伝送方法においても、伝送品質が悪いサブキャリア対しては、より多くのビット数の誤り訂正符号が付加される。このため、スーパーチャネルに束ねられる各サブキャリアの伝送品質のばらつきに関わらず、スーパーチャネルの伝送性能は改善される。また、第2例の伝送方法においても、スーパーチャネルに束ねられる各サブキャリアの信号の伝送品質が光伝送システムの運用中に変化した場合であっても、所定の冗長度を超える誤り訂正符号がサブキャリア間で共有される。このため、各サブキャリアの送信信号の冗長度は抑制され、スーパーチャネルの伝送品質は改善される。
以上説明した実施例を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
第1の光伝送装置と第2の光伝送装置との間でスーパーチャネルの光信号を送受信する光伝送システムであって、
前記第1の光伝送装置は、
所定の伝送品質に対応した符号長の誤り訂正符号を主信号に付加することで、前記スーパーチャネルの光信号に束ねられるサブキャリア毎に所望の冗長度の送信信号を生成し、
付加された前記誤り訂正符号の内、所定の冗長度を超える部分を前記サブキャリア間で分配することで、前記所定の冗長度の送信信号を前記サブキャリア毎に生成し、
前記所定の冗長度の送信信号を含む前記サブキャリアが束ねられた前記スーパーチャネルの光信号を前記第2の光伝送装置へ送信し、
前記第2の光伝送装置は、
前記第1の光伝送装置から受信された前記スーパーチャネルの光信号に束ねられた前記サブキャリア夫々の前記所定の冗長度の受信信号の内、前記サブキャリア夫々の所望の冗長度を超える部分を前記サブキャリア間で分配することで、前記所望の冗長度の受信信号を前記サブキャリア毎に生成し、
前記所望の冗長度の受信信号に含まれる前記誤り訂正符号を用いて前記サブキャリア毎に前記主信号を復号する、
光伝送システム。
(付記2)
前記第2の光伝送装置は、
既知信号が用いられた前記サブキャリア毎に、前記誤り訂正符号が付加される前の伝送品質を測定し、
測定された前記伝送品質に従って前記所望の冗長度を前記サブキャリア毎に決定し、
前記サブキャリア毎に決定された前記所望の冗長度を第1の光伝送装置へ送信し、
前記第1の光伝送装置は、
前記第2の光伝送装置から受信された前記所望の冗長度に従って前記所望の冗長度を前記サブキャリア毎に決定する、
付記1に記載の光伝送システム。
(付記3)
前記第1及び第2の光伝送装置は、前記光伝送システムのネットワーク情報を用いて計算された前記所望の冗長度を前記サブキャリア毎に予め取得する、
付記1に記載の光伝送システム。
(付記4)
前記第1及び第2の光伝送装置は、前記所望の冗長度と前記所定の冗長度との差分値の幅を有するバスを用いて前記サブキャリア間での前記分配を実行する、
付記1〜3の何れか一項に記載の光伝送システム。
(付記5)
前記第1及び第2の光伝送装置は、複数の伝送品質に夫々対応して予め備えられた複数の冗長度の中から前記所望の冗長度を選択する、
付記1〜4の何れか一項に記載の光伝送システム。
(付記6)
所定の伝送品質に対応した符号長の誤り訂正符号を主信号に付加することで、スーパーチャネルの光信号に束ねられるサブキャリア毎に所望の冗長度の送信信号を生成し、付加された前記誤り訂正符号の内、所定の冗長度を超える部分を前記サブキャリア間で分配することで、前記所定の冗長度の送信信号を前記サブキャリア毎に生成する誤り訂正符号化回路を含む、
光伝送装置。
(付記7)
既知信号が用いられた前記サブキャリア毎に測定された、前記誤り訂正符号が付加される前の伝送品質に従って、前記所望の冗長度を前記サブキャリア毎に決定し、前記サブキャリア毎に決定された前記所望の冗長度に従って前記サブキャリア間での前記分配が実行されるように前記誤り訂正符号化回路を制御する制御回路を含む、
付記6に記載の光伝送装置。
(付記8)
前記制御回路は、前記光伝送システムのネットワーク情報を用いて計算された前記所望の冗長度を前記サブキャリア毎に予め取得し、前記サブキャリア毎に取得された前記所望の冗長度に従って前記サブキャリア間での前記分配が実行されるように前記誤り訂正符号化回路を制御する制御回路を含む、
付記6に記載の光伝送装置。
(付記9)
前記誤り訂正符号化回路は、前記所望の冗長度と前記所定の冗長度との差分値の幅を有するバスを用いて前記サブキャリア間での前記分配を実行する、
付記6〜8の何れか一項に記載の光伝送装置。
(付記10)
前記制御回路は、複数の伝送品質に夫々対応して予め備えられた複数の冗長度の中から前記所望の冗長度を選択する、
付記7〜9の何れか一項に記載の光伝送装置。
(付記11)
所定の伝送品質に対応した符号長の誤り訂正符号を主信号に付加することで、スーパーチャネルの光信号に束ねられるサブキャリア毎に所望の冗長度の送信信号を生成し、
付加された前記誤り訂正符号の内、所定の冗長度を超える部分を前記サブキャリア間で分配することで、前記所定の冗長度の送信信号を前記サブキャリア毎に生成する、
光伝送装置が実行する伝送方法。
(付記12)
既知信号が用いられた前記サブキャリア毎に測定された、前記誤り訂正符号が付加される前の伝送品質に従って前記所望の冗長度を前記サブキャリア毎に決定し、
前記サブキャリア毎に決定された前記所望の冗長度に従って前記サブキャリア間での前記分配を実行する、
付記11に記載の伝送方法。
(付記13)
前記光伝送装置を含む光伝送システムのネットワーク情報を用いて計算された前記所望の冗長度を前記サブキャリア毎に予め取得し、
前記サブキャリア毎に取得された前記所望の冗長度に従って前記サブキャリア間での前記分配を実行する、
付記11に記載の伝送方法。
(付記14)
前記所望の冗長度と前記所定の冗長度との差分値の幅を有するバスを用いて前記サブキャリア間での前記分配を実行する、
付記11〜13の何れか一項に記載の伝送方法。
(付記15)
複数の伝送品質に夫々対応して予め備えられた複数の冗長度の中から前記所望の冗長度を選択する、
付記11〜14の何れか一項に記載の伝送方法。