JP6492705B2 - 無線通信システムを搭載した車両およびワイヤレス作動エリア測定方法 - Google Patents

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本発明は、送信機と受信機との間で無線通信を行う無線通信システムを搭載した車両、および無線通信システムが実行するワイヤレス作動エリアを測定する方法、に関する。
車両に搭載される無線通信システムの一例として、例えば特許文献1に、無線で車両ドアの施錠/解錠を行うドアロックシステム(ワイヤレスキーシステム、キーレスエントリーシステム、スマートエントリーシステムなどと称される)が開示されている。
このような無線通信システムでは、例えば車外にある送信機が送信した電波を、車内に備え付けられた受信機が受信することによって、送信機と受信機との間で無線通信が行われる。送信機と受信機との間で通信が確立すると、無線通信システムは、自動的に所定の機能(例えば、室内灯の点灯など)を実行したり、送信機の使用者などによる所定の機能(例えば、車両ドアの施錠/解錠など)の使用を許可したりする。
特開2012−112172号公報
通常、従来の無線通信システムにおける送信機および受信機の性能は、システム設計の段階で決定される。例えば、無線通信システムが車両に搭載された後に受信機および/または送信機の性能を変更するためには、受信機や送信機の再調整や特別な機器(減衰器など)が必要となり、時間や手間などがかかる。つまり、無線通信システムが車両に搭載された後では、受信機および/または送信機の性能を容易に変更することができない。従って、送信機から送信される特定の電波を、受信機が特定の電波として認識できる状態で受信できるエリア(以下、「ワイヤレス作動エリア」という)を、容易に縮小することができない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、受信機のワイヤレス作動エリアを容易に縮小することができる無線通信システムを搭載した車両、および無線通信システムが実行するワイヤレス作動エリア測定方法、を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、無線通信システムを搭載した車両であって、無線通信システムは、通信電波を送信する送信機と、ワイヤレス作動エリア内に存在する送信機が送信する通信電波を受信する受信機と、通信電波にノイズ成分を付与するノイズ電波を発生させる電波発生機とを備え、電波発生機は、ノイズ電波の出力を大きくすることによってワイヤレス作動エリアを縮小させることを特徴とする。
また、本発明は、車両に搭載された無線通信システムが実行するワイヤレス作動エリアを測定する方法であって、無線通信システムは、通信電波を送信する送信機と、ワイヤレス作動エリア内に存在する送信機が送信する通信電波を受信する受信機と、通信電波にノイズ成分を付与するノイズ電波を発生させる電波発生機とを備え、電波発生機から一定のノイズ電波を発生させて、車両周辺における縮小されたワイヤレス作動エリアを算出し、ノイズ電波の出力に応じて縮小されたワイヤレス作動エリアを拡大させることで、無線通信システム本来の受信機が通信電波を受信することができるワイヤレス作動エリアを算出する、ことを特徴とする
この本発明の無線通信システムを搭載した車両によれば、送信機および受信機に加え、電波発生機を備える。電波発生機は、送信機と受信機との間で送受信される通信電波に、ノイズ成分を付与するノイズ電波を発生させる。このノイズ電波を発生させることによって、ノイズ電波が無い場合に比べて、受信機における通信電波の受信強度が小さくなったり、通信電波対ノイズ電波比(いわゆるS/N比)が低下したりする。つまり、受信機の受信感度を擬似的に抑圧させることができる。これにより、ノイズ電波を発生させた時に測定したワイヤレス作動エリアは、ノイズ電波を発生させていない時に測定したワイヤレス作動エリアよりも、ノイズ電波の内容(周波数や出力レベル)に応じて縮小させることができる。
また、この本発明のワイヤレス作動エリア測定方法によれば、車両に搭載される無線通信システム本来のワイヤレス作動エリアを直接測定するスペースを確保できなくても、間接的にワイヤレス作動エリアを測定することが可能となる。
以上述べたように、本発明の無線通信システムを搭載した車両および無線通信システムが実行するワイヤレス作動エリア測定方法によれば、送信機や受信機をハードウェア的またはソフトウェア的に変更することなく、無線通信システムを構成する受信機のワイヤレス作動エリアを容易に縮小することができる。
本発明の車両に搭載される無線通信システムの概略構成例を説明する図 無線通信システムが行うワイヤレス作動エリアの縮小方法を利用した実施例を説明する図 図2に示す実施例で行われる処理手順の一例を説明するフローチャート 図2に示す実施例で行われる処理手順の他の一例を説明するフローチャート
以下、本発明に係る無線通信システムを搭載した車両におけるワイヤレス作動エリアの縮小方法の一実施形態について、図面を参照しながら順に説明する。
[概要]
本発明では、ノイズ電波を発生させる装置を用いる。このノイズ電波は、無線通信システムを構成する送信機と受信機との間で送受信される電波にノイズ成分を付与する作用を有する。従って、ノイズ電波を発生させることにより、受信機における通信電波の受信強度を小さくさせたり、通信電波のS/N比を低下させたりすることができる。つまり、受信機の受信感度を擬似的に抑圧させることができる。これにより、無線通信システムにおけるワイヤレス作動エリアを縮小させることができる。
[無線通信システムの構成例]
まず、本発明の車両に搭載される無線通信システムの構成例を、簡単に説明する。なお、本実施形態では、無線通信システムが、車両ドアの施錠/解錠を目的としたドアロックシステムに利用される場合を一例に挙げて、ワイヤレス作動エリアの縮小方法を説明する。
図1は、車両に搭載される無線通信システムの概略構成例を説明する図である。図1に例示する無線通信システムは、送信機10と、受信機20と、電波発生機30とを備えている。
送信機10は、車両1の所有者などが携帯する携帯機器(電子キーやスマートキーなど)である。送信機10は、送信部11および記憶部12を備えている。記憶部12には、車両1に割り当てられた固有の識別情報(IDコードなど)が予め記憶されている。送信部11は、記憶部12に記憶されている固有の識別情報を含んだ通信電波を、所定の周波数および出力レベルで送信機10の外部へ送信する。
受信機20は、車両1に取り付けられる固定機器である。受信機20は、受信部21、記憶部22、および照合部23を備えている。記憶部22には、車両1に割り当てられた固有の識別情報(IDコードなど)が予め記憶されている。すなわち、車両1を使用できる正規な送信機10の記憶部12には、この車両1に取り付けられた受信機20の記憶部22に記憶されている固有の識別情報と同じ固有の識別情報が付与されることになる。受信部21は、送信機10が送信する通信電波を受信する。照合部23は、受信部21が受信した通信電波に含まれる固有の識別情報と、記憶部22に記憶されている固有の識別情報との照合処理を行う。
電波発生機30は、所定の周波数および出力レベルのノイズ電波を発生させる装置である。このノイズ電波は、受信機20が受信する通信電波にノイズ成分を付与する作用を有し、受信機20の受信感度を擬似的に抑圧させる。ノイズ電波としては周知の態様を用いることができる。例えば、受信機20における通信電波の受信強度を小さくさせることで受信感度を擬似的に抑圧させる場合には、通信電波と同一周波数で逆相の電波をノイズ電波として用いればよい。または、例えば、受信機20における通信電波のS/N比を低下させることで受信感度を擬似的に抑圧させる場合には、通信電波と異なる周波数のパルス的な電波をノイズ電波として用いればよい。なお、電波発生機30は、発生させるノイズ電波の周波数および出力レベルの調整が可能である。この電波発生機30は、図1に例示するように車両1に固定的に取り付けられていてもよいし、車両1とは分離した可搬型の装置であってもよい。また、電波発生機30は、受信機20の近傍に配置されるほど通信電波にノイズ成分を付与する作用効果が高くなり、また後述するワイヤレス作動エリアの算出精度も向上する。
[無線通信システムにおける制御]
本発明のドアロックシステムに利用される無線通信システムにおける制御の一例を説明する。
送信機10を携帯する所有者などが受信機20を搭載した車両1に接近すると、送信機10と受信機20との間で通信電波を介した無線通信が行われる。具体的には、送信機10が受信機20のワイヤレス作動エリア内に進入すると、送信機10が送信する通信電波を受信機20が受信できるようになり、送信機10と受信機20との間で無線通信が確立される。この無線通信によって、送信機10が記憶する固有の識別情報が受信機20へ送信される。受信機20は、照合部23において、送信機10から受信した固有の識別情報と、記憶部22に記憶されている固有の識別情報とについて、照合処理を行う。照合処理の結果、双方の識別情報が一致する場合には、車両1のドア施錠/解錠の操作が許可される。この許可は、例えば、車両ドアの施錠/解錠を制御する電子制御ユニット(図示せず)によって行われる。
[ワイヤレス作動エリアの縮小方法]
本発明では、ノイズ電波を発生させる電波発生機30を用いて、送信機10と受信機20との間で無線通信される通信電波にノイズ成分を付与する。通信電波にノイズ成分を付与することにより、受信機20における通信電波の受信強度を小さくさせたり、通信電波のS/N比を低下させたりすることができる。つまり、受信機20の受信感度を擬似的に抑圧させることができる。従って、ノイズ電波を発生させた時に測定したワイヤレス作動エリアは、ノイズ電波を発生させていない時に測定したワイヤレス作動エリアよりも、ノイズ電波の内容(周波数や出力レベル)に応じて縮小されることになる。これにより、無線通信システムにおけるワイヤレス作動エリアを縮小することができる。
[実施例]
次に、上述した本発明の一実施形態に係る無線通信システムが行うワイヤレス作動エリアの縮小方法を利用した実施例を、図面を参照して説明する。
図2は、無線通信システムが行うワイヤレス作動エリアの縮小方法を利用した実施例を説明する図である。この実施例は、建物内などの限られた広さの作業スペース(暗室など)において、車両に搭載された無線通信システムにおけるワイヤレス作動エリアを、容易に測定する場合の例である。
この実施例では、図2(a)のように、電波発生機30からノイズ電波を発生させた状態で車両1(受信機20)の周囲に形成されるワイヤレス作動エリアを測定する。そして、この測定結果から、図2(b)のように、電波発生機30からノイズ電波を発生させない状態でのワイヤレス作動エリア、つまり無線通信システム本来のワイヤレス作動エリアを算出する。このワイヤレス作動エリアは、例えば以下の2通りの処理によって算出できる。
図3は、この実施例で行われる処理手順の一例を説明するフローチャートである。図3に示す処理では、電波発生機30から一定のノイズ電波(周波数および出力レベルを固定)を発生させる(ステップS31)。このノイズ電波を発生させた状態で、まず車両1の進行方向とのなす角degが0°となる軸上における作動ポイントを測定する(ステップS32、S33)。作動ポイントとは、送信機10が送信した通信電波を、受信機20が通信電波として受信かつ認識できるか否かの境界における、送信機10の位置をいう。この作動ポイントの測定を、所定の角度X(例えば15°)の間隔で、車両1の全周(0°≦なす角deg<360°)について実施する(ステップS33〜S35)。
車両1の全周について作動ポイントの測定が完了すると、測定したすべての作動ポイントに基づいて、縮小されたワイヤレス作動エリアを算出する(ステップS36)。具体的には、測定したすべての作動ポイントを角度の順番に結んで、縮小されたワイヤレス作動エリアを算出する。最後に、算出した縮小されたワイヤレス作動エリアを、電波発生機30から発生させたノイズ電波の出力に応じて拡大する(ステップS37)。具体的には、縮小されたワイヤレス作動エリアを形成する各作動ポイントの位置を、一定のノイズ電波に応じて、各々の軸に沿ってエリアの外側に移動させる。これにより、無線通信システム本来のワイヤレス作動エリアが算出される。
なお、上記処理例では、車両1の全周について測定したすべての作動ポイントを結んで算出した縮小されたワイヤレス作動エリアを、ノイズ電波の出力に応じて拡大させた。しかし、車両1の全周について測定したすべての作動ポイントの位置をノイズ電波の出力に応じて各軸に沿って各々移動させ、移動後のすべての作動ポイントを角度の順番に結んで本来のワイヤレス作動エリアを算出してもよい。
図4は、この実施例で行われる処理手順の他の一例を説明するフローチャートである。図4に示す処理では、まず作動ポイントを測定する軸が、車両1の進行方向とのなす角deg=0°となる軸に設定される(ステップS41)。次に、電波発生機30からノイズ電波を発生させる。そして、ノイズ電波の(周波数および/または出力レベル)を変化させながら、なす角deg=0°の軸上の車両1から一定の距離にある所定位置が作動ポイントとなるノイズ電波を測定する(ステップS42)。この測定されたノイズ電波に応じて、一定の距離としていた作動ポイントの位置を軸に沿って移動させる(ステップS43)。このノイズ電波の測定および作動ポイントの移動処理を、所定の角度Xの間隔で、車両1の全周(0°≦なす角deg<360°)について実施する(ステップS42〜S45)。
車両1の全周について作動ポイントの移動が完了すると、移動させた作動ポイントに基づいてワイヤレス作動エリアを算出する(ステップS46)。具体的には、移動させたすべての作動ポイントを角度の順番に結んで、ワイヤレス作動エリアを算出する。これにより、無線通信システム本来のワイヤレス作動エリアが算出される。
[応用例]
上述した無線通信システムにおけるワイヤレス作動エリアを容易に測定する実施例以外の応用例を説明する。この応用例では、車両の所有者や使用者などによる無線通信システム本来のワイヤレス作動エリアを変更したい、という要望に対応させることができる例である。
例えば、車両1を駐車しているスペースのすぐ隣に居室があるような場合、居室に置いている送信機10から送信される電波が車両1の受信機20に届くことも考えられる。このような状況では、送信機10の意図せぬ操作によって、所有者が望んでいない動作を車両1が実行するおそれがある。そこで、このような動作を防止するために、居室に置いている送信機10が、ワイヤレス作動エリアの範囲外となるように、電波発生機30からノイズ電波を発生させる。この電波発生機30によるノイズ電波の発生は、車両の所有者や使用者などが自由に行えるようにしてもよいし、自動車ディラーなどによって設定してもらうようにしてもよい。
[実施の形態の効果]
上述した本実施形態に係る無線通信システムを搭載した車両では、ノイズ電波を発生させる電波発生機30を用いて、送信機10と受信機20との間で送受信される通信電波にノイズ成分を付与する。これにより、送信機10や受信機20をハードウェア的またはソフトウェア的に変更することなく、無線通信システムを構成する受信機20のワイヤレス作動エリアを容易に縮小することができる。
上記実施例で説明したような利用方法では、車両1に搭載される無線通信システム本来のワイヤレス作動エリアを直接測定するスペースを確保できなくても、間接的にワイヤレス作動エリアを測定することが可能となる。また、電波発生機30が車両1とは分離した可搬型の装置であれば、電波発生機30を様々な車両に適用させることができる。よって、自社の車両以外にも、他社の車両に搭載された無線通信システムのワイヤレス作動エリアを、車両を分解や改造することなく容易に測定することができる。
本発明は、ワイヤレス作動エリア内に存在する送信機が送信する電波を受信機が受信することで送信機と受信機との間で無線通信が行われる無線通信システムにおいて、受信機のワイヤレス作動エリアを縮小したい場合などに有用である。
1 車両
10 送信機
11 送信部
12 記憶部
20 受信機
21 受信部
22 記憶部
23 照合部
30 電波発生機

Claims (1)

  1. 車両に搭載された無線通信システムが実行するワイヤレス作動エリアを測定する方法であって、
    前記無線通信システムは、
    通信電波を送信する送信機と、
    ワイヤレス作動エリア内に存在する前記送信機が送信する通信電波を受信する受信機と、
    前記通信電波にノイズ成分を付与するノイズ電波を発生させる電波発生機とを備え、
    前記電波発生機から前記受信機における前記通信電波のS/N比が低下する量が既知であるノイズ電波を発生させて、車両周辺における縮小されたワイヤレス作動エリアを算出し、
    前記ノイズ電波によって低下する前記S/N比の量に応じて前記縮小されたワイヤレス作動エリアを拡大させることで、前記無線通信システム本来の前記受信機が前記通信電波を受信することができるワイヤレス作動エリアを算出する、
    ワイヤレス作動エリア測定方法。
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