JP6489141B2 - 車両のトランスファ構造 - Google Patents

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Description

本発明は、四輪駆動車に搭載されるトランスファ構造に関する。
四輪駆動車として、車体前部にエンジンなどの駆動源と変速機とを軸心が車体前後方向に延びるように配置し、変速機の出力部から伝達される駆動源の出力トルクを車体後方に延びる後輪用プロペラシャフト及び後輪用差動装置を介して主駆動輪としての後輪に出力すると共に、補助駆動輪としての前輪に出力するトルクを取り出すトランスファ装置を設け、該トランスファ装置によって取り出した駆動源の出力トルクを車体前方に延びる前輪用プロペラシャフト及び前輪用差動装置を介して前輪に出力し、後輪に加えて前輪も駆動可能に構成したものが知られている。
この種の四輪駆動車では、トランスファ装置に前輪用のトルクを取り出すカップリングが配設され、該カップリングを完全に締結することで駆動源の出力トルクが前輪と後輪に均等に伝達される四輪駆動状態になり、カップリングを完全に解放することで駆動源の出力トルクが後輪のみに伝達される二輪駆動状態になり、カップリングの完全締結と完全解放との中間では締結状態に応じて前輪に出力されるトルクの配分が調整される。
例えば特許文献1には、このようなトランスファ装置として、変速機の出力部から駆動源の出力トルクが伝達される入力軸に前輪用のトルクを取り出すカップリングを配設し、該カップリングによって取り出した駆動源の出力トルクを、入力軸上に設けられたドライブスプロケット、入力軸に平行に設けられた前輪用出力軸に設けられたドリブンスプロケットと、両スプロケットに巻きかけられたチェーンとでなる伝動機構を介して前記前輪用出力軸に伝達し、後輪に加えて前輪も駆動可能に構成したトランスファ装置が開示されている。
このようにして構成されるトランスファ装置が搭載された四輪駆動車では、特に動力源がエンジンの場合に、その出力トルクの変動が変速機を介してトランスファ装置に伝達され、カップリングによって取り出された前輪に出力するトルクがゼロもしくは比較的小さい場合、前輪側の駆動系がエンジンのトルク変動に共振して該駆動系の振動が大きくなり、この振動に起因して駆動系に設けられたギヤ間の歯打ち音が生じて騒音を引き起こし得る。
この振動に対しては、前輪側駆動系がエンジンの出力トルクのトルク変動に共振する運転領域で、カップリングによる前輪へのトルク配分を増加させ、該駆動系に負荷を与えて前輪に伝達するトルクを増加させることで、前述した歯打ち音を抑制することが考えられるが、駆動ロスを増加させて燃費を悪化させることになるので、前輪へのトルク配分を増加させることなく前輪側駆動系の共振に起因した歯打ち音を抑制することが望まれる。
これに対し、例えば、変速機からの入力軸上に設けられたカップリングと、補助駆動輪用出力軸にトルクを出力する伝動機構のスプロケットやギヤ等の駆動側伝動部材との間にダンパを配置することが考えられるが、カップリングからダンパを介して前記伝動機構へ高トルクが頻繁に伝達されると、該ダンパの弾性部材が劣化し、ダンパの耐久性が問題となる。このダンパの耐久性の改善のために、ダンパの弾性部材の剛性を高くすることが考えられるが、駆動系の振動を良好に減衰させることができなくなり、歯打ち音の問題が効果的に解決できない。
そこで本願出願人は、先の出願(特願2015−191827)において、カップリングとドライブギヤとの間にダンパを設けることで、燃費を悪化させることなく駆動系におけるギヤ間の歯打ち音を抑制すると共に、ダンパの耐久性を向上させたトランスファ装置の発明を提案している。
ここで、前記発明におけるトランスファ装置について、図8を用いて説明する。この発明におけるトランスファ装置は、カップリングCによって取り出されて前輪に出力されるトルクが比較的小さい場合に駆動系に設けられたギヤ間の歯打ち音が生じやすいことに着目し、カップリングCから取り出されたトルクが、低トルク時にのみダンパDを介して伝動機構のドライブギヤGへ動力を伝達し、高トルク時にはダンパDを介さずに、カップリングCから直接ドライブギヤGへ動力を伝達する構成とされている。
具体的には、変速機からの入力軸O上にドライブギヤGとカップリングCとが備えられ、ドライブギヤGとカップリングCとの間にダンパDが設けられたトランスファ装置において、前記カップリングCの出力部材であるの本体部C1にドライブギヤG側に延びる円筒状の第1連結部C2と、該第1連結部C2からさらにドライブギヤG側に延びる同じく円筒状の第2連結部C3とが設けられ、前記第1連結部C2の外周面と前記ダンパDの内筒部材D1の内周面とが第1スプライン嵌合部S1を介して連結されていると共に、前記ドライブギヤGにはカップリングC側に延びる延設部G1が設けられ、この延設部G1の内周面と前記カップリングCの第2連結部C3の外周面とが第2スプライン嵌合部S2を介して連結されている。
また、ダンパDの外筒部材D2には動力伝達部材Pが結合され、該動力伝達部材Pに設けられてドライブギヤG側に延びる円筒部P1が、該ドライブギヤGの前記延設部G1の外周面に嵌合されて結合されている。
ここで、第1スプライン嵌合部S1を構成するカップリングCの第1連結部C2の外周面における歯と、ダンパDの内筒部材D1の内周面における歯との間のバックラッシュは、相対回転が0もしくはほぼ0になるように、小さく設定されている。一方、第2スプライン嵌合部S2を構成するカップリングCの第2連結部C3の外周面における歯と、ドライブギヤGの延設部G1の内周面における歯と、カップリングCの第2連結部C3の外周面における歯Cとの間のバックラッシュは、カップリングCとドライブギヤGとが所定回転角度内で相対回転が許容されるように、大きく設定されている。
このような構成により、このトランスファ装置によれば、カップリングCによって取り出された前輪用のトルクが所定値以下の場合は、ダンパDの弾性部材の変形が小さく、内筒部材D1に対する外筒部材D2の相対回転か小さいため、バックラッシュの大きな第2スプライン嵌合部S2では、ドライブギヤGの延設部G1側の歯とカップリングCの第2連結部C3側の歯とが当接せず、トルクを伝達しない。したがって、前輪用のトルクは、カップリングCから第1スプライン嵌合部S1、ダンパD、動力伝達部材Pを介してドライブギヤGに伝達される。
一方、カップリングCによって取り出された前輪用のトルクが所定値を超える場合は、ダンパDの弾性部材の変形が大きく、外筒部材D2に対する内筒部材D1の相対回転が大きいため、バックラッシュの大きな第2スプライン嵌合部S2においても前記延設部G1の内周面に設けられた歯と第2連結部の外周面に設けられた歯とが当接し、トルクを伝達する。したがって、前輪用のトルクは、カップリングCから第1スプライン嵌合部S1、ダンパD、動力伝達部材D3を介してドライブギヤGに伝達されると共に、一部はカップリングCに設けられた連結部C1とドライブギヤGのスプライン嵌合部である第2スプライン嵌合部S2を介してドライブギヤGに伝達される。
このとき、カップリングCの連結部C3とドライブギヤGの延接部Gとのスプライン嵌合部である第2スプライン嵌合部S2は、ダンパDの外筒部材D2に対する内筒部材D1の相対回転量を規制するストッパ機構として機能し、所定値以上の大きなトルクがダンパDにかかることが回避される。これにより、燃費の悪化を抑制しながら歯打ち音を抑制するという課題と、ダンパの耐久性を確保するという課題が両立する。
特開2009−257432号公報
しかしながら、図8に示すトランスファ装置では、前記ドライブギヤGは、そのコンパクト化の要請から内周部からトルクが入力される形状とされるのが通例であり、ダンパDの出力をドライブギヤGに伝達する場合、動力伝達部材PとしてダンパDの外周部D1から径方向の内側に延びる部材が必要となり、ダンパDとドライブギGヤとの間に、この動力伝達部材Pが介在することになる、その結果、ダンパDとドライブギヤGとの間の構成が複雑化し、トランスファ装置の軸方向寸法増大の要因となる虞がある。特に、この問題は、ダンパとドライブギヤとの間にオイルシールや軸受が配設される場合に顕著となる。
そこで、本発明では、四輪駆動車に搭載される車両のトランスファ構造において、ダンパの追加により燃費を悪化させることなく歯打ち音を抑制し、かつダンパの耐久性の向上を図りながら、トランスファ装置の大型化を抑制することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明にかかる車両のトランスファ構造は、次のように構成したことを特徴とする。
まず、本願の請求項1に記載の発明は、
駆動源側からのトルクを入力し、該トルクを主駆動輪に出力する主駆動輪用出力軸と、
前記主駆動輪用出力軸と平行に設けられた補助駆動輪用出力軸と、
前記主駆動輪用出力軸上に設けられ、前記駆動源の出力トルクを取り出して前記補助駆動輪用出力軸に伝動機構を介して出力するカップリングとを備えた車両のトランスファ構造であって、
前記主駆動輪用出力軸上において前記カップリングと前記伝動機構との間にダンパが備えられ、
前記ダンパの外周部は、前記カップリングに締結部材を用いて結合されていると共に、
前記ダンパと前記伝動機構の駆動側伝動部材との間に、該ダンパの内周部と駆動側伝動部材とを連結する動力伝達部が設けられ、かつ、
前記カップリングに前記伝動機構側に延びる円筒状の連結部が設けられ、
該連結部と、前記ダンパの内周部又は前記駆動側伝動部材とが、所定角度の相対回転を許容するスプライン嵌合部を介して連結されていることを特徴とする。
なお、前記動力伝達部は、前記駆動側伝動部材に設けられる場合と、前記ダンパの内周部に設けられる場合とがある。
また、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の車両のトランスファ構造において、
前記ダンパの内周部を構成する内筒部材には外側に突出する内筒側突起部が設けられ、
前記ダンパの外周部を構成する外筒部材には内側に突出する外筒側突起部が設けられ、
前記内筒側突起部と前記外筒側突起部との間に弾性部材が挟持されていると共に、
前記締結部材は、前記外筒側突起部を利用して前記ダンパの外周部を前記カップリングに結合していることを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、前記請求項1又は請求項2に記載の車両のトランスファ構造において、
前記ダンパと前記伝動機構の駆動側伝動部材との間の動力伝達部の外周に、トランスファケースに取り付けられたシール部材が配置されていることを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、前記請求項1から前記請求項3に記載の車両のトランスファ構造において、
前記スプライン嵌合部は前記ダンパの内周部の内側に設けられ、
該スプライン嵌合部とダンパの内周部との間に、スプライン嵌合部側からダンパ側への潤滑油の浸入を防止するためのシール部材が設けられていることを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、前記請求項1から前記請求項4に記載の車両のトランスファ構造において、
前記動力伝達部は、伝動機構の駆動側伝動部材に設けられて前記主駆動輪用出力軸上をカップリング側に延びる円筒状の入力部で構成され、
該入力部と前記ダンパの内周部とがスプライン嵌合部を介して連結されていることを特徴とする。
本願の請求項1に記載の発明によれば、主駆動輪用出力軸上に備えられたカップリングと伝動機構との間にダンパが備えられ、前記ダンパの外周部は、前記カップリングに結合され、前記ダンパと前記駆動側伝動部材との間に動力伝達部が設けられ、かつ、前記カップリングの前記伝動機構側に延びる連結部と、前記ダンパの内周部又は前記駆動側伝動部材とが、所定角度の相対回転を許容するスプライン嵌合部を介して連結されている。
したがって、カップリングから伝動機構側に伝達されるトルクが小さいときは、該トルクが、前記カップリングに締結された締結部材から前記ダンパ及び前記動力伝達部を介して伝達されると共に、前記トルクが大きいときは、ダンパの内周部と外周部との間の相対回転の角度が大きくなることにより、スプライン嵌合部がトルク伝達が可能な状態となり、前記トルクの一部が、ダンパを介することなく、カップリングに設けられた連結部からスプライン嵌合部を介して伝達されることになる。
即ち、スプライン嵌合部は、ダンパの相対回転量を規制するストッパ機構として機能することになり、前記ダンパへの所定値以上のトルクの入力が抑制される。
これにより、ダンパによって燃費を悪化させることなく歯打ち音を抑制しながら、該ダンパの耐久性が確保されることになる。
そして、特に本発明によれば、前記ダンパの外周部と前記カップリングとが前記締結部材で連結され、前記ダンパの内周側には前記駆動側伝動部材と連結される動力伝達部を有し、前記カップリングは前記ダンパの内周部、又は、前記駆動側伝動部材に連結される前記スプライン嵌合部が設けられているので、前記カップリングから前記ダンパへトルクを伝達する構造と、前記ダンパからスプライン嵌合部介して前記駆動側伝動部材へトルクを伝達する構造とが、前記ダンパの外周部側と内周部側とに振り分けられて配置されることになり、伝動機構の駆動側伝動部材とカップリングとの間が簡素化される。
具体的には、前記カップリングの外周側からダンパの内周部へトルクを伝達するための部材や、ダンパ外周側から駆動側伝動部材の内周部へトルクを伝達するための部材を設ける必要がないので、駆動側伝動部材からカップリングとの間が簡素化される。これにより、トランスファ装置の軸方向の寸法の大型化が抑制され、小型化が図れる。特にダンパと伝動機構との間に例えばオイルシールやベアリング等が配置される場合に効果が顕著になる。
また、請求項2に記載の発明によれば、前記ダンパの弾性部材は、前記ダンパの内筒側突起部及び前記外筒側突起部との間に挟持され、前記締結部材は、前記外筒側突起部を利用して前記ダンパの外周部を前記カップリングに連結されている。これにより、前記ダンパの外周部と前記カップリングとは、前記ダンパの外筒側突起部を利用して連結されるため、前記ダンパの外周部と前記カップリングとを連結するための連結部等を別途設ける必要がない。
また、請求項3に記載の発明によれば、前記カップリングから伝動機構側に伝達されるトルクが小さいときの伝達される経路が前記ダンパの外周部側に設けられ、前記トルクが大きいときの伝達される経路が前記ダンパの内周部側に設けられたことで、前記ダンパと前記伝動機構の駆動側伝達部材との間には、互いに連結される前記ダンパの内周部の動力伝達部、又は、前記駆動側伝達部材の動力伝達部のみが存在することになり、前記シール部材の前記動力伝達部に接するリップ先端の半径が抑制され、該リップ部に対する摺接速度が低減されることになる。これにより、前記シール部材の耐久性が向上する。
また、請求項4の記載の発明によれば、前記スプライン嵌合部は前記ダンパの内周部の内側に設けられ、該スプライン嵌合部とダンパの内周部との間に、スプライン嵌合部側からダンパ側への潤滑油の浸入を防止するためのシール部材が設けられている。これにより、前記スプライン嵌合部と前記ダンパの弾性部材との間でシール機能を持たせることになり、潤滑が必要な前記スプライン嵌合部には潤滑油を供給しつつ、前記弾性体を潤滑油からシールできるので、前記弾性体が潤滑油に触れることがなく、前記弾性体は材質の制約を受けない。
また、請求項5に記載の発明によれば、前記動力伝達部は、伝動機構の駆動側伝動部材に設けられた動力伝達部のカップリング側に延びる入力部と前記ダンパの内周部とがスプライン嵌合部を介して連結されている。これにより、例えば、前記ダンパの内周部を前記駆動側伝動部材の動力伝達部の内周側まで延ばし、前記駆動側伝動部材のギヤ歯面の下方側で前記入力部とスプライン嵌合する場合に比して、前記駆動側伝動部材の歯面厚をギヤの入力部を大径化することなく所要の肉厚とすることができ、駆動側伝動部材の強度や変形からの制約を受けない構造にできる。
本発明の実施形態に係るトランスファ装置が搭載された四輪駆動車の動力伝達機構を示す概略図である。 前記トランスファ装置を示す断面図である。 前記トランスファ装置の要部拡大図である。 図3のA−A断面におけるカップリングのスプライン部の断面図である。 図3のA−A断面におけるダンパの断面図である。 第2実施形態における前記トランスファ装置の要部拡大図である。 第3実施形態における前記トランスファ装置の要部拡大図である。 先行発明における前記トランスファ装置の要部拡大図である。
以下、本発明に係る車両のトランスファ装置の詳細を実施形態毎に説明する。
[第1実施形態]
図1に示すように、本発明の実施形態に係るトランスファ装置が搭載された四輪駆動車1は、フロントエンジン・リアドライブ車ベースの四輪駆動車であり、車体前部に駆動源としてのエンジン2と変速機3とが軸心が車体前後方向に延びるように配置されている。
前記変速機3の車体後方には、該変速機3の出力部から伝達されるエンジン2の出力トルクを車体後方に延びる後輪用プロペラシャフト及び後輪用差動装置を介して主駆動輪としての後輪に出力すると共に補助駆動輪としての前輪に出力するトルクを取り出すトランスファ装置10が設けられている。
前記トランスファ装置10は、前記エンジン2の出力トルクが軸方向一方側である車体前方側から入力される入力軸11と、該入力軸11の軸方向他方側である車体後方側に設けられて前記エンジン2の出力トルクを後輪に出力する後輪用出力軸12と、該後輪用出力軸12と平行に設けられて前記エンジン2の出力トルクを前輪に出力する前輪用出力軸13とを備えている。本実施形態では、前記後輪用出力軸12は、前記入力軸11と同一軸線上に設けられると共に、該入力軸11に連結されて前記エンジン2の出力トルクを後輪に出力するように形成されている。
前記トランスファ装置10はまた、前記後輪用出力軸12上に設けられて、該後輪用出力軸12に連結されたカップリング20と、該カップリング20の車体前方側に設けられて、前記カップリング20から取り出されたエンジンの出力トルクを前輪用出力軸13に伝達する伝動機構を構成する駆動側伝動部材としてのドライブギヤ14と、前記カップリング20と前記ドライブギヤ14との間に設けられているダンパ30とが備えられている。また、前記前輪用出力軸13上に設けられると共に、前記ドライブギヤ14と嵌合されて、前記伝動機構を構成する被駆動側伝動部材としてのドリブンギヤ15が設けられている。
この実施形態においては、カップリング20は、電磁式のカップリングが用いられ、エンジン2の出力トルクのうち前輪に出力するトルクを取り出すようになっている。カップリング20によって取り出されたエンジン2の出力トルクは、ドライブギヤ14に噛み合うドリブンギヤ15を介して前輪用出力軸13に伝達される。
前記前輪用出力軸13は、自在継手40を介して車体前方に延びる前輪用プロペラシャフト50に連結されている。該前輪用プロペラシャフト50は、自在継手60を介して前輪用差動装置70の入力軸71に連結され、該入力軸71は、左右の前輪にそれぞれ連結された車軸72、72に連結されている。
これにより、前記カップリング20によって取り出されたエンジン2の出力トルクは、前記ドライブギヤ14及び前記ドリブンギヤ15を介して前記前輪用出力軸13に伝達され、該前輪用出力軸13から前記前輪用プロペラシャフト50及び前記前輪用差動装置70を介して前輪に伝達される。四輪駆動車1では、カップリング20は、前輪と後輪とのトルク配分を前輪:後輪=0:100〜50:50の範囲で可変できるようになっている。なお、カップリング20の作動は、図示しない制御ユニットによって制御される。
次に、本発明の実施形態に係るトランスファ装置10について、図2及び図3を参照しながらさらに詳細に説明する。
前記トランスファケース51内には、変速機3からの入力軸11に連結された後輪用出力軸12と、該後輪用出力軸12と平行に設けられた前輪用出力軸13とが回転可能に支持されている。
前記後輪用出力軸12は、車体前方側の端部である前端部12aに凹部12bが形成され、凹部12b内に挿入された前記変速機3からの入力軸11とスプライン嵌合され、該入力軸11と共に回転するようになっている。前記後輪用出力軸12は、後端部12cが後輪用プロペラシャフトに連結される連結部材7にスプライン嵌合されて連結されると共に、軸受61、62を介して前記カップリング20及びトランスファケース51に回転自在に支持されている。
また、前記ドライブギヤ14は、車体前方側及び車体後方側にそれぞれ延びる前方側延設部14a及び後方側延設部14bを備えると共に、軸受63、64を介してトランスファケース51に回転可能に支持されている。
前記ドライブギヤ14に噛み合うドリブンギヤ15は、前輪用出力軸13上に設けられると共に、軸受65、66を介して前記トランスファケース51に回転可能に支持されている。なお、前記トランスファケース51は、車体前方側から順に配置される第1ケース部材52、第2ケース部材53及び第3ケース部材54によって分割して構成されている。
前記ドリブンギヤ15は、前輪用出力軸13とスプライン嵌合されて連結されている。前輪用出力軸13は、自在継手40を介して前輪用プロペラシャフト50に連結され、動力を伝達することができるようになっている。
また、前記カップリング20は、後輪用出力軸12と、ドラム部21と、後輪用出力軸12とドラム部21との間に配置されて後輪用出力軸12とドラム部21とに交互にスプライン嵌合された複数の摩擦板23とを備えており、前記カップリング20のドラム部21の車体後方側の先端部にはカバー部材24が設けられており、前記複数の摩擦板23と前記カバー部材24との間には、前記複数の摩擦板23を締結するカム機構25と、外部から磁力を受けてカム機構25を作動させるクラッチ機構26とが備えられている。
前記カップリング20は、前記カバー部材24の車体後方側にソレノイド27を備え、該ソレノイド27に対する前記制御ユニットによる通電制御によって、前記クラッチ機構26及び前記カム機構25を介して前記複数の摩擦板23の締結状態を制御し、これによって、エンジン2の出力トルクのうち前輪に出力するトルクを可変制御して取り出すようになっている。
前記ソレノイド27は、該ソレノイド27を支持する筒状の支持部材28を介してトランスファケース51に固定されており、前記カップリング20の後方側は軸受29を介してトランスファケース51に回転自在に支持されている。
図3及び図4に示すように、ダンパ30は、該ダンパの外周部を形成する円筒状の外筒部材31と、前記ダンパの内周部を形成する円筒状の内筒部材32と、前記外筒部材31と前記内筒部材32との間に設けられると共に結合される弾性部材33とを備えている。
前記ダンパの外筒部材31の内周側にはダンパ30の内側に向かって、周方向に等間隔で複数の外筒側突起部31a…31aが設けられると共に、前記ダンパの外筒部材31のドライブギヤ14側の端部及びカップリング20側の端部には、それぞれ、前記ダンパの外筒部材31と前記ダンパの内筒部材32との間に収納された弾性部材33の飛び出し防止のための飛び出し防止部材34、34が結合されている。
前記ダンパ30によって、カップリング20からドライブギヤ14、ドリブンギヤ15、前輪用出力軸13、前輪用プロペラシャフト50及び前輪用差動装置70を介して前輪に至る前輪側の駆動系がエンジン2のトルク変動に共振する共振周波数をエンジン2の実用領域下に低下させるように形成されている。
また、前記ダンパ30の外筒部材31に設けられた前記外筒側突起部31a…31aには、ドライブギヤ14側の端部とカップリング20側の端部との間を貫通する貫通穴31a’…31a’が備えられ、前記カップリング20のドライブギヤ14側の側面に、前記貫通穴31a’…31a’に連続した締結部21’…21’が設けられ、前記ダンパの外筒部材31と前記カップリング20とは、締結部材35…35がドライブギヤ側から前記貫通穴31a’…31a’に挿通されると共に、前記カップリングの締結部21’…21’に締結されて結合されている。なお、前記飛び出し防止部材34、34は、前記締結部材35…35によって、前記ダンパ30の外筒部材31に結合されている。
前記ダンパ30の内筒部材32の外周側には前記ダンパ30の外側に向かって、周方向に等間隔で複数の内筒側突起部32a…32aが設けられると共に、前記ダンパ30の内筒部材32は、スプライン嵌合部Sを介して、前記カップリング20のドラム部21からドライブギヤ14側に延びる円筒状の連結部22に連結されている。
前記ダンパ30の内筒部材32はまた、前記ダンパ30のスプライン嵌合部S側からドライブギヤ14側に延びる円筒状の動力伝達部32bが設けられており、該動力伝達部32bは、前記ドライブギヤ14の入力部を構成する後方側延接部14bに連結されている。
ここで、図5を用いて、スプライン嵌合部Sについて詳しく説明する。
前記スプライン嵌合部Sを構成する前記カップリング20の連結部22に設けられたスプライン歯22’と、前記ダンパ30の内筒部材32の内周面に設けられたスプライン歯32’との間のバックラッシュは、前記カップリング20と前記ダンパ30とが所定角度内での相対回転が許容されるように、大きく設定されている。
具体的には、前記ダンパの内筒部材32の隣り合うスプライン歯32’間と、前記カップリング20の連結部22の隣り合うスプライン歯22’間との関係は、互いに嵌合される前記ダンパの内筒部材32のスプライン歯32’と前記カップリングの連結部22のスプライン歯22’とは、前記ダンパの内筒部材32のスプライン歯32’の歯面の時計回り方向F側、即ち、トルクがダンパ30の内筒部材32からカップリング20の連結部22へ伝達される前進駆動時の回転方向F前方側に大きなバックラッシュLが形成されており、これにより前進駆動時におけるカップリングの連結部22とダンパの内筒部材32とが所定角度内での相対回転を許容するようになっている。
このような構成により、カップリング20によって取り出された前輪用のトルクが所定値以下の場合、前記ダンパ30の弾性部材33の変形が小さく、前記ダンパの内筒部材32に対する前記ダンパの外筒部材31の相対回転か小さいため、バックラッシュの大きなスプライン嵌合部Sでは、前記ダンパの内筒部材32の内周面に設けられたスプライン歯32’と前記カップリング20の連結部22の外周面に設けられたスプライン歯22’とが当接せず、トルクを伝達しない。したがって、前記トルクは、前記カップリング20から前記締結部材35、前記ダンパ30、前記ダンパの内筒部材32を介して前記ドライブギヤ14に伝達される。
一方、カップリング20によって取り出された前輪用のトルクが所定値を超える場合、前記ダンパ30の弾性部材33の変形が大きく、前記ダンパの内筒部材32に対する前記ダンパの外筒部材31の相対回転が大きいため、バックラッシュの大きなスプライン嵌合部Sにおける前記ダンパの内筒部材32の内周面に設けられたスプライン歯32’と前記カップリング20の連結部22の外周面に設けられたスプライン歯22’とが当接し、トルクを伝達する。したがって、前記トルクは、前記カップリング20から前記締結部材35、前記ダンパ30、前記ダンパの内筒部材32を介してドライブギヤ14に伝達されると共に、前記カップリング20から前記スプライン嵌合部Sを介して前記ドライブギヤ14に伝達される。
このとき、前記カップリング20の連結部22と前記ダンパ30の内筒部材32との前記スプライン嵌合部Sは、前記ダンパ30の相対回転量を規制するストッパ機構として機能し、所定以上のトルクが前記ダンパ30にかかることが回避される。
ここで、図4を用いて前記ダンパ20の弾性部材33の構造について説明する。
前記ダンパ30の弾性部材33は、前記ダンパ30の外筒部材31に設けられた外筒側突起部31a…31aと前記ダンパの内筒部材32に設けられた内筒側突起部32a…32aとの間に分断されて挟持されている。また、カップリング20によって取り出されたトルクが前記ダンパ30の外筒部材31から弾性部材33を介して内筒部材32に向かって伝達される前進駆動時の回転方向は図に示す矢印F方向であり、このような前進駆動時に前記外筒部材31の外筒側突起部31a…31aの回転方向前方側に配置されている第1弾性部材33a…33aは、回転方向後方側に配置されている第2弾性部材33b…33bよりも大きな容量を有するように設けられている。即ち、車両の走行時に頻度の高い前進駆動時に圧縮される側である第1弾性部材33a…33aにおける振動吸収能力が高くなるように設定されている。
ところで、前記トランスファ装置には、潤滑を必要とする伝動機構、軸受、スプライン嵌合部等が備えられており、これらの潤滑のための潤滑油が外部及び、トランスファケース51内に備えられた電磁部品等へ漏出することを防止するためのシール部材91、92が設けられている。
図3に示すように、前記トランスファ装置10は、潤滑が必要な伝動機構を収納する空間と、前記カップリング20及び前記ダンパ30を収納すると共に、前記トランスファケース51から外部へ繋がる電磁部品等を備える空間とが設けられている。これらの空間は、潤滑油が前者の空間から後者の空間側に漏出することを防止するためのオイルシール91によって仕切られている。
前記トランスファケース51に取り付けられた前記オイルシール91は、前記ダンパ30の内筒部32における動力伝達部32bの前記ドライブギヤ14の入力部14bとの連結部32cよりも前記カップリング20側に配置されている。即ち、前記後輪用出力軸12上には、前記ダンパ30の動力伝達部32bのみが存在することになるので、前記オイルシール91の前記ダンパ20の動力伝達部32bに接するリップ先端91aの半径が抑制され、該リップ部91aに対する摺接速度が低減されることになる。これにより、前記オイルシール91の耐久性が向上する。
前記ダンパ30の内筒部材32と前記カップリング20の連結部22との間に設けられた前記スプライン嵌合部Sよりも前記カップリング20側の前記ダンパ30の内筒部材32と前記カップリング20の連結部22との間には、オーリング92が挟み込まれて固定されており、該オーリング92によって、前記スプライン嵌合部Sには潤滑油を供給しつつ、前記弾性部材33側への潤滑油の漏出及び前記カップリングが収納された空間側への潤滑油の漏出を防止することを両立している。
このようにして構成されるトランスファ装置10では、入力軸11に入力されるエンジン2の出力トルクは後輪用出力軸12に伝達されて、二輪駆動状態では後輪用出力軸12から後輪にのみ出力され、四輪駆動状態では後輪用出力軸12から後輪に出力されると共にカップリング20によって前輪に出力するトルクが取り出されて前輪にも出力される。
その際に、カップリング20によって取り出された前輪用のトルクは所定値以下の場合、カップリング20からダンパ30を介してドライブギヤ14に伝達され、ドライブギヤ14からドリブンギヤ15、前輪用出力軸13、前輪用プロペラシャフト50及び前輪用差動装置70を介して前輪に出力される。
このとき、ダンパ30によって、カップリング20からドライブギヤ14、ドリブンギヤ15、前輪用出力軸13、前輪用プロペラシャフト50及び前輪用差動装置70を介して前輪に至る前輪側の駆動系がエンジン2のトルク変動に共振する共振周波数がエンジン2の実用領域下に低下され、カップリング20によって取り出された前輪に出力するトルクが比較的小さい場合に生じ得るドライブギヤ14とドリブンギヤ15との間などのギヤ間の歯打ち音を抑制することができる。
また、本実施形態に係るトランスファ装置10では、カップリング20からドライブギヤ14側に伝達されるトルクが小さいときは、該トルクが、前記カップリング20に締結された締結部材35からダンパの内筒部材32における動力伝達部32bを介して伝達されると共に、前記トルクが大きいときは、ダンパの外筒部材31とダンパの内筒部材32との間の相対回転の角度が大きくなることにより、スプライン嵌合部Sがトルク伝達が可能な状態となり、前記トルクの一部が、ダンパ30を介することなく、カップリングの連結部22からスプライン嵌合部Sを介して伝達されることになる。
即ち、スプライン嵌合部Sは、ダンパ30の相対回転量を規制するストッパ機構として機能することになり、前記ダンパ30への所定値以上のトルクの入力が抑制され、ダンパによって燃費を悪化させることなく歯打ち音を抑制しながら、該ダンパの耐久性が確保されることになる。
そして、前記ダンパ30の外筒部材31と前記カップリング20とが前記締結部材35で連結され、前記ダンパ30の内筒部材32は前記ドライブギヤ14と連結される動力伝達部32bを有し、前記カップリング20は前記ダンパ30の内筒部材32に連結される前記スプライン嵌合部Sが設けられているので、前記カップリング20から前記ダンパ30へトルクを伝達する構造と、前記ダンパ30から前記スプライン嵌合部S介して前記ドライブギヤ14へトルクを伝達する構造とが、前記ダンパ30の外周部側と内周部側とに振り分けられて配置されることになり、前記ドライブギヤと前記カップリング20との間が簡素化される。これにより、トランスファ装置の軸方向の寸法の大型化が抑制され、小型化が図れる。
したがって、四輪駆動車1に搭載される車両のトランスファ装置10において、ダンパの追加により燃費を悪化させることなく歯打ち音を抑制しながら、トランスファ装置の大型化を抑制することができる。
[第2実施形態]
図6を参照しながら、第2実施形態に係る車両のトランスファ構造について説明する。なお、図3に示す第1実施形態と同様の構成要素については図6において同一の符号を用いると共に、その説明を省略する。
第2実施形態では、カップリング120からドライブギヤ114へのトルクの伝達経路と、ダンパ130からドライブギヤ114へのトルクの伝達経路となる、ダンパ130の内筒部材132とドライブギヤ114との連結の構成と、カップリングの連絡部122とドライブギヤ114との連結の構成とが第1実施形態と異なる。なお、その他の構成は第1実施形態と同様の構成であり、第1実施形態同様の効果が得られる。
図6に示すように、第2実施形態におけるトランスファ装置は、第1実施形態同様に、後輪用出力軸12上に設けられたカップリング120とドライブギヤ114との間にダンパ130が備えられ、前記ダンパ130の外周部131は、該ダンパ130の外周部131に設けられた外筒側突起部131a…131aのドライブギヤ114側の端部とカップリング120側の端部との間を貫通する貫通穴131a’…131a’に挿入された締結部材135によって、前記カップリング120に結合されている。
前記ダンパ130の内筒部材132は、前記ドライブギヤ114から前記カップリング120側に延びる円筒状の動力伝達部114bの入力部114cからさらに前記カップリング120側延びる延設部114dに第1スプライン嵌合部S1’を介して連結されている。
前記カップリング120の前記ドライブギヤ114側に延びる連結部122と、前記ドライブギヤ114の延設部114dとが、所定角度の相対回転を許容する第2スプライン嵌合部S2’を介して連結されている。
前記第1スプライン嵌合部S1’と前記第2スプライン嵌合部S2’との間には、前記ダンパ130の内筒部材132に取り付けられたリップシール192が前記カップリング120の連結部122の側面部に当接するように配設されている。これにより、前記第1スプライン嵌合部S1’及び前記第2スプライン嵌合部S2’に潤滑油を供給しつつ、該潤滑油が前記カップリング120の連結部122と前記ダンパ130の内筒部材132の間を通って前記ダンパの弾性部材133側への浸入が防止されている。
また、前記ダンパ130の内筒部材132の前記第1スプライン嵌合部S1’よりも前記ドライブギヤ114側には、前記ダンパ130の内筒部材132と前記ドライブギヤ114の延設部114dとの間には、前記第1スプライン嵌合部S1’に供給された潤滑油がカップリング120側へ漏出するのを防止するためのオーリング193が設けられている。
このような構成により、カップリングから伝動機構側に伝達されるトルクが小さいときは、該トルクが、前記カップリング120から締結部材135、前記ダンパ130の外筒部131、前記ダンパ130の弾性部材133、前記ダンパ130の内筒部材132、前記動力伝達部材132aを介して前記ドライブギヤ114の入力部144bへ伝達され、前記トルクが大きいときは、前記ダンパ130の外周部と内周部との間の相対回転の角度が大きくなることにより、前記第2スプライン嵌合部S2’がトルクの伝達が可能な状態となり、前記トルクの一部が、前記ダンパ130を介することなく、前記カップリング120の連結部122から前記スプライン嵌合部S2’を介して前記ドライブギヤ114の入力部114cからの延接部114dに伝達される。これにより、前記ダンパ130へ所定以上のトルクが入力されることを抑制する。
したがって、第1実施形態の同様に、四輪駆動車に搭載される車両のトランスファ構造において、ダンパの追加により燃費を悪化させることなく歯打ち音を抑制しながら、トランスファ装置の大型化を抑制する効果が得られる。
また特に、第2実施形態においては、例えば、動力伝達部をダンパ内周部に設けた場合、該動力伝達部とドライブギヤの入力部とを連結する前記スプライン嵌合部がドライブギヤの近傍に設けられることとなり、ドライブギヤの入力部の肉厚を確保する必要上、該入力部の径の増大を招く。しかしながら、第2実施形態では、前記ドライブギヤ114側に前記第2スプライン嵌合部S2’を設けていないので、前記ドライブギヤ114の入力部114cを大径化することなく所要の肉厚とすることができる。
[第3実施形態]
図7を参照しながら、第3実施形態に係る車両のトランスファ構造について説明する。なお、図3に示す第1実施形態と同様の構成要素については図7において同一の符号を用いると共に、その説明を省略する。
第3実施形態では、ダンパ230の外筒231とカップリング220との連結の構成とが第1実施形態と異なる。なお、その他の構成は第1実施形態と同様の構成であり、第1実施形態同様の効果が得られる。
図7に示すように、第3実施形態では、第1実施形態同様に、後輪用出力軸12上に設けられたカップリング220とドライブギヤ14との間にダンパ230が備えられ、前記カップリング220と前記ダンパ230の外筒部材231とは、前記ダンパ230の外筒部材231に設けられた外筒側突起部231aに複数個所のピン部材235…235を用いて位置決めされて連結されると共に、前記ダンパ230の外筒部材231から前記カップリング220側に延びて設けられた前記ダンパ230の外筒部材231の延接部231bが前記カップリング220に設けられた溝部221’にかしめられて連結されている。また、前記ダンパ230の前記ドライブギヤ214側の飛び出し防止部材234は、前記ダンパ230の外筒部材231の前記ドライブギヤ214側の端部との間でスナップリング234aによって固定されている。
前記ダンパ230の内筒部材232は、第1実施形態同様に、前記カップリング220から前記ドライブギヤ14側に延びる円筒状の連結部222と、所定角度の相対回転を許容するスプライン嵌合部S”を介して連結されている。
このような構成により、第1実施形態の同様に、カップリング220からドライブギヤ214側に伝達されるトルクが小さいときは、該トルクが、前記カップリング220に締結されたピン部材235から前記ダンパ230の内筒部材232における動力伝達部232bを介して伝達されると共に、前記トルクが大きいときは、前記ダンパ230の外筒部材231と前記ダンパ230の内筒部材232との間の相対回転の角度が大きくなることにより、スプライン嵌合部S”がトルク伝達が可能な状態となり、前記トルクの一部が、前記ダンパ230を介することなく、前記カップリング220の連結部222から前記スプライン嵌合部S”を介して伝達されることになり、ダンパの追加により燃費を悪化させることなく歯打ち音を抑制しながら、トランスファ装置の大型化を抑制することができる。
また、第3実施形態においては、ダンパ230とカップリング220との結合にピン部材235を用いているため、前記カップリング220側にねじ穴等を設ける場合に比して、前記カップリング220に設けられた締結部の精度に対する要求が緩和される。
なお、本発明における伝動機構は、ギヤを用いたものに限らず、巻き掛け伝動機構でも良く、その場合、伝動部材として、ドライブギヤ及びドリブンギヤに代え、スプロケットやプーリが備えられる。
本発明は、例示された実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能である。
以上のように、本発明によれば、四輪駆動車に搭載されるトランスファ装置において、四輪駆動車に搭載される車両のトランスファ構造において、ダンパの追加により燃費を悪化させることなく歯打ち音を抑制しながら、トランスファ装置の大型化を抑制することが可能となるから、この種の車両の製造産業分野において好適に利用される可能性がある。
1 四輪駆動車
2 エンジン
3 変速機
10 トランスファ装置
12 後輪用出力軸(主駆動輪用出力軸)
13 前輪用出力軸(補助駆動輪用出力軸)
14 ドライブギヤ(駆動側伝動部材)
14b 入力部
14c 入力部からの延設部
20 カップリング
22 連結部
30 ダンパ
31 外筒部材
31a 外筒側突起部
32 内筒部材
32a 内筒側突起部
33 弾性部材
35 ボルト(締結部材)
51 トランスファケース
91 オイルシール
92 オーリング
S スプライン嵌合部

Claims (5)

  1. 駆動源側からのトルクを入力し、該トルクを主駆動輪に出力する主駆動輪用出力軸と、
    前記主駆動輪用出力軸と平行に設けられた補助駆動輪用出力軸と、
    前記主駆動輪用出力軸上に設けられ、前記駆動源の出力トルクを取り出して前記補助駆動輪用出力軸に伝動機構を介して出力するカップリングとを備えた車両のトランスファ構造であって、
    前記主駆動輪用出力軸上において前記カップリングと前記伝動機構との間にダンパが備えられ、
    前記ダンパの外周部は、前記カップリングに締結部材を用いて結合されていると共に、
    前記ダンパと前記伝動機構の駆動側伝動部材との間に、該ダンパの内周部と駆動側伝動部材とを連結する動力伝達部が設けられ、かつ、
    前記カップリングに前記伝動機構側に延びる円筒状の連結部が設けられ、
    該連結部と、前記ダンパの内周部又は前記駆動側伝動部材とが、所定角度の相対回転を許容するスプライン嵌合部を介して連結されていることを特徴とする車両のトランスファ構造。
  2. 前記ダンパの内周部を構成する内筒部材には外側に突出する内筒側突起部が設けられ、
    前記ダンパの外周部を構成する外筒部材には内側に突出する外筒側突起部が設けられ、
    前記内筒側突起部と前記外筒側突起部との間に弾性部材が挟持されていると共に、
    前記締結部材は、前記外筒側突起部を利用して前記ダンパの外周部を前記カップリングに結合していることを特徴とする請求項1に記載の車両のトランスファ構造。
  3. 前記ダンパと前記伝動機構の駆動側伝動部材との間の動力伝達部の外周に、トランスファケースに取り付けられたシール部材が配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両のトランスファ構造。
  4. 前記スプライン嵌合部は前記ダンパの内周部の内側に設けられ、
    該スプライン嵌合部とダンパの内周部との間に、スプライン嵌合部側からダンパ側への潤滑油の浸入を防止するためのシール部材が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の車両のトランスファ構造。
  5. 前記動力伝達部は、伝動機構の駆動側伝動部材に設けられて前記主駆動輪用出力軸上をカップリング側に延びる円筒状の入力部で構成され、
    該入力部と前記ダンパの内周部とがスプライン嵌合部を介して連結されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の車両のトランスファ構造。
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