以下に、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
本発明の実施形態に係る自動測量システム1(自動測量装置とも称する)は、図1に示すように、測量機10と、測量機用端末装置11と、測量者用端末装置12と、サーバ13と、事務所用端末装置14と、ネットワーク15と、を備える。
測量機10と、測量機用端末装置11と、測量者用端末装置12とは、測量現場に設けられ、事務所用端末装置14は、事務所等の拠点に設けられる。事務所用端末装置14は、1台でも2台以上でも設置しても構わない。
測量機10は、一般に建設現場で使用される測量機であり、自動視準と自動追尾とを可能とする。測量機用端末装置11は、一般に使用されるコンピュータであり、例えば、小型コンピュータを含み、測量機10に外付けで接続されたり、測量機10に組み込まれて内蔵されたりする。測量機用端末装置11は、測量者用端末装置12からの指示に基づいて測量機10の動作を制御する。又、測量機用端末装置11は、測量機10からの測量結果をサーバ13に送信する。測量機用端末装置11は、ネットワーク15を介して測量機10とサーバ13とを仲介する。
測量機10と測量機用端末装置11とは一セットであり、測量機10と測量機用端末装置11との使用方法は、測量現場の所定の位置に所定期間設置して使用する固定式と、測量現場の各位置に移動させて使用する可搬式とを挙げることが出来る。
測量者用端末装置12は、一般に使用されるコンピュータであり、例えば、タッチパネル付きの携帯端末装置、タブレット型端末装置、ウェアラブル型端末装置を含み、記憶部と、入力部と、出力部とを備える。入力部と出力部は、例えば、操作の受付とデータの表示とを兼ね備えるタッチパネルである。測量者用端末装置12は、測量者が携帯可能なサイズであり、測量現場において測量者の移動に伴って移動される。測量者用端末装置12は、測量者の操作を受けて、演算等の処理を行ったり、ネットワーク15とサーバ13とを介して所定の指示を測量機用端末装置11に送信したりする。又、測量者用端末装置12は、ネットワーク15を介してサーバ13のデータを読み取り、測量者用端末装置12で表示する。
サーバ13は、一般に使用されるコンピュータであり、測量機用端末装置11と測量者用端末装置12の仲介を行うとともに、測量現場の図面や測量機10の測量結果を蓄積している。
事務所用端末装置14は、一般に使用されるコンピュータであり、例えば、ディスクトップ型端末装置、タッチパネル付きの携帯端末装置、タブレット型端末装置を含む。事務所用端末装置14は、監督者、管理者等の第三者が操作し、ネットワーク15を介してサーバ13にアクセスし、サーバ13のデータを読み取り、事務所用端末装置14で表示する。
ネットワーク15は、測量機用端末装置11と、測量者用端末装置12と、サーバ13と、事務所用端末装置14とのそれぞれに通信可能に接続する。ネットワーク15は、Wifi(登録商標)アクセスポイントを介したLAN(Local Area Network)の他、無線基地局を介したWAN(Wide Area Networ)、第3世代(3G)の通信方式、LTEなどの第4世代(4G)の通信方式、第5世代(5G)以降の通信方式、Bluetooth(登録商標)、特定小電力無線方式等の無線通信ネットワークを含む。
ここで、測量機用端末装置11と測量者用端末装置12とが、例えば、見晴らしの良い場所等、インターネット通信可能な環境であれば、第4世代(4G)の通信方式等で通信し、測量機用端末装置11と測量者用端末装置12とが、トンネル内、覆工板下の路下等、インターネット通信不可の環境であれば、特定小電力無線方式等で通信を行う。測量者用端末装置12が、ネットワーク15を介して測量機用端末装置11との通信状況や通信速度に応じて、第4世代(4G)の通信方式にするか、特定小電力無線方式にするかを切り替えても良い。又、測量者用端末装置12は、通信状況や通信速度に応じて、サーバ13を介して測量機用端末装置11と通信するか、測量機用端末装置11と直接通信するかを切り替えても良い。
次に、図2−図24を参照しながら、本発明の実施形態に係る構成及び実行手順について説明する。
<器械点測定>
図3は、本発明の実施形態に係る器械点測定の実行手順を示すためのフローチャートである。先ず、測量者用端末装置12を携帯した測量者は、測量機10と測量機用端末装置11とを測量現場に持って行き、図4Aに示すように、測量現場の所定の場所に測量機10と測量機用端末装置11を設置する。測量機10が設置された測量現場には、複数のターゲット2a、2b、2c、、、(プリズム等)が測量現場の各基準点に対応して予め設置されている。
測量者が測量者用端末装置12を起動すると、測量者用端末装置12の出力部(例えば、タッチパネル)は、図4Bに示すように、トップ画面400を表示する。トップ画面400には、ファイルキー401と、チルト表示キー402と、後方交会キー403と、一般測量キー404と、杭打ち測量キー405と、設定キー406とが設けられる。
ファイルキー401は、ファイルを読み出すためのキーである。チルト表示キー402は、測量機10のX軸方向とY軸方向の傾斜角を表示するためのキーである。ここで、X軸方向は、測量座標系(日本測地系)の前後方向であり、Y軸方向は、測量座標系の左右方向であり、Z軸方向は、測量座標系の上下(高さ)方向である。X軸方向とY軸方向が水平方向を構成し、Z軸方向が鉛直方向を構成する。後方交会キー403は、測量機10(器械点)の座標を算出するためのキーである。一般測量キー404は、所定の観測点(選択点)を測量するためのキーである。杭打ち測量キー405は、所定の杭打ち点を測量するためのキーである。設定キー406は、各種設定を行うためのキーである。
先ず、測量者は、測量現場の基準点を示す図面を呼び出すために、ファイルキー401を選択すると、測量者用端末装置12の入力部(例えば、タッチパネル)は、ファイルキー401の選択を受け付ける。そして、測量者用端末装置12の基準点表示制御部201は、測量者からのキー入力を受け付けて、測量機10が設置された測量現場の図面のXY座標系において、予め登録されたXY座標値を有する複数の基準点を測量者用端末装置12に表示させる(図3:S101)。
基準点表示制御部201が複数の基準点を測量者用端末装置12に表示させる方法に特に限定は無い。例えば、基準点表示制御部201は、先ず、測量現場の図面データと当該測量現場の基準点のデータとを選択するための図面取得画面をタッチパネルに表示する。
図5Aに示すように、図面取得画面500には、連携キー501と、接続ステータス502とが表示される。連携キー501は、ネットワーク15上のファイルボックス(データベース)を利用するためのキーである。接続ステータス502は、ネットワーク接続状況を示す。接続ステータス502には、測量者用端末装置12が未だファイルボックスに接続されていないため、「未連携」が表示されている。
ここで、測量者が、ネットワーク15上のファイルボックスを利用する場合、連携キー501を選択すると、基準点表示制御部201は、連携キー501の選択を受け付け、ネットワーク15上のファイルボックスにアクセスし、ファイルボックス用のログイン画面を表示する。測量者が、ログイン画面にアカウント(例えば、メールアドレス)とパスワードとを入力し、ログインキーを選択すると、基準点表示制御部201は、アカウントとパスワードとを受け付け、ファイルボックスの認証が行われる。
そして、認証が成功すると、図5Aに示すように、接続ステータス502には、「連携済」が表示され、アカウント情報(例えば、国、名称、メールアドレス等)が表示される。これにより、測量者は、ネットワーク15上のファイルボックスを利用することが出来る。
又、図5Bに示すように、図面取得画面500には、CADファイル読込キー503と、データファイル読込キー504と、読込ステータス505と、CADファイル保存キー506と、データファイル保存キー507とが表示される。CADファイル読込キー503は、測量現場の図面データ(CADファイル)を読み込むためのキーである。データファイル読込キー504は、測量現場の所定の位置に設置されたターゲットに対応する基準点のデータ(データファイル)を読み込むためのキーである。読込ステータス505は、CADファイルとデータファイルの読込状況を示す。読込ステータス505には、未だCADファイルとデータファイルが読み込まれていないため、何も表示されていない。CADファイル保存キー506は、読み込んだCADファイルを測量者用端末装置12に保存するためのキーであり、データファイル保存キー507は、読み込んだデータファイルを測量者用端末装置12に保存するためのキーである。
さて、測量者が、CADファイル読込キー503を選択すると、基準点表示制御部201は、ファイルボックス中に存在するCADファイルを選択可能に表示するため、測量者が、CADファイルの中から、測量現場に対応するCADファイル(例えば、「A−1」)を選択すると、基準点表示制御部201は、選択されたCADファイル(「A−1」)を読み込む。同様に、測量者が、データファイル読込キー504を選択すると、基準点表示制御部201は、ファイルボックス中に存在するデータファイルを選択可能に表示するため、測量者が、データファイルの中から、測量現場に対応するデータファイル(例えば、「a−1」)を選択すると、基準点表示制御部201は、選択されたデータファイル(「a−1」)を読み込む。
ここで、測量者が、同一の測量現場のCADファイルとデータファイルとを認識することが出来るように、CADファイルとデータファイルとに同一の測量現場に関係する同一又は類似のファイル名を設定しておくと好ましい。
さて、CADファイルとデータファイルの読込が完了すると、図5Bに示すように、読込ステータス505には、選択されたCADファイル(「A−1」)とデータファイル(「a−1」)が表示される。これにより、測量者は、CADファイルとデータファイルの読込状況を確認することが出来る。
そして、測量者は、CADファイル保存キー506を選択すると、基準点表示制御部201は、読み込んだCADファイル(「A−1」)を測量者用端末装置12の記憶部に記憶させる。又、測量者は、データファイル保存キー507を選択すると、基準点表示制御部201は、読み込んだデータファイル(「a−1」)を測量者用端末装置12の記憶部に記憶させる。これにより、CADファイルとデータファイルとが測量者用端末装置12で読み出し可能となり、測量者は、測量者用端末装置12でCADファイルとデータファイルを編集したり追加したりすることが出来る。
尚、上述では、測量者は、ネットワーク15上のファイルボックスを利用して、測量現場のCADファイルとデータファイルとを読み込んで保存したが、他の方法として、測量者用端末装置12の記憶部に予めCADファイルとデータファイルとが記憶されている場合は、測量者は、測量者用端末装置12におけるCADファイルとデータファイルとを選択することで、CADファイルとデータファイルとを読み出しても良い。
CADファイルとデータファイルの読み出しが完了すると、基準点表示制御部201は、CADファイルとデータファイルとに基づいて、測量現場の図面上に複数の基準点を表示させる。具体的には、基準点表示制御部201は、保存されたCADファイルを展開する。CADファイルは、基本的に、測量座標系のXY座標系で描かれた測量現場の2次元図面であるが、測量座標系のZ値が入力されたXYZ座標系で描かれた測量現場の3次元図面でも構わない。次に、基準点表示制御部201は、保存されたデータファイルを参照すると、データファイル600には、図6Aに示すように、点の種類601(例えば、「基準点1」)に、点名602(例えば、「KK−1」)と、測量座標系における座標603(例えば、XY座標値、又はXYZ座標値)と、点に設置されるターゲットのターゲット情報604(例えば、ターゲットタイプ、プリズム定数、プリズムサイズ)とが関連付けて記憶されている。データファイル600は、測量者、監督者等が測量現場に応じて予め作成されており、基準点とその座標(XY座標値、又はXYZ座標値)が予め登録されている。
基準点表示制御部201は、データファイル600の点の種類601のうち、基準点(「基準点1」)の座標603を取得し、取得した基準点の座標603のXY座標値を、CADファイルの測量現場の図面のXY座標系にプロットすることで、図6Bに示すように、測量現場の図面605の上に基準点606aを表示させる。基準点表示制御部201は、データファイル600の点の種類601に記憶された全ての基準点に対して、基準点の座標603のXY座標値を測量現場の図面605のXY座標系にプロットすることで、全ての基準点を表示させる。これにより、測量者は、測量現場における測量機10の設置位置の周辺の基準点606の位置を一見して把握することが可能となる。
更に、基準点表示制御部201は、表示した基準点606aの座標603に関連付けられた点名602a(「KK−1」)を、当該基準点606aの近傍に表示することで、測量現場の図面605上の基準点606aを識別出来るようにする。基準点表示制御部201は、測量現場の図面605のXY座標系にプロットした全ての基準点に対して、当該基準点の近傍に点名602を表示することで、測量者は、測量現場においる基準点がどのような名称であるかを一見して確認することが出来る。
さて、複数の基準点が測量現場の図面上に表示されると、次に、測量者は、チルト表示キー402を選択する。すると、測量者用端末装置12の入力部は、チルト表示キー402の選択を受け付け、測量者用端末装置12の傾斜角制御部202は、測量機10のXY傾斜角(X軸方向のX傾斜角とY軸方向のY傾斜角とで構成される水平方向の傾斜角)を取得する(図3:S102)。
具体的には、傾斜角制御部202は、ネットワーク15を介して、測量機用端末装置11と通信し、測量機用端末装置11から測量機10のXY傾斜角を取得する。
傾斜角制御部202は、測量機用端末装置11から測量機10のXY傾斜角を取得すると、取得したXY傾斜角が、測量機10の水平を判定するための所定のXY判定値以内か否かを判定する(図3:S103)。XY判定値は、X軸方向のX判定値とY軸方向のY判定値とで構成され、X傾斜角はX判定値で判定され、Y傾斜角はY判定値で判定される。尚、XY判定値は、測量者、管理者等により適宜設定される。
判定の結果、XY傾斜角がXY判定値以内である場合(図3:S103YES)、言い換えると、X傾斜角がX判定値以内であり、且つ、Y傾斜角がY判定値以内である場合、傾斜角制御部202は、測量機10の水平は正常であると判定し、後方交会キー403と一般測量キー404と杭打ち測量キー405との全てのキーの選択を許可し、チルト表示画面を表示する。
図7Aに示すように、チルト表示画面700には、測量機10のXY傾斜角701と、XY傾斜角に対応して水平器の気泡を模した気泡画像702と、XY判定値に対応する判定線703とが表示される。この場合、チルト表示画面700の気泡画像702は判定線703の内部に表示される。これにより、測量者は、測量機10が水平であることを確認することが出来る。
一方、判定の結果、XY傾斜角がXY判定値を超過した場合(図3:S103NO)、言い換えると、X傾斜角がX判定値を超過した場合、又は、Y傾斜角がY判定値を超過した場合、傾斜角制御部202は、測量機10の水平は異常であると判定し(チルトオーバー)、後方交会キー403と一般測量キー404と杭打ち測量キー405との全てのキーの選択を不許可にして、測量機10への測量指示の送信を禁止する(ロック処理を行う)(図3:S104)。
この場合は、測量現場に設置された測量機10が水平でないため、以後の測量について精度不良になる可能性が高いことから、ロック処理を行うことで、測量者の測量を禁止し、測量ミスを回避し、測量者が誤った条件で測量することを防止する。特に、1人の測量者で行う場合は、このような判定処理は、事前チェックとして極めて有効である。又、チルトオーバーの場合、傾斜角制御部202は、図7Aに示すように、チルト表示画面700の文字を赤字で表示したり、チルト表示画面700にエラー704を表示したり、事務所用端末装置14にエラーを通知したりしても良い。
ここで、ロック処理を解除するためには、S102に戻って、測量者が、測量機10の下方に設けられた整準台を手作業で整準する。又、整準台が自動整準可能な自動整準台の場合は、測量者が、測量者用端末装置12を介して自動整準台に自動調整を行わせる。そして、測量者は、再度、チルト表示キー402を選択すると、傾斜角制御部202が、測量機10のXY傾斜角を取得し(図3:S102)、XY傾斜角をXY判定値で判定し(図3:S103)、XY傾斜角はXY判定値以内となる(図3:S103YES)。そうすることで、傾斜角制御部202が、後方交会キー403と一般測量キー404と杭打ち測量キー405との全てのキーの選択を許可する。
さて、測量機10の水平が正常である状態において、測量者が、後方交会キー403を選択すると、測量者用端末装置12の入力部は、後方交会キー403の選択を受け付け、測量者用端末装置12の仮器械点制御部203は、測量現場の図面のXY座標系における測量機10の仮器械点のXY座標値を取得する(図3:S105)。
仮器械点制御部203が仮器械点のXY座標値を取得する方法に特に限定は無い。例えば、仮器械点制御部203は、後方交会設定画面を表示する。図7Bに示すように、後方交会設定画面705には、仮器械点(推定器械点)に対して、器械登録座標キー706と、GPS座標キー707と、仮器械点の座標708(XYZ座標値)とが表示される。器械登録座標キー706は、測量機10の測量機用端末装置11に登録された器械点のXYZ座標値を取得するためのキーである。GPS座標キー707は、測量者用端末装置12のGPS機能を利用して仮器械点のXY座標値を取得するためのキーである。尚、仮器械点の座標708には、未だ仮器械点の座標が取得されていないため、何も表示されていない。
ここで、測量現場の測量機10の設置場所(XY座標値、又はXYZ座標値)が測量機用端末装置11又は測量者用端末装置12に予め登録されている場合は、測量者は、器械登録座標キー706を選択すると、仮器械点制御部203は、測量機用端末装置11又は測量者用端末装置12から測量機10の設置場所を仮器械点のXY座標値として取得する。
一方、測量現場の測量機10の設置場所が未だ登録されていない場合は、測量者は、測量者用端末装置12を携帯して測量機10の近傍に接近し、測量者用端末装置12が測量機10の近傍に存在する状態において、GPS座標キー707を選択すると、仮器械点制御部203は、測量者用端末装置12のGPS機能に基づいて検出されるGPS座標値(経度、緯度)を測量者用端末装置12の現在位置のXY座標値として認識し、このXY座標値を仮器械点のXY座標値として取得する。つまり、測量者用端末装置12が測量機10の近傍に存在することから、仮器械点制御部203は、測量座標系の測量者用端末装置12の現在位置のXY座標値を測量座標系の測量機10の仮器械点のXY座標値とみなして取得する。これにより、測量者による仮器械点のXY座標値の入力の手間を省略することが出来る。
ここで、仮器械点制御部203が測量者用端末装置12の現在位置のXY座標値を取得する場合、測定者用端末装置12のGPS機能から、GPS座標値を定期的に所定数(例えば、5つ)取得し、取得した所定数のGPS座標値の平均値を算出する。GPS座標値は、X軸方向の経度とY軸方向の緯度とで構成されるため、仮器械点制御部203は、経度と緯度とのそれぞれの平均値を算出することで、GPS座標値の平均値を算出する。そして、仮器械点制御部203は、算出したGPS座標値の平均値を測量者用端末装置12の現在位置のXY座標値、即ち、仮器械点のXY座標値として取得する。これにより、GPS座標値の測定精度を高めるとともに、仮器械点のXY座標値を精度高く取得することが出来る。
又、測量者用端末装置12の現在位置のXY座標値はGPS座標の世界測地系であることから、次に、仮器械点制御部203は、取得した測量者用端末装置12の現在位置のXY座標値の世界測地系を測量座標系に変換することで、測量座標系の測量者用端末装置12の現在位置のXY座標値を取得する。具体的には、仮器械点制御部203は、国土地理院に予め登録された測量現場近傍の公共基準点を用いて、世界測地系の公共基準点のXY座標値と測量座標系の公共基準点のXY座標値との差分を示す座標系差分を算出する。ここで、世界測地系の公共基準点のXY座標値と測量座標系の公共基準点のXY座標値とは、X座標値とY座標値とで構成されるため、仮器械点制御部203は、X座標値とY座標値とのそれぞれの差分を算出することで、X差分とY差分とで構成される座標系差分を算出する。そして、仮器械点制御部203は、算出した座標系差分に基づいて、世界測地系の測量者用端末装置12の現在位置のXY座標値から測量座標系の測量者用端末装置12の現在位置のXY座標値に変換する。
その他に、測量者が、測量現場における測量機10の設置位置を測量現場の図面605上で把握している場合は、測量者が、測量者用端末装置12に測量現場の図面605を表示させ、図8Aに示すように、測量現場の図面605上の測量機10の設置位置をタッチペン800又は指の先端で選択すると、仮器械点制御部203は、タッチペン800等の先端の近傍の点801を検出点として検出し、測量座標系における検出点801の座標値(XY座標値)を仮器械点のXY座標値として取得しても良い。これにより、測量者は、測量現場の図面605を活用して、仮器械点のXY座標値を簡単に取得することが可能となる。
さて、仮器械点制御部203は、仮器械点のXY座標値を取得すると、取得した仮器械点のXY座標値をデータファイル600に記憶させる。ここで、仮器械点の座標値がデータファイル600に記憶される場合は、点の種類601に「仮器械点」が記憶され、点名602に「TS」(測量機10のトータルステーションを示す)が記憶され、測量座標系における座標603に仮器械点の座標のXY座標値が記憶される。ここで、仮器械点の座標がXY座標値で構成されている場合、XYの座標値が記憶され、仮器械点の座標がXYZ座標値で構成されている場合、XYZの座標値が記憶される。
ここで、図7Bにおいて、後方交会設定画面705の仮器械点の座標708には、取得された仮器械点の座標が表示される。ここで、仮器械点の座標がXY座標値で構成されている場合、測量者は、仮器械点の座標のZ座標値を手動で入力すれば良い。
次に、後方交会設定画面705には、図7Bに示すように、仮方向角設定済のチェックボックス709と、サーチ単位キー710と、水平方向のサーチ範囲の入力欄711と、鉛直方向のサーチ範囲の入力欄712とが表示される。仮方向角設定済のチェックボックス709は、測量機10の仮方向角を設定するためのキーである。サーチ単位キー710は、測量機10がターゲットをサーチする際のサーチ範囲の単位(長さ又は角度)を指定するためのキーである。水平方向のサーチ範囲の入力欄711は、指定されたサーチ単位で水平方向のサーチ範囲を入力するための入力欄である。鉛直方向のサーチ範囲の入力欄712は、指定されたサーチ単位で鉛直方向のサーチ範囲を入力するための入力欄である。
ここで、測量者は、測量機10の仮方向角を設定するために、図8Bに示すように、測量機10が設置された状態での望遠鏡の視準方向に測量者用端末装置12の上方向(又は前方向)を一致させた状態にすると、測量者用端末装置12に内蔵されたジャイロコンパス機能により、ジャイロコンパス機能の北を示す方向と測量者用端末装置12の上方向との間の角度が北からの方位角として算出される。そこで、測量者は、測量機10の視準方向に測量者用端末装置12の上方向を一致させた状態で、仮方向角設定済のチェックボックス709(又は、チェックボックス709内のキー)を選択すると、測量者用端末装置12のサーチ条件制御部204は、測量者用端末装置12のジャイロコンパス機能を用いて北に対する測量者用端末装置12の方位角を測量機10の仮方向角として取得する(図3:S106)。測量者用端末装置12の方位角を測量機10の仮方向角とする理由は、後述のように、実際の器械点のXY座標値が決定することで、測量機10の実際の方向角が決定するため、実際の器械点のXY座標値が決定するまで、測量機10の仮方向角は、測量機10の一時的な方向角という意味である。これにより、測量者は、簡単に測量機10の仮方向角を取得することが出来る。
尚、上述では、測量者用端末装置12のジャイロコンパス機能を利用して測量機10の仮方向角を設定したが、他の方法でも良く、例えば、測量者が、携帯用のジャイロコンパスの方位角を測量者用端末装置12に入力することで、サーチ条件制御部204は、入力された方位角を測量機10の仮方向角として取得しても良い。
次に、測量者が、サーチ単位キー710でサーチ範囲の単位(例えば、長さ)を選択し、水平方向のサーチ範囲の入力欄711に所定の値(例えば、3m)と、鉛直方向のサーチ範囲の入力欄712に所定の値(例えば、3m)とを入力すると、サーチ条件制御部204は、水平方向及び鉛直方向のサーチ範囲の入力を受け付ける(図3:S107)。そして、サーチ条件制御部204は、仮器械点のXY座標値と、基準点のXY座標値と、サーチ範囲とに基づいて、仮器械点と基準点との間の相対距離と、測量機10から見て基準点を中心とした測量機10の首振りのサーチ角度とを各基準点毎に算出し、各基準点毎に相対距離とサーチ角度とを関連付けた基準点リストを算出する(図3:S108)。
ここで、サーチ角度は、サーチ範囲に対応して水平方向及び鉛直方向を有し、水平方向のサーチ角度とは、図8Cに示すように、仮器械点802から基準点803に向かう方向に対して、水平方向において基準点803から水平方向のサーチ範囲だけ直角に伸ばした点804を水平方向のサーチ端点とし、仮器械点802と基準点803との第一の直線L1と、仮器械点802と水平方向のサーチ端点804との第二の直線L2とが成す角度αの2倍の角度を意味する。又、鉛直方向のサーチ角度とは、仮器械点802から基準点803に向かう方向に対して、鉛直方向において基準点803から鉛直方向のサーチ範囲だけ直角に伸ばした点805を鉛直方向のサーチ端点とし、仮器械点802と基準点803との第一の直線L1と、仮器械点802と鉛直方向のサーチ端点805との第三の直線L3とが成す角度βの2倍の角度を意味する。サーチ条件制御部204は、第一の直線L1の長さを示す相対距離H(m)と、第二の直線L2の長さを示す水平方向のサーチ範囲A(m)と、第三の直線L3の長さを示す鉛直方向のサーチ範囲B(m)とを、下記の式(1)(2)に代入することで、水平方向及び鉛直方向のサーチ角度2α、2βを容易に算出することが出来る。
2α=tan−1(A/H)*2 ・・・(1)
2β=tan−1(B/H)*2 ・・・(2)
次に、図9Aに示すように、データファイル600に仮器械点のXY座標値と、各基準点のXY座標値とが関連付けて記憶されているため、サーチ条件制御部204は、データファイル600を用いて、所定の基準点(例えば、「基準点1」)に対して、仮器械点と基準点との間の相対距離Hを算出し、算出した相対距離Hと、入力された水平方向及び鉛直方向のサーチ範囲A、Bとを上記の式(1)(2)に入力することで、水平方向及び鉛直方向のサーチ角度2α、2βとを算出する。そして、サーチ条件制御部204は、算出した相対距離900と水平方向及び鉛直方向のサーチ角度901、902とをデータファイル600に記憶させる。サーチ条件制御部204は、データファイル600に記憶された全ての基準点に対して、相対距離900と水平方向及び鉛直方向のサーチ角度901、902とを算出することで、基準点リストを算出する。
ここで、上記の式(1)(2)から、相対距離Hが長い程、水平方向及び鉛直方向のサーチ角度2α、2βが小さくなることが理解される。そのため、相対距離Hが長い基準点で測量機10がターゲットをサーチすると、測量機10の首振りのサーチ角度が小さくて済むことから、サーチ時間を短くすることが出来る。
尚、測量者が、サーチ単位キー710でサーチ範囲の単位(例えば、角度)を選択し、水平方向のサーチ範囲の入力欄711に所定の値(例えば、3度)と、鉛直方向のサーチ範囲の入力欄712に所定の値(例えば、3度)とを入力した場合、サーチ条件制御部204は、水平方向及び鉛直方向のサーチ範囲の入力を受け付け(図3:S107)、仮器械点と基準点との間の相対距離を算出し、上記の式(1)(2)を用いずに、入力された水平方向及び鉛直方向のサーチ範囲(入力された角度)を2倍した角度をそのまま水平方向及び鉛直方向のサーチ角度として算出して、基準点リストを算出することになる(図3:S108)。
さて、基準点リストが算出されると、測量者用端末装置12の基準点選択制御部205は、基準点リストの基準点を、当該基準点の相対距離Hが長い順に選択可能に測量者用端末装置12に表示させる(図3:S109)。
基準点選択制御部205が基準点リストの基準点を表示する方法に特に限定は無い。例えば、基準点を選択するための後方交会測定画面903には、図9Bに示すように、第一の選択基準点の選択欄904と、第一の選択基準点の詳細情報905(XYZ座標及びターゲット情報)と、第一の選択基準点の視準高の入力欄906と、第二の選択基準点の選択欄907と、第二の選択基準点の詳細情報908(XYZ座標及びターゲット情報)と、第二の選択基準点の視準高の入力欄909と、測定キー910とが表示される。
ここで、基準点選択制御部205は、データファイル600の相対距離900のうち、相対距離900が最も長い基準点(例えば、「基準点2」)を第一の候補基準点として取得し、相対距離900が2番目に長い基準点(例えば、「基準点3」)を第二の候補基準点として取得する。そして、基準点選択制御部205は、第一の選択基準点の選択欄904に第一の候補基準点(「基準点2」)を最初に表示し、第二の選択基準点の選択欄907に第二の候補基準点(「基準点3」)を最初に表示する。つまり、基準点選択制御部205は、第一の候補基準点(「基準点2」)と第二の候補基準点(「基準点3」)とを後方交会測定画面903に相対距離Hが長い順番に優先的に選択可能に表示させる。これにより、測量者は、測量現場に合わせて、サーチ時間が短くなる基準点を容易に選択することが可能となる。
尚、上述では、基準点選択制御部205は、相対距離Hが長い基準点を優先的に表示させたが、更に、他の条件を追加しても構わない。例えば、測量機10の器械点を決定する後方交会では、図10Aに示すように、器械点802と第一の選択基準点1000との第一の基準点直線LS1と、器械点802と第二の選択基準点1001との第二の基準点直線LS2とが成す後方交会の角度γが重要である。測量機10の器械点を精度高く決定するためには、後方交会の角度γが、40度〜160度の範囲内であると好ましく、60度〜140度の範囲内であると更に好ましい。そのため、基準点選択制御部205が、相対距離Hが長い基準点のうち、且つ、仮器械点のXY座標値と第一の候補基準点のXY座標値との第一の基準点直線LS1と、仮器械点のXY座標値と第二の候補基準点のXY座標値との第二の基準点直線LS2とが成す後方交会の角度γが40度〜160度の範囲内である第一の候補基準点と第二の候補基準点とを優先的に選択可能に表示させても良い。
尚、第一の選択基準点の選択欄904と第二の選択基準点の選択欄907では、基準点リストの基準点を、例えば、プルダウン形式で選択することが出来るため、測量者が選択欄904、907を操作することで、基準点選択制御部205は、データファイル600の基準点リストの基準点を呼び出し、最初に優先的に表示させた第一の候補基準点及び第二の候補基準点以外の基準点を選択可能に表示させる。これにより、測量者は、測量現場に合わせて、所望の基準点を任意に選択することが出来る。
さて、測量者が、第一の選択基準点の選択欄904で第一の基準点(「基準点2」)を選択し、第二の選択基準点の選択欄907で第二の基準点(「基準点3」)を選択すると(図3:S110YES)、基準点選択制御部205は、データファイル600から、第一の選択基準点の選択欄904で選択された第一の選択基準点(「基準点2」)のXYZ座標及びターゲット情報を第一の選択基準点の詳細情報905に表示し、第二の選択基準点の選択欄907で選択された第二の基準点(「基準点3」)のXYZ座標及びターゲット情報を第二の選択基準点の詳細情報908に表示する。これにより、測量者は、選択した2つの基準点の詳細情報を確認することが出来る。尚、基準点選択制御部205が、測量者の操作により、第一の選択基準点の詳細情報905と第二の選択基準点の詳細情報908で、ターゲット情報(ターゲットタイプ、プリズム定数、プリズムサイズ)を変更するよう構成しても良い。
そして、測量者は、測量現場に合わせて、第一の選択基準点の視準高の入力欄906に所定の値を入力するとともに、第二の選択基準点の視準高の入力欄909に所定の値を入力すると、基準点選択制御部205は、入力された第一の選択基準点の視準高と第二の選択基準点の視準高との入力を受け付ける。このようにして、後方交会に必要な2つの選択基準点の設定が完了する。
尚、2つの選択基準点の選択について、測量機10と測量機用端末装置11との使用方法に応じて、適宜設計しても良い。例えば、測量機10と測量機用端末装置11とが固定式の場合は、2つの選択基準点が原則的に決定され易いため、第一の候補基準点と第二の候補基準点とを第一の選択基準点と第二の選択基準点とに自動的に選択するように構成しても良い。一方、測量機10と測量機用端末装置11とが可搬式の場合は、測量機10の設置場所が適宜変更され得るため、第一の候補基準点及び第二の候補基準点以外の基準点を任意に選択できるように構成しても良い。
そして、測量者が、測定キー907を選択すると(図3:S111YES)、測量者用端末装置12の実際器械点制御部206は、測量現場における2つの選択基準点のターゲットのそれぞれに対して、測量機10の仮方向角とサーチ角度とを用いて測量機10に自動視準を行わせ、測量機10から見た選択基準点のターゲットの方向角と、測量機10と選択基準点のターゲットとの間の距離とを測定することで、測量機10の実際の器械点のXY座標値を算出する。
実際器械点制御部206が実際の器械点のXY座標値を算出する方法に特に限定は無い。例えば、実際器械点制御部206は、図10Bに示すように、仮器械点802のXY座標値と第一の選択基準点1002のXY座標値とに基づいて、測量機10から第一の選択基準点1002に対する第一の方向角C1(度)を算出し、ネットワーク15を介して測量機用端末装置11に送信する。
これに対して、測量機用端末装置11は、第一の方向角C1を受信すると、測量現場において、受信した第一の方向角C1に基づいて、測量機10を第一の選択基準点1002(「KK−2」)のターゲット2bに回転させる(図3:S112)。
次に、実際器械点制御部206は、データファイル600から、第一の選択基準点1002に対する水平方向及び鉛直方向のサーチ角度C2(度)、C3(度)を、ネットワーク15を介して測量機用端末装置11に送信する。尚、図10Bには、水平方向のサーチ角度C2を表示している。
これに対して、測量機用端末装置11は、測量現場において、受信した水平方向及び鉛直方向のサーチ角度C2、C3に基づいて測量機10に自動視準をさせる(ターゲット検索)(図3:S113)。
そして、図11Aに示すように、測量機10が、第一の選択基準点1002(「KK−2」)に設置されたターゲット2bを見つけて、自動視準を完了すると、検索したターゲット2bの方向角C4(度)と、測量機10とターゲット2bとの間の距離C5(m)とを測定し(測角、測距)、測量機用端末装置11は、ネットワーク15を介して第一の選択基準点1002のターゲット2bの方向角C4と距離C5とを測量者用端末装置12に送信し、測量者用端末装置12の実際器械点制御部206は、第一の選択基準点1002のターゲット2bの方向角C4と距離C5とを受信し取得する(図3:S114)。
ここで、未だ第二の選択基準点の方向角と距離とを測定していないため(図3:S115NO)、S112に戻り、今度は、実際器械点制御部206は、図10Bに示すように、仮器械点208のXY座標値と第二の選択基準点1003のXY座標値とに基づいて、測量機10から第二の選択基準点1003に対する第二の方向角D1(度)を算出し、ネットワーク15を介して測量機用端末装置11に送信する。測量機用端末装置11は、第二の方向角D1を受信すると、測量現場において、受信した第二の方向角D1に基づいて測量機10を第二の選択基準点1003(「KK−3」)のターゲット2cに回転させる(図3:S112)。
そして、実際器械点制御部206は、第二の選択基準点1003に対する水平方向及び鉛直方向のサーチ角度D2(度)、D3(度)を、ネットワーク15を介して測量機用端末装置11に送信し、測量機用端末装置11は、測量現場において、受信した水平方向及び鉛直方向のサーチ角度D2、D3に基づいて、測量機10に自動視準をさせる(図3:S113)。
ここで、図11Aに示すように、測量機10が、第二の選択基準点1003(「KK−3」)に設置されたターゲット2cを見つけて、自動視準を完了すると、検索したターゲット2cの方向角D4(度)と、測量機10とターゲット2cとの間の距離D5(m)とを測定し、測量機用端末装置11は、ネットワーク15を介して第二の選択基準点1003の方向角D4と距離D5とを測量者用端末装置12に送信し、測量者用端末装置12の実際器械点制御部206は、第二の選択基準点1003の方向角D4と距離D5とを受信し取得する(図3:S114)。
ここで、2つの選択基準点1002、1003の方向角C4、D4と距離C5、D5の測定が完了したため(図3:S115YES)、実際器械点制御部206は、第一の選択基準点1002のXY座標値と方向角C4と距離C5と、第二の選択基準点1003のXY座標値と方向角D4と距離D5とに基づいて、測量機10の実際の器械点のXY座標値を算出する(図3:S116)。実際の器械点のXY座標値の算出は、公知の後方交会の手法を用いれば良い。
次に、実際器械点制御部206は、実際の器械点のXY座標値を算出すると、実際の器械点のXY座標値と、第一の選択基準点1002のターゲット2bへの方向角C4と距離C5とに基づいて、第一の選択基準点1002のXY座標値を算出し、算出した第一の選択基準点1002のXY座標値を算出XY座標値とし、データファイル600に記憶された第一の選択基準点1002のXY座標値を登録XY座標値として、第一の選択基準点1002の算出XY座標値と登録XY座標値との差分を示す第一の選択基準点差分を算出し、第一の選択基準点差分が、器械点のXY座標値の正常性を判定するための所定の選択基準点判定値以内か否かを判定する(図3:S117)。
判定の結果、第一の選択基準点差分が選択基準点判定値以内である場合(図3:S117YES)、実際器械点制御部206は、実際の器械点のXY座標値は正常であると判定し、一般測量キー404と杭打ち測量キー405の選択を許可し、測定結果画面を表示する。
測定結果画面1100には、図11Bに示すように、実際の器械点の座標1101(XYZ座標値)と、第一の選択基準点の算出座標1102(算出XY座標値を含む)と、第一の選択基準点差分を示す差分情報1103(誤差情報)と、登録キー1104が表示される。これにより、測量者は、後方交会により得られた測定結果を確認することが出来る。
一方、第一の選択基準点差分が選択基準点判定値を超過した場合(図3:S117NO)、実際器械点制御部206は、実際の器械点のXY座標値は異常であると判定し、一般測量キー404と杭打ち測量キー405の選択を不許可にして、測量機10への測量指示の送信を禁止する(ロック処理を行う)(図3:S118)。
この場合は、何らかの原因により実際の器械点のXY座標値は正確に測れていないため、以後の測量について精度不良になる可能性が高いことから、ロック処理を行うことで、測量者の測量を禁止し、測量ミスを回避し、測量者が誤った条件で測量することを防止する。又、ロック処理が行われた場合、実際器械点制御部206は、例えば、測定結果画面1100にエラーを表示したり、事務所用端末装置14にエラーを通知したりしても良い。
ここで、ロック処理を解除するためには、S110に戻って、測量者が、先ほど選択した2つの選択基準点の組み合わせとは別の2つの選択基準点の組み合わせを選択し(図3:S110)、再度、後方交会を行って、新たな実際の器械点のXY座標値の算出を行い(図3:S116)、第一の選択基準点の算出XY座標値を算出して、第一の選択基準点差分を判定し(図3:S117)、第一の選択基準点差分は選択基準点判定値以内となる(図3:S117YES)。そうすることで、実際器械点制御部206は、一般測量キー404と杭打ち測量キー405の選択を許可することが出来る。
尚、上述では、実際の器械点のXY座標値の正常性を判定するために、実際器械点制御部206が、第一の選択基準点1002のXY座標値を算出し、第一の選択基準点差分を算出して、選択基準点判定値と比較したが、これに限定する必要は無い。例えば、実際器械点制御部206が、実際の器械点のXY座標値と、第二の選択基準点1003のターゲット2cへの方向角D4と距離D5とに基づいて、第二の選択基準点1003のXY座標値を算出し、第二の選択基準点1003のXY座標値から、第二の選択基準点差分を算出して、選択基準点判定値と比較しても構わない。第一の選択基準点1002及び第二の選択基準点1003の両方を活用しても良い。
さて、測量者が、測定結果画面1100の登録キー1104を選択すると、実際器械点制御部206は、図12Aに示すように、データファイル600の点の種類601の「仮器械点」を「器械点」に更新し、「器械点」の座標603に実際の器械点の座標(XY座標値を含む)を記憶させる。そして、実際の器械点の座標が決定すると、実際器械点制御部206は、測量機10の実際の方向角を算出して設定する(図3:S119)。実際器械点制御部206は、測量機10の実際の方向角を設定する際に、測量機10の望遠鏡を北方向に向けて実際の方向角を0度に設定しても良い。これにより、一般測量又は杭打ち測量の前段階の器械点測定が完了する。
尚、実際の器械点の座標が記憶(登録)されると、実際器械点制御部206は、ネットワーク15を介して測量機用端末装置11に実際の器械点の座標(XYZ座標値)を登録させる。これにより、測量者が、後方交会設定画面705の器械登録座標キー706を選択すると、仮器械点制御部203は、測量機用端末装置11又は測量者用端末装置12から器械点の座標を取得することが出来る。
又、この時点では、測量機10実際の器械点の座標及び方向角と、測量者用端末装置12の現在位置のXY座標値と方向角が既知であることから、基準点表示制御部201は、図12Bに示すように、測量現場の図面605の上に測量機10の器械点1200と視準方向1201と、測量者用端末装置12の現在位置1202と上方向1203とを表示させる。又、基準点表示制御部201は、測量現場の図面605の上に測量者用端末装置12のジャイロコンパス機能の方位角1204を表示させる。これにより、測量者は、測量現場における測量機10と測量者用端末装置12との位置関係を容易に理解することが出来る。
<一般測量>
図13は、本発明の実施形態に係る一般測量の実行手順を示すためのフローチャートである。器械点測定が完了し、測量者は、トップ画面400の一般測量キー404を選択すると、測量者用端末装置12の入力部は、一般測量キー404の選択を受け付け(図13:S201YES)、測量者用端末装置12の測量制御部207は、一般測量設定画面を表示する。
一般測量設定画面1400には、図14Aに示すように、一般測量対象の観測点の選択欄1401と、観測点の詳細情報1402(XYZ座標及びターゲット情報)と、観測点の視準高の入力欄1403とが表示される。尚、未だ観測点が選択されていないため、観測点の詳細情報1402には何も表示されない。
ここで、観測点の選択欄1401には、データファイル600に予め登録された点(基準点、観測点等)が選択可能に表示される。所望の観測点が予め登録されている場合は、測量者が、観測点の選択欄1401を用いて所望の観測点を選択することが出来る。
一方、所望の観測点が登録されていない場合、測量者がその場で所望の観測点を登録して、登録した観測点を観測点の選択欄1401で選択しても良い。具体的には、測量者が、測量現場の図面605を表示させ、図14Bに示すように、測量現場の図面605上の所望の観測点をタッチペン1409又は指等の先端で選択すると、基準点表示制御部201は、タッチペン1409等の先端の近傍の点1410を検出点として検出し、測量座標系における検出点1410の座標(XY座標値)を取得する。そして、基準点表示制御部201は、測量者に対して、取得した検出点1410の座標の点の種類を問い合わせ、測量者が検出点1410の点の種類(例えば、「観測点1」)を入力すると、基準点表示制御部201は、図15Aに示すように、データファイル600の点の種類601に検出点1410の「観測点1」と、「観測点1」の座標603に検出点1410の座標(XY座標値)を記憶させる。これにより、測量者は簡単に観測点を追加して登録することが出来る。尚、観測点の座標のうち、Z座標値とターゲット情報は、測量者により別途入力されることで、データファイル600に記憶される。
さて、測量者は、観測点の選択欄1401で所定の観測点(「観測点1」)を選択すると(図13:S202YES)、測量制御部207は、データファイル600から、選択された観測点(「観測点1」)のXYZ座標及びターゲット情報を観測点の詳細情報1402に表示する。そして、測量者は、測量現場に合わせて、観測点の視準高を入力欄1403に入力し、測量制御部207は、観測点の視準高の入力欄1403に入力値を表示する。これにより、測量者は、選択した観測点の詳細情報を確認することが出来る。
又、一般測量設定画面1400には、図14Aに示すように、サーチ単位キー1404と、水平方向のサーチ範囲の入力欄1405と、鉛直方向のサーチ範囲の入力欄1406と、観測点へ向けて回転キー1407と、タブレット(測量者用端末装置12)へ向けて回転キー1408とが表示される。観測点へ向けて回転キー1407は、測量機10を観測点へ向けて回転させるためのキーであり、タブレットへ向けて回転キー1408は、測量機10を測量者用端末装置12(タブレット)へ向けて回転させるためのキーである。
ここで、測量者は、サーチ単位キー1404でサーチ範囲の単位(例えば、長さ)を選択し、水平方向のサーチ範囲の入力欄1405に所定の値(例えば、3m)と、鉛直方向のサーチ範囲の入力欄1406に所定の値(例えば、3m)とを入力すると、測量制御部207は、水平方向及び鉛直方向のサーチ範囲の入力を受け付け、実際の器械点のXY座標値と、観測点のXY座標値と、水平方向及び鉛直方向のサーチ範囲とに基づいて、測量機10から見て観測点を中心とした測量機10が首振りする水平方向及び鉛直方向のサーチ角度を算出する(図13:S203)。サーチ角度の算出方法は、上述と同様であるため、その説明を省略する。
更に、測量者が、観測点へ向けて回転キー1407と、タブレットへ向けて回転キー1408のいずれかを選択することで、測量制御部207は、測量機10を所定の方向に回転させる(図13:S204)。
ここで、測量者が、図15Bに示すように、測量現場における観測点(「観測点1」)にターゲット2dを設置し、その状態で、観測点に向けて回転キー1507を選択する。すると、測量制御部207は、実際の器械点のXY座標値と観測点(「観測点1」)のXY座標値とに基づいて、測量機10から観測点(「観測点1」)に対する方向角を算出し、ネットワーク15を介して測量機用端末装置11に送信する。そして、測量機用端末装置11は、観測点(「観測点1」)の方向角に基づいて、測量機10を観測点(「観測点1」)のターゲット2dに回転させる。このように、測量者は、キー操作により、測量機10を観測点(「観測点1」)のターゲット2dに向けて自動的に回転させることが出来るため、測量者が測量機10を手動で回転させる必要が無くなり、1人の測量者で簡単に、且つ、効率的に測量を進めることが出来る。
又、測量者が、図15Bに示すように、測量現場における観測点(「観測点1」)にターゲット2dを設置し、ターゲット2dの付近に測量者用端末装置12を持っていき、ターゲット2dの付近に測量者用端末装置12が存在する状態において、タブレットへ向けて回転キー1408を選択する。すると、測量制御部207は、測量者用端末装置12のGPS機能から、世界座標系の測量者用端末装置12の現在位置のXY座標値を取得し、測量座標系の測量者用端末装置12の現在位置のXY座標値に変換し、測量座標系の測量者用端末装置12の現在位置のXY座標値を観測点(「観測点1」)のXY座標値にみなして、実際の器械点のXY座標値と、観測点(「観測点1」)のXY座標値とに基づいて、測量機10から観測点(「観測点1」)に対する方向角を算出し、ネットワーク15を介して測量機用端末装置11に送信する。そして、測量機用端末装置11は、観測点(「観測点1」)の方向角に基づいて、測量機10を観測点(「観測点1」)のターゲット2dに回転させる。このように、測量者用端末装置12を携帯した測量者が、観測点(「観測点1」)に設置されたターゲット2dの付近に存在する状態で、キー操作することで、測量機10を観測点(「観測点1」)のターゲット2dに向けて自動的に回転させて測定させることが出来るため、この場合であっても、測量者が測量機10を手動で回転させる必要が無くなり、1人の測量者で簡単に、且つ、効率的に測量を進めることが出来る。
次に、測量制御部207は、測量現場における観測点(「観測点1」)のターゲット2dに対して、観測点(「観測点1」)のサーチ角度を用いて測量機10に自動視準を行わせる(図13:S205)。ここで、測量機10は、ターゲット2dの方向に既に回転していることから、測量機10は、ターゲット2dに対して容易に視準することが出来る。
そして、測量制御部207は、一般測量測定画面を表示する。一般測量測定画面1600には、図16Aに示すように、観測点の選択欄1601と、自動追尾開始キー1602と、単発測定開始キー1603と、連続測定開始キー1604とが表示される。一般測量測定画面1600において、測量者は、既に観測点(「観測点1」)を選択しているため、観測点の選択欄1601には、測量者が選択した観測点(「観測点1」)が表示されるが、この画面でも、測量者が選択欄1601を操作して他の観測点を変更することは可能である。
ここで、測量者が、観測点(「観測点1」)のターゲット2dを少し動かす場合、自動追尾開始キー1602を選択すると(図13:S206YES)、測量制御部207は、視準したターゲット2dを測量機10に自動追尾させる。これにより、ターゲット2dの位置の微調整が可能である。一方、測量者が、自動追尾開始キー1602を選択しない場合(図13:S206NO)、測量制御部207は、測量機10をターゲット2dに自動視準させたままにする。
そして、測量者が、単発測定を行う場合は、単発測定キー1603を選択すると(図13:S207YES)、測量制御部207は、測量機10に観測点(「観測点1」)のターゲット2dのXY座標値を測定させる(図12:S208)。ターゲット2dのXY座標値の測定は、通常の測量機10での測定と同様である。これにより、観測点(「観測点1」)の測定が完了する。
観測点の測定が完了すると、一般測量測定画面1600には、図16Aに示すように、観測点の測定結果1605(XYZ座標値、斜距離、鉛直角、水平角)と、登録キー1606とが表示される(図13:S209)。尚、測量制御部207は、観測点のXY座標値から、観測点の座標の斜距離、水平角、鉛直角を算出した上で、その結果を観測点の測定結果1605に表示させる。これにより、測量者は、観測点の測定結果が良好か否かを確認することが出来る。
ここで、単発測定キー1603が選択されている場合は、測量制御部207は、測量機10による観測点(「観測点1」)の測定を完了する(図13:S210NO)。一方、測量者が、単発測定キー1603の代わりに連続測定開始キー1604を選択していた場合(図13:S210YES)、測量制御部207は、S208に戻って、測量機10にターゲット2dのXY座標値を定期的に測定させ(図13:S208)、測定した観測点のターゲット2dのXY座標値を定期的に更新して表示させる(図12:S209)。これにより、連続測定を可能とする。ここで、連続測定の測定結果は、履歴として記憶部に記憶させておき、後から確認することが出来ると好ましい。又、測量者が、連続測定を停止させたい場合は、再度、連続測定開始キー1604を選択することで、測量制御部207は、測量機10に連続測定を停止させる(図13:S210NO)。
そして、測量機10に自動追尾を行わせている場合は、測量者が、再度、自動追尾開始キー1602を選択することで、測量制御部207は、測量機10に自動追尾を停止させる(図13:S211YES)。一方、測量者が、自動追尾開始キー1602を選択していない場合、測量制御部207は、特に停止処理を行わない(図12:S211NO)。
そして、測量者が、測定結果を登録したい場合は、一般測量測定画面1600の登録キー1606を選択すると、測量制御部207は、測量者に登録対象の観測点(「観測点1」)の点名を問い合わせ、測量者が観測点の点名(例えば、「KS−1」)を入力すると、測量制御部207は、図16Bに示すように、データファイル600の点の種類601の観測点「観測点1」の点名602に「KS−1」と、「観測点1」の座標603に測定結果の座標を記憶させる(図13:S212YES)。これにより、測量対象の観測点を登録することが出来る。尚、測量者が、測量結果を登録しない場合は、登録キー1606を選択しなければ良い(図13:S212NO)。
<杭打ち測量>
図17は、本発明の実施形態に係る杭打ち測量の実行手順を示すためのフローチャートである。器械点測定が完了すると、測量者は、トップ画面400の杭打ち測量キー405を選択すると、測量者用端末装置12の入力部は、杭打ち測量キー405の選択を受け付け(図17:S301YES)、測量制御部207は、杭打ち測量設定画面を表示する。
杭打ち測量設定画面1800には、図18Aに示すように、杭打ち対象の観測点(杭打ち点)の選択欄1801と、観測点の詳細情報1802(XYZ座標及びターゲット情報)と、観測点の視準高の入力欄1803とが表示される。尚、未だ観測点が選択されていないため、観測点の詳細情報1802には何も表示されない。
ここで、観測点の選択欄1801には、上述と同様に、データファイル600に予め登録された点(基準点、観測点等)が選択可能に表示される。所望の観測点が予め登録されている場合は、測量者が、観測点の選択欄1801を用いて所望の観測点を選択する。又、所望の観測点が登録されていない場合、測量者が、上述と同様に、測量現場の図面605上の所定の位置を選択することで、所望の観測点を登録する。
さて、測量者は、観測点の選択欄で所定の観測点(「観測点2」)を選択すると(図17:S302)、測量制御部207は、データファイル600から、選択された観測点(「観測点2」)のXYZ座標及びターゲット情報を観測点の詳細情報1802に表示する。そして、測量者は、測量現場に合わせて、観測点の視準高を入力欄1803に入力し、測量制御部207は、観測点の視準高の入力欄1803に入力値を表示する。これにより、杭打ち対象の観測点(杭打ち点)の詳細情報を取得することが出来る。
又、一般測量設定画面1800には、図18Aに示すように、誘導感度の入力欄1804と、誘導表示最大距離の入力欄1805と、サーチ単位キー1806と、水平方向のサーチ範囲の入力欄1807と、鉛直方向のサーチ範囲の入力欄1808と、杭打ち点へ向けて回転キー1809と、タブレットへ向けて回転キー1810と、自動追尾開始キー1811とが表示される。
誘導感度とは、観測点(杭打ち点)を中心とした所定の範囲を意味し、ターゲットの存在位置が、杭打ち点を中心とした誘導感度の範囲内であると、ターゲットが杭打ち点にあると判定し、ターゲットの存在位置が誘導感度の範囲外であると、ターゲットが未だ杭打ち点に接近していないと判定する。誘導表示最大距離とは、誘導表示の最大メモリを意味する。又、杭打ち点へ向けて回転キー1809は、測量機10を杭打ち点へ向けて回転させるためのキーであり、タブレットへ向けて回転キー1810は、測量機10を測量者用端末装置12へ向けて回転させるためのキーである。
ここで、測量者は、誘導感度の入力欄1804に所定の値(例えば、5mm)を入力し、誘導表示最大距離の入力欄1805に所定の値(例えば、1000mm)を入力すると、測量制御部207は、入力された値に基づいて、杭打ち測量の誘導条件の設定を行う(図17:S303)。
又、測量者は、サーチ単位キー1706でサーチ範囲の単位(例えば、長さ)を選択し、水平方向のサーチ範囲の入力欄1707に所定の値(例えば、3m)と、鉛直方向のサーチ範囲の入力欄1708に所定の値(例えば、3m)とを入力すると、測量制御部207は、水平方向及び鉛直方向のサーチ範囲の入力を受け付け、実際の器械点のXY座標値と、観測点のXY座標値と、水平方向及び鉛直方向のサーチ範囲とに基づいて、測量機10から見て観測点を中心とした測量機10が首振りする水平方向及び鉛直方向のサーチ角度を算出する(図17:S304)。サーチ角度の算出方法は、上述と同様であるため、その説明を省略する。
次に、測量者が、杭打ち点へ向けて回転キー1809と、タブレットへ向けて回転キー1810のいずれかを選択することで、測量制御部207は、測量機10を所定の方向に回転させる(図17:S305)。
ここで、杭打ち点へ向けて回転キー1809の選択は、上述のように、観測点に向けて回転キー1407の選択と同様である。つまり、測量者が、測量現場における観測点にターゲットを設置し、その状態で、杭打ち点へ向けて回転キー1809を選択すると、測量制御部207は、実際の器械点のXY座標値と観測点(「観測点2」)のXY座標値とに基づいて、測量機10を観測点のターゲットに回転させる。又、タブレットへ向けて回転キー1810の選択は、上述のように、タブレットへ向けて回転キー1408の選択と同様であるため、その説明を省略する。このように、上述と同様に、測量者が測量機10を手動で回転させる必要が無くなり、1人の測量者で簡単に、且つ、効率的に測量を進めることが出来る。
次に、測量制御部207は、測量現場における観測点(「観測点2」)のターゲットに対して、観測点(「観測点2」)のサーチ角度を用いて測量機10に自動視準を行わせる(図17:S306)。ここで、測量機10は、ターゲットの方向に既に回転していることから、測量機10は、ターゲットに対して容易に視準することが出来る。
更に、測量者が、自動追尾開始キー1811を選択すると(図17:S307YES)、測量制御部207は、視準したターゲットを測量機10に自動追尾させる。これにより、杭打ち測量の準備が整う。一方、測量者が、自動追尾開始キー1811を選択しない場合(図17:S307NO)、杭打ち測量では、測量制御部207は、次の処理に進まない。
測量機10がターゲットを自動追尾している状態では、測量制御部207は、杭打ち測量測定画面を表示する。杭打ち測量測定画面1812には、図18Bに示すように、杭打ち対象の観測点の選択欄1813と、連続測定開始キー1814と、単発測定開始キー1815とが表示される。
杭打ち測量測定画面1812において、測量者は、既に観測点を選択しているため、観測点の選択欄1813には、測量者が選択した観測点(「観測点2」)が表示されるが、この画面でも、測量者が選択欄1813を操作して観測点を変更することは可能である。
次に、測量者は、連続測定開始キー1814を選択すると(図17:S308YES)、測量制御部207は、連続測定開始キー1814を連続測定停止キーに変え、測量機10に観測点(「観測点2」)のターゲットのXY座標値を測定させる(図17:S309)。ターゲットのXY座標値の測定方法は、上述と同様である。そして、測量機10が観測点におけるターゲットのXY座標値の測定を完了すると、測量制御部207は、測量機10からネットワークを介して観測点の測定座標を受信し、設定された誘導条件(誘導感度、誘導表示最大距離)と観測点の測定座標とに基づいた杭打ち測量結果画面を表示させる(図17:S310)。
杭打ち測量結果画面1816には、図18Bに示すように、X軸方向とY軸方向における杭打ち点誘導表示1817と、表示タイプの選択欄1818と、表示単位の選択欄1819と、一方向における杭打ち点誘導表示1820とが表示される。X軸方向とY軸方向における杭打ち点誘導表示1817は、予め入力されていた観測点の登録XY座標値と、測定された観測点の測定XY座標値との差分をX軸方向とY軸方向の矢印で示した表示であり、設定された誘導表示最大距離を最大メモリとして表示される。X軸方向とY軸方向における杭打ち点誘導表示1817は、直感的に分かる矢印表示の他に差分の数字表示であっても良いし、例えば、「杭打ち点まで前へXmm、右へYmm」等のように、最小限の情報を表示させても良い。表示タイプの選択欄1818では、「前後左右」、「東西南北」等の表示のタイプを選択することが出来る。表示単位の選択欄1819では、「m」、「mm」等の表示の単位を選択することが出来る。一方向における杭打ち点誘導表示1820では、X軸方向とY軸方向のいずれかのうち、観測点の登録XY座標値と測定XY座標値との差分が大きい方向を示した表示である。これにより、測量者は、ターゲットの現在位置が杭打ち点に対してどこにあるかを容易に把握することが出来る。
ここで、測量者が、杭打ち測量結果画面1816を見ながら、ターゲットの現在位置を杭打ち点(観測点の登録座標)に合わせるために、連続測定停止キーを選択せずに(図17:312NO)、ターゲットを移動させる(図17:313)。すると、測量機10は、移動中のターゲットを自動追尾し、S309に戻って、定期的にターゲットのXY座標値を測定する(図17:309)。これにより、測量者は、ターゲットの現在位置を杭打ち点に合わせることが出来る。ここで、連続測定では、ターゲットのXY座標値の測定結果が定期的に得られるため、この測定結果は、履歴として記憶部に記憶させておき、後から確認することが出来ると好ましい。
ここで、測量者がターゲットを大きく移動させることで、測量機10が自動追尾中にターゲットを見失った場合は、測量制御部207は、最初又は直近の測定時の観測点(「観測点2」)のXY座標値に基づいて、測量機10を観測点(「観測点2」)の方向に回転させても良い。これにより、測量機10が自動追尾中にターゲットを見失ったとしても、測量制御部207は、測量機10を前の観測点(「観測点2」)の方向に回転させて、元の状態に戻すため、測量者は容易にやり直すことが可能となる。
さて、測量者が、ターゲットの現在位置を杭打ち点に接近させ、観測点の登録XY座標値と測定XY座標値との差分が誘導感度の範囲内に収まると、X軸方向とY軸方向における杭打ち点誘導表示1817や一方向における杭打ち点誘導表示1820は無くなる。ここで、測量者が、連続測定を停止させたい場合は、連続測定停止キーを選択すると、測量制御部207は、連続測定停止キーを連続測定開始キー1814に変え、測量機10に連続測定を停止させる(図17:311YES)。
そして、測量者が、測定結果(観測点の測定座標)を登録したい場合は、杭打ち測量測定画面1812の登録キーを選択すると、測量制御部207は、測量者に登録対象の観測点の点名を問い合わせ、測量者が観測点の点名(例えば、「KS−2」)を入力すると、測量制御部207は、データファイル600の点の種類601の観測点「観測点2」の点名602に「KS−2」と、「観測点2」の座標603に測定結果の測定座標を記憶させる(図17:313YES)。これにより、杭打ち測量対象の観測点を登録することが出来、誤差の確認に役立てることが出来る。尚、測量者が、測量結果を登録しない場合は、登録キーを選択しなければ良い(図17:313NO)。
尚、杭打ち測量測定画面1812には、単発測定開始キー1815を設けているため、S308において、測量者は、必要に応じて、単発測定開始キー1815を選択することで(図17:S308YES)、測量制御部207は、測量機10に観測点(「観測点2」)のターゲットのXY座標値を測定させる(図17:S309)。この場合は、測量者が、ターゲットを移動させる度に(図17:S312)、単発測定開始キー1815を選択して、測定を実行することになる(図17:S308YES)。
<スケジュール測量>
図19は、本発明の実施形態に係るスケジュール測量の実行手順を示すためのフローチャートである。複数の基準点(チェック点)を所定の時刻で測定するために、測量者は、トップ画面400のスケジュールキーを選択すると、測量者用端末装置12の入力部は、スケジュールキーの選択を受け付け(図19:401YES)、スケジュール制御部208は、スケジュール測量設定画面を表示する。
スケジュール測量設定画面2000には、図20Aに示すように、スケジュール取得キー2001と、チェック点設定の選択欄2002と、追加キー2003と、削除キー2004と、点名変更キー2005と、上へ移動キー2006とが表示される。
測量者が、スケジュール取得キー2001を選択すると、スケジュール制御部208は、スケジュールファイルのうち、スケジュール時刻が関連付けて記憶されたチェック点を取得する(図19:402)。ここで、現時点では、スケジュールファイルにスケジュール時刻が関連付けて記憶されたチェック点が存在しないため、チェック点設定の選択欄2002には、何も表示されない。
測量者が、チェック点を追加するために、追加キー2003を選択すると、スケジュール測量設定画面2007には、図20Aに示すように、基準点の選択欄2008と、スケジュール時刻の入力欄2009と、サーチ単位キー2010と、水平方向のサーチ範囲の入力欄2011と、鉛直方向のサーチ範囲の入力欄2012と、チェック点に追加キー2013と、スケジュールセットキー2014とが表示される。
ここで、測量者は、例えば、基準点の選択欄2008に所定の基準点(「基準点2」)を選択し、スケジュール時刻の入力欄2009に所定の時刻(「t1」)を入力し、サーチ単位キー2010で「長さ」を選択し、水平方向のサーチ範囲の入力欄2011に所定の値(例えば、3m)を入力し、鉛直方向のサーチ範囲の入力欄2012に所定の値(例えば、3m)を入力し、チェック点に追加キー2013を選択する。
すると、スケジュール制御部208は、選択された基準点をチェック点として追加する(図19:403YES)。具体的には、スケジュール制御部208は、スケジュールファイル2015を参照する。スケジュールファイル2015には、図20Bに示すように、スケジュール2016と、チェック点2017とが関連付けて記憶されている。チェック点2017の項目には、データファイル600と同様に、点の種類、点名、測量座標系における座標、ターゲット情報、相対距離、水平方向と鉛直方向のサーチ角度が設けられている。スケジュール制御部208は、スケジュール2016に、入力されたスケジュール時刻(「t1」)を入力し、入力されたスケジュール時刻(「t1」)に対応して、チェック点2017の点の種類に、選択された基準点(「基準点2」)を関連付けて記憶させる。このように、スケジュールファイル2015のスケジュール2016に基準点(「基準点2」)が関連付けて記憶されることで、選択された基準点がチェック点2017として追加される。
次に、スケジュール制御部208は、実際の器械点のXY座標値と、選択された基準点(「基準点2」)のXY座標値と、入力された水平方向及び鉛直方向のサーチ範囲とに基づいて、水平方向及び鉛直方向のサーチ角度を算出する(図19:404)。サーチ角度の算出方法は、上述と同様であるため、その説明を省略する。そして、スケジュール制御部208は、スケジュールファイル2015のチェック点2017の基準点(「基準点2」)の項目のうち、水平方向と鉛直方向のサーチ角度に算出後の値を関連付けて記憶させる。このように、スケジュールファイル2015のチェック点2017の項目において、適宜、測量者が情報を変更することが出来る。一方、チェック点2017の項目のうち、入力を要しない項目は、例えば、データファイル600に記憶された情報が反映される。
さて、チェック点に基準点が追加されると、チェック点設定の選択欄2002に、追加された基準点(「基準点2」)が選択され、追加された基準点の詳細情報2002a(例えば、基準点のXYZ座標及びターゲット情報)が表示される。これにより、測量者は、チェック点の基準点の詳細情報2002aを確認することが出来る。
尚、チェック点設定の選択欄2002に所定の基準点が選択された状態で、測量者が削除キー2004を選択すると、スケジュール制御部208は、スケジュールファイル2015のチェック点2017のうち、選択された基準点を削除する。又、測量者が点名変更キー2005を選択すると、スケジュール制御部208は、測量者から点名を受け付け、選択された基準点の点名を変更する。更に、チェック点設定の選択欄2002に複数の基準点が存在する場合は、測量者が上へ移動キー2006を選択すると、スケジュール制御部208は、複数の基準点のうち、選択された基準点を上へ移動させて、表示の順番を変更させる。表示の順番は、スケジュール測量の順番に対応する。
ここで、測量者は、測量機10の周辺に存在する基準点を複数選択するために、スケジュールセットキー2014を選択せずに(図19:405NO)、更に、追加キー2003を選択すると、スケジュール時刻の入力欄2009に、入力されたスケジュール時刻(「t1」)が表示される。測量者は、基準点の選択欄2008に所定の基準点(「基準点3」)を選択し、サーチ単位キー2010で「長さ」を選択し、水平方向のサーチ範囲の入力欄2011に所定の値(例えば、3m)を入力し、鉛直方向のサーチ範囲の入力欄2012に所定の値(例えば、3m)を入力し、チェック点に追加キー2013を選択する。
すると、スケジュール制御部208は、スケジュール2016のスケジュール時刻(「t1」)に対応して、チェック点2017の点の種類に、選択された基準点(「基準点3」)を関連付けて記憶させ、選択された基準点をチェック点として追加する(図19:403YES)。又、スケジュール制御部208は、水平方向及び鉛直方向のサーチ角度を算出し(図19:404)、チェック点2017の基準点(「基準点3」)の項目のうち、水平方向と鉛直方向のサーチ角度に算出後の値を関連付けて記憶させる。これにより、2つの基準点がチェック点として追加される。
尚、スケジュール測量では、測量機10の周辺に存在する所定数(又は全て)の基準点を測定する場合もあるため、スケジュール制御部208は、スケジュール時刻(「t1」)が入力されると、スケジュールファイル2015において、入力されたスケジュール時刻(「t1」)に対して、予め登録された所定数の基準点をチェック点として自動的に追加しても良い。
又、スケジュール測量では、所定数(又は全て)の基準点を定期的に測定する必要があるため、測量者は、例えば、S403において、基準点の選択欄2008に所定の基準点(「基準点2」)を選択し、スケジュール時刻の入力欄2009に他の時刻(「t2」)を入力し、他の入力値を同じにして、チェック点に追加キー2013を選択する。すると、スケジュール制御部208は、スケジュール2016のスケジュール時刻(「t2」)に対応して、チェック点2017の点の種類に、選択された基準点(「基準点2」)を関連付けて記憶させ、選択された基準点をチェック点として追加する(図19:403YES)。このように、他のスケジュール時刻にチェック点を関連付けることで、所定数の基準点を複数のスケジュール時刻で測定することが可能となる。
そして、測量者は、スケジュールセットキー2014を選択すると(図19:405YES)、スケジュール制御部208は、スケジュール測量を開始し、スケジュールファイル2015のスケジュール2016のうち、現在時刻に対して未だ到来していないスケジュール時刻で、且つ、最も到来が早い直近のスケジュール時刻(例えば、「t1」)を対象時刻として選択し(図19:406)、現在時刻が対象時刻(「t1」)に到達するか否かを判定する(図19:407)。
判定の結果、現在時刻が対象時刻(「t1」)に到達しない場合(図19:407NO)、スケジュール制御部208は、S407に戻って、対象時刻(「t1」)の判定を繰り返す。
一方、判定の結果、現在時刻が対象時刻(「t1」)に到達した場合(図19:407YES)、スケジュール制御部208は、対象時刻(「t1」)のスケジュール時刻に関連付けられたチェック点(例えば、「基準点2」、「基準点3」)の測定を測量機10に行わせる(図19:408)。具体的には、スケジュール制御部208は、対象時刻(「t1」)に関連付けられたチェック点(「基準点2」、「基準点3」)のうち、1つのチェック点(「基準点2」)を選択し、実際器械点制御部206に、選択したチェック点(「基準点2」)の測定を指示し、実際器械点制御部206は、先ず、図21Aに示すように、測量機10をチェック点(「基準点2」)のターゲット2bに回転させて、チェック点(「基準点2」)に対する水平方向及び鉛直方向のサーチ角度に基づいて、測量機10に自動視準をさせる。チェック点(「基準点2」)には、ターゲット2bが設置されていることから、測量機10がチェック点(「基準点2」)におけるターゲット2bを見つけて、自動視準を完了すると、検索したチェック点(「基準点2」)のターゲット2bの方向角(度)及び距離を測定し、チェック点(「基準点2」)のターゲット2bのXY座標値を測定する。実際器械点制御部206は、チェック点(「基準点2」)のターゲット2bのXY座標値を取得する。
ここで、チェック点(「基準点2」)の測定結果にエラーが存在する場合は(図19:409YES)、実際器械点制御部206は、測量者用端末装置12にエラーを表示させたり、事務所用端末装置14にエラーを通知したりする(図19:410)。測定結果のエラーは、例えば、障害物の発生により、測量機10がチェック点のターゲットを見つけることが出来なかった場合、測量現場の変化により、測量機10が、ターゲットからの反射光を検出することが出来なかった場合を挙げることが出来る。
そして、1つのチェック点のXY座標値の測定が完了すると、スケジュール制御部208は、同一の対象時刻(「t1」)のスケジュール時刻に関連付けられた他のチェック点(「基準点3」)が存在するか否かを判定する(図19:411)。
判定の結果、同一の対象時刻(「t1」)のスケジュール時刻に関連付けられた他のチェック点(「基準点3」)が存在する場合(図19:411YES)、スケジュール制御部208は、S408に戻って、スケジュール制御部208は、対象時刻(「t1」)に関連付けられたチェック点(「基準点2」、「基準点3」)のうち、選択していない残りのチェック点(「基準点3」)を選択し、実際器械点制御部206は、図21Aに示すように、測量機10をチェック点(「基準点3」)のターゲット2cに回転させて、測量機10に自動視準をさせ、チェック点(「基準点3」)のターゲット2cのXY座標値を測定する。
そして、同一の対象時刻(「t1」)のスケジュール時刻に関連付けられた他のチェック点が存在しない場合(図19:411NO)、スケジュール制御部208は、現在時刻に対して未だ到来していないスケジュール時刻が存在するか否かを判定する(図18:412)。具体的には、スケジュール制御部208は、スケジュールファイル2015のスケジュール2016のうち、現在時刻に対して未だ到来していないスケジュール時刻で、且つ、最も到来が早い直近のスケジュール時刻が存在するか否かを判定する。
判定の結果、現在時刻に対して未だ到来していないスケジュール時刻で、且つ、最も到来が早い直近のスケジュール時刻が存在する場合(図19:412YES)、スケジュール制御部208は、S406に戻って、そのスケジュール時刻を対象時刻(例えば、「t2」)として選択し(図19:406)、現在時刻が対象時刻(「t2」)に到達するか否かを判定することになる(図19:407)。
そして、現在時刻が対象時刻(「t2」)に到達すると(図18:407YES)、スケジュール制御部208は、図21Bに示すように、対象時刻(「t2」)のスケジュール時刻に関連付けられたチェック点(例えば、「基準点2」、「基準点3」)の測定を測量機10に行わせる(図19:408)。これにより、所定数の基準点を複数のスケジュール時刻で繰り返し測定することが可能となる。
一方、S412において、現在時刻に対して未だ到来していないスケジュール時刻が存在しない場合(図19:412NO)、スケジュール制御部208は、処理を完了する。ここで、スケジュール測量の測定結果は、履歴としてスケジュール時刻毎に記憶部に記憶させておき、後から確認することが出来る。
このように、測量者が測量現場にいなくても、スケジュールを組むだけで、所定数のチェック点の測定を自動で完了する。そのため、例えば、測量者が測量現場に訪れる前に、事前に測量機10に2つのチェック点を測定して、後方交会を自動で行わせることも可能となる。この測定後に、測量者は、2つのチェック点の測定結果を用いて、測量機10の実際の器械点を算出し、直ぐに一般測量又は杭打ち測量に取り掛かることも可能となる。例えば、測量者が、後方交会の2つのチェック点に対してスケジュール時刻を午前7時としてセットし、測量機10に、この時刻から2つのチェック点の測定を行わせ、測量者が、午前9時に測量現場に到着した時には、2つのチェック点の測定は完了していることから、直ぐに一般測量又は杭打ち測量に取り掛かることが出来る。
他に、例えば、測量現場の測量機10の周辺に存在する全ての基準点をチェック点とし、全てのチェック点にスケジュール時刻を午後9時としてセットし、測量機10に、この時刻から全てのチェック点の測定を行わせる。つまり、夜間において、測量機10に全てのチェック点の測定を行わせる。そして、測量者が、朝一番に測量現場に行き、全てのチェック点の測定結果を確認して、複数の基準点のうち、測量に利用出来る基準点を決定する。これにより、昼間にチェックすべき基準点の測定を夜間にすることが可能となり、測量者の測量の時間を短縮することが出来る。更に、所定数(又は全て)の基準点をチェック点として定期的に測定することで、所定数の基準点の定期的な動態観測にも利用することが出来る。
<データ通信>
図22は、本発明の実施形態に係るデータ通信の実行手順を示すためのフローチャートである。上述では、測量機10と測量者用端末装置12との具体的なデータ通信の説明は省略したが、基本的には、下記のように行われる。即ち、例えば、測量者用端末装置12(送信者)が、測量機10(受信者)に所定のコマンド(例えば、測定指示)を送信する場合(図22:S501YES)、測量者用端末装置12は、コマンド(測定指示)に対応するメッセージを生成する(図22:S502)。
次に、測量者用端末装置12は、ネットワーク15を介してサーバ13に予め設けられた所定のデータベース(トピックと呼ばれ、ここでは、「トピック1」)にメッセージを書き込む(図22:S503)。サーバには、図23に示すように、複数のトピックが設けられ、測量者用端末装置12が測量機10に処理をさせる場合の専用のトピック「トピック1」が存在し、測量者用端末装置12は、専用のトピック「トピック1」にメッセージを書き込む。これにより、測量者用端末装置12の処理は完了する。
一方、測量機10に接続された測量機用端末装置11は、ネットワーク15を介して定期的にサーバ13の専用のトピック「トピック1」にアクセスし(図22:S504)、専用のトピック「トピック1」に最新のメッセージが書き込まれているか否かを判定する(図22:S505)。
判定の結果、最新のメッセージが書き込まれていない場合は(図22:S505NO)、測量機用端末装置11は、S504に戻り、再度、定期的にサーバ13の専用のトピック「トピック1」にアクセスして(図22:S504)、最新メッセージの判定を行う(図22:S505)。
一方、判定の結果、最新のメッセージが書き込まれている場合は(図22:S505YES)、測量機用端末装置11は、最新メッセージを取得し(図22:S506)、取得した最新メッセージを、測量機10が実行可能なコマンドに変換し(図22:S507)、測量機10に送信する。測量機10は、コマンドを受信すると、受信したコマンドに基づいて、処理(測定指示)を実行する(図22:S508)。このように、測量者用端末装置12は、サーバ13の専用のトピック「トピック1」を介して測量機10に処理を実行させる。
一方、測量機10が、測量者用端末装置12に所定のコマンド(例えば、測定結果)を送信する場合(図22:S501YES)、上述の送信者と受信者とが逆になる。即ち、測量機用端末装置11が、測量機10のコマンド(測定結果)に対応するメッセージを生成し(図22:S502)、ネットワーク15を介してサーバ13の専用のトピック(「トピック2」)にメッセージを書き込む(図22:S503)。
これに対して、測量者用端末装置12は、ネットワーク15を介して定期的にサーバ12の専用のトピック(「トピック2」)にアクセスし(図22:S504)、専用のトピック(「トピック2」)に最新のメッセージが書き込まれているか否かを判定し(図22:S505)、最新のメッセージが書き込まれている場合は(図22:S505YES)、測量者用端末装置12は、最新メッセージを取得し(図22:S506)、取得した最新メッセージをコマンドに変換し(図22:S507)、コマンドに基づいて処理(測定結果)を実行する(図22:S508)。コマンドが測定結果である場合は、測量者用端末装置12は、測定結果を更新したり表示したりすることになる。
このように専用のトピックを用いてデータ通信を行う方法をPub/Subメッセージングモデルと称する。このPub/Subメッセージングモデルは、送信者が複数の受信者に同時にデータを送信することが出来るという利点がある。例えば、測量者用端末装置12と事務所用端末装置14とが、測定結果のメッセージを書き込む専用のトピック(「トピック2」)にアクセスするように構成することで、測量者用端末装置12と事務所用端末装置14とが、測量現場の最新の測定結果を同時に共有化することが出来る。これにより、測量者だけでなく、監督者等の第三者が、事務所用端末装置14で測量現場の最新の測定結果を直ぐに確認することが可能となり、測量者の測量時点と第三者の確認時点との間のタイムラグの解消することが出来る。
更に、2つの測量者用端末装置12を用意して、2つの測量者用端末装置12が、測量機用端末装置11が測量機10に処理させる専用のトピック(「トピック3」)にメッセージを書き込むよう構成することで、2つの測量者用端末装置12が、図24に示すように、同一の測量現場において1台の測量機10を共有して、2つの異なる測量を行うことが出来る。これにより、1人の測量者が行った測量の成果物を2人の測量者で共有化することが出来るため、広範な測量現場における測量作業の効率化を図ることが出来る。尚、上述では、2つの測量者用端末装置12が1台の測量機10を共有しているが、3つ以上の測量者用端末装置12が1台の測量機10を共有しても構わない。
尚、上述のPub/Subメッセージングモデルでは、測量機用端末装置11と測量者用端末装置12とが、サーバ13を介して、データ通信を行うため、成果物の共有化の点では有効であるが、通信速度が遅くなる可能性がある。そこで、より高速通信を行いたい場合は、測量者用端末装置12は、サーバ13を介さずに、測量機用端末装置11と直接通信するよう構成しても良い。この場合、例えば、高速通信が求められる杭打ち測量の連続測定には、適している。
又、本発明の実施形態では、CADファイルを測量座標系のXY座標系で描かれた2次元図面としているが、測量座標系のXYZ座標系で描かれた3次元図面としても構わない。
このように、本発明では、1人の測量者で実際の器械点の算出から測量までを簡単に、且つ、効率的に行うことが可能であるため、一般測量、杭打ち測量を行う必要がある、一般的な構造物、建築物、機器装置、地盤、道路、車輌、鉄道等の計測分野、土木分野、測量分野等で応用することが出来る。
尚、本発明の実施形態では、測量者が測定キーを選択することで、測定が開始されるように構成したが、測量者用端末装置12と無線通信可能なリモコンを設け、リモコンのボタンと測定キーとを関連付け、測量者が、リモコンのボタンを押下することで、測定キーの選択を行うように構成しても良い。これにより、1人の測量者が、一般測量又は杭打ち測量において、ターゲットを選択点に設置して、リモコンのボタンを押下することで、簡単に測定を開始させることが出来る。又、測量者用端末装置12に音声認識部を設け、各種のキーと音声とを予め関連付けておき、測量者が、所定のキーに対応する音声を発することで、音声認識部が、測量者の音声に対応したキーの選択を行うように構成しても良い。これにより、1人の測量者が、一般測量又は杭打ち測量において、音声を発することで、簡単に測定を開始させることが出来る。
本発明の実施形態では、測量者用端末装置12が各部を備えるよう構成したが、当該各部を実現するプログラムを記憶媒体に記憶させ、当該記憶媒体を提供するよう構成しても構わない。当該構成では、プログラムを所定の処理装置に読み出させ、当該処理装置が各部を実現する。その場合、記録媒体から読み出されたプログラム自体が本発明の作用効果を奏する。更に、各部が実行するステップを本発明の自動測量方法として提供することも可能である。