JP6487505B2 - 反射防止膜及びそれを備えた光学部材 - Google Patents

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Description

本発明は、反射防止膜及び光学部材に関し、さらに詳しくは、レンズや光学シートに代
表される光学部材に形成される反射防止膜及びそれを備えた光学部材に関する。
光学部材は、カメラ等に利用されるレンズと、ディスプレイに利用される反射防止板及
びプリズムシート等の光学シートとを含む。これらの光学部材のうち、カメラ用レンズで
は、ゴースト又はフレアと呼ばれる像が発生する。これらの像は、光の反射により発生す
る。したがって、光学部材は、光の反射の抑制を求められる。また、レーザ用レンズは、
レーザ光の利用効率の向上を求められる。レーザ光の利用効率は、光の反射を抑制するこ
とにより、向上する。
光の反射を抑制するために、光学部材の表面には、反射防止膜が形成される。レンズに
形成される反射防止膜は、たとえば、特開2009−199022号公報(特許文献1)
に開示される。特許文献1に開示されるように、反射防止膜は通常、真空蒸着法により形
成される。
特開2009−199022号公報
真空蒸着法では、大型の装置内に光学部材が収納され、真空下で光学部材の表面に反射
防止膜が形成される。このようなプロセスは煩雑であり、生産性が低い。
また、光学部材には耐熱性が要求される。しかしながら、真空蒸着法により形成された
反射防止膜を有する光学部材が、たとえば、100℃を超える高温下に置かれると、反射
防止膜にひび割れが発生する場合がある。この場合、反射防止膜は剥離したり、白濁した
りする。
このような反射防止膜の割れを抑制するために、ガラスからなる光学部材が利用される
。ガラスは耐熱性を有し、かつ、低い熱膨張率を有する。そのため、ガラスからなる光学
部材が高温下に置かれたとき、熱膨張しにくく、反射防止膜が割れにくい。
しかしながら、ガラスからなる光学部材は所定の形状に加工しにくい。そのため、製造
コストが高い。
本発明の目的は、樹脂からなる光学部材の表面に形成され、割れにくい反射防止膜を提
供することである。
課題を解決するための手段及び発明の効果
本発明による反射防止膜は、樹脂からなる光学部材の表面に形成される。反射防止膜は
、反射防止膜中の体積率が5〜74%である複数の無機粒子と、無機粒子よりも低いヤン
グ率を有し、反射防止膜中の体積率が5〜95%であるバインダと、反射防止膜中の体積
率が0〜65%である複数の空気層とを備える。
本発明による反射防止膜では、無機粒子が反射防止膜の強度を向上し、バインダ又は空
気層が反射防止膜の可撓性を向上する。そのため、反射防止膜にはきずが付きにくく、か
つ、高温時に樹脂からなる光学部材が熱膨張しても、反射防止膜はひび割れしにくい。
好ましくは、無機粒子は、50GPa以上のヤング率を有する。
この場合、反射防止膜の強度が向上する。
好ましくは、樹脂は、無機粒子よりも低い屈折率を有する。
この場合、反射防止膜は光の反射をさらに抑制する。
好ましくは、反射防止膜は、ディップコート法により、光学部材の表面に形成される。
この場合、蒸着法と比較して容易に反射防止膜が形成される。
本発明による光学部材は、表面に上記反射防止膜が形成される。
本実施の形態による反射防止膜が形成される前の光学部材の側面図である。 反射防止膜が形成された光学部材の断面図である。 図2の入射面近傍部分の拡大図である。 反射防止膜を有する光学部材の製造方法のフロー図である。 図4の製造方法に利用される挟持部材の斜視図である。 図5に示した挟持部材の断面図である。 第2の実施の形態による反射防止膜の拡大図である。 第3の実施の形態による光学部材の断面図である。
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分に
は同一符号を付してその説明は繰り返さない。
[反射防止膜を備えた光学部材の構成]
図1は、本実施の形態による反射防止膜が形成される前の光学部材の側面図である。図
1を参照して、光学部材10は、カメラ用のレンズである。光学部材10は、レンズ部1
1と、フランジ12とを備える。レンズ部11は、平凸レンズ状である。フランジ12は
、レンズ部11の周りに形成される。レンズ部11は、入射面11aと出射面11bとを
有する。入射面11aは、図1上側の半球面状である。出射面11bは、図1下側の平面
である。
光学部材10は、光透過性を有する樹脂からなり、好ましくは、耐熱性樹脂からなる。
樹脂はたとえば、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、シリコーン、ジエチレ
ングリコールビスアリルカーボネート、ポリシクロヘキシルメタクリレート、ポリ4−メ
チルペンテン、非晶性脂環式ポリオレフィン、多環ノルボルネンポリマー、ビニル脂環式
炭化水素重合体である。上述の樹脂で構成された光学部材10の屈折率は1.4〜1.6
である。
図2は、反射防止膜が形成された光学部材10の断面図である。図2を参照して、反射
防止膜20は、光学部材10の表面に形成される。
[反射防止膜の構成]
図3は図2の入射面11a近傍部分の拡大図である。図3を参照して、反射防止膜20
は、無機粒子21と、バインダ22とを含む。無機粒子21の粘弾性はバインダ22の粘
弾性と異なる。具体的には、無機粒子21のヤング率は50GPa以上である。バインダ
22のヤング率は5GPa以下である。
上述のとおり、反射防止膜20は、異なる粘弾性を有する複数の組成物を含有する。そ
のため、反射防止膜20は、高い強度と高い可撓性とを有する。樹脂からなる光学部材1
0は、熱により膨張する。バインダ22のヤング率は低いため、反射防止膜20の可撓性
が高くなる。そのため、光学部材10が熱により膨張しても、反射防止膜20は割れにく
い。一方、無機粒子21のヤング率は50GPa以上である。無機粒子21は、反射防止
膜20の強度を向上し、反射防止膜20の表面にきずが形成されるのを抑制する。
[バインダ]
バインダ22は、光透過性を有し、複数の無機粒子21を含有する。上述のとおり、バ
インダ22のヤング率は5GPa以下である。バインダ22は、有機化合物又は無機化合
物である。バインダ22はたとえば樹脂である。樹脂はたとえば、ポリビニルアルコール
、ポリオキシエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ジアセチ
ルセルロース、トリアセチルセルロース、ニトロセルロース、ポリエステル、アルキド樹
脂、フルオロアクリレート、フッ素ポリマー等の1種又は2種以上からなる。フッ素ポリ
マーは、たとえば、フルオロオレフィン類(フルオロエチレン、ビニリデンフルオライド
、テトラフルオロエチレン、パーフルオロオクチルエチレン、ヘキサフルオロプロピレン
、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)、完全又は部分フッ素化
ビニルエーテル類等である。バインダ22の屈折率は、1.35以下であり、好ましい屈
折率は1.30以下である。
バインダ22はまた、無機高分子、たとえば、珪素化合物あるいはその加水分解物若し
くはその重縮合物であってもよい。珪素化合物はたとえば、シランカップリング剤である
。シランカップリング剤は、無機粒子の表面を修飾する。これにより、有機溶媒中におけ
る無機粒子の分散安定性が向上し、無機粒子の凝集及び沈降が抑制される。
[無機粒子]
無機粒子21はたとえば、無機酸化物や、無機フッ化物である。無機酸化物はたとえば
、酸化セリウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化珪素、酸化クロム、酸化アルミニウム
、酸化スズ、酸化イットリウム、酸化ビスマスである。無機フッ化物はたとえば、フッ化
マグネシウム、フッ化アルミニウム、フッ化リチウム、フッ化ナトリウムである。複数の
無機粒子21は、上記無機酸化物及び無機フッ化物の中から選択される1種又は2種以上
を含む。
好ましくは、無機粒子21は、酸化アルミニウム及び/又は酸化珪素である。酸化アル
ミニウム及び酸化珪素の屈折率は、いずれも低い。酸化アルミニウムの屈折率は1.7〜
1.9であり、酸化珪素の屈折率は1.5〜1.7である。そのため、反射防止膜20の
屈折率を低くすることができる。
無機粒子21の粒径が大きすぎると、無機粒子21が光を散乱しやすくなる。さらに、
反射防止膜20の膜厚にばらつきが生じる。したがって、無機粒子21の好ましい平均粒
径は、100nm以下である。平均粒径の好ましい下限値は10nmである。粒径はたと
えば、走査型電子顕微鏡(SEM)による写真画像から任意に抽出された100個の無機
粒子の粒径を測定し、その平均値を求めることにより決定される。
[体積率]
反射防止膜20はさらに、後述するとおり、空気層を含んでもよい。反射防止膜20中
の無機粒子21の体積率は、5〜74%である。また、反射防止膜20中のバインダ22
の体積率は、5〜95%である。反射防止膜20中の空気層の体積率は、0〜65%であ
る。
無機粒子21の体積率が小さすぎれば、反射防止膜20の強度が低下する。また、無機
粒子21の体積率が大きすぎれば、反射防止膜20の可撓性が低下する。一方、バインダ
22の体積率が小さすぎれば、反射防止膜20の可撓性が低下する。また、バインダ22
の体積率が大きすぎれば、反射防止膜20の強度が低下する。
無機粒子21の体積率が5〜74%であり、かつ、バインダ22の体積率が5〜95%
であり、空気層が0〜65%であれば、反射防止膜は可撓性及び強度を有する。そのため
、反射防止膜20にはきずが付きにくく、かつ、高温時に樹脂からなる光学部材が熱膨張
しても、反射防止膜20はひび割れしにくい。
[反射防止膜の製造方法]
反射防止膜20は、湿式プロセスにより形成される。より具体的には、反射防止膜20
は、反射防止膜20を構成する塗布液を光学部材の表面に塗布することにより形成される
。塗布液を塗布する方法は、たとえば、インクジェットプリンティング法、スプレー法、
スピンコート法、ディップコート法、スクリーン印刷等である。
以下、製造方法の一例として、ディップコート法により反射防止膜を形成する方法を説
明する。
図4は、反射防止膜20を有する光学部材10の製造方法のフロー図である。図4を参
照して、最初に、光学部材10を挟む挟持部材を準備する(S1)。図5を参照して、挟
持部材100は、板状の挟持プレート30及び40を備える。挟持プレート30は、行列
状に配列された複数の貫通孔31を有する。挟持プレート40は、貫通孔31と同軸に配
列された複数の貫通孔を有する。
図4に戻って、反射防止膜20の組成を含有する塗布液を準備する(ステップS2)。
溶媒はたとえば、テトロヒドラフラン(tetrahydrofuran:THF)や、N,N−ジメチ
ルホルムアミド(N,N-dimethylformamide:DMF)である。溶媒は、これらの物質に限定
されない。溶媒は水でもよい。溶媒が有機溶媒である場合、好ましい有機溶媒の沸点は3
0℃〜250℃である。
有機溶媒の沸点が低すぎる場合、有機溶媒の揮発速度が速すぎる。そのため、反射防止膜
20の膜厚が均一になりにくい。一方、有機溶媒の沸点が高すぎると、有機溶媒が揮発し
にくい。そのため、反射防止膜が形成されにくい。好ましい有機溶媒の沸点は50℃〜1
50℃である。
塗布液の粘度及び表面張力は、低い方が好ましい。塗布液の好ましい粘度は10(mP
a・s)以下であり、更に好ましくは1(mPa・s)以下である。塗布液の好ましい表
面張力は70(mN/m)以下であり、更に好ましくは20(mN/m)以下である。挟
持部材100を塗布液で満たされたディップ槽から引き上げるときに、挟持部材100か
ら塗布液を速やかに排出するためである。塗布液の粘度及び表面張力の物性を制御するた
めに、塗布液に界面活性剤などを添加してもよい。
塗布液において、無機粒子100重量部に対するバインダの重量部は、1〜100であ
り、溶媒の重量部は2000〜100000である。この場合、形成された反射防止膜2
0内の無機粒子21の体積率は5〜70%になり、バインダ22の体積率は30〜95%
になる。
次に、光学部材10を挟持部材100で挟持する(ステップS3)。図6は光学部材1
0を挟んだ挟持部材100の断面図である。図6を参照して、挟持プレート30の貫通孔
31は、テーパ部31aと、窪み31bとを含む。テーパ部31aは、窪み31bの底面
から外表面32に向かって延びる。テーパ部31aの横断面は円形状であり、その直径は
、内表面から外表面32に向かうにしたがって大きくなる。挟持プレート40の貫通孔4
1の横断面は円形状であり、その直径は、内表面から外表面42に向かうにしたがって大
きくなる。
フランジ12は、窪み31bに収納される。窪み31bは、円筒である。フランジ12
の直径は、テーパ部31aの内表面側の直径よりも大きく、貫通孔41の内表面側の直径
よりも大きい。そのため、光学部材10は挟持部材100に挟まれ、貫通孔31及び41
から落下しない。
挟持プレート30及び40は、円環状の弾性体である結合部材60(図5参照)により
結合される。本例では、42個の光学部材10が挟持部材100に挟まれる。
図4を参照して、光学部材10を挟んだ挟持部材100を、塗布液を入れたディップ槽
に浸漬する(ステップS4)。具体的には、挟持部材100を立てて、ディップ槽に溜め
られた塗布液に漬け込む。
次に、浸漬された挟持部材100を立てながら、一定の速度でディップ槽から引き上げ
る(ステップS5)。これにより、光学部材10の表面に塗布液が塗布される。引き上げ
る速さは、光学部材10表面に形成する反射防止膜20の厚さに応じて変更される。
次に、光学部材10に塗布された塗布液を乾燥する(ステップS6)。ステップS6で
は、引き上げられた光学部材10を所定の温度でベークしてもよい。引き上げられた挟持
部材100に対して、アニール処理を施してもよい。引き上げられた挟持部材100を乾
燥すれば、上述の反射防止膜20が形成される。ステップS6の後に、挟持部材100か
ら光学部材10を取り出す。以上の工程により、反射防止膜20が形成された光学部材1
0が製造される。
[第2の実施の形態]
図7は第2の実施の形態による反射防止膜の拡大図である。図7を参照して、反射防止
膜25は、複数の無機粒子21と、バインダ22と、複数の空気層23とを含有する。上
述のとおり、本発明における反射防止膜において、空気層23は任意の構成である。反射
防止膜25のその他の構成は、反射防止膜20と同じである。
反射防止膜25内では、無機粒子21同士が接触する。隣り合う無機粒子21の間に、
空気層23が形成される。上述のとおり、反射防止膜25中の無機粒子21の体積率は、
5〜74%であり、70%未満でもよい。バインダ22の体積率は5〜95%であり、9
5%未満でもよい。空気層23の体積率が大きすぎれば、反射防止膜25の強度が低下す
る。そのため、反射防止膜25中の空気層23の体積率は、0〜65%である。
空気層23はたとえば、上述の塗布液内の無機粒子21に対するバインダ22の比率に
応じて形成される。塗布液内の無機粒子100重量部に対する好ましいバインダ22の重
量部は、1〜100である。この場合、塗布液を乾燥した後、反射防止膜25内に空気層
23が形成される。
空気層23は屈折率が低いため、反射防止膜25の屈折率は低下する。そのため、光の
反射がさらに抑制される。
[第3の実施の形態]
第1及び第2の実施の形態では、反射防止膜が形成された光学部材がレンズである。し
かしながら、光学部材はレンズ以外であってもよい。たとえば、図8に示すように、光学
部材は反射防止シートであってもよい。
図8を参照して、反射防止シートである光学部材80は、基材70と、反射防止膜20
とを備える。基材70は板状又はシート状である。基材70は樹脂である。樹脂はたとえ
ば、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、脂
環式ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニ
ル系樹脂、ポリエーテルスルホン酸系樹脂、トリアセチルセルロース系樹脂である。好ま
しくは、樹脂はたとえば、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロース、ポリ
カーボネート、ポリエーテルサルホン、ポリアリレート、ポリノルボルネン、非晶質ポリ
オレフィンフィルムである。
光学部材80はたとえば、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ、エレクトロルミ
ネッセンスディスプレイ、ブラウン管及びプロジェクション等の表示装置の表示画面に用
いられる。光学部材80はまた、自動車に代表される輸送車両の窓ガラス(フロントガラ
ス、リアガラス、ルーフガラス、サイドウインドガラス)に用いられる。
反射防止膜20が形成された光学部材80は、第1及び第2の実施の形態と同様に、湿
式プロセスにより製造される。たとえば、ディップコート法により光学部材80が製造さ
れる場合、挟持部材100は使用されない。基材70をディップ槽に浸漬する。そして、
ディップ槽から基材70を引き上げて、乾燥する。以上の工程により、反射防止膜20が
形成された光学部材80が製造される。光学部材80は、反射防止膜20に代えて、反射
防止膜25を備えてもよい。
以上より、第1〜第3の実施の形態による反射防止膜は、反射防止膜中の体積率が5〜
74%の無機粒子と、反射防止膜中の体積率が5〜95%のバインダと、反射防止膜中の
体積率が0〜65%の空気層とを備える。空気層は、含まれていても含まれていなくても
よい。以上の構成を有する反射防止膜は、優れた強度及び可撓性を有する。そのため、反
射防止膜はきずが付きにくく、かつ、高温時に樹脂からなる光学部材が熱膨張しても、ひ
び割れしにくい。
樹脂製の光学部材に反射防止膜を形成した。そして、反射防止膜が形成されたレンズの
反射率、光透過率を調査した。さらに、反射防止膜が形成された光学部材を加熱し、反射
防止膜に割れが発生するか否かを調査した。
本実施例では、第1の実施の形態に係る挟持部材100を用いた。光学部材の形状は円
板であった。円板状の光学部材は、挟持部材100の窪み31bに収納され、貫通孔31
及び41から落ちないように挟持された。円板状の光学部材の外径は20mmであり、厚
さは2mmであった。光学部材はポレオレフィン系樹脂(日本ゼオン製、商品名ZEONEX)
製であった。
平均粒径が20nmのシリカ微粒子と、トリビニルエトキシシラン(triVinylethoxysi
lane:TVES)とを、THFとDMFとの混合溶液に添加した。混合溶液中でシリカ微
粒子とVTESとを反応させて、修飾シリカ粒子を発生させた。修飾シリカ粒子を発生さ
せた混合溶液に、触媒として白金化合物と、ヒドリロ基で置換されたポリジメチルシロキ
サンとを添加した。この混合溶液を攪拌して、塗布液を調製した。塗布液内において、シ
リカ微粒子100重量部に対してバインダ(ヒドリロ基で置換されたポリジメチルシロキ
サン)は50重量部であった。
なお、シリカのヤング率は75GPaであり、バインダのヤング率は1GPaであった
。バインダのヤング率についてはJIS K 7161に基づいて測定した。
上述の複数のレンズを図5に示す挟持部材100で挟持した。次に、塗布液を満たした
ディップ槽に、挟持部材100を浸漬した。浸漬された挟持部材100を5mm/sec
の速度でディップ槽から引き上げ、複数の光学部材に塗布液を塗布した。引き上げられた
挟持部材100を80℃の温度環境下で1時間静置した。修飾シリカ粒子と、ヒドリロ基
で置換されたポリジメチルシロキサンとを反応させることで、反射防止膜20が複数の光
学部材の表面に形成された。
形成された光学部材を用いて、反射防止膜20中のシリカ微粒子の体積率と、バインダ
の体積率とを調査した。具体的には、反射防止膜20の任意の断面領域(50μm)内
のSEM画像を得た。得られたSEM画像中のシリカ微粒子の総面積率を測定により求め
た。求めた総面積率を、シリカ微粒子の体積率を定義した。体積率100%からシリカ微
粒子の体積率を差分した値を、バインダの体積率とした。
調査の結果、形成された反射防止膜20のシリカ微粒子の体積率は43%であり、バイ
ンダの体積率は67%であった。
[反射率の測定]
反射防止膜20が形成された光学部材の反射率及び透過率を測定した。反射率及び透過
率は、大塚電子社製の瞬間マルチ側光システム(商品名:MCPD-2000)を用いて測定した
測定した結果、520nmの波形を有する光に対する反射率は0.5%であり、光透過
率は97%であった。反射防止膜が形成される前の光学部材についても、反射率を測定し
た。測定した結果、520nmの波形を有する光に対する反射率は、4.2%であり、光
透過率は92%であった。したがって、反射防止膜により、反射率が低下し、1.0%未
満になった。
[高温での反射防止膜の割れ調査]
反射防止膜20が形成された光学部材を室温(20℃)から120℃まで加熱した。加
熱には、ヒータを用いた。光学部材の温度が120℃に達した後、光学部材を空冷した。
空冷後の光学部材の反射防止膜に割れが発生しているか否かを、目視で観察した。観察し
た結果、反射防止膜には割れが発生していなかった。
実施例1と同じ形状及び同じ組成の光学部材に、図4に示すディップコート法により、
反射防止膜25を形成した。反射防止膜25は、実施例1と異なる組成とした。具体的に
は、平均の外径が20nmのシリカ微粒子と、トリビニルエトキシシラン(triVinyletho
xysilane:TVES)とを、THFとDMFとの混合溶液に添加した。混合溶液中でシリ
カ微粒子とVTESとを反応させて、修飾シリカ粒子を発生させた。修飾シリカ粒子を発
生させた混合溶液に、1分子にヒドリド基を2以上有するフッ素系化合物を、TVESの
5%当量添加した。さらに、白金化合物を50ppm添加した。この混合溶液を攪拌して
、塗布液を調製した。塗布液内において、シリカ微粒子100重量部に対してバインダ(
1分子にヒドリド基を2以上有するフッ素系化合物)は10重量部であった。
なお、シリカ微粒子のヤング率は実施例1と同じであった。また、バインダのヤング率
は1GPaであった。
調製された塗布液を用いて、実施例1と同様の条件で反射防止膜25を形成した。形成
された反射防止膜には、図7に示すとおり、複数の空気層23が形成された。
実施例1と同様に、形成された反射防止膜25中のシリカ微粒子、空気層及びバインダ
の体積率を測定した。このとき、SEM画像中の空気層の総面積率を、空気層の体積率と
した。測定の結果、シリカ微粒子の体積率は58%であり、空気層の体積率は29%であ
った。バインダ樹脂の体積率は13%であった。
[反射率の測定及び反射防止膜の割れ調査]
実施例1と同様に、反射防止膜25が形成された光学部材の反射率及び光透過率を測定
した。その結果、520nmの波形を有する光に対する反射率は0.3%であり、1.0
%未満であった。また、光透過率は98%であった。
また、実施例1と同様に、反射防止膜25が形成された光学部材を室温から120℃ま
で加熱し、空冷した。空冷後、反射防止膜25の割れの有無を目視で確認した。その結果
、反射防止膜25に割れが発生していなかった。
[比較例1]
実施例1と同じ形状及び同じ組成を有する光学部材に、蒸着法により反射防止膜を形成
した。反射防止膜は、シリカ(SiO)層、酸化ジルコニア(ZrO)層、アルミナ
(Al)層及び5酸化タンタル(Ta)層を含む多層膜であった。
上記反射防止膜を有する光学部材の反射率及び光透過率を実施例1と同じ方法で測定し
た。その結果、反射率は0.2%であり、光透過率は98%であった。
実施例1と同様に、上述の反射防止膜が形成された光学部材を室温から120℃まで加
熱し、空冷した。空冷後、反射防止膜を目視で確認した結果、反射防止膜にひび割れが発
生した。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するため
の例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣
旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
10,80 光学部材
20,25 反射防止膜
21 無機粒子
22 バインダ
23 空気層

Claims (1)

  1. 表面に反射防止膜が形成された、樹脂からなるレンズであって、
    レンズ部と、
    前記レンズ部の周りに形成されたフランジとを備え、
    前記反射防止膜は、
    前記反射防止膜中の体積率が5〜74%である複数の無機粒子と、
    前記無機粒子よりも低いヤング率を有し、体積率が5〜95%であるバインダと、
    隣り合う前記無機粒子の間に形成され、体積率が65%以下である複数の空気層とを備え
    前記樹脂からなるレンズの表面に直接前記反射防止膜が形成されていることを特徴とするレンズ
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