JP6486914B2 - ヒト抗il−32抗体 - Google Patents

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Description

本発明は概して、哺乳動物起源(好ましくはヒト起源)のインターロイキン−32(IL−32)と結合する新規な分子、特にヒトモノクローナル抗体、同様にまた、その断片、誘導体および変異体に関連する。具体的には、本発明は、組換えによるヒト患者由来抗IL−32抗体およびそのIL−32結合断片に関連する。加えて、様々な障害の処置および診断において有用であるそのような結合分子、抗体およびその模倣体を含む組成物が記載される。さらには、本発明は、自己免疫性障害および自己炎症性障害ならびに悪性病変、例えば、様々な形態の関節炎、炎症性腸疾患(IBD)、重症筋無力症(MG)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、血管炎症&アテローム性動脈硬化、アトピー性皮膚炎およびガンなどの免疫療法において使用されるための抗IL−32抗体およびその言及された等価物、同様にまた、それらの治療的介入における標的に関連する。
免疫系の不適切な反応は、関連生物にストレス症候を引き起こし得る。動物またはヒトの健康に対して通常は有意な影響を与えない外来物質または物理的状態に対する過剰な免疫応答は、皮膚炎などの軽度な反応から、アナフィラキシーショックまたは様々な種類の血管炎などの生命を脅かす状況に及ぶ症候を伴うアレルギーにつながり得る。内因性抗原に対する免疫応答は、自己免疫性障害、例えば、全身性エリテマトーデス、特発性自己免疫性溶血性貧血、悪性貧血、1型真性糖尿病、水疱性皮膚疾患および様々な種類の関節炎を引き起こし得る。
免疫反応は協調的に起こるものであり、いくつかの細胞が関与し、関与する細胞間のシグナル伝達分子(例えば、サイトカイン)による情報伝達を必要とする。この情報伝達は、例えば、シグナルの妨害または各受容体の遮断によって影響され得るかまたは阻害され得る。
サイトカインは、ナノモル濃度〜ピコモル濃度で体液性調節因子として作用する分泌型可溶性タンパク質、ペプチドおよび糖タンパク質であり、全身レベルで作用し、正常または病理学的条件下のいずれかで個々の細胞および組織の機能活性を調節するという点で、古典的なホルモンのように振る舞う。サイトカインは、特殊な腺内の組織化された特殊な細胞によって産生されないという点で、ホルモンとは異なる。すなわち、それらは、先天性免疫および適応免疫に関与する実質的にすべての細胞、例えば、上皮細胞、マクロファージ、樹状細胞(DC)、ナチュラルキラー(NK)細胞によって、特にT細胞(その中でもとりわけTヘルパー(Th)リンパ球)によって発現されるので、これらのメディエータの単一の器官または細胞源は存在しない。
サイトカインは、それらの各機能に応じて、3つの機能カテゴリー:先天性免疫反応の調節、適応免疫反応の調節、および造血の刺激に分類することができる。例えば、細胞活性化、増殖、分化、動員、または他の生理学的応答(例えば、標的細胞による炎症に特徴的なタンパク質の分泌)に関する、前記3つのカテゴリー内に含まれるそれらの多面的活性により、サイトカイン産生の異常調節によって媒介される細胞シグナル伝達障害が、免疫反応不全に関連する多くの障害、例えば、炎症および癌の原因であることが判明している。
インターロイキン−32(IL−32、これはまた、ナチュラルキラー細胞タンパク質4として知られている)は、重要な機能を宿主防御および自然免疫において有する近年発見されたサイトカインである。ヒトのIL−32遺伝子が染色体16p13.3に位置する。ヒトおよびサルのほかには、今までのところ、ウシ、ブタおよびウマのホモログが見出されており、しかしながら、マウスのホモログは今までのところ知られていない。6つのIL−32イソタイプが知られており、これらは選択的スプライシングによって産生されている(非特許文献1)。最も長いイソタイプ、すなわち、IL−32ガンマ(IL−32γまたはIL−32g)は234個のaaを含む(UniProtKB/Swiss−Prot識別子:P24001−1)。2番目のイソタイプは、IL−32ベータ(IL−32βまたはIL−32b)としても知られているものであり(UniProtKB/Swiss−Prot識別子:P24001−2)、188個のaaを有する。178aaの3番目のイソタイプはまた、IL−32デルタ(IL−32δまたはIL−32d)として知られている(UniProtKB/Swiss−Prot識別子:P24001−3)。131aaのIL−32アルファ(IL−32αまたはIL−32a)は4番目のイソタイプである(UniProtKB/Swiss−Prot識別子:P24001−4)。イソタイプ5(UniProtKB/Swiss−Prot識別子:P24001−5)およびイソタイプ6(UniProtKB/Swiss−Prot識別子:P24001−6)は168個のaaおよび179個のaaをそれぞれ有する。しかしながら、同様にさらなるイソタイプが存在するかもしれない。例えば、可能性のある112aaの新しいイソタイプが非特許文献2によって報告されている。
IL−32についての受容体は今までのところ不明である。しかしながら、IL−32が細胞膜において結合し、プロテイナーゼ3によって切断され得ることを示し、このことから、この分子が可能な受容体として暗示されるいくつかのデータが存在する。データでは、産生された断片は生物学的活性を有し、マクロファージ炎症性タンパク質−2およびIL−8を活性化する場合がある(非特許文献3)。IL−32は、IL−32がTNFαの発現を促進させ、また、逆に、TNFαがIL−32の発現を促進させ、その結果、前炎症性媒介因子の増幅を生じさせる自己永続性(self−perpetuating)ループの形態でのTNFαとの顕著な相乗作用を伴う炎症性経路の主要な制御分子として暗示される。様々なサイトカイン(例えば、TNFA/TNF−アルファ、IL−1β、IL−6、IL−8およびマクロファージ炎症性タンパク質−2(MIP−2)など)を誘導すること、NF−カッパ−Bおよびp38MAPKの典型的なサイトカインシグナル伝達経路を活性化すること、ならびに、IL−32はIL−18誘導遺伝子であることが報告されている(非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7)。近年には、IL−32が末梢血単核細胞(PBMC)によるIFN−γ産生を増大させることもまた示された(非特許文献8;非特許文献9)。
IL−32は、IL−2またはIFN−γによって刺激されるNK細胞、Tリンパ球、上皮細胞および血液単球によって主に産生されるとして報告されている(非特許文献10;非特許文献4)。そのうえ、IL−32は、関節リウマチ(RA)滑膜組織生検物において過剰発現されることが認められており、この場合、IL−32発現のレベルが炎症の重篤度との正の相関関係を有した(非特許文献11;非特許文献12)。脊椎関節症の一群に属する様々な形態の関節炎(例えば、関節リウマチ(RA)または強直性脊椎炎など)(非特許文献13)のほかに、IL−32は、いくつかの他の炎症性腸疾患(IBD)、重症筋無力症(MG)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、クローン病、乾癬、アトピー性皮膚炎およびガンと機能的に関連することが見出された(非特許文献11;非特許文献14;非特許文献15;非特許文献16;非特許文献17;非特許文献18)。RAにおけるアテローム性動脈硬化の割合が高いことから、血管炎症およびアテローム性動脈硬化の炎症性経路におけるIL−32の可能な役割もまた示唆された。その関わり合いが、例えば、IL−32発現の検出によってもまた確認されており、IL−32βおよびIL−32γのmRNAの発現がヒトのアテローム硬化性動脈血管壁において著しく高まっていた(非特許文献19;非特許文献20)。IL−32はまた、結核に対する免疫応答において役割を果たす場合がある(非特許文献21;非特許文献9)。また、IL−32の増大した転写が、細菌およびウイルスによる感染の後で、例えば、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)(非特許文献9)またはA型インフルエンザ(非特許文献22)などの感染の後で認められており、このことは、宿主防御におけるその可能な役割を示している。
したがって、IL−32は、未だ完全には理解されていない、しかしながら、重要な新しい治療標的を表しており、すべてのIL−32イソタイプ、その選択された部分範囲または1つだけのIL−32イソタイプ(例えば、IL−32γ)の機能を中和するIL−32特異的な結合分子が必要とされている。
そのような分子を提供するための最初の様々な試みが既に適合している。例えば、特許文献1(Kim他)は様々なマウスIL−32モノクローナル抗体を提供しており、これらの抗体において、抗体の1つがIL−32αを選択的に認識し、別の抗体が、IL−32α、IL−32βおよびIL−32γと結合する。特許文献2は、IL−32αおよびIL−32βについて特異的であるマウス抗体断片の作製を記載する。しかしながら、明らかに、IL−32γについて特異的である抗体は未だ提供されていない。
ヒトにおけるマウス抗体のような外来抗体に対する免疫反応により(HAMA反応;非特許文献23; 非特許文献24)、現在の治療アプローチでは、大部分がヒト化されたバージョンの抗体が使用されている(非特許文献25; 非特許文献26)。このような抗体を得るための1つのアプローチは、相補性決定領域(CDR)を完全ヒトフレームワークに移植すること(これは、抗体のヒト化として公知の工程である)であった(非特許文献27)。このアプローチは、マウスCDRがヒト可変ドメインフレームワークに容易に移行しないという事実によって複雑であることが多く、その結果、ヒト化抗体親和性はそれらの親マウス抗体よりも低くなる。したがって、そのように人為操作された抗体の親和性を増加させるためには、多くの場合、さらなるおよび複雑な突然変異誘発実験が必要とされる。ヒト化抗体を達成するための別のアプローチは、その本来の抗体遺伝子をヒト抗体遺伝子で置換したマウスに免疫付与し、これらの動物によって産生される抗体を単離することである。しかしながら、この方法には抗原による免疫付与が依然として必要であり、いくつかの抗原には毒性があるので、すべての抗原で可能ではない。さらに、この方法は、特異株のトランスジェニックマウスによる産生に限定されている。
抗体を生じさせるための別の方法は、例えば、特許文献3においてIL−13特異的抗体の作製のために記載されるようなヒト抗体のライブラリ(例えば、ファージディスプレイなど)を使用することである。この場合、バクテリオファージが、ヒト抗体遺伝子をファージ集団に挿入することによってヒトscFv/Fab断片をバクテリオファージの表面に呈示させるように操作される。残念ながら、この方法のいくつかの欠点が同様に存在し、これらには、多価呈示のためのタンパク質配列のサイズ制限、タンパク質(すなわち、抗体scFv/Fab断片)を細菌から分泌させることが要求されること、産生および試験される可能な抗体の限定された数、自然の免疫化によってもたらされる体細胞高頻度突然変異を有する抗体の低下した割合、ならびに、ファージによってコードされるすべてのタンパク質が融合タンパク質であること(このことは、いくつかのタンパク質が結合するための活性または接近性を制限する場合がある)が含まれる。この技術のさらなる深刻な欠点は、そのように産生される抗体が、自己抗原に対する望まれない交差反応の危険性を有し、また、ヒト免疫系によって産生される進化的な最適化された天然型ヒト抗体の特徴を有しないことである。そのうえ、そのような抗体は、正常な生理学的環境および機能との関連において他のタンパク質および/または標的タンパク質との交差反応性のために、十分に特異的でない場合がある。同様に、特許文献4は、ファージにおいて呈示される抗体断片レパートリーからの自己抗体の産生を記載する。ファージライブラリが、この点では免疫化されていないヒトから作製される(例えば、実施例1;16頁43行〜51行;実施例2、17頁、段落[0158]、57行〜58行を参照のこと)。しかしながら、この特許出願に記載される方法もまた、哺乳動物(すなわち、ヒト身体)において産生され、成熟化される抗体と比較して、ファージライブラリから作製される抗体の上述の一般的な欠点に悩まされている。
上記を考慮すると、有害なIL−32活性に関連する障害または状態の処置および診断のためのさらなる新しい化合物であって、IL−32についての特異性が大きい結合分子、あるいは、選択された範囲のIL−32イソタイプまたはただ1つのIL−32イソタイプについて特異的な結合分子、具体的には、IL−32γについて特異的な抗体のような化合物で、単独療法またはコンビナトリアル取り組みのどちらかのためにヒトにおいて許容可能である化合物が依然として求められている。
特許請求の範囲に特徴が記載されており、本明細書に開示されており、さらに以下の実施例で例証されている本発明の実施形態によって、この問題の解決手段が提供される。
米国特許第7,641,904号B2 国際公開WO2005/047478 国際公開WO2005/007699 欧州特許出願EP0616640A1
Chen他、Vitam Horm、74(2006)、207〜228 Imaeda他、Mol Med Rep、4(2011)、483〜487 DinarelloおよびKim、Ann Rheum Dis、65(増刊3)(2006);iii 61−64 Kim他、Immunity、22(2005)、131〜142 Netea他、Proc Natl Acad Sci USA、105(2008)、3515〜3520 Netea他、Proc Natl Acad Sci USA、102(2005)、16309〜16314 Joosten他、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、103(2006)、3298〜3303 Nold他、J Immunol、181(2008)、557〜565 Netea他、PLoS Med、3(2006)、e277 Dahl他、J Immunol、148(1992)、597〜603 Alsaleh他、Arthritis Res Ther、12(2010)、R135 Cagnard他、Eur Cytokine Netw、16(2005)、289〜292 Ciccia他、Rheumatology、51(2012)、1966〜1972 BreenanおよびBeech、Curr.Opin.Rheumatol.、19(2007)、296〜301 AsquithおよびMclnnes、Curr.Opin.Rheumatol.、19(2007)、246〜251 DinarelloおよびKim、Ann Rheum Dis、65(増刊3)(2006)、iii61〜64 Fantini他、Inflamm Bowel Dis、13(2007)、1419〜1423 Lee他、Oncology Letters、3(2012)、490〜496 Kobayashi他、PLoS One、5(2010)、e9458 Heinhuis他、Cytokine(2013)、S1043〜4666 KunduおよびBasu、PLoS Med.、3(2006)、e274 Li他、PLoS One、3(2008)、e1985 Schroff他、Cancer Res、45(1985)、879〜885 Shawler他、J.Immunol、135(1985)、1530〜1535 Chan et Carter、Nature Reviews Immunology、10(2010)、301〜316 Nelson他、Nature Reviews Drug Discovery、9(2010)、767〜774 Jones他、Nature、321(1986)、522〜525
本発明は、IL−32特異的なヒトモノクローナル抗体ならびにそのIL−32結合性の断片および誘導体に関連する。具体的には、IL−32イソタイプに対する選択的結合プロファイルを有し、かつ、添付された実施例および図において示されるようなインビトロおよびインビボでの結合活性および中和活性を示すヒトモノクローナル抗IL−32抗体が提供される。それらの中和特性のために、本発明の抗体は、治療、予後判定および診断での有用性を有しており、そのような有用性により、本発明の抗体は、望まれない免疫応答の開始および/または維持におけるIL−32活性に伴う/IL−32活性を伴う自己免疫性および炎症性の多種多様な障害および状態との関連での様々な適用について、例えば、様々な形態の関節炎(例えば、関節リウマチ(RA)または脊椎関節炎など)、重症筋無力症(MG)、炎症性腸疾患(IBD)、肺疾患(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および喘息など)、クローン病、乾癬、血管炎症&アテローム性動脈硬化、アトピー性皮膚炎およびガンなどとの関連での様々な適用について特に有益になっている;治療および診断でのこれらおよびさらなる可能な抗IL−32適応については上記の背景技術のセクションもまた参照のこと。
本発明の抗体は、自己寛容の乱された発生または脱調節された発生(好ましくは、一遺伝子性の自己免疫障害によって引き起こされるもの)に起因し得るあるいは伴い得る損なわれた中枢性寛容および/または末梢性寛容あるいは自己寛容の喪失に冒される哺乳動物(具体的にはヒト)から単離されている。本発明による自己抗体のための特に好適な供給源を提供する哺乳動物の例が、AIRE(自己免疫調節因子)遺伝子における変異に関連する障害を有する哺乳動物(例えば、ヒト)、例えば、自己免疫性多腺性内分泌不全症症候群1型(APS1)(Peterson他、Nat.Rev.Immunol.、8(2008)、948〜957)、自己免疫性多腺性内分泌不全症症候群2型(APS2)(Baker他、Clin.Endocrinol.Metab.、95(2010)、E263〜E270)およびX連鎖免疫調節異常・多発性内分泌障害腸症候群(IPEX)(Powell他、J.Pediatr.、100(1982)、731〜737;Ochs他、Immunol.Rev.、203(2005)、156〜164)などを有する哺乳動物(例えば、ヒト)である。好ましくは、抗体が単離された患者は、ヒトIL−32イソタイプの少なくとも1つに対する血清反応性(最も好ましくはIL−32γに対する血清反応性)を示していた。
具体的には、本発明に従って行われた実験は、APS1患者からのIL−32抗体(具体的にはIL−32γ特異的抗体)の単離に成功した。したがって、本発明は概して、高親和性のIL−32中和モノクローナル抗体に関連する。それによれば、下記において詳しく記載されるいくつかのIL−32イソタイプまたはただ1つのIL−32イソタイプに対する様々なモノクローナルなヒト抗体(mAbまたはMAB)が、本発明によって提供され、これらは、そのようなサイトカインが関与する障害のための安全かつ効果的な治療剤であると考えられる。
当然のことながら、本発明は、本発明の抗体の少なくとも1つの可変領域、定常領域および/または相補性決定領域をコードする核酸(具体的にはcDNA)、そのような核酸を含むベクター、抗体を産生する細胞株および組換え細胞にまで及ぶ。本発明はさらに、本発明に従って単離される抗体によって認識される結合分子または結合ペプチドを含む医薬組成物、診断アッセイおよびキット、ならびに、それらに基づく治療方法に関連する。
本発明のさらなる実施形態が下記の説明および実施例から明らかであろう。交換可能に使用されるとき、また、別途示されないならば、「モノクローナル抗体」、「mAb」、「MAB」および「MAb」の用語は本明細書中では交換可能に使用される。
そのうえ、本発明は、本発明に従って行われ、また、実施例に記載される実験において初めて得られたヒト由来の抗体に言及することによって例示され、また、記載されるが、本発明の抗体または抗体断片には、本件抗体の機能的性質の1つまたは複数を保持する、具体的にはIL−32に対するその中和活性を保持するどのような操作された抗体または抗体様IL−32結合分子(これらは化学的技術または組換え技術によって合成される)をも意味する抗体の合成誘導体および生物工学誘導体が含まれることを理解しなければならない。したがって、本発明は、簡潔さのために、抗体に言及することによって記載されることがあるが、別途述べられる場合を除き、その合成誘導体および生物工学誘導体、同様にまた、等価なIL−32結合分子が同様に意味され、抗体の用語の意味により含まれる。
本発明のIL−32特異的ヒト抗体の可変領域、すなわち、重鎖およびカッパ/ラムダ軽鎖(VH、VL)のアミノ酸配列。A:抗体2C2(IgG3、ラムダ);B:抗体14B3(IgG1、ラムダ);C:抗体19A1(IgG1、ラムダ);D:抗体26A6(IgG1、ラムダ)。フレームワーク領域(FR)および相補性決定領域(CDR)が示され、CDRには下線が引かれる。 APS1患者から単離された血清におけるIL−32α(黒菱形)およびIL−32γ(黒四角)のELISA血清反応性の比較。個々の患者がX軸に示され、MAB結合のOD450測定値がY軸に示される。 A:IL−32γ(R&D)またはB:IL−32α(ImmunoTools)に対する例示的な抗IL32抗体(2C2、14B3、19A1および26A6)の結合の、ELISAでのEC50決定。試験されたすべての抗体が、大きい親和性によりIL−32γと結合する。抗体2C2は、低い親和性により、同様にIL−32αと結合する。残る抗体(14B3、19A1および26A6)はIL−32αの実質的な結合を何ら示さない。 本発明の例示的抗体の結合特性および中和特性。A:IL−32γ(R&D)およびIL−32α(ImmunoTools)に対する例示的な抗IL32抗体2C2の結合の、ELISAでのEC50決定(BSAが非特異的結合のためのコントロールとして使用される)。例示的抗体2C2は、大きい親和性によりIL−32γと結合し、はるかにより低い親和性によりIL−32αと結合する。B:IL−32γ活性の例示的な抗IL32抗体(2C2および19A1)の中和能。 それぞれのコホートについて、0日目の測定に対する変化倍数として計算され、その後、関連したPBSコントロールに対して正規化されるCytoEar耳厚さ測定。平均+/−SEM、Nが図において記載される。P値が2元配置ANOVA検定によって得られる:ns(非有意)=P>0.05、=P≦0.05、**=P≦0.01、***=P<0.001、****=P<0.0001。IP=腹腔内への抗体注入、ID=皮内耳注入。 それぞれのコホートについて絶対値(mm)として示されるCytoEar耳厚さ測定。平均+/−SEM、Nが図において記載される。P値がANOVA検定によって得られる。IP=腹腔内への抗体注入、ID=皮内耳注入。P値の表示は図5の場合の通りである。 CytoEarアッセイ−重量モニタリング。有意な体重変化が、実験において試験された動物のいずれにおいても認められなかった。 本発明の抗IL−32抗体2C2に対するIL−32の結合に関するセンソグラム(sensogram)の詳細な分析。1:1でない挙動が認められた。これにより、異種リガンドに対する最良の適合が可能になる。(A)結合反応のラングミュア適合性および実験データについての重ねられたグラフは、1:1のラングミュアモデルに対する良好な適合性を示している。IL−32を、A1:100nM、A2:33.33nM、A3:11.11nM、A4:3.70nM、A5:1.23nMの濃度で注入した。残留プロット(B)はランダムな散乱を示し、ノイズレベルの大きさが、良好な残留適合性であることを示している。(C)図の下側にある表は、会合定数(ka)、解離定数(kd)、Rmaxおよび計算された解離定数KDについて、近似曲線から導かれる速度論パラメータを示す。本発明の例示的な抗IL−32抗体2C2のKDはnMの範囲にあるようである。 CytoEarアッセイにおける2C2との比較での、hIL−32γ誘導の炎症の後における19A1阻止抗体の影響。炎症を誘導するために、hIL−32γを6.25μg/mlの濃度で注入した(125ng/耳)。A:例示的な10日間の実験予定表。B:実験動物群(A〜F)の実験的処置の概要。C〜F:マウスコホート(C57/BL6、8週)に記載量の2C2抗体または19A1抗体(またはIgGコントロール)を実験初日にIP注入し、一方で、20ulのPBSにおける125ngのhrIL−32γサイトカイン(またはPBSコントロール)を48時間〜72時間毎にマウスの耳に皮内注入した。耳の厚さ測定をMitutoyoデジタルマイクロメーターにより行った。それぞれのコホートについて、初日の測定値に対する変化倍数として計算され、その後、関連したPBSコントロールに対して正規化されるCytoEar耳厚さ測定値。平均+/−SEM、Nが図において記載される。P値がANOVA検定によって得られる。IP=腹腔内への抗体注入、ID=皮内での耳注入、NT=非処置コントロール。 CytoEarアッセイにおけるhIL−32γ誘導の炎症の後での種々の用量の19A1抗体の影響。炎症を誘導するために、hIL−32γを6.25μg/mlの濃度で注入した(125ng/耳)。A:例示的な10日間の実験予定表。B:実験動物群(A〜K)の実験的処置の概要。C〜F:マウスコホート(C57/BL6、8週)に記載量の2C2抗体または19A1抗体(またはIgGコントロール)を実験初日にIP注入し、一方で、20ulのPBSにおける125ngのhrIL−32γサイトカイン(またはPBSコントロール)を48時間〜72時間毎にマウスの耳に皮内注入した。耳の厚さ測定をMitutoyoデジタルマイクロメーターにより行った。それぞれのコホートについて、初日の測定値に対する変化倍数として計算され、その後、関連したPBSコントロールに対して正規化されるCytoEar耳厚さ測定値。平均+/−SEM、Nが図において記載される。P値がANOVA検定によって得られる。IP=腹腔内への抗体注入、ID=皮内での耳注入、NT=非処置コントロール。 炎症をCytoAnkleアッセイにおいて誘導する際のIL−32の用量依存性。炎症を誘導するために、マウスは右足首における10μlのhIL−32γの関節内足首注入を受け、これに対して、左足首にはPBSが注入された。A:例示的な13日間の実験予定表。B:実験動物ケージ(A1〜D2)の実験的処置の概要。C〜D:マウスコホート(C57/BL6、8週)に10ulのPBSにおける記載量のhrIL−32γサイトカイン(またはPBSコントロール)を48時間〜72時間毎にマウスの足首にIA注入した。軸に沿った足首の厚さ測定をMitutoyoデジタルマイクロメーターにより行った。それぞれのコホートについて、初日の測定値に対する変化倍数として計算され、その後、関連したPBSコントロールに対して正規化されるCytoAnkle厚さ測定値。平均+/−SEM、Nが図において記載される。P値がANOVA検定によって得られる。IA=関節内足首注入。 CytoAnkleアッセイにおけるhIL−32γ誘導の炎症の後での2C2抗体の影響。CytoAnkle試験:+/−IL−32γ+/−2C2。A:例示的な10日間の実験予定表。B:実験動物ケージ(A1〜D2)の実験的処置の概要。C〜D:マウスコホート(C57/BL6、8週)に200μgの2C2抗体(またはIgGコントロール)を実験初日にIP注入し、一方で、10ulのPBSにおける500ngのhrIL−32γサイトカイン(またはPBSコントロール)を48時間〜72時間毎にマウスの足首にIA注入した。軸に沿った足首の厚さ測定をMitutoyoデジタルマイクロメーターにより行った。それぞれのコホートについて、初日の測定値に対する変化倍数として計算され、その後、関連したPBSコントロールに対して正規化されるCytoAnkle厚さ測定値。平均+/−SEM、Nが図において記載される。P値がANOVA検定によって得られる。IP=腹腔内への抗体注入、IA=関節内足首注入。
発明の詳細な説明
本発明は概して、哺乳動物起源(好ましくはヒト起源)のIL−32と結合する新規な分子に関連し、具体的には、IL−32の種々のイソタイプを認識するヒトモノクローナル抗体、同様にまた、その断片、誘導体および変異体に関連する。
背景のセクションで記載されるように、IL−32特異的抗体を提供するための様々な努力が既に存在している。しかしながら、現在において提供され、また、使用される抗体は、上記で示されるように、ヒト起源のものではなく、そのため、ヒトにおけるそれらの治療的使用がそれらの免疫原性のために大きく損なわれている。そのうえ、IL−32αに対するマウス抗体、または、いくつかのIL−32イソタイプに対する特異性がより広いマウス抗体が利用可能であるが、それらは、それらの幅広い結合特異性に起因する望ましくない副作用プロファイルを有する場合があり、したがって、様々な有害作用および疾患を潜在的には引き起こす場合がある。加えて、明らかにヒトIL−32γ特異的抗体は未だ利用可能ではない。
実施例において記載されるように、本発明の本件抗体は、損なわれた中枢性寛容および/または末梢性寛容あるいは自己寛容の喪失を有する患者(例えば、APECED/APS1患者など)の血清をIL−32タンパク質に対する自己抗体についてスクリーニングすることに基づいた、本出願人の同時係属中の国際出願公開WO2013/098419A1に開示される方法によって単離された。これらのスクリーニングの範囲内において、特定のIL−32イソタイプを認識する自己抗体がこれらの血清に存在するという驚くべき所見が認められた。このサイトカインは最近になってようやく前炎症性サイトカインとして特定されたばかりであり、疾患におけるその役割については(少なくとも、多くの他の前炎症性サイトカインと比較して)依然として比較的あまり知られていない。これに関連して、IL−32自己抗体がAPS1患者(ただし、自己免疫性および炎症性の一般的な状態および疾患の多く(例えば、RAなど)を発症していない)に存在することは、これらの疾患の病因論におけるこのサイトカインの重要な役割をさらに裏づけており、また、治療的介入のための、抗体に基づく標的化されたその阻害、および、診断適用におけるその使用の本発明の取り組みが有効であることを認めている。
上記を考慮すると、本発明に従って行われた様々な実験は、IL−32結合分子を提供すること、具体的には、すべてのIL−32イソタイプに対する結合特異性を示す抗体、または、部分範囲のIL−32イソタイプのみに対する結合特異性を示す抗体、もしくは、ただ1つのイソタイプのみに対する結合特異性を示す抗体、好ましくはIL−32γと特異的に結合する抗体で、その免疫反応性が、例えば、RAおよび/またはIBDの発症を防止し得ることがAPECED/APS1患者において示されている抗体を提供することを目的とした。好ましくは、これらのIL−32結合分子はIL−32の生物学的活性を中和することができる。添付されている実施例および図において、具体的には、結合親和性を示す図3および図4A、動物モデルにおける本件抗体の中和活性および治療有用性を示す図4Bならびに図5、図6および図9〜図12において本発明の例示的な抗IL−32抗体2C2によって例示されるように、本発明の根底となる問題が解決されている。
それによれば、その最も広い局面において、本発明は、組換えヒトモノクローナル抗インターロイキン−32(IL−32)抗体およびそのIL−32結合断片、同様にまた、IL−32イソタイプの1つまたは複数と結合するその生物工学誘導体に関連する;例えば、IL−32γ、IL−32α、IL−32βおよびIL−32δを含めて、IL−32イソタイプの説明については背景のセクション(上掲)もまた参照のこと。1つの実施形態において、ヒトモノクローナル抗IL−32抗体またはそのIL−32結合断片はIL−32γおよび/またはIL−32αの生物学的活性を中和することができる。本発明の様々な抗体の結合特性および中和特性に関して、それらは種々のIL−32イソタイプに対して実質的に等しい場合があり、あるいは、それぞれのIL−32イソタイプに対する優先的な結合活性および/または中和活性を有する場合がある。
本発明の好ましい実施形態において、ヒトモノクローナル抗IL−32抗体またはそのIL−32結合断片は、
(i)組換えヒトIL−32ガンマ(IL−32γ)と結合することができる;
(ii)ヒトIL−32γにIL32アルファ(IL−32α)よりも優先的に結合することができ、かつ/または、IL−32αとは実質的に結合しない:および/または
(iii)IL−32γの生物学的活性を中和することができる。
好ましくは、本発明の抗体またはそのIL−32結合断片または等価な結合分子はその可変領域において、
(a)下記に示されるV可変領域アミノ酸配列および/またはV可変領域アミノ酸配列の少なくとも1つの相補性決定領域(CDR):
(i)図1(V)(配列番号2、配列番号10、配列番号18および配列番号26);および
(ii)図1(V)(配列番号4、配列番号12、配列番号20および配列番号28)
(b)図1に示されるようなV領域および/またはV領域のアミノ酸配列;
(c)(a)のアミノ酸配列のいずれか1つの部分的変化から生じるアミノ酸配列からなる少なくとも1つのCDR;ならびに/あるいは
(d)(b)のアミノ酸配列の部分的変化から生じるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域
を含む。
本明細書中下記においてより詳しく記載されるように、本発明の抗体またはその抗原結合断片は、免疫グロブリン分子のどのようなタイプ、クラスまたはサブクラスのものでも可能であり、あるいは、免疫グロブリン分子のどのようなタイプ、クラスまたはサブクラスにも由来することができる。しかしながら、好ましい実施形態において、IgGイソタイプのものである本発明の抗体が提供され、最も好ましくは、IgG1サブクラスまたはIgG3サブクラスのものである本発明の抗体が提供される。
そのようなヒト化抗体、キメラ抗体および具体的には完全なヒト抗体、ならびに、それらの生来型Fab断片を提供するために、1つの実施形態において、本発明の抗体またはIL−32結合断片はさらに、表1に示されるCアミノ酸配列およびCアミノ酸配列(配列番号6、配列番号8、配列番号14、配列番号16、配列番号22、配列番号24および配列番号30)から選択されるアミノ酸配列、あるいは、言及された参照配列に対する少なくとも60%の同一性、好ましくは70%の同一性、より好ましくは80%の同一性、一層より好ましくは90%の同一性、特に好ましくは少なくとも91%の同一性、92%の同一性、93%の同一性、94%の同一性、95%の同一性、96%の同一性、97%の同一性、98%の同一性または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むC定常領域および/またはC定常領域を含む。
上記で記載されるように、IL−32の前炎症性活性は様々なサイトカイン(例えば、TNFA/TNF−アルファ、IL−1β、IL−6、IL−8、MIP−2など)を誘導することが見出されている(Kim他(2005);Netea他(2005);Netea他(2008);Joosten他(2006)(上掲)を参照のこと)。この活性化機構が、IL−32活性を測定するためのインビトロアッセイおよびインビボアッセイを設計するために、例えば、IL−32刺激されたRAW264.7マクロファージのIL−6発現のモニタリング、ならびに、本発明の抗体の中和特性をモニターするための、実施例3に記載されるような、また、図4B、図5および図6に記載されるような耳炎症アッセイなどを設計するために本発明において使用されている。それらにおいて詳しく記載されるように、本発明の抗体は、IL−32γに対する強力な中和活性を有することが見出されており、ただし、この場合、1つの抗体がまた、さらに下記で詳しく記載されるように、IL−32αに対する残留結合活性を示す。したがって、1つの実施形態において、本発明の抗体またはそのIL−32結合断片はヒトIL−32の生物学的活性を低下させることができ、好ましくはIL−32γの生物学的活性を低下させることができる。好ましい実施形態において、生物学的活性はヒトのIL−32γ誘導の炎症である。さらに、本発明の1つの実施形態において、生物学的活性がIL−6誘導アッセイおよび/または耳炎症アッセイにおいて測定される。
そのうえ、本発明の抗体の結合親和性が、本明細書中に、例えば、実施例2に記載されるような、また、図3および図4に示されるようなELISAによって試験されている。これらの実験の結果によれば、本発明は、異なった様々なIL−32イソタイプに対する示差的な結合親和性を示すいくつかの例示的な抗IL−32抗体およびそのIL−32結合断片を提供する。なお、これらのIL−32イソタイプにより、本明細書中に提供されるIL−32結合分子の結合特性および中和特性が例示される。
実施例に記載される例示的な抗IL−32抗体はヒト患者に由来したものであるので、本発明は好都合には、治療適用において特に有用である完全なヒト抗体を提供する。これは、完全なヒト抗体は、他の場合には異物抗体について典型的に認められる免疫学的応答を実質的に有しておらず、例えば、ヒトにおいてマウス由来抗体について認められる免疫学的応答(HAMA応答)、または、ヒト化抗体およびヒト様抗体について認められる免疫学的応答などを実質的に有していないからである。
これに関連して、ヒト化抗体および他の場合にはヒト様抗体に反して、下記の議論もまた参照のこと。本発明のヒト由来抗体は、ヒト身体により認められているCDRを含むことによって特徴づけられ、したがって、免疫原性である危険性を実質的に有していない。したがって、本発明の抗体は、抗体の可変軽鎖および可変重鎖の一方または両方の少なくとも1つのCDR、好ましくは2つのCDR、最も好ましくは3つすべてのCDRが、本明細書中に例示されるヒト抗体に由来するならば、依然として、ヒト由来であると表される場合がある。
ヒト由来抗体はまた、そのような抗体が、実際に被験体によって最初に発現されたものであり、例えば、ヒト免疫グロブリン発現ファージライブラリによって生じるインビトロ選択された構築物、または、ヒト免疫グロブリンレパートリーの一部を発現するトランスジェニック動物において生じる異種抗体でないことを強調するために、「ヒト自己抗体」と呼ばれる場合がある(なお、それらはこれまで、ヒト様抗体を提供するために試みるための最も一般的な方法を表していた)。他方で、本発明のヒト由来抗体は、プロテインAまたは親和性カラムによって精製される場合があるヒト血清抗体そのものから区別するために、合成(的)、組換え(型)および/または生物工学(的)であると表される場合がある。
しかしながら、本発明では、動物モデルにおける、例えば、ヒトIL−32を発現するトランスジェニックマウスにおける本発明の抗体のさらなる研究が使用され、想定される。ヒトにおけるHAMA応答と類似した実験動物における免疫原性影響を避けるために、1つの局面において、キメラ抗体である、好ましくは齧歯類−ヒトのキメラ抗体または齧歯類化抗体である、最も好ましくはマウス−ヒトのキメラ抗体またはマウス化抗体である本発明の抗体または結合断片が提供される。
上記で述べられるように、本発明の抗体は、APECED/APS1患者から単離されたものである。これに関連して、本出願人の同時係属中の国際出願公開WO2013/098419A1に開示される様々な実験では驚くべきことに、APECED/APS1患者は、オートイムノソーム(auto−immusome)、すなわち、種々のIL−32イソタイプについて特異的である広範囲の結合分子を同様に含む自己抗体プロファイルを示すことが明らかにされた。APS1は、自己免疫調節因子(AIRE)遺伝子における変異によって引き起こされる希な自己免疫疾患である。AIREタンパク質が、発達途中の胸腺細胞を許容するためにMHCによって提示される多くの末梢自己抗原(例えば、インスリン)の胸腺髄質上皮における発現を支配している。APS1において、AIREの変異は、異常な負の選択を引き起こし、これにより、自己反応性T細胞は末梢に逃れることができるようになる。したがって、患者は、極めて変わりやすい一連の様々な臨床的特徴をAPS1において示し、しかし、通常の場合には内分泌腺組織のいくつかの自己免疫障害を伴う。定義となるようなAPS1の三徴候には、慢性皮膚粘膜カンジダ症、副甲状腺機能低下症および副腎機能不全が含まれる(Perheentupa、Endocrinol.Metab.Clin.North Am.、31(2002)、295〜320)。APECED患者において見られる他の臨床状態には、甲状腺自己免疫疾患、真性糖尿病、性腺機能不全、白斑、脱毛症、慢性肝炎、慢性胃炎および悪性貧血、ならびに、種々の形態の他の胃腸症状が挙げられる。APECED/ASP1患者およびそれらのオートイムノソームのスクリーニングに関するさらなる詳細については、国際出願公開WO2013/098419A1およびそれに記載される実施例の記載、特に、112頁〜117頁における「材料および方法」のセクション、117頁〜118頁における実施例1、ならびに、128頁における実施例7および続く表1〜表14、また、168頁〜171頁における実施例17を参照のこと(それらの開示内容は参照によって本明細書中に組み込まれる)。
上記で記載されるように、1つの好ましい実施形態において、本発明の抗体は、自己免疫性多腺性内分泌不全症・カンジダ症・外胚葉ジストロフィー(APECED/APS1)に罹患するヒト被験体のサンプルから、あるいは、国際出願公開WO2013/098419A1およびそれにおける実施例(特に、112頁〜117頁における「材料および方法」のセクション、117頁〜118頁における実施例1、156頁〜161頁における実施例10、具体的には、その156頁におけるセクション「患者およびコントロール」、ならびに、168頁〜171頁における実施例17;それらの開示内容は参照によって本明細書中に組み込まれる)に記載されるような、類似する自己免疫疾患に罹患する患者から得られ、または得ることができる。そのうえ、好ましい実施形態において、APS1被験体は、ヒトIL−32に対する血清反応性、好ましくはIL−32γおよび/またはIL−32αに対する血清反応性を示すことによって特徴づけられる。
これに関連して、本発明の本件抗IL−32抗体が、ヒト抗体を単離する新規かつ独占権下の方法によってクローン化されていることは特筆される。なお、この方法は本出願人の同時係属中の国際出願公開WO2013/098420A1に開示されており、その開示内容は参照によって本明細書中に組み込まれる。
簡単に記載すると、目的とする抗体を単離するためのサンプルは、末梢血単核細胞(PBMC)と、可能な抗体反応性を検出するための血清とを含むか、または、末梢血単核細胞(PBMC)と、可能な抗体反応性を検出するための血清とからなる。被験体に由来するサンプルは、例えば、所望される抗体の1つまたは複数に対する血清反応性を試験するためにそのまま使用される場合があり、あるいは、さらに処理される場合があり、例えば、Bリンパ球について富化される場合がある。具体的には、サンプルは、目的とする抗体を産生するB細胞、最も好ましくはメモリーB細胞を含むか、または、そのようなB細胞に由来することが好ましい。メモリーB細胞が、所望される抗原に対して反応性である細胞をB細胞培養物から選び出すまで典型的には最大でも1週間〜2週間、メモリーB細胞の有限な寿命のみを可能にする条件のもとで培養され、続いて、単一分取細胞のRT−PCRが、免疫グロブリン遺伝子レパートリーを得るために行われる;詳細な説明については、国際公開WO2013/098419A1の118頁〜120頁における実施例1および実施例2、また、特に、国際公開WO2013/0984220A1の27頁〜31頁における実施例1〜実施例4を参照のこと(それらの開示内容は参照によって本明細書中に組み込まれる)。当然のことながら、本発明は、本明細書中上記および下記で定義されるような明確かつ独特の特徴を有する抗体を産生するヒトBメモリーリンパ球およびヒトB細胞にまでそれぞれ及ぶ。
したがって、選択された患者プールを使用すること、好ましくは、本発明の例示的な抗体によって中和されるヒトIL−32イソタイプの少なくとも1つに対する血清反応性を示すことによって特徴づけられるAPS1被験体を使用することのほかに、ヒトモノクローナル抗体を自己免疫疾患の患者(例えば、APECED/APS1患者など)のB細胞から単離するために特に開発され、適合化された特定の方法を用いることによって抗IL−32抗体が提供されている。
1つの実施形態において、本発明の抗体またはIL−32結合分子は、図1に示されるようなV領域および/またはV領域のアミノ酸配列、あるいは、表1に示されるような対応する核酸によってコードされるようなV領域および/またはV領域のアミノ酸配列を含む。加えて、別の実施形態において、本発明は、ヒトIL−32に対する特異的結合について、好ましくは、IL−32γに対する特異的結合について、本明細書中上記で定義されるような本発明の抗体と競合する抗IL−32抗体またはIL−32結合分子に関連する。具体的には、実施例および図において例示される抗体について概説されるような免疫学的結合特性および/または生物学的性質を示す抗IL−32抗体が提供される。存在する場合、抗原との抗体の用語「免疫学的結合特性」または他の結合特性はその文法的形態のすべてで、抗体の特異性、親和性、交差反応性および他の結合特性を示す。
1つの実施形態において、本発明の抗体は抗体断片である。例えば、本発明の抗体または抗体断片は、単鎖Fv断片(scFv)、F(ab’)断片、F(ab)断片、F(ab’)断片および単一ドメイン抗体断片(sdAB)からなる群から選択される場合がある。
本発明の抗体のさらなる利点は、体液性免疫応答がその生理学的環境および細胞環境において生来的抗原に対して誘発されるという事実のために、典型的には、当該抗原の立体配座エピトープを、例えば、他の細胞成分を伴う状況でのその提示、細胞表面膜におけるその提示、および/または、受容体に対するその結合に起因して認識する自己抗体が産生され、かつ、この自己抗体を単離できることである。対照的に、モノクローナル抗体(例えば、マウスのモノクローナル体など)、そのヒト化型、または、ファージディスプレイから得られる抗体を作製する従来の方法では典型的に、標的タンパク質の抗原性断片が、非ヒト哺乳動物を免疫化することおよび検出のためにそれぞれ用いられ、このときには通常、生来型タンパク質の存在をその生理学的状況および細胞状況において認識するのではなく、むしろ、免疫原の二次元構造に限定される線状エピトープまたは立体配座エピトープを認識する抗体が得られる。それによれば、本発明の自己抗体がそのエピトープ特異性の面で独特であると予想することは妥当なことである。したがって、本発明はまた、本発明の方法に従って単離される自己抗体と実質的に同じ結合特異性を示す抗体および同様な結合分子に関連する。そのような抗体は、例えば、競合的ELISAによって、または、より適切には、細胞に基づいた中和アッセイによって、本発明の自己抗体およびそのモノクローナル誘導体を参照抗体としてそれぞれ使用して容易に試験することができ、また、実施例に記載されるか、または、そうでない場合には当業者に知られている免疫学的試験によって容易に調べることができる。
本発明では、その可変領域において、すなわち、結合ドメインにおいて、(V)(配列番号2、配列番号10、配列番号18および配列番号26)および(V)(配列番号4、配列番号12、配列番号20および配列番号28)の図1に示されるアミノ酸配列を含む可変領域のVおよび/またはVの少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)を含むことによって一般には特徴づけられることがあるIL−32結合分子、すなわち、抗体およびその結合断片が例示される−図1において下線が引かれ、表1において特定される例示的なCDR配列を参照のこと。しかしながら、下記で議論されるように、当業者は、加えて、または、代替として、様々なCDRが使用されることがあり、ただし、この場合、これらのCDRが、それらのアミノ酸配列において、図1に示されるアミノ酸配列と、特にCDR2およびCDR3の場合には、1つ、2つ、3つ、または、それ以上のアミノ酸が異なるという事実を十分に承知している。
本発明の様々な抗体についてさらに実証されているように、本発明の抗体はその標的タンパク質の生物学的活性を中和することができる;例えば、実施例3に記載されるIL−6中和アッセイの結果(図4B)、ならびに、実施例4に記載されるIL−32耳炎症アッセイ(CytoEarアッセイ)の結果(図5および図6)および足首炎症アッセイ(CytoAnkleアッセイ)の結果(図9〜図12)を参照のこと。これに関連して、用語「中和(する)」は、本発明の抗IL−32抗体またはそのIL−32結合断片が、生化学的な細胞型アッセイまたはインビボアッセイにおけるその標的タンパク質の生物学的活性を、それぞれのアッセイを本発明の本件抗体の存在下で行うことによって評価され得るように妨害することができることを意味し、ただし、この場合、標的タンパク質の生物学的活性は、本発明の抗体の存在を伴わない場合で、標的タンパク質の生物学的活性を本質的に影響されないままにしておくことが知られている化合物(例えば、コントロール抗体)の存在下でのタンパク質の生物学的活性と比較して、アッセイに供される本発明の抗体のレベルを増大させるのと同時に低下させられる。そのような生化学的なインビトロ型アッセイおよびインビボ型アッセイはまた、例えば、本発明の抗IL−32抗体について示されているような標的タンパク質の生物学的活性を中和できることが知られている参照抗体を使用して、また、候補抗体を試験サンプルに供して行うことができ、ただし、この場合、参照抗体および候補抗体の組み合わされた活性から生じる付加的な中和活性が認められる場合があり、または、どちらかの抗体を標識することによって測定されることがある候補抗体および参照抗体の競合が認められる。したがって、本発明の好ましい実施形態において、本発明の方法によって得られる抗体はその抗原の生物学的活性を中和することができ、例えば、少なくとも1つのヒトIL−32イソタイプの生物学的活性を中和することができ、好ましくはIL−32γの生物学的活性を中和することができる。中和作用が、例えば、IL−32活性が低下させられる量の観点から、または、そのような低下が本発明のIL−32結合分子の導入の後で観測され得るまでの時間により、または、当然のことではあるが、両者の組み合わされた観点から評価される場合がある。
上記のように、本発明の抗体または抗原結合断片、例えば、ペプチド、ポリペプチドまたは融合タンパク質は、例えば、宿主細胞またはインビトロの無細胞翻訳系における発現によって提供され得る。宿主細胞でペプチド、ポリペプチドまたは融合タンパク質を発現させるために、前記ペプチド、ポリペプチドまたは融合タンパク質をコードする核酸分子を、適切な発現ベクター(すなわち、挿入されたコード配列の転写および翻訳に必要な要素を含むベクター)に挿入することができる。当業者に周知の方法を使用して、目的のポリペプチドをコードする配列ならびに適切な転写および翻訳制御要素を含む発現ベクターを構築することができる。これらの方法としては、インビトロ組換えDNA技術、合成技術、およびインビボ遺伝子組換えが挙げられる。このような技術は、Sambrook et al.,Molecular Cloning,A Laboratory Manual(1989)、およびAusubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology(1989)に記載されている;これに関するさらなる詳細については、さらに以下のセクション「ポリヌクレオチド」および「発現」、ならびに実施例のセクションで引用されている文献も参照のこと。
産物の発現に適切な宿主細胞は、任意の原核細胞または真核細胞;例えば、細菌細胞、例えば、大腸菌または枯草菌、昆虫細胞(バキュロウイルス)、酵母細胞、植物細胞または動物細胞であり得る。しかしながら、効率的な処理のためには、哺乳動物細胞が好ましい。この目的に有用な典型的な哺乳動物細胞株としては、CHO細胞、HEK293細胞、COS細胞およびNSO細胞が挙げられる。
当然のことながら、単離された本発明の抗体をそれ自体で患者に適用することはできず、通常は、例えば、患者におけるその安定性、受容性およびバイオアベイラビリティを保証するために、薬学的に製剤化しなければならない。したがって、一実施形態では、単離されたモノクローナル抗体又はその断片を薬学的に許容され得る担体と混合する工程をさらに含む本発明の方法が提供される。薬学的に許容される担体は、以下でさらに詳細に説明する。
本発明の様々な結合分子の安定的かつ永続的な供給源を得るための方策として、これらの結合分子をコードする異種遺伝子が、直接的クローニング、PCR増幅または人為的合成によって単離され、好適な宿主細胞または生物に導入され、発現させられる場合がある。したがって、組換えヒト抗IL−32抗体またはそのIL−32結合断片を産生させるために有用である組換え細胞を調製するための方法であって、下記の工程を含む方法を提供することもまた、本発明の目的である:
(a)B細胞を、上記で記載されるような方法によって調製する工程;
(b)下記のものをコードする核酸を配列決定し、および/または、下記のものをコードする核酸をB細胞から得る工程:
(i)表1に示されるCアミノ酸配列およびCアミノ酸配列(配列番号6、配列番号8、配列番号14、配列番号16、配列番号22、配列番号24および配列番号30)の少なくとも1つ、または、少なくとも60%の同一性を有するアミノ酸配列;
(ii)下記に示されるV可変領域アミノ酸配列および/またはV可変領域アミノ酸配列の少なくとも1つの相補性決定領域(CDR):
・図1(V)(配列番号2、配列番号10、配列番号18および配列番号26);および
・図1(V)(配列番号4、配列番号12、配列番号20および配列番号28)
(iii)図1に示されるようなV領域および/またはV領域のアミノ酸配列;
(iv)(a)のアミノ酸配列のいずれか1つの部分的変化から生じるアミノ酸配列からなる少なくとも1つのCDR;
(v)(ii)のアミノ酸配列の部分的変化から生じるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域;ならびに/あるいは
(c)核酸を、発現宿主における目的とする抗体の発現を可能にするために発現宿主に挿入する工程。
本明細書のセクション「宿主」で詳細に記載されているように、上記宿主細胞は、前記2つの方法で同様に使用することができる。これに関して、一実施形態では、発現宿主が酵母細胞、植物細胞または動物細胞である上記方法が提供される。
目的の各抗体を生産するための上記方法に関して、一実施形態では、本発明は、上記工程(b)および(c)の間において核酸を操作して、制限部位を導入し、コドン使用頻度を変化させ、ならびに/または転写および/もしくは翻訳調節配列を付加または最適化する方法を提供する。
添付された実施例2および実施例3において明らかにされるように、また、表3にまとめられるように、特に大きい見かけの結合親和性(EC50/ED50)をヒトIL−32について示す結合分子(すなわち、抗体)が特定され、クローン化されている。この点において、本発明の1つの実施形態において、抗体またはその結合断片は、本明細書中上記で定義される通りであり、そのそれぞれの標的分子について大きい親和性を備え、例えば、本明細書中上記で定義されるように様々なヒトIL−32イソタイプについて大きい親和性を備え、好ましくはIL−32γについて大きい親和性を備え、EC50を2000ng/ml未満または1500ng/ml未満の濃度で示し、好ましくは、1000ng/ml未満、900ng/ml未満、800ng/ml未満、700ng/ml未満、600ng/ml未満、500ng/ml未満、400ng/ml未満、300ng/ml未満、200ng/ml未満または100ng/ml未満の濃度で示し、より好ましくは50ng/ml未満、20ng/ml未満または10ng/ml未満の濃度で示す。代替において、または、加えて、1つの実施形態において、本明細書中上記で定義されるような抗体またはその抗原結合断片は、ある1つのヒトIL−32イソタイプについて大きい中和能を備え、好ましくはIL−32γについて大きい中和能を備え、IC50を500ng/ml未満または400ng/ml未満の濃度で示し、好ましくは、300ng/ml未満、200ng/ml未満または100ng/ml未満の濃度で示し、より好ましくは50ng/ml未満、20ng/ml未満または10ng/ml未満の濃度で示す。本発明の抗体の結合親和性に関してより詳しくは、例えば、さらには下記のセクション「結合特性」を参照のこと。1つの実施形態において、本発明の抗体またはIL−32結合断片は2つ以上のIL−32イソタイプと特異的に結合し、ただし、好ましくは、この場合、IL−32γが、認識されるイソタイプの1つである。1つの実施形態において、第2のイソタイプがIL−32αである。好ましい実施形態において、抗IL−32抗体またはそのIL−32結合断片は好ましくは、第2の認識されたイソタイプよりもIL−32γと結合する。そのうえ、1つの実施形態において、本発明の抗IL−32抗体またはそのIL−32結合断片は1つのIL−32イソタイプと結合し、実質的にはどのような他のIL−32イソタイプとも結合しない。
本発明はまた、本発明の抗体またはその抗原結合断片の免疫グロブリン鎖の可変領域を少なくともコードするポリヌクレオチドに関連する。好ましくは、前記可変領域は、図1に示されるような可変領域のVおよび/またはVの少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)を含む。
誘導体配列の場合、前記配列は、配列表で特定されている上記配列からなる群の配列と少なくとも60%の同一性、より好ましくは(以下の順序で)少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、最も好ましくは95%、少なくとも96〜99%、またはさらに100%の同一性を示す。2つの配列間の%同一性は、2つの配列を最適にアライメントするために導入する必要があるギャップの数および各ギャップの長さを考慮した、これらの配列が共有する同一位置の数の関数である。配列の比較および2つの配列間の%同一性の決定は、当業者に周知の数学的アルゴリズムを使用して達成することができる。本明細書で以下にさらに言及されているように、本明細書で言及される同一性は、BLASTプログラムを使用して決定されるべきものである。
上記で述べられるように、好ましい実施形態において、本発明は、実質的に完全なヒト抗体に関連し、好ましくは、定常重鎖I(CH1)と定常領域の対応する軽鎖とを少なくとも含むIgG、すなわち、γ−1、γ−2、γ−3またはγ−4をラムダまたはカッパとの組合せで含むIgGに関連する。特に好ましい実施形態において、実施例において例示される本件抗体について単離されるそのような定常領域のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列が、下記の表1において、また、それらのヌクレオチド配列に関しては配列番号5、配列番号7、配列番号13、配列番号15、配列番号21、配列番号23および配列番号29において、ならびに/あるいは、それらのアミノ酸配列に関しては配列番号6、配列番号8、配列番号14、配列番号16、配列番号22、配列番号24および配列番号30において、または、前記で示されるこれらに対して少なくとも60%の同一性を有するアミノ酸配列において示されるように使用される。
上記にしたがって、一実施形態では、本発明はまた、本発明の抗体または抗原結合断片の一方の免疫グロブリン鎖の少なくとも可変領域をコードするポリヌクレオチドを提供する。典型的には、ポリヌクレオチドによってコードされる前記可変領域は、前記抗体の可変領域のVおよび/またはVの少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)を含む。抗体の可変領域および定常領域は、以下のセクション「IgGの構造」により詳細に記載されている。本発明の好ましい実施形態では、ポリヌクレオチドは、以下の表1に示されている本発明の抗体のVまたはV領域のポリヌクレオチド配列を有する核酸を含むか、これから本質的になるか、またはこれからなる。これに関して、当業者であれば、軽鎖および/または重鎖の少なくとも可変ドメインをコードするポリヌクレオチドは、免疫グロブリン鎖またはそれらの一方のみのいずれかの可変ドメインをコードし得ることを容易に認識するであろう。好ましい実施形態では、ポリヌクレオチドは上記で定義した抗IL−32抗体又はそのIL−32結合断片をコードする。
表1:本発明のIgG3のラムダ型のIL−32特異的な2C2抗体、ならびに、IgG1のラムダ型のIL−32特異的な14B3抗体、19A1抗体および26A6抗体の可変領域および定常領域(V、V、C、C)領域のヌクレオチド配列。下線が引かれた太字のヌクレオチドまたはアミノ酸により、可変鎖配列におけるCDRコード領域が示される。下線が引かれた斜体字のヌクレオチドまたはアミノ酸は、配列決定がなされていないが、データベースから得られている配列を示している。定常鎖において、そのような領域がデータベースにおける該当するヒト生殖系列可変領域配列とアライメントされ、それらと一致させられる;例えば、MRC Centre for Protein Engineering(Cambridge、英国)によって管理されるVbase(http://vbase.mrc−cpe.cam.ac.uk)を参照のこと。
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当業者は、上記可変ドメインを有する抗体の可変ドメインが、所望される特異性および生物学的機能の他のポリペプチドまたは抗体を構築するために使用され得ることを容易に理解するであろう。したがって、本発明はまた、上記で記載された可変ドメインの少なくとも1つのCDRを含み、かつ、好都合には、添付された実施例において記載される抗体と実質的に同じまたは類似する結合特性を有するポリペプチドおよび抗体を包含する。当業者は、本明細書中に記載される可変ドメインまたはCDRを使用して、様々な抗体が、この技術分野において知られている方法に従って、例えば、欧州特許出願EP0451216A1および同EP0549581A1に記載されるような方法に従って構築され得ることを容易に理解するであろう。そのうえ、当業者は、結合親和性が、アミノ酸置換をCDR内において、または、Kabatによって定義されるようなCDRと部分的に重なる超可変ループ(ChothiaおよびLesk、J.Mol.Biol.、196(1987)、901〜917)の内部において行うことによって強化され得ることを理解している。したがって、本発明はまた、述べられたCDRの1つまたは複数が1つまたは複数のアミノ酸置換を含み、好ましくは2つ以下のアミノ酸置換を含む抗体に関連する。好ましくは、本発明の抗体は、その免疫グロブリン鎖の一方または両方において、V領域については配列番号2、配列番号10、配列番号18および配列番号26に示されるような可変領域、ならびに、V領域については配列番号4、配列番号12、配列番号20および配列番号28に示されるような可変領域、あるいは、図1に示されるような可変領域の2つのCDRまたは3つすべてのCDRを含む。
上記抗体をコードする本発明のポリヌクレオチドは、例えば、DNA、cDNA、RNAまたは合成的に生産されたDNAもしくはRNA、またはそれらのポリヌクレオチドのいずれかを単独でまたは組み合わせて含む組換え的に生産されたキメラ核酸分子であり得る。一実施形態では、ポリヌクレオチドは可変領域と定常ドメインの少なくとも一部をコードするcDNAである。好ましい実施形態では、場合により、前記抗体の他方の免疫グロブリン鎖の可変領域をコードする前記ポリヌクレオチドと組み合わせて、上記ポリヌクレオチドを含むベクターが提供される。このようなベクターは、適切な宿主細胞中、適切な条件下で前記ベクターの選択を可能にするマーカ遺伝子などのさらなる遺伝子を含み得る。
好ましくは、本発明のポリヌクレオチドは、原核細胞または真核細胞における発現を可能にする発現制御配列に機能的に連結される。前記ポリヌクレオチドの発現は、翻訳可能なmRNAへのポリヌクレオチドの転写を含む。真核細胞、好ましくは、哺乳動物細胞における発現を確実にする調節要素は、当業者に周知である。それらは、通常、転写開始を確実にする調節配列と、場合により、転写終止および転写産物の安定化を確実にするポリAシグナルとを含む。さらなる調節要素は、転写および翻訳エンハンサ、ならびに/または本来的に結合しているプロモータ領域もしくは異種プロモータ領域を含み得る。
これに関して、当業者であれば、軽鎖および/または重鎖の少なくとも可変ドメインをコードするポリヌクレオチドは、両方の免疫グロブリン鎖または一方の鎖のみの可変ドメインをコードし得ることを容易に認識するであろう。
同様に、前記ポリヌクレオチドは同じプロモータの制御下にあってもよいし、または別個に発現制御されてもよい。原核生物宿主細胞における発現を可能にする有望な調節要素は、例えば、大腸菌の場合にはP、lac、trpまたはtacプロモータを含み、真核生物宿主細胞における発現を可能にする調節要素の例は、酵母の場合にはAOX1またはGAL1プロモータ、または哺乳動物および他の動物細胞の場合にはCMV−、SV40−、RSV−プロモータ、CMV−エンハンサ、SV40−エンハンサまたはグロビンイントロンである。
転写開始に関与する要素に加えて、このような調節要素は、ポリヌクレオチドの下流に、SV40−ポリA部位またはtk−ポリA部位などの転写終止シグナルも含み得る。さらに、使用される発現系に応じて、ポリペプチドを細胞区画に方向付けるかまたはそれを培地に分泌させることができるリーダ配列を本発明のポリヌクレオチドのコード配列に付加することができ、当技術分野において周知である。リーダ配列は、翻訳、開始および終止配列と適切な段階で会合し、好ましくは、リーダ配列は、翻訳されたタンパク質またはその一部を周辺腔または細胞外培地に分泌させることができる。場合により、異種配列は、所望の特徴、例えば、発現された組換え産物の安定化または簡単な精製を付与するC末端またはN末端同定ペプチドを含む融合タンパク質をコードし得る。本文脈では、Okayama−Berg cDNA発現ベクターpcDV1(Pharmacia)、pCDM8、pRc/CMV、pcDNA1、pcDNA3(Invitrogen)またはpSPORT1(GIBCO BRL)などの適切な発現ベクターが当技術分野において公知である。
好ましくは、発現制御配列は、真核生物宿主細胞を形質転換またはトランスフェクトすることができるベクター中の真核生物プロモータ系であるが、原核生物宿主用の制御配列も使用し得る。ベクターが適切な宿主に組み込まれたら、ヌクレオチド配列の高レベルの発現に適切な条件下で宿主を維持し、所望により、免疫グロブリン軽鎖、重鎖、軽鎖/重鎖二量体またはインタクトな抗体、結合断片または他の免疫グロブリン形態を回収および精製する;Beychok,Cells of Immunoglobulin Synthesis,Academic Press,N.Y.,(1979)を参照のこと。
さらに、本発明は、場合により、本発明の抗体の他方の免疫グロブリン鎖の可変ドメインをコードする本発明のポリヌクレオチドと組み合わせて、抗原または好ましくは本発明の抗体の免疫グロブリン鎖の可変ドメインをコードするポリヌクレオチドを含む遺伝子工学で通常使用されるベクター、特にプラスミド、コスミド、ウイルスおよびバクテリオファージに関する。好ましくは、前記ベクターは、発現ベクターおよび/または遺伝子導入もしくは標的化ベクターである。
レトルウイルス、ワクシニアウイルス、アデノ関連ウイルス、ヘルペスウイルスまたはウシ乳頭腫ウイルスなどのウイルス由来の発現ベクターを、標的細胞集団への本発明のポリヌクレオチドまたはベクターの送達に使用することができる。組換えウイルスベクターを構築するために、当業者に周知の方法を使用することができる;例えば、Sambrook,Molecular Cloning A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory(1989)N.Y.およびAusubel,Current Protocols in Molecular Biology,Green Publishing Associates and Wiley Interscience,N.Y.(1994)に記載されている技術を参照のこと。あるいは、標的細胞への送達のために、本発明のポリヌクレオチドおよびベクターをリポソームに再構成することができる。本発明のポリヌクレオチドを含有するベクター(例えば、免疫グロブリン鎖の重および/または軽可変ドメインをコードする配列および発現制御配列)を、周知方法(これは、細胞宿主の種類に応じて変化する)によって宿主細胞に導入することができる。例えば、原核細胞の場合には塩化カルシウムトランスフェクションが一般的に用いられるのに対して、他の細胞宿主の形質転換の場合にはリン酸カルシウム処理またはエレクトロポレーションが使用され得る(Sambrook、上記を参照のこと)。
上記に関して、本発明はさらに、前記ポリヌクレオチドまたはベクターを含む宿主細胞に関する。前記宿主細胞は、原核細胞または真核細胞であり得る。宿主細胞中に存在する本発明のポリヌクレオチドまたはベクターは、宿主細胞のゲノムに組み込まれ得るか、または染色体外で維持され得る。宿主細胞は、細菌、昆虫、真菌、植物、動物またはヒト細胞などの任意の原核細胞または真核細胞であり得る;本発明の抗体を生産するのに適切な宿主細胞および方法は、以下のセクション「宿主細胞」により詳細に記載されている。
上述の宿主細胞を使用して、本発明の抗体を、例えば、薬学的使用のために、または、治療的介入のための標的として産生させ、また調製することが可能である。したがって、1つの実施形態において、抗IL−32抗体またはそのIL−32結合断片を調製するための方法であって、
(a)本明細書中上記で定義されるような細胞を培養する工程;および
(b)前記抗体またはそのIL−32結合断片を培養物から単離する工程
を含む方法を提供することもまた、本発明の目的である。
それによれば、本発明は、本発明のポリヌクレオチドによってコードされる、あるいは、抗IL−32抗体またはその免疫グロブリン鎖を調製するための上述の方法によって得ることができる組換えによる、好ましくはヒト抗IL−32抗体およびそのIL−32結合断片、その免疫グロブリン鎖に関連する。抗体およびその模倣体の組換え産生のための様々な手段および方法、同様にまた、競合する結合分子(これは抗体である場合があり、または、抗体でない場合がある)についてスクリーニングする様々な方法がこの技術分野において知られている。しかしながら、特にヒトにおける治療的適用に関して本明細書中に記載されるように、本発明の抗体は、前記抗体の適用が、キメラ抗体について、また、さらには、ヒト化抗体についても他の場合には認められるそのような抗体に対する免疫応答を実質的に有していないという意味で、ヒト抗体である。
結合分子、抗体またはその断片は、治療薬として直接使用することができる。しかしながら、一実施形態では、本発明によって提供される抗体または抗原結合断片は、検出可能に標識されるか、または薬物に結合され、ここで、検出可能な標識は、酵素、放射性同位体、フルオロフォア、ペプチドおよび重金属からなる群より選択される。標識された本発明の抗体または抗原結合断片は、「免疫化学/免疫標識」のようなインビトロアッセイを含め、インビボまたはインビトロで特定の標的を検出するのに使用することができる。インビボにおいて、それらは、目的の抗原を発現する組織、細胞または他の物質を検出するために、核医学イメージング技術と同様の方法で使用することができる。標識、それらの診断での使用、およびそれらと本発明の結合分子とのカップリングは、さらに以下のセクション「標識および診断」により詳細に記載されている。
本発明の抗体は、自己免疫障害に冒された動物またはヒトから単離される。他方で、本発明において特定されるIL−32特異的抗体は、罹患個体の免疫系(例えば、APECED患者において認められる症状に関連する免疫系)を重度に損なうことに関与する場合がある。したがって、自己免疫障害に罹患する被験体の病理学的反応を、自己抗体の数および/またはその影響を罹患したヒト患者または動物において最小限に抑えるための手段および対策を提供することによって消滅させること、または、少なくとも緩和することが、本発明のさらなる局面である。したがって、1つの実施形態において、本発明はまた、本発明の自己抗体によって特異的に認識されるエピトープを含むペプチドまたはペプチド型化合物に関連する。競合的抗原の適用による場合と同様な効果、つまり、様々な自己抗体がそれらのそれぞれの標的に結合しないようにすること、またそれにより、様々な自己抗体がそれらのそれぞれの標的に結合することを妨げることが、さらに下記で詳しく記載されるように抗イディオタイプ抗体によって得られる場合がある。したがって、1つの実施形態において、本発明はまた、本発明の自己抗体の抗イディオタイプ抗体を提供する。
既に上述したように、本発明はまた、上記に定義された障害(すなわち、自己寛容の発生障害または無秩序な発生に関連する障害)の処置に使用するための、本発明の抗イディオタイプ抗体またはペプチドもしくはペプチド系化合物に関する。これらの単離された本発明の抗体またはその断片は、モノクローナル抗イディオタイプのパネルを作製するために免疫原として使用することができる。抗イディオタイプ抗体を作製するのに適切な方法については、Raychadhuri et al.,J.Immunol.137(1986),1743を参照し、T細胞については、Ertl et al.,J.Exp.Med.159(1985),1776を参照のこと。Raychaudhuri et al.,J.Immunol.137(1986),1743によって詳細に記載されているように、当技術分野においてルーチンに実施される標準的なアッセイを使用すれば、抗イディオタイプ抗体は、内部イメージおよび非内部イメージイディオトープの表示を特徴とするであろう。抗イディオタイプ抗体が、それが結合するかまたは結合される抗体の抗原を構造的に模倣する場合、その抗原の「内部イメージ」と称される。
自己免疫性疾患関連自己抗体(複数の自己抗体)のイディオタイプを模倣する分子を提供する方法は、当技術分野において説明されている;例えば、国際公開第03/099868号(この開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。例えば、このような方法は、以下の工程:(a)本発明の方法にしたがって自己抗体を提供すること;(b)該自己抗体を固相に結合してアフィニティマトリックスを形成すること;(c)免疫グロブリンを含むプールした血漿もしくはB細胞を該アフィニティマトリックスと接触させ、次いで未結合の血漿成分を除去すること;(d)自己抗体に対する抗イディオタイプ抗体(抗Id)である結合した免疫グロブリンをマトリックスから溶出すること;(e)複数の分子メンバーを含む分子ライブラリを提供すること;ならびに(e)該抗Idを該分子ライブラリと接触させ、該抗Idが結合した結合分子を単離すること(該結合分子は、自己抗体のイディオタイプを模倣する分子である)を含み得る。自己抗体を単離する方法は、国際公開第2010/136196号(この開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる)に開示されており、自己免疫性疾患および免疫系障害を処置するための、正常ヒト血清(NHS)から単離された天然ポリクローナルIgG反応性抗体(Ab)を含有する免疫グロブリン調製物が記載されている。IgG反応性Abは、抗原結合部位内またはその付近(例えば、オーバーラップしている)のいずれかに位置するそれらの抗原決定基に結合することよって、自己免疫性疾患を患っている患者の血清中に存在する疾患関連または病原性自己抗体を強力に中和する。
本発明はまた、上述の抗IL32抗体またはそのIL−32結合断片、本発明のポリヌクレオチド、ベクター、細胞、ペプチドまたはペプチド型化合物、ならびに/あるいは、組合せで本発明の抗IL32抗体またはそのIL−32結合断片の特徴を示す抗IL32抗体またはそのIL−32結合断片のカクテルのうちのいずれか1つを含む組成物に関連する。加えて、または、代替として、1つの実施形態において、本発明の組成物またはキットは本発明の抗イディオタイプ抗体を含む。1つの実施形態において、組成物は医薬組成物であり、かつ、薬学的に許容され得る担体をさらに含む。薬学的に許容され得る担体、投与経路および投薬計画は、当業者に知られている対応する文献から採用することができ、さらには下記の「薬学的担体」および「投薬計画」のセクションにおいてより詳しく同様に記載される。
加えて、本発明は、抗IL−32モノクローナル抗体またはそのIL−32結合断片またはその生物工学誘導体を含む組成物を製造するためのプロセスに関連し、ただし、この場合、その製造は、当該抗体、そのIL−32結合断片または生物工学誘導体を、当該抗体、そのIL−32結合断片または生物工学誘導体をコードする形質転換用DNAの組換え宿主生物における発現によって調製する工程を含む。1つの実施形態において、組成物は医薬組成物であり、ただし、この場合、抗体、そのIL−32結合断片または生物工学誘導体を調製する工程の後には、必要に応じて、間における1つまたは複数の工程の後で、抗体、そのIL−32結合断片または生物工学誘導体を医薬組成物の製造において薬学的に許容され得る担体と混合することが続く。例えば、医薬組成物に配合する前に、抗体またはそのIL−32結合断片が細胞培養物から医薬用グレードに精製される場合があり、かつ/または、誘導体化される場合があり、例えば、ペグ化され、または、診断用標識もしくは薬物にコンジュゲート化され、その結果、医薬組成物を得るようにされる場合がある。
生化学的アッセイおよび細胞型インビトロアッセイのほかに、本発明の抗体の治療的有用性は、さらに下記の実施例のセクションにおいて詳しく記載されるような適切な動物モデルにおいて検証することができる。
一実施形態では、医薬組成物は、好ましくは、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、コルチコステロイド、抗ヒスタミンおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される、炎症または自己免疫性障害を処置するのに有用なさらなる薬剤をさらに含む。加えてまたはあるいは、さらなる実施形態では、医薬組成物は、免疫抑制薬および抗炎症または「抗リウマチ」薬からなる群より選択される、炎症関連疾患を処置するのに有用なさらなる薬剤をさらに含む。
別の実施形態では、組成物は診断組成物又はキットであり、免疫診断法または核酸ベースの診断法に通常使用される試薬をさらに含む。
そのうえ、本発明は、上述の抗IL−32抗体またはそのIL−32結合断片、あるいは、本明細書中上記で定義されるような組成物を下記の方法における使用のために提供する:
(a)免疫媒介もしくは自己免疫性の疾患もしくは状態を処置するか、または、免疫媒介もしくは自己免疫性の疾患もしくは状態の進行を妨げる方法;
(b)免疫媒介もしくは自己免疫性の疾患もしくは状態に伴う症状を改善する方法;ならびに/あるいは
(c)免疫媒介もしくは自己免疫性の疾患もしくは状態の存在について、または、免疫媒介もしくは自己免疫性の疾患もしくは状態を発症することについての被験体の危険性を測定するために被験体を診断するか、またはスクリーニングする方法;
ただし、この場合、障害は、患者におけるIL−32の発現、上昇したIL−32活性および/または有害なIL−32活性に伴う。
これに関して、いくつかの適用経路を用いることができる。本発明の一実施形態では、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、腹腔内投与、鼻腔内投与、非経口投与、またはエアロゾルとして投与されるように設計されている、上記抗体もしくは抗原結合断片、抗イディオタイプ抗体またはペプチドもしくはペプチド系化合物、及び/又は、組合せによって本発明の抗体の特徴を示す抗体のカクテルが提供される。
上記で示されるように、それらの結合特異性のために、本発明の様々な分子(例えば、抗体およびその断片など)は好ましくは、IL−32の発現、IL−32の上昇した活性および/または有害な活性に伴うか、あるいは、IL−32の発現、IL−32の上昇した活性および/または有害な活性によって引き起こされる免疫媒介または自己免疫性の障害または状態の処置、改善、診断および/またはスクリーニングの上記で規定される方法において使用される場合がある。例えば、発現、上昇したIL−32活性および/または有害なIL−32活性が関節リウマチ(RA)滑膜組織生検物において認められており、この場合、IL−32発現のレベルが炎症の重篤度との正の相関関係を有した(Alsaleh他(2010)、上掲;Cagnard他(2005)、上掲)。関節リウマチ(RA)のほかに、IL−32は、いくつかの他の障害において機能的に関連することが見出された:例えば、強直性脊椎炎(Ciccia他(2012)、上掲)、炎症性腸疾患(IBD)、重症筋無力症(MG)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、クローン病、乾癬、血管炎症&アテローム性動脈硬化(Kobayashi他(2010))、アトピー性皮膚炎およびガン(Alsaleh他(2010);BreenanおよびBeech(2007);AsquithおよびMclnnes(2007);DinarelloおよびKim(2006);Fantini他(2007);すべて上掲)。IL−32はまた、結核に対する免疫応答において役割を果たす場合がある(KunduおよびBasu(2006);Netea他(2006);上掲)。また、IL−32の増大した転写が、細菌およびウイルスによる感染の後で、例えば、結核菌(Netea他(2006)、上掲)またはA型インフルエンザ(Li他(2008)、上掲)などの感染の後で認められており、このことは、宿主防御におけるその可能な役割を示している。
したがって、1つの実施形態において、上述の方法において使用されるための抗IL−32抗体またはそのIL−32結合断片あるいは本明細書中上記で定義されるような組成物が提供され、ただし、この場合、前記疾患は自己免疫疾患であり、好ましくは、関節リウマチ(RA)、強直性脊椎炎および他の形態の脊椎関節炎(乾癬性関節炎を含むが、これに限定されない)、炎症性腸疾患(IBD;クローン病、潰瘍性大腸炎およびセリアック病を含む)、乾癬、重症筋無力症(MG)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、結核、血管炎症およびアテローム性動脈硬化、アトピー性皮膚炎、結核およびガン(白血病を含む)からなる群から選択される自己免疫疾患である。
処置において好適である分子、例えば、本明細書中に示される炎症に関連する障害の処置において好適である分子の多さのために、本発明はまた、そのような障害(好ましくは、免疫媒介または自己免疫性の疾患または状態は、IL−32の発現、上昇した活性および/または有害な活性に伴う)の処置、そのような障害の診断、ならびに/あるいは、そのような障害の起こりそうな経過および結果を予知する方法に関連し、また、本発明の分子の使用に関連する。1つの実施形態において、そのような障害を処置するための方法が提供され、この方法は、その必要性のある被験体に、治療有効量の上述の抗体またはその抗原結合断片、組合せで本発明の抗体の特徴を示す抗体のカクテル、抗イディオタイプ抗体またはペプチドもしくはペプチド型化合物を投与することを含む。
さらに、1つの実施形態において、本発明は、IL−32の発現、上昇した活性および/または有害な活性に伴う免疫媒介または自己免疫性の疾患または状態を処置する方法であって、被験体に、
(i)本発明の抗IL−32抗体またはそのIL−32結合断片の少なくとも1つのCDR;あるいは
(ii)本明細書中上記で定義されるような少なくとも1つの抗イディオタイプ抗体および/またはペプチドもしくはペプチド型化合物
を含む治療有効量のリガンド結合分子を投与することを含む方法に関連する。
疾患に関連づけられるか、または疾患を引き起こす特定の抗原のエピトープについて特異的であるただ1つのモノクローナル抗体の使用に基づく処置方法は、いくつかの欠点に悩まされる場合がある。例えば、処置の困難さおよびおそらくは非効率性が、いくつかの抗原を同時に標的とすることを必要とする特定の障害を引き起こす病原性機構の多さから生じる場合がある。そのうえ、患者集団の本来的な多様性が、少なくとも使用されるモノクローナル抗体の低下した結合効率を引き起こすことがある異なる患者または一人の患者のどちらかにおいてでも、例えば、多型、グリコシル化の不均一性または所与抗原のわずかな変性に関して考慮に入れられなければならない。これらの欠点のいくつかが、例えば、抗原が、処置されることが意図される患者に免疫学的に関連しているかどうかを、また、どのようなエピトープ変化であれ、エピトープ変化が特定の患者において存在するかどうかを明らかにするための処置前のスクリーニングによって回避される場合がある。しかしながら、そのようなスクリーニングは多くの場合、処置の緊急性のために、または、費用抑制のために省かれる。したがって、本発明はさらに、2つ以上のタイプの結合分子を一度に患者に適用することに基づく方法、すなわち、結合分子のカクテルを適用することに基づく方法に関連する。これらの結合分子は1つのIL−32イソタイプに異なるエピトープにおいて特異的に結合する場合があり、適用される結合分子のそれぞれが別のIL−32イソタイプと特異的に結合する場合があり、または、2つ以上のIL−32イソタイプのいくつかのエピトープに結合するいくつかの結合分子が使用される。本発明の様々な結合分子が抗原としての1つのIL−32イソタイプに向けられる(特異的に結合する)場合、それらの結合特異性は、同じ抗原の異なったエピトープに向けられる。そのようなカクテルの使用が、自己免疫障害(例えば、APS1など)に罹患する患者を処置するために特に想定される。これは、そのような患者は、約3000の内因性抗原に対する自己抗体の存在を考慮すると、1つの特定の抗体による単独療法を受け入れないことが多いからである。そのような場合には、同じ抗原特異性または異なる抗原特異性を有する本発明の2つ以上のモノクローナル抗体および/またはペプチドおよびペプチド型化合物による併用療法は、症状の少なくとも何らかの軽減を達成することが予想される。
したがって、一実施形態では、障害を処置するさらなる方法であって、
−上記定義されたIL−32イソタイプに特異的に結合する本発明の抗体またはその抗原結合断片;および/または
−本発明の抗イディオタイプ抗体、および/または本発明の抗体もしくはその抗原結合断片によって特異的に認識されるエピトープを含む本発明のペプチドもしくはペプチド系化合物
からなる群より選択される少なくとも2つ、3つ、4つ、5つまたはそれ以上の成分から本質的になる治療有効量のカクテルを被験体に投与することを含む方法が提供される。
本発明は当然のことながら、IL−32の1つまたは複数のイソタイプ(好ましくはIL−32γ)の発現、上昇した活性および/または有害な活性に伴う免疫媒介または自己免疫性の状態および障害を診断することに向けられる診断方法および予後方法、ならびに/あるいは、そのような疾患の発症の予後、すなわち、その進行、処置に対する応答または回復の予後にも及ぶ。したがって、1つの実施形態において、本発明は、IL−32の発現、上昇した活性および/または有害な活性に伴う被験体における免疫媒介または自己免疫性の疾患または状態を診断する方法であって、被験体の生物学的サンプルを本発明の抗IL−32抗体またはそのIL−32結合断片と接触させること、および、IL−32の存在を検出することを含む方法に関連する。好ましい実施形態において、検出されたIL−32イソタイプはIL−32γである。そのうえ、1つの実施形態において、本発明は、単離された生物学的サンプルにおいてIL−32を検出するか、または測定する方法であって、サンプルを本発明の抗IL−32抗体と混合すること、当該抗体により、混合物に存在するいずれかのIL−32イソタイプとの複合体を形成させること、および、混合物に存在する複合体を検出することを含む方法に関連し、ただし、好ましくはIL−32はIL−32γである。
既に上記で述べられたように、1つの実施形態において、本発明は、IL−32の発現に伴う免疫媒介または自己免疫性の疾患または状態を診断するためのキットであって、上述の抗体または抗原結合断片、抗イディオタイプ抗体またはペプチドもしくはペプチド型化合物、ポリヌクレオチド、ベクターまたは細胞を、必要な場合には使用のための試薬および/または説明書と一緒に含むキットに関連する。本発明のキットには、例えば、キットを含む容器の内部に、医薬品または生物学的製造物の製造、使用または販売を規制する政府当局によって定められる形式での通知が伴い得る(そのような通知は、ヒト投与のための製造、使用または販売の当局による承認を反映する)。加えて、または、代替において、キットは、適切な診断アッセイにおいて使用されるための試薬および/または説明書を含む。本発明の組成物、すなわち、キットは、当然のことではあるが、上記で述べられるような疾患を処置するために特に適用可能である、IL−32の発現が関連する障害または状態の診断、防止および処置のために特に適している。特に好ましい実施形態において、障害はIL−32イソタイプの1つまたは複数の発現に伴う。
別の実施形態では、本発明は、上記本発明の結合分子、抗体、抗原結合断片、ペプチドもしくはペプチド系化合物、ポリヌクレオチド、ベクターまたは細胞のうちのいずれか1つ、および場合により、免疫診断法または核酸ベースの診断法で通常使用される試薬などの検出に適切な手段を含む診断組成物に関する。本発明の抗体は、例えば、それらを液相でまたは固相担体に結合して利用することができるイムノアッセイで使用するのに適切である。本発明の抗体を利用することができるイムノアッセイの例は、直接または間接フォーマットのいずれかの競合および非競合イムノアッセイである。このようなイムノアッセイの例は、ラジオイムノアッセイ(RIA)、サンドイッチ(イムノメトリックアッセイ)、フローサイトメトリおよびウェスタンブロットアッセイである。本発明の抗原および抗体を多くの異なる担体に結合させ、それらに特異的に結合した細胞を単離するのに使用することができる。周知の担体の例としては、ガラス、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、デキストラン、ナイロン、アミロース、天然および改変セルロース、ポリアクリルアミド、アガロースおよびマグネタイトが挙げられる。担体の性質は、本発明の目的のために、可溶性または不溶性のいずれかであり得る。当業者に公知の多くの異なる標識および標識方法がある。本発明に使用することができる標識の種類の例としては、酵素、放射性同位体、コロイド状金属、蛍光化合物、化学発光化合物および生物発光化合物が挙げられる(上記実施形態も参照のこと)。
この関連において、本発明はまた、この目的のために特に設計される手段に関連する。例えば、タンパク質または抗体に基づくアレイが使用される場合があり、アレイには、例えば、1つまたは複数のIL−32イソタイプに由来し、自己免疫疾患(具体的には、RA、IBDまたはAPECED/APS1)に罹患する患者に存在するかもしれない自己抗体を検出するための疾患関連抗原を含有する抗原が装荷されるか、あるいは、そのような炎症関連抗原のいずれか1つを特異的に認識する本発明の抗体または同等な抗原結合分子のどちらかが装荷される。マイクロアレイでの免疫アッセイの設計が、Kusnezow他、Mol.Cell Proteomics、5(2006)、1681〜1696において要約される。したがって、本発明はまた、本発明に従って特定される結合分子または抗原が装荷されるマイクロアレイに関連する。
定義および実施形態
別途記載される場合を除き、本明細書中で使用されるような用語および実施形態には、国際出願公開WO2013/098419A1および同WO2013/098420A1において提供されるような、また、使用されるような定義が与えられる。補充として、本明細書中で使用されるような一般的な用語には、Oxford Dictionary of Biochemistry and Molecular Biology(Oxford University Press、1997年、2000年改訂および2003年再版、ISBN 0198506732)において提供されるような定義が与えられる。
用語「a」または「an」の実体は、その実体の1つ以上を指すことに留意する;例えば、「抗体」は、1つ以上の抗体を表すと理解される。したがって、用語「a」(または「an」)、「1つ以上」および「少なくとも1つ」は、本明細書で互換的に使用され得る。
用語「中和する」および用語「中和抗体」はそれぞれ、抗原または生きている微生物の少なくとも何らかの生物学的活性を低下させるか、または無効にする抗体が意味されるという点でこの技術分野において一般的であるように使用される。例えば、本発明のイソタイプ特異的な抗IL−32抗体は、十分な量で、それぞれのIL−32イソタイプの活性を、例えば、実施例に記載されるようなアッセイにおいて無効にするか、または低下させるならば、中和抗体である。中和は50%阻害濃度(IC50)によって一般に定義され、中和滴定曲線下面積(AUC)に基づいて統計学的に評価することができる。本発明の例示的な抗IL−32抗体の様々なIC50値が本明細書中に記載され、また、示されており、例えば、例示的抗体2C2は、IL−32γのIC50値が300ng/mlである。
中枢性および末梢性寛容
自己寛容は、免疫系が、その生物の構成成分である抗原に反応しない過程である。自己寛容は、自己反応性T細胞およびB細胞の死滅または不活性化によって達成され、中心的(生成的)な免疫器官(胸腺または骨髄)における中枢性寛容の一部として、または最も一般的に二次免疫組織とみなされるもの(例えば、脾臓、リンパ節、腸)における末梢性寛容として起こり得る。自己寛容は、正常な免疫系の中心的な特徴である。自己寛容を確立および/または維持することができないと自己免疫になり、宿主生物の健康に深刻な影響を及ぼす自己免疫性疾患をもたらし得る。
T細胞およびB細胞は、生殖免疫器官に存在するそれらの抗原に対する中枢性寛容を発達させることができる。骨髄において、B細胞は、いたるところで発現される骨髄特異的な抗原に対して、また、血液循環によって運び込まれる抗原に対して寛容性を発達させる。胸腺において、胸腺髄質上皮細胞は、発達途中のT細胞に提示される何百もの自己抗原を発現することができる。胸腺髄質上皮細胞における自己抗原の広範囲の発現に関わる遺伝子がAIRE(自己免疫調節因子)である。AIREは、通常の場合には特定の末梢器官においてだけ発現される多数の組織特異的遺伝子(例えば、膵臓のランゲルハンス島におけるインスリンなど)を活性化する。機能的なAIRE遺伝子が存在しない場合、抗原は提示されず、T細胞は不活性化されず、自己抗原に対する自己免疫が発達し、これにより、病理をAPECED患者およびAire欠損マウスにおいて引き起こす。
寛容性の誘導における別の重要な遺伝子がfoxp3である。これは、胸腺において、また、場合によっては同様に末梢において自己抗原を巻き込むTリンパ球における免疫抑制的な調節運命を誘導する転写因子をコードする。機能的なFOXP3タンパク質をコードすることができないことが、結果として広範囲に及ぶ自己免疫疾患も経験するIPEX患者の特徴である。
中枢性寛容および末梢性寛容が国際出願公開WO2013/098419A1の62頁〜63頁でのそれぞれの章においてより詳しく記載される(その開示内容は参照によって本明細書中に組み込まれる)。
ペプチドおよびポリペプチド:
用語「ペプチド」は、用語「ポリペプチド」および「タンパク質」(これは、本明細書では時には互換的に使用され得る)、ならびにその意味の範囲内で、任意のアミノ酸配列、例えば、本発明の重鎖および軽鎖可変領域ならびに定常領域のアミノ酸配列を含むと理解される。同様に、タンパク質およびポリペプチドの断片も意図され、本明細書では「ペプチド」と称され得る。それにもかかわらず、用語「ペプチド」は、好ましくは、少なくとも5個の連続するアミノ酸、好ましくは少なくとも10個の連続するアミノ酸、より好ましくは少なくとも15個の連続するアミノ酸、さらにより好ましくは少なくとも20個の連続するアミノ酸、特に好ましくは少なくとも25個の連続するアミノ酸を含むアミノ酸ポリマーを意味する。加えて、本発明によるペプチドは、典型的には、100個以下の連続するアミノ酸、好ましくは80個未満の連続するアミノ酸、より好ましくは50個未満の連続するアミノ酸を有する。
本明細書で使用される場合、用語「ポリペプチド」は、単数の「ポリペプチド」および複数の「ポリペプチド」、例えば、本発明の抗体を包含することを意図し、(ペプチド結合としても公知である)アミド結合によって直線的に連結したモノマー(アミノ酸)から構成される分子を指す。用語「ポリペプチド」は、2個以上のアミノ酸からなる任意の1つまたは複数の鎖を指し、特定の長さの産物を指さない。したがって、「ペプチド」、「ジペプチド」、「トリペプチド」、「オリゴペプチド」、「タンパク質」、「アミノ酸鎖」または2個以上のアミノ酸からなる1つまたは複数の鎖を指すのに使用される他の任意の用語が「ポリペプチド」の定義内に含まれ、用語「ポリペプチド」は、これらの用語のいずれかに代えてまたはこれと互換的に使用され得る。
用語「ポリペプチド」はまた、限定されないが、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、公知の保護基/ブロック基による誘導体化、タンパク質分解による切断、または天然に存在しないアミノ酸による改変を含むポリペプチドの発現後修飾産物を指すことを意図する。ポリペプチドは天然の生物学的供給源に由来するものでもよいし、または組換え技術によって生産されるものでもよいが、必ずしも指定の核酸配列から翻訳されるものではない。それは、化学合成を含む任意の方法で作製され得る。
本発明のポリペプチドは、約3個以上、5個以上、10個以上、20個以上、25個以上、50個以上、75個以上、100個以上、200個以上、500個以上、1,000個以上または2,000個以上のアミノ酸のサイズであり得る。それにもかかわらず、用語「ポリペプチド」は、好ましくは、少なくとも100個のアミノ酸を含むアミノ酸ポリマーを意味する。ポリペプチドは一定の三次元構造を有し得るが、それらは必ずしもこのような構造を有するものではない。一定の三次元構造を有するポリペプチドは折り畳まれていると称され、一定の三次元構造を持たず、むしろ多数の異なる立体構造をとり得るポリペプチドは折り畳まれていないと称される。本明細書で使用される場合、糖タンパク質という用語は、アミノ酸残基、例えば、セリン残基またはアスパラギン残基の酸素含有側鎖または窒素含有側鎖を介してタンパク質に結合する少なくとも1つの炭水化物部分に結合したタンパク質を指す。
「単離された」ポリペプチドまたはその断片、変異体もしくは誘導体は、その自然環境下にないポリペプチドを意図する。特定の精製レベルは必要とされない。例えば、単離されたポリペプチドは、その天然または自然の環境から取り出され得る。宿主細胞で発現された組換的に生産されたポリペプチドおよびタンパク質は、任意の適切な技術によって分離、分画または部分的もしくは実質的に精製された天然ポリペプチドまたは組換えポリペプチドがそうであるように、本発明の目的のために単離されたとみなされる。
「組換えペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質」は、組換えDNA技術によって生産された(すなわち、所望のペプチドを含む融合タンパク質をコードする外因性の組換えDNA発現構築物によって形質転換された細胞、微生物または哺乳動物から産生された)ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質を指す。ほとんどの細菌培養物で発現されたタンパク質またはペプチドは、典型的には、グリカンを含まないであろう。酵母で発現されたタンパク質またはポリペプチドは、哺乳動物細胞で発現されたものとは異なるグリコシル化パターンを有し得る。
本発明のポリペプチドには、上記ポリペプチドの断片、誘導体、類似体および変異体ならびにそれらの任意の組み合わせも含まれる。用語「断片」、「変異体」、「誘導体」および「類似体」は、天然ペプチドのアミノ酸配列と十分に類似のアミノ酸配列を有するペプチドおよびポリペプチドを含む。用語「十分に類似の」は、第1および第2のアミノ酸配列が共通の構造ドメインおよび/または共通の機能活性を有するように、第1のアミノ酸配列が、第2のアミノ酸配列と同一または同等のアミノ酸残基の十分数または最小数を含有することを意味する。例えば、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%同一の共通の構造ドメインを含むアミノ酸配列が、本明細書では十分に類似のものと定義される。好ましくは、変異体は、本発明の好ましいペプチドのアミノ酸配列と、特に抗体もしくは抗体断片と、または本発明の抗体もしくはそれらのいずれかの断片、変異体、誘導体もしくは類似体よって認識されるエピトープを含む合成ペプチドもしくはペプチド系化合物と十分に類似である。このような変異体は、一般に、本発明のペプチドの機能活性を保持する(すなわち、本発明の抗体によって結合される)。変異体は、1個以上のアミノ酸の欠失、付加、および/または置換によって、アミノ酸配列がそれぞれ天然および野生型(wt)ペプチドとは異なるペプチドを含む。これらは、天然に存在する変異体および人工的に設計されたものであり得る。
用語「断片」、「変異体」、「誘導体」および「類似体」は、本発明の抗体または抗体ポリペプチドに言及する場合、対応する天然結合分子、抗体またはポリペプチドの抗原結合特性の少なくとも一部を保持する任意のポリペプチドを含む。本発明のポリペプチド断片は、本明細書の他の箇所で議論される特定の抗体断片に加えて、タンパク質分解断片および欠失断片を含む。本発明の抗体および抗体ポリペプチドの変異体は、上記断片、およびさらにアミノ酸の置換、欠失または挿入によりアミノ酸配列を改変したポリペプチドを含む。変異体は天然に存在するものでもよいし、または天然に存在しないものでもよい。天然に存在しない変異体は、当技術分野において公知の突然変異誘発技術を使用して生産され得る。変異体ポリペプチドは、保存的または非保存的なアミノ酸置換、欠失または付加を含むことができる。本発明の結合分子、例えば、本発明の抗体および抗体ポリペプチドの誘導体は、天然ポリペプチドでは見られないさらなる特徴を示すように改変されたポリペプチドである。例としては、融合タンパク質が挙げられる。変異体ポリペプチドは、本明細書では「ポリペプチド類似体」とも称され得る。本明細書で使用される場合、結合分子もしくはその断片、抗体または抗体ポリペプチドの「誘導体」は、官能側基の反応によって化学的に誘導体化された1つ以上の残基を有する主題ポリペプチドを指す。「誘導体」としては、20種の標準的アミノ酸の1個以上の天然に存在するアミノ酸誘導体を含有するペプチドも挙げられる。例えば、プロリンを4−ヒドロキシプロリンに置換することができる;リシンを5−ヒドロキシリシンに置換することができる;ヒスチジンを3−メチルヒスチジンに置換することができる;セリンをホモセリンに置換することができる;そして、リシンをオルニチンに置換することができる。
抗イディオタイプ抗体:
用語「抗イディオタイプ抗体」は、抗体または他の結合分子に言及する場合、抗原結合部位付近におけるまたは抗原結合部位における抗体の可変領域上に位置する固有の抗原性ペプチド配列に結合して、これによって、所定の自己抗体により別の方法で引き起こされる特異的免疫反応を阻害する分子を含む。同様に、本発明の抗体によって特異的に認識されるエピトープを含む合成ペプチドまたはペプチド系化合物を使用することができる。
抗イディオタイプ抗体は、他の抗体と同様の方法で得ることができる。特定の抗イディオタイプ抗体は、凝集(比濁法アッセイまたは比濁分析アッセイ)、沈殿(放射免疫拡散)、またはサンドイッチイムノアッセイ、例えば、ELISAによって、任意の種類の架橋により検出される。米国特許出願公開第20020142356号明細書は、高濃度高分子量の標的抗原に対して特異的な抗体に対する抗イディオタイプモノクローナル抗体集団を得るための方法であって、前記抗イディオタイプ抗体集団が、前記標的抗原に対して特異的な選択抗体に対して多種多様な結合親和性を有し、特定の用途に必要な親和性を有する前記抗イディオタイプ抗体集団のサブセットが選択され得る方法を提供する。
米国特許出願公開第20020142356号明細書には、抗体をコートとしておよび抗イディオタイプ抗体を検出として使用した(その逆もまた同様である)抗原の競合イムノアッセイが記載されている。抗イディオタイプ抗体を代理抗原として使用することが開示されている他の参考文献としては、Losman et al.,Cancer Research,55(1995)(23 suppl.S):S5978−S5982;Becker et al.,J. of Immunol.Methods 192(1996),73−85;Baral et al.,International J.of Cancer,92(2001),88−95;およびKohen et al.,Food and Agriculture Immunology,12(2000),193−201が挙げられる。疾患の処置においてまたは寄生虫に対して抗イディオタイプ抗体を使用することは、当技術分野において公知である;例えば、Sacks et al.,J.Exper.Medicine,155(1982),1108−1119を参照のこと。
分子の類似性および/または同一性の決定:
2つのペプチド間の「類似性」は、第1のペプチドのアミノ酸配列を第2のペプチドの配列と比較することによって決定される。第1のペプチドのアミノ酸は、それが同一または保存的アミノ酸置換である場合、第2のペプチドの対応するアミノ酸と類似する。保存的置換としては、Dayhoff,M.O.,ed.,The Atlas of Protein Sequence and Structure 5,National Biomedical Research Foundation,Washington,D.C.(1978)、およびArgos,EMBO J.8(1989),779−785に記載されているものが挙げられる。例えば、以下の群の1つに属するアミノ酸は、保存的変化または置換を表す:−Ala、Pro、Gly、Gln、Asn、Ser、Thr;−Cys、Ser、Tyr、Thr;−Val、Ile、Leu、Met、Ala、Phe;−Lys、Arg、His;−Phe、Tyr、Trp、His;および−Asp、Glu。
2つの配列間の%同一性または類似性の決定は、好ましくは、Karlin and Altschul(1993)Proc.Natl.Acad.Sci USA 90:5873−5877の数学的アルゴリズムを使用して達成される。このようなアルゴリズムは、NCBI(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/blast/Blast.cge)で利用可能なAltschul et al.(1990)J.Mol.Biol.215:403−410のBLASTnおよびBLASTpプログラム中に組み込まれている。
%同一性または類似性の決定は、BLASTnおよびBLASTpプログラムの標準的パラメータを用いて実施される。
BLASTポリヌクレオチド検索は、BLASTnプログラムを用いて実施される。一般的パラメータについて、「最大標的配列」のボックスを100に設定し得、「ショートクエリ」のボックスにチェックマークを付け得、「予測閾値」のボックスを10に設定し得、「ワードサイズ」のボックスを28に設定し得る。スコアリングパラメータについて、「一致/不一致スコア」を1,−2に設定し得、「ギャップコスト」のボックスを線形に設定し得る。フィルタおよびマスキングパラメータについて、「低複雑度領域」のボックスにチェックマークを付け得、「種特異的反復」のボックスにはチェックマークを付けなくてもよく、「ルックアップテーブルのみについてマスク」のボックスにチェックマークを付け得、「小文字をマスク」のボックスにはチェックマークを付けなくてもよい。
BLASTタンパク質検索は、BLASTpプログラムを用いて実施される。一般的パラメータについて、「最大標的配列」のボックスを100に設定し得、「ショートクエリ」のボックスにチェックマークを付け得、「予測閾値」のボックスを10に設定し得、「ワードサイズ」のボックスを「3」に設定し得る。スコアリングパラメータについて、「マトリックス」のボックスを「BLOSUM62」に設定し得、「ギャップコスト」のボックスを「存在:11 伸長:1」に設定し得、「組成調整」のボックスを「条件的組成スコアマトリックス調整」に設定し得る。フィルタおよびマスキングパラメータについて、「低複雑度領域」のボックスにはチェックマークを付けなくてもよく、「ルックアップテーブルのみについてマスク」のボックスにはチェックマークを付けなくてもよく、「小文字をマスク」のボックスにはチェックマークを付けなくてもよい。
ポリヌクレオチド:
用語「ポリヌクレオチド」は、単数の核酸および複数の核酸を包含することを意図し、単離された核酸分子または構築物、例えば、メッセンジャーRNA(mRNA)またはプラスミドDNA(pDNA)を指す。ポリヌクレオチドは、通常のホスフォジエステル結合または非通常型結合(例えば、ペプチド核酸(PNA)に見られるようなアミド結合)を含むことができる。用語「核酸」は、ポリヌクレオチド中に存在する任意の1つ以上の核酸セグメント、例えば、DNAまたはRNA断片を指す。「単離された」核酸またはポリヌクレオチドは、その天然環境から取り出された核酸分子、DNAまたはRNAを意図する。例えば、ベクターに含まれる抗体をコードする組換えポリヌクレオチドは、本発明の目的のために単離されたとみなされる。単離されたポリヌクレオチドのさらなる例としては、異種宿主細胞で維持される組換えポリヌクレオチドまたは溶液中の(部分的または実質的に)精製されたポリヌクレオチドが挙げられる。単離されたRNA分子としては、本発明のポリヌクレオチドのインビボまたはインビトロRNA転写産物が挙げられる。本発明にしたがって単離されたポリヌクレオチドまたは核酸としてはさらに、合成的に生産されたこのような分子が挙げられる。加えて、ポリヌクレオチドまたは核酸は、プロモータ、リボソーム結合部位または転写ターミネータなどの調節要素でもよいし、またはこれらを含んでもよい。
本明細書で使用される場合、「コード領域」は、アミノ酸に翻訳されるコドンからなる核酸の部分である。「停止コドン」(TAG、TGAまたはTAA)はアミノ酸に翻訳されないがコード領域の一部とみなされ得るが、例えば、プロモータ、リボソーム結合部位、転写ターミネータ、イントロンなどの任意の隣接配列はコード領域の一部ではない。本発明の2つ以上のコード領域が単一のポリヌクレオチド構築物内に、例えば、単一のベクター上に、または別々のポリヌクレオチド構築物内に、例えば、別々の(異なる)ベクター上に存在することができる。また、任意のベクターは、単一のコード領域を含有することもできるし、または2つ以上のコード領域を含むことができ、例えば、単一のベクターは、免疫グロブリン重鎖可変領域および免疫グロブリン軽鎖可変領域を別々にコードすることができる。加えて、本発明のベクター、ポリヌクレオチドまたは核酸は、結合分子、抗体またはそれらの断片、変異体もしくは誘導体をコードする核酸に融合しているかまたは融合していない異種コード領域をコードすることができる。異種コード領域は、限定されないが、分泌シグナルペプチドまたは異種機能性ドメインなどの特別な要素またはモチーフを含む。
ある実施形態では、ポリヌクレオチドまたは核酸は、DNAである。DNAの場合では、ポリペプチドをコードする核酸を含むポリヌクレオチドは、通常、1つ以上のコード領域と機能的に結合されたプロモータおよび/または他の転写もしくは翻訳制御要素を含むことができる。機能的な結合は、遺伝子産物(例えば、ポリペプチド)のコード領域が、遺伝子産物の発現を調節配列の影響下または制御下に置くような方法で1つ以上の調節配列と結合している場合である。プロモータ機能の誘導が所望の遺伝子産物をコードするmRNAの転写をもたらす場合、および2つのDNA断片間の結合の性質が遺伝子産物の発現を指令する発現調節配列の能力を妨害しないか、または鋳型DNAの転写される能力を妨害しない場合、2つのDNA断片(例えば、ポリペプチドコード領域およびそれと結合するプロモータ)は、「機能的に結合されている」かまたは「機能的に連結されている」。したがって、プロモータがポリペプチドをコードする核酸の転写をもたらすことができる場合、プロモータ領域はその核酸と機能的に結合されているであろう。プロモータは、所定の細胞でのみDNAの実質的な転写を指令する細胞特異的プロモータであり得る。プロモータの他に、例えば、エンハンサ、オペレータ、リプレッサおよび転写終結シグナルなどの他の転写制御要素が、細胞特異的転写を指令するためにポリヌクレオチドと機能的に結合され得る。適切なプロモータおよび他の転写制御領域は、本明細書で開示される。
様々な転写制御領域が当業者に公知である。これらとしては、限定されないが、脊椎動物細胞で機能する転写制御領域、例えば限定されないが、サイトメガロウイルス(イントロン−Aを含む前初期プロモータ)、シミアンウイルス40(初期プロモータ)および(ラウス肉腫ウイルスなどの)レトロウイルス由来のプロモータおよびエンハンサセグメントが挙げられる。他の転写制御領域としては、アクチン、熱ショックタンパク質、ウシ成長ホルモンおよびウサギβグロビンなどの脊椎動物遺伝子由来のもの、ならびに真核細胞での遺伝子発現を制御することができる他の配列が挙げられる。他の適切な転写制御領域としては、組織特異的プロモータおよびエンハンサ、ならびにリンホカイン誘導性プロモータ(例えば、インターフェロンまたはインターロイキンによって誘導可能なプロモータ)が挙げられる。
同様に、様々な翻訳制御要素が当業者に公知である。これらとしては、限定されないが、リボソーム結合部位、翻訳開始および停止コドン、ならびにピコルナウイルス由来の要素(特に、CITE配列とも称される内部リボソーム侵入部位またはIRES)が挙げられる。
他の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、例えば、メッセンジャーRNA(mRNA:messenger RNA)、小ヘアピンRNA(shRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)または任意の他のRNA産物の形態のRNAである。
本発明のポリヌクレオチドコード領域および核酸コード領域は、本発明のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの分泌を指令する分泌またはシグナルペプチドをコードするさらなるコード領域と結合することができる。シグナル仮説によれば、哺乳動物細胞によって分泌されたタンパク質は、成長中のタンパク質鎖が粗面小胞体通って輸送され始めると成熟タンパク質から切断されるシグナルペプチドまたは分泌リーダ配列を有する。当業者であれば、脊椎動物細胞によって分泌されたポリペプチドは、一般に、前記ポリペプチドのN末端に融合したシグナルペプチドを有し、これが完全または「全長」ポリペプチドから切断されて分泌型または「成熟」型ポリペプチドが産生されることを理解している。ある実施形態では、天然のシグナルペプチド、例えば、免疫グロブリン重鎖もしくは軽鎖のシグナルペプチド、またはその配列の機能性誘導体であって、それと機能的に結合されたポリペプチドの分泌を指令する能力を保持している機能性誘導体が使用される。あるいは、異種哺乳動物シグナルペプチドまたはその機能性誘導体を使用することができる。例えば、野生型リーダ配列をヒト組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)またはマウスβ−グルクロニダーゼのリーダ配列で置換することができる。しかしながら、ポリペプチド、特に本発明の免疫グロブリン及びその断片の細胞内生産もまた可能である。
発現:
用語「発現」は、本明細書で使用される場合、遺伝子が生化学物質、例えば、RNAまたはポリペプチドを生成する過程を指す。この過程は、限定されないが、遺伝子ノックダウンならびに一過性発現および安定発現の両方を含む、細胞内における遺伝子の機能的存在の任意の顕在化を含む。それとしては、限定されないが、遺伝子のメッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、小ヘアピンRNA(shRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)または任意の他のRNA産物への転写、およびこのようなmRNAのポリペプチドへの翻訳が挙げられる。所望の最終産物が生化学物質である場合、発現は、その生化学物質および任意の前駆体の作製を含む。遺伝子の発現は、「遺伝子産物」を生成する。本明細書で使用される場合、遺伝子産物は、核酸、例えば、低分子干渉RNA(siRNA)、遺伝子の転写によって生成されるメッセンジャーRNA、または転写産物から翻訳されるポリペプチドのいずれかであり得る。本明細書に記載される遺伝子産物としてはさらに、転写後修飾、例えば、ポリアデニル化を受けた核酸、または翻訳後修飾、例えば、メチル化、グリコシル化、脂質付加、他のタンパク質サブユニットとの会合、タンパク質分解切断などを受けたポリペプチドが挙げられる。
様々な発現ベクター/宿主系を用いて、ポリヌクレオチド配列を含有および発現させることができる。これらとしては、限定されないが、組換えバクテリオファージ、プラスミドもしくはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌などの微生物;酵母発現ベクターで形質転換された酵母;ウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)に感染した昆虫細胞系;ウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV:)もしくは細菌発現ベクター(例えば、TiもしくはpBR322プラスミド)で形質転換された植物細胞系;または動物細胞系が挙げられる。
ペプチド、ポリペプチドまたは融合タンパク質(以下、「産物」と称される)を宿主細胞中で発現させるために、以下のような手順を使用することができる。前記産物をコードするDNA配列を含有する制限断片を、宿主細胞で機能する複製起点および適切な選択可能マーカを含有する適切な組換えプラスミドにクローニングすることができる。プラスミドは、産物の誘導性発現用のプロモータ(例えば、pTrc(Amann et al,Gene 69(1988),301 315)およびpETl Id(Studier et al.,Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185,Academic Press,San Diego,Calif.(1990),60 89)を含むことができる。組換えプラスミドを、例えば、エレクトロポレーションによって宿主細胞に導入することができ、組換えプラスミドを含有する細胞を、プラスミド上のマーカについて選択することによって特定することができる。産物に対して特異的なアッセイを使用して、産物の発現を宿主細胞で誘導および検出することができる。
いくつかの実施形態では、産物/ペプチドをコードするDNAを宿主細胞での発現のために最適化することができる。例えば、DNAは、1つ以上のアミノ酸に対するコドンであって、この同じアミノ酸に対する他のコドンと比べて宿主細胞において優勢なコドンを含むことができる。
あるいは、産物の発現は、無細胞抽出物中でのインビトロタンパク質合成によって実施することができ、これは、機能的研究のための改変または非天然アミノ酸の導入にも特に適している(下記も参照のこと)。過剰発現産物が宿主細胞に対して毒性である場合、産物が不溶性であるかまたは封入体を形成する場合、またはタンパク質が細胞内プロテアーゼによって急速なタンパク質分解を受ける場合、インビトロ翻訳系の使用は、インビボ遺伝子発現よりも利点を有し得る。最も頻繁に使用される無細胞翻訳系は、ウサギ網状赤血球、コムギ胚芽および大腸菌由来の抽出物からなる。すべてが、外因性RNAの翻訳に必要なすべての高分子成分(70Sまたは80Sリボソーム、tRNA、アミノアシルtRNA合成酵素、開始、伸長および終結因子など)を含む粗抽出物として調製される。効率的な翻訳を確実にするためには、アミノ酸、エネルギー源(ATP、GTP)、エネルギー再生系(真核生物系の場合にはクレアチンリン酸およびクレアチンホスホキナーゼ、ならびに大腸菌溶解物の場合にはホスホエノールピルビン酸およびピルビン酸キナーゼ)、および当技術分野において公知の他の補因子(Mg2+、Kなど)を各抽出物に補充しなければならない。適切な転写/翻訳系は、例えば、Promega Corporation、Roche Diagnostics、およびAmbion、すなわち、Applied Biosystemsから市販されている(Anderson,C.et al.,Meth.Enzymol.101(1983),635−644;Arduengo,M.et al.(2007),The Role of Cell−Free Rabbit Reticulocyte Expression Systems in Functional Proteomics in,Kudlicki,Katzen and Bennett eds.,Cell−Free Expression Vol.2007.Austin,Tx:Landes Bioscience,pp.1−18;Chen and Zubay,Meth.Enzymol.101(1983),674−90;Ezure et al.,Biotechnol.Prog.22(2006),1570−1577)。
宿主細胞:
本発明に関して、宿主細胞は、細菌、昆虫、真菌、植物、動物またはヒト細胞などの原核細胞または真核細胞であり得る。好ましい真菌細胞は、例えば、サッカロマイセス属のもの、特に、S.セレビシエ種のものである。用語「原核生物の」は、本発明の抗体または対応する免疫グロブリン鎖の発現のためのDNAまたはRNA分子で形質転換またはトランスフェクトされ得るすべての細菌を含むことを意味する。原核生物宿主としては、例えば、大腸菌(E.coli)、ネズミチフス菌、セラチア・マルセッセンスおよび枯草菌などのグラム陰性ならびにグラム陽性細菌が挙げられ得る。用語「真核生物の」は、酵母、高等植物、昆虫および好ましくは哺乳動物細胞、最も好ましくはHEK293、NSO、CSOおよびCHO細胞を含むことを意味する。組換え生産手順で用いられる宿主に応じて、本発明のポリヌクレオチドによってコードされる抗体または免疫グロブリン鎖は、グリコシル化され得るか、または非グリコシル化され得る。本発明の抗体、または対応する免疫グロブリン鎖も、最初のメチオニンアミノ酸残基を含み得る。本発明のポリヌクレオチドは、当業者に一般に公知の技術のいずれかを使用して、宿主を形質転換またはトランスフェクトするのに使用され得る。さらに、機能的に連結された融合遺伝子を調製し、それらを、例えば、哺乳動物細胞および細菌で発現させるための方法は、当技術分野において周知である(Sambrook,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY,1989)。そこに記載されている遺伝子構築物および方法は、真核生物または原核生物の宿主における本発明の抗体または対応する免疫グロブリン鎖の発現に用いられ得る。一般に、挿入されたポリヌクレオチドの効率的な転写を促進するプロモータ配列を含有する発現ベクターが、宿主と併せて使用される。発現ベクターは、典型的には、複製起点、プロモータ、およびターミネータ、ならびに形質転換細胞の表現型選択を提供することができる特定の遺伝子を含む。DNA配列に適切な細胞源ならびに免疫グロブリンの発現および分泌用の宿主細胞は、American Type Culture Collection(「Catalogue of Cell Lines and Hybridomas」,Fifth edition(1985)Rockville,Maryland,U.S.A.(これは、参照により本明細書に組み込まれる))などの多数の供給源から得ることができる。さらに、本発明の細胞を含むトランスジェニック動物、好ましくは哺乳動物は、本発明の抗体の大規模生産に使用され得る。
発酵槽で形質転換宿主を成長させ、当技術分野において公知の技術にしたがって培養して、最適な細胞成長を達成し得る。発現されたら、本発明の全抗体、それらの二量体、個々の軽鎖および重鎖、または他の免疫グロブリン形態を、硫酸アンモニウム沈降法、アフィニティカラム、カラムクロマトグラフィ、ゲル電気泳動などを含む当技術分野の標準手順にしたがって精製し得る;Scopes,「Protein Purification」,Springer Verlag,N.Y.(1982)を参照のこと。次いで、本発明の抗体またはその対応する免疫グロブリン鎖を、成長培地、細胞溶解物、または細胞膜画分から単離し得る。例えば、本発明の組換え発現された抗体または免疫グロブリン鎖の単離および精製は、任意の従来の手段、例えば、本発明の抗体の定常領域に対するモノクローナルまたはポリクローナル抗体の使用を含むものなどの分取クロマトグラフィ分離および免疫学的分離によるものであり得る。例えば、薬物標的化およびイメージング用途のために、本発明の抗体を他の部分にさらにカップリングし得ることは、当業者に明らかである。結合部位に対する抗体または抗原の発現後にこのようなカップリングを化学的に行ってもよいし、またはカップリング産物をDNAレベルで本発明の抗体または抗原に人為操作してもよい。次いで、DNAを適切な宿主系で発現させ、必要な場合、発現タンパク質を収集および変性させる。
医薬用途の場合、少なくとも約90〜95%の同質性の実質的に純粋な免疫グロブリンが好ましく、98〜99%またはそれ以上の同質性が最も好ましい。部分的にまたは所望により同質性まで精製したら、次いで、抗体を治療的(体外的を含む)に使用してもよいし、またはアッセイ手順の開発および実施に使用してもよい。
本発明はまた、本発明の抗体またはその対応する免疫グロブリン鎖を発現することができる細胞を生産するための方法であって、本発明のポリヌクレオチドまたはベクターを用いて、細胞を遺伝子操作することを含む方法に関する。本発明の方法によって得ることができる細胞は、例えば、本発明の抗体とその抗原との相互作用を試験するのに使用され得る。
ELISAアッセイ:
様々な抗原のための酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)としては、比色分析、化学発光および蛍光測定ベースのものが挙げられる。ELISAは、薬物、ならびに血漿および尿試料中の他の抗原性成分が低量の検出に上手く適用されており、抽出工程を伴わず、実施が簡単である。タンパク質抗原に対する抗体の検出のためのELISAでは、短い合成ペプチドをマイクロタイタープレートのプラスチック表面に直接結合する使用が多い。ペプチドは、一般に、それらの合成的性質および高速液体クロマトグラフィを使用した効率的な精製方法により非常に純粋である。短いペプチドの欠点は、それらが通常は、立体構造または不連続エピトープではなく直鎖状エピトープを表すことである。立体構造エピトープを提示するためには、長いペプチドまたは完全な天然タンパク質のいずれかを使用する。タンパク質抗原をプレートの疎水性ポリスチレン支持体に直接結合すると、結合したタンパク質が部分的または完全に変性し、立体構造エピトープが失われ得る。抗原の固定化(捕捉ELISA)を媒介する抗体でプレートをコーティングすることにより、この影響を回避することができる。
しかしながら、多くの場合、過剰発現された組換えタンパク質は不溶性であり、立体構造エピトープに対する抗体を分析しようとする場合には変性条件下での精製および復元を必要とする。例えば、コートタンパク質として組換え融合タンパク質を使用した一般的なELISAについては、米国特許出願公開第20030044870号明細書を参照のこと。
結合分子:
本発明との関連で使用される場合、「結合分子」は主に、抗体およびその断片に関するが、本発明の「目的の分子」に結合する他の非抗体分子を指す場合もある。ここでの「目的の分子」は、サイトカインとして知られる糖タンパク質のクラスに属するタンパク質、特に、異なるIL−32イソタイプのグループから選択されるインターロイキンである。特に好ましい実施形態では、目的の分子はIL−32γである。本発明の目的の分子は、以下の本発明の特定の実施形態の説明内でさらに詳細に定義される。本発明の結合分子としては、限定されないが、ホルモン、受容体、リガンド、主要組織適合複合体(MHC)分子、シャペロン、例えば、熱ショックタンパク質(HSP)および細胞間接着分子、例えば、カドヘリン、インテグリン、C型レクチンおよび免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリのメンバーが挙げられる。したがって、単に明確にするために、本発明の範囲を限定するものではないが、以下の実施形態の大部分では、治療剤および診断剤の開発に好ましい結合分子の代表的なものである抗体および抗体様分子に関して議論する。
抗体:
用語「抗体」および「免疫グロブリン」は、本明細書では互換的に使用される。抗体または免疫グロブリンは、上記および下記に定義される本発明の目的の分子に結合する分子であって、少なくとも重鎖の可変ドメインを含み、通常、少なくとも重鎖および軽鎖の可変ドメインを含む分子である。脊椎動物系における基本的な免疫グロブリンの構造は、比較的よく理解されている;例えば、Harlow and Lane,Antibodies:A Laboratory Manual,(Cold Spring Harbor Laboratory Press,2nd ed.1988)を参照のこと。用語「結合する」および「認識する」は、本発明の結合分子(例えば、抗体)の結合親和性に関して互換的に使用される。
上記および下記に定義されているように、目的の分子に特異的に結合するのに十分な構造を含む任意の抗体または免疫グロブリン断片は、本明細書では、「結合分子」、「結合断片」または「免疫特異的断片」と互換的に表される。
本発明の抗体またはその抗原結合断片、免疫特異的断片、変異体もしくは誘導体としては、限定されないが、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、多重特異的抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、霊長類化抗体、マウス化抗体またはキメラ抗体、単鎖抗体、エピトープ結合断片、例えば、Fab、Fab’およびF(ab’)、Fd、Fv、単鎖Fv(scFv)、単鎖抗体、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、VドメインまたはVドメインのいずれかを含む断片、Fab発現ライブラリによって生産された断片、ならびに抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば、本明細書で開示される抗体に対する抗Id抗体を含む)が挙げられる。ScFv分子は当技術分野において公知であり、例えば、米国特許第5,892,019号明細書に記載されている。これに関して、抗体の抗原結合断片は、単一ドメイン抗体(sdAB)またはnanobodies(商標)(Ablynx,Gent,Belgium)としても公知のドメイン抗体(dAb)でもあり得る。例えば、De Haard et al.,J.Bacteriol.187(2005),4531−4541;Holt et al.,Trends Biotechnol.21(2003),484−490を参照のこと。以下により詳細に議論されるように、用語「免疫グロブリン」は、生化学的に区別することができる様々な広いクラスのポリペプチドを含む。当業者であれば、重鎖はガンマ、ミュー、アルファ、デルタまたはイプシロン(γ、μ、α、δ、ε)に分類され、それらの中にいくつかのサブクラスがある(例えば、γ1〜γ4)ことを認識するであろう。この鎖の性質が抗体の「クラス」をそれぞれIgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgYと決定するものである。免疫グロブリンサブクラス(イソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1などはよく特徴付けられており、機能分化を付与することが公知である。本発明の免疫グロブリンまたは抗体分子は、任意の種類(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2など)またはサブクラスの免疫グロブリン分子であり得る。当業者であれば、本開示を考慮して、これらのクラスおよびイソタイプのそれぞれの改変型を容易に識別可能であり、したがってこれらは本発明の範囲内である。すべての免疫グロブリンのクラスが明らかに本発明の範囲内にあり、以下の議論は、一般に、IgGクラスの免疫グロブリン分子を対象とする。IgGに関して、標準的な免疫グロブリン分子は、分子量約23,000ダルトンの2つの同一の軽鎖ポリペプチド、および分子量53,000〜70,000の2つの同一の重鎖ポリペプチドを含む。典型的には、4本の鎖がジスルフィド結合によって「Y」構造で結合され、ここで、「Y」の入り口で始まり可変領域を通じて継続する重鎖と軽鎖がひとまとまりに繋がっている。
上記の表1に列記される本発明の例示的な抗IL−32抗体の分類から明白であるように、本発明の例示的抗体は、IgG3クラスまたはIgG1クラスのものであり、このことから、調節性T細胞応答および/または上皮が場合によっては、これらのAIRE欠乏状態におけるそれらの開始において暗示される。これらの知見が、Karner他によってClin.Exp.Immunol.(2012)(doi:10.1111/cei.12024)に記載されるAIRE欠損マウスにおいて見出される対応する自己抗体の分類によって確認される(その開示内容は参照によって本明細書中に組み込まれる)。したがって、本発明の好ましい実施形態において、本発明の抗体はIgGタイプのものであり、一層より好ましくはIgG3またはIgG1である。
IgGの構造:
軽鎖は、カッパまたはラムダ(κ、λ)のいずれかに分類される。各重鎖クラスは、カッパまたはラムダ軽鎖のいずれかと結合することができる。一般に、ハイブリドーマ、B細胞または遺伝子操作した宿主細胞のいずれかによって免疫グロブリンが産生される場合、軽鎖および重鎖は互いに共有結合し、2本の重鎖の「テール」部分は共有結合性ジスルフィド結合または非共有結合によって互いに結合する。重鎖では、アミノ酸配列は、Y構造のフォークヘッド末端にあるN末端から各鎖の下部にあるC末端へと延びている。
軽鎖および重鎖の両方が、構造的および機能的相同性の領域に分けられる。用語「定常」および「可変」は、機能的に使用される。これに関して、軽鎖部分および重鎖部分の両方の可変ドメイン(VおよびV)は、抗原認識および抗原特異性を決定することが認識されよう。反対に、軽鎖の定常ドメイン(CL)および重鎖の定常ドメイン(CH1、CH2またはCH3)は、分泌、経胎盤移動性、Fc受容体結合、補体結合などの重要な生物学的特性を付与する。慣例では、定常領域ドメインが抗体の抗原結合部位またはアミノ末端から遠ざかるにつれて、定常領域ドメインのナンバリングが増加する。N末端部分は可変領域であり、定常領域はC末端部分にある;CH3およびCLドメインは、実際には、それぞれ重鎖および軽鎖のカルボキシ末端を含む。
上記のように、可変領域は、抗体が抗原上のエピトープを選択的に認識し、特異的に結合することを可能にする。すなわち、抗体のVドメインおよびVドメインまたは相補性決定領域(CDR)のサブセットが組み合わさって、三次元の抗原結合部位を規定する可変領域を形成する。この四要素の抗体構造が、Yの各アームの末端に存在する抗原結合部位を形成する。より具体的には、抗原結合部位は、V鎖およびV鎖それぞれの3つのCDRによって規定される。本発明の目的の分子に特異的に結合するのに十分な構造を含有する任意の抗体または免疫グロブリン断片は、本明細書では「結合断片」または「免疫特異的断片」と互換的に表される。
天然に存在する抗体では、抗体は、各抗原結合ドメイン中に存在する「相補性決定領域」または「CDR」とも称される6つの超可変領域を含み、それらは、水性環境での抗体の三次元構造を想定して、抗原結合ドメインを形成するように特別に配置されている短い非連続的なアミノ酸配列である。「CDR」は、より少ない分子間の多様性を示す4つの比較的保存された「フレームワーク」領域または「FR」に隣接する。フレームワーク領域は主としてβシート立体構造をとり、CDRは、βシート構造と連結し、いくつかの場合では、その一部を形成するループを形成する。したがって、フレームワーク領域は、鎖間非共有結合性相互作用によってCDRの正しい方向での配置を提供する足場を形成するように作用する。配置されたCDRによって形成された抗原結合ドメインは、免疫反応性抗原上のエピトープに対して相補的な表面を規定する。この相補性表面は、抗体のその同種エピトープへの非共有結合を促進する。それぞれCDRおよびフレームワーク領域を含むアミノ酸は、正確に定義されているので、当業者であれば、任意の所定の重鎖または軽鎖可変領域についてそれらを容易に同定することができる;「Sequences of Proteins of Immunological Interest」,Kabat,E.,et al.,U.S.Department of Health and Human Services,(1983);およびChothia and Lesk,J.Mol.Biol.196(1987),901−917(これらは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。
当技術分野において使用されており、および/または認められている用語の定義が2つ以上ある場合、本明細書で使用される用語の定義は、特に明確な反対の指定がない限り、すべてのこのような意味を含むことを意図する。具体例は、重鎖および軽鎖ポリペプチドの両方の可変領域内に見られる非連続的な抗原結合部位を説明する用語「相補性決定領域」(「CDR」)の使用である。この特定の領域は、Kabat et al.,U.S.Dept.of Health and Human Services,「Sequences of Proteins of Immunological Interest」(1983)およびChothia and Lesk,J.Mol.Biol.196(1987),901−917(これらは、参照により本明細書に組み込まれる)によって記載されており、ここで、これらの定義は、互いに比較するとアミノ酸残基のオーバーラップまたはサブセットを含む。それにもかかわらず、抗体またはその変異体のCDRを指すいずれかの定義の適用は、本明細書で定義および使用される用語の範囲内にあることを意図する。上記で引用した各参考文献によって定義されるCDRを包含する適切なアミノ酸残基を、比較として以下の表2に示す。特定のCDRを包含する正確な残基数は、CDRの配列およびサイズに応じて変化する。当業者であれば、どの残基がヒトIgGサブタイプの抗体の特定の超可変領域またはCDRを含むかを、その抗体の可変領域のアミノ酸配列を考慮してルーチンに決定することができる。
表2:CDRの定義
Figure 0006486914
表2におけるすべてのCDR定義の番号表記は、Kabat他によって示される番号表記慣例に従う(下記を参照のこと)。
Kabatらはまた、任意の抗体に適用可能な可変ドメイン配列のナンバリングシステムを定義した。当業者であれば、配列それ自体以外のいかなる実験データにも頼ることなく、任意の可変ドメイン配列にこの「Kabatナンバリング」システムを明確に割り当てることができる。本明細書で使用される場合、「Kabatナンバリング」は、Kabat et al.,U.S.Dept.of Health and Human Services,「Sequence of Proteins of Immunological Interest」(1983)によって示されるナンバリングシステムを指す。特に明記されない限り、本発明の抗体またはその抗原結合断片、変異体もしくは誘導体における特定のアミノ酸残基の位置のナンバリングについての言及は、Kabatナンバリングシステムに従うものであるが、それは理論上のものであり、本発明のあらゆる抗体に等しく適用することはできない。例えば、最初のCDRの位置に応じて、以降のCDRがいずれかの方向にシフトする場合がある。
一実施形態では、本発明の抗体は、IgMまたは5価構造を有するその誘導体ではない。特に、本発明の特定の用途、特に治療用途では、IgMは、その5価構造および親和性成熟の欠如のために非特異的な交差反応性および非常に低い親和性を示すことが多いので、IgMは、IgGおよび他の2価抗体または対応する結合分子よりも有用ではない。
特に好ましい実施形態では、本発明の抗体は、ポリクローナル抗体ではない。すなわち、それは、血漿免疫グロブリン試料から得られる混合物ではなく1つの特定の抗体種から実質的になる。
抗体断片、動物化:
単鎖抗体を含む抗体断片は、可変領域を単独で、または以下のものの全部もしくは一部と組み合わせて含むことができる:ヒンジ領域、CH1、CH2およびCH3ドメイン。本発明の目的の分子に結合する断片であって、可変領域と、ヒンジ領域、CH1、CH2およびCH3ドメインとの任意の組み合わせをまた含む断片も本発明に含まれる。本発明の方法にしたがって単離されたモノクローナル抗体、特にヒトモノクローナル抗体と同等の本発明の抗体またはその免疫特異的断片は、鳥類および哺乳動物を含む任意の動物起源であり得る。好ましくは、抗体は、ヒト、マウス、ロバ、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、リャマ、ウマまたはニワトリ抗体である。別の実施形態では、可変領域は、起源がコンドリクトイド(例えば、サメ由来)であり得る。
本発明の特に好ましい実施形態では、抗体は、ヒト被験体からクローニングされた天然に存在するヒトモノクローナル抗体またはその結合断片、誘導体および変異体であって、上記又は下記で詳細に定義される(例えば表1、図面、特に図1〜4、及び実施例、例えば実施例2及び6)本発明の特定のIL−32イソタイプ、好ましくはIL−32γに特異的に結合するものである。
場合により、ヒト抗体のフレームワーク領域を、データベース内の適切なヒト生殖系列可変領域配列とアライメントし、それにしたがって採用する。例えば、MRC Centre for Protein Engineering(Cambridge,UK)が提供するVbase(http://vbase.mrc−cpe.cam.ac.uk/)を参照のこと。例えば、真の生殖系列配列から潜在的に逸脱しているとみなされるアミノ酸は、クローニング工程の間に組み込まれたPCRプライマーの配列によるものであり得る。したがって、本発明によれば、用語「ヒトモノクローナル抗体」、「ヒトモノクローナル自己抗体」、「ヒト抗体」などは、本発明の目的の分子に結合するヒト起源の結合分子(すなわち、B細胞またはそのハイブリドーマなどのヒト細胞から単離されたものであるか、またはそのcDNAがヒト細胞、例えば、ヒト記憶B細胞のmRNAから直接クローニングされたものである)を表すのに使用される。ヒト抗体は、例えば、結合特性を改善するためにアミノ酸置換をその抗体に行った場合でも、依然として「ヒト」である。
下記の、および例えば、Kucherlapatiらによる米国特許第5,939,598号明細書に記載されているように、ヒト免疫グロブリンライブラリ由来の抗体、または内在性免疫グロブリンを発現しない1つ以上のヒト免疫グロブリンについてトランスジェニックな動物由来の抗体は、それらを本発明の真のヒト抗体から区別するためにヒト様抗体と表される。
例えば、典型的にはファージディスプレイから単離された合成および半合成抗体などのヒト様抗体の重鎖および軽鎖の対合は、それらが元のヒトB細胞で生じたような元の対合を必ずしも反映しない。したがって、従来技術で一般的に使用されている組換え発現ライブラリから得られたFabおよびscFv断片は、免疫原性および安定性に対するすべての可能な関連効果に関して人工的であるとみなされ得る。
対照的に、本発明は、ヒトにおけるその治療有用性を特徴とする、選択されたヒト被験体から単離された親和性成熟抗体を提供する。
移植抗体(等価物)
本発明はまた、それぞれIL−32抗体などの本発明の抗体由来のCDRを含む移植抗体(互換的に、等価物と称される)を提供する。このような移植CDRとしては、本発明の抗体のCDRが移植されたか、または1つ以上のアミノ酸置換を含むCDRが移植される動物化抗体が挙げられる。CDRは、上記のように、ヒトフレームワークまたは動物起源由来の抗体フレームワークに直接移植され得る。所望により、フレームワークライブラリを作製することによって、フレームワーク変化も組み込まれ得る。以下により詳細に記載されるように、CDRおよび/またはフレームワーク配列の最適化を独立しておよび連続的に組み合わせて実施することもできるし、または同時に実施することもできる。
移植抗体を作製するために、本発明の抗体のドナーCDRを、抗体アクセプタ可変領域フレームワークに移植する。活性を最適化するために抗体を移植してCDR変異体作製するための方法は、以前に記載されている(例えば、国際公開第98/33919号;国際公開第00/78815号;国際公開第01/27160号を参照のこと)。この手順を実施して、ドナーCDRの移植および親和性の再獲得を同時プロセスで達成し得る。可変領域の結合親和性を改変または最適化するために、この方法を単独でまたはCDR移植と組み合わせて同様に使用することができる。ドナーCDRの結合親和性をアクセプタ可変領域に付与するための方法は、重鎖および軽鎖可変領域の両方に適用可能であり、それ自体を使用して抗体可変領域を移植し、それと同時に抗体可変領域の結合親和性を最適化することができる。
ドナーCDR内の全位置または選択位置に複数の異なるアミノ酸残基変化を含むように、ドナーCDRを改変することができる。CDR種の様々な集団を生産するために、例えば、20種の天然に存在するアミノ酸残基または予め選択されたサブセットのランダムな組み込みまたは偏った組み込みをドナーCDRに導入することができる。CDR変異体種を可変領域の様々な集団に含めることにより、所定の抗原に対して最適化された結合親和性を示す変異体種の作製が可能になる。一定範囲の可能な変化をドナーCDRの位置で行うことができる。変化のために選択され得る可能な変化の一部または全部を、移植ドナーCDRの集団に導入することができる。変化を導入するためにCDR内の単一位置を選択することもできるし、またはアミノ酸を改変した様々な位置が組み合わせて活性についてスクリーニングすることもできる。
1つのアプローチは、例えば、全20種の天然に存在するアミノ酸を各位置で置換することによって、CDRに沿ってすべてのアミノ酸位置を変化させることである。CDRの大部分が基準のドナーCDR配列を維持し、したがってドナーCDRの結合親和性を維持するように、他のドナーCDRアミノ酸位置との関連で各位置の置換を行うことができる。例えば、アクセプタ可変領域フレームワーク(天然または改変フレームワークのいずれか)に、CDR内の各位置に単一位置の置換を含むCDRの集団を移植することができる。同様に、全20種のアミノ酸残基またはアミノ酸のサブセットを組み込むように変化させた2個以上の位置を含むCDRの集団による移植のために、アクセプタ可変領域フレームワークを標的とすることができる。移植するべきCDR内またはCDR群内の1つ以上のアミノ酸位置を改変し、アクセプタ可変領域フレームワークに移植して移植抗体の集団を作製することができる。1つ以上の改変位置を有するCDRは、所望により、1つ以上の改変位置を有する1つ以上の他のCDRと組み合わせることができると理解される。
1つ以上の改変位置を有するCDR変異体種の集団を、可変領域の結合ポケットを構成するCDRのいずれかまたはすべてと組み合わせることができる。したがって、重鎖または軽鎖における1つ、2つまたは全3つのレシピエントCDR位置にドナーCDR変異体集団を同時に組み込むために、アクセプタ可変領域フレームワークを標的とすることができる。アミノ酸位置変化で標的とするためのCDRまたはCDRの数の選択は、例えば、アクセプタへの完全なCDR移植が望ましいか、または結合親和性の最適化のためにこの方法が実施されるかに依存するであろう。
ドナーCDRの結合親和性を抗体アクセプタ可変領域フレームワークに付与するために変化のためのドナーCDRアミノ酸を選択するための別のアプローチは、公知のまたは容易に同定可能なCDR位置であって非常に変わりやすいものを選択することである。例えば、可変領域CDR3は、一般に、非常に変わりやすい。したがって、結合親和性の再獲得もしくは増強を単独でまたは関連アクセプタ可変フレームワーク変化と一緒に確実にする移植手順では、この領域をアミノ酸位置変化の選択的な標的とすることができる。
マウス化抗体:
上記のように、移植によって作製される抗体の例は、マウス化抗体である。本明細書で使用される場合、用語「マウス化抗体」または「マウス化免疫グロブリン」は、本発明のヒト抗体由来の1つ以上のCDR、およびマウス抗体配列に基づくアミノ酸置換および/または欠失および/または挿入を含有するヒトフレームワーク領域を含む抗体を指す。CDRを提供するヒト免疫グロブリンは「親」または「アクセプタ」と称され、フレームワーク変化をもたらすマウス抗体は「ドナー」と称される。定常領域は存在する必要がないが、存在する場合、それらは、通常、マウス抗体の定常領域と実質的に同一、すなわち、少なくとも約85〜90%、好ましくは約95%またはそれ以上同一である。したがって、いくつかの実施形態では、全長マウス化ヒト重鎖免疫グロブリンまたは軽鎖免疫グロブリンは、マウス定常領域、ヒトCDR、および多数の「マウス化」アミノ酸置換を有する実質的にヒトのフレームワークを含有する。典型的には、「マウス化抗体」は、マウス化可変軽鎖および/またはマウス化可変重鎖を含む抗体である。例えば、キメラ抗体の可変領域全体は非マウスであるため、マウス化抗体は典型的なキメラ抗体を包含しないであろう。「マウス化」の工程によって「マウス化」された改変抗体は、CDRを提供する親抗体と同じ抗原に結合し、マウスでは親抗体と比較して免疫原性が通常低い。
抗体断片:
本明細書で使用される場合、用語「重鎖部分」は、免疫グロブリン重鎖に由来するアミノ酸配列を含む。重鎖部分を含むポリペプチドは、CH1ドメイン、ヒンジ(例えば、上部、中部および/または下部ヒンジ領域)ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメインまたはその変異体もしくは断片の少なくとも1つを含む。例えば、本発明に使用される結合ポリペプチドは、CH1ドメインを含むポリペプチド鎖;CH1ドメイン、ヒンジドメインの少なくとも一部およびCH2ドメインを含むポリペプチド鎖;CH1ドメインおよびCH3ドメインを含むポリペプチド鎖;CH1ドメイン、ヒンジドメインの少なくとも一部およびCH3ドメインを含むポリペプチド鎖、またはCH1ドメイン、ヒンジドメインの少なくとも一部、CH2ドメインおよびCH3ドメインを含むポリペプチド鎖を含むことができる。別の実施形態では、本発明のポリペプチドは、CH3ドメインを含むポリペプチド鎖を含む。さらに、本発明に使用される結合ポリペプチドは、CH2ドメインの少なくとも一部(例えば、CH2ドメインの全部または一部)を欠くことができる。上記のように、当業者であれば、これらのドメイン(例えば、重鎖部分)のアミノ酸配列が天然に存在する免疫グロブリン分子と異なるように、これらのドメインを改変することができると理解するであろう。
本明細書で開示される特定の抗体またはその抗原結合断片、変異体もしくは誘導体では、多量体の1つのポリペプチド鎖の重鎖部分は、多量体の第2のポリペプチド鎖上の重鎖部分と同一である。あるいは、本発明の重鎖部分含有単量体は同一ではない。例えば、各単量体は、異なる標的結合部位を含むことができ、例えば、二重特異性抗体または二特異性抗体を形成する。
別の実施形態では、本明細書で開示される抗体またはその抗原結合断片、変異体もしくは誘導体は、scFvなどの単一ポリペプチド鎖から構成され、潜在的なインビボ治療用途および診断用途のために細胞内に発現され得る(細胞内抗体)。
本明細書で開示される診断方法および治療方法に使用される結合ポリペプチドの重鎖部分は、様々な免疫グロブリン分子に由来し得る。例えば、ポリペプチドの重鎖部分は、IgG1分子に由来するCH1ドメイン、およびIgG3分子に由来するヒンジ領域を含むことができる。別の例では、重鎖部分は、IgG1分子に部分的に由来するヒンジ領域、およびIgG3分子に部分的に由来するヒンジ領域を含むことができる。別の例では、重鎖部分は、IgG1分子に部分的に由来するキメラヒンジ、およびIgG4分子に部分的に由来するキメラヒンジを含むことができる。
したがって、実施例にも例示されているように、一実施形態では、本発明の抗体の定常領域またはその一部、特にCH2および/またはCH3ドメイン、しかし場合によりCH1ドメインは、本発明の方法にしたがって単離されたネイティブなヒトモノクローナル抗体の可変領域に対して異種性である。本文脈では、異種定常領域は、本発明の抗体の治療用途の場合には、好ましくはヒト起源のものであるが、動物研究の場合には、例えば齧歯類起源のものであり得る(実施例も参照のこと)。
本明細書で使用される場合、用語「軽鎖部分」は、免疫グロブリン軽鎖由来のアミノ酸配列を含む。好ましくは、軽鎖部分は、VまたはCドメインの少なくとも1つを含む。
先に示したように、様々な免疫グロブリンクラスの定常領域のサブユニット構造および三次元構造が周知である。本明細書で使用される場合、用語「Vドメイン」は免疫グロブリン重鎖のアミノ末端可変ドメインを含み、用語「CH1ドメイン」は免疫グロブリン重鎖の第1の(最もアミノ末端の)定常領域ドメインを含む。CH1ドメインはVドメインに隣接し、免疫グロブリン重鎖分子のヒンジ領域に対してアミノ末端側にある。
本明細書で使用される場合、用語「CH2ドメイン」は、例えば、従来のナンバリングスキームを使用すれば抗体の約残基244〜残基360(Kabatナンバリングシステムでは残基244〜360;およびEUナンバリングシステムでは残基231〜340、Kabat EA et al.前掲書を参照のこと)に及ぶ重鎖分子の部分を含む。CH2ドメインは、別のドメインと密接に対合していないという点が固有である。どちらかといえば、2つのN−結合分岐状炭水化物鎖が、インタクトな天然IgG分子の2つのCH2ドメイン間に挿入される。CH3ドメインはCH2ドメインからIgG分子のC末端に及び、約108個の残基を含むこともまた詳細に記載されている。
本明細書で使用される場合、用語「ヒンジ領域」は、CH1ドメインをCH2ドメインに結合する重鎖分子の部分を含む。このヒンジ領域は約25個の残基を含み、柔軟であり、したがって2つのN末端抗原結合領域が独立して動くことを可能にする。ヒンジ領域を3つの異なるドメイン:上部、中部および下部ヒンジドメインに細分化することができる;Roux et al.,J.Immunol.161(1998),4083を参照のこと。
本明細書で使用される場合、用語「ジスルフィド結合」は、2個の硫黄原子間に形成される共有結合を含む。アミノ酸システインは、ジスルフィド結合を形成することができるか、または第2のチオール基と架橋することができるチオール基を含む。天然に存在するIgG分子の大部分では、CH1およびCL領域はジスルフィド結合によって連結され、2本の重鎖は、Kabatナンバリングシステムを使用すれば239位および242位に対応する位置で(EUナンバリングシステムでは、226位または229位)2つのジスルフィド結合によって連結される。
本明細書中で使用される場合、用語「連結される」、「融合される」または「融合」は交換可能に使用される。これらの用語は、化学的コンジュゲート化または組換え手段を含むどのような手段によってでも、2つ以上の要素または成分を一緒につなぐことを示す。「読み枠を合わせた融合」は、2つ以上のポリヌクレオチド・オープンリーディングフレーム(ORF)を、これらの元々のORFの正しい翻訳読み枠を維持する様式で、連続したより長いORFを形成するためにつなぐことを示す。したがって、組換え融合タンパク質は、元のORFによってコードされるポリペプチドに対応する2つ以上のセグメントを含有する単一タンパク質である(そのようなセグメントは通常、自然界ではそのようにつながれない)。したがって、読み枠が、融合されたセグメントの全体にわたって連続にされるにもかかわらず、これらのセグメントは、例えば、読み枠を合わせたリンカー配列によって物理的または空間的に隔てられる場合がある。例えば、免疫グロブリン可変領域のCDRをコードするポリヌクレオチドが、読み枠を合わせて融合される場合があり、しかし、「融合された」CDRが、連続したポリペプチドの一部として共翻訳される限り、少なくとも1つの免疫グロブリンフレームワーク領域またはさらなるCDR領域をコードするポリヌクレオチドによって隔てられる場合がある。したがって、1つの実施形態において、ポリヌクレオチドは、可変領域と、定常ドメインの少なくとも一部とをコードするcDNAである。1つの実施形態において、ポリヌクレオチドは、本明細書中で定義されるような本発明の抗体の可変領域および定常ドメインをコードするcDNAである。
エピトープ:
抗体のためのペプチドまたはポリペプチドのエピトープの最小サイズは約4〜5個のアミノ酸であると考えられる。ペプチドまたはポリペプチドのエピトープは好ましくは、少なくとも7個のアミノ酸を含有し、より好ましくは少なくとも9個のアミノ酸を含有し、最も好ましくは少なくとも約15〜約30個の間のアミノ酸を含有する。CDRにより、抗原性のペプチドまたはポリペプチドがその三次形態で認識され得るので、エピトープを構成するアミノ酸は連続している必要はなく、いくつかの場合には、同じペプチド鎖に存在していないことさえある。本発明において、本発明の抗体によって認識されるペプチドまたはポリペプチドのエピトープは、抗体が2つ以上のイソタイプを認識する場合には、本発明の目的とする分子、すなわち、少なくとも1つのIL−32イソタイプ、またはそれ以外のIL−32イソタイプの相同的配列の少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、より好ましくは少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、約15〜約30個の間または約30〜約50個の間の連続したアミノ酸または不連続なアミノ酸からなる配列を含有する。
結合特性:
本明細書で互換的に使用される「結合する」または「認識する」は、一般に、結合分子、例えば、抗体がその抗原結合ドメインを介して所定のエピトープに結合すること、およびその結合が抗原結合ドメインとエピトープとの間のある程度の相補性を必要とすることを意味する。この定義によれば、抗体がランダムな無関係のエピトープに結合するよりも容易に、その抗原結合ドメインを介してエピトープに結合する場合、その抗体はそのエピトープに「特異的に結合する」と言われる。用語「特異性」は、本明細書では、ある特定の抗体がある特定のエピトープに結合する相対的親和性を特定するのに使用される。例えば、抗体「A」が抗体「B」よりも所定のエピトープに対して高い特異性を有するとみなしてもよいし、または抗体「A」が、関連エピトープ「D」に対して有するよりも高い特異性でエピトープ「C」に結合すると言うこともできる。無関係のエピトープは、通常、所定の結合分子の結合特異性の評価に使用され得る非特異的抗原(例えば、BSA、カゼインまたは任意の他の特定のポリペプチド)の一部である。これに関して、用語「特異的結合」は、抗体が、非特異的抗原に対する結合のそのKよりも少なくとも2倍低いKで、所定の抗原に結合することを指す。本明細書で使用される場合、用語「高特異的」結合は、特定の標的エピトープに対する抗体の相対Kが、他のリガンドに対するその抗体の結合のKよりも少なくとも10倍低いことを意味する。
存在する場合、抗体の抗原との「免疫学的結合特性」または他の結合特性という用語は、そのすべての文法の形式で、抗体の特異性、親和性、交差反応性および他の結合特性を指す。
「優先的に結合する」によって、結合分子、例えば、抗体が、関連したエピトープ、類似したエピトープ、相同的なエピトープまたは相似的なエピトープに結合するであろうよりも容易にある1つのエピトープに特異的に結合することが意味される。したがって、所与のエピトープに「優先的に結合する」抗体は、そのような抗体が関連のエピトープと交差反応することがあるとしても、関連のエピトープに対するよりもそのエピトープに対して結合する可能性が大きいであろう。特定の抗原、例えば、特異的なIL−32イソタイプなどに関しては、用語「優先的に結合する」は、結合分子が、例えば、抗体が、関連したIL−32イソタイプ、類似したIL−32イソタイプ、相同的なIL−32イソタイプまたは相似的なIL−32イソタイプに結合するであろうよりも容易にある1つのIL−32イソタイプに特異的に結合することを意味する。
非限定的な例として、結合分子、例えば、抗体が、その抗体の第2のエピトープに対する解離定数(K)よりも低いKで第1のエピトープに結合する場合、それは第1のエピトープに選択的に結合するとみなされ得る。別の非限定的な例では、抗体が、その抗体の第2のエピトープに対するKよりも少なくとも1桁低い親和性で第1のエピトープに結合する場合、抗体は前記第1の抗原に選択的に結合するとみなされ得る。別の非限定的な例では、抗体が、その抗体の第2のエピトープに対するKよりも少なくとも2桁低い親和性で第1のエピトープに結合する場合、抗体は前記第1のエピトープに選択的に結合するとみなされ得る。
別の非限定的な例では、結合分子、例えば、抗体が、その抗体の第2のエピトープに対する解離速度(k(off))よりも低いk(off)で第1のエピトープに結合する場合、それは第1のエピトープに選択的に結合するとみなされ得る。別の非限定的な例では、抗体が、その抗体の第2のエピトープに対するk(off)よりも少なくとも1桁低い親和性で第1のエピトープに結合する場合、抗体は第1のエピトープに選択的に結合するとみなされ得る。別の非限定的な例では、抗体が、その抗体の第2のエピトープに対するk(off)よりも少なくとも2桁低い親和性で第1のエピトープに結合する場合、抗体は第1のエピトープに選択的に結合するとみなされ得る。
本明細書で開示される結合分子、例えば、抗体または抗原結合断片、変異体または誘導体は、5×10−2−1、10−2−1、5×l0−3−1またはl0−3−1以下の解離速度(k(off))で、本発明の目的の分子またはその断片もしくは変異体と結合すると言うことができる。より好ましくは、本発明の抗体は、5×10−4−1、10−4−1、5×10−5−1、または10−5−15×10−6−1、10−6−1、5×10−7−1または10−7−1以下の解離速度(k(off))で、本発明の目的の分子またはその断片もしくは変異体と結合すると言うことができる。
本明細書で開示される結合分子、例えば、抗体または抗原結合断片、変異体または誘導体は、10−1−1、5×10−1−1、10−1−1または5×10−1−1以上の結合速度(k(on))で、本発明の目的の分子またはその断片もしくは変異体と結合すると言うことができる。より好ましくは、本発明の抗体は、10−1−1、5×10−1−1、10−1−1、または5×10−1−1または10−1−1以上の結合速度(k(on))で、本発明の目的の分子またはその断片もしくは変異体と結合すると言うことができる。
結合分子、例えば、抗体が、所定のエピトープに対する基準抗体の結合をいくらか遮断する程度にそのエピトープに選択的に結合する場合、所定のエピトープに対する基準抗体の結合を競合的に阻害すると言われる。当技術分野において公知の任意の方法、例えば、競合ELISAアッセイによって競合的阻害を判定することができる。抗体は、所定のエピトープに対する基準抗体の結合を少なくとも90%、少なくとも80%、少なくとも70%、少なくとも60%、または少なくとも50%競合的に阻害すると言うことができる。
本明細書で使用される場合、用語「親和性」は、結合分子、例えば、個々のエピトープと、免疫グロブリン分子のCDRとの結合強度の程度を指す。例えば、Harlow et al.,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,2nd ed.(1988)の第27頁〜第28頁を参照のこと。本明細書で使用される場合、用語「結合活性」は、免疫グロブリンの集団と抗原との間の複合体の総合的な安定性、すなわち、免疫グロブリン混合物と抗原との機能的結合強度を指す。例えば、Harlowの第29頁〜第34頁を参照のこと。結合活性は、集団中の個々の免疫グロブリン分子と特異的エピトープとの親和性、およびさらに免疫グロブリンおよび抗原の結合価の両方に関連する。例えば、2価のモノクローナル抗体と、ポリマーなどの高頻度反復エピトープ構造を有する抗原との間の相互作用は、高い結合活性の1つであろう。任意の適切な方法を使用して抗原に対する抗体の親和性または結合活性を実験的に決定することができる。例えば、Berzofsky et al.,「Antibody−Antigen Interactions」In Fundamental Immunology、Paul,W.E.,Ed.,Raven Press New York,NY(1984)、Kuby,Janis Immunology,W.H.Freeman and Company New York,NY(1992)、および本明細書に記載される方法を参照のこと。抗原に対する抗体の親和性を測定するための一般的な技術としては、ELISA、RIAおよび表面プラズモン共鳴が挙げられる。異なる条件下(例えば、塩濃度、pH)で測定する場合、特定の抗体抗原間相互作用の測定された親和性は変化し得る。したがって、標準化した抗体抗原溶液および標準化した緩衝液を用いて、親和性および他の抗原結合パラメータ、例えば、K、IC50を測定することが好ましい。
本発明の結合分子、例えば、抗体またはその抗原結合断片、変異体もしくは誘導体はまた、それらの交差反応性に関して記載または明示され得る。本明細書で使用される場合、用語「交差反応性」は、第1の抗原に対して特異的な抗体の第2の抗原と反応する能力;2つの異なる抗原性物質間の関連性の程度を指す。したがって、抗体が、その抗体の形成を誘導したエピトープと異なるエピトープに結合する場合、その抗体は交差反応性である。交差反応性エピトープは、一般に、抗体を誘導したエピトープと同じ相補的な構造的特徴の多くを含み、いくつかの場合では、実際には元のエピトープよりも適合する可能性がある。
例えば、ある特定の抗体が、関連するが同一ではないエピトープ、例えば、基準エピトープに対して少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも65%、少なくとも60%、少なくとも55%、および少なくとも50%の(当技術分野において公知の、および本明細書に記載される方法を使用して計算されるような)同一性を有するエピトープに結合するという点で、それらはある程度の交差反応性を有する。抗体が基準エピトープに対して95%未満、90%未満、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、および50%未満の(当技術分野において公知の、および本明細書に記載される方法を使用して計算されるような)同一性を有するエピトープに結合しない場合、それは交差反応性をほとんど、または全く持たないと言うことができる。抗体があるエピトープの他の任意の類似体、オーソログまたは相同体に結合しない場合、それはそのエピトープに対して「非常に特異的である」とみなすことができる。
本発明の結合分子、例えば、抗体またはその抗原結合断片、変異体もしくは誘導体はまた、本発明の目的の分子に対する結合親和性に関して記載または明示され得る。好ましい結合親和性には5×10−2M、10−2M、5×10−3M、10−3M、5×10−4M、10−4M、5×10−5M、10−5M、5×10−6M、10−6M、5×10−7M、10−7M、5×10−8M、10−8M、5×10−9M、10−9M、5×10−10M、10−10M、5×10−11M、10−11M、5×10−12M、10−12M、5×10−13M、10−13M、5×10−14M、10−14M、5×10−15M、または10−15M未満の解離定数またはKを有するものが含まれる。典型的には、抗体は、10−7M以下の解離定数(K)で、その所定の抗原に結合する。好ましくは、抗体は、10−9M以下の解離定数(K)で、さらにより好ましくは10−11M以下の解離定数(K)で、その同種抗原に結合する。
抗体の改変:
免疫グロブリンまたはそれをコードするcDNAをさらに改変することができる。したがって、さらなる実施形態では、本発明の方法は、キメラ抗体、ヒト化抗体、単鎖抗体、Fab断片、二重特異性抗体、融合抗体、標識抗体またはこれらのいずれか1つの類似体を生産する工程のいずれか1つを含む。対応する方法が当業者に公知であり、例えば、Harlow and Lane「Antibodies,A Laboratory Manual」,CSH Press,Cold Spring Harbor,1988に記載されている。ファージディスプレイ技術によって前記抗体の誘導体を得る場合、本発明に提供される抗体のいずれか1つのものと同じエピトープに結合するファージ抗体の効率性を上昇させるために、BIAcoreシステムにおいて用いられるように、表面プラズモン共鳴を使用することができる(Schier,Human Antibodies Hybridomas 7(1996),97−105;Malmborg,J.Immunol.Methods 183(1995),7−13)。例えば、国際公開第89/09622号には、キメラ抗体の生産が記載されている。欧州特許出願公開第0239400号明細書および国際公開第90/07861号には、ヒト化抗体の生産方法が記載されている。本発明にしたがって用いられる抗体のさらなる供給源は、いわゆるゼノジニック抗体である。例えば、国際公開第91/10741号、国際公開第94/02602号、国際公開第96/34096号および国際公開第96/33735号には、マウスにおけるヒト抗体などのゼノジニック抗体の生産についての一般的原理が記載されている。上記のように、本発明の抗体は、完全抗体の他に、例えば、Fv、FabおよびF(ab)を含む様々な形態で、ならびに単鎖形態で存在し得る。例えば、国際公開第88/09344号を参照のこと。
当技術分野において公知の従来の技術を使用して、例えば、アミノ酸の欠失、挿入、置換、付加、および/または組換えおよび/または当技術分野において公知の任意の他の改変を単独でまたは組み合わせて使用することによって、本発明の抗体またはそれらの対応する免疫グロブリン鎖をさらに改変することができる。免疫グロブリン鎖アミノ酸配列の基礎となるDNA配列にこのような改変を導入する方法は当業者に周知である;例えば、Sambrook,Molecular Cloning A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory(1989)N.Y.およびAusubel,Current Protocols in Molecular Biology,Green Publishing Associates and Wiley Interscience,N.Y.(1994)を参照のこと。本発明の抗体の改変としては、アセチル化、ヒドロキシル化、メチル化、アミド化、および炭水化物もしくは脂質部分、補因子などの結合を含む、側鎖改変、骨格改変、ならびにN末端およびC末端改変を含む、1つ以上の構成アミノ酸における化学的および/または酵素的誘導体化が挙げられる。同様に、本発明は、標識または薬物などの異種性分子がアミノ末端に融合された記載される抗体またはそのいくつかの断片を含むキメラタンパク質の生産を包含する。このようにして作製された抗原結合分子は、それぞれ罹患細胞および組織の適切な表面構造を発現する細胞への薬物局在化に使用することができる。この標的化および細胞への結合は、治療的または診断的に活性な薬剤の送達および遺伝子治療/遺伝子送達に有用であり得る。本発明の抗体を有する分子/粒子は、目的の特定の抗原を発現する細胞/組織に特異的に結合するので、診断用途および治療用途を有し得る。
試料:
本明細書で使用される場合、用語「試料」又は「生物学的試料」は、被験体または患者から得られる任意の生物学的物質を指す。一態様では、試料は、血液、脳脊髄液(「CSF」)または尿を含み得る。他の態様では、試料は、全血、血漿、末梢血から濃縮された単核細胞(PBMC)、例えば、リンパ球(すなわち、T細胞、NK細胞またはB細胞)、単球、マクロファージ、樹状細胞および好塩基球;および培養細胞(例えば、被験体由来のB細胞)を含み得る。試料はまた、腫瘍組織を含む生検または組織試料を含み得る。さらに他の態様では、試料は、全細胞および/または細胞溶解物を含み得る。一実施形態では、試料は、末梢血単核細胞(PBMC)を含む。当技術分野において公知の方法によって試料を採取することができる。
抗IL−32抗体の特定、対応するB細胞の単離および抗IL−32抗体の組換え発現:
表1に列記されるような、また、IL−32γイソタイプに関して例示的に示されるような本発明の抗IL−32抗体について特異的であるB細胞の特定、および、目的とする特異性を示す抗体の分子クローニング、同様にまた、それらの組換え発現および機能的特徴づけを一般には、国際出願公開WO2013/098419A1および同WO2013/098420A1に記載されるように行うことができる;それらにおける実施例のセクションを参照のこと。具体的には、国際公開WO2013/098419A1の118頁〜120頁における実施例1および実施例2、ならびに、国際公開WO2013/098420A1の27頁〜31頁における実施例1〜実施例4を参照のこと(それらの開示内容は参照によって本明細書中に組み込まれる)。
簡単に記載すると、本発明の1つの実施形態において、単一のB細胞またはオリゴクローナルなB細胞の培養物が、実施例に記載されるように培養され、前記B細胞によって産生される抗体を含有する培養物の上清が、IL−32イソタイプの1つまたは複数について特異的である抗体の存在および親和性についてスクリーニングされた。別の実施形態において、患者血清が、様々なIL−32イソタイプに対する自己抗体の存在について最初にスクリーニングされ、その後、大きい力価を有する自己抗体が末梢血単核細胞の単離のために選択された:国際公開WO2013/098419A1の118頁〜120頁における実施例2を参照のこと(その開示内容は参照によって本明細書中に組み込まれる)。スクリーニングプロセスは、IL−32イソタイプの断片、ペプチドまたは誘導体における結合についてスクリーニングすることを含む。続いて、結合が検出される抗体、または、前記抗体を産生する細胞が単離された;国際公開WO2013/098419A1の120頁における実施例3を参照のこと(その開示内容は参照によって本明細書中に組み込まれる)。したがって、予備的スクリーニングを、抗体分泌細胞を含有するサンプル(例えば、全末梢血または血清など)を使用して候補ドナーのパネルに対して行うことができる。具体的には、単核細胞を、末梢血単核細胞(PBMC)を単離するための標準的な分離技術(例えば、勾配遠心分離など)を使用して血液またはリンパ組織から単離することができる。この分離工程の後および/または前において、(異なる患者から、異なる組織から、および/または異なる時点で得られる)血清(または血漿)、細胞培養上清または細胞のサンプルを、抗体および抗体分泌細胞の存在を検出するための標準的な技術(例えば、ELISA、BIACORE、ウエスタンブロット、FACS、SERPA、抗原アレイ、細胞培養系でのウイルス感染の中和、または、ELISPOTアッセイ)を使用して予備スクリーニングすることができる。文献はこれらの技術のいくつかの例を提供しており、それらは、例えば、ワクチン接種されたドナーにおける免疫応答を特徴づけるためのELISPOTの使用(Crotty他、Immunol Meth.286(2004)、111〜122)、新たに感染した患者のための診断ツールとしての抗原マイクロアレイの使用(Mezzasoma他、Clin Chem.48(2002)、121〜130)、および、抗原特異的な免疫応答を測定するための他の技術(Kern他、Trends Immunol.26(2005)、477〜484)を示す。
候補の抗IL−32抗体、および、そのような抗体を分泌するB細胞がそれぞれ特定された後で、目的とする抗体をコードする核酸配列が得られ、この場合、これは、B細胞を調製する工程、および、目的とする抗体をコードする核酸をB細胞から得る/配列決定する工程、および、さらには、その核酸を、目的とする抗体を発現することができる発現宿主に挿入するか、または、その核酸を使用して、目的とする抗体を発現することができる発現宿主を調製する工程、発現宿主を、目的とする抗体が発現させられる条件のもとで培養または継代培養する工程、および、必要な場合には、目的とする抗体を精製する工程を含む。核酸は、制限部位を導入するために、コドン使用頻度を変更するために、ならびに/あるいは、転写調節配列および/もしくは翻訳調節配列を加え、または、転写調節配列および/もしくは翻訳調節配列を最適化するためにその間で操作されることがあることは言うまでもないことである。これらの技術は最先端であり、過度な負担を伴うことなく当業者によって行うことができる。例えば、重鎖定常領域を異なるイソタイプの重鎖定常領域に交換することができ、または、完全に除くことができる。可変領域を、単鎖のFv領域をコードするために連結することができる。多数のFv領域を、2つ以上の標的に対する結合能を与えるために連結することができ、または、重鎖および軽鎖のキメラな組合せを用いることができる。遺伝物質が入手可能であると、所望の標的と結合するそれらの能力をともに保持する上記で記載されるようなアナログの設計は直截的である。抗体可変領域のクローニングおよび組換え抗体の作製のための様々な方法が当業者には知られており、例えば、Gilliland他、Tissue Antigens、47(1996)、1〜20;Doenecke他、Leukemia、11(1997)、1787〜1792に記載される。しかしながら、本発明の好ましい実施形態において、B細胞が得られ、対応する抗体が、国際出願公開WO2013/098420A1に記載される方法によって、具体的には、28頁〜30頁における実施例3に記載される方法によって発現させられる(その開示内容は参照によって本明細書中に組み込まれる)。
疾患および障害:
特に指定がない限り、用語「障害」および「疾患」は、本明細書では互換的に使用される。本明細書で使用される場合、用語「自己免疫性障害」は、個体自身の組織または器官またはその同時分離体または徴候またはそれらから生じる症状から生じるかまたそれらに対する疾患または障害である。自己免疫性疾患は適応免疫反応の脱調節によって主に引き起こされ、自己構造に対する自己抗体または自己反応性T細胞が形成される。ほぼすべての自己免疫性疾患は、炎症性成分を有する。自己炎症性疾患は主に炎症性であり、いくつかの古典的な自己炎症性疾患は、先天性炎症経路の遺伝的欠陥によって引き起こされる。自己炎症性疾患では、自己反応性T細胞または自己抗体は見られない。これらの自己免疫性および自己炎症性障害の多くにおいて、限定されないが、高ガンマグロブリン血症、高レベルの自己抗体、組織中の抗原抗体複合体沈着、副腎皮質ステロイドまたは免疫抑制性処置から恩恵を受けるもの、および罹患組織中のリンパ系細胞凝集塊を含む多くの臨床用および研究用のマーカが存在し得る。B細胞媒介性自己免疫性障害に関する理論に限定されないが、B細胞は、自己抗体産生、免疫複合体形成、樹状およびT細胞活性化、サイトカイン合成、ケモカインの直接放出、および異所性新リンパ形成に対しての病巣の提供を含む、多くの機構的な経路によりヒト自己免疫性疾患において病原性効果を示すことが考えられる。これらの経路のそれぞれが、自己免疫性疾患の病状に異なった度合いで寄与し得る。
本明細書中で使用される場合、「自己免疫障害」は、器官特異的疾患であること(すなわち、免疫応答が、器官系に対して、例えば、内分泌系、造血系、皮膚、心肺系、胃腸系および肝臓系、腎臓系、甲状腺、耳、神経筋系、中枢神経系などに対して特異的に向けられる)、または、多数の器官系を冒し得る全身性疾患(これには、全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ、多発性筋炎、自己免疫性多腺性内分泌不全症症候群1型(APS1)/自己免疫性多腺性内分泌不全症・カンジダ症・外胚葉ジストロフィー(APECED)などが含まれるが、これらに限定されない)であることが可能である。好ましいそのような疾患には、下記の疾患が含まれるが、それらに限定されない:多発性硬化症(MS)、様々な形態の自己免疫性のリウマチ学的障害(関節リウマチ、脊椎関節炎、乾癬性関節炎、シェーグレン症候群、強皮症、狼瘡(SLEおよびループス腎炎を含むが、これらに限定されない)、多発性筋炎/皮膚筋炎および乾癬性関節炎を含むが、これらに限定されない)、自己免疫性の皮膚科学的障害(乾癬、天疱瘡群疾患、水疱性類天疱瘡疾患および皮膚エリテマトーデスを含むが、これらに限定されない)、および、自己免疫性の内分泌障害(糖尿病関連の自己免疫疾患(例えば、1型糖尿病またはインスリン依存性糖尿病(T1DMまたはIDDM)など)、自己免疫性の甲状腺疾患(グレーブス病および甲状腺炎を含むが、これらに限定されない)を含むが、これらに限定されない)、および、自己免疫の生成に影響を及ぼす疾患(自己免疫性多腺性内分泌不全症症候群1型(APS1)/自己免疫性多腺性内分泌不全症・カンジダ症・外胚葉ジストロフィー(APECED)、重症筋無力症(MG/胸腺腫)を含むが、これらに限定されない)。
好ましい疾患には、例えば、SLE、RA、脊椎関節炎、乾癬性関節炎、T1DM、MS、乾癬、シェーグレン症候群、グレーブス病、甲状腺炎、ならびに、糸球体腎炎ならびにAPS1が含まれる。一層より好ましいものが、RA、SLEおよびMSであり、最も好ましいものがSLEである。
標識および診断:
標識剤は、本発明の抗体または抗原に直接的または間接的のいずれかでカップリングされ得る。間接的カップリングの一例は、スペーサ部分の使用によるものである。さらに、本発明の抗体は、共有結合または非共有結合によって連結されているさらなるドメインを含み得る。この連結は、当技術分野において公知の上記方法による遺伝的融合に基づくものでもよいし、または例えば国際公開第94/04686号に記載されている化学的架橋によって実施することもできる。本発明の抗体を含む融合タンパク質中に存在するさらなるドメインは、好ましくは、可撓性リンカー、有利にはポリペプチドリンカーによって連結され得、前記ポリペプチドリンカーは、前記さらなるドメインのC末端と本発明の抗体のN末端との間(またはその逆も同様である)の距離に及ぶのに十分な長さの、複数の親水性ペプチド結合アミノ酸を含む。治療的または診断的に活性な薬剤が、様々な方法によって、本発明の抗体またはその抗原結合断片にカップリングされ得る。これとしては、例えば、共有的な方法、例えばペプチド結合によって、治療的または診断的に活性な薬剤にカップリングされた、本発明の抗体の可変領域を含む単鎖融合タンパク質が挙げられる。さらなる例としては、さらなる分子に共有結合または非共有結合によってカップリングされた抗原結合断片を少なくとも含む分子が挙げられ、以下の非限定的な例示的リスト中のものが挙げられる。Traunecker,Int.J.Cancer Surp.SuDP 7(1992),51−52には、CD3に対するFv領域が、可溶性CD4または他のリガンド、例えばOVCAおよびIL−7にカップリングされている、二重特異性試薬ヤヌシンが記載されている。同様に、本発明の抗体の可変領域をFv分子に構築して、引用文献に示されている代替的リガンドにカップリングすることができる。Higgins,J.Infect.Disease 166(1992),198−202には、GP120のV3領域中の特定の配列に対する抗体に架橋されたOKT3からなるヘテロコンジュゲート抗体が記載されている。このようなヘテロコンジュゲート抗体はまた、本発明の方法の抗体中に含まれる少なくとも可変領域を使用して構築され得る。特異的抗体のさらなる例としては、Fanger,Cancer Treat.Res.68(1993),181−194およびFanger,Crit.Rev.Immunol.12(1992),101−124に記載されている抗体が挙げられる。従来の抗体を含む免疫毒素であるコンジュゲートは、当技術分野において広く記載されている。従来のカップリング技術によって毒素を抗体にカップリングしてもよいし、またはタンパク質毒素部分を含む免疫毒素を融合タンパク質として生産してもよい。本発明の抗体は、このような免疫毒素を得るための対応する方法で使用され得る。このような免疫毒素の例示は、Byers,Seminars Cell.Biol.2(1991),59−70およびFanger,Immunol.Today 12(1991),51−54によって記載されているものである。
上記融合タンパク質は、プロテアーゼにより切断可能なリンカーまたは切断部位をさらに含み得る。これらのスペーサ部分は順に不溶性でもよいしまたは可溶性でもよく(Diener et al.,Science 231(1986),148)、標的部位における抗原からの薬物放出を可能にするように選択され得る。免疫療法のための本発明の抗体および抗原にカップリングされ得る治療剤の例は、ケモカイン、ホーミング分子、薬物、放射性同位体、レクチンおよび毒素である。本発明の抗体および抗原にコンジュゲートされ得る薬物は、コンジュゲート分子を使用しようとする疾患状況に依存する。例えば、腫瘍疾患の処置に有用な標的に対して特異的な抗体を、古典的には抗腫瘍薬物と称される化合物、例えば、マイトマイシンC、ダウノルビシンおよびビンブラスチンにコンジュゲートすることができる。例えば、腫瘍免疫療法のために、放射性同位体とコンジュゲートした本発明の抗体または抗原を使用する際には、特定の同位体が、白血球分布ならびに安定性および放射などの因子に応じて、他の同位体よりも好ましい場合がある。自己免疫反応に応じて、いくつかの放射体が、他の放射体よりも好ましい場合がある。一般に、α粒子およびβ粒子を放射する放射性同位体が、免疫療法では好ましい。ショートレンジの高エネルギー放射体、例えば212Biが好ましい。治療目的では、本発明の抗体または抗原に結合され得る放射性同位体の例は、125I、131I、90Y、67Cu、212Bi、212At、211Pb、47Sc、109Pdおよび188Reである。本発明の抗体または抗原にカップリングされ得る他の治療剤、ならびにエクスビボおよびインビボの治療プロトコールは公知であるか、または当業者であれば容易に確認することができる。標識するのに適切な放射性核種の非限定的な例は、198Au、212Bi、11C、14C、57Co、67Cu、18F、67Ga、68Ga、H、197Hg、166Ho、111In、113mIn、123I、125I、127I、131I、111In、177Lu、15O、13N、32P、33P、203Pb、186Re、188Re、105Rh、97Ru、35S、153Smおよび99mTcである。標識するのに適切な他の分子は、蛍光色素または発光色素、磁気粒子、金属、および二次的な酵素または結合工程によって検出可能な分子、例えば、酵素またはペプチドタグである。本発明で標識として使用するのに適切な市販の蛍光プローブは、Handbook of Fluorescent Probes and Research Products,8th Edition(この開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる)に列挙されている。磁気粒子ベースのアッセイ(MPA)に使用するのに適切な磁気粒子は、常磁性物質、反磁性物質、強磁性物質、強磁性物質および超常磁性物質から選択され得る。
診断目的に有用な分子および細胞生化学の一般的な方法は、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd Ed.(Sambrook et al.,Harbor Laboratory Press 2001);Short Protocols in Molecular Biology,4th Ed.(Ausubel et al.eds.,John Wiley&Sons 1999);Protein Methods(Bollag et al.,John Wiley&Sons 1996)などの標準的な教科書に見られ得る。診断目的用の試薬、検出手段およびキットは、Pharmacia Diagnostics、Amersham、BioRad、Stratagene、Invitrogen、およびSigma−Aldrichなどの商業ベンダー、ならびに本明細書で引用されている参考文献、特に特許文献のいずれか1つに示されている供給源から市販されている。
処置および薬物:
本明細書で使用される場合、用語「処置する」または「処置」は、自己免疫性疾患および/または自己炎症性疾患の発症などの望ましくない生理的変化または障害を防止するか、または遅延(減少)させることを目的とする治療的処置および予防的または防止的手段の両方を指す。有益なまたは所望の臨床結果としては、限定されないが、検出可能であるかまたは検出不可能であるかにかかわらず、症候の軽減、疾患の程度の縮小、安定化した(すなわち、悪化していない)疾患状態、疾患進行の遅延または緩慢化、疾患状態の寛解または緩和、および(部分的であるかまたは完全であるかにかかわらず)寛解が挙げられる。「処置」はまた、処置を受けない場合に予想される生存期間と比較して生存期間を延長させることを意味し得る。処置を必要とする者としては、症状または障害を既に有する者、ならびに症状または障害を有する傾向がある者、または症状または障害の徴候を防止するべき者が挙げられる。
特に指定がなければ、用語「薬物」、「医薬」または「医薬品」は、本明細書では互換的に使用され、限定されないが、(A)内用または外用の物品、医薬および調製物、ならびにヒトまたは他の動物のいずれかの疾患の診断、治癒、緩和、処置または予防に使用することを目的とする任意の物質または物質の混合物;ならびに(B)ヒトまたは他の動物の体の構造または任意の機能に影響を与えることを目的とする物品、医薬および調製物(食品を除く);ならびに(C)項目(A)および(B)で指定された任意の物品の成分として使用することを目的とする製品を含むものである。用語「薬物」、「医薬」または「医薬品」は、1つ以上の「薬剤」、「化合物」、「物質」または「(化学)組成物」、ならびにいくつかの他の文脈ではさらに充填剤、崩壊剤、潤滑剤、流動促進剤、結合剤のような他の薬学的に不活性な賦形剤、またはヒトもしくは他の動物の体内の目的の標的部位(例えば、皮膚、胃または腸内)における「薬物」、「医薬」もしくは「医薬品」の容易な運搬、崩壊、分解、溶解および生物学的アベイラビリティを確保するものを含有する、ヒトまたは他の動物のいずれかで使用することを目的とする調製物の製剤一式を含むものである。用語「薬剤」、「化合物」または「物質」は、本明細書では互換的に使用され、より具体的な文脈では、限定されないが、すべての薬理学的に活性な薬剤(すなわち、所望の生物学的または薬理学的効果を誘導するか、または本発明の方法によってこのような可能な薬理学的効果を誘導する能力について調査または試験される薬剤)を含むものである。
「抗リウマチ薬」および免疫抑制薬の例としては、クロロキン、ヒドロキシクロロキノン、ミオクリシン、オーラノフィン、スルファサラジン、メトトレキセート、レフルノミド、エタネルセプト、インフリキシマブ(プラス経口および皮下用メトトレキセート)、アダリムマブなど、アザチオプリン、D−ペニシラミン、ゴールド塩類(経口)、ゴールド塩類(筋肉内)、ミノサイクリン、シクロスポリンAおよび局所性シクロスポリンを含むシクロスポリン、タクロリムス、ミコフェノール酸モフェチル、シクロホスファミド、ブドウ球菌プロテインA(Goodyear and Silverman,J.Exp.Med.,197(2003),125−39)が挙げられ、これらの塩および誘導体などを含む。
「非ステロイド系抗炎症薬」または「NSAID」の例としては、アスピリン、アセチルサリチル酸、イブプロフェンおよびイブプロフェン遅延剤、フェノプロフェン、ピロキシカム、フルルビプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、ナプロキセン、テノキシカム、ベノリレート、ジクロフェナク、ナプロキセン、ナブメトン、インドメタシン、ケトプロフェン、メフェナム酸、ジクロフェナク、フェンブフェン、アザプロパゾン、アセメタシン、チアプロフェン酸、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、フェニルブタゾン、ジクロフェナクおよびジクロフェナク遅延剤、GR253035などのシクロオキシゲナーゼ(COX)−2インヒビター、MK966、セレコキシブ(CELEBREX(登録商標);4−(5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾロ−1−イル)ベンゼンスルホンアミドおよびバルデコキシブ(BEXTRA(登録商標))、およびメロキシカム(MOBIC(登録商標))が挙げられ、これらの塩および誘導体などを含む。好ましくは、これらは、アスピリン、ナプロキセン、イブプロフェン、インドメタシンまたはトルメチンである。このようなNSAIDは、場合により、鎮痛剤、例えば、コデイン、トラマドール、および/またはジヒドロコデインまたは麻酔剤、例えば、モルヒネと共に使用される。
「被験体」または「個体」または「動物」または「患者」または「哺乳動物」は、診断、予後予測、予防または治療に望ましい任意の被験体、特に哺乳動物被験体、例えば、ヒト患者を意味する。
医薬担体:
薬学的に許容し得る担体および投与経路は、当業者に公知の対応文献から採用することができる。当技術分野において周知の方法にしたがって本発明の医薬組成物を製剤化することができる。例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(2000)by the University of Sciences in Philadelphia,ISBN 0−683−306472,Vaccine Protocols.2nd Edition by Robinson et al.,Humana Press,Totowa,New Jersey,USA,2003;Banga,Therapeutic Peptides and Proteins:Formulation,Processing,and Delivery Systems.2nd Edition by Taylor and Francis.(2006),ISBN:0−8493−1630−8を参照のこと。適切な医薬担体の例は当技術分野において周知であり、リン酸緩衝生理食塩水溶液、水、油/水エマルジョンなどのエマルジョン、様々な種類の湿潤剤、滅菌溶液などが挙げられる。周知の従来の方法によってこのような担体を含む組成物を製剤化することができる。適切な用量で被験体にこれらの医薬組成物を投与することができる。様々な方法で、適切な組成物の投与をもたらすことができる。例としては、薬学的に許容し得る担体を含有する組成物を、経口、鼻腔内、直腸、局所、腹腔内、静脈内、筋肉内、皮下、皮下、経皮、くも膜下および頭蓋内の方法により投与することが挙げられる。点鼻薬製剤などのエアロゾル製剤は、保存剤および等張剤を有する、活性薬剤の精製した水溶液または他の溶液を含む。このような製剤は、好ましくは、鼻粘膜に適合するpHおよび等張状態に調節される。経口投与用医薬組成物、例えば、単一ドメイン抗体分子(例えば、「nanobodies(登録商標)」なども本発明で想定される。このような経口製剤は、錠剤、カプセル剤、粉末、液体または半固体形態であり得る。錠剤は、ゼラチンまたはアジュバントなどの固体担体を含むことができる。直腸投与用または経膣投与用の製剤は、適切な担体を有する坐剤として提供され得る;O’Hagan et al.,Nature Reviews,Drug Discovery 2(9)(2003),727−735も参照のこと。様々な種類の投与に適切な製剤に関するさらなる指針は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mace Publishing Company,Philadelphia,PA,17th ed.(1985)および対応する最新版に見ることができる。薬物送達方法の簡単な総説については、Langer,Science 249(1990),1527−1533を参照のこと。
投与計画:
投与計画は、担当の医師および臨床的要因によって決定される。医学分野で周知であるように、任意のある患者への投与量は、その患者のサイズ、体表面、年齢、投与される特定の化合物、性別、投与時間および経路、一般的健康状態、同時に投与されている他の薬物を含む多数の要因に依存する。典型的な用量は、例えば、0.001〜1000μgの範囲内であり得る(すなわち、この範囲内の、発現のためのまたは発現阻害のための核酸);しかしながら、この例示的な範囲よりも少ないかまたは多い用量が、特に前述の要因を考慮して想定される。一般に、医薬組成物の定期投与としての計画は、1μg〜10mg単位/日の範囲内とするべきである。計画が持続注入である場合も、それぞれ1μg〜10mg単位/キログラム体重/分の範囲内とするべきである。定時的評価によって経過をモニタリングすることができる。非経口投与用の製剤は、滅菌水性または非水性溶液、懸濁液およびエマルジョンを含む。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、およびエチルオレエートなどの注射可能な有機エステルである。水性担体としては、生理食塩水および緩衝媒体を含む、水、アルコール溶液/水溶液、エマルジョンまたは懸濁液が挙げられる。非経口投与用のビヒクルとしては、塩化ナトリウム溶液、リンゲルブドウ糖液、ブドウ糖および塩化ナトリウム、乳酸化リンゲル液、または固定化油が挙げられる。静脈内投与用のビヒクルとしては、体液および栄養補充液、(リンゲルブドウ糖液に基づくものなどの)電解質補充液などが挙げられる。例えば、抗微生物薬、抗酸化剤、キレート剤、および不活性ガスなどの保存剤および他の添加物も存在し得る。さらに、本発明の医薬組成物は、医薬組成物の目的用途に応じて、抗腫瘍剤および細胞毒性薬物などの薬剤をさらに含むことができる。
加えて、他の薬剤の同時投与または連続投与が望ましい場合がある。治療有効用量または治療有効量は、症候または症状を改善するのに十分な有効成分の量を指す。細胞培養または実験動物における標準的な薬学的手順、例えば、ED50(集団の50%で治療的に有効な用量)およびLD50(集団の50%に致死的な用量)によって、このような化合物の治療有効性および毒性を決定することができる。治療効果と毒性効果との間の用量比が治療指数であり、それはLD50/ED50の比と表すことができる。
好ましくは、組成物中の治療薬は、炎症の予防または免疫反応の抑制に十分な量で存在する。
これらおよび他の実施形態は、本発明の記載および実施例によって開示および包含される。本発明にしたがって用いられる材料、方法、使用法および化合物のうちのいずれか1つに関するさらなる文献は公開ライブラリおよびデータベースから、例えば、電子機器を使用して検索され得る。例えば、National Center for Biotechnology Informationおよび/またはNational Library of Medicine at the National Institutes of Healthが主催する公開データベース「Medline」を活用することができる。European Molecular Biology Laboratory(EMBL)の一部であるEuropean Bioinformatics Institute(EBI)のデータベースとアドレスなどのさらなるデータベースとウェッブアドレスが当業者に公知であり、インターネットの検索エンジンを用いてそれらを得ることもできる。遡及的な検索および現状の認識に有用な生物工学の特許情報の概要、および関連する特許情報の供給源の調査は、Berks,TIBTECH 12(1994),352−364において与えられる。
上記開示は、一般に、本発明を説明する。いくつかの文書が本明細書の本文を通して引用される。本明細書の末尾、特許請求の範囲の直前に、完全な書誌引用を見出すことができる。引用されているすべての参考文献(本出願を通して引用されている参考文献、発行特許、公開特許出願、および製造業者の仕様書、説明書などを含む)の内容は、参照により本明細書に明確に組み込まれる;しかしながら、引用されているいかなる文書も実に本発明に対する従来技術であると認めるものではない。
以下の具体的な実施例を参照することにより、さらに完全な理解を得ることができるが、これらは例証のみを目的として本明細書に提供するものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
以下の実施例1〜6および対応する図1〜12は本発明をさらに例証するが、本発明の範囲を何ら限定するものと解釈するべきではない。本明細書で用いられるものなどの従来の方法についての詳細な説明は、引用されている文献に見出すことができる;「The Merck Manual of Diagnosis and Therapy」Seventeenth Ed.ed.by Beers and Berkow(Merck&Co.,Inc.,2003)も参照のこと。
本発明の実施は、特に指示がない限り、当技術分野の技術の範囲内である細胞生物学、細胞培養、分子生物学、遺伝子導入生物学、微生物学、組換えDNA、および免疫学の従来の技術を用いる。
分子遺伝学および遺伝子工学の方法は、一般に、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,(Sambrook et al.,(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press);DNA Cloning,Volumes I and II(Glover ed.,1985);Oligonucleotide Synthesis(Gait ed.,1984);Nucleic Acid Hybridization(Hames and Higgins eds.1984);Transcription And Translation(Hames and Higgins eds.1984);Culture Of Animal Cells(Freshney and Alan,Liss,Inc.,1987);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(Miller and Calos,eds.);Current Protocols in Molecular Biology and Short Protocols in Molecular Biology,3rd Edition(Ausubel et al.,eds.);およびRecombinant DNA Methodology(Wu,ed.,Academic Press).Gene Transfer Vectors For Mammalian Cells(Miller and Calos,eds.,1987,Cold Spring Harbor Laboratory);Methods In Enzymology,Vols.154 and 155(Wu et al.,eds.);Immobilized Cells And Enzymes(IRL Press,1986);Perbal,A Practical Guide To Molecular Cloning(1984);the treatise,Methods In Enzymology(Academic Press,Inc.,N.Y.);Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology(Mayer and Walker,eds.,Academic Press,London,1987);Handbook Of Experimental Immunology,Volumes I−IV(Weir and Blackwell,eds.,1986)の最新版に記載されている。この開示で言及されている遺伝子操作のための試薬、クローニングベクターおよびキットは、BioRad、Stratagene、InvitrogenおよびClontechなどの商業ベンダーから入手可能である。細胞培養および培地回収の一般的な技術は、Large Scale Mammalian Cell Culture(Hu et al.,Curr.Opin.Biotechnol.8(1997),148);Serum−free Media(Kitano,Biotechnology 17(1991),73);Large Scale Mammalian Cell Culture(Curr.Opin.Biotechnol.2(1991),375);およびSuspension Culture of Mammalian Cells(Birch et al.,Bioprocess Technol.19(1990),251に概説されている。
材料および方法
患者選択、APECED/APS1患者メモリーからの末梢血単核細胞(PBMC)単離、B細胞培養および抗体単離を、国際出願公開WO2013/098419A1および同WO2013/098420A1に記載されるように、ただし単離および分析された抗体の特異性が、述べられたPCT出願において具体的に使用されたIL−17およびIL−22の代わりに本明細書中上記および下記で定義されるようなIL−32イソタイプに対してのものであったという違いを伴って行った;それらにおける実施例のセクションを参照のこと、具体的には、国際公開WO2013/098419A1の117頁〜120頁における実施例1および実施例2ならびに168頁〜171頁における実施例17、また、国際公開WO2013/098420A1の27頁〜31頁における実施例1〜実施例4を参照のこと(それらの開示内容は参照によって本明細書中に組み込まれる)。
本発明のヒト抗体の分子クローニングならびにその後の抗体産生および抗体精製を国際出願公開WO2013/098419A1に記載されるように行った;その出願明細書の実施例のセクションを参照のこと、具体的には、その117頁〜120頁における実施例1〜実施例3を参照のこと(それらの開示内容は参照によって本明細書中に組み込まれる)。
AIRE遺伝子の変異分析を国際出願公開WO2013/098419A1に記載されるように行った;その実施例のセクションを参照のこと、具体的には、115頁〜116頁における実施例の材料および方法での「AIRE遺伝子の変異分析」のセクションを参照のこと(その開示内容は参照によって本明細書中に組み込まれる)。ただし、特定の工程を国際公開WO99/15559に記載されるように行った。この関連において、AIRE(APECED)遺伝子におけるそれぞれの変異の遺伝子型解析が、国際出願公開WO99/15559において12頁〜13頁での実施例2に記載されるように行われる;AIRE遺伝子のエクソン2およびエクソン6における変異の確認が、13頁5行から14頁13行にまで及ぶ国際出願公開WO99/15559の実施例3に記載されるように行われる(それらの開示内容はその全体が参照によって本明細書中に組み込まれる)。具体的には、変異分析のために、DNAサンプルが、APECEDの患者、および、APECEDの疑われる保因者、および、正常な健常者コントロールから得られる末梢血単核細胞から(Sambrook他、1989、Molecular Cloning.A Laboratory Manual(CSH Press)に従って)精製され、すべての特定されたエクソンについて特異的なプライマーを使用するPCRに供される。
実施例1:患者の血清におけるヒトサイトカイン特異的抗体のELISAによる検出
APECED(自己免疫性多腺性内分泌不全症・カンジダ症・表皮異形成、これは自己免疫性多腺性内分泌不全症1型(APS1)とも呼ばれる)の遺伝子状態に罹患する患者の血清における様々なサイトカイン特異的抗体および疾患特異的抗体の全体的な存在が、本出願人の国際出願公開WO2013/098419A1の128頁における実施例7に記載されような、また、128頁〜130頁における表1および表2に示されるようなProtoarray分析によって得られている(それらの開示内容は参照によって本明細書中に組み込まれる)。そのうえ、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)を、APECED(自己免疫性多腺性内分泌不全症・カンジダ症・表皮異形成、これは自己免疫性多腺性内分泌不全症1型(APS1)とも呼ばれる)の遺伝子状態に罹患する患者の血清におけるIL−32ガンマ対IL−32アルファ分析の示差的分析のために使用した。合計で30名の患者から得られる血清(これらはAPS1−1からAPS1−30までの符号によって示される)をアッセイにおいて使用した(図2を参照のこと)。
ELISA−IL−32γおよびIL−32α
96ウエルのマイクロプレート(Coster、米国)をヒトIL−32γ(R&D)またはIL−32α(ImmunoTools)により被覆した。プレートをPBS−Tにより洗浄し、2%のBSA(Sigma、Buchs、スイス)を含有するPBSにより室温で1時間、ブロッキング処理した。患者血清、B細胞馴化培地または組換え抗体調製物を室温で2時間インキュベーションした。目的とする抗原に対するヒトIgGの結合を、西洋ワサビペルオキシダーゼにコンジュゲート化されたヤギ抗ヒトFcガンマ特異的抗体(Jackson ImmunoResearch,Europe Ltd.、Cambridgeshire、英国)を使用して測定し、その後、HRP活性の測定を、TMB基質溶液(TMB、Sigma、Buchs、スイス)を使用して行った。
実施例2:本発明の抗体のEC50のELISA決定
IL−32γ(R&D)またはIL−32α(ImmunoTools)に対する本発明の例示的な抗IL−32抗体のEC50結合をELISAによって求めた。MABの連続希釈物(100,000ng/mlから1.69ng/mlまで)を抗原被覆プレート(PBSにおける1μg/mlでの一晩の被覆、続いて、洗浄、および、PBSにおける2%BSAによるブロッキング処理)と2時間インキュベーションした。プレートを続いて洗浄し、MABの結合を、抗ヒトHRPコンジュゲート化Fcガンマ特異的二次抗体(Jackson ImmunoResearch,Europe Ltd.、Cambridgeshire、英国)を用いて検出した。それぞれの抗原に対する最大結合の半分をもたらすMABの濃度(EC50、ng/ml)を、濃度の対数をODの450nmでの測定値に対してプロットすることによって得られるS字形の用量応答曲線(可変スロープ、4パラメータ)において、Prism 4 GraphPadソフトウエアを使用して計算した;結果については、図3および下記の表4を参照のこと。
Figure 0006486914
表3:IL−32ガンマおよびIL−32アルファに対するMABの結合のEC50値のまとめ
14B3、19A1、26A6の各MABは、試験された最高濃度(100ug/ml)においてIL−32アルファに結合しなかった。2C2のMABは、非常に高い濃度でのみIL−32アルファに結合した。このことは、EC50結合が30μg/mlよりも大きいことを示している。
実施例3:IL−6中和アッセイ
中和アッセイが、研究されたサイトカインに応答する細胞株に対して行われる。受容体に対するリガンド結合は一般に、対応するシグナル伝達経路、核への転写因子の移行を活性化し、応答因子遺伝子の転写、翻訳、および、適用可能であるならば、生成物分泌をアップレギュレーションする。使用されるサイトカイン濃度が、アッセイの感度を最大にするために用量応答曲線の直線部分の開始部から選択される。抗体の中和能を試験するために、標的サイトカインの最適な濃度を、血清、上清または精製抗体のサンプルの連続希釈物とプレインキュベーションする。結果が、陽性コントロールと陰性コントロールとの間において中間の値を示す抗体の力価または濃度として表される。インターロイキン−32受容体は未だ報告されていないが、インターロイキン−32はインビトロおよびインビボにおいて他の炎症性サイトカイン(例えば、IL−6など)を単球/マクロファージから誘導し得ることが知られている(Shoda他、Arthritis Res Ther.8(2006);R166)。したがって、分泌されたIL−6はIL−32活性の読み取りとして使用される場合があり、また、使用され、本発明の中和アッセイにおいて市販のELISAキット(Biolegend)により定量化された。
RAW264.7マクロファージを血清非含有DMEMにおいて一晩馴化した。IL−32ガンマ(R&D、50ng/mlの最終濃度)を、示されたモノクローナル抗体を血清非含有DMEMにおいて発現するHEK293T細胞の血清非含有上清の連続希釈物と、96ウエル培養プレートのウエルにおいて37℃で2時間プレインキュベーションした。細胞をウエルあたり10,000細胞で加え、CO2インキュベーターにおいて37℃で18時間インキュベーションした。続いて、IL−6の分泌を使用して、本発明の抗IL−32抗体の中和活性をモニターした;図4Bを参照のこと。
実施例4:本件抗体の有効性確認
耳炎症アッセイ
耳炎症の表現型を、それぞれの耳への20μlのPBSにおけるヒトサイトカインIL−32γまたはIgGコントロール(またはPBSコントロール)の皮内注入を、30ゲージのニードルを使用して1日おきに、1日目、4日目、6日目および8日目に与えること(20μl/耳、125ng/耳、250ng/マウス/日)によって8週齢のC57BL/6J(WT)マウス(Charles Riverから得られる)において誘導した。本発明の例示的な抗IL−32の2C2抗体による処置を、誘導された耳炎症表現型を軽減させるその中和能に関してこれらの動物に関して試験した。2C2またはコントロールのヒトIgGの1回だけのIP注入[200μg/IP、100μg/IPまたは50μg/IP]を耳炎症の誘導に先立って0日目に動物に施した。マウスを11日目に屠殺した。
本発明の抗体の潜在的な治療効果を試験するために、動物の耳厚さ測定を、IL−32注入前での毎日の測定によってIL−32投与の期間中、Mitutoyoデジタルマイクロメーターにより行った。
さらに、体重が処置期間中モニターされている。しかしながら、有意な体重変化が、加えられた処置に起因して動物群のいずれにおいても認められていない;図7を参照のこと。加えて、動物の屠殺の後、耳のH&E(ヘマトキシリンおよびエオシン)組織学染色(Harris,H.F.、J.Appl.Microscopy III(1900)、777〜781、および、Mallory,F.B.、Pathological technique、Philadelphia、Saunders(1938)を参照のこと)が行われる。
2つの独立した実験の組合せは、ヒトIL−32γの皮内注入による耳腫大の誘導が2C2中和抗体の存在下で軽減されることを示す;図5および図6を参照のこと。このことは、100μg(それぞれ50μg/IP)のより低い抗体用量について9日目において顕著である;図5C、図5D、図6C、図6Dを参照のこと。200μg/IPの最大投薬量については、耳腫大の顕著な軽減を、5日目から始まって認めることさえできる;図5Bおよび図6Bを参照のこと。PBSコントロールの連続した皮内注入の後における耳腫大のレベルはIgGまたは2C2の存在によって影響されない;図6A〜図6Dを参照のこと。
例示的な抗IL−32抗体2C2は用量依存的な影響を明らかにし、注入されたIL−32γをマウスモデルにおいて中和することができる。さらに、図9および図10に示されるように、抗体19A1はhIL−32γ誘導の炎症をCytoEarアッセイにおいて抗体2C2との比較で効果的に中和する。したがって、本明細書中に示されるデータは、本発明の抗IL−32抗体がサイトカイン誘導の耳炎症実験においてIL−32γに対して効果的であることを示しており、このことは、本発明のIL−32特異的な結合分子の治療的価値を明らかにしている。
CytoAnkleアッセイ:
IL−32のマウスホモログが未だ1つも特定されていないという事実にもかかわらず、IL−32経路の少なくともいくつかの構成要素が同様にマウスに存在しているという手がかりが、例えば、上記で記載されるような誘導された耳腫大表現型として存在する。さらに、Joosten他(2006)はヒトIL−32をマウスの膝関節に注入し(これにより、関節腫大の誘導が引き起こされた)、そのような実験をRAのためのモデルとして使用している。そのような実験がまた、本発明に関連して行われている。しかしながら、動物は、測定可能な腫大をIL−32注入後に何ら明らかにしていない。これは、介在する筋肉組織を介して膝の厚さを測定することの困難さのためであるかもしれない。この事実のために、本発明は、マウスにおけるIL−32の影響を試験するための、具体的には、本発明の例示的な抗IL−32抗体の影響を試験するための、下記に記載されるような新規なアッセイを確立した。
このアッセイでは、マウスコホート(C57/BL6、7週〜8週)に、62.5ng〜250ngのサイトカインが、例えば、10ulのPBSにおけるIL−32イソタイプ(例えば、IL−32γまたはIL−32αなど)またはいくつかのIL−32イソタイプの混合物(またはPBSコントロール)が48時間〜72時間毎に足首に関節内(IA)注入される。その後、軸に沿った足首の厚さ測定をMitutoyoデジタルマイクロメーターにより行う。動物は重量測定を毎日受け、それぞれのIL−32イソタイプまたは複数のイソタイプが、マウスをイソフルオランにより麻酔しながら投与される。実験の時間枠が、本発明の抗IL−32抗体(1つまたは複数)の注入を伴って耳炎症アッセイについて上記で示されるように設計され、この場合、それぞれ、コントロール群はPBSまたは上記で示されるようなIL−32非関連の結合特異性のヒトIgGのどちらかを得る。足首腫大の軽減が抗体の治療効果の読み取りとして使用される。
加えて、抗IL−32抗体処置動物およびコントロール動物の体重が処置期間中モニターされ、動物の屠殺の後、耳のH&E(ヘマトキシリンおよびエオシン)組織学染色が行われる。
図11はCytoAnkleアッセイの例示的な実験構成を示し(図11A、図11B)、炎症をCytoAnkleアッセイにおいて誘導する際のIL−32の用量依存性を示す(図11C、図11D)。図12にさらに示されるように、2C2抗体の抗IL−32炎症効果をCytoAnkleアッセイにおいて確認することができた(図12C〜図12E)。
実施例5:例示的なIL−32抗体のエピトープマッピング
マッピングの第1の工程として、異なった抗原結合部位に対する様々なa−IL−32MABの示差的結合が、異なる結合部位の数を求めるために調べられる。
この目的のために、2つの取り組みが使用される。第1の取り組みにおいて、MABがヒト(hMAB)またはマウス(hmMAB)のどちらかのFcとともに発現させられ、交差競合実験が、抗原をプレートに被覆することによって、また、大過剰のヒトMABの存在下におけるhmMABの結合を検出することによって行われる。リガンドに結合したhmMABの検出が、一次抗体のFc部分に対して向けられるHRPコンジュゲート化二次抗体によって行われる。
続いて、様々なMABの、それらのそれぞれの抗原に対する結合領域を、PepStar(商標)分析を使用してマッピングすることが試みられる。本実施例では、重複する20merペプチド(15アミノ酸の重なり)が、目的とするIL−32イソタイプ(例えば、IL−32γ、IL−32α、IL−32δ)を被覆するために設計される。IL32βならびに残るイソタイプ5およびイソタイプ6(すべての知られている変異体を含む)。ペプチドおよび全長抗原(陽性コントロールとして)をマイクロアレイにスポットし、このペプチドマイクロアレイを一次抗体とインキュベーションし、その後、一次抗体のFc部分に対して向けられる蛍光標識された二次抗体とインキュベーションする。立体障害によって引き起こされる偽陰性を避けるために、最適化された親水性リンカー成分がガラス表面と抗原由来ペプチド配列との間に挿入される。
実施例6:SPR技術を使用する抗体親和性測定
本発明の抗体の親和性測定のために、表面プラズモン共鳴SPR測定を、国際出願公開WO2013/098419A1の163頁〜165頁での実施例14(その開示内容は参照によって本明細書中に組み込まれる)に記載されるような類似した実験構成において本発明の目的とする分子を使用して、ProteOn(商標)XPR36装置を製造者(BIO−RAD;Hercules、CA、米国)の説明書に従って使用して行った。この方法によって、本発明の例示的なIL−32抗体(2C2)の親和性が約4nMでのナノモル範囲にあることがSPRにより求められている;図8および図8C中の表を参照のこと。

Claims (22)

  1. ヒトモノクローナル抗インターロイキン−32(IL−32)抗体またはそのIL−32結合断片であって、
    (i)組換えヒトIL−32ガンマ(IL−32γ)と結合することができる;
    (ii)ヒトIL−32γにIL32アルファ(IL−32α)よりも優先的に結合することができ、かつ/または、IL−32αとは結合しない:および
    (iii)IL−32γの生物学的活性を中和することができるものであり、かつ
    その可変領域において、以下の6つの相補性決定領域(CDR)、即ち
    (I)VHCDR1:配列番号2の位置31−37、
    VHCDR2:配列番号2の位置52−67、
    VHCDR3:配列番号2の位置100−107、
    VLCDR1:配列番号4の位置23−35、
    VLCDR2:配列番号4の位置51−57、および
    VLCDR3:配列番号4の位置90−101、または
    (II)VHCDR1:配列番号18の位置31−35、
    VHCDR2:配列番号18の位置50−66、
    VHCDR3:配列番号18の位置99−105、
    VLCDR1:配列番号20の位置23−33、
    VLCDR2:配列番号20の位置49−55、および
    VLCDR3:配列番号20の位置88−97、
    を含む、抗IL−32抗体またはそのIL−32結合断片。
  2. (a)(I)についての配列番号2及び配列番号4、および
    (b)(II)についての配列番号18及び配列番号20、から選択される、V領域及びV領域のアミノ酸配列
    含む、請求項1に記載の抗体またはIL−32結合断片。
  3. IgG1またはIgG3である、請求項1又は2に記載の抗体。
  4. 配列番号6、配列番号8、配列番号22および配列番号24に示される、Cアミノ酸配列およびCアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列、または、配列番号6、配列番号8、配列番号22または配列番号24のいずれかのアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むC定常領域および/またはC定常領域を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の抗体またはIL−32結合断片。
  5. 単鎖Fv断片(scFv)、F(ab’)断片、F(ab)断片、F(ab’)断片および単一ドメイン抗体断片(sdAB)からなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の抗体またはそのIL−32結合断片。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載される抗体またはそのIL−32結合断片をコードするポリヌクレオチド。
  7. 請求項6に記載されるポリヌクレオチドを含むベクター。
  8. 請求項6に記載されるポリヌクレオチドまたは請求項7に記載されるベクターを含む宿主細胞。
  9. 前記ポリヌクレオチドが、前記可変領域と、前記定常ドメインの少なくとも一部とをコードするcDNAである、請求項8に記載の宿主細胞。
  10. 抗IL−32抗体またはその免疫グロブリン鎖を調製するための方法であって、
    (a)請求項8または9に記載される細胞を培養すること;および
    (b)前記抗体またはその免疫グロブリン鎖を培養物から単離すること、
    を含む方法。
  11. 請求項6に記載されるポリヌクレオチドによってコードされるか、または、請求項10に記載される方法によって得ることができる抗体またはその免疫グロブリン鎖。
  12. (i)検出可能に標識される;または
    (ii)薬物に結合させられる、
    請求項1〜5または11のいずれか一項に記載の抗IL−32抗体またはIL−32結合断片。
  13. 検出可能な標識が、酵素、放射性同位体、蛍光団、ペプチドおよび重金属からなる群から選択される、
    請求項12に記載の抗IL−32抗体またはIL−32結合断片。
  14. 請求項1〜5、11〜13のいずれか一項に記載される抗IL−32抗体またはIL−32結合断片、請求項6に記載されるポリヌクレオチド、請求項7に記載されるベクター、あるいは、請求項8または9に記載される細胞を含む組成物。
  15. 医薬組成物であり、かつ、薬学的に許容され得る担体をさらに含む、
    請求項14に記載の組成物。
  16. さらに、炎症性疾患を処置するために有用であるさらなる薬剤を含む、
    請求項15に記載の組成物。
  17. 診断用の組成物またはキットであり、請求項1〜5、11〜13のいずれか一項に記載される抗IL−32抗体またはIL−32結合断片を含み、かつ、免疫または核酸に基づく診断方法において従来から使用される試薬をさらに含む、
    請求項14に記載の組成物。
  18. 下記の方法:
    (a)免疫媒介もしくは自己免疫性の疾患もしくは状態を処置するか、または、免疫媒介もしくは自己免疫性の疾患もしくは状態の進行を妨げる方法;
    (b)免疫媒介もしくは自己免疫性の疾患もしくは状態に伴う症状を改善する方法;ならびに/あるいは
    (c)免疫媒介もしくは自己免疫性の疾患もしくは状態の存在について、または、免疫媒介もしくは自己免疫性の疾患もしくは状態を発症することについての被験体の危険性を測定するために被験体を診断するか、またはスクリーニングする方法、
    において使用されるためのものであり、
    障害が患者におけるIL−32の発現に伴う、
    請求項1〜5、11〜13のいずれか一項に記載の抗IL−32抗体またはIL−32結合断片、あるいは、請求項14〜17のいずれか一項に記載の組成物。
  19. 前記障害が、炎症性腸疾患(IBD;クローン病、潰瘍性大腸炎およびセリアック病を含む)、乾癬、関節リウマチ(RA)、強直性脊椎炎および他の形態の脊椎関節炎、乾癬性関節炎、重症筋無力症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、結核、白血病を含むガン、血管炎症およびアテローム性動脈硬化からなる群から選択される、
    請求項18に記載の方法において使用されるための、請求項1〜5、11〜13のいずれか一項に記載の抗IL−32抗体またはIL−32結合断片、あるいは、請求項14〜17のいずれか一項に記載の組成物。
  20. 単離された生物学的サンプルにおいてIL−32を検出するか、または測定方法であって、前記サンプルを、請求項1〜5、11〜13のいずれか一項に記載される抗体と混合すること、前記抗体により、混合物に存在するいずれかのIL−32との複合体を形成させること、および、前記混合物に存在する前記複合体を検出することを含む、方法。
  21. IL−32がIL−32γである、請求項20に記載の方法。
  22. IL−32の発現および/またはIL−32の活性のレベルが関連する障害を処置することにおいて使用されるための医薬組成物を製造するための方法であって、
    (a)抗IL−32抗体またはそのIL−32結合断片を請求項10に記載される方法に従って調製すること;
    (b)前記抗体またはそのIL−32結合断片を培養物から精製すること:
    (c)前記抗体またはそのIL−32結合断片を薬学的に許容され得る担体と混合して、前記医薬組成物を得ること、
    を含む方法。
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