JP6482918B2 - 流体のレオロジー定数測定装置及び測定方法 - Google Patents

流体のレオロジー定数測定装置及び測定方法 Download PDF

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Description

本発明は、未硬化のフレッシュコンクリート、未硬化のモルタル、セメントペースト、その他各種の流体のレオロジー定数を簡便に測定することができる流体のレオロジー定数測定装置及び測定方法に関するものである。
未硬化のフレッシュコンクリートのワーカビリティーを評価するための試験方法としては、スランプコーンを用いたJIS A 1101のスランプ試験方法が普及している。
一方、高流動コンクリートは流動性が高すぎて従来のスランプ試験では対応できないため、高流動コンクリートについてはスランプフロー試験方法が利用されている。
また、スランプフロー試験方法の改良型として、L形フロー試験方法があり、スランプフロー試験方法とともに、高流動コンクリートの試験方法として規格化されている。
なお、フレッシュコンクリートの挙動をビンガム流体の挙動としてモデル化した場合、スランプ値やスランプフロー値は主として降伏値の評価に用いられ、時間的要素を含むスランプフロー試験における500mm到達時間やV漏斗試験が塑性粘度の評価に用いられている。
これに対し、本願の発明者らによる特許文献1では、従来のスランプ試験やスランプフロー試験では的確な評価ができなかった準高流動コンクリートや軟練りのコンクリートのワーカビリティーの評価を適正に行うための方法および装置として、試料の傾斜フローを利用したコンクリートの試験方法および試験装置を開示している。
特許文献1記載の試験方法は、筒状のタンク部と、その下部側面に形成された開口部で連通する傾斜フロー部と、開口部を開閉可能に仕切り傾斜フロー部をタンク部の下部と区画する仕切板とを備えた傾斜フロー試験器を用い、タンク部に上部より未硬化のフレッシュコンクリートの試料を投入して所定の高さまで詰め込んだ後、仕切板を開放することにより、開口部から傾斜フロー部に試料を流下させ、その際の試料の傾斜面での流下速度を測定することにより、試料のワーカビリティーを評価するというものである。
また、非特許文献1、2には、この特許文献1に開示した技術にさらに改良を加えた技術が開示されている。
特許第3963800号公報
笹倉博行、桝田佳寛、李榮蘭:傾斜フロー試験器によるフレッシュコンクリートの流動性評価に関する実験、日本建築学会技術報告集、第18巻、第36号、pp.11-14、2012年2月 笹倉博行、桝田佳寛、李榮蘭:傾斜フロー試験器によるレオロジー定数に及ぼす調合の影響、日本建築学会技術報告集、第19巻、第42号、pp.387-392、2013年6月
特許文献1に記載される試験方法および装置の場合、以下の課題があった。
(1) 流動先端速度より、ビンガム流体の流動性をどのように評価するか、特にビンガム流体の性質である降伏値と塑性粘度をどのように評価するかが設定されていない。
(2) 垂直試料ボックス部の垂直応力が加わるため、試料ボックスコーナー部でも流動の乱れが生じる。
これに対して、本願の発明者らは、非特許文献1、2に開示したように、垂直試料ボックス部の代わりに、傾斜流動部と直線的に連続する試料タンク部をゲート板で仕切る構造とした試験装置を用い、異なる複数の傾斜角度で傾斜フロー試験を行い、その試験結果からフレッシュコンクリートのレオロジー定数としての降伏値および塑性粘度に対応する見掛けの降伏値および見掛けの塑性粘度を求め、流動性の評価を行う試験方法を開発した。
しかし、この試験装置および試験方法においても、以下の課題があった。
(1) 速度の測定について、レーザーによる測定センサーを用いていたが、レーザーによる測定センサーでは乱反射により、試料通過時の時間が正確に測定できない場合が多く、また大がかりとなるため現場作業には不向きである。
(2) ゲート板を開いてから直後の流動が不安定な流れとなる場合がある。
(3) ゲート板は傾斜角度が変わっても垂直になるように、角度ごとに設置・固定していたが、その都度、溶接などにて止めるまたは取り外す作業が必要である。また、その熱および加工時の外力のためゲート板が昇降するゲート本体との間に隙間ができ、セメントペーストなどの液体に近い材料は漏れが生じることが多い。
(4) 実験室内での測定であればセンサーによる速度検知でもよいが、建設現場におけるコンクリート試験として使用するには大がかりであり、電源の確保も必要となる。
本発明は上述のような背景のもとに、さらに測定装置および測定方法の改良を図ったものであり、流体のレオロジー定数の測定に当たり、より取り扱いが容易で、建設現場においても簡便に測定が可能な測定装置およびその測定装置による測定方法を提供することを目的としたものである。
本発明の流体のレオロジー定数測定装置は、試料投入口から投入された測定対象となる流体を溜めて保持するための試料タンク部と、底面が試料タンク部の底面と直線的に連続し傾斜角度が可変な傾斜流動部と、試料タンク部と傾斜流動部を鉛直方向に仕切る開閉可能なゲート板とを備え、ゲート板は装置本体を構成する試料タンク部および傾斜流動部とは別にこれらの境界部の外側に独立させて立設した支柱を備えたゲート板支持具に支持された状態で、傾斜角度が変わっても傾斜角度に関わらず鉛直方向に昇降可能としたものである。
試料タンク部と傾斜流動部の底面が直線的に連続しているため、ゲート板を上方に引き上げて開いた際に、特許文献1記載の試験装置の場合のような垂直応力が加わらず、流動の乱れを抑えることができる。傾斜流動部の断面は例えば溝形断面あるいはU形断面などとすることができる。
後述するように、本発明の測定装置で流体のレオロジー定数を測定するには、同じ配合の試料について複数の異なる傾斜角度での測定を行う必要がある。このとき、傾斜角度が変わってもゲート板を鉛直方向に支持し、鉛直方向に開閉できるようにするため、本発明では装置本体を構成する試料タンク部および傾斜流動部とは別にこれらの境界部の外側に立設した支柱を備えたゲート板支持具を設け、ゲート板支持具でゲート板を常に鉛直方向に支持しつつ昇降できるようにした。
そのため、建設現場などで測定を行う場合でも、簡単に傾斜角度の調整やゲート板の設置を行うことができる。
また、本発明の測定装置で流体のレオロジー定数を測定するには、各傾斜角度について、傾斜流動部を流下して行く試料の流動先端速度を測定する必要がある。
流動先端速度の測定については、本発明の測定装置の傾斜流動部に、底面側から光を発する投光器と、その投光器が発した光を感知する受光器とを備えた流動速度測定器を取り付けて測定することができる。その場合、傾斜流動部を流下する試料によって投光器が発した光が遮られた時間を複数位置で測定することで、試料の流動先端速度を高精度で測定することができる。
この投光器と受光器を用いた方式では、レーザーによる測定センサーのように乱反射で正確な測定ができないといった欠点がない。
ただし、建設現場などでは、投光器と受光器からなる流動速度測定器の取り付け作業が面倒となる場合や、電源の確保が容易でない場合もあり、その場合には手動で測定してもよい。
手動の場合でも、ゲート板を開いた後の特定の位置(ポイント)と終端との間の流動時間、すなわち流体の先端部が特定の位置を通過した時点から傾斜流動部を流下した試料の先端部が測定装置の端部に到達した時点までの時間をストップウォッチなどで測定すれば、投光器と受光器を用いたセンサー測定による流動速度と大きな差はない。
本発明の流体のレオロジー定数測定方法は、上述した本発明の測定装置を用いて流体のレオロジー定数を測定する方法であり、測定対象となる流体を試料投入口から投入し、試料タンク部に所定量の試料を溜めた状態でゲート板を開き、傾斜流動部を流下して行く試料の流動先端速度va(m/sec)を測定する作業を3つ以上の異なる複数の傾斜角度θについて行う。
レオロジー定数としては、試料の見掛けのせん断応力τ(Pa)を次式によって求める。
τ=W×h×g×sinθ …(1)
ここに、
W:試料の単位容積質量(kg/m3
h:センサー間を通過するときの試料の平均高さ(m)
g:重力加速度(9.807m/sec2
θ:傾斜角度
次に、複数の傾斜角度について求めた流動先端速度va(m/sec)またはひずみ速度(/sec)と上に求めた見掛けのせん断応力τ(Pa)から得られる回帰直線の流動先端速度vaが0となる切片における見掛けのせん断応力τ(Pa)を見掛けの降伏値τy(Pa)、回帰直線の傾きを見掛けの塑性粘度η(Pa・s/mまたはPa・s)として求める。
なお、ひずみ速度(/sec)は、流動先端速度va(m/sec)を試料の高さ(m)で除して求めることができる。
これら見掛けの降伏値τyおよび見掛けの塑性粘度ηは、後述するように他の測定手段で測定された流体の降伏値および塑性粘度と高い相関性を確認しており、流体のレオロジー定数として流体特性の把握に利用することができる。
本発明のレオロジー定数測定装置では、測定装置の形状について、垂直方向の試料ボックスを取り除いて、傾斜流動部と直線的な試料タンク部に改良することによって、ゲート開口時の流動の乱れを大幅に低減でき、試料が層状に流動するため、正確な流動先端速度を測定することができる。
従来のレーザーを利用したセンサーに対し、傾斜流動部の底面に投光器を設置し、その光を受光器で検知するシンプルな検知機構とすることで、測定できないケースを大幅に減少させることができる。
ゲート板の設置構造を測定装置本体と独立させることで、現場で傾斜角度ごとにゲート板を簡単に垂直設置できるようになり、フレッシュコンクリートに限らず、通常の水、セメントペースト、モルタルなどの流動性も測定することができる。
本発明の測定装置を用い、3つ以上の異なる傾斜角度による流動先端速度を正確に測定することで、流動先端速度とせん断応力の関係より、流体の降伏値と塑性粘度に相当するレオロジー定数を高い精度で求め、流動性の評価を行うことができる。
本発明の流体のレオロジー定数測定装置の一実施形態を示す側面図である。 図1の実施形態における平面図である。 水セメント比45%のコンクリート(試料量2水準)について、本発明に係る傾斜フロー試験によって得られた流動先端速度とせん断応力との関係を示すグラフである。 水セメント比36%のコンクリートについて、本発明に係る傾斜フロー試験によって得られた流動先端速度とせん断応力との関係を示すグラフである。 水セメント比30%のコンクリートについて、本発明に係る傾斜フロー試験によって得られた流動先端速度とせん断応力との関係を示すグラフである。 水セメント比45%、36%、30%のモルタルについて、本発明に係る傾斜フロー試験によって得られた流動先端速度とせん断応力との関係を示すグラフである。 水セメント比45%、36%、30%のセメントペーストについて、本発明に係る傾斜フロー試験によって得られた流動先端速度とせん断応力との関係を示すグラフである。 試料量を変化させた水について、本発明に係る傾斜フロー試験によって得られた流動先端速度とせん断応力との関係を示すグラフである。 試験に用いたコンクリートについて、スランプフローとV1・V2による見掛けの降伏値τyとの関係を示すグラフである。 試験に用いたコンクリートについて、水セメント比とV1・V2による見掛けの塑性粘度ηとの関係を示すグラフである。 試験に用いたコンクリートについて、ゲートから各測定ポイントまでの距離と測定ポイントにおける流動先端速度の関係を示すグラフである。 近似式から終局速度を求めるときの推定曲線を示すグラフである。 試験に用いたモルタルについて、フレッシュ性状の試験(0打フローまたはスランプ)と見掛けの降伏値τyの関係を示すグラフである。 試験に用いたモルタルについて、水セメント比と見掛けの塑性粘度ηの関係を示すグラフである。 試験に用いたセメントペーストについて、フレッシュ性状の試験(0打フロー)と見掛けの降伏値τyの関係を示すグラフである。 試験に用いたセメントペーストについて、水セメント比と見掛けの塑性粘度ηの関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態および実施例を添付図面に基づいて説明する。
(1) 傾斜フロー試験および測定方法
図1は本発明の流体のレオロジー定数測定装置の一実施形態を示す側面図、図2はその平面図である。
測定装置本体1は、底面が連続する断面溝型の試料タンク部2と傾斜流動部3とからなり、具体的には図示したように上面が開口した細長い箱形状となっている。
図示した例では、測定装置本体1の試料タンク部2側の端部が支柱4aを備えた傾斜調整支持具4で支持され、支柱4aに沿って摺動可能な支持リング4bの支持高さをねじなどによる締め付けで固定することで、傾斜流動部3の傾斜角度θを任意の角度(この例では1〜36°)に設定することができる。
試料タンク部2と傾斜流動部3との間には、これらを鉛直方向に仕切る開閉可能なゲート板6が設けられ、試料タンク部2の上方に設けられた試料投入口2aから投入された測定対象となる流体を試料タンク部2に溜め、ゲート板6を上方に一気に引き上げることで、試料としての流体が傾斜流動部3を流下するようになっている。
ゲート板6は測定装置本体1とは独立したゲート板支持具5に支持されている。このゲート板支持具5は試料タンク部2と傾斜流動部3との境界部の外側に立設した支柱5aを備え、ゲート板支持具5に支持された状態でゲート板6が鉛直方向に昇降可能となっている。
また、この例では、傾斜流動部3に、傾斜流動部3の底面側から光を発する投光器7aと投光器7aが発した光を感知する受光器7bとを備え、流下する試料によって投光器7aが発した光が遮られた時間を複数位置で測定することで、試料の流動先端速度を求める流動速度測定器7が取り付けられている。試料の流動先端速度は、試料の流動の先端が3つの点を通過する時間を測定して、各々50mm間隔の2点間を通過する平均速度を求め、さらに、その平均値を求めて流動先端速度とする。
本実施形態では、上述のように流動速度測定器7を用いているが、建設現場で測定を行う場合等、より簡易には流動速度測定器7を用いず、前述したようにゲート板6を開いた時点から傾斜流動部3を流下した試料の先端部が傾斜流動部3の端部に到達した時点までの時間をストップウォッチなどで測定して流動先端速度を求めてもよい。
なお、フレッシュコンクリートのように粘性が高い試料の場合、試料投入口2aよりフレッシュコンクリートを1層10回突きで充填し、ゲート板6を一気に引き上げてフレッシュコンクリートを流下させ、そのときの流動先端速度および傾斜流動部を通過するフレッシュコンクリートの平均高さを測定する。
水やセメントペーストのように粘性が低い試料の場合は、そのまま充填し、必要に応じゲート板6で仕切られる部分に、例えばグリースを塗るなど、簡単なシールを施して、ゲート板6を引き上げる前に試料が漏出するのを防止する。
傾斜フロー試験におけるフレッシュコンクリートに作用する見掛けのせん断応力τ(Pa)は式(1)で求めた。
τ=W×h×g×sinθ …(1)
ここに、
W:単位容積質量(kg/m3
h:センサー間を通過するときの試料の平均高さ(m)
g:重力加速度(9.807m/sec2
θ:傾斜角度
傾斜角度の違いによって得られた見掛けのせん断応力と流動先端速度の関係は、線形関係となる。これを直線回帰すると、回帰直線の切片は流動先端速度が0であるため、降伏値に相当するものと考えられ、これを見掛けの降伏値(以下、τyと略記)とした。
また、直線の傾きは、流動先端速度に対するせん断応力の変化であるため、見掛けの塑性粘度(以下、ηと略記)とした。
(2) 実験概要
表1に測定した材料の使用材料を示す。また、表2にコンクリートの調合を示す。
本実験では、測定対象を通常の強度域から高強度域のコンクリートとしており、コンクリートの調合については、通常の強度域のコンクリートとして調合管理強度36N/mm2程度の調合である水セメント比45%・スランプ21cmの調合、高強度域のコンクリートとして調合管理強度48N/mm2程度の調合である水セメント比36%・スランプフロー55cmの調合、また調合管理強度60N/mm2程度の調合である水セメント比30%・スランプフロー60cmの調合とした。
モルタルおよびセメントペーストの調合については、コンクリートの調合から粗骨材または骨材を除いた調合として、混和剤の添加率はコンクリートの混和剤の使用量をそのまま適用し、スランプまたはスランプフローおよび空気量の調整は行っていない。
水については、水が測定装置を流下する際、非接触型センサーに感知されるよう墨汁によって着色した。
測定材料の練混ぜ方法に関して、コンクリートは1バッチ40リットルを強制2軸ミキサ(容量55リットル)によって90〜120秒間練り混ぜ、モルタルおよびセメントペーストは1バッチ25リットルを強制パン型ミキサ(容量55リットル)によって120秒間練り混ぜた後、ミキサーより排出して試験に供した。
なお、いずれの測定材料も、水セメント比36%および30%の調合は、5分間静置した後、ミキサーより排出した。
表3に各測定材料におけるフレッシュ性状試験の項目および方法を示す。
なお、傾斜フロー試験は、上述した投光器7aと受光器7bとを備える非接触型センサー(流動速度測定器7)によって、第1・第2センサー間の速度(以下、V1と略記する)および第2・第3センサー間の速度(以下、V2と略記する)を測定した(図2の流動速度測定器7部分の1、2、3の点が第1センサー、第2センサー、第3センサーの位置)。
また、より流下した時点での速度を把握するために、ゲートから終端までの時間および第3センサーから終端までの時間をストップウォッチにて手動で測定し、それぞれの区間の平均速度(以下、前者をV3、後者をV4と略記する)を求めた。
(3) 実験結果
表4にフレッシュ性状試験の結果を示す。
表4には、傾斜フロー試験の流動先端速度はV1とV2の平均速度のみ示した。
コンクリートのスランプおよびスランプフローともに、いずれの調合においても目標値に近い値が得られた。また、空気量もC36の試料量8820ccの調合を除き目標値に近い値が得られており、良好なフレッシュコンクリートが試料として採取できた。
傾斜フロー試験の流動先端速度については、ほとんどの測定材料において、角度が大きくなるほど流動先端速度は速くなっており、逆転現象はみられなかった。
コンクリートは試料を2水準試験したが、C45では試料量8820cc、5000ccともに同じ傾斜角度で測定ができたものの、C36とC30では試料量8820ccの傾斜角度では試料量5000ccの正確な測定はできず、傾斜角度を大きくしなければ、試料が終端まで流動しなかった。
モルタルは、試料量2500ccで、傾斜角度4°、6°、8°、10°で測定したが、水セメント比(W/C)45%の調合において最も傾斜角度が小さい試料で異常値が検出されたので、傾斜角度4°については測定値を除外している。本装置において、モルタルの場合、4°より大きい傾斜角度で測定することが望ましいと考えられる。
セメントペーストは、試料量500ccで、傾斜角度4°、6°、8°、10°で測定したが、水セメント比(W/C)45%の調合において最も傾斜角度が大きい試料で異常値が検出されたので、傾斜角度10°については測定値を除外している。本装置において、セメントペーストの場合、傾斜角度10°未満で測定することが望ましいと考えられる。
水は、傾斜角度1°、2°、3°、4°で測定したが、いずれの試料量も、傾斜角度4°の測定において、流下する速度が速いため水が乱れて流れるのが目視確認でき、異常値が検出されたので、傾斜角度4°については測定値を除外している。本装置において、水の場合、傾斜角度4°未満で測定することが望ましいと考えられる。
図3〜図8に、各測定材料における傾斜フロー試験の結果から得られた流動先端速度とせん断応力の関係を示す。また、図中に流動先端速度とせん断応力の直線回帰式および決定係数を示す。
いずれの材料においても流動先端速度とせん断応力の直線関係は高い相関を示し、ほとんどの関係において、決定係数が0.9以上となった。前述したように、回帰直線の切片がτy、傾きがηであり、それを整理したものを表5に示す。
(3)-1 コンクリート
コンクリートについては、図3〜図5に示すように、試料量が異なっても、流動先端速度とせん断応力の関係に大きな差異はなく、回帰直線も類似の式となっている。
また、図9に示すように、スランプフロー値が大きくなるほど、τyは小さくなり、水セメント比が小さくなるほど、ηは大きくなる傾向がみられ、レオロジー的な観点からも測定結果として矛盾はない。
しかし、C30の試料量8820ccのV1・V2は、τyが負の値となっており、レオロジー的な観点から矛盾が生じている。また、V3やV4のτyをみると、負の値から正の値へと徐々に大きい値へ変化している。これは、他の試料においても同様の傾向がみられる。ηは顕著ではないが、V3やV4では、V1・V2に比べて小さい値となっている試料が多い。
表6にコンクリートの傾斜フローによる流動先端速度を、図11にゲートから各測定ポイント(V3およびV4は選定区間の中間点を測定ポイントとした)までの距離と測定ポイントにおける流動先端速度の関係を示す。
大半の試料において、V1が最も速く、V2からV4にかけて徐々に流動先端速度は小さくなっており、V3とV4ではほぼ同じ速度になっている。すなわち、流動先端速度は、V3、V4またはそれ以降のポイントにおいて一定になり、安定した流れになると考えられる。
そこで、本実験の結果から一定となる終局速度を求めるため、流動先端速度V(cm/sec)は(2)式に近似すると仮定し、(2)式におけるVr(終局速度)を推定した。
V=p×e-qx+Vr…(2)
ここに、
x:ゲートから測定ポイントまでの距離(cm)
Vr:終局速度(cm/sec)
p,q:実験定数
表6の右端にVrの推定結果を示す。また、図12に(2)式の推定曲線の一部を示す。概ね高い相関を示してVrを推定することができた。
なお、表6の括弧内のVrは相関性が低く採用していない。
これらVrによる流動先端速度とせん断応力の関係をみると、ほとんどの試料でV1・V2よりも高い決定係数となっている。また、V3やV4もV1・V2よりも高い決定係数となっている試料のほうが多い。
これは、V1・V2の測定ポイントがゲートに近いため、一定の速度になりきっていないこと、すなわち安定した流れになっていないことが主な原因と考えられる。
(3)-2 モルタル
モルタルについては、図6および表5より、τyはM45が最も大きく、M36とM30では逆転現象を起こしているが、その差は小さく誤差の範囲と言える。
図13にフレッシュ性状の試験とτyの関係を示す。データは3点のみであるが、0打フローやスランプとτyの間には相関関係がみられた。
ηは図14に示すように、水セメント比が小さくなるほど大きくなっており、コンクリートと同様の高い相関がみられた。
(3)-3 セメントペースト
セメントペーストについては、図7および表5より、τyはM45が最も小さく、M36とM30ではわずかに逆転現象を起こしているが、これも誤差の範囲と言える。
セメントペーストの調合は、コンクリートの調合から骨材のみを除いたものであり、高性能AE減水剤もそのままの量を使用しているので、非常に流動性が高く、分離気味であった。
特に、P45は常に撹拌していないと分離する状態のものであり、水に近い状態であったため、τyは0.4Paと極めて小さい値を示した。
図15に0打フロー試験とτyの関係を示す。データは3点のみであるが、0打フローとτyの間には相関関係がみられた。
ηは図16に示すように、水セメント比が小さくなるほど大きくなっており、コンクリートやモルタルと同様の高い相関がみられた。
(3)-4 水
水については、表4に示すように、試料量が多いと非常に高速で流れ、かつ水面が乱れて流れている様子が目視で認められた。そのため、降伏値は負の値となったが、試料量を300ccまで少なくすると、傾斜角3°まで大きくしても、水面に乱れが生じることなく、ほぼ均一に流下した。
その際のτyは0Pa(図8および表5参照)であり、水は理論上の降伏値はないので、正確に計測できたと考えられる。
1…測定装置本体、2…試料タンク部、2a…試料投入口、3…傾斜流動部、4…傾斜調整支持具、4a…支柱、4b…支持リング、5…ゲート板支持具、5a…支柱、6…ゲート板、7…流動速度測定器、7a…投光器、7b…受光器

Claims (4)

  1. 試料投入口から投入された測定対象となる流体を溜めて保持するための試料タンク部と、底面が前記試料タンク部の底面と直線的に連続し傾斜角度が可変な傾斜流動部と、前記試料タンク部と前記傾斜流動部を鉛直方向に仕切る開閉可能なゲート板とを備え、前記ゲート板は、装置本体を構成する前記試料タンク部および傾斜流動部とは別にこれらの境界部の外側に独立させて立設した支柱を備えたゲート板支持具に支持された状態で、前記傾斜角度が変わっても傾斜角度に関わらず鉛直方向に昇降可能としたものであることを特徴とする流体のレオロジー定数測定装置。
  2. 請求項1記載の流体のレオロジー定数測定装置において、前記傾斜流動部には、傾斜流動部の底面側から光を発する投光器と投光器が発した光を感知する受光器とを備え、前記流下する試料によって投光器が発した光が遮られた時間を複数位置で測定することで、試料の流動先端速度を求める流動速度測定器が取り付けられていることを特徴とする流体のレオロジー定数測定装置。
  3. 請求項1記載の流体のレオロジー定数測定装置を用いて流体のレオロジー定数を測定する方法であって、測定対象となる流体を前記試料投入口から投入し、前記試料タンク部に所定量の試料を溜めた状態で前記ゲート板を開き、前記傾斜流動部を流下して行く試料の流動先端速度va(m/sec)を測定する作業を複数の傾斜角度θについて行い、
    前記試料の見掛けのせん断応力τ(Pa)を次式によって求め、
    τ=W×h×g×sinθ …(1)
    ここに、
    W:試料の単位容積質量(kg/m3
    h:センサー間を通過するときの試料の平均高さ(m)
    g:重力加速度(9.807m/sec2
    θ:傾斜角度
    複数の傾斜角度について求めた流動先端速度va(m/sec)または該流動先端速度va(m/sec)を用いて算出したひずみ速度(/sec)と前記見掛けのせん断応力τ(Pa)から得られる回帰直線の流動先端速度vaが0となる切片における見掛けのせん断応力τ(Pa)を見掛けの降伏値τy(Pa)、回帰直線の傾きを見掛けの塑性粘度η(Pa・s/mまたはPa・s)として求めることを特徴とする流体のレオロジー定数測定方法。
  4. 請求項3記載の流体のレオロジー定数測定方法において、前記流動先端速度vaとして、前記ゲート板から離れた位置での流動先端速度、または測定対象となる流体の流れが安定した流れになると考えられる終局速度Vrとして求めた流動先端速度を用いることを特徴とする流体のレオロジー定数測定方法。
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