JP6482467B2 - 250未満の塩基対を含むdnaミニサークルのインビトロ産生 - Google Patents

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Description

本発明は、DNA湾曲タンパク質の存在下における直線状のニックの入った二本鎖オリゴデオキシヌクレオチドのワンポットリガーゼ媒介性環状化反応を介する、DNAミニサークルのインビトロの産生のための改善された方法に関する。本発明は、250未満の塩基対を有するスーパーコイルDNAミニサークルおよび遺伝子療法適用におけるそれらの使用にも関する。
DNAミニサークルは、基礎調査研究のため、ならびにナノテクノロジーおよび核酸医薬品における複数の適用のために非常に興味深いナノ物体である。二本鎖または一本鎖のいずれかのDNAミニサークルは、成長中の研究分野である構造DNAナノテクノロジーにおけるナノスケールの構成物体として使用することができる。例えば、DNAミニサークルをスキャフォールドとして使用して、G−四重鎖、RNAヘアピン、または広範囲の官能基を備えた分子素子を生成する可能性をもたらす化学的に官能化されたオリゴヌクレオチドの取り込み後に、ナノ構造を集合させる。構造材料中で制御された湾曲を生成する能力は、ナノマシン構成のために開拓された重要な特色である。DNAナノ構造のこの生物学的適用は、多量のDNAミニサークル構成材料を必要とする非常に歴史の浅い研究分野である。
DNAミニサークルは、遺伝子療法アプローチにおける新規の生物学的に活性のある核酸分子としても有望な適用を有する。特に、DNAミニサークルは、他の遺伝子の機能を変化させることなく、転写調節におけるキープレーヤー(すなわち転写因子)の阻害を介して重要な遺伝子の発現をブロックするという面白い可能性を提供するので、特異的遺伝子発現の阻害剤として使用することができる。特に、生物学的液体中での環状核酸の送達は、直線状のオリゴヌクレオチドと比較して、複数の長所(エキソヌクレアーゼへの抵抗性による安定性の増加等)を提示することも公知である。DNAのサイズの減少が、細胞DNAトランスフェクションおよびトラフィッキングの改善によって、遺伝子療法アプローチにおいて有益であることもかなり認識されている(Lukacs,G.L et al.,2000,J.Biol.Chem.275,1625−1629;Kreiss,P.et al.,1999 Nucleic Acids Res.27,3792−3798)。
さらに、DNAスーパーコイル化はDNA依存性細胞プロセスにおける関連の構造特徴である(Kanaar,R.and Cozzarelli,N.R.,1992 Curr.Opin.Struct.Biol.2,369−379;Baranello,L.et al.,2012,Biochim.Biophys.Acta 1819,632−638)。DNAミニサークルは、基本的なDNA依存性トランザクション(転写、複製および組換え等)の間に形成されるDNAループを模倣するという長所を提示する。したがって、スーパーコイルミニサークルの使用は、DNA代謝に関与するタンパク質(例えば転写因子および修復タンパク質)の結合および活性に対する生物学的関連性の高次DNA構造の調査を支援することができる。
インビボの部位特異的組換えのためにデザインされたプラスミドの使用は、DNAについてミリグラム量でスーパーコイルを含有するミニサークルの産生を可能にする(Fogg,J.M.et al.,2006,J.Phys.Condens.Matter 18,S145− S159)が、化学的に官能化されたミニサークルの直接的な産生は細胞内でのミニサークル産生の結果として不可能である。さらに、カスタマイズされたDNA配列の導入のためのこのアプローチの多用性は、大きな労働力を要する方法および組換え効率に対する配列依存性の予測不能な負の効果の可能性ならびに250bp未満の短いDNA断片の産生が非能率的であることによって限定されている。Heine et al.は、直線状の基質(制限酵素によるプラスミド消化および精製工程後に得られる)を、リガーゼ酵素を使用して環状化してリラックス環状DNAを産生する、DNAミニサークルの産生のための半合成方法を記述した(インターネットで検索可能なポスターで:URL:http://rentschler.de/fileadmin/Downloads/Poster/Rentschler−Poster−ln−Vitro−2011 Handout.pdf)。DNAジャイレースはDNAの誘導のために環状化工程後に使用することができる。しかしながら、この方法は、250塩基対までのミニサークルの産生を記述しない。
実際、かかるDNA長が、持続長(約150bp/50nm、持続長は内因的なDNA柔軟性に関する剛性を特徴づける尺度である)の付近にあるので、250塩基対(bp)までの短い直線状DNA断片からミニサークルを構築することおよびランダム配列を含有させることは、困難なままである。結果として、DNAの低濃度の範囲(1nM未満)でさえ、DNA二重らせん間の競争的な二分子反応および多分子反応の収率と比較して、一分子反応(すなわち酵素によるライゲーションによる両方のDNA端部の閉鎖によるDNAの環状化)の収率は劣る。結果的に、実際少数のインビトロの方法だけが、250pb未満の直線状DNA断片のリガーゼ媒介性環状化について報告している。
湾曲タンパク質の非存在下において、内因的な湾曲性を賦与する特異的配列(いわゆるアデニントラクト)を使用して、環状化反応の効率のわずかな増加が達成されたが、対象となるDNA配列(タンパク質認識のためのコンセンサス配列等)を自由に取り込む可能性を失うという欠点があった(Zhang,Y.and Crothers,D.M.,2003,Proc.Nat.Acad.Sci.USA 100,3161−3166)。別のインビトロの戦略は、ミニサークル形成の全収率を増加させるために、一本鎖領域のハイブリダイゼーションを可能にする非常に長い付着端を備えたDNA基質を用いたが、環状化反応において使用されるDNAが低濃度であること、および大きな労働力を要する調製工程は、ミニサークルの量的産生にとって重要な短所のままである(Du,Q.et al.,2008,Nucleic Acids Res.36,1120−1128)。
DNA湾曲タンパク質の存在下において、ランダム配列DNA断片をDNAリガーゼ依存性環状化反応において使用して、様々な構成上のタンパク質がDNAの湾曲/柔軟性を誘導する能力を決定した。しかしながら、直線状DNA基質のナノモル濃度の範囲はミニサークル産生の可能性に関して限定となる。最後に、本出願人の知る限りでは、上述の無細胞系の方法のどれも、スーパーコイル低分子DNAミニサークルをもたらす可能性を示さなかった。
したがって、制御されたスーパーコイルおよびカスタマイズされたDNA配列を備えた約250塩基対までの長さのDNAミニサークルの定量的および効率的な産生を可能にする方法がまだ必要である。
Lukacs,G.L他著「2000,J.Biol.Chem.275,1625−1629」 Kreiss,P.他著「1999 Nucleic Acids Res.27,3792−3798」 Kanaar,R.及びCozzarelli,N.R著「1992 Curr.Opin.Struct.Biol.2,369−379」 Baranello,L.他著「2012,Biochim.Biophys.Acta 1819,632−638」 Fogg,J.M.他著「2006,J.Phys.Condens.Matter 18,S145− S159」 Zhang,Y.及びCrothers,D.M.著「2003,Proc.Nat.Acad.Sci.USA 100,3161−3166」 Du,Q.他著「2008,Nucleic Acids Res.36,1120−1128」 http://rentschler.de/fileadmin/Downloads/Poster/Rentschler−Poster−ln−Vitro−2011 Handout.pdf
本出願人は、DNA構造変動の導入によってデザインされそして湾曲タンパク質の存在下におけるリガーゼ媒介性環状化反応で使用されるDNA基質によって、上昇させたDNA濃度でのDNA環状化反応が初期のDNA構造的変動を欠いたミニサークルを最終的に産出することができることを、ここで見出した。これは、任意の塩基の組成および位置の配列を備えたDNAミニサークルのワンポット産生を可能にする革新的な多用性のある方法である。本方法は、250未満の塩基対を含み、リラックスまたはスーパーコイルの状態を賦与され、多様な部位特異的配置の化学修飾を含有し、最終的には生物学的および生物化学的な適用のためのミニサークルの直接的官能化を可能にするDNAミニサークルを調製する機会も与える。
したがって、本発明は、
a)少なくとも1つのリン酸化5’末端を有するニックの入った二本鎖オリゴデオキシヌクレオチド平滑末端基質を提供する工程と、
b)前記ニックの入った二本鎖オリゴデオキシヌクレオチド平滑末端基質およびDNA湾曲タンパク質を含む反応混合物上でリガーゼ媒介性環状化を実行する工程と、
c)DNAミニサークルを得る工程と
を含む、DNAミニサークルのインビトロの産生のための方法に関する。
本発明に記載の方法の特定の実施形態において、工程a)で提供されたニックの入った二本鎖オリゴデオキシヌクレオチド平滑末端基質は2つのリン酸化5’末端を有し、工程c)で得られたかまたは回収されたDNAミニサークルは二本鎖の閉鎖されたリラックスミニサークルである。
本発明の方法の別の特定の実施形態において、工程a)で提供されたニックの入った二本鎖オリゴデオキシヌクレオチド平滑末端基質はただ1つのリン酸化5’末端を有し、工程c)で得られたかまたは回収されたDNAミニサークルは一本鎖DNAミニサークルである。
さらに別の特定の実施形態において、本発明の方法は、
a)ただ1つのリン酸化5’末端を有するニックの入った二本鎖オリゴデオキシヌクレオチド平滑末端基質を提供する工程と、
b)前記ニックの入った二本鎖オリゴデオキシヌクレオチド基質およびDNA湾曲タンパク質を含む反応混合物上でリガーゼ媒介性環状化を実行する工程と、
c)ニックの入った二本鎖DNAミニサークルを得る工程と、
d)工程c)で得られたニックの入った二本鎖DNAミニサークルへキナーゼを添加する工程と、
e)DNAインターカレーターの存在下において前記ニックの入った二本鎖DNAミニサークルをライゲーションする工程と、
f)スーパーコイルDNAミニサークルを得る工程と
を含む。
本発明によれば、少なくとも1つのリン酸化5’末端を有するニックの入った二本鎖オリゴデオキシヌクレオチド平滑末端基質は、1つもしくは複数のタンパク質推定結合部位および/またはDNA結合部位および/または1つもしくは複数の化学官能性および/または1つもしくは複数のDNA塩基ミスマッチを含み得る。
250未満の塩基対を含み、1つもしくは複数のタンパク質推定結合部位および/またはDNA結合部位および/または1つもしくは複数の化学官能性および/または1つもしくは複数のDNA塩基ミスマッチを恐らく示すスーパーコイルDNAミニサークルも、本発明の目的である。
本発明の別の目的は、遺伝子療法適用におけるデコイ薬剤としての使用のための本発明に記載のDNAミニサークルである。
本発明は、
a)ニックの入った二本鎖オリゴデオキシヌクレオチド基質の産生のための一本鎖相補的重複オリゴデオキシヌクレオチドと、
b)HMGボックスファミリーからのDNA湾曲タンパク質と、
c)リガーゼと
を含む、DNAミニサークルのインビトロの産生のためのキットにも関する。
本発明は、遺伝子療法適用におけるデコイ薬剤としての本発明に記載のDNAミニサークルにも関する。
最後に、本発明は、DNA結合試験のための基質としての本発明に記載のDNAミニサークルの使用に関する。
(A)ミニサークル産生のための重複平滑末端のニックの入ったDNA基質によるDNA環状化の方法を図示するスキーム。(B)一本鎖ミニサークル(経路1)またはリラックスもしくはスーパーコイルの二本鎖DNAミニサークル(経路2)のいずれかの産生のために順々に使用することができる単一ニックの入った二本鎖DNAミニサークルの産生を示すスキーム。 適切な相補的オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションによって形成され、図1中に図示されるようなミニサークル産生のための本発明の環状化方法において使用される直線状のニックの入った平滑末端二重鎖D1〜D6。両鎖の糖−リン酸骨格は黒矢印によって示された位置でニックが入る。 図1中で図示されるように形成された直線状のニックの入った平滑末端二重鎖D9〜D13。両鎖の糖−リン酸骨格は黒矢印によって示された位置でニックが入る。転写因子コンセンサス配列の存在は、太字(NF−κB:GGGACTTTCC;ETS1:GGAAGCACTTCC;STAT3:TTCCCGTAA)で示され、ヒトテロメア配列に下線が引かれる。G/Tミスマッチの存在は大きいサイズの文字によって示される。 図1中で図示されるように形成された直線状のニックの入った平滑末端二重鎖D14〜D21。両鎖の糖−リン酸骨格は黒矢印によって示された位置でニックが入る。オリゴヌクレオチド内の化学塩基修飾の存在は以下の通り示される:ビオチンdT(▲);シアニン3 dT(図では、「クラブ」のマーク);カルボキシフルオレセインdT(■);8−オキソグアニン(x)。 1つ(A)または2つ(B)のNF−κB結合配列を含むようにデザインされた95bpのリラックスDNAミニサークルは、EMSAによって示されるようにそれぞれ1つまたは2つのNF−κBタンパク質と相互作用することが可能である。 ヒト血清中のミニサークル安定性。核酸は37℃で時間の関数としてヒト血清と共にインキュベーションされた。各々のタイムポイントは、ゲル電気泳動によって分析される出発の核酸量に対応する。曲線は、単一指数関数へフィッティングさせたものを表わす。データーポイントおよびエラーバーは少なくとも3つの実験からの平均および標準偏差(それぞれ)を表わす(菱形:スーパーコイルプラスミド;正方形:直線状の二本鎖DNA;三角形:リラックスミニサークル;円:スーパーコイルミニサークル)。 様々なDNAサンプルの電気泳動の実行を提示する染色された未変性ポリアクリルアミドゲルのイメージ。レーン1:商業的な分子量(MW)マーカー;レーン2:95bp直線状DNA二重鎖;レーン3:20℃でのT4 DNAリガーゼによる1時間のインキュベーション後の95bpのDNA二重鎖;レーン4:95bpのニックの入った直線状DNA二重鎖;レーン5:T4 DNAリガーゼおよび20℃での湾曲タンパク質Abf2pによる1時間インキュベーション後の95bpのニックの入ったDNA二重鎖。異なるバンドに対応する成分の性質は右側に示される。
DNA持続長の範囲(250bp未満、特に150bp未満)において、出発の直線状DNAの内因的な湾曲性は酵素によるライゲーションによる効果的な環状化反応のためには弱すぎ、分子間反応(DNA直線状マルチマー形成)が優勢であるので、非常に低いDNA濃度(ナノモル範囲中)で反応を実行する必要があり、したがってナノグラム量への生産の収率を限定する。本出願人は、以前に使用されたものよりも少なくとも2桁大きい規模のDNA濃度での酵素によるライゲーションによってDNAの効果的な環状化(例えば高い収率で)を可能にする反応を本明細書でデザインした。本発明において、DNA構造変動は、環状化反応の前に、環状化される直線状テンプレートDNA基質内に導入された。かかる構造はDNA湾曲タンパク質のDNA結合活性を増強し、それは次に初期のDNA構造変動が欠けたDNAミニサークルの産生のために上昇させたDNA濃度で効果的なリガーゼ媒介性環状化反応を可能にする。したがって、この方法は、250未満の塩基対のDNAミニサークル(リラックスまたはスーパーコイル)を、配列の限定なしに効率的に産生することを初めて可能にする。
1−本発明に記載の方法
本発明は、第一に
a)少なくとも1つのリン酸化5’末端を有するニックの入った二本鎖オリゴデオキシヌクレオチド平滑末端基質を提供する工程と、
b)前記ニックの入った二本鎖オリゴデオキシヌクレオチド基質およびDNA湾曲タンパク質を含む反応混合物上でリガーゼ媒介性環状化を実行する工程と、
c)DNAミニサークルを得る工程と
を含むDNAミニサークルのインビトロの産生のための方法に関する。
言いかえれば、工程b)において、少なくとも1つのリガーゼおよび少なくとも1つの湾曲タンパク質はニックの入った二本鎖オリゴデオキシヌクレオチド基質へ添加され、1工程でDNAミニサークルを得ることを可能にする。実際、本発明に記載のリガーゼ媒介性環状化は酵素によるライゲーションである。本発明によれば、リガーゼは、1つの鎖の3’ヒドロキシル末端と他の鎖の5’ホスフェート末端との間のリン酸ジエステル結合の形成を触媒することによって、DNA鎖をともに連結することを促進する酵素である。DNAリガーゼ活性は広汎に研究されており、ニックの入ったDNA基質に結合されたヒストンタンパク質によって影響されないことが示され、これは、湾曲タンパク質がニックの入ったDNAによるリガーゼ活性を損なわないだろうということを指摘する。2つの平滑末端、および相補的付着性配列のオーバーハングによって形成された重複領域を有するDNA断片をライゲーションすることができるDNAリガーゼ酵素は、本発明に好都合である。本発明に記載の典型的なリガーゼはATP依存性リガーゼである。特に、本発明に記載のリガーゼは、T3 DNAリガーゼまたはT4 DNAリガーゼからなる群から選択することができる。例えば、付着末端または平滑末端をライゲーションすることができ、商業的に入手可能で安価なT4 DNAリガーゼは、本発明に良く適する。
本発明によれば、DNAミニサークルは、1kb未満のサイズの一本鎖または二本鎖の環状DNA分子である。特に、本発明に記載のDNAミニサークルは80塩基対〜250塩基対(bp)未満の間からなる。250bp未満によって、本明細書において240、230、220、210、200、190、180、170、160、150、140、130、120、110、100、90bp未満が意図される。典型的には、本発明に記載のDNAミニサークルは80〜200bpの間、特に80〜150bpの間を含有する。
DNA湾曲タンパク質によって、本明細書において、DNAの異なる立体配座状態と相互作用し、DNA湾曲を誘導するタンパク質が意図される。本発明において使用されるような湾曲タンパク質は、実質的な配列特異性なし(非特異的配列結合)に、およびDNA化学結合(DNA骨格)の開裂またはDNA鎖のライゲーションの誘導なしに、DNAに結合する。したがって、それらの機能的な活性のためにDNA鎖の切断を誘導する湾曲タンパク質(ジャイレース、トポイソメラーゼ、リコンビナーゼ、レゾルバーゼ)は、本発明に適さない。本発明に特に良く適するものは、容易かつ確実に産生され、異なる修飾(さらに詳述されるような化学基によって誘導されたものが含まれる)を含有するDNA基質上で活性能力を有するタンパク質である。典型的には、高移動度群(HMG)からの配列非特異的タンパク質(NSSタンパク質)および原核生物タンパク質HUを含む群から選択されるか、またはそれらからなる群からのDNA湾曲タンパク質が、本発明のために好適である。これには、HMGB1、NHP6Aおよびタンパク質Abf2p、特にタンパク質Abf2pを含む群から選択されるか、またはそれらからなる群からのタンパク質が特に含まれる。
ニックの入った二本鎖オリゴデオキシヌクレオチド基質は、それらが重複領域を形成するように1つの鎖あたりの少なくとも1つの内部ニックを有する二本鎖オリゴデオキシヌクレオチドである。本発明に記載のかかるニックは図1で特に図示される。各々の鎖上の内部ニックによって形成される内部5’末端もリン酸化されることが指摘されるべきである。
ニックの入った二本鎖オリゴデオキシヌクレオチド平滑末端基質は、本出願の以下において重複二重鎖とも命名される。各々の鎖上の2つのニック間の重複領域(重複ニック間領域)は、典型的には10〜20bpの間(より詳細には12〜20bpの間)である。かかる重複サイズは安定的ハイブリダイゼーション領域を得ることを可能にする。DNA二重鎖中のニックの存在は、二重らせんの若干の柔軟性の誘導を支援するDNA構造変動を導入し(Furrer,P.et al.,1997,DNA J.Mol.Biol.266,711−721;Protozanova,E.et al.,2004,J.Mol.Biol.342,775−785.)、したがって、それはDNA湾曲タンパク質の存在下における効果的なリガーゼ媒介性DNA環状化のための本発明に記載の必要条件である。本発明によれば、少なくとも1つの内部ニックによって、重複二重鎖が1つの鎖あたり少なくとも1、2または3のニックを含有し得ることが意図される。典型的には、本発明に記載の重複二重鎖は、1つの鎖あたりおよび50〜95ヌクレオチドの部分あたり1つのニックを含有する。例えば、95未満のヌクレオチドの重複二重鎖は1つの鎖あたり1つのニックを含有することができ、95〜180ヌクレオチドを有する重複二重鎖は1つの鎖あたり1または2つのニックを含有することができ、95〜180ヌクレオチドを有する重複二重鎖は1つの鎖あたり2または3つのニックを含有することができる。
本発明の特定の実施形態において、重複二重鎖は80bpを超え250bp未満を含有する。本明細書において、250bp未満によって、240、230、220、210、200、190、180、170、160、150、140、130、120、110、100、90bp未満が意図される。典型的には、本発明に記載の重複基質は80〜250bpの間、より正確には80〜200bpの間を含有する。いくつかの実例において、本発明に記載の重複基質は84〜200bpの間を含有する。
本発明に記載のニックの入った二本鎖オリゴデオキシヌクレオチド基質は平滑末端を有する。本発明に記載のニックの入った二本鎖オリゴデオキシヌクレオチド基質は、例えば上述のように内部ニックを含有する対象となる出発平滑末端DNA基質を形成するために、適切な重複一本鎖オリゴヌクレオチドを集合させることによって、商業的に入手可能なオリゴヌクレオチドで達成することができる。この文脈において、例えばオリゴヌクレオチド合成の古典的な化学的アプローチ(固相ホスホアミダイト方法等)によって得られるような40〜60ヌクレオチド長を含む商業的な一本鎖オリゴヌクレオチドは、本発明に良く適する。実際、本方法において合成オリゴヌクレオチドを使用する可能性は以下の複数の利点を有する。合成オリゴヌクレオチドは、大スケールおよび低価格で容易に製造され、化学修飾の有無にかかわらず配列情報の無限の組み合わせを保有する能力を示す。
本発明に記載の方法の工程c)はDNAミニサークルを得る(または回収する)ことである。
いくつかの実例において、得られるDNAミニサークルは組成物の一部を形成する。典型的には、前記組成物はDNAミニサークルを含有する反応混合物を含む。本方法の特定の実施形態において、前記組成物は得られたDNAミニサークルを含有する反応混合物である。
他の実例において、本発明の単離されたDNAミニサークルは、それが生じる複合反応混合物についても回収することができる。「単離された」核酸分子(例えば本明細書において使用される本発明に記載の単離されたDNAミニサークル)とは、異なるトポロジー(直線状オリゴマー等)、サイズおよび/もしくは配列を含む他の核酸ならびに/またはワンポット反応混合物中に存在するタンパク質から分離されたものである。かかる単離された分子は、これらの他の核酸およびタンパク質から完全にまたは部分的に精製されている。本発明の単離された核酸分子は、存在するすべての巨大分子種およびタンパク質のうちの少なくとも約50、80または90%(モルベースで)を構成することができる。単離されたDNAミニサークルの回収は、当該技術分野の古典的技法に従って達成することができる。例えば、回収は、DNA精製についてはエタノール沈殿によってまたはシリカビーズを使用して行なうことができる。
本方法の特定の実施形態において、DNAミニサークルを得る工程c)は、少なくともプロテアーゼおよびヌクレアーゼからなる群、およびより詳しくはプロテアーゼおよびエキソヌクレアーゼからなる群から選択される酵素の添加を含むことができる。典型的には、エキソヌクレアーゼの添加は、一本鎖DNAミニサークルを得るために、ニックの入った二本鎖DNAミニサークルのニックの入った鎖の排除を可能にする。
単離されたDNAミニサークルが工程c)で回収される場合、前記工程c)は、反応混入物(典型的には反応からの核酸およびタンパク質である)を排除する補充のサブ工程も含み得る。DNA混入物とは、典型的には異なるトポロジー(効果のない直線状DNA、直線状オリゴマーおよびいくつかの実例においてニックの入った環状DNAミニサークルの鎖等)を含む核酸である。タンパク質混入物は、特にワンポット反応の間に使用される様々な酵素(リガーゼ、消化酵素およびキナーゼ等)に加えて、湾曲タンパク質である。したがって、反応混入物の排除は、少なくともプロテアーゼおよびヌクレアーゼからなる群から選択される酵素の添加を優先的に含む。いくつかの実例において、反応混入物の排除は、少なくとも1つのプロテアーゼおよび少なくとも1つのヌクレアーゼの添加を含むことができる。前記少なくとも1つのプロテアーゼおよび少なくとも1つのヌクレアーゼは、同時にまたは連続して添加することができる。典型的には、ヌクレアーゼはエキソヌクレアーゼである。他の実例において、反応混入物の排除はプロテアーゼの添加を含み、より特定の事例において、反応混入物の排除はプロテアーゼの添加である。
本発明によれば、DNA混入物は、核酸のヌクレオチドサブユニット間のリン酸ジエステル結合を切断できるヌクレアーゼ酵素によって除去することができる。本発明に従って良く適したヌクレアーゼは、5’端もしくは3’端からの、または直線状もしくは環状二本鎖DNAのギャップおよびニックでの、ヌクレオチド除去を開始できるヌクレアーゼである。本発明の実施形態に依存して、エキソヌクレアーゼ活性(すなわち、ポリヌクレオチド鎖の末端(エキソ)からひとつずつヌクレオチドを切断することによって作用する)のみを有するヌクレアーゼ、例えばエキソヌクレアーゼIII、エキソヌクレアーゼI、またはエキソヌクレアーゼ活性および弱い一本鎖エンドヌクレアーゼ活性のみ(すなわち、ポリヌクレオチド鎖内のリン酸ジエステル結合を切断する)を有するヌクレアーゼ(T5エキソヌクレアーゼ等)を使用することができる。本発明の特定の実施形態において、スーパーコイル二本鎖DNAを分解しないエキソヌクレアーゼ(T5エキソヌクレアーゼ)が好ましい。
本発明によれば、タンパク質混入物は、タンパク質分解(すなわち、タンパク質を形成するポリペプチド鎖中のアミノ酸をともに連結するペプチド結合の加水分解によるタンパク異化を開始する)を行うプロテアーゼの群からの酵素(セリンプロテアーゼ、スレオニンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、グルタミン酸プロテアーゼ等)によって除去することができる。タンパク質を消化し、核酸の調製物から混入を除去するために分子生物学において一般的には使用されるプロテアーゼ(広域スペクトラムセリンプロテアーゼ等)は、本発明に特に良く適する。自己消化活性を有する広域スペクトラムセリンプロテアーゼ(プロテイナーゼK等であるが、これらに限定されない)は、本発明のために好都合である。例えば、Streptomyces griseusの細胞外液から単離されたプロテイナーゼの商業的に入手可能な混合物であるプロナーゼ(登録商標)も、本発明に良好に好都合である。少なくとも10のプロテアーゼがプロナーゼ混合物中にあり、5つのセリンタイププロテアーゼ、2つの亜鉛エンドペプチターゼ、2つの亜鉛ロイシンアミノペプチダーゼおよび1つの亜鉛カルボキシペプチダーゼである。プロナーゼによる消化は、タンパク質の大規模または完全な分解が要求される場合に有用であることが公知である。
優先的には、タンパク質およびDNA混入物の除去は、少なくともプロテアーゼおよび少なくともエキソヌクレアーゼの連続的な添加によって行なわれる。
本発明に記載の方法は、試薬濃度、インキュベーション時間および温度に関する具体的な特徴の決定が当業者の技能内で適切であるように、分子生物学の古典的技法において周知の酵素反応を含む。特に、本方法の異なる工程についての様々な成分の量は当業者によって適合されるだろう。典型的には、DNA対湾曲タンパク質の比は0.5〜2であり、DNA対リガーゼの比は2〜8である。より詳細には、DNA/Abf2pの比は0.5〜2の範囲であり、DNA/T4リガーゼの比は2〜8の範囲である。
本発明に記載の方法の特定の実施形態において、本方法の工程a)で提供されたニックの入った二本鎖オリゴデオキシヌクレオチド基質は2つのリン酸化5’末端を有し、工程c)で得られたDNAミニサークルは二本鎖の閉鎖されたDNAミニサークルである。かかるミニサークル産生のための1つの戦略は図1A中で特に略述される。この戦略において、工程c)は単離されたDNAミニサークルの回収のための反応混入物の排除を含む。優先的には、反応混入物の排除は、少なくともプロテアーゼの連続的な添加、続いて少なくともエキソヌクレアーゼ活性を有する酵素の添加によって得ることができる。プロテアーゼの最終的な添加もエキソヌクレアーゼの排除のために必要とされ得る。
本発明の方法の別の特定の実施形態において、本方法の工程a)で提供されたニックの入った二本鎖オリゴデオキシヌクレオチド基質はただ1つのリン酸化5’末端を有し、工程c)で得られたDNAミニサークルは一本鎖のDNAミニサークルである。
かかる事例において、環状化反応は、1つの鎖のDNA末端をシールして、他の鎖中に単一のニックを含有する二本鎖DNAミニサークルを形成することによって起こる。
かかる実施形態において、工程c)は反応混入物の排除を含む。実際、エキソヌクレアーゼ活性を有するヌクレアーゼの添加は、DNAミニサークルのニックの入った鎖の排除および一本鎖DNAミニサークルの回収のために必要とされる。プロテアーゼの添加は、タンパク質混入物の消化のためにさらに使用することができる。
例えば、反応混入物の排除は、少なくともプロテアーゼ(プロテイナーゼK等)の連続的な添加、続いて少なくともエキソヌクレアーゼ(エキソヌクレアーゼIII等)の添加によって実行することができる。プロテアーゼの最終的な添加もエキソヌクレアーゼの排除のために必要とされ得る。本発明のこの実施形態は、さらなるDNA分子集合体のために使用することができる純粋な一本鎖DNAミニサークルを得ることを可能にする。
いくつかの実例において、方法のこの実施形態は、工程a)のニックの入った二本鎖オリゴデオキシヌクレオチド基質鎖の非リン酸化5’末端を有する鎖に相補的な直線状オリゴヌクレオチドの添加からなる工程d)、およびニックの入った二本鎖DNAミニサークルを得る(または回収する)ことである工程e)を含む。
本発明に記載の方法のこの実施形態は、純粋なニックの入った二本鎖DNAミニサークルを得ることを可能にする。
本発明によれば、一本鎖DNAミニサークルのハイブリダイゼーションは、1つのニックを備えた二本鎖DNAを得るために相補的直線状オリゴヌクレオチドにより、または(n−1)のニックを備えた二本鎖DNAミニサークルを得るためにnの相補的オリゴヌクレオチドにより、実行することができる。
純粋なニックの入った二本鎖DNAミニサークルに加えて、一本鎖ミニサークルを得るための1つの戦略は、図1B、経路1中で略述される。本発明に記載のDNAミニサークルを得る方法の最後の実施形態において、以下の工程:
a)ただ1つのリン酸化5’末端を有するニックの入った二本鎖オリゴデオキシヌクレオチド基質を提供する工程と、
b)前記ニックの入った二本鎖オリゴデオキシヌクレオチド基質およびDNA湾曲タンパク質を含む反応混合物上でリガーゼ媒介性環状化を実行する工程と、
c)ニックの入った二本鎖DNAミニサークルを得る工程と、
d)工程c)で得られたニックの入った二本鎖DNAミニサークルへキナーゼを添加する工程と、
e)DNAインターカレーターの存在下において前記ニックの入った二本鎖DNAミニサークルをライゲーションする工程と、
f)二本鎖スーパーコイルDNAミニサークルを得る工程と
が含まれる。
かかる実施形態において、工程c)は、反応混入物および特にDNA湾曲タンパク質の排除のために少なくともプロテアーゼの添加を含む。優先的には、工程c)は、反応混合物からタンパク質混入物を排除するためにプロテアーゼの添加を含む。いくつかの実例において、工程c)のプロテアーゼは、湾曲タンパク質およびリガーゼタンパク質の両方に加えて、自己消化活性のおかげでプロテアーゼが消化されるような量で添加することができる。かかる事例において、二本鎖DNAミニサークルのニックの入った鎖の消化を回避するために、エキソヌクレアーゼは添加されない。
インターカレート剤(エチジウムブロマイド(EtBr)等)の存在下におけるニックの入った環状DNAプラスミドの再ライゲーションは、ジヌクレオチド工程のツイスト(T)値を34°から26°へ減少させることによって、巻き戻しを導入することが公知である(Bates,AD and Maxwell,A,2005,Oxford Univ.Press 2nd ed.,25−81)。酵素によるライゲーションによるニックのシーリングは巻き戻しを固定し、インターカレート剤の除去は、ツイスト値したがってらせん回転あたりの塩基対の数の増加を誘導するだろう。結果として、二本鎖DNAミニサークルはねじり応力により少なく巻かれ、ミニサークルのリンキング数Lは減少される(Lは各々のDNA鎖が環状DNA中で他のDNA鎖の周囲で巻く回数である)。リンキング数の変化(ΔL)はLとLk0との間の差である(もとの直線状分子中の二重らせんの回転の数はN/hに等しく、Nは塩基対でのDNA長であり、hは10.54bp/回転の値のらせんの反復である)。リンキング数における変動は一般的にはスーパーコイルまたはライズ(W)(例えばそれ自体でコイルするらせん)の出現を誘導し、通常はトポイソマー(同じ分子の各々のトポイソマーはゲル電気泳動上で別々に移動する)と呼ばれる、1つのエネルギー的に最低の円の形状の形成を可能にする。環状DNAのかかる幾何学的変動は以下の等式によって要約される。ΔL=ΔT+ΔW(式中、リンキング数の任意の変化はライズおよび/またはツイストの変化に関連しその逆も成立する)。本状況において、Lの減少は、分子が少なく巻かれた状況に対応するΔLについては負の値をもたらし、負のスーパーコイル形成の可能性がある。例えば、リンキング数がライゲーションおよびEtBrの除去後にミニサークル内で1だけ減少するならば、そのときΔL=−1であり;巻き戻し値TがEtBrの非存在下における正常DNA内と同じであるので、ΔTは0に等しく、そのときΔWが−1に等しいと推定することができる(1つの超らせんの回転を備えたミニサークルトポイソマー)。これは、ΔLの値が示される95bpのミニサークルにより例示される。
本発明に記載の適切なDNAインターカレーターには、エチジウムブロマイド(EtBr)およびクロロキンが含まれるが、これらに限定されない。インターカレーションを介して作用する多くの薬剤(例えばm−AMSA、ダウノルビシンおよびドキソルビシン等)が開発されているので、当技術分野において公知の可能性のあるインターカレーターのリストは広範囲である。加えて、インターカレーションを介して結合する多数の蛍光DNA染色がある。これらには、例えばEtBr、アクリジンオレンジおよびヨウ化プロピジウムが含まれる。
優先的に、工程c)で得られたニックの入った二本鎖DNAミニサークルを含む反応混合物へのキナーゼの添加からなる工程d)は、DNAインターカレーターの存在下におけるニックの入ったDNAミニサークルの再ライゲーションの工程e)に先行する。キナーゼの添加は、ATPからニックの入った鎖の5’末へのリン酸の移行を可能にする。この実施形態に記載の適切なキナーゼには、ポリヌクレオチド5’ヒドロキシルキナーゼおよび典型的にはT4ポリヌクレオチドキナーゼが含まれるが、これらに限定されない。DNAインターカレーターの除去は典型的にはブタノール抽出によって達成することができる。
工程f)において、スーパーコイルDNAミニサークルは、反応混合物を含む組成物の一部として回収、または当該技術分野の周知の方法に従って(上述のもの等、例えばエタノール沈殿またはシリカビーズDNA抽出の使用によって)単離することができる。いくつかの実例において、工程f)は、少なくともプロテアーゼおよびエキソヌクレアーゼからなる群から選択される酵素の添加を含む。有利には、工程e)は、核酸混入物(直線状オリゴマー)を排除するために少なくともエキソヌクレアーゼの添加を含む。より詳細には、工程f)は少なくともエキソヌクレアーゼの添加である。
本発明に記載のスーパーコイルDNAミニサークルを得るための戦略は、図1B、経路2において特に略述される。
本出願人の知る限りでは、スーパーコイルが95bpの小さなミニサークルにおいて観察されるのは初めてである。さらに、本発明の方法は、1つのポット中でスーパーコイルDNAミニサークルの産生を可能にする。第1のトポイソマー(ΔL=−1)は、0.1の負の超らせんの密度を有しており、それは、生理的条件において予想される密度(約0.08)(Zechiedrich,E.L.et al.,2000,J.Biol.Chem.275,8103−8113)よりもわずかに上昇し、したがって、タンパク質のDNA結合活性に対する湾曲DNA分子におけるスーパーコイルの効果の研究に使用することができる。
本発明はDNAミニサークルのDNA配列の性質および位置を選択することをさらに可能にする。実際、本発明のリガーゼ媒介性環状化が任意の配列の重複二重鎖により得ることができることが本出願人によって実証された。上記のように、本方法における合成オリゴヌクレオチドの使用は以下の複数の利点を有する。合成オリゴヌクレオチドは、大スケールおよび低価格で容易に製造され、特異的結合部位、DNA塩基ミスマッチまたは化学官能性が含まれるが、これらに限定されない無制限の配列官能化(または修飾)を保有する能力を示す。
したがって、本発明の方法において、少なくとも1つのリン酸化5’末端を有するニックの入った二本鎖オリゴデオキシヌクレオチド基質は、タンパク質推定結合部位、DNA結合部位、化学官能性、DNA塩基ミスマッチからなる群から選択される少なくとも1つの配列官能化を含む。本発明によれば、典型的なタンパク質推定結合部位はDNA結合タンパク質のための結合部位である。
対象となるDNA結合タンパク質には、トポイソメラーゼ、制限酵素、転写因子、リモデリング因子、ヘリカーゼ、ポリメラーゼ、テロメアタンパク質、DNA修復タンパク質、DNAメチル化酵素および構成上のタンパク質が含まれるが、これらに限定されない。典型的には、転写因子には、E2F、NF−κB、STAT 3、TAR、ETS1、ATF4、AP1、TWIST、SNAIL、NRF2、HIFおよびOCT4が含まれるが、これらに限定されない。
例えば、本発明に記載の重複二重鎖は、少なくとも1つ、典型的には1〜10、およびより詳細には、1〜6のタンパク質推定結合部位を含有することができる。
前記重複二重鎖は、さらに同じまたは異なり得る、少なくとも1つおよび優先的には複数(1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上)の化学官能性を含有することができる。
典型的な化学官能性には、部位特異的に配置された塩基修飾および部位特異的に配置されたリンカーまたは部位特異的に配置された標識が含まれるが、これらに限定されない。実際、様々な塩基類似体および修飾により官能化された本発明に記載の重複二重鎖は、例えば固体支持体合成の過程において商業的に入手可能な合成DNAオリゴヌクレオチドから容易に得ることができ、本出願人は、本発明に記載の環状化反応が化学的に修飾したオリゴヌクレオチドを許容することを実証した。
本発明に記載の典型的な塩基修飾は、例えばDNA修復タンパク質およびDNAアルキルトランスフェラーゼ(またはDNAメチルトランスフェラーゼ)を含む群から選択されるタンパク質の基質であるものである。DNA修復タンパク質には、塩基除去修復に関与するタンパク質(DNAグリコシラーゼ、APエンドヌクレアーゼ、末端プロセッシング酵素およびDNAリガーゼ等であるが、これらに限定されない)、ヌクレオチド除去修復に関与するタンパク質(色素性乾皮症に由来するXPA、XPB、XPC、XPD、XPE、XPFおよびXPG、またはCockayne症候群に関連づけられたタンパク質を表わすCSAおよびCSB、またはタンパク質、ERCC1、RAD23A、RAD23B等であるが、これらに限定されない)、およびミスマッチ修復システムに関与するタンパク質が含まれるが、これらに限定されない。
本発明に記載の塩基修飾は、DNAが酸化条件、イオン化照射または日光へさらされる場合に天然で形成することができるものでもある。本発明に記載の塩基修飾の実施例は、酸化塩基(8−オキソグアニン、2,6−ジアミノ−4−ヒドロキシ−5−ホルムアミドピリミジン(FapyG)、4,6−ジアミノ−5−ホルムアミドピリミジン(FapyA)、チミングリコール、チミジングリコール、シクロ−dAおよびシクロ−dGに加えて、ピリミジンダイマー等であるが、これらに限定されない)、アルキル化塩基(Oメチルグアニン等であるが、これらに限定されない)、脱アミノ化塩基(アデニンの脱アミノ反応から形成されるヒポキサンチン、グアニンの脱アミノ反応から形成されるキサンチン等であるが、これらに限定されない)、および他の加水分解された塩基(脱プリン反応および脱ピリミジン反応等)、およびDNA中に不適当で取り込まれたウラシル、またはシトシンの脱アミノ反応によって形成されたものである。
本発明に記載の典型的な塩基修飾は、8−オキソグアニン、チミングリコール塩基修飾(塩基除去修復のための基質である)、チミンダイマーおよび塩基シクロ−dA(ヌクレオチド除去修復のための基質である)である。
塩基修飾には、様々な配列も含まれ、それらは、第3の鎖のHoogsteen塩基対のために典型的には使用される、少なくとも1つ、優先的に1〜10のプリンリッチ配列もしくはピリミジンリッチ配列、四重鎖形成を可能にするグアニンリッチ配列、またはヒトテロメア配列等である。
典型的な部位特異的に配置されたリンカーには、Acrydite(商標)、アデニル化、IDTのアジド修飾、ジゴキシゲニン修飾、コレステリル−TEG、アミノ修飾剤、蛍光色素、アルキン、ビオチン化、チオール修飾が含まれるが、これらに限定されない。
前記リンカーおよび典型的にはアミノ修飾剤(アミノ修飾剤dT等)は、分子標識、ペプチドポリマー(例えば周知のN−ヒドロスクシンイミドカップリング反応を介する)が含まれるがこれらに限定されない様々な化学物質によって、さらなる部位特異的官能化を可能にする。
本発明に記載の典型的な部位特異的に配置された標識には、ハプテン(ビオチンまたはジゴキシゲニン等)、放射性同位体(Hまたは32P等)、蛍光色素(シアニン3またはカルボキシフルオレセイン等)が含まれるが、これらに限定されない。
本発明の別の目的は、
−250bp未満で、本発明に記載の少なくとも1つの推定タンパク質結合性部位を含むスーパーコイルDNAミニサークルを単離する工程と;
−DNA結合のために好適な条件下で対象となるタンパク質と前記DNAミニサークルを接触させる工程と;
−DNA結合についてアッセイする工程と、
を含み、
DNA結合がDNA結合タンパク質を暗示する、
DNA結合タンパク質を同定する方法に関する。
さらに、本発明の別の実施形態は、
−試験薬剤の存在および非存在下においてDNA結合のために好適な条件下で本発明に記載のDNAミニサークルと対象となるDNA結合タンパク質を接触させる工程と;
−試験薬剤の存在および非存在下においてDNA結合の量を定量化する工程と、
を含み、
変更されたDNA結合が試験薬剤がDNA結合のモジュレーターであることを暗示する、
DNA結合タンパク質のモジュレーターのためのスクリーニング方法に関する。
本発明によれば、DNAミニサークルは、例えば固体支持体(カラムクロマトグラフィーマトリックス、プレートの壁、マイクロタイターウェル、孔のあるガラスカラム、溶液中に沈められたピン、ビーズなど)に付加することができる。したがって、DNAミニサークルは、例えばリンカーまたは他の分子によって固相に直接または間接的に固定することができる。かかる固体支持体の実施例には、プラスチック(ポリカーボネート等)、複合炭水化物(アガロースおよびセファロース等)およびアクリル樹脂(ポリアクリルアミドおよびラテックスのビーズ等)が含まれるが、これらに限定されない。かかる固体支持体への核酸プローブのカップリングのための技法は当技術分野において周知である。
典型的には、本発明のDNAミニサークルは様々な材料に連結することができ、それらは、i)無細胞抽出液内でのタンパク質結合の探索のためのアガロースビーズ、ii)マイクロプレートまたはセンサーチップ、iii)量子ドットまたは抗体、iiii)分子生物学および遺伝子療法の適用のための磁気粒子等である。
例えば、ビオチン化ミニサークルは様々なストレプトアビジンコート材料に連結することができ、それらは、i)ストレプトアビジンアガロースビーズ、ii)ストレプトアビジンコート表面(マイクロプレートまたはセンサーチップ等)、iii)ストレプトアビジン相互作用を介する量子ドットまたは抗体、iiii)ストレプトアビジンコート磁気粒子等である。
2−本発明に記載のDNAミニサークルおよびキット
本発明の別の目的は、本発明の方法によって得ることができるDNAミニサークルに関する。
本発明に記載のミニサークルの以下の実施形態は、個別におよび組み合わせで採用することができる。
一実施形態において、DNAミニサークルは、本発明の方法において上記のように70bpを超え250bp未満を含む。典型的には、本発明に記載のミニサークルは、80〜200bpの間、より詳細には84〜200bpの間を含む。
本発明の別の実施形態において、本発明のミニサークルは、DNAミニサークルの長さに依存して、複数のトポイソマー(例示されるように95bpミニサークルで3つのトポイソマー)を形成するスーパーコイルの状態を賦与される。
本発明のさらなる実施形態において、本発明のDNAミニサークルは、上記のようなタンパク質推定結合部位、DNA結合部位、化学官能性およびDNA塩基ミスマッチ等の様々な配列官能化(または修飾)も含むことができる。典型的な化学官能性には、上記のような部位特異的に配置された塩基修飾および部位特異的に配置されたリンカーまたは部位特異的に配置された標識が含まれるが、これらに限定されない。
本発明によれば、DNAミニサークルは、タンパク質推定結合部位、DNA結合部位、化学官能性(または修飾)およびDNA塩基ミスマッチからなる群から選択される少なくとも1つの配列修飾を含む。
典型的には、本発明に記載のDNAミニサークルは1〜10の推定タンパク質結合性部位を含有し、少なくとも1つおよびより優先的には複数の化学修飾および/またはDNA塩基ミスマッチをさらに含有することができ、化学修飾は同じまたは異なる。
本発明のいくつかの実施形態において、DNAミニサークルは、したがって、様々なDNA結合タンパク質(DNA修復タンパク質、トポイソメラーゼ、制限酵素、転写因子、リモデリング因子、ヘリカーゼ、ポリメラーゼ、テロメアタンパク質、DNAメチル化酵素および構成上のタンパク質等)のための基質である。
本発明の一実施形態において、本発明に記載のDNAミニサークルは少なくとも1〜6のκB結合部位を含有する。本発明のより特定の実施形態において、前記ミニサークルは、少なくとも1つのさらなる対象となるタンパク質のための少なくとも1つのさらなるタンパク質推定結合部位を含むことができる。前記対象となるタンパク質は、DNA修復タンパク質または転写因子(E2F、NF−κB、STAT3、TAR、ETS1、ATF4、AP1、TWIST、SNAIL、NRF2、HIF、Oct4および特にETS1および/またはSTAT3等)であり得る。
複数のタンパク質結合性部位の存在は、複数のタンパク質相互作用を備えた核酸プラットフォームの構成を可能にする。
いくつかの実例において、前記DNAミニサークルは少なくとも1つの化学修飾をさらに含むことができる。
化学官能性は、部位特異的に配置された塩基修飾および部位特異的に配置されたリンカーまたは部位特異的に配置された標識を含む。
アミノ修飾剤(例えばアミノ修飾剤dT等)を含有するDNAミニサークルは、周知のN−ヒドロキシスクシンイミドカップリング反応での様々な化学物質(分子的標識、ペプチド、ポリマー)による部位特異的なミニサークルの官能化(または修飾)をさらに可能にすることができる。かかる官能化は、生物学的適用(細胞標的化、細胞送達および細胞トラフィッキング等)のための新規の重要な特性をミニサークルに賦与することができた。
蛍光標識を備えたミニサークルは様々な研究において使用することができ、それらは、i)適切に配置された発色団によるForsterの共鳴エネルギー移動(FRET)を介するタンパク質の存在または非存在下におけるミニサークルの構造研究、ii)生物学的適用のためのミニサークルの細胞取り込みおよびトラフィッキング等である。
本発明の別の目的は、遺伝子療法適用におけるデコイ薬剤としての使用のための本発明に記載のDNAミニサークルに関する。
本発明によれば、デコイ薬剤はDNA結合タンパク質(優先的に転写因子)のための少なくとも1つの推定結合部位を含むDNAミニサークルであり、したがって、それは前記DNA結合タンパク質の結合を標的遺伝子中のコンセンサス配列と競合することができる。転写因子は、次いでそれらが発現を調節する(スイッチを入れたり切る)遺伝子(標的遺伝子)のプロモーター領域中で見出される特異的配列に結合する。これらの結合配列は一般的には6〜10塩基対の長さであり、時には標的遺伝子のプロモーター領域内で複数のコピーで見出される。したがって、十分な濃度で細胞の中へ送達されれば、デコイ薬剤は標的遺伝子のプロモーター領域へのタンパク質(典型的には転写因子)の結合を弱化し、したがって転写因子の機能を弱化してその標的遺伝子の発現を調節する可能性を有する。
NF−κBは、その活性化が、多数の疾患(例えば癌、関節炎)の病因に関与するサイトカインおよび接着分子の遺伝子の調整されたトランス活性化において極めて重要な役割を果たす転写因子である。実際、NF−κBの標的遺伝子は、抗アポトーシス性遺伝子および細胞増殖を調節する遺伝子に加えて、炎症性遺伝子および免疫調節因子遺伝子である。
治療用標的としての別の魅力的な転写因子はStat3であり、それは複数のヒト癌において活性化され、癌細胞増殖に関与する。
本発明に記載のさらに別の特に対象となる転写因子は、転写因子ETS1であり、その発現は複数の固形腫瘍において増加し、血管新生および転移浸潤に関与する。
したがって、本発明の特定の目的は、炎症性疾患(癌または心血管性疾患等)の遺伝子療法における標的遺伝子の発現の調節または弱化のための使用のための、NF−κBおよび/またはSTAT3および/またはETS1についての1つまたは複数の結合部位、より詳細には1〜10のNF−κB結合部位および/または1〜10のSTAT3結合部位および/または1〜10のETS1についての結合部位、ならびにさらにより詳細には1〜6のNF−κB結合部位および/または1〜6のSTAT3結合部位および/または1〜6のETS1結合部位を含有するDNAミニサークルに関する。実際、多重標的化デコイ戦略においてこれら3つの転写因子に向けた二重鎖D11について例証されるように、多重標的化ミニサークルを使用することができた。
金属ベースの薬剤(例えばシスプラチンであるがこれに限定されない)等のアルキル化剤によって適切なDNA配列を含有するミニサークルを修飾して、DNA損傷を形成することもでき、DNA損傷は今度は標的タンパク質、特にヌクレオチド除去修復タンパク質(例えばERCC1−XPF)等のDNA修復タンパク質を引きつけることができる。デコイ戦略において白金結合されたDNAミニサークルを使用することで、薬剤DNA損傷を積極的に修復することが公知の耐性癌細胞におけるDNA修復タンパク質の阻害によって、DNAアルキル化剤の化学療法有効性を増加させることができた。
本発明のさらに別の目的は、
a)ニックの入った二本鎖オリゴデオキシヌクレオチド基質の産生のための一本鎖相補的重複オリゴデオキシヌクレオチドと、
b)少なくとも1つのDNA湾曲タンパク質と、
c)少なくとも1つのリガーゼと
を含む、
DNAミニサークルのインビトロの産生のためのキットである。
いくつかの実例において、前記キットは、
a)ニックの入った二本鎖オリゴデオキシヌクレオチド基質の産生のための一本鎖相補的重複オリゴデオキシヌクレオチドと、
b)DNA湾曲タンパク質と、
c)リガーゼと
を含む。
別の実施形態において、本発明に記載のキットは、
a)本発明に記載のニックの入った二本鎖オリゴデオキシヌクレオチド基質と、
b)少なくとも1つのDNA湾曲タンパク質と、
c)少なくとも1つのリガーゼと
を含む。
いくつかの実例において、前記キットは、
a)本発明に記載のニックの入った二本鎖オリゴデオキシヌクレオチド基質と、
b)DNA湾曲タンパク質と、
c)リガーゼと
を含む。
3−本発明に記載の使用
本発明の別の目的は、DNA結合試験のための基質としての本発明に記載のDNAミニサークルの使用に関する。実際、本発明の一実施形態において、本発明に記載のDNAミニサークルを使用してDNAに結合する薬剤についてスクリーニングすることができる。典型的には、かかるミニサークルは、対象となる少なくとも1つのDNA結合タンパク質についての少なくとも1つの推定結合部位を含有するように操作される。
本発明に記載の対象となるタンパク質は、トポイソメラーゼ、制限酵素、転写因子、リモデリング因子、ヘリカーゼ、ポリメラーゼ、テロメアタンパク質、DNA修復タンパク質、DNAメチル化酵素および構成上のタンパク質を含む群から選択することができる。優先的には、対象となるタンパク質はDNA修復タンパク質および転写因子である。典型的には、転写因子には、E2F、NF−κB、STAT 3、TAR、ETS1、ATF4、AP1、TWIST、SNAIL、NRF2、HIFおよびOct4が含まれるが、これらに限定されない。
より詳細には、本発明に記載され、少なくとも1つの配列官能化(または修飾)を上述のように保有する(少なくとも1つのDNA結合タンパク質について典型的には少なくとも1つの推定結合部位の)DNAミニサークルを使用して、細胞中の前記タンパク質を標的化し恐らくタイトレーションすることができる。
上述のように、本発明に記載の配列の官能化(または修飾)には、特異的結合部位、DNA塩基ミスマッチまたは化学官能性が含まれるが、これらに限定されない。化学官能性は、部位特異的に配置された塩基修飾および部位特異的に配置されたリンカーまたは部位特異的に配置された標識を含む。
塩基およびヌクレオチドの除去修復のシステムからの複数のタンパク質は癌細胞において過剰発現され、化学療法および/または放射線療法への低応答に寄与する。したがって、対象となる少なくとも1つのトラッピング損傷により化学的に修飾したDNAミニサークルを使用して、デコイ戦略アプローチにおける上述の修復システムからの標的タンパク質をタイトレーションすることができる。
さらに、多様な修飾される塩基(Oメチルグアニンまたはメチル化シトシン)も、癌に関与する複数の標的タンパク質をトラップする目的でDNAミニサークル内に取り込むことができる。かかるタンパク質は、典型的には修復タンパク質(OアルキルグアニンDNAアルキルトランスフェラーゼ、またはOメチルグアニンDNAメチルトランスフェラーゼ等であるが、これらに限定されない)およびDNAメチルトランスフェラーゼ(シトシン−5メチルトランスフェラーゼ等であるが、これらに限定されない)である。
本発明の別の特定の実施形態は、インビボに加えてインビトロでの内在性遺伝子調節の研究のためのデコイ核酸として、リラックスまたはスーパーコイルの状態を賦与され、少なくとも1つのDNA結合タンパク質について少なくとも1つの推定結合部位を含む、DNAミニサークルの使用に関する。
細胞中でDNAミニサークルを複製することができないので、標的タンパク質(デコイ効果)の阻害は一時的であり、それは遺伝子阻害への薬剤様アプローチが有用ないくつかの適用において有利であるが、永続的な形質転換が所望される場合は欠点である。かかる事例において、標的タンパク質の不可逆的トラッピングはミニサークルの負の効果を延期するのには有利であり、それは化学官能性を含んでDNAタンパク質共有結合を可能にすることによる。
生物学的液体中での環状核酸の送達は、エキソヌクレアーゼへの抵抗性による安定性の増加として複数の長所を提示することも公知である。ミニサークルのサイズは、複数のタンパク質相互作用を備えた核酸プラットフォームの構成への手法を開拓する複数のタンパク質結合性部位の存在も可能にする。
非ウイルス性遺伝子療法において、細胞質中のDNA拡散および核インポートは、環状スーパーコイルプラスミドDNAの使用により実行される導入遺伝子送達についての律速的な決定要素であると考えられる。細胞中のDNA移動性の研究は、直線状DNA(それはDNA末端効果の結果として環状DNAを模倣しない)を使用して、DNAサイズの関数として実行されてきた。
したがって、本発明の特定の実施形態は、複数のDNAパラメーター(配列、トポロジー)の関数としての、細胞中での治療用核酸トラフィッキングの研究のための本発明に記載のDNAミニサークル(遺伝子療法において使用されるプラスミド等)の使用である。一本鎖または二本鎖のリラックスまたはスーパーコイルの状態を賦与され、および/または上述のような少なくとも1つの配列官能化を含有する、本発明に記載のDNAミニサークルは、様々な適用において使用することができる。
例えば、DNAミニサークルは、さらなるDNA集合体に加えて、細胞標的化送達およびトラフィッキングに関する様々な生物学的適用のために使用することができる。
別の実施例は、DNAトポロジーおよび湾曲の相互効果を研究するための本発明に記載のリラックスまたはスーパーコイルDNAミニサークルの使用に関する。
リラックスまたはスーパーコイルの状態を賦与され、カスタマイズされた配列を備えた本発明に記載のDNAミニサークル(例えば、部位特異的に配置された塩基修飾および部位特異的に配置されたリンカーまたは部位特異的に配置された標識が含まれる、少なくとも1つの化学官能性を有する)は、構造的DNAナノテクノロジーにおけるナノスケールの物体のデザインのために使用することができる。
最後に、本発明に記載のDNAミニサークルは、出発DNAミニサークルとして同じ配列および長さの直線状の一本鎖または二本鎖DNAの過剰生産のために、ならびにDNAシーケンシングのために、φ29 DNAポリメラーゼ増幅を支援することができる。
1−材料および方法:
ここで使用されるオリゴデオキシヌクレオチドは、テキスト中で示されているように変更され、または変更されないホスホアミダイト方法によって合成され、Eurogentec(Seraing、ベルギー)から購入された。プロテイナーゼK、T4 DNAリガーゼ、T4ポリヌクレオチドキナーゼおよびエキソヌクレアーゼIIIはFermentasから購入し、T5エキソヌクレアーゼはNew England Biolabsから購入した。全長のNF−κB p50およびFpgはそれぞれPromegaおよびNew England Biolabsから購入した。Bal31ヌクレアーゼおよびストレプトアビジンはそれぞれNew England BiolabsおよびSigma−Aldrichから、および700bpラダーDNA分子量マーカーはFermentasから購入した。
Abf2p遺伝子を含有するp−ET15 b由来ベクターはF.Culard(Centre de biophysique moleculaire、CNRS、Orleans、フランス)によって快く提供され、このプラスミドを34μg/mlのクロラムフェニコールのおよび30μg/mlのカナマイシンによりBL21(DE3)pLysS(Novagen)の形質転換のために使用した。形質転換された系統をA600が0.5になるまで振盪して37℃で増殖させた。培養はイソプロピル−1−チオ−β−D−ガラクトピラノシド(Calbiochem)により100μΜの最終濃度で6時間誘導した。遠心分離後に、細胞を、プロテアーゼ阻害剤混合物(Sigma−Aldrich)および100mMフェニルメチルスルホニルフルオリド(Pierce)を補足した超音波処理緩衝液(50mMトリス−HCl pH8.0、500mM NaCl、20mMイミダゾール、5mM β−メルカプトエタノール)中で再懸濁し、次いで超音波処理した。すべての精製工程は4℃で実行した。抽出物の遠心分離後に得られた溶解物をニッケルアガロースカラム(Qiagen)に適用し、ヒスチジン標識Abf2pを1ml/分の流速で100mMイミダゾールを含有する緩衝液により溶出した。Abf2pをAmicon Ultra−4 10K(Millipore)で濃縮し、25mMトリス−HCl pH8.0、100mM NaCl、1mMジチオスレイトール(DTT)および5%グリセロールを含有する緩衝液中で−70℃で保存した。タンパク質濃度は、スタンダードとしてBSAを使用し、Bradford試薬(Bio−Rad)を使用することによって決定した。タンパク質の最終的な濃度は3mg/mlであった。純度は、EZBlueゲル染色試薬(Sigma)を使用してドデシル硫酸ナトリウム−アクリルアミドゲル上で>95%と推測した。
環状化反応
二本鎖の閉鎖されたリラックスミニサークルの産生の方法:
各々の重複DNAテンプレートの調製は、10mMトリス−HClおよび25mM NaCl、pH7.5を含有する緩衝液中で等モルの量の相補的一本鎖オリゴヌクレオチドを、40μΜ(重複二重鎖のモルで表現される)の濃度で混合することによって実行した。ハイブリダイゼーションは、80℃でのオリゴヌクレオチド混合物の加熱、続いてウォーターバス中で15℃の温度での徐冷によって実行した。
環状化の標準的反応は、40mMトリス−HCl、10mM MgCl、10mM DTT、0.5mM ATPおよび5%のグリセロール、pH7.8を含有する緩衝液中に、重複したニックの入った二重鎖を2μΜの最終的な濃度で添加することによって実行した。次いでAbf2pを2μΜの最終的な濃度で、続いてT4 DNAリガーゼ(20単位)を添加した。次いで反応混合物を20℃で1時間インキュベーションし、続いてプロテイナーゼK(0.3単位)を添加した。55℃での30分間のインキュベーション時間後に、エキソヌクレアーゼT5を添加し(200単位)、インキュベーションを30分間37℃で続けた。最終的に、プロテイナーゼKによる第2の消化工程を実行した。次いで2.5Mの最終的な濃度でAcONHの添加、および2体積の冷エタノールの添加によってミニサークルを沈殿させた。14000rpmで15分間の遠心分離後に、上清を廃棄し、ペレットを70%のエタノールの添加によって洗浄し、続いて遠心分離した。次いでペレットを、10mMトリス−HCl、1mM EDTA、pH7.5を含有する緩衝液中でDNAミニサークルで約200μg/mlの濃度で再懸濁した。DNAミニサークルサンプルの光学的密度を濃度決定のために測定し、A260/A280比が高品質DNAに対応する1.8よりも大きいように制御した。純粋なDNAミニサークルのワンポット産生についての全収率は30%である(150μgの初期量のインプットDNAによる環状化反応の1mlあたり、50μgの95bpミニサークルが産生された)。取扱い説明書(Thermo Scientific)に従ってシリカビーズDNAゲル抽出キットを使用してDNAミニサークル精製を実行できることに注目されたい。
ニックの入った環状ミニサークル中間体の形成を介するスーパーコイルDNAミニサークルの産生:
環状化の標準的反応は、非リン酸化5’末端が重複二重鎖のいずれかの鎖上に存在する場合に、ニックの入った環状ミニサークルを産生するために使用することができる(図1B)。かかる事例において、環状化反応は、1つの鎖のDNA末端をシールして他の鎖中に単一のニックを含有するミニサークルを形成することによって起こる。次いで、反応混合物は、テキスト中で示されるように漸増濃度のエチジウムブロマイド(Sigma−Aldrich)の非存在または存在下において、プロテイナーゼK(0.3単位、55℃で30分)、1mM ATPと共にT4ポリヌクレオチドキナーゼ(200単位、37℃で30分)、および最終的にT4 DNAリガーゼ(100単位、20℃で1時間)により連続してインキュベーションした。次いで、エチジウムブロマイドをブタノール抽出によって除去した。精製工程は上述と同じであり、反応の全収率は20%であった。
図1Bの経路1中で示されるように、単一のニックの入った環状DNAをエキソヌクレアーゼIII(3200単位、37℃で2時間)により処理し、ニックの入った鎖の完全な消化は一本鎖ミニサークルをもたらすことも可能にし、次いでそれはシリカビーズDNAゲル抽出キット(Thermo Scientific)を使用して精製された(出発二本鎖のミニサークル形態から計算して10%の最終的な収率)。次いで、一本鎖ミニサークルを、95ntの相補鎖、または40ntおよび55ntの両方の相補鎖と、10mMトリス−HCl、25mM NaCl、pH7.5を含有する緩衝液中でハイブリダイズさせ、それぞれ単一のニックの入ったミニサークルまたは二重ニックの入ったミニサークルを得た。
ゲル電気泳動分析:
環状化反応において形成された産物を未変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分析した。130ngのインプットDNAを、5%未変性ポリアクリルアミドゲル(19:1、アクリルアミド:ビスアクリルアミド(w/w)、90mMトリスホウ酸塩、1mM EDTA、pH8.3)上にロードし、続いて90分間12.5V/cmで移動させた。SYBR Green(Invitrogen)によるゲル染色後に、ゲルをTyphoon Trio(GE Healthcare)によりイメージングし、ゲルバンドの定量化をImageQuantソフトウェア5.1によって実行した。未変性ポリアクリルアミドゲル中のDNAが蛍光によって可視化され、したがってオリゴマーに対する出発の直線状二重鎖のモル比は、バンド強度がオリゴマー長の関数として増加することを考慮して計算されることに注目されたい。ミニサークルの電気泳動も、ミニサークルトポイソマーを分離するために10mM MgClを追加で存在させて上述のように実行した。
環状化反応において生成されたミニサークルも、8%変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動(19:1、アクリルアミド:ビスアクリルアミド;8M尿素;90mMトリスホウ酸塩、1mM EDTA、pH8.3)上で分析した。ホルムアミド中でDNAサンプルを熱変性し、1サンプルあたり65ngのDNAを変性ゲル上にロードし、18ワットで90分間電気泳動した。SYBR Green(Invitrogen)によるゲル染色後に、ゲルをTyphoon Trio(GE Healthcare)によりイメージングし、ゲルバンドの定量化をImageQuantソフトウェア5.1によって実行した。1つまたは2つの8−オキソグアニン残基を含有する95bpミニサークル(0.2μΜ)とFpg(8単位)の反応は、50mM NaCl、25mMトリス−HCl、pH7.6を含有する緩衝液中で37℃で1時間実行した。60℃で10分間の加熱によるタンパク質不活性化後に、反応産物を変性ゲル電気泳動上で上記のように分析した。
電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)
本明細書において使用されるDNA結合タンパク質とDNAミニサークルの相互作用研究のためにEMSAを使用した。Abf2pは、25mMトリス−HCl、100mM NaCl、1mM DTT、5%グリセロール、pH7.6を含有する緩衝液中でテキスト中で示されるように濃度の関数としてミニサークル(10ng)と10分間インキュベーションした。ゲルローディング緩衝液を添加した後に、反応混合物を、5%未変性ポリアクリルアミドゲル(19:1、アクリルアミド:ビスアクリルアミド(w/w);90mMトリスホウ酸塩、1mM EDTA、pH8.3)上にロードした。ゲルを1時間電気泳動した。NF−κΒ p50/p50は、10mMトリス−HCl、50mM NaCl、3mM DTT、0.2mM EDTA、2%グリセロール、50μg/mlアセチル化BSA、pH7.5を含有する緩衝液中でテキスト中で示されるように濃度の関数としてミニサークル(10ng)と4℃で30分間インキュベーションした。ゲルローディング緩衝液を添加した後に、反応混合物を、5%未変性ポリアクリルアミドゲル(19:1、アクリルアミド:ビスアクリルアミド(w/w);90mMトリスホウ酸塩、1mM EDTA、pH8.3)上にロードした。ゲルを1時間電気泳動した。ストレプトアビジン(Sigma−Aldrich)は、10mMトリス−HCl、50mM NaCl、3mM DTT、0.2mM EDTA、2%グリセロール、50μg/mlアセチル化BSA、pH7.5を含有する緩衝液によりテキスト中で示されるように濃度の関数としてDNAミニサークル(10ng)とインキュベーションした。ローディング緩衝液の添加後、反応混合物を、5%ポリアクリルアミドゲル(19:1、アクリルアミド:ビスアクリルアミド(w/w);45mMトリスホウ酸塩、0.5mM EDTA、pH8.3)上にロードした。ゲルを1時間電気泳動し、染色は20分間SYBRグリーン中のゲルのインキュベーションによって実行した。最終的にゲルをTyphoonフォスフォイメージャーに曝露し、結合分率(結合複合体の強度/全強度)をImageQuant 5.1ソフトウェアによって決定した。
DNAミニサークルのヒト血清安定性:
365ngのDNAを50%ヒト血清(Sigma−Aldrich)中で37℃でインキュベーションした。アリコートを時間の関数として採取し、フェノール−クロロホルム−イソアミルアルコール(25:24:1)(Invitrogen)の混合物の添加によって、直ちに除タンパクを2回行った。遠心分離後に、血清中でインキュベーションされた核酸の性質に依存して、上清のアリコートをアガロースまたはポリアクリルアミドゲル上にロードした(プラスミドDNAについては0.8%未変性アガロースゲル;ミニサークルおよび直線状DNA二重鎖についてはそれぞれ5%および20%の変性ポリアクリルアミドゲル)。電気泳動後に、ゲル電気泳動分析のセクション中で記載されるように、ゲルを染色し、バンドの強度を定量化した。対象となる出発の核酸に対応するバンド強度を、インキュベーション時間の関数として報告した。データポイントは単一指数関数にフィッティングさせた。核酸消失の速度定数を使用して、血清中で核酸安定性の半減期を推定した。
2−結果:
DNAミニサークル産生:
オリゴヌクレオチド合成の最も良い商業的に利用可能な化学的アプローチは固相ホスホアミダイト方法であり、良好な収率および純度により60ヌクレオチド(nt)の範囲で一本鎖オリゴヌクレオチドの産生を可能にする。したがって、本方法は、内部ニック(1つの鎖中の一本鎖切断)を含有する対象となる出発の平滑末端DNAテンプレートを形成するために、適切な重複オリゴヌクレオチドを集合させることであった。95bpの直線状のニックの入った平滑末端二重鎖は、2つの適切な重複オリゴヌクレオチドを2つの対応する相補的オリゴヌクレオチドと混合することによって形成された(図2、D1)。すべてのD1内のDNAの5’末端は以下で図示されるような条件において酵素によるライゲーションを実行するためにリン酸化される。二重鎖D1は、分子量マーカーの100bp DNA断片の移動度に近い移動度で1つのバンドとして未変性ポリアクリルアミドゲル上で予期された通りに移動する。環状化緩衝液中でAbf2pの非存在下においてT4 DNAリガーゼとD1をインキュベーションした後に、出発バンドは減少し、より遅い移動度の複数の強いバンドが現われた。今までに文献中で記載されているように、これらのバンドは出発のD1二重鎖の直線状のオリゴマーに対応し、最も多量であるオリゴマーはダイマーである。この結果から、ここで使用されるような高いDNA濃度(二重鎖D1において2μΜ)では、ミニサークルの生成なしに、混入の分子間ライゲーション産物のみがニックの入った直線状のDNA基質から形成されることが実証される。
反対に、同じライゲーション反応が湾曲タンパク質Abf2pの存在下において実行される場合、反応産物はかなり異なる。出発の二重鎖D1に対応するバンドは非常に弱く、DNAミニサークルに対応する強い新しいバンドが存在する。顕著なことには、混入する直線状のオリゴマーに対応するすべてのバンドは非常に弱い強度を有する。環状化効率は、直線状のダイマーに対するミニサークルの量の間の比によって大まかに推測することができる。ニックを含有する95bpのDNA二重鎖D1による環状化は8という高い比をもたらし、それは、連続的な直線状DNA基質の環状化反応において得られる1.5未満の比に対して有意である。したがって、このニックの入ったDNA基質は、糖−リン酸骨格の連続性を備えたDNA二重鎖を超える、Abf2p依存性に誘導される柔軟性のための非常に効果的なインプットDNAである。15塩基対の重複配列によって分離された各々の鎖中のニックの導入は、上昇させたDNA濃度でのミニサークル産生の高収率への寄与に関係する研究結果である。鎖のニックの存在によって導入されたDNA柔軟性は、対応するDNAミニサークル(Abf2pのための周知の選択的DNA基質であるかかる環状DNA形態)と比較して、Abf2pが直線状のニックの入ったDNA基質についての類似の高い結合親和性を示すという事実から推定される。パラメーター(ニックに隣接する塩基対の性質、重複配列の長さおよび位置、リガーゼ量等)は、環状化反応の効率と関係があるだろう。これらのパラメーターの複数の組み合わせは環状化反応を不十分に修飾する。特に、反応の収率が重複領域の長さに依存しないことが見出された。実際、10、15および20塩基対の重複は反応効率の修飾に寄与せず、ニックがDNA柔軟性を誘導し、この柔軟性が、効果的なリガーゼ媒介性DNA環状化反応のために、Abf2pがDNAに結合し恐らく湾曲させる効率を改善することを示す。
混合物をT5エキソヌクレアーゼにより続いて処理する。かかる酵素は、5’末端から効率的に直線状の二本鎖のDNAを消化し、一本鎖DNAにはより弱いエンドヌクレアーゼ活性を示す。エタノール沈殿およびゲルローディングに続いて、DNAの直線状の形態はすべて酵素によって消化され、これに対して二本鎖の閉鎖環状ミニサークルは予想されるように自由端部の非存在下においてエキソヌクレアーゼ消化に耐性があった。ゲル電気泳動から環状DNAのサイズを確定することができないので、次いで、環状化反応の間に特異的に形成された単一のHaeIII制限部位の存在の利用によって、ミニサークル産物が出発の直線状の95bp二重鎖に戻ることができることを確認した。HaeIIIによるミニサークルのインキュベーション後に、この移動は95bpの直線状の二重鎖の移動と同じであり、開始産物が95bpミニサークルであることを示す。純粋なDNAミニサークルのワンポット産生についての全収率は30%である(150μgの初期量のインプットDNAによる環状化反応の1mlあたり、50μgの95bpミニサークルが産生された)。
ミニサークルが、T5エキソヌクレアーゼ活性後にニックがないこと(共有結合で閉鎖されたミニサークル)を確かめるために、最終的な95bpミニサークルを変性ポリアクリルアミドゲル上で電気泳動した。DNAミニサークルは1つのバンドとして移動し、完全に共有結合で閉鎖されていることを示唆する。ニックの入ったミニサークル中間体を変性条件下でゲル上で容易に分離することを制御するために、2つのニックの入ったミニサークル中間体を構築した。その目的のために、出発の直線状DNA(図2、D2)を使用し、このDNAは、環状化が1つの鎖のみのDNA末端のシールによって起こるために、一方の鎖上で1つの5’末端だけがリン酸化される(図1B)。ミニサークルのニックの入った鎖の消化は一本鎖DNAミニサークルをもたらす(図1B、経路1)。95ヌクレオチド(nt)の相補的一本鎖ODN、または相補的な40ntおよび55ntの一本鎖オリゴヌクレオチド両方との等モルのハイブリダイゼーションは、それぞれ単一ニックおよび二重ニックの入ったミニサークルの形成を生じる。各々のニックの入った環状DNA対照は変性ゲル上で複数のバンド(一本鎖オリゴヌクレオチドおよび一本鎖ミニサークル)として移動する。この実験は、本方法論によって産生された二本鎖のDNAミニサークルにニックの入った鎖が欠けていることを示す。
図1B(経路1)中で示されるように、本方法は、二本鎖ミニサークル産生のためのものと同様の収率で、一本鎖環状ミニサークルの調製のためにも容易に使用することができる。したがって、本方法は環状の二本鎖および一本鎖のDNAナノ物体の構築には興味深い方法である。Abf2pはDNA巻き戻しを介してプラスミド中に負の超らせんの回転を導入することが示されている。本方法において産生されたミニサークルがスーパーコイルかどうかを決定するために、2つの標準的な方法(すなわち未変性ゲル電気泳動およびヌクレアーゼBal31に感受性)を使用した。ポリアクリルアミドゲル電気泳動において、マグネシウムカウンターイオンの存在が、DNAミニサークルが負のスーパーコイルの程度の関数として分離されることを支援することが公知である。図1Bの経路1中で図示されるように調製された95bpの単一ニックの入ったミニサークルを、対照として非拘束DNAのために使用する。本標準方法において調製されたDNAミニサークルは、Abf2p/DNAモル比(この比はモル/lでのDNA二重鎖の濃度に対するモル/lでのAbf2pの濃度として定義される)が1では、ニックの入ったDNAミニサークルの移動と同じ移動を示す。この結果は、本明細書において産生された95bpミニサークルがリラックス状態の共有結合で閉鎖された環状DNAであることを示唆する。このデータを確認するために、リラックスDNAミニサークルではなく拘束されたDNAミニサークルを消化する以前に使用された条件で、ミニサークルをBal31ヌクレアーゼと共にインキュベーションした。本方法論で産生されたDNAミニサークルはBal31に耐性があり、リラックス状態の閉鎖された環状DNAの形成が確認され、Abf2pの存在が本アッセイ条件でDNA巻き戻しを誘導しないことを示す。95bpミニサークルが、9(95bpを10.54bpで割った)に等しい整数のらせんの反復(Lk)を有し、DNAミニサークルのらせんの反復は本実験条件下で10.54bp/回転であると推測されることに注目されたい。したがって二重鎖の共有結合の閉鎖がねじれずに起こる。本戦略は、図2中で示されるように、インプットされた出発の直線状重複二重鎖D3、D4、D5およびD6の長さに依存して、様々なサイズのミニサークルをもたらすことができる。したがって84、95、116、158および200bpの長さのミニサークルが成功して産生された。
DNAミニサークル中に存在するDNA配列の性質および位置の選択の自由度(図3):
上で報告されたデータはランダム配列を含有するDNAにより得られた。ミニサークルの形成に使用されるDNA配列の性質および位置に関する本方法の多用性を例示するために、次いで本出願人は周知の転写因子NF−κBのためのコンセンサス配列を含有するDNAミニサークルをデザインした(図3)。1つまたは2つのκB結合部位(GGGACTTTCC)を含有する95bpミニサークルは、上で図示されたものと同じ条件において生成された(図3、D7およびD8)。反応の収率は変化せず、κB配列の位置(重複領域中で、または出発の直線状のニックの入ったDNAの末端で)に依存しなかった。次いでかかるDNAミニサークルの結合能力は、結合部位の数に従って試験された。電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)は非標識DNAミニサークルおよびSYBRグリーン染色(それは本方法によって産生された多量のミニサークルによる放射性標識を回避するという長所を提示する)を使用して実行された。ミニサークルとNF−κBの結合活性の実施例は図5中で示される。第一に、単一のNF−κB結合部位(図5、A)を含有する95bpのリラックス状態の閉鎖されたミニサークルを漸増濃度のNF−κBによりインキュベーションし、次いで反応混合物をEMSAによって分析した。NF−κBタンパク質(p50/p50ホモダイマー)の存在下において、遅れたバンドはDNAタンパク質複合体に対応して観察され、その強度はタンパク質濃度の関数として増加する。第2の結合部位がミニサークル内に存在する場合、ミニサークルへ第2のタンパク質が結合したことに対応する、第2のより遅く遅れたバンドの存在が観察された(図5、B)。この結果は、短いDNAミニサークルがDNA結合タンパク質(転写因子等)を効率的に引きつけることが可能であることを示す。NF−κBは炎症性経路の刺激を介して癌に関与する。治療用の対象となる特異的な標的タンパク質を引きつけるミニサークルの能力は、治療用の適用(デコイ戦略)のために非常に興味が持たれる。
プラスミドDNAの核インポートの促進のために従来使用される複数のNF−κB配列(配列3NF等)または6つのκB配列の配列を包含する95bpミニサークル(図3中で示されるような出発の二重鎖D9およびD10);出発の二重鎖D11を使用して様々な転写因子結合部位(NF−κB、ETS1、STAT3)の組み合わせを備えた95bpミニサークルも、効率的に産生された。
ヒトテロメア配列(TTAGGG)も二重鎖D12を使用して95bpミニサークルの一部とすることができる。DNAミスマッチも二重鎖D13を使用してミニサークル内に導入することができ、本明細書において提示された方法がDNAひずみを備えたミニサークルの調製を可能にすることを示す。
したがって、本明細書において提示されるような様々な配列を備えたミニサークル産生の全収率は、Abf2p活性とともに環状化される出発DNA基質中のニックの存在に主に依存する。しかしながら、予測されないDNA配列効果によって環状化反応の効率が修飾され得るかもしれないことを完全に除外することができない。かかる事例において、未変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動上での二重鎖の単純な分析によってオリゴヌクレオチドのアニーリングを制御することおよび/または環状化反応におけるAbf2pの量を増加させることが推奨される。
化学官能性を含有するミニサークルの産生(図4):
商業的に入手可能な合成DNAオリゴヌクレオチドは、固体支持体合成の過程で様々な塩基類似体および修飾により容易に官能化される。本明細書において、環状化反応が化学的に修飾したオリゴヌクレオチドを許容するかどうかを知るために、環状化の本方法論を複数の塩基修飾を含有するDNAへ拡張した。
部位特異的に配置された天然の塩基修飾を備えたミニサークル:
・8−オキソグアニン:
8−オキソグアニンは、DNAが酸化条件またはイオン化照射へさらされる場合に天然で形成される塩基修飾である。かかる損傷は、8−オキソグアニンの切り出しを触媒する周知の大腸菌由来ホルムアミドピリミジン(Fpg)修復タンパク質によって修復することができ、本アッセイにおいて鎖のニックをもたらす。
95bpミニサークルは、同じ鎖内に1つまたは2つのいずれかで8−オキソグアニン残基を含有するインプットDNAから産生した(図4、D14、D15)。単一または二重の8−オキソグアニンで修飾されたミニサークルの産生収率はDNA内の塩基修飾の存在に感受性はなく、塩基修飾の有無にかかわらず95bpミニサークルは、変性PAGE上で単一のバンドとして同一に移動する。単一の塩基修飾を含有するミニサークルがFpgの存在下においてインキュベーションされ、次いで反応混合物が変性ゲル上にロードされる場合、ミニサークルに対応する出発バンドが消滅して、それぞれ95ntの一本鎖ミニサークルおよび94ntの直線状の断片として共移動する2本の新規のバンドを生じることが観察できる。95bpミニサークルの同じ鎖内に2つの8−オキソグアニン残基を図示されるような位置(図4、D15)で導入することにより、Fpg活性後にDNA産物の予想されるサイズがもたらされる。治療用の対象となる修復タンパク質を引きつけそのための基質である複数の修飾塩基を持つDNAミニサークルの能力は、生物学的な適用(デコイベースの戦略)のために非常に興味が持たれる。
本方法論は、癌に関与する以下の複数の標的タンパク質をトラップする目的で、DNAミニサークル内に多様な修飾塩基を取り込むことへ拡張される。修復タンパク質(06−Me−dG修飾塩基による、06−アルキルグアニン−DNAアルキルトランスフェラーゼ等);DNAメチルトランスフェラーゼ(メチル化シトシン修飾塩基による、シトシン−5メチルトランスフェラーゼ等)。
部位特異的に配置された標識を備えたDNAミニサークル:
・ビオチン残基
ピリミジン環のC5原子へスペーサーによって連結したビオチン分子を備えた誘導体dTヌクレオチドの存在が本方法論において使用される環状化反応を修飾するかどうかを第一に調べた。二重鎖D16(図4)を使用して本プロトコルが完了した後に、産生の収率の減少なしに純粋な閉鎖されたDNAミニサークルを得た。ビオチン残基の存在および非存在下でミニサークルはEMSAゲルの下部で単一のバンドとして移動した。ミニサークルがストレプトアビジンによりプレインキュベーションされる場合、ミニサークルがビオチン残基を含有する時のみでより遅く移動するバンドが観察され、ストレプトアビジンがビオチン標識ミニサークルを結合することを示す。反対のDNA鎖上に配置された場合に第2のビオチンも取り込むことができる(図4、D17)。したがって、Abf2p依存性環状化反応は、かさ高いDNAの修飾の存在を支援する。
・蛍光色素分子:
ビオチンそれ自体は比較的小さな残基であるので、次いでビオチンの代わりの標識としてより大きな分子(蛍光色素分子等)を使用できるかどうかを調べた。インプットのシアニン3またはカルボキシフルオレセインにより修飾したDNA(図4、D18、D19、D20、D21)を使用して、本方法論は、シアニン3またはカルボキシフルオレセインによって部位特異的に標識された95bpミニサークルを良好な量で生成する。分光測光法測定から推定されるように、ヌクレオチドに対する蛍光色素分子の比から、1つまたは2つの蛍光色素分子が1つのミニサークルあたり存在することが確認された。
血清中でのヌクレアーゼ活性への抵抗性(図6):
上で示された実験および結果において例証されたように、本発明の閉鎖された二本鎖ミニサークルは、組換えエキソヌクレアーゼタンパク質(エキソヌクレアーゼIIIIおよびT5エキソヌクレアーゼ等)に耐性がある。エンドヌクレアーゼ活性ではなくエキソヌクレアーゼ活性が細胞質中の外来DNA分解の主要な機構であることが知られている(Sasaki,A.and Kinjo.,M.,2010,J.Control.Release 143,104−111)。したがって、ミニサークルが細胞中で高い安定性を有するに違いないことが予想される。しかしながら、分子療法(デコイ戦略等)における核酸の使用で重要な限定工程は、血液中での大きな不安定性である。ヌクレアーゼ分解に対するDNAミニサークル感受性を決定するために、DNAミニサークルをヒト血清中で37℃でインキュベーションした。アリコートを時間の関数として採取し、ポリアクリルアミドゲル上での移動後にミニサークル安定性を分析した。出発ミニサークルの量を、図6中で示されるように時間の関数として定量化した。95bpミニサークルの半減期は、リラックス形態および拘束形態についてそれぞれ約11時間および13時間であることが見出された。比較の目的のために、本実験条件におけるスーパーコイルプラスミドDNAは、以前のデータに一致して、約1分の非常に短い半減期を示すことが見出された(Houk,B.E.et al.,1999,AAPS Pharmsci.1,1−5.)。文献(Osako,M.,K.et al.,2007,J.Gene Med.9,812−819)にも一致して、直線状のDNA二重鎖は血清ヌクレアーゼ分解に非常に影響を受けやすいことが見出された。したがって、本発明に記載のホスホジエステル骨格を備えたミニサークルは、治療用オリゴヌクレオチドとしてのミニサークルのさらなる使用のために必要とされる特性であるヒト血清中で37℃での高い安定性を示す。
比較結果(図7):
本発明のDNAミニサークルを得る方法を、ミニサークルを得るための先行技術において使用された実験条件と、特に基質として直線状のニックの入っていないDNA二重鎖を使用し、かつ環状化反応の間に湾曲タンパク質の使用のないリガーゼ媒介性環状化方法と、比較した。図7は染色した未変性ポリアクリルアミドゲルのイメージを示し、Abf2p湾曲タンパク質の存在下において、リガーゼ媒介性環状化において形成されるオリゴマーの直線状産物が大幅に減少し、それと共にミニサークル産物が同時形成されることを、Abf2pの非存在下において実行された反応と比較して例証する。使用したリガーゼはT4 DNAリガーゼである。リガーゼによるDNA二重鎖のインキュベーションを、Abf2p有り(ライン5)または無し(ライン2)で実行した。
これらの結果は、先行技術の実験条件において(すなわち、ニックの入っていないDNA基質の使用およびDNA湾曲タンパク質無し)、T4 DNAリガーゼは、95bpの直線状二重鎖から環状DNAを完全に生成することができないことを実証する(図7のレーン3を参照)。かかる反応において形成されたライゲーション産物は直線状マルチマーであり、重要なことにはDNAミニサークルは形成されない。比較の目的のために、本発明において図示されるような典型的な反応条件がレーン5中で示され、高収率のDNAミニサークルが、わずかな量の直線状マルチマーと共に形成されることを示す。これらのデータは小さなDNA断片はリガーゼ媒介性環状化へ完全に耐性があることを例証する。
これらの結果は、リガーゼ依存性環化工程の間に直線状の合成のニックの入った基質およびDNA湾曲タンパク質の組み合わせ使用が、任意のサイズ(場合によっては250未満の塩基対)のミニサークルの産生の収率を大幅に改善することを実証する。かかる方法は、任意のサイズおよび配列のミニサークルのデザインならびに塩基修飾の包含における大きな柔軟性も提供する。

Claims (13)

  1. 80〜250未満の間の塩基対を含むDNAミニサークルのインビトロの産生のための方法であって、
    a)少なくとも1つのリン酸化5’末端を有するニックの入った二本鎖オリゴデオキシヌクレオチド平滑末端基質であって、80〜250未満の間の塩基対を含むニックの入った二本鎖オリゴデオキシヌクレオチド平滑末端基質を提供する工程と;
    b)前記ニックの入った二本鎖オリゴデオキシヌクレオチド基質、およびHMG群からの非配列特異的タンパク質からなる群から選択されるDNA湾曲タンパク質を含む反応混合物上でリガーゼ媒介性環状化を実行する工程と;
    c)DNAミニサークルを得る工程と
    を含む、DNAミニサークルのインビトロの産生のための方法。
  2. 工程c)が反応混入物を排除する工程を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 反応混入物を排除する工程c)が、プロテアーゼおよびエキソヌクレアーゼからなる群から選択された少なくとも1つの酵素の添加を含む、請求項2に記載の方法。
  4. HMG群からの非配列特異的タンパク質からなる群から選択される前記DNA湾曲タンパク質が、HMGB1、NHP6AまたはAbf2pタンパク質である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 工程a)で提供された前記ニックの入った二本鎖オリゴデオキシヌクレオチド基質が、10〜20塩基対の間に含まれる重複ニック間領域を示す、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 工程a)で提供された前記ニックの入った二本鎖オリゴデオキシヌクレオチド基質が2つのリン酸化5’末端を有し、工程c)で得られた前記DNAミニサークルが二本鎖の閉鎖されたリラックスDNAミニサークルである、請求項1または5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 工程a)で提供された前記ニックの入った二本鎖オリゴデオキシヌクレオチド平滑末端基質がただ1つのリン酸化5’末端を有し、工程c)で得られた前記DNAミニサークルが一本鎖DNAミニサークルである、請求項2〜5のいずれか一項に記載の方法。
  8. d)工程a)のニックの入った二本鎖オリゴデオキシヌクレオチド平滑末端基質鎖の非リン酸化5’末端を有する鎖に相補的な直線状のオリゴヌクレオチドを添加する工程と;
    e)ニックの入った二本鎖DNAミニサークルを得る工程と
    をさらに含む、請求項7に記載の方法。
  9. a)ただ1つのリン酸化5’末端を有するニックの入った二本鎖オリゴデオキシヌクレオチド平滑末端基質を提供する工程と、
    b)前記ニックの入った二本鎖オリゴデオキシヌクレオチド基質およびDNA湾曲タンパク質を含む反応混合物上でリガーゼ媒介性環状化を実行する工程と、
    c)ニックの入った二本鎖DNAミニサークルを得る工程と、
    d)工程c)で得られたニックの入った二本鎖DNAミニサークルへキナーゼを添加する工程と、
    e)DNAインターカレーターの存在下において前記ニックの入った二本鎖DNAミニサークルをライゲーションする工程と、
    f)スーパーコイルDNAミニサークルを得る工程と
    を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  10. 少なくとも1つのリン酸化5’末端を有する前記ニックの入った二本鎖オリゴデオキシヌクレオチド平滑末端基質が、タンパク質推定結合部位、DNA結合部位、化学官能性、DNA塩基ミスマッチからなる群から選択される少なくとも1つの配列官能化をさらに含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. タンパク質推定結合性部位が、転写因子、DNA修復タンパク質、テロメアタンパク質、リモデリング因子、ヘリカーゼ、ポリメラーゼ、構成上のタンパク質、トポイソメラーゼおよび制限酵素からなる群から選択されるタンパク質のための結合部位を含む、請求項10に記載の方法。
  12. 前記化学官能性が、部位特異的に配置された塩基修飾および部位特異的に配置された標識を含む、請求項10に記載の方法。
  13. a)なくとも1つのリン酸化5’末端を有し、80〜250未満の間の塩基対を含むニックの入った二本鎖オリゴデオキシヌクレオチド平滑末端基質と
    b)HMG群からの非配列特異的タンパク質からなる群から選択されるDNA湾曲タンパク質と;
    c)リガーゼと
    を含む、DNAミニサークルのインビトロの産生のためのキット。
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