JP6482052B2 - 細胞シート及び三次元細胞培養体の凍結保存のための緩慢ガラス化方法 - Google Patents

細胞シート及び三次元細胞培養体の凍結保存のための緩慢ガラス化方法 Download PDF

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Description

本発明は、細胞シート及び三次元細胞培養体の凍結保存のための緩慢ガラス化方法に関する。
細胞が凍結される際には、水が結晶化することによって、細胞が損傷を受けるとされている。そのために、水の結晶化を防いで、水がいわゆるガラス状態のままで固体となることが、細胞凍結技術の目標とされている。従来から、細胞の凍結保存のためには、細胞をガラス化剤(ガラス化液)に懸濁し、素早く液体窒素中にバイアルごと浸漬し、水の結晶化が成長する時間を与えないように、急速凍結することによって、水をガラス化しようと試みられてきた。
従来から知られているガラス化液として、DAP213がある。これはマウスの受精卵のガラス化用に開発されたものであり、数マイクロリットルという微量の場合にのみが想定されている。しかし、そのために、例えば200マイクロリットル程度に液量が増えると、ガラス化状態が不安定となり、融解時の再結晶化が問題となる。また、含有されるDMSOには分化への悪影響が懸念されており、アセトアミドには発がん性が懸念されている。また、ガラス化を防ぐために必然的に、高濃度で使用され、結果として高浸透圧で使用されることから、毒性が高いという問題がある。さらに、例えばマウス受精卵においては、60〜1000℃/secの凍結速度が要求されている。
このDAP213を含めて、従来のガラス化剤(ガラス化液)は、いずれも、素早い凍結操作が必要となり、熟練の技能が必要となるという不都合があった。また、高濃度高浸透圧での使用による毒性が懸念されていた。また、凍結保存後の融解時にも、再結晶化を防ぐ為に、急速な解凍が必要とされるという不都合があった。
このような急速凍結と急速解凍は、ガラス化のために当然のことであるとされながらも、液体窒素の突沸によって細胞やディッシュが物理的に損傷するなどのダメージが、伴うものであった。
動物幹細胞を分散懸濁して急速凍結して保存するための保存液の成分として、カルボキシル化したε−ポリ−L−リジンが報告されている(特許文献1)。しかし、このカルボキシル化したε−ポリ−L−リジンを使用して、三次元細胞培養体となった細胞を緩慢ガラス化できることは報告されていない。
特開2011−30557号公報
T. Fujioka, K. Yasuchika, Y. Nakamura, N. Nakatsuji, H. Suemori, A simple and efficient cryopreservation method for primate embryonic stem cells, Int. J. Dev. Biol. 48 (2004) 1149-1154.
このように、従来のガラス化方法は、ガラス化剤を使用して急速凍結することによって行われるものであった。しかし、従来のガラス化剤の使用と急速凍結は、細胞への毒性や分化への影響が懸念されること、技能の熟練が要求されること、急速凍結や急速解凍に伴う物理的なダメージがあることなどの不都合があった。そして、細胞シート及び三次元細胞培養体への物理的ダメージは、従来のガラス化法では、ほとんど不可避のものであった。
したがって、本発明の目的は、これらの不都合を回避しつつ、細胞生存率の高い、細胞シート及び三次元細胞培養体を破損することなくガラス化可能な、新しい凍結保存方法を提供することにある。
本発明者は、鋭意研究の結果、カルボキシル基を導入したε−ポリ−L−リジンをガラス化剤として使用して、細胞シート及び三次元細胞培養体を急速凍結することなく、気体雰囲気中で緩慢ガラス化を行うことによって、従来のガラス化法における急速凍結に伴う物理的なダメージを回避しつつ、高い生存率を達成することができることを見いだして、本発明に到達した。また、この操作は、急速凍結を伴わないことから、高度な熟練が要求されないものとなっていた。
したがって、本発明は、次の(1)〜にある。
(1)
細胞シート又は三次元細胞培養体の形態である培養細胞の培地を、カルボキシル基を導入したε−ポリ−L−リジンを含むガラス化溶液と、置換する工程、
培地がガラス化溶液によって置換された培養細胞を、気体雰囲気中で冷却する工程、
を含む、細胞シート又は三次元細胞培養体の形態である培養細胞を、緩慢ガラス化する方法。
(2)
(1)に記載の方法によって、細胞シート又は三次元細胞培養体の形態である緩慢ガラス化された培養細胞を、製造する方法。
(3)
培養細胞を気体雰囲気中で冷却する工程が、
0.07〜1.00℃/secの範囲の降温速度で冷却する工程である、
(1)〜(2)のいずれかに記載の方法。
(4)
培養細胞を気体雰囲気中で冷却する工程が、
0.08〜1.00℃/secの範囲の降温速度で冷却する工程である、
(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5)
培養細胞を気体雰囲気中で冷却する工程が、
培養細胞を、液体窒素から気化した低温気体窒素によって冷却する工程である、
(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6)
培養細胞を気体雰囲気中で冷却する工程が、
培養細胞を、断熱容器中において、液体窒素の液面の上方に設置して、液体窒素から気化した低温気体窒素によって冷却する工程である、
(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(7)
培養細胞を気体雰囲気中で冷却する工程が、
培養細胞を、断熱容器中において、液体窒素の液面の上方に設置して、液体窒素の液面からの高さを変化させることによって培養細胞の降温速度を調整して、液体窒素から気化した低温気体窒素によって冷却する工程である、
(1)〜(6)のいずれかに記載の方法。
(8)
(1)〜(7)のいずれかに記載の方法によって緩慢ガラス化した培養細胞を、液体窒素中又は液体窒素から気化した低温気体窒素中で保存する工程、
を含む、細胞シート又は三次元細胞培養体の形態である培養細胞を凍結保存する方法。
さらに、本発明は、次の(11)〜にもある。
(11)
細胞シート又は三次元細胞培養体の形態である培養細胞の培地を、カルボキシル基を導入したε−ポリ−L−リジンを含むガラス化溶液と、置換する工程が、
細胞シート又は三次元細胞培養体の形態である培養細胞の培地を、C2〜C4のポリオールを含む平衡液に置換する工程、
細胞シート又は三次元細胞培養体の形態である培養細胞において、培地と置換された平衡液を、カルボキシル基を導入したε−ポリ−L−リジンを含むガラス化溶液と、置換する工程、
を含む工程によって行われる、(1)〜(8)のいずれかに記載の方法。
(12)
細胞シート又は三次元細胞培養体の形態である培養細胞の培地を、平衡液に置換する工程が、
20〜30℃の範囲の温度の平衡液を、20〜30℃の範囲の周囲温度で置換することによって行われる、(11)に記載の方法。
(13)
細胞シート又は三次元細胞培養体の形態である培養細胞の培地を、平衡液に置換する工程が、
5分〜60分の範囲の時間で行われる、(11)〜(12)のいずれかに記載の方法。
(14)
平衡液が、10〜30質量%のC2〜C4のポリオールを含む培地である、(11)〜(13)のいずれかに記載の方法。
(15)
C2〜C4のポリオールが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、及びグリセリンからなる群から選択された1種以上である、(11)〜(14)のいずれかに記載の方法。
(16)
平衡液が、300〜1500mOsm/Lの範囲の浸透圧を有する、(11)〜(15)のいずれかに記載の方法。
(17)
細胞シート又は三次元細胞培養体の形態である培養細胞において、培地と置換された平衡液を、カルボキシル基を導入したε−ポリ−L−リジンを含むガラス化溶液と、置換する工程が、
0℃〜10℃の範囲の温度のガラス化溶液を、0℃〜10℃の範囲の周囲温度で置換することによって行われる、(11)〜(16)のいずれかに記載の方法。
(18)
細胞シート又は三次元細胞培養体の形態である培養細胞において、培地と置換された平衡液を、カルボキシル基を導入したε−ポリ−L−リジンを含むガラス化溶液と、置換する工程が、
1分〜30分の範囲の時間で行われる、(11)〜(17)のいずれかに記載の方法。
(19)
ガラス化溶液が、カルボキシル基を導入したε−ポリ−L−リジンを5〜15質量%の濃度で含む培地である、(11)〜(18)のいずれかに記載の方法。
さらに、本発明は、次の(21)〜にもある。
(21)
(1)〜(7)及び(11)〜(17)のいずれかに記載の方法によってガラス化された細胞シート又は三次元細胞培養体の形態である培養細胞を、凍結保存する工程、
凍結保存された培養細胞を、解凍する工程、
を含む、細胞シート又は三次元細胞培養体の形態である、生存した培養細胞を製造する方法。
(22)
凍結保存された培養細胞を、解凍する工程が、
凍結保存された培養細胞に、糖又は糖アルコールを含む融解液を添加して解凍する工程、
を含む、(21)に記載の方法。
(23)
融解液を添加して解凍する工程が、20〜38℃の範囲の温度に加温された融解液を、20〜38℃の範囲の周囲温度で添加して、解凍する工程である、(22)に記載の方法。
(24)
融解液が、0.5〜1.2Mの糖又は糖アルコールを含む培地である、(22)〜(23)のいずれかに記載の方法。
(25)
糖又は糖アルコールが、スクロース、トレハロース、グルコース、ラフィノース、マルトース、フルクトース、イヌリン、フルクタンからなる群から選択された糖又は糖アルコールである、(22)〜(24)のいずれかに記載の方法。
(26)
融解液が、300〜1500mOsm/Lの範囲の浸透圧を有する、(22)〜(25)のいずれかに記載の方法。
さらに、本発明は、次の(31)〜にもある。
(31)
凍結保存された培養細胞を、解凍する工程の後に、
糖又は糖アルコールを含む融解液を添加して解凍された培養細胞に、糖又は糖アルコールを融解液の濃度の0.3倍〜0.6倍の濃度で含み且つ融解液と同じ組成の培地を含む希釈液を添加する工程、
を含む、(21)〜(26)に記載の方法。
(32)
希釈液を添加する工程が、20〜38℃の範囲の温度に加温された希釈液を、20〜38℃の範囲の周囲温度で添加する工程である、(31)に記載の方法。
(33)
希釈液が、250〜500mOsm/Lの範囲の浸透圧を有する、(31)〜(32)のいずれかに記載の方法。
(34)
希釈液を添加する工程の後に、
希釈液を廃棄した後に、培養細胞に、培地からなる洗浄液を添加する工程、
を含む、(31)〜(33)のいずれかに記載の方法。
(35)
洗浄液を添加する工程が、20〜38℃の範囲の温度に加温された希釈液を、20〜38℃の範囲の周囲温度で添加する工程である、(34)に記載の方法。
(36)
培養細胞に、培地からなる洗浄液を添加する工程の後に、
培地を含む洗浄液を廃棄した後に、培養細胞に、新たに、培地からなる洗浄液を添加する工程、
を含む、(31)〜(35)のいずれかに記載の方法。
さらに、本発明は、次の(41)〜にもある。
(41)
カルボキシル基を導入したε−ポリ−L−リジンを含む、細胞シート又は三次元細胞培養体用緩慢ガラス化剤。
(42)
カルボキシル基を導入したε−ポリ−L−リジンにおいて、アミノ基に対するカルボキシル基の比率(カルボキシル基/アミノ基)が0.8〜19の範囲にある、(41)に記載の細胞シート又は三次元細胞培養体用緩慢ガラス化剤。
(43)
カルボキシル基を導入したε−ポリ−L−リジンが、
ε−ポリ−L−リジンのアミノ基と、無水ジカルボン酸との反応生成物によって、アミノ基の位置にカルボキシル基が導入されてなる、(41)〜(42)のいずれかに記載のの細胞シート又は三次元細胞培養体用緩慢ガラス化剤。
(44)
無水ジカルボン酸が、C4〜C8の無水ジカルボン酸である、(43)に記載の細胞シート又は三次元細胞培養体用緩慢ガラス化剤。
(45)
(41)〜(44)のいずれかに記載の培養細胞用緩慢ガラス化剤を、5〜15質量%の濃度で含む培地である、細胞シート又は三次元細胞培養体用緩慢ガラス化剤。
(46)
(41)〜(45)のいずれかに記載の緩慢ガラス化剤の、細胞シート又は三次元細胞培養体形態の培養細胞を緩慢ガラス化するための使用(use)。
本発明によれば、従来のガラス化法では、急速凍結による物理的ダメージの大きさから凍結保存が難しかった、細胞シート及び三次元細胞培養体などの形態の培養細胞に対して凍結保存の手段を提供することができる。また、本発明は、急速凍結を伴わないことから、高度な熟練が要求されないものとなっており、高度な研究施設にとどまることなく、一般的な医療現場においても、広く普及可能な技術となっている。
図1は、緩慢ガラス化装置の断面を示した説明図である。 図2aは、ガラス化液10分後未凍結のLive/Dead Assayの結果を示す蛍光写真である。 図2bは、ガラス化液10分後未凍結のLive/Dead Assayの結果を示す蛍光写真である。 図2cは、ガラス化液10分後未凍結のLive/Dead Assayの結果を示す蛍光写真である。 図3aは、0.1cmガラス化解凍後1日後のLive/Dead Assayの結果を示す蛍光写真である。 図3bは、0.1cmガラス化解凍後1日後のLive/Dead Assayの結果を示す蛍光写真である。 図3cは、0.1cmガラス化解凍後1日後のLive/Dead Assayの結果を示す蛍光写真である。 図4aは、0.5cmガラス化解凍後1日後のLive/Dead Assayの結果を示す蛍光写真である。 図4bは、0.5cmガラス化解凍後1日後のLive/Dead Assayの結果を示す蛍光写真である。 図4cは、0.5cmガラス化解凍後1日後のLive/Dead Assayの結果を示す蛍光写真である。 図5aは、1.0cmガラス化解凍後1日後のLive/Dead Assayの結果を示す蛍光写真である。 図5bは、1.0cmガラス化解凍後1日後のLive/Dead Assayの結果を示す蛍光写真である。 図5cは、1.0cmガラス化解凍後1日後のLive/Dead Assayの結果を示す蛍光写真である。 図6aは、6.0cmガラス化解凍後1日後のLive/Dead Assayの結果を示す蛍光写真である。 図6bは、6.0cmガラス化解凍後1日後のLive/Dead Assayの結果を示す蛍光写真である。 図6cは、6.0cmガラス化解凍後1日後のLive/Dead Assayの結果を示す蛍光写真である。 図7aは、−80℃フリーザー凍結解凍後1日後のLive/Dead Assayの結果を示す蛍光写真である。 図7bは、−80℃フリーザー凍結解凍後1日後のLive/Dead Assayの結果を示す蛍光写真である。 図7cは、−80℃フリーザー凍結解凍後1日後のLive/Dead Assayの結果を示す蛍光写真である。 図8は、降温速度と解凍直後の生存率の関係を示すグラフである。 図9は、降温速度と解凍後1日培養後の生存率の関係を示すグラフである。 図10は、ガラス化保存後の幹細胞の分化を示す光学顕微鏡による染色写真である。 図11は、3D培養用ポリスチレンの構造を説明する概念図である。 図12は、ヒト培養皮膚組織のガラス化実験でのMTTアッセイの結果のグラフである。 図13は、未凍結のヒト培養皮膚組織の断面の光学顕微鏡写真である。 図14は、緩慢ガラス化したヒト培養皮膚組織の断面の光学顕微鏡写真である。 図15は、ガラス化と解凍のプロトコルをまとめた説明図(Scheme2)である。
具体的な実施の形態をあげて、以下に本発明を詳細に説明する。本発明は、以下にあげる具体的な実施他の形態に限定されるものではない。
[緩慢ガラス化]
本発明による培養細胞の緩慢ガラス化は、細胞シート又は三次元細胞培養体の形態である培養細胞の培地を、カルボキシル基を導入したε−ポリ−L−リジンを含むガラス化溶液(ガラス化液)と、置換する工程、培地がガラス化溶液によって置換された培養細胞を、気体雰囲気中で冷却する工程、を含む方法によって、行うことができる。この方法によれば、急速凍結に伴う物理的なダメージを回避しつつ、高い生存率を達成することができ、急速凍結では凍結保存が難しかった、細胞シート及び三次元細胞培養体の形態の細胞に対して、有効なガラス化を行うことができる。
[緩慢ガラス化装置]
本発明の好適な実施の態様において、使用可能な緩慢ガラス化装置の断面の説明図を、図1に示す。断熱性の容器1の中には、液体窒素3が入れられている。液体窒素3の液面から高さhの位置に、トレイ5が位置している。トレイ5は、昇降軸7を介して昇降装置9から吊り下げられている。昇降軸7に平行して記載された両矢印が示すように、昇降装置9によってトレイ5は上下することができて、トレイ5の底面は液面からの高さhを変化させることができる。トレイ5には、細胞培養用のディッシュ11を載置することができる。ディッシュ11には、図示されないガラス化液(ガラス化溶液)や細胞シート又は三次元細胞培養体を、細胞培養に適した状態で入れることができる。ディッシュ11の中のガラス化液や細胞シート又は三次元細胞培養体の温度は、液面からの高さhを変化させることによって、調節することができる。図示されないガラス化液や細胞シート又は三次元細胞培養体には、温度測定のための熱電対を設置することができ、この熱電対を通じて、ディッシュ11に入ったガラス化液や細胞シート又は三次元細胞培養体の温度を測定することができる。この装置は、簡便な構造でありながら、緩慢ガラス化に必要な温度調節を確実に行うことができ、ディッシュ11の中の培養細胞がガラス化した後に、トレイ5をそのまま液体窒素中に浸漬して、保存を行うことができる。
昇降軸7は、棒状の軸であってもよく、ワイヤ状の軸であってもよく、また、複数を設けることもできる。また、昇降軸7は、トレイ5を昇降させて液面からの高さを変化させることができればよいので、軸の形状に代えて、カゴ状、板状、壁状、円筒状などの形状で、トレイ5を囲んで固定するものであってもよい。トレイ5は、ディッシュ11を載置あるいは固定することができるものであればよく、トレイ状であってもよいし、その他の形状の固定器具であってもよい。また、トレイ5は、培養細胞の温度調節が適切に行える範囲であれば、多段にして設けてもよい。図示されない熱電対は、温度測定の手段であるから、適切に温度測定できるセンサーであれば、熱電対に限られず、使用することができる。また、適切に温度測定できる手段であれば、直接接触することがない手段でも使用することができる。昇降装置9は、昇降軸7を介してトレイ5を必要に応じて昇降させることができる装置であれば使用することができ、緩慢ガラス化の操作を終えた後に、取り外し可能なものであってもよい。ディッシュ11は、培地がガラス化溶液に置換された培養細胞を収納する容器であって、トレイ5に載置又は固定して、降温調整が適切に行えるものであれば、ディッシュ状の形状に限られずに、使用することができる。
なお、本発明に使用可能な緩慢ガラス化装置は、培養細胞を気体雰囲気中で冷却する工程が、降温速度を制御しつつ行うことができるものであればよく、図1に示した装置に限られるものではない。例えば、温度制御された冷却用気体を、培養細胞のディッシュ等に導入接触することができるものあればよい。
[培養細胞]
本発明によれば、急速凍結による物理的ダメージを回避できるために、浮遊細胞の形態の培養細胞よりもガラス化が困難である、細胞シート、三次元細胞培養体などの形態の培養細胞に対して、好適に実施することができる。細胞シートについては、多層を形成して厚みがあるもの、細胞が包埋されているマトリクスに厚みがあるものについても、好適にガラス化することができ、例えば、0.01mm以上、0.05mm以上、0.1mm以上の厚みであって、例えば、5mm以下、2.5mm以下、1mm以下の厚みを有するシート形状の培養細胞を、ガラス化することができる。例えば、0.01〜5mm、0.05〜5mm、0.05〜2.5mm、0.05〜1mm、0.1〜2.5mm、0.1〜1mmの厚みのシート形状の培養細胞をガラス化することができる。このようなシート形状の培養細胞は、細胞シートということもできるが、その厚みは、単層の細胞層の厚みを遥かに超える範囲に細胞が配置されているのであるから、これを三次元細胞培養体ということもできる。また、細胞培養体としては、シート形状のものの他に、例えば、三次元メッシュ構造の構造体に細胞を播種して培養している形態のものを挙げることができる。このような三次元メッシュ構造体は、この構造体のまま生体に埋め込んで、組織再生の足場とすることができる点で、特に有用なものである。このような三次元メッシュ構造は、例えば、繊維径50μm〜300μmの繊維が、孔径50μm〜500μmのメッシュ構造となるように、立体的に編み合わされてなる。この構造体の全体形状は、包埋する組織の形状にあわせて、適宜選択することができるが、例えば、略球形、略円柱形、略円盤型などとすることができ、外形の高さ又は厚みを、例えば、0.1mm以上、0.5mm以上、1mm以上、例えば、10mm以下、5mm以下、2.5mm以下、1mm以下とすることができる。例えば、三次元構造体の高さ又は厚みを、例えば、0.1〜5mm、0.5〜5mm、0.5〜2.5mm、0.5〜1mm、1〜2.5mmとすることができる。
[培地の置換]
培養細胞は、ガラス化に先だって、培地を、培養細胞用緩慢ガラス化溶液に置換される。好適な実施の態様において、培地の置換は、培地を、いったん平衡液に置換し、次に、ガラス化溶液に置換する手順をとることができる。
[平衡液]
好適な実施の態様において、平衡液は、C2〜C4のポリオールを含む培地である。C2〜C4のポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、及びグリセリンからなる群から選択された1種以上を挙げることができ、特に、エチレングリコールを挙げることができる。平衡液中に含まれるC2〜C4のポリオールの含有量は、平衡液全体に対して、例えば10質量%〜30質量%の範囲、好ましくは15質量%〜25質量%の範囲とすることができる。好適な実施の態様において、平衡液は、300〜2000mOsm/Lの範囲、好ましくは300〜1500mOsm/L、さらに好ましくは500〜1500mOsm/Lの範囲の浸透圧を有する。通常、平衡液としては、培養細胞に使用される培地の成分を含み、かつC2〜C4のポリオールを含む溶液が使用される。培地に使用される培地の成分としては、培養細胞に対して使用される通常の培地の成分を使用することができる。
[平衡液への置換]
好適な実施の態様において、平衡液への置換は、培養細胞の培地をいったん廃棄した後に、平衡液を添加することによって行うことができ、例えば20〜30℃の範囲の温度の平衡液へと20〜30℃の範囲の周囲温度で置換することができ、例えば5〜60分の範囲の時間をかけて浸透させて置換することができる。
[ガラス化溶液]
ガラス化溶液(ガラス化液)は、ガラス化剤として、カルボキシル基を導入したε−ポリ−L−リジンを含んでいる。ガラス化溶液中に含まれるガラス化剤の含有量は、ガラス化溶液全体に対して、例えば、1.0質量%〜20質量%の範囲、好ましくは5.0質量%〜15質量%の範囲、さらに好ましくは5.0質量%〜10質量%の範囲とすることができる。通常、ガラス化溶液としては、培養細胞に使用される培地の成分を含み、かつガラス化剤を含む溶液が使用される。培地に使用される培地の成分としては、培養細胞に対して使用される通常の培地の成分を使用することができる。
[ガラス化溶液への置換]
好適な実施の態様において、ガラス化溶液への置換は、培養細胞の培地をいったん平衡液に置換した後に平衡液を廃棄して、その後、ガラス化溶液を添加することによって行うことができ、例えば0℃〜10℃の範囲の温度のガラス化溶液へと0℃〜5℃の範囲の周囲温度で置換することができ、例えば1分〜30分の範囲の時間をかけて浸透させて置換することができる。
[培地]
上記平衡液及びガラス化溶液に使用される培地の成分としては、培養細胞に対して使用される通常の培地の成分を使用することができ、これは対象とする培養細胞に応じて、当業者が適宜選択することができるが、例えば、DMEM培地、EMEM培地、RPMI1640培地、F12培地、TC199培地、GMEM培地、αMEM培地を挙げることができる。
[ガラス化剤]
培養細胞用緩慢ガラス化剤として、カルボキシル基を導入したε−ポリ−L−リジンが使用される。カルボキシル基を導入したε−ポリ−L−リジンにおいて、アミノ基に対するカルボキシル基の比率(カルボキシル基/アミノ基)が、例えば0.8〜19の範囲、好ましくは1.0〜18の範囲、さらに好ましくは1.5〜15の範囲とすることができる。
[降温速度]
緩慢ガラス化は、急速冷却することなく、緩慢に冷却することによって、行われる。このような緩慢な冷却における降温速度は、好ましくは、例えば2℃/sec以下、1℃/sec以下、0.6℃/sec以下、例えば0.07℃/sec以上、0.08℃/sec以上、例えば0.07℃/sec〜2℃/secの範囲、0.08℃/sec〜2℃/secの範囲、0.08℃/sec〜1℃/secの範囲、0.08℃/sec〜0.6℃/secの範囲の降温速度とすることができる。例えば、急速な冷却を試みるためにディッシュを直接に液体窒素に浸漬すると、65℃/secの降温速度などを実現することができるが、本発明の降温速度は、このような降温速度から著しく遅い降温速度である。このような降温温度の範囲とする降温方法としては、例えば上述した緩慢ガラス化装置を使用する方法があるが、これに限られるものではない。
[凍結保存]
緩慢ガラス化された培養細胞は、ガラス化状態のまま、例えば液体窒素中あるいは液体窒素から気化した低温気体窒素中などで、凍結保存することができる。
[解凍]
本発明により緩慢ガラス化されて凍結保存されていた培養細胞は、細胞シート又は三次元細胞培養体の形態であるにもかかわらず、破損することなく、高い生存率で解凍することができる。解凍の手段としては、公知の手段を使用することができるが、好適な実施の態様において、凍結した培養細胞へ融解液を添加して、解凍することができる。
[融解液]
凍結した培養細胞へ添加する融解液は、糖又は糖アルコールを含む融解液を使用することができる。好適な実施の態様において、融解液は、糖又は糖アルコールを含む培地である。糖又は糖アルコールとしては、例えば、スクロース、トレハロース、グルコース、ラフィノース、マルトース、フルクトース、イヌリン、フルクタンからなる群から選択された糖又は糖アルコールを使用することができる。糖又は糖アルコールの濃度は、例えば0.5〜1.2M、好ましくは0.8〜1.2M、さらに好ましくは0.9〜1.1Mの範囲の濃度を使用することができる。好適な実施の態様において、融解液は、300〜2000mOsm/Lの範囲、好ましくは300〜1500mOsm/L、さらに好ましくは500〜1500mOsm/Lの範囲の浸透圧を有する。通常、融解液としては、培養細胞に使用される培地の成分を含み、かつ糖又は糖アルコールを含む溶液が使用される。培地に使用される培地の成分としては、培養細胞に対して使用される通常の培地の成分を使用することができ、これらは平衡液及びガラス化溶液について、上述した通りである。
[融解液の添加]
融解液は、凍結した培養細胞に直接に添加することができる。好適な実施の態様において、例えば20〜38℃の範囲、好ましくは30〜38℃の範囲の温度に加温された融解液を、例えば20〜38℃の範囲、好ましくは30〜38℃の範囲の周囲温度で添加して、解凍することができる。
[融解液の希釈]
好適な実施の態様において、融解液を添加して解凍された培養細胞に対して、さらに、融解液を廃棄した後に、希釈液を添加することができる。好適な実施の態様において、希釈液は、糖又は糖アルコールを融解液の濃度の0.3倍〜0.6倍の濃度で含み且つ融解液と同じ組成の培地を含む。希釈液に含まれる糖又は糖アルコールは、好ましくは融解液に含まれる糖又は糖アルコールである。希釈液は、200〜1000mOsm/Lの範囲、好ましくは300〜600mOsm/Lの範囲の浸透圧を有する。好適な実施の態様において、例えば20〜38℃の範囲、好ましくは30〜38℃の範囲の温度に加温された希釈液を、例えば20〜38℃の範囲、好ましくは30〜38℃の範囲の周囲温度で添加することができる。
[洗浄]
好適な実施の態様において、希釈液を添加された培養細胞に対して、さらに、希釈液を廃棄した後に、培地からなる洗浄液を添加することができる。好適な実施の態様において、例えば20〜38℃の範囲、好ましくは30〜38℃の範囲の温度に加温された洗浄液を、例えば20〜38℃の範囲、好ましくは30〜38℃の範囲の周囲温度で添加することができる。洗浄液に使用される培地としては、培養細胞に対して使用される通常の培地の成分を使用することができ、これらは平衡液及びガラス化溶液について、上述した通りである。
[好適な実施の一態様]
好適な実施の一態様において、上述の解凍、希釈、洗浄の操作として、例えば、凍結されていた培養細胞を、37℃で融解液を添加して1分保持した後に取り除き、次に室温で希釈液を添加して3分保持した後に取り除き、次に室温で洗浄液を添加して5分保持した後に取り除く作業を2回(5分×2回)行うことができる。融解液としては、例えば使用している培地に1Mスクロースを含有させた溶液を、希釈液としては、例えば使用している培地に0.5Mスクロースを含有させた溶液を、洗浄液としては、例えば使用している培地と同じ溶液を、それぞれ使用することができる。
[カルボキシル基を導入したε−ポリ−L−リジンの合成]
カルボキシル基を導入したε−ポリ−L−リジンは、ε−ポリ−L−リジンから出発して、例えば、次のスキーム1にしたがって、合成することができる。
上記のスキーム1では、ε−ポリ−L−リジンのアミノ基と、無水ジカルボン酸との反応によって、ε−ポリ−L−リジンにカルボキシル基が導入されている。例えば、C4〜C8の無水ジカルボン酸を使用することができ、好ましくは無水コハク酸を使用することができる。ε−ポリ−L−リジンのアミノ基のうち、カルボキシル基に置換された割合(百分率)が、65%であるとき、このカルボキシル基を導入したε−ポリ−L−リジンを、PLL(0.65)と記載することがある。PLL(0.65)であれば、アミノ基に対するカルボキシル基の比率(カルボキシル基/アミノ基)は、約1.86となる。
以下に実施例をあげて、本発明を詳細に説明する。本発明は、以下に例示する実施例に限定されるものではない。
[1.カルボキシル化ポリリジンの合成]
ε−ポリ−L−リジン(チッソ、分子量4000)25%水溶液を5mLとり、無水コハク酸(和光純薬)を0.5−0.9g添加し、50℃で1時間反応させ、カルボキシル化ポリリジンを作成した。カルボキシル基の導入量は、アミノ基定量である、TNBS法を用い、アミノ基の減少量より計算し求めた。以下では、カルボキシル基導入前のアミノ基のモル数(100%)に対して、65%のモル数のカルボキシル基を導入したものをPLL(0.65)と表記する。
[2.ヒト脂肪由来間葉系幹細胞のシート培養]
ヒト脂肪由来間葉系幹細胞(ADSC、Lonza製)1×105を個3.5cm培養用ディッシュに播種し、10%牛胎児血清(FBS)添加ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)にて2週間培養し、コンフルエント状態のシートを作成した。培地は2日に一回交換し、培地交換時にbFGFを2ng/mL添加した。
[3.平衡液、ガラス化液、融解液、希釈液、洗浄液の作成]
平衡液は20%エチレングリコール/DMEMを用いた。
ガラス化液は、以下の三種類を用いた。
・DAP213(ジメチルスルホキシド(DMSO)2M、アセトアミド1M、プロピレングリコール3M/DMEM): DAP
・エチレングリコール6.5M・スクロース0.5M/DMEM溶液: 0%PLL 6.5M EG 0.5M Su
・エチレングリコール6.5M・スクロース0.5M・PLL(0.65)10w/w% /DMEM溶液: 10%PLL 6.5M EG 0.5M Su
融解液は1Mスクロース/DMEM、希釈液は0.5Mスクロース/DMEM、洗浄液はDMEMを用いた。
[4.ガラス化プロトコルと生存率評価]
MSCを培養した3.5cmディッシュに平衡液を2mL添加し、室温で25分平衡化した。その後、平衡液を除去したのち氷上でガラス化液(3種、各二枚ずつ)0.2mLに置換し、10分間放置し、細胞内の水を脱水し、ガラス化液中の浸透成分を細胞内に浸透させた。
その後、MSCを培養したディッシュを緩慢ガラス化装置(図1)に乗せ、底面と液体窒素液面の距離を1mmから60mmまでコントロールし、その雰囲気の液体窒素蒸気によりガラス化させた。液温は熱電対により測定し、温度が−100℃まで達した後ディッシュを液体窒素に浸漬して1日液体窒素中で保存した。
図1は、このガラス化に使用した緩慢ガラス化装置の断面を示した説明図である。断熱性の容器1の中には、液体窒素3が入れられている。液体窒素3の液面から高さhの位置に、トレイ5が位置している。トレイ5は、昇降軸7を介して昇降装置9から吊り下げられている。昇降軸7に平行して記載された両矢印が示すように、昇降装置9によってトレイ5は上下することができて、トレイ5の底面は液面からの高さhを変化させることができる。トレイ5には、細胞培養用のディッシュ11を載置することができる。ディッシュ11には、図示されないガラス化液や細胞シートを、細胞培養に適した状態で入れることができる。ディッシュ11の中のガラス化液や細胞シートの温度は、液面からの高さhを変化させることによって、調節することができる。図示されないガラス化液や細胞シートには、温度測定のための熱電対を設置することができ、この熱電対を通じて、ディッシュ11に入ったガラス化液や細胞シートの温度を測定することができる。
解凍は、以下の要領で行った。あらかじめ暖めた37℃の融解液を2mL添加し、1分後、溶解した液を捨てた。続いて希釈液を2mL加え、3分後、上清を除去し、次に洗浄液を2mL添加して洗浄した。洗浄操作は2回行った。
その後、1枚はトリプシン溶液を用いてすべて細胞をはく離し、生存率を評価した。もう一枚の方は解凍後翌日(24時間培養後)にLive−deadアッセイキット(invitrogen)により細胞の生死判定を行った。
これらのガラス化と解凍のプロトコルをスキーム2としてまとめて、図15に示す。
[5.ガラス化実験と結果]
[5.1:降温速度]
液体窒素液面からの距離h(cm)とその場の蒸気温度、およびその場でのディッシュ中のガラス化液の降温速度を次の表1に示した。降温速度は、10℃から−40℃までの傾きから計算した。
(Directにディッシュを液体窒素に浸漬した時は65℃/sec)
液面からの距離が離れるに従って降温速度は小さくなっていることが確認された。6.0cmでは、−80℃のフリーザーに放置したときと近い値であった。液面から1mmの蒸気での降温速度は0.575℃/secであり、ディッシュを液体窒素に直接浸漬した場合の65℃/secに比べると100倍程度遅い事がわかった。また、ディッシュがさらされていた窒素蒸気温度は液面から1、5、10、60mmの点でそれぞれ−158±1.4、−152±2.1、−145±1.7、−75±2.8℃であった。
[5.2:Live/Deadアッセイ]
図2は各ガラス化液に10分間の浸漬後、凍結せずに洗浄した時のLive/Deadアッセイの結果を示す写真である。図2は、カラー写真においては、緑と赤の二重の蛍光染色の写真となっており、緑の蛍光は生存している細胞を示し、赤の蛍光は生存していない細胞を示している。生存率はこれらを計数することによって算出した。この結果から、DAPは毒性が高く、凍結に供しない場合でも細胞にダメージを与えることがわかる。エチレングリコール系のガラス化液はほとんど細胞にダメージは見られなかったが、PLL添加系の方がより生細胞が多かった。
液体窒素液面からの距離0.1cm、0.5cm、1.0cm、6.0cmでガラス化した後、解凍後1日後のLive/Deadアッセイの写真を図3、図4、図5、図6にそれぞれ示す。液面から0.1、0.5、1.0cmではDAPのみ生存細胞数が低くなり、エチレングリコール系で高い効果を示すことがわかった。一方、6.0cm(0.083℃/sec)ではカルボキシル化ポリリジン添加系のみで細胞の生存が確認され、カルボキシル化ポリリジンの有用性が示された。一方、−80℃のフリーザーに放置した場合、(0.078℃/sec)はすべての系で細胞のダメージが高かった(図7)。0.08℃/secあたりがガラス化の安定化の限界であると考えられる。
[5.3:生存率および接着細胞数の評価]
図8に、解凍直後の生存率と降温速度の関係を示した。DAPおよびPLL無しの系は降温速度0.078および0.083℃/secではそれ以上の降温速度に比べて明らかに低い生存率を示した。一方、PLL系では0.083においても高い生存率であった。このデータは解凍直後の細胞の生存率であるが、場合によってはダメージの大きかった細胞は培養中に接着出来ずに死んでしまうことがある。そこで、図9に解凍後1日培養した後の細胞の生存率を示した。この結果はLive/Deadアッセイの結果と一致しており、0.083℃/sec以上でPLL系が高い生存率を示すことがわかり、PLLの優位性が示された。
[5.4:分化能の維持]
分化誘導をかけることにより骨細胞、脂肪細胞への分化能を評価したところ、図10に示すように未凍結系、DMSO系とほぼ同様に、多分化能を維持していることが以下のように確認された。骨分化能は、カルシウムの沈着をアリザリンレッドS染色により評価した。その結果、いずれの場合も同じく赤く染色されたことによって、骨分化能の維持が確認された。脂肪分化能は、細胞中の脂肪滴をオイルレッドOを用いて染色して評価した。その結果、いずれの保存液で凍結した場合でも、未凍結系と同じく赤く染色された脂肪滴が確認され、脂肪分化能の維持が確認された。
[6.三次元構造体へ細胞培養した場合のガラス化実験]
[6.1:細胞培養とガラス化実験]
三次元細胞培養用メッシュ(3D Insert−PS、直径5mm、繊維径150μm、孔径200μm、ポリスチレン製、3DBiotek社、図11参照)にADSCを播種し、3週間培養することで十分に増殖させ、三次元メッシュ状にコンフルエントになった状態を凍結実験に用いた。凍結および解凍は上記細胞シートと同様の条件で行った。液体窒素液面1mmでガラス化凍結を行った。平衡液、ガラス化液、融解液、希釈液、洗浄液は同じものを使用した。
[6.2:結果]
結果は、解凍後、翌日に細胞をすべてトリプシン溶液ではく離し、回収した細胞数と回収した細胞を培養した際の増殖能で評価した。
その結果、次の表2に示すように、PLL(0.65)を10%添加したガラス化液で未凍結コントロールの72.3%の回収率を得られた。一方で、DAPではわずかに0.5%、PLL(0.65)無しのガラス化液では12%の回収率であった。
[7.ヒト培養皮膚組織のガラス化実験]
[7.1:ヒト培養皮膚組織のガラス化と解凍]
ヒト培養皮膚組織を使用して、同様に緩慢ガラス化、凍結保存、解凍の実験を行った。
ヒト培養皮膚組織は、約4℃で低温保存されたヒト正常表皮細胞を重層培養したヒト3次元培養表皮モデル(製品名:Labcyte epimodel、株式会社ジャパンティッシュエンジニアリング製)(円盤状、直径約6.4mm、厚さ約150μm)を入手して、以下の実験に使用した。このヒト培養皮膚組織は、後述の写真で示すように、正常ヒト皮膚の構造に極めて近い多層構造を備えたものである。
ヒト培養皮膚組織のガラス化は、直径5mmのメッシュ上で培養したままでメッシュごと取り外してディッシュに入れて、細胞シートと同様の条件で行った。液体窒素中で1日間、凍結保存した後に、細胞シートと同様の条件で解凍した。解凍後に、MTTアッセイにより生存率を求めた。
[MTTアッセイ]
MTTアッセイの手順は、以下である。
MTT(3−(4,5−Dimethylthiazol−2−thiazolyl)−2,5−diphenyl−2H−tetrazolium bromide)を培地に0.5mg/mLで溶解し、解凍後のwell(PBSで洗浄後)に100mL添加、37℃で3時間放置した。皮膚組織を切り出し、200mLの2−プロパノールに浸漬して2時間抽出を行った。96wellマルチプレートリーダーを用いて540nmの吸光度から活性を測定し、未凍結の皮膚との比で生存率を算出した。この結果を、図12に示す。
[MTTアッセイの結果]
図12は、ヒト培養皮膚組織のガラス化実験でのMTTアッセイの結果である。DAP、0%PLL、10%PLLの3種類のガラス化液で、液体窒素表面からの高さを1mm、5mm、10mmと変化させた条件で凍結したヒト培養皮膚組織に対して、MTT法で細胞の生存率を測定した。縦軸は生存率(Viability)を表し、未凍結のコントロールの値を100%とした。各ガラス化液において、左端のバーは1mm、中央のバーは5mm、右端のバーは、10mmの生存率を示す。1mmではすべてのガラス化液で90%を超える生存率を示したが、5mm、10mmではDAP<0%PLL<10%PLLとなった。10%COOH−PLL含有ガラス化液の場合、10mmでも90%程度の生存率を示した。
[ヒト培養皮膚組織の凍結の影響]
ヒト培養皮膚組織が、ガラス化によって受けた影響を確認するために、凍結した状態の断面を、HE染色した後に光学顕微鏡によって観察した。図13は、コントロールとして使用した未凍結のヒト培養皮膚組織の断面の光学顕微鏡写真である。図14は、PLL(0.65)/EG/Sucのガラス化液(10%PLL)を使用して、液体窒素表面から1mmの高さで冷却し、緩慢ガラス化したヒト培養皮膚組織の断面の光学顕微鏡写真である。このように、本発明による緩慢ガラス化によれば、ヒト培養皮膚組織は、基底層、細胞、顆粒層、有棘層、角質層すべて未凍結とほぼ同様に保たれたものとなっていた。
[8.大きな3次元培養足場に培養した間葉系幹細胞のガラス化実験]
[8.1 ガラス化実験]
上記の「6.三次元構造体へ細胞培養した場合のガラス化実験」で使用したものよりもさらに大きな3次元培養足場に培養した間葉系幹細胞を使用して、同様にガラス化凍結の実験を行った。
使用した3次元培養足場(3DBiotek社製、商品名:3DInsert−PS)は、次のようなサイズである。
厚み1.5mm、直径21mm、ファイバー径300mm、孔径300mm
使用した3次元培養足場のモデル構造を図11に示す。
上記の「6.三次元構造体へ細胞培養した場合のガラス化実験」で使用した直径5mmのサイズの足場材料と同じ材質で出来た上記のサイズの足場材料に、細胞を播種し、2週間培養後、同様の方法でガラス化を行い、解凍した。解凍後播種し、翌日の生存細胞数を数えた。
[8.2 結果]
上記のガラス化実験の結果を、次の表3に示す。
10%PLL系で、未凍結に非常に近い細胞数がガラス化後も生存していることが確認された。本発明によれば、大きなサイズの三次元培養体であっても、高い生存率で細胞をガラス化可能であった。
本発明によれば、高い生存率を達成しつつ、細胞シート又は三次元細胞培養体の形態である培養細胞を緩慢ガラス化することができ、これらに有効な凍結保存の手段を提供することができる。本発明は産業上有用な発明である。

Claims (16)

  1. 細胞シート又は三次元細胞培養体の形態である培養細胞の培地を、カルボキシル基を導入したε−ポリ−L−リジンを含むガラス化溶液と、置換する工程、
    培地がガラス化溶液によって置換された培養細胞を、気体雰囲気中で0.08〜1.00℃/secの範囲の降温速度で冷却する工程、
    を含む、細胞シート又は三次元細胞培養体の形態である培養細胞を、緩慢ガラス化する方法。
  2. 細胞シート又は三次元細胞培養体の形態である培養細胞の培地を、カルボキシル基を導入したε−ポリ−L−リジンを含むガラス化溶液と、置換する工程が、
    細胞シート又は三次元細胞培養体の形態である培養細胞の培地を、C2〜C4のポリオールを含む平衡液に置換する工程、
    細胞シート又は三次元細胞培養体の形態である培養細胞において、培地と置換された平衡液を、カルボキシル基を導入したε−ポリ−L−リジンを含むガラス化溶液と、置換する工程、
    を含む工程によって行われる、請求項1に記載の方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の方法によって、細胞シート又は三次元細胞培養体の形態の緩慢ガラス化された培養細胞を、製造する方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の方法によって得られた緩慢ガラス化した培養細胞を、液体窒素中又は液体窒素から気化した低温気体窒素中で保存する工程、
    を含む、細胞シート又は三次元細胞培養体の形態である培養細胞を凍結保存する方法。
  5. 請求項4に記載の方法によって凍結保存された培養細胞を、解凍する工程、
    を含む、細胞シート又は三次元細胞培養体の形態である、生存した培養細胞を製造する方法。
  6. 凍結保存された培養細胞を、解凍する工程が、
    凍結保存された培養細胞に、糖又は糖アルコールを含む融解液を添加して解凍する工程、
    を含む、請求項5に記載の方法。
  7. 培養細胞を気体雰囲気中で冷却する工程が、
    培養細胞を、断熱容器中において、液体窒素の液面の上方に設置して、液体窒素の液面からの高さを変化させることによって培養細胞の降温速度を調整して、液体窒素から気化した低温気体窒素によって冷却する工程である、
    請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 平衡液が、10〜30質量%のC2〜C4のポリオールを含む培地である、請求項2〜7のいずれかに記載の方法。
  9. C2〜C4のポリオールが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、及びグリセリンからなる群から選択された1種以上である、請求項2〜8のいずれかに記載の方法。
  10. ガラス化溶液が、カルボキシル基を導入したε−ポリ−L−リジンを5〜15質量%の濃度で含む培地である、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
  11. 融解液を添加して解凍する工程が、20〜38℃の範囲の温度に加温された融解液を、20〜38℃の範囲の周囲温度で添加して、解凍する工程である、請求項6〜10のいずれかに記載の方法。
  12. 融解液が、0.5〜1.2Mの糖又は糖アルコールを含む培地である、請求項6〜11のいずれかに記載の方法。
  13. 糖又は糖アルコールが、スクロース、トレハロース、グルコース、ラフィノース、マルトース、フルクトース、イヌリン、フルクタンからなる群から選択された糖又は糖アルコールである、請求項6〜12のいずれかに記載の方法。
  14. カルボキシル基を導入したε−ポリ−L−リジンを含む、0.08〜1.00℃/secの範囲の降温速度による緩慢ガラス化用の、細胞シート又は三次元細胞培養体用緩慢ガラス化剤。
  15. カルボキシル基を導入したε−ポリ−L−リジンにおいて、アミノ基に対するカルボキシル基の比率(カルボキシル基/アミノ基)が0.8〜19の範囲にある、請求項14に記載の緩慢ガラス化剤。
  16. カルボキシル基を導入したε−ポリ−L−リジンが、
    ε−ポリ−L−リジンのアミノ基と、無水ジカルボン酸との反応生成物によって、アミノ基の位置にカルボキシル基が導入されてなる、請求項14〜15のいずれかに記載の緩慢ガラス化剤。
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