JP6481416B2 - ダイヤモンド表面の研磨方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ダイヤモンド表面の研磨方法に関するものであり、より詳細には、通常の電気絶縁性のダイヤモンドの表面を研磨する方法に関する。
炭素の結晶であるダイヤモンドは、周知のように著しく硬度が高く、耐摩耗性に優れているばかりか、滑り性や熱伝導性にも優れ、さらには高屈折率であることから種々の用途に使用されている。例えば、バイト、エンドミル、やすりなどの切削用工具、パンチ、ダイなどの塑性加工金型、バルブリフタ、軸受けなどの摺動部材、ヒートシンクなどの放熱部材、電子基盤、レンズ、ウインドウなどの光学部品等に使用されている。
このようなダイヤモンド製品は、その特性を十分に発揮させるために、そのダイヤモンド表面を研磨して平滑な面とすることが必要である。
ダイヤモンド表面の研磨は、古くはダイヤモンド製の砥粒や砥石を用いた機械的研磨方法が採用されていたが、研磨に時間を要するばかりか、共削りとなるため、ツール寿命が短く、また凹凸のある立体的な表面の研磨には不向きであるという問題もあった。このため、現在では、種々の研磨方法が提案されており、上記のような欠点の改善が図られている。
例えば、特許文献1には、炭素と易反応性の金属または浸炭性金属からなる表面を有する研磨部材を使用し、かかる研磨部材を用いて、レーザー光照射等による加熱下にダイヤモンド表面を加熱する研磨方法が、本出願人により提案されている。
かかる方法は、摩耗粉の発生が少なく、研磨部材の寿命が長く、その制御も容易であり、平滑度の高い表面を得ることができるばかりか、凹凸のある立体的な表面の研磨にも容易に適用することができるという利点があり、さらに、研磨部材として、金属間化合物の如き、特殊な製法により得られる高価な材料を使用せず、安価な金属単体で形成された研磨部材を用いることができるという利点がある。
しかしながら、ダイヤモンドの研磨においては、研磨に時間を要するという課題が残されており、上記の特許文献1においても、より研磨レートを高くすることが求められている。
また、非特許文献1には、通電加熱下にダイヤモンド表面を研磨することにより、ダイヤモンド表面を高速で研磨できることが報告されている。
しかしながら、この方法は、通常の電気絶縁性のダイヤモンドには適用することができず、ホウ素がドープされた導電性のダイヤモンドにしか適用することができない。しかも、このような導電性が付与されたダイヤモンドでは、硬度等の特性が損なわれてしまうという問題もある。
特開2011−177883号公報
「EC−PCD及びEC−CVDダイヤモンドの通電加熱援用高速摺動研磨」 2009年度砥粒加工学会学術講演会公演論文集
従って、本発明の目的は、導電性が付与されていない通常のダイヤモンド(即ち、電気絶縁性のダイヤモンド)について、より高いレートで表面研磨することが可能な研磨方法を提供することにある。
本発明者等は、炭素と易反応性の金属または浸炭性金属からなる表面を有する研磨部材を使用してダイヤモンド表面を研磨する方法について研究を推し進めた結果、ダイヤモンドに負電圧を印加しながら研磨を行うことにより、研磨レートが向上するという新規知見を見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、炭素と易反応性の金属または浸炭性金属からなる表面を有する研磨部材を使用して10 12 〜10 16 Ω・cmの比抵抗を有するダイヤモンドの表面を研磨する方法において、
前記ダイヤモンド表面が負帯電するように、該ダイヤモンドと前記研磨部材との間に直流電圧を印加しながら、前記研磨部材を用いての研磨を行うことを特徴とするダイヤモンド表面の研磨方法が提供される。
本発明の研磨方法においては、
(1)加熱されている前記研磨部材を用いて研磨を行うこと、
(2)レーザー光の照射により加熱されているダイヤモンド表面について研磨を行うこと、
(3)前記研磨部材がワイヤーまたはベルトの形態を有しており、該研磨部材の研磨表面を連続的或いは断続的に変化させながら研磨を行うこと、
(4)炭素と易反応性の金属がZr、Ta、Ti、W、NbまたはAlであること、
或いは、
(5)浸炭性の金属がFe、NiまたはCoであること、
が好ましい。
尚、本発明において、炭素と易反応性の金属とは、炭化物形成反応におけるギブスの自由エネルギー変化(ΔG)がマイナスとなる温度領域を有するものを意味するものであり、特に好ましくはダイヤモンドが炭化する温度(750〜850℃)を超えない温度域において、炭化物形成反応の自由エネルギー変化量(ΔG)が−20kcal/mol以下の金属である。各種金属における炭化物形成反応のギブスの自由エネルギー変化量は公知であり、例えば金属データブック
改訂4版(日本金属学会編、丸善)に掲載されている。
また、浸炭性金属とは、表面から炭素を拡散浸透せることができる金属を意味する。
本発明では、炭素と易反応性の金属または浸炭性金属により形成されている研磨部材を用い、かかる研磨部材の表面でダイヤモンド表面を摺擦するという基本手段を採用している。即ち、研磨に際して、ダイヤモンド表面の炭素が、研磨部材表面を形成している易反応性の金属と反応し或いは浸炭性金属の表面層に拡散浸透し、結果として、ダイヤモンド表面の炭素が取り除かれ、ダイヤモンド表面が研磨されるというものである。
上記のような基本手段では、通常、研磨すべき表面を加熱することで、研磨部材の表面と炭素の反応或いは研磨部材の表面への炭素の拡散浸透を促進するという手段が採用されるが、本発明では、この研磨部材による研磨に際して、ダイヤモンド表面が負帯電するように、ダイヤモンドと研磨部材との間に電圧を印加するという手段を採用する。即ち、このような手段では、研磨部材が正に帯電されるため、ダイヤモンドの負電荷を引き付けることとなり、この結果、ダイヤモンド表面の炭素原子と研磨部材表面の反応或いはダイヤモンド表面の炭素原子の研磨部材表面への浸透拡散が促進され、研磨レートの向上がもたらされるものである。
例えば、図3は、後述する実施例での研磨試験の結果を示すものであり、上述した基本手段によりダイヤモンド表面を研磨するに際して、ダイヤモンド基板が負帯電するように電圧を印加した場合の研磨時間(摺擦回数)とダイヤモンド表面の表面粗さRzとの関係を示す線図であるが、この図3から理解されるように、印加電圧を高くし、ダイヤモンド表面の負帯電量が増大するほど、研磨レートは速くなる。
本発明の研磨方法を説明するための概念図。 図1の研磨方法の実施に使用される研磨部材の形態を示す図。 実施例の研磨試験でのダイヤモンド表面の表面粗さの変化を示す線図。 実施例の研磨試験でのダイヤモンド表面の表面粗さの変化を示す線図。 実施例の研磨試験でのダイヤモンド表面の表面粗さと電圧の関係を示す線図。
図1を参照して、本発明は、ダイヤモンド表面1aを有する加工物1の研磨を行うものであるが、この加工物1は、単結晶、多結晶或いは薄膜等からなるダイヤモンド表面1aを有している限り、任意の形状を有するものであってよく、その用途に応じた形状を有していてよい。
尚、既に述べたように、この表面1aを形成するダイヤモンドは、通常のダイヤモンド、即ち、電気絶縁性のダイヤモンドであり、ホウ素がドープされて導電性が付与されたものではなく、例えば、その比抵抗は1012〜1016Ω・cmと極めて高い。
上記加工物1のダイヤモンド表面1aの研磨は、ダイヤモンド表面1aを摺擦する研磨部材3aを備えた研磨装置3により行うが、図1に示された態様の本発明においては、この研磨に先立って、該表面1aにレーザー光5を照射し、この照射後に研磨装置3により、レーザー光5の照射部を研磨することにより行われ、さらに、この研磨部材3aとダイヤモンド表面1aとの間には、この表面1aが負帯電するように電圧が印加される。即ち、ダイヤモンド表面が負極となり、研磨部材3aが正極となるようにして電圧(直流電圧)が印加される。
本発明において、ダイヤモンド表面1aと摺擦する研磨部材3aは、炭素と易反応性の金属或いは浸炭性金属から形成されている。
炭素と易反応性の金属は、先に述べたように、炭化物形成反応におけるギブスの自由エネルギー変化(ΔG)がマイナスとなる温度領域を有するものであり、例えば、Zr、Ta、Ti、W、Nb及びAlを例示することができ、これらの中でもZr、Ta、TiまたはAlが好適である。即ち、これらの金属は、先にも述べたように、その表面硬度Hv(ビッカース硬度)が極めて低く、例えばTaで100〜150、Zrで120〜200、Tiで100〜200、Alでは15〜50程度である。即ち、このような軟質の金属で研磨を行った場合には、上記のような押圧力の小さな摺擦力で研磨を行ったときにも、その摩耗や変形を効果的に抑制することができ、摩耗粉の大量発生を有効に防止できるばかりか、研磨部材3aの寿命を高め、長期間にわたって安定的に、精度の良い研磨を行うことができる。
更に、これらの軟質金属の中でもZr、TaまたはTiが最適である。これらの金属は、その炭化物(ZrC、TaC、TiC)を形成する反応におけるギブスの自由エネルギー変化量(ΔG)が、ダイヤモンドが炭化する温度(750〜850℃)を超えない温度域において、何れも−20kcal/mol以下、特に−30〜−45kcal/mol程度とかなり低く、従って、レーザー光5の照射による加熱後の摺擦によってダイヤモンド表面1aの炭素と極めて反応し易く、効果的にダイヤモンド表面1aを研磨することができるからである。例えば、後述する実験例での実験結果(図3参照)に示されているように、表面粗さRz(最大表面粗さ)を1.8μm程度から0.6μm程度の平滑面に短時間で研磨することができる。
また、浸炭性金属としてはFe、Ni及びCoを例示することができ、これらの中でもNiにより表面が形成されている研磨部材3aが好適である。即ち、このような浸炭性金属による表面を有する研磨部材3aを用いた場合には、研磨部材3aによる研磨に際して、ダイヤモンド表面1aの炭素原子が研磨部材3aの表面に拡散し、ダイヤモンド表面の研磨を効果的に行うことができる。
研磨部材3aによる研磨は、ダイヤモンド表面へのレーザー光5の照射による加熱下及び電圧印加によるダイヤモンド表面の負帯電下で行われ、研磨部材3aによる摺擦は、大きな押圧力で押圧しながら行う必要はない。研磨部材の形状や材質によって適当な押圧力は異なるが、例えば、5N(0.5kgf)程度の押圧力で研磨が可能であることを確認している。一方、押圧力を高くするに従い、真実接触面積が大きくなり、研磨がより進む傾向があるので、押圧力は加工物の形状、それに応じた研磨部材の形状や材質、装置剛性等を鑑みて適宜設定すれば良い。いずれにしても、本発明においては研磨部材の先端が大変形を起こすような押圧力は不必要であることから、研磨部材やその保持具の小型化が可能であり、複雑な形状や小径穴を有する加工物への研磨を行う上で有利である。
本発明において、レーザー光5の照射は、ダイヤモンド表面1aを研磨部材3aの表面を形成している金属が炭素と容易に反応し得るような温度に局所的に加熱するために行われるものであり、その加熱の程度は、主にレーザーの照射エネルギー密度と、ダイヤモンドのエネルギー吸収率により決まる。具体的には研磨に用いるレーザー源に対するダイヤモンドのエネルギー吸収率に基づき、レーザーの出力、照射幅(スポット径)、加工速度を適宜設定することにより設定を行う。この照射エネルギー密度が増加するにつれ、温度も上昇するが、照射エネルギー密度を増大させ過ぎると、750℃付近でダイヤモンドが炭化し、温度はそれ以上上昇しなくなることが知られている(例えば特許文献1参照)。
従って、本発明ではダイヤモンドが炭化する温度(750〜850℃)を超えない温度域にダイヤモンド表面1aが加熱されるようレーザー光の照射エネルギー密度等の照射条件を設定すべきである。研磨部材3aに易反応性金属を使った場合は、200℃以上、特に220℃乃至800℃であり、浸炭性金属を使った場合は、600℃以上、特に700℃乃至800℃が好ましく、上記範囲内で且つ研磨部材3aに用いる金属の融点を超えない温度に加熱されるように照射条件を設定すればよい。
レーザー光5のレーザー源としては、種々のものが知られており、本発明では、加熱レベルが低いため、レーザー源が制限されず、公知のレーザーの何れをも使用することができる。安定した研磨を行うためには。例えば溶接や機械加工の分野では、YAG、ファイバーレーザー等の固体レーザーが広く使用されているが、本発明では、このような固体レーザーのみならず、炭酸ガスレーザー、エキシマレーザー等の気体レーザーを使用することもできる。
レーザー光5の照射幅(スポット径)に特に制限がないが、レーザー光のエネルギー効率や研磨の効率という観点で考えると、研磨部材3aとダイヤモンドの接触する幅に近いことが望ましい。例えば、照射幅が小さ過ぎると、摺擦する際、温度が低い箇所の研磨が進まず、結果的に研磨に時間を要することになる。また照射幅を大きく設定しすぎると、加熱の不要な(研磨されない)場所も加熱することになり、エネルギーのロスを生じてしまい、レーザー光の出力を不必要に高くするか、加工速度を下げる等の処置を行うことになる。尚、研磨部材3aとダイヤモンドの接触する幅は一般的によく知られているヘルツの式等を用いて、概算出できる。
本発明においては、レーザー光5が照射された後に、この照射部分(即ち、加熱された部分)について研磨部材3aによる研磨が行われるが、このタイミングは、この照射部分の表面温度が研磨部材3aの金属とダイヤモンド表面1aの炭素との反応が進行する程度の温度に維持されているうちに研磨が行われるようにすればよい。但し、ダイヤモンドの熱伝導率は極めて高い(冷えやすい)ことから、設置スペースの許す限り、照射部分と研磨部材3aを近づけ、短時間化を図ることが望ましい。
本発明では、上記のようなレーザー光5の照射と共に、研磨部材5による研磨は、ダイヤモンド表面1aと研磨部材3aとの間に電圧を印加させながら行われる。即ち、この表面1aを形成するダイヤモンドは電気絶縁性であることから理解されるように、かかる電圧印加は、通電のために行われるわけではなく、ダイヤモンド表面1aを負帯電し、研磨部材3aを正帯電するために行うものである。炭素と易反応性の金属或いは浸炭性金属により形成されている研磨部材3aを用いて研磨が行われる本発明では、このような電圧印加により、ダイヤモンド表面1aの負電荷が研磨部材3aに引き付けられ、これにより、上記材料から形成されている研磨部材3aとダイヤモンド表面1aの炭素原子の化学反応或いは研磨部材3aの表面へのダイヤモンド表面1aの炭素原子の浸透拡散が促進され、レーザー光5の照射による加熱と相俟って、研磨レートのさらなる向上がもたらされる。
尚、上記の印加電圧が大きいほど、研磨部材3aとダイヤモンド表面1aの化学反応或いは炭素原子の研磨部材3aの表面への浸透拡散を促進する効果は大きいが、この印加電圧が過度に大きいと、絶縁破壊を生じてしまい、例えば火花が発生してダイヤモンド表面1aを損傷させてしまうので注意を要する。また、回路中に抵抗を設置することにより、火花の発生を抑制することができるが、抵抗値が大きくなるにつれ、研磨レートは低減してしまう。好適な印加電圧および抵抗値は、表面1aを形成するダイヤモンドの厚み等によって異なり、一概に規定することはできず、加工物1の形態に応じて、予めラボ試験を行って印加電圧を設定しておくことが望ましい。特に、10V以上の電圧印加により、かなりの効果が認められる。
さらに、既に述べたように、この表面1aを形成するダイヤモンドは、通常のダイヤモンド、即ち、電気絶縁性のダイヤモンドであり、電圧を印加しても通電はしないか、通電しても非常に微弱な電流のため、使用エネルギーが極めて低いのに対し、大きな効果が得られる。また、直流電源等の装置構成が簡単なため、本手法を実施するにあたり大きな改造も必要としない。
また、研磨部材3aの形態としては、ダイヤモンド表面1aの炭素原子と研磨部材3aの研磨表面の金属とを反応させ或いは研磨部材3aの表面にダイヤモンド表面1aの炭素原子を拡散浸透させることにより効率よく研磨を行うことができる限りにおいて、特に制限されず、ワイヤー、ベルト、ロッド、ディスク、ブラシなどであってよいが、ダイヤモンド表面1aと接触する研磨部材3aの表面(研磨面)を連続的或いは断続的に変化させ、摩耗による面圧の変化を有効に回避でき、常に効率よく、炭素原子と金属との反応或いは炭素原子の拡散浸透が安定的に進行させ、長期間にわたって、持続して安定な研磨を行い得るという観点からは、研磨部材3aは、ワイヤー或いはベルトの形態を有していることが好適である。
図2には、研磨部材3aの好適な例が示されている。
例えば、図2(a)では、所定の支持部材10に保持されたプーリー13に無端状のワイヤー15が巻回されている。このワイヤー15が炭素と易反応性の金属により形成された研磨部材3aとなっており、かかるワイヤー15(或いはプーリー13)とダイヤモンド表面1aとの間に所定の電圧が印加される。
また、図2(b)では、支持部材10に保持されたローラー17に無端状ベルト19が巻回されており、この無端状ベルト19が研磨部材3aとなっており、かかるベルト19(或いはローラー17)とダイヤモンド表面1aとの間に所定の電圧が印加されることとなる。
上述した無端状ワイヤー15や無端状ベルト19は、プーリー13或いはローラー17を回転駆動することにより、何れもダイヤモンド表面1aに対する摺擦面を連続的或いは断続的に変化させながら研磨が行われるようになっており、プーリー13或いはローラー17を連続的または断続的(好ましくは連続的)に駆動して研磨を行うことにより、ダイヤモンドとの接触面が研磨によって消費されることで摩耗することによる面圧変化が起きず、長期間にわたって、持続して安定な研磨を行うことが可能となる。
上記のような研磨部材3aを使用し、レーザー光5の照射及び電圧印加を行いながらのダイヤモンド表面1aの研磨は、かかる表面1aを有する加工物1の形態によって種々の態様を採用することができる。
例えば、図1のように加工物1が平板状であるときには、レーザー光5の照射部と、研磨装置3に設けられている研磨部材3aを同心円上に配置し、加工部材1を回転させた状態で、レーザー光5を照射し且つ所定の電圧を印加しながら研磨部材3aでダイヤモンド表面を摺擦することで研磨を行う。さらに、研磨装置3(研磨部材3a)とレーザー光5の照射源を、断続的または連続的にダイヤモンド表面1の半径方向に移動させることで、ダイヤモンド表面1aの全体にわたって研磨を行うことができる。
勿論、加工部材1を回転する代わりに、研磨装置3(研磨部材3a)とレーザー光5の照射源とを回転させることにより、レーザー光5の照射部を研磨することも可能であるが、加工部材1を回転させる方が、装置が大型化せず一般的である。さらに、1回の研磨加工では研磨が不十分な場合は、上記の操作を複数回繰り返すことで、さらに研磨を行っても良い。
また、加工部材1の表面形状によっては、加工部材1或いは研磨装置3(研磨部材3a)とレーザー光5の照射源とを直線的にスライド移動せしめることにより研磨を行うこともできる。
尚、上述した例において、レーザー光5の照射による加熱を行わず、所定の電圧印加のみでダイヤモンド表面1aの研磨レートを高めることもできるが、実用的な研磨レートを確保するためには、レーザー光5の照射による加熱を併用すべきである。
さらに、レーザー光5の代わりに、或いはレーザー光5の照射と共に、各種ヒーター、ホットエアなどの他の加熱手段も採用することができ、ダイヤモンドが炭化する温度を超えないことを条件として、200℃以上、特に220℃以上の温度に、ダイヤモンド表面1a或いは研磨部材3aの表面、もしくはその両者を加熱するように行うこともできる。
上述した本発明の研磨方法は、格別の高価な化合物による研磨部材を使用せず、金属単体で形成された研磨部材を用いて研磨を行うことができるばかりか、その制御も容易であり、フラットな面に限られず、凹凸のある立体的な面や曲面の研磨も効果的に行うことができ、しかも、より速い速度で種々の形態のダイヤモンド表面を有する加工物を研磨することができる。
また、既に広く知られている手法ではあるが、研磨加工前や加工中にダイヤモンド表面1aにレーザー吸収体を塗布し、ダイヤモンドのエネルギー吸収効率を高めても良い。また、研磨部材3aとダイヤモンドの反応性を高める目的で、酸素ガス等を吹き付けながら研磨を行っても良い。さらに、研磨品質を維持する目的で、研磨によって生じる金属炭化物や異物を除去する為に、バキュームで吸引したり、高圧エアや微量の洗浄液を連続的または断続的に吹き付けたりしながら研磨を行っても良い。
本発明を次の実験例で説明する。
尚、以下の実験例において、表面粗さは、以下の方法により測定した。
表面粗さ;
(株)東京精密社製表面粗さ計(サーフコム2000SD3)を使用し、JIS−B−0601に準拠し、最大高さRzを測定した。
<実験例1>
研磨試験機として図1に示す概略構造のものを使用し、研磨するテストピースは超硬合金製の基材に熱フィラメントCVD法によりダイヤモンドをコーティングしたものを用いた。
テストピース;
形状:25mm×25mmの円板(厚み5mm)
基材:超硬合金
ダイヤモンド厚み:10μm
最大高さRz:1.8μm(ダイヤモンド面)
レーザー(炭酸ガスレーザー);シンラッド社製Evolution 100W
出力:41W
照射幅(スポット径):φ0.2mm
上記の研磨試験機に、研磨部材として断面円形で直径が1mmのTa製ワイヤーを取り付け(図2(a)参照)、レーザー照射位置及び研磨部材とテストピースとの接触位置の間隔が0.8mmとなるように設定した。この状態で、研磨部材(Ta製ワイヤー)をテストピース表面に3kgの荷重で押圧し、レーザー光を照射しながらテストピースを100mm/secで回転させ研磨を行った。この際、研磨部材(Ta製ワイヤー)は200℃に加熱し、0.03mm/revの速度で移動させながら研磨を行うと共に、図1に示されているように、研磨部材とテストピース表面との間に電圧印加が可能なように設定した。さらに、図1に示されているように、300Ωの抵抗を設置した。
上記の電圧(ダイヤモンドが負極)を0(電圧無印加)〜19Vまで変化させ、各電圧ごとに、テストピースの同一部位での摺擦回数が30回、60回、120回となったときに、研磨部分の最大高さRzを測定し、その結果を図3に示した。
印加電圧が増大するにつれ表面粗さRzが減少しており、印加電圧の増大に伴って研磨レートが速くなっていることを確認した。
<実験例2>
以下の実験例については、実験例1と同様に摺擦回数と最大高さRzの関係を図4に示した。
電圧を19Vとし、抵抗を300〜900Ωに変更した以外は、実験例1と全く同様にして研磨試験を行った。
抵抗の増大に伴って研磨レートが遅くなっていることを確認した。
<実験例3>
以下の実験例については、摺擦120回後における電圧と最大高さRzの関係を、比較のため実験例1の結果と併せて図5に示した。
抵抗を900Ωとし電圧を9.5〜58Vに変更した以外は、実験例1と全く同様にして研磨試験を行った。
電圧9.5V抵抗300Ωと、電圧58V抵抗900Ωがほぼ同等の研磨レートであることを確認した。
1:ダイヤモンド製加工物
1a:ダイヤモンド製表面
3a:研磨部材
5:レーザー光

Claims (7)

  1. 炭素と易反応性の金属または浸炭性金属からなる表面を有する研磨部材を使用して10 12 〜10 16 Ω・cmの比抵抗を有するダイヤモンドの表面を研磨する方法において、
    前記ダイヤモンド表面が負帯電するように、該ダイヤモンドと前記研磨部材との間に直流電圧を印加しながら、前記研磨部材を用いての研磨を行うことを特徴とするダイヤモンド表面の研磨方法。
  2. 前記研磨に際して、前記研磨部材の加熱を行う請求項1に記載の研磨方法。
  3. 前記研磨に際して、前記ダイヤモンド表面の加熱を行う請求項1または2に記載の研磨方法。
  4. 前記ダイヤモンド表面の加熱をレーザー光の照射により行う請求項3に記載の研磨方法。
  5. 前記研磨部材がワイヤーまたはベルトの形態を有しており、該研磨部材の研磨表面を連続的或いは断続的に変化させながら研磨を行う請求項1〜4の何れかに記載の研磨方法。
  6. 炭素と易反応性の金属がZr、Ta、Ti、W、NbまたはAlである請求項1〜5の何れかに記載の研磨方法。
  7. 浸炭性の金属がFe、NiまたはCoである請求項1〜5の何れかに記載の研磨方法。
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