JP6478512B2 - 回転成形品と該成形品に用いる回転成形金型及び回転成形方法 - Google Patents

回転成形品と該成形品に用いる回転成形金型及び回転成形方法 Download PDF

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Description

本発明は、回転成形によって製造する合成樹脂製品(以下、回転成形品とする。)の内、一方側壁と他方側壁が相対し、両側壁間に壁間空部を有する回転成形品と、該成形品の製造に用いる回転成形金型、及びその回転成形方法、特に内側壁と外側壁が相対し、両側壁間に壁間空部を有する二重壁式回転成形品と、該成形品の製造に用いる二重壁用回転成形金型、及びその回転成形方法に関する。
従来の回転成形品は、回転成形金型の成形空間内に合成樹脂粉を投入し、その回転成形金型を加熱炉内で回転し、加熱によって合成樹脂粉を溶かし、その溶融樹脂を回転成形金型の内面に添って積層し、一定厚さの製品用樹脂層を形成した後、回転成形金型を加熱炉より外部に移動して冷却し、製品用樹脂層を固化し、回転成形金型より取出すものであるから、大量生産を伴わない比較的大型の樹脂成品に適していると言われている。また、射出成形に比較して回転成形に用いることのできる合成樹脂類も限られている。
更に、従来の回転成形品において強度を持たせる場合、壁厚さを肉厚にするか、特許文献1と特許文献3の如く、周壁の一部に凹溝又は凸条を形成し、或いは特許文献2及び特許文献5の如く二重壁構造に形成していた。
特許文献2の二重壁構造の回転成形品にあっては、回転成形直後、内側壁と外側壁との間の壁間空部は空洞であるから、その空洞に発泡樹脂粉を充填し、該樹脂粉を発泡して発泡体とし、その発泡体にて壁間空部を埋めることで、内側壁と外側壁の撓みを防ぐと共に、強度を強化していた。
特許第2942210号公報 特許第4232076号公報 特開平9―278107号公報 実用新案登録第2532761号公報 意匠登録第1359611号公報 意匠登録第1201944号公報 意匠登録第1474982号公報
従来の回転成形品は、その成形方法から、肉厚を一定以上に厚くすることは困難であるし、二重壁構造の回転成形品において、内側壁と外側壁の間の壁間空部に発泡樹脂を充填する場合、成形直後の回転成形品を、回転成形品より僅かに大きい外型内に入れる一方、該成形品内に中子型を入れてから発泡樹脂を充填しなければ、回転成形品の内側壁と外側壁が発泡樹脂の発泡力によって任意に膨出変形し、不良成形品となる問題点があった。
また、上記以外の耐久力向上一手段として、回転成形品に2cm幅以上の凹溝や凸条を形成することもあるが、射出成形製品の如く補強リブを外側に向けて長く突出する(特許文献4、特許文献6,7)ことが困難であるし、補強リブの如く細かく配置することも困難であった。
従って、従来の回転成形品は、上記の如く成形上に多くの問題点があつたため、その用途は限られていた。
そこで本発明は、従来技術の問題点に注目し、これを改善すべく研究開発したものであり、その目的は、壁間空部を有する回転成形品、特に二重壁式回転成形品にあっても、射出成形製品に近似する耐久力を備えた構造にすることと、それを可能にする回転成形金型、及び該回転成形金型を用いた回転成形方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明による回転合成樹脂成形品(以下、回転成型品という。)は壁間空部を介して相対する一方側壁と他方側壁とが同一又は略同一の壁厚さを有し、壁間空部内に一方側壁と他方側壁に連続する支持柱を複数備え、該支持柱が一方側壁より他方側壁に向けて突出し、その先端部が他方側壁と一体化し、壁間空部から一方側壁と他方側壁を補強していることを特徴とする。
また、三次元の立体構造を成す二重壁式回転合成樹脂成形品(以下、二重壁成形品という。)において、二重壁を構成する内側壁と外側壁とが壁間空部を介して相対し、且つ同一又は略同一の壁厚さを有し、壁間空部内に外側壁と内側壁に連続する支持柱を複数備え、該支持柱が外側壁より内側壁に向けて突出し、その先端部が内側壁と一体化し、壁間空部から内側壁と外側壁を補強していることを特徴とする。
さらに前記記載の回転成形品と二重壁成形品において、支持柱は円錐支持柱と否円錐支持柱の少なくとも一方であり、その内、円錐支持柱は、先端部より基部に向けて末広がりを成す傾斜部を備え、否円錐支持柱は、少なくとも一方向に長くなる先端部と、該先端部より基部に向けて末広がりを成す傾斜部を備え、円錐支持柱と否円錐支持柱が外部に向けて開口する空洞を各々備えていることを特徴とする。
ここで回転成形品と二重壁成形品とは、後記する本発明の回転成形金型と回転成形方法を用いて形成するものを言い、その内、回転成形品とは、一方側壁と他方側壁とが壁間空部を介して相対する合成樹脂製品を言い、二重壁成形品とは、内側壁と外側壁とが壁間空部を介して相対し、三次元の立体構造を成す合成樹脂製品で、例えば、丸枡状や角枡状を成すものを言い、これらの回転成形品と二重壁成形品の大きさは、回転成形金型と加熱炉の大きさによって制限される。
ここで壁厚さとは、回転成形品を形成している一方側壁と他方側壁、又は二重壁成形品を形成している内側壁と外側壁の肉厚さを言い、回転成形品の大きさと使用目的等により異なるもので、採用し得る範囲は1mm〜50mm、好ましい範囲は2mm〜20mm、最良の範囲は3mm〜15mmであり、壁厚さを厚くすれば、耐久力は向上するものの、その分、重くなるし高価になる。
ここで支持柱とは、回転成形品の壁間空部において、一方側壁と他方側壁とを繋ぐものであるし、二重壁成形品の壁間空部において、内側壁と外側壁とを繋ぐものを言い、円錐支持柱とは、先端部より基部に向けて末広がりを成す傾斜部と、外部に向けて広口に開口する空洞を備え、全体が円錐筒状を成すものであり、主に構造的に弱くなる位置にピンポイントで設けるものを言い、否円錐支持柱とは、上記円錐支持柱が少なくとも一方向に長くなり、先端部側から見て一文字状又は十文字状を成し、或いはH状、V状、X状等を成し、外部に向けて広口に開口する空洞を備えるものであり、主に構造的に弱くなる適宜範囲に設けるものを言う。何れの支持柱も、回転成形品に外圧や内圧が加わった場合、一方側壁と他方側壁、及び内側壁と外側壁が撓んだり変形しないようにするものである。
ここで壁間空部とは、回転成形品において、相対する一方側壁かと他方側壁との間に生じる空間を、また二重壁成形品において、二重壁を構成する内側壁と外側壁との間に生じる空間を言い、2〜100mmの空間高さを言う。
前記目的を達成するために、本発明の回転合成樹脂成形金型(以下、回転成形型という。)は請求項として回転成形品の一方側壁を形成する第一金型と、他方側壁を形成する第二金型とから構成され、第一金型と第二金型の少なくとも一方側金型に、回転成形品の支持柱を形成するための突出部を備え、第一金型と第二金型の型締め状態において、第一・第二金型の間に回転成形品の成形空間を形成すると共に、一方側金型に設けた突出部先端面を他方側金型に対し壁厚さ(t)から壁厚さの2倍(2t)までの隙間を保って相対していることを特徴とする。
請求項2として、二重壁成形品の成形に用いる二重壁用回転合成樹脂成形金型(以下、二重壁成形型とする。)であり、該二重壁成形型は、二重壁成形品の内側壁を形成する雄金型と、外側壁を形成する雌金型とから構成され、雌金型から雄金型に向けて二重壁成形品の支持柱を形成するための突出部を備え、雄金型と雌金型の型締め状態において、雄金型と雌金型の間に二重壁成形品の二重壁用成形空間を形成すると共に、雌金型に設けた突出部先端面を雄金型に対し壁厚さ(t)から壁厚さの2倍(2t)までの隙間を保って相対していることを特徴とする。
請求項の二重壁成形型は、請求項に記載の雌金型として、分離壁型と窓嵌込壁型の何れかを用いるものであり、分離壁型は、集合離散が自在となる複数の分割壁体より構成され、該分割壁体から雄金型に向けて先細となる突出部を備え、窓嵌込壁型は、複数の窓部を有する枠金型と、該枠金型の窓部に対して嵌脱自在となる複数の組込体とから構成され、組込体から雄金型に向けて先細となる突出部を備え、各突出部が分割壁体又は組込体の嵌脱方向に平行していることを特徴とする。
請求項は請求項1、2、3に記載の回転成形型と二重壁成型型において、回転成形品と二重壁成形品に円錐支持柱を形成するための一方側金型又は雌金型にあっては、円錐支持柱に対応する円錐突出部を備え、否円錐支持柱を形成するための一方側金型又は雌金型にあっては、否円錐支持柱に対応する否円錐突出部を備えていることを特徴とする。
ここで回転成形型とは、請求項1の回転成形品を形成する際に用いる金型で、主に第一金型と第二金型とに二分割されるものを言い、第一金型とは、回転成形品の一方側壁を形成する金型を言い、第二金型とは、回転成形品の他方側壁を形成する金型を言う。
ここで二重壁成形型とは、請求項2の二重壁成形品の成形に用いる金型で、主に雄金型と雌金型とによって構成されるものを言い、雄金型とは、二重壁成形品の内側壁を形成する金型を言い、雌金型とは、二重壁成形品の外側壁を形成する金型で、雄金型に向けて突出部を突出するものを言い、突出部の突出方向に合わせて分割構成することが好ましい。
ここで成形空間とは、回転成形型の型締め状態において、第一金型と第二金型の間に形成される回転成形品用の空間、即ち、キャビティを言い、二重壁用成形空間とは、二重壁成形型を型締めした状態において、雄金型と雌金型の間に形成される二重壁成形品用の空間を言う。
ここで突出部とは、回転成形型を構成する第一金型と第二金型の少なくとも一方金型から他方金型に向けて先細に突出し、その先端部が他方金型と隙間を保って相対するもので、回転成形品に支持柱を形成するための中子的なものを言い、また二重壁成形型を構成する雌金型から雄金型に向けて先細に突出し、その先端部が雄金型と隙間を保って相対するもので、二重壁成形品に支持柱を形成するための中子的なものを言う。
ここで円錐突出部とは、回転成形型に設ける突出部の一タイプで、回転成形品の壁間空部に円錐支持柱を形成するものを言い、否円錐突出部とは、回転成形型に設ける突出部の一タイプで、回転成形品の壁間空部に否円錐支持柱を形成するものを言う。これらの円錐突出部や否円錐突出部を回転成形型に設ける場合、突出部先端面を他方金型、又は雄金型に対し隙間を保って相対するように備えることが肝要である。
ここで分離壁型とは、二重壁成形型を構成する雌金型の一形態で、複数の分割壁体から構成するものを言い、分割壁体とは、突出部を雄金型に向けて突出する突出し、雄金型に向けて前後進可能となり、組み立て完了時に二重壁成形型の雌金型を構成するものを言う。
ここで窓嵌込壁型とは、二重壁成形型を構成する雌金型の一形態を言い、雌金型の骨組みを構成する枠金型と、該枠金型の窓部に対して嵌脱する組込体とから構成されるものを言い、枠金型とは、組込体の嵌脱が自在となる窓部を備えるものを言い、組込体とは、突出部を雄金型に向けて突出し、枠金型の窓部に対して嵌脱自在となるものを言う。
前記目的を達成するために、本発明の回転合成樹脂成形方法(以下、回転成型方法という。)は、請求項として、請求項に記載の回転成形型を用いて回転成形品を成形するものであり、該成形方法は、
第一工程:回転成形型を構成する他方側金型と、突出部を備えた一方側金型とを型締めし、回転成形型内に成形空間を形成すると共に、突出部先端面を他方側金型に対し隙間を保って相対するようにしておく。
第二工程:型締めした回転成形型の成形空間に合成樹脂粉を投入する。
第三工程:合成樹脂粉を投入した回転成形型を加熱炉に移行し、加熱炉内で回転する。
そのことにより、合成樹脂粉は溶けながら成形空間を形成する一方側金型と他方側金型の内面、及び突出部の外面に沿って流れ、順次積層する。
第四工程:溶融樹脂が少なくとも壁厚さまで積層することにより、一方側金型の内面に一方側樹脂層を、他方側金型の内面に他方側樹脂層を形成すると共に、突出部の外面に支持柱樹脂層を形成し、そのことにより突出部先端面に積層した支持柱樹脂層が他方側樹脂層と一体化し、製品用樹脂層を形成する。
第五工程:次いで回転成形型を加熱炉から炉外に出し、回転成形型を冷却し、成形空間内の製品用樹脂層を固化せしめ、
第六工程:回転成形型を構成していた一方側金型と他方側金型を型開きし、成形空間を開放して製品用樹脂層を取出せば、支持柱樹脂層より成る支持柱から突出部も取出される。
そのことにより、壁間空部内から一方側壁と他方側壁を補強する支持柱を形成し得るようにしたことを特徴とする。
請求項は、請求項に記載の二重壁成形型を用いて二重壁成形品を成形する回転合成樹脂成形方法(以下、回転成型方法という。)であり、該成形方法は、
第一工程:二重壁成形型を構成する雄金型と、突出部を備えた雌金型とを型締めし、雄金型と雌金型間に二重壁用成形空間を形成すると共に、突出部先端面を雄金型に対し隙間を保って相対するようにしておく。
第二工程:型締めした二重壁成形型の二重壁用成形空間内に合成樹脂粉を投入する。
第三工程:合成樹脂粉を投入した二重壁成形型を加熱炉に移行し、加熱炉内で回転する。そのことにより、合成樹脂粉は溶けながら二重壁用成形空間を形成する雄金型と突出部の外面、及び雌金型の内面に沿って流れ、順次積層する。
第四工程:溶融樹脂が少なくとも壁厚さまで積層することにより、雄金型の外面に内側壁樹脂層を、雌金型の内面に外側壁樹脂層を形成すると共に、突出部の外面に支持柱樹脂層を形成する。そのことにより突出部先端面に積層した支持柱樹脂層が内側壁樹脂層と一体化し、二重壁製品用樹脂層を形成する。
第五工程:次いで二重壁成形型を加熱炉から炉外に出し、二重壁成形型を冷却し、二重壁用成形空間内の二重壁製品用樹脂層を固化せしめ、
第六工程:二重壁成形型を構成していた雄金型と雌金型を型開きし、二重壁用成形空間を開放して二重壁製品用樹脂層を取出せば、支持柱樹脂層より成る支持柱から突出部も抜き出る。そのことにより、壁間空部内に内側壁と外側壁を補強する支持柱を形成し得るようにしたことを特徴とする。
請求項は、請求項に記載の回転成形方法において、二重壁成形型の雌金型として請求項5に記載の分離壁型を用いる場合、雄金型と分離壁型を構成する複数の分割壁体との型締め手順及び型開き手順は自由であるし、窓嵌込壁型を用いる場合、雄金型と窓嵌込壁型を構成する枠金型の型締め手順及び型開き手順、更に枠金型の窓部に対する組込体の嵌脱手順は自由であることを特徴とする。
ここで回転成形方法とは、本発明の回転成形金型を用いる点以外は従来と略同様であるし、二重壁成形品の回転成形方法とは、本発明の二重壁成形型を用いる点以外は従来と略同様である。
本発明において、突出部先端面を他方金型に対して隙間を保って備えることは、最も重要な要点あり、その隙間を壁厚さから壁厚さの2倍までの範囲にすることで、壁間空部に一方側壁と他方側壁とを繋ぐ支持柱、及び内側壁と外側壁とを繋ぐ支持柱の形成を可能にするものである。
即ち、雄金型の外面に内側壁樹脂層が、雌金型の内面に外側壁樹脂層が、突出部の外面に支持柱樹脂層が順次積層され、それらの樹脂層が少なくとも壁厚さまで達すると、突出部先端面と雄金型の外面に積層した樹脂層が融合して一体化する。
ここで一方側樹脂層とは、回転成形金型を構成する一方金型の内面に積層した樹脂層を言い、他方側樹脂層とは、回転成形金型を構成する他方金型の内面に積層した樹脂層を言い、内側壁樹脂層とは、二重壁成形型を構成する雄金型の外面に積層した樹脂層を言い、外側壁樹脂層とは、二重壁成形型を構成する雌金型の内面に積層した樹脂層を言う。
ここで支持柱樹脂層とは、一方金型に設けた突出部、又は雌金型に設けた突出部の外面に積層した樹脂層を言い、製品用樹脂層又は二重壁製品用樹脂層とは、成形空間又は二重壁用成形空間内にあって、冷却固化する前の回転成形品や二重壁成形品を言う。
ここで支持柱先端部の外面に積層した支持柱樹脂層と、一方側壁の内面に積層した一方側樹脂層とが一体化しとは、本発明特有の現象、即ち、合成樹脂粉を投入した回転成形金型を加熱炉内で回転することで、合成樹脂粉は溶融しながら成形空間に沿って流れ、積層される現象を利用したもので、一方側樹脂層と支持柱先端部に積層した支持柱樹脂層が融合し連続化することを言い、
支持柱先端部の外面に積層した支持柱樹脂層と、雄金型の外面に積層した内側樹脂層とが一体化しとは、上記現象と同様であるから、説明を省略する。
ここで一方金型の突出部を支持柱より離脱する、又は雌金型の突出部を支持柱より離脱するとは、突出部が一方金型より他方金型に向けて先細となり、又は雌金型より雄金型に向けて先細となっているので、即ち、抜け勾配を有するため、型開きにより支持柱から容易に離脱し得ることを言う。
ここで雌金型として分離壁型を用いる二重壁成形型において、雄金型と分離壁型を構成する分割壁体の型締め及び型開き手順は自由であるとは、先に雄金型を定位置に配置し、その雄金型に対して後から分割壁体を組み立てるか、その反対の手順で組み立てることも可能であること、及び型開き手順が型開き手順と反対であることを言う。
ここで雌金型として窓嵌込壁型を用いる二重壁成形型において、雄金型と枠金型の組み立て手順は自由であるとは、先に雄金型を定位置に配置し、その雄金型に対して後から枠金型を組み立てるか、その反対の手順で組み立てることも可能であることを言い、枠金型の窓部に対する組込体の嵌脱手順も自由であるとは、先に枠金型の窓部に組込体を嵌め込み、雌金型の窓嵌込壁型を構成した後、雄金型と組み立てるか、その反対に、雄金型に対して後から枠金型を組み立て、その枠金型の窓部に組込体を嵌め込むことも可能であること、及び型開き手順も同様であることを言う。雌金型の形態は、分離壁型や窓嵌込壁型に限定されるものではない。
ここで加熱炉とは、回転成形金型をガスバーナやオイルバーナ等で過熱しながら回転する炉を言い、冷却とは、加熱した回転成形金型を加熱炉から外部に出し、炉外で空冷や水冷等により冷却することを言う。
ここで合成樹脂粉とは、従来の回転成形において使用する合成樹脂粉や合成樹脂ペレットと同様であるから、説明を省略する。
ここで突出部先端面を他方金型に対し隙間を保って相対しとは、突出部先端面の外面に積層した支持柱樹脂層と、他方金型の内面に積層した他方側樹脂層が融合して一体化し得る間隔、及び雌金型に設けた突出部先端面を雄金型に対し隙間を保って相対しとは、突出部先端面の外面に積層した支持柱樹脂層と、雄金型の外面に積層した内側壁樹脂層が融合して一体化し得る間隔を言い、少なくとも壁厚さから壁厚さの二倍までを言う。
本発明の回転成形品は、下記の効果を有する。
請求項1に記載の回転成形品は、壁厚さが略同一の一方側壁と他方側壁との間に壁間空部を備え、該壁間空部に一方側壁と他方側壁を支える支持柱を備えているので、この支持柱によって一方側壁と他方側壁の弱くなると思われる箇所を補強し、全体を著しく強靭化し得る。しかも、支持柱によって壁間空部の空間高さを一定に保ち得るばかりか、壁間空部内から一方側壁と他方側壁を支持するので、支持柱が他物との接触により損傷することが全くないし、保管・輸送の邪魔にもならないばかりか、保管・輸送のスペースも少なくてすむ。
特に、壁間空部を有する回転成形品において強度を高める場合、従来、回転成形品の外側を外型で囲み、内側に中子型を配置し、一方側壁と他方側壁が外側に膨出しないようにした後、壁間空部内に発泡性ウレタン樹脂を注入し、これを発泡した発泡ウレタンで埋めていたが、本発明では、そのような面倒で手間のかかる手段が不要であるから、その分、回転成形品の製造が簡単容易となるし、安価に提供し得る。
更に、側壁より外側に補強リブを突設する従来射出成形品に比較して、支持柱を安定した状態で任意位置に設けることが出来るばかりか、壁間空部内に支持柱が位置するので回転成形品の美観も向上する。
二重壁式成形品は、回転成形品と略同様の効果が得られる。即ち、二重壁成形品は、略同一の壁厚さを有する内側壁と外側壁の間に壁間空部を備え、該壁間空部に内側壁と外側壁を繋ぐ支持柱を備え得るので、内側壁と外側壁の弱くなると思われる箇所に支持柱を備えることで、全体を著しく強靭化し得る。その結果、30リットル以上収容し得る立体構造の二重壁成形品、或いは射出成形では製造の困難な大きさの二重壁成形品も提供し得る。また、強度を高めるため、従来の二重壁成形品の如く壁間空部に発泡性ウレタン樹脂を注入し、壁間空部を発泡ウレタンで埋める必要もないため、二重壁成形品の製造も簡単容易となるし、安価に提供しえる。
また、支持柱として円錐支持柱を用いると、円錐支持柱は構造的に耐久力が強い円錐形状を成すので、構造的に弱くなる個所にピンポイントで設けることで回転成形品を強靭化し得る。また、支持柱として否円錐支持柱を用いると、否円錐支持柱は構造的に耐久力が強い台形状を成すので、構造的に弱くなる適宜範囲に設けることで円錐支持柱と略同様の効果が得られる。何れの支持柱にあっても、支持柱は壁間空間内に位置するので、他物に触れて損傷することもないし、従来の補強リブより美観も向上する。
尚、円錐支持柱と否円錐支持柱は、回転成形品の形状や構造に応じて選択的に用いることも可能である。
本発明の回転成形金型は、下記の効果を有する。
請求項に記載の回転成形型は、回転成形品の一方側壁を形成する第一金型と、他方側壁を形成する第二金型との少なくとも一方金型に、他方金型に向けて突出する突出部を備え、しかも第一・第二金型の型締め時に、両金型間に回転成形品の成形空間を形成すると共に、一方金型に設けた突出部先端面を他方金型と隙間を保って相対しているため、回転成形品の壁間空部に一方側壁と他方側壁に繋がる支持柱を備えることが可能になる。即ち、第一・第二金型の型締め時に、一方金型に設けた突出部先端面が他方金型に対し壁厚さ(t)から壁厚さの2倍(2t)までの隙間を保って相対することが本発明の重要な点である。
請求項に記載の二重壁成形型(以下、二重壁成形型とする。)は、二重壁成形品の成形に用いるもので、従来と同様に二重壁成形品の内側壁を形成する雄金型と、外側壁を形成する雌金型とから構成するものであるが、従来と異なる点は、雌金型から雄金型に向けて突出する突出部を備え、該突出部先端面を雄金型に対し壁厚さ(t)から壁厚さの2倍(2t)までの隙間を保って相対している点にある。
即ち、雄金型と雌金型の型締め時に、両金型間に二重壁成形品の二重壁用成形空間を形成すると共に、雌金型に設けた突出部の先端面が雄金型に対し隙間を保って相対する。そのことにより、壁間空部に内側壁と外側壁に繋がる支持柱を備えることを可能にするものである。
請求項に記載の回転成形型において、請求項に記載の雌金型として分離壁型を用いると、分離壁型は組合せと分離が自在となる複数の分割壁体より構成されているので、複雑な形状を成す二重壁成形品の製造に用いると、二重壁成形型の型締めと型開きが簡便になる。
また、雌金型として窓嵌込壁型を用いると、窓嵌込壁型は複数の窓部を有する枠金型と、該枠金型の窓部に対して嵌脱自在となる複数の組込体とから構成されているので、上記分離壁型と同様に、複雑な形状を成す二重壁成形品の製造に用いると、二重壁成形型の型締めと型開きが簡便になる。特に窓嵌込壁型の組込体は、枠金型の窓部に対して嵌脱する際、窓部に沿って、即ち、窓部に誘導されるので、正確に嵌脱し得る。
請求項に記載の回転成形型にあっては、請求項1、2、3に記載の効果に加えて、回転成形型の一方金型、又は雌金型に円錐突出部を設けることで、回転成形品の壁間空部内に一方側壁と他方側壁を支える円錐支持柱、又は内側壁と外側壁を支える円錐支持柱を備えることができるし、円錐突出部の代わりに否円錐突出部を設けることで、回転成形品の壁間空部内に一方側壁と他方側壁を支える否円錐支持柱、又は内側壁と外側壁を支える否円錐突出部を備えることができる。特に、円錐突出部や否円錐突出部を設ける場合、両突出部先端面を他方金型、又は雄金型に対し隙間を保って相対するように備えることが肝要である。
尚、円錐突出部と否円錐突出部の形成位置や形成範囲は、回転成形品の形状及び構造に合わせて設けるも可能である。
これらの円錐突出部や否円錐突出部の先端面は、他方金型又は雄金型に対し隙間を保って相対するので、円錐突出部や否円錐突出部の外面に積層した支持柱樹脂層と、他方金型の内面に積層した他方側樹脂層又は雄金型の外面に積層した内側壁樹脂層とがやがて一体化し得る。
本発明の回転成形方法は、下記の効果を有する。
請求項に記載の回転成形方法は、回転成形品を請求項に記載の回転成形型を用いて形成するものであり、回転成形型を構成する他方金型と、突出部を備えた一方金型を型締めし、その回転成形型の成形空間内に合成樹脂粉を投入し、該成形型を加熱炉内で回転すれば、合成樹脂粉は溶けながら成形空間を形成する一方金型と他方金型の内面及び突出部の外面に沿って流れ、少なくとも壁厚さまで積層することにより一方金型の内面に一方側樹脂層を、他方金型の内面に他方側樹脂層を積層すると共に、突出部の外面に支持柱樹脂層を積層する。
そのことにより、他方側樹脂層と支持柱先端部に積層した支持柱樹脂層とが融合し、壁間空間に一方側樹脂層と他方側樹脂層とに連続する支持柱樹脂層を一体化した製品用樹脂層を形成する。即ち、突出部先端面は、他方金型に対して隙間を保って相対しているので、溶融樹脂が積層していくに従って隙間が埋まり、やがて融合して一体化し、突出部の外側に支持柱を形成する。しかも本発明の回転成形方法は、従来の回転成形方法と略同様であるから、特殊技術や熟練を必要としない。
請求項6に記載の回転成形方法は、二重壁成形品を請求項に記載の二重壁成形型を用いて形成するものであり、二重壁成形型を構成する雄金型と突出部を備えた雌金型を型締めし、その二重壁成形型の二重壁用成形空間内に合成樹脂粉を投入し、該二重壁成形型を加熱炉内で回転すれば、合成樹脂粉は溶けながら成形空間を形成する雌金型の内面と、雄金型及び突出部の外面に沿って流れ、少なくとも壁厚さまで積層することで、雄金型の外面に内側壁樹脂層を、雌金型の内面に外側壁樹脂層を積層すると共に、突出部の外面に支持柱樹脂層を形成する。そのことにより、内側壁樹脂層と支持柱先端部に積層した支持柱樹脂層とが一体化した二重壁製品用樹脂層を形成する。即ち、突出部先端面は雄金型に対して隙間を保って相対しているので、溶融樹脂の積層により隙間で融合
して一体化する。その結果、突出部において支持柱を形成し得る。
請求項に記載の回転成形方法は、請求項に記載の回転成形方法において、雌金型として請求項記載の分離壁型を用いるものであり、分離壁型を用いることで、二重壁構造を成す丸枡状成形品は勿論、複雑な形状を成す角枡状成形品の製造も簡単容易になる。また、雌金型として請求項記載の窓嵌込壁型を用いても、分離壁型と同様に、複雑な形状を成す二重壁成形品でも簡単容易に製造し得る。しかも、二重壁成形品の壁間空間内の任意位置に支持部を備えることができるため、耐圧力の強い二重壁成形品を提供し得る。
本発明における回転成形品の第一実施形態と第二実施形態を示す縦断面 図である。 円錐支持柱を備えた回転成形品の正面図である。 否円錐支持柱を備えた回転成形品の正面図である。 本発明における回転成形型と回転成形方法の第一実施形態及び第二実 施形態における合成樹脂粉の投入例を示す端面図である。 上記実施形態における溶融樹脂の積層例を示す端面図である。 同実施形態における円錐支持柱の構造例を示す要部拡大断面図である。 同実施形態における否円錐支持柱の構造例を示す要部拡大断面図である 。 回転成形品の第三実施形態(二重壁成形品)を示す縦断面図である。 回転成形型と回転成形方法の第三実施形態における合成樹脂粉の投入 例を示す端面図である。 第三実施形態における溶融樹脂の積層例を示す端面図である。 回転成形品の第四実施形態を示す二重壁成形品(丸枡状成形品)の正面 図である。 丸枡状成形品の斜視図である。 回転成形品の第五実施形態と第六実施形態を示す二重壁成形品(角枡状成形 品)の斜視図である。 回転成形型の第四実施形態で、二重壁成形型(角枡状成形品用)の雌金型 (分離壁型)を示す分解斜視図である。 回転成形型の第五実施形態と第六実施形態を示す二重壁成形型(角枡 状成形品用)の雌金型(窓嵌込壁型)の枠金型の斜視図である。 類例枠金型の下側斜視図である。 類例枠金型の上側斜視図である。 窓嵌込壁型の組立て例を示す斜視図である。 回転成形品の第七実施形態を示す要部拡大断面図で、(イ)は双片式補強 リブを、(ロ)は単片式補強リブを示す。 回転成形品における凹部の形成例を示す要部縦断面図である。 回転成形品における抜穴の形成例を示す要部縦断面図である。 支持柱の形成例を示す回転成形品の要部縦断面図である。 上記回転成形品に用いる回転成形型の要部縦断面図である。
先ず、本発明における回転成形品の第一実施形態を説明すると、第一実施形態は回転成形品D(以下、基本成形品Dとする。)を示すものであって、図1−1の如く一方側壁1と他方側壁2とが同一又は略同一の壁厚さtを有し、その一方側壁1と他方側壁2とが空間高さSの壁間空部3を介して相対設し、壁間空部3に一方側壁1と他方側壁2に連続する支持柱4を備え、該支持柱4の先端部4cを他方側壁2と一体化し、一方側壁1と他方側壁2を壁間空部3から補強している。
即ち、支持柱4は、一方側壁1より他方側壁2に向けて突出し、その先に先端部4cを備え、先端部4cが他方側壁2と融合して一体化し、主に構造的に弱くなる位置の壁間空部3において一方側壁1と他方側壁2とに連続し、両側壁1,2を補強している。
次に、本発明における回転成形金型の第一実施形態を説明すると、第一実施形態の回転成形金型G(以下、基本成形型Gとする。)は、前記基本成形品Dの成形に用いるものであり、図2−1の如く基本成形品Dの一方側壁1を形成する第一金型6と、他方側壁2を形成する第二金型7とから構成され、第一金型6と第二金型7の少なくとも一方金型に、基本成形品Dの支持柱4を形成するための突出部9を備えるものである。
しかも第一金型6と第二金型7を型締めした時、第一・第二金型6,7の間に基本成形品Dの成形空間8を形成すると共に、一方金型に設けた突出部9の先端面9cを他方金型に対し隙間Tを保って相対するものである。
以下、説明の便宜上、第一金型6に突出部9を備えるものとする。
ここで重要なことは、第一金型6より第二金型7に向けて突出する突出部9の先端面9cを、第二金型7に対し壁厚さt〜2tまでの隙間Tを保って相対せしめ、隙間Tを成形空間8と連通する状態にしておくことにある。
その他の構造は、従来の回転成形金型と同様であるから説明を省略する。
更に、本発明における回転成形方法の第一実施形態を説明すると、第一実施形態の回転成形方法は前記基本成形型Gを用いて前記基本成形品Dを以下の工程により製造するものである。
第一工程:基本成形型Gを構成する第二金型7と突出部9を備えた第一金型6とを型締めし、型締めした基本成形型Gの第一・第二金型6,7の間に成形空間8を形成すると共に、突出部先端面9cを第二金型7に対し隙間Tを保って相対するようにしておく。
第二工程:型締め状態にある基本成形型Gの成形空間8内に図2−1の如く合成樹脂粉Pを投入する。
第三工程:合成樹脂粉Pを投入した基本成形型Gを加熱炉(図示せず。)まで移行し、加熱炉内で回転せしめる。そのことにより、合成樹脂粉Pは溶けながら成形空間8を形成する第一金型6と第二金型7の内面、及び突出部9の外面に沿って流れ、第一金型6と第二金型7の内面、及び突出部9の外面に溶融樹脂を順次積層してゆく。
第四工程:溶融樹脂が少なくとも壁厚さtまで積層することにより、図2−2の如く第一金型6の内面に一方側樹脂層1jを、第二金型7の内面に他方側樹脂層2jを形成すると共に、突出部9の外面に支持柱樹脂層4jを形成する。そのことにより他方側樹脂層2jと、突出部先端面9cに積層した支持柱樹脂層4jとが融合し、一方側樹脂層1jと他方側樹脂層2jとの間に支持柱樹脂層4jを一体化した製品用樹脂層Jを形成する。
第五工程:加熱状態にあった基本成形型Gを加熱炉から炉外に移行し、基本成形型Gを空冷又は水冷等により適宜冷却し、製品用樹脂層Jを固化せしめる。
第六工程:冷却した基本成形型Gを型開きし、即ち、基本成形型Gを構成していた第一金型6と第二金型7を切り離し、成形空間8を開放し、成形空間8から冷却固化した基本成形品Dを取り出す。その際、第一金型6の突出部9が基本成形品Dの支持柱4より抜け出るまで型開きすることにより、基本成形品Dは容易に取出せる。
前記基本成形品Dに設ける支持柱4は、円錐支持柱4Aと否円錐支持柱4Bの少なくとも一方である。
その内、円錐支持柱4Aは図1−1と図1−2と図3−1の如く、一方側壁1より他方側壁2に向けて先細となる傾斜部4aと、該傾斜部4aの先に他方側壁2と融合一体化する先端部4cを備え、且つ中心方向の外部に向けてラッパ状に開口する空洞4dを備え、全体が円錐筒状を成しており、主に構造的に弱くなる位置にピンポイントで設けるものである。
また、否円錐支持柱4Bは図1−3と図3−2の如く、上記円錐支持柱4Aを2分割し、その切口側を適宜離して相対向し、その間を傾斜部4aと先端部4cで繋ぐような形状を成し、その傾斜部4aと先端部4cとが共に基本成形品Dの長手方向又は幅方向に、或いは任意方向に平行して長くなり、先端部4cが他方側壁2と融合して一体化し、外部に向けて広口に開口する空洞4dを中心に備え、全体が基部より先端部4cに向けて先細となり、先端側から見て一文字状又は十文字状を成し、或いはH状、V状、X状等を成し、断面が空洞4dを備えた台形状や突条を成し、主に構造的に弱くなる適宜範囲に設けるものである。
尚、大き目の円錐支持柱4Aを形成する場合、図1−1と図1−2の如く傾斜部4aの途中に段部4bを設け、傾斜部4aを段状に形成することが望ましい。具体的には、円錐支持柱4Aの傾斜部4aの全周に段部4bを設け、段部4bより先細側に先端部4cを備える。
この段部4bは、主に傾斜部4aの耐久力が弱くなると思われる際に採用するもので、例えば、傾斜部長さと開口角度θ、及び壁厚さtを考慮して設けるもので、具体的には、傾斜部長さが20〜80mm、壁厚さtが1〜5mm、空洞開口幅Hが30〜120mm、開口角度θが30〜120度の少なくとも1つに該当する場合に採用することいが望ましい。
否円錐支持柱4Bあっては、段部4bを上記円錐支持柱4Aと同様に傾斜部4aの全般に備えるが、先端部4cは段部4bの全般に備えることも、段部4bの所々に形成することも可能である。
円錐支持柱4Aを有する基本成形品Dの成形に用いる基本成形型Gにあっては、円錐支持柱4Aを形成するための円錐突出部9Aを備え、否円錐支持柱4Bを有する基本成形品Dの成形に用いる基本成形型Gにあっては、否円錐支持柱4Bを形成するための否円錐突出部9Bを備える。
また、円錐支持柱4Aの傾斜部4aに段部4bを備える場合、円錐突出部9Aの傾斜面9aと先端面9cの間に、図5−1の如く円錐支持柱4Aの段部4bに相当する段状面9bを備えておき、また否円錐支持柱4Bの傾斜部4aに段部4bを備える場合、上記円錐突出部9Aと同様に傾斜面9aと先端面9cの間に、否円錐支持柱4Bの段部4bに相当する段状面9bを備えておく。
円錐突出部9Aと否円錐突出部9Bに設ける段状面9bは、傾斜面9aの全範囲に設けるが、否円錐突出部9Bの先端面9cは、段状面9bの全範囲に設けることも、分散して設けることも可能である。
基本成形品Dに設ける支持柱4は、基本成形品Dの形状・構造等に合わせて配置され、主に構造的に補強を必要とする個所に設けるものであるし、基本成形型Gの突出部9は、基本成形品Dに対する支持柱4の配置に合わせて備えるものである。
本発明による回転成形品の第二実施形態を、前記基本成形品Dと相違する点について説明すると、第二実施形態は図1−1の如く、相対する一方側壁1と他方側壁2との間に壁間空部3Aを有する中空板状回転成形品D1(以下、中空板状成形品D1とする。)である。
この中空板状成形品D1は、一方側壁1と他方側壁2との間に壁間空部3Aを備え、且つ、壁間空部3Aに一方側壁1と他方側壁2を補強する支持柱4を備えるもので、一方側壁1と他方側壁2は、同一又は略同一の壁厚さtを有し、空間高さSを有して平行する平担部1a,2aの周囲に湾曲側端部1b,2bを備え、湾曲側端部1b,2bを相互に接合連続して一体化している。
支持柱4として、円錐支持柱4Aと否円錐支持柱4Bの少なくとも一方を備えるが、何れも一方側壁1より他方側壁2に向けて先細となる傾斜部4aを有し、その先に他方側壁2と融合して一体化した先端部4cを備えている。
本発明による回転成形金型の第二実施形態を、前記基本成形型Gと相違する点について説明すると、第二実施形態は前記中空板状成形品D1の成形に用いる板用回転成形金型G1(以下、板用成形型G1とする。)である。
板用成形型G1は、中空板状成形品D1の一方側壁1を形成する第一金型6と、他方側壁2を形成する第二金型7とから構成され、第一金型6に突出部9を備え、型締めした時、第一金型6と第二金型7との間に板用成形空間8Aを形成すると共に、突出部先端面9cが第二金型7と隙間Tを保って相対する以外、基本成形型Gと同様であるから説明を省略する。
本発明による回転成形方法の第二実施例(以下、第二成形方法とする。)を、前記回転成形方法と相違する点について説明すると、第二成形方法は、回転成形金型Gとして板用成形型G1を用いるため、
第四工程において、溶融樹脂が積層されることにより、第一金型6の内面に一方側樹脂層1jが、第二金型7の内面に他方側樹脂層2jが形成されると共に、突出部9の外面に支持柱樹脂層4jが形成される。そのことにより他方側樹脂層2jと、突出部先端面9cに積層した支持柱樹脂層4jとが融合し、一方側樹脂層1jと他方側樹脂層2jとの間に支持柱樹脂層4jを一体化した板製品用樹脂層J1を形成する。以外、前記回転成形方法と同様であるから説明を省略する。
本発明による回転成形品の第三実施形態を説明すると、第三実施形態は図4の如く、三次元の立体構造を成す二重壁式回転成形品D2(以下、二重壁成形品D2とする。)であって、該二重壁成形品D2は、内側壁11と外側壁12の間に空間高さSの壁間空部3Bを備え、且つ内側壁11と外側壁12は、同一又は略同一の壁厚さtを有し、壁間空部3B内に内側壁11と外側壁12に連続する支持柱4を備え、支持柱4にて二重壁を構成する内側壁11と外側壁12を補強している。
壁間空部3Bに設ける支持柱4として、前記基本成形品Dと同様にピンポイント状に配置する円錐支持柱4Aと、適宜範囲に設ける否円錐支持柱4Bとを用いる。
円錐支持柱4Aは、外側壁12より内側壁11に向けて先細となる傾斜部4aの先に、内側壁11と融合して一体化する先端部4cを備え、全体が円錐状を成し、否円錐支持柱4Bは、外側壁12より内側壁11に向けて先細となる傾斜部4aの先に先端部4cを備え、傾斜部4aと先端部4cとが共に少なくとも一方向に長くなり、その先端部4cが内側壁11と融合して一体化し、断面が中空台形を成し、且つ先端部側から見て一文字状又は十文字状、或いはH状、V状、X状等の突条を成している。
その他の構造は、基本成形品Dと同様であるから説明を省略する。
本発明による回転成形金型の第三実施形態を説明すると、第三実施形態は図5−1の如く、上記二重壁成形品D2の形成に用いる二重壁用回転成形金型G2(以下、二重壁成形型G2とする。)である。
この二重壁成形型G2は、二重壁成形品D2の内側壁11を形成する雄金型16と、外側壁12を形成する雌金型17とから構成され、雌金型17に二重壁成形品D2の支持柱4を形成するための突出部9を備え、該突出部9が雌金型17より雄金型16に向けて突出している。
二重壁成形型G2を構成する雄金型16と雌金型17を型締めした時、雄金型16と雌金型17の間に二重壁用成形空間8Bを形成すると共に、突出部先端面9cが雄金型16に対し壁厚さt〜2tの隙間Tを保って相対し、隙間Tが二重壁用成形空間8Bと連通するものである。
二重壁成形品D2に円錐支持柱4Aを設ける二重壁成形型G2にあっては、雌金型17に円錐支持柱4Aに対応する円錐突出部9Aを備え、また二重壁成形品D2に否円錐支持柱4Bを設ける二重壁成形型G2にあっては、雌金型17に否円錐支持柱4Bに対応する否円錐突出部9Bを備えておく。
本発明による回転成形方法の第三実施形態(以下、第三成形方法とする。)を説明すると、第三成形方法は、上記二重壁成形型G2を用いて前記二重壁成形品D2を形成するものである。即ち、
第一工程:二重壁成形型G2を構成する雄金型16と、突出部9を備えた雌金型17とを型締めする。そのことにより雄金型16と雌金型17の間に二重壁用成形空間8Bが形成されると共に、突出部先端面9cが雄金型16に対し隙間Tを保って相対する。
第二工程:型締め状態にある二重壁成形型G2の二重壁用成形空間8B内に図5−1の如く合成樹脂粉Pを投入する。
第三工程:合成樹脂粉Pを投入した二重壁成形型G2を加熱炉(図示せず。)まで移動し、加熱炉内で回転する。そのことにより、合成樹脂粉Pは溶けながら二重壁用成形空間8Bを形成する雌金型17の内面及び雄金型16と突出部9の外面に沿って流れ、順次積層してゆく。
第四工程:溶融樹脂が少なくとも壁厚さtまで積層することにより、図5−2の如く雄金型16の外面に内側壁樹脂層11jを、雌金型17の内面に外側壁樹脂層12jを形成すると共に、突出部9の外面に支持柱樹脂層4jを形成する。そのことにより突出部先端面9cに積層した支持柱樹脂層4jが内側壁樹脂層11jと融合し一体化した二重壁製品用樹脂層J2を形成する。
第五工程:加熱状態にあった二重壁成形型G2を加熱炉から炉外に移動し、二重壁用成形空間8B内にある二重壁製品用樹脂層J2を適宜冷却し、二重壁製品用樹脂層J2を固化せしめる。
第六工程:冷却した二重壁成形型G2の雄金型16と雌金型17を型開きし、二重壁用成形空間8Bを開放して二重壁成形品D2を取出せば、壁間空部3Bに内側壁11と外側壁12に連続する支持柱4が形成されている。
本発明による回転成形品の第四実施形態は、第三実施形態の二重壁成形品D2の一種の丸枡状回転成形品D3(以下、丸枡状成形品D3とする。)であり、丸枡状成形品D3は図6−1と図6−2の如く、底部d2の外周部より上向きに円筒部d3を起立し、広口に開口している。
丸枡状成形品D3を形成する底部d2と円筒部d3は、図4の如く内側壁11と外側壁12との間に空間高さSの壁間空部3Bを備えた二重壁構造を成し、少なくとも円筒部d3の内側壁11と外側壁12の間の壁間空部3Bに、内外側壁11,12を繋ぐ支持柱4を適宜備えている。
尚、丸枡状成形品D3は、後記する角枡状回転成形品D4に比較して耐久力が強いので、支持柱4の形成間隔は粗くても良いが、例えば、液状物を収容する丸枡状成形品D3にあっては、円筒部d3の下位から上位に至るに従って大きな圧力が加わるので、下位より上位に至るに従って支持柱4を密に配置することが望ましい。
本発明による回転成形金型の第四実施形態は、第三実施形態の二重壁成形型G2の一種で、雌金型17として特殊な分離壁型G3を用いる一形態である。
この分離壁型G3は、図8の如く集合と分離が自在となる複数の分割壁体20より構成され、雄金型16との組み合わせにより二重壁成形型G2を構成し、丸枡状成形品D3又は角枡状成形品D4を成形するものである。
例えば、矩形状の角枡状成形品D4を成形する雌金型17として分離壁型G3を用いる場合、分離壁型G3を構成する分割壁体20を、角枡状成形品D4の左側部を形成する第一壁体21と、右側部を形成する第二壁体22と、前側部を形成する第三壁体23と、背側部を形成する第四壁体24と、底部を形成する底壁体25とから構成し、各壁体21,22,23,24,25に突出部9を各々備えるものであり、その突出部9は各壁体21,22,23,24,25から雄金型16に向けて先細となるように、且つ分割壁体20の嵌脱方向に平行して突設されていて、それらの壁体21,22,23,24,25を相互に接近集合することにより雌金型17を構成する。
他方の雄金型16は、雌金型17となる分割壁体20の集合完了前、又は集合完了後の何れかに組み立てることで、角枡状成形品D4の二重壁成形型G2を構成する。
本発明による回転成形方法の第四実施形態(以下、第四成形方法とする。)を、第三成形方法と相違する点について説明すると、第四成形方法は、上記分離壁型G3を用いて角枡状成形品D4を形成するものである。即ち、
第一工程:分割壁体20を構成する各壁体21,22,23,24,25を中心部に向けて集合し、相互に組立てて一体の雌金型17を構成した後、該雌金型17と雄金型16を型締めする。そのことにより、雄金型16と雌金型17の間に二重壁用成形空間8Bが形成されると共に、突出部先端面9cが雄金型16に対し隙間Tを保って相対する。
第二工程:型締め状態にある二重壁成形型G2の二重壁用成形空間8Bに合成樹脂粉Pを投入する。
第三工程:合成樹脂粉Pを投入した二重壁成形型G2を加熱炉内で回転する。そのことにより、合成樹脂粉Pは溶けながら二重壁用成形空間8Bの形成面に沿って流れ、即ち、雌金型17を構成する分割壁体20の内面に沿って流れる一方、分割壁体20に設けた突出部9と雄金型16の外面に沿っても流れ、順次積層してゆく。
第四工程:溶融樹脂が少なくとも壁厚さtまで積層することにより、雄金型16の外面に積層した内側壁樹脂層11jと、突出部先端面9cに積層した支持柱樹脂層4jとが一体化した二重壁製品用樹脂層J2を形成する。
第五工程:加熱状態にあった二重壁成形型G2を加熱炉より炉外に移行し、二重壁成形型G2を適宜冷却し、二重壁製品用樹脂層J2を固化せしめる。
第六工程:先ず二重壁成形型G2を構成していた雄金型16と雌金型17を型開きし、更に雌金型17を構成していた分割壁体20の各壁体21,22,23,24,25を離反し、二重壁用成形空間8Bを開放せしめ、その際、少なくとも突出部9が支持柱4より離脱するまで離脱方向に後退することで、角枡状成形品D4の取出しが簡単容易になる。
本発明による回転成形品の第五実施形態を、第四実施形態の丸枡状成形品D3と相違する点について説明すると、第三実施形態の二重壁成形品D2の一種の角枡状回転成形品D4(以下、角枡状成形品D4とする。)である。
第五実施形態の角枡状成形品D4は、図7の如く底部d2の外周部より上向きに角筒部d4を起立し、広口に開口している。
角枡状成形品D4を形成する底部d2と角筒部d4は、図4の如く内側壁11と外側壁12との間に空間高さSの壁間空部3Bを備えた二重壁構造を成し、少なくとも角筒部d4の内側壁11と外側壁12の間の壁間空部3Bに、内外側壁11,12を繋ぐ支持柱4を適宜備えている。角筒部d4の形状として、例えば矩形、多角形(五画〜十二角)等が考えられる。
角枡状成形品D4に設ける支持柱4は、角枡状成形品D4に加わる圧力の分布に応じて配置することが望ましく、例えば角枡状成形品D4の下位より上位に向けて密に配置する。
本発明による回転成形金型の第五実施形態を、第四実施形態と相違する点について説明すると、第五実施形態は第四実施形態と同様に、第三実施形態の二重壁成形型G2の一種であるが、雌金型17として特殊な窓嵌込壁型G4を用いる点で相違する。
この窓嵌込壁型G4は、図9−1〜図9−3の如く窓部30を有する枠金型10と、図9−4の如く枠金型10の窓部30に対し嵌脱する複数の組込体40とから構成されている。
例えば、丸枡状成形品D3を形成する窓嵌込壁型G4にあっては、枠金型10の窓部30として少なくとも第一窓31と第二窓32と第三窓33、及び底側窓35を備え、組込体40にあっては、窓部30に嵌脱可能となる第一組込体41と第二組込体42と第三組込体43、及び底側組込体45とから構成し、各組込体41,42,43,45に雄金型16に向けて先細となる突出部9を各々備えておく。
組込体40は、枠金型10の窓部30に向けて往復動し、窓部30に組み込んだ時、即ち、窓部30に嵌合した時に雌金型17を構成する。
角枡状成形品D4を成形する雌金型17として窓嵌込壁型G4を用いる場合、丸枡状成形品D3の成形時と同様に、枠金型10とその窓部30に嵌脱可能な組込体40より構成するものである。
本発明による回転成形方法の第五実施形態(以下、第五成形方法とする。)を、第四成形方法と相違する点について説明すると、第五成形方法は、上記窓嵌込壁型G4を用いて丸枡状成形品D3や角枡状成形品D4を成形するものである。即ち、
第一工程:窓嵌込壁型G4を用いて丸枡状成形品D3を成形する場合、先ず枠金型10を定位置に固定し、該枠金型10の各窓31,32,33,35に組込体41,42,43,45を各々接近して嵌め込み、嵌め込み完了にて雌金型17を構成した後、その雌金型17と雄金型16を組み立てることで二重壁成形型G2の型締めを終えるか、又は先に雄金型16を定位置に固定し、その雄金型16に枠金型10を組み立て、次いで枠金型10の各窓31,32,33,35に組込体41,42,43,45を各々接近して嵌め込み、嵌合完了にて雌金型17を構成することで二重壁成形型G2の型締めを終える。
第二工程:型締めした二重壁成形型G2は、雄金型16と雌金型17である窓嵌込壁型G4との間に二重壁用成形空間8Bを形成するので、該成形空間8B内に合成樹脂粉Pを投入する。
第三工程:合成樹脂粉Pを投入した二重壁成形型G2を加熱炉に移行して回転すれば、合成樹脂粉Pは溶けながら二重壁用成形空間8Bを形成する雌金型17、即ち窓嵌込壁型G4の組込体40内面に沿って流れる一方、雄金型16と突出部9の外面に沿っても流れ、順次積層してゆく。
第四工程:溶融樹脂が少なくとも壁厚さtまで積層することにより、雄金型16の外面に内側壁樹脂層11jを、組込体40の内面に外側壁樹脂層12jを、突出部9の外面に支持柱樹脂層4jを積層し、内側壁樹脂層11jと突出部先端面9cに積層した支持柱樹脂層4jとが一体化した丸枡状成形品D3の二重壁製品用樹脂層J2を形成する。
第五工程:加熱状態にあった二重壁成形型G2を加熱炉から炉外に移行し、二重壁成形型G2を適宜冷却して二重壁製品用樹脂層J2を固化せしめる。
第六工程:先ず、二重壁成形型G2を構成していた雄金型16と雌金型17を型開きし、更に雌金型17を構成していた窓嵌込壁型G4の各組込体41,42,43,45を枠金型10の各窓31,32,33,35より離脱方向に後退し、その際、少なくとも突出部9が支持柱4より離脱するまで後退することで、丸枡状成形品D3や角枡状成形品D4の取出しが自由となる。
尚、第四成形方法の第一工程において、分離壁型G3を用いて丸枡状成形品D3を形成する場合、例えば分離壁型G3を構成する分割壁体20を、少なくとも第一壁体21と第二壁体22と第三壁体23と底壁体25とから構成し、第一〜第三壁体21,22,23の幅中心部から雄金型16に向けて先細となる突出部9を各々縦列する一方、底壁体25より雄金型16に向けて先細となる突出部9を適所に備えておき、第一〜第三壁体21,22,23を中心方向に接近集合し、その中心下端部に底壁体25を組立て、分割壁体20から成る雌金型17を構成する。
雄金型16は、雌金型17の集合完了前、又は集合完了後の何れかにおいて組み立てることで、丸枡状成形品D3の二重壁成形型G2を構成し得る。
第五成形方法における第一工程において、窓嵌込壁型G4を用いて角枡状成形品D4を成形する場合、枠金型10の窓部30として、少なくとも第一窓31と第二窓32と第三窓33と第四窓34、及び底側窓35を備え、組込体40を窓部30に応じて第一組込体41と第二組込体42と第三組込体43と第四組込体44、及び底側組込体45とから構成し、各組込体41,42,43,44,45の各々に雄金型16に向けて先細となる突出部9を設けておき、それらの組込体41,42,43,44,45を枠金型10の各窓31,32,33,34,35に接近して嵌め込むことで、雌金型17を構成し得る。
他方の雄金型16は、雌金型17の組立て完了前後の何れかにおいて組み立てることで、窓嵌込壁型G4を構成し得る。
本発明による回転成形品の第六実施形態を、第三〜第五実施形態の二重壁成形品D2と相違する点について説明すると、第六実施形態は角枡状成形品D4において、図7の如く底部d2の左右より下向きに突出する脚部5d,6dを設け、該脚部5d,6dの間に一定幅で下向きに開口するフォクリフト腕部(図示せず。)の挿入溝15を形成すると共に、少なくとも挿入溝15の形成位置の内側壁11と外側壁12の間の二重壁用成形空間8Bに、内側壁11と外側壁12を繋ぐ支持柱4を備えている。
この挿入溝15の開口側に蓋板(図示せず。)を取付け、挿入溝15の開口部を塞ぐことで、フォクリフトによる角枡状成形品D4の天地を反転し、収容物を一度に排出することも可能となる。
上記の角枡状成形品D4を形成する二重壁成形型G2の雌金型17として窓嵌込壁型G4を用いる場合、窓嵌込壁型G4を構成する枠金型10の底側窓35の左右より下向き突出する図9−2と図9−3の如く底上部37,38を備え、該底上部37,38の間に凹溝39を形成しておく。その他の構造は、第五実施形態の窓嵌込金型G4と略同様であるから説明を省略する。
本発明による回転成形品の第七実施形態を、第三〜第五実施形態の二重壁成形品D2(丸枡状成形品D3と角枡状成形品D4を含む。)と相違する点について説明すると、二重壁成形品D2の底部d2を除く外側壁12に、図10の如く外側壁12より外側に向けて突出する補強リブ5を備え、壁間空部3Bに設けた支持柱4と共に、少なくとも外側壁12を補強し耐久力を向上するものである。
強リブ5として、図10(イ)の如く外側壁12の一部が外側に向けて突出して折り返し、内部に壁間空部3Bと連通するリブ壁間空部3aを備える双片式補強リブ5Aと、図10(ロ)の如く外側壁12と略同一の壁厚さtで突出する単片式補強リブ5Bとの少なくとも一方を用いる。何れの補強リブ5A,5Bも、外側壁12に対しR接続しているので、射出成形品の補強リブより埃が溜りにくい。
尚、補強リブ5は、支持柱4の形成位置を避けて設ける。
本発明の回転成形品Dと回転成形金型G、及び回転成形方法は、前記実施例に限定されるものではなく、例えば、中空板状成形品D1を形成する一方側壁1と他方側壁2の一部に、図11の如く壁間空部3内に向けて食い込む凹部13を相対設しておけば、中空板状成形品D1を移動する場合、両凹部13に手指を掛けて把握すれば、容易に移動することも可能であるし、図12の如く一方側壁1から他方側壁2まで貫通する抜穴14を備えておけば、該抜穴14を利用して中空板状成形品D1を吊り下げることも可能である。
また、二重壁成形品D2を形成する内側壁11と外側壁12の上部側に凹部13を備えるか、内側壁11から外側壁12の一部に抜穴14を貫通すれば、上記中空板状成形品D1と同様の効果が得られる。
また、丸枡状成形品D3の円筒部d3は、真円状に限定されるものではなく、例えば楕円状、長円形状でも良いし、角枡状成形品D4の角筒部d4は、矩形状に限定されるものではなく、例えば三角形〜八角形の多角形も可能である。更に、矩形状の一方に円弧部を有する回転成形品D、矩形状の両方に円弧部を有する回転成形品Dは勿論、二重壁構造を成す従来回転成形品の略全てに応用し得る。
本発明の回転成形品Dに設けた支持柱4は、外向きに開口する空洞4dを備えているが、その開口角度θとして採用し得る範囲は30〜120度、望ましい範囲は60〜90度であるし、空洞4dの開口幅Hとして採用し得る範囲は、開口角度θに関連するものの、30〜120mmが好ましく、必要以上に大きくすると補強力が弱くなるし、必要以上に小さくすると成形が困難になる。更に、壁間空部3の空間高さSとして採用し得る範囲は、20〜100mmが望ましい。
また、支持柱4の傾斜部4aに設ける段部4bは、傾斜部長さと開口角度θ、及び壁厚さtを考慮して設けるもので、例えば、傾斜部長さを20〜80mm、開口角度θを30〜120度、壁厚さtを1〜10mmに形成する場合の少なくとも1つに該当する時に採用することが望ましい。支持部4の傾斜部4aに段部4bを備えることで、傾斜部4aの耐圧力が向上し、支持部4全体の耐久力が向上する。
更に、壁間空部3の空間高さSが大きい場合、図13の如く一方側壁1から他方側壁2に向けて突出する支持柱4と、他方側壁2から一方側壁1に向けて突出する支持柱4とを相対するように設け、両支持柱4,4の先端部4c,4c同士を融合することも可能である。
この回転成形品Dを形成する回転成形金型Gにあっては、図14の如く第一金型6と第二金型7とに、成形空間8に向けて突出する突出部9、9を相対設し、且つ両突出部9、9の先端面9c、9cを壁厚さt〜2tの隙間Tを保って相対するようにしておく。
本発明の回転成形品において、支持柱4として否円錐支持柱4Bを備える場合、該否円錐支持柱4Bの形成範囲は、中空板状成形品D1や二重壁成形品D2の大きさに左右されるが、成形空間8内に投入した合成樹脂粉Pが溶けながら滞りなく流れ得る範囲が最適である。
また、二重壁成形型G2の雌金型17に分離壁型G3を用いた場合、二重壁成形品D2の成形時に、分離壁型G3を構成する分割壁体20から突出する突出部9が二重壁成形品D2に食い込んでも、分割壁体20は雄金型16に向けて往復動し、突出部9が分割壁体20の嵌脱方向に平行して突設しているので、突出部9が二重壁成形品D2の支持部4から完全に抜き出るまで分割壁体20を後退することで、二重壁成形品D2を簡単に取出すことができる。また、分割壁体20の底側を分離可能な底壁体25と成すことも可能である。
更に、雌金型17に窓嵌込壁型G4を用いた場合、二重壁成形品D2の成形時に、窓嵌込壁型G4の組込体40から突出する突出部9が二重壁成形品D2に食い込んでも、組込体40は枠金型10の窓部30に対して往復動し、嵌脱が自在となるので、組込体40の突出部9が二重壁成形品D2の支持部4から完全に抜き出すまで後退することで、二重壁成形品D2を簡単に取出すことができる。
窓嵌込壁型G4において、枠金型10に底側窓35を設け、組込体40として底側窓35へ組み込み得る底側組込体45を備えることで、二重壁成形品D2の底部d2をアンダーカットに形成することも可能になるし、底壁部を枠金型10の下側に底側組込体45に相当する備えておくことも可能である。
更に、図9−1〜図9−4の如く枠金型窓部30の外周囲に、組込体40を窓部30まで誘導するガイド36を備えておけば、組込体40を確実に安定した状態で窓部30に組み込むことができる。
二重壁成形型G2を用いる回転成形方法において、二重壁成形型G2の型閉め手順、即ち、雄金型16と雌金型17の組み合せ手順は、前後何れであっても可能であるし、型開きにおいても、雄金型16と雌金型17の離反手順は、前後何れであっても可能である。
D 回転合成樹脂成形品(回転成形品)
d2 底部、d3 円筒部、d4 角筒部、d5,d6 脚部
D1 中空板状回転成形品(中空板状成形品)
D2 二重壁式合成樹脂回転成形品(二重壁成形品)
D3 丸枡状回転成形品(丸枡状成形品)
D4 角枡状回転成形品(角枡状成形品)
G 回転合成樹脂成形金型(回転成形型
G1 板用回転成形金型(板用成形型)
G2 二重壁用回転合成樹脂成形金型(二重壁成形型)
G3 分離壁型,G4 窓嵌込壁型
J 製品用樹脂層
J1 板製品用樹脂層
1j 一方側樹脂層、2j 他方側樹脂層、4j 支持柱樹脂層
J2 二重壁製品用樹脂層
11j 内側壁樹脂層、12j 外側壁樹脂層

1 一方側壁、2 他方側壁
1a,2a 平担部、1b、2b 湾曲端部
11 内側壁、12 外側壁
13 凹部、14 抜穴、15 挿入溝(フォークリフト)
3,3A 壁間空部,3B 壁間空部
4 支持柱、4A 円錐支持柱、4B 否円錐支持柱
4a 傾斜部、4b 段部、4c 先端部、4d 空洞
5 補強リブ、5a リブ内空部
5A 双片式補強リブ、5B 単片式補強リブ
6 第一金型、7 第二金型
8 成形空間、8A 板用成形空間、8B 二重壁用成形空間
9 突出部、9A 円錐突出部、9B 否円錐突出部
9a 傾斜面、9b 段状面、9c 先端面
16 雄金型 17 雌金型
20 分割壁体、21 第一壁体、22 第二壁体
23 第三壁体、24 第四壁体、25 底壁体
10 枠金型
30 窓部、31 第一窓、32 第二窓、33 第三窓、34 第四窓
35 底側窓、36 ガイド、37,38 底上部、39 凹溝
40 組込体、41 第一組込体、42 第二組込体
43 第三組込体、44 第四組込体、45 底側組込体

P 合成樹脂粉
t 壁厚さ(1mm〜50mm)
S 空間高さ(20〜100mm)
H 支持柱の開口幅(30〜120mm)
T 隙間(t〜2t)
θ 開口角度(30〜120)

Claims (7)

  1. 壁間空部(3)を介して相対する一方側壁(1)と他方側壁(2)とが同一又は略同一の壁厚さ(t)を有し、
    壁間空部(3)内に一方側壁(1)と他方側壁(2)に連続する支持柱(4)を複数備え、該支持柱(4)が一方側壁(1)より他方側壁(2)に向けて突出し、その先端部(4c)が他方側壁(2)と一体化し、
    前記支持柱(4)は、円錐支持柱(4A)と否円錐支持柱(4B)の少なくとも一方であり、その内、円錐支持柱(4A)は、先端部(4c)より基部に向けて末広がりを成す傾斜部(4a)を備え、否円錐支持柱(4B)は、少なくとも一方向に長くなる先端部(4c)と、該先端部(4c)より基部に向けて末広がりを成す傾斜部(4a)を備え、両支持柱(4A,4B)が外部に向けて開口する空洞(4d)を備え、壁間空部(3)から一方側壁(1)と他方側壁(2)を補強している回転合成樹脂成形品の成形に用いる回転合成樹脂成形金型であり、
    該回転合成樹脂成形金型(G)は、回転合成樹脂成形品(D)の一方側壁(1)を形成する第一金型(6)と、他方側壁(2)を形成する第二金型(7)とから構成され、
    第一金型(6)と第二金型(7)の少なくとも一方側金型に、回転合成樹脂成形品(D)の支持柱(4)を形成するための突出部(9)を備え、
    第一金型(6)と第二金型(7)の型締め状態において、第一・第二金型(6,7)の間に回転合成樹脂成形品(D)の成形空間(8)を形成すると共に、一方側金型に設けた突出部(9)の先端面(9c)を他方側金型に対し壁厚さ(t)から壁厚さの2倍(2t)までの隙間(T)を保って相対していることを特徴とする回転合成樹脂成形金型。
  2. 三次元の立体構造を成す二重壁式回転合成樹脂成形品において、二重壁を構成する内側壁(11)と外側壁(12)とが壁間空部(3B)を介して相対し、且つ同一又は略同一の壁厚さ(t)を有し、
    壁間空部(3)内に外側壁(12)と内側壁(11)に連続する支持柱(4)を複数備え、該支持柱(4)が外側壁(12)より内側壁(11)に向けて突出し、その先端部(4c)が内側壁(11)と一体化し、
    前記支持柱(4)は、円錐支持柱(4A)と否円錐支持柱(4B)の少なくとも一方であり、その内、円錐支持柱(4A)は、先端部(4c)より基部に向けて末広がりを成す傾斜部(4a)を備え、否円錐支持柱(4B)は、少なくとも一方向に長くなる先端部(4c)と、該先端部(4c)より基部に向けて末広がりを成す傾斜部(4a)を備え、両支持柱(4A,4B)が外部に向けて開口する空洞(4d)を備え、壁間空部(3B)から内側壁(11)と外側壁(12)を補強している二重壁式回転合成樹脂成形品の成形に用いる二重壁用回転合成樹脂成形金型であり、
    該二重壁用回転合成樹脂成形金型(G2)は、二重壁式回転合成樹脂成形品(D2)の内側壁(11)を形成する雄金型(16)と、外側壁(12)を形成する雌金型(17)とから構成され、
    雌金型(17)から雄金型(16)に向けて二重壁式回転合成樹脂成形品(D2)の支持柱(4)を形成するための突出部(9)を備え、
    雄金型(16)と雌金型(17)の型締め状態において、雄金型(16)と雌金型(17)の間に二重壁式回転合成樹脂成形品(D2)の二重壁用成形空間(8B)を形成すると共に、雌金型(17)に設けた突出部(9)の先端面(9c)を雄金型(16)に対し壁厚さ(t)から壁厚さの2倍(2t)までの隙間(T)を保って相対していることを特徴とする二重壁用回転合成樹脂成形金型。
  3. 請求項に記載の雌金型(17)が、分離壁型(G3)と窓嵌込壁型(G4)の何れかであり、
    分離壁型(G3)は、集合離散が自在となる複数の分割壁体(20)より構成され、該分割壁体(20)から雄金型(16)に向けて先細となる突出部(9)を備え、
    窓嵌込壁型(G4)は、複数の窓部(30)を有する枠金型(10)と、該枠金型(10)の窓部(30)に対して嵌脱自在となる複数の組込体(40)とから構成され、組込体(40)から雄金型(16)に向けて先細となる突出部(9)を備え、
    各突出部(9)が分割壁体(20)又は組込体(40)の嵌脱方向に平行していることを特徴とする二重壁用回転合成樹脂成形金型。
  4. 回転合成樹脂成形品に円錐支持柱(4A)を形成するための一方側金型又は雌金型(17)にあっては、円錐支持柱(4A)に対応する円錐突出部(9A)を備え、
    否円錐支持柱(4B)を形成するための一方側金型又は雌金型(17)にあっては、否円錐支持柱(4B)に対応する否円錐突出部(9B)を備えていることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の回転合成樹脂成形金型。
  5. 請求項に記載の回転合成樹脂成形金型を用いて回転合成樹脂成形品を成形する回転合成樹脂成形方法であり、該成形方法は、
    第一工程:回転合成樹脂成形金型(G)を構成する他方側金型と、突出部(9)を備えた一方側金型とを型締めし、回転合成樹脂成形金型(G)内に成形空間(8)を形成すると共に、突出部先端面(9c)を他方側金型に対し隙間(T)を保って相対するようにしておく。
    第二工程:型締めした回転合成樹脂成形金型(G)の成形空間(8)に合成樹脂粉(P)を投入する。
    第三工程:合成樹脂粉(P)を投入した回転合成樹脂成形金型(G)を加熱炉に移行し、加熱炉内で回転する。そのことにより、合成樹脂粉(P)は溶けながら成形空間(8)を形成する一方側金型と他方側金型の内面、及び突出部(9)の外面に沿って流れ、順次積層してゆく。
    第四工程:溶融樹脂が少なくとも壁厚さ(t)まで積層することにより、一方側金型の内面に一方側樹脂層(1j)を、他方側金型の内面に他方側樹脂層(2j)を形成すると共に、突出部(9)の外面に支持柱樹脂層(4j)を形成し、そのことにより突出部先端面(9c)に積層した支持柱樹脂層(4j)が他方側樹脂層(2j)と一体化し、製品用樹脂層(J)を形成する。
    第五工程:次いで回転合成樹脂成形金型(G)を加熱炉から炉外に出し、回転合成樹脂成形金型(G)を冷却し、成形空間(8)内の製品用樹脂層(J)を固化せしめ、
    第六工程:回転合成樹脂成形金型(G)を構成していた一方側金型と他方側金型を型開きし、成形空間(8)を開放して製品用樹脂層(J)を取出せば、支持柱樹脂層(4j)より成る支持柱(4)から突出部(9)も取出される。
    そのことにより、壁間空部(3)内から一方側壁(1)と他方側壁(2)を補強する支持柱(4)を形成し得るようにしたことを特徴とする回転合成樹脂成形方法。
  6. 請求項に記載の二重壁用回転合成樹脂成形金型(G2)を用いて二重壁式回転合成樹脂成形品(D2)を成形する回転合成樹脂成形方法であり、該成形方法は、
    第一工程:二重壁用回転合成樹脂成形金型(G2)を構成する雄金型(16)と、突出部(9)を備えた雌金型(17)とを型締めし、雄金型(16)と雌金型(17)間に二重壁用成形空間(8B)を形成すると共に、突出部先端面(9c)を雄金型(16)に対し隙間(T)を保って相対するようにしておく。
    第二工程:型締めした二重壁用回転合成樹脂成形金型(G2)の二重壁用成形空間(8B)内に合成樹脂粉(P)を投入する。
    第三工程:合成樹脂粉(P)を投入した二重壁用回転合成樹脂成形金型(G2)を加熱炉に移行し、加熱炉内で回転する。そのことにより、合成樹脂粉(P)は溶けながら二重壁用成形空間(8B)を形成する雄金型(16)と突出部(9)の外面、及び雌金型(17)の内面に沿って流れ、順次積層してゆく。
    第四工程:溶融樹脂が少なくとも壁厚さ(t)まで積層することにより、雄金型(16)の外面に内側壁樹脂層(11j)を、雌金型(17)の内面に外側壁樹脂層(12j)を形成すると共に、突出部(9)の外面に支持柱樹脂層(4j)を形成する。
    そのことにより突出部先端面(9c)に積層した支持柱樹脂層(4j)が内側壁樹脂層(11j)と一体化し、二重壁製品用樹脂層(J2)を形成する。
    第五工程:次いで二重壁用回転合成樹脂成形金型(G2)を加熱炉から炉外に出し、二重壁用回転合成樹脂成形金型(G2)を冷却し、二重壁用成形空間(8B)内の二重壁製品用樹脂層(J2)を固化せしめ、
    第六工程:二重壁用回転合成樹脂成形金型(G2)を構成していた雄金型(16)と雌金型(17)を型開きし、二重壁用成形空間(8B)を開放して二重壁製品用樹脂層(J2)を取出せば、支持柱樹脂層(4j)より成る支持柱(4)から突出部(9)も取出される。
    そのことにより、壁間空部(3B)内に内側壁(11)と外側壁(12)を補強する支持柱(4)を形成し得るようにしたことを特徴とする回転合成樹脂成形方法。
  7. 請求項に記載の回転合成樹脂成形方法において、二重壁用回転合成樹脂成形金型(G2)の雌金型(17)として請求項に記載の分離壁型(G3)を用いる場合、雄金型(16)と分離壁型(G3)を構成する複数の分割壁体(20)との型締め手順及び型開き手順は自由であるし、
    窓嵌込壁型(G4)を用いる場合、雄金型(16)と窓嵌込壁型(G4)を構成する枠金型(10)の型締め手順及び型開き手順、更に枠金型(10)の窓部(30)に対する組込体(40)の嵌脱手順は自由であることを特徴とする回転合成樹脂成形方法。
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