JP6474550B2 - 減圧弁 - Google Patents

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この発明は、給湯設備等に使用される減圧弁に係わり、特に、ウォターハンマーや給湯器よりも上流側の水道配管の凍結等によって弁箱の破損が生じ無いようにした減圧弁に関する。
例えば、給湯設備には、加熱器を有する貯湯タンクに水道水を適正圧で供給するための減圧弁が付設される(特許文献1段落0008〜0009、図1参照)。
その減圧弁は、例えば、弁箱内を、隔壁によって水流入口を有する入口室、水流出口を有する出口室及びダイヤフラム室(感圧室)に区画し、そのダイヤフラム室と出口室とを連通し、入口室から出口室への隔壁に貫通孔を形成するとともに、その貫通孔に、ダイヤフラム室のダイヤフラムによって作動する調圧弁機構を構成したものである(特許文献1段落0010、図2、特許文献2段落0002、同0008、図1参照)。
この減圧弁は、水を、水流入口から調圧弁機構を経て水流出口に流通し、水流出口の圧力変動によるダイヤフラムの変位により前記調圧機構弁を作動させて水流入口から水流出口への水圧を減圧調整して、水道水を下流に適切圧で供給する(特許文献1段落0011参照)。
このような減圧弁において、その閉弁時、上流側の水道配管にウォターハンマーが発生したり、その配管路が凍結したりすると、弁箱の入口室内にウォターハンマーの圧力や水の凍結膨張による圧力が加わり、その圧力によって入口室の壁が破損する恐れがある。特に、その弁箱が樹脂製の場合はその恐れが高い。
このため、従来から、入口室内にウォターハンマーや凍結膨張による圧力をその入口室の外に逃がす機構が提案されている。
その機構の一例として、入口室の壁にその外部に通じる通路を形成し、入口室に上記凍結膨張等の異常圧力が生じると、その圧力を外部に逃がす弁を前記通路に設けたものがある(特許文献1段落0010、同0012、図2、段落0016、図3、特許文献段落0009、0012、図1、図2参照)。
特開2008−186106号公報 特開2013−142945号公報
上記の従来の減圧弁における異常圧力を逃がす弁は、入口室の水流入口側に位置している(特許文献1の図2、図3、特許文献2の図1(a)参照)。
しかし、凍結は、入口室において、その水流入口(開口)側から奥に向かって徐々に生じるため、入口室の水流入口側が凍結しても、その奥は凍結していない場合が多い。このため、逃がし弁の付近が先に凍結してしまい、逃がし弁の作用が行われずに、最終的に入口室の奥側まで凍結することによって入口室内全体が凍結すると、その水の体積は約10%程膨張しようとするため、入口室壁が破損する場合がある。
この発明は、以上の実状の下、上記凍結による入口室壁の破損を防止することを課題とする。
上記課題を達成するために、この発明は、上記の凍結は水流入口側から奥に向かって徐々に生じることに着目し、上記逃がし弁を、入口室における圧力調整弁(上記調整弁機構)に対して水流入口の反対側に位置するようにしたのである。
上記のように、入口室の凍結は、水流入口側から奥に向かって徐々に生じ、水流入口の反対側は一番遅く凍結するため、その反対側に位置する逃がし弁の付近は、水流入口側が凍結してもすぐに凍結することなく水流入口側からの凍結に伴って徐々に水圧が高くなる。このため、その水圧が所要値に達すると、逃がし弁が開放して入口室の圧力を下げることができて、入口室壁の破損を極力抑制することができる。その開放時の所要圧は、弁箱(入口室壁)の耐圧を考慮して実験などによって適宜に設定する。その耐圧は、弁箱材料によるが、金属製の場合に比べて樹脂製の場合は低い値となる。
この発明の構成としては、弁箱内を隔壁によって水流入口を有する入口室、水流出口を有する出口室及びダイヤフラム室に区画し、そのダイヤフラム室と前記出口室とを連通し、前記入口室から出口室への隔壁に貫通を形成し、その貫通孔に調圧用主弁を構成し、水を、前記水流入口から主弁を経て水流出口に流通し、水流出口の圧力変動によるダイヤフラムの変位により前記主弁を作動させて、前記水流入口から水流出口への水圧を減圧調整する減圧弁において、前記入口室における主弁に対して水流入口の反対側に位置する前記隔壁に逃がし弁を設けた構成を採用することができる。
上記貫通孔は、入口室から出口室への隔壁の何れの位置でも良いが、入口室とダイヤフラム室との隔壁に形成すれば(図1の実施形態参照)、特許文献1、2に記載の減圧弁のように、シリンダ機構を有しないことから、弁箱が小型化し得る。
また、逃がし弁も入口室における主弁に対して水流入口の反対側に位置する隔壁であれば、何れの位置でも良いが、通常、その反対側に位置する隔壁は入口室と出口室との間の隔壁となる。この両者間の隔壁であると、その隔壁に逃がし弁を設けて、その逃がし弁の流出口を出口室に開口する(臨ませる)ことができる。このように、逃がし弁の流出(排水)口を出口室に開口すると、逃がし弁による排出水は、給湯設備等の配管内で処理されるため、ドレンホースなどによる処理が不要となるとともに、弁箱外部への水漏れ防止用Oリング等も不要である。通常、給湯設備には、減圧弁等からの水圧が異常になったとき、その異常圧を回避する弁が設けられている。但し、逃がし弁の流出口は、入口室の外部であれば、何れでも良い。
この発明は、以上のように構成したので、凍結による入口室壁の破損を防止することができる。
この発明に係る減圧弁の一実施形態の閉弁時の断面図 同実施形態の開弁時の断面図 同実施形態の作用説明図 同他の実施形態の断面図 同他の実施形態の断面図 さらに他の実施形態の断面図
図1〜図3にこの発明に係る減圧弁Aの一実施形態を示し、この減圧弁Aは、上記特許文献1記載の給湯設備において、加熱器を有する貯湯タンクに水道水を適正圧で供給するために付設されるものである。
その減圧弁Aの構成は、図1、図2に示すように、樹脂成型品である弁箱1内を隔壁2によって水道管路の一次側となる水流入口11を有する入口室10、同二次側となる水流出口21を有する出口室20及びダイヤフラム室(感圧室)30に区画している。
その入口室10とダイヤフラム室30との隔壁2に貫通孔3を形成し、その貫通孔3に主弁40を設けている。
その主弁40は、貫通孔3にOリング41を介在して水密に嵌められた円環状弁座部材42と、その弁座部材42の下方に位置する弁体部材43とからなる。弁座部材42の入口室10側内周縁が弁座42aとなっており、弁体部材43のその弁座42aに対向する部位にゴムパッキンからなる弁体弁座43aが嵌め込まれている。弁体部材43はOリング41を介して弁箱1内の筒状部44に上下方向に移動自在に嵌め込まれ、支えばね45によって弁座部材42に向かって付勢されている。
弁体部材43にはその中心軸上に弁軸46が嵌め込まれ、その弁軸46は弁体部材43側の部材とダイヤフラム室30側の部材に分かれて両者が相互にねじ合わされて一体となっている。その弁体部材側部材はボルト46aで弁体部材43に固定され、ダイヤフラム室側部材はダイヤフラム31の中央にナット止めされている。そのナット止めによってダイヤフラム31の上面にダイヤフラム押え32が固定され、その上面のダイヤフラム31の軸心周りにはコイル状調圧ばね33が設けられている。その調圧ばね33の上端はばね受け34を介して弁箱1の上壁にねじ込まれた調圧ねじ35に当接している。その調圧ねじ35のねじ込み度合いを調整することによって、ばね33によるダイヤフラム31への付勢力が調整される。すなわち、主弁40の開放度合いが調整される。
上記入口室10における主弁40に対して水流入口11の反対側に位置する隔壁2(水入口11と水出口21の軸心方向に位置する入口室10と出口室20の隔壁2)に逃がし弁50を設けている。
この逃がし弁50は、図3に示すように、筒状の弁本体51と、その弁本体51の頭部内に嵌めた弁体を成すゴムパッキン52と、弁本体51をその筒軸方向に移動自在に収納した筒状弁蓋部材53と、弁本体51内に装填されて蓋部材53と弁本体51の間に介設されたコイル状調圧用ばね54とからなる。蓋部材53は隔壁2の逃がし弁50の取付筒状部2aにその前方に間隙55を持って嵌め込まれている。
この逃がし弁50の取付(嵌め込み)状態は、逃がし弁50が入口室10及び出口室20と同一軸心上に位置しており、出口室20からその逃がし弁50を組み付ける。この組み付けは、弁箱1の外部に新たにその組み付け部分を形成する必要が無く、コンパクト化できる。なお、逃がし弁50の水流出(排出)口が出口室20に臨んでおれば、前記同一軸心上でなくても良いが、逃がし弁50の軸心線と出口室20の軸心線は平行であることが好ましい。
弁本体51はその頭部の外周面がスプライン軸状となったり、非円形断面等となったりして弁体頭部外周にその全長に亘る空隙が生じており、図3(b)に示すように、パッキン52が隔壁2の弁座から離れると、入口室10内の水aが、その隔壁2の弁孔56から弁体頭部外周の空隙を通って蓋部材53内に至り、さらにその蓋部材53の透孔57を通って出口室20に流れ出る。透孔57は蓋部材53の壁の周囲に複数設けられている。
なお、ダイヤフラム室30からの水aは上記蓋部材53前方の間隙55を通って蓋部材53内に流入して、その水圧が弁本体51に印加する。このため、上記ばね54の付勢力は、その印加圧を考慮して入口室10の水圧に対しその入口室10の周壁が耐えられなくなって破壊する(亀裂が生じる)前に、前記パッキン52が隔壁2の弁座から離れるように実験などによって設定する。
この実施形態の減圧弁Aは、以上の構成であり、図1に示すように、下流側において水使用がされないと、支えばね45の付勢力と入口室10及びダイヤフラム室30の両水圧の和が調圧ばね33の付勢力より勝って、主弁40は閉じている(閉弁している)。この閉弁状態において、下流側において水使用がなされると、出口室20の水圧が低下し、その出口室20に連通するダイヤフラム室30の水圧も低下する。
すると、図2に示すように、調圧ばね33の付勢力が支えばね45の付勢力と入口室10及びダイヤフラム室30の両水圧の和より勝って、その調圧ばね33の付勢力によって、弁軸46を介して主弁40の弁体部材43が押し下げられ、その弁体弁座43aが弁座42aから離れて主弁40が開く(開弁する)。このため、入口室10から貫通孔3、ダイヤフラム室30、出口室20を通って、上流側(一次側)から下流側(二次側)に水aが流れる(図2の状態)。
この使用時、下流側の水使用量に応じて出口室20の水圧が変化し、その変化に応じてダイヤフラム31が膨縮し(図1において上下に撓んで)、その膨縮に伴って主弁40の開閉度(両弁座42a、43aの間隙度合)が調整されて、下流側に所定圧以下の水(適正圧の水)aが供給される。
このようにして、この減圧弁Aによって所要圧の水が下流側に供給され、その使用が中止すれば、出口室20の水圧が上昇し、ダイヤフラム室30の水圧も上昇し、やがて支えばね45の付勢力と入口室10及びダイヤフラム室30の両水圧の和が調圧ばね33の付勢力より勝ってダイヤフラム31が上側に撓んで主弁40は閉じる(図1の状態)。
その図1に示す閉弁状態において、上流側が鉄配管等からなって外部に露出している等のため、その配管内の水が凍結し始めると、その凍結は、水流入口11側から奥に(逃がし弁50に)向かって徐々に生じる。このため、逃がし弁50の付近は、水流入口11側が凍結しても凍結することなく水流入口11側からの凍結に伴って徐々に水圧が高くなる。その水圧が所要値に達すると、図3(a)から同(b)に示すように、その水圧によって孔56を介し逃がし弁50の弁本体51がばね54に抗して押され、逃がし弁50が開放し、その水圧を出口室20に逃がす。この逃がし作用によって、入口室10内の水圧上昇は抑えられてその壁に亀裂が生じたり、破損したりすることが防止される。出口室20の水圧上昇は、下流の給湯設備の逃がし弁によって抑制される。
入口室10の凍結が解消すれば、その水圧が下がるため、図3(a)に示すように、逃がし弁50はその弁本体51がばね54によって復帰して閉弁する。
なお、何らかの事情によって、上流側においてウォターハンマーが生じれば、入口室10内の水圧が上昇し、その上昇圧によって逃がし弁50が開放されてその圧を逃がして弁箱1の亀裂や破損を防止する。
上記実施形態においては、逃がし弁50からの流水を出口室20に導いたが、図4に示すように、弁箱1の外部に導くようにすることもできる。この場合は、逃がし弁50の出口(排水口)にドレンパイプ等を接続して適切な場所に流すようにする。上記図1等の実施形態は、このドレンパイプが不要の利点がある。
また、逃がし弁50の態様としては、図5に示す、筒状弁本体51’と、その本体51’内に装填したボール状弁体52’及び調圧用ばね54’と、蓋部材53’とからなる逃がし弁50’等の従来周知の構成を適宜に採用し得る。
なお、特許文献1、2に示す減圧弁においても、図6に示すように、入口室10と出口室20の隔壁2にこの発明の逃がし弁50、50’等を構成すれば、その逃がし弁が圧力調整弁(主弁40)に対し水流入口11の反対側に位置することとなって、この発明の作用効果を得ることができる。その図6中、上記各実施形態と同一符号は同一物を示し、逃がし弁50、50’以外は、前記特許文献1、2の各部材、例えばピストンヘッド60(同文献では「32」)等は同一構成である。
このように、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 弁箱
2 隔壁
3 隔壁貫通孔
10 入口室
11 水流入口
20 出口室
21 水流出口
30 ダイヤフラム室
31 ダイヤフラム
33 調圧ばね
35 調圧ねじ
40 主弁
42 主弁の弁座部材
43 同弁体部材
45 支えばね
50、50’ 逃がし弁
51、51’ 逃がし弁の弁本体
52、52’ 同弁体
54、54’ 同調圧ばね
A 減圧弁
a 水

Claims (3)

  1. 弁箱(1)内を隔壁(2)によって水流入口(11)を有する入口室(10)、水流出口(21)を有する出口室(20)及びダイヤフラム室(30)に区画し、そのダイヤフラム室(30)と前記出口室(20)とを連通し、前記入口室(10)から出口室(20)への隔壁(2)に貫通孔(3)を形成し、その貫通孔(3)に調圧用主弁(40)を構成し、水(a)を、前記水流入口(11)から主弁(40)を経て水流出口(21)に流通し、水流出口(21)の圧力変動によるダイヤフラム(31)の変位により前記主弁(40)を作動させて、前記水流入口(11)から水流出口(21)への水圧を減圧調整する給湯設備用減圧弁において、
    上記入口室(10)における上記主弁(40)に対して上記水流入口(11)の反対側に位置する上記隔壁(2)に逃がし弁(50)を設けて、この逃がし弁(50)が、凍結が前記水流入口(11)側から奥に向かって徐々に生じる場所に設けられることを特徴とする減圧弁。
  2. 上記貫通孔(3)は上記入口室(10)とダイヤフラム室(30)との隔壁(2)に形成し、上記逃がし弁(50)は、上記入口室(10)と出口室(20)との隔壁(2)に形成したことを特徴とする請求項1に記載の減圧弁。
  3. 上記逃がし弁(50)の水流出口を上記出口室(20)に開口したことを特徴とする請求項1又は2に記載の減圧弁。
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