JP6468777B2 - 改良型葉酸修飾シクロデキストリン誘導体 - Google Patents

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本発明は、水溶性の高い葉酸修飾シクロデキストリンに関する。
本発明者らはこれまで、葉酸修飾シクロデキストリンが腫瘍細胞の表面の葉酸レセプタータンパクにより分子認識され、抗原抗体反応レベルの強い相互作用で腫瘍細胞と結合することを見出している(特許文献1)。これまでに報告された葉酸シクロデキストリン化合物のうち、代表的な化合物であるヘプタキス−6−アミノ−β−シクロデキストリン(特許文献1における例示化合物1)(以下、「ND1」という)は、各ピラノースの6位の炭素原子にアミノカプロン酸2量体からなるリンカーを介して7個の葉酸と結合した構造である。ND1は葉酸の作用によりがん細胞への集積を示し、薬剤を腫瘍細胞に送達できるDDSキャリアとしてがん治療及びがん診断への応用が期待されている。また、本発明者らは、ND1のリンカーをアミノカプロン酸単量体に置き換えた葉酸修飾シクロデキストリン(以下、「ND201」という)も同様に腫瘍細胞への薬物送達を示すことを確認している。
このような葉酸修飾シクロデキストリンは、その腫瘍集積能力の応用可能性が期待される一方で、実用化においては、水への溶解性が低いことから、静脈注射液として水溶液を調製することが困難であるという問題があった。例えば、ND1及びND201は、純水に対する溶解度が約1mg/mLと低く、そのままでは高濃度での使用が困難であった。
これまで、シクロデキストリンにPEGを化学結合させた化合物についての報告は無い。シクロデキストリンとPEGを組み合わせて用いる例としては、唯一、Davisらの報告(非特許文献1及び非特許文献2参照)があるのみである。Davisらは、シクロデキストリンポリマーにアダマンタン結合PEGを包接させたナノパーティクルを遺伝子デリバリーへの臨床実験に用いている。ここでは、PEGは主に細胞親和性を高める目的で結合されている。
一方、シクロデキストリンの可溶化手法として、ヒドロキシプロピル化が多用されてきた。とくにβ−シクロデキストリンの可溶化では多数の製品が実用化されている(非特許文献3)。
国際公開第WO2009/041666号
M.E.Davis et al., Nature 08956(2010) M.E.Davis, Molecular Pharmaceutics, 6, 659−668(2009) Chemical Reviews, 98, 1471−2076(1998).
本発明者らは、葉酸修飾シクロデキストリンの溶解性を改善するために、アンモニウム塩形成や、Na塩形成を行い、処方で塩基性水溶液への溶解性を増加させることを試みた。たとえば、pH8.0アルカリ水溶液に溶解させた後、pH7.4の緩衝溶液を加えて溶解性を高めることに成功した。しかし、本方法は用時調製が必要であることから、より実用性が高く、簡便な手段が必要であると考えられた。
そこで、本発明者らは、化合物の溶解性を高める他の種々の手段について検討した結果、親水的な置換基(ポリエチレングリコール基(以下、「PEG基」という)、及びヒドロキシプロピル基(以下、「HP基」という)等)を導入することにより、化合物そのものの溶解性を高めることで、より実用化に適した葉酸修飾シクロデキストリンを得ることに成功した。更に、本発明者らは、このような親水基導入葉酸修飾シクロデキストリンが、腫瘍細胞集積能力を維持し得るか否かについて確認したところ、驚くべきことに、親水基非導入葉酸修飾シクロデキストリンと比較して、より優れた腫瘍細胞集積能力を有することを見出し、本発明を完成させた。
よって、本発明は、親水基非導入葉酸修飾シクロデキストリンに関するものであり、より具体的には以下に記載する発明に関する。なお、本明細書全体に亘って、特に定義されていない限り、又は特にそのように介することが不整合である場合を除き、一般式(I)が含む各記号は、以下の一般式(I)の説明における定義と同じ定義を有する。
下記一般式(I)で表されるシクロデキストリン化合物
[式中、mは6〜8の整数を表し、
m個のRは、各々独立して、水素原子、水酸基、−NH−Y−R基、−NHCONH−Y−R基、−NHCO−Y−R基、−NH−Y−NHCO−Y−NH−Y−R基、−NH−Y−NHCO−Y−R基、−NHCO−Y−NHCO−Y−NH−R基、−NHCO−Y−NHCO−Y−NHCO−Y−R基、−NHCONH−Y−NHCO−Y−NHCO−Y−R基、−Z基、−NH−Y−R−Z基、−NHCONH−Y−R−Z基、−NHCO−Y−R−Z基、−NH−Y−NHCO−Y−NH−Y−R−Z基、−NH−Y−NHCO−Y−R−Z基、−NHCO−Y−NHCO−Y−NH−R−Z基、及び、−NHCO−Y−NHCO−Y−NHCO−Y−R−Z基、−NHCONH−Y−NHCO−Y−NHCO−Y−R−Z基、からなる群から選択される基を表し、
ここで、m個のRのうち、少なくとも2個は、−Z基、−NH−Y−R−Z基、−NHCONH−Y−R−Z基、−NHCO−Y−R−Z基、−NH−Y−NHCO−Y−NH−Y−R−Z基、−NH−Y−NHCO−Y−R−Z基、−NHCO−Y−NHCO−Y−NH−R−Z基、及び、−NHCO−Y−NHCO−Y−NHCO−Y−R−Z基からなる群から選択される基であり、
m個のX、m個のX、及びm個のXは、各々独立して、水素原子、水酸基、−R、−NH−Y−R基、−NHCONH−Y−R基、−NHCO−Y−R基、−NH−Y−NHCO−Y−NH−Y−R基、−NH−Y−CONH−Y−R基、及び、−NH−Y−NHCO−Y−R基からなる群から選択される基を表し、
ここで、Yは、各々独立して、アルキレン基、フェニレン基、及び、−O−基から選択される基を表し、
ここで、Rは、各々独立して、ポリエチレングリコール基又はヒドロキシプロピル基を表し、
ここで、Z基は下記式(II)で表される基を示す
式中、nは0〜3の整数を表す]。
本明細書において、「シクロデキストリン」(「CyD」と略記されることがある)は、6〜8個のD−グルコースがα1,4結合により環状に結合した物質を意味する。6個、7個、及び8個のD−グルコースがα1,4結合により環状に結合したしクロデキストリンを、それぞれ、α−シクロデキストリン(α−CyD)、β−シクロデキストリン(β−CyD)、及びγ−シクロデキストリン(γ−CyD)と呼ぶことがある。
本明細書において、「葉酸修飾シクロデキストリン」又は「Fol−シクロデキストリン」とは、シクロデキストリンを構成するグルコピラノースの6位の第一級水酸基の2個以上が、同一の又は異なる、葉酸を有する置換基で置換されたシクロデキストリン化合物を意味する。例えば、本明細書における葉酸修飾シクロデキストリンは、以下の構造式で示されるND1(per−Fol−cap2−β−シクロデキストリン:WO2009/041666号記載の例示化合物1)及びND201を含む。
本明細書において、親水基導入葉酸修飾シクロデキストリンとは、上述の葉酸修飾しクロデキストリンが更に親水基により修飾された化合物を意味する。親水基は、シクロデキストリンを構成するグルコピラノースの6位の第一級水酸基に葉酸と共に又は葉酸とは別に導入されていても良いし、シクロデキストリンを構成するグルコピラノースの2位又は3位の第二級水酸基に結合していても良い。あるいは、親水基は、シクロデキストリンを構成するグルコピラノースの3位の水素原子が置換されて導入されていても良い。
本明細書において、アルキレン基とは、直鎖、又は分岐状の炭素数が1〜10個の2価の飽和炭化水素基(C1〜10アルキレン基)を意味し、例えば、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、i−プロピレン基、n−ブチレン基、sec−ブチレン基、t−ブチレン基、イソブチレン基、n−ペンチレン基、イソペンチレン基、2,3−ジメチルプロピレン基、n−ヘキシレン基、2−メチルペンチレン基、2,2−ジメチルブチレン基、2,3−ジメチルブチレン基、n−ヘプチレン基、2−メチルヘキシレン基、3−メチルヘキシレン基、2,2−ジメチルペンチレン基、2,3−ジメチルペンチレン基、2,4−ジメチルペンチレン基、2,5−ジメチルペンチレン基、2,2,3−トリメチルブチレン基、2,2,4−トリメチルブチレン基、2,2,5−トリメチルブチレン基、2,3,4−トリメチルブチレン基、2,3,5−トリメチルブチレン基、2,4,4−トリメチルブチレン基、n−オクチレン基、n−ノニレン基、及びn−デカレン基などが挙げられ、好ましくは、C1〜6アルキレン基であり、より好ましくは、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、i−プロピレン基、n−ブチレン基、sec−ブチレン基、t−ブチレン基、イソブチレン基、ペンチレン基、イソペンチレン基、又は2,3−ジメチルプロピレン基である。更に好ましくは、直鎖状のC1〜5アルキル基である。
本明細書において、「フェニレン基」とは、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、又は1,4−フェニレン基である。
本明細書において、親水基とは、ポリエチレングリコール基及びヒドロキシプロピル基を意味する。前記一般式(I)において、親水基はRで表される。本発明の化合物において、親水基は葉酸基(一般式(I)におけるZ、以下同様)とは異なる位置(一般式(I)における、X,X及びX)であってもよいし、葉酸基と同じ位置(一般式(I)におけるR)であってもよい。親水基が葉酸基と同じ位置に存在する場合、葉酸基が親水基を介してシクロデキストリン骨格と結合していても良いし、一般式(I)におけるRの一部(例えば、1〜2個)が親水基で残りが葉酸基であっても良い。後者の場合、シクロデキストリンと結合する葉酸の数が少なくなることから、ナノクラスター効果がその分減じることが懸念されるが、本発明者らが実験により確認したところ、葉酸数が6個でも抗体と変わらない会合を示したため、この葉酸数の減少は葉酸修飾シクロデキストリンの腫瘍集積能力には影響しないと考えられる。また、葉酸基と同じ側に親水基が存在することにより、葉酸の挙動や、の包接化への影響が懸念されるが、分子全体から見ると親水基は十分に大きく、フレキシビリティもあるので、影響しないものと考えられる。
本明細書において、「ポリエチレングリコール基」とは、エチレングリコールの重合体(HO−(CH−CH−O)−H)に由来する基を意味する。具体的には、「ポリエチレングリコール基」は、−(CH−CH−O)−構造を有する基であれば特に限定されるものではないが、例えば、−(CH−CH−O)−H基、及び−(CH−CH−O)−(C1〜6)アルキル基を含む。ここで、(C1〜6)アルキル基は、直鎖、又は分岐状の炭素数が1〜6個の1価の飽和炭化水素基を意味し、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、2,3−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、2,2−ジメチルブチル基、又は2,3−ジメチルブチル基であってもよい。ポリエチレングリコールの重合度は、本発明の目的を達成できる限りにおいて特に限定されるものではないが、例えば、20〜80とすることができ、好ましくは、30〜60であり、より好ましくは、40〜50である。
本明細書において、「ヒドロキシプロピル基」とは、−(CH−CH(CH)−O)−Hで表される基を意味する。ヒドロキシプロピルの重合度は、例えば、1〜20とすることができ、好ましくは2〜10であり、より好ましくは3〜8であり、最も好ましくは4〜6である。
前記一般式(I)で表される化合物におけるRとして好ましくは、水素原子、水酸基、−NHCO−Y−NHCO−Y−NHCO−Y−R基、−NHCONH−Y−NHCO−Y−NHCO−Y−R基、及び、−Z基からなる群から選択される基であり、より好ましくは、−NHCO−(CH−NHCO−(CH−NHCO−CH−(CHCHO)−CH基、−NHCONH−(CH−NHCO−(CH−NHCO−CH−(CHCHO)−CH基、又は−Z基である。
前記式(II)で表される基において、nは0〜3の整数であり、好ましくは1又は2である。
前記一般式(I)で表される化合物におけるXとして好ましくは、水素原子、−NH−Y−R基、又は−NH−Y−CONH−Y−R基であり、より好ましくは、水素原子、−NH−(CH−CONH−(CH−(CHCHO)−CH基、又は−NH−(CH−(CHCHO)−CH基である。
前記一般式(I)で表される化合物におけるXとして好ましくは、水素原子、又は、水酸基である。
前記一般式(I)において、Yは、好ましくは、アルキレン基であり、より好ましくは、メチレン基、プロピレン基、又はペンチレン基である。
特に好ましくは、本発明の親水基導入葉酸修飾シクロデキストリン化合物は以下の化合物である。
PND1−1(PEG−per−Fol−cap2−β−シクロデキストリン):前記一般式(I)で表される化合物において、mは6〜8の整数であり、Rが、−Z基(n=2)であり、1個のXが、−NH−(CH−CONH−(CH−(CHCHO)−CH基(pの平均値は46〜47)であり、(m−1)個のXが水素原子であり、1個のXが水素原子であり、(m−1)個のXが水酸基であり、Xが水酸基である化合物。
PND1−3:前記一般式(I)で表される化合物において、mは6〜8の整数であり、Rが、−Z基(n=2)であり、1個のXが、−NH−(CH−(CHCHO)−CH基(pの平均値は46〜47)であり、(m−1)個のXが水素原子であり、1個のXが水素原子であり、(m−1)個のXが水酸基であり、Xが水酸基である化合物。
PND1−7:前記一般式(I)で表される化合物において、mは6〜8の整数であり、(m−r)個のRが、−Z基(n=2)であり、r個のRが、−NHCO−(CH−NHCO−(CH−NHCO−CH−(CHCHO)−CH基(pの平均値は46〜47)であり、Xが水素原子であり、Xが水酸基であり、Xが水酸基である化合物。
PND1−8:前記一般式(I)で表される化合物において、mは6〜8の整数であり、(m−r)個のRが、−Z基(n=2)であり、r個のRが、−NHCONH−(CH−NHCO−(CH−NHCO−CH−(CHCHO)−CH基(pの平均値は46〜47)であり、Xが水素原子であり、Xが水酸基であり、Xが水酸基である化合物。
ND201−HP:前記一般式(I)で表される化合物において、mは6〜8の整数であり、s個のRが、−Folate基(n=1)であり、残りのRが水酸基であり、Xが水素原子であり、t個のX及び/又はXが−O(CHCH(CH)0)−H基(qは6までの整数)(t=1〜16)であり、残りのX及び/又はXが水酸基である化合物。なお、本明細書において、ND201−tHPとは、ヒドロキシプロピル(HP)基(−O(CHCH(CH)0)−H基(qは6までの整数))がt個結合したND201を意味する。
本発明の化合物は、上記化合物の他、これらの化合物の薬理上許容されるエステルを包含する。ここで、「薬理上許容されるエステル」は、生体内において代謝されて、本願発明の化合物を与える基を含む化合物であって、医薬として体内に投与することが許容可能なエステルのことである。本明細書において、エステルは、エステル結合した化合物の他、アミド結合した化合物を含む。エステルは、生体内のエステラーゼにより分解されて活性型の化合物を与えてもよい。例えば、エステルとしては、置換され又は置換されていない、低級アルキルエステル、低級アルケニルエステル、低級アルキルアミノ低級アルキルエステル、アシルアミノ低級アルキルエステル、アシルオキシ低級アルキルエステル、アリールエステル、アリール低級アルキルエステル、アミド、低級アルキルアミド、水酸化アミドを挙げることができる。エステルとして、好ましくは、プロピオン酸エステル又はアシルエステルである。
また、本発明は、一般式(I)で表わされる化合物を有効成分として含有する医薬組成物に関する。医薬組成物の種類は特に限定されず、剤型としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、懸濁剤、座剤、軟膏、クリーム剤、ゲル剤、貼付剤、吸入剤、注射剤等が挙げられる。これらの製剤は常法に従って調製することができる。また、液体製剤にあっては、用時、水又は他の適当な溶媒に溶解又は懸濁する形であってもよい。また錠剤、顆粒剤は周知の方法でコーティングしてもよい。注射剤の場合には、本発明の化合物を水に溶解させて調製されるが、必要に応じて生理食塩水或いはブドウ糖溶液に溶解させてもよく、また緩衝剤や保存剤を添加してもよい。経口投与用又は非経口投与用の任意の製剤形態で提供される。例えば、顆粒剤、細粒剤、散剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤又は液剤等の形態の経口投与用医薬組成物、静脈内投与用、筋肉内投与用、若しくは皮下投与用などの注射剤、点滴剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤、点鼻剤、吸入剤、坐剤などの形態の非経口投与用医薬組成物として調製することができる。注射剤や点滴剤などは、凍結乾燥形態などの粉末状の剤形として調製し、用時に生理食塩水などの適宜の水性媒体に溶解して用いることもできる。
本発明の葉酸修飾シクロデキストリンは、癌細胞への指向性を維持しながら溶解性に優れることから、所望の剤形に製剤化することができる。本発明の葉酸修飾シクロデキストリンは、より優れた腫瘍細胞集積能力を有することから、癌へのターゲティングを目的としたDDSとして有用である。例えば、本発明の葉酸修飾シクロデキストリンは、抗癌作用を有する物質を包接又は結合させることにより、より副作用の少ない抗癌剤を提供することができる。また、本発明の葉酸修飾シクロデキストリンは、標識作用を有する物質を包接又は結合させることにより、より明確な癌の診断像を提供することができる。また、本発明の親水基導入葉酸修飾シクロデキストリンは、飛躍的に溶解性が増加することにより、比較的高濃度の葉酸修飾シクロデキストリン水溶液として調製することができる。このため、注射剤として哺乳動物の血流内への投与が可能となり、がん治療薬やがん診断薬として利用する他、がん治療薬やがん診断薬の非臨床試験及び臨床試験において使用することができる。
また、本発明の親水基導入葉酸修飾シクロデキストリンは優れた腫瘍集積能力を示すことから、抗がん剤を包接させることにより、包接された抗がん剤を標的となるがんまで効率的に輸送させることができる。また、造影剤を包接させることにより、包接された造影剤標的となるがんまで効率的に輸送させることができる。更に、本発明の親水基導入葉酸修飾シクロデキストリンは、水溶解性が高まる他、高分子となることから血流内の滞留性の増強、RES(食細胞)回避、そしてがん細胞へ直接取り込まれることによるアクティブターゲティング及びEPR効果によるパッシブターゲティングにより効果を発揮することができる。
ドキソルビシン(DOX)内包ND1(per−Fol−cap2−β−CyD)、及びドキソルビシン(DOX)内包PND1−1(PEG−per−Fol−cap2−β−CyD)のKB(FR(+))細胞に対する抗腫瘍活性を表すグラフである。縦軸は、薬剤処理24時間後の細胞生存率(%)を示し、横軸は処理した薬剤の種類を示し、左から順に、コントロール(control)、ドキソルビシン単独(DOX alone)、ドキソルビシン/per−Fol−cap2−β−シクロデキストリン(ND1)(モル比1:1)(DOX/cap2(1:1))、ドキソルビシン/PEG−per−Fol−cap2−β−シクロデキストリン(PND1−1)(モル比1:1)(DOX/PEG−cap2(1:1))、per−Fol−cap2−β−シクロデキストリン(ND1)(cap2(10μM))、及び、PEG−per−Fol−cap2−β−シクロデキストリン(PND1−1)(PEG−cap2(10μM))を示す。値は、平均値±S.E.を示す。 ビンブラスチンの抗腫瘍活性に及ぼすPEG−per−Fol−cap−β−シクロデキストリン(PND1−1及びPND1−3)の影響を示す。縦軸は細胞生存率(%)を示す。上図において横軸は、使用したサンプルを示し、順に、FA(−)RPMI培地(control)、VLB(10μM)、VLB/PND1−1(1:1)(VBL/ND1−PEG1(1:1))、VBL/PND1−1(1:2)(VBL/PEG1(1:2)),ND1−PND1−1(10μM)(ND1−PEG1(10μM)、PND1−1(20μM)(ND1−PEG1(20μM))を示す。下図において、横軸は、使用したサンプルを示し、順に、FA(−)RPMI培地(control)、VLB(10μM)、VLB/PND1−3(1:1)(VBL/ND1−PEG3(1:1))、VBL/PND1−3(1:2)(VBL/ND1−PEG3(1:2))、PND1−3(10μM)、PND1−3(20μM)(ND1−PEG1(20μM))を示す。 PND1−1(図3A)及びPND1−3(図3B)のKB(FR+)及びCHO(FR−)細胞内取り込み評価の結果を示す。フローサイトメトリーによる細胞のFITCの蛍光強度を示す。図3Cは、フローサイトメトリーによる細胞のFITCの蛍光強度の積分量(縦軸)を示す。 KB(FR(+))細胞、及びCHO(FR(−))細胞によるPND1−1の細胞内取り込みに及ぼす葉酸の影響を測定した結果を示すグラフである。下図の棒グラフは、FITCラベル化PND1−1(10mM)、 FITCラベル化PND1−1(10mM)+葉酸(4mM)の平均蛍光強度を示す。 in vivoのドキソルビシン(5mg/kg)静脈内投与における、腫瘍重量及び体重に及ぼすPND1−1及びPND1−3の影響を表すグラフである。縦軸は、それぞれ、(A)腫瘍体積(mm)、及び(B)体重(g)を示す。横軸はドキソルビシン投与からの経過期間(日)を示す。図中の記号は、白丸:コントロ―ル群(control)、白抜きひし形:ドキソルビシン単独投与群(5 mg/kg)(DOX alone(5mg/kg))、白抜き三角:ドキソルビシン/PND1−1複合体投与群(DOX/PND1−1)、黒三角:ドキソルビシン/PND1−3投与群(DOX/PND1−3)をそれぞれ示す。 腫瘍マウスの生存率に及ぼすPND1−1及びPND1−3の影響を示す。図中の記号は、それぞれ、白丸:コントロール群(5% Mannitol),白抜きひし形:ドキソルビシン単独投与群(5mg/kg),白抜き三角:ドキソルビシン/PND1−1=1:1複合体投与群,白抜き四角:ドキソルビシン/PND1−3=1:1複合体投与群を示す。n=3〜7であり、値は平均値を示す。 ドキソルビシン(DOX)の抗腫瘍活性に及ぼすND201誘導体の影響を(A)colon−26細胞、及び(B)を用いて調べた結果を示すグラフである。 A:中間体であるND200−6HPのMSスペクトル、及び、B:ND200−6HPを葉酸化したND201−6HPのHPLCクロマトグラムを示す。分析HPLC条件、カラム:SEC型(体積排除カラム)、JAIGEL GS−310(商品名、日本分析工業)、φ21.5mm×500mmを2本、移動相:1/15M炭酸アンモニウム水溶液(pH 8.2)/メタノール=100/5、流速:5.0ml/min、検出:UV258nm ND201及びND201−6HP(ND201−HP)の溶解性を評価した結果を示す。縦軸は透過性を、横軸はメイロン静脈注射液(pH 7.9)の量(mL)を示す。 KB細胞にドキソルビシン、ドキソルビシン/ND201複合体、及びドキソルビシン/ND201−6HP複合体を添加後の細胞内におけるドキソルビシン分布を比較した写真である。左のイラストは実験の概略図である。右の写真は、DIC(微分干渉コントラスト:細胞を示す)、TRITCラベル(ND201又はND201−6HPを示す)、及びそれらの重ね合わせ(Merge)の写真である。 KB細胞内にとりこまれたドキソルビシン、ドキソルビシン/ND201、及びドキソルビシン/ND201−6HP複合体での蛍光強度の比較を示す。縦軸は蛍光強度を示す。 葉酸の存在化/非存在化における、KB細胞によるND201及びND201−6HPの取り込みを比較したグラフである。縦軸は平均蛍光強度(取り込まれたND201及びND201−6HPの量を表す)を表し、横軸は用いたサンプルを示す。サンプルは、左から順にコントロール、葉酸非存在下ND201、葉酸存在下ND201、葉酸非存在下ND201−6HP、及び葉酸存在下ND201−6HPを示す。 ドキソルビシン単独、ドキソルビシン/ND201複合体、及びドキソルビシン/ND201−6HP複合体のKB細胞に対する抗腫瘍活性を示すグラフである。縦軸は、コントロールを100%とした細胞生存率(%)を示し、横軸は用いたサンプルを示す。 ND201及びND201−6HP複合体のin vivoにおける抗腫瘍効果を腫瘍体積により評価した結果を示す。縦軸は腫瘍体積(mm)を示し、横軸は投与後の日数を表す。
本発明の親水基導入葉酸修飾シクロデキストリンの原料となる葉酸修飾シクロデキストリンは、国際特許公開公報WO2004/085487号、及びWO2009/041666号、並びに、日本国特許出願公開公報第2008−285567号、第2009−61429号、及び第2011−190341号に記載された方法に従って、合成することができる。例えば、前記ND1化合物はWO2009/041666号記載の実施例1記載の方法により合成することができる。
一態様において本発明は、以下の式
で表される化合物の2位、3位又は6位水酸基にポリエチレングリコール基又はヒドロキシプロピル基を導入することを特徴とする、一般式(I)で表される化合物の製造方法に関する。
(シクロデキストリン2位又は3位への親水基の導入)
葉酸修飾シクロデキストリン2位(X)又は3位(X又はX)への親水基(ポリエチレングリコール基又はヒドロキシプロピル基、以下同様)の導入は、M.Fukudomeら, Tetrahedron Lett., 47, 6599−6602(2006)記載の方法に従って、葉酸修飾シクロデキストリンの2級位を修飾することにより行うことができる。
具体的には、トシルイミダゾールの作用によりシクロデキストリン2位の2級水酸基をモノトシル化した後、塩基触媒でC2−C3位エポキシ環を形成させる。次いで、(1)アミノカプロン酸のアミノ基をシクロデキストリン3位又は2位に反応させて、残るカルボン酸基に親水基アミンを反応させるか、あるいは、(2)直接親水基アミンを反応させることにより親水基を結合させることができる。生成物は、通常のHPLCカラム精製法で精製して、本発明の化合物を得ることができる。
(シクロデキストリン6位への親水基の導入)
葉酸修飾シクロデキストリン6位(R)への親水基の導入は、葉酸修飾シクロデキストリン合成の途中プロセスにおける中間体で、パーアミノカプロイル−β−シクロデキストリン(以下、「ND100」と略す)を葉酸で修飾する前に、親水基−COOHと反応させて、アミノ基の一部(シクロデキストリン1分子中、1〜2個)に親水基を導入し、次いで残りのRに葉酸を導入することにより合成することもできる。反応性の親水基−COOH化合物は、多数市販(例えば、NOF Corporation, Tokyo)されている。
別の態様において本発明は、抗癌作用を有する物質を包接させた前記一般式(I)で表わされる化合物の有効量をそれを必要とする患者に投与することを含む、癌の治療方法又は予防方法に関する。あるいは、本発明は、癌の治療又は予防に使用するための抗癌作用を有する物質を包接させた前記一般式(I)で表わされる化合物に関する。更に別の態様において本発明は、標記作用を有する物質を包接させた前記一般式(I)で表わされる化合物の有効量をそれを必要とする患者に投与することを含む、癌の診断、検出、又は標識化方法に関する。あるいは、本発明は、癌の診断、検出、又は標識化に使用するための標識作用を有する物質を包接させた前記一般式(I)で表わされる化合物に関する。
本明細書において、「癌」との用語は、上皮性悪性腫瘍、脊髄由来の造血器悪性腫瘍などが含まれ、特に、卵巣癌(非粘液性卵巣癌など)、子宮癌、子宮内膜癌、乳癌、乳腺癌、前立腺癌、精巣癌(睾丸絨毛上皮癌など)、脳癌(上衣腫など)、咽喉癌、肺癌、肺腺癌、腎臓癌(腎細胞癌など)、肝癌、大腸癌(結腸癌など)、胸膜中皮腫、肉腫、慢性および急性骨髄性白血病、肺転移癌などの各種転移癌を含む。
前記一般式(I)で表わされる化合物に包接させることのできる標識作用を有する物質としては、シクロデキストリンに包接することができ、標識として利用可能な物質であれば特に限定されないが、L−[3−18F]−α−メチルチロシン(18F−FMT)(ポジトロン・エミッション・トモグラフィー(PET)用);フルオレセイン等の蛍光色素化合物(蛍光/内視鏡用);ガドリニウムキレート芳香族化合物等のガドリニウム(Gd)化合物(核磁気共鳴映像法(MRI)用);バリウム化合物、ヨウ素、又は、1,3,5−トリヨードベンゼン等のヨウ素化合物(X線コンピュータ断層撮影法(X線CT)用)を挙げることができる。
本発明の医薬組成物は、通常の薬学的に許容される担体を用いて、常法により製剤化することができる。経口用固形製剤を調製する場合は、主薬に賦形剤、更に必要に応じて、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等を加えた後、常法により溶剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等とする。注射剤を調製する場合には、主薬に必要によりpH調整剤、緩衝剤、安定化剤、可溶化剤等を添加し、常法により皮下又は静脈内用注射剤とすることができる。
本発明の医薬組成物は、経口投与形態、又は注射剤、点滴剤等の非経口投与形態で用いることができる。本化合物を哺乳動物等に投与する場合、錠剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤等として経口投与してもよいし、又は、注射剤、点滴剤として非経口的に投与してもよい。投与量は症状の程度、年齢、体重、性別、投与ルート、投与形態、薬剤への反応性、疾患の種類等により適宜設定することができ、例えば、通常成人1日当たり50〜500mgを1日1〜数回に分けて投与する。
以下、本発明をより詳細に説明するため実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本願全体を通して引用される全文献は参照によりそのまま本願に組み込まれる。
(実施例1)PND1−1の合成
PND1−1は、ND1 → ND1−COOH → ND1−CONH−PEGの経路で合成した。
具体的には、国際特許公開WO2009/041666記載の方法に従って合成したND1 100.5mgを4mlのDMSOに溶解し、これに1−(p−トルエンスルホニル)イミダゾール4.2mgと、炭酸セシウム4mgをDMSO 2mlに溶解した溶液を加えて、室温で40時間反応させた。次に、この反応混合物に6−アミノ−n−カプロン酸(アミノCap)3.0mgと1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)58.8mgを加え、24時間反応させた。この反応溶液を分取HPLC装置にSEC型カラム(JAIGEL GS−310 φ21.5mm×500mm)を取り付け、溶離液として水を流速10.0ml/minにて流し、UV検出230nmにて溶離した。分取HPLCクロマトグラムにて、最初に流出する保持時間6.05minの単独のシャープなピークの成分(面積比35%)を分取し、凍結乾燥して40.0mgを得た。
得られた生成物40.0mgをDMSO 4.0mlに溶解し、N,N’−ジシクロへキシルカルボジイミド(DCC)47.2mg、N−イミドコハク酸(HONSu)48.9mg及びPEGアミン(NOF社、SUNBRIGHT MEPA−20H MW2000)38.7mgを加え室温、24時間反応させた。HPLC装置にSECカラム(JAIGEL GS−310 φ21.5mm×500mm)を用い、溶離液は、水:メタノール 100:5で12.7min(21%)のピークを分取し、凍結乾燥してPND1−1を得た。収量は65.9mg(収率47%)であった。分析HPLCによる純度確認は1mgを1mlの2.7Mのアンモニア溶液25μlをSECカラム(JAIGEL GS−310 7.6mm×300mm)溶離液1/15MPBS緩衝溶液を用いて流速1.0ml/min、検出波長230nmにて、保持時間5.16minに面積比79%のピークを示した。保持時間9.3minに葉酸またはその関連物質と思われるピーク面積比21%を観察している。PND1−1のMALDI−TOF MS(Bruker Daltonics fexAnalysis)による測定では、m/z 5000を中心に4000〜6000に幅広いピークで、PEG基導入体と思われるシャープな山なりの分布を示す40本のメインピーク群が見られた。これとは別に7000を中心として6000〜8000に分布する弱い第二ピーク群も僅かに観察された。こちらの第2ピーク群にはPEG基導入を示すシャープな山なりの分布はみられなかった。PND1−1の水溶性は10mg/mlであり、ND1の10倍以上の水溶性を示した。
(実施例2)PND1−3の合成
PND1−3は、ND1 → [ND1−epoxy] → ND1−PEGの経路で合成した。具体的には、国際特許公開WO2009/041666記載の方法に従って合成したND1 21.4mgを1mlのDMSOに溶解し、1−(p−トルエンスルホニル)イミダゾール1.4mgと、炭酸セシウム0.9mgを加え、室温で19時間反応させた。次にこの反応混合物に1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)15mg及びPEGアミン(NOF社、MW2000)80mgを加え室温、24時間反応させた。SECカラムJAIGEL GS−310 φ21.5mm×500mmを2本用い、溶離液水により検出波長230nmで13.2min(49%)のピークを分取し、凍結乾燥することによりPND1−3を得た。収量は4.6mgであった。この物質のMALDI−TOF MS(Bruker Daltonics fexAnalysis)による測定は、m/z 5000を中心に4000〜6000に幅広いピークで、PEG基導入体と思われるシャープな山なりの分布を示すメインピーク群が見られた。PND1−3の水溶性は10mg/mlであり、ND1の10倍以上の水溶性を示した。
(実施例3)ドキソルビシン内包PND1−1のin vitroにおける細胞増殖抑制作用
KB細胞(5×10細胞/ウェル)を、葉酸を含有しない培地(RPM11640SigmaAldrich)で37℃で24時間培養した。細胞をPBSで1回洗浄後、ドキソルビシン(DOX)10μM、ドキソルビシン/per−Fol−cap2−β−シクロデキストリン(ND1)(モル比1:1)10μM、ドキソルビシン/PEG−per−Fol−cap2−β−シクロデキストリン(PND1−1)(モル比1:1)10μM、per−Fol−cap2−β−シクロデキストリン(ND1)10μM、及び、PEG−per−Fol−cap2−β−シクロデキストリン(PND1−1)10μMを含有する培地150μL中、37℃で、24時間培養した。n=8〜11とした。PBSで1回洗浄後、100μLの新しいHBSS及び10μLのWST−1試薬を各ウェルに添加し、37℃で30分間培養した。プレートリーダーにて測定(S:450nm、R:620nm)し、細胞増殖試薬WST−1を用いると代謝活性のある細胞のみが蛍光を示すことにより計算した結果を細胞生存率(%)とした。
結果を図1に示す。in vitroにおいては、ドキソルビシン内包PND1−1は、ドキソルビシン単独及びドキソルビシン内包ND1と同程度の細胞増殖抑制効果を示した。
(実施例4)ビンブラスチン内包PND1−1及びPND1−3のin vitroにおける細胞増殖抑制作用
ビンブラスチンの抗腫瘍活性に及ぼすPEG−per−Fol−cap−β−シクロデキストリン(PND1−1及びPND1−3)の影響を調べた。KB細胞を5×10細胞を96 穴プレートに調製した。37℃、24時間インキュベーションし、PBS(150μLで1回洗浄した。次に各種サンプルを150μL添加した。37℃で24時間インキュベーションした。PBS(150μL)で洗浄。WST−1(10μL)を添加、HBSS(100μL)を添加。プレートリーダーにて測定(S:450nm,R:620nm)サンプルはコントロールとして葉酸を含まないFA(−)RPMI培地、VLB単独(10μM)、VLB/PND1−1(1:1)、VBL/PND1−1(1:2)、PND1−1(10μM)、PND1−1(20μM)を用いた。
結果を図2に示す。KB細胞においてビンブラスチンとPND1−1複合体の抗腫瘍活性は1:1仕込みではなかったが、1:2仕込みで発揮した。またビンブラスチンとPND1−3複合体の抗腫瘍活性は1:2仕込みで有意にみられた。
(実施例5)PND1−1及びPND1−3のKB細胞(FR(+))及びCHO細胞(FR(−))による細胞内取り込み評価
PND1−1のKB(FR+)及びCHO(FR−)細胞内取り込み評価を行った。KB細胞,あるいはCHO細胞を4×10細胞/35mm dishに調製した。インキュベーション(37℃,24h)の後、培地(1mL)で洗浄×1回、各種サンプル(1mL)添加した。その後、インキュベーション(37℃,1h)した後、PBS(1mL)で洗浄×1回、PBS(1mL)で細胞を溶解してFACS処理(FL1)した。フローサイトメトリーにより、37℃で1時間インキュベーションの後、細胞のFITCの蛍光強度を求めた。各種サンプルとして、コントロール:FA(−)培地、FITCラベル化PND1−1(10μM)、FITCラベル化PND1−3(10μM)とした。
次にPND1−3のKB(FR+)及びCHO(FR−)細胞内取り込み評価を行った。実験操作はKB細胞,あるいはCHO細胞を4×10細胞/35mm dishに調製した。インキュベーション(37℃,24h)の後、培地(1mL)で洗浄×1回、各種サンプル(1mL)添加した。その後、インキュベーション(37℃,1h)した後、PBS(1mL)で洗浄×1回、PBS(1mL)で細胞を溶解してFACS処理(FL1)した。フローサイトメトリーにより、37℃で1時間インキュベーションの後、細胞のFITCの蛍光強度を求めた。各種サンプルとして、コントロール:FA(−)培地、FITCラベル化PND1−1(10μM)、FITCラベル化PND1−3(10μM)とした。PND1−1及びPND1−3の濃度は10μMである。
結果を図3に示す。下の棒グラフはフローサイトメトリーを用い37℃での1時間のインキュベーション後に細胞のFITCの蛍光強度の積分値を求めた結果である。これによるとPND1−3ではPND1−1よりも有意に取り込みが2倍に増大した。FRの少ないCHO細胞では取り込みは少であった。
(実施例6)PND1−1及びPND1−3のKB細胞(FR(+))及びCHO細胞(FR(−))による細胞内取り込みへの葉酸の影響の評価
(1)細胞内取り込みに及ぼす葉酸の影響
KB細胞及びCHO細胞を4×10細胞/35mmdishに調製し、インキュベーション(37℃,23h)の後、培地(1mL)で洗浄×1回、葉酸(4mM:1mL)を添加してプレインキュベーション(37℃,1h、葉酸添加群のみ)した。次に各種サンプル(1mL)添加し、インキュベーション(37℃,1h)し、PBS(1mL)で洗浄×1回、PBS(1mL)で細胞を溶解、FACS処理(FL1)した。サンプルは、コントロール:FA(−)培地、FITCラベル化PND1−1(10mM)、FITCラベル化PND1−1(10mM)+葉酸(4mM)、FITCラベル化PND1−3(10mM)、及びRITCラベル化ND1−3(10mM)+葉酸(4mM)とした。フローサイトメータにより、37℃、1時間のインキュベーションの後に細胞のFICTの蛍光強度を測定した。PND1−1の濃度は10mMであり、葉酸の濃度は4mMである。
(2)細胞内取り込みに及ぼす葉酸の影響
KB細胞及びCHO細胞を4×10細胞/35mmdishに調製し、インキュベーション(37℃,23h)の後、培地(1mL)で洗浄×1回、葉酸(4mM:1mL)を添加してプレインキュベーション(37℃,1h、葉酸添加群のみ)した。次に各種サンプル(1mL)添加し、インキュベーション(37℃,1h)し、PBS(1mL)で洗浄×1回、PBS(1mL)で細胞を溶解、FACS処理(FL1)した。サンプルは、コントロール:FA(−)培地、FITCラベル化PND1−1(10mM)、FITCラベル化PND1−1(10mM)+葉酸(4mM)、FITCラベル化PND1−3(10mM)、及びRITCラベル化ND1−3(10mM)+葉酸(4mM)でとした。フローサイトメータにより、37℃、1時間のインキュベーションの後に細胞のFICTの蛍光強度を測定した。PND1−1の濃度は10mMであり、葉酸の濃度は4mMである。
結果を図4に示す。図4下の棒グラフに葉酸の添加効果が纏めて示してある。KBおよびCHO何れの細胞でも葉酸(4mM)の添加効果による阻害効果は見られなかった。
(実施例7)ドキソルビシン内包PND1−1及びPND1−3のinvivoにおける抗腫瘍作用
(1)ドキソルビシンの抗腫瘍効果に及ぼすPND1−1及びPND1−3の影響(invivo)
BALB/cマウス(♂,4週齢)の左後肢に、Colon−26細胞(2×10細胞/100mL)を接種した。腫瘍直径が8mmになったのを確認後、ドキソルビシン/PND1−1,ドキソルビシン/PND1−3(1:1,100μL)を静脈内投与した。経時的に腫瘍体積及び体重を約30日間測定した。
(2)腫瘍マウスの生存率に及ぼすPND1−1及びPND1−3の影響
担がんマウス(BALB/c雄性,Colon−26細胞)に以下のサンプル(100μL)を静脈内投与した。5%Mannitol(コントロール),ドキソルビシン単独(5mg/kg),ドキソルビシン/PND1−1=1:1複合体,ドキソルビシン/PND1−3=1:1複合体。nは3〜7とした。
結果を図5及び図6に示す。図5からDOXとPND1−1およびPND1−3は腫瘍増大を30日間にわたり完全に抑制した。体重変化もなく副作用もない事が推定される。図6の生存率はPND1−3で100日以上100%であった。PND1−1でも80日以上100%であった。良好な抗腫瘍活性が見られた。
(実施例8)PND1−4の合成
PND1−4は、ND1→ND1−NH→ND1−NHCO−PEGの経路にて合成した。具体的には、国際特許公開WO2009/041666記載の方法に従って合成したND1100.5mgを4mlのDMSOに溶解し、1−(p−トルエンスルホニル)イミダゾール4.2mgと、炭酸セシウム2mgを加えて、室温で40時間反応させた。次にこの反応混合物にヘキサメチレンジアミン3.0mgと1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)58.8mgを加え、24時間反応した。この反応溶液をSECカラムJAIGELGS−310φ21.5mm×500mmに水を溶離液として流速10.0ml/min、検出230nmにて分取した。HPLCクロマトグラムにて、最初に流出する単独のシャープなピークの成分(面積比35%)を分取し、凍結乾燥しND1のヘキサメチレン誘導体38.0mgを得た。
ND1のヘキサメチレン誘導体8mgに対しPEG2000OSuME−020AS(NOF)2.77mgを1mlのDMSO溶液中室温で一夜反応させた。生成物はそのまま、HPLC精製した。SECカラムJAIGELφ21.5mm×500mmを用い、検出波長230mmで先頭のピーク保持時間12.5minを分取し、凍結乾燥して2.4mg(30%)のPND1−4を得た。HPLC純度は98%であった。
(実施例9)PND1−2の合成
PND1−2は、ND100(Cap2)+PEG−OSu→ND100−NHCO−PEG→ND1−PEG(1級位)の経路で合成した。具体的には、国際特許公開WO2009/041666記載の方法に従って合成したND1の前駆体6−ヘプタキス(5−アミノカプリルアミドカプリルアミド)−β−シクロデキストリン10mgにNMM2.6mg、PEGOSu7.4mgを室温一夜反応させた後、葉酸51.9mgとDMT−MM33.3mgを室温で45時間反応させた。生成物はそのまま、HPLC精製した。先頭のピークを分取し、凍結乾燥して20.0mgのPND1−2を得た。
(実施例10)PND1−7の合成
PND1−7は、ND100→ND100−NHCO−PEG(STEP1)、及び、ND100−NHCO−PEG→PND1−7(STEP2)の経路により合成した。
(Step1)国際特許公開WO2009/041666記載の方法に従って合成した6−ヘプタキス(5−アミノカプリルアミドカプリルアミド)−β−シクロデキストリン(ND100)200.0mgを4mlのメタノールに溶解し、PEG−COOH(NOF社:ME−020−AC(MW2000))118.3mgとDMT−MM21.3mg及びN−メチルモルホリンを100μlを加えて常温で16時間撹拌した後、35℃で23時間加温した。この反応溶液を1/15M炭酸アンモニウム水溶液を4ml加えて8mlとし、HPLC装置を用いて、SECカラム(JAIGELGS−310φ21.5mm×500mm)を2本に1/15M炭酸アンモニウム水溶液(pH8.2)を溶離液として流速5.0ml/min、検出UV286nmにて分取した。HPLCクロマトグラムにて、最初に流出する単独のシャープなピークAと2番目に流出する単独のシャープなピークBの成分を分取した。それぞれ凍結乾燥を行い、二つの白色粉末A(23.5mg)、B(85.9mg)を得た。この生成物のMALDI−TOFMS(BrukerDaltonicsfexAnalysis)による測定では、Aはm/z7220を中心に6600〜8000にPEG基が2置換したND100と推定される幅広いピークが見られた。また、m/z2000付近にPEG−COOHと見られる幅広いピークが痕跡量確認された。Bではm/z4966を中心に4100〜5900にPEG基が1置換したND100と推定される幅広いピークが見られた。また、m/z2000付近にPEG−COOHと見られる幅広いピークが痕跡量確認された。同様にm/z7000付近にPEG基が2置換したND100と推定される幅広いピークが痕跡量確認された。不純物を無視した場合のPEG基が2置換したND100の収率は4.0%、PEG基が1置換したND100の収率は24%であった。
(Step2)PEG基が1置換したND10080.8mg及び葉酸189.3mgをDMSO40mlに溶かし、DMT−MM137.8mg、及びメタノール50mlを加えて、35℃で48時間反応させた。生成した化合物が例示化合物ND1−PEG#7(PND1−7)であることを、SECカラムを付した分析HPLCにより下記の条件にて確認した。保持時間は9.0分付近で出発物質のND100−NHCO−PEG保持時間由来と異なるピークが観測された。また反応進行状況は、SECカラムを付した分析HPLCを用いて下記の条件で確認し、48時間で反応の進行が終了したことを確認した。
分析HPLC条件
カラム:SEC型(体積排除カラム)
JAIGEL GS−310−A(商品名、日本分析工業製)
φ7mm×500mm
移動相:1/15M炭酸アンモニウム水溶液(pH8.2)/メタノール=100/5
流速 :1.0ml/min
検出 :UV258nm
この反応混合物をアセトン中で沈殿を形成させた。その沈殿を濾別したのちpH8.2に調製した1/15M炭酸アンモニウム水溶液を加えて50mlとし、SECカラムを付した分取HPLCを用いて下記の条件で分取した。HPLCクロマトグラムにて、最初に流出する単独のシャープなピークの成分(保持時間26分付近)を分取し、凍結乾燥しPND1−7を49.9mg(収率42%)得た。分取物のHPLC純度は97%であった。他にフリー葉酸がピーク面積比4%存在することを確認した。これは、1分子のPND1−7あたり、1.4分子の葉酸の存在を示す。
この生成物のMALDI−TOF MS(Bruker Daltonics fexAnalysis)による測定は、m/z5000を中心に4500〜6000にPEG無置換のND1と推定される幅広いピークが見られた。またm/z7200を中心に6000〜8000に幅広いピークがあり、PEG基が1個の導入体と思われる山なりの分布を示すピークが見られた。PEG基2個以上のピーク、及び原料のND100のピークは観測されなかった。
分取HPLC条件
カラム:SEC型(体積排除カラム)
JAIGEL GS−310(商品名、日本分析工業)
φ21.5mm×500mmを2本
移動相:1/15M炭酸アンモニウム水溶液(pH8.2)/メタノール=100/5
流速 :5.0ml/min
検出 :UV258nm
(実施例11)PND1−7の連続簡易合成
国際特許公開WO2009/041666記載の方法に従って合成した6−ヘプタキス(5−アミノカプリルアミドカプリルアミド)−β−シクロデキストリン(ND100)20.3mgを5mlのメタノールに溶解し、PEG−COOH(NOF社)17mgとDMT−MM10.0mg及びN−メチルモルホリンを100μlを加えて35℃で23時間加温した。引き続き葉酸167mg、DMT−MM202.5mg、及びメタノール3mlを加えて、35℃で94時間反応させた。
精製操作は次のとおりである。この反応溶液を1/15M炭酸アンモニウム水溶液を加えて50mlとし、をSECカラムJAIGEL GS−310 φ21.5mm×500mmを2本に炭酸アンモニウム水溶液(pH8.0)を溶離液として流速7.0ml/min、検出UV286nmにて分取した。HPLCクロマトグラムにて、最初に流出する単独のシャープなピークの成分を分取し、凍結乾燥しPEG化ND1(PND1−7)を16.4mg(収率30%)を得た。分取物のHPLC純度は78%であった。他にフリー葉酸がピーク面積比18%存在することを確認した。この生成物のMALDI−TOF MS(Bruker Daltonics fexAnalysis)による測定は、m/z5000を中心に4500〜6000にPEG無置換のND1と推定される幅広いピークが見られた。またm/z7200を中心に6000〜8000に幅広いピークがあり、PEG基が1個の導入体と思われる山なりの分布を示すピークが見られた。PEG基2個以上のピーク、及び原料のND100のピークは観測されなかった。同じ生成物をプロトンNMRで観察した結果、フリー葉酸が9分子の存在と確認された。
分取HPLC精製で除けなかったフリー葉酸は、生成物を水とアセトン混合液中で沈殿を形成させた。その沈殿を再度水に溶解してpH5に調整し、そこで生成した沈殿を、セライトろ過で取り除き、溶液を凍結乾燥して生成物を得た。分析HPLCのクロマトグラムでは、残留のフリー葉酸は面積比3%以下と判定された。生成物ND1−PEG7の面積比95%であった。
(実施例12)PND1−7のin vitro評価
(1)DOXの抗腫瘍活性に及ぼすND201誘導体の影響(Colon26)
Colon−26細胞を5×10細胞/wellで96穴プレートに10%(v/v)FBS含むRPMI1640(Fol−free)培地を用いて播種した。インキュベーション(24h,37℃)した後PBS150mLを用いて洗浄した。次に各種サンプルを含有した無血清RPMI1640(Fol−free)培地150μL添加した。サンプルは、無血清RPMI1640(Fol−free)培地(Control)、ドキソルビシン単独(10mM)(DOX alone)、DOX/PND1−7(モル比1:1)(10mM)、DOX/8HP−ND201(モル比1:1)(10mM)とした。次にインキュベーション(24h,37℃)し、PBS150mLを用いて洗浄した。HBSS100mL及びWST−1溶液10mL添加した後、インキュベーション(30min,37℃)した。マイクロプレートリーダーにより吸光度測定(S:450nm,R:620nm)
(2)DOXの抗腫瘍活性に及ぼすND201誘導体の影響(KB細胞、図8B参照)
KB細胞を5×10細胞/wellで96穴プレートに10%(v/v)FBS含有RPMI1640(Fol−free)培地を用いて播種した。培養(24時間,37℃)後、PBS150μLを用いて洗浄した。サンプル含有無血清RPMI1640(Fol−free)培地150μL添加した。サンプルは、無血清RPMI1640(Fol−free)培地(Control)、ドキソルビシン単独(10mM)(DOXalone、DOX/PND1−7(モル比1:1)(10mM)、DOX/8HP−ND201(モル比1:1)(10mM)とした。培養(24h,37℃)後、PBS150mLを用いて洗浄して、HBSS100mL及びWST−1溶液10μLを添加し、インキュベーション(30min,37℃)した後、マイクロプレートリーダーにより、吸光度測定(S:450nm,R:620nm)した。
結果を図7に示す。In vitro実験において、Colon−26細胞ではND201−8HPおよびPND1−7の何れの複合体でも細胞殺傷効果が見られた。KB細胞でも同様であった。
(実施例13)PND1−8の合成
PND1−8は、ND100→ND100−NHCONH−PEG→PND1−8の経路により合成した。具体的には、窒素気流中でPEG−COOH(NOF社SUNBRIGHT ME−020AC)50.6mgを5mlのDMSO溶液にして、DPPAを50μl及びDABCOを15.2mg加え、油浴で125℃にて2時間加熱した。室温に冷却後、国際特許公開WO2009/041666記載の方法に従って合成したND1の前駆体6−ヘプタキス(5−アミノカプリルアミドカプリルアミド)−β−シクロデキストリン(ND100)77.6mgを3mlのDMSOに溶解して加えた。さらにDABCO30mgを加えて、室温で45時間反応させた。次にこの反応混合物に葉酸233mgと等モルのDMT−MM及び1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)58.8mgを加え、45時間反応した。
この反応溶液をSECカラム JAIGEL GS−310 φ21.5mm×500mmに炭酸アンモニウム水溶液(pH 8.0)を溶離液として流速7.0ml/min、検出286nmにて分取した。HPLCクロマトグラムにて、最初に流出する単独のシャープなピークの成分(面積比34%)を分取し、凍結乾燥しPEG化ND1(PND1−8)30mg(収率32%)を得た。HPLC純度は80%であった。
この生成物のMALDI−TOF MS(Bruker Daltonics fexAnalysis)による測定は、m/z 5323を中心に4500〜6500に幅広いピークで、PEG基が1個導入したと思われる山なりの分布を示す単一のピークが見られた。原料のND100が3081及びPEG体2290のピークも見られた。
PND1−8はPEG−COOHをDPPA試薬によりPEG−NCOに変えて、反応性を高めた後に、1:1モル比の反応を行った後、PEGの導入結合はウレタン結合となっている。残りのR2位に葉酸をアミド結合で導入した。PND1−7に比べて短時間で収率よく合成が出来た。
ここで、PND1−7、PND1−8合成では、葉酸導入数は必然的に7個ではなく6個となる。ナノクラスター効果がその分減じることが懸念されるが、経験的には6個でも抗体と変わらない会合を示した例があり、影響がないと考えられる。また、PND1−8合成で用いたPEG−NCOは2級水酸基とも反応性が良いので、2級位側にも導入が可能である。
(実施例14)ND201−6HPの合成
0.37MのNaOH水溶液5.0mlにND200(Per(HCl・aminoCap)−β−CD)300mgを室温で溶解したのち氷浴にて冷却しながら67.5μlの酸化プロピレンを20分かけてゆっくりと滴下した。そののち室温に戻して20時間撹拌した。反応の終了はTLCで確認し原料スポットの消失を確認した。0.5M−HClで中和して反応を終了した。塩を取り除くために透析した。透析液は一度交換した。凍結乾燥後して、HP化ND200を収量100.3mgで得た。
次に、DMSO 40mlに葉酸701.0mgを加えて、70℃に加温して溶解した。先に得られたHP化ND200 100.3mgを室温でDMSO12.9mlに溶解した。この溶解液に、N−メチルモルホリン174.6μl,DMT−MM 439.4mgをメタノール100μlとDMSO 2mlの混合溶液に溶解したものを加えた。同量のDMT−MM溶液を11日間で5回添加し、反応の進行をHPLCにて追跡した。11日後にアセトン再沈し吸引ろ過した。サンプルは1Mアンモニアを用いて透析した。透析を2回繰り返したのち、溶液を濃縮し、炭酸アンモニア溶液に溶解しHPLC分取してND201−6HPを得た。収量は59.9mgであった。生成物はTLC(展開液:ブタノール、エタノール、水、アンモニア、呈色:ヨウ素)により、Rf値0.67として確認した。HP化ND200はMSスペクトルで確認し、HP化ND201HPLCクロマトグラムでも構造を確認した。
HP化したND200の構造の確認に使用したMSスペクトルデータ及びHP化ND201のHPLCのデータを図8に示す。MSスペクトルからHP基は1−9個が導入された混合物である。HPLCデータからND201と一致する保持時間に葉酸化した生成物の生成が確認された。
(実施例15)ND201−6HPの溶解性の評価
ND201あるいはND201−6HPは 4.0mgをメイロン静脈注射液(pH 7.9)1.5mlに溶解し,室温にて超音波で30分処理し、660nmの透過率を測定した。ここに溶媒を順次追加して、超音波処理、透過率測定を繰り返した。最大溶解濃度はND201が9mlの溶媒下で透過率28%であるのに対しND201−6HPは 透過率57.9%と観測された。透過率を吸光度に換算しその比較から溶解濃度の比率が求められた。
結果を図10に示す。メイロン静脈注射液(pH7.9)9mlでの660nm透過率%比較からA=−logTであるので(−log0.579/−log0.28)=0.5527/0.2380=2.32と溶解性の比が求められた。ND201−6HPの溶解性は、HP化により、ND201と比較して溶解濃度が2.32倍と増大した。
(実施例16)ND201−6HPのKB細胞(FR(+))による細胞内取り込み評価
KB細胞内におけるドキソルビシン、ドキソルビシン/ND201複合体、及びドキソルビシン/ND201−6HP複合体それぞれにおけるドキソルビシンの分布量を比較した。KB細胞(5×10細胞/well)は葉酸非含有培地にて37℃で24時間培養した。細胞は葉酸非含有培地で一度洗浄した後に、ドキソルビシン、ドキソルビシン/ND201、及びドキソルビシン/ND201−6HPをそれぞれ含む培地1mlで37℃、24時間培養した。葉酸非含有で洗浄後、蛍光マイクロスコープで走査した。ドキソルビシン、ND201及びND201−6HPの濃度は10μMである。
結果を図10及び図11に示す。ND201−6HPは、in vitroでKB細胞への取り込みはND201とほぼ同じであった。この結果ND201−6HPのドキソルビシンの細胞内への取り込み量はND201と同程度であることを示した。
(実施例17)ND201−6HPのKB細胞(FR(+))による細胞内取り込みへの葉酸の影響の評価
KB細胞に対してTRITCラベル化ND201とTRITCラベル化ND201−6HPの葉酸の細胞への取り込み効果を調べた。フローサイトメータにより37℃、1時間の培養後にTRITCの蛍光強度を測定した。ND201とND201−6HPの濃度は10μMである。ND201及びND201−HP系での葉酸の濃度は10μMである。
結果を図12に示す。KB細胞に対しTRITCラベル化ND201−6HPは、TRITCラベル化ND201に比して4倍の取り込みを示した。しかし葉酸(10mM)の添加により取り込みは大きく減少した。この系への葉酸の阻害作用と考えられる。
(実施例18)ドキソルビシン内包ND201−6HPのin vitroにおける細胞増殖抑制作用
KB細胞において24時間処理でのドキソルビシン、ドキソルビシン/ND201複合体、ドキソルビシン/ND201−6HP複合体の抗腫瘍活性を示す。ドキソルビシン、ND201、及びND201−6HPの濃度は10μMである。
結果を図13に示す。ドキソルビシン内包ND201−6HPは、KB腫瘍細胞の増殖抑制効果がND201よりもさらに改善された。
(実施例19)ドキソルビシン内包ND201−6HPのin vivoにおける抗腫瘍作用
BALB/c雄性マウス(4週齢,20g)の左後肢に、1日前から10%(v/v)FBS含有RPMI 1640(Fol−free)培地で培養したColon−26細胞懸濁液を2×10細胞/100μL播種した。約10日後、マウスの腫瘍直径が8mmに達したマウスをin vivo実験に使用した。100μLのマンニトール溶液(control)、ドキソルビシン溶液(DOX5mg/kg)、DOX/ND201,DOX/ND201−6HP複合体溶液(DOX/ND201−HP)を担がんマウスの尾静脈内に投与した。ドキソルビシンはいずれも5mg/kg相当量となるように用いた。投与後、31日間、腫瘍体積、体重を経時的に追跡した。生存率をモニタリングした。
結果を図14に示す。ドキソルビシン内包ND201−6HPは、30日間にわたって、ND201に比して約3倍の腫瘍増大抑制効果を示した。

Claims (1)

  1. 下記一般式(I)で表されるシクロデキストリン化合物
    [式中、mは6〜8の整数を表し、
    m個のRは、各々独立して、水素原子、水酸基、−NH−Y−R基、−NHCONH−Y−R基、−NHCO−Y−R基、−NH−Y−NHCO−Y−NH−Y−R基、−NH−Y−NHCO−Y−R基、−NHCO−Y−NHCO−Y−NH−R基、−NHCO−Y−NHCO−Y−NHCO−Y−R基、−NHCONH−Y−NHCO−Y−NHCO−Y−R基、−Z基、−NH−Y−R−Z基、−NHCONH−Y−R−Z基、−NHCO−Y−R−Z基、−NH−Y−NHCO−Y−NH−Y−R−Z基、−NH−Y−NHCO−Y−R−Z基、−NHCO−Y−NHCO−Y−NH−R−Z基、及び、−NHCO−Y−NHCO−Y−NHCO−Y−R−Z基、−NHCONH−Y−NHCO−Y−NHCO−Y−R−Z基、からなる群から選択される基を表し、
    ここで、m個のRのうち、少なくとも2個は、−Z基、−NH−Y−R−Z基、−NHCONH−Y−R−Z基、−NHCO−Y−R−Z基、−NH−Y−NHCO−Y−NH−Y−R−Z基、−NH−Y−NHCO−Y−R−Z基、−NHCO−Y−NHCO−Y−NH−R−Z基、及び、−NHCO−Y−NHCO−Y−NHCO−Y−R−Z基からなる群から選択される基であり、
    m個のX、m個のX、及びm個のXは、各々独立して、水素原子、水酸基、−R、−NH−Y−R基、−NHCONH−Y−R基、−NHCO−Y−R基、−NH−Y−NHCO−Y−NH−Y−R基、−NH−Y−CONH−Y−R基、及び、−NH−Y−NHCO−Y−R基からなる群から選択される基を表し、
    かつ、m個のR のうち、少なくとも1個はR を含む基であり、
    ここで、Yは、各々独立して、アルキレン基、フェニレン基、及び、−O−基から選択される基を表し、
    ここで、Rは、各々独立して、二価の場合には、−(CH −CH −O) −基、又は、−(CH −CH(CH )−O) −基を表し、一価の場合には、−(CH −CH −O) −H基、−(CH −CH −O) −C1〜6アルキル基、又は、−(CH −CH(CH )−O) −H基(ここで、pは20〜80、tは1〜20である)を表し
    ここで、Z基は下記式(II)で表される基を示す
    式中、nは0〜3の整数を表す]。
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