以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、撮像装置の一種であるデジタルカメラ(以下、「カメラ10」という)は、焦点調節のためのフォーカスレンズ11などの複数のレンズからなるレンズ部12(図1ではフォーカスレンズ11のみ図示)と、レンズ部12を通過した光をレンズ部12の像空間側において結像させて撮像する撮像素子13とを備えている。なお、撮像素子13は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型、又は、CCD(Charge Coupled Device)型のイメージセンサからなる。
撮像素子13の出力側には、画像処理エンジン14がA/D変換回路15を介して接続されている。そして、撮像素子13からアナログ信号として出力される画素信号は、A/D変換回路15においてデジタル信号に変換された後に画像処理エンジン14に入力される。
画像処理エンジン14は、カメラ10の各種の動作を統括的に制御するMPU16(Micro Processing Unit)を備えている。そして、MPU16は、撮像素子13から読み出した画素信号に対し、階調補正、ホワイトバランス処理及び輪郭補償等の画像処理を施すことにより所定の画像を生成する。
画像処理エンジン14には、データバス17を介して不揮発性メモリ18、バッファメモリ19、インターフェース部(以下、「I/F部20」という)、及び、表示部の一例としてのモニタ21が接続されている。
不揮発性メモリ18は、画像処理エンジン14を動作させるためにMPU16が実行するプログラムを格納している。なお、本実施形態では、不揮発性メモリ18は、図9にフローチャートで示す画像生成処理プログラムなどを格納している。そして、MPU16は、不揮発性メモリ18に格納された画像生成処理プログラムを実行することにより、エッジ検出部24、合焦検出部25、画像生成部26及び表示制御部27として機能する。
バッファメモリ19は、例えば、撮影画像、画像処理過程の画像、画像処理後の画像及び画像圧縮後の画像などを一時的に格納している。
I/F部20は、メモリカード30が着脱自在に装着されるカードスロット(図示略)を有している。そして、I/F部20は、画像処理エンジン14によって生成された画像をI/F部20に装着されたメモリカード30に出力したり、メモリカード30に格納されている画像を画像処理エンジン14に出力したりする機能を有している。
モニタ21には、バッファメモリ19に一時的に格納されている画像や、I/F部20に装着されたメモリカード30に格納されている画像が画像処理エンジン14によって出力されて表示される。
また、画像処理エンジン14には、レリーズボタン31及び操作部32が接続されている。レリーズボタン31は、半押し操作又は全押し操作がなされた際に操作信号を画像処理エンジン14に入力する。操作部32は、メニューボタン、セレクトボタン、決定ボタン及び電源ボタン等により構成されており、押圧操作がなされた際に操作信号を画像処理エンジン14に入力する。
次に、撮像素子13の構成について詳細に説明する。
図2(a)及び図2(b)に示すように、撮像素子13は、撮像面上に二次元的に配列された撮像画素40を有している。撮像画素40は、マイクロレンズ41、カラーフィルタ42及び光電変換部43によって構成されている。また、撮像画素40は、赤画素40R(R)、緑画素40G(G)、青画素40B(B)及び白画素40W(W)を含んでいる。
赤画素40Rは、赤色の波長領域の光を選択的に透過するカラーフィルタ(図示略)を有している。そして、撮像素子13に入射する入射光L1のうち、カラーフィルタを透過した赤色の色成分の光がマイクロレンズ(図示略)によって光電変換部(図示略)に集光され、光電変換部において電荷に変換される。
緑画素40Gは、緑色の波長領域の光を選択的に透過するカラーフィルタ42Gを有している。そして、撮像素子13に入射する入射光L1のうち、カラーフィルタ42Gを透過した緑色の色成分の光がマイクロレンズ41Gによって光電変換部43Gに集光され、光電変換部43Gにおいて電荷に変換される。
青画素40Bは、青色の波長領域の光を選択的に透過するカラーフィルタ42Bを有している。そして、撮像素子13に入射する入射光L1のうち、カラーフィルタ42Bを透過した青色の色成分の光がマイクロレンズ41Bによって光電変換部43Bに集光され、光電変換部43Bにおいて電荷に変換される。
白画素40Wは、可視光の波長領域の光を選択的に透過するカラーフィルタ42Wを有している。また、白画素40Wは、光電変換部43Wが三層に積層されている。そして、撮像素子13に入射する入射光L1のうち、可視光の波長領域の光がマイクロレンズ41Wによって光電変換部43Wに集光される。すなわち、光電変換部43Wに集光される光には、赤色、緑色、青色の色成分の光が含まれている。そして、各色の色成分の光は、各々が対応する層の光電変換部43Wにおいて電荷に変換される。そのため、白画素40Wは、複数の色成分の光が共通で電荷に変換される共通画素として機能する。
なお、図2(b)に示すように、本実施形態では、青色の色成分の光が最上層の光電変換部43WBにおいて電荷に変換されるとともに、緑色の色成分の光が中間層の光電変換部43WGにおいて電荷に変換され、更には、赤色の色成分の光が最下層の光電変換部43WRにおいて電荷に変換される。
そして、撮像素子13には、全体として、赤画素40R、緑画素40G及び青画素40Bからなるカラー画素40R,40G,40Bがベイヤー配列(Bayer Arrangement)の配列パターンによって配列されている。すなわち、隣接する正方格子状の四つの画素群において一方の対角線上に二つの緑画素40Gが配列され、他方の対角線上に赤画素40R及び青画素40Bが一つずつ配列されている。そして、正方格子状の画素群を基本単位として、該画素群が二次元上に繰り返し配列されることで撮像素子13が構成されている。なお、本実施形態では、撮像素子13を構成する画素群のうち一部の画素群については、1つの緑画素40Gに代えて白画素40Wが配列されている。具体的には、撮像素子13の撮像面の縦方向及び横方向においてそれぞれ二つの画素群おきに、一つの緑画素40Gに代えて白画素40Wが配列されている。
この場合、図2(c)に示すように、本実施形態では、白画素40Wは、撮像素子13の撮像画素40のうち、撮像面上における縦方向に間隔を隔てた6つのエリアR1〜R6に位置する画素群に含まれている。また、これらのエリアR1〜R6は、撮像素子13の撮像面上における横方向の略全域に亘って直線的に延びている。
なお、撮像素子13は、上記のカラー画素40R,40G,40Bがベイヤー配列以外の他の任意の配列パターンで配列された構成であってもよい。また、撮像素子13は、緑色(G)、黄色(Y)、マゼンダ色(M)及びシアン色(C)の色成分の光をそれぞれ選択的に透過させる補色フィルタを備えた構成であってもよい。
次に、画像処理エンジン14が画像から検出された被写体のエッジにおける軸上色収差の色ずれを解析することにより、被写体のエッジの合焦状態を検出する原理の概要を説明する。
図3(a)には、撮像素子13に撮像された画像が被写体Sの位置で合焦している状態が実線で示されるとともに、撮像素子13に撮像された画像が被写体Sの位置よりも近点側で合焦している状態(以下、「前ピン状態」という)が一点鎖線で示されている。図3(a)に示すように、前ピン状態においては、被写体から射出される光がフォーカスレンズ11を通過して合焦する位置が撮像素子13よりも撮影者側(図3(a)では右側)に位置する。
一方、図3(b)には、撮像素子13に撮像された画像が被写体Sの位置で合焦している状態が実線で示されるとともに、撮像素子13に撮像された画像が被写体Sの位置よりも遠点側で合焦している状態(以下、「後ピン状態」という)が一点鎖線で示されている。図3(b)に示すように、後ピン状態においては、被写体から射出される光がフォーカスレンズ11を通過して合焦する位置が撮像素子13よりもフォーカスレンズ11側(図3(b)では左側)に位置する。
図4には、被写体から射出された光がフォーカスレンズ11を通過する際に生じる軸上色収差の様子が示されている。図4に示すように、フォーカスレンズ11を通過した光には波長の違いによって軸上色収差が生じるため、光の色成分ごとに焦点位置がずれる。具体的には、フォーカスレンズ11は、光の波長が短いほど光の屈折率が大きいため、青(B)の光、緑(B)の光、赤(R)の光の順に、フォーカスレンズ11を通過する際の屈折率が次第に小さくなり、フォーカスレンズ11を通過して合焦する焦点位置がフォーカスレンズ11から次第に遠くなる。そして、このような軸上色収差による色ずれを解析することにより、被写体のデフォーカス特徴量が被写体の合焦状態として算出(検出)される。
ここで、デフォーカス特徴量は、方向指標と、デフォーカス量を含んで構成されている。方向指標とは、撮像素子13に撮像された画像が被写体に対して前ピン状態又は後ピン状態にあることを示す指標である。そして、方向指標及びデフォーカス量を算出するための評価値の一例としては、Edge Difference(以下、「Ed」という)が挙げられる。
次に、被写体における方向指標及びデフォーカス量をEdを用いて算出する原理の概要を説明する。
図5(a)に示すように、撮像素子13に撮像された画像が被写体に対して前ピン状態にある場合には、被写体から射出された光は、フォーカスレンズ11を通過する際に生じる軸上色収差に起因して外側から赤(R)の光、緑(G)の光、青(B)の光の順に位置するように分光された状態で撮像素子13に導かれる。この場合、フォーカスレンズ11を通過した光が色成分ごとに撮像素子13に撮像する被写体のデフォーカス量は、青(B)の光、緑(G)の光、赤(R)の光の順に次第に大きくなる。
一方、図5(b)に示すように、撮像素子13に撮像された画像が被写体に対して後ピン状態にある場合には、被写体から射出された光は、フォーカスレンズ11を通過する際に生じる軸上色収差に起因して外側から赤(R)の光、緑(G)の光、青(B)の光の順に位置するように分光された状態で撮像素子13に導かれる。この場合、フォーカスレンズ11を通過した光が色成分ごとに撮像素子13に撮像する被写体のデフォーカス量は、赤(R)の光、緑(G)の光、青(B)の光の順に次第に大きくなる。
すなわち、撮像素子13に撮像された画像が被写体に対して前ピン状態及び後ピン状態のうち何れの状態であるかに応じて、フォーカスレンズ11を通過した光が色成分ごとに撮像素子13に撮像する被写体のデフォーカス量の大小関係は異なるものとなる。
図6には、撮像素子13に撮像される画像における被写体の一例として白黒チャートS1が示されている。また、図6では、横方向にX座標、縦方向にY座標が設定されており、X=qの位置に位置する白黒チャートS1のエッジEがデフォーカス特徴量の算出対象として設定されている。
この場合、まず、エッジEを横切る方向(図6ではX方向)においてRGBごとの画素値が取得される。このとき、1ピクセル行だけの画素値が取得されると、その1ピクセル行がノイズを含んでいる場合に誤った画素値が取得される虞がある。そのため、本実施形態では、以下の式(1)〜(3)に示すように、1ピクセル行の画素値がY方向にnピクセル幅に亘ってn本積算され、その積算値がnで除算された平均値が、x=qに位置するエッジEが横切るRGBごとの画素値として取得される。
ここで、r(x,k)、g(x,k)、b(x,k)は、y方向のnピクセル幅におけるn本(k=1,2,…,n)の1ピクセル行のR画素値、G画素値、B画素値をそれぞれ示している。ただし、xは、図6に示す例ではX=qを含む所定範囲(例えば、q−Q/2≦x≦q+Q/2)を変域とする値を示している。
続いて、以下の式(4)〜(6)に示すように、r_ave(x)、g_ave(x)、b_ave(x)について、各々の最大値及び最小値を用いて正規化することにより、各々の正規化出力が算出される。
ここで、xminは、エッジEの検出対象領域EA内で画素値が最小(図6に示す例では黒領域)となるX座標値を示し、xmaxは、エッジEの検出対象領域EA内で画素値が最大(図6に示す例では白領域)となるX座標値を示している。
図7(a)には、撮像素子13に撮像された画像が白黒チャートS1のエッジEに対して前ピン状態である場合の、白黒チャートS1のエッジEの近傍における各色成分の色成分量の正規化出力が示されている。図7(a)に示すように、撮像素子13に撮像された画像が白黒チャートS1のエッジEに対して前ピン状態である場合には、青(B)、緑(G)、赤(R)の順に、白黒チャートS1のエッジEにおける色成分量の勾配が次第に緩やかとなる。これは、撮像素子13に撮像された画像が白黒チャートS1のエッジEに対して前ピン状態である場合には、フォーカスレンズ11を通過した光が色成分ごとに撮像素子13に撮像する白黒チャートS1のエッジEのデフォーカス量は、青(B)の光、緑(G)の光、赤(R)の光の順に次第に大きくなるためである。
一方、図7(b)には、撮像素子13に撮像された画像が白黒チャートS1のエッジEに対して後ピン状態である場合の、白黒チャートS1のエッジEの近傍における各色成分の色成分量の正規化出力が示されている。図7(b)に示すように、撮像素子13に撮像された画像が白黒チャートS1のエッジEに対して後ピン状態である場合には、赤(R)、緑(G)、青(B)の順に、白黒チャートS1のエッジEにおける色成分量の勾配が次第に緩やかとなる。これは、撮像素子13に撮像された画像が白黒チャートS1のエッジEに対して後ピン状態である場合には、フォーカスレンズ11を通過した光が色成分ごとに撮像素子13に撮像する白黒チャートS1のエッジEのデフォーカス量は、赤(R)の光、緑(G)の光、青(B)の光の順に次第に大きくなるためである。
すなわち、図8(a)に示すように、白黒チャートS1のエッジEの近傍における各色成分量の勾配は、以下のようになる。撮像素子13に撮像された画像が白黒チャートS1のエッジEに対して前ピン状態である場合には、赤(R)の色成分量の勾配が緑(G)の色成分量の勾配よりも小さくなる。これに対し、撮像素子13に撮像された画像が白黒チャートS1のエッジEに対して後ピン状態である場合には、赤(R)の色成分量の勾配が緑(G)の色成分量の勾配よりも大きくなる。そのため、撮像素子13に撮像された画像が白黒チャートS1のエッジEに対して前ピン状態及び後ピン状態のうち何れの状態であるかに応じて、白黒チャートS1のエッジEにおける赤(R)の色成分量の勾配と緑(G)の色成分量の勾配との大小関係が逆転する。
したがって、赤(R)の色成分量と緑(G)の色成分量とに基づくEd(以下、「EdRG」という)を閾値と比較することにより、撮像素子13に撮像された画像が白黒チャートS1のエッジEに対して前ピン状態及び後ピン状態のうち何れの状態であるかについては、以下に示す式(7)、(8)に基づいて判定される。
ここで、Σ(R/G)は、赤(R)の色成分量を画像における同一の位置での緑(G)の色成分量で除算した値を、区間Δ1に亘って加算した総和を示している。そして、その総和を区間Δ1の長さで除算した値がEdRGとして算出される。なお、区間Δ1は、図8(a)において赤(R)の色成分量と緑(G)の色成分量とが交わる交点P1よりも右側に位置する区間のうち、緑(G)の色成分量に勾配がある区間の一部として規定される。
そして、式(7)が成立する場合には、EdRGは、撮像素子13に撮像された画像が白黒チャートS1のエッジEに対して後ピン状態であることを示している。一方、式(8)が成立する場合には、EdRGは、撮像素子13に撮像された画像が白黒チャートS1のエッジEに対して前ピン状態であることを示している。また、EdRGと閾値である「1」との差分が、撮像素子13に撮像された画像における白黒チャートS1のエッジEのデフォーカス量を示している。
なお、撮像素子13に撮像された画像が白黒チャートS1のエッジEに対して前ピン状態及び後ピン状態のうち何れの状態であるかについては、以下に示す式(9)、(10)に基づいて判定されてもよい。
ここで、Σ(R/G)は、赤(R)の色成分量を画像における同一の位置での緑(G)の色成分量で除算した値を、区間Δ2に亘って加算した総和を示している。そして、その総和を区間Δ2の長さで除算した値がEdRGとして算出される。なお、区間Δ2は、図8(a)において赤(R)の色成分量と緑(G)の色成分量とが交わる交点P1よりも左側に位置する区間のうち、緑(G)の色成分量に勾配がある区間の一部として規定される。
そして、式(9)が成立する場合には、EdRGは、撮像素子13に撮像された画像が白黒チャートS1のエッジEに対して前ピン状態であることを示している。一方、式(10)が成立する場合には、EdRGは、撮像素子13に撮像された画像が白黒チャートS1のエッジEに対して後ピン状態であることを示している。また、EdRGと閾値である「1」との差分が、撮像素子13に撮像された画像における白黒チャートS1のエッジEのデフォーカス量を示している。
以上のように、上記の式(7)〜(10)では、赤(R)の色成分量と緑(G)の色成分量との比を用いて、撮像素子13に撮像された画像が白黒チャートS1のエッジEに対して前ピン状態及び後ピン状態のうち何れの状態であるかについて判定される。ただし、赤(R)の色成分量と緑(G)の色成分量との差を用いて、撮像素子13に撮像された画像が白黒チャートS1のエッジEに対して前ピン状態及び後ピン状態のうち何れの状態であるかについて判定してもよい。
また同様に、図8(b)に示すように、撮像素子13に撮像された画像が白黒チャートS1のエッジEに対して前ピン状態である場合には、青(B)の色成分量の勾配が緑(G)の色成分量の勾配よりも大きくなる。これに対し、撮像素子13に撮像された画像が白黒チャートS1のエッジEに対して後ピン状態である場合には、青(B)の色成分量の勾配が緑(G)の色成分量の勾配よりも小さくなる。そのため、撮像素子13に撮像された画像が前ピン状態及び後ピン状態のうち何れの状態にあるかに応じて、白黒チャートS1のエッジEにおける青(B)の色成分量の勾配と緑(G)の色成分量の勾配との大小関係が逆転する。
したがって、青(B)の色成分量と緑(G)の色成分量とに基づくEd(以下、「EdBG」という)を閾値と比較することにより、撮像素子13に撮像された画像が白黒チャートS1のエッジEに対して前ピン状態及び後ピン状態のうち何れの状態であるかについては、以下に示す式(11)、(12)に基づいて判定される。
ここで、Σ(B/G)は、青(B)の色成分量を画像における同一の位置での緑(G)の色成分量で除算した値を、区間Δ3に亘って加算した総和を示している。そして、その総和を区間Δ3の長さで除算した値がEdBGとして算出される。なお、区間Δ3は、図8(b)において青(B)の色成分量と緑(G)の色成分量とが交わる交点P2よりも右側に位置する区間のうち、緑(G)の色成分量に勾配がある区間の一部として規定される。
そして、式(11)が成立する場合には、EdBGは、撮像素子13に撮像された画像が白黒チャートS1のエッジEに対して前ピン状態であることを示している。一方、式(12)が成立する場合には、EdBGは、撮像素子13に撮像された画像が白黒チャートS1のエッジEに対して後ピン状態であることを示している。また、EdBGと閾値である「1」との差分が、撮像素子13に撮像された画像における白黒チャートS1のエッジEのデフォーカス量を示している。
なお、撮像素子13に撮像された画像が白黒チャートS1のエッジEに対して前ピン状態及び後ピン状態のうち何れの状態であるかについては、以下に示す式(13)、(14)に基づいて判定されてもよい。
ここで、Σ(B/G)は、青(B)の色成分量を画像における同一の位置での緑(G)の色成分量で除算した値を、区間Δ4に亘って加算した総和を示している。そして、その総和を区間Δ4の長さで除算した値がEdBGとして算出される。なお、区間Δ4は、図8(b)において青(B)の色成分量と緑(G)の色成分量とが交わる交点P2よりも左側に位置する区間のうち、緑(G)の色成分量に勾配がある区間の一部として規定される。
そして、式(13)が成立する場合には、EdBGは、撮像素子13に撮像された画像が白黒チャートS1のエッジEに対して後ピン状態であることを示している。一方、式(14)が成立する場合には、EdBGは、撮像素子13に撮像された画像が白黒チャートS1のエッジEに対して前ピン状態であることを示している。また、EdBGと閾値である「1」との差分が、撮像素子13に撮像された画像における白黒チャートS1のエッジEのデフォーカス量を示している。
以上のように、上記の式(11)〜(14)では、青(B)の色成分量と緑(G)の色成分量との比を用いて、撮像素子13に撮像された画像が白黒チャートS1のエッジEに対して前ピン状態及び後ピン状態のうち何れの状態であるかについて判定される。ただし、青(B)の色成分量と緑(G)の色成分量との差を用いて、撮像素子13に撮像された画像が白黒チャートS1のエッジEに対して前ピン状態及び後ピン状態のうち何れの状態であるかについて判定してもよい。
なお、撮像素子13に撮像された画像が白黒チャートS1のエッジEに対して前ピン状態及び後ピン状態のうち何れの状態であるかについて判定するための評価値としては、Edに代えて、デフォーカス量参照値(Width of Subtraction)や線広がり関数(Line Spread Function)を採用してもよい。
次に、本実施形態の画像処理エンジン14のMPU16が実行する画像生成処理ルーチンの概要を図9のフローチャートを参照しながら説明する。
さて、MPU16は、カメラ10が電源ON状態となると、図9に示す画像生成処理ルーチンを開始する。そして、ステップS10において、MPU16は、撮像素子13から画素信号を読み出してスルー画を生成する。
具体的には、図10(a)に示すように、MPU16は、撮像素子13の全ての画素となるカラー画素40R,40G,40B及び白画素40Wから読み出した画素信号に基づいてフレーム画像Fを生成し、生成したフレーム画像Fを時系列順につなぎ合わせてスルー画を生成する。そして、MPU16の表示制御部27は、生成したスルー画を撮像素子13に撮像された画像としてモニタ21に表示させる。
この場合、撮像素子13のカラー画素40R,40G,40Bは、赤、緑、青のうち何れ一つの色成分の色成分量しか検出することができない。具体的には、赤画素40R、緑画素40G及び青画素40Bは、赤、緑及び青の色成分量しかそれぞれ検出することができない。そのため、MPU16は、カラー画素40R,40G,40Bから画素信号を読み出す際には、各々のカラー画素40R,40G,40Bにおいて検出されない他の色成分の色成分量を、その周辺のカラー画素40R,40G,40Bにおいて検出された他の色成分の色成分量から推定して読み出す色補間処理を行う。
一方、撮像素子13の白画素40Wは、赤、緑、青の全ての色成分の色成分量を検出することができる。そのため、MPU16は、白画素40Wから画素信号を読み出す際には、上記の色補間処理を行うことがないため、各々の色成分の色成分量に誤差を生じることが抑制される。
なお、図10(a)に示す例では、フレーム画像Fのフレームレートfが「30」に設定されている。ここで、フレームレートとは、スルー画において単位時間当たりに含まれるフレーム画像Fの枚数を意味している。すなわち、フレームレートは、スルー画における一つのフレーム画像Fごとの時間の長さを示す指標でもあり、フレームレートが大きくなるに連れてスルー画におけるフレーム画像Fごとの時間の長さが短くなる。
また、図10(b)に示すように、MPU16は、撮像素子13のカラー画素40R,40G,40Bから読み出した画素信号に基づいて生成される第1フレーム画像F1と、撮像素子13のカラー画素40R,40G,40B及び白画素40Wから読み出した画素信号に基づいて生成される第2フレーム画像F2とを時系列的に交互につなぎ合わせてスルー画を生成してもよい。この場合、MPU16は、撮像素子13の全ての画素のうち、間引き読み出し処理によってカラー画素40R,40G,40Bから選択的に画素信号を読み出すことにより第1フレーム画像F1を生成してもよい。なお、図10(b)に示す例では、第1フレーム画像F1及び第2フレーム画像F2の双方のフレームレートfが「60」に設定されている。また、MPU16は、撮像素子13の全ての撮像画素から画素信号を読み出すものの、読み出した画素信号のうちカラー画素40R,40G,40Bから読み出した画素信号のみを用いて第1フレーム画像F1を生成してもよい。
また、図10(c)に示すように、MPU16は、撮像素子13のカラー画素40R,40G,40Bから読み出した画素信号に基づいて生成される第3フレーム画像F3と、撮像素子13の白画素40Wから読み出した画素信号に基づいて生成される第4フレーム画像F4とを時系列的に交互につなぎ合わせてスルー画を生成してもよい。この場合、MPU16は、撮像素子13の全ての画素のうち、間引き読み出し処理によってカラー画素40R,40G,40Bから選択的に画素信号を読み出すことにより第3フレーム画像F3を生成してもよい。また同様に、MPU16は、撮像素子13の全ての画素のうち、間引き読み出し処理によって白画素40Wから選択的に画素信号を読み出すことにより第4フレーム画像F4を生成してもよい。
なお、図10(c)に示す例では、第3フレーム画像F3のフレームレートが「30」に設定される一方で、第4フレーム画像F4のフレームレートが「120」に設定されている。ここで、第4フレーム画像F4のフレームレートが第3フレーム画像F3のフレームレートよりも高く設定されているのは以下のような理由による。すなわち、第4フレーム画像F4が生成される際には、撮像素子13の全ての撮像画素40のうち白画素40Wから選択的に画素信号が読み出される。そのため、撮像素子13の全ての撮像画素から画素信号が読み出される場合や、撮像素子13のカラー画素40R,40G,40Bから選択的に画素信号が読み出される場合と比較して、画素信号が読み出される対象となる画素数が相対的に少なくなる。その結果、撮像素子13の白画素40Wから迅速に画素信号を読み出すことが可能となるため、第4フレーム画像F4のフレームレートを第3フレーム画像F3のフレームレートよりも相対的に高く設定することが可能となっている。
なお、MPU16は、撮像素子13の全ての画素から画素信号を読み出すものの、読み出した画素信号のうちカラー画素40R,40G,40Bから読み出した画素信号のみを用いて第3フレーム画像F3を生成してもよい。また同様に、MPU16は、撮像素子13の全ての撮像画素から画素信号を読み出すものの、読み出した画素信号のうち白画素40Wから読み出した画素信号のみを用いて第4フレーム画像F4を生成してもよい。
そして次に、ステップS11において、MPU16のエッジ検出部24は、先のステップS10において生成したスルー画を微分フィルタによってスキャン(例えば、ラスタースキャン)する。その結果、スルー画における明度、彩度及び色相等の特徴量が算出される。そして、MPU16のエッジ検出部24は、算出された特徴量が大きい部分を軸上色収差の評価に適したエッジとして検出する。
続いて、ステップS12において、MPU16は、先のステップS11において検出されたエッジのうちカラー画素40R,40G,40Bが撮像した画像部分の色成分量に基づいて、エッジの近傍の色成分量の正規化出力E1を算出する。なお、図11(a)に示す例では、エッジのうちカラー画素40R,40G,40Bが撮像した画像部分の色成分量に基づいて、エッジの近傍における緑(G)の色成分量の正規化出力E1が算出されている。
また、ステップS13において、MPU16は、先のステップS11において検出されたエッジのうち白画素40Wが撮像した画像部分の色成分量に基づいて、エッジの近傍の色成分量の正規化出力E2を算出する。なお、図11(a)に示す例では、エッジのうち白画素40Wが撮像した画像部分の色成分量に基づいて、エッジの近傍における緑(G)の色成分量の正規化出力E2が算出されている。
より具体的には、上記のステップS12及びステップS13において、MPU16は、以下のような処理を行う。
すなわち、スルー画が図10(a)に示す例の場合には、MPU16のエッジ検出部24は、まず、撮像素子13のカラー画素40R,40G,40B及び白画素40Wから読み出した画素信号に基づいて生成したフレーム画像Fを微分フィルタによってスキャンすることによりエッジを検出する。そして、MPU16は、フレーム画像Fから検出したエッジのうちカラー画素40R,40G,40Bが撮像した画像部分の色成分量に基づいて、エッジの近傍の色成分量の正規化出力E1を算出する。また、MPU16は、フレーム画像Fから検出したエッジのうち白画素40Wが撮像した画像部分の色成分量に基づいて、エッジの近傍の色成分量の正規化出力E2を算出する。
また、スルー画が図10(b)に示す例の場合には、MPU16のエッジ検出部24は、撮像素子13のカラー画素40R,40G,40B及び白画素40Wから読み出した画素信号に基づいて生成した第2フレーム画像F2を微分フィルタによってスキャンすることによりエッジを検出する。そして、MPU16は、第2フレーム画像F2から検出したエッジのうちカラー画素40R,40G,40Bが撮像した画像部分の色成分量に基づいて、エッジの近傍の色成分量の正規化出力E1を算出する。また、MPU16は、第2フレーム画像F2から検出したエッジのうち白画素40Wが撮像した画像部分の色成分量に基づいて、エッジの近傍の色成分量の正規化出力E2を算出する。
なお、スルー画が図10(b)に示す例の場合には、MPU16のエッジ検出部24は、撮像素子13のカラー画素40R,40G,40Bから読み出した画素信号に基づいて生成した第1フレーム画像F1を第2フレーム画像F2と併せて微分フィルタによってスキャンすることによりエッジを検出してもよい。この場合、MPU16は、第1フレーム画像F1から検出したエッジの色成分量に基づいて、エッジの近傍の色成分量の正規化出力E1を算出するとともに、第2フレーム画像F2から検出したエッジのうち白画素40Wが撮像した画像部分の色成分量に基づいて、エッジの近傍の色成分量の正規化出力E2を算出してもよい。
また、スルー画が図10(c)に示す例の場合には、MPU16のエッジ検出部24は、撮像素子13のカラー画素40R,40G,40Bから読み出した画素信号に基づいて生成した第3フレーム画像F3、及び、撮像素子13の白画素40Wから読み出した画素信号に基づいて生成した第4フレーム画像F4の双方を微分フィルタによってスキャンすることによりエッジを検出する。そして、MPU16は、第3フレーム画像F3から検出したエッジの色成分量に基づいて、エッジの近傍の色成分量の正規化出力E1を算出するとともに、第4フレーム画像F4から検出したエッジの色成分量に基づいて、エッジの近傍の色成分量の正規化出力E2を算出する。
ここで、エッジのうちカラー画素40R,40G,40Bが撮像した画像部分には色補間処理が行われているため、エッジの近傍における色成分量の正規化出力E1には誤差が生じる。一方、撮像画素40の全体に占める白画素40Wの比率が低いため、エッジの近傍における色成分量の正規化出力E2はSN比が小さくなることにより誤差が生じる。その結果、エッジのうちカラー画素40R,40G,40B又は白画素40Wが撮像した画像部分の色成分量に基づいてそれぞれ算出される正規化出力E1及び正規化出力E2は互いに異なるものとなる。
そのため、ステップS14において、MPU16は、先のステップS12において算出された正規化出力E1と、先のステップS13において算出された正規化出力E2との位相合わせを行う。その結果、エッジのうち色補間処理が行われていない白画素40Wが撮像した画像部分の色成分量に対し、同エッジのうちカラー画素40R,40G,40Bが撮像した画像部分の色成分量が組み合わされる。そのため、色補間処理に起因した色成分量の誤差が抑えられつつ、SN比が十分に確保された正規化出力E3が算出される(図11(b)参照)。
そして次に、ステップS15において、MPU16の合焦検出部25は、先のステップS14において算出された正規化出力E3に基づいて、先のステップS11においてスルー画から検出されたエッジにおける軸上色収差の評価値を算出する。
続いて、ステップS16において、MPU16の合焦検出部25は、算出した評価値に基づいてエッジのデフォーカス特徴量を算出する。
そして次に、ステップS17において、MPU16は、先のステップS16において算出されたエッジのデフォーカス特徴量に基づいて、フォーカスレンズ11の駆動条件を設定する。すなわち、MPU16は、エッジのデフォーカス特徴量の方向指標に基づいてフォーカスレンズ11の駆動方向を設定するとともに、エッジのデフォーカス特徴量のデフォーカス量に基づいてフォーカスレンズ11の駆動量を設定する。
具体的には、MPU16は、エッジのデフォーカス特徴量の方向指標が前ピン状態を示している場合、フォーカスレンズ11を光軸方向において撮像素子13から遠ざける方向にフォーカスレンズ11の駆動方向を設定する。すなわち、MPU16は、スルー画がエッジよりも近点側に合焦していると判断した場合には、スルー画の合焦位置をスルー画の奥行方向における無限遠側に移動させてエッジの位置に合致させるように、フォーカスレンズ11の駆動方向を設定する。
一方、MPU16は、エッジのデフォーカス特徴量の方向指標が後ピン状態を示している場合、フォーカスレンズ11を光軸方向において撮像素子13に近づける方向にフォーカスレンズ11の駆動方向を設定する。すなわち、MPU16は、スルー画がエッジよりも遠点側に合焦していると判断した場合には、スルー画の合焦位置をスルー画の奥行方向における至近側に移動させてエッジの位置に合致させるように、フォーカスレンズ11の駆動方向を設定する。
また、MPU16は、エッジのデフォーカス特徴量のデフォーカス量に基づいて、フォーカスレンズ11の合焦位置を推定する。そして、MPU16は、現在のレンズ位置から推定された合焦位置に至るようにフォーカスレンズ11の駆動量を設定する。
続いて、ステップS18において、MPU16は、先のステップS17において設定された駆動条件でフォーカスレンズ11を駆動させる。その結果、フォーカスレンズ11のレンズ位置が合焦位置に移動することにより、スルー画がエッジの位置において合焦された状態となる。
そして次に、ステップS19において、撮影指示信号が入力されたか否かを判定する。この撮影指示信号は、レリーズボタン31の全押し操作がなされた際に画像処理エンジン14に操作信号として入力される。なお、モニタ21がタッチパネルである場合には、モニタ21が画像の撮影のためにタッチ操作がなされた際に撮影指示信号が操作信号として画像処理エンジン14に入力される。そして、MPU16は、撮影指示信号が入力されていない(ステップS19=NO)と判定した場合、その処理をステップS10に戻し、撮影指示信号が入力されるまでステップS10〜ステップS19の処理を繰り返す。一方、MPU16は、撮影指示信号が入力された(ステップS19=YES)と判定した場合、その処理をステップS20に移行する。
そして、ステップS20において、MPU16の画像生成部26は、スルー画のうちカラー画素40R,40G,40Bが撮像した画像部分のRGB画素値を、変換係数M1を用いてYUV画素値に変換する色座標変換を行う。
また、ステップS21において、MPU16の画像生成部26は、スルー画のうち白画素40Wが撮像した画像部分のRGB画素値を、先のステップS20において用いられた変換係数M1とは異なる変換係数M2を用いてYUV画素値に変換する色座標変換を行う。これは、カラー画素40R,40G,40B及び白画素40Wは、赤、緑、青の各色の光を光電変換部43G,43B及び光電変換部43Wにおいてそれぞれ電荷に変換する際の感度の特性が互いに異なるためである。
そして次に、ステップS22において、MPU16の画像生成部26は、スルー画のうち白画素40Wが撮像した画像部分のYUV画素値の輝度が閾値T1以下であるか否かを判定する。なお、閾値T1は、白画素40Wがカラー画素40R,40G,40Bよりも赤、緑、青の各色の光を光電変換部43Wにおいて電荷に変換する際の感度の大きさが大きいことにより、白画素40Wが撮像した画像部分の輝度が飽和している否かを判定する際の基準値となっている。そして、MPU16の画像生成部26は、白画素40Wが撮像した画像部分のYUV画素値の輝度が閾値T1以下ではない(ステップS22=NO)と判定した場合には、白画素40Wが撮像した画像部分の輝度が飽和していると判定し、白画素40Wが撮像した画像データを撮影画像に利用するのは適切ではないと判断した上で、その処理をステップS23に移行する。一方、MPU16の画像生成部26は、白画素40Wが撮像した画像部分のYUV画素値の輝度が閾値T1以下である(ステップS22=YES)と判定した場合には、白画素40Wが撮像した画像部分の輝度が飽和していないと判定し、その処理をステップS24に移行する。
そして、ステップS24において、MPU16の画像生成部26は、スルー画のうち、白画素40Wが撮像した画像部分のYUV画素値の色差と、該白画素40Wの周辺のカラー画素40R,40G,40Bが撮像した画像部分のYUV画素値の色差との差分の大きさが閾値T2以下であるか否かを判定する。なお、閾値T2は、カラー画素40R,40G,40B及び白画素40Wが、赤、緑、青の各色の光を光電変換部43G,43B及び光電変換部43Wにおいて電荷に変換する際の感度の特性が互いに異なることに起因して、カラー画素40R,40G,40B及び白画素40Wが撮像した画像部分の色相が大きく異なるか否かを判定する際の基準値となっている。そして、MPU16の画像生成部26は、カラー画素40R,40G,40B及び白画素40Wが撮像した画像部分のYUV画素値の色差の差分の大きさが閾値T2以下である(ステップS24=YES)と判定した場合、白画素40Wが撮像した画像データを撮影画像に利用するのは適切であると判断した上で、その処理をステップS25に移行する。
そして、ステップS25において、MPU16の画像生成部26は、撮像素子13のカラー画素40R,40G,40B及び白画素40Wの双方から画素信号を読み出した上で、その処理をステップS27に移行する。
一方、MPU16の画像生成部26は、カラー画素40R,40G,40B及び白画素40Wが画像部分のYUV画素値の色差との差分の大きさが閾値T2以下ではない(ステップS24=NO)と判定した場合、白画素40Wが撮像した画像データを撮影画像に利用するのは適切ではないと判断した上で、その処理をステップS23に移行する。
そして、ステップS23において、MPU16の画像生成部26は、間引き読み出し処理によってカラー画素40R,40G,40Bから選択的に画素信号を読み出す。
そして次に、ステップS26において、MPU16の画像生成部26は、先のステップS23においてカラー画素40R,40G,40Bから読み出した画素信号に対して補間処理を行うことにより、白画素40Wに対応する画素部分の画素信号を補った上で、その処理をステップS27に移行する。
なお、MPU16の画像生成部26は、先のステップS23において、カラー画素40R,40G,40B及び白画素40Wの双方から画素信号を読み出すものの、白画素40Wから読み出した画素信号については撮影画像に用いない構成としてもよい。この場合、MPU16の画像生成部26は、カラー画素40R,40G,40Bから読み出した画素信号に対して補間処理を行うことにより、撮影画像に用いられない白画素40Wに対応する画素部分の画素信号を補った上で、その処理をステップS27に移行する。
そして、ステップS27において、MPU16の画像生成部26は、先のステップS23において読み出した画素信号、又は、先のステップS25において補間処理が行われた画素信号に基づいて静止画を生成し、生成した静止画を撮影画像として不揮発性メモリ18に格納する。
次に、上記のように構成されたカメラ10の作用について、特に、MPU16の合焦検出部25がスルー画におけるエッジのデフォーカス特徴量を算出する際の作用に着目して以下説明する。
さて、スルー画に含まれるエッジをカラー画素40R,40G,40Bが撮像した場合、そのエッジの画像を生成する際には色補間処理が行われる。そのため、このエッジの画像の色成分量を解析することによりエッジの近傍における色成分量の正規化出力E1を算出する場合、算出される正規化出力E1には誤差が生じる。そして、誤差が生じた正規化出力E1に基づいてエッジの軸上色収差の評価値を算出した場合、算出される評価値にも誤差が含まれる。その結果、誤差を含む評価値に基づいてスルー画におけるエッジのデフォーカス特徴量を正確に算出することは困難となる。
この点、本実施形態では、スルー画に含まれるエッジを白画素40Wが撮像した場合、そのエッジの画像は色補間処理を行うことなく生成される。そのため、このエッジの画像の色成分量を解析することによりエッジの近傍における色成分量の正規化出力E2を算出する場合、算出される正規化出力E2には色補間処理に起因した誤差が生じない。その一方で、本実施形態では、撮像画素40の全体に占める白画素40Wの比率が低いため、エッジの近傍における色成分量の正規化出力E2はSN比が小さくなることにより誤差が生じる。
そこで、本実施形態では、スルー画に含まれるエッジのうち色補間処理が行われていない白画素40Wが撮像した画像部分の色成分量の正規化出力E2に対し、同エッジのうちカラー画素40R,40G,40Bが撮像した画像部分の色成分量の正規化出力E1が組み合わされる。そのため、色補間処理に起因した色成分量の誤差が抑えられつつ、SN比が十分に確保された正規化出力E3が算出される。そして、正規化出力E3の算出結果に基づいてエッジの軸上色収差の評価値が正確に算出される。そのため、この評価値に基づいてスルー画におけるエッジのデフォーカス特徴量が正確に算出される。そして、スルー画におけるエッジのデフォーカス特徴量の算出結果に応じてフォーカスレンズ11の駆動条件が設定されることにより、スルー画がエッジの部分において正確に合焦される。
また、本実施形態では、スルー画におけるエッジのデフォーカス特徴量が正確に算出されるため、スルー画におけるエッジのデフォーカス量が微小な場合であっても、かかる微小なデフォーカス量を算出することが可能となる。
特に、本実施形態では、スルー画に含まれるフレーム画像のうち少なくとも一部のフレーム画像は、白画素40Wが撮像した画像部分を含んでいる。そのため、かかるフレーム画像から検出されたエッジのうち白画素40Wが撮像した画像部分の色成分量に基づいて、スルー画におけるエッジの近傍の色成分量の正規化出力E2が随時算出される。そのため、正規化出力E2に対して正規化出力E1を組み合わせて正規化出力E3を算出することにより、スルー画におけるエッジの軸上色収差の評価値が随時算出される。そのため、この評価値に基づいてスルー画におけるエッジのデフォーカス特徴量を随時算出し、このデフォーカス特徴量の算出結果に応じてフォーカスレンズ11の駆動条件を更新することにより、スルー画をエッジの部分において継続して正確に合焦させることが可能となる。
上記実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)複数の色成分の入射光を白画素40Wが共通で電荷に変換するため、色補間処理を行うことなくエッジにおける各色の色成分量が取得される。その結果、色補間処理を行う場合と比較して、エッジにおける各色の色成分量に誤差が生じにくい。そして、このように取得されたエッジにおける各色の色成分量に基づいてエッジの合焦状態を正確に検出することができる。
(2)撮像素子13における白画素40Wを含む撮像画素40が撮像した画像データを適宜用いて撮影画像が生成される。白画素40Wが撮像した画像データを用いずに撮影画像を生成する場合と比較して、生成される撮影画像の画素数を多くすることができる。
(3)白画素40Wが撮像した画像データの色成分量と白画素40Wの周辺のカラー画素40R,40G,40Bが撮像した画像データの色成分量とが大きく異なる場合、白画素40Wが撮像した画像データを用いることなく撮影画像が生成される。そのため、生成される撮影画像の画質が低下することを抑制できる。
(4)白画素40Wが撮像した画像データの輝度が閾値以上である場合には白画素40Wが撮像した画像データを用いることなく撮影画像が生成される。そのため、生成される撮影画像の画質が低下することを抑制できる。
(5)白画素40Wが撮像した画像データの色成分量に対し、カラー画素40R,40G,40Bが撮像した画像データとは異なる変換係数M2を用いた色座標変換処理が行われた上で撮影画像が生成される。そのため、白画素40Wが撮像した画像データを用いて撮影画像を生成したとしても、生成される撮影画像の画質が低下することを抑制できる。
(6)撮像素子13における白画素40Wを含む撮像画素40が撮像した画像部分を含むスルー画がモニタ21に表示される。そのため、白画素40Wが撮像したエッジの色成分量に基づいてエッジの合焦状態が算出されたスルー画の画像内容を、モニタ21を通じて視認することができる。
(7)スルー画に被写体として移動体が含まれる場合に、白画素40Wが撮像した移動体のエッジの色成分量に基づいて、移動体のエッジの合焦状態を移動体の移動に追随させつつリアルタイムに正確に算出することができる。
(8)撮像素子13における白画素40W及びカラー画素40R,40G,40Bの双方が撮像した画像部分を含むスルー画がモニタ21に表示される場合には、白画素40W及びカラー画素40R,40G,40Bの何れか一方が撮像した画像データを用いてスルー画を生成する場合と比較して、スルー画の画素数を多く確保することができる。
(9)カラー画素40R,40G,40Bが撮像したエッジの色成分量から算出される正規化出力E1と、白画素40Wが撮像した同エッジの色成分量から算出される正規化出力E2との位相合わせが行われることにより正規化出力E3が算出され、算出された正規化出力E3に基づいてエッジの合焦状態が算出される。白画素40W及びカラー画素40R,40G,40Bの何れか一方が撮像したエッジの色成分量から算出される正規化出力を用いる場合と比較して、エッジの色成分量の正規化出力のSN比が増大するため、エッジの合焦状態を更に正確に検出することができる。
なお、上記実施形態は、以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・上記実施形態において、図12(a)に示すように、白画素40Wは、撮像素子13の撮像画素40のうち、中央及び上下左右の5つのエリアR11〜R15に位置する画素群に含まれてもよい。
・上記実施形態において、図12(b)に示すように、白画素40Wは、撮像素子13の撮像面上に不規則に配置されてもよい。
この構成では、白画素40Wが撮像した画像データを用いて撮影画像を生成したとしても、生成される撮影画像にモアレが生じることを抑制できる。
・上記実施形態において、MPU16は、正規化出力E1と正規化出力E2との位相合わせを行うことなく、スルー画から検出されたエッジにおける軸上色収差の評価値を正規化出力E2に基づいて算出してもよい。
この構成では、白画素40Wが撮像した画像部分には色補間処理が行われないため、白画素40Wが撮像したエッジの近傍における色成分量の正規化出力E1には、色補間処理に起因した誤差が生じることはない。そのため、カラー画素40R,40G,40Bが撮像したエッジの近傍における色成分量の正規化出力E1に基づいてエッジの軸上色収差の評価値を算出する場合と比較して、算出される評価値に誤差が生じることを低減できる。
・上記実施形態において、MPU16の画像生成部26は、白画素40Wから画素信号を読み出すことなく、カラー画素40R,40G,40Bから読み出した画素信号に基づいて生成されたフレーム画像によりスルー画を構成してもよい。そして、MPU16の表示制御部27は、白画素40Wから読み出した画素信号を用いて生成されるフレーム画像を含まないスルー画をモニタ21に表示させてもよい。
この場合、MPU16の画像生成部26は、まず、モニタ21に表示されるスルー画とは別に、白画素40Wを含む撮像画素から読み出した画素信号に基づいて評価用画像を生成する。続いて、MPU16の合焦検出部25は、評価用画像から検出したエッジのうち白画素40Wが撮像した画像部分の色成分量に基づいて、エッジの近傍の色成分量の正規化出力E2を算出する。そして、MPU16の合焦検出部25は、算出された正規化出力E2に基づいてエッジにおける軸上色収差の評価値を算出する。その結果、MPU16の合焦検出部25は、算出された評価値に基づいて、評価用画像におけるエッジのデフォーカス特徴量をスルー画におけるエッジのデフォーカス特徴量として算出することができる。
・上記実施形態において、MPU16の画像生成部26は、スルー画のうちカラー画素40R,40G,40B又は白画素40Wが撮像した画像部分のRGB画素値を、共通の変換係数を用いてYUV画素値に色座標変換してもよい。
・上記実施形態において、MPU16の画像生成部26は、スルー画のうち白画素40Wが撮像した画像部分のYUV画素値の輝度が閾値T1以下であるか否かを判定することなく、白画素40Wが撮像した画像データを撮影画像に利用してもよい。
・上記実施形態において、MPU16の画像生成部26は、カラー画素40R,40G,40B及び白画素40Wが撮像した画像部分のYUV画素値の色差の差分の大きさが閾値T2以下であるか否かを判定することなく、白画素40Wが撮像した画像データを撮影画像に利用してもよい。
・上記実施形態において、MPU16の合焦検出部25が白画素40Wから読み出した画素信号に基づいて生成されるスルー画の画像内容を解析することによりスルー画の合焦状態を検出する一方で、MPU16の画像生成部26が白画素40Wが撮像した画素信号を用いることなく撮影画像を生成する構成としてもよい。
・上記実施形態において、MPU16は、白画素40Wが撮像した画像データを用いることなくスルー画の合焦状態を制御する第1の合焦制御モードと、白画素40Wが撮像した画像データを用いてスルー画の合焦状態を制御する第2の合焦制御モードとを切り替え可能であってもよい。この場合、第1の合焦制御モードから第2の合焦制御モードへの切り替えは、例えば、操作部32を構成するメニューボタンの押圧操作によって行ってもよいし、レリーズボタン31の半押し操作によって行ってもよい。そして、MPU16の画像生成部26は、第1の合焦制御モードでは、撮像素子13の撮像画素40のうちカラー画素40R,40G,40Bから読み出した画素信号に基づいてスルー画を生成する。一方、MPU16の画像生成部26は、第2の合焦制御モードでは、一例として、撮像素子13のうちカラー画素40R,40G,40B及び白画素40Wの双方から読み出した画素信号に基づいてスルー画を生成する。
・上記実施形態において、画像の撮像のために設けられる撮像素子13とは別に、AF用のセンサとして、白画素40Wを含む撮像画素40を有する撮像素子13を新たに設けてもよい。この場合、AF用のセンサとして設けられる撮像素子13は、カラー画素40R,40G,40B及び白画素40Wの双方を撮像画素40として有する構成であってもよいし、白画素40Wのみを撮像画素40として有する構成であってもよい。
・上記実施形態において、MPU16の合焦検出部25は、動画の撮影時において、白画素40Wが撮像したエッジの近傍における色成分量の正規化出力E2を算出し、算出された正規化出力E2に基づいて動画におけるエッジのデフォーカス特徴量を算出してもよい。
・上記実施形態において、撮像素子13は、カラーフィルタ42を含むことなくマイクロレンズ41と三層に積層された光電変換部43とによって構成される黒画素を、白画素40Wに代えて有する構成であってもよい。
・上記実施形態において、撮像装置は、デジタルカメラに限定されず、例えば、ビデオカメラ、パーソナルコンピュータ、携帯電話機、携帯ゲーム機等のように、画像の撮影機能を搭載した他の撮像装置であってもよい。