本発明は、現行の主要なルータに搭載されているSoCと同程度の処理能力及び価格帯のSoCにおいて、ユーザ宅に対してブロードキャスト的に配信される次世代のマルチキャスト型の映像(コンテンツデータ)と、ユーザ宅に対して非ブロードキャスト的に配信される従来のマルチキャスト型の映像及びユニキャスト通信と、の両方に対応することにある。
つまり、(0)現行のSoCを用いて、(1)1Gbps以上の広帯域な下り専用ネットワークを介してブロードキャスト的にユーザ宅までマルチキャスト配信される映像を受信端末からのMLDReportメッセージを元に配信制御し、(2)1Gbpsの双方向ネットワークを介して中継装置までマルチキャスト配信される映像も受信端末で利用できるように通信制御し、(3)ユニキャストによる通信も受信端末で利用できるように転送制御することを実現する。
そのため、本発明では、SoCとネットワークとの間に映像及び要求メッセージをフィルタリングするスイッチを介在させた通信チャネル制御装置を用いる。映像の配信制御はスイッチで行い、マルチキャストパケットの配信制御に係る配信制御情報のみをSoCに送信する。また、新たな映像に係る配信制御情報がリストに既に登録されている場合、又は、その配信制御情報を一度SoCに送信してから一定時間経過していない場合は、かかる配信制御情報をSoCに送信しない。そして、SoCでは、該配信制御情報のみを用いて映像の配信管理を行う。また、SoCでは、その配信制御情報のリスト化を自動で行い、そのリストを用いて映像配信の可否や映像配信サービスの種別(次世代又は従来)等を判定し、その判定結果に基づきスイッチのフィルタを制御する。これにより、SoCに流入するデータ量やパケット数が削減されて処理負荷が低減されることから、同じSoCを搭載したルータに比べ、制御できるマルチキャスト映像の帯域が向上し、次世代と従来の映像配信サービスおよび従来の通信サービスを同時に対応することが可能となる。
さらに、本発明では、SoCにおいて、上記リストを用いて映像配信サービスの種別を判定し、受信端末の要求する映像が従来の映像配信サービスに係る映像である場合にのみ、その要求を1Gbpsの双方向ネットワークに送信する。これにより、受信端末からの要求がネットワークに無駄に転送される可能性を抑止することができる。
以下、本発明を実施する一実施の形態について図面を用いて説明する。
はじめに、本実施の形態に係る通信チャネル制御装置の機能について概説する。図1は、本実施の形態に係る映像配信サービスのシステム構成例を示す図である。
次世代の映像配信サービスでは、10Gbps相当のマルチキャスト通信が下り専用の中継ネットワーク2aを介してユーザ宅まで配信される。そこで、通信チャネル制御装置1は、このマルチキャスト型の映像に対してフィルタ制御を行い、MLDReport(join)メッセージを受信端末3から受信した場合、要求を受けた映像ストリームを通過させる。MLDReport(leave)メッセージを受信した場合は、該当映像ストリームの通過を遮断する。
また、従来の映像配信サービスでは、双方向であるインターネット2bの中継装置4までマルチキャスト配信されているが、ユーザ宅までは配信されていない。そこで、通信チャネル制御装置1は、このマルチキャスト型の映像に対するMLDReport(join)メッセージを受信端末3から受信した場合、ホームゲートウェイ(HGW)5に転送して必要な映像ストリームを要求する。ホームゲートウェイ5は、MLDReport(join)メッセージを受信した場合、上位の装置(ONU、OLT等)に転送する。これを繰り返し行い、中継装置4に映像ストリームの配信を要求する。その後、中継装置4から映像ストリームが配信されると、その映像ストリームを受信端末3に通過させる。MLDReport(leave)メッセージを受信した場合は、そのメッセージをホームゲートウェイ5に転送して該当映像ストリームの停止を要求する。ホームゲートウェイ5は、MLDReport(leave)メッセージを受信した場合、上位の装置に転送する。これを繰り返し行い、中継装置4に映像ストリームの停止を要求する。一方、ユニキャスト通信に関しては、映像等の特定データに関わらず全ての通信について、ホームゲートウェイ5向けのポートより無条件に通過させる。
次に、通信チャネル制御装置1の機能について詳述する。図2は、本実施の形態に係る通信チャネル制御装置1の機能ブロック構成例を示す図である。通信チャネル制御装置1は、スイッチ10と、SoC20と、を備えて構成される。スイッチ10とSoC20とは、相互に通信可能である。
スイッチ10は、映像、映像の配信制御に係る配信制御メッセージ(マルチキャスト型の映像に対するMLDReportメッセージ)、ユニキャストの通過及び遮断をフィルタ制御するL2SW部101と、L2SW部101で受信したマルチキャスト型の映像の配信状況を管理し、L2SW部101のフィルタを制御するL2SW管理制御部102と、を備えて構成される。
このようなスイッチ10としては、例えば、スイッチ機器、L2スイッチLSIで構成可能であり、単一の装置であるか、単一の装置に組み込まれた一部であるかを問わない。例えば、L2SW部101としては、L2スイッチ機器で構成可能であり、L2SW管理制御部102としては、PC又はサーバを用いて構成可能である。以降、L2SW部101及びL2SW管理制御部102の機能について具体的に説明する。
図3は、L2SW部101の機能ブロック構成例を示す図である。L2SW部101は、受信機能部101aと、ミラー転送機能部101bと、フィルタ機能部101cと、スイッチ機能部101dと、を備えて構成される。
受信機能部101aは、映像配信サーバから送信されたマルチキャスト型の映像、受信端末3から送信されたMLDReportメッセージ、ユニキャストを受信する機能部である。なお、マルチキャスト型の映像とは、広帯域下り専用ネットワークを介して宅内まで配信されている次世代映像、MLDReport(join)メッセージを元に中継装置から配信された従来映像である。
ミラー転送機能部101bは、受信機能部101aで受信した映像、MLDReportメッセージ、ユニキャストをコピーして、同一の2つの映像、MLDReportメッセージ、ユニキャストをフィルタ機能部101cとL2SW管理制御部102にそれぞれ転送する機能部である。
フィルタ機能部101cは、フィルタの設定内容に基づき映像又はMLDReportメッセージを通過又はその通過を遮断する機能部である。フィルタには映像又はMLDReportメッセージの通過又は遮断が予め設定されており、特にマルチキャスト型の映像を配信制御する際にはL2SW管理制御部102を介してSoC20によりフィルタの設定内容が変更される。ユニキャストは無条件に通過させる。
スイッチ機能部101dは、フィルタ機能部101cを通過した映像、MLDReportメッセージ、ユニキャストを受信端末3又はインターネット2bに転送する機能部である。
図4は、L2SW管理制御部102の機能ブロック構成例を示す図である。L2SW管理制御部102は、パケット解析機能部102aと、L2SW−マルチキャストアドレスリスト管理機能部102bと、IPヘッダ送信機能部102cと、フィルタ設定更新機能部102dと、グループアドレスリスト判定呼出機能部102eと、を備えて構成される。
パケット解析機能部102aは、L2SW部101から転送された映像、MLDReportメッセージ、ユニキャストのパケットデータを解析し、それらがマルチキャスト型であるかユニキャスト型であるかを判定する機能部である。
L2SW−マルチキャストアドレスリスト管理機能部102bは、L2SW部101から転送されたマルチキャスト型の映像のマルチキャストグループアドレス(宛先アドレス)を、保持しているL2SW−マルチキャストアドレスリストと照合し、そのリストに存在しない場合は新規登録を行い、そのリストに存在する場合は該当のマルチキャストアドレスの有効期限を更新する機能部である。
IPヘッダ送信機能部102cは、L2SW部101から転送されたマルチキャスト型の映像のマルチキャストグループアドレスがL2SW−マルチキャストアドレスリストに存在しない場合にのみ、又は、L2SW−マルチキャストアドレスリストに存在してもその有効期限が切れている場合にのみ、その映像のIPヘッダ情報からマルチキャストパケットの配信制御に係る配信制御情報(マルチキャストグループアドレス等)のみを取得してSoC20に送信する機能部である。
フィルタ設定更新機能部102dは、SoC20からのフィルタ設定更新要求に基づき、L2SW部101のフィルタ機能部101cにおけるフィルタの設定内容を変更する機能部である。
グループアドレスリスト判定呼出機能部102eは、受信端末3からのMLDReportメッセージに含まれるマルチキャストグループアドレスの映像がSoC20で配信管理済みのものであるか否か等を判定させるため、SoC20が備えるグループアドレスリスト判定機能部を呼び出す機能部である。
以上がスイッチ10の備える機能である。
続いて、SoC20の機能について説明する。図5は、SoC20の機能ブロック構成例を示す図である。SoC20は、グループアドレスリスト更新機能部20aと、グループアドレスリスト判定機能部20bと、フィルタ設定更新呼出機能部20cと、を備えて構成される。
グループアドレスリスト更新機能部20aは、保持しているグループアドレスリストをスイッチ10からの配信制御情報で更新する機能部である。
グループアドレスリスト判定機能部20bは、受信端末3からのMLDReportメッセージに含まれるマルチキャスト型の要求映像のマルチキャストグループアドレスがグループアドレスリストに存在するか否かを判定し、更に、広帯域下り専用ネットワークを介してマルチキャスト配信された映像に対する参加要求であるか、1Gbps双方向ネットワークを介してマルチキャスト配信される映像に対する参加要求であるかを特定する機能部である。
フィルタ設定更新呼出機能部20cは、グループアドレスリスト判定機能部20bの判定結果に基づき、L2SW管理制御部102のフィルタ設定更新機能部102dを介してL2SW部101のフィルタ機能部101cのフィルタの設定内容を変更する機能部である。
以上がSoC20の備える機能である。なお、本実施の形態では、単一のSoC20を用いる場合を例に説明したが、該SoC20を備えた宅内装置(例えば、PC、サーバ、ルータ、ホームゲートウェイ等)を用いてもよいし、従来のホームゲートウェイに接続可能な任意の宅内装置を用いてもよい。少なくとも現行と同性能レベルのSoCを用いることができればよい。また、受信端末3とは、例えば、PC、STB(Set Top Box)等が考えられる。
次に、通信チャネル制御装置1の動作について概説する。
まず、図6を参照しながら、下り通信の動作について概説する。
下り通信の場合、L2SW部101では、映像配信サーバ6からの映像をコピーしてフィルタとL2SW管理制御部102に送信する。フィルタでは、マルチキャスト型の映像の場合、受信端末3からのMLDReportメッセージの要求内容(join又はleave)に応じてSoC20によるフィルタ条件に基づき、その映像を通過又は遮断させる。一方、ユニキャスト型の映像の場合、映像を無条件に通過させる。
L2SW管理制御部102では、受信した映像がマルチキャスト型であるかユニキャスト型であるかのパケット解析を行い、マルチキャスト型の映像の場合、その映像のIPヘッダ情報から取得したマルチキャストグループアドレス(宛先アドレス)をL2SW−マルチキャストアドレスリストと照合する。そして、そのリストに存在しない場合、又は、リストに存在してもその有効期限が切れている場合にのみ、リストに新規登録又は有効期限の延長を行い、そのマルチキャストグループアドレス等の配信制御情報のみをSoC20に通知する。リストに存在しかつその有効期限が切れていない場合には、リスト内の該マルチキャストグループアドレスの有効期限を延長するが、配信制御情報の通知は行わない。一方、ユニキャスト型の映像の場合、通信チャネル制御装置1で配信制御を管理する必要がないので破棄する。
SoC20では、L2SW管理制御部102から送信されたマルチキャストグループアドレスをグループアドレスリストに新規登録する。SoC20では、このグループアドレスリストを用いてマルチキャスト型の映像の配信を管理する。
次に、図7を参照しながら、上り通信の動作について概説する。
上り通信の場合、L2SW部101では、受信端末3からのMLDReportメッセージ又はユニキャストをコピーしてフィルタとL2SW管理制御部102に送信する。フィルタでは、MLDReportメッセージの場合、ネットワークへの無駄な転送を抑止するため無条件に破棄する。一方、ユニキャストの場合、そのユニキャストを無条件に通過させる。
L2SW管理制御部102では、受信したパケットデータがMLDReportメッセージかユニキャストかのパケット解析を行い、MLDReportメッセージの場合はSoC20に送信し、ユニキャストの場合は破棄する。
SoC20では、L2SW管理制御部102から送信されたMLDReportメッセージに含まれるマルチキャストグループアドレスがグループアドレスリストに存在するか否かを判定し、更に広帯域下り専用ネットワークを介してマルチキャスト配信された映像に対する次世代映像の要求であるか、1Gbps双方向ネットワークを介してマルチキャスト配信される映像に対する従来映像の要求であるかを特定する。次世代映像が要求されている場合、要求の内容(join又はleave)に応じてL2SW部101のフィルタの設定内容を変更(通過又は遮断)する。また、従来映像が要求されている場合にのみ、そのMLDReportメッセージを映像配信サーバ6に転送する。
続いて、通信チャネル制御装置1の動作について詳述する。以降、動作内容を容易に理解するため、処理主体である機能部の名称は省略する。
まず、図8を参照しながら、マルチキャスト型の映像通信が行われた場合であり、かつ、L2SW−マルチキャストアドレスリストに該映像のマルチキャストアドレスが存在しない場合の動作について説明する。
まず、L2SW部101は、映像配信サーバ6から送信されたマルチキャスト型の映像を受信すると、その映像をコピーして一方をフィルタに転送し、もう一方をL2SW管理制御部102に転送する(ステップS101)。
次に、L2SW部101は、フィルタの設定内容に基づき、転送された映像を通過又は遮断する(ステップS102)。本動作例では、L2SW−マルチキャストアドレスリストに該映像のマルチキャストアドレスが存在しないので、その映像は遮断されるものとする。
また、ステップS102と同じタイミングで、L2SW管理制御部102は、L2SW部101から転送された映像のパケットデータやネットワークトラヒックのパケットデータを解析し、転送された映像がマルチキャスト型であるかユニキャスト型であるかを判定する(ステップS103)。本動作例では、上記条件よりマルチキャスト型であると判定される。なお、マルチキャスト型であるかそれ以外であるかについては、例えば、パケットデータのデータ構造、パケットデータにマルチキャストアドレスが含まれているか否か等で判定可能である。
次に、L2SW管理制御部102は、転送された映像のIPヘッダ情報に含まれるマルチキャストグループアドレスや送信元アドレスがL2SW−マルチキャストアドレスリストに存在するかを判定し、本動作例では該リストに存在しないので新しいマルチキャスト型の映像とみなし、その新たなマルチキャストグループアドレスをL2SW−マルチキャストアドレスリストに新規登録する(ステップS104)。
また、その新規登録に伴い、L2SW管理制御部102は、転送された映像のIPヘッダ情報からマルチキャストパケットの配信制御に係る配信制御情報(マルチキャストグループアドレス、配信元サーバアドレス、配信種別情報等)を取得して、その配信制御情報のみをSoC20に送信する(ステップS105)。
ここで、ステップS104,S105では、L2SW部101から転送されたマルチキャスト型の映像のマルチキャストグループアドレスがL2SW−マルチキャストアドレスリストに存在しない場合にのみ、その配信制御情報のみをSoC20に送信している。換言すると、L2SW−マルチキャストアドレスリストに存在する場合には、その配信制御情報をSoC20に送信しない。これにより、SoC20で保持する情報が新規な配信制御情報のみに限定されるので、マルチキャスト型の映像の配信制御を低性能なSoC20で行うことができる。
その後、SoC20は、スイッチ10から送信された配信制御情報を保持しているグループアドレスリストに新規登録する(ステップS106)。
このとき、グループアドレスリストには、配信制御情報として、例えば、マルチキャストグループアドレス、配信元サーバアドレス、配信種別情報が登録される。この配信制御情報(例えば、配信元サーバアドレス)を参照することにより、広帯域下り専用ネットワークを介してマルチキャスト配信された映像であるか、1Gbps双方向ネットワークを介してマルチキャスト配信される映像であるかを特定可能である。リストへの登録の際、それら2つのネットワークを識別するサービスタイプ情報(識別情報)を付与するようにしてもよい。例えば、サービスの開示時に受信した全ての配信制御情報に対しては次世代の映像配信サービスを示すサービスタイプ情報(例えば、広帯域下り専用、5G下り専用、10G下り専用、20G下り専用等)を付与し、MLDReportメッセージを上位ネットワークに転送した後に配信された映像に係る配信制御情報に対しては従来の映像配信サービスを示すサービスタイプ情報(例えば、1G双方向)を付与する。このようなグループアドレスリストは、SoC20において、マルチキャスト配信映像の配信管理情報として機能することになる。
次に、図9を参照しながら、マルチキャスト型の映像通信が行われた場合であり、かつ、L2SW−マルチキャストアドレスリストに該映像のマルチキャストアドレスが存在する場合の動作について説明する。
まず、L2SW部101は、映像配信サーバ6から送信されたマルチキャスト型の映像を受信すると、その映像をコピーして一方をフィルタに転送し、もう一方をL2SW管理制御部102に転送する(ステップS201)。
次に、L2SW部101は、フィルタの設定内容に基づき、転送された映像を通過又は遮断する(ステップS202)。本動作例では、L2SW−マルチキャストアドレスリストに該映像のマルチキャストアドレスが存在するので、受信端末3からのMLDReportメッセージの要求内容に応じて映像を通過又は遮断させることになる。特に、MLDReport(join)メッセージの場合、映像を通過させて受信端末3に転送する(ステップS203)。
また、ステップS202と同じタイミングで、L2SW管理制御部102は、L2SW部101から転送された映像のパケットデータやネットワークトラヒックのパケットを解析し、転送された映像がマルチキャスト型であるかユニキャスト型であるかを判定する(ステップS204)。本動作例では、上記条件よりマルチキャスト型であると判定される。
次に、L2SW管理制御部102は、転送された映像のIPヘッダ情報に含まれるマルチキャストグループアドレスや送信元アドレスがL2SW−マルチキャストアドレスリストに存在するかを判定し、本動作例では該リストに存在するので以前に配信されたマルチキャスト型の映像とみなし、そのリスト内のマルチキャストグループアドレスに係る有効期限タイマを更新する(ステップS205)。
このとき、本動作例では、L2SW部101から転送されたマルチキャスト型の映像のマルチキャストグループアドレスがL2SW−マルチキャストアドレスリストに存在するので、その映像のIPヘッダ情報に含まれるマルチキャストパケットの配信制御に係る配信制御情報はSoC20に送信しない。
なお、図8及び図9の変形例として、L2SW管理制御部102は、L2SW−マルチキャストアドレスリストに該当のマルチキャストアドレスが存在するがその有効期限が切れている場合にのみ、配信制御情報をSoC20に送信するようにしてもよい。この場合、L2SW管理制御部102は、該当マルチキャストアドレスの有効期限を一定期間延長する。
次に、図10を参照しながら、広帯域下り専用ネットワークに係るマルチキャスト型の映像が要求された場合の動作について説明する。
まず、L2SW部101は、受信端末3から送信されたMLDReport(join)メッセージを受信すると、そのメッセージをコピーして一方をフィルタに転送し、もう一方をL2SW管理制御部102に転送する(ステップS301)。
次に、L2SW部101は、転送されたMLDReport(join)メッセージを無条件に遮断・破棄する(ステップS302)。これは、広帯域下り専用ネットワークを介して配信されるマルチキャスト型の映像は既にユーザ宅まで配信されているからであり、該ネットワークへの転送は必要ないからである。これにより、受信端末3からのMLDReportメッセージがネットワークに無駄に転送される可能性を抑止することができる。
また、ステップS302と同じタイミングで、L2SW管理制御部102は、L2SW部101から転送されたMLDReport(join)メッセージのパケットデータやネットワークトラヒックのパケットを解析し、転送されたメッセージがマルチキャスト型であるかユニキャスト型であるかを判定する(ステップS303)。本動作例では、MLDReportメッセージのため、マルチキャスト型であると判定される。
次に、L2SW管理制御部102は、転送されたMLDReport(join)メッセージに含まれるマルチキャストグループアドレスがSoC20で配信管理中のものであるか否かを判定させるため、SoC20が備えるグループアドレスリスト判定機能部20bを呼び出す(ステップS304)。
次に、SoC20は、受信端末3からのMLDReport(join)メッセージに含まれるマルチキャストグループアドレスがグループアドレスリストに存在するか否かを判定し、広帯域下り専用ネットワークを介してマルチキャスト配信された映像に対する参加要求であるか、1Gbps双方向ネットワークを介してマルチキャスト配信される映像に対する参加要求であるかを特定する(ステップS305)。
詳細には、MLDReport(join)メッセージのマルチキャストグループアドレスがグループアドレスリストに存在する場合、該当の配信制御情報(例えば、配信元サーバアドレス又はサービスタイプ情報)を参照していずれのサービスタイプへの参加要求であるかを特定する。このとき、グループアドレスリストに存在するという理由だけで、広帯域下り専用ネットワークのサービスタイプへの参加要求とみなしてもよい。
一方、グループアドレスリストに存在しない場合、ユーザ宅まで映像がこれまで配信されたことがない(つまり、ユーザ宅まで配信される次世代の映像配信サービスではなく、かつ、過去に配信されていない従来の映像配信サービスによる映像への要求と考えられる)ので、1Gbps双方向ネットワークのサービスタイプへの参加要求と特定する。
すなわち、ここでは、MLDReportメッセージ内のマルチキャストグループアドレスがグループアドレスリストに存在するか否か、該マルチキャストグループアドレスに付与されたサービスタイプ情報が次世代の映像配信サービスを示すか従来の映像配信サービスを示すかに基づき、広帯域下り専用ネットワークのサービスタイプへの参加要求であるか、1Gbps双方向ネットワークのサービスタイプへの参加要求であるかを特定する。
なお、本動作例では、上記条件より、広帯域下り専用ネットワークを介してマルチキャスト配信された映像に対する参加要求と特定される。その場合、映像は既にユーザ宅まで配信されているので、MLDReport(join)メッセージを上位のネットワークに転送しない。
その後、SoC20は、受信端末3からのMLDReport(join)メッセージに含まれるマルチキャストグループアドレスの映像を通過させるため、フィルタの設定内容(通過又は遮断のフラグ、配信先の宛先アドレス及びポート番号等)を変更するフィルタ設定更新要求をL2SW管理制御部102に送信する(ステップS306)。
そして、SoC20からフィルタ設定更新要求が送信されると、L2SW管理制御部102は、L2SW部101のフィルタの設定内容を変更する(ステップS307)。
最後に、L2SW部101は、変更後のフィルタの設定内容に基づき、該当の映像を該当の受信端末3に通過させる(ステップS308)。
次に、図11を参照しながら、1Gbps双方向ネットワークに係るマルチキャスト型の映像が要求された場合の動作について説明する。
まず、L2SW部101は、受信端末3から送信されたMLDReport(join)メッセージを受信すると、そのメッセージをコピーして一方をフィルタに転送し、もう一方をL2SW管理制御部102に転送する(ステップS401)。
次に、L2SW部101は、転送されたMLDReport(join)メッセージを無条件に遮断又は破棄する(ステップS402)。これにより、受信端末3からのMLDReportメッセージがネットワークに無駄に転送される可能性を抑止することができる。
また、ステップS402と同じタイミングで、L2SW管理制御部102は、L2SW部101から転送されたMLDReport(join)メッセージのパケットデータやネットワークトラヒックのパケットを解析し、転送されたメッセージがマルチキャスト型であるかユニキャスト型であるかを判定する(ステップS403)。本動作例では、MLDReportメッセージのため、マルチキャスト型であると判定される。
次に、L2SW管理制御部102は、転送されたMLDReport(join)メッセージに含まれるマルチキャストグループアドレスがSoC20で配信管理中のものであるか否かを判定させるため、SoC20が備えるグループアドレスリスト判定機能部20bを呼び出す(ステップS404)。
次に、SoC20は、受信端末3からのMLDReport(join)メッセージに含まれるマルチキャストグループアドレスがグループアドレスリストに存在するか否かを判定し、広帯域下り専用ネットワークを介してマルチキャスト配信された映像に対する参加要求であるか、1Gbps双方向ネットワークを介してマルチキャスト配信される映像に対する参加要求であるかを特定する(ステップS405)。
なお、本動作例では、上記条件より、1Gbps双方向ネットワークを介して配信されるマルチキャスト型の映像に対する参加要求と特定される。その場合、映像は上位の中継装置4にまでしか配信されていないので、MLDReport(join)メッセージを上位のネットワークに転送する必要がある。
その後、SoC20は、受信端末3からのMLDReport(join)メッセージに含まれるマルチキャストグループアドレスの映像を通過させるため、フィルタ設定更新要求をL2SW管理制御部102に送信し、更にそのMLDReport(join)メッセージを1Gbps双方向ネットワークに転送するため、そのMLDReport(join)メッセージを転送するためのメッセージ転送要求をL2SW管理制御部102に送信する(ステップS406)。
そして、SoC20からフィルタ設定更新要求及びメッセージ転送要求が送信されると、L2SW管理制御部102は、L2SW部101のフィルタの設定内容を変更し、L2SW部101に対してMLDReport(join)メッセージの転送を要求する(ステップS407)。
最後に、L2SW部101は、変更後のフィルタの設定内容に基づき、該当の映像が該当の受信端末3へ通過するようにフィルタ制御を行い(ステップS408)、該当のMLDReport(join)メッセージをインターネット2bを介して映像配信サーバ6に転送する(ステップS409)。
次に、図12を参照しながら、ユニキャストの下り通信が行われた場合の動作について説明する。なお、ユニキャストの場合、対象データが映像等に限らないことから、映像配信サーバ6を単に配信サーバ6’とする。
まず、L2SW部101は、配信サーバ6’から送信されたユニキャストのパケットデータ(以下、ユニキャスト)を受信すると、そのユニキャストをコピーして一方をフィルタに転送し、もう一方をL2SW管理制御部102に転送する(ステップS501)。
次に、L2SW部101は、転送されたユニキャストがユニキャスト型であり、その映像を管理する必要はないので、そのユニキャストを無条件に通過させ(ステップS502)、受信端末3に転送する(ステップS503)。
また、ステップS502,S503と同じタイミングで、L2SW管理制御部102は、L2SW部101から転送されたユニキャストのパケットデータやネットワークトラヒックのパケットデータを解析し、転送されたユニキャストがマルチキャスト型であるかユニキャスト型であるかを判定する(ステップS504)。本動作例では、ユニキャスト型であると判定される。
最後に、L2SW管理制御部102は、転送されたユニキャストはユニキャスト型であり、映像の配信制御等の制御を行う必要がないので、そのユニキャストを破棄する(ステップS505)。
次に、図13を参照しながら、ユニキャストの上り通信が行われた場合の動作について説明する。
まず、L2SW部101は、受信端末3から送信されたユニキャストを受信すると、そのユニキャストをコピーして一方をフィルタに転送し、もう一方をL2SW管理制御部102に転送する(ステップS601)。
次に、L2SW部101は、転送されたパケットデータがユニキャストであることから、そのユニキャストを無条件に通過させ(ステップS602)、インターネット2bを介して配信サーバ6’に転送する(ステップS603)。
また、ステップS602,S603と同じタイミングで、L2SW管理制御部102は、L2SW部101から転送されたユニキャストのパケットデータやネットワークトラヒックのパケットデータを解析し、転送されたユニキャストがマルチキャスト型であるかユニキャスト型であるかを判定する(ステップS604)。本動作例では、ユニキャスト型であると判定される。
最後に、L2SW管理制御部102は、転送されたユニキャストはユニキャスト型であるので、そのユニキャストを破棄する(ステップS605)。
以上、通信チャネル制御装置1の動作について説明した。
最後に、本実施の形態により得られる作用効果について説明する。
本実施の形態によれば、受信端末3に配信される映像の通信チャネルをスイッチ10で制御する通信チャネル制御装置1において、スイッチ10は、マルチキャスト型の映像を受信すると、その映像に含まれるマルチキャストパケットの配信制御に係る配信制御情報のみをSoC20に送信し、その配信制御情報を用いてSoC20で生成された受信端末3のマルチキャストグループへの要求に対応するフィルタ設定更新要求に基づき映像を受信端末3に転送又は非転送するので、マルチキャスト型の映像を低性能のSoCで配信制御することができる。
また、本実施の形態によれば、スイッチ10は、SoC20に送信した配信制御情報を自身のスイッチ10内のL2SW−マルチキャストアドレスリストに登録し、新たに受信したマルチキャスト型の映像に係る配信制御情報でL2SW−マルチキャストアドレスリストを更新し、新たに受信したマルチキャスト型の映像に係る配信制御情報がL2SW−マルチキャストアドレスリストに含まれている場合、又は、新たに受信したマルチキャスト型の映像に係る配信制御情報と同じ配信制御情報をSoC20チップに送信してから一定時間経過していない場合、当該配信制御情報をSoC20に送信しないので、マルチキャスト型の映像を低性能のSoCでより確実に配信制御することができる。
また、本実施の形態によれば、マルチキャスト型の映像は、通信チャネル制御装置1まで配信される次世代映像と、通信チャネル制御装置1までの中継装置4まで配信される従来映像と、であって、SoC20は、少なくとも次世代映像に係るマルチキャストアドレスグループを自身のSoC20内のグループアドレスリストに登録し、新たに受信した配信制御情報に含まれる次世代映像又は従来映像に係るマルチキャストアドレスグループでグループアドレスリストを更新し、そのグループアドレスリストにマルチキャストグループアドレスが登録されているか否か、又は、そのグループアドレスリストのマルチキャストグループアドレスに付与された映像配信サービスのサービスタイプ情報に基づき、受信端末3の要求するマルチキャストグループに係るサービスタイプが次世代映像を配信する次世代の映像配信サービスタイプか従来映像を配信する従来の映像配信サービスタイプかを判定し、受信端末3の要求するサービスタイプが従来の映像配信サービスタイプの場合にのみ、その要求を1Gbps双方向のネットワークを介して中継装置4に転送するので、マルチキャスト型の映像に対する端末からの要求がネットワークに無駄に転送される可能性を抑止することができる。
以上、実施の形態に沿って本発明の内容を説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能である。詳細には、受信端末3に配信される映像の通信チャネルをスイッチ10で制御する通信チャネル制御方法において、スイッチ10が、マルチキャスト型の映像を受信するステップと、その映像に含まれるマルチキャストパケットの配信制御に係る配信制御情報のみをSoC20に送信するステップと、その配信制御情報を用いてSoC20で生成された受信端末3のマルチキャストグループへの要求に対応するフィルタ設定更新要求に基づき映像を受信端末3に転送又は非転送するステップと、を備えるようにしてもよい。また、本実施の形態で説明した通信チャネル制御装置1としてコンピュータを機能させる通信チャネル制御プログラムを生成することも可能である。