JP6466886B2 - 手術用指先延長具 - Google Patents

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本発明は、外科手術で使用される手術補助具に関し、更に詳しくは、例えば,小児の外科手術のように、手術野(手術部位の視野)が狭かったり、或いは奥深くて、施術医の指が届かなかったり、又は届いても視認性が悪い場合に使用される手術用指先延長具(以下、単に「指先延長具」と略すこともある)に関するものである。
小児の外科手術、特に、手術野が狭いとされる心臓手術において、例えば、切開部の縫合は、当該切開部を閉じる縫合糸の結び目の形成を、被手術者(手術を受ける者)の体外で行った後に、施術医の指先により、複数の結び目を一つずつ切開部まで押し込んで、その都度適度な強さで締め込み、最後の結び目を締め込んだ後に、縫合糸を切断することで、ループ状をした縫合糸の結び目を一つずつ形成して行っている。
このため、上記のような手術野の狭い部位での縫合では、指が届かなかったり、又は届いても視認性が悪い場合があり、施術医は、縫合不良を回避すべく、細心の注意を払って、手術する必要があり、施術医の負担が大きい。小児に限られず、成人においても、手術部位が被手術者の臓器の裏側等の手術野が狭い部分があり、上記した小児の手術と同様の問題が生ずる。
また、深部の手術部位の血管の結紮(糸結び)のために、例えば、特許文献に開示の結紮具が知られているが、当該結紮具を使用した血管の結紮は、手術部位に対する結紮具の出し入れの際に、血管或いは周囲の臓器を損傷させる恐れがある。このように、特許文献1に開示の結紮具では、手術部位に対して当該切磋通具を出し入れする際に周囲組織を損傷させてしまうのみならず、結紮部の周囲の繊弱な心筋等の組織が、結紮具の固い先端部で裂かれてしまい、結紮の方向及び力を施術医の手指を用いた程、繊細にコントロールできず、更に、結紮部に対する結紮具の力の作用方向が、特定の一方向に限定されるため、結紮糸(結紮直前の縫合糸)を引く又は押す方向を微妙に調整することはできない。特に、上記結紮具では、結紮糸の手前への牽引を要するため、脆弱な組織の結紮には不向きであって、助手が結紮通の一端を保持する必要がある。このため、結紮糸の結紮に助手の力量を必要とし、通常、一人の施術医で可能な操作に、助手の手を必要とするため、非効率であるのみならず、本来的には施術医の責任で行うべき「結紮操作」に、助手の要素が加わることは、手術に対する施術医の基本姿勢を損なうという医師倫理的な問題もある。このため、手術野の狭い部分の外科手術では、結紮具を用いずに、専ら施術医の技量、勘、或いは経験に依存して施術せざるを得ないことが多い。
特開平5−317321号公報
本発明は、施術医の指先を擬似的に延長させることで、手術野が狭い手術部位における縫合、止血等の手術動作を的確に行えるようにして、手術精度の向上と施術医の負担軽減を課題としている。
上記の課題を解決するための請求項1の発明は、外科手術時において、手術野が狭くて指先端部が届かないか、又は届きにくい手術部位に、当該指先端部を到達させるために、指先に装着して擬似的に指を長くさせる手術用指先延長具であって、
指先端部が挿入されるサック状の指装着部と、当該指装着部から先端側に向けて指の腹側にわん曲した形状で一体に延設されることで、指先としての機能を果す疑似指先部と、当該疑似指先部の先端部の指の腹側に、正面視において当該疑似指先部の幅を超えて両側に延設された止血パッチ押当て部とから成ることを特徴としている。
請求項の発明によれば、疑似指先部の先端部の指の腹側に、正面視において当該疑似指先部の幅を超えて両側に延設された止血パッチ押当て部が形成されているので、手術部位の切開部を縫合した後において、例えば、臓器と人工血管との縫合部が出血している場合に、当該出血部位に止血パッチを接着状態で配置する際に、前記止血パッチ押当て部の幅方向の突出部を利用すると、容易に、しかも確実に止血パッチを押し当てることができて、縫合部の出血を防止できる。
請求項の発明は、請求項の発明において、手術用指先延長具は、熱可塑性樹脂の射出成形により形成されていることを特徴としている。
請求項の発明ように、熱可塑性樹脂の射出成形であると、手術用指先延長具に最適な弾力性を付与することができ、熱可塑性樹脂材料の選択により、広範囲の硬さの中から、施術医の最も好む硬さに成形可能であり、更に、生産性の観点からは、大量生産に適する。
本発明によれば、止血パッチを縫合部に押し当てる際に、施術医自身の指先であると、当該止血パッチが指先にくっ付いてしまう恐れがあるが、手術補助具である指先延長具を使用することで、止血パッチが指先にくっ付くことなく、素早い処理が可能となる。
本発明に係る指先延長具を熱可塑性樹脂で射出成形することで、樹脂の大きな特性の一つである弾力性を有しているため、施術医の指に対して良好な装着性(フィット性)を有していて、金属製のものに比較して、指先延長具の装着の違和感が少ないために、長時間に亘って手術を行う施術医の身体的負担も少なくなる。また、指先延長具のサイズに関しては、大きさの異なるものを複数個製作して準備しておくことで、ほぼ全員の施術医に適応できる。更に、指先延長具を熱可塑性樹脂で射出成形することで、大量生産が可能となって、医療現場に安価に供給できる。
(a),(b)は、それぞれ本発明の参考例1の指先延長具E1 を異なる方向から見た斜視図である。 (a)は、指先延長具E1 の平面図であり、(b),(c)は、それぞれ(a)のU1 −U1 線及びU2 −U2 線の断面図であり、(d)は、指先延長具E1 の右側面図である。 (a),(b)は、それぞれ左手の人し指Fに指先延長具E1 を装着する前後の側面図である。 手術野の狭い小児の心臓Hの心臓壁12の切開部C2 を通して心室中隔41の欠損孔42を閉鎖パッチP1 で密閉する手術において、当該閉鎖パッチP1 と心筋とを縫合糸Yで縫合して、心臓Hの外部で結び目Kを作っている状態を示す模式図である。 心臓Hの外部で作られた縫合糸Yの結び目Kを心臓壁12の切開部C2 を通して閉鎖パッチP1 の部分に送り込んでいる途中を示す模式図である。 同じく縫合糸Yの結び目Kが、施術医の人差し指Fに装着した指先延長具E1 の先端部により、心臓壁12の切開部C2 を通して心室中隔41の欠損孔42を閉鎖する閉鎖パッチP1 の部分まで押し込まれて結紮される状態を示す模式図である。 指先延長具E1 を用いないために、施術医の指先が心臓壁12の切開部C2 を通して心室中隔41の欠損孔42を閉鎖する閉鎖パッチP1 に届かない状態を示す模式図である。 (a)は、心室中隔41の欠損孔42が閉鎖パッチP1 により密閉された状態を右心室43の側から見た図であり、(b)は、(a)のV−V線断面図である。 (a),(b)は、閉鎖パッチP1 を心室中隔41の心筋に縫合する際に使用されるプレジェット45及びスパゲッティ46と称される補強材の一体状態及び分離状態の斜視図である。 (a),(b)は、それぞれ縫合糸Yの結紮の途中、及び完了を示す原理図である。 (a)は、本発明の参考例2の指先延長具E2 の平面図であり、(b),(c)は、それぞれ(a)のW1 −W1 線及びW2 −W2 線の断面図であり、(d)は、指先延長具E2 の右側面図である。 (a)は、本発明の参考例3の指先延長具E3 の平面図であり、(b)は、(a)のX3 −X3 線断面図である。 (a)は、本発明の参考例4の指先延長具E4 の平面図であり、(b)は、(a)のX4 −X4 線断面図である。 (a)は、本発明の参考例5の指先延長具E5 の平面図であり、(b)は、(a)のX5 −X5 線断面図である。 (a)は、本発明の参考例6の指先延長具E6 の平面図であり、(b)は、(a)のX6 −X6 線断面図である。 (a)は、本発明の参考例7の指先延長具E7 の平面図であり、(b)は、(a)のX7 −X7 線断面図である。 (a)は、本発明の参考例8の指先延長具E8 の平面図であり、(b)は、(a)のX8 −X8 線断面図である。 (a),(b)は、それぞれ本発明の参考例9の指先延長具E9 の中央縦断面図及び底面図である。 (a)は、本発明の参考例10の指先延長具E10の底面図(指の腹側から見た図)であり、(b)は、(a)のZ−Z線断面図であり、(c)は、指の腹側から見た指先延長具E10の斜視図である。 (a)〜(c)は、それぞれ本発明の実施例1の指先延長具E11の正面図、左側面図及び斜視図である。 (a)は、指先延長具E11を用いて、臓器31と人工血管32との縫合部に止血パッチP2 を押し当てて配置する状態を示す斜視図であり、(b)は、血管33に止血パッチP3 を押し当てて配置する状態を示す断面図である。 参考例1の指先延長具E1 により、臓器31と人工血管32との縫合部に止血パッチP2 を押し当てて配置する状態を示す模式図である。
下、実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明する。
参考例1
図1〜図3に、本発明の参考例1の指先延長具E1 が示されている。指先延長具E1 は、指先端部が挿入されるサック状の指装着部A1 と、当該指装着部A1 から先端側に向けて一体に延設されることで、指先としての機能を果す疑似指先部B1 とから成り、スチレン系熱可塑性エラストマーにて射出成形された樹脂成形品である。このスチレン系熱可塑性エラストマーの樹脂硬度は、デュロメーターAタイプ硬度で(60A)であった。
指装着部A1 には、施術医の人差し指又は中指を挿入して装着する指装着孔J1 が設けられている。指装着孔J1 の開口である装着口の形状及び寸法は、長軸及び短軸が(19×17)mmの楕円状であって、全長L1 が50mmであるのに対して、指装着孔J1 の深さD1 は、34mmである。指装着部A1 の先端に延設された疑似指先部B1 は、中実構造であって、平面視において、指装着部A1 の先端から急激に幅が狭くなって、その長手方向の中央部から先端にかけては、その幅が僅かずつ狭くなっていると共に、側面視において、指装着部A1 の先端から自身の先端に向けて厚さが徐々に小さくなっている。よって、疑似指先部B1 の全体形状は、変則錐状をなしている。疑似指先部B1 の横断面は、楕円形状であって、当該疑似指先部B1 の先端部の横断面は、長軸と短軸とが、それぞれ6mm,5.5mmの円形に近い楕円状に形成されている。疑似指先部B1 の先端部は、平面視及び側面視の双方において、アール面取り状に形成され(横方向及び縦方向の各面取り半径は、それぞれ3.5mm,3mmである)、施術医の指先に装着した指先延長具E1 を手術部位に対して出し入れする際に、接触により手術部位及びその周辺の臓器を損傷しないように、アール面取りが施されている。
指先延長具E1 は、スチレン系熱可塑性エラストマーにて射出成形された樹脂成形品であるため、中実構造の疑似指先部B1 及び中空構造の指装着部A1 の双方が弾性変形可能であるために、血管、臓器等に対して柔らかな接触感が得られるため、手術中に指先延長具E1 が血管、臓器等に接触しても、これらが傷付けられることはない点において、指先延長具E1 は、材質面においても、施術医の指先と同様に機能する。
図1及び図2に示されるように、疑似指先部B1 の先端部には、平面視において幅方向の中央が最も深くなるような縫合糸捕捉用の円弧状の凹部S1 が厚さ方向に沿って形成されている。当該凹部S1 の最大深さ(D0)は、約2.5mmで、円弧の半径(R)は、約6mmである〔図2(a)参照〕。当該凹部S1 に縫合糸Yを宛てがうことで、指先に指先延長具E1 が装着された施術医の指を手術部位に対して出し入れする際に、前記凹部S1 に縫合糸Yが横ずれすることなく、指先延長具E1 の疑似指先部B1 の先端部に対して縫合糸Yを捕捉できるため、指先延長具E1 は、恰も施術医自身の指先のように機能する。
図3(a),(b)は、参考例1の指先延長具E1 を施術医の左手の人差し指Fの指先に装着する前後の図であって、当該人差し指Fを指先延長具E1 の指装着部A1 の指装着孔J1 に挿入すると、当該人差し指Fの第1関節の直前の部分までが挿入されて、施術医の人差し指Fの先端から、指先延長具E1 の疑似指先部B1 の先端までの長さが、人差し指Fの指先の延び長(L1e) となって、参考例1では、23mmである。
医療現場での現実の使用に際しては、上記した各寸法で特定されるサイズ(中サイズ)に対して、疑似指先部B1 は、そのままの寸法を保持して、指装着部A1 の寸法のみが僅かに大きなサイズ(大サイズ)と、僅かに小さなサイズ(小サイズ)とを含む計3種類以上の異なるサイズのものを製作・準備しておくことで、施術医の指の大きさに対して最適なサイズの指先延長具E1 を選択して使用することで、指の大きさの異なる複数の施術医に対して対応可能となる。この点に関して、後述のように、指装着部の掌側に、指の長手方向及び/又は周方向に沿って切り欠きを設けることで、施術医の個人差による指の太さの相違に対して良好に追従して、常に指へのフィット感が適正に保たれる。
指先延長具E1 は、上記したスチレン系熱可塑性エラストマーで射出成形されているため、全体に適度な弾力性を有していて、施術医の指に対する装着性(フィット性)は、良好であって、装着の違和感はなく、恰も、自身の指のような装着感覚であった。
次に、図4〜図10を参照して、上記した指先延長具E1 を施術医の左手の人し指Fに装着して、「心室中隔欠損症」の小児の患者(被手術者)において、心臓Hの心室中隔41の欠損孔42を閉鎖パッチP1 により閉鎖する手術について説明する。この手術は、心臓Hの右心室43の位置に対応する胸壁11と心臓壁12を切開して行う。小児は、体全体が小さくて、心臓Hの内部の手術野が狭いので、胸壁11の切開部C1 及び心臓壁12の切開部C2 から右心室43内に指を挿入して、前記閉鎖パッチP1 と心室中隔41の心筋とを縫合する場合に、施術医の指を心室中隔41の部分まで挿入できないか、或いは挿入できたとしても、指先の視認性が悪くて、思い通りの縫合ができない場合がある。即ち、心臓の前面には、胸骨、肋骨が存在すると共に、その周囲には、袋状の心嚢(しんのう)膜が存在し、小児の場合には、成人に比較して、切開した胸骨と胸骨の間隔、若しくは肋骨と肋骨の間隔が狭いことも、手術野を狭くする一因となっている。
縫合糸Yによる切開部の縫合は、図10に示されるように、被手術者の体外で形成した縫合糸Yの結び目Kを、施術医の指先で体内に押し込んで強く結ぶことで、結び目Kを2つ以上重ねて形成して、縫合糸Yを切断することで、一箇所の縫合が完成し、この縫合動作を繰り返すことで、切開部は、切開方向に沿った複数又は多数の箇所において縫合糸Yにより縫合される。なお、縫合糸Yの結び目の構造には、種々あるが、図10に示される結び目Kは、重り合う2つの結び目が鏡面対称となる男結び(square knot)である。なお、図4〜図7及び図10において、Y’は、結び目Kによりループ状に形成されて、切開部C2 を縫合している結紮済糸を示す。
手術野の狭い小児の心臓Hの心室中隔41の欠損孔42を閉鎖パッチP1 で閉鎖する手術には、心室中隔41の心筋の脆弱性の補強として、図9に示されるように、プレジェット45及びスパゲッティ46と称される補強材が使用されることが多い。プレジェット45は、小片板状をなしており、スパゲッティ46は、当該プレジェット45の上面に配置される短円筒状をなした部材であって、両端に針47を有する縫合糸Yの中央部が挿通されて一体化され、前記スパゲッティ46の両端から出た各縫合糸Yは、前記プレジェット45を貫通することで、プレジェット45とスパゲッティ46は、縫合糸Yの2箇所の部分で連結される。図8に示されるように、脆弱な心筋の表面にプレジェット45が配置された状態で、縫合糸Yが心筋内に挿通されるため、脆弱な心筋が補強される。
まず、心臓Hの心室中隔41の欠損孔42に臨む全周部に、両端の針47を使用して多数本の縫合糸Yを運針した後に、心臓Hの外部において、同じく両端の針47を使用して多数本の縫合糸Yを閉鎖パッチP1 の全周縁部に運針し、その後に、右心室43を経て、心室中隔41の欠損孔42の部分に前記閉鎖パッチP1 を配置して(降ろして)、以下のようにして、多数本の縫合糸Yを順次結紮する。なお、経右室壁で閉鎖する心室中隔欠損の場合には、12〜16対程度の針数になることが多く、図示例の針数は、16対である。
図4〜図7には、心筋及び閉鎖パッチP1 の双方に縫合済の計16本の縫合糸Yのうち、13本の縫合糸の結紮を終え、14本目の縫合糸Yの結紮を行う状態が示されている。このため、未結紮の2本の縫合糸Yは、心臓Hの外部に引き出されている。
まず、図4に示されるように、心臓Hの外部において、縫合糸Yの結び目Kを作った後に、図5及び図6に示されるように、自身の左手の人し指Fに指先延長具E1 を装着した施術医は、当該指先延長具E1 の先端側の疑似指先部B1 の先端に形成された縫合糸捕捉用の凹部S1 に、結び目Kの近傍の縫合糸Yを挿入配置することで、被手術者の心臓Hの外部から内部(右心室43内)結び目Kを送り込む際に、当該縫合糸Yは、横ずれて疑似指先部B1 から外れることがなく、しかも樹脂製の指先延長具E1 の疑似指先部B1 の凹部S1 との適度な摩擦力により、縫合糸Yを適正に捕捉することができるので、小児の心臓手術のように、手術野が狭い部位においても、当該結び目Kの送り込みを的確に行える。
図6及び図7に示されるように、狭い手術野のために、施術医の人差し指Fのみでは、心臓H内の心室中隔41の欠損孔42を閉鎖している閉鎖パッチP2 に届かないか、或いは届きにくい場合であっても、施術医の人差し指Fに指先延長具E1 を装着することで、先端側の疑似指先部B1 の長さ分だけ施術医の人差し指Fは延長されており、しかも疑似指先部B1 の幅及び厚さは、いずれも本来の人差し指Fよりも遥かに小さな寸法になっているため、前記閉鎖パッチP2 まで縫合糸Yの結び目Kを的確に導くことが可能となる。これにより、手術精度の向上と、施術医の身体的負担の軽減とが同時に達成される。最後に、強く締め付けた結び目Kを複数重ねて形成した後に、切断具(図示せず)により、縫合糸Yを切断すると、一箇所の縫合及び結紮が完成し、以後、残りの2箇所の縫合及び結紮の各動作を繰り返す。
参考例2
図11に、本発明の参考例2の指先延長具E2 が示されており、指装着部A2 と疑似指先部B2 とから成り、指装着部A2 の形状は、前記指先延長具E1 の指装着部A1 の形状に類似している。指先延長具E2 の全長L2 は、45mmである。指装着部A2 に形成された指装着孔J2 の深さD2 は、30mmであり、当該指装着孔J2 の開口である装着口は、長軸及び短軸が(19×17)mmの楕円状をなしている。疑似指先部B2 は、基端から先端に向けて幅及び厚さの双方が漸次小さくなる変則錐状をなしていて、先端部の幅及び厚さは(11×6.5)mmとなった形状であり、疑似指先部B2 の先端部の横方向及び縦方向の双方においてアール面取り状に形成されて、各面取り半径は、それぞれ8mm,4mmである。疑似指先部B2 の先端面は、平面に近い形状をなしている。
指先延長具E2 は、スチレン系熱可塑性エラストマーにて射出成形され、その樹脂硬度は、デュロメーターAタイプ硬度で(50A)であり、参考例1の指先延長具E1 よりも、僅かに軟らかい弾力性を有している。
いずれかの手の人し指又は中指に前記指先延長具E2 を装着して、縫合訓練材にて縫合試験を行ったところ、疑似指先部B2 のしなり具合(弾性変形の程度)は良好であり、疑似指先部B2 の先端面が平面状に近い形状をなしていること、及び樹脂硬度が(50A)のために、縫合糸との間において適度な摩擦が発生して、縫合糸の捕捉具合も良好であった。
なお、以下に述べる参考例3〜10及び実施例1の指先延長具E3 〜E11は、いずれも、上記した指先延長具E1 ,E2 と同様の樹脂の射出成形品であり、各指先延長具E3 〜E11の具体的寸法は、上記した指先延長具E1 ,E2 に準じるので、異なる部分についてのみ表記する。
参考例3
図12に、本発明の参考例3の指先延長具E3 が示されており、指装着孔J3 を備えた指装着部A3 の先端部の厚さ方向の中央部に、僅かに指の腹側にわん曲したわん曲板状の疑似指先部B3 が設けられている。疑似指先部B3 は、指装着部A3 の先端部の厚さ方向の中央部に、当該指装着部A3 の外径に比較して(1/4)程度の薄肉に形成され、当該疑似指先部B3 の幅は、指装着部A3 の幅に対して先端に向けて漸次狭く形成されている。疑似指先部B3 の先端部には、縫合糸捕捉用の凹部S3 が形成されている。指先延長具E3 の全長L3 は、50mmであり、指装着部A3 に形成された指装着孔J3 の深さD3 は、30mmであり、疑似指先部B3 の先端部の幅は、約8mmである。
上記した指先延長具E3 の疑似指先部B3 は、わん曲板状をなしているため、手術部位に挿入された指先延長具E3 の疑似指先部B3 の両側に、それぞれ空間が形成される。よって、奥まった狭い手術野においても、前記空間を利用して縫合糸を操作できるので、的確な手術を行える。
参考例4
図13に、本発明の参考例4の指先延長具E4 が示されている。指先延長具E4 は、参考例3の指先延長具E3 に対して疑似指先部B4 の平面形状が異なるのみであり、指装着部A4 及び指装着孔J4 の形状は、指先延長具E3 と同一である。即ち、疑似指先部B4 は、指先延長具E4 に対して疑似指先部B4 と同様に、側面視でわん曲板状をなしていて、指装着部A4 の厚さ方向の中央部に形成されており、当該疑似指先部B4 の幅は、基端から先端に向けて急激に狭くなっていて、当該疑似指先部B4 の先端に縫合糸捕捉用の凹部S4 が形成されている。指先延長具E4 においては、疑似指先部B4 がわん曲板状になっているのに加えて、その幅が狭い分だけ、当該疑似指先部B4 の周辺に形成される空間が広くなって、縫合糸の操作が行い易くなる。なお、疑似指先部B4 の先端部の幅は、約5mmである。
参考例5
図14に、本発明の参考例5の指先延長具E5 が示されており、当該指先延長具E5 は、参考例3の指先延長具E3 に対して指装着部A5 の厚さ方向に対する疑似指先部B5 の形成位置が、施術医の指の腹側に偏在して形成されている点が異なるのみであり、わん曲板状をした疑似指先部B5 の先端部には、縫合糸捕捉用の凹部S5 が形成されている。参考例5の指先延長具E5 においては、指先延長具E5 を装着した施術医の指を手術部位に挿入した状態で、疑似指先部B5 の一方側(施術医の指の背側)のみに空間が形成される利点がある。
参考例6
図15に、本発明の参考例6の指先延長具E6 が示されており、当該指先延長具E6 は、参考例4の指先延長具E4 に対して指装着部A6 の厚さ方向に対する疑似指先部B6 の形成位置が、指の腹側に偏在して形成されている点が異なるのみである。
参考例7
図16に、本発明の参考例7の指先延長具E7 が示されており、当該指先延長具E7 は、参考例5の指先延長具E5 に対して疑似指先部B7 が、施術医の指の背側に偏在させて配置されていると共に、当該疑似指先部B7 の幅は、先端部において指装着部A7 の幅よりも広くなっている構成が異なり、残りの構成は、参考例5の指先延長具E5 と同一である。参考例7の指先延長具E7 においては、当該指先延長具E7 を装着した施術医の指を手術部位に挿入した状態において、疑似指先部B7 の内側(施術医の指の腹側)に、縫合糸の操作を容易ならしめる空間が形成され、当該疑似指先部B7 の先端に形成された縫合糸捕捉用の凹部S7 の幅が広いので、縫合糸の捕捉範囲が広くなる利点がある。
参考例8
図17に、本発明の参考例8の指先延長具E8 が示されており、当該指先延長具E8 は、参考例6の指先延長具E6 に対して疑似指先部B8 が、施術医の指の背側に偏在させて配置されている構成のみが異なり,残りの構成は、参考例6の指先延長具E6 と同一であるので、同一部分の重複説明を避けて、対応符号のみを図示する。参考例8の指先延長具E8 においては、指先延長具E8 を装着した施術医の指を手術部位に挿入した状態で、疑似指先部B8 の一方側(施術医の指の腹側)のみに空間が形成される利点がある。
参考例9
図18に、本発明の参考例9の指先延長具E9 が示されており、当該指先延長具E9 は、参考例4の指先延長具E4 において、指装着部A9 の腹側に1本の縦方向の切り欠き(スリット)21と、2本の周方向(横方向)の切り欠き22とを交差させて形成した点が異なるのみで、残りの構成は、参考例4の指先延長具E4 と同一であるので、重複説明を避けて、対応符号のみを図示する。指装着部A9 に上記した直交方向の各切り欠き21,22を形成することで、施術医の個人差による指の太さの相違に対して良好に追従して、常に指へのフィット感が適正に保たれる。
参考例10
図19に、本発明の参考例10の指先延長具E10が示されている。指先延長具E10は、指装着部A10の先端部に、基端から先端に向けて幅、及び厚さの双方が緩やかに狭くなっていて、横断面が楕円形状の疑似指先部B10が一体に延設され、当該疑似指先部B10の先端部の指の腹側の部分に、計4個の小突起23が、指の長手方向及び幅方向の双方に沿って所定間隔をおいて設けられた構成である。このため、縫合時において、指の長手方向に沿って配置された2個1組となった各組の小突起23の間に縫合糸Yを配置させることで、当該縫合糸Yは、その横ずれが防止されて、常に正しい位置に捕捉できるため、縫合を的確に行える。
図20及び図21に、本発明の実施例の指先延長具E11が示されている。指先延長具E11は、指装着部A11の先端部に、指の腹側に向けてわん曲された疑似指先部B11が一体に設けられ、当該疑似指先部B11の先端部に、左側面視において当該疑似指先部B11の幅外にそれぞれ突出する押当て突部24を有する止血パッチ押当て部Gが一体に設けられた構成である。前記疑似指先部B11は、基端から先端に向けて幅、及び厚さの双方が緩やかに狭くなっていて、横断面が楕円形状に形成されて、正面視において指の腹側に全体がわん曲されている。止血パッチ押当て部Gは、両側の押当て突部24又は弧面状をした指の腹側の押当て面25を、縫合部の出血部位に配置した止血パッチP2 ,P3 を押し当てて、止血を行うのに使用される。
図21(a)は、臓器31に人工血管32を縫合した奥まった部分に止血パッチP2 を配置して、止血している状態を示している。臓器31と血管33とは、人工血管32で接続されている。奥まった前記縫合部34に止血パッチP2 が配置され、施術医の人し指Fに装着した指先延長具E11の先端の一方の押当て突部24により前記止血パッチP2 を押し当てている。また、図21(b)は、指先延長具E11の先端の止血パッチ押当て部Gの押当て面25により、血管35の縫合部34に配置した止血パッチP3 を押し当てている状態を示している。このように、止血パッチ押当て部Gを有する指先延長具E11を使用すれば、奥まった縫合部34に配置される止血パッチP2 或いは血管33の縫合部34に配置される止血パッチP3 を、直接に施術医の指先で行うのに比較して、安定した状態で押し当てることができて、手術時における施術医の負担を低減できる。
また、図22に示されるように、参考例1の指先延長具E1 の疑似指先部B1 の先端部は、細く形成されているため、当該指先延長具E1 の疑似指先部B1 の先端部により臓器31と人工血管32の奥まった縫合部34の出血部位に配置された止血パッチP2 を押し当てて、接着状態にすることで、縫合部34を止血できる。
また、参考例1においては、施術医の指先の延長の必要性が最も高いとされる「心室中隔欠損症」の小児の心臓手術を行う例を挙げたが、本発明に係る手術用指先延長具は、上記以外の人体の手術野が狭い手術部位においても、適用の効果は大きい。
1 〜A11:指装着部
1 〜B11:疑似指先部
1 :胸壁の切開部
2 :心臓壁の切開部
0 :縫合糸捕捉用の凹部の最大深さ
1 〜D3 :指装着孔の深さ
1 〜E11:手術用指先延長具
F:人し指
G:止血パッチ押当て部
H:心臓
1 〜J11:指装着孔
K:結び目
1 〜L3 :指先延長具の全長
1e:施術医の指先から指先延長具の疑似指先部の先端までの長さ
1 :閉鎖パッチ
2 ,P3 :止血パッチ
1,S3 〜S9 :縫合糸捕捉用凹部
Y:縫合糸
Y’:結紮済糸
11:胸壁
12:心臓壁
21:縦方向の切り欠き
22:周方向の切り欠き
23:縫合糸捕捉用の小突起
24:押当て突部
25:押当て面
31:臓器
32:人工血管
33,35:血管
34:縫合部
41:心室中隔
42:欠損孔
43:右心室
44:左心室

Claims (2)

  1. 外科手術時において、手術野が狭くて指先端部が届かないか、又は届きにくい手術部位に、当該指先端部を到達させるために、指先に装着して擬似的に指を長くさせる手術用指先延長具であって、
    指先端部が挿入されるサック状の指装着部と、当該指装着部から先端側に向けて指の腹側にわん曲した形状で一体に延設されることで、指先としての機能を果す疑似指先部と、当該疑似指先部の先端部の指の腹側に、正面視において当該疑似指先部の幅を超えて両側に延設された止血パッチ押当て部とから成ることを特徴とする手術用指先延長具。
  2. 手術用指先延長具は、熱可塑性樹脂の射出成形により形成されていることを特徴とする請求項に記載の手術用指先延長具。
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