JP6466405B2 - 歯科用部材 - Google Patents

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Description

本発明は、歯科用部材に関する。
近年、歯が抜けて失われた歯根に代えて、顎の骨に埋め込む歯科用インプラントが頻繁に用いられている。また、様々な不正咬合において、矯正歯科治療中の歯の移動の際の固定源として歯科矯正用アンカースクリューも頻繁に用いられている。矯正歯科治療で歯科矯正用アンカースクリューを固定源とすることにより、従来は困難であった歯の移動を、患者の協力度に左右されずに、正確かつ効率的に行うことができる。このような歯科用インプラントや歯科矯正用アンカースクリュー等の歯科用部材として、従来、比較的強度が高く生体親和性に優れた純チタン製やチタン合金製のものが用いられている。
なお、高強度、低ヤング率、高耐食性などの特性を有する素材として、金属ガラスが知られている。塑性加工性に優れ、冷間プレス加工などの金属加工プロセスに適用可能な高延性金属ガラス合金として、式:ZrNiCuAl[式中のa、b、c、dは原子%で、aは60乃至75原子%、bは1乃至30原子%、cは1乃至30原子%、dは5乃至20原子%である]で示される組成を有するものが、本発明者等により提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2009−215610号公報
従来のチタン製の歯科用部材は、設置位置に対して比較的大型もしくは長尺であるため、埋入の際に、隣接する歯根の損傷を起こす危険性があるという課題があった。また、使用中に折れたり破損したりすることもあるという課題もあった。また、矯正治療中に動揺したり脱落したりすることもあり、成熟した骨でないと安定しないという課題もあった。
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、小型化することで、埋入の際の歯根の損傷を防ぐことができ、チタン製のものより高強度かつ低弾性で、埋入後の骨への生着の安定性に優れた歯科用部材を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る歯科用部材は、式:ZrNiCuAl[式中のa、b、c、dは原子%で、aは60乃至75原子%、bは11乃至30原子%、cは1乃至16原子%、dは5乃至20原子%]で示される組成を有するアモルファス合金から成り、歯科矯正用アンカースクリューまたは歯科用インプラントから成ることを特徴とする。
本発明に係る歯科用部材は、チタン合金製や純チタン製などのチタン製のものより、高強度かつ低弾性のアモルファス合金を含んでいるため、使用中に折れたり破損したりしにくく、隣接する歯根を損傷する危険性も小さい。また、本発明に係る歯科用部材は、チタン製のものと比べて、埋入後に周囲での新生骨の形成が促進されるため、埋入後の骨への生着の安定性に優れ、矯正治療中に動揺したり脱落したりする危険性が小さい。
一般的に、チタン製の歯科矯正用アンカースクリューは、長さ6〜8mm、直径(外径)1.4mm以上、チタン製の歯科用インプラントは、長さ8〜12mm、直径3mm以上であるが、本発明に係る歯科用部材は、チタン製のものより高強度かつ低弾性であり、骨への生着の安定性に優れているため、より短く細く形成することができる。例えば、ネジ部分の谷径が0.5mm乃至1.0mmの歯科矯正用アンカースクリューや、ネジ部分の長さが2mm乃至5mmの歯科矯正用アンカースクリュー、ネジ部分の最大直径が0.5乃至2.9mm、およびネジ部分の長さが2乃至13.4mmの1ピースタイプの歯科用インプラント、または、ネジ部分の最大直径が0.5乃至2.9mm、およびネジ部分の長さが2乃至5.9mmの2ピースタイプの歯科用インプラントとすることができる。チタン製のものより短く、細くても、チタン製のものと同等またはそれ以上の強度や弾性、新生骨の生成効果を得ることができる。また、小型化することで、埋入の際の歯根の損傷を防ぐことができる。
本発明に係る歯科用部材で、aは67乃至73原子%、bは11乃至17原子%、cは5乃至13原子%、dは5乃至9原子%であることが好ましい。この場合、特に、高強度かつ低弾性で、埋入後の骨への生着の安定性に優れている。さらに、cが7乃至13原子%、または、dが5乃至7原子%であることが好ましい。また、aは69乃至73原子%、bは13乃至17原子%、cは5乃至10原子%、dは5乃至9原子%であってもよい。
本発明に関する歯科用部材は、表面がジルコニアセラミックスで覆われていることが好ましい。この場合、前記アモルファス合金を、酸素が存在する雰囲気中で、結晶化または脆化しない温度で加熱することにより製造することができる。具体的な一例では、アモルファス合金を、大気中で350℃乃至400℃で加熱することにより製造することができる。アモルファス合金の表面が、非常に強固なジルコニアセラミックスで覆われているため、より強度が高い。また、表面のジルコニアセラミックスにより、内部のニッケルが溶出するのを防ぐことができ、ニッケルが人体に影響を及ぼすのを防ぐことができる。
本発明によれば、小型化することで、埋入の際の歯根の損傷を防ぐことができ、チタン製のものより高強度かつ低弾性で、埋入後の骨への生着の安定性に優れた歯科用部材を提供することができる。
実験に用いた(a)純チタン製スクリュー、ならびに、本発明の実施の形態の歯科用部材である(b)Zr70Ni16CuAl、(c)Zr68Ni12Cu12Al、および(d)Zr72Ni16CuAlの組成を有するアモルファス合金製の歯科矯正用アンカースクリューを示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 本発明の実施の形態の歯科用部材である、Zr70Ni16CuAlの組成を有するアモルファス合金製の歯科矯正用アンカースクリューの、ラットの脛骨への埋入試験における(a)埋入トルク、(b)埋入直後の撤去トルクを示すグラフである。 本発明の実施の形態の歯科用部材の、ラットの脛骨への埋入試験における(a)埋入7日後の撤去トルク、(b)埋入28日後の撤去トルクを示すグラフである。 本発明の実施の形態の歯科用部材である、Zr68Ni12Cu12AlおよびZr72Ni16CuAlの組成を有するアモルファス合金製の歯科矯正用アンカースクリューの、ラットの脛骨への埋入試験における(a)埋入トルク、(b)埋入7日後の撤去トルクを示すグラフである。 本発明の実施の形態の歯科用部材である、Zr70Ni16CuAlの組成を有するアモルファス合金製の歯科矯正用アンカースクリューの、ラットの脛骨への埋入試験における(a)即時荷重なし、(b)即時荷重10g、(c)即時荷重50gのときの埋入後の動揺度(Periotest値)の経時変化を示すグラフである。 本発明の実施の形態の歯科用部材である、Zr68Ni12Cu12AlおよびZr72Ni16CuAlの組成を有するアモルファス合金製の歯科矯正用アンカースクリューの、ラットの脛骨への埋入試験における(a)即時荷重なしで埋入7日後まで、(b)即時荷重10gで埋入7日後まで、(c)即時荷重なしで埋入28日後までの、埋入後の動揺度(Periotest値)の経時変化を示すグラフである。 ラットの脛骨への埋入試験における、埋入7日後および埋入28日後の(A)〜(D)チタン合金製スクリュー、(E)〜(H)純チタン製スクリュー、(I)〜(L)本発明の実施の形態の歯科用部材である、Zr70Ni16CuAlの組成を有するアモルファス合金製の歯科矯正用アンカースクリューの、埋入脛骨の非脱灰組織切片を示す光学顕微鏡写真である(Scale bars ; 1.0mm)。 図7に示す光学顕微鏡写真に基づいて求めた各スクリューの(a)埋入7日後のBIC、(b)埋入28日後のBICを示すグラフである。 図7に示す光学顕微鏡写真に基づいて求めた各スクリューの(a)埋入7日後のBA、(b)埋入28日後のBAを示すグラフである。 ラットの脛骨への埋入試験における、埋入7日後の(a)純チタン製スクリュー、ならびに、本発明の実施の形態の歯科用部材である(b)Zr68Ni12Cu12Alおよび(c)Zr72Ni16CuAlの組成を有するアモルファス合金製の歯科矯正用アンカースクリューの、埋入脛骨の非脱灰組織切片を示す光学顕微鏡写真である(Scale bars ; 1.0mm)。 本発明の実施の形態の歯科用部材である歯科矯正用アンカースクリューを構成する、Zr70Ni16CuAl(Zr70)、Zr68Ni12Cu12Al(Zr68)およびZr72Ni16CuAl(Zr72)のアモルファス合金、ならびに、純チタン製スクリューを構成する純チタン(純Ti)の、各金属成分の溶出試験結果を示すグラフである(縦軸;溶出量[ppt])。 実験に用いた、本発明の実施の形態の歯科用部材である(a)Zr70Ni16CuAlの組成を有するアモルファス合金製の歯科矯正用アンカースクリュー、(b)表面がジルコニアセラミックスで覆われた表面処理Zr70Ni16CuAlアモルファス合金製の歯科矯正用アンカースクリューを示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 本発明の実施の形態の歯科用部材である、Zr70Ni16CuAlの組成を有するアモルファス合金製の歯科矯正用アンカースクリュー、および、表面がジルコニアセラミックスで覆われた表面処理Zr70Ni16CuAlアモルファス合金製の歯科矯正用アンカースクリューの、ラットの脛骨への埋入試験における、埋入後の動揺度(Periotest値)の経時変化を示すグラフである。 細胞接着試験における、培養1日後の(a)純チタン箔、(b)本発明の実施の形態の歯科用部材に使用される、Zr70Ni16CuAlアモルファス合金箔、(c)表面処理Zr70Ni16CuAlアモルファス合金箔の表面観察結果を示す共焦点顕微鏡写真である。 本発明の実施の形態の歯科用部材である(a)スクリュー形状の一例の正面図、側面図、底面図および平面図、(b)ボタン形状の一例の正面図および側面図である。
以下、図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の実施の形態の歯科用部材は、式:ZrNiCuAl[式中のa、b、c、dは原子%で、aは60乃至75原子%、bは11乃至30原子%、cは1乃至16原子%、dは4乃至20原子%]で示される組成を有するアモルファス合金から成っている。
このアモルファス合金は、例えば、金型鋳造法により製造することができる。すなわち、まず原材料のジルコニウム(Zr)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)を、所望の組成になるよう秤量して混合し、不活性ガス雰囲気中で溶解混合して母合金を作成する。次に、大気中でその母合金を再度溶解し、アーク溶解式傾角鋳造法などを利用して銅鋳型で鋳造することにより、アモルファス合金を製造することができる。こうして製造されたアモルファス合金の素形材を機械加工することにより、本発明の実施の形態の歯科用部材を製造することができる。
本発明の実施の形態の歯科用部材は、チタン合金製や純チタン製などのチタン製のものより、高強度かつ低弾性のアモルファス合金製であるため、使用中に折れたり破損したりしにくく、隣接する歯根を損傷する危険性も小さい。また、本発明の実施の形態の歯科用部材は、チタン製のものと比べて、埋入後に周囲での新生骨の形成が促進されるため、埋入後の骨への生着の安定性に優れ、矯正治療中に動揺したり脱落したりする危険性が小さい。
なお、目的形状に成形したアモルファス合金を、大気中で350℃乃至400℃で加熱して表面を酸化させることにより、表面がジルコニアセラミックスで覆われた歯科用部材を製造することができる。この場合、アモルファス合金の表面が、非常に強固なジルコニアセラミックスで覆われるため、より強度を高くすることができる。
このような本発明の実施の形態の歯科用部材の作用効果を検証するため、以下に示す実験を行った。
[実験概要]
本発明の実施の形態の歯科用部材として、Zr70Ni16CuAlの組成を有するアモルファス合金製の歯科矯正用アンカースクリュー(以下、「本発明スクリュー1」と呼ぶ)、Zr68Ni12Cu12Alの組成を有するアモルファス合金製の歯科矯正用アンカースクリュー(以下、「本発明スクリュー2」と呼ぶ)、および、Zr72Ni16CuAlの組成を有するアモルファス合金製の歯科矯正用アンカースクリュー(以下、「本発明スクリュー3」と呼ぶ)を製造し、ラットを用いた実験を行った。実験に使用した本発明スクリュー1〜3を、それぞれ図1(b)〜(d)に示す。なお、本発明スクリュー1〜3は、表面がジルコニアセラミックスで覆われていないものである。
図1(b)〜(d)に示すように、製造した各歯科矯正用アンカースクリューは、直径(外径)が1.3mm、長さが3.0mm、ピッチが0.8mmである。なお、比較試料として、同じ形状の純チタン製スクリュー(99.4%チタン、ピッチ 0.8mm)、および、チタン合金製スクリュー(ピッチ 0.5mm)を製造し、同じ実験を行った。実験に使用した純チタン製スクリューを、図1(a)に示す。チタン合金製スクリューは、今日、臨床現場において広く使用されているAbsoAnchor(Dentos社製)を用いた。
実験に用いたラットは、雄性 Wistar系ラット 12週齢(体重250〜260g)である。実験による動物への負担軽減のため、施術は5mg/ml ペントバルビタールの腹腔内注射による全身麻酔下で行った。
また、値の計測を行う実験では、得られた実験データの統計処理として、一元配置分散分析後、Tukey-Kramer法で多重比較検定を行った。検定は、危険率1%(P<0.01)または5%(P<0.05)で有意差を判定し、危険率1%未満のものを「**」、危険率5%未満のものを「*」として、各図面中に示した。
[スクリューの埋入と即時荷重の負荷]
複数のラットの両側下肢内側面を剪毛し、脛骨長軸と平行に約15.0mmの長さで皮膚および筋膜の切開を行った後、骨膜剥離子にて脛骨内側面を露出した。即時荷重を負荷する場合には、片側につき2か所(大腿骨との境界関節部付近および中央部)に、ラウンドバーにより低速回転でドリリングを行い、1.0mmのスクリュー埋入窩を形成した。即時荷重を負荷しない場合には、片側につき1か所(大腿骨との境界関節部付近)にドリリングを行い、1.0mmのスクリュー埋入窩を形成した。
即時荷重を負荷する場合には、アンカードライバーにて埋入部皮質骨と垂直にスクリューを埋入後、非吸収性の縫合糸(ケイセイ医科工業株式会社製「SU−1160NS」)により、切開部皮膚および筋膜を縫合し、術野をイソジン綿球にて消毒した後、スクリューの種類別に矯正用ニッケルチタン合金製コイルスプリング(株式会社トミーインターナショナル製「センタロイコイルスプリング」)により、10gまたは50gの即時荷重を、それぞれのスクリューに負荷した。
荷重はスクリュー埋入直後に負荷し、各スクリュー埋入後、評価日数の7日後または28日後まで負荷し続けた。なお、評価対象スクリューは、脛骨埋入スクリューのうち、大腿骨との境界関節部付近に埋入したものとし、脛骨中央部に埋入するスクリューは、即時荷重を負荷する際の固定源として用いた。この固定源用スクリューは、AbsoAnchorを3.0mmの長さに加工したものに統一した。
また、即時荷重を負荷しない場合には、アンカードライバーにて埋入部皮質骨と垂直にスクリューを埋入後、非吸収性の縫合糸(ケイセイ医科工業株式会社製「SU−1160NS」)により、切開部皮膚および筋膜を縫合し、術野をイソジン綿球にて消毒した。各スクリュー埋入後、評価日数の7日後または28日後までそのまま保持した。
[スクリュー埋入・撤去トルク値の計測]
本発明スクリュー1、チタン合金製スクリュー、および純チタン製スクリューについて、トルクゲージ(Tohnichi社製)を用いて、各スクリューの埋入トルク値および埋入直後、埋入7日後、埋入28日後の撤去トルク値の計測を行った。埋入トルク値は、スクリューの種類別に、関節部埋入スクリュー4本について計測を行った。また、撤去トルク値は、埋入直後にスクリューの種類別に4本、7日後および28日後にスクリューの種類別、即時荷重量別にそれぞれ4本について計測を行った。計測トルク値として、それぞれトルクの最高値を用いた。埋入トルク値および埋入直後の撤去トルク値の計測結果を、それぞれ図2(a)および(b)に示す。また、埋入7日後の撤去トルク値および埋入28日後の撤去トルク値の計測結果を、それぞれ図3(a)および(b)に示す。
図2(a)に示すように、埋入トルクは、本発明スクリュー1が0.7Ncm、チタン合金製スクリューが1.5Ncm、純チタン製スクリューが0.65Ncmであり、チタン合金製スクリューが、他の2種のスクリューと比較して有意に値が高いことが確認された。また、図2(b)に示すように、埋入直後の撤去トルクは、本発明スクリュー1が0.51Ncm、チタン合金製スクリューが1.35Ncm、純チタン製スクリューが0.49Ncmであり、チタン合金製スクリューが、他の2種のスクリューと比較して有意に値が高く、埋入トルクと同じ傾向を示していることが確認された。これは、チタン合金製スクリューのピッチ幅(0.5mm)が、他の2種のスクリューのピッチ幅(0.8mm)よりも短いためであると考えられる。
また、図2に示すように、全てのスクリューにおいて、埋入直後の撤去トルク値が埋入トルク値よりも低くなっていることが確認された。これは、スクリューの埋入時に、埋入窩骨壁が損傷を受け、埋入時よりもスクリューと骨との接触面積が減少したためであると考えられる。
図3に示すように、全てのスクリューにおいて、埋入28日後の撤去トルク値が埋入7日後の撤去トルク値を有意に上回っていることが確認された。これは、埋入後の時間の経過とともに、スクリューの周囲に新生骨が形成されたためであると考えられる。なお、埋入7日後および28日後の撤去トルクは、いずれのスクリューでも、即時荷重10gを負荷したものの値が最も高くなっていることが確認された。
図3に示すように、埋入7日後および28日後の撤去トルクは、本発明スクリュー1の値が、いずれの即時荷重群でも、他の2種のスクリューよりも有意に高いことが確認された。これは、本発明スクリュー1の周囲で、他の2種のスクリューの周囲よりも多くの新生骨が形成されているためであると考えられる。図2および図3に示すように、本発明スクリュー1は、他の2種のスクリューと比べて、埋入直後からの撤去トルク値の増加が顕著であり、他の2種のスクリューよりも多くの新生骨が素早く形成されているものと考えられる。このため、埋入後の本発明スクリュー1は、他の2種のスクリューよりも素早く安定し、優れた安定性を維持するものと考えられる。
次に、本発明スクリュー2および3についても、同様にして、埋入トルク値および埋入7日後の撤去トルク値の計測を行った。なお、比較のために、チタン合金製スクリューおよび純チタン製スクリューについても計測を行った。埋入トルク値および埋入7日後の撤去トルク値の計測結果を、それぞれ図4(a)および(b)に示す。
図4(a)に示すように、埋入トルクは、全てのスクリューにおいて、ほとんど同じ値であることが確認された。また、図4(b)に示すように、埋入7日後の撤去トルクは、即時荷重10gの本発明スクリュー3を除いて、埋入トルク値よりも低くなっていることが確認された。これは、埋入7日後であっても、スクリューの埋入時に埋入窩骨壁が損傷を受けたことによる影響が残っているためであると考えられる。
また、図4(b)に示すように、即時荷重10gの本発明スクリュー3は、他のスクリューと比べて、埋入7日後の撤去トルクが大きく、特に即時荷重10gの純チタン製スクリューと比べて有意に大きいことが確認された。これは、即時荷重10gの本発明スクリュー3の周囲で、他のスクリューの周囲よりも多くの新生骨が形成されているためであると考えられる。
[スクリュー動揺度の計測]
本発明スクリュー1、チタン合金製スクリュー、および純チタン製スクリューについて、埋入後のスクリューの安定性を計測するために、動揺度測定装置Periotest(Gulden Messtechnik社製)を用いて、埋入直後、埋入7日後、埋入28日後の脛骨埋入スクリューの動揺度の計測を行った。計測は、スクリューヘッド部と垂直にPeriotestを3か所(脛骨長軸方向および、そこから120°回転させた部位2か所)から当てて行い、その3つの値の平均値を計測値(Periotest値)とした。なお、Periotest値は、0〜9では動揺が認められない、10〜19では触診で動揺が感じられる、20〜29では視覚的に動揺が認められる、30〜50では舌や口唇で歯が動揺する、と定義されている。スクリューなどの歯科用インプラントの場合、値が10以上の場合、十分な骨結合が獲得されていないと判断される。
Periotest値の計測結果を、即時荷重別にそれぞれ図5(a)〜(c)に示す。図5に示すように、埋入直後は、チタン合金製スクリューが、他の2種のスクリューと比較して有意にPeriotest値が小さいことが確認された。これは、チタン合金製スクリューのピッチ幅(0.5mm)が、他の2種のスクリューのピッチ幅(0.8mm)よりも短いためであると考えられる。
また、いずれの即時荷重群でも、全てのスクリューが、埋入直後から埋入7日後、埋入28日後にかけて、Periotest値が小さくなっていくことが確認された。これは、埋入後の時間の経過とともに、スクリューの周囲に新生骨が形成され、徐々に安定しているためであると考えられる。なお、埋入7日後および28日後のPeriotest値は、いずれのスクリューでも、即時荷重10gを負荷したものの方が小さくなっていることが確認された。
図5に示すように、いずれの即時荷重群でも、本発明スクリュー1は、他の2種のスクリューと比べて、埋入直後からのPeriotest値の低下が顕著であることが確認された。また、本発明スクリュー1は、埋入28日後には、全ての即時荷重で、最も小さい10以下の値を示していることが確認された。これは、本発明スクリュー1の周囲で、他の2種のスクリューよりも多くの新生骨が素早く形成されているためであると考えられる。このため、埋入後の本発明スクリュー1は、他の2種のスクリューよりも素早く安定し、優れた安定性を維持するものと考えられる。
次に、本発明スクリュー2および3についても、同様にして、埋入直後および埋入7日後の動揺度の計測を行った。なお、比較のために、チタン合金製スクリューおよび純チタン製スクリューについても計測を行った。Periotest値の計測結果を、即時荷重別にそれぞれ図6(a)および(b)に示す。図6に示すように、埋入直後は、全てのスクリューが近似したPeriotest値を示し、埋入7日後には、全てのスクリューがPeriotest値の低下を示すことが確認された。
また、図6(a)に示すように、即時荷重なしの場合、本発明スクリュー2および3は、埋入7日後に、Periotest値が10程度まで顕著に低下しており、チタン合金製スクリューおよび純チタン製スクリューと比べて有意な差が認められた。これは、本発明スクリュー2および3の周囲で、他の2種のスクリューよりも多くの新生骨が素早く形成されているためであると考えられる。
また、図6(b)に示すように、即時荷重10gの場合、本発明スクリュー3は、埋入7日後に、Periotest値が10程度まで顕著に低下しており、他の3種のスクリューと比べて有意な差が認められた。これは、本発明スクリュー3の周囲で、他の3種のスクリューよりも多くの新生骨が素早く形成されているためであると考えられる。なお、本発明スクリュー2は、埋入7日後に、チタン合金製スクリューよりPeriotest値が有意に低下しているが、純チタン製スクリューとは近似した値を示している。
また、本発明スクリュー2および3の即時荷重なしの場合について、埋入28日後にも動揺度の計測を行った。その結果を、図6(c)に示す。図6(c)に示すように、本発明スクリュー2および3は、埋入28日後と同様のPeriotest値が早期に得られており、図5(a)に示す本発明スクリュー1よりも素早く安定することが確認された。
[組織学的解析]
本発明スクリュー1、チタン合金製スクリュー、および純チタン製スクリューについて、埋入後のスクリューの安定性を評価するために、スクリューの種類別、即時荷重別に、スクリュー埋入7日後および28日後の、スクリューの周囲の組織観察を行った。なお、即時荷重は、即時荷重なしと50gのものについて観察を行った。観察のため、まず、スクリューが埋め込まれたラットに対して、4%パラホルムアルデヒド溶液による還流固定を行い、下肢両側脛骨を摘出した後、1本のスクリューを含んだ骨ブロックを作成した。その骨ブロックを、4℃下で、4%パラホルムアルデヒド溶液中にて48時間固定し、30分間流水洗浄した。洗浄後、常温下においてエタノール上昇系で脱水、脱脂し、キシレンによる中間剤処理を行った。処理後、樹脂浸透液(Wako社製「Osteoresin Embedding Kit」)中で、4℃下で樹脂浸透後、35℃にて樹脂包埋を行った。樹脂ブロックを、Saw Microtome Leica SP1600(Leica Microsystems社製)により、スクリューの長軸方向と平行に、厚さ100μmの樹脂切片にした後、ビラヌエバ骨染色試薬(Polysciences社製「Villanueva Osteochrome Bone Stain」)により、染色を施した。
染色を施した切片を、光学顕微鏡下にて観察し、スクリュー周囲と新生骨との接触率(BIC;Bone-to-Implant Contact)を求めた。また、スクリュー周囲から、スクリューの刃部の高さと同値である240μmの範囲内を、解析の評価部位(ROI;Region of Interest)とし、ROI中に形成された新生骨の面積比率(BA;Bone Area)を求めた。BICおよびBAの解析には、Image J(National Institutes of Health製)を用いた。
なお、BICおよびBAは、具体的には以下の式で求められる。
BIC(%)=[スクリュー表面に接触している新生骨量(μm)/
スクリュー埋入部の周長(μm)]×100
BA(%) =[ROI中の新生骨の面積(μm)/
ROIの面積(μm)]×100
また、スクリュー先端部周囲を解析範囲に入れると、既存の皮質骨領域を必要以上に範囲内に含んでしまい、新生骨形成量の解析値としては妥当ではなくなるため、スクリュー先端部周囲は解析範囲から除外している。
各スクリューについて、埋入7日後および28日後の染色を施した切片の光学顕微鏡写真を、図7に示す。また、図7に示す光学顕微鏡写真に基づいて求めたBICおよびBAを、それぞれ図8および図9に示す。なお、図7(A)、(B)、(E)、(F)、(I)、(J)に示すように、埋入7日後の組織切片像で、埋入部皮質骨がスクリューと骨結合していることから、スクリュー埋入時に損傷を受けた既存皮質骨の修復が、埋入後7日でほぼ終了していると考えられる。
図7(A)〜(D)に示すように、チタン合金製スクリューでは、埋入7日後では即時荷重の有無に関わらず、新生骨の明らかな形成は認められなかったが、埋入28日後では、即時荷重50gのスクリュー刃部表面に、多くの新生骨形成が認められた(図中の白三角矢印参照、以下同様)。また、図7(E)〜(H)に示すように、純チタン製スクリューでは、埋入7日後および28日後ともに、即時荷重の有無に関わらず、新生骨の形成が顕著には認められなかった。また、図7(I)〜(L)に示すように、本発明スクリュー1では、埋入7日後に、刃部に新生骨形成が認められ、特に即時荷重50gでより多くの新生骨形成が確認できた。埋入28日後においては、スクリューの刃部表面に多くの新生骨形成が認められ、特に即時荷重50gで著しい新生骨形成が確認できた。
図7に示すように、本発明スクリュー1は、即時荷重の有無に関わらず、他の2種類のスクリューと比べて、より多くの新生骨の形成が確認できる。これは、本発明スクリュー1が、他の2種類のスクリューよりも生体親和性に優れているためであると考えられる。特に、本発明スクリュー1の埋入7日後における組織切片において(図7(I)、(J)参照)、他の2種のスクリューよりも多くの新生骨形成が認められたことから、本発明スクリュー1のアモルファス合金組成は、新生骨形成に有効な組成だといえる。
図8に示すように、本発明スクリュー1のBICは、埋入7日後において、即時荷重の有無に関わらず、他の2種のスクリューと比べて有意に高く、埋入28日後においても、即時荷重なしで他の2種類のスクリューと比べて有意に高いことが確認された。また、図9に示すように、本発明スクリュー1のBAは、埋入7日後において、即時荷重なしで他の2種類のスクリューと比べて有意に高く、即時荷重50gでは純チタン製スクリューと比べて有意に高いことが確認された。埋入28日後では、即時荷重の有無に関わらず、他の2種類のスクリューと比べて有意に高いことが確認された。これにより、埋入後、本発明スクリュー1の表面には、他の2種類のスクリューよりも多くの新生骨が形成され、その量が日数の経過とともに増加していくことが明らかとなった。このことから、埋入後の本発明スクリュー1は、他の2種のスクリューよりも素早く安定し、優れた安定性を維持するものといえる。
本発明スクリュー2および3、ならびに純チタン製スクリューについて、埋入後のスクリューの安定性を評価するために、スクリューの種類別に、スクリュー埋入7日後(即時荷重なし)の、スクリューの周囲の組織観察を行った。観察のための染色の方法は、図7のものと同じ方法を用いた。各スクリューについて、埋入7日後の染色を施した切片の光学顕微鏡写真を、図10に示す。
図10(a)〜(c)に示すように、本発明スクリュー2および3では、埋入7日後に、純チタン製スクリューよりも多くの新生骨の形成が認められた。これは、本発明スクリュー2および3が、純チタン製スクリューよりも生体親和性に優れているためであると考えられ、本発明スクリュー2および3のアモルファス合金組成は、新生骨形成に有効な組成であるといえる。また、埋入後の本発明スクリュー2および3は、純チタン製スクリューよりも素早く安定し、優れた安定性を維持するものといえる。
[溶出試験]
本発明スクリュー1〜3、および純チタン製スクリューをそれぞれ構成する、アモルファス合金および純チタンについて、含有成分の溶出試験を行った。試験では、まず、15mlのプラスティックチューブ内に、pH7.4の疑似体液を5.0ml入れ、その中に、各金属で形成された表面積384mm2の金属箔を浸漬した。これらのチューブを恒温槽内に入れ、37℃にて7日間維持した。その後、疑似体液中に溶出したAl,V,Ti,Ni,Cu,Zrの各金属イオン量を、ICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析計)にて測定した。なお、「コントロール」として、金属箔を入れない場合についても、各金属イオン量の測定を行っている。
測定結果を、図11に示す。図11に示すように、本発明スクリュー1〜3を構成するアモルファス合金(それぞれ図11中の「Zr70」、「Zr68」、「Zr72」)は、純チタン製スクリューを構成する純チタン(図11中の「純Ti」)と比べて、Tiの溶出が少なく、CuおよびZrの溶出が多いことが確認された。これは、各金属の構成成分を考慮すると、当然の結果であると考えられる。また、金属アレルギーの主な原因となるNiの溶出量は、本発明スクリュー1〜3を構成するアモルファス合金も、純チタン製スクリューを構成する純チタンもほぼ同程度で少なく、有意差も無い。このことから、本発明スクリュー1〜3は、純チタン製スクリューと同様に、アレルギー性は問題ないものと考えられる。
[表面処理材料を用いたスクリュー動揺度の計測]
Zr70Ni16CuAlの組成を有するアモルファス合金製の歯科矯正用アンカースクリュー(本発明スクリュー1)を、350℃で1時間加熱することにより、表面がジルコニアセラミックスで覆われた表面処理Zr70Ni16CuAlアモルファス合金製の歯科矯正用アンカースクリュー(以下、「表面処理スクリュー」)を製造し、ラットを用いたスクリュー動揺度の試験を行った。比較のため、本発明スクリュー1でも同じ試験を行った。試験に使用した本発明スクリュー1および表面処理スクリューを、それぞれ図12(a)および(b)に示す。
スクリュー動揺度の試験方法は、図5および図6のものと同じ方法を用いた。即時荷重は、なしとした。Periotest値の計測結果を、図13に示す。図13に示すように、埋入7日後には、表面処理スクリューの方が、本発明スクリュー1よりも有意に小さいPeriotest値を示しており、高い安定性を有しているといえる。また、埋入28日後には、表面処理スクリューおよび本発明スクリュー1とも、Periotest値が小さくなり安定性が向上したが、両者の間には有意差は認められなかった。このことから、表面処理スクリューは、埋入28日後と同様のPeriotest値が早期に得られており、本発明スクリュー1よりも素早く安定することが確認された。
[表面処理材料を用いた細胞接着試験]
純チタン箔(grade2;ニラコ社製)、Zr70Ni16CuAlアモルファス合金箔、その金属ガラス箔を350℃で1時間加熱することにより、表面がジルコニアセラミックスで覆われた表面処理Zr70Ni16CuAlアモルファス合金箔を、6×6mmサイズに切断し、滅菌後、ラット骨髄細胞を2×10個ずつ播種・培養した。培養1日後の細胞の細胞接着能を調べるため、アクチン(緑色)、ビンキュリン(赤色)、核(青色)を免疫蛍光染色し、共焦点顕微鏡で観察を行った。その観察結果を、図14に示す。
図14に示すように、純チタン箔、Zr70Ni16CuAlアモルファス合金箔、および表面処理Zr70Ni16CuAlアモルファス合金箔のいずれも、表面に細胞が接着し、増殖していることが確認された。このことから、本発明の実施の形態の歯科用部材に使用されるアモルファス合金および表面処理アモルファス合金は、生体親和性が純チタンと同等か、それ以上であるといえる。
以上の実験結果から、本発明の実施の形態の歯科用部材は、チタン合金製や純チタン製のものと比べて、埋入後の周囲での新生骨の形成が早く、埋入後の骨への生着の安定性に優れていることがわかる。また、撤去トルクも大きいため、埋入後に不用意に抜けることがなく、小型化したときの表面積の減少によるメカニカルフリクションの低下を補うことができる。これらのことから、本発明の実施の形態の歯科用部材は、従来のチタン合金製や純チタン製のものよりも小型化が可能である。例えば、歯科矯正用アンカースクリューや歯科用インプラントとして、図15(a)に示すようなネジ部分の谷径が0.9mmと細いスクリュー形状のものや、図15(b)に示すようなネジ部分の長さが2.5mm程度と短いボタン形状のものを製造することができる。
このように、本発明の実施の形態の歯科用部材は、従来品よりも小型化できるため、埋入時に歯根に傷害をおこすことなく、生体に対して完全に安全な、脱落しない矯正歯科用インプラントとしてデザイン可能である。また、図15(b)に示すような短いデザインを採用することにより、歯槽骨、口蓋骨のどのような部位にも、安全に埋入することができる。なお、図15に示すスクリューヘッドは、矯正用結紮線や弾性ゴム、コイルスプリングを引っ掛けるため、またはワイヤをはめ込むためのものであり、このような機能を果たすものであれば、図15のデザインのスクリューヘッドに限らず、どのような形態のスクリューヘッドであってもよい。

Claims (7)

  1. 式:ZrNiCuAl[式中のa、b、c、dは原子%で、aは60乃至75原子%、bは11乃至30原子%、cは1乃至16原子%、dは5乃至20原子%]で示される組成を有するアモルファス合金から成り、歯科矯正用アンカースクリューまたは歯科用インプラントから成ることを特徴とする歯科用部材。
  2. ネジ部分の谷径が0.5mm乃至1.0mmの歯科矯正用アンカースクリューから成ることを特徴とする請求項1記載の歯科用部材。
  3. ネジ部分の長さが2mm乃至5mmの歯科矯正用アンカースクリューから成ることを特徴とする請求項1記載の歯科用部材。
  4. ネジ部分の最大直径が0.5乃至2.9mm、およびネジ部分の長さが2乃至13.4mmの1ピースタイプの歯科用インプラント、または、ネジ部分の最大直径が0.5乃至2.9mm、およびネジ部分の長さが2乃至5.9mmの2ピースタイプの歯科用インプラントから成ることを特徴とする請求項1記載の歯科用部材。
  5. aは67乃至73原子%、bは11乃至17原子%、cは5乃至13原子%、dは5乃至9原子%であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の歯科用部材。
  6. cが7乃至13原子%、または、dが5乃至7原子%であることを特徴とする請求項5記載の歯科用部材。
  7. aは69乃至73原子%、bは13乃至17原子%、cは5乃至10原子%、dは5乃至9原子%であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の歯科用部材。
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