JP6466259B2 - 電気絶縁性スリーブを有する人工股関節 - Google Patents

電気絶縁性スリーブを有する人工股関節 Download PDF

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Description

本発明は、大腿骨骨頭のテーパ形状の凹所にステムのネック部を嵌合させて、大腿骨骨頭とステムとを結合する人工股関節に関する。
従来から、人工股関節は、大腿骨へ挿入されて固定されるステムと、大腿骨骨頭とを有し、大腿骨骨頭とステムとが一体的またはテーパ嵌合によって固定され、大腿骨骨頭を受座する寛骨臼側には、ポリエチレン製カップが固定されている。
大腿骨骨頭は、ステムの先端部に形成したネック部に、テーパ嵌合によって固定する構造が多く、テーパ孔とも呼ばれる凹所の深さや内径を変えることによって、ステムに取付けた際の嵌合長(「ネックオフセット」ともいう。)を調整するように構成されている。
このような、大腿骨骨頭に形成される凹所内にステムのネック部が挿入され固定される人工股関節において、前記凹所の内周面とステムのネック部の外周面との間に、錐状のスリーブを介装させる技術が活用されている(たとえば、特許文献1,2参照)。
このような従来技術では、スリーブの厚みの調整によって、大腿骨骨頭に対するネック部の嵌合長、つまりネックオフセットを変更することが容易となり、大腿骨骨頭の種類を多く準備することなく、一種類の大腿骨骨頭でも、複数の異なる嵌合長に対応することが可能となる。
特開平3−47253号公報 特開2002−330983号公報
人工股関節において、ステムおよび大腿骨骨頭が、それぞれ、ステンレス鋼、コバルトクロム合金およびチタン合金などの金属から成るものが提案されている。また、スリーブを備える人工股関節において、該スリーブが金属から成るものが提案されている。このような人工股関節が生体内に埋設されると、ステムと大腿骨骨頭との間、ステムとスリーブとの間、およびスリーブと大腿骨骨頭との間に体液を介して腐食電流が流れて、これらの各界面における大腿骨骨頭、スリーブ、ステムの表面が電気化学的反応によって腐食する。さらに、腐食電流による電気化学的反応によって、ステムと大腿骨骨頭との間、ステムとスリーブとの間、およびスリーブと大腿骨骨頭との間に微小な往復滑りが繰返し作用することにより発生する表面腐食であるフレッチング腐食の進行が、促進されてしまう。
本発明の目的は、大腿骨骨頭のテーパ形状の凹所にステムのネック部を嵌合させて、大腿骨骨頭とステムとを結合する人工股関節において、ステムのネック部の外周面、および、大腿骨骨頭の凹所の内周面に、フレッチング腐食が発生することを抑制することができる人工股関節を提供することである。
本発明は、第1金属から成り、先端に向かって小径となる円錐台状の外周面を有するネック部を有するステムと、
前記第1金属とは異なる第2金属から成り、前記ネック部を挿入可能な凹所が形成される大腿骨骨頭であって、前記ネック部の挿入方向に向かって小径となる円錐台状の内周面によって前記凹所が規定される大腿骨骨頭と、
合成樹脂を含む電気絶縁性材料から成り、内周面の少なくとも一部および外周面の少なくとも一部にシランカップリング剤から成る表面層が形成され、前記凹所に挿入された前記ネック部の前記外周面と前記大腿骨骨頭の前記内周面との間に介装されたスリーブと、を含むことを特徴とする人工股関節である。
また、本発明は、第1金属から成り、先端に向かって小径となる円錐台状の外周面を有するネック部を有するステムと
前記第1金属とは異なる第2金属から成り、前記ネック部を挿入可能な凹所が形成される大腿骨骨頭であって、前記ネック部の挿入方向に向かって小径となる円錐台状の内周面によって前記凹所が規定される大腿骨骨頭と、
合成樹脂を含む電気絶縁性材料から成り、内周面の少なくとも一部および外周面の少なくとも一部に金属イオンとキレートを作る官能基を末端に有するメタクリル酸エステルから成る表面層が形成され、前記凹所に挿入された前記ネック部の前記外周面と前記大腿骨骨頭の前記内周面との間に介装されたスリーブと、を含むことを特徴とする人工股関節である。
また、本発明の人工股関節において、前記表面層は、厚さ10〜200nmであることを特徴とする。
また本発明の人工股関節において、前記電気絶縁性材料は、炭素繊維をさらに含み、前記合成樹脂と前記炭素繊維とが複合化されて成る炭素繊維強化樹脂であることを特徴とする。
また本発明の人工股関節において、前記合成樹脂は、ポリアリルエーテルケトン(PAEK)であることを特徴とする。
また本発明の人工股関節において、前記PAEKは、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、およびポリエーテルケトン(PEK)から選択されることを特徴とする。
また本発明の人工股関節において、前記スリーブの内周面および外周面の少なくともいずれか一方の面は、凹凸形状を有することを特徴とする。
本発明によれば、大腿骨骨頭の凹所に挿入されたステムのネック部の外周面と、大腿骨骨頭の凹所を規定する内周面との間に介装されたスリーブが、合成樹脂を含む電気絶縁性材料から成るので、人工股関節が生体内に埋設されたときに、ステムとスリーブとの間、およびスリーブと大腿骨骨頭との間に体液を介して腐食電流が流れることを防止することができ、ステムのネック部の外周面、および、大腿骨骨頭の凹所の内周面に、フレッチング腐食が発生することを抑制するとともに、スリーブと金属から成るステムのネック部および大腿骨骨頭の凹所とのなじみ性を改善することができる。
また本発明によれば、大腿骨骨頭の凹所に挿入されたステムのネック部の外周面と、大腿骨骨頭の凹所を規定する内周面との間に介装されたスリーブが、合成樹脂を含む電気絶縁性材料から成るので、人工股関節が生体内に埋設されたときに、ステムとスリーブとの間、およびスリーブと大腿骨骨頭との間に体液を介して腐食電流が流れることを防止することができ、ステムのネック部の外周面、および、大腿骨骨頭の凹所の内周面に、フレッチング腐食が発生することを抑制するとともに、スリーブと金属から成るステムのネック部および大腿骨骨頭の凹所とのなじみ性を改善し、さらには、溶解した金属イオンと結合して該金属イオンの生体内への溶出を抑制することができる。
また本発明によれば、スリーブを構成する電気絶縁性材料が炭素繊維強化樹脂であるので、スリーブの機械的強度が向上し、それ故、スリーブの耐久性を向上することができる。
また本発明によれば、スリーブを構成する電気絶縁性材料に含まれる合成樹脂がPAEKであるので、スリーブの機械的強度が向上し、それ故、スリーブの耐久性を向上することができる。
また本発明によれば、スリーブを構成する電気絶縁性材料に含まれる合成樹脂は、PEEK、PEKK、およびPEKから選択されるPAEKによって実現される。
また本発明によれば、スリーブの内周面および外周面の少なくともいずれか一方の面が凹凸形状を有することによって、大腿骨骨頭の凹所にステムのネック部がスリーブを介して嵌合される嵌合構造において、嵌合力を高めることができる。
本発明の実施形態に係る人工股関節1について、大腿骨および骨盤の一部とともに模式的に示す図である。 本発明の第1実施形態に係る人工股関節1を示す断面図である。 図2に示す人工股関節1に用いられるスリーブ2の斜視図である。 本発明の第2実施形態に係る人工股関節1Aを示す断面図である。 図4に示す人工股関節1Aに用いられるスリーブ2Aの斜視図である。 本発明の第3実施形態に係る人工股関節1Bを示す断面図である。 図6に示す人工股関節1Bに用いられるスリーブ2Bの斜視図である。 本発明の第4実施形態に係る人工股関節1Cを示す断面図である。 図8に示す人工股関節1Cに用いられるスリーブ2Cの斜視図である。 図8に示す人工股関節1Cに用いられるスリーブ2Cの分解斜視図である。 本発明の第5実施形態に係る人工股関節1Dを示す断面図である。 図11に示す人工股関節1Dに用いられるスリーブ2Dの斜視図である。 大腿骨骨頭の凹所にステムのネック部を嵌合させる手順を模式的に示す図である。 人工股関節における静荷重試験の手順を模式的に示す図である。 人工股関節における斜め疲労試験の手順を模式的に示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。まず、人工股関節置換術によって股関節に対して置換される人工股関節について図1を用いて説明する。図1は、本発明の実施形態に係る人工股関節1について、大腿骨および骨盤の一部とともに模式的に示す図である。
図1に示すように、人工股関節1は、ステム6と、大腿骨骨頭8と、スリーブ2とを備える。ステム6は、軸状の部材として形成され、たとえば、先端側が大腿骨101の髄腔部101aに挿入されて、骨セメント104により固定される大腿骨コンポーネントとして構成される。骨セメント104を用いずにステム6が大腿骨101の髄腔部101aに挿入されることもある。そして、ステム6における大腿骨101に挿入される側と反対側の端部には、大腿骨101から突出して配置されるネック部5が設けられている。
大腿骨骨頭8は、骨盤102の寛骨臼102a側に配置されて球状に形成されたコンポーネントとして構成される。そして、大腿骨骨頭8には、凹所7が設けられている。大腿骨骨頭8は、この凹所7において、スリーブ2を介してステム6のネック部5に対して嵌合することで、ステム6に固定される。
また、骨盤102の寛骨臼102aに固定されるとともに、大腿骨骨頭8が摺動するように、カップ103が配置され、このカップ103は、シェル103aおよびライナー103bを有する二層構造のコンポーネントとして構成される。シェル103aは、寛骨臼102aに取付けられる半球殻状の部材として設けられる。ライナー103bは、シェル103aよりも小径の半球殻状の部材として設けられ、シェル103aの寛骨臼102a側と反対側の内面に接触して取付けられる。ライナー103bは、たとえば、超高分子量ポリエチレンなどの樹脂によって形成される。そして、ライナー103bのシェル103a側と反対側の内面に対して、大腿骨骨頭8の外表面の球面部分が摺動するように配置される。
次に、図2〜図12を用いて、本発明の実施形態に係る人工股関節について、詳細に説明する。
(第1実施形態)
図2は本発明の第1実施形態に係る人工股関節1を示す断面図であり、図3は図2に示す人工股関節1に用いられるスリーブ2の斜視図である。本実施形態の人工股関節1は、ステム6と、大腿骨骨頭8と、スリーブ2とを含む。ステム6は、先端3に向かって小径となる円錐台状の外周面4を有するネック部5を有する。大腿骨骨頭8は、ネック部5を挿入可能な凹所7が形成され、凹所7を規定する内面9が、ネック部5の挿入方向Aに向かって小径となる円錐台状の内周面10を含む。スリーブ2は、筒状に形成され、凹所7に挿入されたネック部5の外周面4と大腿骨骨頭8の内周面10との間に介装される。
ステム6は、ステンレス鋼、コバルトクロム合金、またはチタン合金などから選ばれる第1金属から成り、大腿骨101に挿入される側とは反対の端部に、大腿骨骨頭8が装着されるネック部5が設けられる。本実施形態では、ステム6は、コバルトクロム合金であるコバルト−クロム−モリブデン合金(Co−Cr−Mo合金)、またはチタン合金であるチタン−アルミニウム−バナジウム合金(Ti−6Al−4V合金)から成る。
大腿骨骨頭8は、ステンレス鋼、コバルトクロム合金、またはチタン合金などから選ばれる、ステム6を構成する第1金属とは異なる第2金属から成る。本実施形態では、大腿骨骨頭8は、コバルトクロム合金であるCo−Cr−Mo合金から成る。
スリーブ2は、合成樹脂を含む電気絶縁性材料から成り、外形が略円錐台状をなす環状の部材である。使用に際しては、予め、大腿骨骨頭8の凹所7内へ装着しておいてもよい。ネック部5のテーパ形状には、複数種類の規格がある。スリーブ2の形状は、1つの大腿骨骨頭8に対し、装着対象となるネック部5の規格に対応したテーパ形状と組み合わせることが可能なように調整されている。なお、図示するスリーブ2は、小径側の端部を開口させた筒状の形態としているが、小径側端部が閉鎖されたキャップ状(カップ状)の形態としてもよい。
スリーブ2は、大腿骨骨頭8の凹所7から突出させないことが望ましい。突出させる場合、大腿骨骨頭8の外表面を含む仮想球面の外側へ出ないように設定することが望ましい。
スリーブ2の内周面は、ネック部5の外周面4に有効に接触して、ネック部5に対する所要の嵌合長L4を確保することができる。スリーブ2の厚みTにより、この嵌合長L4と、大腿骨骨頭8のネック部5に対するネックオフセット(大腿骨骨頭8の中心からネック部5の先端までの距離)とを調整することが可能である。すなわち、スリーブ2の厚みTを大きくすると、内径が縮小するから、嵌合長L4が短くなり、ネックオフセットが増加する。反対にスリーブ2の厚みTを小さくすると、内径が拡大するから、嵌合長L4が長くなり、ネックオフセットが減少する。スリーブ2の厚みについては、特に制限はないが、実用上0.5〜5.0mmの範囲とするのが望ましい。
このように、スリーブ2の厚みTを変更することで嵌合長L4を変更し、ネック部5に対する大腿骨骨頭8の位置を調整することが可能であるから、厚みTの異なるスリーブ2を用意することで、同じ大腿骨骨頭8とステム6に対し、異なるオフセットを設定することが可能となる。
また、ネック部5のテーパ形状に関する規格の相違に対しても、スリーブ2を介装させることによって、同一または少数種類の大腿骨骨頭8およびステム6を使用することが可能となる。すなわち、異なる形状のステム6であっても、大腿骨骨頭8とネック部5との間に配置するスリーブ2の形状を対応させることによって、大腿骨骨頭8とネック部5とを適合させ、嵌合長L4を調整することが可能となる。このように、介装させるスリーブ2によって、大腿骨骨頭8とネック部5との安定な嵌合状態を得ることができる。
スリーブ2を構成する電気絶縁性材料は、合成樹脂の単一材料であってもよいが、合成樹脂と炭素繊維とが複合化されて成る炭素繊維強化樹脂であることが好ましい。炭素繊維強化樹脂は、炭素繊維を強化材とし、合成樹脂をマトリクスとする複合材料である。スリーブ2を構成する電気絶縁性材料が炭素繊維強化樹脂であることによって、スリーブ2の機械的強度が向上し、それ故、スリーブ2の耐久性を向上することができる。
また、スリーブ2を構成する合成樹脂は、PAEKであることが好ましい。これによって、スリーブ2の機械的強度が向上し、それ故、スリーブ2の耐久性を向上することができる。PAEKとしては、PEEK、PEKK、PEK、ポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)などを挙げることができる。これらの中でも、PEEK、PEKK、PEKが好ましく、PEEKが特に好ましい。
ここで、ステム6を構成する第1金属であるTi−6Al−4V合金と、大腿骨骨頭8を構成する第2金属であるCo−Cr−Mo合金と、スリーブ2を構成する合成樹脂であるPEEKとを用いて、腐食電流密度の測定を行った。なお、腐食電流密度の測定は、JIS T0305「擬似体液中での異種金属間接触腐食試験方法」に従って行った。測定結果を表1に示す。
Figure 0006466259
表1に示す測定結果から明らかなように、本実施形態に係る人工股関節1によれば、大腿骨骨頭8の凹所7に挿入されたステム6のネック部5の外周面4と、大腿骨骨頭8の凹所7を規定する内周面10との間に介装されたスリーブ2が、合成樹脂を含む電気絶縁性材料から成るので、人工股関節1が生体内に埋設されたときに、ステム6とスリーブ2との間、およびスリーブ2と大腿骨骨頭8との間に体液を介して腐食電流が流れることを防止することができ、ステム6のネック部5の外周面4、および、大腿骨骨頭8の凹所7の内周面10に、フレッチング腐食が発生することを抑制することができる。
また、スリーブ2の内周面および外周面の少なくともいずれか一方の面は、凹凸形状を有することが好ましく、スリーブ2の内周面および外周面の両面が凹凸形状を有することが特に好ましい。合成樹脂を含む電気絶縁性材料から成るスリーブ2は、たとえば、合成樹脂から成る柱状のブロック体を機械加工により切削することで作製することができる。スリーブ2の内周面および外周面の凹凸形状は、機械加工時のマシンマークによって形成することができ、この場合、凹凸形状の最大高さ(Rmax)は0.002mm以上、好ましくは0.02mm以上、特に好ましくは0.2mmである。
また、スリーブ2の内周面および外周面の凹凸形状は、該内周面および外周面に多孔質層が形成された構造によっても実現することができる。この場合、多孔質層は、平均開気孔径が10〜200μmであり、厚さが0.002mm以上、好ましくは0.02mm以上、特に好ましくは0.2mmである。このような多孔質層は、たとえば、PEEKから成るスリーブ2の場合、機械加工後に濃硫酸に浸漬することによって形成することができ、あるいは、予め塩化ナトリウム(NaCl)が混合されたPEEKを用いて機械加工によりスリーブ2を作製した後、水に浸漬させてNaClを溶出させることによって形成することができる。
スリーブ2の内周面および外周面の少なくともいずれか一方の面が凹凸形状を有することによって、大腿骨骨頭8の凹所7にステム6のネック部5がスリーブ2を介して嵌合される嵌合構造において、嵌合力を高めることができる。生体内で使用した際、何らかの不具合により大腿骨骨頭8を入れ替える再置換手術が行われる場合、スリーブ2は大腿骨骨頭8と嵌合した状態で、ステム6のネック部5から取り外されることが望ましい。したがって、内周面および外周面に設けられる凹凸形状の最大高さ(Rmax)は内周面にくらべ、外周面のほうが高いほうが望ましい。あるいは外周面にだけ設けられることが望ましい。
また、スリーブ2は、金属から成るステム6のネック部5および大腿骨骨頭8の凹所7とのなじみ性を改善することを目的として、内周面および外周面に、シランカップリング剤から成る表面層が形成されていてもよい。このようなシランカップリング剤から成る表面層は、機械加工により作製されたスリーブ2をエタノール超音波洗浄に付して表面を清浄化した後、シランカップリング剤としてたとえばメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランの0.10mol/L〜0.50mol/Lエタノール溶液に浸漬し、その後、波長300〜400nmの紫外線を5〜90分間照射してグラフト重合反応させ、重合反応後、エタノールで十分に洗浄することによって、形成することができる。
また、スリーブ2は、金属から成るステム6のネック部5および大腿骨骨頭8の凹所7とのなじみ性を改善し、さらには、溶解した金属イオンと結合して該金属イオンの生体内への溶出を抑制することを目的として、内周面および外周面に、金属イオンとキレートをつくるカルボン酸基などの官能基を末端に有するメタクリル酸エステルから成る、厚さ10〜200nmの表面層が、形成されていてもよい。このようなメタクリル酸エステルから成る表面層は、機械加工により作製されたスリーブ2をエタノール超音波洗浄に付して表面を清浄化した後、メタクリル酸エステルとしてたとえば4−メタクリロキシエチルトリメリテートアンヒドリド(4−META)の0.05mol/L〜0.50mol/Lアセトン溶液に浸漬し、その後、波長300〜400nmの紫外線を5〜90分間照射してグラフト重合反応させ、重合反応後、エタノールで十分に洗浄することによって、形成することができる。
(第2実施形態)
図4は本発明の第2実施形態に係る人工股関節1Aを示す断面図であり、図5は図4に示す人工股関節1Aに用いられるスリーブ2Aの斜視図である。なお、前述の第1実施形態と対応する部分には、同一の参照符を付す。本実施形態の人工股関節1Aは、スリーブ2Aの形状が前述のスリーブ2と異なる以外は第1実施形態の人工股関節1と同様に構成される。
本実施形態の人工股関節1Aは、ステム6と、大腿骨骨頭8と、スリーブ2Aとを含む点は、第1実施形態と共通である。ステム6は、先端3に向かって小径となる円錐台状の外周面4を有するネック部5を有する。大腿骨骨頭8は、ネック部5を挿入可能な凹所7が形成され、凹所7を規定する内面9が、ネック部5の挿入方向Aに向かって小径となる円錐台状の内周面10を含む。スリーブ2Aは、凹所7に挿入されたネック部5の外周面4と大腿骨骨頭8の内周面10との間に介装される。
本実施形態のスリーブ2Aは、ネック部5の外周面4に接触する内周部13と、大腿骨骨頭8の内周面10に接触する外周部16とを有しており、挿入方向Aに沿って見たときの内周部13の全長(スリーブ全長に等しい)L1に比べて、外周部16の第2長さL2は短く形成される。すなわち、外周部16における大径側の端縁が、開口部14の端面15よりも挿入方向Aに距離トL1だけ離れた位置となるように設定されている。このため内周部13には、外周部16との長さの差分に基づき、厚みの薄い第3長さL3(=L1−L2)の内周部分17が形成される。このように、スリーブ2Aは、挿入方向Aに沿って見たときに、ネック部5の外周面4に対する内周部13の接触位置と、大腿骨骨頭8の内周面10に対する外周部16の接触位置とが異なっている。
内周部13は、外周部16よりも第3長さL3だけ長い内周部分17を有することによって、ネック部5の外周面4に有効に接触して、ネック部5に対する所要の嵌合長L4を確保することができる。
外周部16は、開口部14の端面15よりも長さトL1だけ挿入方向Aに退避した位置から、すなわち凹所7の途中から、挿入方向Aに第2長さL2にわたって大腿骨骨頭8の内周面10に接触している。外周部16の接触領域を端面15から退避させたことによって、大腿骨骨頭8とスリーブ2Aの外周部16との接触する領域が、端面15から長さトL1の範囲の比較的厚みの薄い領域を避けて、比較的断面積の大きな領域へ変更となる。これによって、大腿骨骨頭8の応力集中部を強度に有利な断面積の大きい位置へ移動させるとともに、発生する最大主応力を低減することができる。
本実施形態に係る人工股関節1Aは、以下に述べるような効果を発揮する。大腿骨骨頭8の内周面10とスリーブ2Aの外周部16とが接触する領域を、厚みBが大きく、強度の高い領域に変更したので、この領域に応力集中する箇所が移動し、大腿骨骨頭8の強度低下および破壊を防止することができる。ステム6のネック部5の外周面4とそれに接触しているスリーブ2Aの内周部13の嵌合長L4を充分な長さとしたので、大腿骨骨頭8のネック部5に対する嵌合強度を確保できる。よって、必要最小限の大腿骨骨頭摺動面積を得られる程度まで、大腿骨骨頭8の全高Hを低くして、大腿骨骨頭8の小型化を実現できるとともに、大腿骨骨頭8の全高Hに対し、充分に大きな嵌合長L4を確保して、優れた固定強度を発現させることができる。また、スリーブ2Aの内周部13に、外周部16よりも第3長さL3だけ長い内周部分17を設けることによって、この内周部分17が、大腿骨骨頭8をネック部5に装着するときのガイドとなり、ネック部5に対し斜めに嵌合する可能性を充分に低くすることができる。
(第3実施形態)
図6は本発明の第3実施形態に係る人工股関節1Bを示す断面図であり、図7は図6に示す人工股関節1Bに用いられるスリーブ2Bの斜視図である。なお、前述の第1実施形態と対応する部分には、同一の参照符を付す。本実施形態の人工股関節1Bは、スリーブ2Bの形状が前述のスリーブ2と異なる以外は第1実施形態の人工股関節1と同様に構成される。
本実施形態の人工股関節1Bは、ステム6と、大腿骨骨頭8と、スリーブ2Bとを含む点は、第1実施形態と共通である。ステム6は、先端に向かって小径となる円錐台状の外周面4を有するネック部5を有する。大腿骨骨頭8は、ネック部5を挿入可能な凹所7が形成され、凹所7を規定する内面が、ネック部5の挿入方向に向かって小径となる円錐台状の内周面10を含む。スリーブ2Bは、凹所7に挿入されたネック部5の外周面4と大腿骨骨頭8の内周面10との間に介装される。
本実施形態のスリーブ2Bは、ネック部5の外周面4に接触する内周部13と、大腿骨骨頭8の内周面10に接触する外周部16とを有し、内周部13と外周部16との間に、スリーブ2Bにおける開口部14側に配置される一端部から挿入方向Aに延び、装着状態でほぼ円筒状のスリット12が形成される。
スリーブ2Bにスリット12を形成したことによって、大腿骨骨頭8に荷重が負荷されたときに、大腿骨骨頭8の開口部14付近が変形するが、これに合わせて、大腿骨骨頭8の内周面10と接触するスリーブ2Bの外周部16が撓むことが可能となる。その結果、大腿骨骨頭8の端面15から一定長さトL2の範囲の、比較的厚みの薄い部分に応力を集中させないようにすることができ、大腿骨骨頭8の破壊強度を向上させることができる。
スリーブ2Bにおけるスリット12の形成長さL5は、外周部16が、大腿骨骨頭8が荷重を受けたときの変形に追随して撓むことができ、それによって、応力集中部を、大腿骨骨頭8の厚みが比較的大きい箇所へ移動させることが可能なように設定される。
なお本実施形態にあっては、前述のスリーブ2と同様に、スリーブ2Bの内外面の嵌合長が等しく、かつ充分な長さに設定されている。このため、ネック部5を斜めに嵌合させるリスクを、前述のスリーブ2と同等に低くすることができる。
(第4実施形態)
図8は本発明の第4実施形態に係る人工股関節1Cを示す断面図であり、図9は図8に示す人工股関節1Cに用いられるスリーブ2Cの斜視図であり、図10は図8に示す人工股関節1Cに用いられるスリーブ2Cの分解斜視図である。なお、前述の第1実施形態と対応する部分には、同一の参照符を付す。本実施形態の人工股関節1Cは、スリーブ2Cの形状が前述のスリーブ2と異なる以外は第1実施形態の人工股関節1と同様に構成される。
本実施形態の人工股関節1Cは、ステム6と、大腿骨骨頭8と、スリーブ2Cとを含む点は、第1実施形態と共通である。ステム6は、先端3に向かって小径となる円錐台状の外周面4を有するネック部5を有する。大腿骨骨頭8は、ネック部5を挿入可能な凹所7が形成され、凹所7を規定する内面9が、ネック部5の挿入方向Aに向かって小径となる円錐台状の内周面10を含む。スリーブ2Cは、凹所7に挿入されたネック部5の外周面4と大腿骨骨頭8の内周面10との間に介装される。当該スリーブ2Cが、ほぼ同一形状の複数のスリーブ部分を積重して多層構造としたものであり、本実施形態では2層構造を呈する。
本実施形態のスリーブ2Cは、図9および図10に示すように、中空円錐台状の外筒部分2aと、この外筒部分2aに内嵌され、外筒部分2aより軸方向長さが長く形成された中空円錐台状の内筒部分2bとを有する。このスリーブ2Cにおいては、外筒部分2aの外周面が、大腿骨骨頭8の内周面10に接する外周部16を構成し、内筒部分2bの内周面が、ネック部5の外周面4に接する内周部13を構成する。なお本実施形態では、外筒部分2aと内筒部分2bとを重ね合わせたとき、小径側の端面が一致するように設定した。
スリーブ2Cは、挿入方向Aに沿って見たときの内筒部分2bの全長(スリーブ全長に等しい)L1に比べて、外筒部分2aの全長L6が短く形成されるので、内筒部分2bと外筒部分2aとを積重したときに、内筒部分2bは、外筒部分2aの一端から、両者の長さの差分L7(=L1−L6)の長さだけ突出する。この突出部分18と、大腿骨骨頭8の内周面10との間には、間隙Sが形成される。
スリーブ2Cの開口部14付近に間隙Sを形成して、大腿骨骨頭8の内周面10と接しない領域を設けたことによって、大腿骨骨頭8に荷重が負荷されたときに、応力集中部を、大腿骨骨頭8の端面15から一定長さトL3だけ離れた、凹所7の奥側の厚みの大きい領域へ移動させることができる。その結果、スリーブ2Cは、開口部14近傍の比較的厚みの薄い部分に応力を集中させないようにすることができるから、大腿骨骨頭8の破壊強度を向上させることができる。
しかも本実施形態のスリーブ2Cは、ほぼ同一形状の外筒部分2aと内筒部分2bとを2重に重ね合わせた構造になっているので、スリーブが単体の場合よりも、外筒部分2aと内筒部分2bどうしの滑り面が増加し、大腿骨骨頭8に生じる応力を小さくすることができる。
本実施形態のスリーブ2Cは、単純な錘状の外筒部分2aと内筒部分2bとの組み合わせであるから、加工が容易であり、生産性に優れる。さらに、多層構造であるから、厚みの調整が容易である。なお、外筒部分2aと内筒部分2bとは、必ずしも同一テーパとしなくてもよい。またスリーブ2Cは、3層以上の多層構造とすることも可能である。
(第5実施形態)
図11は本発明の第5実施形態に係る人工股関節1Dを示す断面図であり、図12は図11に示す人工股関節1Dに用いられるスリーブ2Dの斜視図である。なお、前述の第1実施形態と対応する部分には、同一の参照符を付す。本実施形態の人工股関節1Dは、スリーブ2Dの形状が前述のスリーブ2と異なる以外は第1実施形態の人工股関節1と同様に構成される。
本実施形態の人工股関節1Dは、ステム6と、大腿骨骨頭8と、スリーブ2Dとを含む点は、第1実施形態と共通である。ステム6は、先端3に向かって小径となる円錐台状の外周面4を有するネック部5を有する。大腿骨骨頭8は、ネック部5を挿入可能な凹所7が形成され、凹所7を規定する内面9が、ネック部5の挿入方向Aに向かって小径となる円錐台状の内周面10を含む。スリーブ2Dは、凹所7に挿入されたネック部5の外周面4と大腿骨骨頭8の内周面10との間に介装される。
本実施形態のスリーブ2Dは、ネック部5の外周面4に接触する内周部13と、凹所7の内周面10に接触する外周部16と、開口部14側に広がったフランジ部19とを有する。そして、開口部14側の端部に形成したフランジ部19が、大腿骨骨頭8の開口部14の周囲表面である端面15と面接触する構造とする。また本実施形態では、大腿骨骨頭8の端面15を、厚みの比較的大きい箇所に設定した。
フランジ部19の半径と、挿入方向Aに沿って見た厚みUとは、フランジ部19が、大腿骨骨頭8の表面を含む仮想球面の外側に出ないように設定するのが望ましい。したがって、フランジ部19の半径を大きくするときは厚みUを薄く形成し、厚みUを大きくするときはフランジ部19の半径を小さく形成することが望ましい。
本実施形態のスリーブ2Dは、前記第1〜第4実施形態とは異なり、大腿骨骨頭8の開口部14付近に、間隙Sやスリット12を形成する領域を確保する必要がない。つまり、スリーブ2Dの外周部16は、大腿骨骨頭8の内周面10と、開口部14位置から接するため、大腿骨骨頭8の全高Hを小さくしても、充分な嵌合長を確保することができる。よって、必要最低限の骨頭摺動面積を確保し得る程度まで、大腿骨骨頭8の縮小化が可能であるから、小型の大腿骨骨頭8の提供を図れる。大腿骨骨頭8を小型化すれば、摺動面積も縮小されるから、大腿骨骨頭8表面の研磨加工が容易になる。なおスリーブ2Dは、最大主応力値を低下させるために、大腿骨骨頭8の開口部14付近に、間隙Sやスリット12を形成してもよい。
さらに、スリーブ2Dは、挿入方向Aに沿って見たときの内周部13の長さが、フランジ部19を含む長さとなるので、大腿骨骨頭8の全高Hに対し、ネック部5との嵌合長L8を長くすることができる。よって、大腿骨骨頭8をステム6に固定するため、スリーブ2D内にネック部5を嵌合させる際に、ネック部5を斜めに嵌合させる可能性を低下させるとともに、大腿骨骨頭8の破壊強度の低下を防止することができる。
本実施形態に係る人工股関節1Dは、大腿骨骨頭8に荷重が作用したときに、この荷重は、大腿骨骨頭8を介して、スリーブ2Dにも作用する。スリーブ2Dは、外周部16とフランジ部19とで荷重を受けるから、大腿骨骨頭8に生じる応力は、開口部14から外周部16に沿う方向と、フランジ部19に沿う方向とに分散される。その結果、最大主応力の値が低下する。しかも本実施形態では、フランジ部19が接する端面15を、厚みの大きい箇所に設定したから、破壊強度を向上させることができる。
以下に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
まず、試験方法を以下に示す。
<静荷重試験>
図13は大腿骨骨頭の凹所にステムのネック部を嵌合させる手順を模式的に示す図であり、図14は人工股関節における静荷重試験の手順を模式的に示す図である。まず、ISO 7206−10(2003)に従って、図13に示す治具201a、201bを用い、スリーブを介して大腿骨骨頭とステムのネック部とを嵌合させる。このときの嵌合条件としては、嵌合荷重を2kNとし、制御方式を変位速度制御方式とし、嵌合速度を0.04mm/sとした。次に、上記のようにして嵌合させた状態で、ISO 7206−10(2003)に従って、図14に示す治具202a、202bを用い、静荷重試験を行った。このときの静荷重試験の試験条件としては、試験速度を0.04mm/sとし、治具202bのCone開口角を100°±1°とした。治具202bと大腿骨骨頭の間にISO 7206−10(2003)に従った銅リングを使用した。
<斜め疲労試験>
図15は人工股関節における斜め疲労試験の手順を模式的に示す図である。まず、ASTM F2345−03(2008)に従って、図13に示す治具201a、201bを用い、スリーブを介して大腿骨骨頭とステムのネック部とを嵌合させる。このときの嵌合条件としては、嵌合荷重を2kNとし、制御方式を変位速度制御方式とし、嵌合速度を0.04mm/sとした。次に、上記のようにして嵌合させた状態で、ASTM F2345−03(2008)に従って、図15に示す治具203a、203bを用い、斜め疲労試験を行った。このときの斜め疲労試験の試験条件としては、試験環境を37℃ 0.9%生理食塩水中とし、波形を正弦波とし、周波数を20Hzとし、負荷荷重を3.5kNとし、試験負荷の繰り返し回数を1000万回とした。
<フレッチング腐食試験>
まず、ASTM F2345−03(2008)に従って、図13に示す治具201a、201bを用い、スリーブを介して大腿骨骨頭とステムのネック部とを嵌合させる。このときの嵌合条件としては、嵌合荷重を2kNとし、制御方式を変位速度制御方式とし、嵌合速度を0.04mm/sとした。次に、上記のようにして嵌合させた状態で、ISO 14242−1に従って、AMTI社製の人工股関節シミュレーション試験機による人工股関節シミュレーション試験を行った。そして、500万回のシミュレーション試験後のフレッチング腐食性を目視評価した。
(実施例1)
Ti−6Al−4V合金によりステムのネック部を作製し、Co−Cr−Mo合金により大腿骨骨頭を作製し、PEEK(Victrex社製、商品名450G)によりスリーブを作製した。
(実施例2)
Ti−6Al−4V合金によりステムのネック部を作製し、Co−Cr−Mo合金により大腿骨骨頭を作製し、PEEK(Invibio社製、商品名OptimaLT1)によりスリーブを作製した。
(実施例3)
Ti−6Al−4V合金によりステムのネック部を作製し、Co−Cr−Mo合金により大腿骨骨頭を作製し、炭素繊維を30%含むPEEK(住友化学社製、商品名スミプロイCK4600)によりスリーブを作製した。
(実施例4)
Ti−6Al−4V合金によりステムのネック部を作製し、Co−Cr−Mo合金により大腿骨骨頭を作製し、PEKK(オックスフォードパーフォーマンスマテリアル社製、商品名OXPEKK−MG)によりスリーブを作製した。
(実施例5)
Ti−6Al−4V合金によりステムのネック部を作製し、Co−Cr−Mo合金により大腿骨骨頭を作製し、PEK(Victrex社製、商品名HTG45)によりスリーブを作製した。
(実施例6)
Ti−6Al−4V合金によりステムのネック部を作製し、Co−Cr−Mo合金により大腿骨骨頭を作製した。そして、上記実施例1〜5の各スリーブにおいて、機械加工時のマシンマークによって形成された最大高さ(Rmax)が0.2mmの凹凸溝形状を有するスリーブとした。
(実施例7)
Ti−6Al−4V合金によりステムのネック部を作製し、Co−Cr−Mo合金により大腿骨骨頭を作製した。そして、上記実施例1〜3の各スリーブにおいて、内周面および外周面に厚さ0.2mmの多孔質層が形成されたスリーブとした。
(比較例1)
Ti−6Al−4V合金によりステムのネック部を作製し、Co−Cr−Mo合金により大腿骨骨頭を作製した。比較例1では、スリーブを用いなかった。
(比較例2)
Ti−6Al−4V合金によりステムのネック部を作製し、Co−Cr−Mo合金により大腿骨骨頭を作製し、Ti−6Al−4V合金によりスリーブを作製した。
<試験結果>
スリーブを用いた実施例1〜7では、静荷重試験において、300kNの荷重を加えても、ステムのネック部、大腿骨骨頭およびスリーブの破損が発生せず、十分な荷重支持性を有する結果となった。また、斜め疲労試験において、1000万回の試験終了後、ステムのネック部、大腿骨骨頭およびスリーブの破損が発生せず、ステムのネック部の大腿骨骨頭の凹所への過度な沈み込みが認められずに試験前後の全長に変化はなく、大腿骨骨頭とスリーブとの間、スリーブとステムのネック部との間での緩みまたは回転は認められずに良好であった。さらに、フレッチング腐食試験において、500万回のシミュレーション試験後に、ステムのネック部の外周面、および、大腿骨骨頭の凹所の内周面にはフレッチング腐食の発生が認められなかった。
上記の実施例1〜7の試験結果に対し、スリーブを用いない比較例1では、フレッチング腐食試験において、500万回のシミュレーション試験後に、ステムのネック部の外周面、および、大腿骨骨頭の凹所の内周面に、フレッチング腐食の発生が認められた。また、Ti−6Al−4V合金によるスリーブを用いた比較例2では、フレッチング腐食試験において、500万回のシミュレーション試験後に、ステムのネック部の外周面、大腿骨骨頭の凹所の内周面、および、スリーブの内周面および外周面に、フレッチング腐食の発生が認められた。
(参考例1)
Ti−6Al−4V合金によりステムのネック部を作製し、アルミナまたはジルコニア強化アルミナにより大腿骨骨頭を作製した。そして、上記実施例1〜7の各スリーブを用いた。
(参考例2)
Ti−6Al−4V合金によりステムのネック部を作製し、アルミナまたはジルコニア強化アルミナにより大腿骨骨頭を作製した。参考例2では、スリーブを用いなかった。
<試験結果>
スリーブを用いた参考例1では、静荷重試験において、100kNの荷重を加えても、ステムのネック部、大腿骨骨頭およびスリーブの破損が発生せず、十分な荷重支持性を有する結果となった。これに対し、スリーブを用いない参考例2では、アルミナから成る大腿骨骨頭は60kNの荷重で破損し、ジルコニア強化アルミナから成る大腿骨骨頭は85kNの荷重で破損した。
1,1A,1B,1C,1D 人工股関節
2,2A,2B,2C,2D スリーブ
3 先端
4 外周面
5 ネック部
6 ステム
7 凹所
8 大腿骨骨頭
9 内面
10 内周面

Claims (7)

  1. 第1金属から成り、先端に向かって小径となる円錐台状の外周面を有するネック部を有するステムと、
    前記第1金属とは異なる第2金属から成り、前記ネック部を挿入可能な凹所が形成される大腿骨骨頭であって、前記ネック部の挿入方向に向かって小径となる円錐台状の内周面によって前記凹所が規定される大腿骨骨頭と、
    合成樹脂を含む電気絶縁性材料から成り、内周面の少なくとも一部および外周面の少なくとも一部にシランカップリング剤から成る表面層が形成され、前記凹所に挿入された前記ネック部の前記外周面と前記大腿骨骨頭の前記内周面との間に介装されたスリーブと、を含むことを特徴とする人工股関節。
  2. 第1金属から成り、先端に向かって小径となる円錐台状の外周面を有するネック部を有するステムと
    前記第1金属とは異なる第2金属から成り、前記ネック部を挿入可能な凹所が形成される大腿骨骨頭であって、前記ネック部の挿入方向に向かって小径となる円錐台状の内周面によって前記凹所が規定される大腿骨骨頭と、
    合成樹脂を含む電気絶縁性材料から成り、内周面の少なくとも一部および外周面の少なくとも一部に金属イオンとキレートを作る官能基を末端に有するメタクリル酸エステルから成る表面層が形成され、前記凹所に挿入された前記ネック部の前記外周面と前記大腿骨骨頭の前記内周面との間に介装されたスリーブと、を含むことを特徴とする人工股関節。
  3. 前記表面層は、厚さ10〜200nmであることを特徴とする請求項2に記載の人工股関節。
  4. 前記電気絶縁性材料は、炭素繊維をさらに含み、前記合成樹脂と前記炭素繊維とが複合化されて成る炭素繊維強化樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の人工股関節。
  5. 前記合成樹脂は、ポリアリルエーテルケトンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の人工股関節。
  6. 前記ポリアリルエーテルケトンは、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、およびポリエーテルケトンから選択されることを特徴とする請求項に記載の人工股関節。
  7. 前記スリーブの内周面および外周面の少なくともいずれか一方の面は、凹凸形状を有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の人工股関節。
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