JP6465048B2 - 方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、変圧器などの鉄心材料に用いて好適な方向性電磁鋼板の製造方法に関するものである。
方向性電磁鋼板は、主に変圧器(トランス)の鉄心として利用され、磁気特性に優れていること、特に鉄損が低いことが求められている。
そのためには、鋼板中の二次再結晶粒を、(110)[001]方位(いわゆる、ゴス方位)に高度に揃えることや、製品鋼板中の不純物を低減することが重要である。しかしながら、結晶方位を制御することや、不純物を低減することは、製造コストとの兼ね合い等で限界がある。そこで、鋼板の表面に対して物理的な手法で不均一性を導入し、磁区の幅を細分化して鉄損を低減する技術、すなわち磁区細分化技術が開発されている。
例えば、特許文献1には、最終製品板にレーザーを照射し、鋼板表層に線状の高転位密
度領域を導入し、磁区幅を狭くすることで、鋼板の鉄損を低減する技術が提案されている
。特許文献2には、電子ビーム照射により鋼板表層に高転位密度領域を導入することにより、磁区幅を狭くし鉄損を低減する技術が提案されている。特許文献3には、最終冷間圧延後、印刷によってエッチングレジストを線状に塗布した後、エッチングを施して線状の溝を形成してから、該レジストを除去し、その後脱炭焼鈍および最終仕上げ焼鈍を行うことにより、磁区幅を狭くし鉄損を低減する技術が提案されている。
また、特許文献4には、仕上げ焼鈍済みまたは絶縁被膜処理済みの鋼板表面に所定方向及び所定荷重で溝を形成した後、歪取り焼鈍により歪導入部に人工的に微細粒を生じさせ、この微細粒と二次再結晶粒との界面から磁区細分化の芽を発生させ、鉄損を低減する技術が提案されている。
特公昭57-2252号公報 特開2012-036450号公報 特開平4−88121号公報 特開昭61-117218号公報 特開平10-183313号公報 特開平10-17931号公報 特開平10-183312号公報
上記の特許文献1〜4の技術によって、変圧器の素材段階の方向性電磁鋼板(以下、素材鋼板ともいう)では、鉄損をある程度低減することが可能となった。しかし、省エネルギー化の観点より、上記の素材鋼板から組み立てられる変圧器の鉄損の更なる低鉄損化のニーズは高く、新たな技術開発が要望されている。
すなわち、変圧器の鉄損は、通常、素材鋼板の鉄損よりも大きくなり、その増加割合はビルディングファクターと呼ばれている。これは、変圧器の組み立ての際に導入される歪みや素材鋼板での鉄損評価時には発生しない回転磁束の発生などに起因するものと考えられる。このため、変圧器の鉄損を更に低減する観点からは、素材鋼板の鉄損を低下させるだけでなく、ビルディングファクターを併せて低減することが重要となる。
例えば、特許文献5〜7には、仕上げ焼鈍前の鋼板に歪みを導入して、局所的に結晶成長の駆動力を増加させることで、一般的な結晶粒(ゴス方位から大きくずれた方位を有する一次再結晶粒)の核生成および成長の駆動力を高めることが可能になることから、これによって、仕上げ焼鈍後の鋼板においてゴス方位から大きくずれた方位の人工的な微細粒を規則的に配置して、ビルディングファクターを低減する技術が開示されている。
これらの技術により、ビルディングファクターについてもある程度の改善が図られるようになった。しかし、特許文献5〜7の技術を適用した場合であっても、場合によっては十分にビルディングファクターが低減されないケースが確認されている。このため、ビルディングファクター変動要因の解明を目的とした調査を行い、変圧器に組み立てた際に安定的に一層良好な鉄損特性が得られる方向性電磁鋼板の開発が望まれているのが現状である。
本発明は、上記の現状に鑑み開発されたものであって、変圧器に組み立てた際に安定的に良好な鉄損特性が得られる、方向性電磁鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
さて、発明者らは、上記の目的を達成すべく、鋭意検討を重ねた。
まず、発明者らは、特許文献5〜7の技術のようにして、脱炭焼鈍後に得られた鋼板(以下、脱炭焼鈍板ともいう)に対し、通常の大気環境下で、パルスレーザーの照射や突起物での押圧を行って鋼板に局所的に歪みを導入して、一般的な結晶粒(ゴス方位から大きくずれた方位を有する一次再結晶粒)の核生成および成長駆動力の増大を促したのち、仕上げ焼鈍を施して得た鋼板の断面観察を実施した。
その結果、レーザー照射部や突起物押圧部では、それ以外の領域とフォルステライト被膜の状態が異なり、クラックが発生していたり、厚みが薄かったり、フォルステライト粒径が不均一となっていることが判明した。
そこで、発明者らは、このフォルステライト被膜の不均一性がビルディングファクターに影響を及ぼしている可能性があると考え、フォルステライト被膜の均一化を図りつつ、結晶粒の核生成および成長駆動力の増大を促すことができる方法について、さらに検討を重ねた。
その結果、脱炭焼鈍板に、該鋼板表面と雰囲気ガスとの反応を抑制した条件下で、局所的に熱歪みを導入することによって、フォルステライト被膜の均一化を図りつつ、結晶粒の核生成および成長駆動力の増大を促すことが可能となり、これによって、ビルディングファクターが有利に改善され、変圧器に組み立てた際に安定的に良好な鉄損特性が得られることが判明した。
以下、上記の知見を導くに至った実験について説明する。なお、変圧器の製造時に導入される応力(歪み)による鉄損の劣化を抑制するためには、鋼板の被膜張力によって導入される応力を緩和させることが有効であると考えられる。また、回転磁束による鉄損増加は、磁束成分に磁化困難方向である圧延直角成分が含まれていることに起因しているので、この増加を抑制するには、圧延直角方向の被膜張力を増加させることが有効であると考えられる。このため、発明者らは、ビルディングファクターの改善策として、被膜張力を生み出しているフォルステライト被膜に着目して、検討を行った。
<実験1>
C:0.075質量%、Si:3.35質量%、Mn:0.07質量%、P: 0.05質量%、S:0.004質量%、Al:0.026質量%、Se:0.022質量%およびN:0.0075質量%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成からなる鋼スラブを1400℃に加熱した後、熱間圧延により板厚:2.3mmの熱延板とし、1100℃で80秒の熱延板焼鈍を施した。ついで、冷間圧延により板厚:0.27mmの冷延板とし、酸化雰囲気:PH2O/PH2=0.35にて850℃で2分間の脱炭焼鈍(一次再結晶焼鈍)を施した。次に、二次再結晶生成核の増大を促し、仕上げ焼鈍後の鋼板において人工的な微細粒を生成させるため、パルスレーザー、プラズマジェット、放電加熱または突起ロールを用い、脱炭焼鈍板に局所的に歪みを導入した。
なお、ここでいう人工的な微細粒は、二次再結晶によって生じたものではなく、ゴス方位からずれた一次再結晶粒が正常粒成長したものである。
すなわち、脱炭焼鈍板に歪みを導入して一般的な結晶粒(ゴス方位から大きくずれた方位を有する一次再結晶粒)の核生成および成長駆動力の増大を促すことにより、歪みが導入された局所領域の周囲の一次再結晶粒は、仕上げ焼鈍の際に、二次再結晶粒に蚕食される一方で、局所領域の一次再結晶粒は、周囲の一次再結晶より大きく成長することとなる。その結果、局所領域の一次再結晶粒は二次再結晶粒には蚕食されずに一次再結晶粒のまま残り、結果として、二次再結晶粒に比較すれば微細な粒(人工的な微細粒)が、局所領域において島状に生成される。
ここで、歪み導入部は鋼板表面で直径(円相当直径)a:0.8mmのサイズとし、かような歪み導入部を、図1(a)示すように、圧延直角方向(幅方向)の間隔bを10mm、圧延方向の間隔cを20mmとして、点列状に繰り返し設けた。また、処理雰囲気は、大気、N2、真空(真空度:0.1Pa)のいずれかとした。
なお、パルスレーザーの照射条件は、ビーム径を150μm、照射エネルギー密度を2.0J/cm2とした。また、プラズマジェットの照射条件は、ノズル径を0.3mm、照射エネルギー密度を2.0J/cm2とした。さらに、放電加熱条件は、電極径を200μm、放電エネルギー密度を1.5J/cm2とした。加えて、突起ロールを用いる際の条件は、突起物径を0.25mm、押圧力を100kg/mm2とした。
その後、鋼板表面に焼鈍分離剤としてMgOをスラリー塗布し、二次再結晶、フォルステライト被膜形成および純化を目的とした仕上げ焼鈍を1250℃×30時間、H2雰囲気の条件で実施した。得られた鋼板に、50%のコロイダルシリカとリン酸マグネシウムからなる絶縁コートを塗布し、公知の条件でレーザー照射を行うことにより、さらに高転位密度域を導入して、方向性電磁鋼板を製造した。そして、製造した鋼板(素材鋼板)の磁気特性を評価した。
また、上記のようにして製造した鋼板を用いて、鉄心構造三相三脚、ヨーク形状はVノッチ、2枚重ねの5段ステップラップで積層した小型モデルトランスを作製し、変圧器の磁気特性を測定した。
表1に素材鋼板の磁気特性と、当該素材鋼板から作製した変圧器の磁気特性を示す。
Figure 0006465048
表1より、熱歪み型の歪み導入手法(パルスレーザー、プラズマジェットおよび放電加熱)を用いた場合には、処理雰囲気によって、ビルディングファクターが変化することがわかる。一方、機械的な歪み導入手法である突起ロールを用いた場合には、処理雰囲気の違いによるビルディングファクターの変化は見られなかった。
<実験2>
上記の実験1において、処理雰囲気によってビルディングファクターが変化した原因を調査するため、上記の実験1と同様にして、脱炭焼鈍板に歪みを導入し、歪み導入後の脱炭焼鈍板の断面組織観察を行った。この歪み導入後の脱炭焼鈍板の断面組織観察結果について以下に述べる。
なお、鋼板に歪みを導入し、一般的な結晶粒(ゴス方位から大きくずれた方位を有する一次再結晶粒)の核生成および成長駆動力の増大を促した領域を局所領域、それ以外の領域を非局所領域という。
まず、機械的な歪み導入手法(突起ロール)を用いた場合、突起ロールによる押圧により、局所領域では、処理雰囲気によらずサブスケールにクラックが入ったり、厚みが減少したりしていた。このため、局所領域と非局所領域とでは、サブスケールの形態が明らかに異なっていた。
一方、熱歪み型の歪み導入手法(パルスレーザー、プラズマジェットおよび放電加熱)を用いた場合、処理雰囲気によって局所領域と非局所領域のサブスケールの形態に変化が生じていた。
すなわち、処理雰囲気を大気とした場合、局所領域では、追加酸化により、非局所領域に比べサブスケールが非常に厚くなっており、局所領域と非局所領域とでは、サブスケールの形態に変化が生じていた。
また、処理雰囲気をN2または真空とした場合にも、局所領域と非局所領域の観察結果を比較することで、顕著ではないものの両者のサブスケール形態の差は確認できた。
なお、この局所領域と非局所領域のサブスケール形態の相違は、処理雰囲気をN2とした場合の方が大きかった。この原因としては、処理雰囲気をN2とした場合には、サブスケールとN2が反応したことや鋼板表面に付着した状態で持ち込まれたガス(以下、持ち込みガスともいう)がサブスケールと反応したことなどが考えられる。
このサブスケール形態の相違により、フォルステライト被膜の形成状態も均一ではなく、その結果、局所領域と非局所領域のフォルステライト被膜張力が異なるものとなったと考えられる。フォルステライト被膜張力が変化しているのは、鋼板全体からみれば非常に狭小な領域である局所領域であるため、大きな影響は及ぼさないと考えるのが一般的ではあるが、上記の結果より、局所領域と非局所領域のサブスケール形態の相違によるフォルステライト被膜の不均一が、ビルディングファクターの増大に影響を与えているものと考えられる。
なお、処理雰囲気を真空とした場合、加工室内は連続的に排気されるため、持ち込みガスが滞留することも殆どない。このため、真空雰囲気で歪み導入処理を行った場合に、局所領域と非局所領域とでサブスケール形態が相違した原因としては、持ち込みガスを含む雰囲気ガスとの反応とは考え難く、次のような原因が考えられる。
すなわち、パルスレーザー、プラズマジェットおよび放電加熱といった熱歪み型の歪み導入手法を用いる場合、鋼板表層部の温度が高くなり、この鋼板表層部の熱が内部に拡散していく。この拡散していく熱により、鋼板内部の結晶粒に歪みが導入されるが、この際、サブスケールが存在する最表層は非常に高い温度となる。この最表層を含む表層部の高温化によって、サブスケール形態が変化した可能性が考えられる。
<実験3>
実験1および2の結果より、鋼板に局所的な歪みを与える手法はサブスケールに機械的な変化を与えない熱歪み型が好ましく、熱歪み導入時に極力サブスケールの形態変化を抑制することが重要であると考えられる。そこで、ここでは、パルスレーザーにより鋼板に熱歪みを導入する際の真空度を変化させた場合のビルディングファクターの変化について調査した。なお、上記以外の実験条件などは、実験1の場合と同様である。図2に結果を示す。
図2より、真空度を10Pa以下とすることで、ビルディングファクターの有意な改善が見られることがわかる。また、真空度を3Pa以下にすることで、特に良好なビルディングファクターが得られることがわかる。
<実験4>
実験1および2の結果より、歪みを導入する際にサブスケールに付与される熱はできる限り少ないことが好ましいと考えられる。そこで、鋼板内部へは十分に熱が付与される一方、鋼板表層での熱付与を抑制することができる手段を検討した結果、電子ビーム照射が好適手段の候補として浮上した。
すなわち、電子ビーム照射はパルスレーザーやプラズマジェットとは異なり、電子銃より照射された電子が鋼板表層を透過し、鋼板内部で母材と衝突して、熱エネルギーに変換される。このため、鋼板表層の温度上昇を抑制しつつ、鋼板内部に熱歪みを導入することが可能と考えられる。
そこで、歪み導入手段を電子ビーム照射で行った以外は実験1と同様の条件で、方向性電磁鋼板を製造し、その磁気特性を測定した。なお、電子ビームの照射雰囲気は真空(真空度:0.1Pa)とした。また、電子ビームの照射条件は、照射エネルギー密度:0.7J/cm2をとし、加速電圧:200kV、電子ビーム径:100μmとした。
ついで、この方向性電磁鋼板を素材として、実験1と同様に小型モデルトランスを作製し、変圧器の磁気特性を測定した。表2に素材として使用した鋼板と、該鋼板から作製した変圧器の磁気特性を示す。
Figure 0006465048
表2より、電子ビーム照射により鋼板に歪みを導入した場合は、他の熱歪み型の歪み導入手法(パルスレーザー、プラズマジェットおよび放電加熱)を用いた場合に比べ、一層良好なビルディングファクターを示すことが判明した。
本発明は、上記の実験1〜4で得られた知見に基づき、さらに検討を加えた末に完成されたものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.質量%で、C:0.08%以下、Si:2.0〜8.0%およびMn:0.005〜1.0%を含有する鋼スラブを熱間圧延して熱延板とし、該熱延板に熱延板焼鈍を施し、または熱延板焼鈍を施すことなく、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施して最終板厚の冷延板とし、さらに該冷延板に、脱炭焼鈍を施して脱炭焼鈍板としたのち、該脱炭焼鈍板に焼鈍分離剤を塗布して仕上げ焼鈍を実施する、方向性電磁鋼板の製造方法において、
上記脱炭焼鈍の完了後、上記仕上げ焼鈍の開始前までの間に、上記脱炭焼鈍板の表面と雰囲気ガスとの反応を抑制した条件下で、上記脱炭焼鈍板に局所的に熱歪みを導入することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
2.前記鋼スラブが、質量%でさらに、Ni:0.03〜1.50%、Sn:0.01〜1.50%、Sb:0.005〜1.50%、Cu:0.03〜3.0%、P:0.03〜0.50%、Mo:0.005〜0.10%およびCr:0.03〜1.50%のうちから選んだ1種または2種以上を含有することを特徴とする前記1に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
3.前記熱歪みを導入する際の雰囲気を真空とし、その真空度を3Pa以下とすることを特徴とする前記1または2に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
4.前記熱歪みを導入した局所領域を、前記方向性電磁鋼板の圧延直角方向に点列状に配置するとともに、圧延方向に繰り返し、
上記局所領域の直径を0.1〜3.0mm、上記局所領域の圧延直角方向の間隔を5.0〜50mm、上記局所領域の圧延方向の間隔を5.0〜50mmとすることを特徴とする前記1〜3のいずれかに記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
5.前記熱歪みを導入する手法が、電子ビーム照射であることを特徴とする前記1〜4のいずれかに記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
本発明によれば、フォルステライト被膜の均一化を図りつつ、一般的な結晶粒の核生成および成長駆動力の増大を促す熱歪みを導入することができ、これにより、加工条件等によらず安定してビルディングファクターを改善することが可能な方向性電磁鋼板を製造できる。そして、かような方向性電磁鋼板を素材鋼板として用いることにより、実変圧器においても良好な鉄損特性を得ることが可能となる。
鋼板表面における歪み導入部の形成状況の例を示す図である。 真空度を種々変化させてパルスレーザーにより鋼板に熱歪みを導入した場合の、ビルディングファクターの変化を示す図である。
以下、本発明を具体的に説明する。
まず、本発明の方向性電磁鋼板の製造方法で用いる鋼スラブの成分組成について、説明する。
C:0.08質量%以下
Cは、熱延板組織の改善のために添加をするが、0.08質量%を超えると磁気時効の起こらない50質量ppm以下までCを製造工程中に低減することが困難になる。このため、C量は0.08質量%以下とする。なお、下限に関しては、Cを含まない素材でも二次再結晶が可能であるので特に設ける必要はない。
Si:2.0〜8.0質量%
Siは、鋼の電気抵抗を高め、鉄損を改善するのに有効な元素である。しかし、Si量が2.0質量%に満たないと十分な鉄損低減効果が達成できない。一方、Si量が8.0質量%を超えると、加工性が著しく低下し、また磁束密度も低下する。このため、Si量は2.0〜8.0質量%の範囲とする。
Mn:0.005〜1.0質量%
Mnは、熱間加工性を良好にする上で必要な元素である。しかし、Mn量が0.005質量%未満ではその添加効果に乏しい。一方、Mn量が1.0質量%を超えると、製品板の磁束密度が低下する。このため、Mn量は0.005〜1.0質量%の範囲とする。
また、二次再結晶を生じさせるためにインヒビターを利用する場合、例えばAlN系インヒビターを利用する場合であればAlおよびNを、またMnS・MnSe系インヒビターを利用する場合であればMnとSeおよび/またはSを適量含有させればよい。勿論、両インヒビターを併用してもよい。なお、Al、N、SおよびSeの好適含有量はそれぞれ、Al:0.01〜0.065質量%、N:0.005〜0.012質量%、S:0.005〜0.03質量%、Se:0.005〜0.03質量%である。
さらに、本発明では、Al、N、SおよびSeの含有量を制限した、インヒビターを使用しない成分組成の鋼スラブを用いることもできる。この場合には、Al、N、SおよびSe量はそれぞれ、Al:100質量ppm未満、N:50質量ppm未満、S:50質量ppm未満、Se:50質量ppm未満に抑制することが好ましい。
また、上記の基本成分に、さらに磁気特性改善成分として、次に述べる元素を適宜含有させることができる。
Ni:0.03〜1.50質量%、Sn:0.01〜1.50質量%、Sb:0.005〜1.50質量%、Cu:0.03〜3.0質量%、P:0.03〜0.50質量%、Mo:0.005〜0.10質量%およびCr:0.03〜1.50質量%のうちから選んだ少なくとも1種
Niは、熱延板組織を改善して磁気特性を向上させるために有用な元素である。しかし、Ni量が0.03質量%未満では磁気特性の向上効果が小さい。一方、Ni量が1.50質量%を超えると、二次再結晶が不安定になり磁気特性が劣化する。そのため、Ni量は0.03〜1.50質量%の範囲とするのが好ましい。
また、Sn、Sb、Cu、P、MoおよびCrはそれぞれ磁気特性の向上に有用な元素であるが、いずれも上記した各成分の下限に満たないと、磁気特性の向上効果が小さい。一方、上記した各成分の上限量を超えると、二次再結晶粒の発達が阻害される。このため、Sn、Sb、Cu、P、MoおよびCrはそれぞれ上記の範囲で含有させることが好ましい。
なお、上記成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。
次に、製造工程について説明する。
上記した成分組成を有する鋼スラブを、常法に従い加熱して熱間圧延に供する。ただし、鋳造後、加熱せずに直ちに熱間圧延してもよい。また、薄鋳片の場合には、熱間圧延しても良いし、熱間圧延を省略してそのまま以後の工程に進んでもよい。
ついで、得られた熱延板に必要に応じて熱延板焼鈍を施す。この時、ゴス組織を製品板において高度に発達させるためには、熱延板焼鈍温度を800〜1100℃の範囲とすることが好適である。熱延板焼鈍温度が800℃未満であると、熱間圧延でのバンド組織が残留し、整粒した一次再結晶組織を実現することが困難になり、二次再結晶粒の発達が阻害されるおそれがある。一方、熱延板焼鈍温度が1100℃を超えると、熱延板焼鈍後の結晶粒径が粗大化しすぎるために、整粒した一次再結晶組織の実現が困難となるおそれがある。
その後、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施して最終板厚の冷延板とし、該冷延板に脱炭焼鈍(一次再結晶焼鈍)を施し、脱炭焼鈍板とする。なお、冷間圧延条件および焼鈍条件については、特に限定されず、常法に従えばよい。
そして、本発明では、上記のようにして得た脱炭焼鈍板に、鋼板の表面と雰囲気ガスとの反応を抑制した条件下で局所的に熱歪みを導入することが重要である。この熱歪み導入処理は、鋼板表面に形成されているサブスケールの形態をできる限り変化させないことが必要である。具体的には、熱歪み導入時の雰囲気との化学反応や熱分解反応を抑制することが必要であり、そのため、熱歪み導入時の処理雰囲気を真空とすることや、熱歪み導入温度を低下させること、高温でより安定なサブスケールを鋼板表面に形成させることなどが有効である。
なお、ここで抑制すべき化学反応や熱分解反応には、鋼板からの持ち込みガスとの反応も含まれる。
また、処理雰囲気を真空とするときの真空度は、鋼板からの持ち込みガスなどを十分に抑制する観点から、10Pa以下とすることが好ましい。より好ましくは3Pa以下、さらに好ましくは0.5Pa以下である。なお、真空度の下限は特に限定されないが、通常10-5Pa程度である。
さらに、熱歪みを導入する加工室の前段に、別途1つあるいは複数の前段加工室を設け、加工室の一つ手前の前段加工室での真空度を100Pa以下とすることにより、より有効に鋼板からの持ち込みガスを抑制することが可能となる。
また、ここでいう熱歪み導入処理は、当該熱歪みを導入した局所領域において、一般的な結晶粒(ゴス方位から大きくずれた方位を有する一次再結晶粒)の核生成および成長駆動力の増大を促し、仕上げ焼鈍後に得られる鋼板において微細粒を生成させるものであり、特に鋼板への入熱量、すなわち照射エネルギー密度を後述する範囲に調整することも重要である。
また、歪みを導入する局所領域は、図1(c)に示すように離散的に分布させてもよいが、図1(a)および(b)に示すように、鋼板の圧延直角方向(幅方向)に点列状に配置し、これを圧延方向に繰り返すことが好ましい。
また、図1(a)〜(c)のようにして局所領域を導入する場合、局所領域の直径(円相当直径)aは0.1〜3.0mmとすることが好ましい。また、鋼板表面に設ける局所領域の数は、鋼板表面1.0cm2あたり0.04〜4個とすることが好ましい。
さらに、図1(a)および(b)のようにして局所領域を導入する場合には、局所領域の圧延直角方向(幅方向)の間隔bは5.0〜50mm、圧延方向の間隔cは5.0〜50mmとすることが好ましい。なお、幅方向における間隔は、必ずしも規則的である必要はなく、不規則な間隔としてもよい。
また、図1(d)に示すように、破線状を含む線状として局所領域を導入してもよい。この場合の好適な圧延方向における線幅a´は0.1〜3.0mmである。なお、線の圧延方向の間隔c´は、図1(a)および(b)の場合と同様とすればよい。
また、上記の熱歪み導入処理手法としては、電子ビーム照射やパルスレーザー照射、プラズマジェット照射、放電加熱などが挙げられるが、サブスケールへの熱付加をできる限り抑制する観点からは、電子ビーム照射が好適である。
ここで、好適な電子ビーム照射条件としては、電子をサブスケールに透過させ、できる限り鋼板内部へ電子を浸入させるために、加速電圧を60kV以上とすることが好ましい。より好ましくは120kV以上である。なお、上限は特に限定されるものではないが、通常500kV程度である。また、電子ビーム径は0.5mm以下、照射エネルギー密度は0.5〜3J/cm2とすることが好ましい。特に、照射エネルギー密度が0.5J/cm2未満になると人工的微細粒の生成確率が低下する。一方、照射エネルギー密度が3J/cm2を超えると、歪み量が増加し、鋼板形状が劣化し、製造性が低下してしまうおそれがある。より好ましくは0.7〜1.5J/cm2である。なお、照射エネルギー密度は、加速電圧、ビーム電流およびビーム滞留時間を変化させることにより、調整可能である。
また、パルスレーザー照射条件については、照射エネルギー密度を1.0〜2.0J/cm2、ビーム径を10〜100μmとすることが好ましい。
さらに、プラズマジェット照射条件については、原料ガスとしてアルゴンガスを用いて、ノズル径を0.1〜1.0mm、照射エネルギー密度を1.0〜2.0J/cm2することが好ましい。
加えて、放電加熱条件については、電極径を50〜500μm、照射エネルギー密度を1.0〜2.0J/cm2とすることが好ましい。
なお、パルスレーザー、プラズマジェットおよび放電加熱の照射エネルギー密度は、投入電流量を変化させることにより、調整可能である。
上記のようにして鋼板に熱歪みを導入した後、焼鈍分離剤を塗布し、二次再結晶およびフォルステライト被膜形成、さらには純化を目的とした仕上げ焼鈍を施す。仕上げ焼鈍条件は、特に限定されず、常法に従えばよい。
また、仕上げ焼鈍後、平坦化焼鈍を行って形状を矯正することもできる。なお、平坦化焼鈍前または後に、鋼板表面に絶縁コーティングを施すことができる。ここに、この絶縁コーティングは、本発明では、鉄損低減のために、鋼板に張力を付与できるコーティング(以下、張力コーティングという)を意味する。なお、張力コーティングとしては、シリカを含有する無機系コーティングや物理蒸着法、化学蒸着法等によるセラミックコーティング等が挙げられる。
さらに、上記のようにして得られた鋼板に、更なる鉄損低減を目的としてレーザー、プラズマ、電子ビーム等を照射して、磁区を細分化することも可能である。また、冷間圧延後の鋼板に印刷等によりエッチングレジストを付着させたのち、非付着域に電解エッチング等の処理により線状溝を形成して、磁区を細分化することも可能である。
<実施例1>
C:0.07質量%、Si:3.4質量%、Mn:0.1質量%、Ni:0.04質量%、Al:220質量ppm、N:80質量ppm、Se:120質量ppmおよびS:5質量ppmを含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼スラブを、連続鋳造にて製造し、1410℃に加熱後、熱間圧延により板厚:2.7mmの熱延板としたのち、1080℃で100秒の熱延板焼鈍を施した。ついで、冷間圧延により中間板厚:0.80mmとし、酸化度PH2O/PH2=0.40、温度:975℃、時間:70秒の条件で中間焼鈍を実施した。その後、塩酸酸洗により表面のサブスケールを除去したのち、再度、冷間圧延を実施して、板厚:0.23mmの冷延板とした。
ついで、上記のようにして得た冷延板に、酸化度PH2O/PH2=0.44、均熱温度845℃で300秒保持する脱炭焼鈍を施し、熱歪みの導入処理を行った。ここで、歪みを導入した局所領域は鋼板表面で直径(円相当直径)a:0.3mmのサイズとし、かような局所領域を、図1(a)示すように、圧延直角方向の間隔bを15mm、圧延方向の間隔cを25mmとして点列状に設けた。
また、歪み導入手段としては、パルスレーザー、プラズマジェットまたは電子ビームとした。処理雰囲気および照射エネルギー密度はそれぞれ表3に示すとおりである。なお、処理雰囲気および照射エネルギー密度以外の条件は、以下のとおりである。
・パルスレーザー;ビーム径:80μm
・プラズマジェット;ノズル径:150μm(原料ガス:アルゴンガス)
・電子ビーム;加速電圧:150kV、電子ビーム径:180μm
その後、MgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、二次再結晶・フォルステライト被膜形成および純化を目的とした仕上げ焼鈍を1200℃、30Hrの条件で実施した。そして、60%のコロイダルシリカとリン酸アルミニウムからなる絶縁コートを塗布、800℃にて焼付けた。このコーティング塗布処理は、平坦化焼鈍も兼ねている。
その後、さらに圧延直角方向に電子ビームを点列状に照射し、磁区細分化処理を実施した。磁区細分化処理条件は、加速電圧:100kV、ドット間隔(圧延直角方向の間隔):0.20mm、照射線間隔(圧延方向の間隔):6.0mm、走査速度60m/sec、加工室圧力:0.01Paとした。そして、上記の処理条件により磁区細分化処理を鋼板の片面に施して得た方向性電磁鋼板の磁気特性(W17/50およびB8)を評価した。
また、上記のようにして得た鋼板を斜角せん断し、1000kVAの三相トランスを組み立て、50Hz、1.7Tで励磁した状態での鉄損W17/50を測定した。
表3に素材鋼板の磁気特性と、当該素材鋼板から作製した変圧器の磁気特性を併記する。
Figure 0006465048
表3より、処理雰囲気を真空として、鋼板の表面と雰囲気ガス、さらには鋼板表面に付着して加工室に持ち込まれる持ち込みガスとの反応を抑制しながら局所的に熱歪みを導入することにより、ビルディングファクターが低減し、良好な変圧器鉄損が得られることが分かる。また、熱歪み導入手段として電子ビームを用いたものについては、ビルディングファクターがさらに低減していることがわかる。
<実施例2>
C:0.07質量%、Si:3.2質量%、Mn:0.01質量%、Ni:0.01質量%、Al:70質量ppm、N:40質量ppm、Se:10質量ppmおよびS:10質量ppmを含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼スラブを、連続鋳造にて製造し、1410℃に加熱した後、熱間圧延により板厚:2.0 mmの熱延板に仕上げ、950℃で180秒の熱延板焼鈍を施した。ついで、冷間圧延により板厚:0.23mmの冷延板とし、磁区細分化処理のため、圧延方向に5mm間隔で、圧延直角方向にエッチング溝を形成した後、均熱温度:840℃で200秒保持する条件で脱炭焼鈍を実施し、ついで、電子ビームにより熱歪みの導入処理を行った。ここで、歪みを導入した局所領域は鋼板表面で直径(円相当直径)a:0.2mmのサイズとし、かような局所領域を、図1(a)示すように、圧延直角方向の間隔bを10mm、圧延方向の間隔cを15mmとして、点列状に設けた。また、処理雰囲気は真空(真空度:0.1Pa、0.5Pa、4.0Pa)、照射エネルギー密度は0.8J/cm2とし、加速電圧とビーム径を表4に示すように種々変化させた。
その後、MgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、二次再結晶、フォルステライト被膜形成および純化を目的とした仕上げ焼鈍を1250℃×30時間、H2雰囲気の条件で実施した。最後に、50%のコロイダルシリカとリン酸マグネシウムからなる絶縁コートを塗布し、かくして得られた方向性電磁鋼板の磁気特性(W17/50およびB8)を評価した。
また、上記のようにして得た鋼板を斜角せん断し、1000kVAの三相トランスを組み立て、50Hz、1.7Tで励磁した状態での鉄損W17/50を測定した。
表4に素材鋼板の磁気特性と、当該素材鋼板から作製した変圧器の磁気特性を併記する。
Figure 0006465048
表4より、処理雰囲気を真空として、鋼板の表面と雰囲気ガス、さらには鋼板表面に付着して加工室に持ち込まれる持ち込みガスとの反応を抑制した条件下で、電子ビームにより局所的に熱歪みを導入した発明例では、熱歪み導入処理を行わなかった比較例に比べ、ビルディングファクターが大幅に改善していることが分かる。また、真空度が高くなるほど、ビルディングファクターの改善量が大きいことがわかる。さらに、加速電圧と電子ビーム径を適正に制御することにより、同じ照射エネルギー密度であっても、より効果的にビルディングファクターを改善できることがわかる。

Claims (5)

  1. 質量%で、C:0.08%以下、Si:2.0〜8.0%およびMn:0.005〜1.0%を含有するとともに、次の(A)および(B)
    (A)Al:0.01〜0.065%およびN:0.005〜0.012%
    (B)S:0.005〜0.03%および/またはSe:0.005〜0.03%
    のうちの少なくとも1つを含有し、残部がFeおよび不可避的不純物である鋼スラブを熱間圧延して熱延板とし、該熱延板に熱延板焼鈍を施し、または熱延板焼鈍を施すことなく、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施して最終板厚の冷延板とし、さらに該冷延板に、脱炭焼鈍を施して脱炭焼鈍板としたのち、該脱炭焼鈍板に焼鈍分離剤を塗布して仕上げ焼鈍を実施する、方向性電磁鋼板の製造方法において、
    上記脱炭焼鈍の完了後、上記仕上げ焼鈍の開始前までの間に、上記脱炭焼鈍板の表面と雰囲気ガスとの反応を抑制した条件下で、上記脱炭焼鈍板に電子ビーム照射、パルスレーザー照射またはプラズマジェット照射により局所的に熱歪みを導入し、
    また、上記熱歪みを導入する際に、雰囲気を真空とし、かつ、その真空度を10Pa以下とし、
    さらに、照射エネルギー密度を、電子ビーム照射については0.5〜3J/cm 2 、パルスレーザー照射およびプラズマジェット照射については1.0〜2.0J/cm 2 とすることを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
  2. 質量%または質量ppmで、C:0.08%以下、Si:2.0〜8.0%、Mn:0.005〜1.0%、Al:100 ppm未満、N:50ppm未満、S:50ppm未満およびSe:50ppm未満を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物である鋼スラブを熱間圧延して熱延板とし、該熱延板に熱延板焼鈍を施し、または熱延板焼鈍を施すことなく、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施して最終板厚の冷延板とし、さらに該冷延板に、脱炭焼鈍を施して脱炭焼鈍板としたのち、該脱炭焼鈍板に焼鈍分離剤を塗布して仕上げ焼鈍を実施する、方向性電磁鋼板の製造方法において、
    上記脱炭焼鈍の完了後、上記仕上げ焼鈍の開始前までの間に、上記脱炭焼鈍板の表面と雰囲気ガスとの反応を抑制した条件下で、上記脱炭焼鈍板に電子ビーム照射、パルスレーザー照射またはプラズマジェット照射により局所的に熱歪みを導入し、
    また、上記熱歪みを導入する際に、雰囲気を真空とし、かつ、その真空度を10Pa以下とし、
    さらに、照射エネルギー密度を、電子ビーム照射については0.5〜3J/cm 2 、パルスレーザー照射およびプラズマジェット照射については1.0〜2.0J/cm 2 とすることを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. 前記鋼スラブが、質量%でさらに、Ni:0.03〜1.50%、Sn:0.01〜1.50%、Sb:0.005〜1.50%、Cu:0.03〜3.0%、P:0.03〜0.50%、Mo:0.005〜0.10%およびCr:0.03〜1.50%のうちから選んだ1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  4. 記真空度を3Pa以下とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  5. 前記熱歪みを導入した局所領域を、前記方向性電磁鋼板の圧延直角方向に点列状に配置するとともに、圧延方向に繰り返し、
    上記局所領域の直径を0.1〜3.0mm、上記局所領域の圧延直角方向の間隔を5.0〜50mm、上記局所領域の圧延方向の間隔を5.0〜50mmとすることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
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