JP6462251B2 - 機能性デバイス、分析システムおよび分析方法 - Google Patents

機能性デバイス、分析システムおよび分析方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6462251B2
JP6462251B2 JP2014137772A JP2014137772A JP6462251B2 JP 6462251 B2 JP6462251 B2 JP 6462251B2 JP 2014137772 A JP2014137772 A JP 2014137772A JP 2014137772 A JP2014137772 A JP 2014137772A JP 6462251 B2 JP6462251 B2 JP 6462251B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
optical waveguide
channel
substrate
sample
functional device
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014137772A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016014630A (ja
Inventor
久史 清水
久史 清水
和真 馬渡
和真 馬渡
北森 武彦
武彦 北森
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Institute of Microchemical Technology
Original Assignee
Institute of Microchemical Technology
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Institute of Microchemical Technology filed Critical Institute of Microchemical Technology
Priority to JP2014137772A priority Critical patent/JP6462251B2/ja
Publication of JP2016014630A publication Critical patent/JP2016014630A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6462251B2 publication Critical patent/JP6462251B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Investigating Or Analyzing Materials Using Thermal Means (AREA)
  • Investigating Or Analysing Materials By Optical Means (AREA)
  • Optical Modulation, Optical Deflection, Nonlinear Optics, Optical Demodulation, Optical Logic Elements (AREA)

Description

本発明は、機能性デバイス、分析システムおよび分析方法に関する。
従来、マイクロスケールの微細空間は、混合・反応時間の短縮化、試料・試薬量の大幅な低減、小型デバイス化などを実現するものとして、診断・分析などの分野での利用が期待されている。例えば、数センチメートル角のガラス基板(マイクロチップ)上に、深さが数百μm以下の溝からなるマイクロチャネル(マイクロ流路)を形成し、このマイクロチャネルに化学システムを集積化することが行われている。
また、近年、ナノスケールの微細空間は、マイクロスケールの微細空間と比べて溶液物性が特異な性質を示すことから、ガラス基板上に、数十〜数百nmのナノチャネル(ナノ流路、拡張ナノ流路)を形成し、このナノチャネルの特異な化学・物理的特性を利用して革新的な機能性デバイスを実現することが大きな注目を集めている。例えば、大きさが数十μmの細胞一個の中のタンパク質などを、それよりも圧倒的に小さな空間である拡張ナノ空間で分析することで、これまでの多数細胞の平均では分からなかった各細胞固有の機能解析が可能となる。例えば、癌診断などを初期に発生した癌細胞一個で行うことなどが期待される。また、極微細空間であることを利用して分子一個で測定でき、超高感度な分析ツールになることも期待される。
ここで、マイクロチャネルやナノチャネルを備えた革新的な機能デバイスを実現するにあたり、その性能(物質量)を正確に捉えるための分析システムおよび分析手段を創作することも非常に重要である。
マイクロチャネル内の試料溶液に対しては、熱レンズ顕微鏡(TLM)を用いることにより、試料溶液の分子濃度(多数の分子の個数平均)を高精度で測定することができる(例えば、特許文献1参照)。具体的に、熱レンズ顕微鏡1では、図13に示すように、マイクロチャネル2内の試料溶液3中にビームスポット(ビームウエスト)が生じるように、励起光Sとプローブ光Pの2種類のレーザー光を試料溶液3にレンズを用いて、絞り込んで照射すると、励起光Sのビームスポットからの熱拡散によってプローブ光Pの光路に急勾配の温度分布が生成する。このとき、屈折率が温度変化と比例の関係にあるため、温度分布が光学的な凹レンズとして作用する熱レンズ4がマイクロチャネル2内に形成される。そして、試料溶液3の性質(分子3a濃度の大小)に応じて異なる屈折率の熱レンズ4が形成されるため、熱レンズ効果によって屈折した後のプローブ光Pの強度(シグナル)を捉えることで、試料溶液3の分子濃度を定量することができる。
一方で、チャネル内の試料溶液に対しては、深さが数十〜数百nmのチャネル内では形成される熱レンズの大きさが光の波長よりも小さくなり、波長よりも小さいレンズでは原理的に光が屈折しないため、熱レンズ顕微鏡を用いて試料溶液の分子濃度を定量することができない。
これに対し、本発明者らは、熱レンズ顕微鏡に微分干渉(DIC)観察法の原理を取り入れ、創意工夫を重ねることにより、チャネル内の試料溶液の分子濃度の定量に成功した。
具体的に、本願の発明者らによる微分干渉熱レンズ顕微鏡1’は、図14に示すように、プローブ光Pをプリズム5で2本に分離し、一方のプローブ光P1を励起光Sとともにチャネル2’の試料溶液3にレンズ6を用いて絞り込んで照射する。これにより、励起光Sによる熱レンズ効果で、一方のプローブ光P1の光路の屈折率が試料溶液3の分子3a濃度の大小に応じて変化し、一方のプローブ光P1と、単に試料溶液3を透過した他方のプローブ光P2との間に、屈折率の違いに応じて位相差が生じる。そして、チャネル2’から出射した一方のプローブ光P1と他方のプローブ光P2をレンズ6及びプリズム7で干渉させて合成し、この一方のプローブ光P1と他方のプローブ光P2の位相差に応じた合成干渉波の強度(シグナル)を検出器8で検出する。このとき、一方のプローブ光P1と他方のプローブ光P2の位相差は試料溶液3の分子3a濃度に相関するため、チャネル2’内の試料溶液3に対しても、上記のように一方のプローブ光P1と他方のプローブ光P2を干渉合成したプローブ光の合成干渉波P3の強度を捉えることで、その分子3a濃度を定量することが可能になる(例えば、特許文献2参照)。
特開2002−296207号公報 特開2014−26111号公報
しかしながら、このような微分干渉熱レンズ顕微鏡は、高感度に試料の変化を分析することはできるが、複数の光学レンズおよびプリズムを必要とし小型化することが難しかった。また位相差は、熱レンズ効果以外にも光路長のずれ等によっても生じるため、光学系の設計を厳密に行う必要があった。そのため、簡便に設計すること及び小型化することができ、高感度に試料の変化を検出することができる新たな機能性デバイスおよび分析システムが強く望まれていた。またこれらの機能性デバイスの作製方法および分析システムを用いた検出方法も強く望まれていた。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、簡便に設計すること及び小型化することができ、高感度に試料の変化を検出することができる新たな機能性デバイスおよび分析システムを得ることを目的とする。またこれらの機能性デバイスの作製方法および分析システムを用いた分析方法を得ることを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の手段を採用した。
(1)本発明の一態様にかかる機能性デバイスは、2つ以上の基板が接合されてなり、前記2つ以上の基板のうち、いずれかの基板の一面に形成された溝と他の基板の一面とで形成されたチャネルと、少なくとも2つの光導波路を有し、前記チャネルと少なくとも1つの前記光導波路とが平面視重なるようにいずれかの基板に配置されたマッハツェンダー型光導波路とを備える。
(2)上記(1)に記載された機能性デバイスは、前記チャネルと前記光導波路の最近接距離が0μm〜100μmであってもよい。
(3)本発明の一態様にかかる分析システムは、上記(1)または(2)のいずれかに記載された機能性デバイスと、前記マッハツェンダー型光導波路にプローブ光を入力するプローブ光源と、前記チャネルと前記光導波路とが平面視で重なる交点のうち、少なくとも一つの交点に熱を発生させる熱発生手段と、前記マッハツェンダー型光導波路の出力側で位相差に応じた合成干渉波の強度を計測する計測手段とを備える。
(4)本発明の一態様にかかる分析方法は、上記(1)または(2)のいずれかに記載された機能性デバイスの前記チャネルに試料を供給し、さらにマッハツェンダー型光導波路にプローブ光を入力する工程と、前記チャネル内を通過する試料内の対象物質により、前記チャネルと前記光導波路とが平面視で重なる交点のうち、少なくとも一つの交点に熱を発生させる工程と、前記励起光によって試料に発生した熱により光導波路を導波する光の位相を変化させ、生じた位相差に応じた合成干渉波の強度を出力側で計測する工程とを有する。
(5)本発明の一態様にかかる機能性デバイスの製造方法は、2つ以上の基板のうち、第1の基板の一面に溝を形成する工程と、前記第1の基板の内部または第2の基板の一面または内部に、少なくとも2つの光導波路を備えるマッハツェンダー型光導波路を形成する工程と、接合されるそれぞれ一対の基板のうち、少なくとも一方の基板の接合面をフッ素処理して親水性を調整する工程と、前記溝と少なくとも1つの前記光導波路が平面視で重なるように、前記2つ以上の基板を接合し、チャネルを形成する工程とを有する。
(6)本発明の一態様にかかる機能性デバイスの製造方法は、2つ以上の基板のうち、いずれかの基板の一面に溝を形成する工程と、前記溝が形成された基板を異なる別の基板と接合し、前記溝とその別の基板の接合面とでチャネルを形成すると共に、残りの基板を接合する工程と、前記いずれかの基板の内部に、前記チャネルと少なくとも1つの前記光導波路が平面視で重なるようにマッハツェンダー型光導波路を形成する工程とを有する。
本発明の一態様にかかる機能性デバイスは、チャネルと光導波路が平面視で重なるように配置されている。そのため、チャネル中の試料の熱変化をマッハツェンダー型光導波路が位相差として出力するため、使用する度に光学系を厳密に設計する必要が無い。またデバイスとして設計されているため、使用に伴う光学系のずれも発生しない。
本発明の一態様にかかる分析システムは、機能性デバイスと、マッハツェンダー型光導波路にプローブ光を入力するプローブ光源と、チャネルと光導波路とが平面視で重なる交点のうち、少なくとも一つの交点に熱を発生させる熱発生手段と、マッハツェンダー型光導波路の出力側で位相差に応じた合成干渉波の強度を計測する計測手段とを備える。マッハツェンダー型光導波路によりチャネル内の変化を位相差という形で検出するため、種々の光学レンズ・プリズム等を必要とせず、分析システム全体を小型化することができる。また熱発生手段として励起光源を用いる場合は、チャネルを通過する試料に照射することができればよく、特殊な設備を要しない。すなわち、安価な分析システムを実現することができる。
本発明の一態様にかかる分析方法は、チャネル内を通過する試料内の対象物質により、チャネルと光導波路とが平面視で重なる交点のうち、少なくとも一つの交点に熱を発生させる工程と、発生した熱により光導波路を導波する光の位相を変化させ、生じた位相差に応じた合成干渉波の強度を出力側で計測する工程とを備える。すなわち、チャネルで発生した熱を位相差として出力しており、全く新しい分析方法を実現することができる。
本発明の一態様にかかる機能性デバイスの製造方法は、2つ以上の基板のうち、第1の基板の一面に溝を形成する工程と、前記第1の基板の内部または第2の基板の一面または内部に、少なくとも2つの光導波路を備えるマッハツェンダー型光導波路を形成する工程と、接合されるそれぞれ一対の基板のうち、少なくとも一方の基板の接合面をフッ素処理して親水性を調整する工程と、前記溝と少なくとも1つの前記光導波路が平面視で重なるように、前記2つ以上の基板を接合し、チャネルを形成する工程とを有する。接合面の親水性を調整することにより、それぞれの基板を低温で接合することができる。すなわち、光導波路が熱によるダメージを受けることを避けることができる。
本発明の一態様にかかる機能性デバイスの製造方法は、2つ以上の基板のうち、いずれかの基板の一面に溝を形成する工程と、前記溝が形成された基板を異なる別の基板と接合し、前記溝とその別の基板の接合面とでチャネルを形成すると共に、残りの基板を接合する工程と、前記いずれかの基板の内部に、前記チャネルと少なくとも1つの前記光導波路が平面視で重なるようにマッハツェンダー型光導波路を形成する工程とを有する。基板を接合後にマッハツェンダー型光導波路を形成するため、光導波路が熱によるダメージを受けることを避けることができる。
本発明の一実施形態に係る機能性デバイスを模式的に示した鳥瞰模式図である。 本発明の一実施形態に係る機能性デバイスのA−A面(図1)における断面を模式的に示した断面模式図である。 本発明の一実施形態に係る機能性デバイスのA−A面(図1)における断面の他の例を模式的に示した断面模式図である。 本発明の一実施形態に係る機能性デバイスのA−A面(図1)における断面の他の例を模式的に示した断面模式図である。 本発明の一実施形態に係る機能性デバイスのA−A面(図1)における断面の他の例を模式的に示した断面模式図である。 本発明の一実施形態に係る分析システムの一例を模式的に示した鳥瞰模式図である。 本発明の一実施形態に係る分析システムの他の例を模式的に示した鳥瞰模式図である。 本発明の一実施形態に係る分析システムの他の例を模式的に示した鳥瞰模式図である。 本発明の第1実施形態に係る機能性デバイスの製造方法を模式的に示した図である。 本発明の第2実施形態に係る機能性デバイスの製造方法を模式的に示した図である。 本発明の第3実施形態に係る機能性デバイスの製造方法を模式的に示した図である。 本発明の一実施例において、試料濃度に対するマッハツェンダー型光導波路から出力される合成干渉波の強度を示す。 熱レンズ顕微鏡を示す図である。 微分干渉熱レンズ顕微鏡を示す図である。
以下、本発明を適用した機能性デバイス、機能性デバイスの製造方法、分析システムおよび分析方法について、図面を用いてその構成を説明する。以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際と同じであるとは限らない。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
(機能性デバイス)
図1は、本発明の一実施形態に係る機能性デバイスを模式的に示した鳥瞰模式図である。機能性デバイス100は、2つ以上の基板が接合されてなり、2つ以上の基板のうち、いずれかの基板の一面に形成された溝と他の基板の一面とで形成されたチャネル10と、少なくとも2つの光導波路21,22を有し、チャネル10と少なくとも1つの光導波路21,22とが平面視重なるようにいずれかの基板に配置されたマッハツェンダー型光導波路20とを備える。図1では、2つの基板が接合されて機能性デバイスが形成されている場合を例示しているが、3つ以上の基板が接合されて機能性デバイスが形成されてもよい。
また、ここで「いずれかの基板に配置された」とは、いずれかの基板の内部および接合面を意味する。
チャネル10は、中央部を間に左右の両側部側にそれぞれ、マイクロチャネル12a,12b(マイクロ流路、マイクロスケールの微細流路)が形成されている。また、図1では、これら左右両側部側のマイクロチャネル12a,12bはそれぞれ、略U字状、略逆U字状に形成され、両端を側部側に配し、中央部を境に左右対称にして配置して形成されており、左右両側部側のマイクロチャネル12a,12bはそれぞれ、端部を外部に開口させて形成されている。
またこれらのマイクロチャネル12a,12bの中央部に、左右のマイクロチャネル12a,12bを連通させるようにして、直線状に延びるナノチャネル11が形成されている。
ナノチャネル11は、図1では1本としているが複数有していてもよい。一方のマイクロチャネル12aともう一方のマイクロチャネル12b間に圧力差を設けることでナノチャネル11に試料を供給することができる。
ナノチャネル11は、その高さまたは幅の少なくとも一方が、拡張ナノサイズであることが好ましい。ここで拡張ナノサイズとは10nm〜1000nmまでのサイズを示す。このような拡張ナノサイズ空間では、光の波長より空間サイズが小さくなるため、上述のように回折現象を利用した微分干渉熱レンズ顕微鏡を用いないと、高感度な測定を行うことができなかった。しかしながら、本発明の機能デバイスを用いると、当該サイズのナノチャネル11でも、微分干渉熱レンズ顕微鏡を用いずに高感度な測定を行うことを可能とするため、より好適に用いることができる。なお、ナノチャネル11の長さは、必要に応じて適宜設計することができる。
ナノチャネル11は、フェムトリットルからアトリットルの極めて小さな空間体積を有することが好ましい。例えば、当該機能性デバイスをイムノアッセイとして用いた場合、大きさが数十μmの細胞一個中のタンパク質等と比較しても圧倒的に空間体積が小さく、多数細胞の平均ではわからなかった各細胞固有の機能解析が可能となる。また他にも、ナノチャネル11のサイズが制御された空間でかつ比表面積が非常に高いため、クロマトグラフィを用いた高効率な分離操作も可能となる。
マッハツェンダー型光導波路20は、複数の光導波路の光位相差を干渉させて、光の強度変調信号を得る。マッハツェンダー型光導波路20は、少なくとも2つの光導波路を有し、例えば第1光導波路21および第2光導波路22を備える。これらの光導波路は、入力側で分岐する光分岐構造23と、出力側で結合する光結合構造24とをさらに有する。光分岐構造23に入力した光は、第1光導波路21および第2光導波路22を導波する間に光の位相が変化し、光結合構造24で再度合成される。光導波路は、その光の導波方向に垂直な面における断面が、高屈折領域を低屈折率領域で囲む構成となっている。高屈折領域を低屈折領域で囲むことにより、全反射により導波方向に光をロスすることなく導波することができる。
第1光導波路21および第2光導波路22の長さが同一で、かつ外部信号を印加しない場合、二つの光導波路間を導波する光の位相差はゼロとなる。すなわち、光結合構造24から出力される光は、同波調の光が重畳されるため最大となる。一方、例えば、第1光導波路21および第2光導波路22で導波する光の位相がπだけずれた場合は、光結合構造24で合成された際にそれぞれの光が打ち消し合い、出力される光は最小となる。したがって、光結合構造24から出力された信号を読み取ることで、二つの光導波路の位相差を検出することができる。
このため、第1光導波路21と第2光導波路22の光路長は同一であることが好ましい。位相差は、それぞれの光導波路において光が導波する距離によっても変化するため、この光の導波距離(光路長)を一定にしておくことで、不要な構成を必要としない。
また、図1では、光導波路が2つの場合を例示しているが、本発明は当該構成に限らない。位相差を検出するため、光導波路は少なくとも2つ必要であるが、より複数の光導波路を有していてもよい。
チャネル10とマッハツェンダー型光導波路20は、チャネル10と少なくも2つの光導波路21、22が平面視で重なるように設けられている。
図2は、本発明の一実施形態に係る機能性デバイスのA−A面(図1)における断面を模式的に示した断面模式図である。図2で示すように、ナノチャネル11とマッハツェンダー型光導波路20は、同一平面上には存在しない。このとき、ナノチャネル11と光導波路21、22の最近接距離は0μm〜100μmであることが好ましい。また、0μm〜50μmであることがより好ましく、0μm〜30μmであることがさらに好ましい。
光導波路21、22は、ナノチャネル11の熱変化によって屈折率が変化する。位相差は、この屈折率変化によって生じる。そのため、ナノチャネル11で発生した熱変化が十分伝わる距離に光導波路21、22を設けることで、ナノチャネル11内を通過する試料の変化を高感度に検出することができる。
ここで、「熱変化が十分伝わる距離」について説明する。「熱変化が十分伝わる距離」は、与えられた熱が物質中を拡散する際にどこまで伝播することができるかを示す。一般に交流的に熱が与えられる場合、どこまでその波形が残るかの指標として熱拡散長が使用される。熱拡散長Lは以下の式(1)で表すことができる。ここで、Dは熱拡散定数で、fは励起光変調周波数を示す。
Figure 0006462251
具体的には、例えばガラスの場合、D=8.1×10−7−1、f=300Hzとすると、このときの熱拡散長Lは29μmとなる。またD=8.1×10−7−1、f=1000Hzとすると、このときの熱拡散長Lは16μmとなる。
ここで、ナノチャネル11と光導波路21、22の最近接距離は0μmとは、ナノチャネル11と光導波路21,22が接触していることを意味する。具体的には、例えば、第1基板に溝を形成する。もう一方の第2基板の表面に光導波路を形成する。この第1基板の溝を形成した面と、第2基板の光導波路が形成された面を接合すると、接合面と溝によりナノチャネル11が形成される。この場合、図3に示すように、光導波路20とナノチャネル11は接触しているため、最近接距離が0μmとなる場合が存在する。
また各光導波路間の最近接距離(具体的には図2における第1光導波路21と第2光導波路22間の最近接距離)は、0.5μm〜1000μmであることが好ましい。また10μm〜100μmであることがより好ましく、16μm〜50μmであることがさらに好ましい。
各光導波路間の最近接距離が近すぎると、ナノチャネル11で生じる熱の影響を、本来影響を及ぼすべき光導波路以外のその他の光導波路にも与えてしまう。そのため、この光導波路間の最近接距離を離すことで、より高感度な検出を行うことができる。このような最近接距離は、従来のレンズによる光の分光では実現することが難しく、当該機能デバイスでより高感度な検出を実現できることを示している。そのため、各光導波路間の最近接距離は離れていることが好ましいが、各光導波路間の最近接距離が離れすぎると、デバイスが不要に大型化してしまうため好ましくない。
また図2では、第1光導波路21と第2光導波路22のナノチャネル11に対する最近接距離は、同じ距離として図示しているが、本発明は当該構成に限られない。
ここで、本発明の機能性デバイスは必ずしも、一方の基板にナノチャネル11を形成し、もう一方の基板にマッハツェンダー型光導波路20を形成する必要はない。例えば、図4に示すように、一方の基板の表面にナノチャネル11、その内部にマッハツェンダー型光導波路20を形成し、もう一方の基板でナノチャネル11に蓋をすることで、チャネルを形成し、試料を通過可能とする構成でもよい。また図5で示すように、2枚以上の複数の基板で機能性デバイスを形成してもよい。
(分析システム)
本発明の分析システムは、上述の機能性デバイス100と、マッハツェンダー型光導波路20にプローブ光を入力するプローブ光源200と、チャネル10と光導波路21,22とが平面視で重なる交点C1,C2のうち、少なくとも一つの交点C1に熱を発生させる熱発生手段300と、マッハツェンダー型光導波路20の出力側で位相差に応じた合成干渉波の強度を計測する計測手段400とを備える。またチャネル10には、試料供給手段500から圧力を印加して試料Sを供給することができる。
図6は、本発明の一実施形態に係る分析システムを模式的に示した鳥瞰模式図である。
分析システム1000は、チャネル10内に導入された試料Sの有無や濃度を分析できるシステムである。分析システム1000は、マッハツェンダー型光導波路20によりナノチャネル11内の変化を位相差という形で出力するため、種々の光学レンズ等を必要とせず、分析システム1000全体を小型化することができる。この分析システム1000を用いることで、例えばナノチャネル11内を通過する試料の濃度や変化を経時的に検出することができる。またナノチャネル11内に抗体を配設し、そのナノチャネル11内に試料Sを導入することで、試料S内に特定の抗原の存在の有無を検出するイムノアッセイシステムとして機能することもできる。
チャネル10は、図6に示すように、一方のマイクロチャネル12aから試料Sが注入され、他方のマイクロチャネル12bへ向かう際に、ナノチャネル11内を通過できる構成となっている。ナノチャネル11内を通過させる試料Sは、液体でも気体でもよい。
試料Sが気体の場合は、一方のマイクロチャネル12aに注入し、例えば他方のマイクロチャネル12b側から排気を行うことでナノチャネル11内に試料Sを通過させることができる。
また試料Sが液体の場合、以下のような方法でナノチャネル11内に試料Sを通過させることができる。一方のマイクロチャネル12aの一端から試料Sを注入し、もう一方の他端から排出する。また、もう一方のマイクロチャネル12bの一端には洗浄バッファ(図視略)を注入し、もう一方の他端へ排出する。このとき、試料Sを注入する圧力と、洗浄バッファを注入する圧力を調整することで、ナノチャネル11内に試料Sを通過させることができる。
またチャネル10は、その製造方法は後述するが、一般に二つの基板の間に設けられる。このとき二つの基板は、特に限定されるものではなく、一般に用いられるものを利用することができる。なかでも、高強度、耐溶剤性、検出の為の光学的透明性の観点からガラス材料が好ましい。
またマッハツェンダー型光導波路20には、プローブ光源200からプローブ光が入力される。プローブ光源200から入力されるプローブ光は一定の位相を維持できれば特に制限はないが、レーザー光を好適に用いることができる。この入力したプローブ光は、光分岐構造23により分岐され、各光導波路を導波し、光結合構造24で再度合成される。合成された光は、計測手段400によって計測される。計測手段400は、一般に用いられている、例えばオシロスコープやロックインアンプ等を用いることができる。
プローブ光源200からマッハツェンダー型光導波路20に入力した光は、光分岐構造23で分岐された直後は同位相である。この分岐された光の一部は、試料S内の対象物質の有無または濃度等により発生する熱による影響を受けて位相が変化する。
このような試料S内の対象物質の有無または濃度等に従い、熱を発生する熱発生手段300は、特に限定されない。例えば図6に示すように、励起光源等を用いることができる。励起光源から出力された励起光は、試料内を通過する対象物質を励起することができる。この対象物質は励起状態からの失活過程で熱を発生する。すなわち、試料内の対象物質の有無または濃度等に従い、発生する熱量が変化する。そのため、試料内の対象物質の有無または濃度等の情報を、光計測手段400で合成干渉波という形で出力することができる。励起光源としては、例えばレーザー光等を用いることができ、励起光源から出力される励起光の波長は、試料S内の対象物質を励起させることができる波長を任意に設定することができる。励起光源300は、チャネルを通過する試料に照射することができればよく、特殊な設備を要しない。すなわち、安価な分析システムを実現することができる。
また熱発生手段300としては、図7に示すように外部電源を用い、チャネル10に近接する電極301を形成してもよい。外部電源により電極301間に電圧を印加する。試料S内の対象物質がチャネル10の交点C1を通過すると、その対象物質の有無または濃度等に従い、電極301間の抵抗値が変化する。この抵抗変化に伴い、チャネル10の交点C1に発生する熱量が変化する。そのため、試料内の対象物質の有無または濃度等の情報を、光計測手段400で合成干渉波という形で出力することができる。
また熱発生手段300としては、図8に示すように、チャネル10の交点C1に触媒、電極等を固定させることもできる。試料S内の対象物質がこれらと反応することにより熱が発生する。すなわち、試料内の対象物質の有無または濃度等に従い、発生する熱量が変化する。そのため、試料内の対象物質の有無または濃度等の情報を、光計測手段400で合成干渉波という形で出力することができる。
(分析方法)
本発明の一実施形態に係る分析方法は、上述の機能性デバイスのチャネルに試料を供給し、さらにマッハツェンダー型光導波路にプローブ光を入力する工程と、チャネル内を通過する試料内の対象物質により、チャネルと光導波路とが平面視で重なる交点のうち、少なくとも一つの交点に熱を発生させる工程と、試料に発生した熱により光導波路を導波する光の位相を変化させ、生じた位相差に応じた合成干渉波の強度を出力側で計測する工程とを有する。
まず、本発明の一実施形態に係る検出方法では、まず準備段階として機能デバイスのチャネルに試料を供給し、マッハツェンダー型光導波路にプローブ光を入力する。試料の注入は前述の手段を用いて行うことができ、プローブ光も前述のものを用いることができる。
次に、チャネル内を通過する試料内の対象物質により、チャネルと光導波路とが平面視で重なる交点のうち、少なくとも一つの交点に熱を発生させる。熱を発生させる手段としては、図6で示すように励起光をチャネル内に照射してもよいし、図7で示すようにチャネルに近接する電極を用いてもよいし、図8に示すようにチャネル内の一部に触媒、電極等を設けてもよい。ここで、平面視で重なる交点とは、2点以上であれば特に限定されず、より複数の交点を有していてもよい。また複数の交点の内、少なくとも一つの交点で熱を発生させることができればよい。
ここで、「少なくとも一つ」には、全ての交点で熱を発生させる場合も当然含まれる。例えば、一つの交点には基準点を設定するための熱を発生させ、その他の交点にその基準点と比較可能な熱を発生させてもよい。
また「交点」とは、チャネルと光導波路が交差する一点を厳密に意味しておらず、チャネル内の試料が励起光の照射によって発生した熱が、伝播可能な程度の距離(熱拡散長)以内であれば、交点から多少ずれていても許容される。
最後に、試料に発生した熱により光導波路を導波する光の位相を変化させ、生じた位相差に応じた合成干渉波の強度を出力側で計測する。試料に発生した熱は伝播し、光導波路の屈折率を変化させる。一般に、光導波路にはシリコン等を用いることができるが、加熱により屈折率が変化すると、その加熱された箇所での光の伝搬速度が低下する。これに対し、励起光が照射されていない光導波路では屈折率変化が生じず、伝搬速度に変化も生じない。そのため、励起光により発生した熱の影響を受けた光導波路と、受けていない光導波路間で位相差が生じる。マッハツェンダー型光導波路の出力側では、この位相差に応じた合成干渉波が計測されるため、この合成干渉波の強度を計測することで、試料中の特定成分の存在の有無や濃度等を検出することができる。
以下に、図6を例に、具体的に説明する。
図6において、チャネル10とマッハツェンダー型光導波路20とが平面視で重なる交点C1,C2のうち、一方の交点C1のナノチャネル11内を通過する試料Sに励起光が照射される。励起光は、例えば試料Sの特定の成分を励起できる波長が選択されている。試料Sに特定の成分が存在していると、励起光により特定の成分が励起され、その周囲の試料Sの温度が上昇する。この試料Sで発生した熱は周囲に伝播し、交点C1のナノチャネル11下部に存在する第1光導波路21まで伝播する。この熱により第1光導波路21の屈折率が変化する。屈折率が変化すると、第1光導波路21内を導波する光導波速度が変化し、第2導波路22内を導波する光と位相差が生じる。したがって、出力される合成干渉波は位相差に合せて強度が変化する。
これに対し、試料S内に特定の成分が存在しない場合は、励起に伴う熱が発生しない。したがって、第1光導波路21の屈折率変化も生じず、第1光導波路21と第2光導波路22間での位相差は生じない。
ここでは、試料S内に特定の成分の有無のみについて説明したが、特定の成分の濃度によっても生じる位相差が変化する。そのため、計測手段400でマッハツェンダー型光導波路20から出力された合成干渉波の強度を計測することで、特定の試料の存在の有無や、濃度の変化等を分析することができる。
(機能性デバイスの作製方法;第1実施形態)
本発明の第1実施形態にかかる機能性デバイスの製造方法は、2つ以上の基板のうち、第1の基板の一面に溝を形成する工程と、前記第1の基板の内部または第2の基板の一面または内部に、少なくとも2つの光導波路を備えるマッハツェンダー型光導波路を形成する工程と、接合されるそれぞれ一対の基板のうち、少なくとも一方の基板の接合面をフッ素処理して親水性を調整する工程と、前記溝と少なくとも1つの前記光導波路が平面視で重なるように、前記2つ以上の基板を接合し、チャネルを形成する工程とを有する。
以下、図9を用いて機能性デバイスの作製方法について具体的に説明する。第1の実施形態では二つの基板から機能性デバイスを作製する方法について説明する。
まず、第1の基板P1と第2の基板P2とを準備する。準備した第1の基板P1に溝Cを作製する。溝Cの作製方法は特に制限されるものではないが、基板の表面に、レーザー加工、エッチング加工など、適宜手段を用いて、そのサイズを適宜調整しながら形成する。
次に、第1の基板P1の内部または第2の基板P2の一面または内部に、少なくとも2つの光導波路を備えるマッハツェンダー型光導波路20を作製する。マッハツェンダー型光導波路20の作製方法は特に制限されるものではない。例えば、フォトリソグラフィーと薄膜蒸着を用いた方法や、M.Sakakura,et al,Optics Express,18,12136−12143(2010)に記載されたフェムト秒パルスレーザーを用いた方法等を用いることができる。
またここで図9(b)に示すように、マッハツェンダー型光導波路20は基板の片面の最表面に形成しても、基板の内部に形成してもよい。
また図9(b)では、溝10が形成された基板と異なる基板にマッハツェンダー型光導波路20を作製しているが、同一基板の内部にマッハツェンダー型光導波路20を形成してもよい。
次に、接合されるそれぞれ一対の基板のうち、少なくとも一方の基板の接合面をフッ素処理して親水性を調整する。二つの基板から機能性デバイスが形成される場合は、そのいずれかの一方の基板の接合面の親水性を調整すれば良い。
親水性を調整する工程として、基板の接合面をフッ素処理する。フッ素化処理は、種々の方法を用いることができ、例えば、酸素プラズマの照射と同時にフッ素(例えば、四フッ化メタン:CF)を供給することで行うことで実現することができる。このときの酸素プラズマ条件としては、例えば酸素圧力60Pa、250W、40秒照射等を用いることができる。また親水化の程度としては、フッ素化処理を行った表面における水の接触角が10°〜50°になっていれば、十分親水化されているとみなすことができる。当該範囲の接触角を有していれば、接合後の接合強度を0.5J/m以上とすることができ、十分な接合強度を得ることができる。
図9(c)では、溝10が形成された基板と、マッハツェンダー型光導波路を形成された基板の接合面両方に親水化処理として酸素プラズマPを照射しているが、そのいずれか一方の接合面のみに親水化処理を行ってもよい。
次に、図9(d)、(e)に示すように、溝Cと少なくとも1つの前記光導波路が平面視で重なるように、前記2つ以上の基板P1,P2を接合し、チャネル10を形成する。当該方法を用いることで、マッハツェンダー型光導波路20が熱によりダメージを受けることを避けることができる。
接合時の加熱温度は、25℃〜400℃であることが好ましく、常温かもしくはそれに近い温度(25℃〜100℃)であることがより好ましい。当該温度範囲内であれば、マッハツェンダー型光導波路20の光導波路を構成する材料(石英ガラス、シリコン、ポリマー類など)にダメージを与えずに接合することができる。これに対し、従来の熱融着法による基板接合では、温度が1000℃以上となるため、光導波路部分がダメージを受けるため本発明の機能性デバイスを作製することはできない。
また接合時の加圧圧力は、1000N〜5000Nであることが好ましく、4000N〜5000Nであることがより好ましい。1000N未満であると、十分な接合強度を維持することができない。接合面の最表面にチャネルを形成した場合は、そこを通過する試料が一部漏洩してしまう恐れも生じる。これに対し、5000Nを超えると基板が破損してしまう恐れがある。
また加圧時間は、1時間〜10時間であることが好ましく、9時間〜10時間であることがより好ましい。当該範囲であれば接合強度を高くすることができる。
(機能性デバイスの作製方法;第2実施形態)
図10は、機能性デバイスを3つの基板を用いて作製した場合を示す。
3つの基板を用いる場合は、図10(a)に示すように、溝Cが形成された第1基板P1とマッハツェンダー型光導波路20が形成された第2基板P2と、何も形成されていない第3基板P3を準備する。
3枚の基板からなる場合でも、溝Cを形成する工程と、マッハツェンダー型光導波路20を形成する工程は、第1実施形態と同様に行うことができる。
次に、接合されるそれぞれ一対の基板のうち、少なくとも一方の基板の接合面をフッ素処理して親水性を調整する。このとき、3枚の基板からなる場合、接合される一対の基板は、第1基板P1と第3基板P3の組み合わせと、第2基板P2と第3基板P3の組み合わせがある。そのため、その接合面は、第1基板P1の一面P1aと、第2基板の一面P2bと、第3基板の一面P3aと、第3基板のもう一方の面P3bの4つがある。この場合、親水性を調整するのは、第1基板P1の一面P1aおよび/または第3基板のもう一方の面P3bと、第2基板の一面P2aおよび/または第3基板の一面P3aとなる。
親水性の調整方法は、第1の実施形態と同様の方法を用いることができる。
図10(b)は接合後の機能性デバイスであり、溝Cと少なくとも1つの前記光導波路が平面視で重なるように接合されている。このとき第1基板P1に形成された溝Cは、何も形成されていない第3基板P3と接合することで、チャネル10が形成される。
(機能性デバイスの作製方法;第3実施形態)
本発明の第3実施形態に係る機能性デバイスの作製方法は、2つ以上の基板のうち、いずれかの基板の一面に溝を形成する工程と、前記溝が形成された基板を異なる別の基板と接合し、前記溝とその別の基板の接合面とでチャネルを形成すると共に、残りの基板を接合する工程と、前記いずれかの基板の内部に、前記チャネルと少なくとも1つの前記光導波路が平面視で重なるようにマッハツェンダー型光導波路を形成する工程とを有する。
以下、図11を用いて機能性デバイスの作製方法について具体的に説明する。
まず、二つ以上の基板を準備する。次に、図11(a)に示すように、いずれかの基板に溝Cを作製する。溝Cの作製方法は特に制限されるものではないが、第1実施形態の機能性デバイスの作製方法と同一の方法を用いることができる。
次に、図11(b)に示すように、溝が形成された基板を異なる別の基板と接合しチャネル10を形成する。このときの接合方法は、チャネルの形状が変化しなければ特に制限されず、上述のフッ素処理を用いた低温接合方法でも、加熱による熱融着方法でもよい。
また3枚以上の基板を用いる場合は、チャネル10を形成すると共に、残りの基板を接合する。
最後に、図11(c)に示すように、いずれかの基板の内部に、チャネルCと少なくとも1つの光導波路が平面視で重なるようにマッハツェンダー型光導波路20を形成する。マッハツェンダー型光導波路20の形成方法は、前述のフェムト秒パルスレーザーを用いた方法等を用いることができる。ここで、「いずれかの基板の内部」とは、3枚以上の基板からなる場合、いずれの基板の内部でもよく、その接合界面に形成してもよい。
フェムト秒パルスレーザーを用いたマッハツェンダー型光導波路20の形成方法は、レーザーによる加工であるため、基板の外部からでも、基板内部の屈折率変化を起こすことができる。そのため、基板を接合後でも、外部からマッハツェンダー型光導波路20を形成することができる。
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
まず、一つの基板の表面に深さ数100nm〜数μm、幅数100nm〜数μmの溝とその両端にU字型の溝とを、電子線リソグラフィー、フォトリソグラフィーおよびプラズマエッチングを用いて作製した。次に、異なる基板の内部に、光分岐構造で2つに分岐し、第1光導波路および第2光導波路を備えるマッハツェンダー型光導波路を作製した。次に、一方の基板のチャネル形成面に酸素プラズマを酸素圧力60Pa、250W、40秒照射という条件で照射し、同時に四フッ化メタン:CFを供給した。このとき、酸素プラズマが照射された接合面の任意の10点を測定した際の水接触角は10°〜50°だった。最後に、接合面を溝と光導波路が平面視で重なるように面接触させ、100℃、5000N、10時間の条件で接合し、チャネルを形成して機能性デバイスを作製した。このとき、ナノチャネルと光導波路の最近接距離は20μmであった。
この作製した機能性デバイスのナノチャネルには、試料としてサンセットイエロー水溶液を試料濃度0mM、1mM,3mM,5mMの条件でそれぞれ導入した。このナノチャネル内の試料に対して、コヒレント社のSapphireを用い、波長488nmの励起光を照射した。
このとき、マッハツェンダー型光導波路から出力される合成干渉波の強度を計測した。図12は、試料濃度に対するマッハツェンダー型光導波路から出力される合成干渉波の強度を示す。合成干渉波の強度は、浜松ホトニクス社のアバランシェフォトダイオードを用いて計測した。縦軸は信号強度(μV)であり、横軸は試料の濃度(mM)である。
この結果、試料の濃度が高くなるに従い、信号強度が大きくなっていることがわかる。すなわち、試料濃度の変化を合成干渉波の強度として変換できることがわかる。
また当該合成波の強度は、試料から発生する熱と比例しており、試料が通過するナノチャネルから一定の距離に光導波路を配置すると、励起光によって発生した熱変化を適切にマッハツェンダー型光導波路から出力される合成干渉波として置き換えられていることがわかる。
10…チャネル、11…ナノチャネル、12a,12b…マイクロチャネル、20…マッハツェンダー型光導波路、21…光導波路(第1光導波路)、22…光導波路(第2光導波路)、23…光分岐構造、24…光結合構造、100…機能性デバイス、200…プローブ光源、300…励起光源、400…分析手段、500…試料供給手段、1000…検出システム、S…試料、C1,C2…交点、P…酸素プラズマ、P1…第1基板、P2…第2基板、P3…第3基板、C…溝

Claims (4)

  1. 2つ以上の基板が接合されてなり、
    前記2つ以上の基板のうち、いずれかの基板の一面に形成された溝と他の基板の一面とで形成されたチャネルと、
    少なくとも2つの光導波路を有し、前記チャネルと少なくとも1つの前記光導波路とが平面視重なるようにいずれかの基板に配置されたマッハツェンダー型光導波路とを備え
    前記チャネルは、少なくとも前記チャネルと前記光導波路とが平面視重なる位置において、前記2つ以上の基板により囲まれた閉空間内に形成されている、機能性デバイス。
  2. 前記チャネルと前記光導波路の最近接距離が、0μm〜100μmであることを特徴とする請求項1に記載の機能性デバイス。
  3. 請求項1または請求項2のいずれかに記載された機能性デバイスと、
    前記マッハツェンダー型光導波路にプローブ光を入力するプローブ光源と、
    前記チャネルと前記光導波路とが平面視で重なる交点のうち、少なくとも一つの交点に熱を発生させる熱発生手段と、
    前記マッハツェンダー型光導波路の出力側で位相差に応じた合成干渉波の強度を計測する計測手段とを備える分析システム。
  4. 請求項1または請求項2のいずれかに記載された機能性デバイスの前記チャネルに試料を供給し、さらにマッハツェンダー型光導波路にプローブ光を入力する工程と、
    前記チャネル内を通過する試料内の対象物質により、前記チャネルと前記光導波路とが平面視で重なる交点のうち、少なくとも一つの交点に熱を発生させる工程と、
    前記発生した熱により光導波路を導波する光の位相を変化させ、生じた位相差に応じた合成干渉波の強度を出力側で計測する工程とを有する分析方法。
JP2014137772A 2014-07-03 2014-07-03 機能性デバイス、分析システムおよび分析方法 Active JP6462251B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014137772A JP6462251B2 (ja) 2014-07-03 2014-07-03 機能性デバイス、分析システムおよび分析方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014137772A JP6462251B2 (ja) 2014-07-03 2014-07-03 機能性デバイス、分析システムおよび分析方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016014630A JP2016014630A (ja) 2016-01-28
JP6462251B2 true JP6462251B2 (ja) 2019-01-30

Family

ID=55230924

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014137772A Active JP6462251B2 (ja) 2014-07-03 2014-07-03 機能性デバイス、分析システムおよび分析方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6462251B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018066664A (ja) * 2016-10-20 2018-04-26 国立大学法人 東京大学 分光分析装置
JP6944678B2 (ja) * 2017-12-27 2021-10-06 マイクロ化学技研株式会社 熱レンズ分析用光ファイバーカプラ、熱レンズ分析装置
WO2020094233A1 (de) * 2018-11-08 2020-05-14 Diamontech Ag Vorrichtung und verfahren zum analysieren eines stoffs

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE3814844A1 (de) * 1988-05-02 1989-11-16 Iot Entwicklungsgesellschaft F Verfahren und vorrichtung zur bestimmung der brechzahl n einer substanz
JP2003215140A (ja) * 2002-01-29 2003-07-30 Nippon Sheet Glass Co Ltd マイクロチップの製造方法
JP4996398B2 (ja) * 2007-09-12 2012-08-08 株式会社船井電機新応用技術研究所 物質検出装置及び物質検出方法
JP5540398B2 (ja) * 2009-11-20 2014-07-02 公立大学法人高知工科大学 光導波路型バイオセンサーおよびそれを備えたバイオセンサーシステム
JP2011214838A (ja) * 2010-03-31 2011-10-27 Sumitomo Bakelite Co Ltd 樹脂製マイクロ流路チップ
JP5933736B2 (ja) * 2012-09-28 2016-06-15 国立研究開発法人科学技術振興機構 機能性デバイス及び機能性デバイスの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016014630A (ja) 2016-01-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Zhang et al. Applications and developments of on-chip biochemical sensors based on optofluidic photonic crystal cavities
Vaiano et al. Lab on Fiber Technology for biological sensing applications
Yurt et al. Single nanoparticle detectors for biological applications
US7444053B2 (en) Integrated electrical and optical sensor for biomolecule analysis with single molecule sensitivity
Wei et al. Plasmon waveguiding in nanowires
US7248771B2 (en) Integrated sensor with electrical and optical single molecule sensitivity
Erickson et al. Nanomanipulation using near field photonics
Turduev et al. Mid-infrared T-shaped photonic crystal waveguide for optical refractive index sensing
Vazquez et al. Integration of femtosecond laser written optical waveguides in a lab-on-chip
JP4533044B2 (ja) センサ
Hawkins et al. Handbook of optofluidics
US7127146B2 (en) Apparatus for optical measurements on low-index non-solid materials based on arrow waveguides
ES2465619T3 (es) Interferómetro y sensor basados en una guía de onda óptica bimodal y procedimiento de detección
Paiva et al. Optical fiber tips for biological applications: from light confinement, biosensing to bioparticles manipulation
US20220107274A1 (en) Photonic apparatus, methods, and applications
Hsiao et al. Nanophotonic biosensors using hexagonal nanoring resonators: computational study
JP6462251B2 (ja) 機能性デバイス、分析システムおよび分析方法
Pin et al. Optofluidic near-field optical microscopy: near-field mapping of a silicon nanocavity using trapped microbeads
Vitali et al. Integrated optofluidic chip for oscillatory microrheology
Maceiczyk et al. A photothermal spectrometer for fast and background-free detection of individual nanoparticles in flow
Chen et al. Planar photonic chips with tailored dispersion relations for high-efficiency spectrographic detection
JP2016161546A (ja) マイクロ流路チップ
Amiri et al. Spectral detection of graphene and graphene oxide with SU-8 based asymmetry tripled-Arm Mach Zehnder
JP2018031593A (ja) 微粒子センシング素子及び微粒子評価システム
JP6944678B2 (ja) 熱レンズ分析用光ファイバーカプラ、熱レンズ分析装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170620

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180619

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180820

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20181204

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20181227

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6462251

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250