以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、本実施形態に係る電源システム1の全体構成の一例を示すシステム構成図を示す。電源システム1は、太陽電池アレイ200と、パワーコンディショナ10とを備える。太陽電池アレイ200は、複数の太陽電池モジュールが直列に接続された複数の太陽電池ストリングが並列に接続されている。太陽電池アレイ200は、分散型電源の一例である。分散型電源として、ガスエンジン、ガスタービン、マイクロガスタービン、燃料電池、風力発電装置、電気自動車、または蓄電システムなどが用いられてよい。
パワーコンディショナ10は、太陽電池アレイ200から出力される直流電圧を昇圧し、昇圧された直流電圧を交流電圧に変換して、系統電源300側に出力する電力変換部と、電力変換部を制御する制御装置100とを備える。電力変換部は、コンデンサC1、昇圧回路20、コンデンサC2、インバータ40、コイルL2、コンデンサC3、およびリレー50を有する。系統電源300は、交流電源の一例である。電源システム1は、太陽電池アレイ200とパワーコンディショナ10との組み合わせの分散型電源とは別に、ガスエンジンなどの交流電圧を出力する他の分散型電源を系統電源300の代わりに備えてもよい。
コンデンサC1の一端および他端は、太陽電池アレイ200の正極端子および負極端子に電気的に接続され、太陽電池アレイ200から出力される直流電圧を平滑化する。昇圧回路20は、いわゆるチョッパ方式スイッチングレギュレータでよい。昇圧回路20は、太陽電池アレイ200からの電圧を昇圧する。昇圧回路20は、例えば、ハーフブリッジ型昇圧回路、フルブリッジ型昇圧回路などのトランス巻線を有する絶縁型昇圧回路により構成してもよい。
コンデンサC2は、昇圧回路20から出力される直流電圧を平滑化する。インバータ40は、スイッチを含み、スイッチがオンオフすることで昇圧回路20から出力された直流電圧を交流電圧に変換し、系統電源300側に出力する。インバータ40は、例えば、ブリッジ接続された4つの半導体スイッチを含む単相フルブリッジPWMインバータにより構成してもよい。4つの半導体スイッチのうち、一方の一対の半導体スイッチは直列に接続される。4つの半導体スイッチのうち、他方の一対の半導体スイッチは、直列に接続され、かつ一方の一対の半導体スイッチと並列に接続される。
インバータ40と系統電源300との間には、コイルL2およびコンデンサC3が設けられる。コイルL2およびコンデンサC3は、インバータ40から出力された交流電圧からノイズを除去する。また、コンデンサC3と系統電源300との間には、リレー50が設けられる。リレー50は、インバータ40と系統電源300との間を電気的に遮断するか否かを切り替える。リレー50がオンすることで、パワーコンディショナ10と系統電源300とが電気的に接続され、オフすることでパワーコンディショナ10と系統電源300とが電気的に遮断される。
パワーコンディショナ10は、電圧センサ12、16、および22、並びに電流センサ14、18、および19をさらに備える。電圧センサ12は、太陽電池アレイ200の両端の電位差に対応する電圧V1を検知する。電圧センサ16は、昇圧回路20の出力側の両端の電位差に対応する電圧V2を検知する。電圧センサ22は、インバータ40の出力側の両端の電位差に対応する電圧V3を検知する。
電流センサ14は、太陽電池アレイ200から出力され、昇圧回路20の入力側に流れる電流I1を検知する。電流センサ18は、昇圧回路20から出力される電流I2を検知する。電流センサ19は、インバータ40から出力される電流I3を検知する。
制御装置100は、太陽電池アレイ200から最大電力が得られるように、電圧センサ12、16および22、並びに電流センサ14、18および19により検知される電圧および電流に基づいて昇圧回路20、およびインバータ40のスイッチング動作を制御して、太陽電池アレイ200から出力される直流電圧を昇圧し、昇圧された直流電圧を交流電圧に変換して、系統電源300側に出力する。
以上のように構成されたパワーコンディショナ10は、系統電源300が停止した場合には、リレー50をオフして、パワーコンディショナ10と系統電源300とを電気的に遮断しなければならない。
制御装置100は、単独運転検出部110、リレー制御部150、および出力制御部160を有する。単独運転検出部110は、単独運転検出装置の一例である。出力制御部160は、インバータ40から出力される電流の位相と、電圧の位相との間の位相差、およびインバータ40から出力される電流の振幅を調整することで、電力変換部から無効電力を出力させる。単独運転検出部110は、出力制御部160を介して電力変換部から出力すべき目標無効電力量を導出して、出力制御部160に提供する。また、単独運転検出部110は、無効電力の供給に伴う系統電源300の電圧の周波数変動を検知することで、系統電源300が停止している、つまりパワーコンディショナ10が単独運転していることを検知する。リレー制御部150は、パワーコンディショナ10が単独運転していることを単独運転検出部110が検知すると、リレー50を作動させて、パワーコンディショナ10と系統電源300とを電気的に遮断させる。
図2は、単独運転検出部110の機能ブロックを示す図である。なお、単独運転検出部110は、制御装置100とは別個の装置として構成し、単独運転検出部110は、制御装置100と伝送ケーブルを介して通信してもよい。この場合、制御装置100および単独運転検出部110は、それぞれ基板と基板上に設けられたマイクロコンピュータなどにより構成されてよい。制御装置100の基板と、単独運転検出部110の基板とは、コネクタを有し、それぞれのコネクタが伝送ケーブルを介して接続されてよい。
単独運転検出部110は、周波数計測部112、周波数偏差導出部114、第1無効電力量導出部116、目標無効電力量導出部118、電圧取得部120、高調波歪み導出部122、単独運転推定部124、無効電力量調整部126、電圧変化量導出部128、第2無効電力量導出部130、および単独運転判定部132を有する。
周波数計測部112は、電圧センサ22を介して系統電源300の電圧を取得し、取得した電圧から系統電源300の周波数を示す系統周波数を計測する。周波数計測部112は、例えば、電圧センサ22から検出される電圧信号の立ち下がりと立ち上がりの中間値と、次の立ち下がりと立ち上がりの中間値との時間差を一周期として計測する。系統電源300の系統周期が50Hz(1系統周期が20ms)である場合、系統周期の計測周期は、系統周期の1/3以下、例えば、5msでもよい。
周波数偏差導出部114は、周波数計測部112により計測された系統周波数に基づいて系統電源300の周波数偏差を導出する。周波数偏差導出部114は、周波数計測部112により計測された系統周波数に基づいて、予め定められた移動平均時間分の系統周波数の移動平均値を順次導出する。移動平均時間は、系統周期の一周期、例えば20m秒よりも長く、かつ単独運転状態になってから単独運転状態が検出されるまでに許容されている時間以下でもよい。移動平均時間は、例えば100m秒よりも短い時間でもよく、移動平均時間は、例えば40m秒でもよい。
周波数偏差導出部114は、最新の移動平均値と、最新の移動平均値より過去の移動平均値との差分を周波数偏差として導出する。周波数偏差導出部114は、周波数計測部112により計測された最新の周期での周波数から予め定められた第1個数分前の周期までの各周波数の移動平均値である最新の移動平均値と、最新の周期から予め定められた第1時間前の過去の周期から予め定められた第2個数分前の周期までの各周波数の移動平均値である過去の移動平均値との差を、周波数偏差として導出してよい。
周波数偏差導出部114は、例えば、図3に示すように、周波数計測部112により計測された最新の周期での周波数から予め定められた8個数分前の周期(図3において、符号400で示すブロックが1周期分の時間を示す)までの各周波数の移動平均値である最新の移動平均値と、最新の周期から200ms前の過去の周期から予め定められた16個前の周期までの各周波数の移動平均値である過去の移動平均値との差を、周波数偏差として導出してよい。周波数偏差導出部114は、系統周期の計測周期と同一の周期ごと、例えば5m秒ごとに周波数偏差を逐次導出してもよい。
第1無効電力量導出部116は、系統電源300の周波数偏差に基づき第1無効電力量q1を導出する。第1無効電力量導出部116は、系統電源300の周波数偏差に比例して第1無効電力量q1が多くなるように、第1無効電力量q1を導出してよい。第1無効電力量導出部116は、例えば、図4に示すような第1無効電力量q1−周波数偏差特性を参照して、周波数偏差に対応する無効電力量q1を導出してもよい。
図4に示すように、系統電源300の周波数の変動が比較的少ない場合、すなわち周波数偏差が第1偏差範囲W1に含まれる場合と、系統電源300の周波数の変動が比較的多い、すなわち周波数偏差が第2偏差範囲W2内に含まれる場合とで、周波数偏差の大きさに対する無効電力量q1の割合を変更してもよい。また、周波数偏差が第1偏差範囲W1および第2偏差範囲W2外にある場合には、無効電力量q1を図4に示す第1閾無効電力量q1taまたは−q1taに固定してもよい。
ここで、パワーコンディショナ10が単独運転していない場合に、比較的大きな無効電力量q1を用いてパワーコンディショナ10が無効電力を系統電源300側に供給すると、電力系統に悪影響を与える可能性がある。例えば、周波数偏差が第1偏差範囲W1の場合、パワーコンディショナ10が単独運転していない場合も多い。そこで、周波数偏差が第1偏差範囲W1に含まれる場合、周波数偏差に基づく無効電力量q1を比較的少なくなるように、第1無効電力量導出部116は、無効電力量q1を導出してよい。
一方、例えば、パワーコンディショナ10から出力する無効電力と、負荷310から出力する無効電力とが均衡状態にある場合、周波数偏差が比較的小さい場合でも、パワーコンディショナ10が単独運転している可能性がある。
そこで、パワーコンディショナ10は、周波数偏差が比較的小さい場合でも、パワーコンディショナ10が単独運転している可能性がある場合には、いわゆる無効電力ステップ注入を実行する。パワーコンディショナ10は、周波数偏差以外の他の電気的パラメータを利用して、パワーコンディショナ10が単独運転している可能性があるか否かをさらに判断する。そして、パワーコンディショナ10が単独運転している可能性があると判断した場合には、パワーコンディショナ10は、周波数偏差に応じた第1無効電力量に追加の無効電力量である、第2無効電力量導出部130により導出される第2無効電力量q2を加えた無効電力を出力し、周波数偏差が比較的小さい場合でもパワーコンディショナ10が単独運転していることを検出しやすくしている。
単独運転推定部124は、系統電源300が出力する電力に関する電気的パラメータが、パワーコンディショナ10が単独運転している可能性がある予め定められた電気的条件を満たすか否かを判定することで、パワーコンディショナ10が単独運転している可能性があるか否かを判断する。
電圧取得部120は、電圧センサ22により検出される系統電源300の電圧V3を検知する。高調波歪み導出部122は、電圧センサ22により検出される系統電源300の電圧情報から、高調波歪み電圧を導出する。高調波歪み導出部122は、例えば、2次〜7次までの高調波歪電圧のそれぞれを二乗し、それらの加算値の平方根を算出することで、系統電源300の高調波歪電圧を導出してよい。
単独運転推定部124は、系統電源300が出力する電力に関する電気的パラメータが、パワーコンディショナ10が単独運転している可能性がある電気的条件を満たすか否かを判断する。ここで、電気的条件は、固定の条件でもよいし、パワーコンディショナ10などで検知される電圧、電流、周波数偏差などの電気的パラメータなどに応じて可変の条件でもよい。単独運転推定部124は、電圧取得部120により取得される系統電源300の系統電圧(基本波電圧)、または高調波歪み導出部122により導出される高調波歪み電圧に基づいて、パワーコンディショナ10が単独運転している可能性があるか否かを判断する。単独運転推定部124は、周波数偏差が第1偏差範囲W1でかつ、基本波電圧または高調波歪み電圧が予め定められた電気的条件を満たす場合に、パワーコンディショナ10が単独運転している可能性があると判断してよい。
図5は、第2無効電力量q2を目標無効電力量Qに加算する手順、つまり無効電力ステップ注入の処理手順の一例を示すフローチャートである。
単独運転推定部124は、周波数偏差導出部114から系統電源300の周波数偏差を取得する(S100)。単独運転推定部124は、周波数偏差が第1偏差範囲W1内で、基本波電圧が予め定められた変動をするか否かを判定する(S102)、単独運転推定部124は、例えば、基本波電圧が図6Aおよび図6Bに示すような領域501、502に含まれるような動きをした場合、パワーコンディショナ10が単独運転している可能性があると判断する。
また、単独運転推定部124は、周波数偏差が第1偏差範囲W1内で、高調波歪み電圧が予め定められた変動をするか否かを判定する(S104)。単独運転推定部124は、例えば、高調波歪み電圧が図7Aおよび図7Bに示すような領域601、602に含まれるような動きをした場合、パワーコンディショナ10が単独運転している可能性があると判断する。
単独運転推定部124が、パワーコンディショナ10が単独運転している可能性があると判断した場合には、第2無効電力量導出部130が第2無効電力量q2の導出し、目標無効電力量導出部118は、第1無効電力量q1に第2無効電力量q2を加算して、目標無効電力量Qを導出する(S106)。出力制御部160は、目標無効電力量導出部118により導出された第1無効電力量q1および第2無効電力量q2を含む目標無効電力量Qに基づいてパワーコンディショナ10が出力する無効電力を制御する。
第2無効電力量導出部130は、予め定められたタイミングで(S108)、第2無効電力量q2の導出を終了する。第2無効電力量導出部130は、例えば、第2無効電力量q2の導出を開始から予め定められた期間が経過すると、第2無効電力量q2の導出を終了する。第2無効電力量導出部130は、例えば、第2無効電力量q2を導出する回数が予め定められた回数に達すると、第2無効電力量q2の導出を終了する。パワーコンディショナ10は、第2無効電力量q2を含む目標無効電力量Qに基づく無効電力の出力を開始してから予め定められた期間(例えば、200ms)が経過した後、第2無効電力量q2を含む目標無効電力量Qに基づく無効電力の出力を終了して、周波数偏差に応じた第1無効電力量q1のみを含む目標無効電力量Qに基づく無効電力を出力する。
第2無効電力量導出部130は、周波数偏差が予め定められた第1偏差範囲W1内で、かつ系統電源300が出力する電力に関する電気的パラメータが、電力変換部が単独運転している可能性がある予め定められた電気的条件を満たすと判断した後の予め定められた期間に亘って、単独運転検出に用いる予め定められた第2無効電力量q2を逐次導出している。
第2無効電力量導出部130は、単独運転推定部124によりパワーコンディショナ10が単独運転している可能性があるあると判断された場合には、その後、予め定められた期間、例えば、200msに亘って、一定量の第2無効電力量q2を逐次導出する。第2無効電力量導出部130は、いわゆる無効電力ステップ注入を行う場合の無効電力量を導出している。
目標無効電力量導出部118は、目標無効電力量導出部118により逐次導出される第1無効電力量q1、およびパワーコンディショナ10が単独運転している可能性がある場合に第2無効電力量導出部130により導出される第2無効電力量q2に基づいて、目標無効電力量Qを導出する。目標無効電力量導出部118は、第1無効電力量q1と第2無効電力量q2とを加算することで、目標無効電力量Qを導出する。目標無効電力量導出部118は、導出された目標無効電力量Qを出力制御部160に提供する。
出力制御部160は、例えば、パワーコンディショナ10から最大または極大となる出力が得られるような目標有効電力Pに基づいて太陽電池アレイ200から最大または極大の有効電力が得られるようにインバータ40をPWM制御する。また、出力制御部160は、目標無効電力量導出部118から提供される目標無効電力量Qに基づいて、インバータ40から出力される電流の位相と電圧の位相との間の位相差を調整することで、系統電源300側に供給する無効電力を制御する。
以上のように構成されたパワーコンディショナ10が出力する無効電力により、負荷310に供給される電圧の変動が大きくなり、いわゆるフリッカ現象を起こす可能性がある。例えば、柱上変圧器の配下に、複数のパワーコンディショナ10が設置された場合、または、比較的容量の大きなパワーコンディショナ10が設置された場合、あるいは柱上変圧器と系統電源300との間の亘線の長さが比較的長い場合に、柱上変圧器の配下で供給される無効電力が電圧変動の原因となり、フリッカ現象が起きる可能性がある。
そこで、本実施形態では、柱上変圧器の配下に複数のパワーコンディショナ10が設置された場合、または、比較的容量の大きなパワーコンディショナ10が設置された場合、あるいは柱上変圧器と系統電源300との間の亘線の長さが比較的長い場合でも、フリッカ現象が起きにくくする。
本発明に係るパワーコンディショナ10は、周波数偏差が収束方向に変化している場合の無効電力量の時間的変化が、周波数偏差が発散方向に変化している場合の無効電力量の時間的変化より緩やかになるよう無効電力の出力を制御する。本発明に係るパワーコンディショナ10は、周波数偏差が徐々に小さくなっている場合の無効電力量の時間的変化が、周波数偏差が徐々に大きくなっている場合の無効電力量の時間的変化より緩やかになるように無効電力の出力を制御する。これにより、系統電源300側に供給される無効電力の急激な変化による電力系統への影響を抑える。
周波数偏差が発散方向に変化している場合、パワーコンディショナ10が単独運転している可能性が高く、パワーコンディショナ10の単独運転を即座に検出する必要がある。一方、周波数偏差が収束方向に変化している場合、パワーコンディショナ10が単独運転している可能性は比較的低い。周波数偏差が収束方向に変化している場合に、無効電力量の時間的変化が緩やかになっても、パワーコンディショナ10の単独運転検出に悪影響を及ぼす可能性が低い。
本実施形態によれば、周波数偏差が収束方向に変化している場合には、無効電力量の時間的変化を強制的に緩やかにする。これにより、無効電力量の変動が大きくならず、フリッカが起こりにくくなる。系統電源300側に供給される無効電力の増大による電力系統への影響を抑えることができる。
無効電力量調整部126は、周波数偏差が予め定められた偏差範囲外、例えば第1偏差範囲外になった後、予め定められたタイミングで、目標無効電力量導出部118により導出される目標無効電力量の時間的変化が緩やかになるように目標無効電力量導出部118が導出する目標無効電力量を調整する無効電力量調整として、無効電力量調整Aを実行する。無効電力量調整部126は、目標無効電力量導出部118により導出される目標無効電力量の時間的変化が緩やかになるように目標無効電力量導出部118が導出する目標無効電力量を調整する指令として、目標無効電力量を調整するためのΔQthなどの調整用の無効電力量を目標無効電力量導出部118に出力することで、無効電力量調整Aを実行してよい。無効電力量調整部126は、周波数偏差が予め定められた偏差範囲外、例えば、第1偏差範囲W1外になった後、周波数偏差が収束方向に変化している場合に、無効電力量調整Aを実行してよい。無効電力量調整部126は、周波数偏差が収束方向に変化している場合に目標無効電力量導出部118により導出される目標無効電力量の時間的変化が、周波数偏差が発散方向に変化している場合に目標無効電力量導出部118により導出される目標無効電力量の時間的変化より緩やかになるように目標無効電力量導出部118が導出する目標無効電力量を調整する無効電力量調整Aを実行する。
無効電力量調整部126は、無効電力量調整Aを開始した後、周波数偏差が予め定められた偏差範囲、例えば、第1偏差範囲W1内に収まった後、予め定められた期間に亘って、無効電力量調整Aを継続してよい。無効電力量調整部126は、無効電力量調整Aを開始した後、予め定められた期間に亘って、無効電力量調整Aを継続してよい。無効電力量調整Aを開始する条件は、単独運転検出部110が出力する無効電力の大きさ(振幅)および周期に基づいて定められてよい。
無効電力量調整部126は、周波数偏差が予め定められた偏差範囲、例えば第1偏差範囲W1外になって予め定められた期間(例えば、100msec)が経過した後、周波数偏差が収束方向に変化している場合、無効電力量調整Aを開始してよい。
本実施形態では、フリッカによる電圧変動に追従して、無効電力量が変動することを防止する。フリッカの半周期より長い期間に亘って、無効電力量調整Aを継続できれば、フリッカによる電圧変動に追従して、無効電力量が変動することを防止できる。そこで、予め定められた期間は、系統電源300が出力する電圧に生じるフリッカの周期および大きさの少なくとも一方に基づいて定められてよい。予め定められた期間は、フリッカの半周期に基づいて定められてよい。無効電力量調整Aを継続する期間が、フリッカの半周期より長くなるように、予め定められた期間が定められてよい。なお、系統電源300が出力する電圧に生じるフリッカの周波数は、例えば、6〜7Hzであることが知られている。つまり、フリッカの半周期は、例えば、約72msec〜約84msecである。また、予め定められた期間は、単独運転検出部110が出力する無効電力の大きさ(振幅)および周期の少なくとも一方に基づいて定められてよい。
無効電力量調整部126は、周波数偏差が収束方向に変化している場合であって、周波数偏差導出部114により導出された周波数偏差が正の場合、周波数偏差導出部114により第1無効電力量q1に基づいて導出された暫定の今回の目標無効電力量Q'(t)から目標無効電力量導出部118により導出された前回の目標無効電力量Q(t−1)を減算することで得られる変化量(Q'(t)−Q(t−1))が、予め定められた第1基準変化量(−ΔQth)より小さい場合、今回の目標無効電力量Q(t)として、前回の目標無効電力量Q(t−1)と第1基準変化量(−ΔQth)とに基づいて目標無効電力量導出部118に今回の目標無効電力量Q(t)を導出させることで、無効電力量調整Aを実行してよい。無効電力量調整部126は、上記の条件を満たす場合、Q(t−1)−ΔQthを今回の目標無効電力量Q(t)として目標無効電力量導出部118に今回の目標無効電力量Q(t)を導出させてよい。
無効電力量調整部126は、周波数偏差が収束方向に変化している場合であって、周波数偏差導出部114により導出された周波数偏差が負の場合、目標無効電力量導出部118により第1無効電力量q1に基づいて導出された暫定の今回の目標無効電力量Q'(t)から目標無効電力量導出部118により導出された前回の目標無効電力量Q(t−1)を減算することで得られる変化量(Q'(t)−Q(t−1))が、予め定められた第2基準変化量ΔQthより大きい場合、今回の目標無効電力量Q(t)として、前回の目標無効電力量Q(t−1)と第2基準変化量ΔQthとに基づいて目標無効電力量導出部118に今回の目標無効電力量を導出させることで、無効電力量調整Aを実行してよい。無効電力量調整部126は、上記の条件を満たす場合、Q(t−1)+ΔQthを今回の目標無効電力量Q(t)として目標無効電力量導出部118に今回の目標無効電力量Q(t)を導出させてよい。
無効電力量調整部126は、周波数偏差が収束方向に変化している場合、予め定められた継続期間(例えば、400msec)をかけて目標無効電力量がゼロになるように、目標無効電力量導出部118が導出する目標無効電力量を調整してよい。これにより、パワーコンディショナ10が出力する無効電力量が小さい場合でも、周波数偏差が収束方向に変化している場合に、パワーコンディショナ10が出力する無効電力を緩やかに減少させることができる。
ここで、パワーコンディショナ10が単独運転を開始した直後は、周波数計測部112により計測される系統周波数が不安定で、周波数偏差が第1偏差範囲W1外になった後、周波数偏差が発散方向に変化している直後に、周波数偏差が収束方向に変化する場合がある。このような場合、無効電力量調整部126が、周波数偏差が収束方向に変化していると判断して、即座に無効電力量調整Aを実行すると、正確に単独運転を検出できない可能性がある、そこで、無効電力量調整部126は、周波数偏差が予め定められた偏差範囲、例えば、第1偏差範囲外になって予め定められた待機期間が経過した後、周波数偏差が収束方向に変化している場合、無効電力量調整Aを開始してよい。
図8および図9は、本実施形態に係る目標無効電力量の導出手順の一例を示すフローチャートである。
単独運転推定部124は、周波数偏差導出部114から系統電源300の周波数偏差を取得する(S200)。単独運転推定部124は、周波数偏差が第1偏差範囲W1内で、基本波電圧が予め定められた変動をするか否かを判定する(S202)、単独運転推定部124は、例えば、基本波電圧が図6Aおよび図6Bに示すような領域501、502に含まれるような動きをした場合、パワーコンディショナ10が単独運転している可能性があると判断する。
また、単独運転推定部124は、周波数偏差が第1偏差範囲W1内で、高調波歪み電圧が予め定められた変動をするか否かを判定する(S204)。単独運転推定部124は、例えば、高調波歪み電圧が図7Aおよび図7Bに示すような領域601、602に含まれるような動きをした場合、パワーコンディショナ10が単独運転している可能性があると判断する。
単独運転推定部124が、パワーコンディショナ10が単独運転している可能性があると判断した場合には、第2無効電力量導出部130が第2無効電力量q2の導出し、目標無効電力量導出部118は、第1無効電力量q1に第2無効電力量q2を加算して、目標無効電力量Qを導出する(S206)。出力制御部160は、目標無効電力量導出部118により導出された第1無効電力量q1および第2無効電力量q2を含む目標無効電力量Qに基づいてパワーコンディショナ10が出力する無効電力を制御する。
第2無効電力量導出部130は、予め定められたタイミングで(S208)、第2無効電力量q2の導出する終了する。第2無効電力量導出部130は、例えば、第2無効電力量q2の導出を開始してから予め定められた期間が経過すると、第2無効電力量q2の導出を終了する。
一方、周波数偏差が第1偏差範囲W1外、もしくは周波数偏差が第1偏差範囲W1内で、基本波電圧および高調波歪み電圧が予め定められた変動をしない場合、すなわち、無効電力ステップ注入を実行しない場合、無効電力量調整部126は、周波数偏差が第1偏差範囲W1外か否かを判定する(S210)。なお、無効電力量調整部126は、単独運転推定部124がS202およびS204の判定と並行して、S210の判定を行ってよい。
周波数偏差が第1偏差範囲W1外であれば、無効電力量調整部126は、周波数偏差が第1偏差範囲W1外になった後、予め定められた移行期間(例えば、100msec)を過ぎているか否かを判定する(S212)。移行期間を過ぎていなければ、目標無効電力量導出部118は、通常通り、第1無効電力量q1に基づいて目標無効電力量Qを導出する。目標無効電力量導出部118は、第1無効電力量q1に基づいて導出された暫定の目標無効電力量Q'を今回の実際の目標無効電力量Q(t)として導出する(S214)。
一方、移行期間を過ぎていれば、無効電力量調整部126は、周波数偏差導出部114により導出された今回の周波数偏差が正か負かを判定する(S300)。周波数偏差が正であれば、無効電力量調整部126は、今回の暫定の目標無効電力量Q'(t)から前回の実際の目標無効電力量Q(t−1)を減算した値が0より小さいか否かを判定する。すなわち、無効電力量調整部126は、Q'(t)−Q(t−1)<0を満たすか否かを判定する(S302)。無効電力量調整部126は、ステップS302で、周波数偏差が収束方向に変化しているか否かを判定している。無効電力量調整部126は、Q'(t)−Q(t−1)<0を満たせば、周波数偏差が収束方向に変化していると判断する。すなわち、無効電力量調整部126は、Q'(t)−Q(t−1)<0を満たせば、無効電力量が収束方向に変化していると判断する。
Q'(t)−Q(t−1)<0を満たさなければ、無効電力量調整部126は、周波数偏差が発散方向に変化していると判断して、通常通り、第1無効電力量q1に基づいて目標無効電力量Qを導出するように目標無効電力量導出部118に指示する。目標無効電力量導出部118は、第1無効電力量q1に基づいて導出された今回の暫定の目標無効電力量Q'を今回の実際の目標無効電力量Q(t)として導出する(S304)。
Q'(t)−Q(t−1)<0を満たす場合、無効電力量調整部126は、Q'(t)−Q(t−1)が予め定められた第1基準変化量(−ΔQth)より小さいか否かを判定する(S306)。すなわち、無効電力量調整部126は、Q'(t)−Q(t−1)<−ΔQthを満たすか否かを判定する。Q'(t)−Q(t−1)<−ΔQthを満たす場合、第1無効電力量q1に基づく今回の暫定の目標無効電力量Q'では、無効電力量の変化が急峻過ぎるので、無効電力量調整部126は、Q(t−1)−ΔQthを今回の実際の目標無効電力量Q(t)として導出させるように目標無効電力量導出部118に指示する。指示を受けて、目標無効電力量導出部118は、Q(t−1)−ΔQthを今回の実際の目標無効電力量Q(t)として導出する(S308)。
一方、Q'(t)−Q(t−1)<−ΔQthを満たさなければ、第1無効電力量q1に基づく今回の暫定の目標無効電力量Q'で無効電力量を制御しても、無効電力量の変化が急峻にはならないので、無効電力量調整部126は、通常通り、第1無効電力量q1に基づいて目標無効電力量Q(t)を導出するように目標無効電力量導出部118に指示する。目標無効電力量導出部118は、第1無効電力量q1に基づいて導出された今回の暫定の目標無効電力量Q'(t)を今回の実際の目標無効電力量Q(t)として導出する(S310)。
次いで、無効電力量調整部126は、周波数偏差導出部114により導出された次の周波数偏差を取得する(S312)。無効電力量調整部126は、取得した次の周波数偏差が第1偏差範囲W1内か否かを判定する。
次の周波数偏差が第1偏差範囲W1外であれば、無効電力量調整部126は、ステップS306〜ステップS312の処理を繰り返す。すなわち、無効電力量調整部126は、無効電力量の変化が急峻にならないように無効電力量を調整する無効電力量調整Aを継続する。
一方、次の周波数偏差が第1偏差範囲W1内であれば、無効電力量調整部126は、タイマをセットし(S316)、周波数偏差が第1偏差範囲W1内に入ってから予め定められた時間が経過するまで、無効電力量調整Aをさらに継続する。
すなわち、タイマをセット後、無効電力量調整部126は、次の周波数偏差について、Q'(t)−Q(t−1)<−ΔQthを満たすか否かを判定する(S318)。Q'(t)−Q(t−1)<−ΔQthを満たせば、無効電力量調整部126は、Q(t−1)−ΔQthを今回の実際の目標無効電力量Q(t)として導出させるように目標無効電力量導出部118に指示する。指示を受けて、目標無効電力量導出部118は、Q(t−1)−ΔQthを今回の実際の目標無効電力量Q(t)として導出する(S320)。
一方、Q'(t)−Q(t−1)<−ΔQthを満たさなければ、無効電力量調整部126は、通常通り、第1無効電力量q1に基づいて目標無効電力量Q(t)を導出するように目標無効電力量導出部118に指示する。目標無効電力量導出部118は、第1無効電力量q1に基づいて導出された今回の暫定の目標無効電力量Q'(t)を今回の実際の目標無効電力量Q(t)として導出する(S310)。
その後、無効電力量調整部126は、タイマの時間が予め定められた時間を経過しているか否かを判定する(S324)。時間が経過していなければ、無効電力量調整部126は、さらに次の周波数偏差を取得して(S326)、ステップS318以降の処理を継続する。すなわち、無効電力量調整部126は、無効電力量調整Aを継続する。一方、時間が経過していれば、無効電力量調整部126は、無効電力量調整Aを停止する。
ステップS300の判定の結果、周波数偏差が負の場合、無効電力量調整部126は、今回の暫定の目標無効電力量Q'(t)から前回の実際の目標無効電力量Q(t−1)を減算した値が0より大きいか否かを判定する。すなわち、無効電力量調整部126は、Q'(t)−Q(t−1)>0を満たすか否かを判定する(S330)。無効電力量調整部126は、ステップS330でも、周波数偏差が収束方向に変化しているか否かを判定している。無効電力量調整部126は、Q'(t)−Q(t−1)>0を満たせば、周波数偏差が収束方向に変化していると判断する。すなわち、無効電力量調整部126は、Q'(t)−Q(t−1)>0を満たせば、無効電力量が収束方向に変化していると判断する。
Q'(t)−Q(t−1)>0を満たさなければ、無効電力量調整部126は、周波数偏差が発散方向に変化していると判断して、通常通り、第1無効電力量q1に基づいて目標無効電力量Qを導出するように目標無効電力量導出部118に指示する。目標無効電力量導出部118は、第1無効電力量q1に基づいて導出された今回の暫定の目標無効電力量Q'を今回の実際の目標無効電力量Q(t)として導出する(S332)。
Q'(t)−Q(t−1)>0を満たす場合、無効電力量調整部126は、Q'(t)−Q(t−1)が予め定められた第2基準変化量(ΔQth)より大きいか否かを判定する(S334)。すなわち、無効電力量調整部126は、Q'(t)−Q(t−1)>ΔQthを満たすか否かを判定する。Q'(t)−Q(t−1)>ΔQthを満たす場合、第1無効電力量q1に基づく今回の暫定の目標無効電力量Q'では、無効電力量の変化が急峻過ぎるので、無効電力量調整部126は、Q(t−1)+ΔQthを今回の実際の目標無効電力量Q(t)として導出させるように目標無効電力量導出部118に指示する。指示を受けて、目標無効電力量導出部118は、Q(t−1)+ΔQthを今回の実際の目標無効電力量Q(t)として導出する(S336)。
一方、Q'(t)−Q(t−1)>ΔQthを満たさなければ、第1無効電力量q1に基づく今回の暫定の目標無効電力量Q'で無効電力量を制御しても、無効電力量の変化が急峻にはならないので、無効電力量調整部126は、通常通り、第1無効電力量q1に基づいて目標無効電力量Q(t)を導出するように目標無効電力量導出部118に指示する。目標無効電力量導出部118は、第1無効電力量q1に基づいて導出された今回の暫定の目標無効電力量Q'(t)を今回の実際の目標無効電力量Q(t)として導出する(S338)。
次いで、無効電力量調整部126は、周波数偏差導出部114により導出された次の周波数偏差を取得する(S340)。無効電力量調整部126は、取得した次の周波数偏差が第1偏差範囲W1内か否かを判定する。
次の周波数偏差が第1偏差範囲W1外であれば、無効電力量調整部126は、ステップS334〜ステップS340の処理を繰り返す。すなわち、無効電力量調整部126は、無効電力量の変化が急峻にならないように無効電力量を調整する無効電力量調整Aを継続する。
一方、次の周波数偏差が第1偏差範囲W1内であれば、無効電力量調整部126は、タイマをセットし(S344)、周波数偏差が第1偏差範囲W1内に入ってから予め定められた時間が経過するまで、無効電力量調整Aをさらに継続する。
すなわち、タイマをセット後、無効電力量調整部126は、次の周波数偏差について、Q'(t)−Q(t−1)>ΔQthを満たすか否かを判定する(S346)。Q'(t)−Q(t−1)>ΔQthを満たせば、無効電力量調整部126は、Q(t−1)+ΔQthを今回の実際の目標無効電力量Q(t)として導出させるように目標無効電力量導出部118に指示する。指示を受けて、目標無効電力量導出部118は、Q(t−1)+ΔQthを今回の実際の目標無効電力量Q(t)として導出する(S348)。
一方、Q'(t)−Q(t−1)>ΔQthを満たさなければ、無効電力量調整部126は、通常通り、第1無効電力量q1に基づいて目標無効電力量Q(t)を導出するように目標無効電力量導出部118に指示する。目標無効電力量導出部118は、第1無効電力量q1に基づいて導出された今回の暫定の目標無効電力量Q'(t)を今回の実際の目標無効電力量Q(t)として導出する(S350)。
その後、無効電力量調整部126は、タイマの時間が予め定められた時間を経過しているか否かを判定する(S352)。時間が経過していなければ、無効電力量調整部126は、さらに次の周波数偏差を取得して(S354)、ステップS346以降の処理を継続する。すなわち、無効電力量調整部126は、無効電力量調整Aを継続する。一方、時間が経過していれば、無効電力量調整部126は、無効電力量調整Aを停止する。
以上の通り、上記手順によれば、パワーコンディショナ10は、周波数偏差が収束方向に変化している場合の無効電力量の時間的変化が、周波数偏差が発散方向に変化している場合の無効電力量の時間的変化より緩やかになるよう無効電力の出力を制御できる。
図10は、本実施形態に係る目標無効電力量の導出手順の他の一例を示すフローチャートである。
図9では、周波数偏差が第1偏差範囲W1内に入ってから予め定められた時間が経過するまで、無効電力量調整Aを継続する例について説明した。一方、図10では、周波数偏差が収束方向に変化し始めてから予め定められた時間が経過するまで、無効電力量調整Aを継続する。
すなわち、無効電力量調整部126は、周波数偏差が正である場合、Q'(t)−Q(t−1)<0を満たすか否かを判定し(S302)、Q'(t)−Q(t−1)<0を満たせば、周波数偏差が収束方向に変化し始めたと判断して、タイマをセットする(S318)。そして、無効電力量調整部126は、図9に示す手順と同様に、タイマの時間が予め定められた時間を経過するまで、無効電力量調整Aを継続する。
一方、周波数偏差が負である場合、無効電力量調整部126は、Q'(t)−Q(t−1)>0を満たすか否かを判定し(S330)、Q'(t)−Q(t−1)>0を満たせば、周波数偏差が収束方向に変化し始めたと判断して、タイマをセットする(S344)。そして、無効電力量調整部126は、図9に示す手順と同様に、タイマの時間が予め定められた時間を経過するまで、無効電力量調整Aを継続する。
以上の通り、上記手順によれば、周波数偏差が収束方向に変化している場合には、無効電力量の変化が、周波数偏差が発散方向に変化している場合に比べて、緩やかにできる。これにより、柱上変圧器の配下に複数のパワーコンディショナ10が設置された場合、または、比較的容量の大きなパワーコンディショナ10が設置された場合、あるいは柱上変圧器と系統電源300との間の亘線の長さが比較的長い場合でも、フリッカ現象が起こりにくくできる。
例えば、周波数偏差が収束方向に変化している場合に無効電力量の変化の速度に制限を設けない場合、すなわち、周波数偏差が収束方向に向かっている場合でも、周波数偏差の大きさに応じた目標無効電力量に従ってパワーコンディショナ10が無効電力量を制御している場合、図11に示すように、フリッカの周期に連動して、無効電力量も短い周期で変動する場合がある。一方、周波数偏差が収束方向に変化している場合に無効電力量の変化の速度に制限を設ける場合、フリッカの周期に連動して、無効電力量が短い周期で変動しない。周波数偏差が収束方向に変化している場合に目標無効電力量の時間的変化に上限を設けてパワーコンディショナ10に無効電力量の変化を制御させる場合、フリッカの周期に連動して、無効電力量が短い周期で変動しない。これにより、パワーコンディショナ10が単独運転していない場合、図12に示すように、無効電力量が正常に収束していく。よって、パワーコンディショナ10が単独運転していないにもかかわらず、無効電力を出力し続けることを防止できる。
以上、上記では、無効電力量調整部126が、周波数偏差が収束方向に変化している場合に目標無効電力量導出部118により導出される目標無効電力量の時間的変化が、周波数偏差が発散方向に変化している場合に目標無効電力量導出部118により導出される目標無効電力量の時間的変化より緩やかになるように目標無効電力量導出部118が導出する目標無効電力量を調整する例について説明した。
続いて、系統電源300の電圧の変化の大きさに応じて、目標無効電力量を調整することで、フリッカに連動して、無効電力が変動することを防止する例について説明する。無効電力量調整部126は、電圧取得部120により取得される系統電源300の系統電圧の電圧変化量の大きさが大きくなるにつれて、目標無効電力量導出部118により導出される目標無効電力量の時間的変化が緩やかになるように、目標無効電力量導出部118が導出する目標無効電力量を調整する無効電力量調整Bを実行する。
図13は、電圧変化量に応じて目標無効電力量を調整する手順の一例を示すフローチャートである。
第1無効電力量導出部116が周波数偏差導出部114により導出された周波数偏差Δfを取得する(S400)。無効電力量調整部126は、電圧変化量導出部128により導出された系統電源300の電圧の電圧変化量ΔVを取得する(S402)。第1無効電力量導出部116は、周波数偏差に基づいて、例えば、図4に示すような第1無効電力量q1−周波数偏差特性を参照して、周波数偏差Δfに対応する無効電力量q1を導出する(S404)。無効電力量調整部126は、電圧変化量ΔVが大きくなるにつれて、目標無効電力量導出部118により導出される目標無効電力量の時間的変化が緩やかになるように、電圧変化量ΔVに基づいて調整無効電力量qaを導出する(S406)。
無効電力量調整部126は、例えば、図14に示すような調整無効電力量qa−電圧変化量ΔV特性を参照して、電圧変化量ΔVに対応する調整無効電力量qaを導出してよい。図14に示すように、調整無効電力量qaは、電圧変化量ΔVが正の方向に大きくなるにつれて、目標無効電力量の変化が小さくなるように、負の方向に大きくなる。一方、調整無効電力量qaは、電圧変化量ΔVが負の方向に大きくなるにつれて、目標無効電力量の変化が小さくなるように、正の方向に大きくなる。
なお、調整無効電力量qaは、図14に示すように上限値および下限値を有してもよい。電圧変化量ΔVが予め定められた第1基準電圧変化量ΔVth1より大きい場合には、下限値qath1で一定になってよい。また、電圧変化量ΔVが予め定められた第2基準電圧変化量ΔVth2より小さい場合には、上限値qath2で一定になってよい。
また、無効電力量調整部126は、例えば、図15に示すような調整無効電力量qa−電圧変化量ΔV特性を参照して、電圧変化量ΔVに対応する調整無効電力量qaを導出してよい。図15に示す調整無効電力量qa−電圧変化量ΔV特性によれば、予め定められた周波数偏差の範囲を示す第3偏差範囲W3に対応する電圧変化量範囲では、電圧変化量ΔVに応じて、目標無効電力量が調整されない。
次いで、無効電力量調整部126は、調整無効電力量qaに基づいて目標無効電力量を調整するように、目標無効電力量導出部118に指示する。目標無効電力量導出部118は、第1無効電力量q1と、調整無効電力量qaとに基づいて、目標無効電力量Qを導出する(S408)。
無効電力量調整部126は、電圧変化量ΔVが予め定められた電圧変化量範囲(すなわち、ΔVがΔVth2〜ΔVth1の範囲)内である場合、電圧変化量ΔVに基づいて調整無効電力量qaを導出し、第1無効電力量q1と調整無効電力量qaとに基づいて目標無効電力量導出部118に今回の目標無効電力量Qを導出させることで、無効電力量調整Bを実行してよい。
一方、無効電力量調整部126は、電圧変化量ΔVが電圧変化量範囲(すなわち、ΔVがΔVth2〜ΔVth1の範囲)外である場合、予め定められた基準調整無効電力量(ΔVth1またはΔVth2)と第1無効電力量q1とに基づいて目標無効電力量導出部118に今回の目標無効電力量Qを導出させることで、無効電力量調整Bを実行してよい。
以上、上記の例によれば、系統電源300の電圧の変化の大きさに応じて、目標無効電力量を調整することで、フリッカに連動して、無効電力が変動することを防止できる。
さらに、系統電源300の電圧の変化の大きさに応じて、目標無効電力量を調整する他の例について説明する。
他の例では、無効電力量調整部126は、フリッカによる電圧変動の可能性が高い場合に絞って、目標無効電力量を調整する。
図16は、他の例に従う無効電力量調整部126の機能ブロックの一例を示す。無効電力量調整部126は、周波数偏差取得部1261、バンドパスフィルタ部1262、電圧変化量取得部1263、バンドパスフィルタ部1264、相関関数導出部1265、および調整無効電力量導出部1266を有する。
周波数偏差取得部1261は、周波数偏差導出部114により導出された周波数偏差Δfを取得する。バンドパスフィルタ部1262は、フリッカの周期と同等な周期で変化する周波数偏差Δfのみを抽出する。バンドパスフィルタ部1262は、系統電源300が出力する電圧に生じるフリッカの周期に基づいて定められた周期範囲で変化する周波数偏差Δfのみを抽出する。
電圧変化量取得部1263は、電圧変化量導出部128により導出された系統電源300の電圧の電圧変化量ΔVを取得する。バンドパスフィルタ部1264は、フリッカの周期と同等な周期で変化する電圧変化量ΔVのみを抽出する。バンドパスフィルタ部1264は、系統電源300が出力する電圧に生じるフリッカの周期に基づいて定められた周期範囲で変化する電圧変化量ΔVのみを抽出する。
相関関数導出部1265は、周波数偏差Δfと電圧変化量ΔVとの間の相関関係を示す相関関数を導出する。パワーコンディショナ10が単独運転していない場合でも、無効電力の影響などでフリッカが発生し、系統電源300の電圧が周期的に変動している場合がある。このようなフリッカの影響を受けて、無効電力量が変動しないことが望ましい。フリッカが生じている場合には、電圧の変動と系統周波数の変動とは同調している。よって、フリッカが生じている場合には、周波数偏差Δfと電圧変化量ΔVとは同調している。したがって、周波数偏差Δfと電圧変化量ΔVとの間の相関関係は高い類似性を示す。つまり、周波数偏差Δfと電圧変化量ΔVとの間の相関関係が示す値は1に近い値を示す。この場合、周波数偏差Δfのみで目標無効電力量が導出されると、フリッカの影響で、パワーコンディショナ10から出力される無効電力が変動してしまう。
そこで、調整無効電力量導出部1266は、相関関数導出部1265により導出された相関関数が示す値に応じて、無効電力量調整Bを実行する。調整無効電力量導出部1266は、相関関数導出部1265により導出された相関関数が示す値が大きくなるにつれて、目標無効電力量導出部118により導出される目標無効電力量の変化が緩やかになるように、調整無効電力量qaを導出してよい。
調整無効電力量導出部1266は、相関関数導出部1265により導出された相関関数が示す値が予め定められた閾値以上である場合、無効電力量調整Bを実行してよい。調整無効電力量導出部1266は、図14または図15に示す調整無効電力量qa−電圧変化量ΔV特性に基づいて、暫定的に調整無効電力量qa'を導出して、調整無効電力量qa'に対して、相関関数の値に比例する係数を乗算することで、調整無効電力量qaを導出してよい。
相関関数導出部1265は、バンドパスフィルタ部1262およびバンドパスフィルタ部1264によりフィルタリングすることにより、系統電源300が出力する電圧に生じるフリッカの周期に基づいて定められた周期範囲で変化する周波数偏差Δfおよび電圧変化量ΔVについて、相関関数を導出してよい。
目標無効電力量導出部118は、第1無効電力量導出部116により導出された第1無効電力量q1と、調整無効電力量導出部1266により導出された調整無効電力量qaとに基づいて目標無効電力量導出部118に今回の目標無効電力量Qを導出させることで、無効電力量調整Bを実行する。
図17は、電圧変化量に応じて目標無効電力量を調整する手順の他の一例を示すフローチャートである。
第1無効電力量導出部116が周波数偏差導出部114により導出された周波数偏差Δfを取得する(S500)。第1無効電力量導出部116は、周波数偏差Δfに基づいて、例えば、図4に示すような第1無効電力量q1−周波数偏差特性を参照して、周波数偏差Δfに対応する無効電力量q1を導出する(S502)。
無効電力量調整部126は、電圧変化量導出部128により導出された系統電源300の電圧の電圧変化量ΔVを取得する(S504)。無効電力量調整部126は、周波数偏差Δfと電圧変化量ΔVとの間の相関関係を示す相関関数を導出する(S506)。
次いで、無効電力量調整部126は、相関関数が示す値が閾値以上であるか否かを判定する(S508)。相関関数が示す値が閾値より小さい場合、すなわち、周波数偏差Δfと電圧変化量ΔVとの間の相関関係が低い場合、フリッカの影響で、系統電圧および系統周波数が変動している可能性が低い。したがって、相関関数が示す値が閾値より小さい場合、無効電力量調整部126は、調整無効電力量qaを目標無効電力量導出部118に提供せず、目標無効電力量導出部118は、第1無効電力量q1に基づいて目標無効電力量を導出する(S514)。なお、目標無効電力量導出部118は、第2無効電力量導出部130により第2無効電力量q2が提供されている場合には、第1無効電力量q1および第2無効電力量q2に基づいて、目標無効電力量を導出してよい。
相関関数が示す値が閾値以上であれば、フリッカの影響で、系統電圧および系統周波数が変動している可能性があるので、無効電力量調整部126は、電圧変化量ΔVに基づいて、調整無効電力量qaを導出する(S510)。無効電力量調整部126は、相関関数が示す値に応じて調整無効電力量qaをさらに調整してよい。無効電力量調整部126は、電圧変化量ΔVに基づいて導出された暫定の調整無効電力量qa'に相関関数が示す値の大きさに比例する係数を乗算することで、実際の調整無効電力量qaを導出してよい。
無効電力量調整部126により導出された調整無効電力量qaは、目標無効電力量導出部118に提供され、目標無効電力量導出部118は、第1無効電力量q1と調整無効電力量qaとに基づいて、目標無効電力量Qを導出する(S512)。目標無効電力量導出部118は、第1無効電力量q1と調整無効電力量qaとを加算することで、目標無効電力量Qを導出してよい。なお、目標無効電力量導出部118は、第2無効電力量導出部130により第2無効電力量q2が提供されている場合には、第1無効電力量q1、第2無効電力量q2および調整無効電力量qaに基づいて、目標無効電力量を導出してよい。目標無効電力量導出部118は、第2無効電力量導出部130により第2無効電力量q2が提供されている場合には、第1無効電力量q1、第2無効電力量q2および調整無効電力量qaを加算することで、目標無効電力量を導出してよい。
以上の通り、上記の手順によれば、パワーコンディショナ10の単独運転ではなく、フリッカにより系統電源300の電圧の変動が生じている場合に、系統電源300の電圧の変化の大きさに応じて、目標無効電力量を調整する。これにより、フリッカに連動して、無効電力が変動することを防止できる。
なお、上記では、無効電力量調整Aおよび無効電力量調整Bをそれぞれ独立して説明した。しかし、無効電力量調整部126は、無効電力量調整Aおよび無効電力量調整Bを平行して実行してよい。すなわち、無効電力量調整部126は、無効電力量調整Aおよび無効電力量調整Bを組み合わせて実行してよい。
また、無効電力量調整部126は、第1無効電力量導出部116の変換ゲインを低下させることで、目標無効電力量導出部126が導出する目標無効電力量の出力の大きさが小さくなるように調整することで、無効電力量調整Aを実行してよい。例えば、無効電力量調整部126は、周波数偏差と第1無効電力量q1との関係を示す関数を変更することで、第1無効電力量導出部116により導出される第1無効電力量q1の時間的変化が緩やかにあるように調整することで、無効電力量調整Aを実行してよい。
例えば、第1無効電力量導出部116が、通常、図4に示すような第2偏差範囲内では周波数偏差Δfと第1無効電力量q1との関係を示す第1傾きを有する第1関数に基づいて、第1無効電力量を導出している。この場合、無効電力量調整部126は、第2偏差範囲内で第1傾きより小さい第2傾きを有する第2関数に基づいて第1無効電力量導出部116に第1無効電力量q1を導出させることにより、無効電力量調整Aを実行してよい。なお、第2傾きは、固定の傾きでもよいし、パワーコンディショナ10などで検知される電圧、電流、周波数偏差などの電気的パラメータなどに応じて可変の傾きでもよい。また、無効電力量抑制部126は、周波数偏差導出部114により導出される周波数偏差を調整することで、第1無効電力量導出部116により導出される第1無効電力量q1を抑制させてよい。
また、無効電力量調整部126は、周波数偏差導出部114により導出された周波数偏差が小さくなるように周波数偏差導出部114に周波数偏差を調整させ、調整された周波数偏差に基づいて第1無効電力量導出部116に第1無効電力量q1を導出させることで、無効電力量調整Aを実行してよい。
周波数偏差導出部114は、無効電力量調整部126からの調整指令を受けて、通常よりも多い個数の周期の各周波数を用いて過去の移動平均値を導出して、周波数偏差が小さくなるように調整してよい。周波数偏差導出部114が、例えば、図18Aに示すように、過去の移動平均値として最新の周期から予め定められた200ms前の過去の周期から第2個数(16個)より多い第3個数(32個)分前の周期までの各周波数の移動平均値と、最新の移動平均値との差から周波数偏差を導出することで、無効電力量調整Aを実行してよい。なお、第3個数は、固定の値でもよいし、パワーコンディショナ10などで検知される電圧、電流、周波数偏差などの電気的パラメータなどに応じて可変の値でもよい。
過去の移動平均値を通常よりも長い期間に亘る周波数の移動平均値を用いることで、移動平均値がより平均化されるので、周波数偏差を小さくできる。よって、このようにして導出された周波数偏差を用いて第1無効電力量導出部116が第1無効電力量q1を導出することで、結果的に、第1無効電力量q1に基づいて導出される目標無効電力量の時間的変化を緩やかにできる。
また、周波数偏差を小さくするために、無効電力量調整部126からの調整指令を受けて、周波数偏差導出部114が、図18Bに示すように、過去の移動平均値として最新の周期から予め定められた第1時間(200ms)より短い第2時間(10ms)前の過去の周期から例えば第2個数(8個)分前の周期までの各周波数の移動平均値と、最新の移動平均値との差から周波数偏差を導出することで、無効電力量調整Aを実行してよい。なお、第2時間は、固定の時間でもよいし、パワーコンディショナ10などで検知される電圧、電流、周波数偏差などの電気的パラメータなどに応じて可変の時間でもよい。
過去の移動平均値の導出に用いる周波数として、最新の移動平均値の導出に用いる周波数と比較的に近い期間に計測された周波数を用いることで、周波数偏差導出部114により導出される周波数偏差を小さくできる。よって、過去の移動平均値の導出に用いる周波数として、最新の移動平均値の導出に用いる周波数と比較的に近い期間に計測された周波数を用いることで、結果的に、第1無効電力量q1に基づいて導出される目標無効電力量の時間的変化を緩やかにできる。
なお、本実施形態に係る制御装置100が備える各部は、パワーコンディショナ10の有効電力および無効電力の制御に関する各種処理を行う、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムをインストールし、このプログラムをコンピュータに実行させることで、構成してもよい。つまり、コンピュータにパワーコンディショナ10の有効電力および無効電力の制御に関する各種処理を行うプログラムを実行させることにより、制御装置100が備える各部としてコンピュータを機能させることで、制御装置100を構成してもよい。
コンピュータはCPU、ROM、RAM、EEPROM(登録商標)等の各種メモリ、通信バス及びインタフェースを有し、予めファームウェアとしてROMに格納された処理プログラムをCPUが読み出して順次実行することで、制御装置100として機能する。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。