本発明を実施するための形態につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、説明において、同一要素または同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
(第1実施形態)
まず、図1を参照して、本発明の第1実施形態に係る非接触電力伝送装置S1について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る非接触電力伝送装置を示す模式構成図である。
非接触電力伝送装置S1は、図1に示されるように、給電装置TX1と、受電装置RX1と、を有する。この非接触電力伝送装置S1では、給電装置TX1から受電装置RX1に非接触にて電力が伝送される。
給電装置TX1は、駆動部1と、コイルモジュール10を有する。コイルモジュール10は、共振器20と、流動性磁性体30と、直流磁界発生部40と、を有する。受電装置RX1は、コイルモジュール100と、整流回路110と、負荷RLと、を有する。コイルモジュール100は、共振器120と、磁性板130と、を有する。
駆動部1は、交流電力を後述する共振器20に供給する。具体的には、駆動部1は、後述する給電コイルL1に所定周波数の交流電圧を印加して交流電流を供給する。ここで、駆動部1が供給する交流電圧の所定周波数は、後述する共振器120の共振周波数(受電コイルL2の共振周波数)に一致させておくとよい。こうすることにより、後述する給電側の共振器20の共振周波数と後述する受電側の共振器120の共振周波数が一致すると、磁気共鳴効果が最大限に発揮され、高い電力伝送効率を実現することができる。駆動部1としては、電源を含む高周波パワーアンプが挙げられ、出力する交流電圧は矩形波または正弦波などであればよく、所定周波数は、例えば数MHz〜数百MHzの高周波帯である。
共振器20は、給電コイルL1(電力伝送用コイル)とキャパシタC1を備えている。本実施形態では、共振器20は、給電コイルL1とキャパシタC1が直列接続されてLC共振回路を形成している。共振器20が形成するLC共振回路の共振周波数は、給電コイルL1のインダクタンス値とキャパシタC1の静電容量値により決定される。給電コイルL1は、駆動部1から供給される交流電力を後述する受電装置RX1に非接触にて給電する給電部としての機能を果たす。本実施形態では、給電コイルL1は、例えばスパイラル形状のコイルであり、銅やアルミニウムなどの細い導体素線を撚ったリッツ線で構成される。ここで、給電コイルL1をリッツ線で構成することにより、数MHz〜数百MHzの高周波帯における表皮効果の影響を少なく抑え、電力損失を低減できる。また、給電コイルL1の巻数は、例えば1ターン〜10ターン程度である。キャパシタC1は、例えばセラミックコンデンサやフィルムコンデンサが挙げられ、静電容量は、例えば数pF〜数百pFである。本実施形態では、キャパシタC1は、給電コイルL1に直列接続されているがこれに限られることなく、並列接続されていてもよく、直列と並列を組み合わせて接続されていてもよい。
流動性磁性体30は、電力伝送用コイルである給電コイルL1のインダクタンス値を制御する機能を有する。本実施形態では、流動性磁性体30は、給電コイルL1の後述する受電コイルL2と対向する面とは反対面側に配置されている。すなわち、流動性磁性体30は、電力伝送用コイルである給電コイルL1の電力伝送が行われる側とは反対側に配置される。この流動性磁性体30は、磁性微粒子を液体に分散させたものであり、容器60に収容されている。容器60の底面積は、給電コイルL1のコイル軸方向から見た平面面積よりも大きく設定されており、容器60の底一面に流動性磁性体30が貯留されている。したがって、流動性磁性体30は、給電コイルL1のコイル軸方向から見て、給電コイルL1の領域に重なるように容器60の底面に配設されていることとなる。このように構成される流動性磁性体30は、直流磁界を受けると、その磁力線の流れに沿って給電コイルL1に向けて突出するように形状変形する性質を備えている。つまり、流動性磁性体30は、給電コイルL1のインダクタンス値を変化させる形状変形が可能な磁性体としての役割を担うこととなる。流動性磁性体30を構成する磁性微粒子としては、液体中に均一に分散した比透磁率が2〜10程度のフェライトが好ましく、例えば直径が10(nm)程度のマンガン亜鉛フェライトが挙げられる。また、流動性磁性体30を構成する液体としては、磁性微粒子の溶媒として機能し、例えばイソパラフィン、アルキルナフタレン、ポリアルファーオレフィン、フッソオイル等が挙げられる。なお、容器60を構成する材料としては、直流磁界を妨げない非金属の材料であればよく、例えば樹脂やセラミックなどが挙げられる。
直流磁界発生部40は、流動性磁性体30に直流磁界を付与する。本実施形態では、直流磁界発生部40は、コイルL10と直流電流供給部50を有する。コイルL10は、後述する直流電流供給部50からの直流電流により直流磁界を発生する。このコイルL10は、スパイラル形状のコイルであり、銅やアルミニウムなどの単線で構成される。本実施形態では、コイルL10は、流動性磁性体30を収容する容器60の背面側に設けられている。具体的には、コイルL10は、給電コイルL1のコイル軸方向から見て、給電コイルL1と重なる位置であって、コイルL10のコイル軸方向が給電コイルL1のコイル軸方向と略平行となるように配置されている。なお、コイルL10のコイル平面は、容器60の背面に接触して設けられていると好ましい。この場合、コイルL10が発生する直流磁界を流動性磁性体30に対して付与し易くなる。直流電流供給部50は、コイルL10に直流電流を供給する。直流電流供給部50としては、出力電流を可変できる直流電源が挙げられる。このような構成により、直流磁界発生部40は、直流電流供給部50からコイルL10に供給する直流電流を制御することで、コイルL10が発生する直流磁界を最小から最大に変化させると、流動性磁性体30が付与された直流磁界に応じて給電コイルL1に向けて変形し、流動性磁性体30と給電コイルL1との距離を変化させて、給電コイルL1のインダクタンス値を制御することが可能となる。
共振器120は、受電コイルL2とキャパシタC2を備えている。本実施形態では、共振器120は、受電コイルL2とキャパシタC2が直列接続されてLC共振回路を形成している。共振器120が形成するLC共振回路の共振周波数は、受電コイルL2のインダクタンス値とキャパシタC2の静電容量値により決定される。受電コイルL2は、給電コイルL1から給電された交流電力を非接触にて受電する受電部としての機能を果たす。本実施形態では、受電コイルL2は、例えばスパイラル形状のコイルであり、銅やアルミニウムなどの細い導体素線を撚ったリッツ線で構成される。ここで、受電コイルL2をリッツ線で構成することにより、数MHz〜数百MHzの高周波帯における表皮効果の影響を少なく抑え、電力損失を低減できる。また、受電コイルL2の巻数は、例えば1ターン〜10ターン程度である。キャパシタC2は、例えばセラミックコンデンサやフィルムコンデンサが挙げられ、静電容量は例えば数pF〜数百pFである。本実施形態では、キャパシタC2は、受電コイルL2に直列接続されているがこれに限られることなく、並列接続されていてもよく、直列と並列を組み合わせて接続されていてもよい。
磁性板130は、給電コイルL1と受電コイルL2とのコイル間の磁気結合を高める機能を有する。本実施形態では、磁性板130は、受電コイルL2の給電コイルL1と対向する面とは反対面側に配置されている。この磁性板130は、板状またはシート状の磁性材料から構成される。また、磁性板130の主面面積は、受電コイルL2のコイル軸から見た平面面積よりも大きく設定されている。つまり、磁性板130は、受電コイルL2のコイル軸方向から見て、受電コイルL2の領域を覆うように配置されることとなる。磁性板130を構成する磁性材料としては、透磁率が2〜10程度のフェライトが好ましく、例えばマンガン亜鉛フェライトなどが挙げられる。
整流回路110は、受電コイルL2が受電した交流電力を直流電力に整流して負荷RLに供給する。整流回路110は、例えば図示しないブリッジダイオードと平滑用キャパシタで構成される。ブリッジダイードにより共振器120から出力された交流電圧は全波整流され、さらに、平滑用キャパシタにより、全波整流された脈流が平滑されて直流電圧となる。ここで、負荷RLとしては、直流電源で動作する機器であり、例えばLED照明装置や充電回路を内蔵する電気シェーバーなどが挙げられる。
このような構成を備えることにより、給電装置TX1の給電コイルL1と受電装置RX1の受電コイルL2が対向することで、給電装置TX1から受電装置RX1に非接触にて電力が伝送される非接触電力伝送装置S1が実現される。
次に、図2および図3を参照して、本発明の第1実施形態に係る非接触電力伝送装置S1におけるコイルモジュール10の共振周波数の調整動作について詳細に説明する。図2は、給電装置においてコイルが直流磁界を発生させた状態を示す模式構成図である。図3は、給電装置においてコイルが直流磁界を発生させた状態を示す模式構成図である。
まず、給電装置TX1の直流電流供給部50からコイルL10に直流電流を流さない状態(I1=0A)においては、コイルL10に電流が流れないため、コイルL10は直流磁界を発生しない。したがって、流動性磁性体30には直流磁界が付与されないことから、流動性磁性体30の形状変化はなく、フラットな状態を保っている。このとき、給電コイルL1と流動性磁性体30との距離は、最も長くなることから、給電コイルL1のインダクタンス値は最小となる。この状態において、給電側の共振器20の共振周波数fr0が受電側の共振器120の共振周波数fr1に一致している場合は、磁気共鳴効果が最大限に発揮され、高い電力伝送効率を実現できるため、共振器20の共振周波数fr0の調整は不要となる。
これに対して、流動性磁性体30がフラットな状態において、給電側の共振器20の共振周波数fr0と受電側の共振器120の共振周波数fr1が一致していない場合、共振器20の共振周波数fr0の調整が必要となる。本例においては、給電側の共振器20の共振周波数fr0が受電側の共振器120の共振周波数fr1よりも高い場合(fr0>fr1)を例に用いて説明する。fr0>fr1のとき、給電装置TX1の直流電流供給部50からコイルL10に直流電流I2(I2>I1)が供給される。コイルL10に直流電流I2が流れると、図2に示すように、直流の磁束FX1が発生する。流動性磁性体30は、この直流の磁束FX1を受けて、その磁力線の流れに沿って給電コイルL1に向けて突出するように形状変形する。本例では、流動性磁性体30の中央付近にコイルL10が発生する磁束FX1を受けるため、流動性磁性体30は、中央付近が給電コイルL1に向けて突出し、周縁付近の水位が下がるように変形する。これにより、給電コイルL1と流動性磁性体30の距離が縮まり、給電コイルL1のインダクタンス値が大きくなる。したがって、共振器20の共振周波数fr0が低くなり、共振周波数fr0と共振周波数fr1の差が減少する。この状態において、給電側の共振器20の共振周波数fr0が受電側の共振器120の共振周波数fr1に一致すると、磁気共鳴効果が最大限に発揮され、高い電力伝送効率を実現できるため、共振器20の共振周波数fr0の調整は終了となる。
一方、共振周波数fr0と共振周波数fr1の差が減少したものの、未だfr0>fr1の場合、共振器20の共振周波数fr0のさらなる調整が必要となる。すなわち、給電装置TX1の直流電流供給部50からコイルL10に供給する直流電流を増加させ、直流電流I3(I3>I2)が供給される。コイルL10に直流電流I3が流れると、図3に示すように、直流の磁束FX2が発生する。流動性磁性体30は、この直流の磁束FX2を受けて、中央付近が給電コイルL1に向けてさらに突出し、周縁付近の水位がさらに下がるように変形する。これにより、給電コイルL1と流動性磁性体30の距離がさらに縮まり、給電コイルL1のインダクタンス値もさらに大きくなる。したがって、共振器20の共振周波数fr0がさらに低くなり、共振周波数fr0が共振周波数fr1にほぼ一致することとなる。言い換えれば、共振周波数fr0と共振周波数fr1の差がほぼゼロ(fr0≒fr1)となる。このように、給電側の共振器20の共振周波数fr0が受電側の共振器120の共振周波数fr1に一致すると、磁気共鳴効果が最大限に発揮され、高い電力伝送効率を実現できるため、共振器20の共振周波数fr0の調整は終了となる。
以上のように、本実施形態に係る非接触電力伝送装置S1は、直流磁界発生部40が発生する直流磁界の強さを制御することにより、流動性磁性体30と給電コイルL1(電力伝送用コイル)との距離を変化させて給電コイルL1(電力伝送用コイル)のインダクタンス値を制御している。そのため、直流磁界を付与する直流磁界発生部40が発生する直流磁界を最小から最大に変化させた場合の給電コイルL1(電力伝送用コイル)のインダクタンス値の変化率を大きくすることが可能である。すなわち、従来の給電コイルの線間容量を変化させて共振周波数を調整するのに比べて、共振周波数fr0の調整範囲を拡大させることができる。その結果、受電コイルL2の共振周波数fr1に給電コイルL1(電力伝送用コイル)の共振周波数fr0を精度よく近づけることができるため、電力伝送効率の低下を抑制することができる。
また、本実施形態に係る非接触電力伝送装置S1においては、直流磁界発生部40は、直流磁界を発生させるコイルL10と、コイルL10へ直流電流を供給する直流電流供給部50と、を有している。そのため、コイルL10が発生する直流磁界を最小から最大に変化させることにより、流動性磁性体30と給電コイルL1(電力伝送用コイル)との距離を大きく変化させることができることから、給電コイルL1(電力伝送用コイル)のインダクタンス値の変化率を大きくすることが可能となる。そのため、従来の給電コイルの線間容量を変化させて共振周波数を調整するのに比べて、共振周波数fr0の調整範囲を拡大させることができる。その結果、受電コイルL2の共振周波数fr1に給電コイルL1(電力伝送用コイル)の共振周波数fr0を精度よく近づけることができるため、電力伝送効率の低下の抑制効果を向上できる。
(第2実施形態)
次に、図4を参照して、本発明の第2実施形態に係る非接触電力伝送装置における給電装置TX2の構成について説明する。図4は、本発明の第2実施形態に係る非接触電力伝送装置における給電装置を示す模式構成図である。
給電装置TX2は、図4に示されるように、駆動部1と、コイルモジュール10と、電圧位相検出部210と、電流位相検出部220と、位相比較部230と、を有する。コイルモジュール10は、共振器20と、流動性磁性体30と、直流磁界発生部240と、を有する。第2実施形態における給電装置TX2は、電圧位相検出部210、電流位相検出部220、位相比較部230を備えている点、直流磁界発生部40に代えて直流磁界発生部240を備えている点において、第1実施形態における給電装置TX1と相違する。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
電圧位相検出部210は、駆動部1から給電コイルL1に印加される交流電圧の電圧位相を検出している。本実施形態では、電圧位相検出部210は、電力伝送用コイルである給電コイルL1の端子間に発生する交流電圧の電圧位相を検出している。具体的には、図4に示されるように、電圧位相検出部210は、駆動部1と共振器20を電気的に接続するラインaとラインb間に接続されている。より具体的には、電圧位相検出部210は、駆動部1の両端に並列接続される2つの抵抗R1,R2と、2つの抵抗R1,R2の中点cに接続され、入力電位が所定の閾値より大きくなると飽和電圧を出力する増幅器である波形整形器210aから構成される。すなわち、駆動部1から供給される交流電圧は、2つの抵抗R1,R2により分圧されて、その中間電位が取り出され、波形整形器210aにより中間電位が2値化されて電圧位相の位相値を示す信号SVとして、後述する位相比較部230に出力される。
電流位相検出部220は、駆動部1から給電コイルL1に供給される交流電流の電流位相を検出している。本実施形態では、電流位相検出部220は、電力伝送用コイルである給電コイルL1に流れる交流電流の電流位相を検出している。具体的には、電流位相検出部220は、ラインbに設けられたカレントトランスCT1と、カレントトランスCT1の両端に接続される抵抗R3と、抵抗R3の接地されない端部に接続され、入力電位が所定の閾値より大きくなると飽和電圧を出力する増幅器である波形整形器220aから構成される。すなわち、駆動部1から供給される交流電流が発生させる交流磁界により、カレントトランスCT1に誘導電流が流れ、この誘導電流に基づく電位が抵抗R3により取り出され、波形整形器220aにより電位が2値化されて電流位相の位相値を示す信号SIとして、後述する位相比較部230に出力される。ここで、交流電流と誘導電流は同相であり、誘導電流と電位は同相である。したがって、交流電流の電流位相は、電位の電圧位相により計測可能である。すなわち、電位の電圧位相は、交流電流の電流位相と看做すことができる。
位相比較部230は、電圧位相と電流位相を比較して位相差を算出する。具体的には、位相比較部230は、図4に示されるように、電圧位相検出部210の出力と電流位相検出部220の出力に接続され、電圧位相検出部210が検出した交流電圧の電圧位相の位相値を示す信号SVと電流位相検出部220が検出した交流電流の電流位相の位相値を示す信号SIを比較し、その位相差を算出する。この位相比較部230は、位相差を後述する直流電流供給部250に出力する。なお、給電コイルL1に印加される交流電圧の周波数と給電コイルL1の共振周波数が一致していれば、位相差はゼロとなる。
直流磁界発生部240は、直流磁界発生部40と同様に、流動性磁性体30に直流磁界を付与する。本実施形態では、直流磁界発生部240は、コイルL10と直流電流供給部250を有する。
直流電流供給部250は、コイルL10に直流電流を供給する。直流電流供給部250としては、出力電流を可変できる直流電源が挙げられる。本実施形態では、直流電流供給部250は、位相比較部230により算出した位相差に基づいて、コイルL10に供給する直流電流を制御している。具体的には、直流電流供給部250は、電圧位相(SV)が電流位相(SI)に対して進み位相のとき、コイルL10への直流電流を増加させ、電圧位相(SV)が電流位相(SI)に対して遅れ位相のとき、コイルL10への直流電流を減少させる。ここで、位相比較部230が算出した位相差がゼロとなるように、共振器20の共振周波数fr0を調整すると、給電コイルL1に印加される交流電圧の周波数と共振器20の共振周波数fr0が一致する。したがって、駆動部1が給電コイルL1に印加する交流電圧の周波数は、受電装置RX1が有する共振器120の共振周波数fr1に一致させていることから、給電装置TX2が有する共振器20の共振周波数fr0が、受電装置RX1が有する共振器120の共振周波数fr1と一致する。その結果、磁気共鳴効果が最大限に発揮され、高い電力伝送効率を実現することができる。
以上のように、本実施形態に係る非接触電力伝送装置は、給電装置TX2が、交流電圧の電圧位相(SV)を検出する電圧位相検出部210と、交流電流の電流位相(SI)を検出する電流位相検出部220と、電圧位相(SV)と電流位相(SI)を比較して位相差を算出する位相比較部230をさらに備え、直流電流供給部250は、位相比較部230により算出した位相差に基づいて、電圧位相(SV)が電流位相(SI)に対して進み位相のとき、コイルL10への直流電流を増加させ、位相比較部COMP40により算出した位相差に基づいて、電圧位相(SV)が電流位相(SI)に対して遅れ位相のとき、コイルL10への直流電流を減少させている。そのため、交流電圧の電圧位相(SV)と電流位相(SI)を比較して算出した位相差に基づいてコイルL10への電流を増加または減少させることにより、給電コイルL1に印加される交流電圧の周波数と給電コイルL1の共振周波数の差を小さくすることができる。その結果、給電コイルL1に印加される交流電圧の周波数を受電コイルL2の共振周波数に一致させておくことにより、給電コイルL1の共振周波数と受電コイルL2の共振周波数の差も小さくなり、電力伝送効率の低下の抑制効果を向上できる。
(第3実施形態)
図5を参照して、本発明の第3実施形態に係る非接触電力伝送装置S2について説明する。図5は、本発明の第3実施形態に係る非接触電力伝送装置を示す模式構成図である。
非接触電力伝送装置S2は、図5に示されるように、給電装置TX3と、受電装置RX1と、を有する。この非接触電力伝送装置S2では、給電装置TX3から受電装置RX1に非接触にて電力が伝送される。給電装置TX3は、駆動部1と、コイルモジュール300を有する。コイルモジュール300は、共振器20と、流動性磁性体30と、直流磁界発生部340と、を有する。受電装置RX1は、コイルモジュール100と、整流回路110と、負荷RLと、を有する。コイルモジュール100は、共振器120と、磁性板130と、を有する。駆動部1、共振器20、流動性磁性体30、共振器120、磁性板130、整流回路110、負荷RLの構成は、第1実施形態に係る非接触電力伝送装置S1と同様である。すなわち、第3実施形態における給電装置TX3は、直流磁界発生部40に代えて直流磁界発生部340を備えている点において、第1実施形態における給電装置TX1と相違する。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
直流磁界発生部340は、流動性磁性体30に直流磁界を付与する。本実施形態では、直流磁界発生部340は、磁石350と可動部360を有する。磁石350は、強磁性体の永久磁石であり、直流磁界を発生する。本実施形態では、磁石350は、流動性磁性体30を収容する容器60の背面側に設けられている。具体的には、磁石350は、給電コイルL1のコイル軸方向から見て、給電コイルL1と重なる位置に配置されている。このように構成される磁石350としては、例えば、酸化鉄を主原料としたフェライト磁石、サマリウムとコバルトを主原料としたサマリウムコバルト磁石、ネオジウム、鉄、ホウ素を主原料としたネオジウム磁石などが挙げられる。可動部360は、磁石350の流動性磁性体30に対する位置を変化させる機能を有する。具体的には、可動部360は、機械的に伸縮する伸縮機構から構成され、磁石350と流動性磁性体30との間の給電コイルL1のコイル軸方向に沿った距離を変化させる役割を果たしている。より具体的には、可動部360は、先端に磁石350を保持しており、伸びることによって磁石350を流動性磁性体30に近づけ、縮むことによって磁石350を流動性磁性体30から遠ざけるように構成されている。このような構成により、直流磁界発生部340は、可動部360による磁石350と流動性磁性体30との間の距離を制御することで、流動性磁性体30が受ける磁石350からの直流磁界の強さを最小から最大に変化させると、流動性磁性体30が付与された直流磁界に応じて給電コイルL1に向けて変形し、流動性磁性体30と給電コイルL1との距離を変化させて、給電コイルL1のインダクタンス値を制御することが可能となる。なお、図5に示す磁石350と流動性磁性体30との距離はH1とする。
次に、図6および図7を参照して、本発明の第3実施形態に係る非接触電力伝送装置S2におけるコイルモジュール300の共振周波数の調整動作について詳細に説明する。図6は、給電装置において磁石と流動性磁性体との距離をH2に変化させた状態を示す模式構成図である。図7は、給電装置において磁石と流動性磁性体との距離をH3に変化させた状態を示す模式構成図である。
まず、磁石350と流動性磁性体30との間の距離H1が十分に大きく、可動部360が、磁石350を流動性磁性体30に直流磁界の影響を与えない位置に変化させた状態においては、磁石350から流動性磁性体30に直流磁界は付与されない。したがって、流動性磁性体30の形状変化はなく、フラットな状態を保っている。このとき、給電コイルL1と流動性磁性体30との距離は、最も長くなることから、給電コイルL1のインダクタンス値は最小となる。この状態において、給電側の共振器20の共振周波数fr0が受電側の共振器120の共振周波数fr1に一致している場合は、磁気共鳴効果が最大限に発揮され、高い電力伝送効率を実現できるため、共振器20の共振周波数fr0の調整は不要となる。
これに対して、流動性磁性体30がフラットな状態において、給電側の共振器20の共振周波数fr0と受電側の共振器120の共振周波数fr1が一致していない場合、給電側の共振器20の共振周波数fr0の調整が必要となる。本例においては、給電側の共振器20の共振周波数fr0が受電側の共振器120の共振周波数fr1よりも高い場合(fr0>fr1)を例に用いて説明する。fr0>fr1のとき、給電装置TX3の可動部360が伸び、磁石350と流動性磁性体30との距離がH2(H2<H1)となるように磁石350を流動性磁性体30に近づける。磁石350が流動性磁性体30に近づくと、図6に示すように、流動性磁性体30が、磁石350が発生する直流の磁束FX3を受ける。流動性磁性体30は、この直流の磁束FX3を受けて、その磁力線の流れに沿って給電コイルL1に向けて突出するように形状変形する。本例では、流動性磁性体30の中央付近に磁石350が発生する磁束FX3を受けるため、流動性磁性体30は、中央付近が給電コイルL1に向けて突出し、周縁付近の水位が下がるように変形する。これにより、給電コイルL1と流動性磁性体30の距離が縮まり、給電コイルL1のインダクタンス値が大きくなる。したがって、共振器20の共振周波数fr0が低くなり、共振周波数fr0と共振周波数fr1の差が減少する。この状態において、給電側の共振器20の共振周波数fr0が受電側の共振器120の共振周波数fr1が一致すると、磁気共鳴効果が最大限に発揮され、高い電力伝送効率を実現できるため、共振器20の共振周波数fr0の調整は終了となる。
一方、共振周波数fr0と共振周波数fr1の差が減少したものの、いまだfr0>fr1の場合、共振器20の共振周波数fr0のさらなる調整が必要となる。すなわち、給電装置TX3の可動部360がさらに伸び、磁石350と流動性磁性体30との距離がH3(H3<H2<H1)となるように磁石350を流動性磁性体30にさらに近づける。磁石350と流動性磁性体30の距離が縮まると、図7に示すように、流動性磁性体30が、磁石350が発生する直流の磁束FX3の影響を強く受けることとなる。流動性磁性体30は、この直流の磁束FX3の影響を強く受けて、中央付近が給電コイルL1に向けてさらに突出し、周縁付近の水位がさらに下がるように変形する。これにより、給電コイルL1と流動性磁性体30の距離がさらに縮まり、給電コイルL1のインダクタンス値もさらに大きくなる。したがって、共振器20の共振周波数fr0がさらに低くなり、共振周波数fr0が共振周波数fr1にほぼ一致することとなる。言い換えれば、共振周波数fr0と共振周波数fr1の差がほぼゼロ(fr0≒fr1)となる。このように、給電側の共振器20の共振周波数fr0が受電側の共振器120の共振周波数fr1に一致すると、磁気共鳴効果が最大限に発揮され、高い電力伝送効率を実現できるため、共振器20の共振周波数fr0の調整は終了となる。
以上のように、本実施形態に係る非接触電力伝送装置S2は、直流磁界発生部340が発生する直流磁界の強さを制御することにより、流動性磁性体30と給電コイルL1(電力伝送用コイル)との距離を変化させて給電コイルL1(電力伝送用コイル)のインダクタンス値を制御している。そのため、直流磁界を付与する直流磁界発生部340が発生する直流磁界を最小から最大に変化させた場合の給電コイルL1(電力伝送用コイル)のインダクタンス値の変化率を大きくすることが可能である。すなわち、従来の給電コイルの線間容量を変化させて共振周波数を調整するのに比べて、共振周波数fr0の調整範囲を拡大させることができる。その結果、受電コイルL2の共振周波数fr1に給電コイルL1(電力伝送用コイル)の共振周波数fr0を精度よく近づけることができるため、電力伝送効率の低下を抑制することができる。
また、本実施形態に係る非接触電力伝送装置S2においては、直流磁界発生部340は、直流磁界を発生させる磁石350と、磁石350の流動性磁性体30に対する位置を変化させる可動部360と、を有している。そのため、流動性磁性体30と磁石350との間の距離を変化させると、給電コイルL1のインダクタンス値の変化率を大きくすることが可能となる。したがって、従来の給電コイルの線間容量を変化させて共振周波数を調整するのに比べて、共振周波数fr0の調整範囲を拡大させることができる。その結果、受電コイルL2の共振周波数fr1に給電コイルL1の共振周波数fr0を精度よく近づけることができるため、電力伝送効率の低下の抑制効果を向上できる。
(第4実施形態)
次に、図8を参照して、本発明の第4実施形態に係る非接触電力伝送装置における給電装置TX4の構成について説明する。図8は、本発明の第4実施形態に係る非接触電力伝送装置における給電装置を示す模式構成図である。
給電装置TX4は、図8に示されるように、駆動部1と、コイルモジュール400と、電圧位相検出部410と、電流位相検出部420と、位相比較部430と、を有する。コイルモジュール400は、共振器20と、流動性磁性体30と、直流磁界発生部440と、を有する。第4実施形態における給電装置TX4は、電圧位相検出部410、電流位相検出部420、位相比較部430を備えている点、直流磁界発生部340に代えて直流磁界発生部440を備えている点において、第3実施形態における給電装置TX3と相違する。以下、第3実施形態と異なる点を中心に説明する。
電圧位相検出部410は、駆動部1から給電コイルL1に印加される交流電圧の電圧位相を検出している。本実施形態では、電圧位相検出部410は、電力伝送用コイルである給電コイルL1の端子間に発生する交流電圧の電圧位相を検出している。具体的には、図8に示されるように、電圧位相検出部410は、駆動部1と共振器20を電気的に接続するラインaとラインb間に接続されている。より具体的には、電圧位相検出部410は、駆動部1の両端に並列接続される2つの抵抗R4,R5と、2つの抵抗R4,R5の中点cに接続され、入力電位が所定の閾値より大きくなると飽和電圧を出力する増幅器である波形整形器410aから構成される。すなわち、駆動部1から供給される交流電圧は、2つの抵抗R4,R5により分圧されて、その中間電位が取り出され、波形整形器410aにより中間電位が2値化されて電圧位相の位相値を示す信号SV4として、後述する位相比較部430に出力される。
電流位相検出部420は、駆動部1から給電コイルL1に供給される交流電流の電流位相を検出している。本実施形態では、電流位相検出部420は、電力伝送用コイルである給電コイルL1に流れる交流電流の電流位相を検出している。具体的には、電流位相検出部420は、ラインbに設けられたカレントトランスCT2と、カレントトランスCT2の両端に接続される抵抗R6と、抵抗R6の接地されない端部に接続され、入力電位が所定の閾値より大きくなると飽和電圧を出力する増幅器である波形整形器420aから構成される。すなわち、駆動部1から供給される交流電流が発生させる交流磁界により、カレントトランスCT2に誘導電流が流れ、この誘導電流に基づく電位が抵抗R6により取り出され、波形整形器420aにより電位が2値化されて電流位相の位相値を示す信号SI4として、後述する位相比較部430に出力される。ここで、交流電流と誘導電流は同相であり、誘導電流と電位は同相である。したがって、交流電流の電流位相は、電位の電圧位相により計測可能である。すなわち、電位の電圧位相は、交流電流の電流位相と看做すことができる。
位相比較部430は、電圧位相と電流位相を比較して位相差を算出する。具体的には、位相比較部430は、図8に示されるように、電圧位相検出部410の出力と電流位相検出部420の出力に接続され、電圧位相検出部410が検出した交流電圧の電圧位相の位相値を示す信号SV4と電流位相検出部420が検出した交流電流の電流位相の位相値を示す信号SI4を比較し、その位相差を算出する。この位相比較部430は、位相差を後述する可動部460に出力する。なお、給電コイルL1に印加される交流電圧の周波数と給電コイルL1の共振周波数が一致していれば、位相差はゼロとなる。
直流磁界発生部440は、直流磁界発生部340と同様に、流動性磁性体30に直流磁界を付与する。本実施形態では、直流磁界発生部440は、磁石350と可動部460を有する。
可動部460は、磁石350と流動性磁性体30との距離を変化させる。本実施形態では、可動部460は、位相比較部430により算出した位相差に基づいて、可動部460の伸縮度を制御している。具体的には、可動部460は、電圧位相(SV4)が電流位相(SI4)に対して進み位相のとき、可動部460を伸ばして磁石350の流動性磁性体30に対する位置を縮め、電圧位相(SV4)が電流位相(SI4)に対して遅れ位相のとき、可動部460を縮めて磁石350の流動性磁性体30に対する位置を離す。ここで、位相比較部430が算出した位相差がゼロとなるように、共振器20の共振周波数fr0を調整すると、給電コイルL1に印加される交流電圧の周波数と共振器20の共振周波数fr0が一致する。したがって、駆動部1が給電コイルL1に印加する交流電圧の周波数は、受電装置RX1が有する共振器120の共振周波数fr1に一致させていることから、給電装置TX4が有する共振器20の共振周波数fr0が、受電装置RX1が有する共振器120の共振周波数fr1と一致する。その結果、磁気共鳴効果が最大限に発揮され、高い電力伝送効率を実現することができる。
以上のように、本実施形態に係る非接触電力伝送装置は、給電装置TX4が、交流電圧の電圧位相(SV4)を検出する電圧位相検出部410と、交流電流の電流位相(SI4)を検出する電流位相検出部420と、電圧位相(SV4)と電流位相(SI4)を比較して位相差を算出する位相比較部430をさらに備え、可動部460は、位相比較部430により算出した位相差に基づいて、電圧位相(SV4)が電流位相(SI4)に対して進み位相のとき、磁石350の流動性磁性体30に対する位置を縮め、位相比較部430により算出した位相差に基づいて、電圧位相(SV4)が電流位相(SI4)に対して遅れ位相のとき、磁石350の流動性磁性体30に対する位置を離している。そのため、交流電圧の電圧位相(SV4)と電流位相(SI4)を比較して算出した位相差に基づいて可動部460の伸縮を変化させることにより、給電コイルL1に印加される交流電圧の周波数と給電コイルL1の共振周波数の差を小さくすることができる。その結果、給電コイルL1に印加される交流電圧の周波数を受電コイルL2の共振周波数に一致させておくことにより、給電コイルL1の共振周波数と受電コイルL2の共振周波数の差も小さくなり、電力伝送効率の低下の抑制効果を向上できる。
(第5実施形態)
次に、図9を参照して、本発明の第5実施形態に係る非接触電力伝送装置における受電装置RX90の構成について説明する。図9は、本発明の第5実施形態に係る非接触電力伝送装置における受電装置を示す模式構成図である。
受電装置RX5は、図9に示されるように、コイルモジュール500と、電圧位相検出部210と、電流位相検出部220と、位相比較部230と、整流回路110と、負荷RLと、を有する。コイルモジュール500は、共振器120と、流動性磁性体30と、直流磁界発生部240と、を有する。なお、図9では、説明の便宜上、整流回路110と負荷RLは図示を省略している。第5実施形態における受電装置RX5は、コイルモジュール100に代えてコイルモジュール500を備えている点、直流磁界発生部240と、電圧位相検出部210と、電流位相検出部220と、位相比較部230を備えている点において第1実施形態における受電装置RX1と相違する。
本実施形態は、第1および第2実施形態における給電装置TX1,TX2が備える共振周波数の調整機構を受電装置RX5に適用したものである。言い換えれば、第1および第2実施形態における給電装置TX1,TX2が備える流動性磁性体30、直流磁界発生部240、電圧位相検出部210、電流位相検出部220、位相比較部230を受電装置RX5に適用したものである。つまり、受電装置RX5では、これら共振周波数の調整機構が、共振器120の電力伝送用コイルである受電コイルL2のインダクタンス値を制御するように動作する。なお、流動性磁性体30、直流磁界発生部240、電圧位相検出部210、電流位相検出部220、位相比較部230の構成ならびに機能は第1および第2実施形態と同様のため、詳述は省略する。
(第6実施形態)
次に、図10を参照して、本発明の第6実施形態に係る非接触電力伝送装置における受電装置RX6の構成について説明する。図10は、本発明の第6実施形態に係る非接触電力伝送装置における受電装置を示す模式構成図である。
受電装置RX6は、図10に示されるように、コイルモジュール600と、電圧位相検出部410と、電流位相検出部420、位相比較部430と、整流回路110と、負荷RLと、を有する。コイルモジュール600は、共振器120と、流動性磁性体30と、直流磁界発生部440と、を有する。なお、図10では、説明の便宜上、整流回路110と負荷RLは図示を省略している。第6実施形態における受電装置RX6は、コイルモジュール500に代えてコイルモジュール600を備えている点、直流磁界発生部440と、電圧位相検出部410と、電流位相検出部420と、位相比較部430を備えている点において第3実施形態における受電装置RX1と相違する。
本実施形態は、第3および第4実施形態における給電装置TX50,TX80が備える共振周波数の調整機構を受電装置RX100に適用したものである。言い換えれば、第3および第4実施形態における給電装置TX3,TX4が備える流動性磁性体30、直流磁界発生部440、電圧位相検出部410、電流位相検出部420、位相比較部430を受電装置RX6に適用したものである。つまり、受電装置RX6では、これら共振周波数の調整機構が、共振器120の電力伝送用コイルである受電コイルL2のインダクタンス値を制御するように動作する。なお、流動性磁性体30、直流磁界発生部440、電圧位相検出部410、電流位相検出部420、位相比較部430の構成ならびに機能は第3および第4実施形態と同様のため、詳述は省略する。
(第7実施形態)
次に、図11を参照して、本発明の第7実施形態に係る非接触電力伝送装置におけるコイルモジュール700の構成について説明する。図11は、本発明の第7実施形態に係る非接触電力伝送装置におけるコイルモジュール700を示す模式構成図である。
コイルモジュール700は、共振器20と、磁性体770と、アクチュエータ780と、を有する。共振器20の構成は、第1実施形態に係る非接触電力伝送装置S1と同様である。すなわち、第7実施形態におけるコイルモジュール700は、流動性磁性体30に代えて磁性体770を備えている点、直流磁界発生部40に代えてアクチュエータ780を備えている点において第1実施形態と相違する。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
磁性体770は、電力伝送用コイルである給電コイルL1のインダクタンス値を制御する機能を有する。本実施形態では、磁性体770は、給電コイルL1の受電コイルL2と対向する面とは反対面側に配置されている。すなわち、磁性体770は、電力伝送用コイルである給電コイルL1の電力伝送が行われるが側とは反対側に配置される。この磁性体770は、磁性微粒子を弾性体に含有させた平板状の磁性体であり、略直方体状を呈している。具体的には、磁性体770は、外部応力が付与されると部分的に形状が変形し、外部応力が付与されない状態においては形状を保持する性質を有している。また、磁性体770は、外部応力により変形した状態において外部応力を取り除くと、元の形状(略直方体状)に戻るという性質も有している。つまり、磁性体770は、給電コイルL1のインダクタンス値を変化させる形状変形可能な磁性体としての役割を担うこととなる。さらに、磁性体770は、外部応力が付与された際に円滑に形状変形させるため、長手方向の両端を固定ポイント770aとして固定している。なお、本実施形態では、固定ポイント770aを磁性体770の長手方向の両端に設けているが、これに限られることなく、磁性体770の周縁端全体に設けてもよい。
アクチュエータ780は、磁性体770に応力を付与する。具体的には、アクチュエータ780は、磁性体770の給電コイルL1と対向する面とは反対側から図示矢印の方向に応力を付与することが可能となっている。本実施形態では、アクチュエータ780は、ピストン状の構造物であり、磁性体770に物理的に接触させて応力を付与するように構成されている。このような構成により、アクチュエータ780は、磁性体770との距離を制御することで、磁性体770に加わる応力を最小から最大に変化させると、磁性体770が付与された応力に応じて給電コイルL1に向けて変形し、磁性体770と給電コイルL1との距離を変化させて、給電コイルL1のインダクタンス値を制御することが可能となる。
以上のように、本実施形態に係る非接触電力伝送装置は、形状変形が可能な磁性体770により、電力伝送用コイル(給電コイルL1)のインダクタンス値の変化率を大きくすることが可能である。すなわち、従来のコイルの線間容量を変化させて共振周波数を調整するのに比べて、共振周波数の調整範囲を拡大させることができる。その結果、電力伝送効率の低下を抑制することができる。