JP6455707B2 - 車両用内燃機関 - Google Patents
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Description
特許文献1には、カムシャフトの延設部にポンプカムが取り付けられた高圧燃料ポンプが開示されている。
高圧燃料ポンプはポンプケース内に収納されて回転するポンプカムに潤滑油を供給する潤滑油供給系統を必要とする。
特許文献2には、左右のバンクに分かれたV型エンジンにおいて、オイルコントロールバルブによって、油圧式の可変動弁装置を通常モード、高速モード及び休筒モードに切替え可能にすることが開示されている。
他方、オイルコントロールバルブからは自然に作動油の漏れが発生するので、コンパクト化を阻害せずに、漏れた作動油の処理が必要となる。
(1)シリンダヘッドに設けられた動弁装置を駆動するカムシャフトと、前記シリンダヘッドの隔壁に取り付けられ、該隔壁から延出した前記カムシャフトの延出部を覆うポンプケースと、前記ポンプケースの内部に設けられ前記延出部に取り付けられたポンプカムを有し、前記カムシャフトの回転によって駆動される高圧燃料ポンプと、スプール弁を内蔵したバルブボディを有し、該バルブボディが前記ポンプケースの内部に配置されたオイルコントロールバルブと、を備え、前記ポンプケースの内部で前記バルブボディから漏れた作動油が前記ポンプカムまで流出するように構成される。
このように、オイルコントロールバルブのバルブボディから漏れた作動油を高圧燃料ポンプの潤滑油として使用できるので、別途潤滑油供給系統を設ける必要がなくなる。さらに、オイルコントロールバルブから漏れた作動油の処理を同時に行うことができる。
また、オイルコントロールバルブのバルブボディをポンプケースの内部に配置することで、高圧燃料ポンプ及びオイルコントロールバルブを別個に配置する場合より、高圧燃料ポンプ及びオイルコントロールバルブの配置スペースを縮小できると共に、これら機器類の簡素化かつ低コスト化を達成できる。
(2)前記ポンプケースが取り付けられた前記シリンダヘッドの隔壁に、前記シリンダヘッドの内部と前記ポンプケース内の下部領域とを連通する貫通孔が形成されている。
前記構成(2)によれば、前記高圧燃料ポンプで潤滑油として用いられた作動油は、前記貫通孔を通してシリンダヘッドに流出し、さらにシリンダヘッドの潤滑油として用いることができる。そのため、オイルコントロールバルブから漏れた作動油の処理のために、何らの装置も必要としないので、シリンダヘッドのコンパクト化を達成できる。
(3)前記ポンプケースの内部の前記ポンプカムが収納されるカム室と、前記バルブボディが収納されるバルブ室との間に仕切りがなく連通され、前記カム室の底面は前記バルブ室の底面より取付状態で下方に配置され、かつ前記カム室の底面に前記バルブボディから漏れた作動油が流れ込むように構成されている。
前記構成(3)によれば、バルブボディとポンプカムとの間に仕切りがなく開放され、かつこれらの間に作動油の流れを阻害する障害物がないので、バルブボディから漏れた作動油は、重力の作用で確実にポンプカムに達し、ポンプカムの潤滑油として利用できる。
(4)前記車両用内燃機関は気筒列が車体の左右方向へ配置されたVバンクを形成したV型エンジンであり、かつ左右のバンクがバンク軸方向にずらして配置され、前記ポンプケースが取り付けられた前記シリンダヘッドの隔壁は、車体前方にずれたバンクの後端面を形成する隔壁である。
前記構成(4)によれば、ポンプケースが車体前方にずれたバンクの後端面を形成する隔壁に取り付けられているので、高圧燃料ポンプ及びオイルコントロールバルブをバンク軸方向に形成されたスペースに配置できる。そのため、V型エンジンのバンク軸方向の長さを拡張せずに高圧燃料ポンプ及びオイルコントロールバルブを設置できる。
(5)前記ポンプケースが前記シリンダヘッドと別体に構成され、前記ポンプケースはシリンダヘッドの隔壁に固定手段によって固定されている。
前記構成(5)によれば、ポンプケースがシリンダヘッドと別体に構成されるので、ポンプケース及びシリンダヘッドの製造が容易になり、かつシリンダヘッドの端面において、ポンプケースの取付け位置を自由に選択できる。また、ポンプケースをボルトなどの簡易な固定手段で容易に取り付けることができる。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一つの構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
図1は、V型エンジン10のシリンダヘッドの平面図であり、図2はV型エンジン10のシリンダヘッドの正面図である。
なお、図1及び図2において、車体の左右、前後及び上下の方向は運転席に座った運転者の視点を基準に定義している。
左右バンク12a及び12bにおいて、クランクケース18の上方にシリンダブロック(不図示)が設けられ、シリンダブロックの上方にシリンダヘッド14a及び14bが設けられている。シリンダヘッド14a及び14bの上部には、カムシャフト50などを含む可変動弁装置48(図4参照)などを覆うようにロッカーカバー16a及び16bが装着されている。ロッカーカバー16a及び16bの上面に、シリンダヘッド14a、14b及びシリンダブロックの内部に潤滑油を供給する開口が形成され、該開口を遮蔽する蓋20が設けられている。
図1中、符号22a及び22bはシリンダヘッド14a及び14bに形成され、吸気マニホールド(不図示)に接続されるフランジ部である。フランジ部22a及び22bの内側に形成された吸気通路24a及び24bは前記吸気ポートに連通している。
図1に示す例示的な構成では、左右バンクの内側に設けられる該ポートインジェクタ及びダイレクトインジェクタ26a、26b等が互いに干渉するのを無くし、これらの配置スペースを確保するため、左右バンクはバンク軸方向(車体前後方向であって気筒配列方向)にずらして配置されている。
前記ポートインジェクタ及びダイレクトインジェクタ26a、26bから噴射される噴霧状の燃料と吸気が吸気ポート及び燃焼室で混合して所望とする空燃比が形成される。
前記点火プラグに電力を供給するコネクタ28a及び28bがロッカーカバー16a及び16bの表面に露出するように設けられている。さらに、コネクタ28a及び28bの接続端30a及び30bにコード34a及び34bの端部に設けられたソケット32a及び32bが差し込まれている。
コード34a及び34bは電力線及び信号線を内蔵し、該電力線はバッテリ(不図示)に接続され、該信号線はECU(エンジンコントロールユニット)(不図示)に接続されている。点火プラグはイグニッションコイル(不図示)を内蔵し、該イグニッションコイルはECUから前記信号線を介して入力される信号で制御され、バッテリから前記電力線を介して供給される電力で高電圧を形成し、該高電圧を点火プラグに付加する。
図3及び図4において、高圧燃料ポンプ40のポンプケース42は、シリンダヘッド14bの隔壁46の外面に取り付けられる。即ち、ポンプケース42と一体のフランジ部43がボルト44によって隔壁46に取り付けられる。隔壁46はシリンダヘッド14aのバンク軸方向端面を形成する。なお、図4はカムシャフト50より上方の隔壁46及びフランジ部43を断裁除去した図である。
シリンダヘッド14a及び14bの内部には、可変動弁装置48及び可変動弁装置48を駆動するカムシャフト50等が設けられている。カムシャフト50の一端は隔壁46に形成された貫通孔を介してポンプケース42の内部に延出されている。ポンプケース42はカムシャフト50の延出部52を覆うように形成されている。
カムシャフト50と連動して回転するポンプカム54は回転自在な回転受け56に当たり、ケーシング42bの内部でリフタ58を摺動させる。リフタ58の往復動はコイルバネ60を介してプランジャ62に伝わり、プランジャ62を往復動させる。
プランジャ62の動きとソレノイド68によって作動される前記弁体とが連動し、これらの動きによって、入口管64から加圧室70を介し出口管66に供給される燃料の流量が制御される。燃料は出口管66から左右バンク12a及び12bに設けられた高圧デリバリ74a及び74bに供給され、さらに、高圧デリバリ74a及び74bからシリンダヘッド14a及び14bに設けられた前記ポートインジェクタ及びダイレクトインジェクタ44a、44bに供給される。
スプール弁72はソレノイド68の励磁及び非励磁によってバルブボディ81の内部を摺動し、供給管92に供給される作動油の油圧制御を行う。オイルコントロールバルブ80に送られた作動油は、供給管92を介して左右バンク12a及び12bのシリンダヘッド14a及び14bに設けられた油圧式の可変動弁装置48に供給される。
ポンプケース42の内部は、バルブボディ81から漏れた作動油がポンプカム54が配置された領域まで流出可能に構成されている。即ち、バルブボディ81とポンプカム54との間は開放された空間が形成され、かつカム室crの底面(ケーシング42aの内側底面)はバルブ室vrの底面(ケーシング42dの内側底面)より下方に配置されている。さらに、バルブボディ81とポンプカム54との間のポンプケース42の底面には、バルブボディ81から漏れた作動油の流下を阻止する突起などの障害物は存在しない。
また、バンク12bに対してバンク12aがバンク軸方向の車体前方へずれており、隔壁46はバンク12aの後端面を形成する隔壁である。
これによって、ポンプカム54に別途潤滑油供給系統を設ける必要がなく、かつオイルコントロールバルブ80から漏れた作動油の処理を行うことができる。
また、オイルコントロールバルブ80のバルブボディ81をポンプケース42の内部に配置することで、これらを別個に配置する場合より、高圧燃料ポンプ40及びオイルコントロールバルブ80の配置スペースを縮小できると共に、これら機器類の簡素化かつ低コスト化を達成できる。
また、V型エンジン10に適用された場合、ポンプケース42が車体前方にずれたバンク12aの後端面を形成する隔壁46に取り付けられているので、高圧燃料ポンプ40及びオイルコントロールバルブ80をバンク軸方向に形成されたスペースに配置できる。
そのため、V型エンジン10のバンク軸方向の長さを拡張せずに高圧燃料ポンプ40及びオイルコントロールバルブ80を設置できる。
また、ケーシング42a〜42dは一体に形成されているので、高圧燃料ポンプ40及びオイルコントロールバルブ80のケーシングの製造が容易になる。
さらに、ケーシング42bに対してケーシング42dがほぼ直交する方向に配置されているので、ポンプカム54に接近したバルブボディ81の配置が容易である。
12a、12b 左右バンク
14a、14b シリンダヘッド
16a、16b ロッカーカバー
18 クランクケース
20 蓋
22a、22b、43 フランジ部
24a、24b 吸気通路
26a、26b ダイレクトインジェクタ
28a、28b、72、90 コネクタ
30a、30b 接続端
32a、32b ソケット
34a、34b 高電圧コード
38 前後連結部
40 高圧燃料ポンプ
42 ポンプケース
42a、42b、42c、42d ケーシング
44 ボルト
46 隔壁
48 可変動弁装置
50 カムシャフト
52 延出部
54 ポンプカム
56 回転受け
58 リフタ
60、84 コイルバネ
62 プランジャ
64 入口管
66 出口管
68、88 ソレノイド
70 加圧室
74a、74b 高圧デリバリ
80 オイルコントロールバルブ
81 バルブボディ
82 スプール弁
92 供給管
94 貫通孔
cr カム室
vr バルブ室
Claims (5)
- シリンダヘッドに設けられた動弁装置を駆動するカムシャフトと、
前記シリンダヘッドの隔壁に取り付けられ、該隔壁から延出した前記カムシャフトの延出部を覆うポンプケースと、
前記ポンプケースの内部に設けられ前記延出部に取り付けられたポンプカムを有し、前記カムシャフトの回転によって駆動される高圧燃料ポンプと、
スプール弁を内蔵したバルブボディを有し、該バルブボディが前記ポンプケースの内部に配置されたオイルコントロールバルブと、を備え、
前記ポンプケースの内部で前記バルブボディから漏れた作動油が前記ポンプカムまで流出するように構成されたことを特徴とする車両用内燃機関。 - 前記ポンプケースが取り付けられた前記シリンダヘッドの隔壁に、前記シリンダヘッドの内部と前記ポンプケース内の下部領域とを連通する貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用内燃機関。
- 前記ポンプケースの内部の前記ポンプカムが収納されるカム室と、前記バルブボディが収納されるバルブ室との間に仕切りがなく連通され、
前記カム室の底面は前記バルブ室の底面より取付状態で下方に配置され、かつ前記カム室の底面に前記バルブボディから漏れた作動油が流れ込むように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用内燃機関。 - 前記車両用内燃機関は気筒列が車体の左右方向へ配置されたVバンクを形成したV型エンジンであり、かつ左右のバンクがバンク軸方向にずらして配置され、
前記ポンプケースが取り付けられた前記シリンダヘッドの隔壁は、車体前方にずれたバンクの後端面を形成する隔壁であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の車両用内燃機関。 - 前記ポンプケースが前記シリンダヘッドの隔壁と別体に構成され、
前記ポンプケースは前記シリンダヘッドの隔壁に固定手段によって取り付けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用内燃機関。
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