JP6453084B2 - テールパイプの水侵入防止構造 - Google Patents

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本発明は、テールパイプの水侵入防止構造に関するものである。
近年、排気管の途中に排気ガス中のパティキュレートを捕集するパティキュレートフィルタを備えると共に、該パティキュレートフィルタの下流側に酸素共存下でも選択的にNOxをアンモニアと反応させ得る選択還元型触媒を備え、該選択還元型触媒と前記パティキュレートフィルタとの間に還元剤として尿素水を添加してパティキュレートとNOxの同時低減を図ることが行われている。
このようにする場合、選択還元型触媒への尿素水の添加がパティキュレートフィルタと選択還元型触媒との間で行われることになるため、排気ガス中に添加された尿素水がアンモニアと炭酸ガスに熱分解されるまでの十分な反応時間を確保しようとすれば、尿素水の添加位置から選択還元型触媒までの距離を長くする必要があるが、パティキュレートフィルタと選択還元型触媒とを十分な距離を隔てて離間配置させてしまうと、車両への搭載性が著しく損なわれるという不具合がある。
そこで、パティキュレートフィルタと選択還元型触媒とを並列に配置し、パティキュレートフィルタの出側端部と選択還元型触媒の入側端部との間をS字構造の連絡流路により接続し、パティキュレートフィルタの出側端部から排出された排気ガスが逆向きに折り返されて隣の選択還元型触媒の入側端部に導入されるようにしたコンパクトな排気浄化装置が本発明の出願人により創案されている。
斯かる排気浄化装置にあっては、マフラを兼ねたケーシングによりパティキュレートフィルタと選択還元型触媒の夫々が抱持されるようになっており、パティキュレートフィルタの下流側に配置される選択還元型触媒の出側端部には、浄化済みの排気ガスを車外へ放出するためのテールパイプが装備されている。
そして、近年においては、排気浄化装置における故障発生の有無を監視し、故障発生時には警告灯等を点灯させて運転者に故障の発生を報知すると共に、故障内容を記録しておく車載式故障診断装置(オンボードダイアグノーシス:onboard diagnosis:略称OBD)の装備が各国で義務付けられており、図5〜図7に示す如く、この種のテールパイプ1の奥まった位置には、例えば、PM(Particulate Matter:粒子状物質)濃度を検出するセンサ2が装備され、パティキュレートの適切な低減が図られているか否かが確認できるようになっている。
尚、この種のテールパイプに関連する先行技術文献情報としては下記の特許文献1等がある。
特開2009−121310号公報
しかしながら、前述の如きPM濃度を検出するセンサ2は、極めて脆弱な精密機器であるため、車体の高圧洗浄時に洗浄水がテールパイプ1内に侵入して水しぶきがかかったりするだけで壊れてしまうことがあり、特にエンジン停止したばかりでセンサ2が高温状態にある時に冷たい水がかかると、急激な熱収縮により簡単に損傷してしまうことが知られている。
ここで、既存の一般的なテールパイプ1には、排気ガス3が放出される出口4に向けて車外から高圧の洗浄水が吹き付けられても、直接的な水撃が奥まで及ばないよう湾曲形状が採用されているが、テールパイプ1内に洗浄水が侵入した時の勢いが強ければ、該テールパイプ1の湾曲部位1aに沿い洗浄水の流れも曲がって奥まで到達し、その水しぶきがセンサ2にかかってしまう虞れが依然として残っていた。
また、パンチングを施した多孔の被水防止カバーをセンサ2の検出子に被せて該センサ2を水しぶきから保護することも提案されているが、このようにした場合には、センサ2の検出に関する応答性が前記被水防止カバーにより阻害される虞れがあった。
本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、車体の高圧洗浄時に洗浄水がテールパイプの奥まった位置まで侵入してしまうことを確実に阻止し得るテールパイプの水侵入防止構造を提供することを目的とする。
本発明は、排気系路の末端に備えられて排気ガスを車外へ放出するテールパイプの水侵入防止構造であって、前記テールパイプに湾曲形状を付し且つその湾曲部位の曲がり方向外側の内周面に該内周面から排気ガスの流れ方向下流側に向け徐々に離間するように隔壁を設け、該隔壁と前記湾曲部位の曲がり方向外側の内周面との間に袋小路部を画成し、袋小路部の画成位置における隔壁が無い状態での流路断面積が湾曲部位の上流側の流路断面積よりも大きくなるように該湾曲部位の曲がり方向外側を膨出させたことを特徴とするものである。
而して、このようにすれば、車体の高圧洗浄時に洗浄水がテールパイプの出口に向けて吹き付けられても、その出口から直線的に侵入した洗浄水がテールパイプの湾曲部位にて曲がり方向外側の内周面に沿って流れ、隔壁により画成された袋小路部に突き当たって堰き止められ、しかも、その衝突時の水しぶきも隔壁が覆い被さるようにして跳ね返されるので、車体の高圧洗浄時に洗浄水がテールパイプの奥まった位置まで侵入してしまうことを阻止することが可能となる。
尚、テールパイプ内における隔壁は、湾曲部位の曲がり方向外側の内周面に対し排気ガスの流れ方向下流側に向け徐々に離間するように配置されているので、排気ガスの流れを前記湾曲部位の曲がり方向へ無理なく円滑に案内することが可能であり、排気ガスの流れに対し過剰な圧力損失を与える虞れを未然に防ぐことが可能となる。
また、本発明においては、袋小路部の画成位置における隔壁が無い状態での流路断面積が湾曲部位の上流側の流路断面積よりも大きくなるように該湾曲部位の曲がり方向外側を膨出させているので、隔壁を付設してもテールパイプの流路断面積を過剰に狭めなくて済み、しかも、洗浄水の侵入を堰き止めるための袋小路部の間口を大きく確保することが可能となる。
更に、本発明においては、隔壁により狭められる流路断面積をテールパイプの出口の開口断面積以上に確保しておくことが好ましく、このようにすれば、隔壁の付設が排気ガスの流れに及ぼす圧力損失を大幅に抑制することが可能となる。
上記した本発明のテールパイプの水侵入防止構造によれば、下記の如き種々の優れた効果を奏し得る。
(I)本発明の請求項1に記載の発明によれば、車体の高圧洗浄時に洗浄水がテールパイプの奥まった位置まで侵入してしまうことを阻止することができるので、テールパイプの湾曲部位より上流側にセンサを配置しておけば、このセンサを洗浄水から保護することができ、しかも、被水防止カバーをセンサの検出子に被せなくても済むことによりセンサの検出に関する応答性も高く維持することができる。
(II)本発明の請求項に記載の発明によれば、袋小路部の画成位置における隔壁が無い状態での流路断面積が湾曲部位の上流側の流路断面積よりも大きくなるように該湾曲部位の曲がり方向外側を膨出させているので、テールパイプの流路断面積が隔壁の付設により過剰に狭められて圧力損失の大幅な増加を招く虞れを未然に回避することができ、しかも、袋小路部の間口を大きくして洗浄水の侵入をより確実に堰き止めることもできる。
(III)本発明の請求項に記載の発明によれば、隔壁により狭められる流路断面積をテールパイプの出口の開口断面積以上に確保したことにより、隔壁の付設が排気ガスの流れに及ぼす圧力損失を大幅に抑制することができ、隔壁を付設しても従前通りの排気性能を維持することができる。
本発明を実施する形態の一例を示す斜視図である。 図1のテールパイプの正面図である。 図2のIII−III方向の矢視図である。 図2のIV−IV矢視の断面図である。 従来例を示す斜視図である。 図5のテールパイプの正面図である。 図6のVII−VII方向の矢視図である。
以下本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1〜図4は本発明を実施する形態の一例を示すもので、図5〜図7と同一の符号を付した部分は同一物を表わしており、ここに図示している例においては、先の図5〜図7の従来例と同様に、車体の高圧洗浄時に直接的な水撃が奥まで及ばないよう湾曲形状が採用されているが、その湾曲部位1aの曲がり方向外側の内周面において、該内周面から排気ガス3の流れ方向下流側に向け徐々に離間するように隔壁5が設けられており、該隔壁5と前記湾曲部位1aの曲がり方向外側の内周面との間に袋小路部6が画成されるようになっている。
この際、前記袋小路部6の画成位置における隔壁5が無い状態での流路断面積が前記湾曲部位1aの上流側の流路断面積よりも大きくなるように該湾曲部位1aの曲がり方向外側が膨出されており、特に本形態例の場合は、従来のテールパイプ1(図5〜図7参照)の湾曲部位1aにおける曲がり方向外側の外形に沿うような配置で隔壁5が設けられ、該隔壁5より前記曲がり方向外側へ膨出した部分で前記袋小路部6が画成されるようになっている。
尚、前記隔壁5により狭められる流路断面積は、テールパイプ1の出口4の開口断面積以上に確保されるようになっており、本形態例の場合は、隔壁5を付設しても実質的に先の図5〜図7の従来例と殆ど変わらない流路空間が確保されるようになっている。
また、テールパイプ1の湾曲部位1aより上流側の奥まった位置には、PM(Particulate Matter:粒子状物質)濃度を検出するセンサ2が装備され、図示しない更に上流側のパティキュレートフィルタによりパティキュレートの適切な低減が図られているか否かが確認できるようにしてある。
而して、このようにすれば、図3及び図4に矢印Wで示す如く、車体の高圧洗浄時に洗浄水がテールパイプ1の出口4に向けて吹き付けられても、その出口4から直線的に侵入した洗浄水がテールパイプ1の湾曲部位1aにて曲がり方向外側の内周面に沿って流れ、隔壁5により画成された袋小路部6に突き当たって堰き止められ、しかも、その衝突時の水しぶきも隔壁5が覆い被さるようにして跳ね返されるので、車体の高圧洗浄時に洗浄水がテールパイプ1の奥まった位置まで侵入してしまうことを阻止することが可能となる。
ここで、テールパイプ1内における隔壁5は、湾曲部位1aの曲がり方向外側の内周面に対し排気ガス3の流れ方向下流側に向け徐々に離間するように配置されているので、排気ガス3の流れを前記湾曲部位1aの曲がり方向へ無理なく円滑に案内することが可能であり、排気ガス3の流れに対し過剰な圧力損失を与える虞れを未然に防ぐことが可能となる。
また、特に本形態例においては、袋小路部6の画成位置における隔壁5が無い状態での流路断面積が湾曲部位1aの上流側の流路断面積よりも大きくなるように該湾曲部位1aの曲がり方向外側を膨出させてあるので、隔壁5を付設してもテールパイプ1の流路断面積を過剰に狭めなくて済み、しかも、洗浄水の侵入を堰き止めるための袋小路部6の間口を大きく確保することが可能となり、更には、隔壁5により狭められる流路断面積をテールパイプ1の出口4の開口断面積以上に確保してあるので、隔壁5の付設が排気ガス3の流れに及ぼす圧力損失を大幅に抑制することが可能となる。
従って、上記形態例によれば、車体の高圧洗浄時に洗浄水がテールパイプ1の奥まった位置まで侵入してしまうことを阻止することができるので、テールパイプ1の湾曲部位1aより上流側にセンサ2を配置しておけば、このセンサ2を洗浄水から保護することができ、しかも、被水防止カバーをセンサ2の検出子に被せなくても済むことによりセンサ2の検出に関する応答性も高く維持することができる。
また、袋小路部6の画成位置における隔壁5が無い状態での流路断面積が湾曲部位1aの上流側の流路断面積よりも大きくなるように該湾曲部位1aの曲がり方向外側を膨出させているので、テールパイプ1の流路断面積が隔壁5の付設により過剰に狭められて圧力損失の大幅な増加を招く虞れを未然に回避することができ、しかも、袋小路部6の間口を大きくして洗浄水の侵入をより確実に堰き止めることもできる。
更に、隔壁5により狭められる流路断面積をテールパイプ1の出口4の開口断面積以上に確保したことにより、隔壁5の付設が排気ガス3の流れに及ぼす圧力損失を大幅に抑制することができ、隔壁5を付設しても従前通りの排気性能を維持することができる。
尚、本発明のテールパイプの水侵入防止構造は、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、テールパイプの上流側に搭載される排気浄化装置の構成は、必ずしもパティキュレートフィルタと選択還元型触媒とを並列に配置した構成に限定されないこと、また、テールパイプに装備されるセンサはPMセンサに限定されないこと、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
1 テールパイプ
1a 湾曲部位
3 排気ガス
4 出口
5 隔壁
6 袋小路部

Claims (2)

  1. 排気系路の末端に備えられて排気ガスを車外へ放出するテールパイプの水侵入防止構造であって、前記テールパイプに湾曲形状を付し且つその湾曲部位の曲がり方向外側の内周面に該内周面から排気ガスの流れ方向下流側に向け徐々に離間するように隔壁を設け、該隔壁と前記湾曲部位の曲がり方向外側の内周面との間に袋小路部を画成し、袋小路部の画成位置における隔壁が無い状態での流路断面積が湾曲部位の上流側の流路断面積よりも大きくなるように該湾曲部位の曲がり方向外側を膨出させたことを特徴とするテールパイプの水侵入防止構造。
  2. 隔壁により狭められる流路断面積をテールパイプの出口の開口断面積以上に確保したことを特徴とする請求項に記載のテールパイプの水侵入防止構造。
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