JP6452242B2 - 光伝送システム、光増幅器及びその励起光制御方法 - Google Patents
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Description
光増幅器の励起方法には、図15に示すように、光ファイバ1に対して、光信号の伝搬元側から励起光を供給することで信号光と励起光が同じ方向に伝搬する前方励起、光信号の伝搬先側から励起光を供給することで信号光と励起光が逆方向に伝搬する後方励起、両方から励起光を供給する双方励起がある。また、励起光は、信号光と一緒に希土類が添加された光ファイバのコア内を伝搬する場合もあれば、信号光とは別にコア外部のクラッド内を伝搬する場合がある。いずれの場合においても、図16に示すように、励起光が供給される位置から光ファイバの長軸方向に離れるにしたがって、そのパワーは指数的に減衰するという性質がある。
そこで本発明は、希土類が添加されている光ファイバのコア部分に、励起光を結合する結合手段(例えば、逆結合長周期ファイバグレーティング)を設けることで、励起光がクラッドモードからコアモードに効率的に結合できるようにし、結合手段の後方のコア内における励起光パワーが、結合手段の前方の部分より高くなるように制御する。
光増幅器は、長尺円柱状のクラッド11と、その中心に配置され希土類元素が添加されたコア13とから成る光ファイバ10で構成され、コア13を光信号の増幅媒体とするとともに、クラッド11の端部に一か所の励起光源(図示せず)からの励起光が供給されることで、クラッド11内を励起光が伝搬するようになっている。
コア13には、長軸方向の適宜位置に結合手段20が形成されている。結合手段20は、クラッドモードでクラッド11内を伝搬している励起光をコア13のコアモードに結合させる作用を備え、例えば逆結合長周期ファイバグレーティング構造で構成されている。
光ファイバのコアに長周期ファイバグレーティングを作製した場合、コアを伝搬する信号光は、図2に示すように、位相整合条件を満たした特定の波長がコアモードからクラッドモードへ変換放射され損失が発生する。
励起光の特定波長がクラッド11からコア13内に積極的に透過する構成とすることで、クラッドモードからコアモードに効率的に結合できるようにしている。クラッド11からコア13内に透過する光の波長およびクラッドモードは、逆結合長周期ファイバグレーティング構造20に形成される周期的な屈折率変調による光学特性に依存する。
例えば、光ファイバの長軸方向に複数の逆結合長周期ファイバグレーティング構造20を作製する場合は、長軸方向に位相マスクをずらしながら製作する。同じ光学特性のグレーティングを作製する場合は同じ位相マスクを使用し、異なる光学特性のグレーティングを作製する場合は異なる位相マスクを使用する。
図4は、クラッドモードからコアモードへの結合を模式的に示したものであり、矢印は結合の様子を幾何学的に模式的に示したものである。
続いて、光増幅器の具体的な実施例について、図6を参照して説明する。
光増幅器は、希土類元素が添加されたコア13と、コア13の外側に形成されたインナークラッド11と、インナークラッド11の外側に形成されたアウタークラッド12とを備えた光ファイバ10で構成され、コア13を光信号の増幅媒体とするとともに、インナークラッド11の端部の一か所に励起光が供給されることで、インナークラッド11内を励起光が伝搬するように構成されている。尚、この例では、コア13を伝搬する光信号はシングルモードとなっている。
コア13の外側に形成されたクラッドについて、インナークラッド11とアウタークラッド12との二層構造(デュアルクラッド構造)としたのは、インナークラッド11内を励起光が伝搬することによる励起光の閉じ込め効率を高めるためである。
一番目(左側位置)の逆結合長周期ファイバグレーティング構造21では、クラッドLP01モードがコアLP01モードに結合されるようになっている。二番目(中央位置)の逆結合長周期ファイバグレーティング構造22では、クラッドLP02モードがコアLP01モードに結合されるようになっている。三番目(右側位置)の逆結合長周期ファイバグレーティング構造23では、クラッドLP03モードがコアLP01モードに結合されるようになっている。
上述したモード番号の組み合わせは一例であり、他のモード番号同士の組み合わせであってもよい。
この光増幅器では、光学特性の異なる3個の逆結合長周期ファイバグレーティング構造を設けることで、各グレーティング挿入位置で励起光パワーが上昇し、その後に減衰するようになる。励起光パワーのピーク値は、グレーティング挿入位置によって自由に設定することができる。この例では、各グレーティング挿入位置における各ピーク値が異なるようにしているが、全てのグレーティング挿入位置でピーク値を等しくすることも可能である。
また、光増幅器で得られるコアLP01モードの励起光パワーは、通常の前方励起の場合の励起光パワーが指数的に減衰するのに対して、グレーティング挿入位置で自由に励起光パワーを上昇させることができるので、高い励起光パワーを得るとともに、従前方法では得られない単純な指数的減少以外の励起光パワー変化のプロファイルとすることができる。
図8の光増幅器は、Cバンド帯域(1530〜1565nm)とLバンド帯域(1565〜1625nm)の光信号の増幅を1台で行う実施例を示す。図6と同じ構成をとる部分については同一符号を付している。
通常のLバンド増幅器では、比較的長尺の希土類添加ファイバを使用するが、その場合、Lバンド帯域では、単位長あたりではCバンド帯域に比べてかなり小さい希土類添加ファイバの利得が、長尺にわたって累積していくことで最終的には大きな利得が得られるように構成される。この時、Cバンド帯域では、希土類添加ファイバの前半の短い部分で既に十分に大きな利得が得られてしまい、信号光のパワーが励起光のパワーよりも大きくなってしまう現象が生じ、後半では信号光パワーが希土類元素に吸収されてしまい、最終的にはCバンド帯域での利得が得られなくなる。
その結果、Lバンド帯域の信号光の利得を得るために長尺の希土類添加ファイバを用いた場合であっても、Cバンド帯域の信号光が吸収によって消えずに最後まで残るようにすることで、Cバンド帯域及びLバンド帯域の信号光の一括増幅を可能とする。
コア13内の励起光パワーは、光ファイバ10の各逆結合長周期ファイバグレーティング構造21〜24の挿入位置でグラッド11からの励起光が結合するので励起光パワーが上昇する。
Cバンド帯域の信号光パワーは、コア13内において、結合された励起光パワーを受けて上昇しその後に減衰することを繰り返す。したがって、逆結合長周期ファイバグレーティング構造21〜24を周期的に配置することで、周期的に励起光パワーを上昇させて信号光パワーの利得を同じ割合で調整することができる。
Lバンド帯域の信号光パワーは、コア13内において、インナークラッド11からコア13へ染み出してくる励起光パワー(クラッド励起)による利得が長尺にわたって累積していくことで最終的には大きな利得が得られるようになる。
図10は、図8のCバンド帯域及びLバンド帯域の光信号を一括して増幅する光増幅器10を使用して光伝送システムを構成したものである。
光増幅器10の入力側に接続された光ファイバ1には、Cバンド帯域及びLバンド帯域波長多重化装置2を介して複数のCバンド帯域の光送信端局装置3と複数のLバンド帯域の光送信端局装置3が接続され、光増幅器10の出力側に接続された光ファイバ1には、Cバンド帯域及びLバンド帯域波長分離装置5を介して複数のCバンド帯域の光受信端局装置6と複数のLバンド帯域の光受信端局装置6が接続されている。
この構成の光伝送システムによれば、Cバンド帯域及びLバンド帯域波長多重化装置2により多重化されて光ファイバ1を伝搬する光信号(Cバンド帯域及びLバンド帯域の光信号)に対して、光増幅器10で一括して増幅することが可能となる。
本実施例の光伝送システムによれば、図8に示したCバンド帯域及びLバンド帯域の光信号を一括して増幅する光増幅器10を使用することで、C/L分離器51及びC/L多重器52が不要となるので構成を簡略化でき、伝送システムの構築にかかわるコストを削減することが可能となる。
上述した例では、光ファイバ10のコア13内を伝搬する光信号がシングルモードである場合を説明したが、光信号がマルチモードで多モード増幅の場合のマルチモード光増幅器30を図12に示す。
この実施例によるマルチモード光増幅器30では、マルチモードの各モードの利得を制御するため、複数のクラッドモードから複数のコアモードへそれぞれ結合する光学特性の異なる複数の逆結合長周期グレーティング構造31〜34をコア13に設けている。
個々のグレーティング構造は、それぞれ特定のクラッドモードから特定のコアモードへと励起光を結合させるように構成されている。図12の例では、一番目の逆結合長周期グレーティング構造31でクラッドLP01モードがコアLP01モードに、二番目の逆結合長周期グレーティング構造32でクラッドLP11モードがコアLP11モードに、三番目の逆結合長周期グレーティング構造33でクラッドLP02モードがコアLP02モードに、四番目の逆結合長周期グレーティング構造34でクラッドLP22モードがコアLP22モードにそれぞれ結合される。
なお、これはあくまで一例であり、他のモード番号の組み合わせでも構わない。
また、コアモードのそれぞれに対応するグレーティング構造を配置する順番も任意であり、図12に示す順番での配置は一例に過ぎない。
図13は、図12に示した、コア13内を伝搬するマルチモードの光信号を一括して多モード増幅するマルチモード光増幅器30を使用して光伝送システムを構成したものである。
マルチモード光増幅器30の入力側に接続された光ファイバ1には、波長多重化装置2及びモード多重化装置を介して複数の光送信端局装置3が接続され、マルチモード光増幅器30の出力側に接続された光ファイバ1には、波長分離装置5及びモード分離装置を介して複数の光受信端局装置6が接続されている。図13中、図10と同一の構成をとる部分は、同一符号を付している。
この実施例によれば、マルチモード光増幅器30を使用することで、多モード増幅される任意のコアモードのそれぞれについて、必要な量の励起光パワーを、任意のクラッドモードから相互に独立に供給することができるので、これまで実現が困難であったモード間の利得偏差を等化したマルチモード光伝送システムの実現が可能となる。
Claims (8)
- 希土類元素が添加されたコアを光信号の増幅媒体とし、前記希土類元素を励起状態にするための励起光が前記コアの外側のクラッドを経由して供給される光増幅器において、
前記クラッドに供給されクラッドモードで該クラッド内を伝搬している励起光を前記コアのコアモードに結合させる結合手段を備え、
前記結合手段は、前記光増幅器の長軸方向に分布して前記コアに複数設けたグレーティング構造であり、
前記コアに設けられたグレーティング構造は、異なる光学特性を備えた複数のグレーティングから成るグレーティング群である
ことを特徴とする光増幅器。 - 前記グレーティング構造は、前記グレーティング群を周期的に繰り返して形成する請求項1に記載の光増幅器。
- 前記結合手段は、前記クラッドに設けられ、前記励起光の伝搬方向に対して傾斜面となるV溝で構成された請求項1に記載の光増幅器。
- 希土類元素が添加されたコアを光信号の増幅媒体とし、前記希土類元素を励起状態にするための励起光が前記コアの外側のクラッドを経由して供給される光増幅器において、
前記クラッドに供給されクラッドモードでクラッド内を伝搬する励起光を、前記コアの長軸方向における任意位置でコアモードに結合させて励起効率を制御し、
Cバンド帯域の光信号については、前記クラッド内を伝搬する励起光がコアモードに結合することで励起効率を制御するとともに、
Lバンド帯域の光信号については、前記クラッド内を伝搬する励起光がコアに漏れ出すクラッド励起により励起を行うことで、
前記Cバンド帯域及びLバンド帯域の光信号を同時に増幅可能とする
ことを特徴とする光増幅器の励起光制御方法。 - コアを伝搬する光信号のコアモードが複数存在する場合に、各クラッドモードから各コアモードに結合する結合強度を、各モードペアに対応する結合によって個別に調整することで、コアモード毎の利得を制御する請求項4に記載の光増幅器の励起光制御方法。
- クラッドモードの励起光のコアモードへの結合は、コアに設けられたグレーティング構造で行われる請求項4又は請求項5に記載の光増幅器の励起光制御方法。
- 希土類元素が添加されたコアを光信号の増幅媒体とし、前記希土類元素を励起状態にするための励起光が前記コアの外側のクラッドを経由して供給される光増幅器を使用して光信号を伝搬する光伝送システムにおいて、
Cバンド帯域の光信号については、前記クラッド内を伝搬する励起光がコアモードに結合することで励起効率を制御するとともに、
Lバンド帯域の光信号については、前記クラッド内を伝搬する励起光がコアに漏れ出すクラッド励起により励起を行うことで、
前記Cバンド帯域及びLバンド帯域の光信号を同時に増幅可能とし、
伝送路内の光増幅点においてCバンド帯域とLバンド帯域の光信号を分離することなく伝送することを特徴とする光伝送システム。 - コアを伝搬する光信号のコアモードが複数存在する場合に、各クラッドモードから各コアモードに結合する結合強度を、各モードペアに対応する結合によって個別に調整することで、コアモード毎の利得を制御しモード間利得偏差の補償を行う請求項7に記載の光伝送システム。
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