JP6452219B2 - 椅子の荷重支持部材の基板構造 - Google Patents

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Description

本発明は、椅子の荷重支持部材の基板構造に関する。
上記技術分野に属する基板構造として、例えば下記特許文献1−3に開示されるものが公知である。
これらの文献に開示される基板構造は、椅子における着座者の身体から受ける荷重を支持する荷重支持部材において、着座者と接して荷重を受ける受面構成部の基板に、その表面から裏面へ貫通する開口部を多数形成したもの、あるいは複数の線条体よりなるグリッド形状としたものがある。前記基板は、その面直方向に作用する荷重を受けることによって面方向に広がり易いため、柔らかな着座感を呈するという点で優れる。
特許第3895084号公報 特許第4295266号公報 特許第5276304号公報
ところで、着座感をより柔軟にするためには、前記開口部の大きさを極力大きくすることが考えられる。しかし、前記基板は、柔らかな着座感を提供すると同時に、着座者の体重を支え得る強度も備えなくてはならない。このため、開口部の大きさを大とすることには限度があった。また、開口部の大きさを大とすると、開口部の中に身体の一部が落ち込むような感覚があったり開口部を形成する周縁部の形状を感じ易くなったりするという課題もある。さらに、クッション材を有する張り包みタイプの荷重支持部材では、開口部内にクッション材が入り込み易く、荷重支持部材の表面に開口部の跡が付き易いという課題もある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、椅子における着座者と接して荷重を受ける荷重支持部材の基板構造において、基板に形成した開口部の大きさを大としても良好な着座感を得るとともに、荷重支持部材の表面の見栄えを良好に維持することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明は、椅子における着座者と接して荷重を受ける受面構成部の基板に、その表面から裏面に貫通する開口部を一定に複数形成した開口形成部を備えることによって、前記基板の面方向の弾性変形を助長させた荷重支持部材の基板構造において、前記開口形成部の内の特定部位にのみ、前記開口部の対向端部間に渡る架設部を備え、前記架設部は、前記対向端部間に渡る開口中心線に対して少なくとも一部が湾曲又は屈曲して延び、前記開口中心線側への前記湾曲又は屈曲した状態が変化して前記開口部の変形を許容する撓み助長部を備えることを特徴とする。
この構成によれば、開口部の対向端部間に設けた架設部が、開口部の対向端部間に渡る方向で撓み易いくなるため、開口部を大きくして基板における開口形成部を柔軟にした上で、その特定部位の開口部内の樹脂の残存率を大とし、着座者の体重を支え得る強度を確保できる。すなわち、開口部内の架設部でも荷重を支持し、開口部内に身体が落ち込む感覚や開口部の周縁部に接する感覚を抑えることができる。
また、上記基板構造において、前記架設部は、前記開口部の対向端部から前記開口中心線に沿って延びる延設片を備える構成でもよい。
この構成によれば、架設部の撓み助長部が延設片によって開口部の対向端部から確実に切り離され、撓み助長部が独立して変形し易くなるとともに、延設片を中心に架設部が捩じれる変形も容易になり、着座感をより柔軟にできる。
また、上記基板構造において、前記撓み助長部は、前記開口中心線を挟んで対称をなすように分離した架設線条体を有する構成でもよい。
この構成によれば、撓み助長部が開口部内でさらに開口を形成する体裁をなし、荷重を受けた際に面方向に変形し易くなり、着座感をより柔軟にできるとともに、分離した架設線条体により開口部の広範囲に閉塞部材を配し、開口部内に身体が落ち込む感覚等を良好に抑えることができる。
また、上記基板構造において、前記開口部は、その外周を外周線条体に囲まれて形成され、前記撓み助長部は、前記外周線条体よりも細い架設線条体で形成される構成でもよい。
この構成によれば、開口部の外周線条体よりも細身の架設線条体により架設部がより変形し易くなり、着座感をより柔軟にできる。

また、上記基板構造において、前記開口部は、正面視で六角形状をなすように形成され、前記架設部は、前記開口部の正面視形状における互いに対向する一対の対向辺部間に渡って設けられる構成でもよい。
この構成によれば、架設部の伸縮により六角形状の開口部の変形のし易さが保たれ、着座感をより柔軟にできる。
また、上記基板構造において、前記荷重支持部材は、着座者の背中を支持する背凭れを構成し、前記背凭れは、その下端部よりも上方に着座者側に突出する身体支持部を形成し、前記架設部は、前記身体支持部を含む部位に形成される構成でもよい。
この構成によれば、背凭れにおける荷重が加わり易い身体支持部での開口部内に身体が落ち込む感覚等を抑えることができる。また、身体支持部が着座者の腰に相当する位置にあれば、より柔軟な支持が望まれる部位において確実に柔軟な着座感を得ることができる。
また、上記基板構造において、前記荷重支持部材は、前記基板の表面にクッション材を有する構成でもよい。
この構成によれば、クッション材を有する張り包みタイプの荷重支持部材において、柔軟な着座感を得るべく基板の開口部を大きくしても、基板の荷重を受け易い特定部位に架設部を設けることによって、当該部位で開口部内にクッション材が入り込み難くし、荷重支持部材の表面に開口部の跡が付き難くして、荷重支持部材の表面の見栄えを良好に維持できる。
本発明によれば、椅子における着座者と接して荷重を受ける荷重支持部材の基板構造において、基板に形成した開口部の大きさを大としても良好な着座感を得るとともに、荷重支持部材の表面の見栄えを良好に維持することができる。
この発明の実施形態における椅子の側面図である。 上記椅子の平面図である。 上記椅子の背面図である。 上記椅子の背面側斜視図である。 上記椅子の湾曲形状変更手段の構成図である。 上記湾曲形状変更手段の係合溝が設けられた背凭れの背面図である。 図6のA−A断面図である。 上記椅子の背凭れ基板の正面図である。 上記背凭れ基板の平面図である。 図8のB−B断面図である。 上記背凭れ基板の線条体の湾曲基準線を示した正面図である。 上記背凭れ基板の要部の正面図である。 上記背凭れ基板の要部の作用説明図であり、(a)は弾性変形前、(b)は高さ方向に伸びる弾性変形時をそれぞれ示す。
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、椅子の座体上に背凭れに背を向けて着座した着座者の「前方」を図中矢印FRで示し、前記着座者の「上方」を図中矢印UPで示し、上記着座者の「左方」を図中矢印LHで示す。
<椅子全体>
図1〜図4に示すように、本実施形態の椅子1は、フロアF上に載置される脚部2と、脚部2の上端に設置されるボックス状の支基3と、着座者が着座する座体4と、支基3の上面に取り付けられ座体4を前後スライド可能に支持する座受部材5と、座体4に着座した着座者の背中を支持する背凭れ6と、背凭れ6を背後から支える背凭れ支持部材7と、背凭れ6の受面構成部20の湾曲形状を変更する湾曲形状変更手段8と、を有する。
脚部2は、キャスタ9a付きの多岐脚9と、多岐脚9の中央部より起立し昇降機構であるガススプリングを内蔵する脚柱10と、を有し、脚柱10の上端部に支基3が水平方向に回転可能に取り付けられている。支基3には、脚柱10の昇降調整機構と背凭れ支持部材7の傾動調整機構が内蔵されている。背凭れ支持部材7は、側面視略L字形状を有し、その前部下端が支基3内の傾動調整機構に連結されている。
なお、図中符号11は支基3上における背凭れ支持部材7の枢支軸であり、符号12は支基3の側面に突設された傾動調整機構の操作ノブである。
座体4は、骨格部を成す座板13と、座板13の上部に取り付けられる座本体14と、を有する。座本体14は、詳細な図示は省略するが、座板13の外周縁部に取り付けられる座枠(不図示)と、座板13の上面に設置されるウレタン等から成るクッション材(不図示)と、座枠に張設されてクッション材の上方側を覆うシート表皮材15と、を有する。
背凭れ6は、着座者と接して荷重を受ける受面構成部20を有する。受面構成部20は、図2に示す平面視で、後方に凸となる湾曲形状を有する。本実施形態の受面構成部20は、樹脂成型された背凭れ基板21と、背凭れ基板21の前面に設置されるクッション材(不図示)と、背凭れ基板21に張設されてクッション材を覆うシート表皮材22と、によって形成されている。なお、図示都合上、背凭れ基板21は平坦状に示す。
背凭れ6は、図3に示す背面視(正面視と同等)で、四隅が丸みを帯びた略長方形状とされている。また、背凭れ6は、図1に示すように、前方に屈曲する突出部23を有する。本実施形態の背凭れ6は、図1に示す側面視で、前方に凸の屈曲形状を有している。突出部23の頂点は、着座者の腰に対応する位置に形成されている。すなわち、突出部23は、図1に示す側面視で、背凭れ6の下端部よりもやや上方の部分が前方に突出するように、適所で屈曲した形状を有している。
背凭れ支持部材7は、背凭れ6を背後から支えるものである。背凭れ支持部材7は、背凭れ6よりも剛性が高く、背凭れ6で受けた着座者の荷重を支える強度部材である。背凭れ支持部材7は、例えば樹脂成型されており、厚みや大きさ、補強リブの配置等によって背凭れ6よりも剛性が高く構成されている。背凭れ支持部材7は、図3に示す背面視で、背凭れ6の外形と略同じ外形を有する枠部30を有する。枠部30は、背面側に大きく開口する開口部31を有している。
背凭れ支持部材7は、背凭れ6の突出部23に対応する位置に、前方に屈曲する突出部32を有している。すなわち、突出部32は、図1に示す側面視で、枠部30の下端部よりもやや上方の部分が前方に突出するように、適所で屈曲した形状を有している。この突出部32には、後述する湾曲形状変更手段8の操作部材50が配置される。背凭れ支持部材7は、枠部30の下端部から前方に延出する連結部33を有する。連結部33は、支基3内の傾動調整機構に連結されている。
<湾曲形状変更手段>
図5を併せて参照し、湾曲形状変更手段8は、背凭れ6の幅方向(左右方向)における中央部24と両端部25とを前後に相対移動させて、受面構成部20の湾曲形状を変更する。なお、前記幅方向とは、背凭れ基板21の左右端部に渡る方向であり、本実施形態では左右方向に相当する。また、背凭れ基板21の上下端部に渡る方向(概ね上下方向に相当)を高さ方向とする。
湾曲形状変更手段8は、図3に示すように、背凭れ6の中央部24を背凭れ支持部材7に移動を制限した状態に保持する保持部40を有する。背凭れ6の両端部25は、背凭れ支持部材7に対して前後に移動可能な移動端部41とされる。保持部40は、背凭れ6の中央部24の上端部を背凭れ支持部材7の枠部30の上端部に保持する上保持部42と、背凭れ6の中央部24の下端部と背凭れ支持部材7の下端部とを係合させる下係合部43と、を有する。
上保持部42は、例えば締結手段や係止爪等を含み、背凭れ6の中央部24の上端部を背凭れ支持部材7の枠部30の上端部に保持する。上保持部42による背凭れ6の中央部24の上端部の保持は、背凭れ6の幅方向の中心とその両脇の三か所で行われる。
下係合部43は、背凭れ基板21の中央部24の下端部と、中央部24の下端部を後方から当接させるべく背凭れ支持部材7の連結部33上に起立する係合壁43aと、を有する。下係合部43は、背凭れ基板21を背凭れ支持部材7に取り付けた状態では、背凭れ基板21の弾性により中央部24の下端部を係合壁43aに後方から当接させ、背凭れ基板21の下端部の前方への移動(抜け)を規制する。一方、背凭れ6に着座者の背中からの荷重が入力されると、下係合部43は、中央部24の下端部を係合壁43aの後方に離間させることで、背凭れ基板21の下端部の後方への変位を許容する。
下係合部43は、中央部24の下端部及び係合壁43aの係合が解除されない範囲で、背凭れ基板21の下端部の左右方向及び上下方向の変位も許容する。下係合部43による背凭れ6の中央部24の下端部の保持は、背凭れ6の幅方向の中心の一か所で行われる。なお、背凭れ6の中央部24の上端部を高さ方向等で移動可能に保持し、中央部24の下端部を拘束状態に保持した構成でもよい。また、中央部24の前後方向の移動を制限すれば、中央部24の上下端部をともに高さ方向等で移動可能に保持した構成でもよい。
移動端部41は、背凭れ支持部材7に対して比較的自由に移動可能な背凭れ6の自由端であり、背凭れ支持部材7に対して前後に移動可能な構成となっている。すなわち、移動端部41は、保持部40を支点とする背凭れ6(背凭れ基板21)の弾性変形によって、前後に移動可能である。移動端部41は、背凭れ6の突出部23に対応する位置に設けられている。背凭れ6の突出部23に対応する位置には、湾曲形状変更手段8の操作部材50が配置されており、移動端部41は、操作部材50の押圧によって前後に移動する構成となっている。
操作部材50は、図1に示すように、背凭れ6及び背凭れ支持部材7のいずれか一方(本実施形態では背凭れ支持部材7)に移動可能に支持されている。操作部材50は、背凭れ6の中央部24と両端部25とを前後に相対移動させるためのものであり、着座者が把持可能な把持部51を有する。把持部51は、着座者の操作性を向上させるものであり、略L形状を有すると共に、背凭れ6の側部に突出し、着座者が座体4に座った状態で把持可能な構成となっている。
操作部材50は、背凭れ6及び背凭れ支持部材7の互いに対向する対向面26,34のいずれか一方側(本実施形態では対向面34側)に回転可能に支持される基端部52と、基端部52を中心に回動し、背凭れ6及び背凭れ支持部材7の対向面26,34の他方側(本実施形態では対向面26側)を押圧する先端部53と、を有する。また、背凭れ6及び背凭れ支持部材7の対向面26,34の他方側(本実施形態では対向面26側)には、図6に示すように、先端部53の回動軌跡に沿って、先端部53と係合可能な係合溝60が形成されている。
係合溝60は、背凭れ6の背後で両端部25の外形に沿って設けられている。すなわち、係合溝60は、高さ方向(上下方向)に延在している。また、係合溝60は、背凭れ6の突出部23に対応する位置を上下で跨ぐように延在しており、背凭れ6の突出部23より下側の傾斜形状に沿って幅方向(左右方向)内側に曲がるように形成されている。
係合溝60は、図7に示すように、所定の摺動性を有するライナー61とライナー支持部材63における保持部64とによって形成されている。ライナー61は、操作部材50の先端部53と摺接するものであり、先端部53の形状に対応した形状を有している。本実施形態の操作部材50の先端部53は、ボール状(球状)に形成されており、ライナー61は、断面視で円弧状に形成されている。ライナー61は、第1ライナー部材61aと第2ライナー部材61bに分割可能に構成されている。第1ライナー部材61aと第2ライナー部材61bは、凹凸の嵌合部62によって組み合わせ可能に構成されている。
ライナー61は、ライナー支持部材63によって背凭れ6(背凭れ基板21)の背後に固定されている。ライナー支持部材63は、ライナー61を保持する保持部64と、背凭れ基板21に係合可能な係合突起65と、を有する。保持部64は、ライナー61の外径よりも狭い間隔で、一対で設けられている。係合突起65は、ライナー支持部材63の内側において、幅方向(左右方向)に突出して設けられている。なお、係合突起65は、不図示であるがライナー支持部材63の左右の適所に複数設けられている。また、ライナー61とライナー支持部材63とは、二色成型等の手段により一体的に形成してもよい。
背凭れ基板21は、ライナー支持部材63を取り付け可能な取付溝66を有する。取付溝66には、複数のリブ67が立設している。ライナー61は、ライナー支持部材63と複数のリブ67との間に挟まれて固定されている。リブ67には、ライナー支持部材63の係合突起65と係合する係合穴68が設けられている。係合穴68は、リブ67に幅方向(左右方向)に貫通して設けられている。係合突起65と係合穴68とが係合することで、ライナー支持部材63が背凭れ基板21に対して固定される。
操作部材50は、先端部53が係合溝60に係合する一方、基端部52が回転軸69に回転自在に支持されている。回転軸69は、幅方向に延在し、背凭れ支持部材7に設けられている。基端部52は、回転軸69が挿通する軸受穴70を有する。軸受穴70の径は、回転軸69の径よりも大きくなるように設計されている。すなわち、基端部52は、回転軸69の軸線と直交する方向にガタを有している。本実施形態の操作部材50は、このガタにより、係合溝60に沿って先端部53を幅方向(左右方向)に移動可能としている。
着座者は、座体4に座った状態で、背凭れ6の左右に突出する操作部材50の把持部51を把持し、上方に引き上げる。操作部材50は、基端部52が背凭れ支持部材7に回転可能に支持されており、基端部52を中心に先端部53が上方に回動する(図1参照)。先端部53が上方に回動すると、操作部材50は、背凭れ6及び背凭れ支持部材7の互いに対向する対向面26,34間に突っ張り、対向面26,34間の距離を押し広げる。背凭れ支持部材7は、背凭れ6よりも剛性が高く、背凭れ6側が弾性変形する。
背凭れ6は、中央部24が保持部40によって背凭れ支持部材7に前方への移動を制限した状態で保持されており、両端部25が背凭れ支持部材7に対して比較的自由に移動可能とされている。このため、背凭れ6の両端部25が、操作部材50の押圧によって前方に移動する(図5参照)。このときの両端部25(移動端部41)の移動軌跡を図中曲線m1で示す。背凭れ6の両端部25が前方に移動すると、背凭れ6の受面構成部20の曲率が大きくなり、受面構成部20の湾曲形状が形状C1から形状C2に変更される。
本実施形態では、背凭れ6の背後が背凭れ支持部材7によって支えられているため、強度を背凭れ支持部材7によって確保できる分、背凭れ6全体の剛性を下げても着座者の荷重を受けることができる。したがって、背凭れ6に十分な弾性を与えて、受面構成部20の湾曲形状を大きく変更させることができる。また、背凭れ6は、その幅方向における中央部24と両端部25とを前後に相対移動させるため、湾曲形状変更の際に幅方向における両端部25の間隔が大きく変更されることはない。
また、本実施形態では、背凭れ6の幅方向における中央部24を背凭れ支持部材7に移動を制限した状態で保持し、背凭れ6の幅方向における両端部25に設けられた移動端部41を操作部材50で押圧して前後に移動させるようになっている。この移動端部41は、背凭れ6の前方に屈曲する突出部23に対応する位置に設けられている。この突出部23は着座者の腰部を支えることで座り心地に影響する部分であるため、突出部23に対応する位置を前後に移動させることで、着座者の着座感を容易に変更できる。例えば、着座者の腰をホールドするように背凭れ6の湾曲形状を変更することで、着座者の側方へのズレを防止することができる。
このように、上述の本実施形態によれば、着座者と接して荷重を受ける受面構成部20を有する背凭れ6と、背凭れ6を背後から支える背凭れ支持部材7と、背凭れ6の幅方向における中央部24と両端部25とを前後に相対移動させて受面構成部20の湾曲形状を変更する湾曲形状変更手段8と、を有する、という構成を採用することによって、背凭れ6の湾曲形状を大きく変更可能であると共に着座者を支持する力の低下を抑制可能である椅子1が得られる。
なお、操作部材50の先端部53が背凭れ6の対向面側を押圧する構成について説明したが、操作部材50の先端部53が背凭れ支持部材7の対向面側を押圧する構成であっても良い。また、操作部材50を用いずに直接手で背凭れ6の幅方向における中央部24と両端部25とを前後に相対移動させる構成であっても良い。
<背凭れ基板>
図8〜図10に示すように、背凭れ基板21は、その外縁部を形成する外周枠部81と、外周枠部81の内周方で表面(前面)から裏面(後面)へ貫通する開口部87を一定パターンで複数形成する網目状の開口形成部86と、を有する。背凭れ基板21は樹脂成型により一体形成されている。
外周枠部81は、背凭れ6の背面視形状を形成するべく、四隅が丸みを帯びた略長方形状とされている。外周枠部81は、背面視で略水平に左右に延びる上下辺部82,83、並びに上下辺部82,83の左右それぞれの端部間に渡る左右辺部84,85を有する。背凭れ基板21における背凭れ6の突出部23に対応する部位は、前方に屈曲する基板突出部23aとされる。
外周枠部81の背面視において、左右辺部84,85は、その上端から基板突出部23aに至るまで漸次左右幅を広げて形成される。左右辺部84,85における基板突出部23aを含む下部の個々の左右幅は、上下辺部82,83の個々の上下幅よりも広くされる。左右辺部84,85における基板突出部23aから下方の部位は、下側ほど背凭れ6の幅方向内側に位置するように傾斜している。
開口形成部86は、外周枠部81の上下辺部82,83に渡るように上下に延びる複数の線条体88と、各線条体88をその左右に隣接する他の線条体88又は外周枠部81に連結する複数の連結部89と、を有する。開口形成部86は、外周枠部81に対して樹脂残存率が小さく、かつ外周枠部81よりも細身の線条体88及び連結部89で構成されることから、外周枠部81に比して可撓性に富み、背凭れ基板21の面方向としての面沿いの幅方向(概ね左右方向)及び面沿いの高さ方向(概ね上下方向)、並びに背凭れ基板21の面直方向としての厚さ方向(概ね前後方向)で柔軟に弾性変形する。これにより、クッションの底付き感を抑えた柔軟な着座感を実現するとともに、湾曲形状変更手段8による受面構成部20の湾曲形状の変形を容易にする。背凭れ基板21の剛性は、比較的剛性の高いフレームとしての外周枠部81により確保される。
外周枠部81を含む背凭れ基板21全体、ひいては背凭れ6は、さらに剛性の高い背凭れ支持部材7に比べて全体的に適度な可撓性を有しており、着座者からの荷重や湾曲形状変更手段8の操作等により弾性変形可能である。
背凭れ6は、その幅方向の中央部24が背凭れ支持部材7に移動を制限した状態に保持された状態で、幅方向の両端部25に設けられた移動端部41が背凭れ支持部材7に支持された操作部材50に押圧される。これにより、幅方向の中央部24に対して幅方向の両端部25を前方に変位させるとともに、前記押圧を解除することで幅方向の両端部25を後方に変位させる。
この構成において、背凭れ6の中央部24の下端部は完全な固定ではなく、前方への移動を規制するのみであり、移動端部41の前後の移動に追従して上下左右にも柔軟に変位する。このため、操作部材50の操作に要する力が小さくて済み、操作部材50の操作性が向上する。
なお、上固定部は完全固定として背凭れ6を弾性変形させてもよいが、上保持部42にも適度の遊びを設けることによって、背凭れ6の中央部24の上端部も下係合部43と同様に半固定状態とすれば、背凭れ6が背凭れ支持部材7に対して動きやすくなると共に、操作部材50の操作性がより軽くなる。
背凭れ基板21は、幅方向の両端部25が幅方向の中央部24よりも前方(着座者側)に位置するように、図9の平面視で全体的に後方(反着座者側)に凸の湾曲形状に形成される。外周枠部81の左右辺部84,85においては、図9の平面視で前方に凸の湾曲形状に形成されており、その内側方の開口形成部86における後方に凸の湾曲形状と面一に連なる。
また、背凭れ基板21は、下端部よりもやや上方の部位(上下中間部よりもやや下方の部位、基板突出部23aと同等の高さの部位)が、前方に凸の基板突出部23aとなるように、図10の側面視で前方に凸の緩やかな屈曲形状に形成される。背凭れ基板21は、基板突出部23aよりも上方の左右内側では、側面視で後方に凸の緩やかな凹状に湾曲する。背凭れ基板21の上端部では、側面視の湾曲が上前方に凸の湾曲形状に切り替わる。
以上の背凭れ基板21の形状は、着座者側の前面の形状であり、この背凭れ基板21の形状に沿って受面構成部20が形成されることで、着座者の腰及び背中に沿ってこれらが後方から良好に支持されるとともに、背凭れ6外周のエッジ感も抑えられる。また、背凭れ基板21は、特に基板突出部23aの幅方向両端部を大きく前方に変位させており、基板突出部23aにおける平面視の曲率を大きくして着座者の腰部の左右方向のサポートを強める。背凭れ基板21は、その上端部が拘束される都合もあり、上側ほど前記曲率を小さくしている。
各線条体88は、図11の正面視で、他の線条体88と交差することなく高さ方向に延びるとともに、高さ方向の中間部が高さ方向の両端部よりも幅方向の中央側に凸となるように湾曲する。図中曲線k1は各線条体88の正面視の湾曲基準線を示す。この湾曲の幅方向中央側の頂部88aは、基板突出部23aと同等の高さにある。各線条体88は、背凭れ基板21の側面視形状に沿うようにも湾曲することから(図10参照)、前方かつ幅方向中央側に凸の三次元的な湾曲形状をなしている。
各線条体88の正面視の曲率は、基板突出部23aの高さにおいて最大であり、基板突出部23aの上方及び下方においては端部に至るほど漸次小さくなる。また、各線条体88の正面視の曲率は、幅方向中央側の線条体88ほど小さい設定とされる。
各線条体88の頂部88aが位置する高さの部位(基板突出部23a)では、その上方及び下方に比して線条体88の数が最も多くなる。当該部位を背凭れ基板21のランバー部(腰部支持部)とすると、ランバー部ではメインビーム(線条体88)の数が増すことで支持荷重を増している。また、前記の如く三次元的に湾曲した各線条体88は、前方からの荷重により頂部88aが左右中央側かつ後方に倒れるように捩じれを伴う変形をする。各線条体88は、湾曲形状変更手段8を作動させたときにも、頂部88aが左右中央側かつ後方に倒れるように捩じれを伴う変形をし、これによって外周枠部81の変位を助長する機能を有する。
このため、各線条体88が前方からの荷重に対して単に後湾するように変形する場合よりも、背凭れ基板21が特にランバー部において柔軟に変形する。また、各線条体88の湾曲形状は、背凭れ基板21の幅方向中心線CLを挟んで対称をなしており、前記捩じれを伴う変形によりランバー部でのメインビーム数がより密になる。これは、湾曲形状変更手段8の作動により湾曲を強めた場合も同様で、ランバー部の平面視の曲率が大きくなることと併せて、腰部のサポート力が増大する。基板突出部23aの幅方向中央側の部位は、開口形成部86の内の最も強度が必要な部位(最も荷重を受ける部位)であり、本実施形態では、当該部位にのみ、開口部87内に後述する架設部95を設けている。
各線条体88は、その両端部が外周枠部81の上下辺部82,83にそれぞれ接続されるが、背凭れ6の幅方向の両端部25に近接する線条体88のみ、その両端側が幅方向外側に傾くことで、この線条体88の両端部が外周枠部81の左右辺部84,85にそれぞれ接続される。
図10に示すように、各線条体88は、背凭れ基板21の厚さ方向の寸法t1を背凭れ基板21の部位に応じて適宜変化させる。具体的には、各線条体88の厚さ方向の寸法t1は、高さ方向では上辺部82と基板突出部23aとの間の中間部で最も大きく、その上方では漸次寸法t1を小さくして上辺部82に接続され、下方では漸次寸法t1を小さくした後にランバー部を経て下辺部83に接続される。また、各線条体88の厚さ方向の寸法t1は、幅方向では中央側ほど大きく、両端側ほど漸次小さい設定とされる。これら各線条体88の何れの部位に対しても、前記連結部89の厚さ方向の寸法t2は小さい設定とされる。
各線条体88は、着座者からの荷重を受けると、外周枠部81に一体化された両端部を残し、着座者の背中に沿って後湾するように変形するとともに、最もカーブの大きい部位(頂部88a)から後方へ捩じれるように変形する。このとき、最も後方へ撓み易いのは、外周枠部81に接続された上拘束部と頂部88aとの間の中間部位であるが、当該部位では線条体88の前後方向の厚みが大となっていることから、捩じれ変形の集中が抑えられる。また、左右に延びる連結部89により線条体88同士が連結されるので、捩じれ変形した線条体88同士の間に段差が生じないようにされる。
図8、図12を参照し、連結部89は、複数の線条体88のそれぞれの幅方向両側の空隙部91に配置され、各線条体88から幅方向に延びて該線条体88を空隙部91を挟んだ他の線条体88又は外周枠部81に連結する。連結部89は、高さ方向で等間隔に複数形成され、かつ各線条体88の幅方向両側で高さ方向の位置を半ピッチ分異ならせる。これにより、複数の連結部89が背凭れ基板21全体に千鳥状に配置される。これら複数の連結部89と複数の線条体88とによって、背凭れ基板21全体に複数の開口部87が千鳥状に形成される。換言すれば、背凭れ基板21の開口形成部86は、上下に延びる複数の線条体88と隣り合う線条体88間を連結する連結部89とで網目状に形成される。
ここで、各線条体88は、高さ方向で相互に連なる複数の線条体構成部92から構成される。各線条体構成部92は、各線条体88の前記湾曲基準線k1に対し、下側ほど幅方向中央側に位置するように傾斜するものと、下側ほど幅方向外側に位置するように傾斜するものとに大別される。これら正面視で異なる向きに傾斜する線条体構成部92が交互に連なることで、各線条体88が正面視で蛇行しながら上下に延びる構成とされる。この線条体88は、直線状に伸びる又は蛇腹状に屈曲するような変形により、湾曲形状変更手段8を作動させた際の高さ方向の伸縮を容易にしている。また、前記伸縮は、図5、図9に示すように、湾曲形状変更手段8の機能により、外周枠部81の両端部が内向きの曲線m1に沿って移動し、外周枠部81の両端部同士の幅方向の距離が狭まることにより生じるものである。
図12を参照し、幅方向で隣接する一対の線条体88のそれぞれは、これらの間の正面視の中心線(前記湾曲基準線k1間の中心線)k2を挟んで互いに対称をなすように傾斜する線条体構成部92を有している。これにより、幅方向で隣接する一対の線条体88のそれぞれは、前記中心線k2を挟んで互いに対称をなすように蛇行して形成される。
幅方向で隣接する一対の線条体88の間を連結する複数の連結部89は、前記一対の線条体88のそれぞれにおける複数の線条体構成部92の幅方向で互いに近接する端部92aの間を連結する。これにより、線条体88及び連結部89により形成される各開口部87が、高さ方向両端部での幅よりも高さ方向中間部での幅が大の六角形状に形成される。前記一対の線条体88間の空隙部91の幅は、該空隙部91内で高さ方向に等間隔に並ぶ連結部89間のピッチよりも小であり、各開口部87は高さ方向に長い縦長の六角形状に形成される。網目状の開口形成部86は、枠状の線条体88及び連結部89で形成される六角形状の開口部87を千鳥状に配置し、これらを面方向(高さ方向及び幅方向)で伸縮可能とする。
連結部89は、正面視六角形状の開口部87の幅方向両側における開口外側方に凸の頂部(線条体構成部92の端部92a)を、隣接する開口部87の同頂部に連結する。これにより、湾曲形状変更手段8を作動させた際に各線条体88が互いに幅方向で接近するように変位すると、図13に示すように、連結部89が開口部87の前記頂部を開口内側方に押し込み、開口部87両側の線条体88を上下に伸ばすように変形させる。その結果、開口部87が左右に縮まるとともに上下に伸びるように変形する。連結部89の厚さ方向の寸法t2は各線条体88の厚さ方向の寸法t1よりも小さいが、ランバー部においては連結部89の高さ方向の寸法t3(図12参照)が他部位の連結部89のそれよりも大きく設定され、開口部87を左右に縮める力を強めている。また、ランバー部の連結部89のt3が他部位の連結部89よりも大きいことで、連結部89がより板形状に近付き、前方からの荷重に対してはより面方向に変形し易くなる。
前述したように、開口形成部86のランバー部を構成する部位では、開口部87内に架設部95が設けられる。架設部95は、正面視六角形状の開口部87内を上下に延びるもので、図12に示すように、開口部87の上下端に前記中心線k2と重なる開口中心線k3上で接続される上下の延設片96と、上下延設片96間に設けられる撓み助長部97と、を有する。
撓み助長部97は、前記開口中心線k3を挟んで対称をなすように分離した一対の架設線条体98を有する。各架設線条体98は、開口部87における互いに対向する上下辺部間に渡る開口中心線k3に対して、高さ方向の中間部を開口中心線k3側に湾曲させた湾曲部98aを有する。
開口部87は、その外周を囲む外周線条体(線条体88及び連結部89)によって形成されるが、撓み助長部97は、正面視で外周線条体よりも細い架設線条体98で形成される。撓み助長部97は、開口中心線k3上の延設片96を介して外周線条体に接続されるので、外周線条体の変形の影響が少なく、開口部87とは独立して個別に変形可能とされる。また、撓み助長部97は、一対の湾曲部98aにより上下に撓み易く、かつ一対の架設線条体98間が開口することで左右方向にも撓み易く、さらに上下延設片96を中心に捩じれる変形も許容する。
このような撓み助長部97は、開口部87の変形を阻害することなく、独立して柔軟に変形し、湾曲形状変更手段8による変形を許容するとともに着座者からの荷重を受ける。また、撓み助長部97が単一の線条体からなる場合と比べて、撓み助長部97が開口部87内に広がって配置されるため、開口部87内に着座者の身体が入り込む感覚が良好に抑えられる。
以下、背凭れ基板21の作用について説明する。
まず、背凭れ6の受面構成部20に着座者の身体から後向きの荷重が入力されると、シート表皮材22及びクッション材を介して背凭れ基板21の適所に同様の荷重が概ね面直方向で入力される。この入力により、特に開口形成部86の各線条体88が面直方向で撓むとともに、各開口部87を面方向で伸縮させるように弾性変形する。
各開口部87は、それぞれ高さ方向に長い縦長であることから、幅方向に伸縮する変形を生じ易い。各開口部87は千鳥状に配置されることから、その幅方向の両側には連結部89が配置され、この連結部89に幅方向で押される又は引かれることで、各開口部87が幅方向に伸縮し易い。ランバー部に設けた架設部95は開口部87の高さ方向に渡ることから、開口部87の幅方向の変形に影響し難い。各開口部87が湾曲形状変更手段8の作動により幅方向の伸縮に伴い高さ方向に伸縮する際にも、架設部95の撓み助長部97により高さ方向の変形が許容される。
各開口部87は、湾曲形状変更手段8の作動により高さ方向に伸縮するように変形する際には、幅方向で開口外側方に凸の両側部が高さ方向に屈伸して良好に変形する。架設部95は、開口部87の高さ方向に渡るものの、架設部95自身が有する撓み助長部97により、開口部87の高さ方向の変形にも良好に追従する。開口部87が捩じれるような変形をする際にも、架設部95が開口部87の外周線条体に一対の略同軸上の延設片96を介して連結されることで、開口部87の変形と影響し合うことが抑えられる。
架設部95が設けられるランバー部では、着座者の身体がより強く接するが、当該部位の開口部87内に設けた架設部95でも着座者の荷重を受けるので、身体の一部が開口部87内に入り込むような感覚が抑えられる。また、架設部95自体が変形し易いこともあり、柔軟な着座感への影響が抑えられる。背凭れ基板21の荷重を受け易い部位にのみ、開口部87内にその変形を阻害しない架設部95(閉塞部)を設けることで、張り包みタイプの背凭れ6において、柔軟な着座感を得るべく背凭れ基板21の網目を粗くしても(開口部87を大きくしても)、荷重を受け易い部位の開口部87内にクッション材やシート表皮材22が入り込み難く、当該部位でシート表皮材22に背凭れ基板21の網目の跡がつくようなことがない。
背凭れ6の中央部24の下端部は、前方への変位を規制されるのみであり、湾曲形状変更手段8の操作により平面視の湾曲形状を変更する際にも、上下左右に柔軟に変位するため、操作部材50の操作を軽くして操作性を向上させる。ランバー部の湾曲を強める際、ランバー部の各開口部87は幅方向に縮められるが、この変形は架設部95に阻害されず、かつ各開口部87が湾曲形状変更手段8の作動又は前方からの荷重により高さ方向に伸びる際にも、架設部95の撓み助長部97により高さ方向の変形が良好になる。
前方かつ幅方向中央側に凸の三次元的な湾曲形状の各線条体88は、特にカーブの大きい部位(頂部88a)が集まるランバー部において柔軟に変形する。また、湾曲形状変更手段8の作動又は前方からの荷重により各線条体88が後方へ捩じれるように変形することで、ランバー部の線条体88の数及び平面視の曲率が増加し、腰部のサポート力が増大する。このように、線条体88自体を変形し易くして柔軟な着座感を得るとともに、荷重支持を良好に行うことができる。
以上説明したように、上記実施形態の椅子1の荷重支持部材(背凭れ6)の基板構造は、椅子1における着座者と接して荷重を受ける受面構成部20の背凭れ基板21に、その表面から裏面に貫通する開口部87を一定に複数形成した開口形成部86を備えることによって、前記背凭れ基板21の面方向の弾性変形を助長させたものにおいて、前記開口形成部86の内の特定部位にのみ、前記開口部87の対向端部間に渡る架設部95を備え、前記架設部95は、前記対向端部間に渡る開口中心線k3に対して少なくとも一部が湾曲又は屈曲して延びる撓み助長部97を備えるものである。
この構成によれば、開口部87の対向端部間に設けた架設部95が、開口部87の対向端部間に渡る方向で撓み易くなるため、開口部87を大きくして背凭れ基板21における開口形成部86を柔軟にした上で、その特定部位の開口部87内の樹脂の残存率を大とし、着座者の体重を支え得る強度を確保できる。すなわち、開口部87内の架設部95でも荷重を支持し、開口部87内に身体が落ち込む感覚や開口部87の周縁部に接する感覚を抑えることができる。
また、前記架設部95は、前記開口部87の対向端部から前記開口中心線k3に沿って延びる延設片96を備える。
この構成によれば、架設部95の撓み助長部97が延設片96によって開口部87の対向端部から確実に切り離され、撓み助長部97が独立して変形し易くなるとともに、延設片96を中心に架設部95が捩じれる変形も容易になり、着座感をより柔軟にできる。
また、前記撓み助長部97は、前記開口中心線k3を挟んで対称をなすように分離した架設線条体98を有する。
この構成によれば、撓み助長部97が開口部87内でさらに開口を形成する体裁をなし、荷重を受けた際に面方向に変形し易くなり、着座感をより柔軟にできるとともに、分離した架設線条体98により開口部87の広範囲に閉塞部材を配し、開口部87内に身体が落ち込む感覚等を良好に抑えることができる。
また、前記開口部87は、その外周を囲む外周線条体(線条体88及び連結部89)によって形成され、前記撓み助長部97は、前記外周線条体よりも細い架設線条体98で形成される。
この構成によれば、開口部87の外周線条体よりも細身の架設線条体98により架設部95がより変形し易くなり、着座感をより柔軟にできる。
また、前記開口部87は、正面視で六角形状をなすように形成され、前記架設部95は、前記開口部87の正面視形状における互いに対向する一対の対向辺部間に渡って設けられる。
この構成によれば、架設部95の伸縮により六角形状の開口部87の変形のし易さが保たれ、着座感をより柔軟にできる。
また、着座者の背中を支持する背凭れ6に適用され、前記背凭れ6は、その下端部よりも上方に着座者側に突出する身体支持部(突出部23)を形成し、前記架設部95は、前記突出部23を含む部位に形成される。
この構成によれば、背凭れ6における荷重が加わり易い突出部23での開口部87内に身体が落ち込む感覚等を抑えることができる。また、突出部23が着座者の腰に相当する位置にあれば、より柔軟な支持が望まれる部位において確実に柔軟な着座感を得ることができる。
また、前記背凭れ6は、前記背凭れ基板21の表面にクッション材を有する。
この構成によれば、クッション材を有する張り包みタイプの背凭れ6において、柔軟な着座感を得るべく背凭れ基板21の開口部87を大きくしても、背凭れ基板21の荷重を受け易い特定部位に架設部95を設けることによって、当該部位で開口部87内にクッション材が入り込み難くし、背凭れ6の表面に開口部87の跡が付き難くして、背凭れ6の表面の見栄えを良好に維持できる。
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、荷重支持部材は、座体4及び背凭れ6の他、ランバーサポートやヘッドレスト等であってもよい。荷重支持部材は、背凭れ基板21にクッション材及び表皮等を設けることで背凭れ基板21が荷重支持部材の一部を構成するものに限らず、背凭れ基板21が荷重支持部材の全部を構成するものであってもよい。上記実施形態では、受面構成部20が背凭れ基板21並びにその前面を覆うウレタンクッション及び表皮材等を含む構成について説明したが、ウレタン以外のクッション材であってもよく、あるいは表皮材のみで背凭れ基板21を覆う構成であってもよい。
上記実施形態では、背凭れ6の幅方向における中央部24を移動制限状態に保持し、背凭れ6の幅方向における両端部25を前後に移動させる構成について説明したが、背凭れ6の幅方向における両端部25を保持し、背凭れ6の幅方向における中央部24を前後に移動させる構成であってもよい。
線条体構成部92が線条体88の一部を形成する構成であってもよい。各部位の湾曲形状を屈曲形状とし、屈曲形状を湾曲形状とした構成であってもよい。前記屈曲形状は単一の屈曲のみならず複数の屈曲を含む形状であってもよい。
架設部95の変形例として、上下端部が開口部87の対向端部又は延設片96に連設された薄板状のものであってもよい。この場合、薄板の架設部全体が撓み助長部となり、上記同等の作用効果を得ることが可能である。
そして、上記した構成は本発明の一例であり、当該発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
1 椅子
6 背凭れ(荷重支持部材)
20 受面構成部
21 背凭れ基板(基板)
23 突出部(身体支持部)
86 開口形成部
87 開口部
88 線条体(外周線条体)
89 連結部(外周線条体)
95 架設部
96 延設片
97 撓み助長部
98 架設線条体
k3 開口中心線

Claims (7)

  1. 椅子における着座者と接して荷重を受ける受面構成部の基板に、その表面から裏面に貫通する開口部を一定に複数形成した開口形成部を備えることによって、前記基板の面方向の弾性変形を助長させた荷重支持部材の基板構造において、
    前記開口形成部の内の特定部位にのみ、前記開口部の対向端部間に渡る架設部を備え、 前記架設部は、前記対向端部間に渡る開口中心線に対して少なくとも一部が湾曲又は屈曲して延び、前記開口中心線側への前記湾曲又は屈曲した状態が変化して前記開口部の変形を許容する撓み助長部を備えることを特徴とする椅子の荷重支持部材の基板構造。
  2. 前記架設部は、前記開口部の対向端部から前記開口中心線に沿って延びる延設片を備えることを特徴とする請求項1に記載の椅子の荷重支持部材の基板構造。
  3. 前記撓み助長部は、前記開口中心線を挟んで対称をなすように分離した架設線条体を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の椅子の荷重支持部材の基板構造。
  4. 前記開口部は、その外周を外周線条体に囲まれて形成され、
    前記撓み助長部は、前記外周線条体よりも細い架設線条体で形成されることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の椅子の荷重支持部材の基板構造。
  5. 前記開口部は、正面視で六角形状をなすように形成され、
    前記架設部は、前記開口部の正面視形状における互いに対向する一対の対向辺部間に渡って設けられることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の椅子の荷重支持部材の基板構造。
  6. 前記荷重支持部材は、着座者の背中を支持する背凭れを構成し、
    前記背凭れは、その下端部よりも上方に着座者側に突出する身体支持部を形成し、
    前記架設部は、前記身体支持部を含む部位に形成されることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の椅子の荷重支持部材の基板構造。
  7. 前記荷重支持部材は、前記基板の表面にクッション材を有することを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の椅子の荷重支持部材の基板構造。
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