JP6452193B2 - 筋疲労の定量的評価方法、筋疲労表示装置及び筋疲労定量的評価装置 - Google Patents

筋疲労の定量的評価方法、筋疲労表示装置及び筋疲労定量的評価装置 Download PDF

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Description

本発明は、運動時やリハビリテーション時などに生じる筋疲労を、その活動中に定量的に評価する筋疲労の定量的評価方法、筋疲労表示装置及び筋疲労定量的評価装置に関する。
今日、運動機能回復のリハビリテーションでは、医師や理学療法士などの専門家が自身の経験や患者との会話を基に、筋の状態を把握し、個人に適したリハビリテーションプログラムを設定して治療が行われている。
しかしながら、運動負荷は知識や経験といった主観に基づいて決定されており、専門家間での運動負荷に関する診断結果には曖昧性がある。そのため、リハビリテーション現場では定量的な指標に基づいた筋状態や負荷量決定の評価が求められている。
筋状態を生理学的に評価する方法として、筋活動電位(以下、EMGという)を測定する方法が知られている。EMGは、非侵襲かつ簡便に測定が可能な生体信号の一つであり、骨格筋の活動の評価や、筋負荷及び筋疲労の評価など様々な分野で利用されている。特に筋疲労に関しては、EMGの周波数分析に基づいて中央周波数を算出し、その時間的変化により推測する方法が知られている。
下記特許文献1には、EMGの振幅の平均値、及びEMGから得られるパワースペクトル分布の中心周波数に基づいて筋肉疲労を判定する筋肉疲労判定装置についての発明が開示されている。
また、下記特許文献2には、時間経過とともにEMGの中央周波数の値が小さくなっていく徐波化に着目し、疲労感に影響を及ぼす筋疲労部位を特定することのできる筋疲労評価装置及び筋疲労評価方法についての発明が開示されている。
特開2000−232号公報 特開2002−224072号公報
上記特許文献1又は2に示されているように、EMGの中央周波数を測定することによって筋疲労の有無を知ることは可能であるが、筋疲労の定量的な評価ができないという課題がある。また、EMGは個人差の大きい生体信号であり、筋疲労に対するEMGの中央周波数の関係は個人によって異なるため、統一的に扱うことが難しいという課題もある。
本発明は、上記のような従来技術の課題に鑑みてなされたものであって、リハビリテーションやトレーニングなどの運動中に生じる筋疲労を即時かつ定量的に評価することができる筋疲労の定量的評価方法、筋疲労表示装置及び筋疲労定量的評価装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の筋疲労評価方法は、時間に対する活動部位の筋電位の変化を測定し、前記筋電位の所定時間ごとのパワースペクトラムを算出し、前記パワースペクトラムを所定の周波数帯域ごとに複数に分類し、前記分類された複数の前記所定の周波数帯域ごとのパワーの和を算出し、前記所定の周波数帯域ごとのパワーの総和に対するそれぞれの前記所定の周波数帯域ごとのパワーの和の割合を計算し、時間に対する前記割合の変化を比較し、筋疲労を定量的に評価することを特徴とする。
一般的に筋に負荷が与えられた際は、まずは速筋による運動である乳酸性運動が行われた後に、遅筋による運動である有酸素運動が行われることが知られている。ここで、本発明の第1の態様の筋疲労評価方法によれば、EMGのパワースペクトラムから、速筋から生じる周波数帯域及び遅筋から生じる周波数帯域における成分を計測し、それぞれの割合を計測することにより、速筋及び遅筋の使用割合を測定することができる。双方の使用割合の大小を比較することによって、速筋から遅筋へと役割が交代する点を運動中に即時かつ定量的に評価することができる。
また、本発明の筋疲労評価方法においては、本発明の第1の態様の筋疲労の定量的評価方法において、前記所定の周波数帯域は、45Hz以下の周波数帯域及び81Hz以上の周波数帯域が含まれていることが好ましい。
係る態様の筋疲労評価方法によれば、EMGのパワースペクトラムを遅筋から生じる周波数帯域である45Hz以下及び速筋から生じる周波数帯域である81Hz以上とに分け、それぞれの割合を計測することにより、速筋及び遅筋の使用割合を測定することができるようになる。
係る態様の筋疲労評価方法において、前記45Hz以下の周波数帯域における割合が、前記81Hz以上の周波数帯域における割合よりも大きくなった時間を筋疲労の開始時間とすることができる。
係る態様の筋疲労評価方法によれば、速筋よりも遅筋を使用する割合が大きくなっている点を運動を行っている者が乳酸性運動から有酸素運動に切り替わらざるを得ない疲労を生じる点と定義することにより、筋疲労を明確に定量化することができるようになる。
また、本発明の筋疲労表示装置は、活動部位の筋電位を連続的に測定する筋電位測定手段と、前記筋電位測定手段によって測定された前記筋電位における所定時間ごとのパワースペクトラムを算出するパワースペクトラム算出手段と、前記パワースペクトラム算出手段によって算出された前記パワースペクトラムを所定の周波数帯域ごとに複数に分類し、分類された複数の前記所定の周波数帯域ごとのパワーの和を算出する周波数帯域分類算出手段と、前記周波数帯域分類算出手段によって算出された前記所定の周波数帯域ごとのパワーの総和に対するそれぞれの前記所定の周波数帯域ごとのパワーの和の割合を計算する割合算出手段と、時間に対する前記割合の変化を表示する第一の表示手段と、を有することを特徴とする。
本発明の筋疲労表示装置によれば、EMGのパワースペクトラムから、速筋から生じる周波数帯域及び遅筋から生じる周波数帯域における成分を計測し、それぞれの割合を計測することにより、速筋及び遅筋の使用割合を測定することができる。そして、双方の使用割合の大小を比較することによって、速筋から遅筋へと役割が交代する点を運動中に即時かつ定量的に確認でき、また、評価することができる装置を提供することができる。
また、係る態様の筋疲労表示装置においては、前記所定の周波数帯域には、45Hz以下の周波数帯域及び81Hz以上の周波数帯域が含まれていることが好ましい。
係る態様の筋疲労表示装置によれば、速筋及び遅筋から発生する筋電位の周波数ごとに明確に分類することができ、筋疲労の状態の判断が容易となる。
また、係る態様の筋疲労表示装置においては、前記45Hz以下の周波数帯域における割合が、前記81Hz以上の周波数帯域における割合よりも大きくなった時間を筋疲労の開始時間とすることが好ましい。
係る態様の筋疲労表示装置によれば、筋疲労を数値の大小のみで評価できるため、容易に筋疲労を判断することができる。
また、係る態様の筋疲労表示装置においては、前記筋電位測定手段によって測定された筋電位の時間ごとの変化を表示する第二の表示手段を有することが好ましい。
係る態様の筋疲労表示装置によれば、筋電位の徐波化を計測することも可能となり、運動中の対象者における筋疲労の定量的評価と徐波化との関係を知ることができるようになる。
本発明の筋疲労定量的評価装置は、活動部位の筋電位を連続的に測定する筋電位測定手段と、前記筋電位測定手段によって測定された前記筋電位における所定時間ごとのパワースペクトラムを算出するパワースペクトラム算出手段と、前記パワースペクトラム算出手段によって算出された前記パワースペクトラムを所定の周波数帯域ごとに複数に分類し、分類された複数の前記所定の周波数帯域ごとのパワーの和を算出する周波数帯域分類算出手段と、前記周波数帯域分類算出手段によって算出された前記所定の周波数帯域ごとのパワーの総和に対するそれぞれの前記所定の周波数帯域ごとのパワーの和の割合を計算する割合算出手段と、前記所定の周波数帯域ごとのパワーの和の割合の大小を比較することで筋疲労を定量的に評価する筋疲労定量的評価手段と、を有することを特徴とする。
係る態様の筋疲労定量的評価装置によれば、EMGのパワースペクトラムから、速筋から生じる周波数帯域及び遅筋から生じる周波数帯域以上における成分を計測し、それぞれの割合を計測することにより、速筋及び遅筋の使用割合を測定することができる。また、双方の使用割合の大小を比較することによって、速筋から遅筋へと役割が交代する点を運動中に即時かつ定量的に評価することができる装置を提供することができる。
係る態様の筋疲労定量的評価装置においては、前記所定の周波数帯域には、45Hz以下の周波数帯域及び81Hz以上の周波数帯域が含まれていることが好ましい。
係る態様の筋疲労定量的評価装置によれば、速筋及び遅筋から発生する筋電位の周波数ごとに明確に分類することができ、筋疲労の状態の判断が容易となる。
また、係る態様の筋疲労定量的評価装置においては、前記筋疲労定量的評価手段は、前記45Hz以下の周波数帯域における割合が、前記81Hz以上の周波数帯域における割合よりも大きくなると筋疲労であると判断するものであることが好ましい。
係る態様の筋疲労定量的評価装置によれば、筋疲労を数値の大小のみで評価できるため、容易に筋疲労を判断することができ、また、他者との筋疲労の比較も容易となる。
また、係る態様の筋疲労定量的評価装置においては、時間に対する前記割合の変化を表示する表示手段を有することが好ましい。
係る態様の筋疲労定量的評価装置によれば、筋電位の徐波化も同時に計測することで、運動中の対象者における筋疲労の定量的評価と徐波化との関係を知ることができるようになる。
また、係る態様の筋疲労定量的評価装置においては、前記筋疲労定量的評価手段によって筋疲労であると判断された場合に、筋疲労であることを警告する警告手段を有することを特徴とする。
係る態様の筋疲労定量的評価装置によれば、警告手段からの警告により、評価対象者が筋疲労状態であることを容易に知ることができるようになる。
筋疲労の評価対象者の運動方法を示す側面からの図である。 筋疲労状態を算出する方法のフローチャートである。 評価対象者の上腕二頭筋での筋電位の変化を示す図である。 図3でのI1区間におけるパワースペクトラムを示す図である。 時間経過によるそれぞれの筋繊維の使用割合の変化を示す図である。 実施形態1の筋疲労表示装置の全体図である。 実施形態1の筋疲労表示装置のブロック図である。 実施形態2の筋疲労定量的評価装置の全体図である。 実施形態2の筋疲労定量的評価装置のブロック図である。 その他の運動方法を示す図である。 時間経過によるそれぞれの筋繊維の使用割合の変化を示す図である。
以下、本発明の筋疲労の定量的評価方法及び筋疲労定量的評価装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、以下に示す各実施形態は、本発明の技術思想を理解するために例示するものであって、本発明をこれらの実施形態に特定することを意図するものではない。本発明は、特許請求の範囲に示した技術思想を逸脱することなく種々の変更を行ったものにも均しく適用し得るものである。
[筋疲労状態の測定方法]
図1〜図5を参照して、評価対象者の筋疲労状態を測定する方法を説明する。なお、図1は筋疲労の評価対象者の運動方法を示す側面からの図、図2は筋疲労状態を算出する方法のフローチャート、図3は評価対象者の上腕二頭筋での筋電位の変化を示す図、図4は図3でのI1区間におけるパワースペクトラムを示す図、図5は様々な重量における時間経過によるそれぞれの筋繊維の使用割合の変化を示す図である。
ここでは評価対象者に等尺性収縮運動を行なわせ、時間経過における筋疲労を計測した。図1に示すように評価対象者に水平な場所で直立させ、脇をしめて例えば利き腕とは逆の肘を90度に曲げ、その位置で固定させる。また、負荷量の与え方としては、掌から吊るしたベルト91のフックに様々な重量の錘92を吊し、その錘に比例した負荷を上腕二頭筋に与える。その際、手首への負担軽減と負荷を手首や指の力で支えないようにするために、掌にはスポンジを握らせておく。なお、評価対象者がこの姿勢を維持できないと判断された際には、測定を終了するものとした。
この筋疲労状態の測定方法における評価対象者の上腕二頭筋のEMGのデータの一例を図3に示す。なお、図3の縦軸は評価対象者のEMGの振幅、横軸は時間を示す。図2に示したように、負荷を与えてから所定時間Tが経過しているかの判断を行う(S1)。所定時間Tが経過しているならば、周波数解析を行ってパワースペクトラムの算出を開始する(S2)。算出方法は既知の方法でよく、高速フーリエ変換(FFT)や、自己回帰モデル(AR)、最大エントロピー法(MEM)などの方法がある。この筋疲労状態の測定方法では高速フーリエ変換を用いている。また、周波数帯域は20Hz以上350Hz以下、パワースペクトラムを算出する区間Iの長さは16.384秒とし、各区間は区間Iの長さの半周期ずつずらして算出している。所定時間Tが経過していないならば再度S1へと移行する。なお、本測定方法において、周波数帯域を20Hz以上350Hz以下として算出しているが、周波数帯域はこの帯域に限定されるものではない。また、区間Iの長さもこの長さに限定されるものではなく、長短を変更してもよい。
図3における区間I1において算出されたパワースペクトラムの一例を図4に示す。図4の縦軸はパワーを示し、横軸は周波数を示している。このパワースペクトラムの周波数を、速筋が発する周波数である81Hz以上の周波数帯域の集合G、中間筋が発する周波数である45Hzより大きく81Hz未満の周波数帯域の集合G、遅筋が発する周波数である45Hz以下の周波数帯域の集合Gの3つの集合に分類する(S3)。なお、ここでは45Hz及び81Hzを基準として3つの集合に分類したが、速筋、中間筋、及び遅筋が発する周波数帯域に分類できれば十分であり、45Hz及び81Hz以外の周波数で分類してもよい。
これらの集合G、G、Gに含まれる周波数のパワー値を合計し、それぞれ速筋パワー値P、中間筋パワー値P、遅筋パワー値Pとする(S4)。これら全てのパワー値P、P及びPの総和を総パワー値Pとし、総パワー値Pに対するP、P及びPそれぞれの割合R、R及びRを算出する(S5)。
なお、筋繊維の使用割合を調べる方法としては、運動前と運動後における乳酸値を比較する方法や、磁気共鳴画像診断装置(以下、MRIという)などの機器を用いて筋活動を観測する方法などがある。しかしながら、これらの測定方法によって筋疲労を定量的に評価しようとしても、運動中には筋疲労を知ることができず、また、MRIなどの大がかりな装置が必要となってしまう。本発明の方法によれば、筋繊維の使用割合を運動中に調べることが可能である。
S6によって算出された割合R、R及びRを、高速フーリエ変換を行った区間Iの終点でのそれぞれの筋繊維の使用割合とし、RとRの大小を比較する(S6)。速筋のパワー値の割合Rよりも遅筋のパワー値の割合Rの値が大きい場合、筋疲労であると判断し(S7)、そうでない場合S8へと移行する。運動が終了しているか否かの判定を行い(S8)、運動が継続されていればS1へと戻り解析を継続し、運動が終了していれば解析を終了する。
一般的に、筋に負荷が与えられた際、まずは速筋による運動である乳酸性運動が行われた後に遅筋による運動である有酸素運動が行われる。そのため、速筋と遅筋のパワー値の割合R及びRの変化を見ることで、筋疲労を定量的に評価することができる。図5は様々な重量の負荷をかけたときの評価対象者の時間経過に対するそれぞれの筋繊維の使用割合の変化を示す図であり、図5Aは2kg重、図5Bは3kg重、図5Cは4kg重、図5Dは5kg重の負荷をかけたものである。
図5Aを参照すると、速筋のパワー値の割合Rが、常に遅筋のパワー値RLの割合よりも上に位置している。このことから、図5Aの運動では筋疲労は生じていないと判断できる。図5Bを参照すると、図5Aに対し、速筋のパワー値の割合Rは若干小さくなり、遅筋のパワー値の割合Rは若干大きくなっているが、まだ速筋のパワー値の割合Rが、常に遅筋のパワー値RLの割合よりも上に位置している。このことから図5Bの運動でも筋疲労は生じていないと判断できる。
これに対し図5Cを参照すると、170秒から190秒付近で速筋のパワー値の割合Rと、遅筋のパワー値の割合RLの上下関係が逆転している。このことから、図5Cの運動では運動開始後170秒から190秒付近で、乳酸性運動から有酸素運動に切り替わる疲労が始まったと判断できる。また図5Dを参照すると、40秒から50秒付近で速筋のパワー値の割合Rと、遅筋のパワー値の割合RLの上下関係が逆転している。このことから、図5Dの運動では運動開始後40秒から50秒付近という短時間で、乳酸性運動から有酸素運動に切り替わる疲労が始まったと判断できる。
上記のように、速筋のパワー値の割合Rと、遅筋のパワー値の割合Rとを比較することで、筋疲労を定量的に評価することができる。リハビリテーションの初期段階では高負荷をかけずに動かすことが重要であるため、図5Aや図5Bのように速筋のパワー値の割合Rが遅筋のパワー値の割合RLよりも高くなるような負荷をかけて運動を継続する。これに対し、スポーツ選手のトレーニングなど、高負荷をかける必要がある場合は、図5Dのように運動開始から短時間で遅筋のパワー値の割合RLが速筋のパワー値の割合Rよりも高くなるような負荷をかけるとよい。
この筋疲労状態の測定方法では、速筋、中間筋及び遅筋とに分類して値を算出したが、筋疲労の定量的評価に中間筋の寄与は小さいため、中間筋が発する周波数帯域は使用せず、速筋と遅筋の周波数帯域のパワー値のみを抽出し、割合を計算してもよい。また、合計の算出には高速フーリエ変換によって求められた周波数でのパワー値を和として用いたが、それぞれの周波数帯域におけるパワースペクトラムの積分値を用いてもよい。
また、この筋疲労状態の測定方法では等尺性収縮運動について筋疲労の評価を行ったが、他の運動についても同様に定量的な評価を行うことができる。その場合、EMGの振幅に大きな揺れが生じることがあるが、常に周波数解析をせずに、振幅の大きな期間のみで周波数解析を行い、パワー値の割合変化を確認することで筋疲労を定量的に評価してもよい。
[実施形態1]
次に、図6、図7を参照して実施形態1の筋疲労表示装置の構成を説明する。なお、図6は実施形態1の筋疲労表示装置の全体図、図7は実施形態1における筋疲労表示装置のブロック図である。
筋疲労表示装置10は、活動部位の筋電位を連続的に測定する筋電位測定手段2と、筋電位測定手段2によって測定された筋電位における所定時間ごとのパワースペクトラムを算出する周波数解析手段3と、周波数解析手段3によって算出されたパワースペクトラムを所定の周波数帯域ごとに複数に分類し、分類された複数の所定の周波数帯域ごとのパワー値の和を算出する周波数帯域分類算出手段4と、割合算出手段5と、表示手段6と、を有している。
筋電位測定手段2は、運動者に取り付ける電極21と、制御部22と、を有している。電極21は粘着性のパッドに2対以上の導電性の金属(例えばAg/AgCl電極)を埋め込んで構成されており、コードによって制御部22と電気的に接続されている。制御部22は電極21によって測定される表面筋電位を取得し、周波数解析算出手段3に入力する。なお、本実施形態では電極21はコードによって制御部と電気的に接続されているが、コードで接続する必要はなく、ワイヤレス接続としてもよい。また、本実施形態では電極21は粘着性のパッドに導電性の金属が埋め込まれた構成としているが、導電性の電極が皮膚に接触していればよく、導電性の金属をテープ等で貼り付ける方式としてもよい。
周波数解析手段3は、周波数解析によって電極21から取得された筋電位のパワースペクトラムを算出する。実施形態1においては高速フーリエ変換によって周波数解析を行っているが、周波数解析ができるものであればどのようなものでもよく、自己回帰モデル(AR)、最大エントロピー法(MEM)などでもよい。
周波数帯域分類算出手段4は、周波数解析手段3によって解析されたパワースペクトラムを、所定の周波数帯域ごとに分類するものであり、実施形態1では、速筋が発する周波数である81Hz以上の周波数帯域の集合、中間筋が発する周波数である45Hzより大きく81Hz未満の周波数帯域の集合、遅筋が発する周波数である45Hz以下の周波数帯域の集合の3つの集合に分類している。
割合算出手段5は、周波数帯域分類算出手段4によって分類された周波数帯域におけるパワースペクトラムのパワーの和を算出し、総和に対するそれぞれの周波数帯域でのパワーの和の割合を算出する。
表示手段6は、筋疲労表示装置10の正面に設けられており、割合算出手段5によって算出された各周波数帯域のパワー値の割合の時間経過による変化を表示する。実施形態1においては、縦軸を百分率、横軸を時間とし、割合算出手段5によって算出された値を、周波数解析手段3によって解析した時間における終点に点としてプロットすることで表示している。点の形状や色は分類された周波数帯域によって異なり、割合の上下関係が変化したときに把握が容易となる。この他にも、直近にプロットされている点を周波数帯域ごとに線でつなぐことで周波数帯域の分類を把握するようにしてもよい。
表示手段6に表示された遅筋の周波数帯域におけるパワー値の割合と、速筋の周波数帯域におけるパワー値の割合とを比較し、遅筋の周波数帯域におけるパワー値の割合が速筋の周波数帯域におけるパワー値の割合よりも大きくなった時点を筋疲労の開始時点と判断することで、運動中の対象者の筋疲労を定量的に評価することができる。
実施形態1においては時間と百分率のグラフとして速筋及び遅筋のパワー値の割合変化を表示手段6に表示したが、遅筋のパワー値の割合から速筋のパワー値の割合を差し引いた値のみをデジタル表示したものでもよい。
表示手段6は2つ以上設けてもよく、そのうちの一つに筋電位測定手段2によって測定された筋電位を表示してもよい。筋電位を表示することで、運動中の対象者における筋電位の徐波化も計測することが可能となる。
[実施形態2]
次に、図8、図9を参照して、実施形態2の筋疲労定量的評価装置の構成を説明する。なお、図8は筋疲労定量的評価装置の全体図、図9は実施形態2における筋疲労定量的評価装置のブロック図である。また、筋疲労表示装置と同様の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
筋疲労定量的評価装置11は、活動部位の筋電位を連続的に測定する筋電位測定手段2と、筋電位測定手段2によって測定された筋電位における所定時間ごとのパワースペクトラムを算出する周波数解析手段3と、周波数解析手段3によって算出されたパワースペクトラムを所定の周波数帯域ごとに複数に分類し、分類された複数の所定の周波数帯域ごとのパワー値の和を算出する周波数帯域分類算出手段4と、周波数帯域分類算出手段4によって算出されたパワー値の割合を算出する割合算出手段5と、表示手段6と、筋疲労定量的手段7と、警告手段8と、を有している。
筋疲労定量的評価手段7は、割合算出手段5によって算出された速筋が発する周波数帯域におけるパワー値の割合Rと、遅筋が発する周波数帯域におけるパワー値の割合RLとを比較する。両者の値を比較して、遅筋が発する周波数帯域におけるパワー値の割合RLが速筋が発する周波数帯域におけるパワー値の割合Rよりも大きくなると、筋疲労であると判断する。
警告手段8は、筋疲労定量的評価手段7によって筋疲労であると判断されると音や照明の点灯などによって運動中の対象者や運動の監視者に筋疲労であることを知らせるものである。医者や看護師、理学療法士など、運動を監視している者がいない場合でも警告手段8からの警告により、筋疲労を知ることが容易となる。
なお、上記の筋疲労評価方法を用いた機器、筋疲労表示装置又は筋疲労定量的評価装置を、リハビリテーション機器やトレーニング機器に取り付けることで、リハビリテーションやトレーニングを行っているときに筋疲労を知ることができる。また、上記の筋疲労評価方法を用いた機器、筋疲労表示装置又は筋疲労定量的評価装置を組み込んだリハビリテーション機器やトレーニング機器を作製し、提供してもよい。この場合、運動中でも筋疲労の状態が分かるように、表示手段の設置位置を適切な位置とする必要がある。
[その他の運動における測定方法]
また、上記でも説明したように、本発明によれば、等尺性収縮運動以外の運動、例えば等張性収縮運動についても筋疲労の定量的な評価を行うことができる。等張性収縮運動とは、筋肉の収縮と伸長を行う運動である。以下、図10〜図11を参照して、等張性収縮運動における筋疲労の測定方法及び評価方法を説明する。なお、図10は等張性収縮運動を行う評価対象者を示す図、図11は等尺性収縮運動及び等張性収縮運動における時間経過によるそれぞれの筋繊維の使用割合の変化を示す図である。
図10に示すように評価対象者を椅子に座らせ、片腕に錘93を持ってもらい、図10Aの状態から図10Bの状態へと腕を移行させる挙上と、図10Bから図10Aの状態へと腕を移行させる下垂と、を繰り返し、負荷を上腕二頭筋に与える。なお、評価対象者が所定の速度で錘93を挙上できないと判断した際に、測定を終了するものとした。
図11は様々な運動を行ったときの評価対象者の時間経過に対する筋繊維の使用割合の変化を示す図であり、図11Aは図1に示す等尺性収縮運動を行った際の上腕二頭筋における筋繊維の使用割合の変化を示す図、図11Bは図10に示す等張性収縮運動を行った際の上腕二頭筋における筋繊維の使用割合の変化を示す図である。
図11Bを参照すると、運動開始後90秒から100秒付近で、速筋のパワー値Rと遅筋のパワー値Rとの上下関係が逆転している。すなわち、等尺性収縮運動と同様に、等張性収縮運動を行った際も、筋繊維の使用割合を確認することで、筋疲労の定量的な評価を行うことができる。
リハビリテーションやトレーニングでは等張性収縮運動が行われることが多く、等張性収縮運動による筋疲労の定量的な評価を行えることで、筋疲労を的確に判断し、効率のよいリハビリテーションやトレーニングを行える。
10 筋疲労表示装置
11 筋疲労定量的評価装置
2 筋電位測定手段
21 電極
22 制御部
3 周波数解析手段
4 周波数帯域分類算出手段
5 割合算出手段
6 表示手段
7 筋疲労定量的評価手段
8 警告手段

Claims (4)

  1. 時間に対する活動部位の筋電位の変化を測定し、
    前記筋電位の所定時間ごとのパワースペクトラムを算出し、
    前記パワースペクトラムを、遅筋が発する周波数帯である45Hz以下の周波数帯域及び速筋が発する周波数帯である81Hz以上の周波数帯域が含まれる所定の周波数帯域ごとに複数に分類し、
    前記分類された複数の前記所定の周波数帯域ごとのパワーの和を算出し、
    前記所定の周波数帯域ごとのパワーの総和に対するそれぞれの前記所定の周波数帯域ごとのパワーの和の割合を計算し、
    前記45Hz以下の周波数帯域における割合が、前記81Hz以上の周波数帯域における割合よりも大きくなった時間を、速筋による運動である乳酸性運動から、遅筋による運動である有酸素運動に切り替わる筋疲労の開始時間とする筋疲労評価方法。
  2. 活動部位の筋電位を連続的に測定する筋電位測定手段と、
    前記筋電位測定手段によって測定された前記筋電位における所定時間ごとのパワースペクトラムを算出するパワースペクトラム算出手段と、
    前記パワースペクトラム算出手段によって算出された前記パワースペクトラムを、遅筋が発する周波数帯である45Hz以下の周波数帯域及び速筋が発する周波数帯である81Hz以上の周波数帯域が含まれる所定の周波数帯域ごとに複数に分類し、分類された複数の前記所定の周波数帯域ごとのパワーの和を算出する周波数帯域分類算出手段と、
    前記周波数帯域分類算出手段によって算出された前記所定の周波数帯域ごとのパワーの総和に対するそれぞれの前記所定の周波数帯域ごとのパワーの和の割合を計算する割合算出手段と、
    前記45Hz以下の周波数帯域における割合が、前記81Hz以上の周波数帯域における割合よりも大きくなると、速筋による運動である乳酸性運動から、遅筋による運動である有酸素運動に切り替わる筋疲労であると判断する筋疲労定量的評価手段と、
    を有する筋疲労定量的評価装置。
  3. 時間に対する前記割合の変化を表示する表示手段を有することを特徴とする請求項2に記載の筋疲労定量的評価装置。
  4. 前記筋疲労定量的評価手段によって筋疲労であると判断された場合に、筋疲労であることを警告する警告手段を有することを特徴とする請求項2に記載の筋疲労定量的評価装置。
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