JP6450213B2 - 温間成形方法 - Google Patents

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Description

本発明は、内部潤滑剤の低減を図りつつ、高密度な成形体を効率的に得ることができる温間成形用粉末と温間成形方法に関する。
複雑な形状の構造部材等は、金型のキャビティへ充填した原料粉末(成形用粉末)を加圧成形した成形体を焼結させて製造されることが多い。このようにして製造される焼結部材は、切削加工の削減等により、製造コストの大幅な低減を可能とする。
ところで、焼結部材の特性や生産性は、焼結前の成形体の特性(成形体密度)やその成形性に大きく依存している。このため、金型内壁面との間でかじりや焼付き等を生じることなく、高密度な成形体を、低い抜出力で取り出せることが求められる。このような粉末成形は、通常、鉄基粉末等の原料粉末に内部潤滑剤を添加した混合粉末を加圧成形してなされる。
その内部潤滑剤が過少であると成形が困難になる一方、内部潤滑剤が過多になると成形体中(ひいては焼結体中)の気孔が増加し、成形体密度(ひいては焼結体密度)の低下を将来して好ましくない。また、内部潤滑剤の増加は、焼結後に内部潤滑剤を除去する工程(脱蝋工程)が長くなり、製造コストを増大させる要因ともなる。このような観点から、内部潤滑剤を低減しつつ、成形性や成形体密度の向上を図る提案がなされており、例えば下記の特許文献に関連した記載がある。
特開平1−219101号公報 特表2001−524605号公報 特開2009−523907号公報 特開2014−177664号公報 特開2013−194255号公報
特許文献1は、鉄粉等とステアリン酸亜鉛(融点:140℃)を溶融混合して得られた粉末冶金用粉末を提案している。もっとも、特許文献1は、室温域で、5t/cm(約490MPa)程度の低圧で成形しているにも拘わらず、抜き圧(抜出力)の低減に1質量%程度のステアリン酸亜鉛を要している。
特許文献2には、金属粉末(さらには黒鉛粉末)とポリエステルからなる固体状態の滑剤粒子を混合した金属粉末組成物を、その滑剤(ポリエステル)の融点ピーク温度(150〜160℃)よりも低い温度(100℃または125℃)に予熱し、120℃または150℃に加熱した工具(金型)中で圧縮する旨の記載がある。しかし、その滑剤は0.6質量%添加されており、未だその低減は不十分である。
特許文献3には、固化成分(成形体)中の全有機含有量(内部潤滑剤)の低減を目的として、一種の粒状内部滑剤(アクラワックス)を0.4質量%添加した冶金粉末組成物を加熱した型で固化(温間成形)する旨の記載がある。しかし、特許文献3は、内部潤滑剤の低減を図るために、予め粒子表面をリン酸金属塩で被覆した特殊な金属粉末を用いている。また、このような金属粉末を用いても、内部潤滑剤の添加量を高々0.4質量%までしか低減できていない。
特許文献4には、高級アルコールであるベヘニルアルコール(融点:70℃)と脂肪酸アミドであるステアリン酸モノアミド(融点:102℃)とを1:1(質量比)で混合した内部潤滑剤を完全溶融混合処理により粒子表面に付着させた粗鉄粉を、ベースとなる細鉄粉と混合し、その混合粉末を60℃に加熱した金型で成形することにより、内部潤滑剤の低減と成形性の向上を図る旨の記載がある。もっとも特許文献4で用いている内部潤滑剤はいずれも、成形温度よりも融点が高いものである。また特許文献4では、成形圧力を686MPaとした評価しかなされていない。
特許文献5にも、高級アルコールと脂肪酸アミドを混合した内部潤滑剤を完全溶融混合処理により粒子表面に付着させた成形用粉末に関する記載がある。もっとも特許文献5は、特定のカーボンブラック(CB)を粒子表面に付着させて成形用粉末の充填特性(流動度と見掛密度)を向上させることを意図しており、その成形用粉末を用いた成形性について全く記載していない。
本発明はこのような事情に鑑みて為されたものであり、内部潤滑剤の添加量を低減しつつ、抜出力の低減または成形体密度の向上を図れる温間成形用粉末または温間成形方法を提供することを目的とする。
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、脂肪酸アミドまたは高級アルコールから選択された、成形温度よりも融点が高い内部潤滑剤と融点が低い内部潤滑剤とを原料粉末中に混在させた成形用粉末を用いて、その成形温度で温間成形することを着想した。この温間成形を実際に行ったところ、内部潤滑剤の添加量を低減しつつ、かじりや焼付き等を生じることなく低い抜出力で、高密度な成形体が得られることが新たにわかった。この成果を発展させることにより、以降に述べる本発明を完成するに至った。
《温間成形用粉末》
(1)本発明の温間成形用粉末は、鉄基粉末を含む原料粉末と該原料粉末中に混在させた内部潤滑剤とからなり、成形型の内壁面に潤滑剤が付与されておらず、所定の成形温度に加熱された成形型内で温間成形されて成形体となる温間成形用粉末であって、前記内部潤滑剤は、脂肪酸アミドまたは高級アルコールに属する潤滑剤群から選択され、前記成形温度よりも融点が高い高融点潤滑剤と該成形温度よりも融点が低い低融点潤滑剤とを含む複合潤滑剤からなり、前記内部潤滑剤は、前記温間成形用粉末全体に対して0.1〜0.4質量%(単に「%」という。)含まれることを特徴とする。
(2)本発明の温間成形用粉末を用いれば、原料粉末に混在させる内部潤滑剤量を大幅に低減しつつも、かじりや焼付き等を生じず、低い抜出力で高圧成形を行うことができる。これにより、高密度な成形体を効率的に生産することが可能となる。また、この高密度成形体を焼結させれば、内部気孔が殆どなく、高密度で機械的特性(強度、靱性等)に優れた焼結部材(焼結体)が得られる。なお、内部潤滑剤量の低減に伴って焼結時の脱蝋工程の短縮や省略も可能となり、焼結部材の製造コストも低減され得る。
(3)本発明の温間成形用粉末により、そのような優れた効果が得られる理由は必ずしも定かではないが、現状では次のように考えられる。本発明の温間成形用粉末中に含まれる内部潤滑剤は、温間成形されるときの温度(成形温度)よりも低融点な潤滑剤と高融点な潤滑剤が、単純混合または溶融混合等により原料粉末中に混在した状態となっている。このような温間成形用粉末を所定の成形温度で温間成形すると、内部潤滑剤の一部が溶融状態となり、残部が未溶融状態となる。その溶融した潤滑剤は成形体の表面に滲み出して成形型の内壁面と成形体の外周面との境界潤滑性を向上させ得る。また未溶融な潤滑剤は、原料粉末中に残存して、粉末粒子間の流動性を高めたり、成形型の内壁面に直接付着等して、上記の境界潤滑性をさらに向上させ得る。詳細は定かではないが、そのような現象が相乗的に作用して、内部潤滑剤を低減しつつも、優れた成形性が確保されるようになったと考えられる。なお、温間成形時に低融点潤滑剤が主に溶融して成形型の内壁面に滲み出すと考えられるが、成形性が確保される限り、本発明では、低融点潤滑剤の溶融の有無、溶融する(滲み出す)潤滑剤成分、溶融する実際の温度等を問わない。
《温間成形方法等》
(1)本発明は、上述した温間成形用粉末としてのみならず、その温間成形用粉末を、成形型の内壁面に潤滑剤が付与されておらず、所定の成形温度に加熱された成形型内に充填して温間成形することにより得られる成形体またはその製造方法(温間成形方法)としても把握できる。なお、本発明の成形体は必ずしも焼結される必要はなく、そのまま成形部材(例えば圧粉磁心等)として用いられてもよい。
(2)また本発明は、脂肪酸アミドまたは高級アルコールに属する潤滑剤群から選択され、成形温度よりも融点が高い高融点潤滑剤と該成形温度よりも融点が低い低融点潤滑剤とを含む複合潤滑剤からなり、上述した温間成形用粉末の調製に用いられることを特徴とする温間成形用内部潤滑剤としても把握できる。
(3)さらに本発明は、その温間成形用粉末からなる成形体を焼結させた焼結体からなることを特徴とする鉄基焼結合金(部材)、またはその製造方法としても把握できる。
《その他》
(1)本発明に係る「温間成形」とは、室温より高い成形温度中で粉末を加圧成形することをいう。その成形温度は適宜選択されるが、例えば、50〜180℃、60〜160℃さらには70〜140℃である。本発明でいう成形温度は成形型の温度、特にそのキャビティ内壁面近傍の温度である。本発明の温間成形用粉末は、成形型へ充填される前に予熱されていてもよい。その予熱温度は、内部潤滑剤が充填前に溶融しない温度、例えば、内部潤滑剤中で融点が最も低い低融点潤滑剤の融点未満であると好ましい。
本発明に係る「融点」は、各内部潤滑剤が完全に溶融する温度である。この融点は、厳密にいうと、示差熱分析(DTA)したときの吸熱ピーク温度として特定される。但し、問題ない限り、各内部潤滑剤毎に規定されている公称値を用いる。
本発明に係る「高級アルコール」とは、炭素原子数が6以上あるアルコールの総称である。高級アルコールは、通常、分子中のヒドロキシ基(−OH)が一つである1価アルコールであるが、ヒドロキシ基が複数ある多価アルコールでもよい。また、その分子構造は、直鎖状でも分枝状でもよく、不飽和結合があってもよい。本発明に係る高級アルコールは、分子構造よりも融点が重要であると考えられる。
本発明に係る「脂肪酸アミド」は、分子中に長鎖脂肪酸基とアミド基を有するものである。脂肪酸アミドは、通常、カルボン酸アミド(R−C(=O)−NR /R:水素またはアルキル基)である。その炭素原子数は問わないが、10以上さらには16以上であると好ましい。また本発明に係る脂肪酸アミドは、飽和脂肪酸アミドでも不飽和脂肪酸アミドでもよく、高級アルコールの場合と同様に、分子構造よりも融点が重要であると考えられる。
本発明に係る「金属石鹸」は、長鎖脂肪酸の金属塩である。脂肪酸の鎖長や金属の種類は種々あるが、例えば、炭素数は8以上であり、金属はLi、Ca、Zn等である。金属石鹸の融点は問わないが、通常、100〜250℃である。このような金属石鹸は、本発明に係る高融点潤滑剤と共に溶融混合処理できるものであると好ましい。
本発明に係る「複合潤滑剤」は、少なくとも脂肪酸アミドまたは高級アルコールから選択された融点の異なる二種以上からなるが、金属石鹸、さらには別な内部潤滑剤を含んでもよい。また複合潤滑剤は、それを構成する複数種の内部潤滑剤が、固体状態のまま混合されたものでも、一種以上の内部潤滑剤を溶融させて混合(溶融混合)し、その後に固化(複合化)させたものでもよい。特に複合潤滑剤は、それを構成する全内部潤滑剤が完全に溶融した状態で原料粉末と混合(完全溶融混合)されて、原料粉末の粒子表面に付着した状態であると好ましい。これにより複合潤滑剤は、原料粉末全体に均一的に分配されると共に各粒子表面を均して滑らかにし、温間成形用粉末の充填性や成形性を向上させ得る。
(2)本発明の温間成形用粉末により内部潤滑剤の低減が可能となるが、具体的にいうと、その粉末全体を100質量%(単に「%」という。)として、内部潤滑剤の合計量(単に「内部潤滑剤量」という。)を0.4%以下、0.35%以下さらには0.3%以下とすることができる。その下限値は問わないが、内部潤滑剤が過少では安定した成形性が困難となるため、内部潤滑剤量は0.1%以上、0.15%以上、0.17%以上さらには0.2%以上とすると好ましい。
本発明の温間成形用粉末を用いれば、内部潤滑剤の低減を図りつつ高圧成形できる。成形圧力は適宜選択されるが、750MPa以上、950MPa以上さらには1150MPa以上でも、かじり等を生じることなく安定した温間成形が可能である。温間成形後に成形体を成形型から取り出すときに必要な抜出力(抜き圧)は、高圧成形した場合でも、30MPa以下、25MPa以下、20MPa以下さらには17MPa以下とすることができる。
また、本発明の温間成形用粉末を用いて得られる成形体は、成形圧力や粉末組成等にも依るが、7.4g/cm以上(例えば成形圧力を784MPaとしたとき)さらには7.6g/cm以上(例えば成形圧力を980MPaとしたとき)という高密度となり得る。
本明細書でいう「成形性」には、温間成形したときの耐かじり性、耐焼付き性、抜出性等の他、適宜、粉末を成形型のキャビティへ充填するときの充填特性(流動度、見掛密度等)も含めて考えてもよい。
本明細書でいう細粉と粗粉は、内部潤滑剤を付着させた粉末についても、ベースとなる鉄基粉末の粒度に基いて判断する。なお、粒度、内部潤滑剤の濃度等を特定する必要があるときは、対象粉末から無作為に抽出した100gの試料粉末について調査、分析して求める。なお、粉末の粒度は、特に断らない限り、篩い分け(JIS Z 8801)により特定する。この粒度は「−aμm」または「+bμm」のように表示され、「−aμm」は粒子または粉末が公称目開きaμmの篩を通過したことを意味し、「+bμm」は粒子または粉末が公称目開きbμmの篩を通過しなかったことを意味する。
(3)特に断らない限り本明細書でいう「x〜y」は下限値xおよび上限値yを含む。本明細書に記載した種々の数値または数値範囲に含まれる任意の数値を新たな下限値または上限値として「a〜b」のような範囲を新設し得る。
単独の各内部潤滑剤に係る示差熱分析線図である。 単独の各内部潤滑剤に係る熱重量測定線図である。 単独の内部潤滑剤が付着している成形用粉末を用いて温間成形したときの成形圧力と抜出力の関係を示すグラフである。 そのときの成形圧力と成形体密度の関係を示すグラフである。 複合潤滑剤に係る示差熱分析線図である。 複合潤滑剤に係る熱重量測定線図である。 複合潤滑剤が付着している温間成形用粉末を用いたときの成形圧力と抜出力の関係を示すグラフである。 そのときの成形圧力と成形体密度の関係を示すグラフである。 別な複合潤滑剤が付着している温間成形用粉末を用いたときの成形圧力と抜出力の関係を示すグラフである。 そのときの成形圧力と成形体密度の関係を示すグラフである。 さらに別な複合潤滑剤が付着している温間成形用粉末を用いたときの成形圧力と抜出力の関係を示すグラフである。 そのときの成形圧力と成形体密度の関係を示すグラフである。 黒鉛量が異なる温間成形用粉末を用いたときの成形圧力と抜出力の関係を示すグラフである。 そのときの成形圧力と成形体密度の関係を示すグラフである。 マスタールーブ法で調製した温間成形用粉末を用いたときの成形圧力と抜出力の関係を示すグラフである。 そのときの成形圧力と成形体密度の関係を示すグラフである。 粒度調整した温間成形用粉末を用いたときの成形圧力と抜出力の関係を示すグラフである。 そのときの成形圧力と成形体密度の関係を示すグラフである。 混合形態の異なる温間成形用粉末を用いたときの潤滑剤量と抜出力の関係を示すグラフである。 粒度が異なる温間成形用粉末を用いたときの成形圧力と抜出力の関係を示すグラフである。 CBの有無が異なる温間成形用粉末を用いたときの成形圧力と抜出力の関係を示すグラフである。 温間成形用粉末(S10:20%)を130℃で温間成形したときの成形圧力と抜出力の関係を示すグラフである。 そのときの成形圧力と成形体密度の関係を示すグラフである。 S10とH50TFからなる複合潤滑剤に係る示差熱分析線図である。 その複合潤滑剤に係る熱重量測定線図である。 複合潤滑剤中のS10の割合を変えた温間成形用粉末を用いたときの成形圧力と抜出力の関係を示すグラフである。 そのときの成形圧力と成形体密度の関係を示すグラフである。 温間成形用粉末に付着している複合潤滑剤中のS10量(質量割合)と抜出力の関係を示すグラフである。 複合潤滑剤(ベース潤滑剤:H50TF−20%S10)が付着している温間成形用粉末(黒鉛を含まない)を用いたときの成形圧力と抜出力の関係を示すグラフである。 そのときの成形圧力と成形体密度の関係を示すグラフである。 複合潤滑剤(ベース潤滑剤:H50TF−20%S10)が付着している温間成形用粉末(黒鉛を含む)を用いたときの成形圧力と抜出力の関係を示すグラフである。 そのときの成形圧力と成形体密度の関係を示すグラフである。 金属石鹸の付着形態が異なる温間成形用粉末を用いたときの成形圧力と抜出力の関係を示すグラフである。 混合形態の異なる温間成形用粉末を用いたときの成形圧力と抜出力の関係を示すグラフである。 金属石鹸を非溶融混合して添加した温間成形用粉末を用いたときの成形圧力と抜出力の関係を示すグラフである。 そのときの成形圧力と成形体密度の関係を示すグラフである。 LiSt量の異なる温間成形用粉末を用いたときの成形圧力と抜出力の関係を示すグラフである。 そのときの成形圧力と成形体密度の関係を示すグラフである。 LiStを溶融混合により添加した温間成形用粉末を用いたときの成形圧力と抜出力の関係を示すグラフである。 そのときの成形圧力と成形体密度の関係を示すグラフである。 CaStを溶融混合により添加した温間成形用粉末を用いたときの成形圧力と抜出力の関係を示すグラフである。 そのときの成形圧力と成形体密度の関係を示すグラフである。 粗粉に付着させた金属石鹸(CaSt)濃度と抜出力の関係を示すグラフである。
上述した本発明の構成要素に、本明細書中から任意に選択した一つまたは二つ以上の構成要素を付加し得る。本明細書で説明する内容は、本発明の温間成形用粉末のみならず、温間成形方法、温間成形用内部潤滑剤、鉄基焼結合金またはその製造方法等にも適宜該当し、また方法的な構成要素であっても物に関する構成要素ともなり得る。いずれの実施形態が最良であるか否かは、対象、要求性能等によって異なる。
《原料粉末》
(1)鉄基粉末
鉄基粉末は純鉄粉でも鉄合金粉でもよい。また鉄基粉末は、単種の粉末からなってもよいが、組成、製法、粒形分布等の異なる二種以上の素粉末を組み合わせたものでもよい。例えば、鉄基粉末は、鉄合金または非鉄合金からなる合金粉末と純鉄粉末の混合粉末でもよいし、製法または粒子形状(粒形)の異なる二種以上のアトマイズ粉末(例えば水アトマイズ粉末とガスアトマイズ粉末)の混合粉末でもよい。
鉄基粉末は、その取扱性や入手性、成形体や焼結体の特性確保等の観点から、粒度が212μm以下(−212μm)、さらには、150μm以下(−150μm)であると好ましい。
(2)強化粉末・改質粉末
原料粉末は、焼結体の特性(例えば、強度、伸び、靱性、焼結性、寸法安定性、切削性等)を強化または改質する元素を含むと好ましい。このような元素として、例えば、C、Cu、Ni、Cr、Mn、Si、V、Mo、P、S、W、Nb、Ti等がある。これらの元素は、上記の鉄基粉末に含まれてもよいが、別粉末(強化粉末または改質粉末)として原料粉末中に混在させると組成調整が容易となる。このような粉末として、黒鉛(Gr)粉末、Cu粉末、Cu合金粉末、Fe−Mn−Si系合金粉末、Fe−P粉末、Mn−S粉、各種炭化物粉末、各種ホウ化物粉末等がある。例えば、黒鉛粉末は、温間成形用粉末全体に対して0.1〜1%さらには0.15〜0.9%含まれると好ましい。
(3)カーボンブラック
本発明の温間成形用粉末は、グラファイト(Gr)とは別に、少量のカーボンブラック(CB)が添加されたものであってもよい。CBが粒子表面に付着していると、温間成形用粉末の流動度(FR)や充填後の見掛密度(AD)等が改善され得る。CBは必須ではなく、所望の粉末特性(FR、AD度)が得られない場合に添加されるとよい。CBは、温間成形用粉末全体に対して0.005〜0.05%さらには0.01〜0.04%含まれると好ましい。
CBは、粒径が40nm以下、表面積が90m/g以下であると好ましい。粒径が過大では、偏在し易くなり、構成粒子の被覆率が小さくなる。比表面積が過大では、凝集が激しく、均一分散し難いため好ましくない。なお、通常、CBの粒径は10nm以上、その比表面積は50m/g以上である。CBの粒径は透過型電子顕微鏡(TEM)により観察され、CBの比表面積はBET法により求まる。
《内部潤滑剤》
(1)本発明に係る内部潤滑剤は、少なくとも、脂肪酸アミドまたは高級アルコールに属する潤滑剤群から選択された、高融点潤滑剤と低融点潤滑剤を含む。なお、本明細書でいう融点の高低は、特定の温度範囲を意味するものではなく、基準温度(成形温度)に対する相対的な概念である。従って、同一の内部潤滑剤でも、ある成形温度では低融点潤滑剤となり、別の成形温度では高融点潤滑剤となり得る。
本発明に係る脂肪酸アミドは、例えば、オレイン酸(モノ)アミド、エルカ酸(モノ)アミド、ステアリン酸(モノ)アミド、エチレンビス・オレイン酸アミド、エチレンビス・ステアリン酸アミド、エチレンビス・エルカ酸アミド等の一種以上である。本発明に係る高級アルコールは、例えば、ベヘニルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、リグノセリルアルコール等の一種以上である。
本発明に係る金属石鹸は、例えば、ステアリン酸リチウム(LiSt)、ステアリン酸カルシウム(CaSt)、ステアリン酸マグネシウム(MgSt)、ステアリン酸亜鉛(ZnSt)等の一種以上である。金属石鹸は必須ではないが、金属石鹸を含有することにより、高圧成形した場合や原料粉末中に黒鉛粉末が含まれない場合等でも、抜出力の低減を図り得る。このような金属石鹸は、温間成形用粉末中の内部潤滑剤全量に対して3〜35%さらには10〜25%含まれると好ましい。金属石鹸が過少ではその効果が乏しく、金属石鹸が過多では脂肪酸アミドまたは高級アルコールが相対的に過少となり好ましくない。
(2)内部潤滑剤(少なくとも高融点潤滑剤と低融点潤滑剤)は、完全溶融混合されて原料粉末の粒子表面に付着していると好適である。また、鉄基粉末は粒度により分級された粗粉と細粉とからなり、内部潤滑剤は、粗粉に細粉よりも高濃度に付着していると好ましい。このような内部潤滑剤も完全溶融混合処理されて付着しているとよい。
潤滑剤濃度の大きい粗粉粒子は、その表面に付着している潤滑剤量も大きい。このような粒子の存在は、いわば、粗粒状(塊状)の内部潤滑剤が粉末中に存在している状態に近い。この粗粉粒子が成形時に圧縮されると、表面にある粗大な内部潤滑剤が原料粉末の粒子間(隙間)に充填されるに留まらず、粒間を通じて周囲に流動または流出し易くなる(換言するなら、染み出し易くなる)。そして、このような状況が成形型の内壁面近傍でも生じる結果、内部潤滑剤量が少なくても良好な成形性が得られるようになると考えられる。
細粉にも内部潤滑剤が完全溶融混合等により付着されていてもよい。この際、粗粉に付着している第1潤滑剤濃度(L1)に対する細粉に付着している第2潤滑剤濃度(L2)の比である潤滑剤濃度比(Lr=L2/L1)は、0.05〜0.35さらには0.1〜0.25とするとよい。また第一潤滑剤濃度は、0.3〜3%さらには0.4〜1%であると好ましい。第二潤滑剤濃度は零でも良いが、0.01〜0.2%さらには0.03〜0.15%とするとよい。さらに、内部潤滑剤が付着している粗粉は、温間成形用粉末全体に対して5〜50%さらには15〜40%とするとよい。なお、鉄基粉末は、粗粉と細粉の2段階のみならず、3段階以上に分級されたものでもよい。
(3)内部潤滑剤の選択および配合は、原料粉末(配合、粒度等)や成形条件(成形圧力、成形温度等)などの種々の要素を考慮してなされるが、特に成形温度に基づいてなされると好ましい。
例えば、成形温度が70〜100℃であるとき、低融点潤滑剤はその成形温度よりも融点の低い高級アルコールを一種以上からなり、高融点潤滑剤はその成形温度よりも融点の高い脂肪酸アミドを一種以上含むからなると好適である。この際、複合潤滑剤は、低融点潤滑剤と高融点潤滑剤の合計量に対して低融点潤滑剤を10〜50%さらには15〜35%含むと好ましい。
また成形温度が100〜150℃であるとき、低融点潤滑剤は成形温度よりも融点の低い脂肪酸アミドを一種以上からなり、高融点潤滑剤は成形温度よりも融点の高い脂肪酸アミドを一種以上からなると好適である。この際、複合潤滑剤は、低融点潤滑剤と高融点潤滑剤の合計量に対して低融点潤滑剤を10〜90%さらには35〜85%含むと好ましい。
《温間成形》
本発明に係る温間成形は、成形温度、成形圧力等を適宜選択してなされるが、例えば、成形温度が50〜180℃であり、成形圧力が350〜1250MPaであると好ましい。なお、本発明の温間成形用粉末を用いれば、成形圧力を1000MPa以下さらには850MPa以下に抑制しつつも、ほぼ真密度に近い高密度な成形体を得ることも可能となる
《焼結》
成形体の焼結は、例えば、窒素雰囲気等の酸化防止雰囲気中で、1050〜1250℃、1〜120分間、炉内加熱や高周波加熱されて行われる。焼結体は、さらに、焼鈍、焼準、時効、調質(焼き入れ、焼き戻し)、浸炭、窒化等の熱処理が施されてもよい。
《用途》
本発明に係る成形体や焼結体は、その形態や用途を問わない。焼結体は、例えば、各種プーリー、変速機のシンクロハブ、エンジンのコンロッド、ハブスリーブ、スプロケット、リングギヤ、パーキングギヤ、ピニオンギヤ等に用いられる。その他、サンギヤ、ドライブギヤ、ドリブンギヤ、リダクションギヤ等に用いられてもよい。
種々の内部潤滑剤を粒子表面に付着させた温間成形用粉末(試料)を調製し、それらを温間成形した。その際、各試料毎に、粉末特性(流動性、見掛密度)、成形性(抜き圧、かじりの発生の有無、成形体密度)を測定または観察して、各内部潤滑剤(複合潤滑剤)または各温間成形用粉末を評価した。これらの具体例を挙げつつ、本発明を以下にさらに詳しく説明する。
[第1実施例]
《温間成形用粉末の調製》
(1)原料
先ず原料粉末として、鉄基粉末である純鉄粉(ヘガネスAB社製ASC100.29/粒度:−212μm)と、強化粉末である天然黒鉛粉末(Gr)(日本黒鉛工業株式会社製J−CPB/平均粒径:5μm)を用意した。なお、鉄基粉末はいずれも水アトマイズ粉末である。
一部の試料用に、上記の鉄基粉末を篩い分けして、粒度:+106μmの粗粉と、粒度:−106μmの細粉とを用意した。また、別な試料用に、上記の鉄基粉末を篩い分けして、粒度:−150μmとした粒度調整粉も用意した。
次に、表1に示す9種類の内部潤滑剤を用意した。但し、第1実施例では表1に示したI〜VIの6種類の内部潤滑剤を用いた。なお、表1には、各内部潤滑剤の融点、属称等も併せて記載した。表1に示した融点は、図1Aに示すDTA線図に基づいて特定したものである。さらにカーボンブラック(CB)粉末(東海カーボン株式会社製トーカブラック#7350F、比表面積:80m/g、平均粒径:28nm)も用意した。
(2)完全溶融混合法(単に「溶融混合法」ともいう。)
表2に示す各組成に配合した原料粉末と内部潤滑剤の混合物をビーカーに入れて、155℃ (第1温度) に設定した乾燥器中で約30分間加熱した。その後、その乾燥機から素早く取り出したビーカーの内容物をガラス棒で約5分間撹拌して混合した。ちなみに、乾燥機から取り出したとき、各内部潤滑剤は完全に溶融した状態となっていた。この完全溶融混合後の混合物を室温(第2温度)まで撹拌しながら冷却し、内部潤滑剤の固化した混合粉末(温間成形用粉末)を得た。なお、表2に示した配合組成は、混合物全体に対する質量割合(質量%)である。また本明細書でいう組成または添加量は、特に断らない限り質量割合であり、単に「%」で表す。
(3)マスタールーブ法(単に「ML法」ともいう。)
一部の試料は、完全溶融混合により内部潤滑剤を高濃度に付着させた粗粉と、完全溶融混合により内部潤滑剤を低濃度に付着させた細粉とを混合することにより混合粉末(温間成形用粉末)を調製した。粗粉および細粉に付着させる内部潤滑剤の濃度はそれぞれ異なるが、その内部潤滑剤(複合潤滑剤)の配合比率はいずれもKal:S10:P10=1:3:1とした。細粉に付着させた内部潤滑剤の濃度は、その付着後の細粉全体に対して0.1%とした。また粗粉に付着させた内部潤滑剤の濃度は、その付着後の粗粉全体に対して0.7%、0.5%または0.3%とした。内部潤滑剤の濃度が異なる粗粉を選択して用いることにより、混合粉末全体の内部潤滑剤量を調整した。内部潤滑剤の付着した粗粉と細粉は、質量割合で、それぞれ25%と75%で混合した。ちなみに、ML法については、特開2014−177664号公報に詳細が記載されている。
(4)CBの添加
内部潤滑剤を付着させた混合粉末の一部には、CB:0.03%をさらに加えて混合した。この混合は、ボールミル式回転混合機を用いて室温域で行った。なお、CBの添加量は、その添加後の混合粉末全体を100質量%としたときの質量割合である。
《温間成形》
秤量した30gの各混合粉末(温間成形用粉末)を金型(成形型)のキャビティへ充填し、所定の成形温度と成形圧力で温間成形した。混合粉末には、基本的にCBを添加していないものを用いたが、その流動性が劣る場合はCBを添加したものを用いた。成形温度は、基本的に60℃、80℃または130℃としたが、一部の試料については、110℃と120℃でも成形を行った。成形圧力は、392〜1176MPaのいずれかとした。金型は、φ23mmの円筒状キャビティを有する超硬合金製とし、内壁面の表面粗さはRa(JIS)で0.1μmとした。
《測定・観察》
JIS Z 2502、2504に準拠して、溶融混合した各混合粉末(CBの添加前とCBの添加後)の流動度(FR)および見掛密度(AD)を測定した。その結果を表2に併せて示した。なお、測定不可なときは「NF」、未測定のときは「−」または空欄とした。この点は以下同様である。
また、温間成形した成形体を金型のキャビティから抜き出す際に必要となる荷重(抜出力)も圧縮成形機の荷重計により測定した。さらに、その成形体の成形体密度(G.D.)を、実測した質量と寸法に基づいて算出した。こうして各試料粉末毎に、種々の成形圧力で温間成形したときに得られた抜出力と成形体密度を後述する各図に示した。
《評価》
(1)内部潤滑剤
先ず、表1に示した6種の内部潤滑剤(I〜VI)について、示差熱分析(DTA)と熱重量測定(TG)を行った。それぞれの結果を図1Aと図1Bに示した。図1Aからわかるように、各内部潤滑剤の融点は表1に示す通りであった。但し、一部の脂肪酸アミド(AD281PとH50TF)は、表1に示した融点よりも低温側に、別なピークが観られた。また図1Bから、いずれの内部潤滑剤も少なくとも180℃ぐらいまでは変質せずに安定でしていることが確認された。
(2)試料1〜6
試料1〜6は、原料粉末(鉄基粉末と黒鉛粉末)に、表1にそれぞれ示す内部潤滑剤をそれぞれ単独で加えて調製した成形用粉末である。溶融混合後のままでは粉末特性が劣る場合でも、極少量のCBを加えることにより、流動度(FR)および見掛密度(AD)が大幅に改善されることがわかる。この点は、後述する他の試料についても同様である。
各粉末を温間成形したときの成形圧力と、抜出力または成形体密度との関係をそれぞれ図2Aと図2Bに示した。なお、融点が比較的低い内部潤滑剤を用いた試料1〜3の成形温度は60℃、融点が比較的高い内部潤滑剤を用いた試料4〜6の成形温度は80℃とした。なお、各図中において、プロットが途切れている試料は、それらの最高成形圧力でかじりが生じたものである。このような試料については、それ以上の評価を行わなかった。この点は、以下に示す試料や図についても同様である。
試料1の粉末を用いた場合、抜出力は低いが、抜出し時にギシギシ音が発生し、784MPa成形で小さなかじり傷が発生した。試料2の粉末を用いた場合、抜出力は相応に高くなったが、単独の内部潤滑剤を加えた粉末を用いた中では唯一、かじりが生じずに1176MPaまで成形できた。試料3、5および6の粉末を用いた場合、抜出力が著しく高くなり、600MPa以下の成形圧力でかじりが発生した。試料4の粉末を用いた場合も800MPa以下の成形圧力でかじりが発生した。なお、成形体密度は、いずれの潤滑剤も用いた場合も、ほぼ同様に成形圧力に応じて高くなった。
(3)試料7〜15
試料7〜15は、原料粉末に複数種の内部潤滑剤を溶融混合法により調製した温間成形用粉末である。
先ず、内部潤滑剤だけからなる3種の複合潤滑剤を溶融混合法(溶融温度:155℃)により調製した。具体的にいうと、質量比で、Kal:S10=1:1、Kal:S10:AD281P=1:3:1またはKal:S10:P10=1:3:1に配合した複合潤滑剤を調製した。これらについて行った示差熱分析と熱重量測定の結果を、それぞれ図3Aと図3Bにまとめて示した。図3Aから、いずれの複合潤滑剤も、80℃より低温側で吸熱ピ−クを示して、一部が溶融することが分かる。また図3Bから、いずれの複合潤滑剤も、少なくとも180℃ぐらいまでは変質せずに安定であることがわかる。
試料7〜9は、ベヘニルアルコ−ル(Kal)とステアリン酸モノアミド(S10)と残りの脂肪酸アミド(「FA」という。)からなる複合潤滑剤を原料粉末に付着させた温間成形用粉末である。この際、Kal:S10:FA=1:3:1として、FAを種々変更した。各粉末を温間成形したときの成形圧力と、抜出力または成形体密度との関係をそれぞれ図4Aと図4Bに示した。
図4Aから明らかなように、単独の内部潤滑剤を原料粉末に付着させた場合と異なり、上記のように配合した複合潤滑剤を原料粉末に付着させた場合はいずれも、成形圧力を1176MPaとしてもかじりを生じることがなかった。また、その成形圧力を686MPaのときの抜出力は15MPa以下まで低下した。さらに図4Bから明らかなように、686MPaで成形した成形体は、ほぼ7.4g/cmという高密度になった。
試料10〜12は、2種類のFA(FA1とFA2)とS10をFA1:S10:FA2=1:3:1で配合した複合潤滑剤を、原料粉末に付着させた温間成形用粉末である。各粉末を温間成形したときの成形圧力と、抜出力または成形体密度との関係をそれぞれ図5Aと図5Bに示した。図5Aから明らかなように、いずれの場合も、成形圧力を1176MPaとしてもかじりを生じることがなかった。但し、成形圧力を686MPaとしたときの抜出力は15MPa超となり、試料7〜9のように高級アルコール(Kal)を配合した複合潤滑剤を用いた場合よりも高くなった。なお、図5Bから明らかなように、成形体密度は試料7〜9の場合と同様に高密度となった。
試料13、14は、S10量を減らし、その分を他のFAで置換した複合潤滑剤を原料粉末に付着させた温間成形用粉末である。各粉末を温間成形したときの成形圧力と、抜出力または成形体密度との関係をそれぞれ図6Aと図6Bに示した。図6Aから明らかなように、いずれの場合も、成形圧力を1176MPaとしてもかじりを生じることがなかった。また、成形圧力が784MPaまでは抜出力も十分に小さかった。但し、成形圧力がさらに高くなると、試料9と比較するとわかるように、抜出力が少し増加する傾向となった。また図6Bから明らかなように、成形圧力が高くなると、試料9の場合よりも成形体密度が僅かに低下する傾向となった。
以上を踏まえて、抜出力と成形体密度の観点から、KalとS10の配合比は1:3(低融点潤滑剤:20〜40%)程度が好ましいといえる.
試料15は、試料9の黒鉛量を0.6%から0.8%に変更した温間成形用粉末である。試料9、15の各粉末を温間成形したときの成形圧力と、抜出力または成形体密度との関係をそれぞれ図7Aと図7Bに示した。図7Aから明らかなように、黒鉛量の増加により抜出力はさらに低下することがわかる。黒鉛量の増加により、黒鉛自体の潤滑効果や黒鉛による鉄粉粒子と金型壁面との直接接触の抑止効果等が向上したためと推察される。
多くの構造用焼結部品の黒鉛量は0.8%であり、潤滑剤量:0.25%、成形圧力:784MPa、成形温度:80℃とした温間成形で、抜出力を15MPa以下に低減しつつ、7.4g/cm以上という高密度な成形体が得られる意義は非常に大きい。なお、図7Bで試料15の成形体密度が低下しているのは、黒鉛の増加によって鉄粉が相対的に減少しているためである。
(4)試料16〜18
試料16〜18は、上述したML法により調製した温間成形用粉末である。各粉末を温間成形したときの成形圧力と、抜出力または成形体密度との関係をそれぞれ図8Aと図8Bに示した。図8Aから明らかなように、内部潤滑剤の合計量(適宜、単に「潤滑剤量」という。)が多いほど抜出力が低くなる傾向となった。但し、潤滑剤の合計量が少ない場合でも、さらにいえば成形圧力が1176MPaと高い場合でも、抜出力はほぼ15MPa以下であり、試料16〜18を用いることにより、非常に優れた成形性が得られることがわかった。また図8Bから明らかなように、成形圧力を980MPa以上としたとき、潤滑剤量が少ないほど成形体密度が大きくなる傾向が観られたが、その相違は僅かであった。
(5)試料19〜24
試料19〜24は、粒度調整した鉄基粉末(150μm)を用いて、ML法ではない通常の完全溶融混合により調製した温間成形用粉末である。先ず、試料19〜23に係る各粉末を温間成形したときの成形圧力と、抜出力または成形体密度との関係をそれぞれ図9Aと図9Bに示した。なお、各試料に係る潤滑剤量は0.15〜0.4%の範囲で調整したが、いずれの試料も複合潤滑剤の配合比はKal:S10:P10=1:3:1とした。
図9Aから明らかなように、少なくとも潤滑剤量が0.2%以上あると、高圧成形したときもかじりを生じることなく抜出力を20MPa以下に抑制できることがわかる。特に潤滑剤量を0.25%以上とすると、1176MPaで成形したときも抜出力を15MPa以下とできる。また図9Bから明らかなように、潤滑剤量が0.3%以下であれば、成形圧力が784MPa以上のとき、成形体密度は7.4g/cm以上となることもわかった。
試料16〜18(ML法)と試料19〜23(溶融混合法)に係る温間成形用粉末をそれぞれ用いて、成形温度:80℃、成形圧力:784MPaで成形したときの潤滑剤量と抜出力の関係を図10に示した。これから明らかなように、単純な溶融混合法を用いるよりもML法を用いて温間成形用粉末を調製することにより、潤滑剤量の低減と抜出力の低減を高次元で両立できることがわかる。
潤滑剤量(0.25%)が同じ試料15(粒度:−212μm)と試料21(粒度:−150μm)の温間成形用粉末をそれぞれ用いて成形したときの成形圧力と抜出力の関係を図11に示した。これから明らかなように、溶融混合法を用いて温間成形用粉末を調製した場合、鉄基粉末の粒度は抜出力にあまり影響しないこともわかった。
試料20とそれに対してCBを含まない試料24の温間成形用粉末をそれぞれ用いて成形したときの成形圧力と抜出力の関係を図12に示した。これから明らかなように、CBの有無も抜出力に殆ど影響しないことがわかった。
(6)試料25〜32
試料25〜32は、成形温度を130℃として、溶融混合により調製した温間成形用粉末である。これら試料も他の試料と同様に調製したが、比較的融点が高い(100℃以上)内部潤滑剤(表1に示すIV〜VI)を用いたため、溶融混合温度は160℃とした。
複合潤滑剤中のS10量を20%とした試料27(S10:H50TF=1:4)と試料32(S10:AD281P:H50TF=1:1:3)とに係る温間成形用粉末を温間成形したときの成形圧力と、抜出力または成形体密度との関係をそれぞれ図13Aと図13Bに示した。これらの場合、1176MPaで成形してもかじりを生じず、抜出力は20MPa以下、成形体密度は7.4g/cm以上で、成形性に優れることがわかった。
そこで、先ず、S10の配合割合を0〜80%で変化させた各複合潤滑剤(残部:H50TF)について、示差熱分析と熱重量測定を行った。これにより得られたDTA線図とTG線図をそれぞれ図14Aと図14Bに示した。図14Aから、S10量が増加するほど複合潤滑剤の融点は低下し、S10が30%のときの融点は約130℃、S10が50%のときの融点は約125℃となることがわかった。また図14Bから、いずれの複合潤滑剤も少なくとも200℃ぐらいまでは安定していることもわかった。
次に、S10とH50TFの配合割合を変化させた複合潤滑剤が付着した各粉末を温間成形したときの成形圧力と、抜出力または成形体密度との関係をそれぞれ図15Aと図15Bに示した。図15Aから明らかなように、複合潤滑剤中にS10が含まれる場合(低融点潤滑剤:10〜90%)はいずれも、1176MPaで成形してもかじりを生じず、抜出力は20MPa以下となった。図15Bから明らかなように、S10量は成形体密度には殆ど影響しないが、成形圧力が784MPa以上で、成形体密度が7.4g/cm以上になることもわかった。
ちなみに、試料27(S10:20%)の温間成形用粉末を用いて130℃で成形したとき、成形圧力が1176MPaのときでも、成形体の表面に潤滑剤の染み出しは観られなかった。しかし、試料28(S10:30%)の温間成形用粉末を用いたときは成形圧力が980MPaのときに、試料30(S10:50%)の温間成形用粉末を用いたときは成形圧力が686MPaのときに、それぞれ成形体の表面に潤滑剤の染み出しが観られた。
S10とH50TFの配合割合を変化させた複合潤滑剤が付着した各粉末を用いて、成形温度を130℃から120℃または110℃に変更して、686MPaで温間成形した。複合潤滑剤中のS10量(質量%)と抜出力の関係を図16に示した。図16から明らかなように、複合潤滑剤中にS10(低融点潤滑剤)が40〜80%含まれている場合、成形温度の影響は殆どなく、いずれの抜出力も15MPa以下となった。ちなみに、成形温度が110℃以下のとき、いずれの場合も成形体の表面に潤滑剤の染み出しは観られなかった。また成形温度が130℃でも、複合潤滑剤中のS10が50%までなら、成形体の表面に潤滑剤の染み出しは観られなかった。
[第2実施例]
《概要》
溶製材に匹敵する高強度の焼結材を低コスト(一成形一焼結)で得るためには、潤滑剤量を低減しつつ高圧成形を行い、高密度成形体を得る必要がある。さらに、浸炭焼入れ等の熱処理を考慮すると、混合粉末中の黒鉛量を低減することも要求され得る。しかし、潤滑剤量や黒鉛量の低減は、金型内壁面と粉末粒子間の潤滑条件を極めて厳しくする。このような状況下でも、本発明の温間成形用粉末を用いれば、高密度成形を安定して行えることを以下に示す。
《温間成形用粉末の調製》
鉄基粉末には、低合金鋼粉(Fe−1.5%Mo/ヘガネスAB社製AstaloyMo)を粒度:−212μmに分級したものを用いた。黒鉛粉末およびCBは既述したものを用いた。内部潤滑剤は、表1に示したS10とH50TFを、S10:H50TF=1:4(低融点潤滑剤:20%)の質量割合で配合して用いた。一部の試料では、さらに、表1に示した金属石鹸(CaStまたはLiSt)を添加した。いずれの試料も潤滑剤の合計量(Lub)は0.25%とした。
これらの原料を用いて、既述した溶融混合法により、表3に示す温間成形用粉末(試料HD1〜6)をそれぞれ調製した。なお、表3に示したHD7は、鉄基粉末、黒鉛粉末、S10およびH50TFを160℃で完全溶融混合して得られた粉末に、金属石鹸(CaSt)を添加して、室温域でボールミル式回転混合機により混合したものである。
《温間成形》
各温間成形用粉末を用いて、第1実施例の場合と同様にして、130℃で温間成形を行った。但し、成形圧力は588〜1372MPaとした。比較のため、内部潤滑剤を含まない原料粉末を用いて、金型潤滑温間加圧成形法(詳細は特許3309970号公報等を参照)でも温間成形した。この方法に用いた、黒鉛粉末を含まない粉末を試料DWL、黒鉛粉末を含む粉末を試料DWL−Gとした。
《測定・観察》
各温間成形用粉末のFRおよびADを第1実施例の場合と同様に測定し、その結果を表3に併せて示した。また、各温間成形用粉末を用いて成形したときの抜出力および成形体密度も第1実施例の場合と同様に測定した。こうして各試料粉末毎に、種々の成形圧力で温間成形したときに得られた抜出力または成形体密度を後述する各図に示した。
《評価》
(1)試料HD1〜3
試料HD1〜3は黒鉛粉末を含まない温間成形用粉末である。各粉末を130℃で温間成形したときの成形圧力と、抜出力または成形体密度との関係をそれぞれ図17Aと図17Bに示した。図17Aから明らかなように、成形圧力が増加すると抜出力も増加するが、CaStを20%含むと、高圧成形したときの抜出力が抑制された。図17Bから明らかなように、複合潤滑剤の組成は成形体密度に殆ど影響せず、成形圧力を980MPaとすると成形体密度が7.6g/cm 以上となり、成形圧力を1372MPaとすると成形体密度が7.7g/cm 以上となることがわかった。
(2)試料HD4〜6
試料HD4〜6は黒鉛粉末を含む温間成形用粉末である。各粉末を130℃で温間成形したときの成形圧力と、抜出力または成形体密度との関係をそれぞれ図18Aと図18Bに示した。図18Aから明らかなように、黒鉛粉末を含む場合、抜出力は成形圧力と共に増加するが、高圧成形したときでも25MPa以下となった。さらに、複合潤滑剤がCaStを含むとき、高圧成形しても抜出力はほぼ横ばいとなった。図18Bから明らかなように、複合潤滑剤の組成は成形体密度に殆ど影響しなかったが、黒鉛粉末を含むため、試料HD1〜3の場合よりも成形体密度は少し低くなった。
(3)試料HD7
試料HD7は、金属石鹸(CaSt)を室温で混合して付着させた温間成形用粉末である。その付着形態の影響を確認するため、試料HD5と試料HD7の各粉末を130℃で温間成形したときの成形圧力と抜出力の関係を図19に示した。図19から明らかなように、金属石鹸を溶融混合しても室温域で単純混合しても、抜出力への影響は殆どないことがわかった。
[第3実施例]
《温間成形用粉末の調製》
第2実施例で用いた鉄基粉末(粒度:−212μm)をさらに篩い分けて、粒度:+106μmの粗粉と、粒度:−106μmの細粉を用意した。粗粉と細粉にそれぞれ、ML法によって複合潤滑剤を付着させた。複合潤滑剤は、第2実施例の場合と同様に、S10:H50TF=1:4の質量割合で配合したものをベースとした。ベース潤滑剤(H50TF−20%S10)の濃度は、粗粉:0.1〜0.5%、細粉:0.1%とした。表1に示した金属石鹸(CaSt、LiSt、Kenolub)は、粗粉にのみ添加した。粗粉に付着しているベース潤滑剤と金属石鹸の合計濃度は、いずれも0.6%とした。粗粉と細粉の混合比は、複合潤滑剤を付着させた後の質量割合で、それぞれ30%と70%とした。従って、いずれの試料も、粉末全体としての潤滑剤(ベース潤滑剤+金属石鹸)の合計量は0.25%とした。
こうして表4に示す各粗粉と、上述した細粉と、黒鉛粉末(0.2%)を混合して各温間成形用粉末を得た。なお、試料HD9〜13の粗粉は、金属石鹸が溶融しない温度(120℃)で添加・混合されたものであり、試料HD14〜21の粗粉は、金属石鹸がベース潤滑剤と共に溶融混合(160℃)されたものである。
《温間成形/測定・観察》
各温間成形用粉末を用いて、第2実施例の場合と同様にして、130℃で温間成形を行った。また、各温間成形用粉末のFRおよびADを第1実施例の場合と同様に測定し、その結果を表4に併せて示した。また、各温間成形用粉末を用いて成形したときの抜出力および成形体密度も第1実施例の場合と同様に測定した。こうして各試料粉末毎に、種々の成形圧力で温間成形したときに得られた抜出力または成形体密度を後述する各図に示した。
《評価》
(1)試料HD8
試料HD8は、粗粉に金属石鹸が添加されていない温間成形用粉末である。この粉末を130℃で温間成形したときの成形圧力と抜出力の関係を、試料HD4(第2実施例)の温間成形用粉末を用いた場合と比較して図20に示した。図20から明らかなように、ML法で調整した温間成形用粉末を用いる方が、溶融混合法で調整した温間成形用粉末よりも、全体的に抜出力が低くなった。この傾向は、成形圧力が高いときに顕著であった。
(2)試料HD9〜11
試料HD9〜11は、ベース潤滑剤を溶融混合法により付着させた粗粉に、金属石鹸(0.1%)を溶融しない温度(120℃)で添加した温間成形用粉末である。各粉末を130℃で温間成形したときの成形圧力と、抜出力または成形体密度との関係をそれぞれ図21Aと図21Bに示した。
図21Aから明らかなように、LiStまたはCaStを粗粉に添加した温間成形用粉末を用いた場合、高圧成形しても抜出力を20MPa以下に抑えることができた(試料HD9、11)。一方、Kenolubは添加してもしなくても、抜出力に殆ど影響がなかった(試料HD8、10)。また図21Bから明らかなように、いずれの場合も成形体密度に大差はなかったが、980MPaで成形したときに7.6g/cm 以上の高密度成形体が得られた。
(3)試料HD12、13
試料HD12、13は、試料HD9に対して、粗粉に付着させるベース潤滑剤を減らして、LiStを0.2%または0.3%に増やした温間成形用粉末である。各粉末を130℃で温間成形したときの成形圧力と、抜出力または成形体密度との関係をそれぞれ図22Aと図22Bに示した。
図22Aから明らかなように、LiSt量が変化しても、成形圧力が980MPa以上のとき、抜出力はいずれも20MPa程度となった。また図22Bから明らかなように、成形体密度は、僅かであるが、LiSt量が増加すると低下する傾向が観られた。
(4)試料HD14〜16
試料HD14〜16は、ベース潤滑剤およびLiStを非溶融混合(160℃)により付着させた粗粉を用いてML法により調製した温間成形用粉末である。各粉末を130℃で温間成形したときの成形圧力と、抜出力または成形体密度との関係をそれぞれ図23Aと図23Bに示した。
図23Aから明らかなように、金属石鹸(LiSt)の混合方法または混合温度の相違による抜出力への影響は殆どなかった(試料HD13、15)。そして、粗粉に付着しているLiStが0.3%のとき、成形圧力が大きくなっても、抜出力は20MPa以下で安定していた。逆に、粗粉に付着しているLiStが0.5%となりベース潤滑剤が相対的に減少すると、成形圧力が低圧側(980MPa以下)のとき、抜出力が大きくなり、不安定となった(試料HD16)。
図23Bから明らかなように、LiStが増加するほど成形体密度が僅かに減少する傾向が観られた。但し、抜出力の場合と同様に、金属石鹸の混合形態の相違による成形体密度への影響は殆どなかった。
(5)試料HD17〜21
試料HD17〜21は、ベース潤滑剤およびCaStを溶融混合(160℃)により付着させた粗粉を用いてML法により調製した温間成形用粉末である。各粉末を130℃で温間成形したときの成形圧力と、抜出力または成形体密度との関係をそれぞれ図24Aと図24Bに示した。
図24Aから明らかなように、粗粉に付着しているCaStが0.2%または0.3%のとき、いずれの成形圧力でも抜出力が20MPa以下となり、優れた成形性を発揮することがわかった(試料HD18、19)。また図24Bから明らかなように、CaSt量の相違は成形体密度に殆ど影響しなかった。
また、試料HD8、17〜21に基づいて、粗粉に付着させた複合潤滑剤中のCaSt濃度と抜出力の関係を、各成形圧力毎に図25に示した。図25の横軸は、粗粉に付着させた潤滑剤の合計量(0.6%)に対するCaStの質量割合を百分率で示したものである。図25から明らかなように、CaStの濃度が30%以上のとき、成形圧力が高くなるほど、抜出力が低下することがわかった。また、ML法に用いる粗粉に付着させるCaSt濃度は、成形圧力にかかわらず、30〜60%さらには40〜55%のときに抜出力を20MPa以下とできることもわかった。
[第4実施例]
表3および表4に示した各温間成形用粉末を用いて、種々の成形圧力で温間成形(130℃)した。そのときの抜出力、スプリングバック(SB)、成形体密度(GD)を表5、表6Aおよび表6B(両表を併せて単に「表6」という。)にまとめた。なお、スプリングバックは、SB(%)=100×{(成形体寸法)−(金型のキャビティ寸法)}/(金型のキャビティ寸法)として算出したものである。
また、温間成形により得られた各成形体を、バッチ式焼結炉(島津メクテム株式会社製PVSGgr20/20)を用いて、N雰囲気中で焼結させた。このとき、焼結温度:1150℃、焼結時間:30分間とした。こうして得られた各焼結体の密度(SD)、寸法変化率(外径:ΔD、厚さ:Δt)、重量変化率(ΔW)も表5および表6に併せて示した。なお、各変化率は、成形体に関する量に対する、成形体から焼結体への変化量の割合を示す。
表5および表6から明らかなように、黒鉛を0.2%添加した温間成形用粉末を980MPa以上で成形したとき、ほぼ7.6g/cm以上の高密度な成形体が得られている。また、これらの成形体を焼結させた焼結体は、径方向の寸法変化率(ΔD)が0〜−0.1%で、密度変化も±0.01g/cmとなり、非常に安定していることもわかった。
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Claims (8)

  1. 鉄基粉末を含む原料粉末と該原料粉末中に混在させた内部潤滑剤とからなる温間成形用粉末を、成形型の内壁面に潤滑剤が付与されておらず、所定の成形温度に加熱された該成形型内に充填して温間成形することにより成形体を得る温間成形方法であって、
    前記成形温度は70〜100℃であり、
    前記内部潤滑剤は、脂肪酸アミドまたは高級アルコールに属する潤滑剤群から選択され、成形温度よりも融点が高い高融点潤滑剤と該成形温度よりも融点が低い低融点潤滑剤とからなる複合潤滑剤であり、
    該高融点潤滑剤は該成形温度よりも融点の高い脂肪酸アミドを一種以上含み、
    該低融点潤滑剤は該成形温度よりも融点の低い高級アルコールを一種以上含み、
    内部潤滑剤は、前記温間成形用粉末全体に対して0.1〜0.4質量%(単に「%」という。)含まれることを特徴とする温間成形方法。
  2. 前記内部潤滑剤は、前記温間成形用粉末全体に対して0.15〜0.35%含まれる請求項1に記載の温間成形方法。
  3. 前記鉄基粉末は、粒度により分級された粗粉と細粉とからなり、
    前記内部潤滑剤は、該粗粉に該細粉よりも高濃度に付着している請求項または2に記載の温間成形方法。
  4. 少なくとも前記高融点潤滑剤と前記低融点潤滑剤は、完全溶融混合されて前記原料粉末の粒子表面に付着している請求項1〜のいずれかに記載の温間成形方法。
  5. さらに、カーボンブラックが前記原料粉末の粒子表面に付着している請求項1〜のいずれかに記載の温間成形方法。
  6. 前記カーボンブラックは、前記温間成形用粉末全体に対して0.005〜0.05%含まれる請求項に記載の温間成形方法。
  7. さらに、前記温間成形用粉末全体に対して0.1〜1%の黒鉛粉末を含む請求項1〜のいずれかに記載の温間成形方法。
  8. 前記複合潤滑剤は、前記低融点潤滑剤と前記高融点潤滑剤の合計量に対して該低融点潤滑剤を10〜50%含む請求項1〜7のいずれかに記載の温間成形方法。
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