上記特許文献1では、回転テーブルが平面状に構成されており、回転テーブルの上面にコイル状に巻かれた長尺ホースが載せられている。そして、コイル状に巻かれた長尺ホースの最上部(最上段)から、ホース送り機構にて長尺ホースを連続的に引き出している。このため、例えば、コイル状に巻かれた長尺ホースの最下部(最下段)から長尺ホースを引き出す場合に、上記特許文献1に記載の供給装置をそのまま適用することは難しい。
例えば、上記特許文献1に記載の供給装置において、コイル状に巻かれた長尺ホースの最下部(最下段)から長尺ホースを引き出そうとすると、長尺ホースは、平面状の回転テーブルとの接触面積が大きいため、大きな抵抗を受ける。また、引き出される長尺ホースは、コイル状ホースの巻き上部からの荷重が加わるため、強引に長尺ホースを引き出そうとすると、ホース送り機構の出力が大きくなる。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、コイル状に巻かれた長尺状のワークの最下部からワークを容易に引き出すことができるワーク供給装置を提供することを目的とする。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明に係るワーク供給装置は、一定方向に回転すると共に、上面側にコイル状に巻かれた長尺状のワークが載せられるターンテーブルと、前記ターンテーブルに放射状に設けられ、前記ターンテーブルの上面から突出する位置に上昇することにより前記ワークを支持し、前記ワークから離れる位置に下降する複数の昇降支柱と、前記ターンテーブルの下方側に設けられ、前記ターンテーブルの回転方向における前記ワークの引き出し位置を含む所定の範囲で前記昇降支柱を下降させ、前記所定の範囲以外の領域で前記昇降支柱を上昇させるカムと、前記引き出し位置でコイル状に巻かれた前記ワークの最下部から前記ワークを前記ターンテーブルの外側に引き出す引き出し装置と、を有する。
請求項1に記載の発明によれば、ターンテーブルの上面側には、コイル状に巻かれた長尺状のワークが載せられている。ターンテーブルには、放射状に複数の昇降支柱が設けられており、複数の昇降支柱がターンテーブルの上面から突出する位置に上昇することで、複数の昇降支柱によりワークが支持されている。ターンテーブルの下方側にはカムが設けられており、カムにより、ターンテーブルの回転方向におけるワークの引き出し位置を含む所定の範囲で、昇降支柱が下降する。また、カムにより、所定の範囲以外の領域で、昇降支柱が上昇する。
ワークの引き出し位置では、昇降支柱は、カムによりワークから離れる位置に下降しており、引き出し装置により、コイル状に巻かれたワークの最下部からワークがターンテーブルの外側に引き出される。その際、昇降支柱がワークから離れる位置に下降していることにより、コイル状に巻かれたワークの最下部でワークがフリーになり、ワークが昇降支柱との接触抵抗を受けることがない。このため、コイル状に巻かれた長尺状のワークの最下部からワークを容易に引き出すことができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のワーク供給装置において、前記カムは、前記ターンテーブルの回転方向に沿って設けられており、前記カムの上部を前記昇降支柱が移動する構成とされている。
請求項2に記載の発明によれば、カムは、ターンテーブルの回転方向に沿って設けられており、ターンテーブルの回転に伴って、カムの上部を昇降支柱が移動する。このため、カムによって、ターンテーブルの回転方向におけるワークの引き出し位置を含む所定の範囲で昇降支柱を下降させ、また、カムによって、所定の範囲以外の領域で昇降支柱を上昇させることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のワーク供給装置において、前記昇降支柱には、前記カムの上部を移動するキャスターが設けられている。
請求項3に記載の発明によれば、昇降支柱には、カムの上部を移動するキャスターが設けられており、ターンテーブルの回転に伴って、キャスターがカムの上部を移動することで、昇降支柱を昇降させることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のワーク供給装置において、前記昇降支柱の上昇時の高さと下降時の高さの差は、前記ワークの外径よりも大きい。
請求項4に記載の発明によれば、昇降支柱の上昇時の高さと下降時の高さの差は、ワークの外径よりも大きいので、昇降支柱の下降時に、昇降支柱をワークから離れる位置により確実に下降させることができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のワーク供給装置において、前記カムが前記昇降支柱を下降させる前記所定の範囲は、下降した前記昇降支柱の回転方向両側で隣り合う2つの前記昇降支柱の間の範囲よりも小さい。
請求項5に記載の発明によれば、カムが昇降支柱を下降させる所定の範囲は、昇降支柱の回転方向両側で隣り合う2つの昇降支柱の間の範囲よりも小さいので、ワークの引き出し位置では、下降した昇降支柱の回転方向両側で隣り合う2つの昇降支柱は上昇している。このため、下降した昇降支柱の回転方向両側で隣り合う2つの昇降支柱によりワークが支持された状態で、2つの昇降支柱の間の昇降支柱をワークから離れる位置に下降させることができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のワーク供給装置において、前記引き出し装置よりも前記ワークの引き出し方向下流側には、前記ワークが巻き掛けられると共に、前記ワークのテンションに応じて前記ターンテーブルに近づく方向又は前記ターンテーブルから離れる方向に移動するテンショナーが設けられている。
請求項6に記載の発明によれば、引き出し装置よりもワークの引き出し方向下流側には、ワークが巻き掛けられるテンショナーが設けられている。テンショナーがワークのテンションに応じてターンテーブルに近づく方向又はターンテーブルから離れる方向に移動することにより、ワークの緩み及び張りを調節することができる。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のワーク供給装置において、前記テンショナーよりも前記ワークの引き出し方向下流側に設けられ、前記ワークを送る移送装置を備えると共に、前記ワークを加工する加工機と、前記ターンテーブルに設けられ、前記ターンテーブルの回転を停止させる停止装置と、を有する。
請求項7に記載の発明によれば、テンショナーよりもワークの引き出し方向下流側には、ワークを送る移送装置を備えた加工機が設けられており、移送装置によって送られたワークを加工機によって加工する。ターンテーブルには、ターンテーブルの回転を停止させる停止装置が設けられており、ワークの移送に不具合があった場合に、移送装置によるワークの移送を停止し、停止装置によりターンテーブルの回転を停止させることができる。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のワーク供給装置において、前記引き出し装置の前記ワークの引き出し速度は、前記移送装置の前記ワークの送り速度よりも大きく設定されており、前記ワークの張りが大きくなり、前記テンショナーが前記ターンテーブルに近づく方向に移動したときに、前記引き出し装置の動作及び前記移送装置の動作を停止させる制御装置が設けられている。
請求項8に記載の発明によれば、引き出し装置のワークの引き出し速度は、移送装置のワークの送り速度よりも大きく設定されている。そして、ワークの張りが大きくなり、テンショナーがターンテーブルに近づく方向に移動したときに、制御装置により引き出し装置の動作及び移送装置の動作を停止させる。例えば、ターンテーブルの回転により、昇降支柱が下降する所定の範囲をワークが通り過ぎている場合、ワークが上昇した昇降支柱に接触し、ワークの張りが大きくなる。このような場合は、ワークの引き出しが困難となるため、引き出し装置の動作及び移送装置の動作を停止させることで、ワークが引き出し方向に引っ張られることを抑制することができる。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載のワーク供給装置において、前記ワークの緩みが生じ、前記テンショナーが前記ターンテーブルから離れる方向に移動したときに、前記制御装置は、前記停止装置により前記ターンテーブルの回転を停止させる。
請求項9に記載の発明によれば、ワークの緩みが生じ、テンショナーがターンテーブルから離れる方向に移動したときに、停止装置によりターンテーブルの回転を停止させる。これにより、ターンテーブルの回転が停止された状態で、ワークが引き出し装置及び移送装置により送られるため、ワークの緩みを解消することができる。
本願発明のワーク供給装置によれば、コイル状に巻かれた長尺状のワークの最下部からワークを容易に引き出すことができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図14を用いて、本発明の第1実施形態であるワーク供給装置について説明する。
図1には、本発明の第1実施形態であるワーク供給装置10が平面図にて示されている。図2には、ワーク供給装置10に用いられるターンテーブル付近が側断面図にて示されており、図3には、ワーク供給装置10に用いられるターンテーブル付近が斜視図にて示されている。図1〜図3に示されるように、ワーク供給装置10は、矢印A方向に回転すると共に上面14A側にコイル状に巻かれた長尺状のワーク12が載せられるターンテーブル14と、ターンテーブル14に放射状に配置されると共に昇降可能に支持された複数の昇降支柱16と、を備えている。また、ワーク供給装置10は、ターンテーブル14の下方側に配置されると共に昇降支柱16を昇降させるカム18と、コイル状に巻かれたワーク12の最下部からワーク12をターンテーブル14の外側に引き出す引き出し装置(引き出しユニット)20と、を備えている(図1参照)。
さらに、図1に示されるように、ワーク供給装置10は、引き出し装置20よりもワーク12の引き出し方向下流側(矢印B方向の下流側)に向かって順に、ワーク12が巻き掛けられると共にワーク12の緩みや張りを調整するテンショナー22と、ワーク12を加工する加工機24と、を備えている。
ワーク12としては、例えば、ホース、チューブ、コードなどの長尺ひも状のワークが用いられる。本実施形態では、ワーク12としてホースが用いられている。
図1〜図3に示されるように、ターンテーブル14は、平面視にて略円板状に形成されており、上面14Aの周縁部に上面14Aから上方側に突出する突出部14Bを備えている。ターンテーブル14の中心部には、ターンテーブル14を回転させる回転軸26が設けられている。ターンテーブル14の上面14A側における回転軸26の周囲には、ワーク12を保持する湾曲面状の複数の保持板28が略上下方向に沿って配置されている。本実施形態では、保持板28は4枚配置されているが、保持板28の数は変更可能である。複数の保持板28は、平面視にて略円形状の仮想線に沿って配置されており、複数の保持板28の周囲にワーク12がコイル状(束状)に巻かれている。すなわち、複数の保持板28は、コイル状(束状)に巻かれたワーク12を内側から保持する構成とされている。
図1に示されるように、ワーク供給装置10では、ターンテーブル14の上面14A側でコイル状に巻かれたワーク12が引き出し装置20により矢印B方向に引き出されることで、ターンテーブル14が矢印A方向に回転する構成とされている。すなわち、本実施形態では、ターンテーブル14の回転軸26には、モータが接続されていない。なお、ターンテーブル14の回転軸26にモータを接続し、ターンテーブル14を回転させる構成としてもよい。
図2及び図3に示されるように、ターンテーブル14には、複数の開口部14Cが形成されており、開口部14C内を昇降支柱16が昇降可能に配置されている。本実施形態では、昇降支柱16は8つ設けられており、開口部14Cは、ターンテーブル14に放射線状に8つ形成されている。なお、昇降支柱及び開口部の数は変更可能である。
図2〜図4に示されるように、昇降支柱16は、略上下方向に沿って配置されると共に開口部14C内に挿通される板状部16Aと、板状部16Aの下部に設けられた取付部16Bと、取付部16Bに回転可能に支持されたキャスター16Cと、を備えている(図6(B)参照)。複数の昇降支柱16は、キャスター16Cがカム18の上部(本実施形態では上面)を移動することによって、それぞれ昇降可能とされている。取付部16Bには、リニアブッシュ(図示省略)が設けられており、昇降支柱16をガタを発生させることなく上下方向に昇降させるようにしている。なお、リニアブッシュに代えて、無給油ブッシュを設けてもよい。
昇降支柱16は、ターンテーブル14の上面14Aから突出した上昇位置32Aに上昇することにより、昇降支柱16の上面でワーク12を支持している。また、昇降支柱16は、引き出し装置20によりコイル状に巻かれたワーク12の最下部からワーク12が引き出される引き出し位置34Aで、ワーク12から離れた下降位置32Bに下降するようになっている。本実施形態では、昇降支柱16の下降位置32Bでは、昇降支柱16の上面は、ターンテーブル14の上面14Aとほぼ同じ高さに設定されている(図2参照)。
昇降支柱16の上昇時の高さと下降時の高さの差は、ワーク12の外径よりも大きい。これにより、昇降支柱16が下降位置32Bに下降したときに、昇降支柱16がコイル状に巻かれたワーク12の下面と接触せず、ワーク12をフリーの状態とすることができる。
図1〜図3に示すワーク供給装置10では、図示を省略しているが、ターンテーブル14における開口部14Cの縁部には、支柱ステー36(図6(A)参照)が固定されている。支柱ステー36は、開口部14Cの長手方向に沿って配置されており、昇降支柱16の昇降をガイドするようになっている。図6(A)に示されるように、支柱ステー36は、開口部14C(図3参照)の縁部に配置される長板部36Aと、長板部36Aの長手方向の中間部から下方側に延びるシャフト36Bと、を備えている。昇降支柱16の板状部16Aはシャフト36Bに接触した状態で、シャフト36B及び開口部14Cに沿って上下方向に昇降するようになっている。
図2〜図5に示されるように、カム18は、ターンテーブル14の下方側にターンテーブル14の回転方向に沿って配置されている。カム18は、平面視にて略リング状に形成されており、昇降支柱16を上昇位置32Aに上昇させる上昇カム18Aと、昇降支柱16を上昇位置32Aから下降させる下降カム18Bと、を備えている。上昇カム18Aの上面は、ほぼ一定の高さに設定されており、上昇カム18Aの上面を移動する昇降支柱16をターンテーブル14の上面14Aから突出した上昇位置32Aに上昇させるようになっている。下降カム18Bは、ターンテーブル14の回転方向におけるワーク12の引き出し位置34Aを含む所定の範囲35(図7(A)参照)で、昇降支柱16を下降させる構成とされている。下降カム18Bの周方向に沿った両側には、上昇カム18Aの上面に繋がる傾斜面19が形成されている。言い換えると、上昇カム18Aは、ターンテーブル14の回転方向における所定の範囲35以外の領域で昇降支柱16を上昇させる構成とされている。昇降支柱16は、上昇カム18Aにより上昇位置32Aに上昇した状態で、コイル状に巻かれたワーク12全体の荷重を支えるようになっている。
下降カム18Bは、ワーク12の引き出し位置34Aでコイル状に巻かれたワーク12の最下部からワーク12を引き出す際に、ワーク12をフリーの状態にするため、昇降支柱16を下降位置32Bに下降させるようになっている。図1及び図8に示されるように、ワーク12の引き出し位置34Aは、ワーク12の巻き外周と引き出し装置20の送り部との接線上に配置することが好ましい。図8では、下降カム18Bの傾斜面19を除いた部分により、昇降支柱16が下降位置32B(図7(A)参照)に下降する範囲をドットにて示している。
図3〜図5に示されるように、昇降支柱16は、平面視にてターンテーブル14に放射状に複数配置されている(図1参照)。本実施形態では、昇降支柱16は、ターンテーブル14に放射状に8個設けられており、ターンテーブル14の中心部に対して隣り合う昇降支柱16の角度(図3中の角度α°)がほぼ同じになるように配置されている。その際、ターンテーブル14の中心部に対して下降カム18Bが昇降支柱16を下降させる下降カム18Bの角度(図4中の角度θ°)は、隣り合う昇降支柱16の角度(α°)の2倍の範囲よりも小さい(θ<2α)。言い換えると、カム18の下降カム18Bが昇降支柱16を下降させる所定の範囲35(下降カム18Bの周方向の幅)は、昇降支柱16の回転方向両側で隣り合う2つの昇降支柱16の間の範囲よりも小さい。
これにより、図7(A)に示されるように、ワーク12の引き出し位置34Aでは、下降カム18Bにより昇降支柱16が下降しており、この下降した昇降支柱16の回転方向両側で隣り合う2つの昇降支柱16は上昇カム18Aにより上昇している。このため、下降した昇降支柱16の回転方向両側で隣り合う2つの昇降支柱16によりワーク12が支持された状態で、下降した昇降支柱16がワーク12から離れている。すなわち、ワーク12の引き出し位置34Aで下降した昇降支柱16の両隣りの昇降支柱16でワーク12を支えている。これにより、ワーク12の引き出し位置34Aでは、ワーク12が昇降支柱16との接触抵抗を受けることがなく、ワーク12が容易に引き出されるようになっている。
ここで、図7(B)には、参考例のワーク供給装置200が示されている。図7(B)に示されるように、ワーク供給装置200では、上昇カム208Aと下降カム208Bとを備えたカム208が設けられている。下降カム208Bが昇降支柱16を下降させる所定の範囲209は、昇降支柱16の回転方向両側で隣り合う2つの昇降支柱16の間の範囲よりも大きい。すなわち、下降カム208Bが昇降支柱16を下降させる下降カム18Bの角度(図4中の角度θ°)は、隣り合う昇降支柱16の角度(図3中のα°)の2倍の範囲よりも大きい(θ>2α)。
このワーク供給装置200では、ワーク12の引き出し位置34Aで下降カム208Bにより下降した昇降支柱16の回転方向両側では、隣り合う2つの昇降支柱16は下降カム208Bの傾斜面19の位置にあり、隣り合う2つの昇降支柱16は上昇位置まで上昇していない。このため、傾斜面19の位置にある2つの昇降支柱16によりワーク12が支持された状態となり、下降カム208Bにより下降した昇降支柱16がワーク12に接触している。このため、ワーク12の引き出し位置34Aでは、ワーク12と昇降支柱16との接触抵抗が大きくなり、ワーク12を引き出すことが難しい。
図9に示されるように、引き出し装置20は、ワーク12の下部側に配置されてワーク12を送る下部ローラ40と、ワーク12の上部側に配置される上部ローラ42と、上部ローラ42を回転可能に支持する取付部43と、上部ローラ42をワーク12に接触又は離れる位置に進退させるクランプシリンダ44と、を備えている。また、引き出し装置20は、ワーク12の送り方向における上部ローラ42の前後に、ワーク12の両側の側方をガイドするガイド部46を備えている。下部ローラ40には、モータ48(図8参照)が接続されており、モータ48の回転により下部ローラ40を矢印C方向に回転させる。上部ローラ42は、ワーク12に接触しながら従動回転するようになっている。クランプシリンダ44は、ロッド44Aの先端部が取付部43に連結されており、ロッド44Aを矢印D方向に進出させることで、上部ローラ42をワーク12に接触させる。これにより、上部ローラ42と下部ローラ40との間にワーク12を挟み、下部ローラ40の回転駆動により、ワーク12を矢印B方向に送るようになっている。
図10に示されるように、テンショナー22は、軸部50Aが略上下方向に沿って配置されてワーク12が巻き掛けられるローラ50と、ローラ50を回転可能に支持すると共にターンテーブル14(図8参照)に対して近づく方向及び離れる方向に移動する可動板52と、可動板52を移動可能に支持する2本のレール54と、を備えている。また、テンショナー22は、可動板52をターンテーブル14(図8参照)から離れる方向(矢印E方向)に押すエアシリンダ56を備えている。ローラ50の回転方向の上流側と下流側には、ワーク12をガイドするガイド部58が設けられている。ガイド部58は、ワーク12の上方側と下方側に配置される2本のローラ58Aと、2本のローラ58Aの両端部を回転可能に支持する枠体58Bと、を備えている。可動板52には、2本のレール54にそれぞれ係合される係合部(図示省略)が設けられており、可動板52が2本のレール54に沿って移動するようになっている。
テンショナー22は、エアシリンダ56が可動板52をターンテーブル14(図8参照)から離れる方向に押すことで、ローラ50に巻き掛けられたワーク12を巻き掛け位置の外側(ターンテーブル14から離れる方向)に常時引っ張るようになっている。可動板52は、ワーク12のテンションに応じてエアシリンダ56の力に抗してレール54上を移動可能とされている。
図1及び図8に示されるように、テンショナー22は、レール54と対向する位置に、レール54上を移動する可動板52の位置を検出することにより、ワーク12のテンションを検出する3つのセンサ70A、70B、70Cを備えている。本実施形態では、ターンテーブル14から遠い順に3つのセンサ70A、70B、70Cが配置されている。センサ70A、70B、70Cとしては、例えば、対象物から反射される光を測定する光学センサなどが用いられる。センサ70Aは、ターンテーブル14から離れる方向(図12(A)中の前進端60A)に移動した可動板52を検出することで、ワーク12のテンションが小さい(緩んでいる)ことを検出する。センサ70Bは、レール54の長手方向の中間部に移動した可動板52を検出することで、ワーク12のテンションが大きい(張っている)ことを検出する(図12(C)中の中間部60B)。センサ70Cは、ターンテーブル14に最も近い位置(図13中の後退端60C)に移動した可動板52を検出することで、ワーク12のテンションが過大であることを検出する。
図12(A)に示されるように、ローラ50に巻き掛けられるワーク12のテンションが小さくなる(ワーク12が緩む)と、エアシリンダ56(図10参照)により可動板52がターンテーブル14から離れる方向(前進端60A側)に移動し、センサ70Aにより前進端60AがON状態であることが検出される。図12(C)に示されるように、ローラ50に巻き掛けられるワーク12のテンションが大きくなる(ワーク12が張る)と、エアシリンダ56(図10参照)の力に抗して可動板52がターンテーブル14に近づく方向(中間部60B側)に移動し、センサ70Bにより中間部60BがON状態であることが検出される。ローラ50に巻き掛けられるワーク12のテンションがさらに大きくなる(ワーク12の張りがさらに大きくなる)と、可動板52がターンテーブル14に最も近い位置(後退端60C側)に移動し、センサ70Cにより後退端60CがON状態であることが検出される(図13参照)。図12(B)に示されるように、ワーク12のテンションが適正である場合は、可動板52は、レール54の長手方向の中間位置に移動している。このようなテンショナー22では、可動板52がレール54上を移動することにより、ワーク12の緩みや張りが調節されるようになっている。
図11には、テンショナー22の変形例が示されている。図11に示されるように、テンショナー22は、図10中のエアシリンダ56に代えて、可動板52をターンテーブル14から離れる方向(矢印E方向)に付勢する板バネ64を備えている。板バネ64は、長手方向の中間部が長手方向両端部よりもターンテーブル14側に張り出した湾曲形状とされている。板バネ64の長手方向の中間部は、可動板52に上下方向に設けられたポール66のターンテーブル14側の面に接触している。板バネ64の長手方向両端部は、ワーク供給装置10の本体部(レール54が設けられた側)に上下方向に設けられたポール68のターンテーブル14と反対側の面に接触している。このテンショナー22では、板バネ64により可動板52がターンテーブル14から離れる方向に付勢されており、ワーク12のテンションに応じて板バネ64の長手方向の中間部が変形し、可動板52がターンテーブル14に近づく方向に移動するようになっている。
図1に示されるように、加工機24は、ワーク12を送る移送装置としての送り装置80を備えている。送り装置80は、引き出し装置20と同様の構成とされており、図示を省略するが、ワーク12を送る下部ローラと上部ローラとを備えている。送り装置80は、ワーク12を矢印B方向に送るようになっている。また、加工機24は、図示を省略するが、送り装置80により送られたワーク12を裁断する裁断機を備えている。
ワーク供給装置10には、ワーク12の移送を制御する制御装置82が設けられている。より具体的には、制御装置82は、加工機24に設けられた送り装置80の動作を制御すると共に、引き出し装置20の動作を制御する。引き出し装置20のワーク12の引き出し速度は、送り装置80のワーク12の送り速度よりも大きく設定されている。これにより、加工機24側でターンテーブル14からのワーク12の引き出しが間に合わなくなることを防止するようにしている。
図2に示されるように、ターンテーブル14の回転軸26の下部側には、回転軸26の外周面から半径方向外側に突出した板状部74が設けられている。板状部74と対向する位置には、板状部74の上面と下面を挟むことで、ターンテーブル14の回転を停止させる停止装置としてのブレーキ76が設けられている。制御装置82は、ブレーキ76の動作タイミングを制御する。図14に示されるように、制御装置82は、テンショナー22がターンテーブル14に近づく方向(後退端60C)に移動し、ワーク12の張りが過大となったときに、送り装置80の動作及び引き出し装置20の動作を停止させる。また、制御装置82は、テンショナー22がターンテーブル14から離れる方向(前進端60A)に移動し、ワーク12の緩みが生じているときに、ブレーキ76を動作させ、ターンテーブル14の回転を停止させる。
次に、本実施形態のワーク供給装置10の作用並びに効果について説明する。
図1及び図8に示されるように、ワーク供給装置10では、ターンテーブル14が矢印A方向に回転する構成とされており、ターンテーブル14には、放射状に複数(本実施形態では8つ)の昇降支柱16が設けられている。ターンテーブル14の下方側には、回転方向に沿ってカム18が設けられており、複数の昇降支柱16がカム18の上部(本実施形態では上面)を移動することで、昇降可能とされている。複数の昇降支柱16は、カム18に設けられた上昇カム18Aの上部を移動することで、ターンテーブル14の上面14Aから突出する上昇位置32Aに上昇する。その際、昇降支柱16は、ターンテーブル14の回転方向における所定の範囲35(図7(A)参照)以外の領域で、上昇位置32Aに上昇している。ターンテーブル14の上面14A側には、上昇位置32Aに上昇した複数の昇降支柱16により、コイル状に巻かれた長尺状のワーク12が支持されている。
また、昇降支柱16は、カム18に設けられた下降カム18Bの上部(本実施形態では上面)を移動することで、ターンテーブル14の回転方向におけるワーク12の引き出し位置34Aを含む所定の範囲35(図7(A)参照)で、昇降支柱16が下降する。図2に示されるように、ワーク12の引き出し位置34Aでは、昇降支柱16は、ワーク12から離れる下降位置32Bに下降している。この状態で、引き出し装置20(図1及び図8参照)により、コイル状に巻かれたワーク12の最下部からワーク12がターンテーブル14の外側に矢印B方向に引き出される。その際、昇降支柱16がワーク12から離れる下降位置32Bに下降していることにより、コイル状に巻かれたワーク12の最下部でワーク12がフリーの状態になり、ワーク12が昇降支柱16との接触により大きな抵抗を受けることがない。このため、コイル状に巻かれた長尺状のワーク12の最下部からワーク12を容易に引き出すことができる。
また、図3〜図5等に示されるように、カム18は、ターンテーブルの回転方向に沿って設けられており、カム18に設けられた上昇カム18A及び下降カム18Bの上部(本実施形態では上面)を昇降支柱16が移動する。このため、下降カム18Bによって、ターンテーブル14の回転方向におけるワーク12の引き出し位置34Aを含む所定の範囲35で昇降支柱16を下降させることができる。また、上昇カム18Aによって、ターンテーブル14の回転方向における所定の範囲35以外の領域で昇降支柱16を上昇位置32Aに上昇させることができる。
また、図3〜図5等に示されるように、昇降支柱16には、カム18の上部(本実施形態では上面)を移動するキャスター16Cが設けられている。これにより、ターンテーブル14の矢印A方向への回転に伴って、キャスター16Cがカム18の上部を移動することにより、昇降支柱16をスムーズに昇降させることができる。
また、図2に示されるように、ワーク供給装置10では、昇降支柱16の上昇時の高さと下降時の高さの差は、ワーク12の外径よりも大きい。このため、昇降支柱16が下降位置32Bに下降したとき、昇降支柱16をワーク12から離れる位置により確実に下降させることができる。
また、図3〜図5等に示されるように、ワーク供給装置10では、下降カム18Bが昇降支柱16を下降させる所定の範囲35(図7(A)参照)は、昇降支柱16の回転方向両側で隣り合う2つの昇降支柱16の間の範囲よりも小さい。言い換えると、ターンテーブル14の中心部に対して下降カム18Bが昇降支柱16を下降させる下降カム18Bの角度(図4中の角度θ°)は、隣り合う昇降支柱16の角度(図3中の角度α°)の2倍の範囲よりも小さい(θ<2α)。
このため、図5(A)、(B)及び図7(A)に示されるように、ワーク12の引き出し位置34Aでは、昇降支柱16が下降カム18Bにより下降しており、この下降した昇降支柱16の回転方向両側で隣り合う2つの昇降支柱16は、上昇カム18Aにより上昇位置32Aに上昇している。このため、下降した昇降支柱16の回転方向両側で隣り合う2つの昇降支柱16によりワーク12が支持されており、下降した昇降支柱16はワーク12から離れている。すなわち、ワーク12の引き出し位置34Aで下降した昇降支柱16の両隣りの昇降支柱16でワーク12を支えている。これにより、ワーク12の引き出し位置34Aでは、ワーク12が昇降支柱16との接触抵抗を受けることがなく、ワーク12を容易に引き出すことができる。
図1及び図8に示されるように、ワーク供給装置10には、引き出し装置20よりもワーク12の引き出し方向下流側に、ワーク12が巻き掛けられるテンショナー22が設けられている。テンショナー22の可動板52は、ターンテーブル14(図8参照)から離れる方向に常時押されている。
図12(A)に示されるように、ローラ50に巻き掛けられるワーク12のテンションが小さくなる(ワーク12が緩む)と、可動板52がターンテーブル14から離れる方向(前進端60A側)に移動し、センサ70Aにより前進端60AのON状態が検出される。図12(C)に示されるように、ローラ50に巻き掛けられるワーク12のテンションが大きくなる(ワーク12が張る)と、可動板52がターンテーブル14に近づく方向(中間部60B側)に移動し、センサ70Bにより中間部60BのON状態が検出される。図13に示されるように、ローラ50に巻き掛けられるワーク12のテンションがさらに大きくなる(ワーク12がさらに張る)と、可動板52がターンテーブル14に最も近い位置(後退端60C側)に移動し、センサ70Cにより後退端60CのON状態が検出される。図12(B)に示されるように、ワーク12のテンションが適正であると、可動板52は、レール54の長手方向の中間位置に移動している。テンショナー22がターンテーブル14に近づく方向又はターンテーブル14から離れる方向に移動することにより、ワーク12の緩み及び張りを調節することができる。
図1に示されるように、ワーク供給装置10には、テンショナー22よりもワーク12の引き出し方向下流側に、ワーク12を移送する送り装置80を備えた加工機24が設けられている。ワーク供給装置10には、ターンテーブル14の回転を停止させるブレーキ76(図2参照)と、ブレーキ76の動作、送り装置80の動作、及び引き出し装置20の動作を制御する制御装置82とが設けられている。
図14には、ワーク12のテンションによるテンショナー22の可動板52の位置に対し、ターンテーブル14のブレーキ76の動作、引き出し装置20の動作と、加工機24の送り装置80の動作を制御する方法が示されている。図14に示されるように、ワーク12のテンションが小さい(ワーク12が緩んでいる)ときは、テンショナー22の可動板52はターンテーブル14から離れる方向(前進端60A側)に移動し、センサ70Aにより前進端60AのON状態が検出される(図12(A)参照)。このとき、制御装置82により、ターンテーブル14のブレーキ76はON状態とされ(ターンテーブル14の回転を停止し)、引き出し装置20はON状態とされ(ワーク12を送り)、送り装置80はON状態とされる(ワーク12を送る)。これにより、ワーク12の緩みがなくなるまで、ターンテーブル14の回転が停止される。
図14に示されるように、ワーク12のテンションが適正なときは、ターンテーブル14のブレーキ76はOFF状態とされ(ターンテーブル14が回転し)、引き出し装置20はON状態とされ(ワーク12を送り)、送り装置80はON状態とされている(ワーク12を送る)。これにより、ワーク12は、ほぼ一定のテンションの状態に維持される。
図14に示されるように、ワーク12のテンションが大きい(ワーク12が張っている)ときは、テンショナー22の可動板52はレール54の長手方向の中間部60Bに移動し、センサ70Bにより中間部60BのON状態が検出される(図12(C)参照)。このとき、制御装置82により、ターンテーブル14のブレーキ76はOFF状態とされ(ターンテーブル14が回転し)、引き出し装置20はON状態とされ(ワーク12を送り)、送り装置80はOFF状態とされる(ワーク12を送らない)。これにより、加工機24側が一時停止される。
図14に示されるように、ワーク12のテンションが過大のときは、テンショナー22の可動板52はターンテーブル14に最も近い位置(後退端60C側)に移動し、センサ70Cにより後退端60CのON状態が検出される(図13参照)。このとき、制御装置82により、ターンテーブル14のブレーキ76はOFF状態とされ(ブレーキ76を作動させず)、引き出し装置20はOFF状態とされ(ワーク12を送らず)、送り装置80はOFF状態とされる(ワーク12を送らない)。これにより、引き出し装置20と送り装置80とは非常停止される。ターンテーブル14は、引き出し装置20のワーク12の矢印B方向への引き出しにより回転するため、引き出し装置20がOFF状態されることで、ターンテーブル14の回転も停止される。例えば、図13に示されるように、ターンテーブル14の回転により、昇降支柱16が下降位置32Bに下降する範囲をワーク12が通り過ぎている場合、上昇した昇降支柱16に引き出し途中のワーク12が接触し、ワーク12のテンションが過大となる。このような場合は、ワーク12の引き出しが困難となるため、引き出し装置20と送り装置80を非常停止させることで、ワーク12が引き出し方向に引っ張られるのを抑制することができる。
図15には、第1比較例のワーク供給装置100のターンテーブル102付近が側断面図にて示されている。図15に示されるように、ターンテーブル102は、平面状に形成されており、ターンテーブル102の上面102Aにコイル状に巻かれたワーク12が載せられている。このワーク供給装置100では、コイル状に巻かれたワーク12の最下部からワーク12を引き出そうとすると、ワーク12は、平面状のターンテーブル102との接触面積が大きいため、大きな抵抗を受ける。また、引き出されるワーク12は、コイル状のワーク12の巻き上部からの荷重が加わるため、強引に引き出そうとすると、引き出し装置(図示省略)の出力が大きくなる。
図16には、第2比較例のワーク供給装置110のターンテーブル112が斜視図にて示されている。図16に示されるように、ターンテーブル112の上面112Aには、上方に突出する複数の支柱114が固定されており、複数の支柱114はターンテーブル112の上面112Aに略放射状に設けられている。複数の支柱114の上部には、コイル状に巻かれたワーク12が載せられており、コイル状に巻かれたワーク12が複数の支柱114により支持されている。
このようなワーク供給装置110では、隣り合う支柱114の間でコイル状に巻かれたワーク12の最下部からワーク12を引き出す場合、ワーク12には支柱114との接触抵抗が発生せず、コイル状のワーク12の巻き上部からの荷重を支柱114間に受け流すことができるので、非常に小さな出力でワーク12を引き出すことができる。しかし、支柱114に乗り上げた部分からワーク12を引き出すときは、ワーク12と支柱114との接触抵抗が発生すると共に、コイル状のワーク12の巻き上部からの荷重を非常に小さな面積で受けることになる。このため、ワーク12を矢印B方向に引き出すには、図15に示す平面状のターンテーブル102以上の大出力が必要となる。
これに対し、本実施形態のワーク供給装置10では、ワーク12の引き出し位置34Aを含む所定の範囲35で昇降支柱16をワーク12から離れる位置に下降させるので、ワーク12には昇降支柱16との接触抵抗が発生せず、非常に小さな出力でワーク12を引き出すことができる。
なお、本発明において、カムの構成や、昇降支柱の構成は、上記実施形態に限定されるものではなく、変更が可能である。
また、本発明において、引き出し装置やテンショナーの構成は、上記実施形態に限定されるものではなく、変更が可能である。