JP6447912B2 - 藻類油脂の抽出方法、及び超音波処理装置 - Google Patents

藻類油脂の抽出方法、及び超音波処理装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6447912B2
JP6447912B2 JP2015000784A JP2015000784A JP6447912B2 JP 6447912 B2 JP6447912 B2 JP 6447912B2 JP 2015000784 A JP2015000784 A JP 2015000784A JP 2015000784 A JP2015000784 A JP 2015000784A JP 6447912 B2 JP6447912 B2 JP 6447912B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
algae
algal
containing liquid
liquid
ultrasonic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015000784A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016124998A (ja
Inventor
啓之 太田
啓之 太田
美恵 下嶋
美恵 下嶋
達朗 越
達朗 越
河野 雅弘
雅弘 河野
篤郎 岩澤
篤郎 岩澤
有里子 天野
有里子 天野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokyo Institute of Technology NUC
Original Assignee
Tokyo Institute of Technology NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokyo Institute of Technology NUC filed Critical Tokyo Institute of Technology NUC
Priority to JP2015000784A priority Critical patent/JP6447912B2/ja
Publication of JP2016124998A publication Critical patent/JP2016124998A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6447912B2 publication Critical patent/JP6447912B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Fats And Perfumes (AREA)

Description

本発明は藻類油脂の抽出方法、及び超音波処理装置に関する。
近年、化石燃料の代替燃料として、藻類を用いた燃料生産が提案されている。微細藻類は、高い集光能力及び炭酸固定能力を有している。そのため、該微細藻類を用いた燃料生産では単位面積当たりの油脂生産性が高く、大変優れた油脂生産技術として注目されている。
しかし、既存の手法では、藻類から油脂を抽出するにあたり、2段階以上の複数の工程で精製を行っており、その処理コストの高騰が問題となっている。
藻類からのTAG(トリアシルグリセロール)を抽出するための従来法の一例としては、まず藻類を培養した藻類培養液を静置後、固液分離を行って藻類を濃縮又は乾燥させる(1段階目)。次いで、得られた藻類の濃縮物に対して、ホモジナイザー等を用いた物理的抽出や、溶剤抽出等による化学的抽出などを行うことにより、藻類の濃縮物から油脂分を抽出する(2段階目)。だが、従来法で得られた油脂分はTAGの精製度が低いため、さらにカラム分離操作などを行う必要がある(3段階目)(非特許文献1〜2)。
現状では、油脂精製コストが、バイオディーゼル生産コストのかなりの部分を占めており、バイオディーゼル燃料実用化に向けての障害の一つとなっている。このような経緯から、新たな藻類油脂の抽出法の開発が求められている。
宇野 博志「バイオマス資源としての微細藻類」、三井物産戦略研レポート、三井物産戦略研究所、2011年12月5日、インターネット〈URL:http://mitsui.mgssi.com/issues/report/list_report11.php〉 松本光史「微細藻類を用いたバイオ原料・燃料用オイル生産技術開発への挑戦」、環境バイオテクノロジー学会誌、2012年、12巻、1号、9−14ページ
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、簡便に、高品質の藻類油脂を高収率に得ることを可能とする藻類油脂の抽出方法、及び超音波処理装置の提供を課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、酸素を溶存させた藻類含有液に超音波を与えて藻類を破砕することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記の特徴を有する藻類油脂の抽出方法、及び超音波処理装置を提供するものである。
(1)藻類に含有される藻類油脂を抽出する藻類油脂の抽出方法であって、
前記藻類を含む藻類含有液に酸素を溶存させる工程と、
酸素が溶存された前記藻類含有液に超音波を与えて前記藻類を破砕し、藻類破砕液を得る工程と、
を有することを特徴とする藻類油脂の抽出方法。
(2)前記藻類破砕液から、有機溶媒を用いて前記藻類油脂を回収する工程をさらに有する前記(1)に記載の藻類油脂の抽出方法。
(3)前記超音波の周波数が500kHz以上である前記(1)又は(2)に記載の藻類油脂の抽出方法。
(4)前記超音波の周波数が1MHz以上2.5MHz未満の範囲である前記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の藻類油脂の抽出方法。
(5)前記超音波の周波数が1.3MHz以上2MHz以下の範囲である前記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の藻類油脂の抽出方法。
(6)前記藻類含有液中の一重項酸素濃度が、20μM〜270μMとなるように前記藻類含有液に酸素を添加する前記(1)〜(5)のいずれか一つに記載の藻類油脂の抽出方法。
(7)前記藻類含有液中のヒドロキシルラジカル濃度が、10μM〜100μMとなるように前記藻類含有液に酸素を添加する前記(1)〜(6)のいずれか一つに記載の藻類油脂の抽出方法。
(8)前記藻類含有液への酸素の添加が、藻類含有液へ酸素含有気体をバブリングにより送り込むものである前記(1)〜(7)のいずれか一つに記載の藻類油脂の抽出方法。
(9)藻類を培養して前記藻類含有液を得る培養工程を有する前記(1)〜(8)のいずれか一つに記載の藻類油脂の抽出方法。
(10)藻類を含む藻類含有液を溜めるための処理槽と、
前記処理槽中の藻類含有液に超音波を与えて前記藻類を破砕し、藻類破砕液を得るための超音波発生手段と、を備えたことを特徴とする超音波処理装置。
(11)前記超音波の周波数が500kHz以上の範囲に選定されている前記(10)に記載の超音波処理装置。
(12)前記超音波の周波数が1MHz以上2.5MHz未満の範囲に選定されている前記(10)又は(11)に記載の超音波処理装置。
(13)前記超音波の周波数が1.3MHz以上2MHz以下の範囲に選定されている前記(10)〜(12)のいずれか一つに記載の超音波処理装置。
(14)前記藻類含有液に酸素含有気体を送り込むための送込管を備えた前記(10)〜(13)のいずれか一つに記載の超音波処理装置。
(15)前記処理槽中の前記藻類含有液へと前記超音波発生手段より発せられた超音波を伝播する作用液を溜めるための作用液槽を備え、
前記処理槽が、前記作用液槽内部に配置された前記(10)〜(14)のいずれか一つに記載の超音波処理装置。
(16)更に、前記藻類破砕液から藻類油脂を回収するための有機溶媒をためる有機溶媒貯蔵槽を備えた前記(10)〜(15)のいずれか一つに記載の超音波処理装置。
本発明の藻類油脂の抽出方法によれば、従来よりも簡略化された処理にも関わらず、高品質の藻類油脂を高収率に得られる。
本発明の超音波処理装置によれば、簡便に、高品質の藻類油脂を高収率に得ることを可能とする。
酸素が溶存された水に超音波を与えた際に生じると考えられる化学反応の一例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る超音波処理装置の概略構成を示す図である。 本発明の一実施形態に係る超音波処理装置の概略構成を示す図である。 実施例において、1.65MHzで10秒間の超音波処理をされた培養液中に含まれる藻類細胞の観察結果を示す写真である。 実施例において、1.65MHzで20秒間の超音波処理をされた培養液中に含まれる藻類細胞の観察結果を示す写真である。 実施例において、1.65MHzで30秒間の超音波処理をされた培養液中に含まれる藻類細胞の観察結果を示す写真である。 実施例において、1.65MHzで60秒間の超音波処理をされた培養液中に含まれる藻類細胞の観察結果を示す写真である。 実施例において、超音波処理をされる前の培養液中に含まれる藻類細胞の観察結果を示す写真である。 実施例において、1.65MHzで10分間の超音波処理をされた培養液中に含まれる藻類細胞の観察結果を示す写真である。 実施例において、47kHzで10分間の超音波処理をされた培養液中に含まれる藻類細胞の観察結果を示す写真である。 実施例において、47kHzで30分間の超音波処理をされた培養液中に含まれる藻類細胞の観察結果を示す写真である。 超音波処理後の藻類培養液中に含まれる粒子の平均粒子径を測定した結果を示すグラフである。 実施例において、藻類培養液への超音波処理時間によるTAG回収率の差を示すグラフである。 実施例において、サンプルに超音波処理を行い、バブリング処理の有無によるサンプル中の一重項酸素濃度及びヒドロキシルラジカル濃度を比較した結果を示すグラフである。 実施例において、本発明に係る藻類油脂の抽出方法により抽出された藻類油脂に対する、薄層クロマトグラフィーの結果を示す写真である。 実施例において、藻類から抽出されたTAGの回収率を示すグラフである。
≪藻類油脂の抽出方法≫
本発明の藻類油脂の抽出方法は、藻類に含有される藻類油脂を抽出する藻類油脂の抽出方法であって、前記藻類を含む藻類含有液に酸素を溶存させる工程と、酸素が溶存された前記藻類含有液に超音波を与えて前記藻類を破砕し、藻類破砕液を得る工程と、を有するものである。
本発明において「藻類油脂を抽出する」とは、藻類の体内に存在する油脂を藻類体外へ取り出すこと、又は藻類体外へと放出させることを意味する。藻類油脂の抽出に伴い、藻類は破砕されてもよい。
以下、本発明の好ましい実施形態について説明する。
本実施形態の藻類油脂の抽出方法は、藻類に含有される藻類油脂を抽出する藻類油脂の抽出方法であって、藻類を培養して前記藻類含有液を得る培養工程と、前記藻類を含む藻類含有液に酸素を溶存させる工程と、酸素が溶存された前記藻類含有液に、超音波を与えて前記藻類を破砕し、藻類破砕液を得る工程とを有する。
藻類としては、特に限定されず、ほぼ全ての藻類を用いることができ、微細藻類であることが好ましく、単細胞性緑藻であることが好ましい。係る藻類としては、ナンノクロロプシス属、クラミドモナス属、ボトリオコッカス属、シュードコリシスチス属、フェオダクチラム属、オステレオコックス属、シアニディオシゾン属、クレブソルミディウム属、クロロキブス属、スピロギラ属、カラ属、コレオケーテ属、クロレラ属等に属する藻類が挙げられ、なかでもナンノクロロプシス属、クラミドモナス属、ボトリオコッカス属が好ましい。より具体的には、シュードコリシスチス エリプソイディア(Pseudochoricystis ellipsoidea)、ボトリオコッカス ブラウニー(Botryococcus braunii)、シアニディオシゾン メロラエ(Cyanidioschyzon merolae)、クラミドモナス レインハードチイ(Chlamydomonas reinhardtii;以下、クラミドモナスともいう。)等が挙げられる。
藻類油脂としては、トリアシルグリセロールのほか、糖脂質、リン脂質、脂肪酸、炭化水素であってもよく、トリアシルグリセロールが好ましい。
藻類含有液は、油脂の抽出対象となる藻類を含む液である。藻類含有液としては、後に詳述する超音波処理に係る観点から、水を含有するものであることが好ましく、水若しくは水溶液に藻類が含有又は分散されてなる混合物であることが好ましい。上記混合物としては、藻類を培養して得られ、藻類を含有する藻類培養液を好適に用いることができる。本実施形態の藻類油脂の抽出方法は、藻類培養液を、該培養液の固液分離等の操作を経ることなく用いることなく処理することが可能であるので、従来法と比べて少ない操作で油脂抽出を行うことができる。
上記藻類含有液中には藻類の培養のための塩類やビタミン、炭水化物等の各種栄養素が含まれていてもよい。また、藻類含有液中には、塩が含まれていることが好ましい。藻類含有液中に塩が含まれている場合、藻類含有液中に塩が含まれてない場合と比べて、藻類含有液中のヒドロキシルラジカルおよび一重項酸素の生成量を増加させることが可能となる。そのため、藻類から藻類油脂を高効率に抽出することができる。上記塩としては、金属塩であることが好ましく、遷移金属の金属塩であることがより好ましい。
藻類を培養して、藻類含有液を得る方法は、培養する藻類の種類に応じて、適切な培養条件等を適宜選択すればよい。藻類に油脂を多量に蓄積させるために、藻類を培養する培養液からリンイオンを低減させることを行ってもよい。
本実施形態の藻類油脂の抽出方法は、前記藻類を含む藻類含有液に酸素を溶存させる工程と、酸素が溶存された前記藻類含有液に超音波を与えて前記藻類を破砕し、藻類破砕液を得る工程を有する。
超音波によって細胞や組織を破砕することは、超音波破砕法として、超音波ホモジナイザーを用いる等により従来行われてきた。
しかし、発明者らが詳細に検討したこところ、藻類含有液に酸素を溶存させる工程を行い、酸素が溶存された前記藻類含有液に超音波を与えることで、油脂の収率及び純度の点からも、非常に好ましい状態で藻類が破砕された藻類破砕液が得られることが判明した。この藻類破砕液中に放出された藻類油脂は、高収率、高純度のまま前記藻類破砕液から、回収することも可能である。以下、前記各工程について説明する。
超音波によって細胞を破砕することは、従来行われてきた方法ではあるが、従来行われてきた超音波による細胞破砕は、主に物理的に細胞を破砕するものである。
物理的に藻類を破砕する場合、藻類含有液に超音波を与えることで、藻類含有液中を超音波が伝播し、液中に含まれる藻類が破砕される。また、超音波が比較的低周波である場合には、主に物理的な細胞の破砕が生じる。具体的には、液に振動を与えることによる圧力の発生による藻類の物理的な破砕、微細な泡の発生によるキャビテーションによる藻類の物理的な破砕が挙げられる。
一方、本実施形態の藻類油脂の抽出方法では、藻類含有液に酸素を溶存させる工程と、酸素が溶存された前記藻類含有液に超音波を与えて前記藻類を破砕し、藻類破砕液を得る工程を有しているため、本実施形態に係る藻類の破砕は、化学的に藻類を破砕するものである。
図1は、酸素が溶存された水に超音波を与えた際に生じると考えられる化学反応の一例を示す図である。図1に示すように、超音波が水に伝達されると水は超音波によって分解され、ヒドロキシルラジカル(OH・)及び水素原子(水素ラジカル(H・)と呼ばれる場合がある)が生成される。
ここで、藻類含有液に酸素を溶存させる工程を行うことで、ヒドロキシルラジカルが溶存酸素と反応してハイドロトリオキシドラジカル(HOOO・)を中間体として生成し、さらに反応が進行する事でヒドロキシルラジカルと一重項酸素()が生成する。ここで生成したヒドロキシルラジカルもまた溶存酸素と反応し、結果として一重項酸素の濃度が高まる。
酸素が溶存された水に超音波を与えた際に生じる反応が起きている液中に藻類をおくことで、当該反応生成物と藻類が反応し、油脂抽出の観点から非常に好ましい状態で藻類を破砕することができる。特に、ヒドロキシルラジカル、一重項酸素、及び藻類細胞が一反応系に共存していることが重要である。上記反応生成物のなかでも、一重項酸素及びヒドロキシルラジカルは強力な酸化分解作用を有しており、酸化分解作用により藻類細胞が破砕されると考えられる。
このように、本実施形態では、藻類含有液に酸素を溶存させる工程を行うことで、藻類含有液中に発生する一重項酸素及びヒドロキシルラジカルの量を増加させ、より効果的に藻類細胞を破砕することができる。
本実施形態においては、藻類含有液に与える超音波の周波数は、500kHz以上であることが好ましい。このことは、50kHz〜500kHz程度の低周波数帯の超音波を藻類含有液に照射した場合、藻類の破砕は、上記化学的な細胞破砕よりも、振動による物理的な細胞破砕が主となるためである。藻類含有液に与える超音波の周波数の上限としては、技術的に達成可能である周波数を上限値とすればよい。藻類含有液に与える超音波の周波数としては、500kHz以上5MHz以下であることが好ましく、600 kHz以上5MHz以下であることがより好ましい。
また、発明者らは、1.65 MHzの高周波数帯の超音波を水に照射したときに、25〜100 kHzの低周波数帯の超音波を水に照射したときに比べて100倍近い濃度のヒドロキシルラジカル(OH・)が生成するとの知見を得た。そして、後述する実施例において示されるように、発明者らは、1.65 MHzの高周波数帯の超音波を藻類含有液に与えることにより、純度の高い高品質な油脂を高収率に得ることができることを見出した。上記の知見を考慮し、藻類含有液に与える超音波の周波数としては、1MHz以上5MHz以下であることが好ましく、1MHz超5MHz以下であることが好ましく、1.3MHz以上5MHz以下であることがより好ましい。
また、発明者らは、2.5MHzの高周波数帯の超音波を水に照射したときには、1.65 MHzの高周波数帯の超音波を水に照射したときに比べてヒドロキシルラジカル(OH・)の生成が低下するとの知見を得た。これらの知見を考慮し、藻類含有液に与える超音波の周波数としては、2.5MHz未満であることが好ましく、500kHz以上2.5MHz未満であることがさらに好ましく、600 kHz以上2.5MHz未満であることがさらに好ましく、1MHz以上2.5MHz未満であることがさらに好ましく、1MHz超2.5MHz未満であることがさらに好ましく、1.3MHz以上2.5MHz未満であることがさらに好ましく、1.3MHz以上2MHz以下であることがさらに好ましく、1.5MHz以上2MHz以下であることが特に好ましく、1.5MHz以上1.8MHz以下であることが特に好ましい。
藻類含有液に酸素を溶存させる工程は、藻類含有液に超音波を与える際に、該藻類含有液中の溶存酸素濃度を高めることが目的である。したがって、前記藻類を含む藻類含有液に酸素を溶存させる工程の後に、酸素が溶存された前記藻類含有液に、超音波を与えて前記藻類を破砕し、藻類破砕液を得る工程を行なってもよい。ただし、溶存させた酸素は、時間の経過とともに藻類含有液から放出されるものと考えらえる。したがって、前記藻類を含む藻類含有液に酸素を溶存させる工程と同時に、酸素が溶存された前記藻類含有液に、超音波を与えて前記藻類を破砕し、藻類破砕液を得る工程を行うことが好ましい。例えば、前記藻類を含む藻類含有液に酸素を添加しながら、該藻類含有液に超音波を与えて前記藻類を破砕し、藻類破砕液を得る工程とすることが好ましい。
藻類含有液に酸素を溶存させる方法としては、藻類含有液に酸素を添加する方法が挙げられ、通常知られた方法を採用することができる。例えば、酸素含有気体を藻類含有液に接触させる方法、藻類含有液を攪拌機で撹拌して酸素含有気体と混合する方法、藻類含有液に酸素含有気体を吹き込む(バブリング)方法、藻類含有液に酸素発生剤を添加する方法、任意の液に酸素を添加して得られた液を藻類含有液と混合する方法などが挙げられる。酸素含有気体とは、酸素のみからなるものであってもよいが、入手容易性の観点から空気が好ましい。
上記方法のなかでは、簡便に効率よく藻類含有液に酸素を溶存させることができることから、バブリングにより藻類含有液へ酸素含有気体を送り込む方法がより好ましく、バブリングにより藻類含有液へ空気を送り込む方法がさらに好ましい。
超音波処理そのものによっても、液の振動や泡の発生により、藻類含有液に酸素が添加され得るとも考えられるが、本実施形態における藻類含有液に酸素を溶存させる工程とは、藻類を破砕するための前記超音波処理以外の方法によるものとする。
超音波が与えられる藻類含有液中の一重項酸素濃度は、20μM以上、25μM以上、30μM以上、40μM以上、50μM以上、60μM以上、70μM以上、80μM以上、90μM以上、100μM以上であることが好ましく、20μM〜270μMであることが好ましく、25μM〜270μMであることがより好ましく、30μM〜200μMであることがさらに好ましく、80μM〜200μMであることが特に好ましい。なお、上記Mは、mol/を表す。
藻類含有液中の一重項酸素濃度が上記範囲となるよう、藻類含有液への酸素の溶存及び超音波処理を行うことで、藻類の破砕の状態をより好ましいものとすることができる。
また例えば、超音波が与えられる藻類含有液中のヒドロキシルラジカル濃度が、10μM〜100μMであることが好ましく、40μM〜100μMであることが好ましく、25μM〜60μMであることがより好ましく、30μM〜50μMであることがさらに好ましい。
藻類含有液中のヒドロキシルラジカル濃度が上記範囲となるよう、藻類含有液への酸素の溶存及び超音波処理を行うことで、藻類の破砕の状態をより好ましいものとすることができる。
なお、本発明において、藻類含有液中の一重項酸素濃度及びヒドロキシルラジカル濃度は、それぞれ、電子スピン共鳴装置(ESR)を用いて、後述の実施例で示す一重項酸素濃度及びヒドロキシルラジカル濃度の測定条件、又はそれと互換性のある条件で測定されたものとする。電子スピン共鳴装置(ESR)は市販のものを使用することができる。
藻類含有液に酸素を添加する添加量は、適宜定めることができるが、目安として、藻類含有液1mLに対して1mL/分以上500mL/分以下であることが好ましく、20mL/分以上200mL/分以下であることが好ましく、50mL/分以上150mL/分以下であることが好ましい。
藻類含有液に超音波が与えられる時間は、一例として、藻類含有液1mLに対して、10秒〜30分が好ましく、30秒〜10分がより好ましく、60秒〜10分がさらに好ましい。上記範囲の時間で超音波処理を行うことにより、高純度の油脂を効率的に抽出可能であると考えられる。
超音波が与えられる藻類含有液の温度は、特に制限されないが、目安として、0℃〜80℃程度とすることが挙げられ、10℃〜40℃程度とすることが好ましい。
超音波が与えられる藻類含有液に含まれる藻類細胞の密度は、1cell/mL〜2×10cells/mLとすることが好ましく、1cell/mL〜2 × 10cells/mLとすることがより好ましい。
藻類の多くは、油脂をオイルボディと呼ばれる細胞内小器官に蓄積している。したがって、藻類から高収率に油脂を取り出すためには、藻類細胞の細胞壁を破壊し、オイルボディを取り出す必要がある。
しかし、従来の藻類油脂の抽出方法における藻類細胞の破砕は物理的な藻類細胞の破砕であり、おそらく細胞の破砕程度が高すぎるため、目的とする油脂成分以外に色素等の不純物の混入が生じることが問題であった。
これに対して、本実施形態においては、好ましくは600kHz以上の周波数の超音波を藻類含有液に与えることにより、油脂を抽出することに非常に適した状態で藻類細胞を破砕することができ、抽出された油脂中の不純物の混入を格段に低減させつつ、高い収率で油脂を得ることができる。また、藻類含有液に酸素を溶存させる工程を行うことで、抽出された油脂の純度を高いレベルとしたまま、さらに高効率に高純度な油脂を得ることができる。したがって、本実施形態の藻類油脂抽出方法によれば、従来必要とされていた油脂成分の精製を不要としながらも、高品質の油脂を高い収率で取得することができる。
このように、本実施形態の藻類油脂抽出方法は、短時間で且つ低コストに高純度の油脂抽出を可能とする画期的な方法である。
本実施形態の藻類油脂の抽出方法では、上記前記藻類破砕液から、前記藻類油脂を回収する工程を、更に有していてもよい。
上記前記藻類破砕液から、前記藻類油脂を回収する方法は、特に限定されず、例えば、適当な溶剤を藻類破砕液に接触させ、藻類破砕液に溶剤を重層させて静置し、溶剤を回収する方法が挙げられる。溶剤としては有機溶媒が好ましく、上記方法は一般的に溶媒抽出法として知られる方法である。前記有機溶媒としては、炭素数6〜10の直鎖状、分岐鎖状、又は環状の飽和炭化水素であることが好ましく、ヘキサンがさらに好ましい。
溶媒抽出法は、溶剤を藻類破砕液に重層さえることのみで、油脂を回収できることから、油脂回収コストを低く抑えることができる点においても、好ましい。しかし、従来の油脂抽出方法に溶媒抽出法を採用した場合には、溶媒中に目的の油脂成分以外に不純物も回収されてしまう場合があった。対して、本実施形態の油脂抽出方法では、油脂を抽出することに非常に適した状態で藻類細胞が破砕された藻類破砕液が得られるので、精製の工程を経ずとも溶媒抽出のみで、高品質の油脂を回収することができる。
≪超音波処理装置≫
本発明の超音波処理装置は、藻類を含む藻類含有液を溜めるための処理槽と、前記処理槽中の藻類含有液に超音波を与えて前記藻類を破砕し、藻類破砕液を得るための超音波発生手段と、を備える。
本発明の超音波処理装置は、本発明の藻類油脂の抽出方法の実施にあたり、好適に用いることができる。以下、図を参照しながら、本発明に係る超音波処理装置の好ましい実施形態について説明するが、本発明の藻類油脂の抽出方法は、以下の超音波処理装置を用いた方法に限定されない。
(第1の実施形態)
本実施形態の超音波処理装置は、藻類を含む藻類含有液を溜めるための処理槽と、前記処理槽中の前記藻類含有液へと前記超音波発生手段より発せられた超音波を伝播する作用液を溜めるための作用液槽と、前記処理槽中の藻類含有液に超音波を与えて前記藻類を破砕し、藻類破砕液を得るための超音波発生手段と、前記藻類含有液に酸素含有気体を送り込むための送込管と、を備え、前記処理槽が、前記作用液槽内部に配置されたものである。
図2に示すように、本実施形態の超音波処理装置10は、処理槽1と、作用液槽2と、超音波発生手段3と、前記藻類含有液に酸素含有気体を送り込むための送込管4と、を備える。超音波発生手段3は、作用液槽2内に配設されている。
本実施形態の超音波処理装置は、酸素供給手段として、送り込み管4及びポンプ5を備える。処理槽1には、ポンプ5から供給された酸素含有気体が送込管4を介して供給される。処理槽1は、超音波が与えられる藻類含有液L1を溜める槽である。酸素含有気体を噴出する送込管4先端の開口部は、藻類含有液L1の液面より下に設けられている。ポンプ5を作動させると、酸素含有気体が藻類含有液L1へと吹き込まれ、藻類含有液L1中の溶存酸素濃度が高められる。
作用液槽2に超音波を伝播する作用液L2が溜められた状態で、超音波発生手段3が超音波を発すると、超音波発生手段3から発せられた超音波は、作用液槽2内の作用液L2を介して処理槽1内の藻類含有液L1に伝播される。超音波が与えられた藻類含有液は、処理槽1内にてそれに含有される藻類が破砕され、藻類破砕液となる。
前記超音波発生手段の超音波の周波数は、500kHz以上であることが好ましい。このことは、50kHz〜500kHz程度の低周波数帯の超音波を藻類含有液に照射した場合、藻類の破砕は、上記化学的な細胞破砕よりも、振動による物理的な細胞破砕が主な作用となるためである。超音波発生手段の超音波の周波数の上限としては、技術的に達成可能である周波数を上限値とすればよい。超音波発生手段の超音波の周波数としては、500kHz以上5MHz以下であることが好ましく、600kHz以上5MHz以下であることがより好ましい。
また、発明者らは、1.65 MHzの高周波数帯の超音波を水に照射したときに、25〜100 kHzの低周波数帯の超音波を水に照射したときに比べて100倍近い濃度のヒドロキシルラジカル(OH・)が生成するとの知見を得た。そして、後述する実施例において示されるように、発明者らは、1.65 MHzの高周波数帯の超音波を藻類含有液に与えることにより、純度の高い高品質な油脂を高収率に得ることができることを見出した。上記の知見を考慮し、超音波発生手段の超音波の周波数としては、1MHz以上5MHz以下であることが好ましく、1MHz超5MHz以下であることが好ましく、1.3MHz以上5MHz以下であることがより好ましい。
また、発明者らは、2.5MHzの高周波数帯の超音波を水に照射したときには、1.65 MHzの高周波数帯の超音波を水に照射したときに比べてヒドロキシルラジカル(OH・)の生成が低下するとの知見を得た。これらの知見を考慮し、超音波発生手段の超音波の周波数としては、2.5MHz未満であることが好ましく、500kHz以上2.5MHz未満であることがさらに好ましく、600 kHz以上2.5MHz未満であることがさらに好ましく、1MHz以上2.5MHz未満であることがさらに好ましく、1MHz超2.5MHz未満であることがさらに好ましく、1.3MHz以上2.5MHz未満であることがさらに好ましく、1.3MHz以上2MHz以下であることがさらに好ましく、1.5MHz以上2MHz以下であることが特に好ましく、1.5MHz以上1.8MHz以下であることが特に好ましい。
酸素含有気体の供給源であるポンプ5と、超音波発生手段3は、順次作動させることもでき、同時に作動させることもできる。
超音波発生手段は、例えば、超音波振動子である。超音波処理装置は、超音波振動子を駆動させるモーター等をさらに備えていてもよい。
なお、本実施形態においては、超音波発生手段3が作用液槽2内に配設された態様を例示したが、例えば、超音波発生手段3が作用液槽2外の作用液槽2の壁面に取り付けられていてもよく、超音波発生手段3が作用液槽2の壁内部に埋設されていてもよい。
また、本実施形態では、超音波発生手段3は作用液槽内2内に配設された態様を例示したが、別の態様として、超音波発生手段3は処理槽1内に配設されていてもよい。この場合、超音波発生手段から発せられた超音波は、作用液を介さずに、藻類含有液へと与えられ、作用液槽は必須の構成としない。
本実施形態において示したように、作用液槽2を設け、超音波発生手段3は作用液槽内2内に配設され構成とすることにより、超音波発生手段と藻類含有液とを直接に接することなく超音波処理することが可能となる。このような構成とすることにより、超音波発生手段にとっては藻類含有液の影響を受けにくいため、管理性、耐久性等に優れた超音波処理装置とすることができる。
送込管4は処理槽1と連結されていてもよく、処理槽1の壁面に送込管4と連通する連通口が設けられていてもよい。
本実施形態によれば、酸素供給手段によって、藻類含有液へ酸素含有気体が導入される。この溶存酸素濃度が高められた状態の藻類含有液へ、超音波発生手段により超音波が与えられると、上記藻類油脂の抽出方法において説明したように、より効果的に藻類細胞を破砕することができ、高品質な藻類油脂を高収率に得ることができる。
(第2の実施形態)
図3に示すように、本実施形態の超音波処理装置20は、前記藻類破砕液から藻類油脂を回収するための有機溶媒をためる有機溶媒貯蔵槽6及び配管7をさらに備えている点で、図2に示す超音波処理装置10と異なっている。その他構成は、超音波処理装置10と同一であり、上記第1の実施形態の超音波処理装置10と共通する点について説明を省略し、同じ構成要素に対しては、超音波処理装置10で使用したものと同一の符号を用いている。
有機溶媒貯蔵槽6にためられた有機溶媒は、配管7を介して処理槽1に導入される。処理槽1に藻類破砕液が溜められているときに、有機溶媒貯蔵槽6から有機溶媒が処理槽1へと導入されると、藻類破砕液中の油脂が有機溶媒へと回収される。
本実施形態によれば、有機溶媒を藻類破砕液に導入することができ、藻類破砕液を送液する必要がないことから、油脂抽出のランニングコストを低減できる。
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
1.藻類の培養
藻類はクラミドモナスの野生株 (C9株CC−408 mt)を用いた。通常培養においては、液体TAP培地の改変培地を使用し、20〜40 μE m−2−1の連続光下、23℃で旋回培養した。油脂を多量に蓄積させるために、該液体TAP培地の改変培地からはリンのイオンを除いてある。以下、当該液体TAP培地の改変培地をTAP改変培地(−P)という。実験には、TAP改変培地(−P)に移して培養した細胞を使用した。移し替える過程は以下の通りである。対数増殖期にあるクラミドモナス藻体を遠心で回収し( 5分、1,800 × g )、TAP改変培地(−P)で2回洗い、1.0 × 10 cells/mLの細胞濃度になるようにTAP改変培地(−P)に懸濁し、20〜40 μE m−2−1の連続光下、23℃で8日間、旋回培養した。
2.藻類培養液への超音波処理
上記(1.藻類の培養)に記載とおり、藻類の培養を行い、培養後の藻体を、1〜2 ×10cells/mLの細胞数になるようにTAP改変培地(−P)に懸濁し、これを藻類培養液とし、1 mLを超音波処理に用いた。超音波処理は、超音波処理装置(スピンナノ装置IV(株式会社 ニモ製))を用いて、出力36 V、1.65MHzで10秒間、20秒間、30秒間、又は60秒間の超音波処理(室温)、或いは出力48 V、1.65MHzで10分間の超音波処理(室温)、で行った。藻類培養液への超音波処理は、上記スピンナノ装置付属の槽であり、槽内部に超音波振動子が設けられた槽に水を入れ、槽にためられた水の中に藻類培養液を入れた試験管を沈めた状態で行った。また、対照群として、超音波洗浄装置(BRANSONIC3210、日本エマソン社製)を用いて、出力47kHzで10分間、又は30分間の藻類培養液への超音波処理(室温)を行った。上記超音波処理装置の槽にためられた水の中に、藻類培養液を入れた試験管を沈めた状態で行った。
超音波処理後すぐに光学顕微鏡で観察を行なった。
図4〜11に、上記各条件で超音波処理をされた培養液中に含まれる藻類細胞の、観察結果を示す。
図4は、出力36 V、1.65MHzで10秒間の超音波処理後、図5は、出力36 V、1.65MHzで20秒間の超音波処理後、図6は、出力36 V、1.65MHzで30秒間の超音波処理後、図7は、出力36 V、1.65MHzで60秒間の超音波処理後の藻類細胞の様子である。
図8は、超音波処理前、図9は、出力48 V、1.65MHzで10分間の超音波処理後の藻類細胞の様子である。
図10は、47kHzで10分間の超音波処理後、図11は、47kHzで30分間の超音波処理後の藻類細胞の様子である。
図10及び図11に示されるように、47kHzの超音波処理では、細胞がうまく破砕されていないことが分かる。
一方、1.65MHzの超音波処理では、図4〜7に示されるように、超音波処理の処理時間を長くするほど、藻類細胞が破砕されていくことがわかる。また、図9に示されるように、10分間の超音波処理によって、藻類細胞が良好に破壊されたことがわかる。
3.超音波処理後の藻類培養液中に含まれる粒子の粒子経の測定
上記(1.藻類の培養)に記載とおり、藻類の培養を行い、1〜2 × 10cells/mL の細胞数になるように藻体を調製し、1 mLを超音波破砕に用いた。処理条件は出力48 V、1.65MHzで10分間処理をした。処理前と処理後のサンプルを適宜希釈して粒子径をレーザ回折式粒子径分布測定装置によって測定した。レーザ回折式粒子径分布測定装置には島津製作所のSALD−2300を使用した。
結果を図12に示す。超音波処理前の藻類培養液中に含まれる粒子の平均粒子径は、約10μmであり、超音波処理後の藻類培養液中に含まれる粒子の平均粒子径は、約1.3μmであった。このことから、藻類培養液中の藻類細胞が、超音波処理によって破壊され、より小さな粒子になったことが確認された。
4.超音波処理時間の検討
上記(1.藻類の培養)に記載とおり、藻類の培養を行い、1〜2 × 10cells/mL の細胞数になるように藻体を調製してこれを藻類培養液とし、1 mLを超音波破砕に用いた。超音波処理条件は出力48 V、1.65MHzとし、藻類培養液温度50℃で、5分間、10分間、20分間又は30分間の超音波処理を行った。
藻類培養液1mLのそれぞれに、1 mLのヘキサンを重層して一晩静置した。その後ヘキサン層を回収し、薄層クロマトグラフィー (TLC Silica gel 60, 20x20 cm, メルク, 製品コード1.05721.0009、展開溶媒組成は、ヘキサン:ジエチルエーテル:酢酸 = 160 : 40 : 4 (vol/vol/vol))を行った。
上記プレートから油脂トリアシルグリセロール(TAG)のスポットをかきとって含量の測定を行った。
15:0脂肪酸を内部標準試料として、TAGをメタノリシス処理した。具体的には、ネジ栓付きガラス試験管内で、TAGを含むシリカゲル粉末に100μlの1 mM 15:0ヘキサン溶液(pentadecanoic acid, シグマアルドリッチ, P−6125)および350μlの5% (vol/vol)塩化水素メタノール溶液(和光純薬、089−03971)を添加して85℃で1時間処理した。メタノリシス処理後、ヘキサンで脂肪酸メチルエステルを回収し、窒素ガスで乾固後、60μlのヘキサンで回収し、そのうち3μlをガスクロマトグラフィーで解析した。ガスクロマトグラフィー (島津製作所、GC−2014、カラムは信和化工株式会社のHR−SS−10 (25 m × 0.25 mm ID)、カラム温度180℃、気化室および検出器250℃、入口圧(kPa)68.2、カラム流量 (ml/min) 0.53、スプリット比 68.8、計測時間15分)を用いて分離・定量を行った。
上記ヘキサン層へのTAG回収率は、Bligh and Dyer法(Can. J. Biochem. Phsiol. (1959) 37巻, 911頁)に基づき超音波処理をしていない藻体から総脂質を抽出後、上述と同様に薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィーを用いてTAGを定量し、その値を100%として回収率を計算した。
結果を図13に示す。図13に示すグラフから、上記処理条件では、藻類含有液温度50℃にて10分程度の超音波処理をすれば、油脂回収量がほぼ最大値となることが分かった。
5.一重項酸素濃度とヒドロキシルラジカルの測定
超音波処理、及び超音波処理に加えてバブリング処理をした場合の、ヒドロキシルラジカル及び一重項酸素の発生量の測定した。バブリング処理は、酸素バブリング処理と、空気バブリング処理の両方の場合で測定した。
一重項酸素濃度とヒドロキシルラジカル濃度はXバンド電子スピン共鳴(ESR)装置(JES−FA−100、日本電子株式会社製)を用いて定量した。ヒドロキシルラジカル濃度の測定では150 μLのTAP改変培地(−P)と50 μLの 5,5−ジメチル−1−ピロリン−N−オキシド(DMPO) (1.2 M)の混合液を用意した。一重項酸素濃度の測定では750 μLのTAP改変培地(−P)培地と250 μLの 2、2、5、5−テトラメチル−3−ピロリン−3−カルボキサミド(TPC)(100 mM)の混合液を用意した。
それぞれのサンプルを出力48 V、1.65MHzで1分間または5分間超音波処理し、ESRスペクトルを測定した。また、それぞれのサンプルを上記超音波処理する5分前から超音波処理が終了する時点まで、酸素又は空気を100 mL/分で吹き込むバブリング処理を行った。
ESR測定条件は、マイクロ波出力1 mW、マイクロ波周波数 9.428 GHz、掃引磁場330.5から340.5 mT、変調周波数100 kHz、変調幅0.1 mT、掃引時間2分、時定数0.1秒、ESRスペクトロメーターは日本電子株式会社のJES−FA−100を用いた。各々のラジカル濃度は、内部標準物質の酸化マンガンに由来するMn2+のシグナル面積とサンプル由来のシグナル面積を用いて、20 μMのTEMPOLのラジカル濃度を基準として算出した。
結果を図14に示す。図14(a)は、サンプルに超音波処理のみを行った場合と、超音波処理及び酸素バブリング処理を行った場合とで、サンプル中の一重項酸素濃度を比較したグラフである。図14(b)は、サンプルに超音波処理のみを行った場合と、超音波処理及び酸素バブリング処理を行った場合とで、サンプル中のヒドロキシルラジカル濃度を比較したグラフである。
図14(c)は、サンプルに超音波処理のみを行った場合と、超音波処理及び空気バブリング処理を行った場合とで、サンプル中の一重項酸素濃度を比較したグラフである。図14(d)は、サンプルに超音波処理のみを行った場合と、超音波処理及び空気バブリング処理を行った場合とで、サンプル中のヒドロキシルラジカル濃度を比較したグラフである。
酸素バブリング処理、及び空気バブリング処理のどちらのバブリング処理を行った場合でも、培地中の一重項酸素濃度が上昇したことが示された。
ヒドロキシルラジカル濃度については、一重項酸素濃度とは異なる変動の様子がみられたが、これは、ヒドロキシルラジカルの生成が水の分解とハイドロトリオキシドラジカルの分解の2過程から生成するとともに溶存酸素との反応で消費されたことによるものと考えられる。
6.藻類培養液への超音波処理、及びバブリング処理
(実施例1)
上記(1.藻類の培養)に記載とおり、藻類の培養を行った。培養後の藻体は、1〜2×10cells/mLの細胞数になるようにTAP改変培地(−P)に懸濁し、藻類培養液とした。この藻類培養液1 mLを超音波処理及びバブリング処理に用いた。
上記藻類培養液に、出力48 V、1.65MHzで10分間、室温で超音波処理を行った。また、超音波処理する5分前から超音波処理が終了する時点まで、藻類培養液に酸素を100 mL/分で吹き込む酸素バブリング処理を行った。
(実施例2)
酸素に代えて、空気を藻類培養液に100 mL/分で吹きこんだ以外は、実施例1と同様にして、藻類培養液への超音波処理及び空気バブリング処理を行った。
(比較例1〜2)
実施例1と同様にして藻類培養液を得た。藻類培養液には、超音波処理もバブリング処理も行わなかった。
(比較例3〜4)
実施例1と同様にして藻類培養液を得た後、実施例1と同様にして、藻類培養液へ超音波処理を行った。藻類培養液にはバブリング処理は行わなかった。
7.脂質抽出及び回収
上記実施例2で超音波処理及び空気バブリング処理を受けた藻類培養液1mLと、上記比較例4で超音波処理を受けた藻類培養液1mLのそれぞれに、1 mLのヘキサンを重層して一晩静置した。その後ヘキサン層を回収し、薄層クロマトグラフィー (TLC Silica gel 60, 20x20 cm, メルク, 製品コード1.05721.0009、展開溶媒組成は、ヘキサン:ジエチルエーテル:酢酸 = 160 : 40 : 4 (vol/vol/vol))を行った。
結果を図15に示す。水層をスポットした方のプレート(図15(b))では、油脂(トリアシルグリセロール)のスポット他に、色素、ジアシルグリセロール、膜脂質に代表されるその他極性脂質の分離が観察された。一方、ヘキサン層をスポットした方のプレート(図15(a))では、油脂(トリアシルグリセロール)のスポットのみが観察され、色素、ジアシルグリセロール、膜脂質に代表されるその他極性脂質の分離はほとんど確認できなかった。
このことから、超音波処理を経た藻類培養液から、ヘキサン層に回収された油脂の純度は、非常に高純度であることが明らかとなった。また、超音波処理及び空気バブリング処理を経た藻類培養液から、ヘキサン層に回収された油脂の純度も、非常に高純度であることが明らかとなった。回収されたこれらの油脂は、従来の油脂の抽出方法では通常必要とされる油脂の精製が必要ないほどに、高純度であると考えられる。
8.TAG量の測定
上記プレートから油脂トリアシルグリセロール(TAG)のスポットをかきとって含量の測定を行った。
15:0脂肪酸を内部標準試料として、TAGをメタノリシス処理した。具体的には、ネジ栓付きガラス試験管内で、TAGを含むシリカゲル粉末に100μlの1 mM 15:0ヘキサン溶液(pentadecanoic acid, シグマアルドリッチ, P−6125)および350μlの5% (vol/vol)塩化水素メタノール溶液(和光純薬、089−03971)を添加して85℃で1時間処理した。メタノリシス処理後、ヘキサンで脂肪酸メチルエステルを回収し、窒素ガスで乾固後、60μlのヘキサンで回収し、そのうち3μlをガスクロマトグラフィーで解析した。ガスクロマトグラフィー (島津製作所、GC−2014、カラムは信和化工株式会社のHR−SS−10 (25 m × 0.25 mm ID)、カラム温度180℃、気化室および検出器250℃、入口圧(kPa)68.2、カラム流量 (ml/min) 0.53、スプリット比 68.8、計測時間15分)を用いて分離・定量を行った。
上記ヘキサン層へのTAG回収率は、Bligh and Dyer法(Can. J. Biochem. Phsiol. (1959) 37巻, 911頁)に基づき超音波処理をしていない藻体から総脂質を抽出後、上述と同様に薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィーを用いてTAGを定量し、その値を100%として回収率を計算した。
結果を図16に示す。図16(a)は、上記実施例1で超音波処理及び酸素バブリング処理を受けた藻類培養液、上記比較例1の藻類培養液、上記比較例3で超音波処理を受けた藻類培養液のそれぞれから、ヘキサン層に回収した油脂の回収率を示すグラフである。
比較例1及び比較例3の藻類培養液からのTAGの回収率と比較して、実施例1の藻類培養液からのTAGの回収率が飛躍的に上昇しており、高い油脂回収率を達成できたことが示された。
図16(b)は、上記実施例2で超音波処理及び空気バブリング処理を受けた藻類培養液、上記比較例2の藻類培養液、上記比較例4で超音波処理を受けた藻類培養液のそれぞれから、ヘキサン層に回収された油脂の回収率を示すグラフである。
比較例2及び比較例4の藻類培養液からのTAGの回収率と比較して、実施例2の藻類培養液からのTAGの回収率が飛躍的に上昇しており、高い油脂回収率を達成できたことが示された。
したがって、酸素バブリングよりも簡便な空気バブリングによっても、高い油脂回収率を達成できたことが示された。
以上で説明した各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は各実施形態によって限定されることはなく、請求項(クレーム)の範囲によってのみ限定される。
10,20…超音波処理装置、1…処理槽、2…作用液槽、3…超音波発生手段、4…送込管、5…ポンプ、6…有機溶媒貯蔵槽、7…配管

Claims (14)

  1. 油脂抽出のために培養された藻類に含有される藻類油脂を抽出する藻類油脂の製造方法であって、
    前記藻類を含む藻類含有液に酸素を溶存させる工程と、
    酸素が溶存された前記藻類含有液に周波数が600kHz以上の超音波を与えて前記藻類を破砕し、藻類破砕液を得る工程と、
    前記藻類破砕液から、有機溶媒を用いて前記藻類油脂を回収する工程と、
    を有することを特徴とする藻類油脂の製造方法。
  2. 前記超音波の周波数が1MHz以上2.5MHz未満の範囲である請求項に記載の藻類油脂の製造方法。
  3. 前記超音波の周波数が1.3MHz以上2MHz以下の範囲である請求項1又は2に記載の藻類油脂の製造方法。
  4. 前記藻類含有液中の一重項酸素濃度が、20μM〜270μMとなるように前記藻類含有液に酸素を添加する請求項1〜のいずれか一項に記載の藻類油脂の製造方法。
  5. 前記藻類含有液中のヒドロキシルラジカル濃度が、10μM〜100μMとなるように前記藻類含有液に酸素を添加する請求項1〜のいずれか一項に記載の藻類油脂の製造方法。
  6. 前記藻類含有液への酸素の添加が、藻類含有液へ酸素含有気体をバブリングにより送り込むものである請求項1〜のいずれか一項に記載の藻類油脂の製造方法。
  7. 藻類を培養して前記藻類含有液を得る培養工程を有する請求項1〜のいずれか一項に記載の藻類油脂の製造方法。
  8. 藻類を含む藻類含有液を溜めるための処理槽と、
    前記処理槽中の藻類含有液に超音波を与えて前記藻類を破砕し、藻類破砕液を得るための超音波発生手段と、
    前記藻類破砕液から藻類油脂を回収するための有機溶媒をためる有機溶媒貯蔵槽と、
    を備え
    前記超音波の周波数が600kHz以上の範囲に選定されていることを特徴とする藻類油脂抽出装置。
  9. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の藻類油脂の製造方法に用いられる藻類油脂抽出装置であって、
    藻類を含む藻類含有液を溜めるための処理槽と、
    前記処理槽中の藻類含有液に超音波を与えて前記藻類を破砕し、藻類破砕液を得るための超音波発生手段と、を備え
    前記超音波の周波数が600kHz以上の範囲に選定されていることを特徴とする藻類油脂抽出装置。
  10. 更に、前記藻類破砕液から藻類油脂を回収するための有機溶媒をためる有機溶媒貯蔵槽を備えた請求項に記載の藻類油脂抽出装置。
  11. 前記超音波の周波数が1MHz以上2.5MHz未満の範囲に選定されている請求項8〜10のいずれか一項に記載の藻類油脂抽出装置。
  12. 前記超音波の周波数が1.3MHz以上2MHz以下の範囲に選定されている請求項11のいずれか一項に記載の藻類油脂抽出装置。
  13. 前記藻類含有液に酸素含有気体を送り込むための送込管を備えた請求項12のいずれか一項に記載の藻類油脂抽出装置。
  14. 前記処理槽中の前記藻類含有液へと前記超音波発生手段より発せられた超音波を伝播する作用液を溜めるための作用液槽を備え、
    前記処理槽が、前記作用液槽内部に配置された請求項13のいずれか一項に記載の藻類油脂抽出装置。
JP2015000784A 2015-01-06 2015-01-06 藻類油脂の抽出方法、及び超音波処理装置 Active JP6447912B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015000784A JP6447912B2 (ja) 2015-01-06 2015-01-06 藻類油脂の抽出方法、及び超音波処理装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015000784A JP6447912B2 (ja) 2015-01-06 2015-01-06 藻類油脂の抽出方法、及び超音波処理装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016124998A JP2016124998A (ja) 2016-07-11
JP6447912B2 true JP6447912B2 (ja) 2019-01-09

Family

ID=56358888

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015000784A Active JP6447912B2 (ja) 2015-01-06 2015-01-06 藻類油脂の抽出方法、及び超音波処理装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6447912B2 (ja)

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS58220683A (ja) * 1982-06-17 1983-12-22 Toushiyou Denki Kk 超音波による細胞等の破砕装置
BE1010407A4 (fr) * 1996-07-04 1998-07-07 Undatim Ultrasonics Procede et installation de traitement des eaux.
MX2008007914A (es) * 2008-06-18 2009-12-18 Alternativas Bioenergeticas S Proceso y aparato para extraer biodiesel a partir de algas.
US20110217743A1 (en) * 2010-03-03 2011-09-08 Kao Corporation Method of Producing Lauric Acid-containing Oil or Fat
JP5901519B2 (ja) * 2010-06-30 2016-04-13 マイクロ波化学株式会社 油状物質の製造方法、及び油状物質の製造装置
JP2014185189A (ja) * 2011-07-14 2014-10-02 Ajinomoto Co Inc 脂肪酸類の製造法
CN103146582A (zh) * 2013-03-25 2013-06-12 哈尔滨工业大学 一种富油微藻的高通量筛选方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016124998A (ja) 2016-07-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Chen et al. Determination of microalgal lipid content and fatty acid for biofuel production
Liu et al. Ultrasound for microalgal cell disruption and product extraction: A review
Khoo et al. Recent advances in downstream processing of microalgae lipid recovery for biofuel production
Tommasi et al. Enhanced and selective lipid extraction from the microalga P. tricornutum by dimethyl carbonate and supercritical CO2 using deep eutectic solvents and microwaves as pretreatment
Wang et al. Disruption of microalgal cells using high-frequency focused ultrasound
Mendez et al. Enhancing methane production of Chlorella vulgaris via thermochemical pretreatments
Bharte et al. Techniques for harvesting, cell disruption and lipid extraction of microalgae for biofuel production
Russell et al. Microalgae for lipid production: Cultivation, extraction & detection
Tzima et al. Recent advances in supercritical CO2 extraction of pigments, lipids and bioactive compounds from microalgae
Kadir et al. Simultaneous harvesting and cell disruption of microalgae using ozone bubbles: optimization and characterization study for biodiesel production
Zou et al. Rapid extraction of lipid from wet microalgae biomass by a novel buoyant beads and ultrasound assisted solvent extraction method
US20140199744A1 (en) Algal cell lysis and lipid extraction using electromagnetic radiation-excitable metallic nanoparticles
CN103497171A (zh) 一种超声预处理植物油脱臭馏出物强化提取ve装置及方法
WO2016092828A1 (ja) 藻類の破砕方法
Zhang et al. Electro-Fenton based technique to enhance cell harvest and lipid extraction from microalgae
JP6447912B2 (ja) 藻類油脂の抽出方法、及び超音波処理装置
Kim et al. The effects of microalgal cell disruption via FeCl3-based synergistic effect between Fenton-like and Lewis acid reaction for lipid extraction
WO2020026794A1 (ja) パームオイル工場排出液(pome)をつかった従属栄養性微細藻類の培養方法及びdha製造方法
KR101251191B1 (ko) 세포배양을 통한 세포 및 지용성물질의 생산 방법 및 장치
Mat Husin et al. A review on pretreatment methods for lipid extraction from microalgae biomass
KR20120002101A (ko) 세포배양을 통한 세포 및 지용성물질의 생산 방법 및 장치
Antezana Zbinden Investigation of pulsed electric field (PEF) as an intensification pretreatment for solvent lipid extraction from microalgae, utilizing ethyl acetate as a greener substitute to chloroform-based extraction
Mokhtar et al. Comparative analysis of process intensification technologies (PIT) for improved cell disruption and lipid recovery in Aurantiochytrium sp. SW1 microalgae
US20230313095A1 (en) Methods, apparatus, and systems for efficient harvesting of microalgae biomass from discrete biomass receptacles
US20150126712A1 (en) Methods of extracting chemical compounds from organisms with resistant cell walls

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20160531

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20160531

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20171218

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20171218

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180706

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180807

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181003

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20181023

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181122

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20181122

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6447912

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250