図1は、本発明の発電システムの一実施形態を示す概略構成図である。
図1において、発電システム1は、温度が経時的に上下する熱源2と、熱源2の温度変化により温度が経時的に上下され、電気分極する第1デバイス3と、第1デバイス3から電力を取り出すための第2デバイス4と、第1デバイス3に電圧を印加する電圧印加手段としての電圧印加装置9と、電圧印加装置9により第1デバイス3に電圧を印加するタイミングを決定するために参照される温度センサ8と、第1デバイス3に電圧を印加するように電圧印加装置9を作動させるための制御手段としての制御ユニット10とを備えている。
熱源2としては、温度が経時的に上下する熱源、具体的には、経時により周期的に温度変化する熱源であれば、特に制限されないが、例えば、内燃機関、発光装置などの各種エネルギー利用装置が挙げられる。
内燃機関は、例えば、車両などの動力を出力する装置であって、例えば、単気筒型または多気筒型が採用されるとともに、その各気筒において、多サイクル方式(例えば、2サイクル方式、4サイクル方式、6サイクル方式など)が採用される。
このような内燃機関では、各気筒において、ピストンの昇降運動が繰り返されており、これにより、例えば、4サイクル方式では、吸気工程、圧縮工程、爆発工程、排気工程などが順次実施され、燃料が燃焼され、動力が出力されている。
このような内燃機関において、排気工程では、高温の排気ガスが、排気ガス管を介して排気され、その排気ガスを熱媒体として熱エネルギーが伝達され、排気ガス管の内部温度が上昇する。
一方、その他の工程(排気工程を除く工程)では、排気ガス管中の排気ガス量が低減されるため、排気ガス管の内部温度は、排気工程に比べて、下降する。
このように、内燃機関の温度は、排気工程において上昇し、吸気工程、圧縮工程および爆発工程において下降し、つまり、経時的に上下する。
とりわけ、上記の各工程は、ピストンサイクルに応じて、周期的に順次繰り返されるため、内燃機関における各気筒の排気ガス管の内部は、上記の各工程の繰り返しの周期に伴って、周期的に温度変化、より具体的には、高温状態と低温状態とが、周期的に繰り返される。
発光装置は、点灯(発光)時には、例えば、赤外線、可視光などの光を熱媒体として、その熱エネルギーにより温度上昇し、一方、消灯時には温度低下する。そのため、発光装置は、経時的に、点灯(発光)および消灯することにより、その温度が経時的に上下する。
とりわけ、例えば、発光装置が、経時的に照明の点灯および消灯が断続的に繰り返される発光装置(明滅(点滅)式の発光装置)である場合には、その発光装置は、点灯(発光)時における光の熱エネルギーにより、周期的に温度変化、より具体的には、高温状態と低温状態とが、周期的に繰り返される。
また、熱源2としては、さらに、例えば、複数の熱源を備え、それら複数の熱源間の切り替えにより、温度変化を生じることもできる。
より具体的には、例えば、熱源として、低温熱源(冷却材など)と、その低温熱源より温度の高い高温熱源(例えば、加熱材など)との2つの熱源を用意し、経時的に、それら低温熱源および高温熱源を、交互に切り替えて用いる形態が挙げられる。
これにより、熱源としての温度を、経時的に上下させることができ、とりわけ、低温熱源および高温熱源の切り替えを、周期的に繰り返すことにより、周期的に温度変化させることができる。
切り替え可能な複数の熱源を備える熱源2としては、特に制限されないが、例えば、燃焼用低温空気供給系、蓄熱式熱交換器、高温ガス排気系、および、供給/排気切替弁を備えた高温空気燃焼炉(例えば、再公表96−5474号公報に記載される高温気体発生装置)、例えば、高温熱源、低温熱源および水素吸蔵合金を用いた海水交換装置(水素吸蔵合金アクチュエータ式海水交換装置)などが挙げられる。
これら熱源2としては、上記熱源を単独使用または2種類以上併用することができる。
また、熱源2として、好ましくは、内燃機関が挙げられる。
第1デバイス3は、熱源2の温度変化に応じて電気分極するデバイスである。
ここでいう電気分極とは、結晶の歪みにともなう正負イオンの変位により誘電分極し電位差が生じる現象、例えばピエゾ効果、および/または、温度変化により誘電率が変化し電位差が生じる現象、例えば焦電効果などのように、材料に起電力が発生する現象と定義する。
このような第1デバイス3として、より具体的には、例えば、ピエゾ効果により電気分極するデバイス、焦電効果により電気分極するデバイスなどが挙げられる。
ピエゾ効果は、応力または歪みが加えられたときに、その応力または歪みの大きさに応じて電気分極する効果(現象)である。
このようなピエゾ効果により電気分極する第1デバイス3としては、特に制限されず、公知のピエゾ素子(圧電素子)を用いることができる。
第1デバイス3としてピエゾ素子が用いられる場合には、ピエゾ素子は、例えば、その周囲が固定部材により固定され、熱源2に接触するか、または、熱源2の熱を伝達する熱媒体(上記した排気ガス、光など)に接触(曝露)されるように配置される。
固定部材としては、特に制限されず、例えば、後述する第2デバイス4(例えば、電極など)を用いることもできる。
そして、このような場合には、ピエゾ素子は、熱源2の経時的な温度変化により、(場合により熱媒体(上記した排気ガス、光など)を介して)加熱または冷却され、これにより、膨張または収縮する。
このとき、ピエゾ素子は、固定部材により体積膨張が抑制されているため、ピエゾ素子は、固定部材に押圧され、ピエゾ効果(圧電効果)、または、キュリー点付近での相変態により、電気分極する。これにより、詳しくは後述するが、第2デバイス4を介して、ピエゾ素子から電力が取り出される。
また、このようなピエゾ素子は、通常、加熱状態または冷却状態が維持され、その温度が一定(すなわち、体積一定)になると、電気分極が中和され、その後、冷却または加熱されることにより、再度、電気分極する。
そのため、上記したように熱源2が周期的に温度変化し、高温状態と低温状態とが周期的に繰り返される場合などには、ピエゾ素子が周期的に繰り返し加熱および冷却されるため、ピエゾ素子の電気分極およびその中和が、周期的に繰り返される。
その結果、後述する第2デバイス4により、電力が、周期的に変動する波形(例えば、交流、脈流など)として取り出される。
焦電効果は、例えば、絶縁体(誘電体)などを加熱および冷却する時に、その温度変化に応じて絶縁体が電気分極する効果(現象)であって、第1効果および第2効果を含んでいる。
第1効果は、絶縁体の加熱時および冷却時において、その温度変化により自発分極し、絶縁体の表面に、電荷を生じる効果とされている。
また、第2効果は、絶縁体の加熱時および冷却時において、その温度変化により結晶構造に圧力変形が生じ、結晶構造に加えられる応力または歪みにより、圧電分極を生じる効果(ピエゾ効果、圧電効果)とされている。
このような焦電効果により電気分極するデバイスとしては、特に制限されず、公知の焦電素子を用いることができる。
第1デバイス3として焦電素子が用いられる場合には、焦電素子は、熱源2に接触するか、または、熱源2の熱を伝達する熱媒体(上記した排気ガス、光など)に接触(曝露)されるように配置される。
このような場合において、焦電素子は、熱源2の経時的な温度変化により、(場合により熱媒体(上記した排気ガス、光など)を介して)加熱または冷却され、その焦電効果(第1効果および第2効果を含む)により、電気分極する。これにより、詳しくは後述するが、第2デバイス4を介して、焦電素子から電力が取り出される。
また、このような焦電素子は、通常、加熱状態または冷却状態が維持され、その温度が一定になると、電気分極が中和され、その後、冷却または加熱されることにより、再度、電気分極する。
そのため、上記したように熱源2が周期的に温度変化し、高温状態と低温状態とが周期的に繰り返される場合などには、焦電素子が周期的に繰り返し加熱および冷却されるため、焦電素子の電気分極およびその中和が、周期的に繰り返される。
その結果、後述する第2デバイス4により、電力が、周期的に変動する波形(例えば、交流、脈流など)として取り出される。
これら第1デバイス3は、単独使用または2種類以上併用することができる。
このような第1デバイス3として、具体的には、上記したように、公知の焦電素子(例えば、BaTiO3、CaTiO3、(CaBi)TiO3、BaNd2Ti5O14、BaSm2Ti4O12、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT:Pb(Zr,Ti)O3)など)、公知のピエゾ素子(例えば、水晶(SiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、ロッシェル塩(酒石酸カリウム−ナトリウム)(KNaC4H4O6)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT:Pb(Zr,Ti)O3)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、リチウムテトラボレート(Li2B4O7)、ランガサイト(La3Ga5SiO14)、窒化アルミニウム(AlN)、電気石(トルマリン)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)など)、Ca3(VO4)2、Ca3(VO4)2/Ni、LiNbO3、LiNbO3/Ni、LiTaO3、LiTaO3/Ni、Li(Nb0.4Ta0.6)O3、Li(Nb0.4Ta0.6)O3/Ni、Ca3{(Nb,Ta)O4}2、Ca3{(Nb,Ta)O4}2/Niなどを用いることができる。
また、第1デバイス3としては、さらに、LaNbO3、LiNbO3、KNbO3、MgNbO3、CaNbO3、(K1/2Na1/2)NbO3、(Bi1/2K1/4Na1/4)NbO3、(Sr1/100(K1/2Na1/2)99/100)NbO3、(Ba1/100(K1/2Na1/2)99/100)NbO3、(Li1/10(K1/2Na1/2)9/10)NbO3などの誘電体を用いることもできる。
第1デバイス3のキュリー点は、例えば、−77℃以上、好ましくは、−10℃以上であり、例えば、1300℃以下、好ましくは、900℃以下である。
また、第1デバイス3(絶縁体(誘電体))の比誘電率は、例えば、1以上、好ましくは、100以上、より好ましくは、2000以上である。
このような発電システム1では、第1デバイス3(絶縁体(誘電体))の比誘電率が高いほど、エネルギー変換効率が高く、高電圧で電力を取り出すことができるが、第1デバイス3の比誘電率が上記下限未満であれば、エネルギー変換効率が低く、得られる電力の電圧が低くなる場合がある。
なお、第1デバイス3(絶縁体(誘電体))は、熱源2の温度変化によって電気分極するが、その電気分極は、電子分極、イオン分極および配向分極のいずれでもよい。
例えば、配向分極によって分極が発現する材料(例えば、液晶材料など)では、その分子構造を変化させることにより、発電効率の向上を図ることができるものと期待されている。
図1において、第2デバイス4は、第1デバイス3から電力を取り出すために設けられる。
このような第2デバイス4は、より具体的には、特に制限されないが、例えば、上記の第1デバイス3を挟んで対向配置される2つの電極(例えば、銅電極、銀電極など)、例えば、それら電極に接続される導線などを備えており、第1デバイス3に電気的に接続されている。
電圧印加装置9は、第1デバイス3に電圧を印加するため、第1デバイス3に直接または近接して設けられる。具体的には、電圧印加装置9は、例えば、上記した第2デバイス4とは別途、上記の第1デバイス3を挟んで対向配置される2つの電極(例えば、銅電極、銀電極など)、電圧印加電源V、およびそれらに接続される導線などを備えており、電極間に第1デバイス3および第2デバイス4を介在させるように、配置されている。
温度センサ8は、電圧印加装置9により第1デバイス3に電圧を印加するタイミングを決定するために第1デバイス3の温度を検知する。そのため、温度センサ8は、第1デバイス3に近接または接触して設けられる。温度センサ8は、第1デバイス3の温度の表面温度を直接検知するか、または、第1デバイス3の周囲の雰囲気温度を検知するものであって、例えば、赤外放射温度計や、熱電対温度計などの公知の温度センサが用いられる。
制御ユニット10は、発電システム1における電気的な制御を実行するユニット(例えば、ECU:Electronic Control Unit)であり、設定手段および制御手段としての中央処理装置(CPU)21とメモリ23とを備えるマイクロコンピュータで構成されている。
中央処理装置(CPU)21は、温度センサ8、電圧印加装置9およびメモリ23に電気的に接続されており、メモリ23に格納されたマッピングデータ(後述)を用いて昇圧時間を設定する。そして、上記した温度センサ8を参照することにより決定されたタイミングで、設定した昇圧時間に従って、第1デバイス3に電圧を印加するように、電圧印加装置9を作動させる。
メモリ23は、ROMおよびRAMを備えており、ROMに各種プログラムや固定データが格納されるとともに、RAMに一時的な入力データが格納される。
そして、メモリ23のROMには、第1デバイス3を構成する誘電体の種類(すなわち、第1デバイス3(誘電体)の電気分極特性)、および、熱源2の温度条件(例えば、最高温度、経時的に上下する温度範囲(変動温度範囲)、温度変化率など)と、第1デバイス3に印加するときの電圧の昇圧時間との関係を示すマッピングデータが、格納されている。
すなわち、上記した第1デバイス3は、温度が経時的に上下する熱源2の温度変化により、温度が経時的に上下され、それによって電気分極し、起電力を生じる。このとき、第1デバイス3に電圧を印加すると、第1デバイスから取り出せる電力量は増加するが、第1デバイス3を構成する誘電体の種類、および、熱源2の温度条件と、第1デバイス3に印加するときの電圧の昇圧時間との間には関係がある。
具体的には、例えば、実験レベルにおいて、第1デバイス3に印加するときの投入電力に対する第1デバイス3から取り出される回収電力の比で示される発電効率(回収電力/投入電力)について、最適な昇圧時間は、例えば、第1デバイス3を構成する誘電体がPZTであり、熱源2の最高温度が100℃、変動温度範囲が40℃である場合には、1.8秒であり、例えば、第1デバイス3を構成する誘電体がPZTであり、熱源2の最高温度が100℃、変動温度範囲が20℃である場合には、1.4秒である。
この関係に基づいて、第1デバイス3を構成する誘電体の種類(x)、および、熱源2の温度条件(y)と、第1デバイス3に印加するときの電圧の昇圧時間(x、y)との関係が、予めマッピングされ、そのマッピングデータ(x−y座標)が、制御ユニット10のメモリ23のROMに格納される。
また、中央処理装置(CPU)21は、上記したように、温度センサ8や、熱源2の温度計(図示せず)など、種々の検知装置に電気的に接続されており、各種データが入力可能とされている。これにより、メモリ23のRAMには、第1デバイス3を構成する誘電体の種類、および、上記した熱源2の温度の推移(履歴)などの、最適なマッピングデータを選択するための一時的な数値が入力および格納される。
また、図1に示す発電システム1では、その第2デバイス4が、昇圧器5、交流/直流変換器(AC−DCコンバーター)6およびバッテリー7に、順次、電気的に接続されている。
このような発電システム1により発電するには、例えば、まず、熱源2の温度を経時的に上下、具体的には、周期的に温度変化させ、その熱源2により、第1デバイス3を、加熱および/または冷却する。
そして、このような温度変化に応じて、上記した第1デバイス3を、周期的に電気分極させる。その後、第2デバイス4を介することにより、電力を、第1デバイス3の周期的な電気分極に応じて周期的に変動する波形(例えば、交流、脈流など)として、取り出す。
このような発電システム1において、例えば、実験レベルでの熱源2の温度は、高温状態における温度が、例えば、80〜500℃、好ましくは、100〜380℃であり、低温状態における温度が、上記の高温状態における温度未満、より具体的には、例えば、30〜450℃、好ましくは、50〜300℃であり、高温状態と低温状態との温度差が、例えば、10〜200℃、好ましくは、20〜100℃である。
また、例えば、自動車25(後述)に上記の発電システム1を搭載した場合には、熱源2の温度は、高温状態における温度が、例えば、200〜1200℃、好ましくは、700〜900℃であり、低温状態における温度が、上記の高温状態における温度未満、より具体的には、例えば、100〜800℃、好ましくは、200〜500℃であり、高温状態と低温状態との温度差が、例えば、10〜600℃、好ましくは、20〜500℃である。
また、それら高温状態と低温状態との繰り返し周期は、例えば、0.05〜400サイクル/秒、好ましくは、0.05〜100サイクル/秒である。
また、このような発電システム1では、より効率的に発電するため、第1デバイス3の温度状態に応じて、第1デバイス3に電圧を印加する。
すなわち、この発電システム1では、上記した熱源2による第1デバイス3の加熱および/または冷却とともに、上記した温度センサ8により、第1デバイス3の温度を検知し、第1デバイス3に電圧印加装置9により電圧を印加するタイミングを決定する。
そして、温度センサ8の検知に基づいて決定したタイミングで、中央処理装置(CPU)21の制御により、電圧印加装置9を作動させ、電圧を印加する。
すなわち、第1デバイスの温度が、温度センサ8からの電気信号により、昇温開始状態であると中央処理装置(CPU)21が判断すると、中央処理装置(CPU)21の制御により、電圧印加装置9を作動させ、電圧を印加する。
なお、この発電システム1では、例えば、第1デバイス3の温度が、予め設定された所定の値(例えば、0.2℃/secなど)以上に上昇するときに、昇温開始状態であると判断される。
このとき、制御ユニット10のメモリ23のROMには、第1デバイス3を構成する誘電体の種類(すなわち、第1デバイス3(誘電体)の電気分極特性)、および、熱源2の温度条件(例えば、最高温度、経時的に上下する温度範囲(変動温度範囲)、温度変化率など)と、第1デバイス3に印加するときの電圧の昇圧時間との関係を示すマッピングデータが、格納されている。
そのため、制御ユニット10のメモリ23のRAMに、予め第1デバイス3を構成する誘電体の種類をプリセットしておき、熱源2の温度条件(最高温度、変動温度範囲)を熱源2の温度の推移などから中央処理装置(CPU)21に算出させることにより入力させる。そして、それら入力した第1デバイス3を構成する誘電体の種類および熱源2の温度条件から、上記マッピングデータを参照することにより、発電効率の観点から、最適な昇圧時間が選択され、その昇圧時間で、予め設定された印加電圧の最大値になるように、昇圧速度が、中央処理装置(CPU)21により制御され、電圧印加装置9により電圧が印加される。
印加電圧の最大値としては、電場の強さが、例えば、200V/mm以上、好ましくは、400V/mm以上であり、例えば、5kV/mm以下、好ましくは、4kV/mm以下である。
印加電圧(電場)が上記範囲であれば、第1デバイス3から取り出されるエネルギー量と、電圧印加装置9により消費されるエネルギー量とのバランスをとることができ、優れた効率で発電することができる。
そして、印加電圧が予め設定された最大値になった場合には、電圧の印加を開始してから電圧印加時間が経過するまで、その電圧を保持して印加し続ける。
電圧の印加を開始してから、電圧を印加し続ける時間(電圧印加時間)は、昇圧時間と、最大値になった電圧を保持して印加し続ける時間(保持時間)との合計である。
マッピングデータから得られる昇圧時間としては、例えば、0.2秒以上、好ましくは0.5秒以上であり、例えば、9.7秒以下、好ましくは、2.5秒以下である。
保持時間としては、例えば、0.3秒以上、好ましくは0.5秒以上であり、例えば、9.8秒以下、好ましくは、2.5秒以下である。
電圧印加時間としては、例えば、0.5秒以上、好ましくは1.0秒以上であり、例えば、10.0秒以下、好ましくは、5.0秒以下である。
電圧印加時間が上記範囲であれば、発電効率の向上を図ることができる。
また、電圧印加時間を所定の時間とした場合、電圧印加時間に対する昇圧時間と保持時間との割合(昇圧時間/保持時間)は、第1デバイス3を構成する誘電体の種類や熱源2の温度条件によって様々ではあるが、電圧印加時間を100とすると、例えば、10/90以上、好ましくは、30/70以上、より好ましくは、50/50以上、さらに好ましくは、70/30以上であり、例えば、90/10以下である。
電圧印加時間における昇圧時間と保持時間との割合が上記範囲であれば、発電効率の向上を図ることができる。
そして、電圧の印加を開始してから、電圧印加時間を経過した後、中央処理装置(CPU)21の制御により、電圧印加装置9を停止させる。
なお、上記の発電システム1において、電圧印加装置9を停止させてから、電場の大きさが0kV/mmに達するまでの所要時間は、実質的に0秒とみなすことができる。
そして、このような発電システム1では、上記したように、電圧印加装置9により電圧を印加するため、効率よく電力を取り出すことができる。
さらに、上記の発電システム1では、第1デバイス3を構成する誘電体の種類、および、熱源2の温度条件により設定される、最適な昇圧時間で、電圧印加装置9により電圧が印加される。
そのため、上記の発電システム1によれば、効率よく電力を取り出すことができ、発電効率を向上させることができる。
そして、このような発電システム1では、取り出された電力を、第2デバイス4に接続される昇圧器5において、周期的に変動する波形(例えば、交流、脈流など)の状態で昇圧する。昇圧器5としては、交流電圧を、例えば、コイル、コンデンサなどを用いた簡易な構成により、優れた効率で昇圧できる昇圧器が、用いられる。
次いで、昇圧器5において昇圧された電力を、交流/直流変換器6において直流電圧に変換した後、バッテリー7に蓄電する。
このような発電システム1によれば、温度が経時的に上下する熱源2を用いるため、変動する電圧(例えば、交流電圧)を取り出すことができ、その結果、一定電圧(直流電圧)として取り出す場合に比べて、簡易な構成により、優れた効率で昇圧して、蓄電することができる。
また、熱源2が、周期的に温度変化する熱源であれば、電力を、周期的に変動する波形として取り出すことができ、その結果、簡易な構成により、より優れた効率で昇圧して、蓄電することができる。
図2は、本発明の発電システムが車載された一実施形態を示す概略構成図、図3は、図2に示す発電システムの要部拡大図である。
図2において、自動車25は、内燃機関11、触媒搭載部12、エキゾーストパイプ13、マフラー14および排出パイプ15を備えている。
内燃機関11は、エンジン16、および、エキゾーストマニホールド17を備えている。
エンジン16は、多気筒(4気筒型)多サイクル(4サイクル)方式のエンジンであって、各気筒に、エキゾーストマニホールド17の分岐管18(後述)の上流側端部が接続されている。
エキゾーストマニホールド17は、エンジン16の各気筒から排出される排気ガスを収束するために設けられる排気多岐管であって、エンジン16の各気筒に接続される複数(4つ)の分岐管18(これらを区別する必要がある場合には、図3の上側から順に、分岐管18a、分岐管18b、分岐管18cおよび分岐管18dと称する。)と、それら分岐管18の下流側において、各分岐管18を1つに統合する集気管19とを備えている。
また、各分岐管18は、その流れ方向途中において、箱型空間20を、それぞれ1つ備えている。箱型空間20は、分岐管18に連通するように介装される略直方体状の空間であって、その内側において、複数の第1デバイス3と、第2デバイス4(図示せず)とを備えている(図3参照)。
なお、図2においては、複数の第1デバイス3を簡略化し、1つの箱型空間20に対して、1つの第1デバイス3を示しており、また、第2デバイス4の記載を省略している。
このようなエキゾーストマニホールド17では、分岐管18の上流側端部が、それぞれ、エンジン16の各気筒に接続されるとともに、分岐管18の下流側端部と集気管19の上流側端部とが接続されている。また、集気管19の下流側端部は、触媒搭載部12の上流側端部に接続されている。
触媒搭載部12は、例えば、触媒担体およびその担体上にコーティングされる触媒を備えており、内燃機関11から排出される排気ガスに含まれる炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)などの有害成分を浄化するために、内燃機関11(エキゾーストマニホールド17)の下流側端部に接続されている。
エキゾーストパイプ13は、触媒搭載部12において浄化された排気ガスをマフラー14に案内するために設けられており、上流側端部が触媒搭載部12に接続されるとともに、下流側端部がマフラー14に接続されている。
マフラー14は、エンジン16(とりわけ、爆発工程)において生じる騒音を、静音化すために設けられており、その上流側端部がエキゾーストパイプ13の下流側端部に接続されている。また、マフラー14の下流側端部は、排出パイプ15の上流側端部に接続されている。
排出パイプ15は、エンジン16から排出され、エキゾーストマニホールド17、触媒搭載部12、エキゾーストパイプ13およびマフラー14を順次通過し、浄化および静音化された排気ガスを、外気に放出するために設けられており、その上流側端部がマフラー14の下流側端部に接続されるとともに、その下流側端部が、外気に開放されている。
そして、この自動車25は、上記した発電システム1を搭載している。
発電システム1は、上記したように、熱源2、第1デバイス3、第2デバイス4、温度センサ8、電圧印加装置9および制御ユニット10を備えている。
この発電システム1では、熱源2として、内燃機関11のエンジン16が用いられており、また、拡大図および図3が参照されるように、各分岐管18の箱型空間20内には、第1デバイス3が配置されている。
第1デバイス3は、シート状に形成されており、箱型空間20内において、互いに間隔を隔てて複数整列配置されるとともに、図示しない第2デバイス4(および必要により設けられる固定部材(図示せず))により、固定されている。
これにより、第1デバイス3の表面および裏面の両面、さらには、周側面は、図示しない第2デバイス4を介して、箱型空間20内の外気に露出され、排気ガスに接触(曝露)可能とされている。
第2デバイス4は、図示しないが、第1デバイス3を挟んで対向配置される2つの電極、および、それら電極に接続される導線を備えている。
電圧印加装置9は、複数(1つの第1デバイス3に対して2つ)の電極22を備えており、各電極22は、各第1デバイス3の外側において互いに対向し、第1デバイス3を間に介在させるように配置されている。また、これら各電極22は、分岐導線などによって、並列的に接続されている。これら電極22に電圧印加電源Vから電圧を印加することにより、電極22間、すなわち、第1デバイス3に電圧を印加することができる。
なお、図2では、各箱型空間20内において、1つの第1デバイス3と、その第1デバイス3を挟んで対向配置される一対の電極22とを模式的に示している。
制御ユニット10は、破線で示すように、分岐導線などによって、電圧印加装置9に電気的に接続されている。また、制御ユニット10は、破線で示すように、分岐導線などによって、各箱型空間20に設けられる温度センサ8のそれぞれに並列的に接続される。
また、発電システム1は、図2に示すように、昇圧器5、交流/直流変換器6およびバッテリー7に、順次、電気的に接続されている。
そして、このような自動車25では、エンジン16の駆動により、各気筒において、ピストンの昇降運動が繰り返され、吸気工程、圧縮工程、爆発工程および排気工程が順次実施され、その温度が経時的に上下される。
より具体的には、例えば、分岐管18aに接続される気筒、および、分岐管18cに接続される気筒の2つの気筒において、ピストンが連動し、吸気工程、圧縮工程、爆発工程および排気工程が、同位相で実施される。これにより、燃料が燃焼され、動力が出力されるとともに、高温の排気ガスが、分岐管18aおよび分岐管18cの内部を排気工程において通過する。
このとき、エンジン16の熱が、排気ガス(熱媒体)を介して伝達され、分岐管18aおよび分岐管18cの内部温度は、排気工程において上昇し、その他の工程(吸気工程、圧縮工程、爆発工程)において下降するので、ピストンサイクルに応じて、経時的に上下し、高温状態と低温状態とが、周期的に繰り返される。
一方、それら2つの気筒とはタイミングを異にして、分岐管18bに接続される気筒、および、分岐管18dに接続される気筒の2つの気筒において、ピストンが連動し、吸気工程、圧縮工程、爆発工程および排気工程が、同位相で実施される。これにより、燃料が燃焼され、動力が出力されるとともに、分岐管18aおよび分岐管18cとは異なるタイミングにおいて、高温の排気ガスが、分岐管18bおよび分岐管18dの内部を排気工程において通過する。
このとき、エンジン16の熱が、排気ガス(熱媒体)を介して伝達され、分岐管18bおよび分岐管18dの内部温度は、排気工程において上昇し、その他の工程(吸気工程、圧縮工程、爆発工程)において下降するので、ピストンサイクルに応じて、経時的に上下し、高温状態と低温状態とが、周期的に繰り返される。
この周期的な温度変化は、分岐管18aおよび分岐管18cの周期的な温度変化とは、周期が同じである一方、位相が異なる。
そして、この発電システム1では、上記したように、各分岐管18の内部(箱型空間20内)に、シート状の第1デバイス3が配置されている。
そのため、エンジン16(熱源2)から排出される排気ガスが、分岐管18内に導入され、箱型空間20内に充填されると、その箱型空間20内において、第1デバイス3の表面および裏面の両面(さらには、周側面)が、(第2デバイス4を介して)排気ガス(熱媒体)に接触(曝露)され、加熱および/または冷却される。
すなわち、第1デバイス3の表面および裏面の両面が、エンジン16(熱源2)、および、そのエンジン16の熱を伝達する熱媒体の経時的な温度変化により、加熱および/または冷却される。
そして、これにより、第1デバイス3を、周期的に高温状態または低温状態にすることができ、第1デバイス3を、その素子(例えば、ピエゾ素子、焦電素子など)に応じた効果(例えば、ピエゾ効果、焦電効果など)により、電気分極させることができる。
そのため、この発電システム1では、第2デバイス4を介して、各第1デバイス3から電力を周期的に変動する波形(例えば、交流、脈流など)として、取り出すことができる。
また、この発電システム1では、上記したように、温度センサ8により、第1デバイス3の温度が昇温開始状態であると判定されたときに、中央処理装置(CPU)21によって電圧印加装置9が作動され、上記したように、第1デバイス3を構成する誘電体の種類、および、熱源2の温度条件から得られるマッピングデータに従った昇圧時間で、第1デバイス3に電圧が印加される。
そして、上記したように、電圧が、予め設定されている最大値になった場合には、その電圧で、第1デバイス3に電圧が印加されてから上記した電圧印加時間が経過するまで保持され、その後、電圧が印加されてから上記した電圧印加時間が経過すると、中央処理装置(CPU)21の制御により、電圧印加装置9が停止され、第1デバイス3に対する電圧の印加が停止される。
なお、熱源2として内燃機関11のエンジン16を用いる場合、発電システム1では、第1デバイス3は、内燃機関により加熱および/または冷却されるため、実質的に定温状態になることなく、昇温状態および降温状態が繰り返される。
そして、上記の発電システム1では、温度センサ8の検知に基づいて第1デバイス3に電圧を印加するタイミングが決定され、制御ユニット10のメモリ23のROMに格納されている上記したマッピングデータを参照して、中央処理装置(CPU)21により、第1デバイス3に電圧を印加するときの昇圧時間が設定される。
そして、上記の発電システム1によれば、温度センサ8の検知に基づいて決定されたタイミングで、中央処理装置(CPU)21により設定された昇圧時間に従って、第1デバイス3に電圧を印加するように、中央処理装置(CPU)21により、電圧印加装置9を作動させることができる。
そのため、上記の発電システム1によれば、最適な昇圧時間で、第1デバイス3に電圧を印加することができ、その結果、発電効率の向上を図ることができる。
その後、この方法では、例えば、図2において点線で示すように、上記により得られた電力を、第2デバイス4に接続される昇圧器5において、周期的に変動する波形(例えば、交流、脈流など)の状態で昇圧し、次いで、昇圧された電力を、交流/直流変換器6において直流電圧に変換した後、バッテリー7に蓄電する。バッテリー7に蓄電された電力は、自動車25や、自動車25に搭載される各種電気部品の動力などとして、適宜、用いることができる。
なお、排気ガスは、各分岐管18を通過した後、集気管19に供給され、集気された後、触媒搭載部12に供給され、その触媒搭載部12に備えられる触媒により浄化される。その後、排気ガスは、エキゾーストパイプ13に供給され、マフラー14において静音化された後、排出パイプ15を介して、外気に排出される。
また、上記の説明では、第1デバイス3に電圧を印加するタイミングを温度センサ8の検知に基づいて決定したが、温度センサ8に代えて、第1デバイス3の上流側に第1デバイス3と同一材料のデバイスを設けて、そのデバイスを温度センサとして用いてもよく、また、熱源2の稼働状態などから第1デバイスの温度を予測し、その予測に基づいて第1デバイス3に電圧を印加するタイミングを決定してもよい。
また、上記の説明では、第1デバイス3を構成する誘電体の種類、および、熱源2の温度条件からマッピングデータを参照して、第1デバイス3に電圧を印加するときの昇圧時間を設定したが、上記の発電システム1を、例えば、自動車25などに塔載する場合には、第1デバイス3を取り付けるため、第1デバイス3を構成する誘電体の種類は、第1デバイス3を取り換えない限り、確定する。そのため、第1デバイス3を構成する誘電体の種類は予め確定され、熱源2の温度条件のみから、第1デバイス3に電圧を印加するときの昇圧時間を設定することができる。その場合には、上記マッピングデータとして、熱源2の温度条件と、第1デバイス3に電圧を印加するときの昇圧時間との関係が、マッピングされる。
また、上記の説明では、第1デバイス3に電圧が印加されてから電圧印加時間が経過した場合に、中央処理装置(CPU)21の制御により、電圧印加装置9が停止されるとしたが、温度センサ8を参照して、第1デバイス3の温度の降温が検知されたときに中央処理装置(CPU)21の制御により、電圧印加装置9を停止してもよい。
次に、本発明を参考実施例に基づいて説明するが、本発明は下記の参考実施例によって限定されるものではない。なお、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
(発電効率の算出)
参考実施例1
バルク型のピエゾ素子(表面および裏面に、銀電極(第2デバイス)が形成された第1デバイス、構造:PZT、キュリー点(Tc):270℃、比誘電率:510、製番:C−3、富士セラミックス社製、以下、素子Aとする。)を、縦8mm×横13mm×厚み0.5mmサイズのシート状にカットした。
次いで、その素子Aと並列に、100kΩの抵抗素子を配置した。なお、抵抗素子は、継続的に電圧をモニタリングしており、その値から素子の発電電力を計算するために設けた。
熱源として、ヒートガンを、最高温度100℃、変動温度範囲(温度変化範囲)40℃、熱源周波数0.05Hzで用いた。
次いで、外部CPUを配置するとともに、電圧を印加できるように素子Aを電圧印加装置(型番:MODEL677B、トレックジャパン社製)の電極で挟み込んだ。そして、電圧印加電源および制御ユニットを、電気的に接続した。
そして、素子Aに熱源を暴露して、その温度を経時的に上下させ、熱源の温度が昇温し始めたときに所定の昇圧時間(0.2sec)で400V/mmまで電圧を昇圧させ、その後、昇圧時間との合計が2.0秒になるまでその電圧(400V/mm)を保持した。
その後、昇圧時間と保持時間との合計時間が2.0秒になったタイミングで、電圧の印加を停止した。
これにより、素子Aを電気分極させ、その電圧を検知した。
素子Aに電圧を印加したときに投入した投入電力、および、ピエゾ素子が発電し回収された回収電力を検知し、発電効率(回収電力/投入電力)を算出したところ、3.453010であった。
参考実施例2〜20
表1に記載の素子の種類(第1デバイスの種類)、熱源の温度条件、印加する電圧の昇圧時間および保持時間に変更した以外は、参考実施例1と同様にして、投入電力および回収電力を検知し、発電効率を算出した。
参考実施例1〜20の試験条件および評価を表1に示す。
なお、表1中の素子の種類の詳細を以下に示す。
素子A:バルク型のピエゾ素子(表面および裏面に、銀電極(第2デバイス)が形成された第1デバイス、構造:PZT、キュリー点(Tc):270℃、比誘電率:510、製番:C−3、富士セラミックス社製)
素子B:バルク型のピエゾ素子(表面および裏面に、銀電極(第2デバイス)が形成された第1デバイス、構造:PZT、キュリー点(Tc):195℃、比誘電率:3650、製番:C−82、富士セラミックス社製)
(考察)
表1に示すように、素子(第1デバイスを構成する誘電体)に電圧を印加するときの昇圧時間が、長いほど投入電力が小さくなる傾向が見られた。しかし、参考実施例16〜20(素子Aを、最高温度100℃、変動温度範囲20℃の熱源に暴露した場合)において、昇圧時間が1.4秒(参考実施例19)のときが最も投入電力が少なく、昇圧時間を1.8秒と、参考実施例19より長くした参考実施例20では、その投入電力は、参考実施例19の投入電力より大きくなった。
そのため、誘電体の種類、熱源の温度条件(最高温度、変動温度範囲)の組合せによって、投入電力が最も低減できる昇圧時間は、異なることがわかる。
また、表1に示すように、回収電力量が最大となる、素子に電圧を印加するときの昇圧時間は、誘電体の種類、熱源の温度条件(最高温度、変動温度範囲)の組合せによって、様々であることがわかる。
また、表1に示すように、素子に電圧を印加するときの昇圧時間が、長いほど発電効率がよくなる傾向が見られた。しかし、参考実施例16〜20(素子Aを、最高温度100℃、変動温度範囲20℃の熱源に暴露した場合)において、昇圧時間が1.4秒(参考実施例19)のときが最も発電効率がよく、昇圧時間を1.8秒と、参考実施例19より長くした参考実施例20では、その発電効率は、参考実施例19の発電効率より劣っていた。
そのため、誘電体の種類、熱源の温度条件(最高温度、変動温度範囲)の組合せによって、発電効率が最も向上できる昇圧時間は、異なることがわかる。
以上より、素子の種類や、熱源の温度条件(最高温度、変動温度範囲)の組合せによって、最適な昇圧時間は異なるため、素子の種類や、熱源の温度条件(最高温度、変動温度範囲)の組合せに対応した最適な昇圧時間を設定することにより、投入電力量の低減、回収電力量の向上および発電効率の向上を図ることができる。