JP2020054204A - 発電システム - Google Patents

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周永 金
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暁 山中
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敬典 加藤
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Abstract

【課題】より効率よく第1デバイスをポーリング処理でき、発電効率の向上を図ることができる発電システムを提供すること。【解決手段】発電システム1は、熱源2と、第1デバイス3と、第2デバイス4と、温度センサ8と、電圧印加装置9と、起電力センサ35と、制御ユニット10とを備え、制御ユニット10は、第1デバイス3の温度の上昇および下降が繰り返されるサイクルにおいて、今サイクルの第1デバイス3の昇温時に、前サイクルの第1デバイス3の昇温中における起電力を参照し、前サイクルの第1デバイス3の昇温中に、第1デバイス3の起電力が降下しなかった場合には、今サイクルの第1デバイス3の昇温中に、第1デバイスにアシスト電圧を印加し、前サイクルの第1デバイス3の昇温中に、第1デバイス3の起電力が降下した場合には、今サイクルの第1デバイス3の昇温中に、第1デバイス3にポーリング電圧を印加する。【選択図】図1

Description

本発明は、発電システム、詳しくは、自動車などの車両に搭載される発電システムに関する。
従来、自動車エンジンなどの内燃機関や、ボイラー、空調設備などの熱交換器、発電機、モータなどの電動機関、照明などの発光装置などの各種エネルギー利用装置では、例えば、排熱、光などとして、多くの熱エネルギーが放出および損失されている。
近年、省エネルギー化の観点から、放出される熱エネルギーを回収し、エネルギー源として再利用することが要求されている。そのようなシステムとして、具体的には、例えば、温度が経時的に上下する熱源と、その熱源の温度変化に応じて、ピエゾ効果、焦電効果、ゼーベック効果などにより電気分極する第1デバイス(誘電体など)と、第1デバイスから電力を取り出すため、第1デバイスを挟むように対向配置される第2デバイス(電極など)とを備える発電システムが提案されており、さらに、より効率的に発電するために、電圧印加装置によって、第1デバイスの昇温中に第1デバイスに電圧を印加し、また、降温中には電圧の印加を停止することが提案されている。また、その発電システムにおいて、第1デバイスの発電性能が低下した場合には、第1デバイスの降温中にポーリング処理し、次順の昇温時における発電性能を確保することが、提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
上記した発電システムでは、得られた電力は、第1デバイスから第2デバイスを介してバッテリーに蓄積され、必要に応じて消費可能とされる。
特開2016−226107号公報
一方、このような発電システムにおいては、発電効率の向上のため、より効率的なポーリング処理が要求されている。
本発明は、より効率よく第1デバイスをポーリング処理でき、発電効率の向上を図ることができる発電システムである。
本発明[1]は、温度の上昇および下降が経時的に繰り返される熱源と、前記熱源の温度変化により温度が繰り返し上下され、電気分極する第1デバイスと、前記第1デバイスから電力を取り出すための第2デバイスと、前記第1デバイスの温度を検知する温度検知手段と、前記第1デバイスに電圧を印加する電圧印加手段と、前記第1デバイスの起電力を監視する監視手段と、前記温度検知手段により検知される温度、および、前記監視手段により監視される前記第1デバイスの起電力に基づいて、前記電圧印加手段を作動および停止させるための制御手段とを備え、前記制御手段は、前記第1デバイスの温度の上昇および下降が繰り返されるサイクルにおいて、今サイクルの前記第1デバイスの昇温時に、前サイクルの第1デバイスの昇温中における起電力を参照し、前サイクルの第1デバイスの昇温中に、前記第1デバイスの起電力が降下しなかった場合には、今サイクルの第1デバイスの昇温中に、前記第1デバイスにアシスト電圧を印加し、前サイクルの第1デバイスの昇温中に、前記第1デバイスの起電力が降下した場合には、今サイクルの第1デバイスの昇温中に、前記第1デバイスにポーリング電圧を印加する、発電システムを含んでいる。
本発明の発電システムによれば、第1デバイスの温度の上昇および下降が繰り返されるサイクルにおいて、前サイクルの第1デバイスの昇温中に第1デバイスの起電力が降下した場合に、第1デバイスにポーリング電圧を印加する。また、このポーリング電圧は、今サイクルの第1デバイスの昇温中に、印加される。
このような発電システムは、ポーリング処理効率に優れているため、継続的に優れた発電性能を得ることができる。
図1は、本発明の発電システムの一実施形態を示す概略構成図である。 図2は、図1に示す発電システムにおける発電素子の温度状態、発電素子の起電力およびアシスト電圧を示す概略図である。 図3は、図1に示す発電システムにおける発電素子の温度状態、発電素子の起電力およびポーリング電圧を示す概略図である。 図4は、本発明の発電システムが車載された一実施形態を示す概略構成図である。 図5は、図4に示す発電システムの要部拡大図である。
1.発電システム
図1は、本発明の発電システムの一実施形態を示す概略構成図である。
図1において、発電システム1は、温度の上昇および下降が経時的に繰り返される熱源2と、熱源2の温度変化により温度が繰り返し上下され、電気分極する第1デバイス3と、第1デバイス3から電力を取り出すための第2デバイス4と、第1デバイス3の温度を検知する温度検知手段としての温度センサ8と、第1デバイス3に電圧を印加するように構成される電圧印加手段としての電圧印加装置9と、第1デバイス3の起電力を監視する監視手段としての起電力センサ35と、電圧印加装置9の作動および停止を制御するための制御手段としての制御ユニット10とを備えている。
熱源2としては、温度が経時的に上下し、これにより、温度の上昇および下降が経時的に繰り返される熱源であれば、特に制限されないが、例えば、内燃機関、発光装置などの各種エネルギー利用装置が挙げられる。
内燃機関は、例えば、車両などの動力を出力する装置であって、例えば、単気筒型または多気筒型が採用されるとともに、その各気筒において、多サイクル方式(例えば、2サイクル方式、4サイクル方式、6サイクル方式など)が採用される。
このような内燃機関では、各気筒において、ピストンの昇降運動が繰り返されており、これにより、例えば、4サイクル方式では、吸気工程、圧縮工程、爆発工程、排気工程などが順次実施され、燃料が燃焼され、動力が出力されている。
このような内燃機関において、排気工程では、高温の排気ガスが、排気ガス管を介して排気され、その排気ガスを熱媒体として熱エネルギーが伝達され、排気ガス管の内部温度が上昇する。
一方、その他の工程(排気工程を除く工程)では、排気ガス管中の排気ガス量が低減されるため、排気ガス管の内部温度は、排気工程に比べて、下降する。
このように、内燃機関の温度は、排気工程において上昇し、吸気工程、圧縮工程および爆発工程において下降し、つまり、経時的に上下する。
とりわけ、上記の各工程は、ピストンサイクルに応じて、周期的に順次繰り返されるため、内燃機関における各気筒の排気ガス管の内部は、上記の各工程の繰り返しの周期に伴って、周期的に温度変化、より具体的には、高温状態と低温状態とが、周期的に繰り返される。
発光装置は、点灯(発光)時には、例えば、赤外線、可視光などの光を熱媒体として、その熱エネルギーにより温度上昇し、一方、消灯時には温度低下する。そのため、発光装置は、経時的に、点灯(発光)および消灯することにより、その温度が経時的に上下する。
とりわけ、例えば、発光装置が、経時的に照明の点灯および消灯が断続的に繰り返される発光装置(明滅(点滅)式の発光装置)である場合には、その発光装置は、点灯(発光)時における光の熱エネルギーにより、周期的に温度変化、より具体的には、高温状態と低温状態とが、周期的に繰り返される。
また、熱源2としては、さらに、例えば、複数の熱源を備え、それら複数の熱源間の切り替えにより、温度変化を生じることもできる。
より具体的には、例えば、熱源として、低温熱源(冷却材など)と、その低温熱源より温度の高い高温熱源(例えば、加熱材など)との2つの熱源を用意し、経時的に、それら低温熱源および高温熱源を、交互に切り替えて用いる形態が挙げられる。
これにより、熱源としての温度を、経時的に上下させることができ、とりわけ、低温熱源および高温熱源の切り替えを、周期的に繰り返すことにより、周期的に温度変化させることができる。
切り替え可能な複数の熱源を備える熱源2としては、特に制限されないが、例えば、燃焼用低温空気供給系、蓄熱式熱交換器、高温ガス排気系、および、供給/排気切替弁を備えた高温空気燃焼炉(例えば、再公表96−5474号公報に記載される高温気体発生装置)、例えば、高温熱源、低温熱源および水素吸蔵合金を用いた海水交換装置(水素吸蔵合金アクチュエータ式海水交換装置)などが挙げられる。
これら熱源2としては、上記熱源を単独使用または2種類以上併用することができる。
熱源2として、好ましくは、経時により周期的に温度変化する熱源が挙げられる。
また、熱源2として、好ましくは、内燃機関が挙げられる。
第1デバイス3は、熱源2の温度変化に応じて、温度が繰り返し上下され、電気分極するデバイスである。
ここでいう電気分極とは、結晶の歪みにともなう正負イオンの変位により誘電分極し電位差が生じる現象、例えばピエゾ効果、および/または、温度変化により誘電率が変化し電位差が生じる現象、例えば焦電効果などのように、材料に起電力が発生する現象と定義する。
このような第1デバイス3として、より具体的には、例えば、ピエゾ効果により電気分極するデバイス、焦電効果により電気分極するデバイスなどが挙げられる。
ピエゾ効果は、応力または歪みが加えられたときに、その応力または歪みの大きさに応じて電気分極する効果(現象)である。
このようなピエゾ効果により電気分極する第1デバイス3としては、特に制限されず、公知のピエゾ素子(圧電素子)を用いることができる。
第1デバイス3としてピエゾ素子が用いられる場合には、ピエゾ素子は、例えば、その周囲が固定部材により固定され、熱源2に接触するか、または、熱源2の熱を伝達する熱媒体(上記した排気ガス、光など)に接触(曝露)されるように配置される。
固定部材としては、特に制限されず、例えば、後述する第2デバイス4(例えば、電極など)を用いることもできる。
そして、このような場合には、ピエゾ素子は、熱源2の経時的な温度変化により、(場合により熱媒体(上記した排気ガス、光など)を介して)加熱または冷却され、これにより、膨張または収縮する。
このとき、ピエゾ素子は、固定部材により体積膨張が抑制されているため、ピエゾ素子は、固定部材に押圧され、ピエゾ効果(圧電効果)、または、キュリー点付近での相変態により、電気分極する。これにより、詳しくは後述するが、第2デバイス4を介して、ピエゾ素子から電力が取り出される。
また、このようなピエゾ素子は、通常、加熱状態または冷却状態が維持され、その温度が一定(すなわち、体積一定)になると、電気分極が中和され、その後、冷却または加熱されることにより、再度、電気分極する。
そのため、上記したように熱源2が周期的に温度変化し、高温状態と低温状態とが周期的に繰り返される場合などには、ピエゾ素子が周期的に繰り返し加熱および冷却されるため、ピエゾ素子の電気分極およびその中和が、周期的に繰り返される。
その結果、後述する第2デバイス4により、電力が、周期的に変動する波形(例えば、交流、脈流など)として取り出される。
焦電効果は、例えば、絶縁体(誘電体)などを加熱および冷却する時に、その温度変化に応じて絶縁体が電気分極する効果(現象)であって、第1効果および第2効果を含んでいる。
第1効果は、絶縁体の加熱時および冷却時において、その温度変化により自発分極し、絶縁体の表面に、電荷を生じる効果とされている。
また、第2効果は、絶縁体の加熱時および冷却時において、その温度変化により結晶構造に圧力変形が生じ、結晶構造に加えられる応力または歪みにより、圧電分極を生じる効果(ピエゾ効果、圧電効果)とされている。
このような焦電効果により電気分極するデバイスとしては、特に制限されず、公知の焦電素子を用いることができる。
第1デバイス3として焦電素子が用いられる場合には、焦電素子は、熱源2に接触するか、または、熱源2の熱を伝達する熱媒体(上記した排気ガス、光など)に接触(曝露)されるように配置される。
このような場合において、焦電素子は、熱源2の経時的な温度変化により、(場合により熱媒体(上記した排気ガス、光など)を介して)加熱または冷却され、その焦電効果(第1効果および第2効果を含む)により、電気分極する。これにより、詳しくは後述するが、第2デバイス4を介して、焦電素子から電力が取り出される。
また、このような焦電素子は、通常、加熱状態または冷却状態が維持され、その温度が一定になると、電気分極が中和され、その後、冷却または加熱されることにより、再度、電気分極する。
そのため、上記したように熱源2が周期的に温度変化し、高温状態と低温状態とが周期的に繰り返される場合などには、焦電素子が周期的に繰り返し加熱および冷却されるため、焦電素子の電気分極およびその中和が、周期的に繰り返される。
その結果、後述する第2デバイス4により、電力が、周期的に変動する波形(例えば、交流、脈流など)として取り出される。
これら第1デバイス3は、単独使用または2種類以上併用することができる。
このような第1デバイス3として、具体的には、上記したように、公知の焦電素子(例えば、BaTiO、CaTiO、(CaBi)TiO、BaNdTi14、BaSmTi12、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT:Pb(Zr,Ti)O)など)、公知のピエゾ素子(例えば、水晶(SiO)、酸化亜鉛(ZnO)、ロッシェル塩(酒石酸カリウム−ナトリウム)(KNaC)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT:Pb(Zr,Ti)O)、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、タンタル酸リチウム(LiTaO)、リチウムテトラボレート(Li)、ランガサイト(LaGaSiO14)、窒化アルミニウム(AlN)、電気石(トルマリン)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)など)、Ca(VO、Ca(VO/Ni、LiNbO、LiNbO/Ni、LiTaO、LiTaO/Ni、Li(Nb0.4Ta0.6)O、Li(Nb0.4Ta0.6)O/Ni、Ca{(Nb,Ta)O、Ca{(Nb,Ta)O/Niなどを用いることができる。
また、第1デバイス3としては、さらに、LaNbO、LiNbO、KNbO、MgNbO、CaNbO、(K1/2Na1/2)NbO、(K1/2Na1/2)NbO/Ni、(Bi1/21/4Na1/4)NbO、(Sr1/100(K1/2Na1/299/100)NbO、(Ba1/100(K1/2Na1/299/100)NbO、(Li1/10(K1/2Na1/29/10)NbO、SrNaNb15、Sr19/10Ca1/10NaNb15、Sr19/10Ca1/10NaNb15/Ni、BaNaNbO15、BaNb、BaNaNbO15/Ni、BaNb/Niなどの誘電体を用いることもできる。
第1デバイス3のキュリー点(Tc)は、例えば、−77℃以上、好ましくは、−10℃以上であり、例えば、1300℃以下、好ましくは、900℃以下である。
また、第1デバイス3(絶縁体(誘電体))の比誘電率は、例えば、1以上、好ましくは、100以上、より好ましくは、2000以上である。
このような発電システム1では、第1デバイス3(絶縁体(誘電体))の比誘電率が高いほど、エネルギー変換効率が高く、高電圧で電力を取り出すことができるが、第1デバイス3の比誘電率が上記下限未満であれば、エネルギー変換効率が低く、得られる電力の電圧が低くなる場合がある。
なお、第1デバイス3(絶縁体(誘電体))は、熱源2の温度変化によって電気分極するが、その電気分極は、電子分極、イオン分極および配向分極のいずれでもよい。
例えば、配向分極によって分極が発現する材料(例えば、液晶材料など)では、その分子構造を変化させることにより、発電効率の向上を図ることができるものと期待されている。
図1において、第2デバイス4は、第1デバイス3から電力を取り出すために設けられる。
第2デバイス4は、上記の第1デバイス3を挟んで対向配置される1対(2つ)の電極(例えば、銅電極、銀電極など)22、および、それら電極22に接続される取出導線27を備えており、第1デバイス3に電気的に接続されている。
より具体的には、第2デバイス4の取出導線27は、後述する印加導線28とは別に、第1デバイス3から電力を取り出すための環状の電気回路を形成しており、この電気回路(環状の取出導線27)中に、第1デバイス3と、その第1デバイス3を挟んで対向配置される1対(2つ)の電極22と、その第1デバイス3から取り出された電力が供給されるバッテリー7とが介在されている。
また、取出導線27におけるバッテリー7と電極22との間、具体的には、第1デバイス3を挟む2点(2つの接続点A)において、後述する印加導線28の印加専用部分32(後述)が接続されている。これにより、取出導線27の一部(電極22と接続点Aとで区画される部分)が、印加導線28(後述)として共用されている。
つまり、取出導線27は、印加導線28(後述)と共用され、詳しくは後述するように、電圧印加装置9からの電圧を第1デバイス3に印加するために用いられるとともに、第1デバイス3から電力を取り出すために用いられる共用部分29と、印加導線28(後述)と共用されない部分、すなわち、電圧印加装置9からの電圧を第1デバイス3に印加するためには用いられず、第1デバイス3から電力を取り出すために用いられる取出専用部分30とを備えている。
共用部分29は、取出導線27と印加導線28(後述)との接続点(2つの接続点A)から、電極22に至るまでの領域(具体的には、2つの接続点Aと、それぞれの接続点Aに近接する側の電極22との間の領域)であって、その途中部分において、第1デバイス3および1対の電極22が介在されている。
このような共用部分29は、取出導線27の一部であるとともに、印加導線28(後述)の一部でもあり、そのため、第2デバイス4として電力を取り出すために用いられるとともに、電圧印加装置9(後述)として電圧を印加するためにも用いられる。
取出専用部分30は、取出導線27において共用部分29を除く部分であって、バッテリー7が介在されている。
また、図示しないが、取出専用部分30には、必要により、例えば、昇圧器、交流/直流変換器(AC−DCコンバーター)などを介在させることもできる。
また、取出専用部分30には、さらに、第1デバイス3から電力を取り出すための回路(取出導線27)を開閉するための第1スイッチ23が備えられている。
第1スイッチ23としては、特に制限されず、公知のスイッチ機構を採用することができる。また、第1スイッチ23は、後述する制御ユニット10に電気的に接続されており(図1破線参照)、その開閉が制御されている。
温度センサ8は、第1デバイス3の温度を検知するための装置であって、第1デバイス3に近接または接触して設けられる。
例えば、温度センサ8は、第1デバイス3の温度として、第1デバイス3の表面温度を直接検知するか、または、第1デバイス3の周囲の雰囲気温度を検知する。
温度センサ8として、より具体的には、例えば、赤外放射温度計や、熱電対温度計などの公知の温度センサが用いられる。
電圧印加装置9は、第1デバイス3に電圧を印加するため、第1デバイス3に直接または近接して設けられている。このような電圧印加装置9は、上記の第1デバイス3に電圧を印加するための電圧印加電源31、および、その電圧印加電源31に接続される印加導線28を備えている。
電圧印加電源31としては、特に制限されないが、電圧を第1デバイス3に印加可能であり、また、作動および停止が切替可能な公知の電源装置が用いられる。電圧印加電源31は、後述する制御ユニット10に電気的に接続されており(図1破線参照)、その作動および停止が制御される。
また、電圧印加電源31は、出力可変であって、後述するアシスト電圧、後述するポーリング電圧など、種々の大きさの電圧を、第1デバイス3に印加可能としている。
印加導線28は、上記共用部分29を取出導線27と共用して、取出導線27とは別の環状の電気回路を形成しており、この電気回路(環状の印加導線28)中に、第1デバイス3と、その第1デバイス3を挟んで対向配置される1対(2つ)の電極22と、電圧印加電源31とが介在されている。
つまり、電圧印加装置9の印加導線28は、上記取出導線27と共用される上記共用部分29と、上記取出導線27と共用されない印加専用部分32とを備えている。
印加専用部分32は、印加導線28において共用部分29を除く部分であって、その両端部が、それぞれ、取出導線27の第1デバイス3に対する一方側の途中部分(一方側の接続点A)と、他方側の途中部分(他方側の接続点A)とに、電気的に接続されている。また、印加専用部分32の途中部分には、電圧印加電源31が介在されている。
これにより、電圧印加電源31は、第2デバイス4の電極22に電気的に接続されており、電極22が、電圧印加装置9により電圧を印加するための電極として共用されている。
そのため、この発電システム1では、電圧印加電源31から電圧を印加し、第2デバイス4の電極22および取出導線27を介して、第1デバイス3に電圧を印加することができる。
また、印加専用部分32には、第1デバイス3に電圧を印加するための回路(印加導線28)を開閉するための第2スイッチ24が備えられている。
第2スイッチ24としては、特に制限されず、公知のスイッチ機構を採用することができる。また、第2スイッチ24は、後述する制御ユニット10に電気的に接続されており(図1破線参照)、その開閉が制御されている。
起電力センサ35は、第1デバイス3の起電力を監視し、これにより、第1デバイス3の発電性能を監視するためのセンサであって、第1デバイス3を跨ぐように、共用部分29に電気的に接続されている。起電力センサ35としては、特に制限されず、公知のセンサが用いられる。
このような起電力センサ35は、後述する制御ユニット10に電気的に接続されており、第1デバイス3の起電力およびその履歴を、制御ユニット10に入力可能としている。また、制御ユニット10に入力された起電力およびその履歴が、制御ユニット10に格納される。
そして、詳しくは後述するが、制御ユニット10において、発電システム1の運転時の第1デバイス3の起電力の上昇および下降を監視可能とし、これにより、第1デバイス3の発電性能の低下を監視可能としている。
制御ユニット10は、発電システム1における電気的な制御を実行するユニット(例えば、ECU:Electronic Control Unit)であり、CPU、ROMおよびRAMなどを備えるマイクロコンピュータで構成されている。
制御ユニット10は、起電力センサ35、温度センサ8および電圧印加装置9に電気的に接続されており(破線参照)、詳しくは後述するが、温度センサ8により検知される第1デバイス3の温度、および、上記の起電力センサ35により監視される第1デバイス3の起電力(発電性能)に基づいて、電圧印加装置9を作動および停止させる。
また、制御ユニット10は、第2スイッチ24および第1スイッチ23にも電気的に接続されており、詳しくは後述するように、第2スイッチ24および第1スイッチ23を操作可能とし、第1デバイス3に電圧を印加するための回路、および、第1デバイス3から電力が取り出される回路を開閉可能としている(破線参照)。
2.発電方法
図2は、図1に示す発電システムにおける発電素子の温度状態、発電素子の起電力およびアシスト電圧を示す概略図である。
上記の発電システム1で発電するには、まず、熱源2の温度の上昇および下降を、経時的に(好ましくは、周期的に)繰り返す。
熱源2の温度は、高温状態における温度が、例えば、200〜1200℃、好ましくは、700〜900℃であり、低温状態における温度が、上記の高温状態における温度未満、より具体的には、例えば、50〜800℃、好ましくは、100〜500℃であり、高温状態と低温状態との温度差が、例えば、10〜600℃、好ましくは、20〜500℃である。
また、それら高温状態と低温状態との繰り返し周期は、例えば、0.01〜400サイクル/秒、好ましくは、10〜100サイクル/秒である。
そして、このような熱源2の温度変化に応じて、上記した第1デバイス3の温度を、繰り返し上下させ、電気分極させる。その後、第2デバイス4を介することにより、電力を、第1デバイス3の周期的な電気分極に応じて周期的に変動する波形(例えば、交流、脈流など)として、取り出す。
また、このような発電システム1では、電圧印加装置9によって、第1デバイス3の昇温中に第1デバイス3にアシスト電圧を印加し、また、降温中にはアシスト電圧の印加を停止することにより、発電効率の向上を図ることができる。
より具体的には、この発電システム1では、発電システム1の稼働中、上記の温度センサ8によって、第1デバイス3の温度状態が連続的(継続的)に検知される。
例えば、第1デバイス3の温度が、予め設定された所定値(例えば、0.2℃/sなど)以上上昇したと検知される場合に、昇温状態であると判断される。
また、第1デバイス3の温度が、予め設定された所定値(例えば、0.2℃/sなど)以上下降したと検知される場合に、降温状態であると判断される。
そして、検知された第1デバイス3の温度状態が、制御ユニット10に入力され、制御ユニット10が、電圧印加装置9の作動および停止を制御する。
より具体的には、図2に示されるように、第1デバイス3が昇温(加熱)されると、その第1デバイス3の昇温開始時または昇温中に、電圧印加装置9を作動させ、第1デバイス3に対して所定のアシスト電圧を印加する。
なお、アシスト電圧を印加する時間、および、印加するアシスト電圧の大きさは、目的および用途に応じて、適宜設定される。
例えば、第1デバイス3の昇温開始から、第1デバイス3の降温開始までの間、第1デバイス3にアシスト電圧を印加してもよく、また、例えば、第1デバイス3の昇温開始から所定の時間(例えば、昇温開始から1秒未満)、第1デバイス3にアシスト電圧を印加してもよい。好ましくは、第1デバイス3の昇温開始から所定の時間(例えば、昇温開始から1秒未満)、第1デバイス3にアシスト電圧を印加する。
このように、第1デバイス3が加熱され、また、第1デバイス3にアシスト電圧が印加されると、第1デバイス3に電圧(起電力)が生じる。
また、第1デバイス3の昇温中は、制御ユニット10の制御により、図1に示す第1スイッチ23をOFF動作させ、取出専用部分30を開放することにより、バッテリー7を保護する。
すなわち、この発電システム1において、バッテリー7は、図1に示すように、印加導線28の印加専用部分32と、取出導線27の取出専用部分30とを介して、電圧印加装置9に電気的に接続されている。
そのため、第1デバイス3の昇温中に、電圧印加装置9が作動され、第1デバイス3に電圧が印加されるときに、その電圧が、印加導線28の印加専用部分32と、取出導線27の取出専用部分30を介して、バッテリー7に印加される場合がある。このような場合、バッテリー7の故障を惹起する場合がある。
そこで、上記の発電システム1では、第1デバイス3の昇温中には、制御ユニット10の制御により、第1スイッチ23がOFF動作され、取出専用部分30が開状態とされる(図1中、太2点鎖線参照)。
これにより、取出専用部分30における電流の通過が阻害される。そのため、電圧印加装置9からの電圧が、取出専用部分30を介してバッテリー7に印加されることを防止することができる。これにより、バッテリー7の故障を抑制することができる。
その後、図2に示されるように、第1デバイス3が降温(冷却)されると、その第1デバイス3の降温中には、電圧印加装置9を停止状態とする。
なお、アシスト電圧が、第1デバイス3の昇温開始から所定の時間(例えば、昇温開始から1秒未満)のみ第1デバイス3に印加され、第1デバイスの昇温中に、電圧印加装置9が停止されている場合には、その停止状態を維持する。
これにより、第1デバイス3の降温中は、第1デバイス3に対するアシスト電圧の印加を停止させる。
具体的には、制御ユニット10の制御により、図1に示す第2スイッチ24がOFF動作され、印加導線28が開状態とされる。これにより、第1デバイス3に対するアシスト電圧の印加が停止される。
このように、昇温中の第1デバイス3に対して、アシスト電圧を印加し、降温中の第1デバイス3に対してはアシスト電圧の印加を停止することにより、発電効率の向上を図ることができる。
そして、第1デバイス3において生じた電力は、第1デバイス3の降温中に、バッテリー7(図1参照)に回収される。
すなわち、図1に示す第1スイッチ23がON動作され、取出専用部分30が閉状態とされ(図1中、太実線参照)、これにより、取出専用部分30における電流の通過が許容され、第1デバイス3により得られた電力が、バッテリー7に蓄積される。
なお、電力がバッテリー7に供給されるタイミングでは、制御ユニット10によって第2スイッチ24がOFF動作され、印加導線28が開状態とされているため、第1デバイス3から生じた電力が電圧印加装置9の電圧印加電源31に供給されることを抑制することができる。
3.制御
図3は、図1に示す発電システムにおける発電素子の温度状態、発電素子の起電力およびポーリング電圧を示す概略図である。
上記した発電システム1を継続的に使用すると、第1デバイス3の発電性能が低下する場合がある。
そこで、この発電システム1では、以下に示す方法に従って、上記温度センサ8により検知される温度、および、上記起電力センサ35により監視される第1デバイス3の発電性能(起電力)に基づいて、電圧印加装置9を作動および停止させる。
より具体的には、この制御では、上記したように、まず、熱源2の温度の上昇および下降を経時的に繰り返して、第1デバイス3の温度を、繰り返し上下させ、電気分極させる。
また、この制御では、上記した温度変化とともに、第1デバイス3の起電力(発電性能)の大きさおよびその変化履歴を、起電力センサ35により監視して、制御ユニット10に入力する。
なお、第1デバイス3が劣化していない場合、図2に示されるように、第1デバイス3の昇温中には、第1デバイス3の起電力が上昇する。一方、第1デバイス3が劣化している場合には、図3に示されるように、第1デバイス3の昇温中にも、第1デバイス3の起電力が下降する。
次いで、この制御では、第1デバイス3の温度の上昇および下降が繰り返されるサイクルにおいて、今サイクルの第1デバイス3の昇温時に、前サイクルの第1デバイス3の昇温中における起電力を参照する。
すなわち、n回目(n:自然数)の昇温中の電圧印加装置9を制御するため、第1デバイス3の昇温時に、n−1回目(前サイクル)の昇温中の第1デバイス3の起電力を、参照する。
そして、この制御では、n−1回目(前サイクル)の第1デバイス3の昇温中に、第1デバイス3の起電力が降下しなかった場合には、第1デバイス3が劣化していないと判断する。
この場合、図2に示されるように、n回目(今サイクル)の第1デバイス3の昇温中に、第1デバイス3にアシスト電圧を印加して、発電効率の向上を図る。
一方、n−1回目(前サイクル)の第1デバイス3の昇温中に、第1デバイス3の起電力が降下していた場合には、第1デバイス3が劣化していると判断する。
この場合、図3に示されるように、n回目(今サイクル)の第1デバイス3の昇温中に、第1デバイス3にポーリング電圧を印加して、第1デバイス3の発電性能を復元する。
ポーリング電圧は、発電システム1の故障を抑制する観点から、例えば、第1デバイス3の昇温中における、第1デバイス3の到達起電力未満になるように、制御される。
このように、第1デバイス3の昇温中に、第1デバイス3にポーリング電圧を印加することによって、第1デバイス3の降温中に、第1デバイス3にポーリング電圧を印加する場合に比べて、効率よく、第1デバイス3の発電性能を復元することができる。
また、ポーリング電圧を印加するタイミングは、第1デバイス3の昇温中であれば、特に制限されないが、好ましくは、第1デバイス3が昇温し、比較的高温状態に達したとき(例えば、キュリー点−20℃〜キュリー点に達したときなど)に、ポーリング電圧を印加する。
第1デバイス3が比較的高温状態であるときにポーリング電圧を印加することによって、第1デバイス3が比較的低温状態であるときにポーリング電圧を印加する場合に比べ、て、効率よく、第1デバイス3の発電性能を復元することができる。
そして、この制御では、第1デバイス3が降温(冷却)されると、その第1デバイス3の降温中には、電圧印加装置9を停止させ、第1デバイス3に対するポーリング電圧の印加を停止させる。なお、必要に応じて、第1デバイス3において生じた電力は、第1デバイス3の降温中に、バッテリー7(図1参照)に回収される。
その後、第1デバイス3が再度昇温(n+1回目の昇温)するときには、図2に示されるように、電圧印加装置9によって、第1デバイス3の昇温中に第1デバイス3にアシスト電圧を印加し、また、降温中にはアシスト電圧の印加を停止して、電力を回収する。
その後、この発電システム1では、上記と同様の制御が繰り返される。
すなわち、n+1回目の昇温中において、第1デバイス3の起電力(発電性能)の大きさおよびその変化履歴を、起電力センサ35により監視して、制御ユニット10に入力する。
また、第1デバイス3のn+2回目の昇温時に、電圧印加装置9を制御するため、n+1回目(前サイクル)の昇温中の第1デバイス3の起電力を、参照する。
そして、この制御では、n+1回目(前サイクル)の第1デバイス3の昇温中に第1デバイス3の起電力が降下しなかった場合には、第1デバイス3が劣化していないと判断する。
この場合、図2に示されるように、n+2回目(今サイクル)の第1デバイス3の昇温中に、第1デバイス3にアシスト電圧を印加して、発電効率の向上を図る。
一方、n+1回目(前サイクル)の第1デバイス3の昇温中に、第1デバイス3の起電力が降下していた場合には、第1デバイス3が劣化していると判断する。
この場合、図3に示されるように、n+2回目(今サイクル)の第1デバイス3の昇温中に、第1デバイス3にポーリング電圧を印加して、第1デバイス3の発電性能を復元する。
このような制御を繰り返すことによって、優れた効率で発電することができる。
すなわち、上記した発電システム1では、第1デバイス3の温度の上昇および下降が繰り返されるサイクルにおいて、前サイクルの第1デバイス3の昇温中に第1デバイス3の起電力が降下した場合(つまり、第1デバイスの劣化が検知された場合)に、第1デバイス3にポーリング電圧を印加する。また、このポーリング電圧は、今サイクルの第1デバイス3の昇温中に、印加される。
このような発電システム1は、ポーリング処理効率に優れており、継続的に優れた発電性能を得ることができる。
さらに、第1デバイス3の温度が比較的高い状態で第1デバイス3をポーリング処理すれば、処理時間を短縮でき、より効率的に第1デバイス3の発電性能を復元できる。そのため、上記の発電システム1によれば、発電効率の向上を図ることができる。
なお、上記した説明では、温度検知手段として、第1デバイス3の温度を直接的に検知する温度センサ8を用いたが、第1デバイス3の温度を間接的に検知する手段を用いることもできる。
第1デバイス3の温度を間接的に検知する手段としては、例えば、温度予測プログラムなどが挙げられる。温度予測プログラムは、第1デバイス3の温度を予測可能なプログラムであって、具体的には、発電システム1における種々の情報(例えば、熱源2の運転状態、熱媒体の温度および流量など)が入力されることにより、第1デバイス3に生じる温度変化、および、変化後の温度を予測できるプログラムである。
このような温度予測プログラムが、例えば、制御ユニット10に備えられていれば、第1デバイス3の温度を予測できる。すなわち、第1デバイス3の温度を間接的に検知できる。そして、温度予測プログラムにより予測された第1デバイス3の温度に基づいて、上記のように電圧印加装置9の作動および停止を、制御ユニット10によって制御することができる。
このような発電システム1も、上記と同様、ポーリング処理効率に優れており、継続的に優れた発電性能を得ることができる。
図4は、本発明の発電システムが車載された一実施形態を示す概略構成図、図5は、図4に示す発電システムの要部拡大図である。
図4において、自動車25は、内燃機関11、触媒搭載部12、エキゾーストパイプ13、マフラー14および排出パイプ15を備えている。
内燃機関11は、エンジン16、および、エキゾーストマニホールド17を備えている。
エンジン16は、多気筒(4気筒型)多サイクル(4サイクル)方式のエンジンであって、各気筒に、エキゾーストマニホールド17の分岐管18(後述)の上流側端部が接続されている。
エキゾーストマニホールド17は、エンジン16の各気筒から排出される排気ガスを収束するために設けられる排気多岐管であって、エンジン16の各気筒に接続される複数(4つ)の分岐管18(これらを区別する必要がある場合には、図4の上側から順に、分岐管18a、分岐管18b、分岐管18cおよび分岐管18dと称する。)と、それら分岐管18の下流側において、各分岐管18を1つに統合する集気管19とを備えている。
また、各分岐管18は、その流れ方向途中において、箱型空間20を、それぞれ1つ備えている。箱型空間20は、分岐管18に連通するように介装される略直方体状の空間であって、その内側において、複数の第1デバイス3と、第2デバイス4とを備えている(図5参照)。
なお、図4においては、複数の第1デバイス3を簡略化し、1つの箱型空間20に対して、1つの第1デバイス3を示している。
このようなエキゾーストマニホールド17では、分岐管18の上流側端部が、それぞれ、エンジン16の各気筒に接続されるとともに、分岐管18の下流側端部と集気管19の上流側端部とが接続されている。また、集気管19の下流側端部は、触媒搭載部12の上流側端部に接続されている。
触媒搭載部12は、例えば、触媒担体およびその担体上にコーティングされる触媒を備えており、内燃機関11から排出される排気ガスに含まれる炭化水素(HC)、窒素酸化物(NO)、一酸化炭素(CO)などの有害成分を浄化するために、内燃機関11(エキゾーストマニホールド17)の下流側端部に接続されている。
エキゾーストパイプ13は、触媒搭載部12において浄化された排気ガスをマフラー14に案内するために設けられており、上流側端部が触媒搭載部12に接続されるとともに、下流側端部がマフラー14に接続されている。
マフラー14は、エンジン16(とりわけ、爆発工程)において生じる騒音を、静音化するために設けられており、その上流側端部がエキゾーストパイプ13の下流側端部に接続されている。また、マフラー14の下流側端部は、排出パイプ15の上流側端部に接続されている。
排出パイプ15は、エンジン16から排出され、エキゾーストマニホールド17、触媒搭載部12、エキゾーストパイプ13およびマフラー14を順次通過し、浄化および静音化された排気ガスを、外気に放出するために設けられており、その上流側端部がマフラー14の下流側端部に接続されるとともに、その下流側端部が、外気に開放されている。
そして、この自動車25は、上記した発電システム1を搭載している。
発電システム1は、上記したように、熱源2、第1デバイス3、第2デバイス4、バッテリー7、温度センサ8、電圧印加装置9、起電力センサ35および制御ユニット10を備えている。
この発電システム1では、熱源2として、内燃機関11のエンジン16が用いられており、また、拡大図および図5が参照されるように、各分岐管18の箱型空間20内には、第1デバイス3が配置されている。
第1デバイス3は、シート状に形成されており、箱型空間20内において、互いに間隔を隔てて複数整列配置されるとともに、図示しない第2デバイス4(および必要により設けられる固定部材(図示せず))により、固定されている。
これにより、第1デバイス3の表面および裏面の両面、さらには、周側面は、図示しない第2デバイス4を介して、箱型空間20内の外気に露出され、排気ガスに接触(曝露)可能とされている。
第2デバイス4は、図4の拡大図に示すように、第1デバイス3を挟んで対向配置される2つの電極22、および、それら電極22に接続される取出導線27を備えている。
各電極22は、各第1デバイス3の外側において互いに対向し、第1デバイス3を間に介在させるように配置されている。
取出導線27は、上記したように、共用部分29と取出専用部分30とを備えており、共用部分29において、印加導線28と共用されている。また、取出専用部分30には、第1デバイスから電力を取り出すための回路を開閉するための第1スイッチ23が備えられている。
また、取出導線27は、分岐導線であって、図4に示すように、各電極22を並列的に接続している。また、取出導線27は、各第1デバイス3と、その第1デバイス3を挟んで対向配置される1対(2つ)の電極22と、第1デバイス3および第2デバイス4により取り出された電力を蓄電するためのバッテリー7とを含む環状の電気回路を、複数の第1デバイス3のそれぞれに応じて、複数形成している。
なお、図示しないが、第2デバイス4の取出導線27と、バッテリー7との間には、例えば、昇圧器、交流/直流変換器(AC−DCコンバーター)などが介在されていてもよい。
また、図4では、各箱型空間20内において、1つの第1デバイス3と、その第1デバイス3を挟んで対向配置される一対の電極22、および、その電極22に接続される取出導線27とを模式的に示している。
温度センサ8は、図4の拡大図に示すように、各分岐管18内において、複数の第1デバイス3の上流側(排気ガスの流れ方向)近傍に配置され、それらの温度を検知可能に設けられている。
なお、温度センサ8は、複数の第1デバイス3(図5参照)の温度を検知できるように設けることができれば、その数は特に制限されず、必要により単数または複数設けられる。
電圧印加装置9は、電圧印加電源31および印加導線28を備えている。
印加導線28は、上記したように、共用部分29と印加専用部分32とを備えており、共用部分29において、取出導線27と共用されている。
すなわち、印加導線28は、第2デバイス4の取出導線27の一部(共用部分29)を共用するとともに、第2デバイス4の電極22に電気的に接続されている。また、印加導線28は、各第1デバイス3と、その第1デバイス3を挟んで対向配置される1対(2つ)の電極22と、電圧印加電源31とを含む環状の電気回路を、複数の第1デバイス3のそれぞれに応じて、複数形成している。
そして、第2デバイス4の電極22が、電圧印加装置9により電圧を印加するための電極として共用されている。また、第2デバイス4の取出導線27の一部(共用部分29)が、電圧印加装置9により電圧を印加するための印加導線28の一部として共用されている。
そのため、この発電システム1では、電極22に電圧印加電源31から電圧を印加することにより、電極22間、すなわち、第1デバイス3に電圧を印加することができる。
起電力センサ35は、複数の第1デバイス3(図5参照)のそれぞれに対応するように複数設けられ、各第1デバイス3を跨ぐように、共用部分29に電気的に接続されており、第1デバイス3の電圧をモニタリング可能としている。
制御ユニット10は、箱型空間20の外部において、破線で示すように、温度センサ8および電圧印加装置9に電気的に接続されている。
具体的には、制御ユニット10は、分岐導線などによって、各箱型空間20に設けられる温度センサ8のそれぞれに並列的に接続されるとともに、電圧印加装置9に接続されている。
また、図4において図示しないが、制御ユニット10は、分岐導線などによって、各起電力センサ35および各第1スイッチ23のそれぞれに並列的に接続されている(図1参照)。
そして、このような自動車25では、エンジン16の駆動により、各気筒において、ピストンの昇降運動が繰り返され、吸気工程、圧縮工程、爆発工程および排気工程が順次実施され、その温度が経時的に上下される。
より具体的には、例えば、分岐管18aに接続される気筒、および、分岐管18cに接続される気筒の2つの気筒において、ピストンが連動し、吸気工程、圧縮工程、爆発工程および排気工程が、同位相で実施される。これにより、燃料が燃焼され、動力が出力されるとともに、高温の排気ガスが、分岐管18aおよび分岐管18cの内部を排気工程において通過する。
このとき、エンジン16の熱が、排気ガス(熱媒体)を介して伝達され、分岐管18aおよび分岐管18cの内部温度は、排気工程において上昇し、その他の工程(吸気工程、圧縮工程、爆発工程)において下降するので、ピストンサイクルに応じて、経時的に上下し、高温状態と低温状態とが、周期的に繰り返される。
一方、それら2つの気筒とはタイミングを異にして、分岐管18bに接続される気筒、および、分岐管18dに接続される気筒の2つの気筒において、ピストンが連動し、吸気工程、圧縮工程、爆発工程および排気工程が、同位相で実施される。これにより、燃料が燃焼され、動力が出力されるとともに、分岐管18aおよび分岐管18cとは異なるタイミングにおいて、高温の排気ガスが、分岐管18bおよび分岐管18dの内部を排気工程において通過する。
このとき、エンジン16の熱が、排気ガス(熱媒体)を介して伝達され、分岐管18bおよび分岐管18dの内部温度は、排気工程において上昇し、その他の工程(吸気工程、圧縮工程、爆発工程)において下降するので、ピストンサイクルに応じて、経時的に上下し、高温状態と低温状態とが、周期的に繰り返される。
この周期的な温度変化は、分岐管18aおよび分岐管18cの周期的な温度変化とは、周期が同じである一方、位相が異なる。
そして、この発電システム1では、上記したように、各分岐管18の内部(箱型空間20内)に、シート状の第1デバイス3が配置されている。
そのため、エンジン16(熱源2)から排出される排気ガスが、分岐管18内に導入され、箱型空間20内に充填されると、その箱型空間20内において、第1デバイス3の表面および裏面の両面(さらには、周側面)が、(第2デバイス4を介して)排気ガス(熱媒体)に接触(曝露)され、加熱および/または冷却される。
すなわち、第1デバイス3の表面および裏面の両面が、エンジン16(熱源2)、および、そのエンジン16の熱を伝達する熱媒体の経時的な温度変化により、加熱および/または冷却される。
そして、これにより、第1デバイス3を、周期的に高温状態または低温状態にすることができ、第1デバイス3を、その素子(例えば、ピエゾ素子、焦電素子など)に応じた効果(例えば、ピエゾ効果、焦電効果など)により、電気分極させることができる。
そのため、この発電システム1では、第2デバイス4を介して、各第1デバイス3から電力を周期的に変動する波形(例えば、交流、脈流など)として、取り出すことができる。
また、この発電システム1では、上記した制御により、電圧印加装置9が作動および停止される。
より具体的には、この発電システム1では、第1デバイス3の温度が、温度センサ8によって連続的に検知される。そして、検知された第1デバイス3の温度状態が、制御ユニット10に入力され、制御ユニット10が、電圧印加装置9の作動および停止を制御する。
すなわち、図2に示されるように、第1デバイス3が昇温(加熱)されると、その第1デバイス3の昇温開始時または昇温中に、電圧印加装置9を作動させ、第1デバイス3に対して所定のアシスト電圧を印加する。
また、図2に示されるように、第1デバイス3が降温(冷却)されると、その第1デバイス3の降温中には、電圧印加装置9を停止させ、第1デバイス3に対するアシスト電圧の印加を停止させる。
また、図2に示されるように、第1デバイス3が降温(冷却)されると、その第1デバイス3の降温中には、電圧印加装置9を停止させ、第1デバイス3に対するアシスト電圧の印加を停止させる。
そして、第1デバイス3において生じた電力は、第1デバイス3の降温中に、バッテリー7に回収される。
加えて、この発電システム1では、上記したように、第1デバイス3の起電力およびその履歴が、起電力センサ35によって連続的に検知され、制御ユニット10に入力される。
そして、図3に示されるように、第1デバイス3の温度の上昇および下降が繰り返されるサイクルにおいて、今サイクルの第1デバイス3の昇温時に、前サイクルの第1デバイス3の昇温中における起電力が参照されて、電圧印加装置9が制御される。
すなわち、n回目の昇温中の電圧印加装置9を制御するため、第1デバイス3の昇温時に、n−1回目(前サイクル)の昇温中の第1デバイス3の起電力を、参照する。
そして、n−1回目(前サイクル)の第1デバイス3の昇温中に、第1デバイス3の起電力が降下しなかった場合には、上記の通り、第1デバイス3にアシスト電圧を印加して、発電効率の向上を図る。
一方、n−1回目(前サイクル)の第1デバイス3の昇温中に、第1デバイス3の起電力が降下していた場合には、n回目(今サイクル)の第1デバイス3の昇温中に、第1デバイス3にポーリング電圧を印加して、第1デバイス3の発電性能を復元する。
このような制御を繰り返すことによって、優れた効率で発電することができる。
すなわち、上記した発電システム1では、第1デバイス3の温度の上昇および下降が繰り返されるサイクルにおいて、前サイクルの第1デバイス3の昇温中に第1デバイス3の起電力が降下した場合(つまり、第1デバイスの劣化が検知された場合)に、第1デバイス3にポーリング電圧を印加する。また、このポーリング電圧は、今サイクルの第1デバイス3の昇温中に、印加される。
このような発電システム1は、ポーリング処理効率に優れており、継続的に優れた発電性能を得ることができる。
1 発電システム
2 熱源
3 第1デバイス
4 第2デバイス
9 電圧印加装置
10 制御ユニット
35 起電力センサ

Claims (1)

  1. 温度の上昇および下降が経時的に繰り返される熱源と、
    前記熱源の温度変化により温度が繰り返し上下され、電気分極する第1デバイスと、
    前記第1デバイスから電力を取り出すための第2デバイスと、
    前記第1デバイスの温度を検知する温度検知手段と、
    前記第1デバイスに電圧を印加する電圧印加手段と、
    前記第1デバイスの起電力を監視する監視手段と、
    前記温度検知手段により検知される温度、および、前記監視手段により監視される前記第1デバイスの起電力に基づいて、前記電圧印加手段を作動および停止させるための制御手段とを備え、
    前記制御手段は、
    前記第1デバイスの温度の上昇および下降が繰り返されるサイクルにおいて、
    今サイクルの前記第1デバイスの昇温時に、前サイクルの第1デバイスの昇温中における起電力を参照し、
    前サイクルの第1デバイスの昇温中に、前記第1デバイスの起電力が降下しなかった場合には、今サイクルの第1デバイスの昇温中に、前記第1デバイスにアシスト電圧を印加し、
    前サイクルの第1デバイスの昇温中に、前記第1デバイスの起電力が降下した場合には、今サイクルの第1デバイスの昇温中に、前記第1デバイスにポーリング電圧を印加することを特徴とする、発電システム。
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