JP6445434B2 - スーパーカインおよびシンセカイン:新規かつ増強されたシグナル伝達活性を有する再利用されるサイトカイン - Google Patents

スーパーカインおよびシンセカイン:新規かつ増強されたシグナル伝達活性を有する再利用されるサイトカイン Download PDF

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Description

本出願は、2013年5月21日に出願された米国仮出願第61/825,980号、2012年11月13日に出願された米国仮出願第61/725,791号、および2012年8月9日に出願された米国仮出願第61/681,490号に対して優先権を主張し、これらのそれぞれの開示は、全ての目的のためにそれらの全体において、参照により本明細書に組み込まれる。
サイトカインは、多数の細胞により分泌され、細胞間情報伝達において広範囲にわたって使用されるシグナル伝達分子の一種である、細胞シグナル伝達小分子である。サイトカインは、分化、増殖、およびアポトーシス/抗アポトーシスを含む、鍵となる細胞機能を調節する。
多くのサイトカインは、通常「α」で示される、比較的高い親和性のサイトカインレセプター鎖とまず相互作用することと、その後に続く、異なるサイトカインの間で共有されるレセプター鎖、すなわち共有レセプター鎖との比較的低い親和性の相互作用により、刺激を媒介する。第1の高い親和性のレセプターに対するサイトカインの結合は、共有レセプター鎖がその後に結合し得る、複合表面を作成する。
インターロイキン‐4(IL‐4)は、そのようなサイトカインを典型的に表す。IL‐4の主要な結合鎖は、IL‐4レセプターα(IL‐4Rα)である。IL‐4/IL‐4Rα複合体は、IL‐4レセプターの第二の構成要素であるγcに対するリガンドとしての役目を果たす。さらに、IL‐4/IL‐4Rα複合体は、インターロイキン‐13(IL‐13)レセプターα1(IL‐13Rα1)に対するリガンドとしての役目を果たす。IL‐4とは異なり、IL‐13は、IL‐4Rαに結合しないが、IL‐13/IL‐13Rα1複合体結合は、IL‐4Rαに結合する。
IL‐4およびIL‐13は、別個のレセプターによりシグナル伝達し得るので、それらが異なるシグナル伝達経路を活性化することができることが推論され得る。実際に、IL‐13Rα1がTyk2およびJAK2を活性化するのに対して、γcはチロシンキナーゼヤヌスキナーゼ3(JAK3)を活性化する。活性化されたJAKは、Srcホモロジー2(SH2)ドメインを含むタンパク質についてのドッキング部位としての役目を果たす、保護されたチロシン残基で、IL‐4Rの細胞質尾部のリン酸化を媒介する。3つの接近して集合するチロシン残基は、IL‐4Rα鎖に選択的に結合される転写因子であるトランスクリプションシグナル伝達物質および活性化因子6(STAT6)に対するドッキング部位としての役目を果たす。IL‐13Rα1へのIL‐13の結合は、また、IL‐13/IL‐13Rα1複合体によるIL‐4Rαの結合によりSTAT6を活性化する。
STAT6に加えて、IL‐4は、IRS‐2を動員し、活性化する。構造関数解析が、IL‐4RαがIL‐4により活性化された後に、IL‐4Rαの膜貫通ドメインでチロシン残基[Tyr497、インスリン/IL‐4Rモチーフ(I4R)の一部]がIL‐4RαへのIRS‐2のドッキングのために必要であることを明らかにした。JAK1およびJAK3は、その後、IL‐4Rα結合IRS‐2をリン酸化する。IRS‐2の活性化は、多くの細胞型における増殖および生存シグナルを媒介すると考えられている経路である、ホスホイノシチド3‐キナーゼ(PI3K)および下流のタンパク質セリン/トレオニンキナーゼAktの活性化を導く。実際に、この経路は、I型のIL‐4Rを発現している細胞(NK細胞、T細胞、およびB細胞)でのIL‐4媒介の増殖において重要である。
IL‐4Rαは、広範に存在するが、IL‐13Rα1ではないγは、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、好塩基球、マスト細胞、およびほとんどのマウスB細胞(ほとんどのヒトB細胞がγおよびIL‐13Rα1の両方を発現する)でみられる。その結果、IL‐13ではなくIL‐4が、ナイーブなT細胞のT2細胞への分化を促進し、IL‐4は、マウスIgE応答の誘導のためにIL‐13よりもはるかに重要であると思われる。
マクロファージおよび樹状細胞を含むいくつかの骨髄由来細胞は、γおよびIL‐13Rα1の両方を発現し、その結果、IL‐4およびIL‐13の両方に応答する。これらの細胞の異なる副集団での、これらの2つのレセプターサブユニットの相対的存在量における差異が、IL‐4対IL‐13へのそれらの相対的応答性について、部分的に、説明し得る。平滑筋および上皮細胞を含む、ほとんどの非骨髄由来細胞では、IL‐13Rα1が見出されるが、γサブユニットがほとんどまたは全くなく、その結果、IL‐4は、これらの細胞を刺激することにおいて、IL‐13を上回る本来の利点を有しない。
1990年代前半には、癌を治療するために、IL‐4を利用する臨床試験が行われた。IL‐4が、インビトロで白血病リンパ芽球における増殖停止およびアポトーシス誘導することが観察された。これらの観察は、免疫不全のマウスに移植されたヒト白血病細胞による実験で確認された。残念ながら、IL‐4の臨床有用性は、腎臓、肝臓、神経性、および胃腸の毒性、並びに、非造血細胞に対するIL‐4の結合に関連する、血管漏出症候群(vascular leak syndrome)を含む、サイトカインの多面発現性の活性により制限される。よって、治療法としての「野生型」IL‐4の使用は、望ましくない応答を引き起こす細胞型に結合するその能力により制限される。
その結果、1つのレセプターについて、別のものと比較して選択的に増加された分子に対する、当該分野での必要性が存在し、例としてIL‐4を用いれば、IL‐13Rα1と比較してγcについて増加された選択性が有利となり得、または逆の場合も同じである。
さらに、野生型サイトカインの使用と関連するいくつかの毒性は、高用量の投与に起因し得る。よって、低投与量で所望の共有レセプターの活性化を達成し得る分子もまた有利であろう。
従って、本発明は、当該分野におけるこれらのおよび他の必要性に対処する。
多くのサイトカインが、可能性のある臨床応用のために、薬学的部門において開発されている。これらの事例の大多数では、用量制限の毒性または不十分な効能と関連することが多い、内因性の野生型サイトカインが試みられている。
サイトカインを向上させるための1つの可能性は、ある所望の細胞型での好ましい活性についてそれらにバイアスをかけることである。ヘテロ二量体のレセプター複合体を通じて作用するサイトカインは、このアプローチに対して特に適している。タンパク質操作が、共有レセプターについての相対的な親和性を変更した新規なサイトカイン変異タンパク質を提供するために利用され得る。
従って、いくつかの実施形態では、2つまたはそれ以上の共有レセプターポリペプチドにより認識されるリガンドに対して標的細胞における細胞応答を選択的に操作するための方法が提供される。当該方法は、変異タンパク質リガンドを提供することを包含し、変異タンパク質リガンドは、リガンドよりも高い親和性で2つまたはそれ以上の共有レセプターポリペプチドの1つと結合する。他の実施形態では、変異タンパク質リガンドは、リガンドよりも高い親和性で2つまたはそれ以上の共有レセプターポリペプチドのうちの2つと結合することにより、細胞応答を選択的に操作する。さらに他の実施形態において、変異タンパク質リガンドは、リガンドよりも高い親和性で2つまたはそれ以上の共有レセプターポリペプチドのうちの1つと結合し、リガンドよりも低い親和性で2つまたはそれ以上の共有レセプターポリペプチドのうちの別の1つと結合することにより、細胞応答を選択的に操作する。他の実施形態では、2つまたはそれ以上の共有レセプターポリペプチドは、標的細胞の表面に等しく存在しない。他の実施形態では、変異タンパク質リガンドにより結合される共有レセプターが、変異タンパク質リガンドにより結合されていない共有レセプターよりも、標的細胞の表面に、より低いレベルで存在する。他の実施形態では、変異タンパク質リガンドにより結合される共有レセプターが、変異タンパク質リガンドにより結合されていない共有レセプターよりも、標的細胞の表面に、より高いレベルで存在する。変異タンパク質リガンドにより結合されていない共有レセプターが、変異タンパク質リガンドへの低減された到達性を有する、請求項1の方法。他の実施形態では、変異タンパク質リガンドにより結合されていない共有レセプターへの到達性が、変異タンパク質リガンドにより結合されていない共有レセプターの到達性に干渉する反応剤を提供することにより低減される。他の実施形態では、反応剤は、変異タンパク質リガンドにより結合されていない共有レセプターを認識する抗体である。他の実施形態では、変異タンパク質は、IL‐4変異タンパク質である。他の実施形態では、共有レセプターは、共通γ鎖(γc)、またはインターロイキン13レセプターアルファ1(IL‐13Rα1)である。他の実施形態では、より高い親和性は少なくとも10倍である。他の実施形態では、より低い親和性は少なくとも5倍である。他の実施形態では、リガンドは、増殖因子またはサイトカインである。
いくつかの実施形態では、サイトカイン変異タンパク質を包含する組成物が提供され、サイトカイン変異タンパク質が、野生型サイトカインと比較して、共有サイトカインレセプターに結合するより高い親和性をもたらす。いくつかの実施形態では、サイトカイン変異タンパク質が、野生型サイトカインと比較して、第1の共有サイトカインレセプターとの結合親和性における相対的な増加、および第2の共有サイトカインレセプターへの低減された結合親和性をもたらす。他の実施形態では、サイトカイン変異タンパク質は、野生型サイトカインと比較して、2つの共有サイトカインレセプターへの結合親和性における相対的な増加をもたらす。いくつかの実施形態では、第1の共有サイトカインレセプターは、第2の共有サイトカインレセプターよりも低いレベルで発現され、いくつかの実施形態では、第1の共有サイトカインレセプターは、第2の共有サイトカインレセプターよりも高いレベルで発現される。いくつかの実施形態では、サイトカイン変異タンパク質が、野生型サイトカインと比較して、第1および第2の共有サイトカインレセプターに結合するより高い親和性をもたらす。いくつかの実施形態では、親和性における増加は少なくとも10倍である。いくつかの実施形態では、親和性における低減は少なくとも5倍である。
いくつかの実施形態では、共有サイトカインレセプターは、共通γ鎖(γ)である。他の実施形態では、共有サイトカインレセプターは、IL‐13レセプターα1である。いくつかの実施形態では、第1の共有サイトカインレセプターはγcであり、第2の共有サイトカインレセプターはIL‐13Rα1である。いくつかの実施形態では、第1の共有サイトカインレセプターはIL‐13Rα1であり、第2の共有サイトカインレセプターはγcである。いくつかの実施形態では、第1および第2の共有サイトカインレセプターはγcおよびIL‐13Rα1である。
いくつかの実施形態では、サイトカイン変異タンパク質はIL‐4変異タンパク質である。
いくつかの実施形態では、変化したシグナル伝達特性を有するIL‐4変異タンパク質が提供され、STATリン酸化は、同じ濃度のIL‐4と接触させたラモス細胞と比較して、IL‐4変異タンパク質と接触させたラモス細胞(Ramos cell)においてより高く、これにより、変化したシグナル伝達特性を有するIL‐4変異タンパク質を示す。いくつかの実施形態では、変化したシグナル伝達特性を有するIL‐4変異タンパク質が提供され、STATリン酸化は、同じ濃度のIL‐4と接触させたA549細胞と比較して、IL‐4変異タンパク質と接触させたA549細胞においてより高く、これにより、変化したシグナル伝達特性を有するIL‐4変異タンパク質を示す。
いくつかの実施形態では、位置117、118、121、122、124、125、128、および129で、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、または8つのアミノ酸置換を包含するIL‐4変異タンパク質が提供され、アミノ酸の番号付けは野生型ヒトIL‐4(配列番号1)に従う。いくつかの実施形態では、置換は、IL‐4の位置121でなされる。いくつかの実施形態では、置換は、IL‐4の位置121および124でなされる。他の実施形態では、置換は、位置121、124、および125でなされる。
いくつかの実施形態では、置換は、IL‐4の位置117、118、121、122、124、125、128、および129でなされる。他の実施形態では、開示されたIL‐4変異タンパク質は、配列117R、118V、121Q、122S、124W、125F、128G、および129Aを有する。
いくつかの実施形態では、サイトカイン変異タンパク質を包含する薬学的組成物が提供され、変異タンパク質の投与は、野生型変異タンパク質と比較して、低減された副作用をもたらす。いくつかの実施形態では、副作用は血管漏出症候群である。他の実施形態では、サイトカイン変異タンパク質を包含する薬学的組成物が提供され、同じ治療法の効能が、野生型変異タンパク質と比較して、より少ないサイトカイン変異タンパク質で達成される。
いくつかの実施形態では、あらゆる1つまたはそれ以上の記載されたサイトカイン変異タンパク質を包含すること薬学的組成物が提供される。他の実施形態では、対象を治療する方法が提供され、方法は、あらゆる1つまたはそれ以上の記載されたサイトカイン変異タンパク質の組成物を包含する。いくつかの実施形態では、対象は、炎症性疾患を罹っている。
さらなる特徴および利点が、以下の詳細な説明および請求の範囲において、ここにより具体的に記載される。
IL−4スーパーカインの構造ベースの操作を示す。(a)IL−4およびIL−13のI型およびII型外部ドメイン三元複合体6の結晶構造である。(b)および(c)IL−4およびIL−13のD−へリックス上にある、それぞれの主要なγcおよびIL−13Rα1結合部位である。(b)では、IL−4部位2ライブラリーにおけるランダム化された位置が示され、(c)では、レセプター複合体のIL−4およびIL−13の構造上の重なりは、IL−4の位置121、124および125がIL−13の類似した位置上で密接に重なり合うことを示し、これらの位置をIL−13のものと置換することにつながった。(c)では、IL−13は紫色、IL−4は薄緑色、置換される残基は赤色である。(d)酵母ディスプレイのIL−4上のIL−4/IL−4Rα/γc外部ドメイン三元複合体の協同的集合。(e)パネル(b)で示されるIL−4部位2ライブラリーの、γc四量体上の選択による段階的濃縮。ライブラリーは、第1の選択ステップでIL−4Rαと複合し、それに続くラウンドにはIL−4Rαは含まれなかった。最後の6回目の選択のラウンドは、1μmのγc単量体上だった(示されていない)。 C末端ビオチン標識を介した、表面に固定されたγに結合するIL−4およびシンセカイン(synthekine)の表面プラズモン共鳴分析を示す。 γに対するIL−4親和性増強のための構造基盤を示す。(a)3.25Åにおけるスーパー4/γ二元複合体の結晶構造である。(b)スーパー4/γc二元複合体のIL−4/IL−4Ra/γ三元複合体との構造上の重なりである。スーパー4のγcとのドッキング形態はIL−4のものと本質的に同一である。(d)野生型(左)およびγとのスーパー4(右)複合体における部位2の界面を単離した図である。図は、サイトカインのAおよびDへリックスをリボンで表したものであり、γの半透明な分子表面上に突入する、γと相互作用する側鎖が示されている。表面下のγの相互作用残基は、表面上で濃い色の輪郭として見られる。γ上でそれぞれのサイトカインに接触される領域は、表面で黄色で表され、エネルギー的に重要なγのY103が赤色で示される。破線の楕円は、パネル(d)で側部から示される界面の領域を囲む。(d)では、スーパー4におけるS125FおよびY124W置換に起因する、スーパー4(右)対IL−4(左)における界面のパッキングおよび形状相補性の改善のクローズアップが示される。半透明分子表面が、サイトカインおよびレセプターに関して示される。 スーパー4へリックスDの電子密度を表す。 スーパー4/γc界面での再構築した水素結合相互作用を表す。 細胞系統でのIL−4レセプター成分の発現を示す。(a)一晩飢餓状態にした細胞上で、IL−4Rα、γcおよびIL−13Rα1のmRNAの発現を、材料および方法で説明される通り、定量PCRで測定した。結果は、3つの独立した実験からの平均値および標準誤差を表す。(b)指示された細胞系統の細胞表面上の、IL−4Rα、γcおよびIL−13Rα1の発現をフローサイトメトリーで決定した。特定の抗体で測定したMFIを、同一アイソタイプの対照抗体に対して正規化した。 細胞内シグナル伝達に対するIL−4スーパーカインの効果を示す。(a)一晩飢餓状態にしたラモス細胞を、指示した時間の間、100pg/mlのIL−4、スーパー4、またはKFRで、刺激しなかった、または、刺激した。細胞を次いで固定化、透過処理し、リン酸化STAT6に対する抗体で染色した。3つの独立した実験を実施し、平均値および標準誤差が示される。(b)ラモス細胞を15分間、量を増やしながらIL−4またはスーパー4で刺激し、分析を次いで図7(a)の通り実施した。実験を3回繰り返した;平均値および標準誤差が示される。(c)ラモス細胞を一晩飢餓状態にし、次いで、量を増やしながらIL−4または指示されるスーパーカインで15分間刺激した。3つの独立した実験の平均値および±標準誤差が示される。(d)A549細胞を一晩飢餓状態にし、指示された濃度のIL−4またはスーパーカインで15分間刺激した。7(a)の通りに細胞を固定化し、調製した;3つの独立した実験を実施し、平均値および標準誤差が示される。(e)U937細胞を一晩飢餓状態にし、次いでIL−4またはスーパーカインで15分間刺激した;pSTAT6を7(a)の通りに測定した。実験を3回繰り返した;平均値および標準誤差が示される。(f)ラモス細胞を指示されるIL−4またはスーパー4のいずれかで8時間刺激し、次いで、CD23の表面染色を行った。実験を3回繰り返し;CD23の上方制御の平均値および標準誤差が示される。 1つの実験からの、IL−4およびスーパーカインに応答したSTAT6リン酸化染色を示す。 第2の鎖動員の増強および異なる数の第2の鎖に応答するレセプター集合のモデリングを表す。Matlabスクリプトを用いて、I型IL−4レセプターのみを発現する細胞表面上のIL−4レセプターの集合を計算した。(a)上部3つのパネルでは、IL−4Rαの数を1500に設定した。第2の鎖の数を500から4500に増やし、第2の鎖のIL−4Rα複合体の2次元平衡定数は、指示されるように0.01μmから1μmの範囲にわたった。最も高い第2の鎖K値(1.0μm)対最も低い第2の鎖K値(0.01μm)の構築した鎖の比を、細胞1個あたり、500、1500および4500のγc分子において100および1000pg/mlに関して計算した。(b)真ん中の3つのパネルでは、IL−4Rαの数を1500に設定した。細胞1個あたり、2Dの平衡定数は1μmから0.01μmに変化し、および、第2の鎖の数は167から4500に変化した。1.0μm、0.1μmまたは0.01μmの2Dの平衡定数における、100および1000pg/mlのIL−4または変異タンパク質での、細胞1個あたり167のγc鎖と集合した複合体が示される。下部のパネルでは、集合した複合体の数が、IL−4またはスーパー4の濃度に対してプロットされており、10,000から30,000pg/mlの濃度範囲で、IL−4に関して集合したレセプターの最大数に線が引かれている。 IL−4またはスーパーカインに誘導されたSTAT6活性化に対する、γc有用性を変えることの効果を示す。(a)HH細胞を示した濃度のIL−4または変異タンパク質で刺激し、図7の通りに、細胞内染色および分析を実施した。同一の結果を伴う2つの独立した実験の、代表的な実験が示される。(b)飢餓状態のラモス細胞を、未処理のまま放置するか、または、5または50μg/mlの抗γc阻止抗体で1時間インキュベートするかのいずれかを行った。細胞を次いで、100pg/mlのIL−4または示したスーパーカインで刺激した。次いで、図7aの通りに分析を実施した。3つの独立した実験を実施し、平均値および標準誤差が示される。(c)飢餓状態にしたU937細胞を、10bのラモス細胞のように処理および分析した。 ヒトの初代細胞上のスーパーカインの挙動を示す。(a)指示された濃度のIL−4、スーパー4またはKFRで15分間刺激したPBLまたは刺激しないままにしたPBLである。pSTAT6の誘導は、図7の通りに計算された;5人のドナーからのデータの平均値および標準誤差が示される。(L=リンパ球、M=単球、Ne=好中球)(b)1人のドナーのヒトPBL上のIL−4レセプター鎖の発現を、図6bの通り測定した。IL−4Rα、γcおよびIL−13Rα1の発現の測定に関しては、B細胞およびT細胞を細胞表面マーカー(CD19、CD3)でゲート化し、一方で、単球および好中球をCD19およびCD3陰性細胞として識別し、これは、これらの特有の前方および後方散乱に基づいた。適切なアイソタイプ対照を陰性対照として用いた。(c)6人のドナー由来のPBL上のIL−4Rレセプター鎖発現を図11bの通りに測定した;平均値および標準誤差が表される(T=T細胞、B=B細胞、M=単球、Ne=好中球)。(d)ヒトPBL上のIL−4のI型およびII型レセプター鎖の発現である。IL−4Rα、γcおよびIL−13Rα1の発現の測定のために、BおよびT細胞を細胞表面マーカー(CD19、CD4、CD8)でゲート化し、一方で、単球をCD14+細胞として識別した。適切なアイソタイプ対照を陰性対照として用い、平均値および標準偏差が示される。(h)IL−4およびスーパーカインのS字状の用量応答曲線(図19)をもとに得た、正規化pSTAT6 EC50値である。IL−4野生型由来のpSTAT6 EC50値を1に正規化し、スーパー4およびKFRのEC50値をそれに従って計算した。対応のあるt検定を用いて有意な変化を決定した。 リン酸化をスーパー4が、CD4およびCD8 T細胞における、IL−4およびKFRよりも強力なSTAT6の誘導したことを示す。IL−4およびスーパーカインのS字状の用量応答曲線をもとに得た、正規化P−STAT6 EC50値である。IL−4野生型由来のP−STAT6 EC50値を1に正規化し、スーパー4およびKFRのEC50値をそれに従って計算した(L=リンパ球、M=単球、Ne=好中球)。 図13は、IL−4およびスーパーカインが示す機能活性を表す。(a)ヒト未処理CD4CD45RACD45ROCD25T細胞を、TGFおよび示された濃度のIL−4、スーパー4またはKFRの存在下で、抗CD3/抗CD28被覆ビーズと共に培養した。4日後、ブレフェルジンAの存在下で、さらに4時間、細胞をPMAおよびイオノマイシンで再度刺激した。続いて細胞のIL−9およびFoxp3の細胞内発現を分析した。データ(平均値および標準誤差)は、4人を超えるドナーでの3つの独立した実験からである。(b)健康な血液ドナーから取得した末梢血液単核細胞から、CD14単球を単離(97%超の純度)し、50ng/mLのGM−CSFのみと共に培養、または、示された濃度のIL−4、KFRまたはスーパー4と共に培養した。 樹状細胞成熟がII型IL−4レセプター複合体の活性化に依存するということをスーパーカインが表すことを示す。CD14、CD86およびCD209表面マーカー発現を用いて、スーパーカインのDC成熟に対する影響を示した。この実験のために、CD14+単球を単離し(97%超純度)、示された抗体の存在下で50ng/mLのGM−CSFおよび2μg/mlのIL−4、KFRまたはスーパー4と共に培養した。細胞を6日目に処理し、続いてDAPI、蛍光標識化アイソタイプ制御m抗体、またはm抗体で、CD14、CD86およびCD209に対して染色した。データ(平均値および標準誤差)は3人のドナーからである。 単球中のIL−4および2つのスーパーカインのシグナル伝達および内部移行動態を示す。末梢血液単核細胞からCD14+単球を単離し(97%超純度)、示される時間の間、30pMのIL−4、スーパー4またはKFRで刺激した。細胞を次いで回収し、レセプターの下方制御実験のために、4℃で維持してIL−13Rα1およびγcレセプター鎖に特異的である抗体で染色するか、シグナル伝達動態実験のために、4%のPFAで固定、100%メタノールで透過処理、およびリン酸化型特異的抗体でSTAT6およびIRS1に対して染色するかのいずれかを行った。双方の場合で、細胞をフローサイトメトリーで分析した。データ(平均値および標準誤差)は4人の健康なドナーからである。 単球のIL−4および2つのスーパーカインに誘導される遺伝子発現プロファイルを示す。5人の健康なドナー由来の高度に精製された単球を、GM−CSF単独で、または、IL−4もしくは2つのスーパーカインと組み合わせて6時間刺激し、それらのRNAを抽出し、2色アジレント(Agilent)マイクロアレイ(60,000個の特徴)によって分析した。(a)3つのサイトカインによる遺伝子誘導を比較した散布図の相関関係が示される。(b)GM−CSF対照条件と比較した場合、3つのサイトカインによって遺伝子が顕著に下方/上方制御されるベン図が示される。(c)IL−4/スーパー4対KFR、IL−4/KFR対スーパー4またはIL−4対スーパー4/KFRによって顕著に制御される、遺伝子の選択された一覧(表4)を示すヒートマップである(p<0.05、対応のあるt検定)。青色はより高い発現を意味し、青色はより低い発現を示す。 未熟およびLPSで成熟したDCの、IL−4および2つのスーパーカインに誘導されるサイトカイン分泌の別個のパターンを示す。3人の健康なドナー由来の精製単球を、GM−CSF(50ng/ml)単独で、または、IL−4、KFRまたはスーパー4(20ng/ml)と組み合わせて7日間培養し、次いで、さらに24時間LPS(2μg/ml)で刺激した(またはしなかった)。相対量の51のサイトカイン、ケモカインおよび増殖因子に関して、培養の上澄みをLuminexで評価した(ヒートマップによって列挙される)。ヒートマップの右のパネルは、その分泌が変化しなかったか(n=19)、LPS刺激によってのみ増加したか(n=20)、または、LPSの存在下または不在下でスーパーカインによって調節されたか(n=12)のいずれかであった生成物の代表例である。データは、3人の健康なドナーからの平均値およびSDを示す(GM−CSF単独群に基準化される)。対応のあるt検定を用いて有意な変化を決定した、p<0.05)。 抗γc(0μg/ml、5μg/mlまたは50μg/ml)の存在下でIL−4、スーパー4およびKFRに応答したラモスおよびU937細胞におけるSTAT6のリン酸化を示す。抗γcの不在下での応答を100%に正規化し、抗γcの存在下での応答を正規化した値に関して表す。データ(平均値±標準誤差)は3つの独立した実験からである。 IL−4および2つのスーパーカインに誘導されるSTAT6リン酸化を示す。細胞を示される用量のIL−4および2つのスーパーカインで刺激し、STAT6リン酸化の量を、蛍光で標識したリン酸−STAT6特異的抗体およびフローサイトメトリーを用いて、(a)CD4 T細胞、(b)CD8 T細胞、(c)単球、(d)B細胞および(e)HH細胞で検出した。平均値および標準誤差を3つの異なる実験から取得した。 単球のIL−4および2つのスーパーカインに誘導される、レセプターの下方制御およびSTAT6およびIRS1リン酸化動態を示す。示される時間の間、50nMのIL−4または2つのスーパーカインで単球を刺激し、細胞を、(a〜b)固定化および100%メタノールで30分間透過処理し、リン酸−STAT6およびリン酸−IRS1抗体で染色するか;または、(c〜d)抗IL−13Rα1またはγc特異的抗体で染色し、4℃にて30分、レセプターの内部移行を阻止するために、4%PFAで固定し、フローサイトメトリーで分析した。データ(平均値および標準誤差)は4人の健康なドナーからである。 IL−4、KRFおよびスーパー4によるサイトカイン分泌の差次的な誘導を示す。50ng/mlのGM−CSFと共に、IL−4、KFRまたはスーパー4(20ng/ml)有りまたは無しで、単球を7日間培養し、次いで、LPS(2mg/ml)で24時間刺激し、データは、3人の健康なドナーからの平均値±標準偏差を表す(刺激しなかったGM−CSF単独群に対して正規化)。p<0.05(対応のあるt検定)。 IL−4スーパーカインによって示される樹状細胞分化能を示す。CD14+単球を単離し(97%超純度)、続いで50ng/mLのGM−CSFのみと共に培養、または、指された濃度のIL−4、KFRまたはスーパー4と共に培養した。6〜7日目で細胞を処理し、蛍光標識化したCD86、CD209に対する抗体で染色した。樹状細胞分化を、BD LSRIIフローサイトメーターで、フローサイトメトリーでによって評価し、平均蛍光強度(MFI)をFlowJoソフトウェア(ツリースター社(Treestar))上で決定した。データは、3人の健康なドナーからの平均値±標準誤差を意味する。 IL−4、KFRまたはスーパー4の存在下での表面マーカーの差次的な発現を示す。50ng/mlのGM−CSFと共に、IL−4、KFRまたはスーパー4(20ng/ml)有りまたは無しで、単球を7日間培養した。データは、3人の健康なドナーからの平均値±標準偏差を表す(GM−CSF単独群に基準化)。p<0.05(対応のあるt検定)。CD1c(BDCA−1)およびCD141(BDCA−3)は、バックグラウンド量を超えて検知されなかった。

サイトカインは、1つの細胞により作られて、他に作用する分子として広く定義される。他の命名の中でも、インターロイキン、インターフェロン、増殖因子、およびTNFとよばれるこれらの分子は、また、細胞の増殖から炎症、免疫、遊走、線維症、修復、および血管新生まで、あらゆる本質的に重要な生物学的過程に関わる。これらの特性に起因して、治療法としてのサイトカインの使用が探究されてきた。残念ながら、実例の大多数において、治療法としての野生型サイトカインの使用は、用量制限の毒性または不十分な効能を伴うことが多い。
サイトカインは、三次元構造に基づいて、2つのカテゴリー、すなわちI型およびII型に分けることができる。
I型サイトカインは、「アップ‐アップ‐ダウン‐ダウン(up-up-down-down)」構造による、4つのα‐ヘリックスバンドル構造を有する。これらのサイトカインは、α‐ヘリックスの長さ並びにいくつかの他の構造的/形態的考慮に基づいて、短鎖および長鎖の4つのα‐ヘリックスバンドルサイトカインにさらに分けることができる。短鎖サイトカインでは、ヘリックスは、長鎖サイトカインについての25アミノ酸に対して、典型的には、約15のアミノ酸の長さである。
ABループは、長鎖サイトカインではCDループより「上」であるのに対して、短鎖サイトカインではCDループより「下」である。別の特有の特徴は、短鎖サイトカインのみが、ABおよびCDループ内にβ‐シート構造を有することである。
短鎖サイトカインの例は、IL‐2、IL‐3、IL‐4、IL‐5、IL‐7、IL‐9、IL‐13、IL‐15、およびIL‐21であり、一方、長鎖サイトカインの例は、IL‐6、IL‐11、およびIL‐12である。
II型サイトカインは、異なる構造を有する。例えば、インターフェロン(IFN)‐βは、CD鎖の代わりにエクストラへリックスを有し、2つの絡み合ったペプチド鎖から構築される6つのα‐ヘリックスからなる各IL‐10ドメインで、1つの鎖由来のヘリックスAからD、並びに2重の関連する鎖由来のヘリックスEおよびFで、IFN‐γは6つのヘリックス/ダイマーのα‐ダイマーとして結合し、およびIL‐10は、2つのセットのダイマーとしてそのレセプターに対して結合する。
他のII型サイトカインは、IL‐20およびIL‐22である。
サイトカインは、標的細胞で発現される特異的なレセプターとの相互作用を介して、それらの機能を発揮する。サイトカインのように、サイトカインレセプターは、構造的類似性に基づいて、関連するタンパク質の別個のファミリーにグループ化することができる。これらのレセプターは、関連するタンパク質の別個のファミリーに入り、4つの広いグループに分類される場合もある。I型サイトカインレセプターは、ヘマトポイエチン(haematopoietin)レセプターファミリーに属する。
I型サイトカインレセプターは、αレセプターおよび共有され得る1つまたは2つの二次成分を有する多量体である。I型サイトカインレセプターは、共通のレセプター成分の共有に基づく3つのサブファミリーに分けることができる。I型サイトカインレセプターは、共通β鎖(β)、gp130、または共通γ鎖(γ)のいずれかを共有し得る。
βを共有するサイトカインの例は、IL‐3、IL‐5、およびGM‐CSFであり、gp130を共有するサイトカインは、例えば、IL‐6およびIL‐11であり、並びにγcを共有するサイトカインは、例えば、IL‐2、IL‐3、IL‐7、IL‐9、IL‐13、IL‐15、およびIL‐21である。
サイトカインを向上させるための1つの可能性は、ある所望の細胞型での好ましい活性のためにそれらにバイアスをかけることである。αレセプターは、異なる細胞型の表面での選択的な発現に基づくサイトカイン特異性および細胞特異性の動因である。共有レセプタは、また、差次的に発現される。よって、ある一定の細胞型でのサイトカインの好ましい活性は、リガンドの操作により改良され得る。例えば、共有レセプターの補充についての結合パラメーターの操作は、ある細胞型に対して、サイトカインの活性をゆがめ得る。これは、共有および/またはヘテロ二量体のレセプターを通じてシグナル伝達する広い範囲のサイトカインに適用され得る。
本発明がより容易に理解されるために、ある一定の用語および表現が、以下に並びに明細書の全体にわたって定義される。
定義
別様に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術および科学用語は、概して、本発明が属する技術分野の当業者により共通に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に、本明細書で使用される命名法および細胞培養、分子遺伝学、有機化学における実験手順は、当該技術分野でよく知られたものであり、共通に採用される。標準的な技術が、核酸およびペプチド合成のために使用される。技術および手順は、概して、当該技術分野における従来の方法および種々の一般的な参照文献に従って行われ(概して、参照により本明細書に組み込まれる、Sambrook et al. MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL, 2nd ed. (1989) Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.を参照)、それはこの文献の全体にわたって提供される。本明細書で使用される命名法および以下に記載される分析および有機合成化学の実験手順は、よく知られるものであり、当該技術分野で共通に採用される。標準的な技術またはその改変形態が、化学合成および化学分析のために使用される。
「野生型」または「WT」または「ナイーブ」は、本明細書では、対立遺伝子変異を含む、天然でみられるアミノ酸配列またはヌクレオチド配列を意味する。「野生型IL‐4」は、天然または組換え型かどうかに関わらず、24のアミノ酸のIL‐4シグナルペプチドを含まない配列番号1、天然ヒトIL‐4の129の通常生じるアミノ酸配列を有する、IL‐4を意味する。
本明細書で使用されるように、「変異タンパク質」は、野生型のポリペプチドと比較して、1つまたはそれ以上の部位でアミノ酸挿入、欠失、置換、および変更のあるポリペプチドを意味する。例示的な変異タンパク質は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のアミノ酸の置換を含み得る。
変異タンパク質は、また、野生型ポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列の全体にわたって保存的変更および置換を含む(例えば、変異タンパク質の二次または三次構造に最小の影響を有するもの)。このような保存的置換は、The Atlas of Protein Sequence and Structure 5 (1978)においてDayhoffにより記載され、およびEMBO J., 8:779-785 (1989)においてArgosにより記載されたものを含む。例えば、以下のグループの1つに属するアミノ酸は保守的な変更を表す。グループI:ala、pro、gly、gln、asn、ser、thr;グループII:cys、ser、tyr、thr;グループIII:val、ile、leu、met、ala、phe;グループIV:lys、arg、his;グループV:phe、tyr、trp、his;およびグループVI:asp、glu。
本明細書で使用される、「共有レセプターポリペプチド」は、1つより多いリガンド間で共有されるポリペプチドレセプターを指す。代表的な共有レセプターは、IL‐4により結合されるものであり、γc、gp130、βc、またはIL‐13Rα1を含み得るが、これらに限定されない。
本明細書で使用される、「リガンド」は、レセプターのような別の分子と特異的に結合することが可能であるあらゆる分子を指す。「リガンド」という用語は、アゴニストおよびアンタゴニスト(antogonist)の両方を含み、例えば、小分子、抗体フラグメント、siRNA、アンチセンス核酸、変異タンパク質のようなポリペプチド、DNA、および/またはRNAであり得る。
本明細書で使用される、「標的細胞」は、共有レセプターのポリペプチドを発現する細胞、または本発明の変異タンパク質に結合することができるレセプターのポリペプチドを発現している細胞を指す。標的細胞の例は、B細胞、CD4 T細胞、マクロファージ、モノサイト、および上皮細胞を含み得るが、これらに限定されない。
「野生型に従った番号付け」は、野生型ポリペプチドの成熟した配列でアミノ酸が通常生じる位置と関連して、選択されたアミノ酸を識別することを意味し、例えば、118は、配列番号1で生じる118番目のアミノ酸を指す。
ポリペプチドまたはDNA配列に関連して本明細書で使用される、「同一性」という用語は、2つの分子間のサブユニット配列の同一性を指す。分子の両方におけるサブユニット位置が同じ単量体のサブユニット(例えば、同じアミノ酸残基またはヌクレオチド)により占められる場合、そのとき分子はその位置で同一である。2つのアミノ酸または2つのヌクレオチド配列間の類似性は、同一である位置の数の直接の関数となる。一般的に、配列は、最も高い順序の一致が得られるように整列される。必要に応じて、同一性は、GCSプログラムパッケージ(Devereux et al., Nucleic Acids Res. 12:387, 1984)、BLASTP、BLASTN、FASTA(Atschul et al., J. Molecular Biol. 215:403, 1990)のような公開された技術および広く利用可能なコンピュータープログラムを用いて算出され得る。配列同一性は、そのデフォルトのパラメーターを用いて、ウイスコンシン・バイオテクノロジー・センター大学(University of Wisconsin Biotechnology Center)(1710 University Avenue, Madison, Wis. 53705)でのGenetics Computerグループの配列分析ソフトウェアパッケージのような配列分析ソフトウェアを用いて測定され得る。
「ポリペプチド」、「タンパク質」、または「ペプチド」という用語は、その長さまたは翻訳後の変更(例えば、グリコシル化またはリン酸化)に関わらず、アミノ酸残基のあらゆる鎖を指す。
本開示の変異タンパク質ポリペプチドが「実質的に純粋」である場合には、それらは、少なくとも約60重量%(乾燥重量)関心ポリペプチドであり得る。例えば、ポリペプチドは、少なくとも約75重量%、約80重量%、約85重量%、約90重量%、約95重量%、または約99重量%の関心ポリペプチドであり得る。純度は、あらゆる適切な標準方法、例えば、カラムクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、またはHPLC分析により測定され得る。
本明細書で使用される、「有効量」という用語は、所望の生物応答を誘発するために必要な量を指す。薬物の有効な量は、所望の生物学的エンドポイント、送達される薬物、あらゆる追加の活性または不活性成分の組成物等のような因子に応じて変化し得る。
「発現」という用語は、ポリペプチドがDNAから産生されるプロセスを意味するために本明細書で使用される。プロセスは、mRNAへの遺伝子の転写およびポリペプチドへのこのmRNAの翻訳を伴う。それが使用される文脈に応じて、「発現」は、RNA、タンパク質、または両方の産生を指すこととしてもよい。
本明細書で使用される、「遺伝子産物」という用語は、RNA(例えば、メッセンジャーRNA(mRNA)またはマイクロRNA(miRNA))または遺伝子によりコードされるタンパク質を意味する。
本明細書で使用される、「単離された」という用語は、実質的に純粋な分子を指す。単離されたタンパク質は、実質的に純粋であり得、例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%他の、異なるタンパク質分子を含まない。
本明細書で使用されるように、「調節する」および「調節」または「操作する」および「操作」という用語は、概して、具体的な標的遺伝子(それらのRNAおよび/またはタンパク質産物を含む)の下方制御(例えば、阻害または抑制)、シグナル伝達経路、細胞、および/もしくは標的表現型、または標的遺伝子の上方制御(例えば、誘導または増加)を指す。
「患者」または「対象」は、哺乳類、例えば、炎症性疾患のような疾患または症状になるリスクがあるもしくは有する、または炎症性疾患を有すると診断されたもしくは診断される、または本明細書に記載される組成物および方法から別様の利益を受け得るヒトを意味する。
本明細書で使用される、「低減させる」という用語および文法上同等のものは、発現もしくは遺伝子産物活性の、あらゆる阻害、減少、低減、抑制、下方制御、または防止を指す。例えば、発現または活性のレベルは、例えば、無抑制の発現または活性の100%または100%未満、例えば、95%未満、90%未満、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%以下、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、または5%未満であり得る。
用語「治療する」または「治療」または「軽減」または「寛解」は、治療処置および予防的または防止的手段の両方を指し、その目的は、標的とされる病的状態または障害の防止または鈍化(和らげる)ことである。
IL‐4
IL‐4は、古典的な4つのα‐ヘリックスバンドルサイトカインである。その一次結合鎖は、IL‐4Rαであり、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および長い細胞内テイル(intracellular tail)からなり、Box1ドメイン、PTBドメインタンパク質および3つのSTAT6ドッキングについての結合部位、並びに活性化部位を含む、II型サイトカインレセプター鎖である。
野生型ヒトIL‐4は、24アミノ酸シグナルペプチドおよび129アミノ酸鎖ペプチドを含む。配列番号1は、成熟した129のアミノ酸ヒトIL‐4配列である。
MGLTSQLLPPLFFLLACAGNFVHGHKCDITLQEIIKTLNSLTEQKTLCTELTVTDIFAASKNTTEKETFCRAATVLRQFYSHHEKDTRCLGATAQQFHRHKQLIRFLKRLDRNLWGLAGLNSCPVKEANQSTLENFLERLKTIMREKYSKCSS(配列番号1)。
IL‐4/IL‐4Rα複合体は、IL‐4レセプターの二次成分に対するリガンドとしての役目を果たし、I型レセプターはγcに対してであり、II型レセプターはIL‐13Rα1に対してである。細胞表面でのIL‐4/IL‐4Rα/γcまたはIL‐4/IL‐4Rα/IL‐13Rα1複合体の形成は、Jak‐STAT経路およびPI3K/Akt経路を含む、細胞内シグナル伝達経路を活性化し、後者は、PTBドメインタンパク質、特にIRS2の動員により動員される。IL‐4結合のI型およびII型のIL‐4レセプター(図1a)の細胞外ドメインの結晶構造の最近の解析は、IL‐4がIL‐4Rαおよび第2のレセプター鎖により形成される「Yフォーク(Y‐fork)」に位置し、サイトカインのDへリックスの表面と結合することにより第2のレセプター鎖と直接接触することを示した。
IL‐4RαへのIL‐4の結合は、非常に高い親和性があり、約10−10MのKである。γcまたはIL‐13Rα1のいずれかへのIL‐4/IL‐4Rα複合体の後続の結合は、比較的低い親和性がある。IL‐4RαへのIL‐4の結合の非常に高い親和性に起因して、ほとんどの状況下で、シグナル伝達複合体の形成は、第2の鎖(複数を含む)の発現の相対的なレベルにより測定される。さらに、代替的な第2の鎖は、造血細胞で主に発現されるγcおよび非造血細胞で主に発現されるIL‐13Rα1による細胞の発現の異なるパターンを有するが、いくつかの造血細胞は、可変量のIL‐13Rα1を発現する。IL‐4の制御性の活性の多くはI型レセプターを主に発現するB細胞およびT細胞により媒介されるが、IL‐13を擬態する、そのエフェクター機能の多くは、II型レセプターを独自に発現し、また、IL‐13に応答する細胞により媒介される。
機能的に、IL‐4は、CD4 T細胞のTh2分化、IgEへの免疫グロブリンクラスのスイッチ、およびナイーブなCD4 T細胞、B細胞、およびマクロファージで活性化することによる代替的なマクロファージ活性化をそれぞれ調節する。IL‐4は、I型レセプターに結合するのと同じくらい効率的に、非造血細胞で主に発現されるII型レセプターに結合するので、エフェクター機能並びに調節機能を誘導することができる。エフェクター機能の中には、気道過敏症および杯細胞の化生がある。しかしながら、これらの後者の活性は、IL‐4よりもはるかに多い量で生成されるので、IL‐13を利用してII型レセプターにより、生理学的に主に誘導される。さらに、IL‐13は、造血細胞で優性に発現されるI型レセプターに結合できないので、「調節」活性がほとんどまたは全くない。全体として、I型およびII型のIL‐4レセプターを用いることにより、IL‐4は、アレルゲンまたは侵入する細胞外寄生生物により始動されるかどうかに関わらず、Th2タイプの炎症における中心的役割を果たす。
IL‐4は、現在は治療薬として使用されていないが、過去にそのような使用が考慮されており、毒性がない場合には、ワクチン接種中のCD4 T細胞の分化に方向づけるような、または、分化されたCD4 T細胞の可塑性の最近の認識を考慮して、確立されたパターンの分化を変化させるような目的のために考慮されるかもしれない。1990年代前半には、T細胞応答の刺激の期待または自然免疫系の関与の期待を有する癌患者にIL‐4が投与された臨床治験が行われた。
しかしながら、高投与量(600μg/m/日)のIL‐4の静脈内投与は、研究グループにおける3人の患者のうち2人に血管漏出症候群をもたらした。これらの研究および前臨床の分析で、他の毒性に遭遇した。これらの毒性の多くは、IL‐4が非造血細胞に作用することが関与するが、IL‐4は、マウスにおいて、実質的なマクロファージ媒介の毒性を有する。マウスへのIL‐4の投与は、代替的に活性化されたマクロファージにより媒介される血球貪食症候群をもたらした。
リンパ球の分化を薬理学的に調節するためにIL‐4の利用は、II型レセプターへの結合および結果として生じるエフェクター機能による非造血細胞でのその活性により困難となる。よって、II型レセプターを活性化できない、または、I型レセプターの活性化がII型レセプターの活性化より大幅に低い濃度で達成され得る、IL‐4変異タンパク質の産生は、有利であろう。
従って、いくつかの実施形態では、I型およびII型レセプターの第2の鎖についての野生型IL‐4と比較して、相対的に結合活性が変化した、操作されたIL‐4変異タンパク質が提供される。いくつかの実施形態では、IL‐4変異タンパク質は、それをブロックするよりもむしろ、シグナル伝達を調節し、または増強する。
本明細書では、ヒトIL‐4変異タンパク質の産生が記載され、それは「スーパーカイン」と呼ばれ、γcに対して非常に高い親和性、およびIL‐13Rα1に対して減少された親和性を有し、並びに、逆に、γcに対するそれらの親和性における変化がほとんどまたは全くなく、IL‐13Rα1に対して、IL‐4よりもかなり高い親和性で結合するものである。
よって、いくつかの実施形態では、IL‐4変異タンパク質は、γcに対して比較的高い親和性、およびIL‐13Rα1に対して減少された親和性を有する。他の実施形態では、IL‐4変異タンパク質は、γcに対するそれらの親和性における変化がほとんどまたは全くなく、IL‐13Rα1に対して、IL‐4よりも相対的にかなり高い親和性を有する。
IL‐4スーパーカイン(変異タンパク質)
種々の実施形態では、本開示は、必ずではないが、実質的に精製され、野生型IL‐4のアゴニストとして機能し得るIL‐4変異体ポリペプチドを提供し、それらは1つまたはそれ以上のIL‐4の生物活性を保持する(例えば、細胞増殖の刺激)。
代表的な変異体IL‐4ポリペプチドは、配列番号1により表されるポリペプチドがγcと結合する親和性よりも高い親和性かつ減少されたIL‐13Rα1に対する親和性でγcと結合し、配列番号1と少なくとも約80%同一であるアミノ酸配列を含む。例えば、変異体IL‐4ポリペプチドは、野生型IL‐4と比較して、少なくとも1つの突然変異(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれ以上のアミノ酸残基の欠失、追加、または置換)を有し得、配列番号1のIL‐4より高い親和性で、配列番号1のそれと比較して減少されたIL‐13Rα1に対する親和性でγcと結合する。
代表的な変異体IL‐4ポリペプチドは、配列番号1のポリペプチドと比較して、γcに対する相対的な親和性における変化がほとんどまたは全くなく、IL‐13Rα1に対するIL‐4(配列番号1)よりも高い親和性で結合する、配列番号1と少なくとも約80%同一であるアミノ酸配列を含む。例えば、変異体IL‐4ポリペプチドは、野生型IL‐4と比較して、少なくとも1つの突然変異(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれ以上のアミノ酸残基の欠失、追加、または置換)を有し得、配列番号1のポリペプチドと比較して、γcに対する相対的な親和性における変化がほとんどまたは全くなく、IL‐13Rα1に対して、IL‐4(配列番号1)よりも高い親和性で結合する。
代表的な変異体IL‐4ポリペプチドは、野生型IL‐4と少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であり得る。突然変異は、アミノ酸残基の数または内容における変化からなり得る。例えば、変異体IL‐4は、野生型IL‐4よりもより多いまたはより少ない数のアミノ酸残基を有し得る。代替的に、または追加して、代表的な変異体ポリペプチドは、野生型IL‐4に存在する1つまたはそれ以上のアミノ酸残基の置換を含み得る。種々の実施形態において、変異体IL‐4ポリペプチドは、単一のアミノ酸残基の追加、欠失、または置換、例えば、位置121での残基の置換により野生型IL‐4と異なり得る。同様に、代表的な変異体IL‐4ポリペプチドは、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、またはそれ以上のアミノ酸残基、例えば、配列番号1の位置117、118、21、122、124、125、128、および129での残基の置換により、IL‐4と異なり得る。
例示として、配列番号1の参照アミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドは、配列番号1の参照アミノ酸の13までの変更の包含以外の参照配列と同一である配列を含むポリペプチドである。例えば、参照配列における10%までのアミノ酸残基が、欠失または別のアミノ酸で置換されることとしてもよく、または参照配列における総アミノ酸残基の10%までのアミノ酸の数が参照配列に挿入されることとしてもよい。参照配列のこれらの変更は、参照アミノ酸配列のアミノ(N‐‐)もしくはカルボキシ(C‐‐)末端位置、または参照配列においてもしくは参照配列内の1つもしくはそれ以上の連続的な群において残基間で個々に分散される、これらの末端位置間のどこにでも生じ得る。
置換されたアミノ酸残基(複数を含む)は、必ずではないが、典型的には、以下のグループ内:グリシン、アラニン;バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸;アスパラギン、グルタミン;セリン、トレオニン;リジン、アルギニン;および、フェニルアラニン、チロシンでの置換を含む、保存的置換であり得る。
例えば、置換R121Qは、変異形ポリペプチドを指し、本実例では、位置121でのアルギニンがグルタミンにより置換される。また、置換は、親ポリペプチド内の位置74で単純になされ得、例えば、121Qは、親ポリペプチドの位置121で生じるアミノ酸に関わらず、グルタミンによる位置121でのアミノ酸の置換を指す。
本明細書で、「タンパク質変異形」または「変異形タンパク質」または「変異形ポリペプチド」は、少なくとも1つのアミノ酸変更により野生型ンパク質と異なるタンパク質を意味する。親ポリペプチドは、天然起源もしくは野生型(WT)ポリペプチドであることとしてもよく、またはWTポリペプチドの変更されたバージョンであることとしてもよい。変異形ポリペプチドは、ポリペプチドそれ自体、そのポリペプチドを含む組成物、またはそれをコードするアミノ酸配列を指すこととしてもよい。好ましくは、変異形ポリペプチドは、親ポリペプチドと比較して少なくとも1つのアミノ酸変更、例えば、親と比較して約1から約10のアミノ酸変更、および好ましくは約1から約5のアミノ酸変更を有する。
本明細書で使用される「親ポリペプチド」、「親タンパク質」、「前駆体ポリペプチド」、または「前駆体タンパク質」は、変異形を生成するためにその後に変更される非変更ポリペプチドを意味する。親ポリペプチドは、野生型ポリペプチド、または野生型ポリペプチドの変異形もしくは操作されたバージョンであることとしてもよい。親ポリペプチドは、ポリペプチドそれ自体、親ポリペプチドを含む組成物、またはそれをコードするアミノ酸配列を指すこととしてもよい。
親和性に関し、本明細書では、少なくとも約2%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、もしくは少なくとも約40%だけ、より高い親和性またはそれ以上、野生型IL‐4ポリペプチドより高い親和性でγと結合する代表的な変異体IL‐4ポリペプチドが開示される。野生型IL‐4ポリペプチドは、約3300nMのKdでγと結合する。代表的な開示される変異体IL‐4ポリペプチドの結合親和性は、また、γについて、野生型IL‐4よりも、1.2、1.4、1.5、2、5、10、15、20、25、50、100、200、250、500、1000、1500、2000、2500、3000、3500、またはそれ以上の倍数のより高い親和性で発現され得る。
代表的な変異体IL‐4ポリペプチドは、γレセプターサブユニットによる増加された会合速度を示す性能を有し得る。
また、本開示は、少なくとも約2%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、または少なくとも約40%だけ、より低い親和性またはそれ以上、野生型IL‐4ポリペプチドより低い親和性でγと結合する変異体IL‐4ポリペプチドを提供する。代表的な開示される変異体IL‐4ポリペプチドの結合親和性は、また、γについて、野生型IL‐4よりも、1.2、1.4、1.5、2、3、4、5、10、15、20倍、またはそれ以上のより低い親和性として発現され得る。
親和性に関し、本明細書では、少なくとも約2%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、もしくは少なくとも約40%だけ、より高い親和性またはそれ以上、野生型IL‐4ポリペプチドより高い親和性でIL‐13Rα1と結合する代表的な変異体IL‐4ポリペプチドが開示される。野生型IL‐4ポリペプチドは、約4200nMのKdでIL‐13Rα1と結合する。代表的な開示される変異体IL‐4ポリペプチドの結合親和性は、また、IL‐13Rα1について、野生型IL‐4よりも、1.2、1.4、1.5、2、5、10、15、20、25、50、100、200、250、400、450、500、1000、1500、2000、またはそれ以上の倍数のより高い親和性で発現され得る。
代表的な変異体IL‐4ポリペプチドは、IL‐13Rα1レセプターサブユニットによる増加された会合速度を示す性能を有し得る。
また、本開示は、少なくとも約2%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、または少なくとも約40%だけ、より低い親和性またはそれ以上、野生型IL‐4ポリペプチドより低い親和性でIL‐13Rα1と結合する変異体IL‐4ポリペプチドを提供する。代表的な開示される変異体IL‐4ポリペプチドの結合親和性は、また、IL‐13Rα1について、野生型IL‐4よりも、1.2、1.4、1.5、2、3、4、5、10、15、20倍、またはそれ以上のより低い親和性として発現され得る。
野生型IL4と比較して、γについての増加した親和性およびIL‐13Rα1についての低減した親和性の両方の特性を有する代表的な変異体IL‐4ポリペプチドもまた開示される。
野生型IL4と比較して、γおよびIL‐13Rα1についての増加した親和性の両方の特性を有する代表的な変異体IL‐4ポリペプチドもまた開示される。
野生型IL4と比較して、γについての低減した親和性およびIL‐13Rα1についての増加した親和性の両方の特性を有する代表的な変異体IL‐4ポリペプチドもまた開示される。
サイトカインと関連する疾患
増殖および分化の障害
いくつかの実施形態では、変異体サイトカインポリペプチドおよび/またはそれらを発現する核酸が、異常なアポトーシスまたは分化のプロセスに関連する障害(例えば、細胞増殖性障害または細胞分化性障害、例えば癌)を治療するために対象に投与され得る。
本明細書で使用されるように、「癌」(または「癌性の」)、「過剰増殖」、および「新生物」という用語は、自律増殖についての能力(例えば、細胞成長の急速な増殖により特徴づけられる異常な状態または症状)を有する細胞を指す。過剰増殖および新生物疾病状態は、病態(例えば、疾病の状態を特徴づけるまたは構成する)として分類されることとしてもよく、またはそれらは非病態(例えば、正常から逸脱するが、疾病状態を伴わない)として分類されることとしてもよい。この用語は、病理組織学的タイプまたは侵襲性の段階に関わらず、全てのタイプの癌の増殖または発癌性のプロセス、転移性の組織または悪性形質転換した細胞、組織、もしくは器官を含むことが意味される。
癌の例は、限定されることなく、癌腫、肉腫、および造血性の新生物障害(例えば、白血病)を含む。
変異体サイトカインポリペプチドが、腎臓癌もしくは黒色腫、またはあらゆるウイルス性疾患を含む、あらゆるタイプの癌を発症する高いリスクを有する、有することが疑われる、またはリスクがあり得る患者を治療するために使用され得る。代表的な癌腫は、頸部、肺、前立腺、胸、頭頸部、結腸と卵巣の組織から形成するものを含む。この用語は、また、癌性のおよび肉腫性の組織からなる悪性腫瘍を含む、癌肉腫を含む。
本明細書で使用される、「造血性の新生物障害」という用語は、例えば、骨髄性、リンパ性、もしくは赤血球系の系統、またはこれらの前駆細胞から生じる、造血性の起源の過形成性/新生物細胞を伴う疾患を含む。好ましくは、疾病は、低分化の急性白血病(例えば、赤芽球性白血病および急性巨核芽球性白血病)から生じる。追加の代表的な骨髄性の障害は、急性前骨髄球性白血病(APML)、急性骨髄性白血病(AML)、および慢性骨髄性白血病(CML)を含むが、これらに限定されず(Vaickus, L. (1991) Crit Rev. in Oncol./Hemotol. 11:267-97でレビューされた)、リンパ性腫瘍は、B系列のALLおよびT系列のALLを含む急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、前リンパ球性白血病(PLL)、有毛状細胞性白血病(HLL)、並びにワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)を含むが、これらに限定されない。
悪性のリンパ腫の追加の形態は、非ホジキンリンパ腫およびその変異形、末梢性T細胞リンパ腫、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、大顆粒リンパ球性白血病(LGF)、ホジキン病、並びにリード・シュテンベルグ病を含むがこれらに限定されない。
増殖性および/または分化性の障害の他の例は、皮膚の障害を含む。皮膚の障害は、1つの細胞もしくは細胞の群または真皮、表皮、もしくは皮下組織層における層の異常な活性、または真皮表皮接合部における異常を伴うこととしてもよい。
例えば、皮膚障害は、ケラチノサイト(例えば、基底のおよびすぐ近くの基底上のケラチノサイト過剰増殖)、メラノサイト、ランゲルハンス細胞、メルケル細胞、免疫細胞、および1つまたはそれ以上の表皮層、例えば、基底細胞層(胚芽層)、有棘層、果粒層、透明層、または角質層でみられる他の細胞の異常な活性が関与し得る。
他の実施形態では、障害は、真皮層、例えば、乳頭層または網状層でみられる、真皮細胞、例えば、真皮の内皮、繊維芽細胞、免疫細胞(例えば、マスト細胞またはマクロファージ)の異常な活性が関与し得る。
皮膚障害の例は、乾癬、乾癬性関節炎、皮膚炎(湿疹)、例えば、剥脱性皮膚炎またはアトピー性皮膚炎、毛孔性紅色粃糠疹、粃糠疹酒さ(pityriasis rosacea)、類乾癬、苔癬状粃糠疹(pityriasis lichenoider)、扁平紅色苔癬、光沢苔癬、魚鱗癬様の皮膚疾患、魚鱗癬、皮膚疾患、円形脱毛症、壊疽性膿皮症、白斑、類天疱瘡(例えば、眼部瘢痕性類天疱瘡または水疱性類天疱瘡)、蕁麻疹、汗孔角化症(prokeratosis)、関節包に沿って並ぶ上皮関連細胞(epithelial-related cell)の炎症および過増殖を伴うリウマチ性関節炎;皮膚炎、例えば、脂漏性皮膚炎および日光皮膚炎;角化症、例えば、脂漏性角化症、老人性角化症、紫外線角化症、光誘導角化症(photo-induced keratosis)、および毛包性角化症;尋常性座瘡;ケロイドおよびケロイド形成に対する予防;母斑;たこ、コンジローマまたは尖圭コンジローマ(condyloma acuminatum)、およびヒトパピローマウイルス(HPV)感染、例えば、尖圭コンジローマ(venereal warts)を含む、疣贅;白板症;扁平紅色苔癬;並びに角膜炎を含む。皮膚障害は、皮膚炎、例えば、アトピー性皮膚炎もしくはアレルギー性皮膚炎、または乾癬であり得る。
患者への直接投与の方法に加えて、または代替的に、いくつかの実施形態では、変異体サイトカインポリペプチドは、エクスビボの方法で使用され得る。例えば、細胞(例えば、患者から単離されおよび培養で維持されまたは配置される末梢血リンパ球または精製された個体群のリンパ球(lymhocyte))は、培養培地にてインビトロで培養され得、接触ステップは、培養培地にサイトカイン変異体を添加することにより影響を受け得る。培養ステップは、他の薬剤により細胞が刺激されまたは処理される、例えば、関心抗原(例えば、癌抗原またはウイルス抗原)に応答性がある細胞の個体群を増大させるためのまたは増殖を刺激するためのステップをさらに含み得る。細胞は、それらが処理された後に、患者にその後投与される。
肺障害
開示されるサイトカイン変異タンパク質の組成物およびそれらの使用の方法による寛解ができる病的症状は、例えば、喘息およびアレルギー性炎症応答のような肺障害を含む。
喘息の特徴は、例えば、呼吸器症状の再発する発症、自発的にまたは治療によるいずれかの可逆的であることが多い、多様な気道障害(variable airflow obstruction)、気道過応答性の存在、および例えば、マスト細胞、好酸球、Tリンパ球、マクロファージ、好中球、および上皮細胞を含む、多くの細胞および細胞要素が伴われる、慢性気道炎症を含む(National Heart, Lung, and Blood Institute: National Asthma Education and Prevention Program. Expert Panel Report Guidelines for the diagnosis and management of asthma. J. Allergy Clin. Immunol. 88:425-534, 1991; National Heart, Lung, and Blood Institute National Asthma Education Program Expert Panel Report II: Guidelines for the diagnosis and management of asthma; 1997. NIH Publication No. 97-4051A参照)これらの特徴の全てが、あらゆる所与の喘息の患者に存在する必要はないが、喘息の診断を確立する絶対的な「最小限の基準」がなく、または広く同意されておらず、気道の過応答性の存在は、現在の徴候およびアクティブな喘息を有する患者における共通の所見である。
気道過敏性は、喘息の特徴であり、吸入された収縮アゴニストに対する増加された気道の感受性、用量応答曲線の急な勾配、およびアゴニストに対するより大きい最大限の応答からなる(Byrne and Inman, Chest, 2003)。気道応答性の測定は、特に、喘息と矛盾しない徴候を有し、および気道障害の証拠がない患者において、喘息の診断をする際に有用である。例えば、環境アレルゲンを含む、ある特定の吸入された刺激が、気道の炎症を増加させ、気道過敏性を増強する。健康な対象における気道過敏性における変化は、持続する気道過敏性を有する喘息患者である場合にみられるものよりも、かなり小さな規模である。喘息の発病、および当該方法に従った治療による寛解は、気管支鏡法、気管支肺胞洗浄、気道生検、気道ガスの測定、および熟練された臨床医に知られる他のこのような方法により把握し得る。
処方
1つもしくはそれ以上の治療薬が単独で、または1つもしくはそれ以上の化学療法と組み合わせて、対象への投与のために薬学的に許容可能な担体とともに処方され得る。活性成分は、逐次投与のために単独で(個々に)処方され得、または同時投与のために一緒に処方されることとしてもよい。
本明細書で使用される、「薬学的に許容可能な担体」という用語は、対象への投与に適している、1つまたはそれ以上の適合性のある固体もしくは液体充填剤、希釈剤、または封入物質を意味する。薬学的組成物の成分は、また、所望の薬学的効率性を実質的に損なうであろう、相互作用のない態様で、互いに混合することができる。このような調製物は、通常、薬学的に許容可能な濃度の、塩、緩衝剤、保存剤、適合性のある担体、アジュバント、および任意に他の治療成分を含む。
本明細書に記載される組成物は、遊離塩基としてまたは薬学的に許容可能な塩として投与されることとしてもよい。このような薬理学的および薬学的に許容可能な塩は、以下の酸、塩化水素、臭化水素、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、p‐トルエンスルホン酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸、ナフタレンスルホン酸、およびベンゼンスルホン酸から調製されるものを含むが、これらに限定されない。また、薬学的に許容可能な塩は、カルボン酸基のナトリウム、カリウム、またはカルシウム塩のようなアルカリ金属またはアルカリ土類塩として調製され得る。
薬学的組成物は、また、適切な固体またはゲル相の担体または賦形剤を含むこととしてもよい。このような担体または賦形剤の例は、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、およびポリエチレングリコールのようなポリマーを含むが、これらに限定されない。
適切な緩衝剤は、酢酸および塩(1〜2%w/v);クエン酸および塩(1〜3%w/v);ホウ酸および塩(0.5〜2.5%w/v);並びにリン酸および塩(0.8〜2%w/v)を含む。適切な保存剤は、塩化ベンザルコニウム(0.003〜0.03%w/v);クロロブタノール(0.3〜0.9%w/v);パラベン(0.01〜0.25%w/v)、およびチメロサール(0.004〜0.02%w/v)を含む。
適切な液体または個体の薬学的調製形態は、例えば、吸入のための水溶性のまたは生理食塩水、マイクロカプセル化、エンコクリート化(encochleated)、リポソーム(pHに依存する放出の処方を含む)に含まれる顕微鏡レベルのゴールドの粒子での被覆、リピドイド(lipidoid)、噴霧、エアロゾル、皮膚への移植のためのペレット、または皮膚内で引っ掻くために鋭い物体上で乾燥されたものである。また、薬学的組成物は、果粒、粉末、タブレット、被覆されたタブレット、(マイクロ)カプセル、坐剤、シロップ、エマルジョン、懸濁液、クリーム、ドロップ、または組成物の遅延性放出による調製物を含み、その調製において、賦形剤および添加剤および/または助剤、例えば、崩壊剤、結合剤、コーティング剤、膨潤剤、潤滑剤、香料、甘味料、もしくは可溶化剤が上記のように慣習上使用される。薬学的組成物が種々の薬物送達系における使用に適している。薬物送達の方法の簡潔なレビューについては、Langer, Science 249:1527-1533, 1990 および Langer and Tirrell, Nature, 2004 Apr 1; 428(6982): 487-92を参照。
組成物は、単位用量形態において便利に存在することとしてもよく、薬学の分野でよく知られるあらゆる方法により調製されることとしてもよい。ある一定の実施形態では、投与される組成物は、溶液としてよりもむしろ粉末または粒子形態である。本発明の一部として考慮される粒子形態の例は、米国出願公開第2002/0128225号で提供される。いくつかの実施形態では、組成物は、エアロゾル形態で投与される。他の実施形態では、組成物は、使用前に、適切なビヒクル、例えば、滅菌発熱性物質除去蒸留水による組成のために、粉末形態であることとしてもよい。
さらに、本明細書に記載される組成物は、デポー製剤、徐放、遅延放出、または持続性放出送達システムとして処方されることとしてもよい。このようなシステムは、本明細書に記載される組成物の繰り返しの投与を避けることができ、対象および医師に対する簡便性を増加させることができる。このように長く作用する処方は、適切なポリマーまたは疎水性物質(例えば、許容できるオイルでのエマルジョン)またはイオン交換樹脂、または難溶性の誘導体、例えば、難溶性の塩で処方されることとしてもよい。
多くのタイプの放出送達系が利用可能であり、当業者に知られる。それらは、ポリマーベースのシステム、例えば、ポリ乳酸およびポリグリコール酸、ベータグルカン粒子、ポリ無水物およびポリカプロラクトン;ステロールを含む脂質である非ポリマーシステム、例えば、コレステロール、コレステロールエステルおよび脂肪酸、中性脂肪、例えば、モノ‐、ジ‐、およびトリグリセリドまたはリピドイド;ハイドロゲル放出システム;シラスティックシステム;ペプチドベースのシステム;ワックスコーティング、従来の結合剤および賦形剤を使用する圧縮錠剤、部分的に融合されたインプラント等を含む。さらに、ポンプベースのハードウェア送達システムが使用され得、そのいくつかは埋め込みに適用される。
また、制御された放出は、生体適合性および生体分解性のある適切な賦形剤物質により達成され得る。遅延放出に影響を及ぼすこれらのポリマー物質は、非生体分解性/非生体分解性および生体分解性/生体分解性のポリマーを含むがこれらに限定されない、粒子を生成するために適切なあらゆるポリマー物質であることとしてもよい。このようなポリマーは、先行技術文献にかなり詳細に記載されており、ベータグルカン粒子、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルキレン、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレンテレフタレート(polyalkylene terepthalate)、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ポリビニールハロゲン化物、ポリビニルピロリドン、ポリグリコリド、ポリシロキサン、ポリウレタンおよびそのコポリマー、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、アクリルおよびメタクリル酸エステルのポリマー、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、アセチルセルロース、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、酢酸フタル酸セルロース、カルボキシルエチルセルロース、三酢酸セルロース、セルロース硫酸ナトリウム塩、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸エチル)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(メタクリル酸フェニル)、ポリ(アクリル酸メチル)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(オクタデシルアクリレート)、ポリエチレン、ポリプロピレン ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルアセテート、ポリ塩化ビニルポリスチレン、ポリビニルピロリドン(polyvinylpryrrolidone)、ヒアルロン酸、並びにコンドロイチン硫酸を含むがこれらに限定されない。一実施形態では、緩効性ポリマーは、ブロックコポリマー、例えば、ポリ(エチレングリコール)(PEG)/ポリ(乳酸‐コ‐グリコール酸)(PLGA)ブロックコポリマーである。
非生体分解性ポリマーの例は、エチレンビニルアセテート、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリアミド、コポリマー、およびこれらの混合物を含む。
生体分解性ポリマーの例は、合成ポリマー、例えば、ベータグルカン粒子、乳酸およびグリコール酸のポリマー、ポリ無水物、ポリ(オルト)エステル、ポリウレタン、ポリ(ブチック酸(butic acid))、ポリ(吉草酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ヒドロキシブチラート)、ポリ(ラクチド‐コ‐グリコリド)およびポリ(ラクチド‐コ‐カプロラクトン)、および天然高分子例えば、アルギン酸並びにデキストランおよびセルロースを含む他のポリサッカライド、コラーゲン、その化学的誘導体(化学基の置換、追加、例えば、アルキル、アルキレン、ヒドロキシル化、酸化、および当業者により通常なされる他の変更)、アルブミン、および他の親水性タンパク質、ゼイン、および他のプロラミン、疎水性タンパク質、コポリマー、並びにこれらの混合を含む。概して、これらの物質は、表面もしくは内部分解により、インビボにおける水への露出または酵素的加水分解のいずれかにより分解する。前述の物質が、物理的混合(ブレンド)として、またはコポリマーとして、単体で使用されることとしてもよい。好ましいポリマーは、ポリエステル、ポリ無水物、ポリスチレン、およびこれらのブレンドである。
本明細書に記載される組成物の有効な量が、このような治療を必要とする対象に投与される。有効な量は、症状、症状の疾病または障害または徴候、疾病または障害における所望の改善もたらすような量である。
有効量は、投与の形態に応じて、1ng/kg体重から100mg/kg体重までの、または100ng/kg体重から50mg/kg体重までの、または1μg/kg体重から10mg/kg体重までの範囲である。代替的に、有効量は、細胞の4平方センチメートル面積あたり3マイクログラムから14ミリグラムの範囲であり得る。絶対量は、種々の因子(投与を他の治療と合わせるかどうか、投与の数、並びに年齢、健康状態、サイズ、および体重を含む個々の患者のパラメーターを含む)に依存し、通常の実験で測定され得る。なされ得る1つの有用な投与量は、堅実な医学的診断に従った最も安全な投与量である。
種々の活性剤の送達間の時間は、動態学的、送達、放出、薬物の薬力学的、薬物の薬物動態、またはこれらのあらゆる組み合わせの原則により通常定義され得る。代替的に、種々の薬剤の送達間の時間は、最大の効果が達成される場合を定義するための実験により経験的に定義され得る。
投与の様式
投与の様式は、経口投与、舌下投与、鼻腔内投与、気管内投与、吸入、点眼、局所投与、経皮投与、皮内投与、直腸投与、腟内投与、皮下投与、静脈内投与、筋肉内投与、腹腔内投与、胸骨内の、投与、経粘膜的投与を介するもの、を含む、あらゆる医学的に許容可能な様式であることとしてもよい。また、投与の様式は、体外装置および/または組織貫通電磁気装置を介することとしてもよい。
選択される具体的な様式は、選択される具体的な活性剤、所望の結果、治療される具体的な症状、および治療の効能に必要とされる投与量によるであろう。本明細書に記載される方法は、概して言えば、医学的に許容可能な投与のあらゆる様式、例えば、臨床的に許容できない副作用を引き起こさずに、有効なレベルの炎症応答の変化を生じるあらゆる様式を用いて実行されることとしてもよい。
組成物は、障害および投与の様式に応じて、異なる容器、ビヒクル、または処方で提供され得る。例えば、組成物は、口腔への適用のために、舌下錠、ガム、マウスウォッシュ、練り歯みがき、キャンディ、ゲル類、フィルム等として、眼への適用のために、点眼器での点眼、眼軟膏、アイゲル、アイパックとして、コンタクトレンズまたはクリーニング液における、コンタクトレンズまたは眼内レンズへのコーティングとして等、局所への適用のために、ローション、軟膏、ゲル、クリーム、スプレー、ティッシュ、スワブ、ワイプ等として、膣または直腸への適用のために、軟膏、タンポン、坐薬、粘液接着剤処方等として投与され得る。
組成物は、例えば、静脈、皮下、筋肉内、腹膜内、胸骨内の経路を介して、ボーラス注入または連続注入によるような注入により投与されることとしてもよい。注入の処方は、追加の保存剤とともに、例えば、アンプルまたは複数投与容器において、単位用量形態で存在することとしてもよい。組成物は、油性または水性のビヒクルで、懸濁液、溶液、またはエマルジョンのような形態をとることとしてもよく、懸濁、安定、および/または分散剤のような調合剤を含むこととしてもよい。経口投与のために、組成物は当該技術分野で知られる薬学的に許容可能な担体、例えば、舌下錠、液体処方、または経口ゲルと組成物を組み合わせることにより容易に処方され得る。
吸入による投与のために、組成物は、適切な噴霧剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の適切なガスの使用により、加圧されたパックまたは噴霧器からのエアロゾルスプレー組成の形態で簡便に送達されることとしてもよい。圧縮されたエアロゾルの場合では、単位用量は、計量された量を送達するためのバルブに供給することにより測定されることとしてもよい。吸入器または注入器での使用のための例えばゼラチンのようなカートリッジおよびカプセルは、組成物の粉末混合物およびラクトースまたはデンプンのような適切な粉末基剤を含んで処方されることとしてもよい。治療薬の吸入のための医療装置は当該技術分野で知られる。いくつかの実施形態では、医療装置は、吸入器である。他の実施形態では、医療装置は、計量された用量の吸入器、ディスクヘラー、Turbuhaler、ディスカス(diskus)またはスペーサーである。ある一定のこれらの実施形態において、吸入器は、Spinhaler(Rhone-Poulenc Rorer, West Malling, Kent)である。他の医療装置は、当該技術分野で知られ、Inhale/Pfizer、Mannkind/Glaxo、およびAdvanced Inhalation Research/Alkermesを含む。
組成物は、また、例えば、ココアバターまたは他のグリセリドのような、従来の坐剤基剤を含む、坐薬または保持浣腸のような直腸または膣組成物で処方されることとしてもよい。
追加の使用
本明細書に記載される変異タンパク質は、例えば、酵素、放射標識、エピトープ、または蛍光タンパク質(例えば、緑色蛍光タンパク質)のような、シグナルを産生するまたは標識である部分で直接または間接的に標識され得る。本明細書に記載される変異タンパク質は、例えば、標準的なイムノブロッティング、免疫蛍光法、酵素免疫測定法(EIA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、蛍光エネルギー転移、ウエスタンブロット、並びに他の診断および検出技術を用いて、レセプターがサンプルにまたは細胞上に存在するかどうかを測定するために、サンプルにまたは細胞に接触され得る。
また、本明細書に記載される変異タンパク質は、インビトロ検出のために標識され、対象に投与され得る。対象は、例えば、NMRまたは他の断層撮影手段により、撮像され得る。例えば、結合剤は、131I、111In、123I、99mTc、32P、125I、H、14C、および188Rhのような放射標識、フルオレセインおよびローダミンのような蛍光標識、核磁気共鳴活性標識、陽電子放射断層撮影(PET)スキャナにより検出可能な陽電子放出同位体、ルシフェリンのようなケミルミネッサ(chemiluminescer)、およびペルオキシダーゼまたはホスファターゼのような酵素マーカーにより標識され得る。本明細書に記載される変異タンパク質は、常磁性剤および強磁性または超常磁性剤のような造影剤で標識され得る。
本明細書に記載される変異タンパク質は、α、β、またはγ放射体のような放射性同位体に結合され得る。放射性同位体の例は、ヨウ素(131Iまたは125I)、イットリウム(90Y)、ルテチウム(177Lu)、アクチニウム(225Ac)、プラセオジム、またはビスマス(212Biまたは213Bi)を含む。結合タンパク質は、生物学的タンパク質、植物または細菌起源の分子(または、その誘導体)、例えば、マイタンシノイド(例えば、マイタンシノール、その類似体、またはDM1)、並びに、タキサン(例えば、タキソールまたはタキソテレ)、またはカリケアマイシンに結合され得る。マイタンシノール類似体の例は、修飾芳香環(例えば、C‐19‐デクロロ、C‐20‐デメトキシ、C‐20‐アシルオキシ)を有するもの、および他の位置に修飾を有するもの(例えば、C‐9‐CH、C‐14‐アルコキシメチル、C‐14‐ヒドロキシメチルまたはアセロキシメチル、C‐15‐ヒドロキシ/アシルオキシ、C‐15‐メトキシ、C‐18‐N‐デメチル、4,5‐デオキシ)を含む。マイタンシノールおよびマイタンシノール類似体が、例えば、米国特許第6,333,410号に記載される。マイタンシノールは、例えば、N‐スクシンイミジル3‐(2‐ピリジルジチオ)プロピオナート(N‐スクシンイミジル4‐(2‐ピリジルジチオ)ペンタノアートまたはSPPとしても知られる)、4‐スクシンイミジル‐オキシカルボニル‐a‐(2‐ピリジルジチオ)‐トルエン(SMPT)、N‐スクシンイミジル‐3‐(2‐ピリジルジチオ)ブチラート(SDPB)、2‐イミノチオラン、またはS‐無水アセチルコハク酸(acetylsuccinic anhydride)を用いて結合され得る。
以下の例は、例示のためのみに提供され、本発明の範囲を限定することを意味しない。当業者は、本質的に類似の結果をもたらすために変更または修正し得る種々の決定的ではないパラメータを容易に認識するであろう。
実施例1:変化した結合親和性を有するIL−4変異タンパク質の開発
IL−4/IL−13系を用いて、共有サイトカインレセプターの相対親和性の操作が特徴的な応答性のパターンを有するサイトカインをもたらし得るという考えを試験した。2つのアプローチをとって、γ(図1b)またはIL−13Rα1(図1c)に結合するより高い親和性のためにIL−4を操作した。
完全にリガンドと結合したI型およびII型レセプター三元複合体の三次元構造が、最近解析された。IL−13は、IL−4よりもIL−13Rα1により高い親和性で結合する(KD30nM対KD1μM超)。このように、IL−4およびIL−13の構造を、それらの構造から、2つのII型三元複合体(IL−4/IL−4Rα/IL−13Rα1およびIL−13/IL−4Rα/IL−13Rα1)に並べた。
IL−13Rα1と広範囲な接触を形成するIL−4およびIL−13のDへリックスは、それぞれの複合体で大変密接に整列する。IL−4のII型レセプター三元複合体でγcと接触する、3つのIL−4のDへリックス残基、R121、Y124およびS125は、IL−13のものとは異なる。従って、これらの残基を、それらのIL−13位置上同等物(図1c)と入れ替え、2つのIL−4変異形、KFと称されるR121K、Y124Fの保存的二重変異体、ならびに、3つの全ての残基が入れ替わったR121K、Y124FおよびS125Rである三重変異体KFR、を作製した。
IL−4のγcに対する親和性と高めるために、親和性成熟のための酵母表面ディスプレイを用いてコンビナトリアルライブラリーのアプローチを適用した。IL−4を酵母表面タンパク質Aga2pに融合し、そこで、IL−4はIL−4レセプター外部ドメイン(ECD)により認識された(図1d)。これを達成するために、ヒトIL−4 DNAを酵母ディスプレイベクターpCT302内にクローニングし、pCT302_IL−4ベクターを形成した。S.セレビシエ(S.cerevisiae)株EBY100をpCT302_IL−4ベクターで形質転換し、SDCAAプレート上で、30℃にて3日間成長させた。IL−4酵母の各コロニーをSDCAA液体培地(pH4.5)内で、30℃にて一晩成長させ、続いてSGCAA液体培地(pH7.0)内で、20℃にて2日間誘導した。
IL−4Rα、γcおよびIL−13Rα1の、C−末端をビオチン標識した外部ドメインを、ストレプトアビジンとの結合による四量体選択のための、染色および選別試薬としての使用のために作製した。酵母をビオチン標識したIL−4Rα(b−IL−4Rα)、四量体化したビオチン標識γc(b−γc)、またはb−IL−4Rα存在下のb−γcで染色した。2μMのb−γcを470nMのSAV−PE(ストレプトアビジン−フィコエリトリン複合体、インビトロゲン社(Invitrogen))で15分間、氷上でインキュベートすることで、最も高い濃度のγc四量体を形成した。分析をAccuri(登録商標)C6フローサイトメーターシステムで実施した。
酵母上にディスプレイされたIL−4は、高親和性でIL−4Rαと結合した(図1d、2番目のパネル)が、IL−4Rαの不在下ではγcに結合しなかった(図1d、3番目のパネル)。IL−4Rαの存在下では、酵母上のIL−4はγc細胞外ドメイン四量体に結合し、このことは、ヘテロ二量体レセプター複合体の協同的集合を示唆する(図1d、一番右のパネル)。これらの実験は、それぞれIL−4Rαおよびγcによる、酵母上での野生型IL−4部位1および部位2の連続的な結合を示す。
サイトカインの主要なγc相互作用へリックス(図1b)であるIL−4のDへリックスのライブラリーを作製するために、I型レセプター三元複合体の結晶構造におけるIL−4/γc界面を分析した。原子間接触に基づいて、へリックスDの表面上の8つの残基が、20個のアミノ酸のいずれかの使用を可能にするコドンNNK(N=A、C、GまたはT;K=GまたはT)にランダム化された、焦点を絞ったライブラリーを作製した(図1b)。アセンブリPCRを用いて、2×10の変異形を有する酵母ライブラリーを作製し、これは、理論上の全多様性(2.6×1010)の約1%を示す。
そのうちの1つがランダム化した配列を含む11個の重複したプライマーを用いて、アセンブリPCRを行った。PCR生成物を、プライマー、5’CTAGTGGTGGTGGTGGTTCTGGTGGTGGTGGTTCTGGTGGTGGTGGTTCTGCTAGCCACAAGTGCGATATCACCTTAC3’(配列番号2)および5’CAGATCTCGAGCAAGTCTTCTTCGGAGATAAGCTTTTGTTCGCCACCAGAGGATCC3’(配列番号3)を用いてさらに増幅し、該プライマーは、酵母内での相同組み換えに必要なベクター配列相同性も含んでいた。以前説明された通り、挿入DNAを直線化したベクター主鎖およびエレクトロコンピテントEBY100と組み合わせ、電気穿孔し、レスキューした。電気穿孔によって、2×10の形質転換体のライブラリーを得た。
磁気活性化細胞選別(MACS、ミルテニー社(Miltenyi))を用いて選択を行った。選択の第1のラウンドは、酵母ライブラリー由来の、形質転換体の数のおよそ10倍の適用範囲である2×10の細胞で実施した。続く選択のラウンドでは、1×10の酵母細胞を用いた。
酵母ライブラリーをIL−4Rαで装飾して酵母上にIL−4/IL−4Rα部位2を作製することで、選択を実行し、次いで、磁気活性化細胞選別(MACS)を用いて、インビトロ選択の5回のラウンドを通して、γc結合酵母を濃縮した(図1e)。最初のラウンドでは、IL−4Rαの存在下で四量体γcに結合した酵母を選択した。四量体γcの濃度を低下させることで連続した選択ラウンド(2〜5)を実施し、最後の選択、6回目のラウンドは、1μM濃度の単量体γcを用いた。γcの高結合活性四量体は、比較的弱いγc結合の検知および初期の選択ラウンドのために必要不可欠であった。続く選択ランドでは、1×10の酵母細胞を使用した。IL−4ライブラリーを、SDCAA溶液培地(pH4.5)で一晩、30℃で新たに成長させ、続いて、20℃にて2日間、SGCAA液体培地(pH7.0)で誘導させた。1×PBSおよび0.5%BSAの緩衝溶液と一緒に、ビオチン標識IL−4Rα(b−IL−4Rα)、四量体化したビオチン標識γc(b−γc)、またはb−IL−4Rγ存在下でのb−γcで酵母を4℃にて2時間染色した。2μMのb−γcを470nMのSAV−PE(ストレプトアビジン−フィコエリトリン抱合体、インビトロイゲン社)で、氷上で15分間インキュベートすることで、γcの四量体を形成させた。γc、2μg/mLのSA−PEおよび50μlのミルテニー社抗PEミクロビーズ/1×10酵母細胞の連続的な結合を通して、γcとの単量体選択を行った。分析をAccuri C6フローサイトメーターで実施した。
IL−4で選択した変異体の配列決定によって、2つの独特な配列、「RQ」および「RGA」変異体が明らかになり、ここで、その1つ、RGAは高度に濃縮されていた(表1)。RQは、野生型IL−4からの残基のずれをたった1つしか含んでおらず、それはR121Qであった。興味深いことに、この位置のQは、大部分のγc結合サイトカインに存在する。選択された一方のサイトカイン、RGAは、へリックスDに7つの他の変化を一緒に伴って、R121Q突然変異を含んでいた(RQおよびRGAの配列に関しては表1を参照)。
実施例2:IL−4変異タンパク質の第2のレセプター鎖結合の特徴
得られたIL−4変異タンパク質の結合の特徴を、特徴づけした。表面プラズモン共鳴(SPR)によってそれらの部位2結合親和性および動態をIL−13Rα1およびγcに関して測定するために、バキュロウイルスおよびIL−4Rαと形成された複合体を用いた組み換えIL−4および変異体KF、KFR、RQおよびRGAである(表1および図2を参照)。
ヒトIL−4変異体(アミノ酸1〜129)、IL−4Rα外部ドメイン(アミノ酸1〜202)、IL−13Rα1(アミノ酸1〜310)およびγc(アミノ酸34〜232)を、N末端gp67シグナル配列およびC末端ヘキサヒスチジンタグと一緒にpAcGP67Aベクター(BDバイオサイエンス社(BD Biosciences))内に、インフレームでクローニングし、バキュロウイルス発現系を用いて作製した。SF900II培地(インビトロゲン社)で成長したスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(Sf9)細胞での形質移入および増幅によってバキュロウイルスのストックを調製し、タンパク質発現を、Insect−Xpress(商標)培地(ロンザ社(Lonza))で成長した懸濁イラクサギンウワバ(trichoplusia ni)(ハイファイブ社(HiFive))細胞で実行した。48〜60時間後、ニッケル寒天(キアゲン社(Qiagen))によって、ハイファイブ上澄みからタンパク質を発現させ、捕獲し、Superdex(商標)200カラム(GEヘルスケア社(GE Healthcare))上でのサイズ排除クロマトグラフィーによって濃縮および精製し、10mMのHEPES(pH7.2)および150mMのNaCl中で平衡化した。細胞ベース分析で使用されたIL−4変異体は、完全にグリコシル化して発現された。SPR測定で使用された高親和性二元複合体(IL−4変異体を有するIL−4Rα)を同時発現させ、完全にグリコシル化した。ビオチン標識レセプター発現のために、IL−4Rα、IL−13Rα1およびγcを、C末端ビオチンアクセプターペプチド(BAP)LNDIFEAQKIEWHEおよびヘキサヒスチジンタグと一緒にpAcGP67−Aベクター内にクローニングした。レセプタータンパク質を、余分なビオチン(100μM)を有するBirAリガーゼと同時発現させた。結晶化のために、下で考察されるが、IL−4 RGAを、N結合グリコシル化部位Asn53がGlnに突然変異したγcと同時発現させた。ニッケル精製の後、結晶化タンパク質をカルボキシペプチダーゼ−Aで一晩処理し、次いでサイズ排除を行った。タンパク質を結晶化のために8〜20mg/mLまで濃縮した。
表面プラズモン共鳴実験を、Biacore T100機器上で実行した。タンパク質濃度を、Nanodrop2000分光計(サーモ・サイエンティフィック社(Thermo Scientific))を用いた280nmのUV分光測定によって定量した。全てのデータを、1:1ラングミュア結合モデルで、Biacore T100評価ソフトウェア、バージョン2.0を用いて、全てのデータを分析した。実験では、Biacore SAセンサーチップ(GEヘルスケア社)を用いた。ビオチン標識したレセプターを、低密度(100〜200RU)で捕獲し、動態試験を40μL/分で実行した。無関係のビオチン標識したタンパク質を、適合するRUを伴うSAセンサーチップの参照表面として実験用の表面に固定化した。全ての測定を、ランニング緩衝液(1×HBS−P(GEヘルスケア社)、0.01%BSA)中のIL−4変異体の3倍連続希釈を用いて行った。γc表面を、サイトカインIL−4RQおよびIL−4RGAのために、7mMグリシン(pH3.0)および250mMのNaClで再生した。120s〜190sのIL−4変異体結合および20s〜900sの分離を用いて、動態データを決定した。
表1.γcおよびIL−13Rα1に関するスーパーカインの結合親和性
Figure 0006445434
IL−13Rα1およびγcに関する野生型IL−4/IL−4RαのKは、それぞれ4200nMおよび3300nMであった。KF/IL−4Rαは、IL−13Rα1(K=250nM)およびγc(K=330nM)の双方への結合に対してより高い親和性を有した。KFRのS125R突然変異の追加は、IL−13Rα1への親和性において440倍の改善(K=9.6nM)につながったが、低下したγcへの親和性(K=6400nM)につながった。このように、KFRはIL−4に、IL−13Rα1結合親和性において102.6倍の改善、および、γcへの親和性において対応する2倍の低下をもたらした。親和性増強は、主に、オフ速度における10倍の低下によるものであった。この点では、移植は大きな成功であり、γcと比較してIL−13Rα1に対する10倍の選択性につながった。ちなみに、IL−4のDへリックスライブラリーもIL−13Rα1に対して選択し、この選択は驚くことに、IL−4残基122、124および125がそれぞれLys、PheおよびArgで置換されたコンセンサス配列をもたらした。これは、構造上の重なり(図1b)に基づいて野生型IL−4にIL−13残基を移植することで操作したKFRとほぼ同一である。
酵母ディスプレイから選択したRQおよびRGAをIL4Rαと複合した場合、γcに結合する、大幅により高い親和性を示した(表1、図2)。RQ/IL−4Rαは、36倍高いγcへの親和性(KD=91nM)を示し、RGA/IL−4Rαは、IL−4/IL−4Rαよりも3700倍高い親和性(KD=0.89nM)を示した。RQおよびRGAの親和性の増加は、主にオフ速度での低下によるものであるが、さらに、オン速度では7および6倍速かった。RQおよびRGA双方のスーパーカインは、IL−13Rα1に対して実質的に低下した結合(それぞれ、K=29,000nMおよび21,000nM)を示した。生理的濃度では、これらの変異体は無視できる程度のII型レセプター結合を示すであろう。
このように、RGAは結合親和性をおよそ10倍増大し、I型レセプター複合体への選択性が、II型レセプターよりも約10倍高い。まとめると、構造ベースおよびインビトロ進化アプローチは、機能試験に関して、より高い親和性およびレセプター選択性IL−4変異体をもたらした。これらIL−4変異タンパク質を、IL−4「スーパーカイン」と呼び、具体的には、RGA変異体を「スーパー4」と呼ぶ。
実施例3:γcに対するIL−4親和性増強の構造上の基盤
理想的には、スーパー4といったIL−4変異タンパク質の増大した親和性は、野生型IL−4/γc結合の配向の最小限の妨害によって実現された。第2の鎖、γcとのスーパー4ドッキング様式が野生型IL−4に比べて乱されたかどうかを決定するために、結晶解析を実施した。遊離(たとえば、IL−4Rαに結合していない)スーパー4の、γcに対するより高い部位2親和性(KD約300nM)を考慮すると、IL−4Rαの不在下で、スーパー4/γc二元複合体を3.25Åの分解能まで結晶化させることが可能であった(図3aおよび4、表2)
表2.データ収集および精密化統計(分子置換)
Figure 0006445434
これを達成するために、0.1μLのタンパク質[10mMのHEPES−NaOH(pH7.2)および150mMのNaCl中20mg/mL]を同体積の50mMのHEPES(pH7.2)、200mMのNaClおよび30%PEG−4000と混合することで、IL−4 RGA/γc結晶を25℃にて、シッティングドロップで成長させた。結晶は、5〜10日後に最大サイズの200×40×40μMまで成長した。凍結保護物質として25%エチレングリコールを含む母液を用いた液体窒素中で結晶を急速凍結させた。アドバンスト・ライト・ソース(Advanced Light Source)で、ビームライン8−2で3.3Åデータセットを収集した。回析データを、HKL2000を用いて処理した。
IL−4 RGA二元結晶構造を、IL−4およびγcの座標を別々に用いて(pbdコード3BPL)、プログラムPHASERでの分子置換によって解析した。全ドメインが配置された後、野生型配列をIL−4 RGAに転化し、PHENIXでの精密化およびCOOTでのモデル調節のラウンドを反復して構造を精密化した。MolProbity(ハイパーテキスト転送プロトコル://molprobity.biochem.duke.edu)を用いてラマチャンドラン分析を行った。埋没表面積値(buried surface area)を、Protein Interfaces,Surfaces,and Assemblies(PISA)サーバー(ハイパーテキスト転送プロトコル://www.ebi.ac.uk/msd−srv/prot_int/pistart.html)を用いて計算した。IL−4 RGAは、2つの二元複合体を含んでいた。全ての構造上の図形および外面を、PyMOLを用いて準備した。
I型シグナル伝達三元複合体とのスーパー4/γc二元複合体の重なりは、サイトカイン−レセプター配向において大きな乱れを一切示さなかった。
スーパー4/γc界面では、側鎖密度がスーパー4のへリックスD残基117127に関して明確であった(図4);これらは、IL−4と位相的に類似した方法で、γc結合部位を、中央位置を占めるγcホットスポット残基Y124に結合させる(図2c)。スーパー4の増強した親和性の根底にある可能性のあるメカニズムは、S125のFとの置換であり(図2d、左パネル)、これは、以前は占められていなかったγcの大きな疎水性ポケットの中に挿入し、埋没表面積(BSA)の追加の52.5Åに寄与する(図2d、右パネル)。IL−4 Y124が占めるγcの疎水性の溝は、スーパー4でWに突然変異された場合、BSAにおいて変化しなかったが、接触界面のこの領域は、Trp−N7からγcの主鎖カルボニルに水素結合を得た。R121Qスーパーカインは単独でSPRによる実質的な親和性増大を示した(表2)。これは、IL−4 R121とγc S211との間の以前の水素結合が失われ、γcのS211へのK117Rの結合に置換される、再構築された極性相互作用(図5)のためであるようである。IL−4およびスーパー4のγcとのアミノ酸相互作用の詳細な比較を表3で示し、これは、γcとスーパー4の相互作用対γcのIL−4との相互作用を比較したリガンド−レセプター接触の表である(接触は、太文字で示されない限りはファンデルワールス相互作用を意味し、これらは、H結合距離内である)。
表3.リガンド−レセプター接触の表
Figure 0006445434
表3の太文字は可能性のあるH結合(3.5Åカットオフ)またはγcからスーパー4の塩橋を意味する。表3のイタリック体は、可能性のあるH結合(3.5Åカットオフ)またはγcからIL−4の塩橋を意味する。
実施例4:IL−4変異タンパク質は細胞活性化ができる
様々な細胞型に対する、開示されるIL−4変異タンパク質の影響を試験した。スーパーカインの第2の鎖の動員の平衡定数がIL−4のものよりも劇的に異なったため、主にI型もしくはII型IL−4レセプターまたは顕著な量の双方を発現する細胞型のスーパーカインの挙動を試験した。
最初に、ラモスB細胞、HH T細胞、U937単球およびA549上皮細胞を含む、複数の異なるヒト細胞系統でのIL−4Rα、γcおよびIL−13Rα1のRNAおよびタンパク質発現を決定した。ラモス、U937、A549およびHH細胞を、10%FBS、ペニシリン/ストレプトマイシンおよびl−グルタミン(2mM)を含むRPMIで成長させ、5%COと一緒に37℃で維持した。細胞を一晩血清不足にし、回収した。RNeasy(登録商標)キット(キアゲン社)で飢餓細胞からRNAを単離した。SuperScript(登録商標)II First−Strand Synthesis System for RT−PCR(インビトロゲン社)を用いて、RNAをcDNAに逆転写した。定量的PCR応答を、79003HT配列検知システム(アプライド・バイオシステムズ社(Applied Biosystems))を用いて実行した。IL−4Rα、IL−13Rα1およびγcを検知するプライマー/プローブのセット(FAM−MGBプローブ)ならびに18Sを検知するためのTaqMan Ribosomal RNA Control Reagents(VIC−MGBプローブ)は、アプライド・バイオシステム社のものである。mRNA量を18SリボソームRNAに正規化した。リアルタイムPCRによる、各レセプター鎖のmRNAの相対発現を図3aに示す。ラモス細胞は他の細胞系統よりも約3〜4倍多くIL−4RαのmRNAを有した。HH T細胞系統およびU937単球系統がγcの発現を豊富に有した一方で、ラモスは低いが測定可能な量のγcを発現した。A549は、低い、または、検知不能な量のγcを有した。IL−13Rα1に関しては、A549上皮細胞系統が最も高い発現を有し、U937細胞が明らかに検知可能な量のレセプターを有した一方で、ラモスおよびHH細胞では、IL−13Rα1のmRNA発現は、PCRの感度の下限であった。
このように、mRNA量に基づくと、ラモス細胞は比較的、II型IL−4レセプターをほとんど有さない。ラモス細胞は大量のIL−4Rαを有するものの、それらのI型レセプターの量は、γcの比較的低い発現によって制限される。A549細胞は、II型レセプターを豊富に有し、I型レセプターをほとんどまたは一切有さない。最後に、U937はI型およびII型レセプター鎖RNAの双方を相当量で有する。
FACS染色により、ラモスはIL−4Rαの高発現を示した。HHおよびU937がγcの最も高い発現を示した一方で、ラモスは比較的低い、この鎖の発現を示した。IL−13Rα1発現はA549細胞で最も高かった(図6b)。IL−4レセプター鎖の細胞表面発現を、FcレセプターI、IIおよびIIIを遮断した後に実施した。CD23に対する抗体、IL−4Rαおよびγc抗体をBDから購入し、IL−13Rα1に関してはR&Dから購入した。
STAT6 Y641リン酸化の決定は、細胞内シグナルを伝達できるレセプター複合体の集合に直接的に依存した、IL−4シグナル伝達でのかなり初期の事象を測定する定量化ツールを提供した。STAT6 Y641リン酸化には、Jakキナーゼの活性化、および、IL−4Rαの細胞内チロシン、特にY575、Y603およびY631のリン酸化が必要である。これらのリン酸化チロシンは、STAT6のSH2ドメインのためのドッキング部位として役に立ち、次いで、Y641でリン酸化し、STAT6の二量体化およびそれに続く核への流入につながる。
IL−4およびそのスーパーカインへの応答を実験するために、上記の細胞型を用いた。IL−4、スーパー4およびKFRの刺激活性を試験した。スーパー4は、IL−4Rαと複合した場合、γcへの結合に関して最も高いKDを有し、KFRはIL−13Rα1への結合に関して最も高いKDを有する。
ラモス細胞を用いて、I型レセプター複合体が大勢を占めるIL−4応答を試験した(図7および8)。様々な時間の間、ラモス細胞をIL−4またはスーパー4またはKFRスーパーカインのいずれか100pg/ml(約7pM)で刺激すると、刺激から20分での最大誘導が、30分で持続しており、60分で少しずつ減少したことが分かった(図4a)。IL−4、スーパー4およびKFRによるSTAT6リン酸化の刺激の時間経過は類似しているが、スーパー4は、測定された時間点全てにおいてIL−4またはKFRよりも実質多くのリン酸化を誘導した;20分の刺激後、スーパー4によって誘導されたSTAT6リン酸化の平均MFIは19.6であり、IL−4によって誘導されたSTAT6リン酸化の平均MFIは7.7であり、KFRによって誘導されたSTAT6リン酸化の平均MFIは5,4である。
刺激する前に、2%FBSを含む成長培地で細胞を一晩培養した(「飢餓状態」)。氷冷メタノール(90%)透過処理を行った後に細胞内pSTAT6染色を実施した。抗pSTAT6抗体はBDバイオサイエンス社から購入した。刺激していない試料から刺激した試料の平均蛍光強度(MFI)を引くことで、STAT6リン酸化の誘導を計算した。
IL−4、スーパー4、KFRならびにRQおよびKFの濃度/応答曲線も決定した。30pg/ml(2pM)から100,000pg/ml(7.4nM)の範囲に及ぶIL−4またはスーパーカインの濃度で飢餓状態のラモス細胞を15分間刺激したが、多くの実験では範囲は30〜1,000pg/mlに制限された。IL−4およびスーパー4は双方とも類似した量のSTAT6リン酸化をもたらしたが、スーパー4がプラトーレベルに到達するために1,000pg/mlを必要とした一方で、IL−4はプラトーレベルを達成するために10,000〜30,000pg/mlを必要とした(図7b)。
30〜1000pg/mlの濃度範囲のIL−4および4つのスーパーカインに対するラモス細胞の応答の分析を実行した(図7cおよび8)。スーパー4は、試験された全濃度でIL−4よりも優れていた;スーパー4で達成されたのと同じ度合いのSTAT6リン酸化を達成するために、約3倍多くのIL−4が必要である。KF、RQおよびIL4は概してお互い類似していた;KFRはIL−4よりも少ない刺激をもたらし、3倍未満ほど活性が低かった。その結果、スーパー4はKFRよりも約10倍より活性が高い。このように、定性的には、γcに対して最も親和性を有するIL−4/IL−4Rα複合体を形成するスーパーカインIL−4は、ラモス細胞で最も活性が高く、最も低い親和性を有するスーパーカインは最も活性が低かった。しかし、IL4に勝るスーパー4の相対的な利点は、IL−4Rαと複合した場合のγcに対するそれらの溶液平衡定数における約3700倍の違いと比較すると、比較的控えめである。
上記の通り、第2の鎖としてIL−13Rα1を主に用いるA549細胞で、同様の分析を実行した。これらの細胞に関して、KFRおよびKFはIL−4よりも3〜10倍刺激性が高かった;スーパー4およびRQはIL−4と変わりなかった(図4d)。IL−4Rαと複合したKFRが、IL−13Rα1のための溶液にてIL−4よりも約400倍大きい親和性を有した一方で、KFはIL−4よりも約10倍の利点しか有さなかった。より高い親和性のスーパーカインはより良好な応答をもたらすが、それらの利点の度合いはそれらの溶液親和性の違いとは直接的には相関していないという性質上の同意は依然とあった。
実施例5:レセプター集合のモデリング
スーパー4が約3〜10倍より強力な、STAT6リン酸化の活性剤であった一方で、γcに関する三次元平衡はIL−4のものよりも約3700倍高かったという考えは、シグナル誘導レセプター形成が、どのように第2の鎖の発現によって決定されるかという分析を促した。マクロファージの約40のレセプターは、ほとんど最大限のSTAT6活性化をもたらすであろうと計算されていた。従って、細胞レベルでスーパー4が有した驚くほどに控えめな利点は、形成されたレセプター複合体の比較的低い数と何か関係があり得、および/または、第2の鎖の数が低い、たとえば、リガンドが利用可能な第2の鎖と競合する場合として観測され得る。
この疑問を解決するため、計算的なアプローチを用いた。第2の鎖の数を変える、および、第2の鎖の平衡定数値を変える際に、リガンド濃縮の機能としてレセプター複合体の集合を予測するMatlab(登録商標)スクリプトを適用した。
ラモス細胞上のIL−4Rα鎖の数は約1500であるため、レセプターの集合をこの数に固定化した。γcの数を4500に設定した場合は第2の鎖Kを0.01から1.0に増大することに対して比較的控えめな効果が計算されたが、γcの数を500に設定した場合、第2の鎖Kの増大は集合したレセプター鎖の数に強力な影響を有した(図9a、左および右のパネルを比較)。
このように、100pg/mlのサイトカイン濃度では、第2の鎖の数が4500であった時にK=0.01μmと比較したK=1μmの集合した複合体の比が6.7であった一方で、γcの数を500に設定した場合はその比は34.5であった。サイトカインの濃度が10倍高い、1000pg/mlだったとき、4500のγc分子に関するK=1μm/K=0.01μmの比は6.8である一方で、γcの数が500だった時は25.6であった。このように、第2の鎖の数が比較的低い場合、増大する第2の鎖Kはさらに有用になる。このことは、低い量のγcまたはIL−13Rα1を発現する細胞は、第2の鎖に対して増強された親和性から最も強力に利益を得るが、大きい数のγcまたはIL−13Rα1を発現する細胞は、高い親和性のスーパーカインとIL−4との間でより不十分に区別するはずであるということを効果的に意味する。
別の疑問は、細胞1個あたりかなり少数のγc分子を有する細胞の複合体の集合上でスーパーカイン/IL−4Rα複合体の親和性を増大することの効果であろう。2次元Kが一定に維持され、γc分子の数が4500から167に変化した時の、レセプター複合体の集合を計算した。インビトロでのほとんどの刺激アッセイで使用されたサイトカインの濃度において、IL−4のために推奨される2次元Kである、0.01μmのγcのための2次元Kを有したIL−4/IL−4Rα複合体は、たった167個のγc分子しか持たない細胞上でかなり少数のレセプターを集合させた(100pg/mlでは1未満、および1000pg/mlでは3.6)(図9b、右パネル)。このように、そのような細胞は、これらのサイトカイン濃度でIL−4に対して基本的に無応答であるはずである。対照的に、1μmのγcに関して2次元Kを有するであろうスーパーカインは、100pg/mlで33個の複合体および1000pg/mlで109個の複合体を集合させるであろう(図9b、左パネル)。
いくつの集合した複合体が、ラモス細胞における最大刺激のために理論上十分であるのかを評価するために、IL−4およびRGAがSTAT6リン酸化に関して類似したプラート値を刺激するかどうかを決定した。IL−4およびRGAは、STAT6リン酸化に関して類似したプラート値を確実に刺激した;ラモス細胞では、10,000と30,000pg/mlの間のIL−4でプラートが達成される(図7b)。第2の鎖(0.01μm)に対して低い親和性を有したリガンドに関する集合した複合体の数を、10,000および30,000pg/mlのγc鎖の中間数(1500)を用いて計算した。集合した鎖の値は、65と71との間(図9c)であり、より多くの鎖を集合させることはより大きなシグナル伝達にはつながり得ないことを示唆した。もし低いγc数(500)を選択していたら、最大刺激に対して集合した鎖の数は、対応してより低くなっていたであろう。しかし、最大シグナルを与える約70の集合したレセプターの値は控えめな推定である。
このように、100pg/mlで使用される高親和性スーパーカインによって達成される33個の集合した複合体は、167個のγc分子を発現する細胞による実質的な応答には十分であるはずであり、1000pg/mlで集合した109個の複合体は、最大応答をもたらすはずであった。このことは、これら低濃度ではIL−4に応答していなかった細胞が高親和性スーパーカインには応答し、予期しない応答(および毒性)が、第2の鎖に対して非常に高い親和性を伴うIL−4スーパーカインを操作することで達成され得る可能性を高めるであろう。
実施例6:第2の鎖発現を変化させる
γc発現での増加はIL−4に対してスーパー4が有した利点を低下させることが予測され得るため、ラモス細胞よりもはるかに高いγc発現を有したHH細胞系統で、IL−4およびスーパー4に対する感受性を実験した(図6aおよびb)。スーパー4は、10pg/mlから10,000pg/mlの濃度範囲にわたって、HH細胞でのSTAT6のリン酸化においてIL−4よりも優れてはいなかった(図10a)。
第2の鎖の数の、IL−4およびスーパーカインへの相対的応答に対する寄与の別の試験は、γcの到達性を低下させることである。この目的のために、異なる濃度の抗γc抗体を刺激培養に添加した。100pg/mlのスーパー4でラモス細胞を刺激すると、STAT6活性化で判断して、100pg/mlのIL−4を勝る実質的な利点をもたらした(図7c)。これらの細胞を、抗γcの存在下または不在下で、100pg/mlのIL−4またはスーパー4/RQ/KF/KFRスーパーカインで刺激し、フローサイトメトリーによってSTAT6のリン酸化を測定し、抗γcによってもたらされたSTAT6リン酸化のパーセンテージ低下を計算した。IL−4によって誘導されたSTAT6リン酸化が50μg/mlの抗γcによって58%減少した一方で、スーパー4に関しては、減少はたったの12%だけであった(図10b;図18)。RQおよびKFスーパーカインに関しては、阻害は約40%であり、KFRに関しては、阻害はIL−4に関してのものと類似していた。これらの結果はγcへの結合のためのL−4およびスーパーカインの相対溶液KDの結果と一貫しており(スーパー4>RQ、KF>IL−4=KFR、表1)、第2の鎖の発現が低下する場合、第2の鎖に対する親和性の増加は、より大きな刺激の区別をもたらすという考えを支持する。
類似したγc遮断実験を、U937単球細胞系統上でも実施した。γc遮断実験に関しては、一晩飢餓状態にしたラモスまたはU937細胞を、阻止抗体と共に、37℃にて1時間、インキュベートした。
U937細胞系統は、I型およびII型IL−4レセプターの双方を発現し、γcの遮断はIL−4応答を低下させることが予測され得る一方で、II型レセプターを原則的に使用するためKFRスーパーカインの活性にはほとんど影響はないはずである。実際に、U937細胞でのγc遮断は、IL−4に応答するSTAT6リン酸化において44%の低下をもたらしたが、KFRスーパーカインに対する応答では7%の低下だけであった(図10c)。
実施例7:IL−4およびスーパーカインに対する、ヒト細胞の一次応答
様々なスーパーカインに対する応答は、どの第2の鎖をそれらが第1に使用するか次第であったことを確認するために、ヒト末梢血液白血球(PBL)のStat6リン酸化応答を試験した(図11)。PBLは、刺激されなかったか、15分間、IL−4または様々なスーパーカインで刺激されたかのいずれかであった。STAT6 Y641リン酸化をフローサイトメトリーで測定し、様々な末梢血液細胞型の応答性を試験した。スーパー4に対するリンパ球の応答は、低いリガンド濃度で著しくより良好であった。
100pg/mlにおける、IL−4と比べたスーパー4によるSTAT6リン酸化の利点の比較のためのP値は0.0003であり、1ng/mlでは、P値は0.0104であり、10ng/mlでは、P値は統計的に有意ではなかった(0.1493)。比較上、リンパ球STAT6リン酸化における、KFR−スーパーカインと比較したIL−4の利点を比較するための対応するP値は、0.0005、0.0004および0.5364であった。これらの発見は、ヒトリンパ球における、第2のレセプター鎖としてのγcの第1の使用に一致している(図11a)。単球および好中球は、IL−4、スーパー4およびKFRに対するそれらの応答で、ほとんど違いを示さなかった。
初代細胞上のI型およびII型IL−4レセプターの発現の度合いを確認するために、6人の健康なドナー由来のB細胞、T細胞、単球および好中球におけるIL−4Rα、γcおよびIL−13Rα1をフローサイトメトリーで測定した。IL−4Rα発現がB細胞上で一番高い一方で、単球および好中球はIL−4Rα発現ではほとんど違いを示さず、T細胞は一番少ないIL−4Rαを有した(図11b、11cおよび11d)。γcに関しては、単球とCD4 T細胞との間の発現には、違いは比較的ほとんどなかった。B細胞は少しだけより少ないγcを有し、CD8 T細胞は一番低い量を有した。予測された通り、IL−13Rα1発現が単球で一番高い一方で、BおよびT細胞は非常に低いこの鎖の発現を有した。PBLは、刺激されなかったか、15分間、IL−4または様々なスーパーカインで刺激されたかのいずれかであった;STAT6 Y641リン酸化を、フローサイトメトリーで測定した。スーパー4は、IL−4よりも強力なSTAT6のリン酸化を誘導し、CD4およびCD8 T細胞におけるKFRよりもはるかに強力なリン酸化を誘導した(図11e)。単球は、γcおよびIL−13Rα1双方のそれらの発現に一致して、IL−4、スーパー4およびKFRに対するそれらの応答においてほとんど違いを示さなかった。
スーパー4は、IL−4よりも強力なSTAT6のリン酸化を誘導し、CD4およびCD8 T細胞におけるKFRよりも実質的に強力なリン酸化を誘導した(図12)。単球は、IL−4、スーパー4およびKFRに対するそれらの応答においてほとんど違いを示さなかった。多少驚くことに、B細胞は、比較的低い量の感知可能なIL−13Rα1にも関わらず、KFRに良好に応答した。
9分化アッセイ
IL−4およびスーパーカインの機能上の特異性および免疫調節性能力を試験するために、CD4 T細胞および単球を含む一連の実験を実施した。TGF−βおよびIL−4の組み合わせは、未処置のヒトCD4 T細胞の、T9細胞への分化を促進する。スーパー4が野生型IL−4よりも強力にT9分化を誘導するかどうかを試験するために、未処置のCD4CD45RACD45ROCD25T細胞を単離した。
Ficoll−Paque(商標)PLUS(GEヘルスケア社)での密度勾配遠心分離の前にRosetteSep(商標)Human CD4 T Cell Enrichment(ステム・セル・テクノロジーズ社(Stem Cell Technologies))を使用して、濃縮したCD4T細胞を健康なドナーから得たバフィーコート(スタンフォード血液センター(Stanford Blood Center))から調製した。未処置のCD4CD45RACD45ROCD25T細胞をNaive CD4 T Cell Isolation Kit II(ミルテニー・バイオテク社(Miltenyi Biotec))で、磁力で分別した。
次いで、10%Human Serum Type AB(ロンザ社)、100単位/mlのペニシリン/ストレプトマイシン、L−グルタミン(インビトロゲン社)および50μMのβ−メルカプトエタノール(シグマ・アルドリッチ社(Sigma−Aldrich))を添加したX−VIVO(商標)15培地(ロンザ社)中における、48ウェル平底プレート(ファルコン社(Falcon))内で、37℃にて、細胞を培養した。5ng/mLのTGF−β(イー・バイオサイエンス社(eBioscience))および指示された濃度のIL−4、スーパー4またはKFRの存在下で、1:1のビーズ対細胞比にて、抗CD3/CD28被覆ビーズ(インビトロゲン社)と、2.5×105細胞/mLにて細胞を培養した。
培養4日後、ビーズを磁気で除き、Brefeldin A(イー・バイオサイエンス社)の存在下で、4時間、25ng/mLのPMAおよび750ng/mLのイオノマイシン(インビトロゲン社)で細胞を再度刺激した。細胞を次いで、LIVE/DEAD(登録商標)Fixable Aqua Dead Cell Stain Kit(インビトロゲン社)で染色し、次いで、製造業者のプロトコルに従って固定化および透過処理した(イー・バイオサイエンス社)。続いて細胞を、蛍光標識したIL−9およびFoxp3に対する抗体で、染色した(イー・バイオサイエンス社)。標識した細胞を、BD LSRII(BDバイオサイエンス社)上で分析し、FACSプロットをさらにFlowJo(ツリースター社)によって分析した。示されるFACSデータは全て、一重線および生細胞に対してゲート化されている。
10または100μg/mlのスーパー4で準備することは、同一濃度のIL−4またはKFRで準備した時よりも著しく高いパーセンテージである、それに続くPMAおよびイオノマイシンでの刺激の際にIL−9を生産した細胞をもたらした(図13a)。
樹状細胞の分化アッセイ
GM−CSFと組み合わせたIL−4は、ヒト単球から、樹状細胞(DC)のインビトロ分化を誘導する。このプロセスに関するI型またはII型レセプターの相対的な役割はまだ明らかになっていない。スーパー4がγcに優先的に結合し、KFRはIL−13Rα1ライゲーションに向かってそれることを考慮し、ヒトDC分化の間のγcおよびIL−13Rα1経路のために必要な要件を解明した。
Rosette(登録商標)Sep Human Monocyte Enrichment Cocktail(ステム・セル・テクノロジーズ社)を用いた密度遠心分離、それに続く抗CD14複合ミクロビーズ(ミルテニー・バイオテク社)での磁気分離によって、健康な血液ドナー(スタンフォード血液センター)から得た末梢血液単核細胞から、CD14単球を単離した(97%超純度)。次いで、10%ヒトAB血清、100U/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシン、2mMのL−グルタミン、ピルビン酸ナトリウム、非必須アミノ酸および50μMの2−MEを添加したIMDM培地(Gibco(登録商標))を含む12ウェルプレート(コーニング社(Corning))内で、5×10のCD14単球を、50ng/mLのGM−CSF単独と培養、または、指示された濃度のIL−4、KFRまたはスーパー4で培養した。新しいサイトカインを2日目および4日目に添加した。
6日目に、細胞を5mMのEDTAで処理し、続いて、DAPI(インビトロゲン社)、蛍光標識化アイソタイプ制御m抗体またはm抗体で、CD14、CD86、CD209およびHLA−DR(BDバイオサイエンス社)に対して染色した。樹状細胞分化を、BD LSRIIフローサイトメーターを有するフローサイトメトリーによって評価し、細胞表面マーカー発現の平均蛍光強度をFlowJo(ツリースター社)で検知および分析した。
CD209、CD86およびHLA−DRの上方制御によって評価して、IL−4およびKFRが単球のDCへの分化を引き出した一方で(図13bおよび図22)、スーパー4は同じことができず、このことは、DC分化が主に、II型IL−4レセプター複合体経由のシグナル伝達によって推進されることを示唆し、該II型IL−4レセプター複合体は、スーパー4に不十分に結合される。単球のDCへの成熟はまた、CD14の下方制御と関連している;スーパー4は、下方制御CD14において、KFRまたはIL−4よりも効率性が低い(図13b)。さらに、異なる樹状細胞のサブセットを区別するためにさらに使用されたマーカーの分析は、スーパー4の有無にかかわらず、GM−CSFによって誘導された細胞は、表現型的に同一であり(図23)、このことは、スーパー4によって誘導された細胞は、別個の樹状細胞サブセットに分化したというよりは、別個の樹状細胞サブセットに不完全に分化したということを示唆する。
DC分化におけるI型およびII型IL−4レセプター複合体の相対的な役割を確認するために、抗−IL−4Rα(I型およびII型レセプター特異性)がIL−4およびKFRに応答してCD86およびCD209の発現を低下させる一方で、抗−γc(I型レセプター特異性)は同じことができなかったことを、本明細書で示した(図14)。前述の通り、スーパー4は、これらマーカーの非常に控えめな誘導を引き起こした。スーパー4によって誘導されたCD14下方制御は、抗IL−4Rαによって部分的に阻害されたが、抗γcによっては阻害されなかった。興味深いことに、γcに対する中和抗体を使用した場合、IL−4およびKFRは依然として、対照条件下と同じ量のDC成熟を誘導し(図14)、DC分化は、II型IL−4レセプター複合体を介して生じることを確認した。
実施例8:単球のIL−4およびスーパーカインによって誘導されるシグナル活性化プロファイル
IL−4および2つのスーパーカインが単球において同じ程度までSTAT6を活性化したため、スーパー4のDC分化を誘導する能力を決定した(図11(e)、図12および図19)。精製した単球を2つの用量のサイトカインで処理し、1つの用量は、P−STAT6 EC50値(30pM)(図15)に対応しており、もう一方の用量は、飽和状態(50nM)(図20)に対応していた。STAT6およびIRS1リン酸化の量ならびにγcおよびIL−13Rα1レセプターの下方制御を示した時間で分析した。低用量では、スーパー4およびKFRはIL−4と比較して遅れたSTAT6およびIRS1の活性化を示した。γcまたはIL−13Rα1のいずれの顕著な内部移行も一切観察されなかった(図15)。高用量では、3つのサイトカインは、STAT6およびIRS1活性化の同一の動態プロファイルを誘導した。KFRは、刺激の終わりに近い時間で、IL−13Rα1のより強力な内部移行を示した(図20)。概して、これらの結果によって、表面レセプター内部移行とシグナル伝達活性化との間の相関関係の欠如が示される。さらに、シグナル伝達活性化の遅れた動態だけでは、スーパー4のDC分化を誘導する非効率性を説明できず、II型レセプター特異性シグナル伝達がDC分化に必要であることを示唆する。
実施例9:単球のIL−4およびスーパーカインによって誘導される遺伝子発現プロファイル
DCの分化において、IL−4およびスーパーカインによって誘導される遺伝子プログラムの重複性の程度に対して定性的な見識を得るために、GM−CSFで同時に処理した単球の野生型IL−4および2つのスーパーカインに応答した遺伝子発現のゲノム全体の分析を実施した。CD14+単球を、5人の健康なドナーから単離し、6時間、50ng/mlのGM−CSF単独で、または、20ng/mlのIL−4、スーパー4、またはKFRで刺激した。細胞をPBS中で洗浄し、1mlのTRIzol試薬(シグマ社)に溶解した。組み合わせたTRIzol/RNeasy Micro(キアゲン社)プロトコルを用いて全RNAを単離した。RNAの品質を2100Bioanalyzer(アジレント社)で確認した。cDNAを作製し、Two−color Low Input Quick Amp Labelingキット(アジレント社)を用いて、Cy3で標識される単一処理試料(GM−CSF単独)およびCy5で標識される二重処理試料で標識した。各ドナーに関し、各Cy5標識化二重処理(IL−4、Super−4またはKFRのいずれかを伴うGM−CSF)の試料を、8×60K SurePrint G3 Gene発現マイクロアレイ(アジレント社)上にGM−CSFを伴う対応するCy3標識化単一処理と同時ハイブリダイズし、製造業者の説明書に従って処理した。Feature Extractionソフトウェア(アジレント社)を用いて生のデータを正規化した。二重処理と単一処理の間、および変異形の間の変化の統計的分析のために、対応のあるt検定分析を用いた。遺伝子発現分析をGeneSpring GX11.5およびExcel上で実施した。6個未満のアレイでしか検知されなかった実体、品質管理プローブおよび長い遺伝子間非コードRNAのためのプローブは除外した。GM−CSF単独と比較して(Cy5対Cy3)少なくとも1つの二重処理群で有意な変化(対応のあるt検定)があった実体を保持した。2つの所与のサイトカインの間の倍変化統計的分析を、対応のあるt検定によって決定した。ミクロアレイデータをNCBI(GEOシリーズ受託番号:GSE40200)のGene Expression Omnibus(GEO)Databaseに提出した。
散布図の相関関係に示される通り、3つのサイトカインはかなり大部分の遺伝子を同程度まで誘導する(図16)。しかし、興味深いことに、遺伝子発現特異性のマイナーなポケットはIL−4と2つのスーパーカインとの間でも観察され得る。図16bのベン図によって示される通り、相当な数の遺伝子がたった1つまたは2つの使用されたサイトカインによって顕著に誘導された。図16cのヒートマップは、IL−4および2つのスーパーカインによって誘導された発現パターンにおける明確な違いが観察された、サイトカイン選択的遺伝子の代表的なセットを示す。単球のスーパーカインおよびIL−4によって差次的に制御される遺伝子の一覧表を表4に示す。TPA1、HLA−DPAおよびCISHといったDC特異性遺伝子は、IL−4およびKFRによって、スーパー4によってよりも高い量まで明らかに誘導され、IL−4に誘導される樹状細胞分化プロセスを偏らせ得るII型IL−4レセプターから来る特定のシグナルに一貫している。
表4.スーパーカイン選択的遺伝子の倍誘導(平均値、初めの3つのコラムのデータ)およびp値(対応のあるt検定、最後3つのカラム)。
Figure 0006445434

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実施例10:IL−4および2つのスーパーカインによって誘導されるサイトカイン分泌プロファイル
操作されたサイトカインによって誘導されるDCの機能性をさらに評価するため、8日間、最後の24時間はLPS刺激を行う、または行わないで、培養した細胞の上澄み上でLuminexアッセイを実施することで、サイトカイン、ケモカインおよび増殖因子の分泌パターンを比較した。
Luminexサイトカインのプロファイリングに関しては、培養上澄みを8日目(2μg/mlのLPSでの24時間刺激を伴う、または伴わない)に回収した。ヒト51−プレックスキットをアフィメトリックス社(Affymetrix)から購入し、下記の変更を伴って、製造業者の推奨に従って使用した。簡潔に、96ウェルフィルター底プレート上で試料を抗体結合ポリスチレンビーズと混合し、2時間室温でインキュベートし、続いて、4℃で一晩インキュベートした。プレートを真空濾過し、洗浄緩衝液で2回洗浄し、次いで、ビオチン標識化検知抗体で、2時間室温でインキュベートした。試料を次いで上記の通り濾過および2回洗浄し、ストレプトアビジン−PEに再懸濁した。室温での40分間のインキュベーション後、真空洗浄をさらに2回行い、試料をReading Bufferに再懸濁した。サイトカイン1つごとの試料につき100ビーズである、より低い限度を有するLuminex 200機器を用いて、プレートを読み取った。MFIを、GM−CSFだけで培養した非刺激細胞の値に正規化した。
51個の分析物のうち、20個は処理間(スーパーカインおよびLPS)の発現において違いを一切示さず、19個は、IL−4とスーパーカインとの間に違いを伴わないで、LPS(最も注目すべきはIL−6、CCL3、CCL5およびCXCL1)によって下方制御された(図17)。残った12個の生成物の発現は、GM−CSFのみに誘導された細胞、または、GM−CSF+IL−4もしくはKFRによって誘導された、DC由来のGM−CSF+スーパー4を区別した(図17および図21)。前者の2つのサブセットは大変類似していて、後者2つのサブセットよりも多くのG−CSF、HGF、IL−1α、IL−1β、IL−10、IL−12p40、LIF、TNFα、およびより少ないMCP3、MIP1β、PDGF、TGFαを生産し、後者2つのサブセットも大変類似していた。多くの違いはLPS刺激後に見られたが、非活性化細胞にもいくつか存在した。これらのデータは全体で、スーパー4は、GM−CSF単独のものに比べ、単球に対して一切効果を有さないが、一方で、IL−4またはKFRの添加は表現型的にも機能性的にも異なるDCをもたらすことを示す。このように、操作されたサイトカインは、新しいおよび別個の機能活性を所有するようである。

Claims (25)

  1. 2つまたはそれ以上の共有レセプターポリペプチドにより認識される野生型IL‐4リガンドに対して、標的細胞における細胞応答を選択的に操作するための方法であって、IL‐4変異タンパク質リガンドを提供することを含み、前記IL‐4変異タンパク質リガンドが、前記野生型IL‐4リガンドよりも高い親和性で前記2つまたはそれ以上の共有レセプターポリペプチドの1つと結合することにより、前記細胞応答を選択的に操作し、前記IL‐4変異タンパク質が以下のアミノ酸置換:117R、118V、121Q、122S、124W、125F、128G、および129Aを含み、前記アミノ酸の番号付けは野生型ヒトIL‐4に従っている、方法。
  2. 前記IL‐4変異タンパク質リガンドが、前記野生型IL‐4リガンドよりも高い親和性で前記2つまたはそれ以上の共有レセプターポリペプチドのうちの2つと結合することにより、前記細胞応答を選択的に操作する、請求項1の方法。
  3. 前記IL‐4変異タンパク質リガンドが、前記野生型IL‐4リガンドよりも高い親和性で前記2つまたはそれ以上の共有レセプターポリペプチドのうちの1つと結合し、前記野生型IL‐4リガンドよりも低い親和性で前記2つまたはそれ以上のうちの共有レセプターポリペプチドの別の1つと結合することにより、前記細胞応答を選択的に操作する、請求項1の方法。
  4. 前記2つまたはそれ以上の共有レセプターポリペプチドが、前記標的細胞の表面に等しく存在しない、請求項1の方法。
  5. 前記IL‐4変異タンパク質リガンドにより結合される前記共有レセプターが、前記IL‐4変異タンパク質リガンドにより結合されていない前記共有レセプターよりも、前記標的細胞の表面に、より低いレベルで存在する、請求項4の方法。
  6. 前記IL‐4変異タンパク質リガンドにより結合される前記共有レセプターが、前記IL‐4変異タンパク質リガンドにより結合されていない前記共有レセプターよりも、前記標的細胞の表面に、より高いレベルで存在する、請求項4の方法。
  7. 前記IL‐4変異タンパク質リガンドにより結合されていない前記共有レセプターが、前記IL‐4変異タンパク質リガンドへの低減された到達性を有する、請求項1の方法。
  8. 前記IL‐4変異タンパク質リガンドにより結合されていない前記共有レセプターへの到達性が、前記IL‐4変異タンパク質リガンドにより結合されていない前記共有レセプターの前記到達性に干渉する反応剤を提供することにより低減される、請求項7の方法。
  9. 前記反応剤は、前記IL‐4変異タンパク質リガンドにより結合されていない前記共有レセプターを認識する抗体である、請求項8の方法。
  10. 前記共有レセプターは、共通γ鎖(γc)、またはインターロイキン‐13レセプターアルファ1(IL‐13Rα1)である、請求項1の方法。
  11. 前記より高い親和性は少なくとも10倍である、請求項1の方法。
  12. 前記より低い親和性は少なくとも5倍である、請求項3の方法。
  13. IL‐4変異タンパク質を含み、前記IL‐4変異タンパク質が、野生型IL‐4と比較して、共有サイトカインレセプターに結合する、より高い親和性をもたらし、前記IL‐4変異タンパク質が以下のアミノ酸置換:117R、118V、121Q、122S、124W、125F、128G、および129Aを含み、前記アミノ酸の番号付けは野生型ヒトIL‐4に従っている、組成物。
  14. 前記IL‐4変異タンパク質が、野生型IL‐4と比較して、第1の共有サイトカインレセプターに結合するより高い親和性、および野生型IL‐4vと比較して、第2の共有サイトカインレセプターへの低減された親和性をもたらす請求項13に記載の組成物。
  15. 前記第1の共有サイトカインレセプターは、前記第2の共有サイトカインレセプターよりも低いレベルで発現される、請求項14に記載の組成物。
  16. 前記第1の共有サイトカインレセプターは、前記第2の共有サイトカインレセプターよりも高いレベルで発現される、請求項14に記載の組成物。
  17. 前記IL‐4変異タンパク質が、野生型IL‐4と比較して、第1および第2の共有サイトカインレセプターに結合するより高い親和性をもたらす、請求項13に記載の組成物。
  18. 前記親和性における増加は少なくとも10倍である、請求項13から17のいずれか1項に記載の組成物。
  19. 前記親和性における低減は少なくとも5倍である、請求項14に記載の組成物。
  20. 前記共有サイトカインレセプターは、共通γ鎖(γc)またはインターロイキン‐13レセプターアルファ1(IL‐13Rα1)である、請求項13に記載の組成物。
  21. 前記第1の共有サイトカインレセプターはγcであり、前記第2の共有サイトカインレセプターはIL‐13Rα1である、請求項14に記載の組成物。
  22. 前記第1の共有サイトカインレセプターはIL‐13Rα1であり、前記第2の共有サイトカインレセプターはγcである、請求項14に記載の組成物。
  23. 前記第1および第2の共有サイトカインレセプターはγcおよびIL‐13Rα1である、請求項14に記載の組成物。
  24. 必要とする対象の治療において使用するための医薬組成物であって、治療上有効量の請求項13に記載に記載の組成物を含み、必要とする対象に投与される、医薬組成物。
  25. 前記対象が炎症性疾患に罹っている、請求項24に記載の医薬組成物。
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