JP6445333B2 - 回収鋳物砂の再生法 - Google Patents

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Description

本発明は、回収鋳物砂の再生法に係り、特に、水溶性の粘結剤を用いた鋳物砂組成物で造型された鋳型から回収される回収鋳物砂を有利に再生する方法に関するものである。
従来から、鋳物砂に粘結剤として主にフェノール樹脂等の有機化合物が混練されてなる鋳物砂組成物を用いて鋳型を造型し、そしてその得られた鋳型にて鋳造を行った後、その使用後の鋳型を解砕(型ばらし)して得られる回収鋳物砂には、使用した粘結剤が付着しているところから、かかる回収鋳物砂に対して再生処理を施して、再利用されることがある。そして、そのような回収鋳物砂の再生方法には、古くより、湿式再生法、加熱式再生法、乾式再生法等、各種の方法が提案され、実施されてきている。
而して、鋳物砂に混練される粘結剤が有機化合物であれば、鋳造時の熱履歴や焼成によって、回収鋳物砂の再生は比較的容易となるのに対して、特に水ガラス等の無機系の粘結剤を用いた場合に、有機化合物と同様には、回収鋳物砂の再生を行うことが出来ず、効果的な再生方法が確立されていないというのが、現状である。
また、そのような粘結剤として水ガラスを用いた鋳型からの回収鋳物砂の再生処理の方法として、従来では、特許文献1に明らかにされているように、鋳物砂の粒子を590μ以下の大きさに揃えた後、高温炉に挿入して、砂粒をゆっくりと撹拌しながら、昇温せしめて、900〜1100℃程度の温度で焼成することにより、ケイ酸ソーダを燃焼させて昇華した後、砂粒子に加水して濾過を行い、次いで砂粒のpH値が7程度となるように中和した後、砂粒子を乾燥する再生回収方法が、知られている。
しかしながら、このような再生処理方法により得られる砂は、その表面から粘結剤として用いたケイ酸ソーダが除去されているところから、再生鋳物砂として、再度の使用が可能となるのであるが、粘結剤の除去処理を行う前に、鋳型の解砕、分級といった粒度調整の作業が必要とされることに加えて、その後の粘結剤の除去処理も、高温加熱、冷却、洗浄、乾燥と多くの工程が必要とされている。そのため、エネルギーの消費量が非常に大きく、また再生にも時間がかかるようになるため、再生コストが高騰するという問題や、大がかりな再生プラントが必要となる等という問題があった。
さらに、他の再生方法として、特許文献2には、水ガラス系粘結剤を用いた回収鋳物砂を再生するに際し、1気圧以上の圧力下で、温度が100〜200℃の水またはアルカリ性水溶液と接触させることによって、かかる鋳物砂を再生するようにした手法が、明らかにされている。
しかしながら、そのような加熱・加圧下で水と接触させることにより、回収鋳物砂に付着した水ガラス系粘結剤を溶かして取り除くことは可能ではあるものの、水との接触によって粘結剤の溶解が始まるのは、所定温度と所定圧力の状態に到達した後となるために、水と回収鋳物砂が混ざった状態で所定の温度に加熱するには、時間が掛かると共に、加熱条件と加圧条件とをそれぞれ調整する必要があるところから、それら条件のコントロールが面倒であるという問題がある。また、ラボ実験レベルの小規模な再生であれば、目標とする加熱条件や加圧条件に達するまでの時間はそれほど問題にはならないのであるが、工場内で大きな再生設備を設置して再生を行う場合においては、所定温度と所定圧力になるまでに時間がかかるため、再生に費やされる時間が長くなるという問題があった。更に、回収鋳物砂を加熱するためには、ヒーターなどで容器内周面を加熱して、内部を加熱する構成となるところから、容器内周面と内部とで熱の伝達が異なるようになり、再生にムラが生じて、再生した鋳物砂を用いた鋳型の性能にばらつきが生じる問題も内在している。
特開平6−344076号公報 特開昭51−125628号公報
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決すべき課題とするところは、加熱効率を高めて、回収鋳物砂の再生にかかる熱エネルギーの消費量が少なく、再生時間を短くし得る方法を提供することにある。
そして、本発明者等が、回収鋳物砂の再生方法について鋭意検討を重ねた結果、水蒸気の吹込みと特定の加熱・加圧状態の維持とによって、上述の如き課題が悉く解決され得ることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
従って、かかる知見に基づいて完成された本発明は、上記した課題の解決のために、又は明細書全体の記載や図面から把握される課題を解決するために、以下に列挙せる如き各種の態様において、好適に実施され得るものであるが、また、以下に記載の各態様は、任意の組合せにおいても、採用可能であることは言うまでもないところである。なお、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書全体の記載並びに図面に開示の発明思想に基づいて認識され得るものであることが、理解されるべきである。
(1)水溶性の粘結剤が付着した回収鋳物砂を再生する方法であって、前記回収鋳物砂を 容器内に収容した後、かかる容器内に水蒸気を吹き込んで、該回収鋳物砂に接触せ しめる工程を遂行する一方、該容器内を0.1MPa以上の加圧状態下に保持して 100℃以上に加熱することにより、かかる容器内において生成する凝縮水にて、 該回収鋳物砂に付着した前記粘結剤を溶解除去せしめることを特徴とする回収鋳物 砂の再生法。
(2)前記水蒸気が、100℃以上の温度と0.1〜2.0MPaの圧力を有しているこ とを特徴とする前記態様(1)に記載の回収鋳物砂の再生法。
(3)前記容器内の加圧圧力が、0.1〜10MPaの範囲内であることを特徴とする前 記態様(1)または前記態様(2)に記載の回収鋳物砂の再生法。
(4)前記容器内の加熱温度が、100〜300℃の範囲内であることを特徴とする前記 態様(1)乃至前記態様(3)の何れか1つに記載の回収鋳物砂の再生法。
(5)前記粘結剤が、水溶性の無機粘結剤を主成分とする前記態様(1)乃至前記態様( 4)の何れか1つに記載の回収鋳物砂の再生法。
(6)前記無機粘結剤が、ケイ酸化合物である前記態様(5)に記載の回収鋳物砂の再生 法。
(7)前記回収鋳物砂と共に、水又はアルカリ性水溶液が、前記容器内に収容せしめられ ることを特徴とする前記態様(1)乃至前記態様(6)の何れか1つに記載の回収 鋳物砂の再生法。
(8)前記水蒸気の吹込み、又はそれと共に、水若しくはアルカリ性水溶液の収容によっ て、前記容器内に存在せしめられる水分の総量が、前記回収鋳物砂の100質量部 に対して、30〜200質量部であることを特徴とする前記態様(1)乃至前記態 様(7)の何れか1つに記載の回収鋳物砂の再生法。
(9)前記接触工程において、前記容器内の収容物の撹拌又は容器の振動が行われること を特徴とする前記態様(1)乃至前記態様(8)の何れか1つに記載の回収鋳物砂 の再生法。
(10)前記回収鋳物砂が、ケイ酸化合物系粘結剤を用いて造型された鋳型から回収され た回収鋳物砂であることを特徴とする前記態様(1)乃至前記態様(9)の何れか 1つに記載の回収鋳物砂の再生方法。
(11)前記接触工程の後、前記容器内の収容物を中和する中和工程と、再生した鋳物砂 を乾燥する乾燥工程とを、更に有することを特徴とする前記態様(1)乃至前記態 様(10)の何れか1つに記載の回収鋳物砂の再生法。
(12)前記接触工程の後、常圧又は減圧状態下で、ろ過または遠心分離によって水分を 除去する水分除去工程と、再生した鋳物砂を乾燥する乾燥工程とを、更に有するこ とを特徴とする前記態様(1)乃至前記態様(11)の何れか1つに記載の回収鋳 物砂の再生法。
(13)前記乾燥工程の後、回収鋳物砂から剥がれた粘結剤の微粉を集じん機にて取り除 く微粉除去工程を、更に有することを特徴とする前記態様(11)または前記態様 (12)に記載の回収鋳物砂の再生法。
(14)前記回収鋳物砂には、前記容器内への収容に先立ち、予め常圧下での研磨処理が 施されていることを特徴とする前記態様(1)乃至前記態様(12)の何れか1つ に記載の回収鋳物砂の再生法。
このような本発明に従う回収鋳物砂の再生法によれば、以下の効果が奏され得る。
(1)回収鋳物砂に水蒸気を接触させることにより、かかる回収鋳物砂に付着する粘結剤 は水蒸気から水に変わる際の潜熱によって加熱される一方、発生した水はそのまま 溶媒となることで、粘結剤の溶解除去を効率良く行い、鋳物砂の再生を有利に行う ことが出来る。
(2)水蒸気の吹き込みにより加熱と加圧が同時に行われることとなるため、加熱と加圧 のための時間が短縮され、大きな装置においても、回収鋳物砂の再生を短時間で行 うことができる。
本発明に従う回収鋳物砂の再生法の実施に用いられる装置の一例を示す断面説明図である。 本発明に従う回収鋳物砂の再生法の実施に用いられる装置の他の一例を示す断面説明図である。
先ず、本発明に従う回収鋳物砂の再生法において用いられる回収鋳物砂とは、鋳物砂に水溶性の粘結剤が混練されてなる鋳物砂組成物を用いて造型された鋳型を解砕(型ばらし)して得られる使用済の鋳物砂であって、その表面には、粘結剤が付着してなるものである。なお、この回収鋳物砂としては、金属溶湯を注湯して鋳物を鋳造した使用済の鋳型から得られたものの他、鋳造に供されることなく、造型された鋳型の段階で型ばらししたものや、未使用のまま鋳物砂組成物の状態で固化乃至は硬化したものをも対象とすることが出来、またそれらの何れかが混在するものであっても、何等差し支えない。ここで、上記の使用済の鋳物砂は、回収鋳物砂の5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上の割合で存在していることが望ましい。
ところで、本発明に係る再生処理方法において対象とされる回収鋳物砂に付着する粘結剤は、水溶性バインダーを主成分として含むものであって、水性溶液の形態において用いられるものであるが、そのような水溶性バインダーでも、特に水溶性の無機バインダー、中でも水ガラスに代表される水可溶性のケイ酸化合物が、本発明においては、好適に対象とされることとなる。なお、かかるケイ酸化合物としては、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸アンモニウム、コロイダルシリカ、アルキルシリケート等を挙げることが出来るが、特に、得られるコーテッドサンドがブロックし難く、吸湿劣化し難く、更に造型後の鋳型が吸湿劣化し難い特徴を有する、ケイ酸ナトリウム(ケイ酸ソーダ)を粘結剤として得られる回収鋳物砂に対して、本発明が有利に適用されることとなる。
そして、そのようなケイ酸ナトリウムは、通常、SiO2/Na2Oのモル比により、1号〜5号の種類に分類されて、用いられている。具体的には、ケイ酸ナトリウム1号は、SiO2 /Na2O のモル比が2.0〜2.3であるものであり、またケイ酸ナトリウム2号は、SiO2/Na2Oのモル比が2.4〜2.5であるものであり、更にケイ酸ナトリウム3号は、SiO2/Na2Oのモル比が3.1〜3.3であるものである。加えて、ケイ酸ナトリウム4号は、SiO2/Na2Oのモル比が3.3〜3.5であるものであり、またケイ酸ナトリウム5号は、SiO2/Na2Oのモル比が3.6〜3.8であるものである。これらの中で、ケイ酸ナトリウム1号〜3号は、JIS K1408にても規定されているものである。そして、これらのケイ酸ナトリウムは、単独での使用の他、混合して用いられても良く、また混合したり、水酸化ナトリウムなどの添加剤を添加したりすることで、SiO2/Na2Oのモル比を調整することも可能である。
また、かかる粘結剤として用いられるケイ酸ナトリウムは、SiO2/Na2Oのモル比によって水への溶け易さが変化し、具体的には、かかるモル比が2.6以下であれば、水に溶け易く、また2.6を超えたあたりからは、水への溶解性が低下するようになるために、2.0〜2.6の範囲内のモル比で使用したものであることがより望ましいのであるが、本発明に従う再生方法であれば、水への溶解性が低くなる2.6を超えた範囲のモル比であっても、再生は可能である。
さらに、本発明において対象とされる回収鋳物砂を構成する耐火性骨材(鋳物砂)としては、鋳型の基材として機能する耐火性物質であって、従来から鋳型用として用いられている各種の耐火性粒状材料が何れも用いられ得、具体的には、ケイ砂や再生ケイ砂等の一般砂をはじめ、アルミナサンド、オリビンサンド、ジルコンサンド、クロマイトサンド等の特殊砂や、フェロクロム系スラグ、フェロニッケル系スラグ、転炉スラグ等のスラグ系粒子、アルミナ系粒子、ムライト系粒子等の球状又は多孔質粒子及びこれらの再生粒子;アルミナボール、マグネシアクリンカー等を挙げることが出来る。なお、これらの耐火性骨材は、新砂であっても、或いは、鋳物砂として鋳型の造型に1回或いは複数回使用された再生砂又は回収砂であっても、更には、そのような再生砂や回収砂に新砂を加えて混合せしめてなる混合砂であっても、何等差支えない。そして、そのような耐火性骨材は、一般に、AFS指数で30〜110程度の粒度のものとして、好ましくは、60〜80程度以下の粒度のものとして、用いられている。
なお、鋳型の造型に際して、従来から、水溶性無機化合物等を必須の成分とする粘結剤には、必要に応じて、公知の各種の添加剤が含有せしめられる場合があり、具体的には、固形金属酸化物、塩、炭水化物、界面活性剤、カップリング剤、滑剤、離型剤等が適宜に添加されることとなるが、これらの添加剤を添加した場合に、回収鋳物砂の再生においては、鋳物砂に付着した粘結剤が水に溶け難くなって、鋳物砂から粘結剤が剥がれ難くさせるようになるところから、そのような添加剤の添加が、回収鋳物砂の再生を困難とさせる原因ともなっていたのであるが、本発明に従う再生方法によれば、そのような添加剤を添加した回収鋳物砂であっても、問題なく、再生を行うことが出来る特徴がある。
また、本発明において、粘結剤と骨材とを混練して得られる鋳物砂組成物は、乾態のものとされる他、また湿態のものとしても何等差し支えなく、何れの鋳物砂組成物を用いてなる鋳型から得られる回収鋳物砂においても、本発明の再生方法により、再生することが可能である。なお、かかる鋳物砂組成物は、それが含有する水分量に従って、ここでは、0.5質量%未満の場合に乾態のものとして、また水分量が0.5質量%以上の場合には湿態のものとして、分類することとする。そして、乾態の場合には、鋳物砂組成物は、粘結剤が耐火性骨材(鋳物砂)を被覆してなるコーテッドサンドとして、用いられるものである。また、この乾態の鋳物砂組成物は、それ自体に、粘着性がないものの、水蒸気等の通気によって、骨材表面上の被覆層を溶解させて、湿った鋳物砂組成物として、加熱乾燥により、固化乃至は硬化させて、目的とする鋳型を得ることが出来るものである。一方、湿態の鋳物砂組成物は、水分を含んだ粘着性のある砂形態のものであって、そのような状態の湿った鋳物砂組成物を造型して、加熱乾燥することにより、固化乃至は硬化させて、鋳型を得ることが出来る。
ところで、本発明に従う回収鋳物砂の再生法は、上述の如き回収鋳物砂を用いて実施されるものであって、その構成を更に具体的に明らかにするために、以下に、本発明の代表的な実施の形態について、図1を参照しつつ、詳細に説明することとする。なお、図示の実施形態は、単なる一例であって、それに限定されるものではないことが理解されるべきである。
先ず、図1において、容器1は、耐圧性のものであって、蓋1aを閉じると、容器1内が密封され得るようになっている。この容器1には、容器内部に連通する通気路2と排気路3とが、蓋1aを貫通するように設けられている。そして、かかる通気路2の容器1内に位置する一端は、容器1内部の下方まで延びて開口し、水蒸気の吹込み口4が構成されている一方、容器1外に位置する他端は、水蒸気発生装置5に接続されている。なお、吹込み口4は、回収鋳物砂7が容器1内に収容されたときに、かかる回収鋳物砂7内に充分に埋もれるように位置せしめられている。また、排気路3は、大気開放されており、開閉弁6にて通路の開閉が可能となっている。更に、容器1には、内部を加熱可能なヒーター(図示せず)が設けられて、内部温度が調節可能となっており、また内部温度を測定する温度計(図示せず)や圧力計(図示せず)が設けられて、容器内部の温度と圧力が測定可能となっている。なお、本実施形態においては、通気路2と排気路3とは別個に設けられているが、それらを一つにまとめて設けることも可能である。
そして、かかる図1に示される装置を用いた、本発明に従う回収鋳物砂の再生手順は、準備工程、加熱・加圧工程、接触工程、冷却・減圧工程、水分除去工程、及び乾燥工程の順で行われることとなるのである。
そこにおいて、最初の準備工程においては、容器1内に、所定量の回収鋳物砂7が収容されて、かかる容器1の蓋1aが閉止される。このとき、排気路3の開閉弁は、開状態のままにされる。また、回収鋳物砂7の収容量は、容器1の容量に対して20〜70%程度の量であることが好ましい。
次いで、加熱・加圧工程においては、容器1内を図示しないヒーターで加熱すると共に、水蒸気発生装置5において発生せしめた水蒸気の吹き込みが、通気路2を通じて開始される。そして、水蒸気が容器1内に充満し、排気路3から水蒸気が出てきた時点で、開閉弁6を閉状態にして、更に水蒸気の吹き込みを行いつつ、ヒーターで容器1内を加熱することで、それら水蒸気の通気と容器1の加熱によって、容器1内部の温度と圧力が上昇せしめられるようになるのである。そして、図示しない圧力計と温度計の指示値を確認しながら、容器1内が、設定値の温度:100℃以上、圧力(ゲージ圧):0.1MPa以上となるように調整されることとなる。このとき、水蒸気の吹き込みによって加熱と加圧が行われることとなるところから、短時間で設定値の温度と圧力に調整することが出来ると共に、それら温度や圧力の調整も容易に行うことが出来るのである。また、水蒸気が容器1内に充満させられることで、容器1内の温度のばらつきを解消して、回収鋳物砂7をまんべんなく加熱することが出来ることとなる。
そして、かかる接触工程において、その設定された温度と圧力になった状態で、所定時間(例えば、30分間)保持されることとなる。なお、本実施形態では、温度と圧力は、例えば180℃と1.0MPaと一定とされているが、加熱と加圧を制御して、それらの設定値以上の領域で、徐々に上昇させたり、段階的に上昇させたり、或いは変動させたりすることも可能である。
このような接触工程において、上述の如き設定条件下での加熱・加圧状態下において、回収鋳物砂7を水蒸気に接触せしめることにより、かかる水蒸気の凝縮潜熱と顕熱が回収鋳物砂7に付着した粘結剤に伝達せしめられる一方、容器1内で凝縮水が生成され、この凝縮水が粘結剤に付着することになる。このように、凝縮水が粘結剤に付着することにより、粘結剤が湿ると同時に、加熱されることとなるため、粘結剤の効果的な溶解が進行し、そして更なる水蒸気との接触により、粘結剤の溶解がより活発に促進せしめられるようになるのである。また、かかる凝縮水は、ヒーターの加熱によって蒸発し、回収鋳物砂7と水蒸気との接触が続けられるようにもなる。そして、水蒸気との接触によって溶解した粘結剤は、更に水蒸気と接触することで、水に溶けた状態となり、加えて水蒸気の量が増えることによって、凝縮水に粘結剤が溶けて、回収鋳物砂7から粘結剤が効果的に取り除かれることとなるのである。このとき、加熱・加圧状態下で粘結剤を水に溶かすことになるところから、粘結剤が鋳造によって高温の熱履歴を受けた場合や、添加剤の添加によって水に溶けにくくなっている場合や、常温常圧では水に溶けにくい高モル比のケイ酸ナトリウムを用いた場合においても、粘結剤の除去が容易に行われ得るのである。
その後の冷却・減圧工程においては、容器1内への水蒸気の導入を停止すると共に、ヒーターによる加熱を停止して、開閉弁6を徐々に開放することにより、容器1の内部の冷却と減圧が行われる。なお、冷却に際しては、従来と同様な冷却手段を用いて積極的に冷却を行っても良く、例えば容器1に冷却流路を配設して、冷却水等の適当な冷却媒体の流通によって冷却を行っても、何等差し支えない。
また、かかる冷却・減圧工程に続く水分除去工程においては、容器1から取り出された内容物が、ろ過によって、再生鋳物砂と処理液とに分離せしめられる。なお、ろ過の方法としては、特に、内容物の中で再生鋳物砂に対して水の量が少ない場合等、具体的には、再生鋳物砂100質量部に対して、水の割合が30〜80質量部であるときには、減圧作用を利用した吸引ろ過を行っても良く、この吸引ろ過操作を採用することで、水分が少なくても、ろ過によって容易に分離させることが出来ることとなる。勿論、水の量が多い場合にあっても、上述の如き減圧作用を利用した吸引ろ過操作にて、水分の除去を行うことは、可能である。また、この水分除去工程においては、ろ過の他には、遠心分離が好ましい方法として挙げられるが、再生鋳物砂と処理液とに分離可能であれば、その手段は、特に限定されるものではない。なお、この水分除去工程で得られた処理液は、廃液として処理されることとなるが、しかるべき処置を行って、再使用することも可能である。
そして、最後の乾燥工程においては、上述の如き分離操作によって得られた、粘結剤を取り除いてなる再生鋳物砂に対して、乾燥空気、加熱乾燥空気等を用いて、乾燥が施される。この乾燥方法は特に限定されないが、水分の蒸散は迅速に行われる必要があり、例えば、再生鋳物砂に対して加熱乾燥空気を送風すると同時に混練を行う方法等が採用され、そこでは、5分以内、好ましくは3分以内に、含有水分を飛ばすようにすることが望ましい。なお、この乾燥工程においては、鋳物砂の100質量部に対して、水が0.5質量部以下の割合になるまで乾燥が行われることが望ましい。以上の工程を経て、回収鋳物砂を再生してなる再生鋳物砂が得られることとなるのである。
なお、上述の如き本発明に従う回収鋳物砂の再生法における接触工程にて採用される加熱温度としては、100℃以上、一般には100〜300℃、好ましくは120〜200℃、更に好ましく150〜180℃である。このように、100℃以上に加熱されることにより、回収鋳物砂7に付着した粘結剤は、水に溶け易くなるのである。なお、かかる加熱温度が高過ぎると、エネルギーコストが増大する上に、密閉状態を維持するためのパッキン等の耐熱性が必要になることから、300℃以下の加熱温度であることが好ましい。また、加熱方法としては、容器1にヒーターを設置すること以外でも、容器1内を加熱することが出来れば特に限定されず、オイルバスやマイクロ波等による加熱手法を採用しても何等差し支えない。
加えて、本発明手法に従う接触工程における加圧圧力としては、ゲージ圧で、0.1MPa以上、一般には0.1〜10MPa、好ましくは0.3〜5MPa、より好ましくは0.5〜3MPaである。このように、容器1内を0.1MPa以上に加圧することにより、回収鋳物砂7に付着した粘結剤は、常圧下では水に溶けにくい状態であっても、加熱状態下の所定の加圧作用によって、水に溶け易くすることが出来るのである。なお、圧力は、密閉状態での加熱による内部圧力の上昇と、水蒸気の吹き込みの両方によって、発現されることとなる。また、より高い加圧を採用する場合にあっては、容器1に、別途適当な加圧手段を設けることも、可能である。
また、本発明において使用される水蒸気は、飽和水蒸気であっても、或いは過熱水蒸気であっても、何等差し支えなく、そしてその温度としては、100℃以上、好ましくは120〜200℃、より好ましくは120℃〜180℃、更に好ましくは150〜180℃であり、且つその圧力が、ゲージ圧にて、0.1〜2.0MPa、より好ましくは0.2〜1.5MPa、更に好ましくは0.2〜1.0MPaである。100℃以上の水蒸気を吹き込むことにより、容器1内は水蒸気によって加熱が促進され、より短時間で所定の温度まで有利に加熱を行うことが出来る。また、飽和水蒸気を使用した場合においては、温度と圧力が相関しており、100℃で0.10MPa、120℃で0.20MPa、150℃で0.48MPa、180℃で1.00MPa、190℃で1.26MPa、200℃で1.55MPaとなる。このため、飽和水蒸気を用いることで、容器1内の加圧を短時間で行うことが出来るのである。そして、このような水蒸気の吹き込みによる加熱と加圧の効果は、特に大量の回収鋳物砂の再生を行う場合に適しており、作業効率が向上すると共に、再生に要する時間を短くすることが出来るという利点がある。
さらに、かかる水蒸気は、接触工程の間、その吹き込みを続けても良く、また設定値の温度や圧力になったときには、接触工程の途中で吹き込みを停止しても、何等差し支えない。また、水蒸気を吹き込む方法としては、容器1内に吹き込みが可能となるものであれば、特に限定されるものではないが、図1に示されるように、吹込み口4が回収鋳物砂7に埋もれるような位置に設けられていることが望ましく、これによって、吹き込んだ水蒸気が回収鋳物砂7に対して効果的に接触せしめられ得ることとなる。また、回収鋳物砂7に対する水蒸気の接触を有利に行うべく、吹込み口4を、シャワー口の如き多数の噴出孔が設けられてなる構造としたり、分岐させて、吹込み口4を複数設けたりしても良く、更に通気路2を容器1内周面付近に環状や螺旋状に這わせて、通気路2に複数の水蒸気吹き出し孔を設けてなる構造の吹き出し口構造とすることも、可能である。
ここで、上述の如き接触工程の時間は、前述の如き加熱・加圧条件下で保持される時間が長い方が、再生効率は良くなるのであるが、長過ぎると、再生に時間が掛かることとなるところから、一般に10〜120分、好ましくは15〜60分、より好ましくは20〜40分の保持時間が採用されることとなる。
また、本発明においては、前記した準備工程において、容器1内に回収鋳物砂7を収容すると共に、適量の水又はアルカリ性水溶液を添加することが可能である。水を添加して回収鋳物砂7を予め湿らせておくことにより、水蒸気との接触によって、粘結剤を水に溶かし易くなるのである。なお、ここで添加される水は常温の水で良いが、好ましくは温水が有利に用いられる。また、粘結剤がケイ酸ナトリウム系粘結剤の場合において、アルカリ性水溶液の添加により、同じアルカリであるケイ酸ナトリウムを溶解させ易くし得る利点がある。なお、このアルカリ性水溶液に用いられるアルカリ化合物としては、特に限定されないが、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物が好ましく用いられる。また、このように添加される水又はアルカリ性水溶液は、回収鋳物砂の100質量部に対して、10〜100質量部程度とされ、好ましくは20〜80質量部の割合で用いられる。
ところで、本発明において、上記した接触工程が終了した時点での水分としては、水蒸気の吹き込みによって得られる凝縮水の量がそのまま相当し、又はそれと、水若しくはアルカリ性水溶液が添加された場合には、その添加した水分の量との合計量が水分となるのであり、この水分の中に、回収鋳物砂表面に付着する粘結剤が溶けることにより、鋳物砂の再生が行われることとなるのであるが、このときの水分の総量は、回収鋳物砂の100質量部に対して、30〜200質量部であることが望ましく、中でも40〜150質量部がより望ましく、特に50〜100質量部が更に望ましい。かかる水分の総量が30質量部未満となると、回収鋳物砂に付着せる粘結剤を容器1内に存在する水分に溶かしきることが困難となるのであり、また200質量部を超えるようになると、回収鋳物砂7の量より水がはるかに多くなり、再生処理のための容器1を大型化しなければならず、廃液の処理量も多くなる等の問題が惹起されるようになる。
なお、かかる水分の量は、接触工程中において水蒸気を吹き込む場合において変化することとなるところから、ここでは、接触工程が終了した時点が水分の添加量の基準とされている。また、本発明に従う接触工程は、回収鋳物砂の100質量部に対して、水分が30質量部以上存在している状態であれば、開始することが出来る。更に、水蒸気の吹き込みによる水分量の測定は、容器1内の内容物の質量の増加量にて測定したり、水蒸気の通気量の測定により算出したりする等、容器1内に吹き込まれた水分の量が測定出来る限りにおいて、その手法は特に限定されるものではない。
また、本発明に従う回収鋳物砂の再生手順における接触工程より後は、冷却・減圧工程、水分除去工程、乾燥工程の順の実施形態以外にも、濃縮工程、中和工程、乾燥工程を経た手順であっても、何等差し支えない。これらの手順は、何れを用いても良いが、主として接触工程が完了した時点の水分の量によって、選択されることとなる。例えば、水分が多いときは、具体的には回収鋳物砂の100質量部に対して水の割合が50〜200質量部、好ましくは80〜150質量部となる場合に、冷却・減圧工程、水分除去工程、乾燥工程の順で行われることが好ましい。一方、水分が少ないとき、具体的には回収鋳物砂の100質量部に対して水の割合が30〜80質量部、好ましくは30〜50質量部となる場合には、濃縮工程、中和工程、乾燥工程の順で行われることが望ましい。そして、水分が50〜80質量部となる場合には、何れの方法をも好適に採用することが出来る。
それらの工程のうち、濃縮工程においては、開閉弁6を徐々に開放することにより、容器1の内部の減圧を行って常圧にした状態で、そのままヒーターによる加熱を続け、容器1内の水分がある程度少なくなる量、具体的には回収鋳物砂の100質量部に対して水が50質量部以下となるまで水分を蒸発させるのである。その後、ヒーターを停止して、容器1内部の冷却が行われる。なお、容器1内の水分が接触工程を終えた時点で或る程度少ない量であるならば、この濃縮工程を実施することなく、中和工程を実施しても、何等差し支えない。
また、中和工程において、容器1の内容物には、粘結剤であるケイ酸ナトリウム等が溶け出しており、アルカリ性が強い状態であるときには、酸性水溶液を添加して中性となるようにpH調整を行うことが望ましい。この溶け出したケイ酸ナトリウム等が中性に処理されることにより、取り出された再生鋳物砂を乾燥しても、かかる再生鋳物砂の粒子表面が中性となり、例えば再生鋳物砂を湿態系の鋳型の造型に使用した際の可使時間が短くなる等の問題の発生を防ぐことが出来、問題なく再生鋳物砂として使用することが出来るのである。なお、酸性水溶液として用いられる酸性化合物としては、特に限定されるものではないが、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、ホウ酸等の無機酸等が好ましく用いられることとなる。この後、前記と同様な乾燥工程にて乾燥することで、目的とする再生鋳物砂が得られるのである。
なお、これらの再生手順において、粘結剤は水に全て溶解することで骨材表面より除去されることが望ましいが、骨材表面から剥がれて除去されておれば、粘結剤が水に全て溶けていなくても良く、また乾燥工程の後、回収鋳物砂7から剥がれた粘結剤が微粉の状態で残った場合には、送風によって微粉を飛散させ、その飛散した微粉を集塵機に吸わせることで取り除く、微粉除去工程を行うことが出来る。また、この微粉除去工程は、乾燥工程と同時に行っても、何等差し支えない。
また、本発明においては、回収鋳物砂7に付着した粘結剤を剥がれ易くさせたり、かかる粘結剤を水に溶け易くさせたりするために、前記した準備工程において、各種の添加剤を容器1内に添加しておいても良く、例えば、界面活性剤の添加が挙げられる。この界面活性剤の添加により、粘結剤を剥がれ易くすると共に、帯電防止効果により、剥がれた粘結剤の微粉が再生鋳物砂に再び吸着されるのを防ぐことが出来る。なお、界面活性剤としては、脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウム等を挙げることが出来る。
さらに、本発明においては、図2に示される如く、容器1内に撹拌翼8を設置して、モーター9の駆動によって回転させることにより、容器1内に存在する内容物を撹拌するようにすることも、有効である。このような容器1内の撹拌を接触工程において実施することにより、容器1内において回収鋳物砂全体と水蒸気との接触機会を増大せしめて、接触効率を向上させると共に、撹拌によって砂同士の摩擦や衝突が起こることから、回収鋳物砂7から粘結剤がより剥がれ易くなる効果を享受することが出来る。また、撹拌翼8の回転以外の方法として、容器1の底や周辺にバイブレーターを設置して、容器1を振動させることにより、容器1の内部を撹拌させるようにすることも可能である。
更にまた、本発明に従う回収鋳物砂の再生法が適用される回収鋳物砂7には、容器1内への収容に先立ち、予め常圧下での研磨処理が施されていても良い。なお、その研磨処理の方法としては、従来から採用されている乾式研磨や湿式研磨等を挙げることが出来る。また、粘結剤がケイ酸ナトリウム等の無機化合物の場合にあっては、焼成しても燃焼せずに残ってしまうところから、通常の回収鋳物砂で採用される研磨方法では、鋳物砂に付着したケイ酸ナトリウム系粘結剤は十分取り除くことが出来ないのであるが、研磨によって或る程度の粘結剤を取り除いた方が、本発明に従う再生法の効率が良くなるところから、そのような前処理としての研磨処理と本発明に従う再生法とを組み合わせて、回収鋳物砂の再生を行うことが望ましいのである。
以下に、幾つかの実施例を用いて、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明は、そのような実施例の記載によって、何等限定的に解釈されるものではないことが、理解されるべきである。なお、以下の実施例や比較例において、部及び百分率は、特に断りのない限りにおいて、何れも、質量基準にて示されている。また、実施例や比較例で採用される、再生鋳物砂より得られた鋳型の抗折強度の測定、及び残留Na量の測定は、それぞれ、以下のようにして行った。
−抗折強度(N/cm2 )の測定−
各再生鋳物砂に、市販の3号ケイ酸ナトリウム(鈴川化学工業株式会社製、商品名:珪酸ソーダ3号)を、再生鋳物砂100部に対して1.5部の割合で、また炭酸亜鉛(正同化学工業株式会社製)を再生鋳物砂100部に対して0.1部の割合でそれぞれ加え、品川式万能攪拌機(5DM−r型)(株式会社ダルトン製)にて混練した後、150℃の温度の金型にブロー充填せしめて、1分間保持し、その後抜型して得られた、幅:10mm×高さ:10mm×長さ:80mmの大きさの試験片について、その破壊荷重を、測定器(高千穂精機株式会社製:デジタル鋳物砂強度試験機)を用いて、測定する。そして、この測定された破壊荷重を用いて、抗折強度を、下記の式により、算出する。
抗折強度=1.5×LW/ab2
[但し、L:支点間距離(cm)、W:破壊荷重(N)、a:試験片の幅(cm)、
b:試験片の厚み(cm)]
−残留Na量の測定−
再生処理後の骨材(再生鋳物砂)を、ICP発光分光分析法(ICP−AES)にて測定した。この測定は、液状試料の状態で行われるため、前処理として、再生処理後の骨材にフッ酸を加えて酸分解し、溶液化することにより、溶液状の試料を準備した。その後、かかる試料と共に、Na濃度既知の水溶液を測定し、検量線法を用いて定量を行った。
−回収鋳物砂の製造例1−
鋳物砂として、ルナモス#50(真球人工砂、商品名:花王クエーカー(株)製)を準備すると共に、粘結剤として、市販のケイ酸ナトリウム3号(商品名:鈴川化学工業株式会社製)を水で希釈し、不揮発分(ケイ酸ナトリウム水溶液から水分量を除いた割合)を27.7質量%、SiO2/Na2Oのモル比を3.17としてなるケイ酸ナトリウム水溶液を準備した。更に、添加剤として、炭酸亜鉛(正同化学工業株式会社製)を準備した。
次いで、20℃の温度のルナモス#50を、品川式万能攪拌機(5DM−r型)(株式会社ダルトン製)に投入した後、上記のケイ酸ナトリウム水溶液を、ルナモス#50の100部に対して、不揮発分のみとして考えた場合の固形分換算にて、1.0部の割合で添加せしめ、更に炭酸亜鉛を、ケイ酸ナトリウム水溶液の固形分の100部に対して、10部の割合で添加して、30秒間の混練を行ない、攪拌混合せしめた後に取り出すことにより、常温で自由流動性のある湿態の鋳物砂組成物を得た。
その後、かかる20℃の温度の鋳物砂組成物を、150℃に加熱した乾燥機内で15分間加熱することによって、鋳物砂組成物を硬化させ、更に鋳造によって高温の熱履歴を受けた場合を想定して、700℃に加熱した焼成炉内で、30分間の加熱を実施した。そして、その後、かかる得られた鋳物砂組成物の硬化した塊を、100℃以下に冷却した後、品川式万能攪拌機(5DM−r型)(株式会社ダルトン製)で解砕し、20メッシュの篩を通過させることにより、回収鋳物砂を作製した。
−実施例1(回収鋳物砂の再生例1)−
図2に示される容器1に、回収鋳物砂100部を投入し、開閉弁6を開放したまま、ヒーターで加熱を開始すると共に、温度:120℃、圧力:0.2MPaの飽和水蒸気を、通気路2を通じて吹き込み、容器1内が110℃以上の温度となった後、開閉弁6を閉止して、撹拌翼8にて容器1内の内容物の撹拌を行うと共に、ヒーターで加熱を続け、容器1内部の温度及び圧力が、それぞれ120℃及び0.2MPaとなった時点を接触工程の開始として、30分間、その状態を保持した。なお、温度は±5℃、圧力は±0.02MPaの範囲内で調整を行った。また、水蒸気の吹き込みは、容器1内に水分として100部が存在することとなった時点(質量の増加分で測定)において、停止した。その後、開閉弁6を徐々に開放して、常圧まで減圧すると共に、容器1を常温まで冷却した後、内容物をろ過し、更に150℃の熱風を吹き込んで乾燥することにより、目的とする再生鋳物砂を得た。上記の加熱を始めてから接触工程の開始までの昇温時間と、得られた再生鋳物砂の物性測定結果を、下記表1に示した。
−実施例2(回収鋳物砂の再生例2)−
実施例1において、温度:150℃及び圧力:0.5MPaの飽和水蒸気を吹き込み、容器1内の温度が140℃以上となった後、開閉弁6を閉止せしめ、容器1内部の温度及び圧力が150℃及び0.5MPaとなった時点を接触工程の開始としたこと以外は、実施例1と同様にして、回収鋳物砂を処理し、再生鋳物砂を得た。そして、その昇温時間と得られた再生鋳物砂の物性測定結果を、下記表1に示した。
−実施例3(回収鋳物砂の再生例3)−
実施例1において、温度:180℃及び圧力:1.0MPaの飽和水蒸気を吹き込み、容器1内の温度が170℃以上となった後、開閉弁6を閉止せしめ、容器1内部の温度及び圧力が180℃及び1.0MPaとなった時点を接触工程の開始としたこと以外は、実施例1と同様にして、回収鋳物砂を処理し、目的とする再生鋳物砂を得た。そして、かかる再生処理における昇温時間と、得られた再生鋳物砂の物性測定結果を、下記表1に示した。
−実施例4(回収鋳物砂の再生例4)−
実施例1において、温度:200℃及び圧力:1.5MPaの飽和水蒸気を吹き込み、容器1内の温度が190℃以上となった後、開閉弁6を閉止せしめ、容器1内部の温度及び圧力が200℃及び1.5MPaとなった時点を接触工程の開始としたこと以外は、実施例1と同様にして、回収鋳物砂を処理し、目的とする再生鋳物砂を得た。そして、かかる再生処理における昇温時間と、得られた再生鋳物砂の物性測定結果を、下記表1に示した。
−実施例5(回収鋳物砂の再生例5)−
実施例1において、水蒸気の吹き込みを、容器1内の水分量が50部となった時点(質量の増加分で測定)で停止すること以外は、実施例3と同様にして、回収鋳物砂を再生処理し、目的とする再生鋳物砂を得た。そして、この再生処理における昇温時間と、得られた再生鋳物砂の物性測定結果を、下記表1に示した。
−実施例6(回収鋳物砂の再生例6)−
実施例1において、容器1内に、回収鋳物砂の100部に対して、20部の割合の水を予め添加した後、水蒸気の吹き込みを行い、そして容器1内に水分として80部(水20部+水蒸気による水分60部)が存在することとなった時点(質量の増加分で測定)において、水蒸気の吹き込みを停止したこと以外は、実施例3と同様にして、回収鋳物砂の再生処理を実施し、目的とする再生鋳物砂を得た。この再生処理における昇温時間と、得られた再生鋳物砂の物性測定結果を、下記表1に示した。
−比較例1〜2(回収鋳物砂の再生例7〜8)−
実施例1において、加圧手段を設けた容器1内に、回収鋳物砂の100部を収容し、更に水の100部を予め添加して、水蒸気を吹き込むことなく、ヒーターで加熱しながら容器1内の圧力を調整して、かかる容器1内部の温度及び圧力が、それぞれ、120℃及び0.2MPa、又は180℃及び1.0MPaとなった時点を接触工程の開始としたこと以外は、実施例1と同様にして、回収鋳物砂の再生処理を実施して、再生鋳物砂を得た。この得られた再生鋳物砂について、その物性測定結果を、下記表1に示した。
−比較例3(回収鋳物砂の再生例9)−
実施例1において、容器1の開閉弁6を開放したままで、ヒーターによる加熱を実施すると共に、温度:120℃及び圧力:0.2MPaの水蒸気を吹き込み、容器1内部を常圧で100℃に保持させた(常圧下であるため、容器内部が100℃以上に加熱されることはない)こと以外は、実施例1と同様にして、回収鋳物砂の再生処理を実施して、再生鋳物砂を得た。そして、この得られた再生鋳物砂について、その物性測定結果を、下記表1に示した。
−比較例4(回収鋳物砂の再生例10)−
比較例3において、温度:180℃及び圧力:1.0MPaの水蒸気を用いたこと以外は、比較例3と同様にして、回収鋳物砂の再生処理を実施して、再生鋳物砂を得た。この得られた再生鋳物砂について、その物性測定結果を、下記表1に示した。
Figure 0006445333
かかる表1の結果より明らかな如く、実施例1〜6においては、水蒸気の吹き込みにより、加熱及び加圧が促進されることとなったため、設定された加熱温度と加圧圧力に調整する時間が短くなっており、また残留Na量が低下していることにより、鋳物砂に付着する粘結剤(ケイ酸ナトリウム)の除去が効果的に高められ得ていると共に、再生鋳物砂を用いて高い強度の鋳型が得られていることから、そこでは、より多くの粘結剤が除去され得ていることが理解される。
これに対して、比較例1〜2においては、水蒸気を吹き込むことなく、回収鋳物砂に対して水を添加したのみであるところから、そのような水と回収鋳物砂の混練物を、目的とする温度や圧力に到達せしめるには、倍以上の時間が掛かっていることが認められる。また、水のみの添加でも、残留Na量の低下は可能ではあるものの、同じ温度条件では、本発明の如く、水蒸気を用いた方が、残留Na量の低下や鋳型強度の向上において優れていることが理解されるのである。更に、比較例3〜4の如く、水蒸気を吹き込んでも、加圧を行うことなく、加熱のみを採用した場合にあっては、残留Na量に関して、未処理のときの2100ppm程度に対して、その残留Na量はあまり低下しておらず、処理温度のみを高くしても、粘結剤は殆ど水に溶けなかったことが認められる。
1 容器 1a 蓋
2 通気路 3 排気路
4 吹込み口 5 水蒸気発生装置
6 開閉弁 7 回収鋳物砂
8 撹拌翼 9 モーター

Claims (13)

  1. 水溶性の粘結剤が付着した回収鋳物砂を再生する方法であって、
    前記回収鋳物砂を容器内に収容した後、かかる容器内に水蒸気を吹き込んで、該回収鋳物砂に接触せしめる工程を遂行して、該容器内に存在せしめられる水分の総量が、該回収鋳物砂の100質量部に対して、30〜200質量部となるようにする一方、該容器内を0.1MPa以上の加圧状態下に保持して100℃以上に加熱することにより、かかる容器内において生成する凝縮水にて、該回収鋳物砂に付着した前記粘結剤を溶解除去せしめることを特徴とする回収鋳物砂の再生法。
  2. 前記水蒸気が、100℃以上の温度と0.1〜2.0MPaの圧力を有していることを特徴とする請求項1に記載の回収鋳物砂の再生法。
  3. 前記容器内の加圧圧力が、0.1〜10MPaの範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の回収鋳物砂の再生法。
  4. 前記容器内の加熱温度が、100〜300℃の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の回収鋳物砂の再生法。
  5. 前記粘結剤が、水溶性の無機粘結剤を主成分とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の回収鋳物砂の再生法。
  6. 前記無機粘結剤が、ケイ酸化合物である請求項5に記載の回収鋳物砂の再生法。
  7. 前記回収鋳物砂と共に、水又はアルカリ性水溶液が、前記容器内に収容せしめられることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の回収鋳物砂の再生法。
  8. 前記接触工程において、前記容器内の収容物の撹拌又は容器の振動が行われることを特徴とする請求項1乃至請求項の何れか1項に記載の回収鋳物砂の再生法。
  9. 前記回収鋳物砂が、ケイ酸化合物系粘結剤を用いて造型された鋳型から回収された回収鋳物砂であることを特徴とする請求項1乃至請求項の何れか1項に記載の回収鋳物砂の再生方法。
  10. 前記接触工程の後、前記容器内の収容物を中和する中和工程と、再生した鋳物砂を乾燥する乾燥工程とを、更に有することを特徴とする請求項1乃至請求項の何れか1項に記載の回収鋳物砂の再生法。
  11. 前記接触工程の後、常圧又は減圧状態下で、ろ過または遠心分離によって水分を除去する水分除去工程と、再生した鋳物砂を乾燥する乾燥工程とを、更に有することを特徴とする請求項1乃至請求項10の何れか1項に記載の回収鋳物砂の再生法。
  12. 前記乾燥工程の後、回収鋳物砂から剥がれた粘結剤の微粉を集じん機にて取り除く微粉除去工程を、更に有することを特徴とする請求項10または請求項11に記載の回収鋳物砂の再生法。
  13. 前記回収鋳物砂には、前記容器内への収容に先立ち、予め常圧下での研磨処理が施されていることを特徴とする請求項1乃至請求項11の何れか1項に記載の回収鋳物砂の再生法。
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