JP6444330B2 - 棒状の繊維強化部材を使用した構造物の補強工法 - Google Patents

棒状の繊維強化部材を使用した構造物の補強工法 Download PDF

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Description

この発明は、道路橋や鉄道橋及び建築構造物等の構造物に、緊張させた棒状の繊維強化部材を接着し、構造物の耐荷性能を向上させる構造物の補強工法である。
一般に構造物、例えば道路橋では、通過する車両の大型化による耐荷性能の不足、経年劣化によるコンクリート品質の低下、鉄筋や鋼板などの鋼材の腐食による耐荷性能の低下、大規模な地震発生後の耐震基準の見直しに基づき要求される耐荷性能の不足等の問題に直面している。
そこで、構造物の耐荷性能の回復や向上を図るべく、種々の繊維強化樹脂(FRP)を用いた構造物の補強工法が提案されている。
例えば、特許文献1には、高弾性の繊維から成る繊維強化プラスチックの追加補強筋をコンクリート表面に削溝した箇所に埋設した後、溝部に樹脂モルタルを充填し、既設構造物と補強筋を一体化させ、補強筋を追加する工法である。ここで、高弾性の繊維から成る補強筋は、その配置から緊張力の導入が出来ないため、既設鉄筋の代替として使用される。
また、特許文献2には、緊張材に鉄筋やフラットバー、PC鋼材の他、ガラスやグラファイト、金属繊維に樹脂を含浸させ硬化させて棒状、もしくは板状に形成した繊維強化材料を使用したコンクリート部材の補強方法等が開示されている。ここで緊張材の定着には固定装置が使用される。この固定装置は、コンクリート部材に切欠き部を設け埋設金具を使用する構造である。
さらに、特許文献3には、繊維シート、クロス(炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ナイロン繊維、ポリエステルを一部混入したハイブリッド繊維)を緊張してコンクリート構造物を補強する補強方法が開示されている。この補強方法は、緊張された繊維材の上面に端部補強のための補強シートを貼りつけている。
特許第3877145号公報 特許第3983599号公報 特許第4554845号公報
しかし、特許文献1に記載された工法では、補強材を緊張しないため死荷重(固定荷重)に対する補強効果が期待できなかった。
特許文献2に記載された工法では、板状の繊維強化プラスチックを使用しており、特殊な保持用金具で構造物に定着しなければならない。そのため、特殊な保持用金具は既設構造物への削孔作業により、アンカー等で固定する必要があり、その削孔時に構造物中の鋼材を破断させる危険や、削孔作業に伴い既設構造物の性能を低下させる虞が存在した。
特許文献3に記載された工法では、繊維シートを補強材として使用するため、一層当たりの断面積が小さく、複数枚接着して積層する必要がある。また、積層された複数枚の繊維シートを均一に緊張するのが困難であった。さらに、一層中の繊維シートの端部と中央部の断面積が均一となるように緊張するのが困難であった。また、均一に緊張するためには緊張装置がより複雑となり、緊張作業の管理が煩雑であった。
本発明の構造物の補強工法は、構造物に所定の間隔で先貼りシートを貼付した後、緊張装置によって棒状の繊維強化部材を緊張し、この棒状の繊維強化部材を構造物に近接させて先貼りシートと後貼りシート及び接着用樹脂を用いて、構造物と棒状の繊維強化部材の固着後に、棒状の繊維強化部材の端部を切断して張力を導入することで、構造物の補強を図ることができる。そのため、構造物に固定荷重に対応した補強ができると共に、構造物に削孔したり、特殊な定着具を必要とせず、緊張作業を簡易に行うことができる。
本発明は、以下のような内容である。
(1)本発明の棒状の繊維強化部材を使用した構造物の補強工法は、棒状の繊維強化部材を使用した構造物の補強工法であって、構造物に所定の間隔で先貼りシートを貼付するシート貼付工程と、緊張装置に棒状の繊維強化部材をセットし緊張力を附加する緊張力附加工程と、緊張力が附加された前記棒状の繊維強化部材を構造物に近接させた後、前記棒状の繊維強化部材の周囲に接着用樹脂を充填し、前記先貼りシートと前記棒状の繊維強化部材とを接着し、後貼りシートで接着部の周囲を包んで補強する接着工程と、前記構造物と前記棒状の繊維強化部材の固着後に、前記緊張装置の緊張を解除し、前記棒状の繊維強化部材の端部を前記緊張装置から切断し、緊張力の附加された前記棒状の繊維強化部材の一部と構造物とを一体化する張力導入工程と、を備えることを特徴とする。
(2)前記緊張装置は、直線状の反力梁の左右両端部に備えられた一対の緊張材カプラーと、偏向可能緊張材と、緊張材偏向部と油圧ジャッキとを備え、前記偏向可能緊張材の自由端部は緊張材固定部により前記緊張材偏向部に緊定されると共に、前記構造物から離隔する方向に傾斜して固定されることを特徴とする。
(3)前記緊張材偏向部は、回転防止機構により前記反力梁に対して平行移動すると共に、前記反力梁に対して平行に伸縮する油圧ジャッキにより駆動されることを特徴とする。
(4)前記緊張材偏向部は、前記構造物から退避する方向に端部が傾斜して緊定された前記偏向可能緊張材を前記反力梁に対して平行に摺動して緊張力を附加することを特徴とする。
(5)前記緊張材偏向部は、前記反力梁に固定されると共に、前記構造物から退避する方向に端部が傾斜して緊定された前記偏向可能緊張材を前記反力梁に対して傾斜して配置された前記油圧ジャッキにより緊張力を附加することを特徴とする。
(6)前記接着工程において、前記棒状の繊維強化部材と対向する前記構造物側に、前記棒状の繊維強化部材の外周と所定の隙間を有する凹溝を備えた枠体を設置し、前記凹溝内に接着用樹脂を充填することを特徴とする。
(7)前記棒状の繊維強化部材は、玄武岩繊維と合成樹脂とから成ることを特徴とする。
本発明の棒状の繊維強化部材を使用した構造物の補強工法によれば、構造物に所定の間隔で先貼りシートを貼付するシート貼付工程と、緊張装置によって棒状の繊維強化部材に緊張力を附加する緊張力附加工程と、緊張力が附加された棒状の繊維強化部材を、構造物に近接させた後、棒状の繊維強化部材の周囲に接着用樹脂を充填し、先貼りシートおよび構造物と棒状の繊維強化部材とを接着し、後貼りシートで接着部の周囲を包んで補強する接着工程と、構造物と棒状の繊維強化部材の固着後に、緊張装置の緊張を解除し、棒状の繊維強化部材の端部を緊張装置から切断し、緊張力の附加された棒状の繊維強化部材と構造物とを一体化する張力導入工程とを備えるので、構造物に固定荷重に対応した補強ができると共に、構造物に削孔したり、特殊な定着具を必要とせず緊張作業を簡易に行うことができる。
また、積層構造の繊維強化部材に比べて均一に緊張することができる。つまり、積層構造の繊維強化部材では、1層の断面積が小さいと共に、均一に緊張することが困難である。特に積層シートの断面中央と端部とを均等に緊張することが難しい。
また、緊張装置は、直線状の反力梁の左右両端部に備えられた一対の緊張材カプラーと、偏向可能緊張材と、緊張材偏向部と油圧ジャッキとを備え、偏向可能緊張材の自由端部は緊張材固定部により緊張材偏向部に緊定されると共に、構造物から離隔する方向に傾斜して固定されるので、緊張作業を容易に実施できると共に、構造物に削孔したり、特殊な定着具を必要としない。
また、緊張材偏向部は、回転防止機構により反力梁に対して平行移動すると共に、反力梁に対して平行に伸縮する油圧ジャッキにより移動されるので、棒状の繊維強化部材を緊張する位置と油圧ジャッキの伸張位置が異なり緊張作業を容易に実施できる。構造物の端部でなく、中間部であっても棒状の繊維強化部材を取り付けることができる。
また、緊張材偏向部は、構造物から退避する方向に端部が傾斜して緊定された偏向可能緊張材を反力梁に対して平行に摺動して緊張力を附加するので、構造物の中間部であっても棒状の繊維強化部材を構造物の底面に取り付けることができる。さらに、繊維強化部材の端部の切断作業を容易にすることができる。
また、緊張材偏向部は、反力梁に固定されると共に、構造物から退避する方向に端部が傾斜して緊定された偏向可能緊張材を反力梁に対して傾斜して配置された油圧ジャッキにより緊張力を附加するので、油圧ジャッキが邪魔になることなく、棒状の繊維強化部材と構造物とを容易に密着させることができる。
また、接着工程において、前記棒状の繊維強化部材と対向する構造物側に棒状の繊維強化部材の外周と所定の隙間を有する凹溝を備えた枠体を設置し、凹溝内に接着用樹脂を充填するので、棒状の繊維強化部材と構造物を強固に接着することができる。
また、棒状の繊維強化部材は、多量に存在する玄武岩を原料とした玄武岩繊維と合成樹脂とから成るので安価に提供できると共に、十分な補強効果を得ることができる。
棒状の繊維強化部材を使用した構造物の補強工法における緊張装置で緊張させた棒状の繊維強化部材を対象とする構造物に近接させる工程を示す説明図である。 棒状の繊維強化部材を使用した構造物の補強工法における緊張装置で緊張させた棒状の繊維強化部材を対象とする構造物に貼着するシート貼付工程を示す説明図である。 接着部以外の構造物と棒状の繊維強化部材との関係を示す断面図である。(a)樹脂枠用モルタルで凹溝が形成されている場合、(b)断面L字形の樹脂用枠で凹溝が形成されている場合 接着部における構造物と棒状の繊維強化部材との関係を示す断面図である。(a)樹脂枠用モルタルで凹溝が形成されている場合、(b)断面L字形の樹脂用枠で凹溝が形成されている場合、(c)中間の剥落防止部 シート貼付工程において、棒状の繊維強化部材を緊張装置で緊張させた状態で接着用樹脂を硬化させ、棒状の繊維強化部材の端部を切断する前の工程を示す説明図である。 接着用樹脂の硬化後、棒状の繊維強化部材の端部を切断し、緊張装置から切り離す工程を示す説明図である。 本発明の実施形態に係る棒状の繊維強化部材を使用した構造物の補強工法により補強された梁形状の構造物を示す側面図である。 棒状の繊維強化部材を使用した構造物の補強工法に使用される緊張装置を示す要部説明図である。 図8のA−A線断面の拡大図である。 緊張材偏向部を固定とし緊張材偏向部に油圧ジャッキ(センターホール)を取り付ける緊張装置の他の実施例を示す正面図である。 緊張材偏向部を固定とした緊張装置の他の実施例を示す要部断面と緊張装置に作用する力を示した図である。斜線は偏向可能緊張材位置で切断表示したものである。
以下、一実施の形態を示す図面に基づいて、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は本発明の棒状の繊維強化部材を使用した構造物の補強工法における緊張装置で緊張させた棒状の繊維強化部材を対象とする構造物に近接させる工程を示す説明図、図2は同緊張装置で緊張させた棒状の繊維強化部材を対象とする構造物に貼着する貼付工程を示す説明図である。
本実施形態に係る棒状の繊維強化部材を使用した構造物の補強工法は、構造物10に所定の間隔で先貼りシート11および剥離防止シート11aを貼付するシート貼付工程と、緊張装置12に棒状の繊維強化部材13をセットし緊張力を附加する緊張力附加工程と、緊張力が附加された棒状の繊維強化部材13を構造物10に近接させた後、棒状の繊維強化部材13の周囲に接着用樹脂14を充填し、先貼りシート11と構造物10の底面に棒状の繊維強化部材13を接着し、先貼りシート11の位置に形成された接着部17は後貼りシート16で接着部17の周囲を包んで補強する接着工程と、構造物10と棒状の繊維強化部材13が固着後に、緊張装置12の緊張を解除し、棒状の繊維強化部材13の端部を緊張装置から切断し、緊張力(ひずみ)の附加された棒状の繊維強化部材13と構造物10とを一体化する張力導入工程とを備える。
なお、先貼りシート11や後貼りシート16は棒状の繊維強化部材13の緊張力の影響が大きい繊維強化部材端部や補強後に影響が大きい中間部補強することを目的としている。
[シート貼付工程]
シート貼付工程は、図1に示すように、構造物10の底面に接着用樹脂のためのプライマー31を塗布する。次に、構造物10の底部に所定の間隔Lで先貼りシート11を貼付する。先貼りシート11は、構造物10と接着する棒状の繊維強化部材13の端部などの補強すべき範囲に貼付すると共に、その中央にも棒状の繊維強化部材13の剥離防止の為に剥離防止シート11aを貼付する。
先貼りシート11は、例えば玄武岩繊維を布状に加工したもの等を最適に使用することができる。
[緊張力附加工程]
緊張力附加工程は、図1に示すように、緊張装置12に棒状の繊維強化部材13をセットし、その両端部を緊張材固定部18で固定する。その後、油圧ジャッキ19により緊張材偏向部20が移動することにより棒状の繊維強化部材13に緊張力を附加する。この時、棒状の繊維強化部材13の両端部は、緊張材カプラー22を介して、たとえばPC鋼より線などの偏向可能緊張材23に接続し、緊張材偏向部20により構造物10から離隔する方向に傾斜して固定される。ここで、棒状の繊維強化部材13は、その材料の特性から曲線状に配置することが困難であるため、緊張材カプラー22を介して緊張材偏向部20の湾曲傾斜した溝部20aを偏向可能緊張材23により緊張される(図11参照)。
偏向可能緊張材23は、構造物10から離隔する方向に傾斜して固定されるので、緊張作業が容易に実施できると共に、棒状の繊維強化部材13を構造物10の底面に極力近接させて配置することが可能となる。また、構造物10の底面に棒状の繊維強化部材13を接着するため、構造物10に削孔したり、特殊な定着具を必要としない。
油圧ジャッキ19は、構造物(反力梁)10と平行方向に伸縮する。
[接着工程]
先貼りシート11および剥離防止シート11aを貼り付けた後、構造物10の底面(棒状の繊維強化部材13と対向する構造物側)に断面L字形の樹脂用枠29または樹脂枠用モルタル15により凹状の溝(凹溝)を備えた枠体を設置する(図1では省略する。)。この凹溝は、棒状の繊維強化部材の外周と所定の間隔を有するものである。
接着工程は、図2、図3、および図4に示すように樹脂用枠モルタル15または樹脂用枠29により予め成型された凹溝に、緊張装置12を移動してセットされた棒状の繊維強化部材13を構造物10の表面に近接させた後、棒状の繊維強化部材13の周囲に接着用樹脂14を充填し、構造物10と棒状の繊維強化部材13と接着する。この際、先貼りシート11および剥離防止シート11aと構造物10が接着している部分には接着部17が形成される(図4)。さらに、先貼りシート11の位置に形成された接着部17は、後貼りシート16で接着部17の周囲を包んで補強する。
図4(b)のように樹脂用枠29を設置した場合、構造物10と樹脂用枠29の上に樹脂用枠モルタル15を設け、接着用樹脂14を充填後、後貼りシート16を貼り付ける。
図4(c)は、後貼りシート16で補強した後、棒状の繊維強化部材13に大きな力が作用する可能性の高い中間の剥落防止部を示す説明図である。
接着用樹脂14は、充填性や施工性、可使時間等を考慮して選定する。また、粘性の高い接着用樹脂14を使用してコテ等を用いて施工することもできる。
[引張導入工程]
張力導入工程は、図5および図6に示すように構造物10と棒状の繊維強化部材13とが固着された後に、緊張装置12の油圧ジャッキ19を操作して緊張を解除し、棒状の繊維強化部材13の端部を緊張装置12から切断する。すると、図7に示すように緊張力の附加された棒状の繊維強化部材13と構造物10とが一体化され補強が行われる。そのため、緊張力(ひずみ)が解放された棒状の繊維強化部材13から構造物10に緊張力(ひずみ)が移行する。
次に、図1、図8および図9にしたがって、緊張装置12について説明する。緊張装置12は、図8に示したように、直線状の反力梁21の左右両端部に備えられた一対の緊張材偏向部20と油圧ジャッキ19と緊張材固定部18とを備えている。また、棒状の繊維強化部材13は、緊張材カプラー22と偏向可能緊張材23を介して緊張材固定部18によって緊張材偏向部20に固定される。さらに、緊張材偏向部20は、反力梁21の端部上面に配置されたスライド板24上を摺動すると共に、左右側面から突出した案内ピン25によりスライド板24から直角に立設された側壁26に形成された長穴27内に遊嵌されている。また、緊張材偏向部20の一端は、油圧ジャッキ19の作動ロッドに連結されており、長穴27に沿って平行移動する。
緊張材偏向部20は、図9に示したように、軸線方向中央の上面に棒状の偏向可能緊張材23を収納するための溝部20aを有している。この溝部20aは端部に向かって下降傾斜しており、緊張される棒状の繊維強化部材13の仮想延長軸線から離隔する方向に傾斜している。また、溝部20aの端部に緊張材固定部18が配置されており、偏向可能緊張材23を固定する。つまり、偏向可能緊張材23の自由端部は緊張材固定部18により緊張材偏向部20に緊定されると共に、構造物10から離隔する方向に傾斜して固定される。
また、緊張材偏向部20は、側壁26に形成された長穴27、27内を複数の案内ピン25を案内されつつ摺動するので、油圧ジャッキ19の作動点kと緊張材偏向部20が偏向可能緊張材23を介して棒状の繊維強化部材13を支える点mがHだけ変位することにより生じる回転力Rに対抗して平行移動することができる(図8)。なお、緊張材偏向部20の回転防止機構は、長穴27と案内ピン25の他に別の機構であってもよい。
緊張装置12の他の実施例を図10および図11にしたがって説明する。本実施例において、緊張装置12は直線状の反力梁21の左右両端部に固定された一対の緊張材偏向部20−1と反力梁の軸線に対して傾斜して配置された油圧ジャッキ28と偏向可能緊張材23の端部を固定する緊張材固定部18とを備えている。
緊張装置12の緊張材偏向部20−1は、反力梁21にボルト等で固定されている。また、緊張材偏向部20−1は、軸線方向中央の上面に棒状の偏向可能緊張材23を収納するための溝部20aを有している。この溝部20aは端部に向かって傾斜しており、緊張される棒状の繊維強化部材13の仮想延長軸線から離隔する方向に傾斜する。また、溝部20aの端部には溝部20aに沿って傾斜配置された油圧ジャッキ28が配置され、その先に緊張材固定部18が配置されており、偏向可能緊張材23を固定する。つまり、偏向可能緊張材23の自由端部は油圧ジャッキ28により、構造物10から離隔する方向に傾斜して緊張される。
このように構成した場合は、緊張材偏向部20−1がボルト等により反力梁21に固定されているので、緊張材偏向部20−1が偏向可能緊張材23を介して棒状の繊維強化部材13を支える点pと油圧ジャッキ28の作用点oとがHだけ変位することにより生じる回転力Rに対抗できる。
図10の緊張装置は構造がシンプルであるが、梁の端部まで補強する場合は図1の装置に比べ制約を受ける。
棒状の繊維強化部材13には、建築用繊維強化プラスチック(BFRP)を使用することができる。例えば玄武岩の短繊維から製造されたバサルト繊維(Basalt Fiber)と合成樹脂を棒状に形成したものを使用することができる。棒状の繊維強化部材13の物性値の例としては、6φで引張り強度が1300N/mm、バサルト繊維の引張弾性率が55kN/mm2、部材の断面積が28.3mm2 、部材のバサルト繊維含有率が55%であり、10φで引張り強度が1251N/mm、バサルト繊維の引張弾性率が90kN/mm、部材の断面積が78.5mm、部材のバサルト繊維含有率が65%である。バサルト繊維は、低吸収性に優れると共に、分離指数が高く、耐蝕性にも優れている。
また、上記に示した外径以外のバサルト繊維の他にガラス繊維、アラミド繊維等の楔定着が難しい緊張材も使用することができる。
なお、以上の実施例では、構造物10に対して棒状の繊維強化部材13を一本設置する場合について説明したが、複数本設置してもよい。
さらに、本発明は上述の実施例に限定されることなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々の設計変更が可能である。
10 構造物
11 先貼りシート
11a 剥離防止シート
12 緊張装置
13 棒状の繊維強化部材
14 接着用樹脂
15 樹脂用枠モルタル
16 後貼りシート
17 接着部
18 緊張材固定部
19 油圧ジャッキ
20、20−1 緊張材偏向部
20a 溝部
21 反力梁
22 緊張材カプラー
23 偏向可能緊張材
24 スライド板
25 案内ピン
26 側壁
27 長穴
28 油圧ジャッキ
29 樹脂用枠
31 プライマー

Claims (7)

  1. 棒状の繊維強化部材を使用した構造物の補強工法であって、
    構造物に所定の間隔で先貼りシートを貼付するシート貼付工程と、
    緊張装置によって、棒状の繊維強化部材に緊張力を附加する緊張力附加工程と、
    緊張力が附加された前記棒状の繊維強化部材を構造物に近接させた後、前記棒状の繊維強化部材の周囲に接着用樹脂を充填し、前記先貼りシートと前記棒状の繊維強化部材とを接着し、後貼りシートで接着部の周囲を包んで補強する接着工程と、
    前記構造物と前記棒状の繊維強化部材の固着後に、前記緊張装置の緊張を解除し、前記棒状の繊維強化部材の端部を前記緊張装置から切断し、緊張力の附加された前記棒状の繊維強化部材と構造物とを一体化する張力導入工程と、を備える、
    ことを特徴とする棒状の繊維強化部材を使用した構造物の補強工法。
  2. 前記緊張装置は、直線状の反力梁の左右両端部に備えられた一対の緊張材カプラーと、偏向可能緊張材と、緊張材偏向部と、油圧ジャッキとを備え、
    前記偏向可能緊張材の自由端部は緊張材固定部により前記緊張材偏向部に緊定されると共に、前記構造物から離隔する方向に傾斜して固定される、
    ことを特徴とする請求項1に記載の棒状の繊維強化部材を使用した構造物の補強工法。
  3. 前記緊張材偏向部は、回転防止機構により前記反力梁に対して平行移動すると共に、前記反力梁に対して平行に伸縮する前記油圧ジャッキにより駆動される、
    ことを特徴とする請求項2に記載の棒状の繊維強化部材を使用した構造物の補強工法。
  4. 前記緊張材偏向部は、前記構造物から退避する方向に端部が傾斜して緊定された前記偏向可能緊張材を前記反力梁に対して平行に摺動して緊張力を附加する、
    ことを特徴とする請求項2または3に記載の棒状の繊維強化部材を使用した構造物の補強工法。
  5. 前記緊張材偏向部は、前記反力梁に固定されると共に、前記構造物から退避する方向に端部が傾斜して緊定された前記偏向可能緊張材を前記反力梁に対して傾斜して配置された前記油圧ジャッキにより緊張力を附加する、
    ことを特徴とする請求項2に記載の棒状の繊維強化部材を使用した構造物の補強工法。
  6. 前記接着工程において、前記棒状の繊維強化部材と対向する構造物側に前記棒状の繊維強化部材の外周と所定の隙間を有する凹溝を備えた枠体を設置し、前記凹溝内に接着用樹脂を充填する、
    ことを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載の棒状の繊維強化部材を使用した構造物の補強工法。
  7. 前記棒状の繊維強化部材は、玄武岩繊維と合成樹脂とを含有する、
    ことを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載の棒状の繊維強化部材を使用した構造物の補強工法。
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