以下、本発明を実施するための形態について説明する。
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態について説明する。図1は第1の実施の形態における通信システム10の構成例を表す図である。
通信システム10は、端末装置100、通信装置200、及びホスト装置600を備える。また、通信装置200は、パケットロス推定部225を備える。
ホスト装置600は画像フレームデータを一定間隔で通信装置200へ送信する。画像フレームデータには、例えば、1又は複数のパケットデータP#1,…,P#n(nは1以上の整数)を含む。図1の例では、ホスト装置600は、第1の画像フレームデータ601と第2の画像フレームデータ602を一定間隔で送信している。
ホスト装置600は画像フレームデータを一定間隔で送信するが、ホスト装置600と通信装置200との間のネットワークの輻輳などにより、一定間隔が長くなり、通信装置200では当初予定時間より遅い時間に画像フレームデータを受信する場合がある。
通信装置200において、画像フレームデータを各々一定間隔で受信した場合において、第2の画像フレームデータ602を受信した場合の受信時間を第1の受信時間とする。また、当該一定間隔よりも長い時間で第2の画像フレームデータ602を受信した場合の受信時間を第2の受信時間とする。
パケットロス推定部225は、第2の受信時間の第1の受信時間に対する遅延時間の増加値(又は変動値)に基づいて、画像フレームデータに含まれるパケットデータP#1,…,P#nの損失が継続する時間を示すパケットロス発生推定区間を推定する。
通信装置200は、例えば、パケットロス発生推定区間に基づいて、パケットロスに対して種々の対処方法を実施することができる。この場合、通信装置200は、パケットロスの発生の有無を推定する場合と比較して、その区間が算出されているため、パケットロスに対して最適な対処方法を実施することができる。
例えば、通信装置200では、パケットロス発生推定区間が所定値より長い場合は対処方法A、パケットロス発生推定区間が所定値以下の場合は対処方法B、などと異なる対処方法を実施できる。
従って、通信装置200では、パケットロス発生の有無を推定する場合と比較して、パケットロス発生推定区間の長さに応じてパケットロスに対して有効な対処方法を実施できる。これにより、例えば、通信システム10において、パケットロスもなくなり、ホスト装置600から端末装置100へ至るパケットデータの品質を維持することができる。
通信装置200は、例えば、基地局装置、S−GW(Serving Gateway)、又はP−GW(Packet Data Network Gateway)などであってもよい。
[第2の実施の形態]
次に第2の実施の形態について説明する。
<通信システムの構成例>
図2は通信システム10の構成例を表す図である。通信システム10は、端末装置(以下では、「端末」と称する場合がある)100−1,100−2、eNodeB(evolved Node B、又は基地局装置、以下では、「基地局」と称する場合がある)200を備える。また、通信システム10は、MME(Mobility Management Entity)300、S−GW400、及びP−GW500を備える。
端末100−1,100−2は、例えば、フィーチャーフォンやスマートフォン、タブレットなどの携帯型の端末装置である。或いは、端末100−1,100−2は、例えば、スマートメータなど固定された端末装置であってもよい。端末100−1,100−2は、基地局200のサービスエリア内で基地局200と無線通信を行い、通話サービスやWebページの閲覧サービスなど種々のサービスの提供を受けることができる。
なお、端末100−1,100−2は、非優先端末100−1と優先端末100−2の2つの種別に分けられている。
優先端末100−2は、例えば、救急車や警察車両などの緊急車両などに搭載される端末装置である。或いは、優先端末100−2は、例えば、非優先端末100−1よりも高額料金を支払うユーザが使用する端末装置である。
一方、非優先端末100−1は、例えば、通常料金を支払うユーザなどが使用する端末装置である。非優先端末100−1は、優先端末100−2と比較して、無線リソースの割り当てなど優先度が低くなっている場合がある。基地局200では、優先端末100−2に対して、非優先端末100−1よりも優先して無線リソースを割り当てるなどすることで、サービスの利用に際して輻輳を発生させないようにしている。
基地局200は、通信装置の一例であって、MME300やS−GW400から送信されたパケットデータからユーザデータや制御信号などを抽出し、抽出したユーザデータなどを無線信号に変換する。基地局200は、変換後の無線信号を端末100−1,100−2へ送信する。また、基地局200は、端末100−1,100−2から送信された無線信号からユーザデータや制御信号などを抽出し、抽出したユーザデータなどをパケットデータに変換する。基地局200は、変換後のパケットデータをMME300やS−GW400へ送信する。
本第2の実施の形態において、基地局200では、例えば、MME300やS−GW400と交換するパケットデータの到着遅延時間に基づいてパケットロスの継続時間を推定する。推定方法などについては後述する。基地局200は、推定したパケットロス継続時間をS−GW400を経由してP−GW500へ送信する。
MME300は、例えば、端末100−1,100−2の位置管理や認証管理、ベアラの確立や削除などを行う通信装置である。MME300は、例えば、ユーザの識別情報(ユーザID(Identification)など)や端末100−1,100−2の電話番号などに基づいて、端末100−1,100−2が優先端末か非優先端末かを識別することができる。
S−GW400は、基地局200とP−GW500との間で交換されるパケットデータを中継する通信装置である。また、S−GW400は、例えば、無線ベアラが設定されていない端末100−1,100−2宛のパケットデータをP−GW500から受信したとき、MME300に対して無線ベアラの設定要求を行う。S−GW400は設定された無線ベアラに従って、当該パケットデータを端末100−1,100−2へ向けて送信する。
P−GW500は、例えば、端末100−1,100−2に対するユーザデータを管理し、外部ネットワークと通信システム10とを接続する通信装置である。また、P−GW500は、端末100−1,100−2に対してIP(Internet Protocol)アドレスの払い出し(又は割り当て)を行う。さらに、P−GW500は、基地局200からパケットロス継続時間を受信すると、パケットデータに対してアドミッション制御を行う。
アドミッション制御とは、例えば、通信を行う2者間でその通信のために指定された通信帯域(又はビットレート)が確保できるかどうかを判断することをいう。アドミッション制御においては、例えば、基地局200やS−GW400、P−GW500などにおいて端末100との間で送受信されるパケットデータのデータ量(又は帯域)を制限する閾値を変更するようにしている。これにより、例えば、緊急車両内のユーザや高額料金を支払ったユーザに対してはパケットデータの流量を確保したり、それ以外ユーザにはパケットデータの流量を制限することができる。
アドミッション制御の例としては、例えば、パケットデータのフィルタリングやSCTP(Stream Control Transmission Control:ストリーム制御送信プロトコル)による輻輳制御、無線リソースの割り当てなどがある。アドミッション制御の例については後述する。
なお、基地局200とMME300、S−GW400、及びP−GW500を、例えば、EPC(Evolved Packet Core)と称する場合がある。
以降では、通信システム10に含まれる基地局200、MME300、S−GW400、及びP−GW500の構成例について説明する。
<基地局装置の構成例>
図3は基地局200の構成例を表す図である。基地局200は、アンテナ201、RF(Radio Frequency)部210、及びBB(Base Band)部220を備える。
アンテナ201は、端末100−1,100−2から送信された無線信号を受信し、受信した無線信号をRF部210へ出力する。また、アンテナ201は、RF部210から出力された無線信号を端末100−1,100−2へ送信する。
RF部210は、インタフェース211、送信部212、アンテナ共用器213、受信部214を備える。
インタフェース211は、BB部220から出力された所定フォーマットの信号(例えば、光信号など)からベースバンド信号を抽出し、抽出したベースバンド信号を送信部212へ出力する。また、インタフェース211は、受信部214から出力されたベースバンド信号に対して、所定フォーマットの信号に変換し、変換後の信号をBB部220へ出力する。
送信部212は、インタフェース211から出力されたベースバンド信号に対して周波数変換などを施して、無線帯域の無線信号に変換し、変換後の無線信号をアンテナ共用器213へ出力する。送信部212には、例えば、周波数変換回路やD/A(Digital to Analogue)変換回路、バンドバスフィルタなどを備えるようにしてもよい。
アンテナ共用器213は、送信部212から出力された無線信号をアンテナ201へ出力し、アンテナ201から受け取った無線信号を受信部214へ出力する。
受信部214は、アンテナ共用器213から受け取った無線信号に対して、周波数変換処理などを施してベースバンド帯域のベースバンド信号に変換し、変換後のベースバンド信号をインタフェース211へ出力する。受信部214には、例えば、A/D(Analogue to Digital)変換回路、バンドパスフィルタ、周波数変換回路などを備えるようにしてもよい。
BB部220は、CNT(Controller:コントローラ)221、BB処理部222、インタフェース223を備える。
CNT221は、MME300やS−GW400からパケットデータを受信し、パケットデータからユーザデータや制御信号などを抽出する。CNT221は、抽出したユーザデータをBB処理部222へ出力する。また、CNT221は、BB処理部222からユーザデータや制御信号などを受け取り、ユーザデータなどをパケットデータに変換する。CNT221は、変換後のパケットデータをMME300やS−GW400へ送信する。なお、本実施例においては、説明の簡略化のため、呼制御処理(RRC(Radio Resource Control)層の処理)と、コアノード装置(MME300やS−GW400など)とのパケットデータの送受信処理とを、CNT21が実行するように説明しているが、上述の呼制御処理とコアノード装置とのパケットデータの送受信処理とを各々別の処理主体で実行するようにしてもよい。
CNT221は、端末100−1,100−2との間の無線リソースの管理、MME300の選択、ページング処理、報知情報の生成などを行い、適宜制御信号などを生成する。CNT221は、BB処理部222などを介して生成した制御信号を端末100−1,100−2へ向けて送信したり、MME300やS−GW400などへ送信する。
無線リソースの管理としては、例えば、以下のような処理が行われる。すなわち、CNT221は、端末100−1,100−2との間の無線通信に関するスケジューリングなどを行い、スケジューリング結果を含む制御信号を生成する。CNT221は、BB処理部222などを介して、生成した制御信号を端末100−1,100−2へ送信する。制御信号には、スケジューリング結果として、無線リソースの割り当ての他に、誤り訂正符号化の符号化率や変調方式なども含まれる。基地局200や端末100−1,100−2は、スケジューリング結果に従って無線通信を行う。
また、CNT221は、パケットロス推定機能部(又はパケットロス推定部、以下では「パケットロス推定機能部」と称する場合がある)225を含む。パケットロス推定機能部225は、例えば、S−GW400から送信されたパケットデータを受信し、受信した受信データパケット数や受信データパケットの到着間隔などを測定して、パケットデータの遅延時間の増加値を算出する。そして、パケットロス推定機能部225は、例えば、算出した遅延時間の増加値を「遅延ゆらぎ」とし、「遅延ゆらぎ」に基づいてパケットロス継続期間を推定する。CNT221は、パケットロス推定機能部225からパケットロス継続期間を受け取り、受け取ったパケットロス継続期間をP−GW500へ向けて送信する。また、CNT221は、パケットロス継続期間に基づいて、自らアドミッション制御に関する処理を行うようにしてもよい。そのような処理の一例として、例えば、無線リソースの割り当て変更などがある。アドミッション制御の具体例は後述する。
BB処理部222は、CNT221から受け取ったユーザデータや制御信号に対して誤り訂正符号化処理などを施して、ベースバンド信号に変換し、変換後のベースバンド信号をインタフェース223へ出力する。また、BB処理部222は、インタフェース223から受け取ったベースバンド信号に対して、誤り訂正復号化処理などを施して、ベースバンド信号からユーザデータや制御信号を抽出し、抽出したユーザデータや制御信号をCNT221へ出力する。
インタフェース223は、RF部210から所定フォーマットの信号を受け取り、当該信号からベースバンド信号を抽出し、抽出したベースバンド信号をBB処理部222へ出力する。また、インタフェース223は、BB処理部222から受け取ったベースバンド信号を所定フォーマットの信号に変換し、変換後の信号をRF部210へ出力する。
なお、図3の例ではRF部210は1つであるが、RF部210が複数あってもよい。また、RF部210とBB部220は地理的に離れた場所に設置されてもよい。
<MME,S−GW,P−GWの構成例>
図4(A)はMME300の構成例を表す図である。MME300は、インタフェース310、コントローラ320、及びメモリ330を備える。
インタフェース310は、基地局200やS−GW400から送信されたパケットデータを受信し、受信したパケットデータから制御信号などを抽出し、抽出した制御信号などをコントローラ320へ出力する。また、インタフェース310は、コントローラ320から制御信号などを受け取り、パケットデータに変換し、変換後のパケットデータを基地局200やS−GW400へ送信する。
コントローラ320は、インタフェース310から受け取った制御信号に基づいて、端末100−1,100−2の位置管理や認証管理、ハンドオーバ制御、端末100−1,100−2とP−GW500との間のベアラの確立や削除などを行う。コントローラ320は、このような管理などを行った結果や管理を行うために制御信号を生成し、生成した制御信号をインタフェース310へ出力する。
メモリ330は、端末100−1,100−2の識別情報や位置情報、ベアラに関する経路情報などを記憶する。コントローラ320は、メモリ330に各種情報を適宜記憶しながら、位置管理などの各種処理を行う。
図4(A)はS−GW400の構成例も表している。ただし、各ブロックの機能については異なる場合がある。例えば、インタフェース310は、基地局200やMME300から送信されたパケットデータを受信する。この際、パケットデータには制御信号以外にもユーザデータが含まれてもよい。また、コントローラ320は、インタフェース310で受信したパケットデータの宛先や送信元などを確認し、パケットデータを転送先へ転送する。その際に、コントローラ320はMME300との間で交換したベアラに関する情報に基づいてパケットデータを転送する。さらに、メモリ330にはベアラに関する情報が記憶される。
図4(B)はP−GW500の構成例を表す図である。P−GW500は、インタフェース510、コントローラ520、メモリ530を備える。
インタフェース510は、S−GW400から送信されたパケットデータを受信し、受信したパケットデータからユーザデータや制御信号などを抽出し、抽出したユーザデータや制御信号をコントローラ520へ出力する。また、インタフェース510は、コントローラ520から制御信号やユーザデータなどを受け取り、これらをパケットデータに変換し、変換後のパケットデータをS−GW400や上位装置へ送信する。
コントローラ520は、UEIPアドレス・アロケーション部521、SCTP輻輳制御部522、パケット・フィルタリング部523を含む。
UEIPアドレス・アロケーション部521は、端末100−1,100−2の各々に対してIPアドレスを割り当てる。割り当てたIPアドレスは、インタフェース510などを介して端末100−1,100−2へ向けて送信される。
SCTP輻輳制御部522は、基地局200のパケットロス推定機能部225からの通知(又はパケットロス継続時間)を受けて、SCTP輻輳制御を実行する。SCTP輻輳制御とは、例えば、回線の輻輳状態や輻輳のレベルに応じて、ノード間で送受信されるデータの単位(例えば、「チャンク」と称する場合がある)を変更するように制御することである。これにより、例えば、輻輳の状態に応じた制御を行うことができ、輻輳が回避され、一定ビットレートのデータパケットの送受信が確保される。
パケット・フィルタリング部523は、基地局200におけるパケットロス推定機能部225からの通知を受けて、端末100−1,100−2(又はユーザ)毎にパケットデータの流量制御を行う。例えば、パケット・フィルタリング部523は、当該通知に基づいて、緊急車両のユーザや高額料金を支払ったユーザのパケットデータの流量を確保し、それ以外のユーザに対してはパケットデータの流量を制限する。流量制御とは、例えば、パケットデータのデータ量を制限したり、パケットデータをそのまま中継したり、パケットデータのデータ量を制御することである。
SCTP輻輳制御部522やパケット・フィルタリング部523は、例えば、アドミッション制御の一例であって、例えば、コントローラ520において、ポリシーイングやシェービングなどが行われてもよい。アドミッション制御においては、例えば、流量制御において利用される閾値などを異ならせることで、上記したような所定ユーザに対してはパケットデータの流量を確保したり、制限したりすることが可能となる。
ポリシーイングやシェーピングは、例えば、いずれもパケットデータのアドミッション制御の一例である。ポリシーイングは、例えば、パケットデータの送信ビットレートが所定ビットレートを超えた場合、コントローラ520は超えた部分のパケットデータをドロップさせる。他方、シェーピングは、例えば、パケットデータの送信ビットレートが所定ビットレートを超えた場合、コントローラ520は超えた部分のパケットデータをメモリ530に記憶し、ビットレートが所定ビットレート以下になるとメモリ530に記憶したデータを送信する。コントローラ520では、インタフェース510で受信するパケットデータのトラヒック量やビットレートを監視し、監視結果に基づいて、このようなポリシーイングやシェーピングを行えばよい。
このようなアドミッション制御の具体的な例としては、例えば、データパケットにより送受信されるユーザデータの属性や、アプリケーションの種類などにより(例えば、QoSにより)、コントローラ520は異なる処理を行ってもよい。このような処理を行うことで、例えば、GBR(Guaranteed Bit Rate)の確保が可能となる。
<パケット挙動モデル>
図12はパケット挙動の例を表すグラフである。図12において、縦軸はフレーム間隔(ms)、横軸は時間(ms)を表している。フレーム間隔の「フレーム」とは、例えば、基地局200とS−GW400間で送受信されるパケットデータを1又は複数個まとめたものであって、画像フレームなどと称させる場合もある。パケットデータを含むフレームを、例えば、「フレームデータ」と称する場合もある。
例えば、以下の場合を考える。すなわち、基地局200はS−GW400から送信されたパケットデータを受信するが、パケットデータの送信元はホスト装置から送信される。この場合、ホスト装置は、一定間隔でパケットデータを送信する。従って、フレーム間隔も一定の長さであって、このようなフレームを受信する基地局200においても、一定間隔でフレームを受信できる。
しかし、ネットワーク内の輻輳などによって、フレーム間隔が一定間隔ではなくなり、一定間隔より長くなる場合がある。そのような場合、基地局200では、一定間隔よりも遅延した遅延時間後にパケットデータを受信する。
通信システムの分野においてはこれまでの様々な知見により、このようなパケットデータの遅延時間が増加した後、パケットロスが発生することが確認されている。例えば、基地局200において当初予定した時刻よりも遅れてパケットデータを受信する場合がある。そのような場合、遅延時間が除々に累積して、時間的に後のパケットデータであればあるほど、遅延時間が長くなる。その結果、基地局200では本来受信するはずのパケットデータを当初予定時刻になっても受信することができず、これにより、パケットロスが発生する。パケットロスとは、例えば、受信側の装置において本来受信するはずのパケットデータを受信できずに損失することをいう。
ここでフレーム間隔について説明する。図6(A)及び図6(B)はフレーム間隔と遅延時間の増加値F(i)の例を表す図である。例えば、DVTS(Digital Video Transport System:高品位動画像配信システム)などの配信システムなどにおいては、各パケットデータは一定間隔で送信される。本第2の実施の形態においても、ホスト装置から1つ1つのパケットデータが一定間隔で送信されるものとする。この場合、フレームに含まれるパケットデータの個数も一定であることから、フレーム間隔も一定間隔で送信される。例えば、フレームの先頭にあるパケットデータも一定間隔で送信され、この一定間隔の長さが変動することが「遅延ゆらぎ」となる。一定間隔の長さが長くなるほど、パケットデータの到着遅延時間も、一定間隔で送信された場合の当初到着時間よりも遅くなる。
基地局200において、パケットデータが一定間隔で送信された場合の到着時間よりも遅れてパケットデータを受信する場合がある。一定間隔で受信した場合のあるパケットデータの受信時間(又は一定間隔でフレームを受信した場合の受信時間)を第1の受信時間とする。一定間隔よりも長い時間で受信したパケットデータの受信時間(又は一定間隔よりも長い時間でフレームを受信した場合の受信時間)を第2の受信時間とする。第1の受信時間に対して第2の受信時間に対する遅延時間の増加値を、例えば、遅延時間の増加値F(i)と称する場合がある。
なお、図6(A)において、1つのフレーム内には125個のパケットデータが含まれ、あるフレームの先頭のパケットデータ(灰色の四角)と、次のフレームの先頭のパケットデータ(灰色の四角)との間の間隔がフレーム間隔(Frame Interval)である。また、図6(B)において、遅延時間の増加値はF(i)で表されている。
図12に戻り、同図に示すパケット挙動は、ある時間においてパケットデータの到着時間遅延時間が急増していることを表している。そして、図12では、当該遅延時間の急増によって、例えば、基地局200ではS−GW400からのパケットデータを受信できず、パケットロスが所定時間継続して発生していることを表している。
パケットデータの到着遅延時間とパケットロスとの関係等について、以下のような特性があることが分かっている。すなわち、
(1)遅延時間の増加とパケットロスの関係は比例関係にあり、パケットロス発生間隔とパケットロスとの関係も比例関係にあること、
(2)遅延時間の増加とパケットロスまでの猶予フレーム数とには関係があること、
(3)遅延時間が大きく増加した場合には、時間を置かずにパケットロスが発生すること、
である。
図5はパケット挙動をモデル化した例を表している。図5において、縦軸と横軸は図12と同様に、縦軸は「遅延時間の増加値(ms)」、横軸は「経過時間(ms)」をそれぞれ表している。図5全体は、図12と同様に、パケットデータの到着時間が遅延し、パケットロスが所定期間継続していることを表している。パケットロス発生フレーム数Pと、遅延時間の増加値F(i)との関係については、様々な知見やデータなどから、以下のような関係になることが分かった。すなわち、
である。ただし、cは定数である。すなわち、数1に示すように、パケットロス発生フレーム数Pは遅延時間の増加値F(i)の一次関数で表すことができる。
本第2の実施の形態においては数1に着目し、基地局200のパケットロス推定機能部225において遅延時間の増加値F(i)を測定して、パケットロス発生フレーム数Pを算出する。基地局200では、算出したパケットロス発生フレーム数Pを、パケットロス発生推定区間としている。単位時間あたりに送信されるフレーム数は所定値であることに基づいて、パケットロス発生フレーム数Pから、時間値としてのパケットロス発生推定区間は容易に算出可能である。
そして、基地局200やP−GW500において、パケットロス発生推定区間Pの長さに応じて種々の対処方法をとるようにしている。
<優先端末の説明>
本第2の実施の形態では、基地局200やP−GW500では優先端末と非優先端末とで異なる対処方法をとるようにしている。以下、優先端末と非優先端末について説明する。
図7は非優先端末100−1,100−3,100−6,100−7と優先端末100−2,100−4,100−5が複数配置された場合の通信システム10の構成例を表している。
例えば、基地局200−1は、サービスエリア200−S1において、優先端末100−2,100−4を非優先端末100−1,100−3よりも優先して無線リソースを割り当てる。これにより、例えば、基地局200−1では優先端末100−2,100−4の無線リソースを確保して、非優先端末100−1,100−3よりも優先してサービスを提供することができる。
このように基地局200−1などでは非優先端末100−1と優先端末100−2を区別して管理する。このような管理は、例えば、以下のようにして行う。
すなわち、基地局200−1では各端末100−1,100−2が当該基地局200−1に接続する際に、各端末100−1,100−2から端末ID(Identification)又はユーザIDを取得する。MME300(又はMME300に接続されたHSS(Home Subscriber Server:))などでは、端末IDごとに端末情報やユーザIDごとにユーザ情報を保持及び管理している。基地局200−1は取得した端末IDに対応する端末情報をMME300から取得し、端末情報に基づいて、緊急車両で使用する端末か否か、高額な料金を支払ったユーザ(又はこのようなユーザが使用する端末)か否か、などを確認する。そして、基地局200−1は確認結果に基づいて、各端末100−1,100−2が優先端末か非優先端末かを区別することができる。基地局200−1は、端末IDとともに、当該端末IDの端末100が優先端末か非優先端末かの情報をP−GW500に送信してもよい。
<動作例>
次に動作例について説明する。図8の基地局200における動作例を表すフローチャートである。
基地局200は処理を開始すると(S10)、受信パケットの遅延時間の増加値を測定する(S11)。基地局200は、例えば、S−GW400から受信したパケットデータのパケット数や受信したパケットデータの到着間隔などを測定することで、数1の「F(i)」を測定している。
例えば、以下のような処理が行われる。すなわち、CNT221は、BB処理部222から出力されたパケットデータを監視し、パケットデータに含まれるパケット番号に基づき、当該パケット番号のパケットデータを受信後、次に当該パケット番号のパケットデータを受信するまでの時間をカウントする。CNT221は、このカウント値と、パケットデータを含むフレームデータが一定間隔で送信された場合の当該間隔の長さとに基づいて、遅延時間の増加値F(i)を算出する。一定間隔の長さは、CNT221の内部メモリなどに保持されているものとする。
次に、基地局200は受信パケットの遅延時間の増加値が所定値以上か否かを判定する(S12)。例えば、CNT221は、遅延時間の増加値F(i)と内部メモリなどに保持した所定値を読み出し、両者を比較することで判定する。ここでは、所定値として、例えば、パケットロスの発生が予測される値であって、これまでの履歴などに基づいて適宜決定される値である。
次に、基地局200は、受信パケットの遅延時間の増加値が所定値より小さいとき(S12でNo)、処理を終了させる(S17)。この場合、パケットデータの遅延時間の増加値は所定値よりも小さいため、遅延は発生しているもののパケットロスが発生するほどの状態とはなっていないとして、基地局200では一連の処理を終了させる。
一方、基地局200は、受信パケットの遅延時間の増加値が所定値以上のとき(S12でYes)、パケットロス発生推定区間を算出(推定)する(S13)。この場合、パケットデータの遅延時間の増加値は所定値以上となっているためパケットロスが発生しているものとして、基地局200ではパケットロス発生推定区間を算出するようにしている。
例えば、パケットロス推定機能部225が数1を利用することで、パケットロス発生推定区間を算出する。この場合、数1の例として、
を用いるものとする。この数2は一例であって、数1を満たす式であれば「n」と「c」についてはどのような定数であってもよい。
例えば、以下のような処理が行われる。すなわち、パケットロス推定機能部225は、S11で算出した受信パケットの遅延時間の増加値F(i)を数2の「F(i)」に代入して、パケットロス発生フレーム数Pを算出(推定)する。数2は、例えば、CNT221の内部メモリなどに保持されて、本処理の際に適宜読み出されるものとする。
次に、基地局200は、パケットロス発生推定区間は所定値以上か否かを判別する(S14)。例えば、パケットロス推定機能部225は算出したパケットロス発生推定区間と、内部メモリなどの保持した所定値を読み出して、両者を比較することで判別できる。ここでは、上述したように、パケットロス発生推定区間の長さに応じて異なる対処方法をとるようにしていることから、基地局200では本処理を行っている。
パケットロス発生推定区間が所定値以上であるとき(S14でYes)、基地局200は優先端末100−2の通信状況を確認する(S15)。この場合、パケットロス発生推定区間が所定値より短い場合と比較して、パケットロス発生の影響が大きく、パケットロスに対する対処方法の制限も強いものとなる。
本処理(S15)としては、例えば、以下のようになる。すなわち、基地局200のCNT221は、パケットロス推定機能部225からパケットロス発生推定区間は所定値以上である旨の通知を受け取ると、優先端末100−2についてのQoSを判定したり、パケットデータのサービスタイプを判定する。QoS判定については、例えば、優先端末100−2ごとに、QCI(QoS Quality Indicator)を判定し、QCIにより帯域保証される場合は、GBR(Guaranteed Bit Rate)を判定するなどを行う。このようなQoS判定は、例えば、CNT221により行われてもよい。また、パケットデータのサービスタイプの判定については、例えば、優先端末100−2ごとに、送受信されるパケットデータに含まれるサービスタイプの種別(通話サービスによる音声データなど)を判定することで行われてもよい。このような判定もCNT221で行われてもよい。CNT221は、通信状況を確認すると確認結果を、例えば、P−GW500へ通知する。
次に、基地局200やP−GW500はパケットデータの送受信制御を行う(S16)。送受信制御(又は通信制御)としては、例えば、以下の(1)から(5)がある。
(1)すなわち、基地局200は、下り通信リンク(基地局200から端末100への通信リンク)方向については無線リソースの割り当てを変更する。変更例としては、優先端末100−2に対しては無線リソースの割り当てを継続して無線リソースを保持し、非優先端末100−1に対してはサービス別に無線リソースを割り当てる又は割り当てないようにする。サービス別としては、例えば、緊急通話による通話サービスや高額料金を支払ったホスト装置からの映像配信サービスなどがある。基地局200のCNT221は、受信したパケットデータに含まれるサービス種別や送信元アドレスなどに基づいて、サービス別を判別してもよい。
(2)また、基地局200は、下り通信リンクについて、端末100について新規呼の受付を禁止する。例えば、基地局200のCNT221は、当該基地局200との接続を行っていない端末100宛のパケットデータを受信しても、当該端末100との間で接続を確立するための処理を行わないことで新規呼の受付を禁止できる。
(3)さらに、基地局200は、上り通信リンク(端末100から基地局200への通信リンク)方向について新規呼の受付を制御する。例えば、基地局200のCNT221は、端末100から新たに接続を確立するための要求信号を受信したとしても、当該接続を確立するための処理を行わないことで新規呼の受付を拒否するなどの処理を行う。
(4)P−GW500は、下り通信リンク方向のパケットデータについては流量制御を行う。例えば、P−GW500のSCTP輻輳制御部522やパケット・フィルタリング部523は、基地局200からパケットロス発生推定区間の情報や端末ID、優先端末や非優先端末の情報などを受け取ると、端末100宛のパケットデータに対して輻輳制御や送信を停止するなどの処理を行う。
(5)また、P−GW500は、上り通信リンク方向のパケットデータについては、非優先端末100−1から送信されたパケットデータに対しては流量制御を行う。例えば、SCTP輻輳制御部522やパケット・フィルタリング部523は、基地局200からパケットロス発生推定区間の情報を受け取ると、送信元が非優先端末100−1であるパケットデータに対して輻輳制御やフィルタリングなどの処理を行う。
基地局200は、このような送受信制御(S16)を行った後、一連の処理を終了させる(S17)。
一方、パケットロス発生推定区間が所定値以上ではないとき(S14でNo(影響は短時間))、基地局200は優先端末100−2の通信状況を確認する(S18)。通信状況の確認は、例えば、S15と同様である。
次に、基地局200は、パケットデータの送受信制御(又は通信制御)を行う(S19)。この場合、パケットロス発生推定区間は所定値よりも短いため、所定値以上長い場合のパケット送受信制御(S16)と比較して、基地局200は制限が少ない(又は低い)パケット送受信制御を行う。言い換えると、パケットロス発生推定区間が所定値以上のときの第1の通信制御は、パケットロス発生推定区間が所定値よりも短いときの第2の通信制御よりも、パケットデータに対する通信制限が高くなっている。
パケット送受信制御(S19)としては、新規呼の受付を行うものの、当該新規呼に対してはP−GW500においてパケットの流量制限を行う。例えば、上記(2)(3)では下り通信方向と上り通信方向の新規呼の受付を拒否することが行われたが、本処理(S19)ではそのような場合と比較して制限が少なくなっている。本処理(S19)において行われる処理として、上記(1),(4),(5)が行われてもよい。
基地局200は、パケット送受信制御(S19)を行うと一連の処理を終了させる(S17)。
上記したパケット送受信制御(S16,S19)は一例である。パケット送受信制御(S16,S19)は、パケットロス発生推定区間の長さに応じて異なる対処方法となっていればどのような対処方法であってもよい。或いは、パケット送受信制御としては、P−GW500と端末100間のパケットデータに関して、例えば、パケットロス発生推定区間の長さに応じてアドミッション制御の閾値を変えるようにすればよい。例えば、S16において、非優先端末100−1に対してサービス別のリソース管理が行われたが(上記(1))、非優先端末100−1に対してこのようなリソース管理が行われずに、非優先端末100−1との間で交換されるパケットデータの流量制御が行われてもよい。
<緊急車両が移動する場合の動作例>
次に、緊急車両が移動する場合の動作例について説明する。図9は緊急車両600の移動経路例を表す図であり、図10は緊急車両600が移動経路を移動する場合の基地局200の動作例を示すフローチャートである。
図9では、緊急車両600が2重線で示す経路を移動する。また、緊急車両600には優先端末100−2が搭載されており、優先端末100−2は緊急車両600の移動に伴い移動する。緊急車両600は、最初に基地局200−10配下のセル(又はセクタ、以下では「セル」と称する場合がある)A−3に位置する。そして、緊急車両600はセルA−3からセルA−1を経由して、基地局200−11のセルE−2へ移動する。さらに、緊急車両600は、当該セルE−3からセルE−1など経由して、最後にセルL1へ移動する。緊急車両600の移動に伴い、優先端末100−2も各セルA−2,A−3,A−1,E−2,E−1,F−3,F−1,G−3,G−1,L−2,L−1をこの順番で移動する。
なお、図9において三角は基地局200−10〜200−14を表している。
動作例として、優先端末100−2がセルA−3からセルA−1へ移動する(又はハンドオーバする)場合について、図10を用いて説明する。
基地局200−10は処理を開始すると(S30)、優先端末100−2が在圏セルに存在するか否かを確認する(S31)。例えば、基地局200−10のCNT221は、優先端末100−2との間で接続を確立するための処理を行ったか否かにより確認する。この場合、CNT221は、優先端末100−2の端末IDや電話番号などで確認を行うようにしてもよい。
次に、基地局200−10は優先端末100−2の移動(又はハンドオーバ)先と移動に伴う無線リソースとを管理する(S32)。例えば、基地局200−10のCNT221は、優先端末100−2から受信した品質情報(例えば、CQI(Channel Quality Indicator))に基づいて、優先端末100−2の移動先を決定し、優先端末100−2に対する無線リソースを確保する。
次に、基地局200−10は、優先端末100−2の移動統計データを取得する(S33)。本処理は、例えば、図8のS12からS14の処理に対応する。基地局200−10では、優先端末100−2宛の受信パケットデータの遅延時間を測定して遅延時間の増加値F(i)を算出し、遅延時間の増加値F(i)に基づいてパケットロス発生推定区間Pを算出する(S12,S13)。
次に、基地局200−10は、パケット挙動が劣悪な方向へ変位している場合、優先端末100−2の通信状況を確認してパケット送受信制御を行う(S34)。本処理は、例えば、図8のS14でYes、S15、及びS16に対応する。基地局200−10では、パケットロス発生推定区間Pが所定値以上のとき、パケットロスの影響が所定時間以上続くものと推定し、それに応じたパケット送受信制御を行う。
次に、基地局200−10は、地図情報に基づいて優先端末100−2の移動先を予測する(S35)。
例えば、以下のようにして予測が行われる。すなわち、優先端末100−2内のGPSセンサや加速度センサなどは、優先端末100−2の現在位置、移動速度、時刻などを測定して基地局200−10へ送信する。基地局200−10のCNT221は、これらの情報を受け取ると、内部メモリなどに保持している地図情報やセル配置情報などと比較して、現在位置や移動速度、時刻などの情報に基づいて所定時間後の優先端末100−2の位置を推定する。図9の例では、基地局200−10は、優先端末100−2が所定時間後、セルA−3へ移動することを推定する。
図10に戻り、次に、基地局200−10は、通信リソースの事前予約により、優先端末100−2の品質を確保する(S36)。例えば、基地局200−10のCNT221は、予測した移動先のセルA−3においても優先端末100−2の無線リソースを非優先端末よりも優先して確保しておく。その後、優先端末100−2は、セルA−3からセルA−1へ移動する。
次に、基地局200−10は、在圏セルと移動先セルの2つのパケットロス発生推定結果より、ハンドオーバ先の事前無線リソース確保の実施有無を判断する(S37)。
例えば、基地局200−10のパケットロス推定機能部255は以下のような処理を行う。すなわち、パケットロス推定機能部255は、ハンドオーバ前(移動前)のセルA−3における優先端末100−2に対するパケットロス発生推定区間P1をメモリなどに保持している。また、パケットロス推定機能部255は、ハンドオーバ後(移動後)のセルA−1においてパケットロス発生推定区間P2を算出する。パケットロス推定機能部255は、2つのパケットロス発生推定区間P1,P2を比較して、優先端末100−2に対する無線リソースの確保の実施有無を判断する。判断としては、例えば、パケットロス発生推定区間P1,P2においてその時間長の相違に応じて、CNT221において判断すればよい。CNT221は、例えば、その相違に応じて、確保した無線リソースをそのまま使用したり、確保した無線リソースを開放したり、或いは、確保した無線リソースよりも小さい無線リソースや大きい無線リソースを確保する、などとすることができる。
次に、移動先セルを管理する基地局200−10は、優先端末100−2の統計データを継続して取得し、ハンドオーバ毎に在圏セルと移動先セルのパケットロス推定結果を更新する(S371)。例えば、優先端末100−2がセルA−3からセルA−1へハンドオーバすると、基地局200−10のCNT221は、セルA−3におけるパケットロス推定結果と、セルA−1におけるパケットロス推定結果とを内部メモリなどに保持する。優先端末100−2がハンドオーバする毎に、各セルにおけるパケットロス推定結果を内部メモリに順次保持する。
そして、基地局200−10は一連の処理を終了させる(S38)。
上記した例は、優先端末100−2がセルA−3からセルA−1へ移動する場合の例で説明した。例えば、優先端末100−2がセルA−1からセルE−2へ移動する場合も、上記した例と同様に処理を行うことができる。この場合も、基地局200−10がS30からS38までの処理を行えばよい。優先端末100−2がセルE−2からセルE−1へ移動する場合も、基地局200−11がS30からS38までの処理を行うことで処理を実行できる。各基地局200−11〜200−14ではS30からS38までの処理を行うことで、優先端末100−2の移動に応じたパケットロス発生推定区間の推定を行い、P−GW500などともにパケットロスに対する対処方法を実施することもできる。
このように本第2の実施の形態において、基地局200はS−GW400との間で送受信されるパケットデータの到着時間の遅延時間の増加値F(i)に基づいてパケットロスの発生推定区間を予測するようにしている。基地局200においてパケットロスの発生推定区間を予測しているため、パケットロスの発生有無を予測する場合と比較して、基地局200やP−GW500において種々の対処方法を実施することが可能となる。例えば、パケットロス発生推定区間が所定値よりも長いときとそうでないときで異なる対処方法を実施することができるが(例えば、図8のS16とS19)、パケットロス発生の有無だけでは、パケットロスに対する様々な対処方法を実施することができない場合もある。通信システム10ではこのような対処方法を実施することで、パケットロスに対して最適な対処方法を実施することができ、最適な対処方法によって、一定以上の通信品質を確保することできる。
[その他の実施の形態]
図11は基地局200のハードウェアの構成例を表す図である。基地局200は、CPU(Central Processing Unit)250、ROM(Read Only Memory)251、RAM(Random Access Memory)252、メモリ253、無線部254、アンテナ255、インタフェース256を備える。CPU250とROM251、RAM252、及びメモリ253は内部バス257を介して互いに接続される。
CPU250は、ROM251からプログラムを読み出してRAM252へロードし、ロードしたプログラムを実行することで、例えば、BB処理部222とCNT221、及びインタフェース223の機能を実行する。CPU250は、例えば、第2の実施の形態におけるBB処理部222とCNT221、及びインタフェース223に対応する。
また、無線部254は、例えば、第2の実施の形態におけるRF部210に対応する。
インタフェース256は、CPU250から出力されたデータや制御信号などをS−GW400へ送信可能なフォーマットのパケットデータに変換して出力する。また、インタフェース256は、S−GW400から送信されたパケットデータを受信し、パケットデータからデータや制御信号などを抽出してCPU250へ出力する。インタフェース256は、例えば、第2の実施の形態におけるCNT221に対応する。
図11の例では、CPU250を例にして説明したが、CPU240以外のMPU(Micro Processing Unit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などのコントローラであってもよい。
上述した実施の形態において、パケットロス推定機能部225は基地局200に設けられている例を説明した。例えば、パケットロス推定機能部225は、S−GW400、P−GW500など画像フレームデータを中継する通信装置に設けられていてもよい。この場合、S−GW400、P−GW500において、パケットロス発生推定区間を推定して、基地局200やP−GW500に対して無線リソースの管理やパケットデータの流量制御を行わせるようにしてもよい。
以上まとめると付記のようになる。
(付記1)
端末装置との間で第1及び第2の画像フレームデータを送受信する通信装置において、
前記第1及び第2の画像フレームデータを一定間隔でホスト装置から受信した場合の前記第2の画像フレームデータを受信した受信時間を示す第1の受信時間に対して、前記一定間隔より長い時間で前記第2の画像フレームデータをホスト装置から受信した場合の受信時間を示す第2の受信時間の前記第1の受信時間に対する遅延時間の増加値に基づいて、前記第1及び第2の画像フレームに含まれるパケットデータの損失が継続する時間を示すパケットロス発生推定区間を推定するパケットロス推定部
を備えることを特徴とする通信装置。
(付記2)
更に、前記パケットロス発生推定区間に基づいて、前記端末装置に対して送受信される前記パケットデータのデータ量を制限する閾値を変更する制御部を備えることを特徴とする付記1記載の通信装置。
(付記3)
更に、前記パケットロス発生推定区間に基づいて、前記端末装置との間で送受信される前記パケットデータのデータ量を制御する第1又は第2の通信制御を行う制御部を備えることを特徴とする付記1記載の通信装置。
(付記4)
前記制御部は、前記パケットロス発生推定区間が所定時間以上のとき前記第1の通信制御を行い、前記パケットロス発生推定区間が前記所定時間より短いとき前記第2の通信制御を行い、
前記第1の通信制御は前記第2の通信制御よりも前記パケットデータに対する通信制限が高いことを特徴とする付記3記載の通信装置。
(付記5)
前記制御部は、前記ホスト装置と前記通信装置との間で送受信される前記パケットデータを中継し、前記パケットデータを管理するゲートウェイ装置へ、前記パケットロス発生推定区間を送信することを特徴とする付記1記載の通信装置。
(付記6)
前記制御部は、前記パケットロス発生推定区間を前記ゲートウェイ装置へ送信することで、前記ゲートウェイ装置において送受信される前記パケットデータのデータ量の制御を行わせることを特徴とする付記1記載の通信装置。
(付記7)
前記パケットロス発生推定区間は、前記遅延時間の増加値の一次関数で表されることを特徴とする付記1記載の通信装置。
(付記8)
前記パケットロス発生推定区間をP、前記遅延時間の増加値をFとすると、前記パケットロス発生推定区間Pは、nとcを定数として、
で表されることを特徴とする付記1記載の通信装置。
(付記9)
端末装置との間で第1及び第2の画像フレームデータを送受信する通信装置におけるパケットロス発生推定区間の推定方法であって、
パケットロス推定部により、前記第1及び第2の画像フレームデータを一定間隔でホスト装置から受信した場合の前記第2の画像フレームデータを受信した受信時間を示す第1の受信時間に対して、前記一定間隔より長い時間で前記第2の画像フレームデータをホスト装置から受信した場合の受信時間を示す第2の受信時間の前記第1の受信時間に対する遅延時間の増加値に基づいて、前記第1及び第2の画像フレームに含まれるパケットデータの損失が継続する時間を示すパケットロス発生推定区間を推定する
ことを特徴とする推定方法。
(付記10)
端末装置との間で第1及び第2の画像フレームデータを送受信する通信装置において、
前記第1及び第2の画像フレームデータを一定間隔でホスト装置から受信した場合の前記第2の画像フレームデータを受信した受信時間を示す第1の受信時間に対して、前記一定間隔より長い時間で前記第2の画像フレームデータをホスト装置から受信した場合の受信時間を示す第2の受信時間の前記第1の受信時間に対する遅延時間の増加値に基づいて、前記第1及び第2の画像フレームに含まれるパケットデータの損失が継続する時間を示すパケットロス発生推定区間を推定するコントローラ
を備えることを特徴とする通信装置。