JP6437305B2 - フライアッシュの流動性評価方法、およびフライアッシュ混合セメントの製造方法 - Google Patents
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Description
なお、本発明において、フライアッシュを含むコンクリート、モルタル、およびセメントペーストの流動性を、単に、フライアッシュの流動性という。
[1]測定したフライアッシュ粒子の全粒子数に対する、面積円形度が0.5以上および投影面積が100μm2以下であるフライアッシュ粒子の粒子数の比率が90%未満であるフライアッシュを、高流動性フライアッシュとして評価する、フライアッシュの流動性評価方法。
[2]測定したフライアッシュ粒子の全粒子数に対する、フライアッシュ粒子の面積円形度が0.5以上およびフライアッシュ粒子の投影面積が100μm2以下であるフライアッシュ粒子の粒子数の比率と、フライアッシュ粒子の面積円形度の分散とに基づき、フライアッシュの流動性を評価する、フライアッシュの流動性評価方法。
[3]測定したフライアッシュ粒子の全粒子数に対する、前記面積円形度が0.5以上および前記投影面積が100μm2以下であるフライアッシュ粒子の粒子数の比率が99%未満であって、かつ下記の取得方法により得られる前記面積円形度の分散の積算値が0.01以上であるフライアッシュを、高流動性フライアッシュとして評価する、前記[2]に記載のフライアッシュの流動性評価方法。
<面積円形度の分散の積算値の取得方法>
フライアッシュ粒子の面積円形度を縦軸にとり、
フライアッシュ粒子の投影面積を横軸にとり、
該縦軸および横軸に垂直な第三の軸である度数(すなわち粒子数)の軸をとり、
フライアッシュ粒子の投影面積毎に、フライアッシュ粒子の度数分布から面積円形度の分散を求め、
さらに、該面積円形度の分散を縦軸に、フライアッシュ粒子の投影面積を横軸にとった座標上に描かれた、前記面積円形度の分散を示す曲線を、投影面積が1μm 2 以下の領域で積分することにより、面積円形度の分散の積算値を取得する方法
[4]前記[1]〜[3]のいずれかに記載のフライアッシュの流動性評価方法を用いてフライアッシュを評価し、高流動性フライアッシュとして評価されたフライアッシュと、セメントを混合してフライアッシュ混合セメントを製造する、フライアッシュ混合セメントの製造方法。
(1)フライアッシュ粒子の面積円形度および投影面積
初めに、フライアッシュ粒子の面積円形度とフライアッシュ粒子の投影面積とに基づく、フライアッシュの流動性評価方法について説明する。
フライアッシュ粒子の面積円形度とは、(4π×フライアッシュ粒子の投影面積)/(フライアッシュ粒子の投影の周囲の長さの2乗)であり、フライアッシュ粒子の形状が球に近づく程、面積円形度は1に近づく。
また、フライアッシュ粒子の投影面積とは、該粒子に真上から平行光線を投光したときに、下の平面に映った該粒子の影の面積をいい、また、フライアッシュ粒子の投影の周囲の長さとは、該粒子に真上から平行光線を投光したときに、下の平面に映った該粒子の影の周囲の長さをいう。
なお、上記特定粒子比率の下限値は70%である。該特定粒子比率が70%未満では、コンクリートの強度発現性等が低下するおそれがある。
次に、特定粒子比率と、フライアッシュ粒子の面積円形度の分散とに基づく、フライアッシュの流動性評価方法について説明する。
図1は、フライアッシュ粒子の面積円形度を縦軸にとり、フライアッシュ粒子の投影面積を横軸にとった座標上で、フライアッシュ粒子の分布の状況を示している。そして、図1の縦軸および横軸に垂直な第三の軸である度数(すなわち粒子数)の軸をとり、フライアッシュ粒子の投影面積毎に、フライアッシュ粒子の度数分布から分散を求めた。そして、図2は、該分散を縦軸に、フライアッシュ粒子の投影面積を横軸にとった座標上に、前記分散を表す曲線を示したグラフである。
前記面積円形度の分散の積算値とは、投影面積が1μm2以下の領域で面積円形度の分散を示す曲線を積分した値であり、台形公式等の数値積分により求めることができる。
本発明の高流動性フライアッシュは、前記[1]〜[4]に記載のいずれかのフライアッシュの流動性評価方法を用いて、高流動性フライアッシュとして評価されたフライアッシュからなるものである。
また、本発明のフライアッシュ混合セメントは、セメントと、前記高流動性フライアッシュとを混合してなる混合セメントである。前記セメントは、特に制限されず、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、高炉セメント、シリカセメント、およびエコセメントからなる群から選ばれる1種以上である。また、前記セメントと、前記高流動性フライアッシュの混合装置は、ボールミルやヘンシェルミキサ等を用いることができる。
1.使用材料
表1に示す産地やロットの異なるフライアッシュA〜Hを使用した。
フライアッシュA〜Hのそれぞれ50,000粒を対象にして、乾式分級装置を用いて一粒一粒が分散した状態にした後、光学顕微鏡によりフライアッシュ粒子の画像を撮影して解析した。該画像の撮影と解析にはマルバーン社製の「Morphologi G3」を使用した。フライアッシュA〜Hの面積円形度が0.5以上および投影面積が100μm2以下のフライアッシュ粒子の分布状況を図1に示す。また、50,000粒中の面積円形度が0.5以上および投影面積が100μm2以下のフライアッシュ粒子の比率(特定粒子比率(%))を表2に示す。
フライアッシュA〜Hの流動性を確認するため、該フライアッシュを含むモルタルを用いてフロー試験を行った。具体的には、フライアッシュA〜Hのそれぞれ25質量%と、普通ポルトランドセメント75質量%とを混合した後、JIS R 5201「セメントの物理試験方法」に準拠してモルタルを作製し、フロー試験を行った。得られたフロー値を表2に示す。
(1)フライアッシュ粒子の面積円形度とフライアッシュ粒子の投影面積とに基づくフライアッシュの流動性評価方法では、特定粒子比率が90%未満のフライアッシュA、C、D、およびHは、フライアッシュを使用していないモルタルよりも流動性が向上している。よって、特定粒子比率が90%未満のフライアッシュは、高流動性フライアッシュとして評価できる。
また、
(2)特定粒子比率とフライアッシュ粒子の面積円形度の分散とに基づくフライアッシュの流動性評価方法では、特定粒子比率が99%未満かつ面積円形度の分散の積算値が0.01以上のフライアッシュA、C、D、E、およびHは、フライアッシュを使用していないモルタルよりも流動性が向上している。よって、特定粒子比率が99%未満かつ面積円形度の分散の積算値が0.01以上のフライアッシュは、高流動性フライアッシュとして評価できる。
なお、この特定粒子比率とフライアッシュ粒子の面積円形度の分散とに基づくフライアッシュの流動性評価方法は、上記特定粒子比率のみから評価する方法では高流動性フライアッシュとして評価されなかったフライアッシュEを高流動性フライアッシュとして評価でき、特定粒子比率のみから評価する方法よりも評価の精度が高い。
Claims (4)
- 測定したフライアッシュ粒子の全粒子数に対する、面積円形度が0.5以上および投影面積が100μm2以下であるフライアッシュ粒子の粒子数の比率が90%未満であるフライアッシュを、高流動性フライアッシュとして評価する、フライアッシュの流動性評価方法。
- 測定したフライアッシュ粒子の全粒子数に対する、フライアッシュ粒子の面積円形度が0.5以上およびフライアッシュ粒子の投影面積が100μm2以下であるフライアッシュ粒子の粒子数の比率と、フライアッシュ粒子の面積円形度の分散とに基づき、フライアッシュの流動性を評価する、フライアッシュの流動性評価方法。
- 測定したフライアッシュ粒子の全粒子数に対する、前記面積円形度が0.5以上および前記投影面積が100μm2以下であるフライアッシュ粒子の粒子数の比率が99%未満であって、かつ下記の取得方法により得られる前記面積円形度の分散の積算値が0.01以上であるフライアッシュを、高流動性フライアッシュとして評価する、請求項2に記載のフライアッシュの流動性評価方法。
<面積円形度の分散の積算値の取得方法>
フライアッシュ粒子の面積円形度を縦軸にとり、
フライアッシュ粒子の投影面積を横軸にとり、
該縦軸および横軸に垂直な第三の軸である度数(すなわち粒子数)の軸をとり、
フライアッシュ粒子の投影面積毎に、フライアッシュ粒子の度数分布から面積円形度の分散を求め、
さらに、該面積円形度の分散を縦軸に、フライアッシュ粒子の投影面積を横軸にとった座標上に描かれた、前記面積円形度の分散を示す曲線を、投影面積が1μm 2 以下の領域で積分することにより、面積円形度の分散の積算値を取得する方法 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載のフライアッシュの流動性評価方法を用いてフライアッシュを評価し、高流動性フライアッシュとして評価されたフライアッシュと、セメントを混合してフライアッシュ混合セメントを製造する、フライアッシュ混合セメントの製造方法。
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