以下、図面に基づき本発明の実施形態に説明する。自走式作業装置として自走式画像形成装置を例にとり、カフェ内にて自走式画像形成装置を利用する場合について説明する。但し、本発明はこの例に限定されるものではない。
図1にカフェ10の一例を示す。カフェ10内には、テーブル、椅子、レジ、食器返却口、商品の受け取り台等の各種施設及び設備が存在する。カフェ10には、アクセスポイントAP、通信制御装置12及び外部接続用のルータ14等が設置されており、例えばWiFiや3G/4G等の通信方式によってインターネットへの接続がなされる。
例えば、利用者Aはカフェ10内に入り、モバイル機器等の携帯端末機器20を操作することでインターネットに接続したとする。カフェ10内には例えば少なくとも3つのアクセスポイントAPが設置されており、各アクセスポイントAPは電波の強弱を検知する(図1に示す破線の円)。通信制御装置12は、各アクセスポイントAPから信号を受信し、3つ以上のアクセスポイントAPからの信号に基づき携帯端末機器20の位置を推定する。図1に示す例では、通信制御装置12は、3つの円が一致する位置を携帯端末機器20の位置であると推定する。例えば、利用者Aが携帯端末機器20で作業を行い、プリントジョブを指示したとする。この場合、自走式画像形成装置30は、スタート地点から携帯端末機器20(利用者A)の位置(目的地)までの経路を探索し、探索して得られた経路に沿って携帯端末機器20(利用者A)の近傍まで自走し、プリントジョブを実行する。経路の探索方法は、公知の方法が利用される。以下の説明では、一例として、携帯端末機器20によってプリントジョブが指示され、自走式画像形成装置30がプリントジョブを実行する場合について説明する。但し、この発明はプリントジョブの実行に限定されるものではない。
図2に、本実施形態に係るシステムの一例を示す。通信経路としてのネットワークNには、通信制御装置12、リモートPC200及びサーバ100が接続されている。これにより、例えばクラウドコンピューティングが構成される。複数のリモートPC200及びサーバ100が、ネットワークNに接続されていてもよい。なお、図2においては、アクセスポイントAP及びルータ14は省略されている。
通信制御装置12は、アクセスポイントAPを介して携帯端末機器20及び自走式画像形成装置30と通信を行い、ルータ14及びネットワークNを介してリモートPC200及びサーバ100と通信を行う。また、上記のように、通信制御装置12は、アクセスポイントAPからの信号に基づき携帯端末機器20の位置を推定する。
携帯端末機器20は、通信制御装置12を介して外部のリモートPC200やサーバ100にアクセスする。携帯端末機器20のネットワークハードウェアには、物理アドレスであるMACアドレス等の機器固有の識別情報が割り当てられており、MACアドレス等の情報によって携帯端末機器20が一意に特定される。また、携帯端末機器20には、例えばDHCPサーバによって論理アドレスとしてのIPアドレスが割り当てられ、これにより、例えばパケット通信が行われる。
例えば、利用者Aが携帯端末機器20でプリントジョブを指示した場合、携帯端末機器20は、プリントジョブを示す制御情報と当該携帯端末機器20のMACアドレスとを通信制御装置12に送信する。通信制御装置12は、当該制御情報とMACアドレスとを、ネットワークNを介してサーバ100に送信する。
自走式画像形成装置30は、例えば受信したデータを印刷するプリント機能及び走行機能を備えている。例えば、携帯端末機器20によってプリントジョブが指示された場合、通信制御装置12は、プリント対象のデータをサーバ100から受信し、プリント対象のデータ、プリントジョブを示す制御信号及び携帯端末機器20の位置情報を自走式画像形成装置30に送信する。
リモートPC200は例えばオフィス等に設置されたコンピュータであり、例えば文書データや画像データ等を格納する。
サーバ100は、通信部102、認証部104、画像処理部106、データ格納部108及び課金部110を備えている。
通信部102は例えばネットワークインターフェースであり、ネットワークNを介してデータの送受信を行う。画像処理部106は、文書データや画像データ等に画像処理を施す。データ格納部108は、携帯端末機器20やリモートPC200等から送信された文書データや画像データ等を格納する記憶装置である。課金部110は、プリント等の処理が有料な場合に課金処理を行う。
認証部104は利用者の認証処理を行う。一例として、図示しない記憶部に、携帯端末機器20のMACアドレスと利用者を特定する認証情報(登録認証情報)とが予め関連付けられており、認証部104は、通信制御装置12から送信された認証情報と登録認証情報とを照合することで認証処理を行う。認証情報としては、例えば利用者の氏名、ユーザID、パスワード、利用者の生体情報等が該当する。生体情報としては、例えば、利用者の静脈、指紋、音声、顔、容姿等が該当する。なお、MACアドレス及び登録認証情報は、利用者がカフェ10に入るとき等に予め登録されればよい。認証部104及び課金部110の詳細な処理については後述する。
なお、サーバ100は図示しないCPU等のプロセッサを備えており、当該プロセッサがプログラムを実行することにより、サーバ100の各部の機能が実現される。
次に、図3を参照して、システム全体の動作の概略を説明する。一例として、リモートPC200に格納されているデータを印刷する場合について説明する。
まず、利用者Aは携帯端末機器20を操作することで外部のリモートPC200にログインし、リモートPC200に格納されているプリント対象のデータを指定する(1)。そして、利用者Aは、携帯端末機器20を操作することでデータの格納先(例えばURL)を指定し、プリント対象のデータを格納先に格納する(2)。例えば、サーバ100のデータ格納部108にプリント対象のデータを格納する。なお、携帯端末機器20に記憶されているデータを印刷してもよい。この場合、利用者Aは携帯端末機器20を操作することで、携帯端末機器20に記憶されているデータの中からプリント対象のデータを指定する。携帯端末機器20は、通信制御装置12及びネットワークNを介してプリント対象のデータをサーバ100に送信する。プリント対象のデータは、指定された格納先に格納される。
そして、利用者Aが携帯端末機器20でプリントジョブを指示すると、携帯端末機器20は、プリントジョブを示す制御情報とMACアドレスとを通信制御装置12に送信し(3)、通信制御装置12は、当該制御信号とMACアドレスとをネットワークNを介してサーバ100に送信する(4)。なお、サーバ100の認証部104は、プリントジョブを指示した携帯端末機器20をMACアドレスによって特定し、MACアドレスに関連付けられた登録認証情報を利用することで利用者Aの認証処理を行ってもよい。
サーバ100の画像処理部106は、プリント対象のデータに画像処理を施すことで、PDFファイル等のプリントデータを生成する。そして、サーバ100の通信部102は、携帯端末機器20のMACアドレスが検出されたカフェ10の通信制御装置12へ、プリント対象のデータとプリントジョブを示す制御情報とを送信する(5)。
通信制御装置12は、携帯端末機器20(利用者A)の位置を示す位置情報、プリント対象のデータ及びプリントジョブを示す制御情報を自走式画像形成装置30に送信する(6)。
そして、自走式画像形成装置30は、携帯端末機器20の位置情報に基づきスタート地点から携帯端末機器20までの経路を探索し、探索して得られた経路に沿って携帯端末機器20(利用者A)の近傍まで自走し、プリントジョブを実行する(7)。なお、サーバ100の課金部110は、プリントジョブの実行前又は実行後に課金処理を行ってもよい。
例えば、自走式画像形成装置30は、検知装置によってカフェ10内の初期マップを取得し記憶している。初期マップは、検知装置を使用して予め作成されるものであり、カフェ10の壁、テーブル、椅子及び什器等の配置が初期マップとして作成される。また、自走式画像形成装置30は、移動中にも検知装置によって図4に示す測定マップ10Aを取得する。例えば、利用者A〜D等の一時的な障害物を示す情報が測定マップ10Aに含まれる。自走式画像形成装置30は、初期マップと測定マップ10Aとを比較し、携帯端末機器20の位置を示す位置情報に基づき、図5に示すように、利用者Aの携帯端末機器20までの移動経路Xを決定する。なお、自走式画像形成装置30は、利用者Aが座っている椅子の位置をゴール地点として移動経路Xを決定してもよい。利用者Aが座っている椅子の位置は、初期マップに基づき特定すればよい。そして、自走式画像形成装置30は、移動経路Xに沿って利用者Aの近傍(利用者Aの携帯端末機器20の近傍)まで自走し、プリントジョブを実行する。
次に、自走式画像形成装置30の構成を説明する。図6に自走式画像形成装置30の外観を示す。図6(a)は自走式画像形成装置30の正面図であり、図6(b)は自走式画像形成装置30の側面図である。
自走式画像形成装置30の筺体32の上面には格納部34が設けられている。格納部34は、筺体32内の画像形成部にて画像が形成されて排出された記録媒体を格納する。筺体32の下部には走行装置36が設けられている。走行装置36は、自走のための駆動部、車輪、電源部及び駆動制御部を含む。筺体32の上部には検知装置38が設けられている。検知装置38は、カメラ、赤外線センサ、超音波センサ、レーザ距離計(LRF)等であり、自走式画像形成装置30と周囲との距離や障害物を検知する。なお、筺体32の下部に検知装置が設けられていてもよく、下部に設けられた検知装置によって、筺体32の下方の障害物等を検知してもよい。操作部40は情報を表示し、また、ユーザの操作を受け付ける。なお、カフェ10内のマップは、カフェ10内に設置されたセンサによって検知された障害物等の情報に基づいて作成されてもよい。
筺体32の前面にはハンドル42が設けられている。例えば、椅子に座った利用者が容易に自走式画像形成装置30を操作しやすいように、ハンドル42は、格納部34及び操作部40と同一の方向に配置され、また、格納部34よりも下の位置に取り付けられている。図6(b)に示すように、ハンドル42は、複数の段階に角度をもって維持される構造を有する。例えば、待機時や移動モード時には、筺体32に対してほぼ平行な角度に維持される。なお、ハンドル42が、利用者の動作に応じて自走式画像形成装置30を利用者側に近づけるためのユーザインターフェースの一例に相当する。
ハンドル42の左右には圧力センサ(左圧力センサ44a、右圧力センサ44b)が取り付けられている。左圧力センサ44a及び右圧力センサ44bは、利用者がハンドル42を持って操作したときの水平方向(X,Y方向)の力を検知する。その検知結果に基づき走行装置36の駆動部を制御することで、左右独立の車輪の駆動を制御する。なお、左圧力センサ44a及び右圧力センサ44bが、ユーザによるハンドルの操作を検知する検知手段の一例に相当する。
図7に、ハンドル42の操作による走行装置36の制御を行うための構成を示す。左圧力センサ44a及び右圧力センサ44bは、外部からの力によって発生するピエゾ抵抗効果による電気抵抗の変化を電気信号に変換し、電気信号を駆動制御部46に出力する。駆動制御部46は、CPU、メモリ、及び、モータを駆動するドライバー部を含む。駆動制御部46は、左圧力センサ44a及び右圧力センサ44bからの信号を合成し、走行装置36の移動方向ベクトル(X方向、Y方向)を数値として求める。駆動制御部46は、この数値に基づき、左右の車輪をそれぞれ駆動する左車輪モータ48a及び右車輪モータ48bの回転方向とトルクとを決定し、左車輪モータ48a及び右車輪モータ48bの駆動を制御する。
図8及び図9を参照して、自走式画像形成装置30の動きを説明する。図8は、ハンドル42に加えられる力の方向及び強さを示す。図9は、自走式画像形成装置30の動きを模式的に示す。例えば利用者がハンドル42を真直ぐ手前(利用者側)に引いた場合、駆動制御部46は、左右同一のトルクで左車輪50a及び右車輪50bを前進させる。また、利用者がハンドル42を右斜めに押した場合には、駆動制御部46は、左車輪50aのトルクを右車輪50bよりも小さくして、左車輪50a及び右車輪50bを後進させる。これにより、自走式画像形成装置30は、左右のトルクの差によって後進しながら左旋回する。また、駆動制御部46は、左車輪50a及び右車輪50bをそれぞれ逆回転させることで、小回りで自走式画像形成装置30を旋回させる。
なお、図6及び図7に示す自走式画像形成装置30の構成は一例であり、走行装置36として車輪以外の構成が用いられてもよい。
図10に、自走式画像形成装置30の機能ブロック図を示す。自走式画像形成装置30は、駆動制御部46、画像形成部60、通信部62、認証部64、記憶部66及び制御部68を備えている。
画像形成部60は、データを印刷するプリント機能を備える。画像形成部60は、プリント機能の他に、コピー機能やファクシミリ機能等のように画像形成装置の一般的な機能を備えていてもよい。また、画像形成部60は、イメージデータ変換等の画像処理を行ってもよい。
通信部62は、アクセスポイントAPを介して図1等に示す通信制御装置12と通信を行う。
認証部64は利用者の認証処理を行う。認証部64は、例えば、Bluetooth(登録商標)(以下、「BT」と称する)やNear Field Communication(以下、「NFC」と称する)等の近距離無線を利用することで他の通信機器と通信を行い、利用者(通信機器)の認証処理を行う。他の通信機器としては、携帯端末機器20や、携帯端末機器20以外の通信機器であって利用者が利用するモバイル機器等が該当する。
一例として、BTを利用する場合について説明する。例えば、認証部64は、Proximity Pairingを利用することで、自走式画像形成装置30に最も近い位置に存在する通信機器と接続する。具体的には、認証部64は、通信機器との間で照会(Inquiry)と照会応答(Inquiry Response)を実施する。このとき、複数の通信機器がカフェ10内に存在する場合、認証部64は、各通信機器からの電波を検知し、受信信号が最大の通信機器を、プリントジョブを指示した利用者の通信機器であると判断する。そして、認証部64は、当該通信機器とPIN番号が不要なモード(例えばBT2.1 Simple Secure Pairing)で接続する。
記憶部66は、初期マップや測定マップ等のマップ情報を記憶する。
制御部68は、自走式画像形成装置30の各部を制御する。例えば、制御部68は、利用者が認証され、利用者によるハンドル42の操作が検知された場合に、プリント開始を画像形成部60に指示する。制御部68は、左圧力センサ44a及び右圧力センサ44bからの検知結果に基づき、利用者のハンドル操作を検知する。また、制御部68は、上記の制御の他、自走式画像形成装置30のスタート地点から目的地までの経路を求めてもよい。
なお、自走式画像形成装置30は図示しないCPU等のプロセッサを備えており、当該プロセッサがプログラムを実行することにより、図10に示す各部の機能が実現される。
[第1実施形態]
次に、図11から図13を参照して第1実施形態を説明する。第1実施形態では、近距離無線の一例としてBTを利用して認証処理を行い、プリントジョブを実行する。
図11に示すフローチャートを参照すると、まず、利用者Aは、携帯端末機器20にてプリント対象のデータを指定した上で、プリントジョブを指示する(S01)。例えば図12に示すように、利用者Aが4人用のテーブル300の椅子に座り、携帯端末機器20にてプリントジョブを指定したとする。これにより、図3を参照して説明したように、携帯端末機器20の位置を示す位置情報、プリント対象のデータ及びプリントジョブを示す制御情報が、自走式画像形成装置30に送信される。
自走式画像形成装置30の制御部68は、自走式画像形成装置30のモードを移動モードに変更する。制御部68は、携帯端末機器20の位置情報に基づきスタート地点から携帯端末機器20までの経路を探索し、当該経路が特定されると(S02,Yes)、自走式画像形成装置30は移動を開始する(S03)。一方、経路が特定されない場合(S02,No)、制御部68は処理を中止する。自走式画像形成装置30は、携帯端末機器20の位置情報を通信制御装置12から受信し続け、携帯端末機器20(利用者A)の位置に変化がない場合(S04,Yes)、携帯端末機器20(利用者A)の近傍の位置(停止位置)まで移動する。例えば図12に示すように、自走式画像形成装置30は、携帯端末機器20(利用者A)の近傍まで移動し、利用者Aに図6に示すハンドル42を向けて停止する。例えば、自走式画像形成装置30は、携帯端末機器20の位置又は利用者Aの椅子の位置を中心に予め設定された範囲(図中の円310)の距離まで接近して停止する。一方、携帯端末機器20の位置に変化がある場合(S04,No)、自走式画像形成装置30は、携帯端末機器20までの経路を探索し、ステップS02からの処理を実行する。
そして、自走式画像形成装置30が停止位置まで移動すると(S05,Yes)、認証部64は、BTを利用したProximity Pairingを開始する(S06)。そして、Pairingが完了した場合(S07,Yes)、認証部64は、受信信号が最大の通信機器と接続し、利用者の認証処理を行う(S08)。例えば、認証部64は、携帯端末機器20や利用者の他のモバイル機器と接続し、利用者の認証処理を行う。このとき、受信信号が最大の通信機器が、利用者Aの機器であると推定される。例えば、自走式画像形成装置30の制御部68は、BTを利用することで、受信信号が最大の携帯端末機器20又は他のモバイル機器にサービスの提供を通知する。サービス提供用のプログラムが携帯端末機器20又は他のモバイル機器に予めインストールされている場合、携帯端末機器20又は他のモバイル機器は、BTによって自走式画像形成装置30からサービス提供の通知を受けると、例えば図12に示すように、認証用の画面22を表示する。利用者Aが「はい」又は「いいえ」を選択すると、携帯端末機器20又は他のモバイル機器は、選択結果をBTによって自走式画像形成装置30に送信する。利用者Aによって「はい」が選択されると、認証部64は認証を完了する(S08,Yes)。一方、利用者Aによって「いいえ」が選択されると、認証は失敗し(S08、No)、制御部68は処理を中止する。また、Pairingが完了しなかった場合も(S07,No)、制御部68は処理を中止する。なお、BTを利用したPairing及び認証処理は、自走式画像形成装置30が停止した後に限らず、停止する前に行われてもよい。
認証部64によって認証されると(S08,Yes)、制御部68は自走式画像形成装置30のモードをハンドルモードに変更する(S09)。そして、利用者Aがハンドル42を操作しハンドル操作が検知されると、制御部68はプリント開始を画像形成部60に指示し、画像形成部60は予め送信されたプリントジョブに従ってプリントを開始する(S11)。予め決定された時間が経過するまでハンドル42が操作されなかった場合(S10、No)、制御部68は処理を中止する。なお、処理を中止する場合、制御部68は、エラーメッセージを操作部40に表示させてもよい。
また、ハンドルモード時には、図13の左側に示すように、自走式画像形成装置30は、ハンドル42を筺体32の前方に傾斜させ、利用者Aにハンドル操作を促してもよい。例えば、ハンドル42を傾斜させるモータ等の駆動部を自走式画像形成装置30に設置しておき、制御部68が、当該駆動部を制御することでハンドルモード時にハンドル42を前方に傾斜させる。一方、移動モード時には、制御部68は、当該駆動部を制御することで自走式画像形成装置30の筺体32に対してハンドル42を平行に維持する。
上述した第1実施形態によると、利用者側に引き寄せるためのハンドル操作に付随してプリントが開始されるため、利用者が特別な操作を行うことなく、簡易な操作でプリント開始の指示がなされる。
また、自走式画像形成装置30が、BTを利用することで利用者Aの認証情報を携帯端末機器20又は利用者Aの他のモバイル機器から受信し、自走式画像形成装置30の認証部64又はサーバ100の認証部104が、当該認証情報に基づき認証処理を行ってもよい。例えば、利用者Aの氏名、ユーザID、パスワードが認証情報として用いられる。自走式画像形成装置30で認証処理を行う場合、サーバ100の通信部102は、プリントジョブを送信した携帯端末機器20のMACアドレスに関連付けられた登録認証情報を、ネットワークN及び通信制御装置12を介して自走式画像形成装置30に送信する。自走式画像形成装置30の認証部64は、BTを利用することで得られた認証情報と登録認証情報とを照合することで認証処理を行う。また、サーバ100で認証処理を行う場合、自走式画像形成装置30の通信部62は、BTを利用することで得られた認証情報を、通信制御装置12及びネットワークNを介してサーバ100に送信する。サーバ100の認証部104は、プリントジョブを送信した携帯端末機器20のMACアドレスに関連付けられた登録認証情報と、自走式画像形成装置30から送信された認証情報とを照合することで認証処理を行う。そして、サーバ100の通信部102は、認証結果を自走式画像形成装置30に送信する。利用者Aが認証された場合、自走式画像形成装置30はプリントジョブを実行し、利用者Aが認証されなかった場合、処理を中止する。
上記のようにプリントジョブを送信した携帯端末機器20のMACアドレスに関連付けられた登録認証情報を用いることで、プリントジョブを送信した携帯端末機器20の利用者が特定されるため、セキュリティが確保される。すなわち、サーバ100には、プリントジョブを送信した携帯端末機器20からMACアドレスが送信されるため、サーバ100では、プリントジョブを送信した携帯端末機器20が特定される。MACアドレスには登録認証情報が関連付けられているため、自走式画像形成装置30がBTを利用することで取得した認証情報と、プリンタジョブを送信した携帯端末機器20のMACアドレスに関連付けられた登録認証情報とを照合することで、BTによって認証情報を送信した携帯端末機器20又は他のモバイル機器の利用者が、プリントジョブを送信した携帯端末機器20の利用者であるか否かの判定がなされる。この判定は、サーバ100の認証部104又は自走式画像形成装置30の認証部64によって行われる。認証情報と登録認証情報とが一致する場合、BTによって認証情報を送信した携帯端末機器20又は他のモバイル機器の利用者と、プリントジョブを送信した携帯端末機器20の利用者とが一致すると判定される。一方、認証情報と登録認証情報とが一致しない場合、BTによって認証情報を送信した携帯端末機器20又は他のモバイル機器の利用者と、プリントジョブを送信した携帯端末機器20の利用者とが一致しないと判定される。このように、自走式画像形成装置30に認証情報を送信した携帯端末機器20又は他のモバイル機器の利用者が、プリントジョブを送信した携帯端末機器20の利用者であるか否かの判定が行われるため、セキュリティが確保される。
例えば、利用者Aが携帯端末機器20を利用してプリントジョブを指示し、別の携帯端末機器を有する利用者Bが利用者Aの近傍に存在するとする。この場合に、利用者Bの携帯端末機器と自走式画像形成装置30との間でBTによる接続がなされ、利用者Bの携帯端末機器から利用者Bの認証情報が自走式画像形成装置30に送信されたとする。このような場合であっても、利用者Aの携帯端末機器20のMACアドレスに関連付けられた登録認証情報と、利用者Bの認証情報とが照合されることになるため、認証は失敗し、プリントジョブは実行されることはない。このように、利用者Aの近傍に別の利用者Bが存在している場合であっても、プリントジョブを指示した利用者Aと別の利用者Bとが区別され、プリントジョブを指示した利用者Aのハンドル操作に応じてプリントが開始されるため、セキュリティが確保される。つまり、利用者Bがハンドルを操作しても、プリントジョブは実行されることはないので、セキュリティが確保される。
[第2実施形態]
次に、図14及び図15を参照して第2実施形態を説明する。第2実施形態では、NFCを利用することで認証処理及び課金処理を行う。NFCを利用する場合、例えば図14(a)に示すように、自走式画像形成装置30のハンドル42にNFC読取装置70が設置される。図14(b)に、ハンドル42内の一部を示す。NFC読取装置70は、NFCアンテナ72と、LED等の光源74と、NFCアンテナ72及び光源74に接続されたNFC制御部76とを備える。NFCアンテナ72及び光源74は、ハンドル42内の表面42aに設置されている。NFC制御部76は、NFCアンテナ72からの受信信号を図10に示す認証部64に出力し、また、光源74の発光を制御する。なお、NFC読取装置70は、自走式画像形成装置30においてハンドル42以外の場所に設置されていてもよい。
NFCを利用した課金処理を行う場合、例えば利用者の氏名やユーザID等の認証情報を、課金サービスに予め登録しておく。例えば、サーバ100の課金部110に、利用者の認証情報を予め登録しておく。
図15に示すフローチャートを参照して、自走式画像形成装置30及びサーバ100の処理を説明する。ここでは既に、自走式画像形成装置30が携帯端末機器20(利用者A)の近傍まで移動し、自走式画像形成装置30のモードがハンドルモードに移行したものとする。
ハンドルモードに移行した後、利用者Aがハンドル42を操作しハンドル操作が検知されると(S20,Yes)、自走式画像形成装置30の制御部68は、自走式画像形成装置30のモードをNFC認証モードに変更する(S21)。一方、予め決定された時間が経過するまでハンドル42が操作されなかった場合(S20,No)、制御部68は処理を中止する。
そして、例えば図14(c)に示すように、利用者Aが、携帯端末機器20又は利用者Aの他のモバイル機器をNFC読取装置70に近付ける又は接触させると、携帯端末機器20又は他のモバイル機器は、利用者Aの認証情報を自走式画像形成装置30に送信する。自走式画像形成装置30は、通信制御装置12及びネットワークNを介して、利用者Aの認証情報をサーバ100に送信する。
サーバ100の認証部104は、プリントジョブを送信した携帯端末機器20のMACアドレスに関連付けられた登録認証情報(利用者Aの登録認証情報)と、自走式画像形成装置30から送信された認証情報とを照合することで認証処理を行う。また、サーバ100の課金部110は、予め登録されている利用者Aの認証情報と、自走式画像形成装置30から送信された認証情報とを照合することで課金処理を行う。
利用者A(携帯端末機器20)が認証され(S22,Yes)、課金部110で決済が完了した場合(S23,Yes)、サーバ100の通信部102は、認証結果及び課金処理結果を示す情報を、ネットワークN及び通信制御装置12を介して自走式画像形成装置30に送信する。これにより、自走式画像形成装置30の制御部68はプリント開始を画像形成部60に指示し、画像形成部60は予め送信されたプリントジョブに従ってプリントを開始する(S24)。一方、利用者Aが認証されない場合(S22,No)又は決済が完了しない場合(S23,No)、制御部68は処理を中止する。利用者Aが認証された場合、自走式画像形成装置30は音を発生させたり、光源を点灯又は点滅させたりしてもよい。なお、自走式画像形成装置30の認証部64が認証処理を行ってもよい。さらに、自走式画像形成装置30が課金処理を行ってもよい。なお、処理を中止する場合、制御部68は、エラーメッセージを操作部40に表示させてもよい。
なお、NFC認証モードに移行した場合、NFC制御部76は、光源74を点灯又は点滅させてもよい。このようにして、NFC認証を利用者に促してもよい。
上述した第2実施形態によると、NFCを利用して認証処理を行うことでセキュリティが確保され、また、NFCを利用して課金処理を行うことで簡易に決済がなされ、利用者の利便性が向上する。
別の例として、課金部110による課金処理を行わずに、自走式画像形成装置30がプリントを開始してもよい。上記のように、自走式画像形成装置30にてハンドル42の操作が検知されると、制御部68は、自走式画像形成装置30のモードをNFC認証モードに変更する。そして、NFCを利用してサーバ100又は自走式画像形成装置30にて認証処理が行われ、利用者Aが認証された場合、自走式画像形成装置30はプリントを開始する。この場合、プリントされた後に現金によって課金を行ってもよい。
更に別の例として、BTによる認証処理とNFCによる課金処理とを組み合わせてもよい。この場合、BTを利用して自走式画像形成装置30又はサーバ100にて認証処理が行われ、利用者Aが認証されると、制御部68は、自走式画像形成装置30のモードをハンドルモードに変更する。そして、自走式画像形成装置30にてハンドル42の操作が検知されると、制御部68は、自走式画像形成装置30のモードをNFC認証モードに移行する。このとき、NFCを利用した認証処理は行われず、課金部110は、利用者Aの認証情報に基づき課金処理を行う。そして、課金部110によって決済がなされると、自走式画像形成装置30はプリントを開始する。
また、自走式画像形成装置30は、認証処理及び課金処理が完了した後、自走式画像形成装置30にてハンドル42の操作が検知された場合に、プリントを開始してよい。
[第3実施形態]
次に、図16から図18を参照して第3実施形態を説明する。第3実施形態では、利用者の生体情報を利用することで認証処理を行う。生体情報を利用する認証処理として、例えば、利用者の静脈を利用する静脈認証や、利用者の指紋を利用する指紋認証が該当する。
静脈認証を利用する場合、例えば図16(a)に示すように、自走式画像形成装置30のハンドル42の表面に静脈読取装置80が設置される。図16(b)に示すように、静脈読取装置80は、自走式画像形成装置30の制御部68に接続されている。静脈読取装置80は利用者の手の静脈を読み取り、静脈情報を制御部68に出力する。静脈情報は、サーバ100の認証部104又は自走式画像形成装置30の認証部64に出力される。このように、ハンドル42に静脈読取装置80を設置しておくことで、静脈読取装置80は、利用者によるハンドル42の操作に伴って、利用者の静脈情報を読み取る。
指紋認証を利用する場合、例えば図17(a)に示すように、自走式画像形成装置30のハンドル42の表面に指紋読取装置82が設置される。図17(b)に示すように、指紋読取装置82は、自走式画像形成装置30の制御部68に接続されている。指紋読取装置82は利用者の指の指紋を読み取り、指紋情報を制御部68に出力する。指紋情報は、サーバ100の認証部104又は自走式画像形成装置30の認証部64に出力される。なお、利用者の親指等が指紋読取装置82の位置に置かれるように、ハンドル42の表面にマーキング又はガイドを設けてもよい。このように、ハンドル42に指紋読取装置82を設置しておくことで、指紋読取装置82は、利用者によるハンドル42の操作に伴って、利用者の指紋情報を読み取る。
利用者の静脈情報及び指紋情報は、携帯端末機器20のMACアドレスに関連付けられてサーバ100に予め登録されている。また、静脈情報や指紋情報等の生体情報を利用して課金処理を行う場合、例えば、サーバ100の課金部110に生体情報を予め登録しておく。
図18に示すフローチャートを参照して、自走式画像形成装置30及びサーバ100の処理を説明する。ここでは既に、自走式画像形成装置30が携帯端末機器20(利用者A)の近傍まで移動し、自走式画像形成装置30のモードがハンドルモードに移行したものとする。
静脈認証を利用する場合、利用者Aが手でハンドル42を操作すると、図16(a)に示す静脈読取装置80は利用者Aの手の静脈を読み取る。利用者Aの静脈が検出されると(S30,Yes)、制御部68は、自走式画像形成装置30のモードを生体認証モードに変更する(S31)。一方、予め決定された時間が経過するまで静脈が読み取られない場合(S30,No)、制御部68は処理を中止する。指紋認証を利用する場合も同様であり、図17(a)に示す指紋読取装置82が利用者Aの指紋を読み取ると、制御部68は、自走式画像形成装置30のモードを生体認証モードに変更する。以下では、静脈認証を例にとって説明するが、指紋認証を用いる場合も同じ処理が行われる。
静脈読取装置80によって利用者Aの静脈が読み取られると、自走式画像形成装置30の通信部62は、通信制御装置12及びネットワークNを介して、利用者Aの静脈情報をサーバ100に送信する。
サーバ100の認証部104は、プリントジョブを送信した携帯端末機器20のMACアドレスに関連付けられた登録認証情報(利用者Aの登録静脈情報)と、自走式画像形成装置30から送信された静脈情報とを照合することで認証処理を行う。また、サーバ100の課金部110は、予め登録されている利用者Aの登録静脈情報と、自走式画像形成装置30から送信された静脈情報とを照合することで課金処理を行う。
利用者Aが認証され(S32,Yes)、課金部110で決済が完了した場合(S33,Yes)、サーバ100の通信部102は、認証結果及び課金処理結果を示す情報を、ネットワークN及び通信制御装置12を介して自走式画像形成装置30に送信する。これにより、自走式画像形成装置30の制御部68はプリント開始を画像形成部60に指示し、画像形成部60は予め送信されたプリントジョブに従ってプリントを開始する(S34)。一方、利用者Aが認証されない場合(S32,No)又は決済が完了しない場合(S33,No)、制御部68は処理を中止する。なお、自走式画像形成装置30の認証部64が静脈情報を利用して認証処理を行ってもよい。さらに、自走式画像形成装置30が課金処理を行ってもよい。また、処理を中止する場合、制御部68は、エラーメッセージを操作部40に表示させてもよい。
上述した第3実施形態によると、ハンドル操作によって自走式画像形成装置30を利用者側に引き寄せるという行為によって、生体情報が読み取られて認証処理が行われるとともに、プリントの指示がなされるため、利用者の利便性が向上する。なお、静脈認証、指紋認証以外にも、顔認証、網膜認証、虹彩認証、声紋認証、又は、まばたき認証(まばたきによる黒目領域の変化量を測定する認証方法)等、生体情報を利用する認証処理ならば第3実施形態に適用可能である。
また、プリントジョブを送信した携帯端末機器20のMACアドレスに関連付けられた登録認証情報(利用者の静脈情報や指紋情報等の登録生体情報)を用いることで、プリントジョブを送信した携帯端末機器20の利用者が特定されるため、セキュリティが向上する。すなわち、MACアドレスには登録生体情報が関連付けられているため、自走式画像形成装置30にて読み取られた生体情報と、プリンタジョブを送信した携帯端末機器20のMACアドレスに関連付けられた登録生体情報とを照合することで、自走式画像形成装置30にて生体情報が読み取られた利用者が、プリントジョブを送信した携帯端末機器20の利用者であるか否かの判定がなされる。生体情報と登録生体情報とが一致する場合、自走式画像形成装置30にて生体情報が読み取られた利用者と、プリントジョブを送信した携帯端末機器20の利用者とが一致すると判定される。一方、生体情報と登録生体情報とが一致しない場合、生体情報が読み取られた利用者と、プリントジョブを送信した携帯端末機器20の利用者とが一致しないと判定される。このように、自走式画像形成装置30にて生体情報が読み取られた利用者が、プリントジョブを送信した携帯端末機器20の利用者であるか否かの判定が行われるため、セキュリティが確保される。従って、仮に、プリントジョブを指示していない別人がハンドル操作を行っても認証されないため、プリントが行われることはない。このように、別人がハンドル操作を行ってプリント開始を指示したとしても、プリントが行われることがないので、セキュリティが確保される。
例えば、利用者Aが携帯端末機器20を利用してプリントジョブを指示し、利用者Aとは別人の利用者Bが自走式画像形成装置30のハンドル42を操作し、利用者Bの生体情報が自走式画像形成装置30によって読み取られたとする。このような場合であっても、利用者Aの携帯端末機器20のMACアドレスに関連付けられた登録生体情報と、利用者Bの生体情報とが照合されることになるため、認証は失敗し、プリントジョブは実行されることはない。このように、プリントジョブを指示した利用者Aと別の利用者Bとが区別され、プリントジョブを指示した利用者Aのハンドル操作に応じてプリントが開始されるため、セキュリティが確保される。つまり、利用者Bがハンドルを操作しても、プリントジョブは実行されることはないので、セキュリティが確保される。
なお、利用者の生体情報を利用した課金処理を行わなくてもよい。この場合、生体情報を利用することで認証処理を行い、別の方法で課金を行う。例えば、第2実施形態のNFCを利用することで課金処理を行ってもよいし、現金で課金を行ってもよい。また、課金処理を行わなくてもよい。
[第4実施形態]
次に、図19及び図20を参照して第4実施形態を説明する。第4実施形態では、利用者の特定の動作(ジェスチャー)を利用することで、自走式画像形成装置の動作を制御する。
図19(a)及び(b)に示すように、第4実施形態に係る自走式画像形成装置30Aは、図6に示す自走式画像形成装置30とは異なり、ハンドル42が筺体32に設置されていない。また、自走式画像形成装置30Aには、カメラ等の撮影部84が設置されている。また、図19(c)に示すように、自走式画像形成装置30Aは、撮影部84に接続された画像処理部86を含む。ハンドル42、撮影部84及び画像処理部86以外の構成については、自走式画像形成装置30Aは自走式画像形成装置30と同じ構成を有する。
撮影部84は自走式画像形成装置30Aの周囲を撮影することで、周囲の静止画像データや動画像データ等の画像データを生成して画像処理部86に出力する。画像処理部86は、画像データを解析することで利用者の動きを検出する。例えば、ジェスチャーと自走式画像形成装置30Aに対する指示とを予め対応付けておき、当該対応付けを示す辞書情報を、図示しない記憶部に予め記憶させておく。ジェスチャーとしては、例えば、移動ジェスチャー、停止ジェスチャー、プリントジェスチャー等がある。移動ジェスチャーは、例えば利用者が自分の方向に指を動かして、自走式画像形成装置30Aを当該方向に移動させるためのジェスチャーである。停止ジェスチャーは、自走式画像形成装置30Aの移動を停止させるためのジェスチャーである。プリントジェスチャーは、自走式画像形成装置30Aにプリント開始を指示するためのジェスチャーである。このような各種ジェスチャーと自走式画像形成装置30Aに対する指示とを予め対応付けておく。画像処理部86は、画像データを解析することでジェスチャーを検出し、検出したジェスチャーに対応する指示を特定し、当該指示を示す指示情報を制御部68に出力する。制御部68は、指示情報に従って自走式画像形成装置30Aの各部を制御する。なお、撮影部84が、利用者の動作を検知する検知手段の一例に相当する。
図20に示すフローチャートを参照して、自走式画像形成装置30A及びサーバ100の処理を説明する。ここでは既に、自走式画像形成装置30Aが携帯端末機器20(利用者A)の近傍まで移動したものとする。
自走式画像形成装置30Aが利用者Aの近傍まで移動してきた後、利用者Aが自走式画像形成装置30Aを利用者A側に移動させる場合、例えば図19(a)に示すように、利用者Aが指を利用者Aの方向に動かしたとする。この場合、撮影部84は、利用者Aを撮影して画像データを画像処理部86に出力する。画像処理部86は、撮影部84によって生成された画像データを解析することで利用者Aの指の動きを検出し、利用者Aのジェスチャーを特定する。この場合、利用者Aのジェスチャーは、移動ジェスチャーであると特定される。そして、利用者Aのジェスチャーが検出されると(S40,Yes)、自走式画像形成装置30Aの制御部68は、自走式画像形成装置30Aのモードをジェスチャー制御モードに変更する(S41)。一方、予め決定された時間が経過するまでジェスチャーが検出されない場合(S40、No)、制御部68は処理を中止する。
ジェスチャー制御モードに移行すると、例えば図7に示す駆動制御部46は、制御部68の制御の下、左車輪モータ48a及び右車輪モータ48bを駆動させることで、自走式画像形成装置30Aを利用者A側に移動させる。そして、図19(b)に示すように、利用者Aが停止ジェスチャーを行うと、画像処理部86は停止ジェスチャーを特定し、駆動制御部46は、制御部68の制御の下、自走式画像形成装置30Aの移動を停止させる。
そして、利用者Aが認証され(S42,Yes)、課金部110で決済が完了した場合(S43,Yes)、画像形成部60は予め送信されたプリントジョブに従ってプリントを開始する(S44)。一方、利用者Aが認証されない場合(S42,No)又は決済が完了しない場合(S43,No)、制御部68は処理を中止する。なお、処理を中止する場合、制御部68は、エラーメッセージを操作部40に表示させてもよい。
ステップS42における認証処理は利用者Aの生体情報に基づいて行われてもよいし、NFCを利用して行われてもよい。生体情報を用いる場合、静脈読取装置や指紋読取装置を自走式画像形成装置30Aに設置すればよい。NFCを利用する場合、NFC読取装置を自走式画像形成装置30Aに設置すればよい。課金処理についても、利用者Aの生体情報を用いてもよいし、NFCを利用してもよい。また、課金処理を行わなくてもよい。
また、顔認証を利用することで利用者Aを認証してもよいし、ジェスチャーに基づき利用者Aを認証してもよい。この場合、利用者の顔又はジェスチャーの画像データを、携帯端末機器20のMACアドレスに関連付けてサーバ100に予め登録しておく。撮影部84によって利用者Aの顔又はジェスチャーが撮影されると、自走式画像形成装置30Aの通信部62は、通信制御装置12及びネットワークNを介して、利用者Aの顔又はジェスチャーの画像データをサーバ100に送信する。サーバ100の認証部104は、プリントジョブを送信した携帯端末機器20のMACアドレスに関連付けられた登録画像データ(利用者Aの顔又はジェスチャーの画像データ)と、自走式画像形成装置30Aから送信された画像データとを照合することで認証処理を行う。ジェスチャーに基づき認証処理を行う場合、ジェスチャーによって認証処理が行われるとともに、自走式画像形成装置30Aへの指示が与えられることになる。例えば、自走式画像形成装置30Aを利用者側に引き寄せるというジェスチャーによって、認証情報としての画像データが生成されて認証処理が行われるとともに、自走式画像形成装置30Aへの指示が与えられる。なお、自走式画像形成装置30Aにて認証処理が行われてもよい。
また、利用者の顔又はジェスチャーを利用して課金処理を行う場合、例えば、サーバ100の課金部110に利用者の顔又はジェスチャーの画像データを予め登録しておく。サーバ100の課金部110は、予め登録されている利用者Aの画像データと、自走式画像形成装置30Aから送信された画像データとを照合することで課金処理を行う。なお、自走式画像形成装置30Aにて課金処理が行われてもよい。
自走式画像形成装置30Aは、利用者Aのプリントジェスチャーが検出された場合に、プリントを開始してもよい。例えば、自走式画像形成装置30Aは、プリントジェスチャーが検出された後に認証及び課金が完了した場合に、プリントを開始してもよいし、認証及び課金が完了した後にプリントジェスチャーが検出された場合に、プリントを開始してもよい。また、自走式画像形成装置30Aは、プリントジェスチャーによって認証処理が行われて利用者が認証された場合に、プリントを開始してもよい。この場合、プリントジェスチャーによって認証処理が行われるとともに、プリント開始が指示されることになる。
上述した第4実施形態によると、利用者のジェスチャーによって自走式画像形成装置30Aに指示が与えられるため、利用者の直感的な操作によって、自走式画像形成装置30Aが利用者側に引き寄せられ、プリント開始の指示がなされるため、利便性が向上する。さらに、利用者の生体情報を利用して認証処理を行う場合にはセキュリティが向上し、また、課金処理を行うことで簡易な方法で決済がなされる。
上述したジェスチャーは利用者の指に限らず、手のひらで行われてもよいし、腕や頭の動き等を利用して行われてもよい。また、利用者の容姿を撮影部84によって撮影し、生成された画像データに基づき、認証処理及び課金処理が行われてもよい。なお、図6に示す自走式画像形成装置30と同様に、ハンドル42が自走式画像形成装置30Aに設置されていてもよい。
[第5実施形態]
次に、図21及び図22を参照して第5実施形態を説明する。第5実施形態では、利用者の音声を利用することで、自走式画像形成装置の動作を制御し、また、認証処理を行う。
図21(a)に示すように、第5実施形態に係る自走式画像形成装置30Bは、図6に示す自走式画像形成装置30とは異なり、ハンドル42が筺体32に設置されていない。また、自走式画像形成装置30Bの筺体32の前面には、指向性のマイクロフォン88が設置されている。また、図21(b)に示すように、自走式画像形成装置30Bは、マイクロフォン88に接続された音声処理部90を含む。ハンドル42、マイクロフォン88及び音声処理部90以外の構成については、自走式画像形成装置30Bは自走式画像形成装置30と同じ構成を有する。
マイクロフォン88は、利用者Aの音声を収集し音声を音声信号に変換して音声処理部90に出力する。音声処理部90は、音声信号に基づき音声認識を行うことで利用者Aの指示を特定する。例えば、音声と自走式画像形成装置30Bに対する指示とを予め対応付けておき、当該対応付けを示す辞書情報を図示しない記憶部に予め記憶させておく。音声の種類としては、例えば、「動け」、「こっち」、「カム」、「止まれ」、「ストップ」、「プリント」等が該当する。「こっち」や「カム」は、音声が発せられた方向に自走式画像形成装置30Bを移動させるための音声である。「止まれ」や「ストップ」は、自走式画像形成装置30Bの移動を停止させるための音声である。「プリント」は、自走式画像形成装置30Bにプリント開始を指示するための音声である。このような各種音声と自走式画像形成装置30Bに対する指示とを予め対応付けておく。音声処理部90は、音声信号を解析することで音声に対応する指示を特定し、当該指示に対応する指示情報を制御部68に出力する。制御部68は、指示情報に従って自走式画像形成装置30Bの各部を制御する。なお、マイクロフォン88が、利用者の音声を検知する検知手段の一例に相当する。
また、音声信号は、サーバ100の認証部104又は自走式画像形成装置30Bの認証部64に出力される。利用者の音声信号は、携帯端末機器20のMACアドレスに関連付けられてサーバ100に予め登録されている。また、音声信号を利用して課金処理を行う場合、例えば、サーバ100の課金部110に音声信号を予め登録しておく。
図22に示すフローチャートを参照して、自走式画像形成装置30B及びサーバ100の処理を説明する。ここでは既に、自走式画像形成装置30Bが携帯端末機器20(利用者A)の近傍まで移動したものとする。
自走式画像形成装置30Bが利用者Aの近傍まで移動してきた後、利用者Aが自走式画像形成装置30Bを利用者A側に移動させる場合に、利用者Aが「こっち」等の音声を発したとする。この場合、マイクロフォン88は、利用者Aの音声を収集して音声信号を音声処理部90に出力する。音声処理部90は、マイクロフォン88によって生成された音声信号を解析することで利用者Aの音声の意味(自走式画像形成装置30Bに対する指示内容)を特定する。この場合、利用者Aの「こっち」という音声は、音声が発せられた方向に自走式画像形成装置30Bを移動させるための音声であると特定される。そして、利用者Aの音声が検出されると(S50,Yes)、自走式画像形成装置30Bの制御部68は、自走式画像形成装置30Bのモードを音声制御モードに変更する(S51)。一方、予め決定された時間が経過するまで音声が検出されない場合(S50,No)、制御部68は処理を中止する。
音声制御モードに移行すると、例えば図7に示す駆動制御部46は、制御部68の制御の下、左車輪モータ48a及び右車輪モータ48bを駆動させることで、「こっち」という音声が発せされた方向に自走式画像形成装置30Bを移動させる。そして、利用者Aが、「止まれ」等のように自走式画像形成装置30Bの停止を指示する音声を発した場合、音声処理部90は当該音声を認識し、駆動制御部46は、制御部68の制御の下、自走式画像形成装置30Aの移動を停止させる。なお、駆動制御部46は、音声の大小に応じて自走式画像形成装置30Bの移動速度を変えてもよい。例えば、駆動制御部46は、音声が大きくなるほど移動速度を速くしてもよい。
また、マイクロフォン88によって利用者Aの音声が検出された場合、自走式画像形成装置30Bの通信部62は、通信制御装置12及びネットワークNを介して、利用者Aの音声信号をサーバ100に送信する。
サーバ100の認証部104は、プリントジョブを送信した携帯端末機器20のMACアドレスに関連付けられた登録認証情報(利用者Aの登録音声信号)と、自走式画像形成装置30Bから送信された音声信号とを照合することで認証処理を行う。また、サーバ100の課金部110は、予め登録されている利用者Aの登録音声信号と、自走式画像形成装置30Bから送信された音声信号とを照合することで課金処理を行う。これにより、複数の利用者が存在し、マイクロフォン88が複数の利用者の音声を検出した場合であっても、プリントジョブを指示した利用者Aが特定される。
利用者Aが認証され(S52,Yes)、課金部110で決済が完了した場合(S53,Yes)、サーバ100の通信部102は、認証結果及び課金処理結果を示す情報を、ネットワークN及び通信制御装置12を介して自走式画像形成装置30Bに送信する。これにより、自走式画像形成装置30Bの制御部68はプリント開始を画像形成部60に指示し、画像形成部60は予め送信されたプリントジョブに従ってプリントを開始する(S54)。一方、利用者Aが認証されない場合(S52,No)又は決済が完了しない場合(S53,No)、制御部68は処理を中止する。処理を中止する場合、制御部68は、エラーメッセージを操作部40に表示させてもよい。なお、自走式画像形成装置30Bの認証部64が音声信号を利用して認証処理を行ってもよい。さらに、自走式画像形成装置30Bが課金処理を行ってもよい。
また、自走式画像形成装置30Bは、プリント開始を指示する音声が検出された場合に、プリントを開始してもよい。例えば、自走式画像形成装置30Bは、プリント開始を指示する音声が検出された後に認証及び課金が完了した場合に、プリントを開始してもよいし、認証及び課金が完了した後にプリント開始を指示する音声が検出された場合に、プリントを開始してもよい。また、自走式画像形成装置30Bは、プリント開始を指示する音声によって認証処理が行われて利用者が認証された場合に、プリントを開始してもよい。この場合、プリント開始を指示する音声によって認証処理が行われるとともに、プリント開始が指示されることになる。
なお、認証処理は利用者Aの静脈情報や指紋情報に基づいて行われてもよいし、NFCを利用して行われてもよい。静脈情報や指紋情報を用いる場合、静脈読取装置や指紋読取装置を自走式画像形成装置30Bに設置すればよい。NFCを利用する場合、NFC読取装置を自走式画像形成装置30Bに設置すればよい。課金処理についても、利用者Aの静脈情報や指紋情報を用いてもよいし、NFCを利用してもよい。また、課金処理を行わなくてもよい。
上述した第5実施形態によると、利用者の音声によって自走式画像形成装置30Bに指示が与えられるため、利用者の直感的な操作によって、自走式画像形成装置30Bが利用者側に引き寄せられ、プリント開始の指示がなされるため、利便性が向上する。さらに、利用者の音声を利用して認証処理を行うことで、プリンタを指示した利用者が特定されるため、セキュリティが確保される。
なお、図6に示す自走式画像形成装置30と同様に、ハンドル42が自走式画像形成装置30Bに設置されていてもよい。
上述した第1実施形態から第5実施形態のそれぞれを任意に組み合わせてもよい。例えば、自走式画像形成装置を利用者側に引き寄せる手段と、利用者を認証するために用いられる認証情報とを任意に組み合わせた形態を実施してもよい。
なお、自走式画像形成装置以外の自走式作業装置として、例えば、カフェ等において自走して飲食物を利用者に配達する自走式配達装置にも、上記の実施形態を適用してもよい。この場合、自走式配達装置は利用者の近傍まで自走し、利用者の動作に応じて利用者の近傍から利用者側に引き寄せられ、予め設定された作業を開始する。この作業としては、例えば、配達してきた飲食物を利用者に提供すること等が該当する。また、手術室において自走して医療機器を執刀医へ配達する作業や、工場において自走して部品等を担当者へ配達する作業にも適用してもよい。