<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス装置100の平面図である。第1実施形態の有機エレクトロルミネッセンス装置100は、有機EL材料を利用した発光素子を基板10の面上に形成した有機EL装置である。基板10は、珪素(シリコン)等の半導体材料で形成された板状部材(半導体基板)であり、複数の発光素子が形成される基体(下地)として利用される。図1に例示される通り、基板10の表面は、第1領域12と第2領域14とに区分される。第1領域12は矩形状の領域であり、第2領域14は、第1領域12を包囲する矩形枠状の領域である。
第1領域12には、X方向に延在する複数の走査線22と、X方向に交差するY方向に延在する複数の信号線26とが形成される。複数の走査線22と複数の信号線26との各交差に対応して画素P(Pd,Pe)が形成される。したがって、複数の画素Pは、X方向およびY方向にわたり行列状に配列する。
第2領域14には駆動回路30と複数の実装端子36とガードリング38とが設置される。駆動回路30は、各画素Pを駆動する回路であり、第1領域12をX方向に挟む各位置に設置された2個の走査線駆動回路32と、第2領域14のうちX方向に延在する領域に設置された信号線駆動回路34とを含んで構成される。複数の実装端子36は、信号線駆動回路34を挟んで第1領域12とは反対側の領域内に形成され、基板10に接合される可撓性の配線基板(図示略)を介して制御回路や電源回路等の外部回路(例えば配線基板上に実装された電子回路)に電気的に接続される。
第1実施形態の有機エレクトロルミネッセンス装置100は、基板10の複数個分に相当するサイズの原基板の切断(スクライブ)で複数個が一括的に形成される。図1のガードリング38は、原基板の切断時の衝撃や静電気の影響が駆動回路30または各画素Pに波及することや各基板10の端面(原基板の切断面)からの水分の侵入を防止する。図1に例示される通り、ガードリング38は、駆動回路30と複数の実装端子36と第1領域12とを包囲する環状(矩形枠状)に形成される。
図1の第1領域12は、表示領域16と周辺領域18とに区分される。表示領域16は、各画素Pの駆動により実際に画像が表示される領域である。周辺領域18は、表示領域16を包囲する矩形枠状の領域であり、表示領域16内の各画素Pに構造は類似するが実際には画像の表示に寄与しない画素P(以下「ダミー画素Pd」という)が配置される。周辺領域18内のダミー画素Pdとの表記上の区別を明確化する観点から、以下の説明では、表示領域16内の画素Pを「表示画素Pe」と便宜的に表記する場合がある。表示画素Peは、発光の最小単位となる要素である。
図2は、表示領域16内に位置する各表示画素Peの回路図である。図2に例示される通り、表示画素Peは、発光素子45と、駆動トランジスターTdrと、選択トランジスターTslと、容量素子Cと、発光制御トランジスターTelと、補償トランジスターTcmpとを含んで構成される。なお、本実施形態においては、表示画素Peの各トランジスターT(Tdr,Tel,Tsl,Tcmp)をPチャネル型としたが、Nチャネル型のトランジスターを利用することも可能である。
発光素子45は、有機EL材料の発光層を含む発光機能層46を第1電極(陽極)E1と第2電極(陰極)E2との間に介在させた電気光学素子である。第1電極E1は表示画素Pe毎に個別に形成され、第2電極E2は複数の画素Pにわたり連続する。図2から理解される通り、発光素子45は、第1電源導電体41と第2電源導電体42とを連結する経路上に配置される。第1電源導電体41は、高位側の電源電位Velが供給される電源配線であり、第2電源導電体42は、低位側の電源電位(例えば接地電位)Vctが供給される電源配線である。本実施形態の表示画素Peの回路は、いわゆるカップリング駆動方式と、いわゆる電流プログラミング方式とのいずれの方式によっても駆動することが可能である。まず、カップリング駆動方式による駆動について説明する。
発光制御トランジスターTelは、駆動トランジスターTdrの一対の電流端のうちの他方(ドレインまたはソース)と発光素子45の第1電極E1との導通状態(導通/非導通)を制御するスイッチとして機能する。駆動トランジスターTdrは、自身のゲート-ソース間の電圧に応じた電流量の駆動電流を生成する。発光制御トランジスターTelがオン状態に制御された状態では、駆動電流が駆動トランジスターTdrから発光制御トランジスターTelを経由して発光素子45に供給されることで発光素子45が駆動電流の電流量に応じた輝度で発光し、発光制御トランジスターTelがオフ状態に制御された状態では発光素子45に対する駆動電流の供給が遮断されることで発光素子45は消灯する。発光制御トランジスターTelのゲートは制御線28に接続される。
補償トランジスターTcmpは、駆動トランジスターTdrの閾値電圧の変動を補償する機能を有する。発光制御トランジスターTelがオフ状態で、選択トランジスターTslおよび駆動トランジスターTdrがオン状態に制御された状態において、補償トランジスターTcmpがオン状態に制御されると、駆動トランジスターTdrのゲート電位とドレインまたはソース電位が等しくなり、駆動トランジスターTdrはダイオード接続となる。このため、駆動トランジスターTdrを流れる電流がゲートノードおよび信号線26を充電する。詳細には、電流が、電源線層41→駆動トランジスターTdr→補償トランジスターTcmp→信号線26という経路で流れる。このため、駆動トランジスターTdrがオン状態に制御されることによって互いに接続状態にある信号線26およびゲートノードは、初期状態の電位から上昇する。ただし、上記経路に流れる電流は、駆動トランジスターTdrの閾値電圧を|Vth|とすると、ゲートノードが電位(Vel−|Vth|)に近づくにつれて流れにくくなるので、補償トランジスターTcmpがオフ状態とされる補償期間の終了に至るまでに、信号線26およびゲートノードは電位(Vel−|Vth|)で飽和する。したがって、容量素子Cは、補償トランジスターTcmpがオフ状態とされる補償期間の終了に至るまでに駆動トランジスターTdrの閾値電圧|Vth|を保持することになる。
本実施形態では、水平走査期間内に補償期間と書込期間を有しており、各走査線駆動回路32は、各走査線22に走査信号を供給することで複数の走査線22の各々を水平走査期間毎に順次に選択する。走査線駆動回路32が選択した走査線22に対応する各表示画素Peの選択トランジスターTslはオン状態に遷移する。したがって、各表示画素Peの駆動トランジスターTdrもオン状態に遷移する。また、各走査線駆動回路32は、各制御線27に制御信号を供給することで複数の制御線27の各々を補償期間毎に順次に選択する。走査線駆動回路32が選択した制御線27に対応する各表示画素Peの補償トランジスターTcmpはオン状態に遷移する。そして、容量素子Cは、補償トランジスターTcmpがオフ状態とされる補償期間の終了に至るまでに駆動トランジスターTdrの閾値電圧|Vth|を保持する。各走査線駆動回路32が各制御線27に制御信号を供給することで各表示画素Peの補償トランジスターTcmpをオフ状態に制御すると、信号線26から駆動トランジスターTdrのゲートノードに至るまでの経路はフローティング状態になるものの、容量素子Cによって(Vel−|Vth|)に維持される。次に、信号線駆動回路34は、外部回路から供給される画像信号が表示画素Pe毎に指定する階調に応じた階調電位(データ信号)を書込期間毎に容量素子Crefに対して並列に供給する。そして、階調電位は容量素子Crefを用いてレベルがシフトされ、その電位が信号線26と選択トランジスターTslとを経由して各表示画素Peの駆動トランジスターTdrのゲートに供給される。容量素子Cには駆動トランジスターTdrの閾値電圧|Vth|を補償しつつ階調電位に応じた電圧が保持される。他方、書込期間での走査線22の選択が終了すると、各走査線駆動回路32は、各制御線28に制御信号を供給することで当該制御線28に対応する各表示画素Peの発光制御トランジスターTelをオン状態に制御する。したがって、直前の書込期間で容量素子Cに保持された電圧に応じた駆動電流が駆動トランジスターTdrから発光制御トランジスターTelを経由して発光素子45に供給される。以上のように各発光素子45が階調電位に応じた輝度で発光することで、画像信号が指定する任意の画像が表示領域16に表示される。そして、駆動トランジスターTdrから発光素子45に供給される駆動電流は、閾値電圧の影響が相殺されているため、駆動トランジスターTdrの閾値電圧が表示画素Pe毎にばらついても、そのばらつきが補償されて、階調レベルに応じた電流が発光素子45に供給されるので、表示画面の一様性を損なうような表示ムラの発生を抑えられる結果、高品位の表示が可能になる。
次に、図3を参照して電流プログラミング方式による駆動について説明する。走査線22の走査信号がLレベルになると、選択トランジスターTslがオン状態となる。また、制御線27の制御信号がLレベルになると、補償トランジスターTcmpがオン状態となる。したがって、駆動トランジスターTdrは、ゲート電位と、発光制御トランジスターTelとの接続側のソース電位またはドレイン電位とが等しくなり、ダイオードとして機能する。そして、信号線26のデータ信号がLレベルになると、電流Idataが、電源線層41→駆動トランジスターTdr→補償トランジスターTcmp→信号線26という経路で流れる。また、そのときに、駆動トランジスターTdrのゲートノードの電位に応じた電荷が容量素子Cに蓄積される。
制御線27の制御信号がHレベルになると、補償トランジスターTcmpはオフ状態となる。このとき、容量素子Cの両端の電圧は、電流Idataが流れたときの電圧に保持される。制御線28の制御信号がLレベルとなると、発光制御トランジスターTelがオ
ン状態となり、駆動トランジスターTdrのソース・ドレイン間には、ゲート電圧に応じた電流Ioledが流れる。詳細には、この電流は、電源線層41→駆動トランジスターTdr→発光制御トランジスターTel→発光素子45という経路で流れる。
ここで、発光素子45に流れる電流Ioledは、駆動トランジスターTdrのゲートノードと、電源線層41との接続側のドレインノードまたはソースノードとの間の電圧で定まるが、その電圧は、Lレベルの走査信号によって電流Idataが信号線26に流れたときに、容量素子Cによって保持された電圧である。このため、制御線28の制御信号がLレベルになったときに、発光素子45に流れる電流Ioledは、直前に流れた電流Idataに略一致する。このように、電流プログラミング方式の駆動の場合には、電流Idataによって発光輝度が規定される。なお、走査線22は制御線27と異なる配線としたが、走査線22と制御線27とを一本の配線としてもよい。
第1実施形態の有機エレクトロルミネッセンス装置100の具体的な構造を以下に詳述する。なお、以下の説明で参照する各図面では、説明の便宜のために、各要素の寸法や縮尺を実際の有機エレクトロルミネッセンス装置100とは相違させている。図4は、有機エレクトロルミネッセンス装置100の断面図であり、図5から図13は、有機エレクトロルミネッセンス装置100の各要素を形成する各段階での基板10の表面の様子を表示画素Peの1個分に着目して図示した平面図である。図5から図13のI−I’線を含む断面に対応した断面図が図4に相当する。なお、図5から図13は平面図であるが、各要素の視覚的な把握を容易化する観点から、図4と共通する各要素に図4と同態様のハッチングが便宜的に付加されている。
図4および図5から理解される通り、珪素等の半導体材料で形成された基板10の表面には、表示画素Peの各トランジスターT(Tdr,Tsl,Tel,Tcmp)の能動領域10A(ソース/ドレイン領域)が形成される。能動領域10Aにはイオンが注入される。表示画素Peの各トランジスターT(Tdr,Tsl,Tel,Tcmp)のアクティブ層はソース領域とドレイン領域との間に存在し、能動領域10Aとは別種類のイオンが注入されるが、便宜的に能動領域10Aと一体に記載している。図4および図6から理解される通り、能動領域10Aが形成された基板10の表面は絶縁膜L0(ゲート絶縁膜)で被覆され、各トランジスターTのゲート層G(Gdr,Gsl,Gel,Gcmp)が絶縁膜L0の面上に形成される。各トランジスターTのゲート層Gは、絶縁膜L0を挟んでアクティブ層に対向する。
図4から理解される通り、各トランジスターTのゲート層Gが形成された絶縁膜L0の面上には、複数の絶縁層L(LA〜LD)と複数の導電層(配線層)とを交互に積層した多層配線層が形成される。各絶縁層Lは、例えば珪素化合物(典型的には窒化珪素や酸化珪素)等の絶縁性の無機材料で形成される。なお、以下の説明では、導電層(単層または複数層)の選択的な除去により複数の要素が同一工程で一括的に形成される関係を「同層から形成される」と表記する。
絶縁層LAは、各トランジスターTのゲートGが形成された絶縁膜L0の面上に形成される。図4および図7から理解される通り、絶縁層LAの面上には、走査線22と、選択トランジスターTslの制御線27と、発光制御トランジスターTelの制御線28と、複数の中継電極QB(QB1,QB2,QB3,QB4,QB5,QB6)とが同層から形成される。
図4および図7から理解される通り、中継電極QB1は、絶縁膜L0と絶縁層LAとを貫通する導通孔HA2を介して補償トランジスターTcmpのドレイン領域またはソース領域を形成する能動領域10Aに導通する。中継電極QB2は、絶縁層LAと絶縁膜L0とを貫通する導通孔HA3を介して選択トランジスターTslのソース領域またはドレイン領域を形成する能動領域10Aに導通すると共に、絶縁層LAを貫通する導通孔HB3を介して駆動トランジスターTdrのゲート層Gelに導通する。中継電極QB3は、絶縁膜L0と絶縁層LAとを貫通する導通孔HA4を介して選択トランジスターTslのドレイン領域またはソース領域を形成する能動領域10Aに導通する。中継電極QB4は、絶縁膜L0と絶縁層LAとを貫通する導通孔HA5を介して駆動トランジスターTdrのドレイン領域またはソース領域を形成する能動領域10Aに導通する。中継電極QB5は、絶縁膜L0と絶縁層LAとを貫通する導通孔HA6を介して駆動トランジスターTdrのドレイン領域またはソース領域を形成する能動領域10Aに導通し、絶縁膜L0と絶縁層LAとを貫通する導通孔HA1を介して補償トランジスターTcmpのドレイン領域またはソース領域を形成する能動領域10Aに導通し、かつ、絶縁膜L0と絶縁層LAとを貫通する導通孔HA7を介して発光制御トランジスターTelのドレイン領域またはソース領域を形成する能動領域10Aに導通する。中継電極QB6は、絶縁層LAと絶縁膜L0とを貫通する導通孔HA8を介して発光制御トランジスターTelのソース領域またはドレイン領域を形成する能動領域10Aに導通する。
図7から理解される通り、走査線22は、絶縁層LAを貫通する導通孔HB2を介して選択トランジスターTslのゲート層Gslに導通する。走査線22は、複数の表示画素PeにわたりX方向に直線状に延在し、絶縁層LBにより、後述する信号線26からは電気的に絶縁される。
図7から理解される通り、補償トランジスターTcmpの制御線27は、絶縁層LAを貫通する導通孔HB1を介して補償トランジスターTcmpのゲート層Gcmpに導通する。制御線27は、複数の表示画素PeにわたりX方向に直線状に延在し、絶縁層LBにより後述する信号線26からは電気的に絶縁される。
図7から理解される通り、発光制御トランジスターTelの制御線28は、絶縁層LAに形成された導通孔HB4を介して発光制御トランジスターTelのゲート層Gelに導通する。制御線28は、複数の表示画素PeにわたりX方向に直線状に延在し、絶縁層LAにより後述する信号線26からは電気的に絶縁される。
絶縁層LBは、走査線22と、選択トランジスターTslの制御線27と、発光制御トランジスターTelの制御線28と、複数の中継電極QB(QB1,QB2,QB3,QB4,QB5,QB6)とが形成された絶縁層LAの面上に形成される。図4および図8から理解される通り、絶縁層LBの面上には、信号線26と、複数の中継電極QC(QC1,QB2,QC3)とが形成される。信号線26は、複数の画素PにわたりY方向に直線状に延在し、絶縁層LCにより、後述する第1電源線層41からは電気的に絶縁される。信号線26は、図8から理解される通り、絶縁層LBを貫通する導通孔HC1と、絶縁層LBを貫通する導通孔HC2を介して補償トランジスターTcmpおよび選択トランジスターTslのソース領域またはドレイン領域を形成する能動領域10Aと導通する。また、信号線26は、走査線22と、制御線27と、制御線28との上層の位置を通過するように形成され、選択トランジスターTslのチャネル長の方向(Y方向)に沿って延在する。
中継電極QC1は、絶縁層LBを貫通する導通孔HC3を介して駆動トランジスターTdrのドレイン領域またはソース領域を形成する能動領域10Aに導通する。中継電極QC2は、絶縁層LBを貫通する導通孔HC4を介して駆動トランジスターTdrのゲート層drに導通する。中継電極QC3は、絶縁層LBを貫通する導通孔HC5を介して発光制御トランジスターTelのドレイン領域またはソース領域を形成する能動領域10Aに導通する。
絶縁層LCは、信号線26と、複数の中継電極QC(QC1,QB2,QC3)とが形成された絶縁層LBの面上に形成される。図4および図9から理解される通り、絶縁層LCの面上には、第1電源線層41と、複数の中継電極QD(QD1,QD2)とが形成される。第1電源線層41は、多層配線層内の配線(図示略)を介して、高位側の電源電位Velが供給される実装端子36に導通する。なお、第1電源線層41は、図1に示す第1領域12の表示領域16内に形成される。また、図示を省略するが、第1領域12の周辺領域18内にも別の電源線層が形成される。この電源線層は、多層配線層内の配線(図示略)を介して、低位側の電源電位Vctが供給される実装端子36に導通する。第1電源線層41および低位側の電源電位Vctが供給される電源線層は、例えば銀やアルミニウムを含有する導電材料で例えば100nm程度の膜厚に形成される。
図4、図8および図9から理解される通り、中継電極QD1は、絶縁層LCを貫通する導通孔HD2を介して中継電極QC2に導通する。したがって、図4、図6ないし図8から理解される通り、中継電極QD1は、導通孔HD2と、中継電極QC2と、絶縁層LBを貫通する導通孔HC4と、中継電極QB2と、絶縁層LAを貫通する導通孔HB3とを介して、駆動トランジスターTdrのゲート層Gdrに導通する。
図4、図8および図9から理解される通り、中継電極QD2は、絶縁層LCを貫通する導通孔HD3を介して中継電極QC3に導通する。したがって、図4ないし図8から理解される通り、中継電極QD2は、導通孔HD3と、中継電極QC3と、絶縁層LBを貫通する導通孔HC5と、中継電極QB6と、絶縁膜L0および絶縁層LAを貫通する導通孔HA8とを介して、発光制御トランジスターTelのドレイン領域またはソース領域を形成する能動領域10Aに導通する。後述するように、中継電極QD2よりも上層には複数の中継電極と導通孔が形成され、中継電極QD2はこれらの中継電極と導通孔を介して画素電極と導通する。したがって、中継電極QD2と発光制御トランジスターTelのドレイン領域またはソース領域との導通部は、画素電極導通部として機能している。
第1電源線層41は、前述の通り高位側の電源電位Velが供給される電源配線であり、図9から理解される通り、画素電極導通部(発光制御トランジスターTelと中継電極QD2の導通部)および駆動トランジスターTdrのゲート層導通部(駆動トランジスターTdrと中継電極QD1の導通部)を取り囲むように配置される。また、第1電源線層41は、X方向およびY方向において隣り合う表示画素Pe間において隙間なく連続して形成されたパターンである。
図4、図8および図9から理解される通り、表示領域16内に形成された第1電源線層41は、絶縁層LCを貫通する導通孔HD1を介して中継電極QC1に導通する。したがって、図4ないし図8から理解される通り、第1電源線層41は、絶縁層LBを貫通する導通孔HC3と、中継電極QB4と、絶縁膜L0および絶縁層LAを貫通する導通孔HA5とを介して駆動トランジスターTdrのソース領域またはドレイン領域を形成する能動領域10Aに導通する。
絶縁層LD0は、第1電源線層41と、複数の中継電極QD(QD1,QD2)とが形成された絶縁層LCの面上に形成される。図4および図10から理解される通り、絶縁層LD0の面上には、容量電極層CA0が形成される。さらに、図4および図10から理解される通り、容量電極層CA0が形成された絶縁層LD0の面上には、絶縁層LD1が形成される。絶縁層LD1の面上には、容量電極層CA0と接続された容量電極層CA1と、複数の中継電極QE(QE1,QE2,QE3,QE4)とが形成される。容量電極層CA1は、図10から理解される通り、Y方向においては、中継電極QE1,QE2,QE3と所定の間隔を有し、かつ、中継電極QE4とも所定の間隔を有して配置され、X方向においては、隣り合う表示画素Peの容量電極層CA1と所定の間隔を有して配置された矩形の容量電極層である。容量電極層CA1は、平面視において、駆動トランジスターTdr、選択トランジスターTsl、補償トランジスターTcmp、および発光制御トランジスターTelと重なるように配置される。図4および図10から理解される通り、容量電極層CA1は、絶縁層LD0および絶縁層LD1を貫通する導通孔HE4を介して中継電極QD1に導通する。したがって、容量電極層CA1は、図4、図6ないし図10から理解される通り、導通孔HE4と、中継電極QD1と、導通孔HD2と、中継電極QC2と、導通孔HC4と、中継電極QB2と、導通孔HB3とを介して、駆動トランジスターTdrのゲート層Gdrと導通する。容量電極層CA0は、絶縁層LD1を貫通する複数の導通孔HE70を介して容量電極層CA1と接続される。容量電極層CA0は、絶縁層LD0および絶縁層LD1を貫通する導通孔HE4を取り囲む領域を有する。容量電極層CA0は、容量電極層CA1とほぼ同じ大きさの矩形の容量電極層である。容量電極層CA0と容量電極層CA1は、絶縁層LD0および絶縁層LD1により第1電源線層41と絶縁されている。容量電極層CA0は、図4から理解される通り、容量電極層CA1から吊り下げられた構造を有している。容量電極層CA0は、容量電極層CA1を介して駆動トランジスターTdrのゲート層Gdrに導通する。また、容量電極層CA0が絶縁層LD0を介して対向する第1電源線層41は駆動トランジスターTdrのソース領域またはドレイン領域と導通する。したがって、容量電極層CA0は、図2および図3に示す容量素子Cの第1容量電極C1に相当する。第1電源線層41は、図2および図3に示す容量素子Cの第2容量電極C2に相当する。このような容量素子Cの第1容量電極C1を構成する容量電極層CA0を、容量電極層CA1から吊り下げられた構造とすることにより、容量電極層CA1を単独で用いる場合と比して、容量素子Cの誘電体膜を薄くすることができ、容量素子Cの容量を大きくすることができる。あるいは、容量素子Cの配置の自由度を増すことができる。
図4および図10から理解される通り、中継電極QE1,QE2,QE3は、絶縁層LD0および絶縁層LD1を貫通する導通孔HE1,HE2,HE3を介してそれぞれ電源線層41と導通する。図4、図9および図10から理解される通り、中継電極QE3は、さらに、導通孔HE3と、導通孔HD1と、中継電極QC1と、導通孔HC3と、中継電極QB4と、導通孔HA5とを介して駆動トランジスターTdrのソース領域またはドレイン領域を形成する能動領域10Aに導通する。
図4、図9および図10から理解される通り、中継電極QE4は、絶縁層LD0および絶縁層LD1を貫通する導通孔HE5を介して中継電極QD2に導通する。したがって、中継電極QE4は、画素電極導通部を構成する中継電極の一つであり、図4ないし図10から理解される通り、導通孔HE5と、中継電極QD2と、導通孔HD3と、中継電極QC3と、導通孔HC5と、中継電極QB6と、導通孔HA8とを介して、発光制御トランジスターTelのドレイン領域またはソース領域を形成する能動領域10Aに導通する。
絶縁層LE0は、容量電極層CA1と、複数の中継電極QE(QE1,QE2,QE3,QE4)とが形成された絶縁層LD1の面上に形成される。図4および図11から理解される通り、絶縁層LE0の面上には、上部電源線層43−0が形成される。さらに、図4および図11から理解される通り、上部電源線層43−0が形成された絶縁層LE0の面上には、絶縁層LE1が形成される。
絶縁層LE1の表面には平坦化処理が実行される。平坦化処理には、化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)等の公知の表面処理技術が任意に採用される。平坦化処理で高度に平坦化された絶縁層LE1の表面には、図4および図11に例示される通り、上部電源線層43−0と接続された上部電源線層43−1と、中継電極QF1とが形成される。図4、図10および図11から理解される通り、中継電極QF1は、絶縁層LE0および絶縁層LE1を貫通する導通孔HF4を介して中継電極QE4に導通する。したがって、中継電極QF1は、画素電極導通部を構成する中継電極の一つであり、図4ないし図11から理解される通り、導通孔HF4と、中継電極QE4と、導通孔HE5と、中継電極QD2と、導通孔HD3と、中継電極QC3と、導通孔HC5と、中継電極QB6と、導通孔HA8とを介して、発光制御トランジスターTelのドレイン領域またはソース領域を形成する能動領域10Aに導通する。
上部電源線層43−1は、図11から理解される通り、画素電極導通部(発光制御トランジスターTelと中継電極QF1の導通部)を取り囲むように配置される。また、上部電源線層43−1は、X方向およびY方向において隣り合う表示画素Pe間において隙間なく連続して形成されたパターンである。本実施形態においては、上部電源線層43−1は、反射層としても機能しており、例えば銀やアルミニウムを含有する光反射性の導電材料で例えば100nm程度の膜厚に形成される。上部電源線層43−1は、光反射性の導電材料で形成され、図11に示すように各トランジスターT、各配線、及び各中継電極を覆うように配置される。したがって、外光の侵入が上部電源線層43−1により防止され、光照射に起因した各トランジスターTの電流リークを防止できるという利点がある。
図4から理解される通り、上部電源線層43−0は、絶縁層LE1を貫通する複数の導通孔HF70を介して上部電源線層43−1と接続される。図11から理解される通り、上部電源線層43−0は、Y方向においては、導通孔HF1,HF2,HF3と所定の間隔を有し、かつ、中継電極QF1とも所定の間隔を有して配置され、X方向においては、隣り合う表示画素Peの上部電源線層43−0と所定の間隔を有して配置された矩形の電極層である。上部電源線層43−0と上部電源線層43−1は、絶縁層LE0および絶縁層LE1により容量電極層CA1と絶縁されている。上部電源線層43−0は、図4から理解される通り、上部電源線層43−1から吊り下げられた構造を有している。上部電源線層43−0は、上部電源線層43−1を介して第1電源線層41に導通すると共に、駆動トランジスターTdrのソース領域またはドレイン領域に導通する。また、上部電源線層43−0は、絶縁層LE0および絶縁層LD1を介して容量電極層CA0と対向する。容量電極層CA0は、容量電極層CA1を介して駆動トランジスターTdrのゲート層Gdrに導通する。したがって、上部電源線層43−0は、図2および図3に示す容量素子Cの第2容量電極C2に相当し、容量電極層CA0は図2および図3に示す容量素子Cの第1容量電極C1に相当する。したがって、容量素子Cの第2容量電極C2を構成する上部電源線層43−0を上部電源線層43−1から吊り下げた構造とすることにより、容量素子Cの誘電体膜を薄くでき、容量素子Cの容量を大きくすることができる。上部電源線層43−1を単独で用いる場合と比して、配置の自由度を増すことができる。また、この例では、容量素子Cの第1容量電極C1を構成する容量電極層CA0も上述したように容量電極層CA1から吊り下げた構造なので、全体として容量素子Cの容量をより一層大きくすることができる。以上のように、本実施形態では、第1電源線層41と絶縁層LD0と容量電極層CA0とから構成される容量素子Cと、容量電極層CA0と絶縁層LD1および絶縁層LE0と上部電源線層43−0とから構成される容量素子Cとが、積層方向(Z方向)において積層された構成となっている。
上部電源線層43−1は、図10および図11から理解される通り、絶縁層LE0および絶縁層LE1を貫通する導通孔HF1,HF2,HF3を介して、中継電極QE1,QE2,QE3に導通する。したがって、上部電源線層43−1は、図9ないし図11から理解される通り、中継電極QE1,QE2,QE3と、導通孔HF1,HF2,HF3と、中継電極QE1,QE2,QE3と、絶縁層LD0および絶縁層LD1を貫通する導通孔HE1,HE2,HE3を介して、上部電源線層43−0に導通する。このように、本実施形態においては、導通孔HF1,HF2,HF3と、中継電極QE1,QE2,QE3と、導通孔HF1,HF2,HF3と、中継電極QE1,QE2,QE3と、導通孔HE1,HE2,HE3とから電源間導通部が構成されている。電源間導通部は、走査線22の延在方向(X方向)に並ぶように設けられている。
絶縁層LFは、上部電源線層43−1と、中継電極QF1とが形成された絶縁層LE1の面上に形成される。図4および図12から理解される通り、絶縁層LFの面上には、中継電極QG1が形成される。中継電極QG1は、絶縁層LFを貫通する導通孔HG1を介して中継電極QF1に導通する。したがって、中継電極QG1は、画素電極導通部を構成する中継電極の一つであり、図4ないし図12から理解される通り、導通孔HG1と、中継電極QF1と、導通孔HF4と、中継電極QE4と、導通孔HE5と、中継電極QD2と、導通孔HD3と、中継電極QC3と、導通孔HC5と、中継電極QB6と、導通孔HA8とを介して、発光制御トランジスターTelのドレイン領域またはソース領域を形成する能動領域10Aに導通する。中継電極QG1は、第1電源線層41と中継電極QD2との間隙、上部電源線層43−1と中継電極QF1との間隙を平面視覆うように配置される。したがって、外光の侵入が中継電極QG1により防止され、光照射に起因した各トランジスターTの電流リークを防止できるという利点がある。
図4に例示される通り、中継電極QG1が形成された絶縁層LFの面上には光路調整層60が形成される。光路調整層60は、各表示画素Peの共振構造の共振波長(すなわち表示色)を規定する光透過性の膜体である。表示色が同じ画素では、共振構造の共振波長は略同じであり、表示色が異なる画素では、共振構造の共振波長は異なるように設定される。
図4および図13に例示される通り、光路調整層60の面上には、表示領域16内の表示画素Pe毎の第1電極E1が形成される。第1電極E1は、例えばITO(Indium Tin Oxide)等の光透過性の導電材料で形成される。第1電極E1は、図2および図3を参照して前述した通り、発光素子45の陽極として機能する略矩形状の電極(画素電極)である。第1電極E1は、図4および図13から理解される通り、表示画素Pe毎に光路調整層60に形成された導通孔HH1を介して中継電極QG1に導通する。したがって、図4ないし図13から理解される通り、第1電極E1は、光路調整層60を貫通する導通孔HH1と、中継電極QG1と、導通孔HG1と、中継電極QF1と、導通孔HF4と、中継電極QE4と、導通孔HE5と、中継電極QD2と、導通孔HD3と、中継電極QC3と、導通孔HC5と、中継電極QB6と、導通孔HA8とを介して、発光制御トランジスターTelのドレイン領域またはソース領域を形成する能動領域10Aに導通する。
第1電極E1が形成された光路調整層60の面上には、図4および図14に例示される通り、基板10の全域にわたり画素定義層65が形成される。画素定義層65は、例えば珪素化合物(典型的には窒化珪素や酸化珪素)等の絶縁性の無機材料で形成される。図14から理解される通り、画素定義層65には、表示領域16内の各第1電極E1に対応する開口部65Aが形成される。画素定義層65のうち開口部65Aの内周縁の近傍の領域は第1電極E1の周縁に重なる。すなわち、開口部65Aの内周縁は平面視で第1電極E1の周縁の内側に位置する。各開口部65Aは、平面形状(矩形状)やサイズが共通し、かつ、X方向およびY方向の各々にわたり共通のピッチで行列状に配列する。以上の説明から理解される通り、画素定義層65は平面視で格子状に形成される。尚、開口部65Aの平面形状やサイズは、表示色が同じであれば同じであり、表示色が異なる場合は異なるようにしてもよい。また、開口部65Aのピッチは、表示色が同じ開口部同士では同じであり、表示色が異なる開口部間では異なるようにしてもよい。
その他にも、詳細な説明は省略するが、第1電極E1の上層には、発光機能層46、第2電極E2、および封止体47が積層され、以上の各要素が形成された基板10の表面には封止基板(図示略)が例えば接着剤で接合される。封止基板は、基板10上の各要素を保護するための光透過性の板状部材(例えばガラス基板)である。なお、封止基板の表面または封止体47の表面に表示画素Pe毎にカラーフィルターを形成することも可能である。
以上に説明した通り、本実施形態では、駆動トランジスターTdrのゲート層Gdrに接続された容量電極層CA1と、容量電極層CA1に接続された容量電極層CA0は、駆動トランジスターTdrのゲート層Gdrよりも上層に設けられており、容量電極層CA1および容量電極層CA0と、補償トランジスターTcmpおよび選択トランジスターTslのドレイン領域またはソース領域に接続された信号線26との間に、第1電源線層41が配置されるように構成されている。第1電源線層41は、画素電極である第1電極E1と発光制御トランジスターTelのソース領域またはドレイン領域との導通部、すなわち、画素電極導通部と、駆動トランジスターTdrのゲート導通部とを除き、ほぼ全面に亘って形成されている。したがって、ノイズの発生源となる信号線26と、駆動トランジスターTdrのゲート層Gdrに接続された容量電極層CA1および容量電極層CA0との間のカップリングが抑制される。
また、信号線26の下層には、選択トランジスターTslのゲート層Gslに接続された走査線22が配置されているが、これらの走査線22および信号線26と、容量電極層CA1および容量電極層CA1との間に、第1電源線層41が配置されるように構成されている。第1電源線層41は、信号線26だけでなく、走査線22も覆うように、ほぼ全面に亘って形成されている。したがって、ノイズの発生源となる走査線22および信号線26と、駆動トランジスターTdrのゲート層Gdrに接続された容量電極層CA1および容量電極層CA0との間のカップリングが抑制される。
本実施形態では、容量電極層CA1および容量電極層CA0と、画素電極である第1電極E1との間には、上部電源線層43−1および上部電源線層43−0が配置されている。上部電源線層43−1および上部電源線層43−0は、上述した画素導通部を除き、ほぼ全面に亘って形成されている。したがって、駆動トランジスターTdrのゲート層Gdrに接続された容量電極層CA1および容量電極層CA0と、画素電極である第1電極E1との間のカップリングが抑制される。
画素電極である第1電極E1と発光制御トランジスターTelのソース領域またはドレイン領域との導通部、すなわち、画素電極導通部は、絶縁膜L0および絶縁層LAを貫通する導通孔HA8、中継電極QB6、絶縁層LBを貫通する導通孔HC5、中継電極QC3、絶縁層LCを貫通する導通孔HD3、中継電極QD2、絶縁層LD0および絶縁層LD1を貫通する導通孔HE5、中継電極QE4、絶縁層LE0および絶縁層LE1を貫通する導通孔HF4、中継電極QF1、絶縁層LFを貫通する導通孔HG1、および中継電極QG1により構成されている。これらは、発光制御トランジスターTelのソース配線またはドレイン配線として機能している。つまり、第1電極E1と発光制御トランジスターTelのソース領域またはドレイン領域との導通部は、第1電源線層41と、容量電極層CA1および容量電極層CA0と、上部電源線層43−1および上部電源線層43−0とを貫いて設けられた発光制御トランジスターTelのソース配線またはドレイン配線により構成されている。そして、画素電極である第1電極E1は、光路調整層60を貫通する導通孔HH1を介して発光制御トランジスターTelのソース配線またはドレイン配線に接続されている。したがって、画素電極を発光制御トランジスターTelのソース領域またはドレイン領域の層まで延ばして導通を図る場合と比して、低抵抗で発光制御トランジスターTelのソース領域またはドレイン領域と画素電極である第1電極E1とを接続することができる。
駆動トランジスターTdrと第1電源線層41をつなぐ導通部は、絶縁膜L0および絶縁層LAを貫通する導通孔HA5、中継電極QB4、絶縁層LBを貫通する導通孔HC3、中継電極QC1、絶縁層LCを貫通する導通孔HD1より構成されている。この導通部は、駆動トランジスターTdrのソース配線またはドレイン配線として機能する。このように構成することにより、第1電源線層41を下層に延ばして導通を図る場合と比して、低抵抗で駆動トランジスターTdrと第1電源線層41とを接続することができる。駆動トランジスターTdrと上部電源線層43−0をつなぐ導通部は、絶縁膜L0および絶縁層LAを貫通する導通孔HA5、中継電極QB4、絶縁層LBを貫通する導通孔HC3、中継電極QC1、絶縁層LCを貫通する導通孔HD1、第1電源線層41、絶縁層LD0および絶縁層LD1を貫通する導通孔HE1,HE2,HE3、中継電極QE1,QE2,QE3と、導通孔HF1,HF2,HF3と、及び上部電源線層43−0より構成されている。このように構成することにより、上部電源線層43−0を下層に延ばして導通を図る場合と比して、低抵抗で駆動トランジスターTdrと上部電源線層43−0とを接続することができる。
駆動トランジスターTdrのゲート層Gdrと容量電極層CA0をつなぐ導通部は、絶縁層LAを貫通する導通孔HB3、中継電極QB2、絶縁層LBを貫通する導通孔HC4、中継電極QC2、絶縁層LCを貫通する導通孔HD2、中継電極QD1、絶縁層LD0および絶縁層LD1を貫通する導通孔HE4、容量電極層CA1より構成されている。この導通部は、選択トランジスターTslのソース配線またはドレイン配線であり、走査線22、信号線26、第1電源線層41等が形成された層を貫いて設けられている。したがって、容量電極層CA0を下層に延ばして導通を図る場合と比較して、低抵抗で駆動トランジスターTdrと容量電極層CA1とをつなぐことができる。
容量素子Cについては、上述したように、上部電源線層43−0を第2容量電極C2とし、容量電極層CA0を第1容量電極C1とする第1の容量素子C−1と、第1電源線層41を第2容量電極(電源側容量電極)C2とし、容量電極層CA0を第1容量電極(ゲート電極側容量電極)C1とする第2の容量素子C−2との2種類の容量素子が積層方向(Z方向)に積層された構成となっている。第1の容量素子C−1においては、第2容量電極C2である上部電源線層43−0は、上部電源線層43−1に電気的に接続され、かつ、上部電源線層43−1より下層に配置された構成となっている。上述した例では、一例として、上部電源線層43−1から吊り下げた構造によりこの配置を実現している。したがって、第2容量電極C2として、中継電極と同層に形成される上部電源線層43−1自体を用いる場合と比して、第1の容量素子C−1の誘電体膜を薄くすることができ、第1の容量素子C−1の容量を大きくすることができる。あるいは、第1の容量素子C−1の配置の自由度を高めることができる。
第2の容量素子C−2においては、第1容量電極(ゲート電極側容量電極)C1である容量電極層CA0は、駆動トランジスターTdrのゲート層Gdrに接続されたゲート配線である容量電極層CA1に電気的に接続され、かつ、容量電極層CA1より下層に配置された構成となっている。上述した例では、一例として、容量電極層CA1から吊り下げた構造によりこの配置を実現している。したがって、第1容量電極(ゲート電極側容量電極)C1として、中継電極と同層に形成される容量電極層CA1自体を用いる場合と比して、第2の容量素子C−2の誘電体膜を薄くすることができ、第2の容量素子C−2の容量を大きくすることができる。あるいは、第2の容量素子C−2の配置の自由度を高めることができる。
また、第2の容量素子C−2においては、駆動トランジスターTdrのゲート層Gdrに接続された第1容量電極(ゲート電極側容量電極)C1に相当する容量電極層CA0は、第2容量電極C2に相当する上部電源線層43−0と、走査線22が形成された層との間に配置している。すなわち、走査線22が形成された層側に容量素子Cの第1容量電極C1が配置されることになる。したがって、走査線22が形成された層や上部電源線層43−0とは別に容量電極が形成できるため、設計の自由度を高めることができる。
第1の容量素子C−1においては、第1容量電極(ゲート電極側容量電極)C1に相当する容量電極層CA0は、第2容量電極(電源側容量電極)C2としての第1電源線層41と、画素電極である第1電極E1との間に配置している。すなわち、画素電極側に容量素子Cのうちのゲート電位側に接続される第1容量電極(ゲート電極側容量電極)C1が配置される。また、ゲート電極であるゲート層Gdrが形成された層と、第1容量電極(ゲート電極側容量電極)C1が形成された層との間には、第2容量電極(電源側容量電極)C2としての第1電源線層41が配置されている。この配置を採用することにより、画素電極である第1電極E1に対する走査線22によるノイズを低減できる。また、画素電極である第1電極E1や第1電源線層41とは別に容量電極が形成できるため、設計の自由度を高めることができる。さらに、画素電極である第1電極E1(発光制御トランジスターTelのドレイン領域またはソース領域)の電位は駆動トランジスターTdrや発光素子45の電位に応じて設定されるため、容量電極である第1容量電極(ゲート電極側容量電極)C1の電位は、走査線22側に配置する場合と比して階調電位による変動を受けにくい。
第1の容量素子C−1および第2の容量素子C−2は、平面視において、選択トランジスターTsl、発光制御トランジスターTel、補償トランジスターTcmp、および駆動トランジスターTdrのそれぞれと重なる位置に設けられている。したがって、容量素子の容量を確保しつつ、画素の高密度化を実現することができる。このように、本実施形態によれば、駆動トランジスターTdrのゲート層Gdrよりも上の層を有効に活用して、高密度な画素のための画素構造を提供することができる。
図4、図9ないし図11から理解される通り、第1の電源側容量電極としての第1電源線層41と、第2の電源側容量電極としての上部電源線層43−0に接続された上部電源線層43−1との導通を図る電源間導通部は、絶縁層LD0および絶縁層LD1を貫通する導通孔HE1,HE2,HE3と、中継電極QE1,QE2,QE3と、絶縁層LE0および絶縁層LE1を貫通する導通孔HF1,HF2,HF3とから構成されている。つまり、電源間導通部は、走査線22の延在方向(X方向)に並ぶように設けられているため、したがって、第1電源線層41と上部電源線層43−1との間に配置される容量電極層43−1および容量電極層43−0と、Y方向において隣り合う表示画素Peにおける容量電極層43−1および容量電極層43−0との間に、電源間導通部が配置されることになり、隣り合う容量電極層間のカップリングが抑制されることになる。
電源間導通部は、図15および図16に例示されるように、走査線22の延在方向(X方向)に並ぶように設けるだけでなく、信号線26の延在方向(Y方向)に並ぶように設けてもよい。図15は図10に対応する図であり、図16は図11に対応する図である。図15に示す例では、図10と同様に、電源間導通部は、絶縁層LD0および絶縁層LD1を貫通する導通孔HE1,HE2,HE3と、中継電極QE1,QE2,QE3と、絶縁層LE0および絶縁層LE1を貫通する導通孔HF1,HF2,HF3とから構成されており、走査線22の延在方向(X方向)に並ぶように設けられている。さらに、図15から理解されるように、電源間導通部は、絶縁層LD0および絶縁層LD1を貫通する導通孔HE6,HE7,HE8,HE9,HE10,HE11と、中継電極QE5,QE6,QE7,QE8,QE9,QE10と、絶縁層LE0および絶縁層LE1を貫通する導通孔HF5,HF6,HF7,HF8,HF9,HF10とから構成されており、信号線26の延在方向(Y方向)に並ぶように設けられている。中継電極QE1,QE2,QE3,QE5,QE6,QE7,QE8,QE9,QE10は、絶縁層LD0および絶縁層LD1を貫通する導通孔HE1,HE2,HE3,HE6,HE7,HE8,HE9,HE10,HE11を介して第1電源線層41に導通する。また、図16から理解されるように、中継電極QE1,QE2,QE3,QE5,QE6,QE7,QE8,QE9,QE10は、絶縁層LE0および絶縁層LE1を貫通する導通孔HF1,HF2,HF3,HF5,HF6,HF7,HF8,HF9,HF10を介して、上部電源線層43−1に導通する。したがって、第1電源線層41と上部電源線層43−1との間に配置される容量電極層43−1および容量電極層43−0と、Y方向において隣り合う表示画素Peにおける容量電極層43−1および容量電極層43−0との間だけでなく、容量電極層43−1および容量電極層43−0と、X方向において隣り合う表示画素Peにおける容量電極層43−1および容量電極層43−0との間においても、電源間導通部が配置されることになり、Y方向およびX方向において隣り合う容量電極層間のカップリングが抑制されることになる。
なお、本実施形態においては、駆動トランジスターTdrのゲート層Gdrが形成された層の上層に、走査線22、制御線27、制御線28、およびトランジスター同士を接続する中継電極が配置されている。したがって、これよりも上の層においては、画素電極導通部や駆動トランジスターTdrのゲート導通部を除き、容量素子、電源線層、信号線などを自由に配置することができる。特に、トランジスターのチャネル長方向を制御線と交差する方向とし、駆動トランジスターTdrのゲート層Gdr上の絶縁層LA上に走査線22走査線22、制御線27、制御線28等を配置することが好ましい。このようにすれば、走査線22、制御線27、制御線28等を、選択トランジスターTsl、補償トランジスターTcmp、発光制御トランジスターTelの上の層に配置することができる。また、このような層構造により、走査線22、制御線27、制御線28等と交差する電源線層41や信号線26等を絶縁層LB上に配置しやすくなる。
<第2実施形態>
図17ないし図21を参照しつつ本発明の第2実施形態を説明する。なお、以下に例示する各形態において作用や機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
図17は本実施形態における有機エレクトロルミネッセンス装置100の断面図であり、第1実施形態における図4の断面図に対応している。図17と図4を比較すると明らかなように、本実施形態は、上部電源線層43−1および上部電源線層43−0が設けられておらず、その代わりに、画素電極としての第1電極E1に接続された反射層55が設けられている。本実施形態においては、基板10に形成される各トランジスターT(Tdr,Tsl,Tel,Tcmp)の能動領域10Aから、絶縁層LC上に形成される第1電源線層41までの層構造は図5ないし図9に示す第1実施形態における層構造と共通なので説明を省略する。図18は、第1実施形態における図10に対応する平面図、図20は、第1実施形態における図13に対応する平面図、図21は、第1実施形態における図14に対応する平面図である。図19は本実施形態の特徴部分である反射層55を示す平面図である。
本実施形態においても、図17および図18から理解される通り、第1電源線層41が形成された絶縁層LCの面上には、絶縁層LD0が形成され、絶縁層LD0の面上には、容量電極層CA0が形成される。容量電極層CA0が形成された絶縁層LD0の面上には絶縁層LD1が形成され、絶縁層LD1の面上には容量電極層CA0と接続された容量電極層CA1が形成される。ここまでの層構造は第1実施形態と共通である。そして、図10に対し、電源間導通部(絶縁層LD0および絶縁層LD1を貫通する導通孔HE1,HE2,HE3、中継電極QE1,QE2,QE3、絶縁層LE0および絶縁層LE1を貫通する導通孔HF1,HF2,HF3)が省略されている点で異なり、容量電極層CA0および容量電極層CA1は電源間導通部が設けられていた領域に延ばされて配置されている。したがって、第1電源線層41と絶縁層LD0と容量電極層CA0とから構成される容量素子Cの容量は、第1実施形態と比して大きくすることができる。
本実施形態では、容量電極層CA1が形成された絶縁層LD1の面上には絶縁層LE0が形成され、絶縁層LE0の面上には、図18および図19から理解されるように、反射層55が形成される。反射層55は、第1電極E1と同様、表示画素Pe毎に個別に形成されている。反射層55は、例えば銀やアルミニウムを含有する光反射性の導電材料で例えば100nm程度の膜厚に形成される。図17ないし図19から理解されるように、反射層55は、絶縁層LE0を貫通する導通孔HF4を介して中継電極QE4に導通する。中継電極QE4は第1実施形態で説明したように画素電極導通部を構成する電極である。
反射層55が形成された絶縁層LE0の面上には、光路調整層60が形成される。光路調整層60は、第1実施形態と同様に、各表示画素Peの共振構造の共振波長(すなわち表示色)を規定する光透過性の膜体である。表示色が同じ画素では、共振構造の共振波長は略同じであり、表示色が異なる画素では、共振構造の共振波長は異なるように設定される。
図17および図20に例示される通り、光路調整層60の面上には、表示領域16内の表示画素Pe毎の第1電極E1が形成される。第1電極E1は、例えばITO(Indium Tin Oxide)等の光透過性の導電材料で形成される。第1電極E1は、光路調整層60を貫通する導通孔HH1を介して、反射層55と導通する。したがって、第1電極E1は、反射層55を介して画素電極導通部と導通する。
第1電極E1が形成された光路調整層60の面上には、図17および図21に例示される通り、基板10の全域にわたり画素定義層65が形成される。画素定義層65は、例えば珪素化合物(典型的には窒化珪素や酸化珪素)等の絶縁性の無機材料で形成される。図21から理解される通り、画素定義層65には、表示領域16内の各第1電極E1に対応する開口部65Aが形成される。画素定義層65のうち開口部65Aの内周縁の近傍の領域は第1電極E1の周縁に重なる。すなわち、開口部65Aの内周縁は平面視で第1電極E1の周縁の内側に位置する。各開口部65Aは、平面形状(矩形状)やサイズが共通し、かつ、X方向およびY方向の各々にわたり共通のピッチで行列状に配列する。以上の説明から理解される通り、画素定義層65は平面視で格子状に形成される。尚、開口部65Aの平面形状やサイズは、表示色が同じであれば同じであり、表示色が異なる場合は異なるようにしてもよい。また、開口部65Aのピッチは、表示色が同じ開口部同士では同じであり、表示色が異なる開口部間では異なるようにしてもよい。
その他にも、詳細な説明は省略するが、第1電極E1の上層には、発光機能層46、第2電極E2、および封止体47が積層され、以上の各要素が形成された基板10の表面には封止基板(図示略)が例えば接着剤で接合される。封止基板は、基板10上の各要素を保護するための光透過性の板状部材(例えばガラス基板)である。なお、封止基板の表面または封止体47の表面に表示画素Pe毎にカラーフィルターを形成することも可能である。
以上のように、本実施形態においては、反射層55は画素電極としての第1電極E1と導通しており、第1電源線層41との導通はとられていない。したがって、本実施形態においては、容量電極層CA0と、絶縁層LD0と、第1電源線層41とから容量素子Cが構成されている。反射層55を画素電位とすることで、仮にこれらが短絡したとしても、表示不良の発生を防止することができる。反射層55と画素電極としての第1電極E1との間には光路調整層60が形成されるが、この光路調整層60が薄い画素があったとしても反射層55と画素電極としての第1電極E1との短絡による表示不良の発生を防止することができる。
第1実施形態では、中継電極QG1は、第1電源線層41と中継電極QD2との間隙、上部電源線層43−1と中継電極QF1との間隙を平面視覆うように配置されていたのに対し、本実施形態では、反射層55は、第1電源線層41と中継電極QD2との間隙を覆うように配置されている。したがって、外光の侵入が反射層55により防止され、光照射に起因した各トランジスターTの電流リークを防止できるという利点がある。
その他、第1実施形態との共通の構成については、前述した第1実施形態における効果と同様な効果を奏することができる。また、第2実施形態においても、第1実施形態で説明した変形例と同様な変形例が適用可能である。
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態を説明する。なお、以下に例示する各形態において作用や機能が第1実施形態および第2実施形態と同様である要素については、第1実施形態および第2実施形態の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
第3実施形態の各表示画素Peの回路は、駆動トランジスターTdrと、選択トランジスターTslと、補償トランジスターTcmpと発光制御トランジスターTelを備えている。第1実施形態の回路とは異なり、補償トランジスターTcmp補償トランジスターTcmpのソース領域及びドレイン領域の一方は、駆動トランジスターTdrのゲートノードに接続されている。以下、第3実施形態の有機エレクトロルミネッセンス装置100の具体的な構造について説明する。以下の説明で参照する各図面では、説明の便宜のために、各要素の寸法や縮尺を実際の有機エレクトロルミネッセンス装置100とは相違させている。図22は、有機エレクトロルミネッセンス装置100の断面図であり、図23から図30は、有機エレクトロルミネッセンス装置100の各要素を形成する各段階での基板10の表面の様子を表示画素Peの1個分に着目して図示した平面図である。図23から図30のIII−III’線を含む断面に対応した断面図が図22に相当する。なお、図23から図30は平面図であるが、各要素の視覚的な把握を容易化する観点から、図4と共通する各要素に図22と同態様のハッチングが便宜的に付加されている。
図22および図23から理解される通り、珪素等の半導体材料で形成された基板10の表面には、表示画素Peの各トランジスターT(Tdr,Tsl,Tel,Tcmp)の能動領域10A(ソース/ドレイン領域)が形成される。能動領域10Aにはイオンが注入される。表示画素Peの各トランジスターT(Tdr,Tsl,Tel,Tcmp)のアクティブ層はソース領域とドレイン領域との間に存在し、能動領域10Aとは別種類のイオンが注入されるが、便宜的に能動領域10Aと一体に記載している。第1実施形態とは異なり、駆動トランジスターTdrと発光制御トランジスターTelの能動領域10Aおよびアクティブ層はチャネル長方向(Y方向)に一直線状に並ぶように配置される。図22および図24から理解される通り、能動領域10Aが形成された基板10の表面は絶縁膜L0(ゲート絶縁膜)で被覆され、各トランジスターTのゲート層G(Gdr,Gsl,Gel,Gcmp)が絶縁膜L0の面上に形成される。各トランジスターTのゲート層Gは、絶縁膜L0を挟んでアクティブ層に対向する。
図22から理解される通り、各トランジスターTのゲート層Gおよび下部容量電極層CA1が形成された絶縁膜L0の面上には、複数の絶縁層L(LA〜LD)と複数の導電層(配線層)とを交互に積層した多層配線層が形成される。各絶縁層Lは、例えば珪素化合物(典型的には窒化珪素や酸化珪素)等の絶縁性の無機材料で形成される。なお、以下の説明では、導電層(単層または複数層)の選択的な除去により複数の要素が同一工程で一括的に形成される関係を「同層から形成される」と表記する。
絶縁層LAは、各トランジスターTのゲートGが形成された絶縁膜L0の面上に形成される。図22および図25から理解される通り、絶縁層LAの面上には、走査線22と、選択トランジスターTslの制御線27と、発光制御トランジスターTelの制御線28と、容量電極層CA2と、複数の中継電極QB(QB3,QB4,QB6,QB7)とが同層から形成される。
図22および図25から理解される通り、中継電極QB7は、絶縁膜L0と絶縁層LAとを貫通する導通孔HA1,HA6,HA7を介して、それぞれ補償トランジスターTcmpのドレイン領域またはソース領域を形成する能動領域10A、駆動トランジスターTdrのドレイン領域またはソース領域を形成する能動領域10A、および発光制御トランジスターTdrのドレイン領域またはソース領域を形成する能動領域10Aに導通する。したがって、中継電極QB7は、補償トランジスターTcmpのドレイン領域またはソース領域と駆動トランジスターTdrのドレイン領域またはソース領域と発光制御トランジスターTdrのドレイン領域またはソース領域とを接続する配線部として機能する。
図22および図25から理解される通り、中継電極QB3は、絶縁膜L0と絶縁層LAとを貫通する導通孔HA4を介して選択トランジスターTslのドレイン領域またはソース領域を形成する能動領域10Aに導通する。中継電極QB4は、絶縁膜L0と絶縁層LAとを貫通する導通孔HA5を介して駆動トランジスターTdrのドレイン領域またはソース領域を形成する能動領域10Aに導通する。中継電極QB6は、絶縁層LAと絶縁膜L0とを貫通する導通孔HA8を介して発光制御トランジスターTelのソース領域またはドレイン領域を形成する能動領域10Aに導通する。
図25から理解される通り、走査線22は、絶縁層LAを貫通する導通孔HB2を介して選択トランジスターTslのゲート層Gslに導通する。走査線22は、複数の表示画素PeにわたりX方向に直線状に延在し、絶縁層LBにより、後述する信号線26からは電気的に絶縁される。導通孔HB2は、選択トランジスターTslのゲート層Gslおよびアクティブ層と重なるように配置されている。
図25から理解される通り、補償トランジスターTcmpの制御線27は、絶縁層LAを貫通する導通孔HB1を介して補償トランジスターTcmpのゲート層Gcmpに導通する。制御線27は、複数の表示画素PeにわたりX方向に直線状に延在し、絶縁層LBにより後述する信号線26からは電気的に絶縁される。導通孔HB1は、補償トランジスターTcmpのゲート層Gcmpおよびアクティブ層と重なるように配置されている。
図25から理解される通り、発光制御トランジスターTelの制御線28は、絶縁層LAに形成された導通孔HB4を介して発光制御トランジスターTelのゲート層Gelに導通する。制御線28は、複数の表示画素PeにわたりX方向に直線状に延在し、絶縁層LAにより後述する信号線26からは電気的に絶縁される。導通孔HB4は、発光制御トランジスターTelのゲート層Gelおよびアクティブ層と重なるように配置されている。
図22および図25から理解される通り、本実施形態においては、中継電極QB3,QB4,QB6,QB7、および走査線22、並びに制御線27,28と同層に、容量電極層CA2が形成されている。容量電極層CA2は、絶縁層LAを貫通する導通孔HB3を介して、駆動トランジスターTdrのゲート層Gdrと導通する。また、容量電極層CA2は、絶縁膜L0および絶縁層LAを貫通する導通孔HA2,HA3を介して、それぞれ補償トランジスターTcmpのドレイン領域またはソース領域を形成する能動領域10Aと、選択トランジスターTslのドレイン領域またはソース領域を形成する能動領域10Aに導通する。したがって、容量電極層CA2は、駆動トランジスターTdrのゲート層Gdrと、補償トランジスターTcmpのドレイン領域またはソース領域と、選択トランジスターTslのドレイン領域またはソース領域との配線層としても機能している。導通孔HB3は、駆動トランジスターTdrのゲート層Gdrおよびアクティブ層と重なるように配置されている。
絶縁層LBは、走査線22と、選択トランジスターTslの制御線27と、発光制御トランジスターTelの制御線28と、複数の中継電極QB(QB3,QB4,QB6,QB7)と、容量電極層CA2とが形成された絶縁層LAの面上に形成される。図22および図26から理解される通り、絶縁層LBの面上には、第1電源線層41−0が形成される。さらに、図22から理解される通り、第1電源線層41−0が形成された絶縁層LC0の面上には、絶縁層LC1が形成される。絶縁層LC1の表面には、図22および図26に例示される通り、第1電源線層41−0と接続された第1電源線層41−1と、中継電極QD2と、中継電極QD4とが形成される。図22、図25および図26から理解される通り、中継電極QD2は、絶縁層LBおよび絶縁層LC0を貫通する導通孔HD3を介して中継電極QB6に導通する。中継電極QD2は、画素電極導通部を構成する中継電極の一つであり、図22ないし図26から理解される通り、導通孔HD3と、中継電極QB6と、導通孔HA8とを介して、発光制御トランジスターTelのドレイン領域またはソース領域を形成する能動領域10Aに導通する。
図22、図25および図26から理解される通り、中継電極QD4は、絶縁層LBおよび絶縁層LC0を貫通する導通孔HD4を介して中継電極QB3に導通する。したがって、図22ないし図26から理解される通り、中継電極QD4は、導通孔HD4と、中継電極QB3と、導通孔HA4とを介して、選択トランジスターTslのドレイン領域またはソース領域を形成する能動領域10Aに導通する。
第1電源線層41−1は、図26から理解される通り、画素電極導通部(発光制御トランジスターTelと中継電極QD2の導通部)を取り囲むように配置される。第1電源線層41−1は、図26から理解される通り、中継電極QD4を取り囲むように配置される。また、第1電源線層41−1は、X方向およびY方向において隣り合う表示画素Pe間において隙間なく連続して形成されたパターンである。第1電源線層41は、多層配線層内の配線(図示略)を介して、高位側の電源電位Velが供給される実装端子36に導通する。なお、第1電源線層41−1は、図1に示す第1領域12の表示領域16内に形成される。また、図示を省略するが、第1領域12の周辺領域18内にも別の電源線層が形成される。この電源線層は、多層配線層内の配線(図示略)を介して、低位側の電源電位Vctが供給される実装端子36に導通する。第1電源線層41−1および低位側の電源電位Vctが供給される電源線層は、例えば銀やアルミニウムを含有する導電材料で例えば100nm程度の膜厚に形成される。
第1電源線層41−0は、第1電源線層41−1と接続されている。第1電源線層41−0は、図26から理解される通り、Y方向においては、中継電極と所定の間隔を有し、かつ、導通孔HD5および中継電極QD2,QD4とも所定の間隔を有して配置されている。第1電源線層41−0は、X方向においては、隣り合う表示画素Peの上部電源線層41−0と所定の間隔を有して配置された矩形の電極層である。第1電源線層41−0と第1電源線層41−1は、絶縁層LBおよび絶縁層LC0により容量電極層CA2と絶縁されている。第1電源線層41−0は、図22から理解される通り、第1電源線層41−1から吊り下げられた構造を有している。第1電源線層41−0は、第1電源線層41−1を介して駆動トランジスターTdrのソース領域またはドレイン領域に導通する。また、第1電源線層41−0は、絶縁層LBおよび絶縁層LC0を介して容量電極層CA2と対向する。容量電極層CA2は、導通孔HB3を介して駆動トランジスターTdrのゲート層Gdrに導通する。したがって、第1電源線層41−0は、図2および図3に示す容量素子Cの第2容量電極C2に相当する。容量電極層CA2は図2および図3に示す容量素子Cの第1容量電極C1に相当する。したがって、容量素子Cの第2容量電極C2を構成する第1電源線層41−0を第1電源線層41−1から吊り下げた構造とすることにより、容量素子Cの誘電体膜を薄くでき、容量素子Cの容量を大きくすることができる。第1電源線層41−1を単独で用いる場合と比して、配置の自由度を増すことができる。以上のように、本実施形態では、第1電源線層41−0と絶縁層LBと容量電極層CA2とから容量素子Cが構成される。
第1電源線層41−1は、図22、図25および図26から理解される通り、絶縁層LC0および絶縁層LBを貫通する導通孔HD5を介して、中継電極QB4に導通する。したがって、第1電源線層41−1は、図22ないし図26から理解される通り、導通孔HD5と、中継電極QB4と、導通孔HA5とを介して、駆動トランジスターTdrのソース領域またはドレイン領域に導通する。
絶縁層LDは、第1電源線層41−1と、複数の中継電極QD(QD2,QD4)とが形成された絶縁層LC1の面上に形成される。図22および図27から理解される通り、絶縁層LC1の面上には、信号線26と、中継電極QF1とが形成される。信号線26は、複数の画素PにわたりY方向に直線状に延在し、絶縁層LC1により、第1電源線層41−1からは電気的に絶縁される。信号線26は、図22ないし図27から理解される通り、導通孔HF11と、中継電極QD4と、導通孔HD4と、中継電極QB3と、導通孔HA4とを介して選択トランジスターTslのソース領域またはドレイン領域を形成する能動領域10Aと導通する。また、信号線26は、走査線22と、制御線27と、制御線28との上層の位置を通過するように形成され、選択トランジスターTslのチャネル長の方向(Y方向)に沿って延在する。また、平面視において、信号線26は、選択トランジスターTslおよび補償トランジスターTcmpと重なるように配置されている。したがって、画素の高密度化を図ることができる。また、信号線26は、第1電源線層41−1と中継電極QD4との間隙と、平面視重なるように配置されている。したがって、外光の侵入が信号線26により防止され、光照射に起因した各トランジスターTの電流リークを防止できるという利点がある。
中継電極QF1は、画素電極導通部を構成する中継電極の一つであり、図22ないし図27から理解される通り、絶縁層LC1を貫通する導通孔HF4と、中継電極QD2と、導通孔HD3と、中継電極QB6と、導通孔HA8とを介して、発光制御トランジスターTelのドレイン領域またはソース領域を形成する能動領域10Aに導通する。
絶縁層LDは、信号線26と、中継電極QF1とが形成された絶縁層LC1の面上に形成される。絶縁層LDの表面には平坦化処理が実行される。平坦化処理には、化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)等の公知の表面処理技術が任意に採用される。平坦化処理で高度に平坦化された絶縁層LDの表面には、図22および図28に例示される通り、反射層55が形成される。反射層55は、図27および図28から理解される通り、絶縁層LDを貫通する導通孔HG1を介して、中継電極QF1に導通する。したがって、反射層55は、画素電極導通部(発光制御トランジスターTelと中継電極QF1の導通部)と導通している。反射層55は、第1電極E1と同様、表示画素Pe毎に個別に形成されている。本実施形態においては、反射層55は、例えば銀やアルミニウムを含有する光反射性の導電材料で例えば100nm程度の膜厚に形成される。反射層55は、光反射性の導電材料で形成され、図28に示すように各トランジスターT、各配線、及び各中継電極を覆うように配置される。したがって、外光の侵入が反射層55により防止され、光照射に起因した各トランジスターTの電流リークを防止できるという利点がある。
図22に例示される通り、反射層55が形成された絶縁層LDの面上には光路調整層60が形成される。光路調整層60は、各表示画素Peの共振構造の共振波長(すなわち表示色)を規定する光透過性の膜体である。表示色が同じ画素では、共振構造の共振波長は略同じであり、表示色が異なる画素では、共振構造の共振波長は異なるように設定される。
図22および図29に例示される通り、光路調整層60の面上には、表示領域16内の表示画素Pe毎の第1電極E1が形成される。第1電極E1は、例えばITO(Indium Tin Oxide)等の光透過性の導電材料で形成される。第1電極E1は、図2および図3を参照して前述した通り、発光素子45の陽極として機能する略矩形状の電極(画素電極)である。第1電極E1は、図22および図29から理解される通り、表示画素Pe毎に光路調整層60に形成された導通孔HH1を介して反射層55に導通する。
第1電極E1が形成された光路調整層60の面上には、図22および図30に例示される通り、基板10の全域にわたり画素定義層65が形成される。画素定義層65は、例えば珪素化合物(典型的には窒化珪素や酸化珪素)等の絶縁性の無機材料で形成される。図30から理解される通り、画素定義層65には、表示領域16内の各第1電極E1に対応する開口部65Aが形成される。画素定義層65のうち開口部65Aの内周縁の近傍の領域は第1電極E1の周縁に重なる。すなわち、開口部65Aの内周縁は平面視で第1電極E1の周縁の内側に位置する。各開口部65Aは、平面形状(矩形状)やサイズが共通し、かつ、X方向およびY方向の各々にわたり共通のピッチで行列状に配列する。以上の説明から理解される通り、画素定義層65は平面視で格子状に形成される。尚、開口部65Aの平面形状やサイズは、表示色が同じであれば同じであり、表示色が異なる場合は異なるようにしてもよい。また、開口部65Aのピッチは、表示色が同じ開口部同士では同じであり、表示色が異なる開口部間では異なるようにしてもよい。
その他にも、詳細な説明は省略するが、第1電極E1の上層には、発光機能層46、第2電極E2、および封止体47が積層され、以上の各要素が形成された基板10の表面には封止基板(図示略)が例えば接着剤で接合される。封止基板は、基板10上の各要素を保護するための光透過性の板状部材(例えばガラス基板)である。なお、封止基板の表面または封止体47の表面に表示画素Pe毎にカラーフィルターを形成することも可能である。
以上に説明した通り、本実施形態では、走査線22、制御線27、制御線28、および容量電極層CA2が形成された層と、信号線26が形成された層との間に、第1電源線層41−1が配置された構成となっている。したがって、信号線26と走査線22とのカップリングが第1電源線層41−1によって抑制される。また、信号線26と、各トランジスターまたは容量電極層CA2とのカップリングが第1電源線層41−1によって抑制される。さらに、本実施形態では、容量電極層CA2と、画素電極である第1電極E1との間には、第1電源線層41−1が配置されている。第1電源線層41−1は、上述した画素導通部を除き、ほぼ全面に亘って形成されている。したがって、駆動トランジスターTdrのゲート層Gdrに接続された容量電極層CA2と、画素電極である第1電極E1との間のカップリングが抑制される。
信号線26と、選択トランジスターTslのドレイン領域またはソース領域とを接続する信号線導通部は、上述したように、第1電源線層41−1が形成された層と、走査線22および容量電極層CA2が形成された層とを貫いて設けられている。この信号線導通部は、選択トランジスターTslのドレイン配線またはソース配線である。このように構成することにより、信号線26を下層に延ばして導通を図る場合と比して、低抵抗で選択トランジスターTslと信号線26とを接続することができる。なお、信号線導通部と信号線26は、画素電極導通部を避けて配置されている。
画素電極である第1電極E1と発光制御トランジスターTelのソース領域またはドレイン領域との導通部、すなわち、画素電極導通部は、絶縁膜L0および絶縁層LAを貫通する導通孔HA8、中継電極QB6、絶縁層LBおよび絶縁層LD0を貫通する導通孔HC5、中継電極QD2、絶縁層LC1を貫通する導通孔HF4、中継電極QF1、絶縁層LDを貫通する導通孔HG1、反射層55、および光路調整層60を貫通する導通孔HH1により構成されている。これらは、発光制御トランジスターTelのソース配線またはドレイン配線として機能している。つまり、第1電極E1と発光制御トランジスターTelのソース領域またはドレイン領域との導通部は、第1電源線層41と、容量電極層CA2と、第1電源線層41−1を貫いて設けられた発光制御トランジスターTelのソース配線またはドレイン配線により構成されている。したがって、画素電極を発光制御トランジスターTelのソース領域またはドレイン領域の層まで延ばして導通を図る場合と比して、低抵抗で発光制御トランジスターTelのソース領域またはドレイン領域と画素電極である第1電極E1とを接続することができる。
容量素子Cについては、第1電源線層41−0を第2容量電極C2とし、容量電極層CA2を第1容量電極C1とする容量素子が積層方向(Z方向)に積層された構成となっている。第1の容量素子C−1においては、第2容量電極C2である第1電源線層41−0は、第1電源線層41−1に電気的に接続され、かつ、第1電源線層41−1より下層に配置された構成となっている。上述した例では、一例として、第1電源線層41−1から吊り下げた構造によりこの配置を実現している。したがって、第2容量電極C2として、中継電極と同層に形成される第1電源線層41−1自体を用いる場合と比して、第1の容量素子C−1の誘電体膜を薄くすることができ、第1の容量素子C−1の容量を大きくすることができる。あるいは、第1の容量素子C−1の配置の自由度を高めることができる。
また、容量素子Cは、選択トランジスターTsl、補償トランジスターTcmp、駆動トランジスターTdrと、平面視において重なるように配置される。したがって、画素の高密度化を行い易い。
本実施形態においては、容量電極層CA2は、走査線22が形成される層に形成されている。このような構成にすることにより、第1実施形態および第2実施形態と比して、工程を簡略化することができる。また、走査線22が形成された層の上に第1電源線層41−1を配置し、さらにその上の層に信号線26を配置したので、信号線26を、平面視において、選択トランジスターTslおよび補償トランジスターTcmpと重なるように配置することができる。その結果、画素の高密度化を図ることができる。
本実施形態では、第2実施形態と同様に、反射層55が画素電極である第1電極E1と接続されている。画素電極である第1電極E1の電位は、駆動トランジスターTdrや発光素子45の電位に応じて設定されるため、画素電極である第1電極E1や反射層55の電位は、信号線26の電位の影響を受けにくいという利点がある。
その他、第1実施形態および第2実施形態との共通の構成については、前述した第1実施形態および第2実施形態における効果と同様な効果を奏することができる。また、第3実施形態においても、第1実施形態で説明した変形例と同様な変形例が適用可能である。
<第4実施形態>
本発明の第4実施形態を説明する。なお、以下に例示する各形態において作用や機能が第1実施形態ないし第3実施形態と同様である要素については、第1実施形態ないし第23実施形態の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
第4実施形態の有機エレクトロルミネッセンス装置100の具体的な構造は、第3実施形態の有機エレクトロルミネッセンス装置100の具体的な構造とほぼ同様な構造である。以下、簡略化のため、相違する箇所についてのみ説明する。
図31は、有機エレクトロルミネッセンス装置100の断面図であり、図32から図40は、有機エレクトロルミネッセンス装置100の各要素を形成する各段階での基板10の表面の様子を表示画素Peの1個分に着目して図示した平面図である。図32から図40のIV−IV’線を含む断面に対応した断面図が図31に相当する。なお、図32から図40は平面図であるが、各要素の視覚的な把握を容易化する観点から、図31と共通する各要素に図31と同態様のハッチングが便宜的に付加されている。
第4実施形態は、図31ないし図36から理解される通り、容量電極層CA2および走査線22が形成された層と、信号線26が形成された層との間に、上部容量電極層CA1を配置した構成が第3実施形態と異なっている。容量電極層CA1は、図35から理解される通り、平面視において各トランジスターを覆うように配置された矩形の容量電極層である。図31、図34および図35から理解される通り、容量電極層CA1は、絶縁層LBを貫通する導通孔HC7と、容量電極層CA2と、絶縁層LAを貫通する導通孔HB3とを介して、駆動トランジスターTdrのゲート層Gdrと導通する。したがって、容量電極層CA1は、容量電極層CA2と共に、図2および図3に示す容量素子Cの第1容量電極C1に相当し、第1電源線層41−1は、図2および図3に示す容量素子Cの第2容量電極C2に相当する。
本実施形態においては、以上のように、上部容量電極層CA1を、各トランジスターが形成された層、および走査線22や制御線27,28が形成された層と、信号線26が形成された層との間の層に形成したので、比較的に、上部容量電極層CA1を、トランジスターや配線の配置に縛られることなく配置することができる。また、走査線22や制御線27,28が形成された層との積層も可能であるため、画素の高密度化も容易である。
駆動トランジスターTdrのゲート層Gdrに接続された上部容量電極層CA1は、駆動トランジスターTdrのゲート層Gdrよりも上層に設けられており、上部容量電極層CA1と、信号線26との間には、第1電源線層41−1が配置されるように構成されている。第1電源線層41−1は、画素電極である第1電極E1と発光制御トランジスターTelのソース領域またはドレイン領域との導通部、すなわち、画素電極導通部を除き、ほぼ全面に亘って形成されている。したがって、ノイズの発生源となる信号線26と、駆動トランジスターTdrのゲート層Gdrに接続された上部容量電極層CA1との間のカップリングが抑制される。
本実施形態では、上部容量電極層CA1と、画素電極である第1電極E1との間には、上部電源線層41−1および上部電源線層41−0が配置されている。上部電源線層41−1および上部電源線層41−0は、上述した画素導通部を除き、ほぼ全面に亘って形成されている。したがって、駆動トランジスターTdrのゲート層Gdrに接続された容量電極層CA1と、画素電極である第1電極E1との間のカップリングが抑制される。
画素電極である第1電極E1と発光制御トランジスターTelのソース領域またはドレイン領域との導通部、すなわち、画素電極導通部は、絶縁膜L0および絶縁層LAを貫通する導通孔HA8、中継電極QB6、絶縁層LBを貫通する導通孔HC5、中継電極QC3、絶縁層LCおよび絶縁層LD0を貫通する導通孔HD3、中継電極QD2、絶縁層LD1を貫通する導通孔HF4、中継電極QF1、絶縁層LEを貫通する導通孔HG1、および反射層55により構成されている。これらは、発光制御トランジスターTelのソース配線またはドレイン配線として機能している。つまり、第1電極E1と発光制御トランジスターTelのソース領域またはドレイン領域との導通部は、第1電源線層41−1と、上部容量電極層CA1と、上部電源線層43−1および上部電源線層43−0とを貫いて設けられた発光制御トランジスターTelのソース配線またはドレイン配線により構成されている。したがって、画素電極を発光制御トランジスターTelのソース領域またはドレイン領域の層まで延ばして導通を図る場合と比して、低抵抗で発光制御トランジスターTelのソース領域またはドレイン領域と画素電極である第1電極E1とを接続することができる。
本実施形態における容量素子Cは、上部電源線層41−0を第2容量電極C2とし、容量電極層CA1を第1容量電極C1とする容量素子Cである。容量素子Cにおいては、第2容量電極C2である上部電源線層41−0は、上部電源線層41−1に電気的に接続され、かつ、上部電源線層41−1より下層に配置された構成となっている。上述した例では、一例として、上部電源線層41−1から吊り下げた構造によりこの配置を実現している。したがって、第2容量電極C2として、中継電極と同層に形成される上部電源線層41−1自体を用いる場合と比して、容量素子Cの誘電体膜を薄くすることができ、容量素子Cの容量を大きくすることができる。あるいは、容量素子Cの配置の自由度を高めることができる。
図35から理解されるように、容量素子Cは、平面視において、選択トランジスターTsl、発光制御トランジスターTel、補償トランジスターTcmp、および駆動トランジスターTdrのそれぞれと重なる位置に設けられている。したがって、容量素子の容量を確保しつつ、画素の高密度化を実現することができる。このように、本実施形態によれば、駆動トランジスターTdrのゲート層Gdrよりも上の層を有効に活用して、高密度な画素のための画素構造を提供することができる。
本実施形態では、第3実施形態と同様に、反射層55が画素電極である第1電極E1と接続されている。画素電極である第1電極E1の電位は、駆動トランジスターTdrや発光素子45の電位に応じて設定されるため、画素電極である第1電極E1や反射層55の電位は、信号線26の電位の影響を受けにくいという利点がある。
信号線26と、選択トランジスターTslのドレイン領域またはソース領域とを接続する信号線導通部は、第3実施形態と同様に、第1電源線層41−1が形成された層と、走査線22および容量電極層CA2が形成された層とを貫いて設けられている。この信号線導通部は、選択トランジスターTslのドレイン配線またはソース配線である。このように構成することにより、信号線26を下層に延ばして導通を図る場合と比して、低抵抗で選択トランジスターTslと信号線26とを接続することができる。なお、信号線導通部と信号線26は、画素電極導通部を避けて配置されている。
図37から理解されるように、本実施形態においても、信号線26を、平面視において、選択トランジスターTslおよび補償トランジスターTcmpと重なるように配置している。その結果、画素の高密度化を図ることができる。また、信号線26は、第1電源線層41−1と中継電極QD4との間隙と、平面視重なるように配置されている。したがって、外光の侵入が信号線26により防止され、光照射に起因した各トランジスターTの電流リークを防止できるという利点がある。
その他、第1実施形態ないし第3実施形態との共通の構成については、前述した第1実施形態ないし第3実施形態における効果と同様な効果を奏することができる。また、第4実施形態においても、上部容量電極層を構成する電極を上部容量電極層CA1とは異なる層で形成された電極とする等、第1実施形態で説明した変形例と同様な変形例が適用可能である。
<第5実施形態>
本発明の第5実施形態を説明する。なお、以下に例示する各形態において作用や機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態ないし第4実施形態の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
第5実施形態の有機エレクトロルミネッセンス装置100の具体的な構造は、第3実施形態および第4実施形態の有機エレクトロルミネッセンス装置100の具体的な構造とほぼ同様な構造である。以下、簡略化のため、相違する箇所についてのみ説明する。
図41は、有機エレクトロルミネッセンス装置100の断面図であり、図42から図51は、有機エレクトロルミネッセンス装置100の各要素を形成する各段階での基板10の表面の様子を表示画素Peの1個分に着目して図示した平面図である。図42から図51のV−V’線を含む断面に対応した断面図が図41に相当する。なお、図42から図51は平面図であるが、各要素の視覚的な把握を容易化する観点から、図41と共通する各要素に図41と同態様のハッチングが便宜的に付加されている。
第5実施形態は、図41ないし図48から理解される通り、第1電源線層41が形成された層と、信号線26が形成された層との間に、容量電極層CA0および容量電極層CA1と、上部電源線層43−0および上部電源線層43−1を配置した構成が第3実施形態および第4実施形態と異なっている。
図41から理解される通り、第1電源線層41が形成された絶縁層LBの面上には絶縁層LCが形成される。絶縁層LCの面上には、容量電極層CA0が形成され、容量電極層CA0が形成された絶縁層LCの面上には、絶縁層LD0が形成される。絶縁層LD0の面上には、図46から理解される通り、容量電極層CA1と、画素電極導通部を構成する中継電極QE4と、信号線導通部を構成する中継電極QE11と、電源供給部を構成する中継電極QE12が形成される。容量電極層CA1は、図46から理解される通り、平面視において各トランジスターを覆うように配置された矩形の容量電極層である。容量電極層CA1は、図41から理解されるように、容量電極層CA1から吊り下げられた容量電極層CA0と接続されている。図41、図43ないし図46から理解される通り、容量電極層CA1は、絶縁層LD0および絶縁層LCを貫通する導通孔HE4と、中継電極QD5と、絶縁層LBを貫通する導通孔HD2と、中継電極QB8と、絶縁層LAを貫通する導通孔HB3とを介して、駆動トランジスターTdrのゲート層Gdrと導通する。また、第1電源線層41は中継電極QD5を囲むように配置されている。
図41および図47から理解される通り、容量電極層CA1と、画素電極導通部を構成する中継電極QE4と、信号線導通部を構成する中継電極QE11と、電源供給部を構成する中継電極QE12とが形成された絶縁層LD0の面上には、絶縁層LD1が形成される。図41から理解される通り、絶縁層LD1の面上には、上部電源線層43−0が形成される。上部電源線層43−0が形成された、絶縁層LD1の面上には絶縁層LE0が形成され、絶縁層LE0の面上には、図47から理解される通り、上部電源線層43−1と、画像電極導通部を構成する中継電極QF1とが形成される。
上部電源線層43−1は、図47から理解される通り、画素電極導通部(発光制御トランジスターTelと中継電極QF1の導通部)を取り囲むように配置される。また、上部電源線層43−1は、画素ごとに設けられるパターンである。上部電源線層43−0は、上部電源線層43−1と接続され、図47から理解される通り、Y方向においては、画素電極導通部、および信号線導通部と所定の間隔を有して配置され、X方向においては、隣り合う表示画素Peの上部電源線層43−0と所定の間隔を有して配置された矩形の電極層である。上部電源線層43−0と上部電源線層43−1は、絶縁層LE0および絶縁層LD1により容量電極層CA1と絶縁されている。上部電源線層43−0は、図41から理解される通り、上部電源線層43−1から吊り下げられた構造を有している。上部電源線層43−0は、図41から理解される通り、上部電源線層43−1を介して第1電源線層41に導通すると共に、駆動トランジスターTdrのソース領域またはドレイン領域に導通する。また、上部電源線層43−0は、絶縁層LD1および絶縁層LD0を介して容量電極層CA0と対向する。容量電極層CA0は、容量電極層CA1を介して駆動トランジスターTdrのゲート層Gdrに導通する。したがって、上部電源線層43−0は、図2および図3に示す容量素子Cの第2容量電極C2に相当し、容量電極層CA0は図2および図3に示す容量素子Cの第1容量電極C1に相当する。したがって、容量素子Cの第2容量電極C2を構成する上部電源線層43−0を上部電源線層43−1から吊り下げた構造とすることにより、容量素子Cの誘電体膜を薄くでき、容量素子Cの容量を大きくすることができる。上部電源線層43−1を単独で用いる場合と比して、配置の自由度を増すことができる。また、この例では、容量素子Cの第1容量電極C1を構成する容量電極層CA0も上述したように容量電極層CA1から吊り下げた構造なので、全体として容量素子Cの容量をより一層大きくすることができる。以上のように、本実施形態では、第1電源線層41と絶縁層LCと容量電極層CA0とから構成される容量素子Cと、容量電極層CA0と絶縁層LD0および絶縁層LD1と上部電源線層43−0とから構成される容量素子Cとが、積層方向(Z方向)において積層された構成となっている。
以上に説明した通り、本実施形態では、駆動トランジスターTdrのゲート層Gdrに接続された容量電極層CA1と、容量電極層CA1に接続された容量電極層CA0は、駆動トランジスターTdrのゲート層Gdrよりも上層に設けられており、容量電極層CA1および容量電極層CA0と、選択トランジスターTslのドレイン領域またはソース領域に接続された信号線26との間に、第1電源線層41が配置されるように構成されている。第1電源線層41は、画素電極である第1電極E1と発光制御トランジスターTelのソース領域またはドレイン領域との導通部、すなわち、画素電極導通部と、駆動トランジスターTdrのゲート導通部とを除き、ほぼ全面に亘って形成されている。したがって、ノイズの発生源となる信号線26と、駆動トランジスターTdrのゲート層Gdrに接続された容量電極層CA1および容量電極層CA0との間のカップリングが抑制される。
また、信号線26の下層には、選択トランジスターTslのゲート層Gslに接続された走査線22が配置されているが、これらの走査線22と、容量電極層CA1および容量電極層CA0との間に、第1電源線層41が配置されるように構成されている。第1電源線層41は、走査線22を覆うように、ほぼ全面に亘って形成されている。したがって、ノイズの発生源となる走査線22と、駆動トランジスターTdrのゲート層Gdrに接続された容量電極層CA1および容量電極層CA0との間のカップリングが抑制される。
本実施形態では、容量電極層CA1および容量電極層CA0と、画素電極である第1電極E1との間には、上部電源線層43−1および上部電源線層43−0が配置されている。上部電源線層43−1および上部電源線層43−0は、上述した画素導通部を除き、ほぼ全面に亘って形成されている。したがって、駆動トランジスターTdrのゲート層Gdrに接続された容量電極層CA1および容量電極層CA0と、画素電極である第1電極E1との間のカップリングが抑制される。
画素電極導通部は、上述したように複数の中継電極と複数の導通孔から構成されており、発光制御トランジスターTelのソース配線またはドレイン配線として機能している。つまり、第1電極E1と発光制御トランジスターTelのソース領域またはドレイン領域との導通部は、第1電源線層41と、容量電極層CA1および容量電極層CA0と、上部電源線層43−1および上部電源線層43−0とを貫いて設けられた発光制御トランジスターTelのソース配線またはドレイン配線により構成されている。したがって、画素電極を発光制御トランジスターTelのソース領域またはドレイン領域の層まで延ばして導通を図る場合と比して、低抵抗で発光制御トランジスターTelのソース領域またはドレイン領域と画素電極である第1電極E1とを接続することができる。
信号線26と、選択トランジスターTslのドレイン領域またはソース領域とを接続する信号線導通部は、上述したように、第1電源線層41−1が形成された層と、走査線22および容量電極層CA2が形成された層とを貫いて設けられている。この信号線導通部は、選択トランジスターTslのドレイン配線またはソース配線である。このように構成することにより、信号線26を下層に延ばして導通を図る場合と比して、低抵抗で選択トランジスターTslと信号線26とを接続することができる。なお、信号線導通部と信号線26は、画素電極導通部を避けて配置されている。
本実施形態においても、信号線26を、平面視において、選択トランジスターTslおよび補償トランジスターTcmpと重なるように配置している。その結果、画素の高密度化を図ることができる。
その他、上述した各実施形態との共通の構成については、前述した各実施形態における効果と同様な効果を奏することができる。また、第5実施形態においても、第1実施形態で説明した変形例と同様な変形例が適用可能である。
<第6実施形態>
本発明の第6実施形態を説明する。なお、以下に例示する各形態において作用や機能が第1実施形態と同様である要素については、上記各実施形態の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
第6実施形態の各表示画素Peの回路は、図52に示すように、補償トランジスターTcmpが省略された構成となっている。以下、第6実施形態の有機エレクトロルミネッセンス装置100の具体的な構造について説明する。以下の説明で参照する各図面では、説明の便宜のために、各要素の寸法や縮尺を実際の有機エレクトロルミネッセンス装置100とは相違させている。図53は、有機エレクトロルミネッセンス装置100の断面図であり、図54から図62は、有機エレクトロルミネッセンス装置100の各要素を形成する各段階での基板10の表面の様子を表示画素Peの1個分に着目して図示した平面図である。図54から図62のVI−VI’線を含む断面に対応した断面図が図53に相当する。なお、図54から図62は平面図であるが、各要素の視覚的な把握を容易化する観点から、図53と共通する各要素に図53と同態様のハッチングが便宜的に付加されている。
図53および図54から理解される通り、珪素等の半導体材料で形成された基板10の表面には、表示画素Peの各トランジスターT(Tdr,Tsl,Tel)の能動領域10A(ソース/ドレイン領域)が形成される。能動領域10Aにはイオンが注入される。表示画素Peの各トランジスターT(Tdr,Tsl,Tel)のアクティブ層はソース領域とドレイン領域との間に存在し、能動領域10Aとは別種類のイオンが注入されるが、便宜的に能動領域10Aと一体に記載している。図53および図55から理解される通り、能動領域10Aが形成された基板10の表面は絶縁膜L0(ゲート絶縁膜)で被覆され、各トランジスターTのゲート層G(Gdr,Gsl,Gel)が絶縁膜L0の面上に形成される。各トランジスターTのゲート層Gは、絶縁膜L0を挟んでアクティブ層に対向する。
図53から理解される通り、各トランジスターTのゲート層Gが形成された絶縁膜L0の面上には、複数の絶縁層L(LA〜LD1)と複数の導電層(配線層)とを交互に積層した多層配線層が形成される。各絶縁層Lは、例えば珪素化合物(典型的には窒化珪素や酸化珪素)等の絶縁性の無機材料で形成される。なお、以下の説明では、導電層(単層または複数層)の選択的な除去により複数の要素が同一工程で一括的に形成される関係を「同層から形成される」と表記する。
絶縁層LAは、各トランジスターTのゲートGが形成された絶縁膜L0の面上に形成される。図53および図56から理解される通り、絶縁層LAの面上には、走査線22と、発光制御トランジスターTelの制御線28と、複数の中継電極QB(QB20,QB21,QB22,QB23,QB24)とが同層から形成される。
図53および図56から理解される通り、中継電極QB20は、絶縁膜L0と絶縁層LAとを貫通する導通孔HA20を介して選択トランジスターTslのドレイン領域またはソース領域を形成する能動領域10Aに導通する。中継電極QB21は、絶縁膜L0と絶縁層LAとを貫通する導通孔HA21を介して選択トランジスターTslのドレイン領域またはソース領域を形成する能動領域10Aに導通すると共に、縁層LAを貫通する導通孔HB21を介して駆動トランジスターTdrのゲート層Gdrに導通する。つまり、中継電極QB21は、選択トランジスターTslのドレイン領域またはソース領域と、駆動トランジスターTdrのゲート層Gdrとの配線層である。
中継電極QB22は、絶縁膜L0と絶縁層LAとを貫通する複数の導通孔HA22,HA23,HA24,HA25,HA26を介して駆動トランジスターTdrのドレイン領域またはソース領域を形成する能動領域10Aに導通する。中継電極QB22は、電源供給部を構成する中継電極である。中継電極QB23は、絶縁膜L0と絶縁層LAとを貫通する複数の導通孔HA27,HA28,HA29,HA30,HA31を介して駆動トランジスターTdrのドレイン領域またはソース領域を形成する能動領域10Aに導通すると共に、発光制御トランジスターTelのドレイン領域またはソース領域を形成する能動領域10Aに導通する。つまり、中継電極QB23は、駆動トランジスターTdrのドレイン領域またはソース領域と、発光制御トランジスターTelのドレイン領域またはソース領域との配線層である。中継電極QB24は、絶縁膜L0と絶縁層LAとを貫通する導通孔HA33を介して発光制御トランジスターTelのドレイン領域またはソース領域を形成する能動領域10Aに導通する。中継電極QB24は、画素電極導通部を構成する中継電極である。
図56から理解される通り、走査線22は、絶縁層LAを貫通する導通孔HB20を介して選択トランジスターTslのゲート層Gslに導通する。走査線22は、複数の表示画素PeにわたりX方向に直線状に延在し、絶縁層LBにより、後述する信号線26からは電気的に絶縁される。
図56から理解される通り、発光制御トランジスターTelの制御線28は、絶縁層LAに形成された導通孔HB22を介して発光制御トランジスターTelのゲート層Gelに導通する。制御線28は、複数の表示画素PeにわたりX方向に直線状に延在し、絶縁層LAにより後述する信号線26からは電気的に絶縁される。
走査線22は、発光制御トランジスターTelと平面視重なるとともに、絶縁層LBにより、発光制御トランジスターTelのゲート層Gelからは電気的に絶縁される。制御線28は、選択トランジスターTslと平面視重なるとともに、絶縁層LBにより、選択トランジスターTslのゲート層Gslからは電気的に絶縁される。
絶縁層LBは、走査線22と、選択トランジスターTslの制御線27と、発光制御トランジスターTelの制御線28と、複数の中継電極QB(QB20,QB21,QB22,QB23,QB24)とが形成された絶縁層LAの面上に形成される。図53および図57から理解される通り、絶縁層LBの面上には、容量電極層CA10と、中継電極QC20,QC21,QC22が形成される。中継電極QC20は信号線導通部を構成する電極であり、絶縁層LBを貫通する導通孔HC20を介して、選択トランジスターTslのドレイン領域またはソース領域と導通する。中継電極QC21は電源供給部を構成する電極であり、絶縁層LBを貫通する複数の導通孔HC23,HC24,HC25,HC26,HC27を介して、中継電極QB22に導通する。中継電極QC22は画素電極導通部を構成する電極であり、絶縁層LBを貫通する導通孔HC28を介して、発光制御トランジスターTelのドレイン領域またはソース領域と導通する。
容量電極層CA10は、図57から理解されるように、各トランジスターの一部および走査線22の一部並びに制御線28の一部を覆うように配置された矩形の容量電極である。容量電極層CA10は、図53および図57から理解されるように、絶縁層LBを貫通する導通孔HC21およびHC22を介して、中継電極QB21に導通する。したがって、容量電極層CA10は、導通孔HC21およびHC22と、中継電極QB21と、導通孔HB21を介して、駆動トランジスターTdrのゲート層Gdrと導通する。
絶縁層LCは、容量電極層CA10と、複数の中継電極QC(QC20,QC21,QC22)とが形成された絶縁層LBの面上に形成される。図53および図58から理解される通り、絶縁層LCの面上には、第1電源線層41−0が形成される。第1電源線層41−0が形成された絶縁層LCの面上には、絶縁層LD0が形成され、絶縁層LD0の面上には、第1電源線層41−1と、中継電極QD20と、中継電極QD21とが形成される。中継電極QD20は、信号線導通部を構成する電極であり、絶縁層LD0および絶縁層LCとを貫通する導通孔HD20を介して中継電極QC20に導通する。中継電極QD21は、画素電極導通部を構成する電極であり、絶縁層LD0および絶縁層LCとを貫通する導通孔HD26を介して、中継電極QC20に導通する。
第1電源線層41−1は、図58から理解される通り、画素電極導通部(発光制御トランジスターTelと中継電極QD21の導通部)および信号線導通部(選択トランジスターTslと中継電極QD20の導通部)を取り囲むように配置される。そして、第1電源線層41−1は、画素電極導通部(発光制御トランジスターTelと中継電極QD21の導通部)および信号線導通部(選択トランジスターTslと中継電極QD20の導通部)の間に配置されている。また、第1電源線層41−1は、X方向およびY方向において隣り合う表示画素Pe間において隙間なく連続して形成されたパターンである。第1電源線層41は、多層配線層内の配線(図示略)を介して、高位側の電源電位Velが供給される実装端子36に導通する。なお、第1電源線層41−1は、図1に示す第1領域12の表示領域16内に形成される。また、図示を省略するが、第1領域12の周辺領域18内にも別の電源線層が形成される。この電源線層は、多層配線層内の配線(図示略)を介して、低位側の電源電位Vctが供給される実装端子36に導通する。第1電源線層41−1および低位側の電源電位Vctが供給される電源線層は、例えば銀やアルミニウムを含有する導電材料で例えば100nm程度の膜厚に形成される。
第1電源線層41−0は、第1電源線層41−1と接続され、図58から理解される通り、Y方向においては、画素電極導通部および信号線導通部と所定の間隔を有し、かつ、X方向においては、電源供給部と所定の間隔を有して配置された矩形の電極層である。第1電源線層41−0と第1電源線層41−1は、絶縁層LBおよび絶縁層LCにより容量電極層CA10と絶縁されている。第1電源線層41−0は、図53から理解される通り、第1電源線層41−1から吊り下げられた構造を有している。第1電源線層41−0は、第1電源線層41−1を介して駆動トランジスターTdrのソース領域またはドレイン領域に導通する。したがって、第1電源線層41−0は、図2および図3に示す容量素子Cの第2容量電極C2に相当し、容量電極層CA10は図2および図3に示す容量素子Cの第1容量電極C1に相当する。したがって、容量素子Cの第2容量電極C2を構成する第1電源線層41−0を第1電源線層41−1から吊り下げた構造とすることにより、容量素子Cの誘電体膜を薄くでき、容量素子Cの容量を大きくすることができる。第1電源線層41−1を単独で用いる場合と比して、配置の自由度を増すことができる。以上のように、本実施形態では、第1電源線層41−0と絶縁層LCと容量電極層CA10とから容量素子Cが構成される。
第1電源線層41−1は、図53、図57および図58から理解される通り、絶縁層LD0および絶縁層LCを貫通する複数の導通孔HD21,HD22,HD23,HD24,HD25を介して、中継電極QC21に導通する。したがって、第1電源線層41−1は、図53ないし図58から理解される通り、複数の導通孔HD21,HD22,HD23,HD24,HD25と、中継電極QC21と、複数の導通孔HC23,HC24,HC25,HC26,HC27と、中継電極QB22と、複数の導通孔HA22,HA23,HA24,HA25,HA26とを介して駆動トランジスターTdrのソース領域またはドレイン領域に導通する。
絶縁層LD1は、第1電源線層41−1と、複数の中継電極QD(QD20,QD21)とが形成された絶縁層LD0の面上に形成される。図53および図59から理解される通り、絶縁層LD1の面上には、信号線26と、中継電極QE20とが形成される。信号線26は、複数の画素PにわたりY方向に直線状に延在し、絶縁層LD1により、第1電源線層41−1からは電気的に絶縁される。信号線26は、図53ないし図59から理解される通り、導通孔HE20と、中継電極QD20と、導通孔HD20と、中継電極QC20と、導通孔HC20と、中継電極QB20と、導通孔HA20とを介して選択トランジスターTslのソース領域またはドレイン領域を形成する能動領域10Aと導通する。また、信号線26は、走査線22と、制御線27と、制御線28との上層の位置を通過するように形成され、選択トランジスターTslおよび駆動トランジスターTdrのチャネル長の方向(Y方向)に沿って延在する。また、平面視において、信号線26は、選択トランジスターTslおよび駆動トランジスターTdrと重なるように配置されている。したがって、画素の高密度化を図ることができる。
中継電極QE20は、画素電極導通部を構成する中継電極の一つであり、図53ないし図59から理解される通り、絶縁層LD1を貫通する導通孔HE21と、中継電極QD21と、導通孔HD26と、中継電極QC22と、導通孔HC28と、中継電極QB24と、導通孔HA33とを介して、発光制御トランジスターTelのドレイン領域またはソース領域を形成する能動領域10Aに導通する。
絶縁層LEは、信号線26と、中継電極QE20とが形成された絶縁層LD1の面上に形成される。絶縁層LEの表面には平坦化処理が実行される。平坦化処理には、化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)等の公知の表面処理技術が任意に採用される。平坦化処理で高度に平坦化された絶縁層LEの表面には、図53および図60に例示される通り、反射層55が形成される。反射層55は、図59および図60から理解される通り、絶縁層LEを貫通する導通孔HF20を介して、中継電極QE20に導通する。したがって、反射層55は、画素電極導通部(発光制御トランジスターTelと中継電極QE20の導通部)と導通している。反射層55は、第1電極E1と同様、表示画素Pe毎に個別に形成されている。本実施形態においては、反射層55は、例えば銀やアルミニウムを含有する光反射性の導電材料で例えば100nm程度の膜厚に形成される。反射層55は、光反射性の導電材料で形成され、図28に示すように各トランジスターT、各配線、及び各中継電極を覆うように配置される。したがって、外光の侵入が反射層55により防止され、光照射に起因した各トランジスターTの電流リークを防止できるという利点がある。
図53に例示される通り、反射層55が形成された絶縁層LEの面上には光路調整層60が形成される。光路調整層60は、各表示画素Peの共振構造の共振波長(すなわち表示色)を規定する光透過性の膜体である。表示色が同じ画素では、共振構造の共振波長は略同じであり、表示色が異なる画素では、共振構造の共振波長は異なるように設定される。
図53および図61に例示される通り、光路調整層60の面上には、表示領域16内の表示画素Pe毎の第1電極E1が形成される。第1電極E1は、例えばITO(Indium Tin Oxide)等の光透過性の導電材料で形成される。第1電極E1は、図2および図3を参照して前述した通り、発光素子45の陽極として機能する略矩形状の電極(画素電極)である。第1電極E1は、図53および図61から理解される通り、表示画素Pe毎に光路調整層60に形成された導通孔HG20を介して反射層55に導通する。
第1電極E1が形成された光路調整層60の面上には、図53および図62に例示される通り、基板10の全域にわたり画素定義層65が形成される。画素定義層65は、例えば珪素化合物(典型的には窒化珪素や酸化珪素)等の絶縁性の無機材料で形成される。図62から理解される通り、画素定義層65には、表示領域16内の各第1電極E1に対応する開口部65Aが形成される。画素定義層65のうち開口部65Aの内周縁の近傍の領域は第1電極E1の周縁に重なる。すなわち、開口部65Aの内周縁は平面視で第1電極E1の周縁の内側に位置する。各開口部65Aは、平面形状(矩形状)やサイズが共通し、かつ、X方向およびY方向の各々にわたり共通のピッチで行列状に配列する。以上の説明から理解される通り、画素定義層65は平面視で格子状に形成される。尚、開口部65Aの平面形状やサイズは、表示色が同じであれば同じであり、表示色が異なる場合は異なるようにしてもよい。また、開口部65Aのピッチは、表示色が同じ開口部同士では同じであり、表示色が異なる開口部間では異なるようにしてもよい。
その他にも、詳細な説明は省略するが、第1電極E1の上層には、発光機能層46、第2電極E2、および封止体47が積層され、以上の各要素が形成された基板10の表面には封止基板(図示略)が例えば接着剤で接合される。封止基板は、基板10上の各要素を保護するための光透過性の板状部材(例えばガラス基板)である。なお、封止基板の表面または封止体47の表面に表示画素Pe毎にカラーフィルターを形成することも可能である。
以上に説明した通り、本実施形態では、第4実施形態と同様の積層構造を有している。つまり、容量電極層CA10を、各トランジスターが形成された層、および走査線22や制御線28が形成された層よりも上の層に形成したので、比較的に、容量電極層CA10を、トランジスターや配線の配置に縛られることなく配置することができる。また、走査線22や制御線28が形成された層との積層も可能であるため、画素の高密度化も容易である。
本実施形態では、第3実施形態と同様に、反射層55が画素電極である第1電極E1と接続されている。画素電極である第1電極E1の電位は、駆動トランジスターTdrや発光素子45の電位に応じて設定されるため、画素電極である第1電極E1や反射層55の電位は、信号線26の電位の影響を受けにくいという利点がある。
信号線26と、選択トランジスターTslのドレイン領域またはソース領域とを接続する信号線導通部は、第3実施形態と同様に、第1電源線層41−1が形成された層と、走査線22が形成された層とを貫いて設けられている。この信号線導通部は、選択トランジスターTslのドレイン配線またはソース配線である。このように構成することにより、信号線26を下層に延ばして導通を図る場合と比して、低抵抗で選択トランジスターTslと信号線26とを接続することができる。なお、信号線導通部と信号線26は、画素電極導通部を避けて配置されている。
本実施形態においても、信号線26を、平面視において、選択トランジスターTslおよび駆動トランジスターTdrと重なるように配置している。その結果、画素の高密度化を図ることができる。
その他、上述した各実施形態との共通の構成については、前述した各実施形態における効果と同様な効果を奏することができる。また、本実施形態においても、第1実施形態で説明した変形例と同様な変形例が適用可能である。
<第7実施形態>
本発明の第7実施形態を説明する。なお、以下に例示する各形態において作用や機能が各実施形態と同様である要素については、各実施形態の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
第7実施形態の有機エレクトロルミネッセンス装置100の具体的な構造は、第6実施形態の有機エレクトロルミネッセンス装置100の具体的な構造とほぼ同様な構造である。以下、簡略化のため、相違する箇所についてのみ説明する。
図63は、有機エレクトロルミネッセンス装置100の断面図であり、図64から図72は、有機エレクトロルミネッセンス装置100の各要素を形成する各段階での基板10の表面の様子を表示画素Peの1個分に着目して図示した平面図である。図64から図72のVII−VII’線を含む断面に対応した断面図が図63に相当する。なお、図64から図72は平面図であるが、各要素の視覚的な把握を容易化する観点から、図63と共通する各要素に図63と同態様のハッチングが便宜的に付加されている。
第7実施形態は、図64および図65から理解されるように、発光制御トランジスターTelと選択トランジスターTslのチャネル長が横方向(走査線22の延在方向)であるため、図66に示すように、チャネルと配線がずれて配置されている。
第7実施形態における積層構造は第6実施形態と同様であり、図63、図66および図67に示すように、各トランジスターが形成された層、および走査線22と制御線28が形成された層よりも上層に容量電極層CA11が形成されている。容量電極層CA11は、絶縁層LBを貫通する導通孔HC41と、中継電極QB42と、絶縁層LAを貫通する導通孔HB41とを介して、駆動トランジスターTdrのゲート層Gdrに導通する。
図63、図67および図68から理解されるように、容量電極層CA11が形成された層よりも上層には、第1電源線層41−0および第1電源線層41−1が形成され、第1電源線層41−1は、絶縁層LCを貫通する導通孔HD40、中継電極41と、絶縁層LBを貫通する導通孔HC42と、中継電極QB43と、絶縁層LAおよび絶縁膜L0を貫通する導通孔HA42とを介して、駆動トランジスターTdrのドレイン領域またはソース領域に導通する。
図63、図67および図68から理解されるように、第1電源線層41−1が形成された層よりも上層には、信号線26が形成される。信号線26は、絶縁層LD1を貫通する導通孔HE40と、中継電極QD40と、絶縁層LD0および絶縁層LCを貫通する導通孔HD40と、中継電極QC40と、絶縁層LBを貫通する導通孔HC40と、中継電極QB40と、絶縁層LAおよび絶縁膜L0を貫通する導通孔HA40とを介して、選択トランジスターTslのドレイン領域またはソース領域に導通する。
以上に説明した通り、本実施形態では、第6実施形態と同様の積層構造を有している。つまり、容量電極層CA11を、各トランジスターが形成された層、および走査線22や制御線28が形成された層よりも上の層に形成したので、比較的に、容量電極層CA11を、トランジスターや配線の配置に縛られることなく配置することができる。また、走査線22や制御線28が形成された層との積層も可能であるため、画素の高密度化も容易である。
本実施形態においても、反射層55が画素電極である第1電極E1と接続されている。画素電極である第1電極E1の電位は、駆動トランジスターTdrや発光素子45の電位に応じて設定されるため、画素電極である第1電極E1や反射層55の電位は、信号線26の電位の影響を受けにくいという利点がある。
信号線26と、選択トランジスターTslのドレイン領域またはソース領域とを接続する信号線導通部は、第6実施形態と同様に、第1電源線層41−1が形成された層と、走査線22が形成された層とを貫いて設けられている。この信号線導通部は、選択トランジスターTslのドレイン配線またはソース配線である。このように構成することにより、信号線26を下層に延ばして導通を図る場合と比して、低抵抗で選択トランジスターTslと信号線26とを接続することができる。なお、信号線導通部と信号線26は、画素電極導通部を避けて配置されている。
本実施形態においても、信号線26を、平面視において、選択トランジスターTslと重なるように配置している。その結果、画素の高密度化を図ることができる。
その他、上述した各実施形態との共通の構成については、前述した各実施形態における効果と同様な効果を奏することができる。また、本実施形態においても、第1実施形態で説明した変形例と同様な変形例が適用可能である。
<第8実施形態>
本発明の第7実施形態を説明する。なお、以下に例示する各形態において作用や機能が各実施形態と同様である要素については、各実施形態の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
第8実施形態の有機エレクトロルミネッセンス装置100は、第6実施形態および第7実施形態と同様に補償トランジスターTcmpが省略されているが、積層構造等の具体的な構造は、第1実施形態の有機エレクトロルミネッセンス装置100とほぼ同様な構造である。以下、簡略化のため、相違する箇所についてのみ説明する。
図73は、有機エレクトロルミネッセンス装置100の断面図であり、図74から図83は、有機エレクトロルミネッセンス装置100の各要素を形成する各段階での基板10の表面の様子を表示画素Peの1個分に着目して図示した平面図である。図74から図83のVIII−VIII’線を含む断面に対応した断面図が図73に相当する。なお、図74から図83は平面図であるが、各要素の視覚的な把握を容易化する観点から、図73と共通する各要素に図73と同態様のハッチングが便宜的に付加されている。
第7実施形態は、図74および図75から理解されるように、発光制御トランジスターTelと選択トランジスターTslのチャネル長方向が縦方向(信号線26の延在方向)であり、発光制御トランジスターTelと選択トランジスターTslは、一直線状に並んで配置されている。また、本実施形態においては、各トランジスターのゲート層Gdr,Gsl,Gelと、制御線等との接続部が、チャネル上の位置ではなく、横方向(走査線22の延在方向)にずれた位置に設けられている。
本実施形態においては、図76および図77から理解されるように、各トランジスターが形成された層の上層に走査線22と制御線28が形成される層が配置され、走査線22と制御線28が形成される層の上層に信号線26が形成される。図73、図75ないし図77から理解されるように、信号線26は、絶縁層LBを貫通する導通孔HC61と、中継電極QB61と、絶縁層LAおよび絶縁膜L0を貫通する導通孔HA61を介して、選択トランジスターTslのドレイン領域またはソース領域に導通する。
図73、図75ないし図78から理解されるように、信号線26が形成された層の上層には、第1電源線層41が形成されている。第1電源線層41は、図78から理解されるように、画素電極導通部を構成する中継電極QD61と、駆動トランジスターTdrのゲート導通部を構成する中継電極QD60とを取り囲むように形成される。また、第1電源線層41は、X方向およびY方向において隣り合う表示画素Pe間において隙間なく連続して形成されたパターンである。第1電源線層41は、多層配線層内の配線(図示略)を介して、高位側の電源電位Velが供給される実装端子36に導通する。なお、第1電源線層41−1は、図1に示す第1領域12の表示領域16内に形成される。また、図示を省略するが、第1領域12の周辺領域18内にも別の電源線層が形成される。この電源線層は、多層配線層内の配線(図示略)を介して、低位側の電源電位Vctが供給される実装端子36に導通する。第1電源線層41−1および低位側の電源電位Vctが供給される電源線層は、例えば銀やアルミニウムを含有する導電材料で例えば100nm程度の膜厚に形成される。第1電源線層41は、図73ないし図78から理解されるように、絶縁層LCを貫通する導通孔HD61と、中継電極QC61と、絶縁層LBを貫通する導通孔HC63と、中継電極QB62と、絶縁層LAおよび絶縁膜L0を貫通する導通孔HA62を介して、駆動トランジスターTdrのドレイン領域またはソース領域に導通する。
図73、図78および図79から理解されるように、第1電源線層41が形成された層の上層には、容量電極層CA0と、容量電極層CA0に接続された容量電極層CA0とが形成される。容量電極層CA0は、図73ないし図79から理解されるように、絶縁層LD1および絶縁層LD0を貫通する導通孔HE60と、中継電極QD60と、絶縁層LCを貫通する導通孔HD60と、中継電極QC60と、絶縁層LBを貫通する導通孔HC60と、中継電極QB60と、絶縁層LAおよび絶縁膜L0を貫通する導通孔HA60とを介して、選択トランジスターTslのドレイン領域またはソース領域に導通する。また、容量電極層CA0は、中継電極QC60と、絶縁層LBを貫通する導通孔HC64と、中継電極QB63と、絶縁層LAを貫通する導通孔HB61を介して、駆動トランジスターTdrのゲート層Gdrに導通する。容量電極層CA0は、図73から理解されるように、容量電極層CA1から吊り下げられた構造を有している。
図73、図79および図80から理解されるように、容量電極層CA0と容量電極層CA1が形成された層の上層には、上部電源線層43−0と上部電源線層43−1が形成される。上部電源線層43−1は、図80から理解される通り、画素電極導通部(発光制御トランジスターTelと中継電極QF60の導通部)を取り囲むように配置される。また、上部電源線層43−1は、X方向およびY方向において隣り合う表示画素Pe間において隙間なく連続して形成されたパターンである。本実施形態においては、上部電源線層43−1は、反射層としても機能しており、例えば銀やアルミニウムを含有する光反射性の導電材料で例えば100nm程度の膜厚に形成される。上部電源線層43−1は、光反射性の導電材料で形成され、図80に示すように各トランジスターT、各配線、及び各中継電極を覆うように配置される。したがって、外光の侵入が上部電源線層43−1により防止され、光照射に起因した各トランジスターTの電流リークを防止できるという利点がある。
上部電源線層43−0は、上部電源線層43−1と接続され、図80から理解される通り、画素電極導通部(発光制御トランジスターTelと中継電極QF60の導通部)を取り囲むように配置される。また、Y方向およびX方向においては、隣り合う表示画素Peの上部電源線層43−0と所定の間隔を有して配置された矩形の電極層である。上部電源線層43−0と上部電源線層43−1は、絶縁層LD0および絶縁層LD1により容量電極層CA0および容量電極層CA1と絶縁されている。上部電源線層43−0は、図4から理解される通り、上部電源線層43−1から吊り下げられた構造を有している。上部電源線層43−0は、上部電源線層43−1を介して第1電源線層41に導通すると共に、駆動トランジスターTdrのソース領域またはドレイン領域に導通する。
本実施形態においても、第1電源線層41と絶縁層LD0と容量電極層CA0により第1の容量素子C−1が構成され、容量電極層CA0と絶縁層LD1および絶縁層LE0と上部電源線層43−0により第2の容量素子C−2が構成されている。
以上に説明した通り、本実施形態では、駆動トランジスターTdrのゲート層Gdrに接続された容量電極層CA1と、容量電極層CA1に接続された容量電極層CA0は、駆動トランジスターTdrのゲート層Gdrよりも上層に設けられており、容量電極層CA1および容量電極層CA0と、選択トランジスターTslのドレイン領域またはソース領域に接続された信号線26との間に、第1電源線層41が配置されるように構成されている。第1電源線層41は、画素電極である第1電極E1と発光制御トランジスターTelのソース領域またはドレイン領域との導通部、すなわち、画素電極導通部と、駆動トランジスターTdrのゲート導通部とを除き、ほぼ全面に亘って形成されている。したがって、ノイズの発生源となる信号線26と、駆動トランジスターTdrのゲート層Gdrに接続された容量電極層CA1および容量電極層CA0との間のカップリングが抑制される。
また、信号線26の下層には、選択トランジスターTslのゲート層Gslに接続された走査線22が配置されているが、これらの走査線22と、容量電極層CA1および容量電極層CA1との間に、第1電源線層41が配置されるように構成されている。第1電源線層41は、信号線26だけでなく、走査線22も覆うように、ほぼ全面に亘って形成されている。したがって、ノイズの発生源となる走査線22と、駆動トランジスターTdrのゲート層Gdrに接続された容量電極層CA1および容量電極層CA0との間のカップリングが抑制される。
本実施形態では、容量電極層CA1および容量電極層CA0と、画素電極である第1電極E1との間には、上部電源線層43−1および上部電源線層43−0が配置されている。上部電源線層43−1および上部電源線層43−0は、上述した画素導通部を除き、ほぼ全面に亘って形成されている。したがって、駆動トランジスターTdrのゲート層Gdrに接続された容量電極層CA1および容量電極層CA0と、画素電極である第1電極E1との間のカップリングが抑制される。
画素電極である第1電極E1と発光制御トランジスターTelのソース領域またはドレイン領域との導通部は、複数の導通孔と複数の中継電極により構成されている。これらは、発光制御トランジスターTelのソース配線またはドレイン配線として機能している。つまり、第1電極E1と発光制御トランジスターTelのソース領域またはドレイン領域との導通部は、第1電源線層41と、容量電極層CA1および容量電極層CA0と、上部電源線層43−1および上部電源線層43−0とを貫いて設けられた発光制御トランジスターTelのソース配線またはドレイン配線により構成されている。したがって、画素電極を発光制御トランジスターTelのソース領域またはドレイン領域の層まで延ばして導通を図る場合と比して、低抵抗で発光制御トランジスターTelのソース領域またはドレイン領域と画素電極である第1電極E1とを接続することができる。
駆動トランジスターTdrと第1電源線層41をつなぐ導通部は、複数の導通孔および複数の中継電極により構成されている。この導通部は、駆動トランジスターTdrのソース配線またはドレイン配線として機能する。このように構成することにより、第1電源線層41を下層に延ばして導通を図る場合と比して、低抵抗で駆動トランジスターTdrと第1電源線層41とを接続することができる。
駆動トランジスターTdrのゲート層Gdrと容量電極層CA1をつなぐ導通部は、複数の中継電極と複数の導通孔から構成される。この導通部は、選択トランジスターTslのソース配線またはドレイン配線であり、ゲート層Gdrが形成された層を貫いて設けられている。したがって、容量電極層CA1を下層に延ばして導通を図る場合と比較して、低抵抗で駆動トランジスターTdrと容量電極層CA1とをつなぐことができる。
容量素子Cについては、上述したように、上部電源線層43−0を第2容量電極C2とし、容量電極層43−0を第1容量電極C1とする第1の容量素子C−1と、第1電源線層41を第2容量電極C2とし、容量電極層43−0を第1容量電極C1とする第2の容量素子C−2との2種類の容量素子が積層方向(Z方向)に積層された構成となっている。第1の容量素子C−1においては、第2容量電極C2である上部電源線層43−0は、上部電源線層43−1に電気的に接続され、かつ、上部電源線層43−1より下層に配置された構成となっている。上述した例では、一例として、上部電源線層43−1から吊り下げた構造によりこの配置を実現している。したがって、第2容量電極C2として、中継電極と同層に形成される上部電源線層43−1自体を用いる場合と比して、第1の容量素子C−1の誘電体膜を薄くすることができ、第1の容量素子C−1の容量を大きくすることができる。あるいは、第1の容量素子C−1の配置の自由度を高めることができる。
第2の容量素子C−2においては、第2容量電極C2である容量電極層CA0は、駆動トランジスターTdrのゲート層Gdrに接続されたゲート配線である容量電極層CA1に電気的に接続され、かつ、容量電極層CA1より下層に配置された構成となっている。上述した例では、一例として、容量電極層CA1から吊り下げた構造によりこの配置を実現している。したがって、第2容量電極C2として、中継電極と同層に形成される容量電極層CA1自体を用いる場合と比して、第2の容量素子C−2の誘電体膜を薄くすることができ、第2の容量素子C−2の容量を大きくすることができる。あるいは、第2の容量素子C−2の配置の自由度を高めることができる。
また、第2の容量素子C−2においては、駆動トランジスターTdrのゲート層Gdrに接続された第1容量電極C1に相当する容量電極層CA0は、第2容量電極C2に相当する上部電源線層43−0と、走査線22が形成された層との間に配置している。すなわち、走査線22が形成された層側に容量素子Cの第1容量電極C1が配置されることになる。したがって、走査線22が形成された層や上部電源線層43−0とは別に容量電極が形成できるため、設計の自由度を高めることができる。
第1の容量素子C−1においては、第1容量電極C1に相当する容量電極層CA0は、第1電源線層41と画素電極である第1電極E1との間に配置している。すなわち、画素電極側に容量素子Cのうちのゲート電位側に接続される第1容量電極C1が配置される。この配置を採用することにより、画素電極である第1電極E1に対する走査線22によるノイズを低減できる。また、画素電極である第1電極E1や第1電源線層41とは別に容量電極が形成できるため、設計の自由度を高めることができる。さらに、画素電極である第1電極E1(発光制御トランジスターTelのドレイン領域またはソース領域)の電位は駆動トランジスターTdrや発光素子45の電位に応じて設定されるため、容量電極である第1容量電極C1の電位は、走査線22側に配置する場合と比して階調電位による変動を受けにくい。
第1の容量素子C−1および第2の容量素子C−2は、平面視において、選択トランジスターTsl、発光制御トランジスターTel、および駆動トランジスターTdrのそれぞれと重なる位置に設けられている。したがって、容量素子の容量を確保しつつ、画素の高密度化を実現することができる。このように、本実施形態によれば、駆動トランジスターTdrのゲート層Gdrよりも上の層を有効に活用して、高密度な画素のための画素構造を提供することができる。
その他、上述した各実施形態との共通の構成については、前述した各実施形態における効果と同様な効果を奏することができる。また、本実施形態においても、第1実施形態で説明した変形例と同様な変形例が適用可能である。
<第9実施形態>
本発明の第9実施形態を説明する。なお、以下に例示する各形態において作用や機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
本実施形態における各表示画素Peの回路の構成は、第1実施形態と同様であり、駆動トランジスターTdr、選択トランジスターTsl、発光制御トランジスターTel、および補償トランジスターTcmpを含んで構成される。なお、本実施形態においても、表示画素Peの各トランジスターT(Tdr,Tel,Tsl,Tcmp)をPチャネル型としたが、Nチャネル型のトランジスターを利用することも可能である。本実施形態の表示画素Peの回路は、いわゆるカップリング駆動方式と、いわゆる電流プログラミング方式とのいずれの方式によっても駆動することが可能である。
第9実施形態の有機エレクトロルミネッセンス装置100の具体的な構造を以下に詳述する。なお、以下の説明で参照する各図面では、説明の便宜のために、各要素の寸法や縮尺を実際の有機エレクトロルミネッセンス装置100とは相違させている。図84は、有機エレクトロルミネッセンス装置100の断面図であり、図85から図92は、有機エレクトロルミネッセンス装置100の各要素を形成する各段階での基板10の表面の様子を表示画素Peの1個分に着目して図示した平面図である。図93から図95は、基板10の表面の様子を表示画素Peの4個分に着目して図示した平面図である。図85から図92のX−X’線を含む断面に対応した断面図が図84に相当する。なお、図85から図92は平面図であるが、各要素の視覚的な把握を容易化する観点から、図84と共通する各要素に図84と同態様のハッチングが便宜的に付加されている。
図84および図85から理解される通り、珪素等の半導体材料で形成された基板10の表面には、表示画素Peの各トランジスターT(Tdr,Tsl,Tel,Tcmp)の能動領域10A(ソース/ドレイン領域)が形成される。能動領域10Aにはイオンが注入される。表示画素Peの各トランジスターT(Tdr,Tsl,Tel,Tcmp)のアクティブ層はソース領域とドレイン領域との間に存在し、能動領域10Aとは別種類のイオンが注入されるが、便宜的に能動領域10Aと一体に記載している。また、本実施形態においても、容量素子Cを構成する領域においても能動領域10Aが形成され、能動領域10Aには不純物が注入されて電源に接続される。そして、能動領域10Aを一方の電極とし、絶縁層を介して形成された容量電極を他方の電極とするいわゆるMOS容量を構成する。また、容量素子Cを構成する領域における能動領域10Aは電源電位部としても機能する。図21から理解される通り、補償トランジスターTcmpの能動領域10Aは導通孔HA1が設けられた部分において、選択トランジスターTslの能動領域10Aとはつながっている。したがって、補償トランジスターTcmpの電流端は、選択トランジスターTslの電流端としても機能する。図84および図86から理解される通り、能動領域10Aが形成された基板10の表面は絶縁膜L0(ゲート絶縁膜)で被覆され、各トランジスターTのゲート層G(Gdr,Gsl,Gel,Gcmp)が絶縁膜L0の面上に形成される。各トランジスターTのゲート層Gは、絶縁膜L0を挟んでアクティブ層に対向する。また、図86に例示される通り、駆動トランジスターTdrのゲート層Gdrは、容量素子Cを構成する領域に形成された能動領域10Aまで延びて形成され、下部容量電極層CA1を構成している。
図84から理解される通り、各トランジスターTのゲート層Gおよび下部容量電極層CA1が形成された絶縁膜L0の面上には、複数の絶縁層L(LA〜LD)と複数の導電層(配線層)とを交互に積層した多層配線層が形成される。各絶縁層Lは、例えば珪素化合物(典型的には窒化珪素や酸化珪素)等の絶縁性の無機材料で形成される。なお、以下の説明では、導電層(単層または複数層)の選択的な除去により複数の要素が同一工程で一括的に形成される関係を「同層から形成される」と表記する。
絶縁層LAは、各トランジスターTのゲートGが形成された絶縁膜L0の面上に形成される。図84および図87から理解される通り、絶縁層LAの面上には、上部容量電極層CA2,CA3,CA4と、複数の中継電極QB(QB2,QB3,QB4,QB5,QB6)と、発光制御トランジスターTelの制御線28とが同層から形成される。図84および図85から理解される通り、上部容量電極層CA2は、絶縁層LAと絶縁膜L0とを貫通する導通孔HA5を介して駆動トランジスターTdrのソース領域またはドレイン領域を形成する能動領域10Aに導通する。上部容量電極層CA2には、平面視において、駆動トランジスターTdrのゲート層Gdrの一部と下部容量電極層CA1が形成された領域を取り囲むように開口部50が形成される。
開口部50には、上部容量電極層CA3と上部容量電極層CA4が上部容量電極層CA2と同層に形成される。上部容量電極層CA3には開口部52が形成され、上部容量電極層CA4は開口部52内に形成される。つまり、上部容量電極層CA2と上部容量電極層CA3は互いに離間して形成され電気的に絶縁されており、上部容量電極層CA3と上部容量電極層CA4は互いに離間して形成され電気的に絶縁されている。上部容量電極層CA3は、駆動トランジスターTdrのゲート層Gdrと選択トランジスターTslのドレイン領域ましたソース領域とを接続する配線層としても機能している。すなわち、図84、図86および図87から理解される通り、絶縁層LAと絶縁膜L0とを貫通する導通孔HA2を介して選択トランジスターTslの能動領域10Aに導通するとともに、絶縁層LAの導通孔HB2を介して駆動トランジスターTdrのゲートGdrに導通する。
駆動トランジスターTdrと補償トランジスターTcmpおよび発光制御トランジスターTelとの導通部、補償トランジスターTcmpと選択トランジスターTslとの導通部、補償トランジスターTcmpのゲート層Gcmpの導通部、選択トランジスターTslのゲート層Gslの導通部、および発光制御トランジスターTelと画素電極としての第1電極E1との導通部のそれぞれには、中継電極QB4、中継電極QB3、中継電極QB5、中継電極QB2、中継電極QB6が上部容量電極層CA2と同層に形成される。また、発光制御トランジスターTelのゲート層Gelの導通部には制御線28が上部容量電極層CA2と同層に形成される。図84、図86および図87から理解される通り、中継電極QB4は、絶縁膜L0と絶縁層LAとを貫通する導通孔HA6を介して駆動トランジスターTdrのドレイン領域またはソース領域を形成する能動領域10Aに導通する。また、中継電極QB4は、絶縁膜L0と絶縁層LAとを貫通する導通孔HA7を介して補償トランジスターTcmpのドレイン領域またはソース領域を形成する能動領域10Aに導通する。さらに、中継電極QB4は、絶縁膜L0と絶縁層LAとを貫通する導通孔HA8を介して発光制御トランジスターTelのドレイン領域またはソース領域を形成する能動領域10Aに導通する。中継電極QB2は、絶縁層LAを貫通する導通孔HB1を介して選択トランジスターTslのゲート層Gslに導通する。中継電極QB3は、絶縁層LAと絶縁膜L0とを貫通する導通孔HA1を介して選択トランジスターTslのソース領域またはドレイン領域を形成すると共に、補償トランジスターTcmpのソース領域またはドレイン領域を形成する能動領域10Aに導通する。中継電極QB5は、絶縁層LAを貫通する導通孔HB3を介して補償トランジスターTcmpのゲート層Gcmpに導通する。中継電極QB6は、絶縁膜L0と絶縁層LAとを貫通する導通孔HA9を介して発光制御トランジスターTelのドレイン領域またはソース領域を形成する能動領域10Aに導通する。
発光制御トランジスターTelの制御線28は、絶縁層LAに形成された導通孔HB4を介して発光制御トランジスターTelのゲート層Gelに導通する。制御線28は、図93から理解される通り、複数の表示画素PeにわたりX方向に直線状に延在し、絶縁層LAにより補償トランジスターTcmpのゲート層Gcmpからは電気的に絶縁される。図87から理解される通り、選択トランジスターTslと駆動トランジスターTdrと発光制御トランジスターTelの各々は、チャネル長がY方向に沿うように形成される。また、容量素子Cを構成する領域は、駆動トランジスターTdrに対してX方向(図87ではX方向の正側)にずれた位置に配置される。また、選択トランジスターTslのゲート層Gslと中継電極QB2との導通箇所は、選択トランジスターTslに対してX方向(図87ではX方向の負側)にずれた位置に配置される。補償トランジスターTcmpのゲート層Gcmpと中継電極QB5との導通箇所は、補償トランジスターTcmpに対してY方向(図87ではY方向の正側)にずれた位置に配置される。
絶縁層LBは、上部容量電極層CA2、上部容量電極層CA3、上部容量電極層CA4と、複数の中継電極QB(QB2,QB3,QB4,QB5,QB6)と、制御線28とが形成された絶縁層LAの面上に形成される。図84および図88から理解される通り、絶縁層LBの面上には、第1電源導電体としての電源線層41と、走査線22と、補償トランジスターTcmpの制御線27と、複数の中継電極QC(QC1,QC3)とが同層から形成される。電源線層41は、多層配線層内の配線(図示略)を介して、高位側の電源電位Velが供給される実装端子36に導通する。なお、電源線層41は、図1に示す第1領域12の表示領域16内に形成される。また、図示を省略するが、第1領域12の周辺領域18内にも別の電源線層が形成される。この電源線層は、多層配線層内の配線(図示略)を介して、低位側の電源電位Vctが供給される実装端子36に導通する。電源線層41および低位側の電源電位Vctが供給される電源線層は、例えば銀やアルミニウムを含有する導電材料で例えば100nm程度の膜厚に形成される。
電源線層41は、前述の通り高位側の電源電位Velが供給される電源配線であり、図88および図94から理解される通り、上部容量電極層CA2の開口部50およびその周囲の上部容量電極層CA2を各画素において覆う。電源線層41は、さらに、Y方向において隣り合う表示画素Peの発光制御トランジスターTelの制御線28を覆う位置まで延びて形成されており、この隣り合う表示画素Peとの連続部には開口部53が形成されて、画素電極導通部(発光制御トランジスターTelと中継電極QC3の導通部)を取り囲むように配置される。また、電源線層41は、X方向において隣り合う表示画素Pe間において隙間なく連続して形成されたパターンである。
図84および図88から理解される通り、表示領域16内に形成された電源線層41は、表示画素Pe毎に絶縁層LBに形成された導通孔HC3を介して上部容量電極層CA2に導通する。また、電源線層41は、表示画素Pe毎に絶縁層LBに形成された導通孔HC5、HC6を介して上部容量電極層CA2に導通する。したがって、図84、図86ないし図88から理解される通り、電源線層41は、上部容量電極層CA2と、絶縁膜L0および絶縁層LAを貫通する導通孔HA3、HA4とを介して、容量素子Cを構成する領域に形成された能動領域10Aに導通する。さらに、図84および図88から理解される通り、電源線層41は、表示画素Pe毎に絶縁層LBに形成された導通孔HC7を介して上部容量電極層CA2に導通する。したがって、図84、図86ないし図88から理解される通り、電源線層41は、上部容量電極層CA2と、絶縁膜L0および絶縁層LAを貫通する導通孔HC7を介して、駆動トランジスターTdrのソース領域またはドレイン領域を形成する能動領域10Aに導通する。すなわち、上部容量電極層CA2は、駆動トランジスターTdrのソース領域またはドレイン領域と、電源線層41とを接続する配線層としても機能している。図84および図88から理解される通り、電源線層41は、表示画素Pe毎に絶縁層LBに形成された導通孔HC4、HC8を介して上部容量電極層CA4に導通する。
図88から理解される通り、走査線22は、表示画素Pe毎に絶縁層LBに形成された導通孔HC2を介して中継電極QB2に導通する。したがって、図86ないし図88から理解される通り、走査線22は、中継電極QB2と、絶縁層LAを貫通する導通孔HB1を介して選択トランジスターTslのゲート層Gslに導通する。走査線22は、図94から理解される通り、複数の表示画素PeにわたりX方向に直線状に延在し、絶縁層LBにより上部容量電極層CA2および中継電極QB4からは電気的に絶縁される。
図88から理解される通り、制御線27は、表示画素Pe毎に絶縁層LBに形成された導通孔HC10を介して中継電極QB5に導通する。したがって、図86ないし図88から理解される通り、制御線27は、中継電極QB5と、絶縁層LAを貫通する導通孔HB3を介して補償トランジスターTcmpのゲート層Gcmpに導通する。制御線27は、図94から理解される通り、複数の表示画素PeにわたりX方向に直線状に延在し、絶縁層LBにより上部容量電極層CA2および中継電極QB4からは電気的に絶縁される。
図87から理解される通り、中継電極QC3は、表示画素Pe毎に絶縁層LBに形成された導通孔HC11を介して中継電極QB6に導通する。したがって、図85ないし図87から理解される通り、中継電極QC3は、中継電極QB6と、絶縁膜L0および絶縁層LAを貫通する導通孔HA9を介して発光制御トランジスターTelの能動領域10Aに導通する。
図88から理解される通り、中継電極QC1は、表示画素Pe毎に絶縁層LBに形成された導通孔HC1を介して中継電極QB3に導通する。したがって、図86ないし図88から理解される通り、中継電極QC1は、中継電極QB3と、絶縁膜L0および絶縁層LAを貫通する導通孔HA1を介して選択トランジスターTslおよび補償トランジスターTcmpのドレイン領域またはソース領域を形成する能動領域10Aに導通する。
絶縁層LCは、電源線層41、走査線22、制御線27、中継電極QC1,QC3が形成された絶縁層LBの面上に形成される。図84および図89から理解される通り、絶縁層LCの面上には、信号線26と、中継電極QD2とが同層から形成される。信号線26は、複数の画素PにわたりY方向に直線状に延在し、絶縁層LCにより走査線22、制御線27および電源線層41からは電気的に絶縁される。具体的には、信号線26は、図88および図89から理解される通り、表示画素Pe毎に絶縁層LCに形成された導通孔HD1を介して中継電極QC1に導通する。したがって、図86ないし図89から理解される通り、信号線26は、中継電極QC1と、絶縁膜LBを貫通する導通孔HC1と、中継電極QB3と、絶縁膜L0および絶縁層LAを貫通する導通孔HA1を介して選択トランジスターTslおよび補償トランジスターTcmpが連結された能動領域10Aと導通する。また、信号線26は、中継電極QC1と、走査線22と、制御線27と、電源線層41との上層の位置を通過するように形成され、選択トランジスターTslのチャネル長の方向(Y方向)に沿って延在するとともに平面視で走査線22と制御線27と電源線層41とを介して選択トランジスターTslに重なる。
図89から理解される通り、中継電極QD2は、表示画素Pe毎に絶縁層LCに形成された導通孔HD3を介して中継電極QC3に導通する。したがって、図86ないし図89から理解される通り、中継電極QD2は、絶縁層LCに形成された導通孔HD3と、中継電極QC3と、絶縁層LBに形成された導通孔HC11と、中継電極QB6と、絶縁膜L0および絶縁層LAを貫通する導通孔HA9を介して発光制御トランジスターTelのドレイン領域またはソース領域を形成する能動領域10Aに導通する。
図84に例示される通り、絶縁層LDは、信号線26と中継電極QD2とが形成された絶縁層LCの面上に形成される。以上の説明では表示画素Peに着目したが、基板10の表面から絶縁層LDまでの各要素の構造は、周辺領域18内のダミー画素Pdについても共通する。
絶縁層LDの表面には平坦化処理が実行される。平坦化処理には、化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)等の公知の表面処理技術が任意に採用される。平坦化処理で高度に平坦化された絶縁層LDの表面に、図84および図90に例示される通り、反射層55が形成される。反射層55は、例えば銀やアルミニウムを含有する光反射性の導電材料で例えば100nm程度の膜厚に形成される。反射層55は、光反射性の導電材料で形成され、図90に示すように各トランジスターT、各配線、及び各中継電極を覆うように配置される。したがって、外光の侵入が反射層55により防止され、光照射に起因した各トランジスターTの電流リークを防止できるという利点がある。
図84および図90から理解される通り、反射層55は、表示画素Pe毎に絶縁層LDに形成された導通孔HE2を介して中継電極QD2に導通する。したがって、図86ないし図90から理解される通り、反射層55は、絶縁層LDを貫通する導通孔HE2と、中継電極QD2と、絶縁層LCを貫通する導通孔HD3と、中継電極QC3と、絶縁層LBを貫通する導通孔HC11と、中継電極QB6と、絶縁膜L0および絶縁層LAを貫通する導通孔HA9を介して発光制御トランジスターTelのドレイン領域またはソース領域を形成する能動領域10Aに導通する。
図84に例示される通り、反射層55が形成された絶縁層LDの面上には光路調整層60が形成される。光路調整層60は、各表示画素Peの共振構造の共振波長(すなわち表示色)を規定する光透過性の膜体である。表示色が同じ画素では、共振構造の共振波長は略同じであり、表示色が異なる画素では、共振構造の共振波長は異なるように設定される。
図84および図91に例示される通り、光路調整層60の面上には、表示領域16内の表示画素Pe毎の第1電極E1が形成される。第1電極E1は、例えばITO(Indium Tin Oxide)等の光透過性の導電材料で形成される。第1電極E1は、図2を参照して前述した通り、発光素子45の陽極として機能する略矩形状の電極(画素電極)である。第1電極E1は、表示画素Pe毎に光路調整層60に形成された導通孔HF2を介して反射層55に導通する。したがって、図86ないし図91から理解される通り、第1電極E1は、光路調整層60を貫通する導通孔HF2と、反射層55と、絶縁層LDを貫通する導通孔HE2と、中継電極QD2と、絶縁層LCを貫通する導通孔HD3と、中継電極QC3と、絶縁層LBを貫通する導通孔HC11と、中継電極QB6と、絶縁膜L0および絶縁層LAを貫通する導通孔HA9を介して発光制御トランジスターTelのドレイン領域またはソース領域を形成する能動領域10Aに導通する。
第1電極E1が形成された光路調整層60の面上には、図84および図92に例示される通り、基板10の全域にわたり画素定義層65が形成される。画素定義層65は、例えば珪素化合物(典型的には窒化珪素や酸化珪素)等の絶縁性の無機材料で形成される。図92から理解される通り、画素定義層65には、表示領域16内の各第1電極E1に対応する開口部65Aが形成される。画素定義層65のうち開口部65Aの内周縁の近傍の領域は第1電極E1の周縁に重なる。すなわち、開口部65Aの内周縁は平面視で第1電極E1の周縁の内側に位置する。各開口部65Aは、平面形状(矩形状)やサイズが共通し、かつ、X方向およびY方向の各々にわたり共通のピッチで行列状に配列する。以上の説明から理解される通り、画素定義層65は平面視で格子状に形成される。尚、開口部65Aの平面形状やサイズは、表示色が同じであれば同じであり、表示色が異なる場合は異なるようにしてもよい。また、開口部65Aのピッチは、表示色が同じ開口部同士では同じであり、表示色が異なる開口部間では異なるようにしてもよい。
その他にも、詳細な説明は省略するが、第1電極E1の上層には、発光機能層46、第2電極E2、および封止体47が積層され、以上の各要素が形成された基板10の表面には封止基板(図示略)が例えば接着剤で接合される。封止基板は、基板10上の各要素を保護するための光透過性の板状部材(例えばガラス基板)である。なお、封止基板の表面または封止体47の表面に表示画素Pe毎にカラーフィルターを形成することも可能である。
以上に説明した通り、第9実施形態では、第1トランジスターとしての駆動トランジスターTdrと発光素子45との間の接続状態を制御する第3トランジスターとしての発光制御トランジスターTelと、第2制御線としての発光制御トランジスターTelの制御線28を備える。制御線28を電源線層41とゲート層Gelの間に形成した。したがって、電源線層41のシールド効果により、電源線層41よりも上層に配置される信号線26等による制御線28およびゲート層Gelに対する影響を抑えることができる。また、電源線層41のシールド効果により、制御線28およびゲート層Gelによる信号線26に対する影響を抑えることができる。また、図93および図94から理解される通り、電源線層41は、制御線28とゲート層GelをX方向について隙間のない連続的なパターンで覆うので、発光制御トランジスターTelへの光を遮る遮光部としても機能する。また、図89から理解される通り、信号線26は、平面視において選択トランジスターTslと重なるように配置されるので、画素を微細化できるという利点がある。
さらに、第9実施形態では、図94から理解される通り、電源線層41は、Y方向において隣り合う表示画素Peの発光制御トランジスターTelおよび発光制御トランジスターTelの制御線28を覆う位置まで延びて形成され、開口部53により画素導通部を囲むように配置される。したがって、画素導通部に対する高いシールド効果が発揮されると共に、駆動トランジスターTdrおよび発光制御トランジスターTelに対する良好な遮光効果が発揮される。
また、第9実施形態では、駆動トランジスターTdrの第2電流端であるソース領域またはドレイン領域を形成する能動領域10Aとゲートとの間の接続状態を制御する第4トランジスターとしての補償トランジスターTcmpと、第3制御線としての補償トランジスターTcmpの制御線27を備え、制御線27を電源線層41と同層に形成した。したがって、工程の簡素化を図ることができる。
図84ないし図91から理解される通り、画素電極である第1電極E1と発光制御トランジスターTelのソース領域またはドレイン領域との導通部、すなわち、画素導通部は、絶縁膜L0および絶縁層LAを貫通する導通孔HA9、中継電極QB6、絶縁層LBを貫通する導通孔HC11、中継電極QC3、絶縁層LCを貫通する導通孔HD3、中継電極QD2、絶縁層LDを貫通するHE2、および光路調整層60を貫通する導通孔HF2により構成されている。これらは、発光制御トランジスターTelのソース配線またはドレイン配線として機能している。つまり、第1電極E1と発光制御トランジスターTelのソース領域またはドレイン領域との導通部は、上部容量電極層CA2等が形成された層と、電源線層41等が形成された層とを貫いて設けられた発光制御トランジスターTelのソース配線またはドレイン配線により構成されている。したがって、画素電極を発光制御トランジスターTelのソース領域またはドレイン領域の層まで延ばして導通を図る場合と比して、低抵抗で発光制御トランジスターTelのソース領域またはドレイン領域と画素電極である第1電極E1とを接続することができる。
図87および図91から理解される通り、補償トランジスターTcmpのゲートと制御線27との導通部は、補償トランジスターTcmpのゲートに対してY方向にずれて配置されている。したがって、余分な層を積層することなく、制御線27が形成された層のすぐ上の層に信号線26を配置することができる。なお、補償トランジスターTcmpのゲートと制御線27との導通部は、平面視において補償トランジスターTcmpと重なるように配置して、選択トランジスターTslおよび補償トランジスターTcmpと信号線26の導通部を平面視において補償トランジスターTcmpのチャネル長の方向とずらすようにしてもよい。
図89から理解される通り、信号線26は、平面視において補償トランジスターTcmpと重なるように配置されるので、画素を微細化できるという利点がある。また、信号線26と補償トランジスターTcmpとの導通部を、信号線26の真下に配置することができるので、絶縁層を貫通する導通孔や中継電極により、低抵抗で信号線26と補償トランジスターTcmpの導通を図ることができる。その結果、信号線26による補償トランジスターTcmpへの書き込み能力が向上する。
上部容量電極層CA2は、走査線22又は制御線27と駆動トランジスターTdrのゲート電位部との間に配置されるように構成されている。さらに、電源線層41は、走査線22又は制御線27と駆動トランジスターTdrのゲート電位部との間に配置されるように構成されている。したがって、走査線22又は制御線27と駆動トランジスターTdrのゲート電位部との間のカップリングが抑制される。
上部容量電極層CA2は、信号線26と選択トランジスターTslをつなぐ導通部と、駆動トランジスターTdrのゲート電位部との間に配置されるように構成されている。さらに、電源線層41は、信号線26と選択トランジスターTslをつなぐ導通部と、駆動トランジスターTdrのゲート電位部との間に配置されるように構成されている。したがって、信号線26と選択トランジスターTslをつなぐ導通部と駆動トランジスターTdrのゲート電位部との間のカップリングが抑制される。
その他、第1実施形態との共通の構成については、前述した第1実施形態における効果と同様な効果を奏することができる。また、第9実施形態においても、容量素子を構成する電極を電源線層41とは異なる層で形成された電極とする等、第1実施形態で説明した変形例と同様な変形例が適用可能である。
<第10実施形態>
本発明の第10実施形態を説明する。なお、以下に例示する各形態において作用や機能が第1実施形態および第9実施形態と同様である要素については、第1実施形態および第2実施形態の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
第10実施形態の各表示画素Peの回路は第2実施形態の回路と同様であり、駆動トランジスターTdrと、選択トランジスターTslと、補償トランジスターTcmpと、発光制御トランジスターTelとを備えている。第10実施形態の有機エレクトロルミネッセンス装置100の具体的な構造は、第9実施形態の有機エレクトロルミネッセンス装置100の具体的な構造とほぼ同様な構造である。以下、簡略化のため、相違する箇所についてのみ説明する。
図96は、有機エレクトロルミネッセンス装置100の断面図であり、図97から図104は、有機エレクトロルミネッセンス装置100の各要素を形成する各段階での基板10の表面の様子を表示画素Peの1個分に着目して図示した平面図である。図105から図107は、基板10の表面の様子を表示画素Peの4個分に着目して図示した平面図である。図97から図104のXI−XI’線を含む断面に対応した断面図が図96に相当する。なお、図97から図107は平面図であるが、各要素の視覚的な把握を容易化する観点から、図96と共通する各要素に図96と同態様のハッチングが便宜的に付加されている。
第10実施形態は、図99および図105から理解される通り、上部容量電極層CA2は、開口部50によって駆動トランジスターTdrのゲート導通部の一部および容量素子Cの一部の形成部を取り囲むだけでなく、選択トランジスターTslと、補償トランジスターTcmpと、発光制御トランジスターTelと、駆動トランジスターTdrおよび補償トランジスターTcmpならびに発光制御トランジスターTelの導通部と、発光制御トランジスターTelのソース領域またはドレイン領域と導通する画素導通部とを、開口部54により取り囲むように配置されている。図105から理解される通り、上部容量電極層CA2は、X方向およびY方向において隣り合う表示画素Pe間で隙間なく連続するパターンとなっている。上部容量電極層CA2は、第2実施形態と異なり、絶縁層LBを貫通する導通孔HC3だけでなく、同じく絶縁層LBを貫通する導通孔HC13によっても電源線層41との導通が図られている。したがって、電源線層41のみの場合と比して、電源線層41及び上部容量電極層CA2が格子状に導通することができる。したがって、この構成により、高位側の電源電位Velを表示画素Peに安定して供給することができる。また、上部容量電極層CA2のシールド効果により、各トランジスターおよび画素導通部に対する、X方向およびY方向において隣り合う表示画素Pe間での影響を低減させることができる。上部容量電極層CA2は、平面視において、X方向およびY方向で隣り合う表示画素Peの反射層55間の隙間と重なる位置に配置されている。したがって、各トランジスターに対する遮光性が向上する。言い換えると、反射層55の端部は、上部容量電極層CA2又は電源線層41と重なるように配置されているため、隣り合う反射層55間を透過した光は、上部容量電極層CA2又は電源線層41により遮られるようになっている。よって、各トランジスターTへ光が到達しにくい構造となっている。
図100から理解される通り、第3実施形態では、発光制御トランジスターTelの制御線28は、補償トランジスターTcmpの制御線27と、走査線22と、電源線層41と同層に形成されている。したがって、第2実施形態よりも工程の簡素が可能となる。図97ないし図101から理解される通り、発光制御トランジスターTelの制御線28は、絶縁層LAに形成された導通孔HB4、中継電極QB7、絶縁層LBに形成されたHC12を介して発光制御トランジスターTelのゲート層Gelに導通する。図105から理解される通り、電源線層41は、第2実施形態と同様にY方向で隣り合う表示画素Pe間で隙間なく連続し、Y方向で隣り合う表示画素Peにおける画素導通部を取り囲む位置まで延びて形成されている。ただし、第2実施形態とは異なり、画素導通部の四方を取り囲むのではなく、発光制御トランジスターTelの制御線28側が開放された状態となっている。第3実施形態においても、電源線層41による高いシールド効果が発揮される。
上部容量電極層CA2は、走査線22及び制御線27、28のいずれかと駆動トランジスターTdrのゲート電位部との間に配置されるように構成されている。さらに、電源線層41は、走査線22及び制御線27、28のいずれかと駆動トランジスターTdrのゲート電位部との間に配置されるように構成されている。したがって、走査線22及び制御線27、28のいずれかと駆動トランジスターTdrのゲート電位部との間のカップリングが抑制される。
上部容量電極層CA2は、信号線26と選択トランジスターTslをつなぐ導通部と、駆動トランジスターTdrのゲート電位部との間に配置されるように構成されている。さらに、電源線層41は、信号線26と選択トランジスターTslをつなぐ導通部と、駆動トランジスターTdrのゲート電位部との間に配置されるように構成されている。したがって、信号線26と選択トランジスターTslをつなぐ導通部と駆動トランジスターTdrのゲート電位部との間のカップリングが抑制される。
その他、第9実施形態との共通の構成については、前述した第2実施形態における効果と同様な効果を奏することができる。また、第3実施形態においても、容量素子を構成する電極を電源線層41とは異なる層で形成された電極とする等、第1実施形態で説明した変形例と同様な変形例が適用可能である。
<変形例>
以上の形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲内で適宜に併合され得る。
(1)前述の各形態では、電源線層41の電位は、駆動トランジスターTdrに接続されるVel電位としたが、他の電位としてもよい。この場合には、電源線層41と駆動トランジスターTdrとを接続するための導通孔を省略することができる。電源線層41は、他の電源電位Vaが供給される実装端子36に導通し、駆動トランジスターTdrや上部容量電極層CA2には、電源電位Velが供給される実装端子36に導通するようにしてもよい。
(2)前述の各形態では、半導体基板を基板10として利用した有機エレクトロルミネッセンス装置100を例示したが、基板10の材料は任意である。例えばガラスや石英等の板状部材を基板10として利用することも可能である。また、前述の各形態では、基板10のうち第1領域12の外側の第2領域14に駆動回路30を配置したが、駆動回路30を例えば周辺領域18内に配置することも可能である。例えば、第2電源導電体42と基板10との間に駆動回路30が配置される。
(3)発光素子45の構成は以上の例示に限定されない。例えば、前述の各形態では、白色光を発生する発光機能層46を複数の表示画素Peにわたり連続に形成した構成を例示したが、各表示画素Peの表示色に対応する波長の単色光を放射する発光機能層46を表示画素Pe毎に個別に形成することも可能である。また、前述の各形態では、反射層55と第2電極E2(半透過反射層)との間で共振構造を形成したが、例えば第1電源導電体としての電源線層41を反射性の導電材料で形成し、電源線層41(反射層)と第2電極E2(半透過反射層)との間で共振構造を形成することも可能である。また、第1電極E1を反射性の導電材料で形成し、第1電極E1(反射層)と第2電極E2(半透過反射層)との間で共振構造を形成することも可能である。第1電極E1を反射層として利用する構成では、第1電極E1と第2電極E2との間に光路調整層60が形成される。
前述の各形態では、光路調整層60により各表示画素Peの共振波長を調整したが、第1電極E1や発光機能層46の膜厚に応じて各表示画素Peの共振波長を調整することも可能である。
なお、発光機能層46は、青色波長領域、緑色波長領域、赤色波長領域のいずれで発光してもよいし、白色の光を発光するようにしてもよい。この場合には、発光機能層46は、表示領域にある複数の画素にまたがって設けられていてもよい。また、発光機能層46は、赤色、緑色、青色のそれぞれの画素において異なる発光を行うように構成してもよい。
(4)前述の各形態では有機EL材料を利用した発光素子45を例示したが、無機EL材料で発光層を形成した発光素子やLED等の発光素子を利用した構成にも本発明は同様に適用される。また、前述の各形態では、基板10とは反対側に光を出射するトップエミッション型の有機エレクトロルミネッセンス装置100を例示したが、基板10側に光を出射するボトムエミッション型の発光装置にも本発明は同様に適用される。
(5)前述の各形態では、表示画素Peに構造(配線やトランジスターや容量素子等の構造)が類似するダミー画素Pdを周辺領域18内に配置した構成を例示したが、周辺領域18内の構成は以上の例示に限定されない。例えば、周辺領域18内の第2電源導電体42の下層に、駆動回路30(走査線駆動回路32または信号線駆動回路34)や駆動回路30以外の回路および配線を配置することも可能である。
(6)前述の各形態では、共振波長の説明の簡略化のために光路調整層60の膜厚に着目したが、実際には、共振構造の反射層(例えば第1電源導電体41)と半透過反射層(例えば第2電極E2)との間に位置する各層の屈折率や、反射層および半透過反射層の表面での位相シフトに応じて共振構造の共振波長が設定される。
(7)この発明の要旨を逸脱しない範囲において、トランジスター、あるいは容量、もしくは配線等のいずれかを省略してもよい。例えば、第10実施形態において、補償トランジスターTcmp及び発光制御トランジスターTelを省略し、画素電極導通部は、駆動トランジスターTdrのソース配線またはドレイン配線であってもよい。また、例えば、第7実施形態において、発光制御トランジスターTelを省略し、画素電極導通部は、駆動トランジスターTdrのソース配線またはドレイン配線であってもよい。また、容量素子Cが2種類以上の容量素子で構成される場合には、このいずれかを省略してもよい。また、各形態において説明したトランジスター以外のトランジスター、あるいは容量、もしくは配線等を適宜追加するようにしてもよい。さらに、各形態においては、走査線22、信号線26、制御線27,28、および電源線層41は直線状であり、幅が一様としたが、本発明はこの態様に限定されるものではなく、配線の幅が他の部分より太くなるようにしてもよいし、曲がって形成されていてもよい。
<電子機器>
前述の各形態に例示した有機エレクトロルミネッセンス装置100は各種の電子機器の表示装置として好適に利用される。図108には、前述の各形態に例示した有機エレクトロルミネッセンス装置100を利用した頭部装着型の表示装置90(HMD:Head Mounted Display)が電子機器として例示されている。
表示装置90は、利用者の頭部に装着可能な電子機器であり、利用者の左眼に重なる透過部(レンズ)92Lと、利用者の右眼に重なる透過部92Rと、左眼用の有機エレクトロルミネッセンス装置100Lおよびハーフミラー94Lと、右眼用の有機エレクトロルミネッセンス装置100Rおよびハーフミラー94Rとを具備する。有機エレクトロルミネッセンス装置100Lと有機エレクトロルミネッセンス装置100Rとは、出射光が相互に反対の方向に進行するように配置される。左眼用のハーフミラー94Lは、透過部92Lの透過光を利用者の左眼側に透過させるとともに、有機エレクトロルミネッセンス装置100Lからの出射光を利用者の左眼側に反射させる。同様に、右眼用のハーフミラー94Rは、透過部92Rの透過光を利用者の右眼側に透過させるとともに有機エレクトロルミネッセンス装置100Rからの出射光を利用者の右眼側に反射させる。したがって、利用者は、透過部92Lおよび透過部92Rを介して観察される像と各有機エレクトロルミネッセンス装置100による表示画像とを重畳した画像を知覚する。また、相互に視差が付与された立体視画像(左眼用画像および右眼用画像)を有機エレクトロルミネッセンス装置100Lと有機エレクトロルミネッセンス装置100Rとに表示させることで、利用者に表示画像の立体感を知覚させることが可能である。
なお、前述の各形態の有機エレクトロルミネッセンス装置100が適用される電子機器は図108の表示装置90に限定されない。例えば、ビデオカメラやスチルカメラ等の撮像装置に利用される電子式ビューファインダー(EVF:Electronic View Finder)にも本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置100が好適に利用される。また、携帯電話機、携帯情報端末(スマートフォン)、テレビやパーソナルコンピューター等のモニター、カーナビゲーション装置等の各種の電子機器に本発明の発光装置を採用することが可能である。