以下、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、コンピュータ1において編集された配送情報を、液体燃料(例えばLPG等)の配送業務に用いられる配送車両2が備える車載端末90に読み込ませる流れについて説明する。図1は配送情報編集プログラム74a(図2(a)参照)を実行するコンピュータ1と、配送車両2との関係を表す模式図である。
図1に示すコンピュータ1は、本体70と、その本体70に接続されたSDカード装置61と、ディスプレイ62と、キーボード63と、マウス64とを備える。コンピュータ1の詳細な構成については、図2(a)を参照して後述する。なお、SDカード装置61は、SDカード50を着脱可能な記憶装置であり、本体70が備えるCPU71の制御により、SDカード50から情報を読み取ることと、SDカード50に情報を記憶させることとを可能とするものである。
配送車両2は、タッチパネルディスプレイ82と、SDカード読取装置81とが接続された車載端末90を備える。配送車両2の詳細な構成は、図2(b)を参照して後述する。なお、車載端末90はCPU91等を備え、配送車両2を用いて行う液体燃料の配送業務に関する種々の処理を実行する車載コンピュータである。タッチパネルディスプレイ82は文字や図形の表示出力と、操作の入力との双方を可能とするものであり、配送車両2の搭乗者は、タッチパネルディスプレイ82を用いて車載端末90に対する入出力を行う。SDカード読取装置81は、SDカード50を着脱可能な記憶装置であり、車載端末90が備えるCPU91の制御により、SDカード50からの情報の読み取りを可能とするものである。
SDカード50は、コンピュータ1と、車載端末90との間で、情報の受け渡しを行うための可搬記憶媒体である。可搬記憶媒体とは、リムーバブルメディアと呼ばれるコンピュータ1から容易に取り外すことのできる記憶媒体を指す。SDカード50には、配送情報として顧客ファイル51と、件数ファイル52とが、コンピュータ1によって記憶される。顧客ファイル51は、LPGの配送業務における配送先の名称、名称の読み仮名および電話番号等の情報を含む顧客情報が記憶されるものである。件数ファイル52は、顧客ファイル51に記憶される顧客情報の件数が記憶されるものである。
コンピュータ1により顧客ファイル51と、件数ファイル52とが記憶されたSDカード50は、コンピュータ1のSDカード装置61から取り外し、配送車両2のSDカード読取装置81に装着することができる。配送車両2の車載端末90は、SDカード読取装置81を介してSDカード50に記憶された顧客ファイル51と件数ファイル52とを読み込んで、その内容、即ち、顧客情報を、内蔵する顧客情報メモリ94a(図2(b)参照)に記憶させる。
以上の流れにより、コンピュータ1において編集された顧客情報は、SDカード50を介して配送車両2の車載端末90に読み込まれ、配送車両2を用いたLPGの配送業務において利用可能となる。
次に図2を参照して、コンピュータ1及び配送車両2の電気的構成を説明する。図2(a)はコンピュータ1の電気的構成を示すブロック図であり、図2(b)は配送車両2の電気的構成を示すブロック図である。
まず、図2(a)を参照して、コンピュータ1の電気的構成を説明する。コンピュータ1は本体70と、その本体70に接続されたSDカード装置61、ディスプレイ62、キーボード63、マウス64とで構成される。本体70は、CPU71と、ROM72と、RAM73と、ハードディスク74とを有し、これらがバスライン75を介して入出力ポート76にそれぞれ接続されている。また、入出力ポート76には、前述したSDカード装置61、ディスプレイ62、キーボード63及びマウス64が接続されている。
CPU71は、バスライン75に接続された各装置を制御する演算装置である。ROM72は、固定値データ等を格納した書き換え不能な不揮発性のメモリである。RAM73は、CPU71で実行されるプログラムデータや、各種のワークデータ等を書き換え可能に記憶するためのメモリである。
ディスプレイ62は、CPU71の制御に従って文字や図形を表示する装置であり、図3を参照して説明する編集画面100が表示されるものである。マウス64及びキーボード63は、操作者がコンピュータ1に対する操作の入力を行う入力装置である。例えば、マウス64により編集画面100上のボタンをクリック操作したり、キーボード63により編集画面100上の所定の領域に文字を入力したりできる。
ハードディスク74と、SDカード装置61とは、CPU71に制御されて情報を記憶する記憶装置であり、具体的には、「ファイル」を単位として情報を記憶する。ファイルが記憶される仮想的な位置は、階層化された「フォルダ」構造により特定される。
SDカード装置61は、可搬記憶媒体であるSDカード50を着脱可能なものである。SDカード50は、情報を書き換え可能に記憶するものであって、SDカード装置61から取り外された後においても、その記憶を維持できる、即ち、不揮発性の記憶媒体である。SDカード50には、図7、図8を参照して詳述する処理により、前述した顧客ファイル51と件数ファイル52とが記憶される。
ハードディスク74は、情報を書き換え可能に記憶するものであって、本体70の電源が断たれた後においても記憶を維持する不揮発性の記憶装置である。なお、ハードディスク74は、本体70の内部に備えられるものであり、記憶媒体を容易に取り外すことのできない、いわゆる非可搬記憶媒体である。
ハードディスク74には、配送情報編集プログラム74aが記憶されている。配送情報編集プログラム74aは図4から図8に示す配送情報編集処理を、CPU71に実行させるコンピュータプログラムである。また、ハードディスク74にはバックアップフォルダ74bが設けられている。バックアップフォルダ74bには、図7に示す保存処理S200において、副顧客ファイル74b1と、副件数ファイル74b2とが記憶される。
副顧客ファイル74b1と副件数ファイル74b2とは、図7を参照して後述する処理において、副顧客ファイル74b1には顧客ファイル51と同一の情報が、副件数ファイル74b2には件数ファイル52と同一の情報が書き込まれるファイルである。なお、本実施形態においては、図7に示す副顧客ファイル74b1と副件数ファイル74b2とを更新する処理(S208,S209,S211,S212)を簡素化するため、顧客ファイル51と副顧客ファイル74b1とを同名のファイルとし、件数ファイル52と副件数ファイル74b2とをまた同名のファイルとしている。
次に図2(b)を用いて配送車両2の電気的構成を説明する。配送車両2は車載端末90を備える。車載端末90は、CPU91と、ROM92と、RAM93と、フラッシュメモリ94とを有し、これらがバスライン95を介して入出力ポート96にそれぞれ接続されている。また、入出力ポート96には、SDカード読取装置81と、タッチパネルディスプレイ82とが接続されている。
CPU91は、バスライン95に接続された各装置を制御する演算装置である。ROM92はCPU91により実行されるプログラム(例えば図9に示す処理をCPU91に実行させるプログラム)や固定値データを記憶する不揮発性のメモリである。
RAM93は種々のワークデータやフラグ値等を書き換え可能に記憶するためメモリである。フラッシュメモリ94は、情報を書き換え可能に保持するメモリであって、車載端末90の電源が断たれた後にも記憶を保持するように構成された不揮発性のものである。
タッチパネルディスプレイ82は、CPU91の制御に基づいて文字や図形を表示するとともに、その画面に対する操作、即ち文字や座標の入力を可能とする装置である。
SDカード読取装置81は、SDカード50を着脱可能な装置であり、CPU91の制御により、装着されたSDカード50に記憶されている情報を、特には顧客ファイル51と、件数ファイル52とを読み込むことを可能とする装置である。
フラッシュメモリ94には、記憶領域として顧客情報メモリ94aが設けられている。顧客情報メモリ94aは、図9を参照して後述する処理において、SDカード50の顧客ファイル51から読み込まれた顧客情報を記憶するためのメモリである。コンピュータ1において編集されて、SDカード50に記憶された顧客情報が顧客情報メモリ94aに記憶されることにより、その顧客情報が配送車両2を用いたLPGの配送業務において利用可能となる。なお、顧客情報メモリ94aは不揮発性のフラッシュメモリ94に設けられているので、車載端末90を起動する度に、SDカード50をSDカード読取装置81に装着して、顧客ファイル51を読み込む操作を行う必要はない。
次に図3を参照して、配送情報編集プログラム74aの実行によってディスプレイ62に表示される編集画面100を説明する。図3は編集画面100を示す模式図である。編集画面100は、LPGの配送業務に関する顧客情報を編集するためのものであり、コンピュータ1の操作者に対して顧客情報を表示すると共に、マウス64やキーボード63による入力によって顧客情報の編集を行うための画面である。編集画面100は、図4を参照して後述する起動時処理S10により、配送情報編集プログラム74aの起動時に表示される。
編集画面100には、読み込みボタン101と、保存ボタン102と、初期化ファイル作成ボタン103と、終了ボタン104と、編集対象表示部105と、顧客編集部106とが表示される。
読み込みボタン101、保存ボタン102、初期化ファイル作成ボタン103及び終了ボタン104は、操作者がマウス64を用いてクリック操作を行うことにより、それぞれ対応する処理の実行の指示を入力するためのユーザインターフェイスである。読み込みボタン101は、SDカード50に記憶された顧客ファイル51の内容を読み込む場合にクリック操作されるボタンである。保存ボタン102は、後述する顧客編集部106において編集された顧客情報をSDカード50に記憶させる場合にクリック操作されるボタンである。初期化ファイル作成ボタン103は、顧客情報を含まない初期化された顧客ファイル51をSDカード50に記憶させる場合にクリック操作されるボタンである。終了ボタン104は、配送情報編集プログラムを終了する場合にクリック操作されるボタンである。CPU71は各ボタンがクリック操作された場合に後述する図5に示す処理を実行し、クリック操作されたボタンに対応した処理を実行する。
顧客編集部106は、1の顧客情報を1の行とした複数の顧客情報が表形式で表示されるユーザインターフェイスである。顧客情報が含む名称、名称の読み仮名及び電話番号等の属性は表形式の列として表示される。顧客編集部106においては、キーボード63及びマウス64による操作者の入力に基づいて、顧客情報の追加、変更、削除が行われる。
編集対象表示部105は、顧客編集部106に表示されている顧客情報がSDカード50又はバックアップフォルダ74bのいずれから読み込まれたものであるかを表示する部分であり、詳細は図4、図6を参照して後述する。
次に、図4から図8を参照して、コンピュータ1において行われる配送情報編集処理の内容を説明する。配送情報編集処理は、CPU71が、配送情報編集プログラム74aに従って、コンピュータ1を制御して行う処理である。図4から図8は、本実施形態における配送情報編集処理を示すフローチャートである。
図4に示す起動時処理S10は、CPU71に対して、配送情報編集プログラム74aの実行が要求されたときに、CPU71により実行される処理である。起動時処理S10では、バックアップフォルダ74bの副顧客ファイル74b1から顧客情報を読み込む処理が行われる。
起動時処理S10ではまず、CPU71は、ハードディスク74に記憶されている配送情報編集プログラム74aをRAM73にロードし、配送情報編集プログラム74aを実行可能とする(S11)。以降、CPU71は、RAM73にロードした配送情報編集プログラム74aに基づいて配送情報編集処理を実行する。次に、CPU71は、配送情報編集プログラム74aの実行に必要な初期セットアップを行う(S12)。具体的には必要な記憶領域をRAM73上に確保する処理等を行う。
次にCPU71は、編集画面100をディスプレイ62に表示する(S13)。この際、編集画面100の顧客編集部106は、顧客情報が1つも表示されていない状態、即ち、初期状態で表示される。
CPU71は、S13の処理において編集画面100を表示した後、ハードディスク74にバックアップフォルダ74bが存在するかを判断し(S14)、バックアップフォルダ74bが存在すると判断した場合(S14:Yes)、バックアップフォルダ74bに副顧客ファイル74b1が記憶されているかを判断する(S15)。図7を参照して後述するが、副顧客ファイル74b1は、最新の顧客情報が記憶されたファイルである。
CPU71は、バックアップフォルダ74bに副顧客ファイル74b1が記憶されていると判断した場合(S15:Yes)、副顧客ファイル74b1に記憶されている顧客情報を、編集画面100の顧客編集部106に表示する(S16)。
S14からS16の処理によれば、編集画面100がディスプレイ62に表示された際には、操作者の操作を要求することなく、副顧客ファイル74b1に記憶された顧客情報を編集画面100に表示して、編集可能とできる。従って、操作者は配送情報編集プログラム74aの実行を要求した後、即座に最新の顧客情報の編集を開始することができ、操作者の作業性を高めることができる。
次にCPU71は、編集画面100の編集対象表示部105に「バックアップ」と表示して(S17)、起動時処理S10を終了する。これにより、顧客編集部106に表示されている顧客情報は、バックアップフォルダ74bの副顧客ファイル74b1から読み込まれた顧客情報であることを、操作者に対して示すことができる。
CPU71は、S14の処理においてバックアップフォルダ74bがハードディスク74に存在しないと判断した場合(S14:No)、又は、S15の処理において副顧客ファイル74b1がバックアップフォルダ74bに記憶されていないと判断した場合(S15:No)、編集対象表示部105を空欄に設定して(S18)、起動時処理S10を終了する。従って、操作者は編集対象表示部105が空欄であれば、顧客情報が読み込まれていない状態、即ち、初期状態であることを認識できる。
なお、上述した本実施形態の起動時処理S10では、編集画面100をディスプレイ62に表示した後で(S13)、副顧客ファイル74b1を読み込むこととしたが(S14〜S16)、先に副顧客ファイル74bの読み込みを行い、その読み込んだ内容がセットされた編集画面100をディスプレイ62に表示するようにしてもよい。
次に図5を参照して操作判定処理S20を説明する。操作判定処理S20は、編集画面100上の、読み込みボタン101、保存ボタン102、初期化ファイル作成ボタン103、終了ボタン104のいずれかが、マウス64によりクリック操作されたときにCPU71によって実行される。操作判定処理S20では、どのボタンがクリック操作されたのかを判断して、各ボタンに対応した各種処理を呼び出す処理が行われる。
CPU71はまず、クリック操作がされたボタンが読み込みボタン101であるかを判断し(S21)、読み込みボタン101がクリック操作されたと判断した場合は(S21:Yes)、読込処理S100を実行して、操作判定処理S20を終了する。
CPU71はS21の処理において、クリック操作がされたのは読み込みボタン101でないと判断した場合(S21:No)、クリック操作がされたボタンが保存ボタン102であるかを判断する(S22)。CPU71は保存ボタン102がクリック操作されたと判断した場合(S22:Yes)、保存処理S200を実行して操作判定処理S20を終了する。
CPU71は、S22の処理において、クリック操作がされたボタンは保存ボタン102ではないと判断した場合(S22:No)、クリック操作がされたボタンが初期化ファイル作成ボタン103であるかを判断する(S23)。CPU71は初期化ファイル作成ボタン103がクリック操作されたと判断した場合(S23:Yes)、初期化ファイル作成処理S400を実行して、操作判定処理S20を終了する。
CPU71はS23の処理の結果、クリック操作がされたボタンは初期化ファイル作成ボタン103ではないと判断した場合(S23:No)、クリック操作がされたボタンが終了ボタン104であるかを判断する(S24)。CPU71は終了ボタン104がクリック操作されたと判断した場合(S24:Yes)、配送情報編集プログラム74aの実行を終了し(S27)、操作判定処理S20を終了する。配送情報編集プログラム74aの実行が終了されると、RAM73に確保された記憶領域等の資源はオペレーティングシステムの管理下へ返却され、ディスプレイ62への編集画面100の表示も終了される。
CPU71は、S24の処理において、クリック操作されたボタンが終了ボタン104でないと判断した場合(S24:No)、編集画面100に表示された読み込みボタン101、保存ボタン102、初期化ファイル作成ボタン103及び終了ボタン104のいずれのクリック操作に基づいて操作判定処理S20が呼び出された状態ではないため、そのまま操作判定処理S20を終了する。
次に図6を参照して、読込処理S100を説明する。読込処理S100は、CPU71が操作判定処理S20(図5参照)において読み込みボタン101がクリック操作されたと判断した場合に(S21:Yes)実行する処理である。読込処理S100では、SDカード50の顧客ファイル51に記憶された顧客情報を、編集画面100の顧客編集部106に表示する処理が行われる。
読込処理S100において、CPU71はまず、SDカード装置61にSDカード50が装着されているかを判断する(S101)。具体的には、CPU71はSDカード装置61にSDカード50が装着されているかを問い合わせ、SDカード装置61からの応答により判断する。CPU71は、SDカード50が装着されていると判断した場合(S101:Yes)、SDカード50に顧客ファイル51が記憶されているかを判断する(S102)。CPU71は、SDカード50に顧客ファイル51が記憶されていると判断した場合(S102:Yes)、その顧客ファイル51に記憶された顧客情報を、編集画面100の顧客編集部106に表示する(S103)。次にCPU71は、編集対象表示105の表示を「SDカード」に更新して(S104)、読込処理S100を終了する。以上の処理により、SDカード50の顧客ファイル51に記憶された顧客情報が編集画面100において編集可能となる。また、S104の処理において編集対象表示105の表示を「SDカード」とすることにより、顧客編集部106に表示された顧客情報が、SDカード50の顧客ファイル51から読み込まれた顧客情報であることを、操作者に対して示すことができる。
CPU71は、S101の処理において、SDカード装置61にSDカード50が装着されていないと判断した場合(S101:No)、又は、S102の処理において、SDカード50に顧客ファイル51が記憶されていないと判断した場合(S102:No)は、ディスプレイ62に「顧客ファイル読み込みエラー」と表示して(S105)、読込処理S100を終了する。
次に図7を参照して、保存処理S200を説明する。保存処理S200は、CPU71が操作判定処理S20において保存ボタン102がクリック操作されたと判断された場合に(S22:Yes)実行する処理である。保存処理S200では、編集画面100において編集された顧客情報をSDカード50の顧客ファイル51に記憶させる処理が行われる。
保存処理S200においてCPU71は、まず、S101の処理と同様の方法で、SDカード装置61にSDカード50が装着されているかを判断する(S201)。CPU71はSDカード装置61にSDカード50が装着されていないと判断した場合(S201:No)、ディスプレイ62に「顧客ファイル書き込みエラー」と表示して(S213)、保存処理S200を終了する。
一方、S201の処理において、CPU71はSDカード装置61にSDカード50が装着されていると判断した場合(S201:Yes)、SDカード装置61を制御して、顧客編集部106に表示さている顧客情報をSDカード50の顧客ファイル51に記憶させる(S202)。
次にCPU71は、顧客編集部106に表示されている顧客情報の件数を取得し(S203)、その件数をSDカード装置61を制御して、SDカード50の件数ファイル52に記憶させる(S204)。
CPU71はS203,S204の処理の後、ハードディスク74にバックアップフォルダ74bが存在するかを判断する(S205)。CPU71は、バックアップフォルダ74bが存在すると判断した場合には(S205:Yes)、そのままS207の処理へ進み、バックアップフォルダ74bが存在しないと判断した場合には(S205:No)、ハードディスク74にバックアップフォルダ74bを作成して(S206)、S207の処理へ進む。
S205,S206の処理によれば、初めて配送情報編集プログラム74aを実行した場合等、ハードディスク74にバックアップフォルダ74bが予め作成されていない状況であっても自動的にバックアップフォルダ74bが作成されるので、操作者の手間を省くことができる。
次にCPU71は、バックアップフォルダ74bに副顧客ファイル74b1が記憶されているかを判断する(S207)。CPU71はバックアップフォルダ74bに副顧客ファイル74b1が記憶されていると判断した場合(S207:Yes)、SDカード50の顧客ファイル51で、バックアップフォルダ74bの副顧客ファイル74b1を上書きする(S208)。一方、CPU71はバックアップフォルダ74bに副顧客ファイル74b1が記憶されていないと判断した場合には(S207:No)、SDカード50の顧客ファイル51をバックアップフォルダ74bにコピーして、そのファイルを副顧客ファイル74b1とする(S209)。
次に、CPU71は、副件数ファイル74b2についても副顧客ファイル74b1と同様に処理を行う。即ち、バックアップフォルダ74bに副件数ファイル74b2が記憶されている場合には(S210:Yes)、SDカード50の件数ファイル52で、バックアップフォルダ74bの副件数ファイル74b2を上書きし(S211)、一方、バックアップフォルダ74bに副件数ファイル74b2が記憶されていない場合は(S210:No)、SDカード50の件数ファイル52をバックアップフォルダ74bにコピーして、そのファイルを副件数ファイル74b2とする(S212)。
なお、本実施形態においては、顧客ファイル51と副顧客ファイル74b1とは同名のファイルとして構成し、件数ファイル52と副件数ファイル74b2ともまた同名のファイルとして構成しているので、S208,S209,S211,S212の処理においては、ファイル名の対応づけを考慮することなく、そのままのファイル名でコピーまたは上書きの処理を実行でき、編集情報編集プログラム74aの実装を簡素化することができる。
以上の処理により、編集画面100において編集された顧客情報がSDカード50の顧客ファイル51に記憶されるとともに、その顧客ファイル51に記憶される顧客情報と同一の顧客情報が、バックアップフォルダ74bの副顧客ファイル74b1にも記憶される(S208,S209)。従って、SDカード50の顧客ファイル51が消失や欠損した場合にも、バックアップフォルダ74bの副顧客ファイル74b1から顧客情報を容易に復元することができ、顧客情報が消失するリスクを低減できる。
また、保存処理S200は保存ボタン102がクリック操作されたことを契機として操作判定処理S20から呼び出されるものであるため(図5参照)、操作者が編集の完了をクリック操作により明示した時点での顧客情報が副顧客ファイル74b1に記憶される。従って、編集途中の顧客情報が操作者の意思とは無関係に副顧客ファイル74b1に記憶されることはなく、副顧客ファイル74b1に記憶される顧客情報の信頼性を高めることができる。
また、SDカード50が抜き取られて、コンピュータ1において顧客ファイル51が参照できなくなる場合にあっても、本体70から取り外して持ち出されるものではないハードディスク74上に副顧客ファイル74b1が記憶されているため、コンピュータ1における顧客情報の可用性を高めることができる。
また、保存処理S200においてバックアップフォルダ74bに既に副顧客ファイル74b1が記憶されている場合には、SDカード50の顧客ファイル51でその副顧客ファイル74b1が上書きされる(S208)。よって、副顧客ファイル74b1には、最後に保存処理S200が実行されたときの顧客情報、即ち、最新の顧客情報が記憶される状態となる。従って、操作者等はバックアップフォルダ74bを参照すれば、容易に最新の顧客情報にアクセスできる。
また、保存処理S200においては、顧客情報を記憶する顧客ファイル51と、その顧客情報の件数を記憶する件数ファイル52とが、SDカード50に記憶される(S202,S203,S204)。詳細には図9を参照して後述するが、これにより、車載端末90においては、顧客ファイル51に記憶された顧客情報の件数と、件数ファイル52に記憶された件数との比較に基づいて、読み込んだ顧客情報について欠損、改変があるかを検証できる。従って、欠損や改変のある顧客ファイル51の内容が車載端末90の顧客情報メモリ94aに記憶されることを防止して、顧客情報の信頼性を高められる。
次に図8を参照して初期化ファイル作成処理S400を説明する。初期化ファイル作成処理S400は、CPU71が操作判定処理S20(図5参照)において初期化ファイル作成ボタン103がクリック操作されたと判断した場合に(S23:Yes)実行する処理である。初期化ファイル作成処理S400では、初期化された顧客ファイル51及び件数ファイル52を、SDカード50に記憶させる処理が行われる。
CPU71はまず、S101の処理と同様に、SDカード装置61にSDカード50が装着されているかを判断する(S401)。CPU71はSDカード装置61にSDカード50が装着されていると判断した場合(S401:Yes)、SDカード50に顧客ファイル51及び件数ファイル52の少なくとも1つが記憶されているかを判断する(S402)。CPU71は、SDカード50に顧客ファイル51と件数ファイル52とのいずれも記憶されていないと判断した場合(S402:No)、SDカード装置61を制御して、顧客情報が0件である初期化された顧客ファイル51をSDカード50に記憶させる(S403)。続いてCPU71は、SDカード装置61を制御して、顧客情報の件数として「0」を、SDカード50の件数ファイル52に記憶させ(S404)、初期化ファイル作成処理S400を終了する。S403,S404の処理によりSDカード50に記憶された顧客ファイル51と件数ファイル52とは、図9を参照して後述する配送車両2における取込処理S500において、車載端末90の顧客情報メモリ94aを初期化するために用いられる。
一方、CPU71は、S401の処理においてSDカード装置61にSDカード50が装着されていないと判断した場合(S401:No)、又は、S402の処理においてSDカード50に顧客ファイル51及び件数ファイル52の少なくとも1つが記憶されていると判断した場合には(S402:Yes)、ディスプレイ62に「初期化ファイル作成エラー」と表示して(S405)、初期化ファイル作成処理S400を終了する。
以上の処理により、配送車両2の顧客情報メモリ94aを初期化するための顧客ファイル51及び件数ファイル52が作成される。操作者は、編集画面100の顧客編集部106において顧客情報を一旦削除するなどの手間をかけることなく、保存ボタン102とは別の初期化ファイル作成ボタン103をクリック操作して(S23:Yes)、初期化ファイル作成処理S400をCPU71に実行させれば、初期化された顧客ファイル51及び件数ファイル52をSDカード50に容易に記憶させられる。従って、車載端末90の顧客情報メモリ94aに記憶された顧客情報を初期化する作業を容易化できる。
また、初期化された顧客ファイル51をSDカード50に作成するとともに、顧客情報の件数が0件であることを示す件数ファイル52を併せて作成できるため、後述する取込処理S500(図9参照)において、保存処理S200で作成された顧客ファイル51及び件数ファイル52と同様に、処理をすることができる。即ち、配送車両2が備える車載端末90においては、保存処理S200で作成されたファイルか、初期化ファイル作成処理S400で作成されたファイルかを区別することなく、1の方法で顧客情報を読み込むことができるので、車載端末90におけるプログラムの実装を簡素化することができる。
また、初期化ファイル作成処理S400においては、保存処理S200においてバックアップフォルダ74bに記憶された副顧客ファイル74b1及び副件数ファイル74b2は更新されない。保存処理S200によって、初期化された顧客ファイル51と件数ファイル52とを作成する場合には、S208,S211の処理によって副顧客ファイル74b1及び副件数ファイル74b2が初期化されてしまうが、保存処理S200とは別に設けた初期化ファイル作成処理S400によって初期化された顧客ファイル51と件数ファイル52とを作成すれば、副顧客ファイル74b1及び副件数ファイル74b2を最後に保存処理S200が実行されたときの状態に維持できる。
また、S402の処理において、CPU71はSDカード50に顧客ファイル51及び件数ファイル52の少なくとも1つが記憶されていると判断した場合には(S402:Yes)、SDカード50に顧客ファイル51と件数ファイル52とを記憶させる処理(S403,S404)を実行しないように制御する。従って、SDカード50に記憶されている顧客情報を誤って初期化してしまうことを防止できる。
次に図9を参照して、配送車両2が備える車載端末90において行われる取込処理S500を説明する。取込処理S500は、SDカード50をSDカード読取装置81に装着した後、搭乗者等がタッチパネルディスプレイ82にて所定の操作を行った場合に、CPU91において実行される処理である。取込処理S500では、SDカード50に記憶された顧客ファイル51から顧客情報を読み取って、車載端末90に登録する処理が行われる。
取込処理S500において、CPU91は、まず、SDカード読取装置81にSDカード50が装着されているかを判断する(S501)。具体的には、CPU91は、SDカード読取装置81にSDカード50が装着されているかを問い合わせ、その応答に基づいて判断する。
CPU91は、SDカード読取装置81にSDカード50が装着されていると判断した場合(S501:Yes)、SDカード50に顧客ファイル51が記憶されているかを判断し(S502)、顧客ファイル51が記憶されている場合には(S502:Yes)、その顧客ファイル51に記憶されている顧客情報の件数をカウントする(S503)。次にCPU91は、SDカード50に件数ファイル52が記憶されているかを判断し(S504)、件数ファイル52が記憶されていると判断した場合は(S504:Yes)、その件数ファイル52に記憶されている件数を取得する(S505)。
次にCPU91は、S503の処理でカウントした顧客情報の件数と、S505の処理で取得した件数とが一致するかを判断する(S506)。その結果、CPU91は件数が一致すると判断した場合(S506:Yes)、顧客ファイル51に記憶された顧客情報を、顧客情報メモリ94aに記憶させて(S507)、取込処理S500を終了する。以上の処理により、コンピュータ1で編集された顧客情報は、SDカード50を介して、顧客情報メモリ94aに保持されるところとなり、配送車両2を用いたLPGの配送業務において顧客情報が使用可能となる。
なお、SDカード50に記憶されている顧客ファイル51及び件数ファイル52が、初期化ファイル作成処理S400(図8参照)において記憶されたものである場合、即ち、顧客情報が0件のものである場合には、S507の処理が実行されることによって、顧客情報メモリ94aに記憶された情報が初期化される。従って、車載端末90に顧客情報メモリ94aを初期化するための機能を別途設けることなく、顧客情報メモリ94aの初期化を実現できる。
一方、CPU91はS501の処理において、SDカード読取装置81にSDカード50が装着されていないと判断した場合(S501:No)、タッチパネルディスプレイ82に「SDカード未装着」と表示して(S508)、取込処理S500を終了する。また、CPU91は、S502の処理においてSDカード50に顧客ファイル51が記憶されていないと判断した場合(S502:No)、又は、S504の処理においてSDカード50に件数ファイル52が記憶されていないと判断した場合は(S503:No)、タッチパネルディスプレイ82に「ファイルエラー」と表示して(S508)、取込処理S500を終了する。
また、CPU91はS506の処理において件数が一致しないと判断した場合(S506:No)、タッチパネルディスプレイ82に「件数不一致」と表示して(S508)、取込処理S500を終了する。
前述した通り、顧客ファイル51に記憶された顧客情報の件数と、件数ファイル52に記憶された件数とが一致しない場合、顧客情報に欠損または改変がある虞がある。従って、S506の処理において件数に基づく判定を行うことで、不具合の虞のある情報が顧客情報メモリ94aに記憶されることを抑制できる。
なお、図4から図8に示すフローチャートにおいて請求項1の「編集ステップ」としては、S13の処理でディスプレイ62に表示される編集画面100において、キーボード63やマウス64による操作に基づいて顧客編集部106の表示内容が編集される処理が該当する。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記実施形態では、保存処理S200では、顧客情報をSDカード50と、ハードディスク74とに記憶させることを説明したが、ハードディスク74上の2の記憶領域、即ち、異なる2のフォルダに記憶させることも当然可能である。この場合、1のフォルダに記憶された顧客ファイル51を操作者が操作してUSBフラッシュメモリ等を介して車載端末90に読み込ませるものとし、他方のフォルダに記憶された副顧客ファイル74b1を顧客ファイル51が消失等した場合に備えるものとして扱えば、上記実施形態と同様の効果を奏するからである。
また、SDカード50に代えて、他の可搬記憶媒体を用いることも可能である。例えばUSBフラッシュメモリや、フロッピーディスク(フロッピーは登録商標)等に顧客ファイル51と、件数ファイル52とを記憶させることも当然可能である。この場合、用いる記憶媒体に応じた入出力装置や、接続ポートをコンピュータ1と車載端末90とに用意することにより、上記実施形態と同様に、簡単な手順で車載端末90に顧客情報を読み込ませられるからである。
また、保存処理S200において、顧客ファイル51と件数ファイル52とをSDカード50に記憶させたのに代えて、操作者が任意に選択した記憶手段にこれらのファイルを記憶させるように構成してもよい。例えば、ダイアログ画面を表示して操作者に指定させたフォルダや、操作者が設定ファイル等で指定した1の記憶媒体に、顧客ファイル51と、件数ファイル52とを記憶させることも当然可能である。
上記実施形態では、コンピュータ1は、本体70の外部装置として、SDカード装置61と、ディスプレイ62と、マウス64と、キーボード63とが接続されているものと説明したが、コンピュータ1の構成としてはこれに限られない。例えば、SDカード装置61を内蔵し、表示手段と入力手段とを兼ねたタッチパネルディスプレイを備えるタブレット型端末を用いることも当然可能である。
上記実施形態では、バックアップフォルダ74bはハードディスク74の記憶領域であることを説明したが、非可搬性の他の記憶媒体にバックアップフォルダ74bを設けることも当然可能である。例えばSSD(ソリッドステートドライブ)や、内蔵型フラッシュメモリを用いることも可能である。上記実施形態における顧客情報の消失のリスクを低減できるとの効果を、同様に奏するからである。
上記実施形態では、配送情報は、顧客情報を記憶する顧客ファイル51と、顧客情報の件数を記憶する件数ファイル52とで構成されることを説明したが、配送業務に関する他の情報により、配送情報を構成することも当然可能である。例えば、配送車両2の走行経路に関する情報や、配送量に応じた課金情報など、配送業務に関する種々の情報により配送情報を構成することができる。
上記実施形態では、顧客情報(配送先情報)と、その顧客情報の件数(件数情報)とを、それぞれ別の顧客ファイル51と、件数ファイル52とに分けて記憶させることを説明したが、顧客情報とその件数とを1のファイルに記憶させることも可能である。車載端末90を、1のファイルから顧客情報と、コンピュータ1においてカウントされた顧客情報の件数とをそれぞれ取得可能に構成すれば、車載端末90においては、顧客情報の件数に基づく検証を行いつつ、顧客情報を読み込むことは上記実施形態と同様に可能だからである。
また、件数ファイル52の作成を省略することも当然可能である。車載端末90において顧客情報の件数に基づく検証が行われない場合にまで、件数ファイル52を作成する必要はなく、少なくとも顧客ファイル51が作成されていれば、コンピュータ1で編集された顧客情報を車載端末90に登録させることは可能だからである。
上記実施形態では、S207,S210の処理において、バックアップフォルダ74bに副顧客ファイル74b1又は副件数ファイル74b2が記憶されているかを確認し(S207,S210)、その結果に応じて、副顧客ファイル74b1又は副件数ファイル74b2を上書きするか(S208,S211)、単にバックアップフォルダ74bへのファイルのコピーを行う(S209,S212)のかを振り分けることを説明したが、バックアップフォルダ74bにファイルが存在するかを確認することなく、SDカード50からファイルをコピーするように構成することも可能である。ファイルのコピー時に、コピー先に既に同名のファイルが存在していれば自動的に上書きするよう制御することが可能な場合には、ファイルのコピーに先駆けて、コピー先のファイルの存在を確認する必要はないからである。
上記実施形態では、保存処理S200において、一旦SDカード50に顧客ファイル51と件数ファイル52とを記憶させ(S202,S204)、その後、バックアップフォルダ74bに顧客ファイル51と件数ファイル52とをコピー、又は上書きすることを説明したが(S208,S209,S211,S212)、SDカード50とバックアップフォルダ74bとに同時に同一のファイルを記憶させるよう処理することも当然可能である。結果的に、SDカード50とバックアップフォルダ74bとに、同一の内容の顧客情報が記憶されるものであれば、上記実施形態が奏するものと同様の効果が得られるからである。
上記実施形態では、顧客ファイル51と副顧客ファイル74b1とを同名のファイルとし、件数ファイル52と副件数ファイル74b2とを同名のファイルとすることを説明したが、それぞれ異なる名前のファイルとして構成することも当然可能である。ファイル名を異なるものとした場合、S208,S211の処理において、上書きされるファイルの名前と、上書きするファイルの名前とを対応付けて処理すれば、上記実施形態と同様に上書きを行うことができるからである。
上記実施形態では、初期化ファイル作成処理S400において、顧客情報が0件の顧客ファイル51がSDカード50に記憶されることを説明したが、空白文字等の意味のない情報で構成されたダミーの顧客情報を顧客ファイル51としてSDカード50に記憶させることも可能である。ダミーの顧客情報によって、車載端末90の顧客情報メモリ94aに記憶された顧客情報を上書きして、実質的に顧客情報メモリ94aの内容を消去することは可能だからである。なお、この場合に作成する件数ファイル52には、顧客ファイル51に記憶されたダミーの顧客情報の件数を記憶させる必要がある。