JP6431656B2 - 電気システムの調子をモニタするためのシステムおよび方法 - Google Patents

電気システムの調子をモニタするためのシステムおよび方法 Download PDF

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Description

本明細書で開示する主題は一般的に、発電機およびモータに関し、より具体的には、電気ターボ発電機に関する。
一般的に、電気の生成は、電機子巻線の組の上に、近くの磁界を相対的に移動させる結果電流を誘導することによって行なう場合がある。この磁界を発生させるために、いくつかの発電機から大量の電流(たとえば、1〜5kA)を回転ロータの界磁巻線内に、動作中に注入する場合がある。このような発電機では、コレクタ・アセンブリ(回転スリップ・リング・アセンブリとしても知られる)を使用している場合がある。コレクタ・アセンブリは、ロータの周りに配置され、ロータを固定励磁機に、いくらかの固定ブラシを介して電気的に結合する。したがって、これらのブラシによって固定励磁機と回転ロータとの間に導電性経路が形成されて、電力がロータに伝達され回転磁界が生成され得るようになっている。しかし、動作中に、1または複数のブラシがコレクタ・リングとの接触を失うと、アーク放電事象が起こる場合がある。たとえば、ブラシとコレクタ・リングとがアーク放電を起こす原因は、ブラシおよび/またはリング上の物理的摩耗、シャフトの過剰な振動、ブラシとリングとの間での汚染物質の存在(たとえば、粒子もしくはオイル)、または不正確なブラシ位置合わせもしくは取り付けである場合がある。
多くの発電機内で大きな電圧および電流が作用しているために、アーク放電事象が起きると、時間とともにコレクタ・リングおよびブラシに対してかなりの損傷が生じる場合があり、最終的にはフラッシュオーバー事象に至ることがある。フラッシュオーバー事象が生じている間、短絡経路が、励磁機の正および負端子の間のロータ内で、励磁機の正端子と接地との間のロータ内で、ならびに/または励磁機の負端子と接地との間のロータ内で形成される場合がある。一般的に言って、フラッシュオーバー事象が発生すると、発電機の突発故障が起きて、発電機を動作不可能にしてしまう。さらに、フラッシュオーバー事象が起きると、かなりの損傷が、発電機に結合された他の電気部品だけでなく発電機の付近に物理的に配置され得る作業員または機器に対して、生じる場合がある。一般的に、定期的にスケジュールされた検査および保守を発電機に施すことが、ブラシ/スリップ・リング・アセンブリの整合性を検証してフラッシュオーバーの危険性を最小限にするために、必要とされることが多い。
しかし、定期的にスケジュールされた検査および保守を発電機に施すことは費用がかかる。一般的に、発電機の検査および保守のほとんどは、発電機が動作を続けている間に実際に行なう場合があり、そのため、このような保守は非常に複雑で安全性リスクが高い。さらに、このような保守スケジュールに頼った場合、機器の動作時間のみが考慮され、装置性能または他の指標に基づいて保守に優先順位を付けることはない。すなわち、厳密にスケジュール・ベースの保守の場合、調子の良い発電機が、ほとんど不要な保守を保守スケジュールに基づいて受ける場合があり、一方で、補修する必要がある調子の悪い機械が、最近補修されたという理由だけで保守を受けることが遅れる場合がある。
米国特許4,333,095第号明細書
このため、電気システムの調子をモニタするための改善されたシステムおよび方法が求められる。
一実施形態では、電気システムが回路を含んでいる。回路は、回転負荷に電力を供給する複数の滑り面を含む1または複数の回転式電力供給アセンブリを含んでいる。また回路は、1または複数の回転式電力供給アセンブリ内でのアーク放電事象に対応する高周波(RF)信号を測定する1または複数の高周波変流器(RFCT)を含んでいる。また電気システムは、1または複数のRFCTから測定値を受信して回路の調子値を少なくとも部分的に受信測定値に基づいて決定するプロセッサを含んでいる。
別の実施形態では、方法が、電気装置の回路内の第1の高周波(RF)信号電力を、回路内に配置された1または複数の高周波変流器(RFCT)を用いて測定することを含んでいる。また方法は、回路内の第2のRF信号電力を、1または複数のRFCTを用いて測定することを含んでいる。また方法は、第1および第2のRF信号電力測定値の1または複数の特徴を比較することと、電気装置に対して行なうべき行為を少なくとも部分的に比較に基づいて推奨することと、を含む。
別の実施形態では、発電機が励磁機回路を含んでいる。励磁機回路は、回転界磁巻線の組と、励磁機回路に電力を供給する直流(DC)励磁機とを含んでいる。また励磁機回路は、回転界磁巻線の組に電力を供給し複数のブラシとコレクタ・リングとを含むコレクタ・アセンブリを含んでいる。また励磁機回路は、励磁機回路内のアーク放電事象に対応する高周波(RF)信号を測定する複数の高周波変流器(RFCT)を含むシャフト電圧サプレッサ(SVS)を含んでいる。発電機は、プロセッサを含んでいる。プロセッサは、複数のRFCTから測定値を受信し、測定値を処理してRF信号の電力を信号周波数の関数として決定し、回路の調子を少なくとも部分的にRF信号の決定された電力に基づいて評価する。
本発明のこれらおよび他の特徴、態様、および優位性は、以下の詳細な説明を添付図面を参照して読むことでより良好に理解される。なお図面の全体に渡って同様の文字は同様の部品を表わしている。
本開示の態様により、典型的な発電機のロータの実施形態を例示する図である。 本開示の態様により、発電機の励磁機回路の実施形態を例示する図である。 本開示の態様により、1または複数のブラシがコレクタ・リングとの接触を失ってアーク放電が起きたときの励磁機回路内の相対的なRF信号電力を例示するグラフである。 本開示の態様に、よりかなりのアーク放電が起きた場合および起きなかった場合の励磁機回路に対するRF信号電力対信号周波数のプロットを例示するグラフである。 本開示の態様により、プロセッサが、回路内のRF信号を測定するために、回路の調子にアクセスするために、および回路の調子に基づいて行為を推奨または実施するために用いても良いプロセスを例示するフロー図である。
開示した実施形態によって、回転物体に電力を伝達することを伴う電気システム内のアーク放電事象を検出することが可能になる。たとえば、開示した実施形態によって、発電機内のブラシとコレクタ・アセンブリのコレクタ・リング(たとえば、滑り面)との間で生じるアーク放電事象を検出することが可能になる。アーク放電事象は通常、ある特定の電気システムが(たとえば、ブラシおよびコレクタ・リング上に磨耗が蓄積されることに起因して)正常に機能しなくなり始めると、頻度が増えるため、開示した実施形態によって、コレクタ・アセンブリの調子を、検出されたアーク放電事象に基づいてモニタすることができる。こうして、開示した実施形態によって、厳密にスケジュールに基づく保守ではなく調子に基づく保守を電気機器に施すことが可能になり、その結果、コストおよび安全性の両方の便益が得られる場合がある。
さらに加えて、開示した実施形態によって、通電中のコレクタの調子を評価することが、機器をオフラインにする必要も、電力を機器の部分から取り除く必要も、または別の方法で電気システムを中断する必要もなく可能であり、その結果、保守費および機器ダウンタイムが最小限になる。さらに、開示した実施形態によって、アーク放電事象の検出に基づいて電気システムの動作パラメータ(たとえば、電力出力)を調整することが可能になる。すなわち、開示した実施形態によって、発電機またはモータのパラメータを調整して、かなりの程度のアーク放電は起こらないような許容レベルの性能を実現することができる。また、開示した実施形態は一般的に、電力を回転物体(たとえば、多くのタイプのAC発電機およびDCモータ)へ供給すること(たとえば、コレクタまたは整流器アセンブリを介して)を伴う任意の電気システムに適用されることにも注意されたい。実際には、コレクタまたは整流器アセンブリが無いある特定の電気システムにおいてさえ、開示した実施形態は、システムのある特定の要素(たとえば、回路遮断器、スイッチ、リレー)内で生じる有害なアーク放電事象を検出して、システムの将来性能に関する予測を行ない得るようにすることに有用な場合がある。
前述したことを念頭に置いて、図1に、AC発電機のロータ10の実施形態を例示する。例示したロータ10は、回転する電磁石が生成する回転磁界を用いて、固定巻線の組(すなわち、ステータ、図示せず)内に電流を誘導し、その結果、電気を得る。したがって、ロータ10は、ロータ10の長さを通して配置されたシャフト12であって、任意の機械式電源によって駆動され得るシャフト1を含んでいても良い。たとえば、シャフト12を回転させること13を、エンジン(たとえば、燃焼エンジン)またはタービン(たとえば、ガソリンで動く、風力で動く、もしくは水力で動くタービン)によって、約3600回転/分(RPM)で、2つのポール・ガス・タービン駆動のターボ発電機用に行なっても良い。シャフト12の一部の中に、電力供給されると回転磁界を発生させるいくらかの界磁巻線が配置されていても良い。さらに加えて、ハウジング14であって、ロータ巻線に対する支持を与える1または複数の止め輪15とともに、動作中にロータ10に冷却を与えるいくらかの送風機16を含むハウジング14が、シャフトの周りに配置されていても良い。
例示した実施形態では、一対のコレクタ・アセンブリ18Aおよび18Bも、シャフト12の周りに配置されて、励磁機20に結合されている。より具体的には、コレクタ・アセンブリ18Aは励磁機20の正端子に結合され、コレクタ・アセンブリ18Bは励磁機20の負端子に結合されている。励磁機20は、DC電力を界磁巻線(たとえば、シャフト12の一部の内部または周囲に配置される)に供給して回転磁界を発生させることができる任意のDC電源(たとえばDC発電機)、バッテリ、または整流器であっても良い。一般的に言って、コレクタ・アセンブリ18によって、励磁機20と回転シャフト12内の界磁巻線との間に導電性経路が形成される。すなわち、コレクタ18は、固定励磁機20と回転シャフト12内の界磁巻線とを電気的に結合して、界磁巻線に電圧を印加して回転磁界が発生し得るようになっている。
図2に、電力を界磁巻線32の組に供給するように構成され、コレクタ・アセンブリ18内で生じたかまたはロータ10上のどこか他の場所で生じたアーク放電事象を検出するように構成された回路30の実施形態の概略図を例示する。例示した回路30は、励磁機20、コレクタ・アセンブリ18Aおよび18B、および界磁巻線32を含んでいる。各コレクタ・アセンブリ18によって形成される導電性経路は、いくらかの伝導性の固定ブラシ34が、シャフト12の周りに配置された伝導性の回転コレクタ・リング36に接触することによって与えられる。これらのブラシ34は、いくらかの耐久性のある伝導性材料(たとえば金属、合金、またはある特定のタイプのカーボン)から製造しても良い。ブラシ34は一般的に、回転コレクタ・リング36に対して固定されていても良い。一般的に、ブラシ34は、力(たとえば、バネ力)が印加されることによって、回転コレクタ・リング36と接触した状態に留まっても良い。シャフト12が回転したとき13に、ブラシ34の自由端は、シャフト12の周りに配置された回転コレクタ・リング36と物理的および電気的に接触した状態に留まるようにデザインされている。コレクタ・リング36は通常、シャフト12と同軸の伝導性の金属リングであって、ブラシ34に接触するための滑らかな(たとえば、機械加工された)かまたは溝付きの表面を有するものであっても良い。
例示した回路30では、コレクタ・アセンブリ18Aのブラシ34Aが励磁機20の正端子に結合され、コレクタ・アセンブリ18Bのブラシ34Bが励磁機20の負端子に結合されている。同様に、コレクタ・アセンブリ18Aのコレクタ・リング36Aが界磁巻線32の一方の端部に結合され、一方で、コレクタ・アセンブリ18Bのコレクタ・リング36Bが界磁巻線32の反対の端部に結合されている。すなわち、コレクタ・アセンブリ18の回転コレクタ・リング36が界磁巻線に電気的に結合されて、完結した導電性経路が、励磁機20から、コレクタ18Aのブラシ34Aおよびコレクタ・リング36Aを通り、界磁巻線32を通り、コレクタ18Bのブラシ34Bおよびコレクタ・リング36Bを通って、励磁機20に戻るように形成され得るようになっている。したがって、コレクタ・アセンブリ18Aおよび18Bは、励磁機20と協同して、回転する界磁巻線32に電力を供給して回転磁界を発生させる。
なお、コレクタ・リング36が界磁巻線32に結合される一方で、コレクタ・リング36および界磁巻線32は両方とも、シャフト12の残りの部分から電気的に絶縁されている。しかし、シャフト12には、界磁巻線32によって電圧が誘導される場合がある。したがって、例示した回路30は、シャフト電圧サプレッサ(SVS)38の実施形態も含んでいる。一般的に、SVS38は、電圧が印加された界磁巻線32からシャフト12に容量結合される電圧を緩和するのに役立つ場合がある。例示したSVS38は、2つの高い値のキャパシタ40(たとえば、10μF)、2つの高い値の抵抗器42(たとえば、440kΩ)、および2つの他の抵抗器44(たとえば、1.2Ω)を含んでいる。図2に、説明を目的として特定のSVS38を例示しているが、SVSデザインは多数あり、任意の適切な定格のSVSを回路30内で用いても良いことに注意されたい。ある実施形態では、SVS38は励磁機20の一部として組み込んでも良く、いくつかの実施形態では、SVS38は存在していなくても良い。
回路30内のRF信号を検出するために、回路30に1または複数の無線周波数(RF)変流器(RFCT)46を備え付けても良い。たとえば、例示した回路30は、回路30内のRF信号の電力を測定し得る3つのRFCT(たとえば、46A、46B、および46C)を含んでいる。一般的に言って、回路内のRF信号は、コレクタ・アセンブリ18のブラシ34とコレクタ・リング36との間の界面で生じるアーク放電事象の結果である場合がある。すなわち、コレクタ・アセンブリ18のブラシ34とコレクタ・リング36との間で接触不良が生じると、励磁機20を界磁巻線32に連結する導電性経路が中断される場合がある。動作中に高電流がコレクタ・アセンブリ18のブラシ34を横断しているために、導電性経路が中断すると、高エネルギーのアーク放電事象がブラシ34とコレクタ・リング36との間に起きる場合がある。このようなアーク放電事象が起きるとRF信号が発生することになる。RF信号は、回路30内の1または複数のRFCT46を介して検出しても良い。
ある実施形態では、回路30のSVS38を、1または複数のRFCT46を含むように変更しても良い。たとえば、例示した回路30の3つのRFCT46A、46B、および46CはSVS38内に配置されている。しかし、他の実施形態では、1または複数のRFCTを、回路30内の任意の数の異なる位置(たとえば、SVS38の外側の位置)に配置しても良い。回路内の位置が異なっていることに加えて、各RFCT(たとえば、46A、46B、または46C)は、RF信号を異なる周波数で、異なるレベルの感度で、および/または異なるダイナミック・レンジで測定するように構成しても良い。たとえば、RFCT46を回路30内の異なる部分に合理的に位置させることによって、バックグラウンドのRFノイズをRF信号測定値から隔離および引き算することが可能になる場合がある。一般的に、RFCT46からの出力をプロセッサ48(たとえば、スコープ、プロセス・コントローラ、またはコンピュータ)に送信して、表示および/またはさらなる処理を図っても良い。
図3に、ブラシ34がコレクタ・リング36との接触を失ったときのRF信号電力に対する一般的な傾向を例示するグラフ50を示す。図3では、2つの点52および54が、ブラシ34とコレクタ・リング36との間の異なるレベルの接触に対して例示されている。第1の点52が反映しているのは基線RF信号電力であり、ブラシ34がコレクタ・リング36と良好な接触状態にあり、アーク放電がないかまたは低レベルのスパーキングのみがあるときである。すなわち、第1の点52が示しているのは、ブラシ34およびコレクタ・リング36が(たとえば、正常なスパーキングの結果として)良好に接触しているときでも、ある特定の量のRF信号(すなわち、基線信号)が回路30内に予想される(たとえば、RFノイズ)ということである。一般的に言って、スパーキングおよびアーク放電は同様の基本的現象(たとえば、空隙にかかる電圧)を表わしている場合があるが、スパーキング事象の方が、エネルギーが実質的に低く、ロータ10の通常動作では典型的である。グラフ50上の第2の点54が例示しているのは、1または複数のブラシ34がコレクタ・リング36との接触を失うことによって生じる回路30内のアーク放電事象の結果として測定されるRF信号電力の増加である。なお、点54で観察されるより高いRF電力は、一方または両方のコレクタ・アセンブリ18において1つまたは複数のブラシ34を上昇させることによって生じるアーク放電に由来する場合があることに注意されたい。一般的に、いったん1または複数のブラシ34とコレクタ・リング36との間の接触が不安定になり始めると(たとえば、点52および54間で)、RF信号電力の2〜10倍の増加56が生じる場合がある。
こうして、回路30(たとえば、SVS38内)に含まれるRFCT46を用いて、回路30内のRF信号電力を測定しても良い。ある実施形態では、RFCT46の測定値を、未処理のRFCT信号をさらに処理するように構成されたプロセッサ48(たとえば、コンピュータまたはコントローラ)に送信しても良い。たとえば、プロセッサ48は高速フーリエ変換(FFT)動作を施して、RF信号電力を信号周波数の関数として決定しても良い。また、ある実施形態では、プロセッサ48は、フィルタを未処理のRFCT信号に施してRFノイズを取り除くことを、FFT動作を実行する前に行なっても良い。
図4に、RF信号電力(μW)対信号周波数(kHz)のグラフ60を例示する。これはたとえば、RFCT46の未処理信号を処理した後に得ても良く、前述の通りである。プロット60の第1の曲線62は、ブラシ34がコレクタ・リング36と良好な接触状態にあるときの、信号周波数範囲1〜250kHz上でのRF信号電力を表わす。この第1の曲線62は図3の点52に関連しているため、RF信号の基線レベル(たとえば、RFノイズ)のみが観察され、検出されたアーク放電は皆無かそれに近いことを意味している。プロット60の第2の曲線64は、ブラシ34がコレクタ・リング36と良好な接触状態にないときの、同じ信号周波数範囲上でのRF信号電力を表わす。この第2の曲線64は図3の点54に関連しているため、いくらかの周波数において第1の曲線62に対するRF信号電力の増加が観察され、回路30内で起こるアーク放電の量がかなり増加したことを示している。
したがって、プロセッサ48は、図5に例示したプロセス70の実施形態を、RF信号を測定すること、回路30の調子にアクセスすること、およびロータ10に対する行為を推奨および/または実施することにおいて行なっても良い。プロセス70は、プロセッサ48がRFCT46を用いて回路内の基線RF信号を測定することによって開始される(ブロック72)。たとえば、プロセッサ48は基線RF信号の測定を、ロータ10を最初に取り付けたときかまたはロータ10、回路30、および/もしくはコレクタ・アセンブリ18を補修した直後に、行なっても良い。一般的に、ブロック72で測定した基線RF信号は、図3の点52および図4の曲線62に関連するはずであり、したがって、回路30内のアーク放電は皆無かそれに近いことを表わすはずである。若干使用した後に、プロセッサ48は、回路30内のその後のRF信号を、RFCT46を用いて測定しても良い(ブロック74)。ブラシ34とコレクタ・リング36との接触が、基線測定を行なったときよりも著しく不十分である場合、その後に測定されるRF信号は、図3の点54および図4の曲線64に関連する場合があり、したがって、かなりの程度のアーク放電が回路30内に生じていることを表わす場合がある。
プロセッサ48は続いて、基線とその後のRF信号測定値との1または複数の特徴を比較して(ブロック76)、回路30および/またはコレクタ・アセンブリ18の調子を判定しても良い。すなわち、図4をもう一度参照して、プロット60の第1の曲線62および第2の曲線64をいくつかの異なる方法で比較して、回路30内に生じているアーク放電の量を評価することを、したがって、回路30および/またはコレクタ・アセンブリ18の調子を評価することを行なっても良い。たとえば、プロセッサ48は、特定の周波数範囲上で、第1および第2の曲線(たとえば、62および64)の最大、中央、または平均のRF信号電力値を比較しても良い。すなわち、プロセッサ48は、第1の曲線62の45〜55kHzにおける最大RF信号電力は約1μWであると決定し、第2の曲線64の同じ周波数範囲における最大RF信号電力は約4μWであると決定しても良い。ある実施形態では、プロセッサ48は、第2の曲線64からの値を第1の曲線62の値から差し引いて、基線ノイズを取り除いても良い。すなわち、コンピュータは、1μWを4μWから差し引いて、アーク放電によるRF信号は45〜55kHzにおいて約3μWであると決定しても良い。他の実施形態では、プロセッサ48は、代わりに、第2の曲線64からの値対第1の曲線62からの値の比率を考慮しても良い。すなわち、プロセッサ48は、4μW対1μWの比率を計算して、アーク放電中のRF信号は45〜55kHzにおいて基線よりも大まかに4倍大きいと決定しても良い。
さらに加えて、ある実施形態では、プロセッサ48は、第1および第2の曲線(たとえば、62および64)の一部について積分を求めて、比較を図っても良い。したがって、プロセッサ48は続いて、ある特定の周波数範囲(たとえば、45〜55kHz)における第2の曲線64下の面積を、同じ周波数範囲における第1の曲線62下の面積から差し引いても良い。ある実施形態では、プロセッサ48は2つの積分の比率を求めても良い。さらに、ある実施形態では、プロセッサ48は、組み合わせアプローチを用いても良く、また第1の曲線62の複数の部分または特徴を第2の曲線64の複数の部分または特徴と比べても良い。これはすでに別個に述べた通りである。たとえば、プロセッサ48は、第1および第2の曲線(たとえば、62および64)の45〜55kHzにおける最大RF電力の比率を決定するとともに、第1および第2の曲線(たとえば、62および64)の80〜90kHzにおける積分の比率を決定して、回路内で起こるアーク放電のレベルを決定しても良い。
図5をもう一度参照して、プロセッサ48は続いて、ロータ10および/または回路30に対するいくらかの異なる行為を推奨または実施することを、未処理のデータおよび/またはプロットを処理した後に行なっても良い(ブロック78)。これはすでに述べた通りである。たとえば、プロセッサ48は、RF信号電力データの凝縮を(おそらく履歴のRF信号電力データの凝縮に加えて)行なって、単一のコレクタ調子値(たとえば、定量的または定性的な点数)にしても良い。すなわち、RF信号電力データ中に検出されるアーク放電の程度に基づいて、プロセッサ48は、回路30に対するコレクタ調子値(100(たとえば、完璧な調子)〜0(たとえば、フラッシュオーバー寸前)の範囲)を決定しても良い。たとえば、プロセッサ48は、特定の回路30のコレクタ調子値が95よりも大きいということを決定しても良い。この意味は、アーク放電はほとんどまたはまったく発生していないということ、ならびにコレクタ・アセンブリ18および/または回路30は調子が良いということである。したがって、プロセッサ48は、コレクタ調子値を他の任意の要求データとともに運転員に出力して、運転員に、コレクタの調子が、機器の動作を中断する必要なく表示され得るようにしても良い。
プロセッサ48が、特定のコレクタ・アセンブリ18および/または回路30が調子が悪い(たとえば、コレクタ調子値が20未満である)と決定した場合には、値および/または関連データを運転員に出力するだけでなく、プロセッサ48は、アラームの音を出し、機器に対する保守を自動的にスケジュールし、または発電機、回路30、および/もしくはロータ10に対する動作パラメータを推奨しても良い。たとえば、コレクタ調子値が10未満である場合には、プロセッサ48はアラーム信号を送って、運転員に、ロータ10がオフ・ラインになっていないおよび/または補修されていないならばフラッシュオーバーが近いうちに起こり得るということを通知しても良い。さらなる例として、コレクタ調子値が80未満である場合には、プロセッサ48は、場合の重大性に基づいて、保守要求を(たとえば、電子メール、電子保守要求システムなどを介して)自動的に生成しても良い。すなわち、ある発電機に対するコレクタ調子値が80で、第2の発電機に対するコレクタ調子値が50である場合、第2の発電機を優先させて最初の保守を施しても良い。
さらに加えて、プロセッサ48は、コレクタ調子値に基づいて、発電機、回路30、および/またはロータ10に対する動作パラメータを調整することを推奨しても良い。すなわち、発電機が100%電力出力時に回路30のコレクタ調子値が50である場合、プロセッサ48は、発電機を50%電力出力で動作させることを推奨しても良い。ある実施形態では、プロセッサ48は、RF信号電力の決定を、発電機、回路30、および/またはロータ10のパラメータを調整してコレクタ調子値が調整によって改善されたか否かを判定した後に行なっても良い。ある実施形態では、プロセッサ48は、回路30のRF信号電力をリアル・タイムで継続的にモニタして、発電機、回路30、および/またはロータ10のパラメータに自動調整を加えてコレクタ調子値を指定範囲内に維持しても良い。こうして、ロータ10のコレクタ調子値が下り始めたら発電機の電力出力の設定を100%から徐々に下げても良く、その結果、ロータ10に対する損傷がフラッシュオーバー事象の発生を回避することで防止され、また発電機が適切に性能を劣化させて補修を受けることが可能になる。さらに加えて、ある実施形態では、プロセッサ48は、回路30および/またはロータ10の調子が十分であるので、発電機を正常な動作条件を超えて(たとえば、115%電力出力で)、限られた時間だけ無理に動かす(たとえば、短期間の電力需要を満たすために動かす)ことができることを、運転員に通知しても良い。
さらに加えて、回路30内のRF信号電力をロータ10の寿命にわたって追跡することによって、発電機、ロータ10、コレクタ・アセンブリ18、および/または回路30の調子を長期にわたって追跡しても良い。すなわち、長期にわたるコレクタ調子値の傾向に基づいて、プロセッサ48は、回路30および/もしくはロータ10をいつ補修する必要があるか、ならびに/または回路30および/もしくはロータ10がいつ破損する(たとえば、フラッシュオーバーする)可能性があるかを予測して、運転員に通知しおよび/または機器に対する保守をスケジュールしても良い。さらに加えて、開示した実施形態によって、運転員は、コレクタ・アセンブリ18および/または回路30が受ける保守によって本当に回路30の調子が向上するか否かを即座に判定することができ、その結果、保守処理中の運転員の誤操作(たとえば、不適切なブラシ取り付け)により回路30に損傷が生じることを防止するのに役立つ場合がある。さらに、開示した実施形態を、他の機器の調子モニタリングおよびプロセス制御コンポーネント、ならびに工業制御システムとのインターフェースと並行して実施して、機器を管理するときに制御システムがコレクタ調子値を考慮し得るようにしても良い。
さらに、既存の電気機器(たとえば、発電機および/またはモータ)を、開示した実施形態の特徴を取り入れるように変更しても良いことに注意されたい。たとえば、既存の発電機のSVSを、励磁機回路内のRF信号を検知することができる1または複数のRFCTを含むように変更しても良い。ある実施形態では、RFCTの取り付けは、電気機器がオンラインのままでいる間に、または電気機器が一部の電力が一時的に別経路(temporarily rerouted)になっている間にさえ行なっても良く、その結果、機器ダウンタイムを最小限にすることができる。プロセッサを用いれば、このような変更によって、回路および/または発電機の調子を継続的または断続的に評価することができ、この調子評価に基づいた推奨が得られるであろう。
この書面の説明では、実施例を用いて、本発明を、ベスト・モードも含めて開示するとともに、どんな当業者も本発明を実施できるように、たとえば任意の装置またはシステムを作りおよび用いること、ならびに取り入れた任意の方法を実行することができるようにしている。本発明の特許可能な範囲は、請求項によって規定されており、当業者に想起される他の例を含んでいても良い。このような他の実施例は、請求項の文字通りの言葉使いと違わない構造要素を有する場合、または請求項の文字通りの言葉使いとの違いが非実質的である均等な構造要素を含む場合には、請求項の範囲内であることが意図されている。

Claims (6)

  1. 励磁機回路であって、
    回転界磁巻線の組と、
    前記励磁機回路に電力を供給する直流(DC)励磁機と、
    前記回転界磁巻線の組に電力を供給し、複数のブラシとコレクタ・リングとを含むコレクタ・アセンブリと、
    前記励磁機回路内のコレクタ・アセンブリでの潜在的なアーク放電事象に関連するエネルギーに対応する高周波(RF)信号を測定する複数の高周波変流器(RFCT)を含み、電圧が印加された前記回転界磁巻線の組から前記回転界磁巻線の組が配置された、回転するシャフトに容量結合される電圧を緩和するシャフト電圧サプレッサ(SVS)と、を含む励磁機回路と、
    前記複数のRFCTから測定値を受信し、前記測定値を処理して前記RF信号の電力を信号周波数の関数として決定し、前記回路の調子を少なくとも部分的に前記RF信号の前記決定された電力に基づいて評価するプロセッサと、を含み、
    前記複数のRFCTが互いに異なるダイナミック・レンジで測定し、
    前記測定値の前記処理は、前記複数のRFCTからの複数のRF信号測定値からバックグラウンドのRFノイズをより多く収集可能な前記SVSの外側の位置に配置されたRFCTからのRF信号測定値を引き算することを含む、
    発電機。
  2. 前記RF信号は、前記コレクタ・アセンブリの前記複数のブラシと前記コレクタ・リングとの間のアーク放電事象に対応する請求項1に記載の発電機。
  3. 前記プロセッサは、アラームを出すこと、前記発電機の保守を要求すること、前記発電機内の将来のフラッシュオーバー事象を予測すること、またはそれらの任意の組み合わせを、少なくとも部分的に前記回路の前記調子の前記評価に基づいて行なう請求項1または2に記載の発電機。
  4. 前記回路の前記調子を評価することは、前記関数の1または複数の特徴を1または複数の基線値と比較することを含む請求項1乃至3のいずれかに記載の発電機。
  5. 前記1または複数の特徴は、極大RF信号電力、所定の周波数範囲での平均RF信号電力、所定の周波数範囲でのRF信号電力の積分、またはそれらの任意の組み合わせを含む請求項4に記載の発電機。
  6. 前記SVSは、キャパシタと、該キャパシタと並列に接続された第1の抵抗器と、前記キャパシタを前記複数のRFCTの内の1つに接続する第2の抵抗器とを備え、
    前記第2の抵抗器に接続される、前記複数のRFCTの内の1つが前記SVS内に配置される、請求項1乃至5のいずれかに記載の発電機。
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