JP6429911B2 - 被燃焼物の発熱量の測定方法および測定された発熱量を用いた燃焼炉の燃焼制御方法と燃焼制御装置 - Google Patents
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Description
(i)燃焼炉内への空気の漏れ込みがあった場合、算出された被燃焼物の発熱量が漏れ込む空気量によって影響され、その漏れ込み量も変化することがあるため、適切な燃焼制御が難しく、また適切な適正値への補正方法がなかった。
(ii)また、被燃焼物中には酸素成分が含まれることがあり、算出された被燃焼物の発熱量が被燃焼物中の酸素含有量によって影響され、その含有量も対象となる被燃焼物の種類あるいは投入時期によって変化することがあるため、適切な燃焼制御が難しく、また適切な適正値への補正方法がなかった。
(iii)さらに、被燃焼物が廃棄物の場合、ごみ質の測定は、環整95号で定義されるように,サンプリングした廃棄物から水分と可燃分を測定して計算する方法が主であり,その他、サンプリングした廃棄物中の元素組成からDulongの式やSteuerの式を用いて計算する方法が一般的であり,熱量計を使用して測定する方法も採用されている。しかし、これらの測定方法は、いずれも均質な廃棄物については相関性があるといわれるが、実際の廃棄物では、不均一で多種多様な組成を有することから、サンプリング誤差が大きく,組成分析,元素組成,サンプルを破砕して測定される発熱量等の結果は信頼性が低いという課題があった。また、実際の廃棄物では、燃焼炉に供給される被燃焼物の性状が刻一刻変化することから、こうした廃棄物の変動に対応した熱容量等の特性を適切に測定することができる測定方法を確立することが強く求められている。
(A1)所定量の被燃焼物が供給された燃焼炉からの排ガス流量を測定する。
(A2)燃焼炉からの排ガス中の酸素,二酸化炭素および水分の成分濃度を測定する。
(A3)測定された前記各成分濃度から、排ガス中の窒素濃度[N2]を算出する。
(A4)算出された窒素濃度[N2]を基に大気中の窒素濃度Anに対する換算係数を算出し、該換算係数を乗じた前記酸素,二酸化炭素および水分の換算成分濃度Go,GdおよびGwを算出する。
(A5)換算された二酸化炭素の成分濃度Gdを基に、前記排ガス流量を用いて、単位時間当たりの被燃焼物中の炭素量を算出する。
(A6)大気中の酸素濃度Aoから、換算された酸素の成分濃度Goおよび二酸化炭素の成分濃度Gdを減算し、前記排ガス流量を用いて、単位時間当たりの燃焼処理において消費された被燃焼物中の水素量を算出するとともに、算出された該水素量から燃焼処理によって発生した水分量を算出する。
(A7)換算された水分の成分濃度Gwおよび算出された前記水分量を基に、前記排ガス流量を用いて、単位時間当たりの被燃焼物中の水分蒸発量を算出する。
(A8)算出された前記炭素量,水素量および水分量を用い、燃焼処理により発生した被燃焼物中の炭素と水素の反応発熱量および水分の潜熱量に基づき被燃焼物の算出発熱量を算出し、前記被燃焼物の供給量から燃焼処理された被燃焼物単位供給量当りの算出発熱量Aを算出する。
(B1)所定量の被燃焼物が供給された燃焼炉からの排ガス流量を測定する。
(B2)排ガス中の酸素および水分の成分濃度を測定する。
(B3)測定された酸素,水分の成分濃度[O2],[H2O]から、下式1を基に排ガス中の二酸化炭素濃度[CO2]を算出する。
[CO2]=Ro×(100−[H2O])/100−[O2] …式1
ここで、[ ]内は百分率表示濃度を示し、Roは大気中の酸素濃度から灰分に取り込まれる酸素成分量を減じて設定された係数を示す。
(B4)測定された酸素濃度[O2]と水分濃度[H2O]および算出された二酸化炭素濃度[CO2]から、排ガス中の窒素濃度[N2]を算出する。
(B5)算出された窒素濃度[N2]を基に大気中の窒素濃度Anに対する換算係数を算出し、該換算係数を乗じた前記酸素,二酸化炭素および水分の換算成分濃度Go,GdおよびGwを算出する。
(B6)換算された二酸化炭素の成分濃度Gdを基に、前記排ガス流量を用いて、単位時間当たりの被燃焼物中の炭素量Ecを算出する。
(B7)大気中の酸素濃度Aoから、換算された酸素の成分濃度Goおよび二酸化炭素の成分濃度Gdを減算し、前記排ガス流量を用いて、単位時間当たりの燃焼処理において消費された被燃焼物中の水素量Ehを算出するとともに、算出された該水素量から燃焼処理によって発生した水分量Cwを算出する。
(B8)換算された水分の成分濃度Gwおよび算出された前記水分量Cwを基に、前記排ガス流量を用いて、単位時間当たりの被燃焼物中の水分蒸発量を算出する。
(B9)算出された前記炭素量,水素量および水分量を用い、燃焼処理により発生した被燃焼物中の炭素と水素の反応発熱量および水分の潜熱量に基づき被燃焼物の算出発熱量を算出し、前記被燃焼物の供給量から燃焼処理された被燃焼物単位供給量当りの算出発熱量Bを算出する。
(C1)下式2に基づき、燃焼炉に供給される燃焼空気以外の混入空気量を算出する。
(混入空気量)=(排ガス流量×[N2]−燃焼空気供給量×An)/An ……式2
(C2)下式3に基づき、被燃焼物中の酸素量を算出する。
(被燃焼物中の酸素量)=(排ガス流量×[O2])−(燃焼空気供給量×Aa−排ガス流量×[CO2]−水分量Cw)−(混入空気量×An) ……式3
こうした構成によって、性状等の変動要素の多い被燃焼物であっても、実測の排ガス中の成分濃度測定値を用いて当該燃焼空気の空気過剰率を算出することによって、こうした変動要素が反映された発熱量を推定することができる。従って、燃焼している被燃焼物の発熱量に係る情報をリアルタイムに精度よく連続して取得し、これを用いて現在の燃焼状態に対して時間遅れのない被燃焼物の燃焼制御を行うことを可能にした。
こうした構成によって、燃焼している被燃焼物の発熱量に係る情報をリアルタイムに精度よく連続して取得し、これを用いて現在の燃焼状態に対して時間遅れのない被燃焼物の燃焼制御を行うことが可能となった。
本発明に係る被燃焼物の発熱量を測定する方法(以下「本測定方法」ということがある)は、炭素および水素を主成分とする被燃焼物を燃焼炉によって燃焼処理するプロセスにおいて、以下の手順に基づき、該被燃焼物の発熱量を測定することを特徴とする。燃焼している被燃焼物の発熱量に係る情報に基づき、被燃焼物の発熱量をリアルタイムに精度よく連続して測定することができる測定方法を確立することができる。
(A1)燃焼炉からの排ガス流量を測定する。
(A2)燃焼炉からの排ガス中の酸素,二酸化炭素および水分の成分濃度を測定する。
(A3)測定された前記各成分濃度から、排ガス中の窒素濃度[N2]を算出する。
(A4)算出された窒素濃度[N2]を基に大気中の窒素濃度Anに対する換算係数を算出し、該換算係数を乗じた前記酸素,二酸化炭素および水分の換算成分濃度Go,GdおよびGwを算出する。
(A5)換算された二酸化炭素の成分濃度Gdを基に、被燃焼物単位供給量当りの被燃焼物中の炭素量を算出する。
(A6)大気中の酸素濃度Aoから、換算された酸素の成分濃度Goおよび二酸化炭素の成分濃度Gdを減算し、燃焼処理において消費された被燃焼物中の水素量および燃焼処理によって発生した水分量を算出する。
(A7)換算された水分の成分濃度Gwおよび算出された前記水分量を基に、被燃焼物中の水分蒸発量を算出する。
(A8)算出された前記炭素量,水素量および水分量を用い、燃焼処理により発生した被燃焼物中の炭素と水素の反応発熱量および水分の潜熱量に基づく、燃焼処理された被燃焼物単位供給量当りの算出発熱量Aを算出する。
被燃焼物の発熱量は、被燃焼物中の炭素と水素の酸化反応による発熱量と,水分の蒸発潜熱の影響が支配的であり,排ガス中の酸素濃度[O2],二酸化炭素濃度[CO2]および水分濃度[H2O]を測定することによって算出が可能である。
具体的には、以下に示すような基本概念に基づき算出・測定することができる。
(a)排ガス中の各成分の由来について
図1に例示するように,排ガス中の各成分は、被燃焼物中の炭素,水素および水分と燃焼炉に供給された供給空気(燃焼空気および混入空気を含む)中の窒素および酸素から移行している。
(a−1)窒素:全量が供給空気から供給される
(a−2)酸素:供給された供給空気のうち被燃焼物中の炭素の酸化反応(C+O2→CO2)と水素の酸化反応(2H2+O2→2H2O)で消費された残量および被燃焼物中の酸素が含まれる
(a−3)二酸化炭素:全量が被燃焼物中の炭素が酸化反応で生成された量となる
(a−4)水分:被燃焼物中の水素が酸化反応によって生成された量と、被燃焼物中の水分が蒸発(H2O(液)→H2O(気体))した量の和となる(供給空気中の水分は無視しうる)
上記(a)における物質収支について検証すると、被燃焼物中の水素の酸化反応によってその容積が2倍となった水分と、被燃焼物中の水分が蒸発した量だけ排ガスは空気から増加する。被燃焼物の発熱量の計算では、この増加量を明確にする必要がある(下記(c)参照)。
また、供給空気中の酸素が消費された量に着目し、被燃焼物中の炭素,水素および水分と供給空気中の窒素および酸素が、排ガス中の各ガス成分に移行した量を計算する。特に排ガス中の水分が、被燃焼物中の水素の酸化反応によるものか(発熱)被燃焼物中の水分の蒸発によるものか(吸熱)によって発熱量が異なるために、この由来比率を明確にすることが重要である(下記(d)参照)。
なお、被燃焼物中の酸素成分は実質的に排ガス中の酸素成分となると考えられることから、発熱量には関与せず発熱量の算出・測定においては影響しない成分として扱うことができる。
また、被燃焼物中には硫黄や塩素等酸化反応によって発熱する元素は他にも存在するが、排ガス中の硫黄酸化物や塩化水素の濃度はppm単位であり、二酸化炭素や水分の濃度の%単位に比べて小さい値であるため無視することができる。
排ガス中のCO2量は、被燃焼物中の炭素が全量酸化反応して発生したものであり、排ガス中のO2量は、この酸化反応の他に被燃焼物中の水素の酸化反応で消費された量の残りである。この考え方を採用することで、排ガス中のH2Oについて、被燃焼物中のHの酸化反応により生成した量と、被燃焼物中のH2Oが蒸発した量の比率を計算できる。
ここで,供給空気中のN2量と排ガス中のN2量は同量とすると、供給空気量(供給空気流量)に対する排ガス量(排ガス流量)の体積増加割合tは、以下に示すように計算することができる。
(c−1)燃焼による供給空気から排ガスへの体積増加割合t=An/Gn
(c−2)供給空気中の窒素濃度An:79[%]
(c−3)排ガス中の窒素濃度[N2]=100−[O2]−[CO2]−[H2O][%]
ここで、[O2]:排ガス中のO2濃度[%]
[CO2]:排ガス中のCO2濃度[%]
[H2O]:排ガス中のH2O濃度[%]
排ガス中のH2Oの由来を,被燃焼物中の水素の酸化反応によるものと被燃焼物中の水分の蒸発によるものに分けるために,排ガス中の各成分濃度を供給空気での成分量の割合に換算する。
(d−1)排ガス中N2濃度の換算濃度Gn:79
(d−2)排ガス中O2濃度の換算濃度Go=[O2]×t
(d−3)排ガス中CO2濃度の換算濃度Gd=[CO2]×t
(d−4)排ガス中H2O濃度の換算濃度Gw=[H2O]×t
次に、以下の式で,被燃焼物中の炭素と水素の酸化反応量と被燃焼物中のH2Oの蒸発量が計算できる。
(d−5)空気中のO2の減少量Do=21−Go
(d−6)被燃焼物中の炭素の燃焼によるO2の消費量Dc=Gd
(d−7)被燃焼物中の水素の燃焼によるO2の消費量Dh=Do−Gd=(21−Go)−Gd
(d−8)被燃焼物中のH2Oの蒸発量Dw=Gw−(2×Dh)
以上から,排ガス中のH2Oの由来比率は、以下のとおりとなる。
(d−9)水素の酸化反応分:被燃焼物中のH2O蒸発分=Dh:Dw
既述のように、被燃焼物の発熱量は、被燃焼物中の炭素と水素の酸化反応による発熱量と,水分の蒸発潜熱により算出される。また、排ガス流量Mg[m3N/h]は、後述する測定方法の手順(A1)により求められる。
以上から、炭素と水素の酸化反応によるCO2,H2Oの発生量と被燃焼物中のH2Oの蒸発量は、以下の通りである。
(e−1)炭素の酸化反応によるCO2の発生量Mc=Mg×Gd/100[m3N/h]
(e−2)水素の酸化反応によるH2Oの発生量Mh
=(Mg×Gw/100)×(2×Dh)/(Dh+Dw)[m3N/h]
(e−3)被燃焼物中のH2Oの蒸発量Mw
=(Mg×Gw/100)×Dw/(Dh+Dw)[m3N/h]
単位モルあたりの炭素,水素の酸化反応による発生熱量と、被燃焼物中の水分の潜熱は、以下の通りである。
(f−1)C+O2 =CO2 +393.51[kJ]
(f−2)2H2+O2=2H2O +571.66[kJ]
(f−3)H2O(液)=H2O(気体)−45.20[kJ]
従って、被燃焼物F[kg/h]の発熱量は、以下の通り算出することができる。
(f−4)炭素の酸化反応による発熱量Qc=393.51×Mc×1000/22.4[kJ/h]
(f−5)水素の酸化反応による発熱量Qh
=571.66/2×Mh×1000/22.4[kJ/h]
(f−6)排ガス中のH2Oの潜熱Qw=45.20×(Mh+Mw)×1000/22.4[kJ/h]
(f−7)被燃焼物の燃焼に伴い発生する熱量Qf=Qc+Qh−Qw
以上から、被燃焼物単位供給量当りの発熱量Qoは、以下の通りとなる。
(f−8)被燃焼物単位供給量当りの発熱量Qo=Qf/F
次に、本測定方法の実施態様(実施態様1)を、例えば本発明に係る燃焼制御装置の一態様である図2に例示する燃焼制御装置を参照して詳細に説明する。
(A1)燃焼炉からの排ガス流量の測定
燃焼炉からの排ガス流量をリアルタイムに測定する。具体的には、図2に示す燃焼制御装置において、所定量の被燃焼物Eが供給部1から燃焼炉2に供給され、燃焼処理される。燃焼炉2からの排出ガス流路に設けられた節炭器4を用い、節炭器4に供給される排ガスGの持ち出し熱量Hoに係る排ガスと給水の出入口温度(Tgi,Tgo,Twi,Tw)および排ガス流量Mgと給水量Mwの関係から、式A1〜A2に基づき、正確なリアルタイムの排ガス流量Mgを算出することができる。
Ho[kJ/h] =Mg×Cpg×(Tgo−Ta2) ……式A1
Mg[m3N/h]=Mw×(Tw−Twi)×Cw/(Tgi−Tgo)/Cpg ……式A2
ここで、Mw:節炭器入口給水量[t/h]
Twi:節炭器入口給水温度[℃]
Tw :節炭器出口給水温度[℃]
Tgi:節炭器入口排ガス温度[℃]
Tgo:節炭器出口排ガス温度[℃]
Ta2:常温(室内温度)[℃]
Cpg:節炭器入口排ガス定圧比熱[kJ/m3N・℃]
なお、排ガス流量Mgの測定は、節炭器4に限定されず、例えば、ガスエアヒータや予熱器(図示せず)のように排ガスとの熱交換機能を有し、その熱収支から排ガス流量を算出することができる装置を例として、排ガスとの接触によって変化する物質の接触前後の性状変化から排ガス流量を算出することができる装置であれば、本測定方法に適用することができる。また、独立した熱交換器を有していない場合には、燃焼処理後の排ガスを排出する煙突等に導入される煙突等出口排ガス中の酸素濃度および煙突等出口流量を測定し、燃焼炉出口排ガス中の酸素濃度との対比から排ガス流量を算出することができる装置を用いることができる。
図2に例示するように、燃焼炉2の炉内、または炉出口に設けられたO2濃度計,H2O濃度計およびCO2濃度計5により、燃焼排ガス中の酸素,水分および二酸化炭素の成分濃度を測定することによって、燃焼状態の情報をリアルタイムに得ることができる。むろん多成分測定用のレーザ分析計等を用い、1つの濃度計により各成分濃度を測定することも可能であり、装置のシンプル化を図るとともに、各成分濃度測定値の時間的ズレをなくすことができる点においても優れている。
測定された酸素濃度,水分濃度および二酸化炭素濃度を用い、排ガス中の窒素濃度[N2]を算出する。具体的には、下式A3に基づき、実測の酸素濃度,水分濃度および二酸化炭素濃度から、排ガス中の窒素濃度[N2]を算出する(w:wet状態)。
[N2(w)]=100−([O2(w)]+[CO2(w)]+[H2O]) …式A3
(A4-1)大気中の窒素濃度に対する換算係数の算出
燃焼反応前後において不変の要素である窒素を基準に、これを燃焼空気供給時の分圧(基準窒素濃度An:燃焼空気を100としたとき79)に換算する係数(換算係数)tを、下式A4−1に基づき算出する。
t=An(=79)/[N2(w)] …式A4−1
(R4-2)酸素,二酸化炭素,水分の換算成分濃度の算出
酸素,二酸化炭素,水分の各成分濃度に換算係数tを乗じた酸素,二酸化炭素および水分の換算成分濃度Go,Gd,Gwを算出する。下式A4−2に基づき、それぞれ、換算酸素濃度Go,換算二酸化炭素濃度Gd,換算水分濃度Gwを算出する。このとき、各数値は、燃焼空気の単位供給量当りの酸素量,二酸化炭素量および水分量となる。
Go=[O2(w)]×t,Gd=[CO2(w)]×t,Gw=[H2O]×t …式A4−2
換算された二酸化炭素の成分濃度Gdを基に、被燃焼物単位供給量当りの被燃焼物中の炭素量Ddを算出する。具体的には、下式A5から、被燃焼物中の炭素量Dcを得ることができる。
Dc=Gd …式A5
下式A6に示すように、大気中の酸素濃度Ao(=21%)から換算された酸素の成分濃度Goおよび二酸化炭素の成分濃度Gdを減算し、燃焼処理において消費された被燃焼物中の水素量Dhを算出し、さらに被燃焼物中の水素量Dhの全量が燃焼処理によって被燃焼物中の水素由来の水分量(2×Dh)を算出することができる。
Dh=(Ao−Go)−Gd …式A6
換算された水分の成分濃度Gwおよび上記(A6)において算出された水分量(2×Dh)を基に、下式A7から、被燃焼物中の水分蒸発量Dwを算出する。
Dw=Gw−(2×Dh) …式A7
算出された炭素量Dc(=Gd),水素量Dhおよび水分量Dwを用い、燃焼処理により発生した被燃焼物中の炭素と水素の反応発熱量および水分の潜熱量に基づく、燃焼処理された被燃焼物単位供給量当りの算出発熱量Aを算出する。
(A8−1)下式A8−1aより炭素の酸化反応によるCO2の発生量Mcを算出し、下式A8−1bより炭素の酸化反応による発熱量Qcを算出する。
Mc=Mg×Dc/100 …式A8−1a
Qc=393.51×Mc×1000/22.4 …式A8−1b
(A8−2)下式A8−2aより水素の酸化反応によるH2Oの発生量Mhを算出し、下式A8−2bより水素の酸化反応による発熱量Qhを算出する。
Mh=(Mg×Gw/100)×(2×Dh)/(Dh+Dw) …式A8−2a
Qh=571.66/2×Mh×1000/22.4 …式A8−2b
(A8−3)下式A8−3aより被燃焼物中のH2Oの蒸発量Mwを算出し、下式A8−3bより排ガス中のH2Oの潜熱Qwを算出する。
Mw=(Mg×Gw/100)×Dw/(Dh+Dw) …式A8−3a
Qw=45.20×(Mh+Mw)×1000/22.4 …式A8−3b
(A8−4)以上から、燃焼処理された被燃焼物単位供給量当りの算出発熱量Aを、下式A8―4より算出する。
(算出発熱量A)=(Qc+Qh−Qw)/E …式A8−4
次に、本測定方法の他の実施態様(実施態様2)について説明する。後述するように、排ガス中の二酸化炭素(CO2)濃度が、排ガス中の酸素(O2)濃度および水分(H2O)濃度を基に算出することができることから、CO2濃度計が設けられない点において上記実施態様1と異なる。なお、上記実施態様1と共通する点については省略することがある。
上記(A1)と共通するために省略する。
(B2)排ガス中の酸素および水分の成分濃度を測定する。
燃焼炉の炉内、または炉出口に設けられたO2濃度計およびH2O濃度計により排ガス中の酸素および水分の成分濃度を測定することによって、燃焼状態の情報をリアルタイムに得るとともに、この2つの指標を用いて被燃焼物の発熱量の算出に不可欠な指標である排ガス中のCO2濃度を算出することによって、上記実施態様1と差異のない精度の良い、被燃焼物の発熱量の測定方法を確立することができる。
[CO2]=Ro×(100−[H2O])/100−[O2] …式1
ここで、[ ]内は百分率表示濃度を示し、Roは大気中の酸素濃度から灰分に取り込まれる酸素成分量を減じて設定された係数を示す。
つまり、被燃焼物が完全燃焼し、被燃焼物中の酸素および窒素が排ガス中の酸素および窒素の成分濃度に影響を与えない条件の場合、燃焼空気中の二酸化炭素濃度[CO2]と酸素濃度[O2]は、下式B3−1〜4の関係が成り立つ(d:乾燥状態,w:湿潤状態を示す)。
[CO2(d)]+[O2(d)]=Ro …式B3−1
[CO2(d)]=[CO2(w)]×100/(100−[H2O]) …式B3−2
[O2(d)] =[O2(w)]×100/(100−[H2O]) …式B3−3
[CO2(w)]=Ro×(100−[H2O])/100−[O2(w)] …式B3−4
しかしながら、実動状態においては、式B3−1,3−4においてRo=「21」は成立せず、例えばRo=「19」となることが実証されている。燃焼反応によって発生する灰分に取り込まれる酸素成分量がその差であると解される。[CO2(d)]および[O2(d)]は、予め実操業中に、手分析等分析・測定を行うことにより設定可能である。
具体的には、下式B4に基づき、実測の酸素濃度,水分濃度および算出された二酸化炭素濃度から、排ガス中の窒素(N2)濃度を算出する。
[N2(w)]=100−([O2(w)]+[CO2(w)]+[H2O]) …式B4
算出された炭素量Dc(=Gd),水素量Dhおよび水分量Dwを用い、燃焼処理により発生した被燃焼物中の炭素と水素の反応発熱量および水分の潜熱量に基づく、燃焼処理された被燃焼物単位供給量当りの算出発熱量Bを算出する。
(B9−1)下式B9−1aより炭素の酸化反応によるCO2の発生量Mcを算出し、下式B9−1bより炭素の酸化反応による発熱量Qcを算出する。
Mc=Mg×Dc/100 …式B9−1a
Qc=393.51×Mc×1000/22.4 …式B9−1b
(B9−2)下式B9−2aより水素の酸化反応によるH2Oの発生量Mhを算出し、下式B9−2bより水素の酸化反応による発熱量Qhを算出する。
Mh=(Mg×Gw/100)×(2×Dh)/(Dh+Dw) …式B9−2a
Qh=571.66/2×Mh×1000/22.4 …式B9−2b
(B9−3)下式B9−3aより被燃焼物中のH2Oの蒸発量Mwを算出し、下式B9−3bより排ガス中のH2Oの潜熱Qwを算出する。
Mw=(Mg×Gw/100)×Dw/(Dh+Dw) …式B9−3a
Qw=45.20×(Mh+Mw)×1000/22.4 …式B9−3b
(B9−4)以上から、燃焼処理された被燃焼物単位供給量当りの算出発熱量Bを、下式B9―4より算出する。
(算出発熱量B)=(Qc+Qh−Qw)/E …式B9−4
本測定方法において、本願発明の1つの課題である燃焼炉内への混入空気量および被燃焼物中の酸素量を把握することによって、より正確な被燃焼物中の蒸発量を測定することができ、より的確な燃焼制御を図ることができる。具体的には、以下の手順に基づき、混入空気量および被燃焼物中の酸素量を算出することを特徴とする。
(C1)下式2に基づき、燃焼炉に供給される燃焼空気以外の混入空気量を算出する。
(混入空気量)=(排ガス流量×[N2]−燃焼空気供給量×An)/An ……式2
通常実働状態での燃焼炉内は減圧条件に設定されていることおよび被燃焼物中に含まれる窒素成分が微量であることから、排ガス中に含まれる窒素量と燃焼空気中に含まれる窒素量に差があれば、燃焼炉内への外気の混入が想定される。
(C2)下式3に基づき、被燃焼物中の酸素量を算出する。
(被燃焼物中の酸素量)=(排ガス流量×[O2])−(燃焼空気供給量×Aa−排ガス流量×[CO2]−水分量Cw)−(混入空気量×An) ……式3
被燃焼物中の酸素および混入空気中の酸素は、排ガス中の酸素成分の一部を構成し、燃焼空気中の酸素の一部はCO2およびH2Oとして排ガス中に存在することから、式3に基づき被燃焼物中の酸素量を算出することができる。
(C3)上記(C1)で算出された混入空気量または/および(C2)で算出された被燃焼物中の酸素量は、正味の燃焼空気に係る窒素成分および酸素成分の算出に用いることができ、上記手順(A3)または(B4)の排ガス中の窒素濃度の算出において、該窒素濃度をリアルタイムに補正することができる。さらに、補正された窒素濃度を用いることによって、正味の被燃焼物の成分および燃焼空気による燃焼状態を測定することができ、発熱量の算出に必要な被燃焼物の成分および燃焼空気に係る窒素成分と酸素成分をより正確に算出することができる。また、その算出結果を用いて被燃焼物の発熱量を算出することによって、燃焼状態に対応した被燃焼物の発熱量をより正確に測定することができる。加えて、こうして算出された算出発熱量を燃焼制御に用いることによって、より正確な燃焼空気量の制御を行うことができ、リアルタイムに安定した燃焼制御を行うことができる。
上記本制御装置を用いて、本測定方法および従前の測定方法により発熱量を算出し、各測定方法の比較検証を行った。
〔検証方法〕
実証試験は、環整95号に基づき200kg×5検体(本試験では検体として廃棄物を用いた)を準備し、各検体についてサンプリングを行い低位発熱量の測定を行なった。サンプリングした5検体のうち、計算結果で誤差の大きいと考えられる最小と最大のものを除く3検体を評価することとした。なお、サンプリングした検体は破砕して混合し測定を行った。
〔検証結果〕
サンプリングした廃棄物を分析し、下記(i)〜(iv)に基づき算出した結果を表1に示す。
(i)環整95号に基づき、3成分の計算式および熱量計測定から発熱量を算出した
(ii)Dulongの式,Steuerの式に当てはめて計算した
(iii)廃棄物の検体の組成と燃焼空気の源泉とする物質および熱収支に基づき発熱量を算出した
(iv)本測定方法に基づき発熱量を算出した
特定の相関関係を見出すことはできないが、本測定方法(iv)は、排ガス量とその成分をベースに計算しており,使用するデータに過不足がないことから,計算結果は現実的であるといえる。一方、物質および熱収支に基づく算出方法(iii)は,従来から施設の機能評価で採用されている方法であるが,焼却炉への漏れ込み空気や被燃焼物中の酸素の評価ができないという欠点があり,計算結果としてのごみ質は,経験的に高めであるとされ、本実証試験においても高位となっている。他の測定方法(i)および(ii)についても、被燃焼物中の「3成分」測定方法を除き、同様の結果となっている。
本発明に係る被燃焼物の燃焼制御方法(以下「本制御方法」ということがある)は、上記被燃焼物の発熱量(算出発熱量Aまたは算出発熱量B)を基にボイラ蒸発量を算出し、該ボイラ蒸発量を基に燃焼炉に投入される被燃焼物および燃焼空気の供給量を制御し、燃焼炉の燃焼制御を行うことを特徴とする。燃焼している被燃焼物の発熱量に係る情報をリアルタイムに精度よく連続して取得し、これを用いて現在の燃焼状態に対して時間遅れのない被燃焼物の燃焼制御を行うことができる。
以下、本制御方法について、詳細に説明する。
上記手順(A8)において算出された被燃焼物の算出発熱量Aまたは上記手順(B9)において算出された算出発熱量Bを基に、ボイラ蒸発量を算出する。具体的には、下式2,3に示すような被燃焼物発熱量とボイラ蒸発量の関係を基に、算出された被燃焼物発熱量からボイラ蒸発量を得ることができる。
(被燃焼物の燃焼熱量)=(被燃焼物の発熱量)×(被燃焼物の投入量)
=(ボイラ蒸発量×蒸気エンタルピ+持出熱量−持込熱量)
…式D1−1
(ボイラ蒸発量)=(被燃焼物の燃焼熱量−持出熱量+持込熱量)/(蒸気エンタルピ)
…式D1−2
ここで、被燃焼物の投入量,蒸気エンタルピ,持出熱量および持込熱量は、本プロセスにおける各計測値によって、リアルタイムに算出することができる。
算出されたボイラ蒸発量を基に、焼却炉に投入される被燃焼物および燃焼空気の供給量を制御する。具体的には、例えば、被燃焼物および燃焼空気の供給量について、推定されたボイラ蒸発量を基準としてフィードバック制御されるとともに、その他の要素(例えば燃焼炉内温度等)によって補正されることによって、リアルタイムに燃焼状態に対して時間遅れのない被燃焼物の燃焼制御を行うことができる。
本発明に係る燃焼制御装置(以下「本制御装置」ということがある)は、少なくとも、燃焼炉からの排ガス流量を測定する手段,被燃焼物の供給量測定部,燃焼空気の供給量測定部,および排ガス中の酸素および水分、または酸素,水分および二酸化炭素濃度の成分濃度測定部を有し、上記算出発熱量Aまたは算出発熱量Bを用いて、燃焼炉に投入される被燃焼物および燃焼空気の供給量を制御することを特徴とする。図2に例示する本制御装置により、具体的な実施形態を説明する。
供給部1には、被燃焼物の供給量測定部(図示せず)が設けられ、供給される被燃焼物Eの量と質が測定される。例えば、被燃焼物投入重量検出センサとレーザ距離計等が設けられる(いずれも図示せず)。被燃焼物Eの比重が分かれば、被燃焼物Eの水分量等を予測することができる。本制御装置においては、実測の排ガス中の水分濃度との補正等に用いることができる。
燃焼空気Aは、本制御装置において例示するように、燃焼炉内下部の1次燃焼ゾーンに載置され移送される被燃焼物Eに直接供給されるとともに、1次燃焼ゾーンにおいて未燃または不完全燃焼した成分の完全燃焼および排ガスGの冷却処理あるいは希釈処理を行うために設けられる燃焼炉内中央部または上部の2次燃焼ゾーンに供給されることが好ましい。燃焼空気供給部6は、こうした複数段に分れた燃焼空気Aの供給量を測定する供給量測定部と供給量を制御する供給量制御部を有し、例えば、1次燃焼ゾーンにおける被燃焼物Eに対する乾燥ステップ,燃焼ステップおよび後燃焼ステップの順に、各ステップにおける被燃焼物Eの量(容積)や表面温度および燃焼ガスの流量等をモニタしながら、それぞれの燃焼空気Aの供給量が制御される。さらに、2次燃焼ゾーンにおいても、その上部および下部(さらに中部)から燃焼空気Aの供給する機能を設け、排ガス中の成分濃度や温度および排ガス流量等をモニタしながら、それぞれの燃焼空気の供給量が制御される構成を有することが好ましい。ここで、燃焼空気の供給量とは、これらの総流量をいう。なお、燃焼炉2の終端には、燃焼に伴うエネルギーに相当する蒸発量を測定するセンサとして、蒸気流量を測定する蒸気流量計(図示せず)が設けられることが好ましい。
炉内または/および排ガス流路には、被燃焼物Eの燃焼状態および燃焼結果を検出する成分濃度測定部5が設けられている。本制御装置において、成分濃度測定部5は、O2濃度計およびCO2濃度計が2次燃焼ゾーンに、H2O濃度計が排ガス流路の節炭器4直前に設けられている。ただし、CO2濃度計の設置を含め、これに限定されないことは上記の通りである。ここで、O2濃度計、CO2濃度計、H2O濃度計として、レーザ発信器(図示せず)が波長をスキャンしながら強さ一定のレーザ光を炉内のガスに照射し、レーザ受信器によって残存のレーザ光を測定することにより、当該ガスの成分濃度や温度を検出するレーザ式測定器を用いることが好ましい。測定対象となる排ガスを、非接触で検出できるとともに同一部位における検出情報を同時に得ることができる点において好適である。また、各ガスの成分濃度を検出する公知のセンサを使用しても良い。排ガス中の各成分濃度から、燃焼された被燃焼物Eの組成を算出することができるとともに、燃焼空気の供給量との関係から被燃焼物Eの発熱量を算出することができる。
本制御処理装置を用い、本制御方法の燃焼制御機能およびその技術効果を検証した。
〔検証結果〕
検証結果を、図4(a)〜(d)に示す。
(i)図4(a),(c)は、従前の測定方法により算出された発熱量を基に算出されたボイラ蒸発量に基づき燃焼制御を行った場合の、ボイラ蒸発量実測値,予測値(算出値),燃焼炉出口酸素濃度および煙突排ガス流量の変動を示す。
(ii)図4(b),(d)は、本測定方法により算出された発熱量を基に算出されたボイラ蒸発量に基づき燃焼制御を行った場合の、ボイラ蒸発量実測値,予測値(算出値),燃焼炉出口酸素濃度および煙突排ガス流量の変動を示す。
(iii)従前の制御方法を使用する場合は、各指標において制御幅が大きく安定性に欠ける数値の変動が見られたが、本制御方法においては変動幅が小さく非常に安定性の高い数値の変動が見られた。また,ボイラ蒸発量の変動を少なくすることで,蒸気タービンでの発電量の約1.5%増加をえることができた。
(i)被燃焼物の発熱量を遅滞なく連続して測定することにより、最適な燃焼制御が実現できる。特に、リアルタイムに被燃焼物の発熱量を算出することができるため、1日の時間帯や季節での発熱量の変動特性が確認でき,施設の運営計画の策定に当たって有効なデータとなる。
(ii)節炭器を有する施設では、ボイラ蒸発量推定値を実測値より先行して(例えば約240秒)演算することで、ボイラ蒸発量の安定と排ガス量の最小化により発電効率のアップを実現できる。また、本制御方法によればボイラ給水を約20秒遅れで制御することが可能となり、ボイラ蒸発量の安定化により発電効率のアップを実現することができた。
(iii)同じような可燃性燃焼物でも組成の違いを知ることができ,各燃焼設備における被燃焼物の特徴を推察するデータとして活用できるほか,従来の分析値との比較が任意にできる。
(iv)連続して被燃焼物の発熱量を算出することで、燃焼炉の運転中に被燃焼物の発熱量の変化が認められた場合に定量的なデータとして記録できる。
(v)被燃焼物の組成が変動する場合や含有酸素が大きな被燃焼物を燃焼処理する場合には、燃焼空気量から算出した被燃焼物の組成補正を行うことによって、より正確な被燃焼物の発熱量を算出することができ、より安定した燃焼制御を実現した。また、ボイラ蒸発量の変動を少なくすることで、蒸気タービンでの発電量の増加を確保することができた。
Claims (5)
- 炭素および水素を主成分とする被燃焼物を燃焼炉によって燃焼処理するプロセスにおいて、以下の手順に基づき、該被燃焼物の発熱量を測定する方法。
(A1)所定量の被燃焼物が供給された燃焼炉からの排ガス流量を測定する。
(A2)燃焼炉からの排ガス中の酸素,二酸化炭素および水分の成分濃度を測定する。
(A3)測定された前記各成分濃度から、排ガス中の窒素濃度[N2]を算出する。
(A4)算出された窒素濃度[N2]を基に大気中の窒素濃度Anに対する換算係数を算出し、該換算係数を乗じた前記酸素,二酸化炭素および水分の換算成分濃度Go,GdおよびGwを算出する。
(A5)換算された二酸化炭素の成分濃度Gdを基に、前記排ガス流量を用いて、単位時間当たりの被燃焼物中の炭素量を算出する。
(A6)大気中の酸素濃度Aoから、換算された酸素の成分濃度Goおよび二酸化炭素の成分濃度Gdを減算し、前記排ガス流量を用いて、単位時間当たりの燃焼処理において消費された被燃焼物中の水素量を算出するとともに、算出された該水素量から燃焼処理によって発生した水分量を算出する。
(A7)換算された水分の成分濃度Gwおよび算出された前記水分量を基に、前記排ガス流量を用いて、単位時間当たりの被燃焼物中の水分蒸発量を算出する。
(A8)算出された前記炭素量,水素量および水分量を用い、燃焼処理により発生した被燃焼物中の炭素と水素の反応発熱量および水分の潜熱量に基づき被燃焼物の算出発熱量を算出し、前記被燃焼物の供給量から燃焼処理された被燃焼物単位供給量当りの算出発熱量Aを算出する。 - 炭素および水素を主成分とする被燃焼物を燃焼炉によって燃焼処理するプロセスにおいて、以下の手順に基づき、該被燃焼物の発熱量を測定する方法。
(B1)所定量の被燃焼物が供給された燃焼炉からの排ガス流量を測定する。
(B2)排ガス中の酸素および水分の成分濃度を測定する。
(B3)測定された酸素,水分の成分濃度[O2],[H2O]から、下式1を基に排ガス中の二酸化炭素濃度[CO2]を算出する。
[CO2]=Ro×(100−[H2O])/100−[O2] …式1
ここで、[ ]内は百分率表示濃度を示し、Roは大気中の酸素濃度から灰分に取り込まれる酸素成分量を減じて設定された係数を示す。
(B4)測定された酸素濃度[O2]と水分濃度[H2O]および算出された二酸化炭素濃度[CO2]から、排ガス中の窒素濃度[N2]を算出する。
(B5)算出された窒素濃度[N2]を基に大気中の窒素濃度Anに対する換算係数を算出し、該換算係数を乗じた前記酸素,二酸化炭素および水分の換算成分濃度Go,GdおよびGwを算出する。
(B6)換算された二酸化炭素の成分濃度Gdを基に、前記排ガス流量を用いて、単位時間当たりの被燃焼物中の炭素量Ecを算出する。
(B7)大気中の酸素濃度Aoから、換算された酸素の成分濃度Goおよび二酸化炭素の成分濃度Gdを減算し、前記排ガス流量を用いて、単位時間当たりの燃焼処理において消費された被燃焼物中の水素量Ehを算出するとともに、算出された該水素量から燃焼処理によって発生した水分量Cwを算出する。
(B8)換算された水分の成分濃度Gwおよび算出された前記水分量Cwを基に、前記排ガス流量を用いて、単位時間当たりの被燃焼物中の水分蒸発量を算出する。
(B9)算出された前記炭素量,水素量および水分量を用い、燃焼処理により発生した被燃焼物中の炭素と水素の反応発熱量および水分の潜熱量に基づき被燃焼物の算出発熱量を算出し、前記被燃焼物の供給量から燃焼処理された被燃焼物単位供給量当りの算出発熱量Bを算出する。 - 以下の手順に基づき、混入空気量および被燃焼物中の酸素量を算出することを特徴とする請求項1または2記載の被燃焼物の発熱量を測定する方法。
(C1)下式2に基づき、燃焼炉に供給される燃焼空気以外の混入空気量を算出する。
(混入空気量)=(排ガス流量×[N2]−燃焼空気供給量×An)/An ……式2
(C2)下式3に基づき、被燃焼物中の酸素量を算出する。
(被燃焼物中の酸素量)=(排ガス流量×[O2])−(燃焼空気供給量×An−排ガス流量×[CO2]−水分量Cw)−(混入空気量×An) ……式3 - 請求項1〜3のいずれかの発熱量を基にボイラ蒸発量を算出し、該ボイラ蒸発量を基に燃焼炉に投入される被燃焼物および燃焼空気の供給量を制御し、燃焼炉の燃焼制御を行うことを特徴とする燃焼炉の燃焼制御方法。
- 請求項4記載の燃焼炉の燃焼制御方法を適用した燃焼制御装置であって、少なくとも、燃焼炉からの排ガス流量を測定する手段,被燃焼物の供給量測定部,燃焼空気の供給量測定部,および排ガス中の酸素および水分、または酸素,水分および二酸化炭素濃度の成分濃度測定部を有し、前記算出された算出発熱量Aまたは算出発熱量Bを用いて、燃焼炉に投入される被燃焼物および燃焼空気の供給量を制御することを特徴とする燃焼制御装置。
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