JP6429008B2 - インクジェット記録装置及び印刷方法 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット記録装置及び印刷方法に関する。
インクジェット記録装置は、インクの小滴を飛翔させて紙などのメディア(被記録媒体)上に付着させて印刷を行う。近年のインクジェット記録技術の進歩により、インク吸収性の高い絹、ポリエステル、綿といった布帛や、インク非吸収性のプラスチック系のメディアにも印刷することが可能となってきている。
プラスチック系のメディアは、インクとの親和性が不足して、インクの定着が不足して安定な印刷が得られない場合があり、例えば、プラズマ処理によってメディアの表面を改質する試みが為されている(例えば、特許文献1〜3)。また、特許文献4には、インクジェット記録装置に、プラズマ処理の機能を持たせて、プラズマ処理とともにインクジェット記録を行う試みが為され、メディア上でのインクの濡れ性が高まり、印字効率が向上する等の記載がある。
特開2000−102761号公報 特開平10−310143号公報 特許第406628号 特開2012−179747号公報
しかしながら、メディアの濡れ性の向上によって、インクが濡れ拡がり、印刷効率は高まるものの、印刷終了後には、むしろ高い濡れ性は、不都合となる。例えば、印刷終了後にメディア表面の濡れ性が高いと、指紋や汚れが付着しやすくなってしまう。また、メディアがフィルムであり、例えば食品や薬品を包装するためのパックとして用いられる場合は、水中に浸漬されたり、その状態で煮沸されたりする可能性もある。その場合にメディア表面の濡れ性が高いと、インクがメディアから剥がれてしまう可能性がある。また、このような問題を低減するために、別工程でメディア表面の濡れ性を低下させるような、撥水化処理を施すと、生産性が低下し、生産コストの増加を招いてしまう。
本発明の幾つかの態様に係る目的の1つは、印刷後のインクのメディアに対する埋まり性が良好で、かつ、堅牢性の良好な印刷が可能なインクジェット記録装置、及び印刷方法を提供することにある。
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するために為されたものであり、以下の態様又は適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係るインクジェット記録装置の一態様は、
メディアをY方向に搬送する搬送機構と、
放電部分で発生したプラズマをプラズマ照射口から射出して前記メディアの一部に照射するプラズマ照射機構、及びインクをノズルから吐出するヘッドを、前記Y方向に交わる
+X方向及び−X方向に移動するキャリッジと、を備え、
前記プラズマ照射機構は、前記ヘッドに対して前記+X方向の側に設けられた第1プラズマ照射部と、前記ヘッドに対して前記−X方向の側に設けられた第2プラズマ照射部と、を有し、
前記メディア内の部位Pに対して前記インクが吐出される前に、前記ヘッドに対して前記キャリッジの進行方向の前方に位置する側の、前記第1プラズマ照射部又は前記第2プラズマ照射部から、前記部位Pに対して、前記部位Pを親水化するプラズマが照射され、
前記親水化するプラズマが照射された前記部位Pに対して、前記インクを吐出することによって印刷を行い、
前記部位Pに対する印刷が完了した後に、前記ヘッドに対して前記キャリッジの進行方向の後方に位置する側の前記第1プラズマ照射部又は前記第2プラズマ照射部から前記部位Pに対して前記部位Pを撥水化するプラズマが照射される。
このようなインクジェット記録装置によれば、親水化プラズマ処理の後、印刷が行われることで、メディアの濡れ性の良好な状態でインクの付与が可能であり、インクの濡れ拡がりによりメディア上でのインクの埋まり性が良好となる。しかも、印刷完了後に、撥水化プラズマ処理が行われることで、印刷後のメディアやインクの表面が疎水化されるため、水分等によるインクの剥がれ等の現象を生じにくい堅牢性の良好な印刷を行うことができる。
[適用例2]適用例1において、
前記キャリッジは、前記メディア内の部位P上をm回(mは自然数)通過することで前記部位Pへの印刷が完了するように構成されてもよく、
前記部位Pを撥水化するプラズマは、前記キャリッジが前記m回目に前記部位P上を通過するときにのみ照射されてもよい。
このようなインクジェット記録装置によれば、メディアにインクが付与される際に、撥水化プラズマがメディアに射出されないようにすることができる。これにより親水化されたメディアやインクの上にインクを付与することができ、埋まり性をさらに高めることができる。
[適用例3]適用例1又は適用例2において、
前記キャリッジは、前記メディア内の部位P上を1回通過することで前記部位Pへの印刷が完了するように構成されてもよく、
前記第1プラズマ照射部及び前記第2プラズマ照射部は、前記キャリッジの進行方向に応じて、前記メディアを親水化するプラズマと前記メディアを撥水化するプラズマとを切り替えて照射できるように構成されてもよい。
このようなインクジェット記録装置によれば、親水化処理用のプラズマ照射部と撥水化処理用のプラズマ照射部を別個に設ける必要がない。これによりプラズマ照射機構の配置の自由度の向上、及び/又は、プラズマ照射機構の小型化を行うことができる。
[適用例4]適用例3において、
前記メディア内の部位Pに対して印刷を行う際に、前記キャリッジが前記+X方向に移動するときは、前記第1プラズマ照射部から、前記部位Pに対して、前記部位Pを親水化するプラズマが照射され、前記第2プラズマ照射部から、前記部位Pに対して、前記部位Pを撥水化するプラズマが照射され、
前記メディア内の部位Pに対して印刷を行う際に、前記キャリッジが前記−X方向に移動するときは、前記第2プラズマ照射部から、前記部位Pに対して、前記部位Pを親水化するプラズマが照射され、前記第1プラズマ照射部から、前記部位Pに対して、前記部位
Pを撥水化するプラズマが照射されてもよい。
[適用例5]適用例1又は適用例2において、
前記キャリッジは、前記メディア内の部位P上をm回(mは2以上の自然数)通過することで、前記部位Pへの印刷が完了するように構成されてもよく、
前記第1プラズマ照射部及び前記第2プラズマ照射部は、それぞれm個の部分プラズマ照射部を有し、
前記m個の部分プラズマ照射部は、前記Y方向に配列されており、
前記Y方向のうち、前記メディアが送出される方向を+Y方向としたとき、
前記第1プラズマ照射部の前記m個の部分プラズマ照射部のうち、最も+Y方向の側に配置された1つと、前記第2プラズマ照射部の前記m個の前記部分プラズマ照射部のうち、最も+Y方向の側に配置された1つは、前記キャリッジの進行方向に応じて、前記メディアを親水化するプラズマと前記メディアを撥水化するプラズマとを切り替えて照射できるように構成されてもよい。
[適用例6]適用例5において、
m回目に前記キャリッジが前記部位P上を通過する際に、前記キャリッジが前記部位P上を+X方向に移動するときは、
前記第1プラズマ照射部の前記部位Pに対応する位置に設けられた部分プラズマ照射部から、前記部位Pに対して、前記部位Pを親水化するプラズマが照射され、前記第2プラズマ照射部の前記部位Pに対応する位置に設けられた部分プラズマ照射部から、前記部位Pに対して、前記部位Pを撥水化するプラズマが照射されてもよく、
m回目に前記キャリッジが前記部位P上を通過する際に、前記キャリッジが前記部位P上を−X方向に移動するときは、
前記第2プラズマ照射部の前記部位Pに対応する位置に設けられた部分プラズマ照射部から、前記部位Pに対して、前記部位Pを親水化するプラズマが照射され、前記第1プラズマ照射部の前記部位Pに対応する位置に設けられた部分プラズマ照射部から、前記部位Pに対して、前記部位Pを撥水化するプラズマが照射されてもよい。
[適用例7]適用例1又は適用例2において、
前記キャリッジは、前記メディア内の部位P上をm回(mは2以上の自然数)通過することで、前記部位Pへの印刷が完了するように構成されてもよく、
前記第1プラズマ照射部及び前記第2プラズマ照射部は、それぞれ、
前記部位Pを親水化するプラズマを照射するための親水化専用部分プラズマ照射部と、
前記部位Pを撥水化するプラズマを照射するための撥水化専用部分プラズマ照射部と、を備えてもよく、
前記Y方向のうち、前記メディアが送出される方向を+Y方向としたとき、
前記撥水化専用部分プラズマ照射部は、前記親水化専用部分プラズマ照射部に対して+Y方向の側に配置されてもよい。
このようなインクジェット記録装置によれば、メディアにインクが付与される際に、撥水化プラズマがメディアに照射されないようにすることができる。またこのようなインクジェット記録装置によれば、プラズマ照射機構に、親水化と撥水化の切り替え機構を備える必要がない。これによりプラズマ照射機構の小型化を行うことができる。
[適用例8]
本発明に係る印刷方法の一態様は、
メディアをY方向に搬送する搬送機構と、
放電部分で発生したプラズマをプラズマ照射口から射出して前記メディア内の一部に照射するプラズマ照射機構であって、前記ヘッドに対して前記+X方向の側に設けられた第
1プラズマ照射部と、前記ヘッドに対して前記−X方向の側に設けられた第2プラズマ照射部と、を有する、プラズマ照射機構、及びインクをノズルから吐出するヘッドを、前記Y方向に交わる+X方向及び−X方向に移動するキャリッジと、
を備えた、インクジェット記録装置を用いて印刷する印刷方法であって、
前記メディア内の部位Pに対して前記インクが吐出される前に、前記ヘッドに対して前記キャリッジの進行方向の前方に位置する前記第1プラズマ照射部又は前記第2プラズマ照射部から、前記部位Pに対して、前記部位Pを親水化するプラズマを照射する工程と、
前記親水化するプラズマが照射された前記部位Pに対して、前記インクを吐出することによって印刷を行う工程と、
前記部位Pに対する印刷が完了した後に、前記第1プラズマ照射部又は前記第2プラズマ照射部のうち前記ヘッドに対して前記キャリッジの進行方向の後方に位置する照射部から前記部位Pに対して前記部位Pを撥水化するプラズマを照射する工程と、を有する。
このようにすれば、親水化プラズマ処理の後、印刷をすることで、メディアの濡れ性の良好な状態でインクの付与が可能であり、インクの濡れ拡がりによりメディア上でのインクの埋まり性が良好となる。しかも、印刷後に、撥水化プラズマ処理を行うことで、印刷後のメディアやインクの表面が疎水化されるため、水分等によるインクの剥がれ等の現象を生じにくい堅牢性の良好な印刷を行うことができる。
実施形態に係るインクジェット記録装置の概要を模式的に示す図である。 実施形態のキャリッジの構成を模式的に示す底面図である。 実施形態のキャリッジの構成を模式的に示す側面図である。 実施形態の部分プラズマ照射部の断面を模式的に示す図である。 実施形態に係る切り替え機構の一例を示す模式図である。 実施形態のキャリッジにおけるヘッド及びプラズマ照射機構の配置の例を示す模式図である。 実施形態のインクジェット記録装置の動作の例を模式的に示す図である。 実施形態のインクジェット記録装置の動作の例を模式的に示す図である。 実施形態のインクジェット記録装置の動作の例を模式的に示す図である。 実施形態のインクジェット記録装置の動作の例を模式的に示す図である。 実施形態のインクジェット記録装置の動作の例を模式的に示す図である。
以下に本発明のいくつかの実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。本発明は以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
1.インクジェット記録装置
本実施形態のインクジェット記録装置1は、搬送機構10と、プラズマ照射機構20、及びヘッド40を移動するキャリッジ30と、を備える。以下の説明では、互いに直交する3つの方向を、それぞれX、Y及びZ方向として説明する。また、Z方向を鉛直方向、Y方向をメディアの搬送方向とする。またこれらの方向に沿った向きを表すときには、+及び−を付して表現する。例えば、鉛直上方向を+Z方向、下方向を−Z方向とする。図面にも、これに対応する3つの方向を記載しており、矢印の向く方向を+方向とする。なお、本明細書では、X、Y及びZ方向を「右手系」で表現するが、適宜「左手系」でも表すことができる。また、本実施形態のインクジェット記録装置1は、必ずしも直交座標系に従う必要はなく、適宜の3軸に沿って構成あるいは動作されてもよい。
図1は、本実施形態に係るインクジェット記録装置1を模式的に示す図である。インクジェット記録装置1は、メディア2をY方向(第1方向)に搬送する搬送機構10と、Y方向と交わるX方向(第2方向)に移動しつつ印刷をするキャリッジ30と、を有する。
1.1.搬送機構
搬送機構10は、メディア2をY方向に搬送する。搬送機構10は、メディア2を+Y方向又は−Y方向に任意に搬送することができる。図1では、メディア2が、図中に付した矢印の方向(+Y方向)に搬送される例を示している。搬送機構10は、印刷の態様に応じて、メディア2をY方向に搬送できれば限定されず、例えばローラー11と、プラテン12とを備える。そして、例えば、1つ以上のローラー11を回転させることによって、メディア2を搬送する。ローラー11の位置や個数についても限定されない。プラテン12は、必要に応じて設けられ、メディア2において画像を印刷する面と反対側の面からメディア2を支持する。プラテン12には、ヒーターが内蔵されていていてもよい。
1.2.キャリッジ
図2は、キャリッジ30の構成の一例を模式的に示す底面図である。図2に示すように、キャリッジ30は、放電部分で発生したプラズマをプラズマ照射口25から放出してメディア2の少なくとも一部に照射するプラズマ照射機構20と、プラズマが照射されたメディア2の部位にインクを吐出するヘッド40と、を搭載しており、これらを一体的にY方向に交わる+X方向及び−X方向に移動させる。
図3は、キャリッジ30の構成の一例を模式的に示す側面図である。図3に示すように、印刷時において、キャリッジ30はメディア2に対して近接して配置される。メディア2に対して、プラズマ照射機構20のプラズマ照射口25及びヘッド40のノズル41が対向して配置されている。
1.3.プラズマ照射機構
プラズマ照射機構20は、ヘッド40に対してX方向の両側(+X方向側と−X方向側)に設けられている。図2に例示したプラズマ照射機構20は、スポット型(ジェット型ともいう。)のプラズマ照射口25を有する部分プラズマ照射部27が複数配置された例であり、各プラズマ照射口25が、それぞれ個別の部分プラズマ照射部27によって配置されている。なお、本明細書では、説明の便宜上、ヘッド40に対して+X方向の側に設けられたプラズマ照射部を、第1プラズマ照射部21aと称する場合があり、ヘッド40に対して−X方向の側に設けられたプラズマ照射部を、第2プラズマ照射部21bと称する場合がある。プラズマ照射機構20は、プラズマ照射口25がヘッド40に対してX方向の両側に設けられることから、少なくとも、第1プラズマ照射部21a及び第2プラズマ照射部21bの2つのプラズマ照射部を含む。
また、プラズマ照射部(第1プラズマ照射部21a及び第2プラズマ照射部21bの一方又は両方)は、部分プラズマ照射部27を組み合わせて構成されてもよい。図2の例では、プラズマ照射機構20は、第1プラズマ照射部21a及び第2プラズマ照射部21bがそれぞれ2つの部分プラズマ照射部27から構成され、全部で4つの部分プラズマ照射部27から構成されている。なお、プラズマ照射機構20は、部分プラズマ照射部27を有さずに、ヘッド40に対してX方向の両側にそれぞれ設けられた2つの単一のプラズマ照射部から構成されてもよい。
プラズマ照射部又は部分プラズマ照射部27は、プラズマ照射口25の形状によってスポット型(ジェット型ともいう。)とライン型に分類される。前者の形状のプラズマ照射口25は、X方向及びY方向の径がほぼ同じサイズであり、スポット形状である。後者のプラズマ照射口25は、X方向又はY方向のいずれか一方向のサイズが大きく、当該方向
に沿って伸びるライン形状である。スポット型のプラズマ照射部及び部分プラズマ照射部27は、ガス種の選択肢が大きいという利点がある。プラズマ照射部を複数の部分プラズマ照射部27によって構成する場合、各部分プラズマ照射部27は、それぞれ独立にスポット型又はライン型としてよい。
図2に示す例では、第1プラズマ照射部21a及び第2プラズマ照射部21bがそれぞれ並んで配置された2つのスポット型の部分プラズマ照射部27によって構成されている。2つの部分プラズマ照射部27は、メディア2の搬送方向(Y方向)に沿って並べられている。2つの部分プラズマ照射部27の間の間隔は、各部分プラズマ照射部27からプラズマが同時に照射された場合に、Y方向において隙間無くメディア2に照射されることが望ましい。また、メディア2上における、照射されたプラズマ(照射部分:スポット)のY方向の長さは、ヘッド40のノズル41の列(Y方向に配列)の長さと同じかより長くてもよい。
プラズマ照射機構20は、ヘッド40の大きさ、ヘッド40のノズル41の列の長さ、印刷の態様、等に応じて、種々の構成を採ることができる。キャリッジ30におけるプラズマ照射機構20及びヘッド40の配置のバリエーションについては後述する。
1.3.1.プラズマ照射部
プラズマ照射部及び部分プラズマ照射部27は、放電部分で発生したプラズマをプラズマ照射口25から射出してメディア2の少なくとも一部に照射する、いわゆるリモート方式のプラズマノズルである。大気圧プラズマを用いたプラズマ照射の態様は、ダイレクト方式とリモート方式に分類される。ダイレクト方式とは、電極間で発生する放電部分が直接基材に触れる状態でプラズマを照射することであって、放電部分が直接基材に触れるとは、例えば、電極の間に被処理体(本実施形態ではメディア2)を配置してプラズマ処理することを指す。リモート方式とは、電極間で発生させたプラズマを被処理体に吹き付けて処理する方式である。ダイレクト方式を採用した場合には、電極間の放電部分(放電領域)にメディア2が晒されることから、メディア2が損傷するという不利益が生じることがある。本実施形態では、リモート方式を採用することから、メディア2がプラズマ照射部及び部分プラズマ照射部27の放電部分から離間して配置されるため、メディア2の損傷や変色を未然に抑制することができ、印刷品質の向上を図ることができる。
本実施形態では、図3に示すように、メディア2の表面からプラズマ照射口25までの距離をBと定義する。本実施形態では、複数のプラズマ照射口25は、いずれもメディア2から距離Bの位置に配置される(ただし製造上の誤差や動作中のブレ等により、Bの値は多少ずれることがある。)。本実施形態ではリモート型を用いるため、距離Bを小さくしても、プラズマ照射部21及び部分プラズマ照射部27の放電部分がメディア2に悪影響(放電によるメディア2の変色(黄変等))を与えることは希であり、また、距離Bを大きくすれば、プラズマの強度は低下するかわりにメディア2上のより広い面積にプラズマを照射することができる。逆に距離Bを小さくすれば、プラズマ照射によるメディア2の表面改質の効果を高めることができる。距離Bは、2mm以上10mm以下程度であればよいが、上記観点から、3mm以上10mm以下が好ましく、4mm以上7mm以下がより好ましい。なお、メディア2の表面からヘッド40のノズル41までの距離A及びノズル41とプラズマ照射口25との最短距離Cは、いずれも特に限定されない。
図4は、部分プラズマ照射部27の断面を模式的に示す図である。例えばライン型のプラズマ照射部についても同様であるため、ここでは、部分プラズマ照射部27について説明する。部分プラズマ照射部27は、ガス貯留部(図示せず)と接続されたガス供給室22と、プラズマ電源24に接続された、ガス供給室22の少なくとも一部に対向するように設けられた電極対23と、プラズマ照射口25と、排気管26と、を備える。
ガス供給室22は、図示しないガス供給管によってガス貯留部と接続されており、ガス貯留部に貯留されたガスが流入可能な状態になっている。ガス供給室22の任意の位置に、電極対23が設けられている。電極対23は、対向するように設置された電極23a及び電極23bを備える。電極23a及び電極23bには、電圧が印加できるように、プラズマ電源24が接続されている。
プラズマ照射口25は、メディア2に対向するガス供給室22の先端に設けられている。プラズマ照射口25は、電極23a及び電極23bの間を通過して発生したプラズマを照射するためのノズルである。電極23aと電極23bの間の領域が放電部分R(放電領域)となる。
排気管26は、必要に応じて設けられ、余剰ガスを吸引、排気しながらプラズマ照射を行うことで、プラズマ照射口25から放射されるプラズマ照射範囲を適正化し、所望の範囲を局所的に処理するために設置される。排気管26の設置位置は、特に限定されるものではないが、例えば図4の例では、2つの排気管26a及び排気管26bを備えており、ガス供給室22に沿って設けられている。
プラズマ電源24によって電極23a及び電極23bに電圧が印加されると、電極23aと電極23bとの間に放電が生じる(放電部分R)。このように放電が生じている状態で、ガス供給室22にガスを供給して、電極23a及び電極23bとの間にガスを通過させることで、ガスのプラズマ化が生じる(すなわち、ガスの少なくとも一部がプラズマ化する)。このようにして発生したプラズマは、プラズマ照射口25からメディア2の表面に向かって照射される。すなわち、放電部分Rで発生させたプラズマは、放電部分Rがメディア2に接触しない状態でメディア2の表面に照射される。換言すれば、メディア2は、放電部分Rを通過しないので、放電部分Rに直接接触することがない。このようなプラズマ発生機構は、上述したように、リモート方式と呼ばれるものである。
このように、放電部分にメディアを接触させないリモート方式のプラズマ照射機構を用いることで、メディア2と放電部分とが離間するため、メディア2の変色等を抑制できるので、メディア2の風合いや色合いが維持される。特に、白色度の高いメディアを使用する場合に、その効果が一層高い。
プラズマ照射機構20は、大気圧下でプラズマを発生させて照射するプラズマ照射部によって構成されることが好ましい。大気圧下でプラズマを発生させる場合には、プラズマ照射部に減圧部分を設けることが不要となって装置の小型化が図れることから、プラズマ照射工程をインラインで行える(すなわち、プラズマ照射工程、インク吐出工程、等の工程を連続で行える)という利点がある。ここで、プラズマを発生させる際の圧力は、プラズマを発生させる際のガス供給室22内の圧力のことをいう。
プラズマを発生させる際の電力量としては、供給したガスからプラズマを発生できるのであれば特に限定されるものではないが、例えば、20Wh以上200Wh以下とすることができる。
プラズマを発生させる際のプラズマ電源24の周波数としては、供給したガスからプラズマを発生できるのであれば特に限定されるものではないが、例えば、50Hz以上30MHz以下である。なお、プラズマ電源24は、直流電源であってもよい。ただし、直流電源を用いると、発生したプラズマが熱平衡状態となり、温度上昇しやすいため、交流電源を用いることが好ましい。交流電源を用いると、非平衡状態でプラズマを生成できるため、温度上昇を防止することができる。
ガス供給室22には、1種類のガスが供給されてもよいし、2種以上のガスを混合して得られる混合ガスが供給されてもよい。このようなガスの原料としては、例えば、酸素(O)、窒素(N)、空気(少なくとも窒素(N)及び酸素(O)を含む)、水蒸気(HO)、亜酸化窒素(NO)、アンモニア(NH)、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、四フッ化メタン(CF)、六フッ化エタン(C)等が挙げられる。
ガスの原料に、窒素(N)、酸素(O)、水蒸気(HO)、アルゴン(Ar)が含まれる場合には、発生されるプラズマは、メディア2の表面を親水化させる効果が高くなる。これらの中でも、酸素(O)、水蒸気(HO)を含む場合には、メディア2の表面を親水化させる効果の高いプラズマを発生させることができる。一方、ガスの原料に、四フッ化メタン(CF)、六フッ化エタン(C)等のフッ素化合物のガスが含まれる場合には、発生されるプラズマは、メディア2の表面を撥水化させる効果を有する。また、例えば、ガス供給室22に酸素等の酸化ガスを供給すると、メディア2の表面にヒドロキシ基を付与しやすく、メディア2の親水化の程度を高めることができる。また、メディア2の表面の分子構造中に酸素原子が含まれる場合には、ガス供給室22に供給するガスとして希ガスを用いると、希ガスに由来するプラズマがメディア2に含まれる酸素の結合を切断できる場合があり、メディア2の表面にヒドロキシ基を発生させやすく、メディア2の表面を親水化しやすい。
ガス供給室22に供給されるガスの流量は、ガス供給室22の容量、ガスの種類、メディアの種類、印刷速度等に応じて適宜設定することができ、特に制限されない。ただし、プラズマ照射口25から送出される風量は、ジェット型(スポット型)とライン型とで異なる。
すなわち、例えば、ジェット型を2つ設ける場合には、1つ当たりの照射面積は、典型的には1〜2cmであり、ライン型は、1つ設ける場合には、1つ当たりの照射面積は、典型的には、(ライン型プラズマ照射口の長さ[cm]と1〜2[cm]との積)[cm](いずれの面積も、距離Bに依存し、Bの値が小さいほど照射面積が小さく、Bの値が大きいほど照射面積が大きくなる。)である。そして、プラズマ照射口25から送出される風量は、ライン型の方が大きく、ジェット型では典型的には、1個あたり約10L/minであり、ライン型では典型的には、1個あたり約30L/minであるため、風量はライン型の方が大きい。
そのため、プラズマ照射機構20は、プラズマ照射部のタイプ(ジェット型、ライン型の選定)や数、照射面積、等を考慮して、適宜な構成に設計する。また、風量の影響としては、プラズマを発生させるときに原料ガス流量が少なすぎる場合には、プラズマの電離が進みすぎ、放電が束状となり、不均一になる場合があり、原料ガス流量が多すぎる場合には、プラズマの電離が進む前に排気(プラズマ照射口25から排出)されてしまい、プラズマ化されにくく、メディア2の表面の親水化あるいは撥水化の処理効率が落ちる場合がある、ということも考慮してプラズマ照射機構20を設計することが好ましい。
1.3.2.切り替え機構
本実施形態のプラズマ照射部又は部分プラズマ照射部27は、いずれも、親水化プラズマを発生させるための原料ガスの供給と、撥水化プラズマを発生させるための原料ガスの供給と、を切り替えるための切り替え機構60を有してもよい。
切り替え機構60は、プラズマ照射部を、キャリッジ30の進行方向に応じて、メディア2を親水化するプラズマとメディア2を撥水化するプラズマとを切り替えて照射できる
ようにする。また、第1プラズマ照射部21a及び第2プラズマ照射部21bが複数の部分プラズマ照射部27で構成された場合でも、各部分プラズマ照射部27に対して、それぞれ、メディア2を親水化するプラズマとメディア2を撥水化するプラズマとを切り替えて照射できるようにすることもできる。
図5は、インクジェット記録装置1における切り替え機構60の一例を示す模式図である。図5及びその説明において、既に図1〜図4を用いて説明した構成と同一の構成については、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図5に示すように、インクジェット記録装置1における切り替え機構60は、親水化プラズマを生成させるための原料ガスを供給するガス供給源61aと、撥水化プラズマを生成させるための原料ガスを供給するガス供給源61bと、を有する。また、切り替え機構60は、各ガス供給源からのガスの供給量をそれぞれ調製するマスフローコントローラ(MFC)62a及びマスフローコントローラー(MFC)62bと、各MFCからのガスを切り替えてプラズマ照射部21又は部分プラズマ照射部27の供給室22に供給する三方弁63と、プラズマ照射部21又は部分プラズマ照射部27の電極対23に接続されたプラズマ電源24(電源部)と、プラズマ照射口25を開閉可能なシャッター65と、シャッター65を駆動するシャッター駆動部66とを有する。制御部67は、装置の各種の動作を制御するものであり、例えば、三方弁63の開閉動作、プラズマ電源24のオン/オフ、シャッター駆動部66によるシャッター65の開閉動作、ローラー11の回転等を制御する。
シャッター65は、プラズマ照射口25とメディア2との間に設けられる。シャッター65は、図5中、矢印で示したように、Y方向に沿って往復移動することでプラズマ照射口25を開閉する。
制御部67は、インクジェット記録装置1における印刷のモード(例えばパス数(後述))に応じて、プラズマ照射部又は部分プラズマ照射部27から、親水化プラズマ又は撥水化プラズマを生成させる制御を行う。表1に、プラズマ照射部又は部分プラズマ照射部27から親水化プラズマ又は撥水化プラズマを生成させる際の、シャッター65、三方弁63、MFC62a、MFC62b、及びプラズマ電源24の制御動作を示したものである。
表1に示すように、切り替え機構60の制御部67によって、メディア2に対して照射されるプラズマが親水化プラズマ又は撥水化プラズマに切り替えられる。生成されたプラズマは、プラズマ照射口25から射出され、メディア2に照射される。なお、切り替え機構60は、表1に示すように、プラズマ照射部又は部分プラズマ照射部27からプラズマを照射させないように制御することもできる。換言すれば、切り替え機構60は、プラズマ照射口25から照射されるプラズマを、親水化のプラズマとするか撥水化のプラズマと
するかの切り替えの他に、プラズマ照射のオン/オフの切り替えも行うことができる。特に、プラズマ照射機構20が、複数の部分プラズマ照射部27から構成される場合、一部の部分プラズマ照射部27からプラズマを照射しないようにすることで、原料ガスの使用量を節約したり、メディア2の必要以上の親水化や撥水化を抑制することができる場合がある。
1.3.3.専用プラズマ照射部
プラズマ照射部が複数の部分プラズマ照射部27から構成される場合であって、プラズマ照射部の+Y方向の端に位置する部分プラズマ照射部27の全部が、ヘッド40のノズル41の+Y方向の端よりも+Y方向に外れて設けられる場合には、当該部分プラズマ照射部27は、撥水化プラズマのみを照射する撥水化専用部分プラズマ照射部27a(図6(b)、(d)参照)としてもよい。
他方、プラズマ照射部が複数の部分プラズマ照射部27から構成される場合であって、プラズマ照射部の+Y方向の端に位置する部分プラズマ照射部27がヘッド40のノズル41の+Y方向の端よりも+Y方向に外れて設けられ、撥水化専用部分プラズマ照射部27aとなる場合には、他の部分プラズマ照射部27は、親水化プラズマのみを照射する親水化専用部分プラズマ照射部27bとしてもよい(図6(b)、(d)参照)。
このような撥水化専用部分プラズマ照射部27a、及び親水化専用部分プラズマ照射部27bには、切り替え機構60を用いる必要がないため、例えば、装置の簡略化や小型化が容易となる。なお、撥水化専用部分プラズマ照射部27a、及び親水化専用部分プラズマ照射部27bには、シャッター65を設けてもよく、例えば、制御部67によって、プラズマ照射のオン/オフ等を制御されてもよい。
1.4.ヘッド
ヘッド40は、メディア2の表面にインクの液滴を付着させて、画像を形成する手段である。ヘッド40は、インクを吐出する複数のノズル41により構成されるノズル列を複数備える。1つのノズル列は、キャリッジの移動方向(X方向)と交差する方向(Y方向)に並べられた複数のノズル41によって構成される。複数のノズル列は、キャリッジの移動方向(X方向)に並べて配置される。例えば、1つのノズル列からは同一組成のインクが吐出される。
インクをヘッド40のノズル41から吐出させる方式は、例えば以下のものが挙げられる。具体的には、ノズルとノズルの前方に置いた加速電極の間に強電界を印加し、ノズルから液滴状のインクを連続的に吐出させ、インクの液滴が偏向電極間を飛翔する間に記録情報信号を偏向電極に与えて記録する方式又はインクの液滴を偏向することなく記録情報信号に対応して吐出させる方式(静電吸引方式)、小型ポンプでインクに圧力を加え、ノズルを水晶振動子等で機械的に振動させることにより、強制的にインクの液滴を吐出させる方式、インクに圧電素子で圧力と記録情報信号を同時に加え、インクの液滴を吐出・記録させる方式(ピエゾ方式)、インクを記録情報信号にしたがって微小電極で加熱発泡させ、インクの液滴を吐出・記録させる方式(サーマルジェット方式)等が挙げられる。
ヘッド40は、いわゆるシリアル型の記録ヘッドである。シリアル型の記録ヘッドは、記録ヘッドをメディアの搬送方向に対して交差する方向(X方向)に移動させつつインクを噴射させる走査(パス)を、複数回行うことによって画像の印刷を行うものである。このように、本実施形態に係るインクジェット記録装置1は、いわゆるシリアルプリンターである。
1.5.キャリッジにおける各構成の配置
図6は、本実施形態のインクジェット記録装置1のキャリッジ30におけるヘッド40及びプラズマ照射機構20の配置について、幾つかの例を示す模式図である。
本実施形態のインクジェット記録装置1のキャリッジ30には、図6(a)に示すように、ノズル41の列の長さ方向(Y方向)の全体をカバーするように、第1プラズマ照射部21a及び第2プラズマ照射部21bが配置されてもよい。図6(a)の例では、第1プラズマ照射部21a及び第2プラズマ照射部21bは、それぞれ2つの部分プラズマ照射部27によって構成されている。このように配置することで、印刷を2パスで行う際に、メディア2の親水化、印刷、及びメディア2の撥水化を効率よく行うことができる(詳細は後述する。)。また、第1プラズマ照射部21a及び第2プラズマ照射部21bをそれぞれ1つのプラズマ照射部から構成する場合には、当該プラズマ照射部は、ライン型としてもよい。また、第1プラズマ照射部21a及び第2プラズマ照射部21bを複数の部分プラズマ照射部27から構成する場合にも、各部分プラズマ照射部27はライン型であってもよい。
本実施形態のインクジェット記録装置1のキャリッジ30には、図6(b)に示すように、ノズル41の列の長さ方向(Y方向)の長さよりも長い第1プラズマ照射部21a、及び第2プラズマ照射部21bが配置されてもよい。この場合、図6(b)に示すように、第1プラズマ照射部21a及び第2プラズマ照射部21bの、ノズル列よりも長い部分が、+Y方向に延びるように配置されることが好ましい。また、図6(b)の例では、第1プラズマ照射部21a及び第2プラズマ照射部21bは、それぞれ3つの部分プラズマ照射部27によって構成されている。そして、第1プラズマ照射部21a及び第2プラズマ照射部21bのそれぞれのノズル列のY方向の範囲は、2つの部分プラズマ照射部27によってカバーされ、残りの1つの部分プラズマ照射部27は、ノズル列のY方向の長さに対応する範囲に対して、ほとんどプラズマを照射しないように配置されている。これにより、例えば、ノズル列のY方向の範囲から外れた位置にある部分プラズマ照射部27から撥水化プラズマが照射される場合でも、ヘッド40によって印刷される前にメディア2が撥水化されにくいため、よりインクの濡れ性の高い状態でインクをメディア2に付与することができる。なお、図6(b)の例では、ノズル列のY方向の範囲から外れた位置にある部分プラズマ照射部27を、撥水化専用部分プラズマ照射部27aとし、ノズル列のY方向の範囲内にある部分プラズマ照射部27を、親水化専用部分プラズマ照射部27bとすることができる。
本実施形態のインクジェット記録装置1のキャリッジ30には、図6(c)に示すように、ノズル41の列の長さ方向(Y方向)をカバーするように、第1プラズマ照射部21a、及び第2プラズマ照射部21bが配置されてもよい。図6(c)の例では、第1プラズマ照射部21a及び第2プラズマ照射部21bは、それぞれ4つの部分プラズマ照射部27によって構成されている。このように配置することで、印刷を4パスで行う際に、メディア2の親水化、印刷、及びメディア2の撥水化を効率よく行うことができる(詳細は後述する。)。
本実施形態のインクジェット記録装置1のキャリッジ30には、図6(d)に示すように、ノズル41の列の長さ方向(Y方向)の長さよりも長い第1プラズマ照射部21a、及び第2プラズマ照射部21bが配置されてもよい。この場合、図6(d)に示すように、第1プラズマ照射部21a及び第2プラズマ照射部21bの、ノズル列よりも長い部分が、+Y方向に延びるように配置されることが好ましい。また、図6(d)の例では、第1プラズマ照射部21a及び第2プラズマ照射部21bは、それぞれ5つの部分プラズマ照射部27によって構成されている。そして、第1プラズマ照射部21a及び第2プラズマ照射部21bのそれぞれのノズル列のY方向の範囲は、4つの部分プラズマ照射部27によってカバーされ、残りの1つの部分プラズマ照射部27は、ノズル列のY方向の範囲
に対して、ほとんどプラズマを照射しないように配置されている。これにより、例えば、ノズル列のY方向の範囲から外れた位置にある部分プラズマ照射部27から撥水化プラズマが照射される場合でも、印刷される前にメディア2が撥水化されにくいため、よりインクの濡れ性の高い状態でインクをメディア2に付与することができる。なお、図6(d)の例では、ノズル列のY方向の範囲から外れた位置にある部分プラズマ照射部27を、撥水化専用部分プラズマ照射部27aとし、ノズル列のY方向の範囲内にある部分プラズマ照射部27を、親水化専用部分プラズマ照射部27bとすることができる。
本実施形態のインクジェット記録装置1のキャリッジ30には、図6(e)に示すように、ノズル41の列の長さ方向(Y方向)をカバーするように、第1プラズマ照射部21a、及び第2プラズマ照射部21bが配置されてもよい。図6(e)の例では、第1プラズマ照射部21a及び第2プラズマ照射部21bは、それぞれ2つの部分プラズマ照射部27によって構成されている。図6(e)の例では、部分プラズマ照射部27は、プラズマ照射口25の形状が長方形であり、ライン型となっている。このように配置することで、印刷を2パスで行う際に、メディア2の親水化、印刷、及びメディア2の撥水化を効率よく行うことができる(詳細は後述する。)。
このように、本実施形態のインクジェット記録装置1のキャリッジ30におけるヘッド40及びプラズマ照射機構20の配置は、印刷時のパス数に応じて適宜に設計できる。
1.6.その他の構成
本実施形態に係るインクジェット記録装置1は、当該インクジェット記録装置全体の動作を制御する制御手段(図示せず)を有している。制御手段は、インクジェット記録装置1の任意の位置に設けられ、例えばPCやタッチパネル等の入力手段から入力された情報に基づいて、各手段の動作を制御する。また、係る制御手段は、キャリッジ30の動作、搬送機構10の動作、ヘッド40からのインクの吐出タイミング、切り替え機構60の動作等を含めて制御してもよい。
本実施形態のインクジェット記録装置1は、上記の構成の他に種々の構成を備えることができる。例えば、図示はしないが、メディア2の搬送方向におけるキャリッジ30の後方(キャリッジ30に対して+Y方向側)に、インクの溶媒を乾燥させるための乾燥機構が設けられていてもよい。乾燥機構は、例えば、ヒータや送風機構が挙げられる。
また、本実施形態のインクジェット記録装置1で用いるインクの種類は、特に限定されないため、インクジェット記録装置1は、用いるインクの種類に応じて各種の付加的な機構を備えることができる。例えば、インクが紫外線硬化型インクの場合には、メディア2の搬送方向におけるキャリッジ30の後方(キャリッジ30に対して+Y方向側)に、紫外線照射機構を設けてもよい。また、メディア2が布帛の場合には、メディア2の搬送方向におけるキャリッジ30の前方(キャリッジ30に対して−Y方向側)にインクを布帛に定着させるための前処理液を塗布する機構等が設けられていてもよい。このように、メディア2やインクの種類によって、キャリッジ以外の種々の付加機構が備えられる。
1.7.インク
本実施形態のインクジェット記録装置1にて使用するインクの組成は特に限定されないが、以下に、インクに含まれるか、又は含まれ得る添加剤(成分)を説明する。
インクは、水系のインクであっても溶剤系のインクであってもよい。水系のインクを用いる場合には、親水化プラズマの効果、及び、撥水化プラズマの効果を顕著に得ることができる。また、溶剤系のインクは、印刷時にメディア2の表面を比較的濡れ拡がりやすいが、メディア2の表面が親水化プラズマにより処理されることにより、より強固に定着さ
れる場合がある。さらに、溶剤系のインクの場合でも、印刷後に撥水化プラズマ(撥液化プラズマ)が照射されることで、印刷物の耐水性、耐油性を向上させることができる。したがって、本実施形態のインクジェット記録装置1は、水系のインクを用いる場合には、インクの埋まり性を向上させ、印刷後のインクの耐水性を高めることができ、溶剤系のインクを用いる場合には、インクの埋まり性を向上させ、印刷後のインクの耐油性(耐液性)を高めることができる。
1.7.1.色材
インクは、色材を含んでもよい。色材は、顔料及び染料から選択される。
(顔料)
色材として顔料を用いることにより、インクの耐光性を向上させることができる。顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。無機顔料としては、特に限定されないが、例えば、カーボンブラック、酸化鉄、酸化チタン、及び酸化シリカが挙げられる。無機顔料は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。有機顔料としては、特に限定されないが、例えば、キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラピリミジン系顔料、アンサンスロン系顔料、インダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ベンツイミダゾロン系顔料、イソインドリノン系顔料、アゾメチン系顔料、及びアゾ系顔料が挙げられる。
(染料)
色材として染料を用いてもよい。染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能である。
色材の含有量は、インクの総質量(100質量%)に対して、0.4〜12質量%であると好ましく、2〜5質量%であるとより好ましい。
1.7.2.樹脂
インクは、樹脂を含有してもよい。インクが樹脂を含有することにより、メディア上に樹脂被膜が形成され、結果としてインクをメディア上に十分定着させて、主に画像の耐擦性を良好にする効果を発揮する。
樹脂は、アニオン性、ノニオン性、又はカチオン性のいずれであってもよい。これらの中でも、ヘッドに適した材質という観点から、ノニオン性又はアニオン性が好ましい。樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記インクに含有させてもよい樹脂としては、例えば、樹脂分散剤、樹脂エマルジョン、及びワックス等が挙げられる。
1.7.3.樹脂分散剤
本実施形態のインクに上記の顔料を含有させる際、顔料が水中で安定的に分散保持できるようにするため、当該インクは樹脂分散剤を含むとよい。上記インクが水溶性樹脂や水分散性樹脂などの樹脂分散剤を用いて分散された顔料(以下、「樹脂分散顔料」という。)を含むことにより、インクがメディアに付着したときに、メディアとインクとの間及びインク中の固化物間のうち少なくともいずれかの密着性を良好なものとすることができる。樹脂分散剤の中でも分散安定性に優れるため、水溶性樹脂が好ましい。樹脂分散剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂の中でも樹脂分散剤の顔料に対する添加量は、顔料100質量部に対して好ましくは1質量部〜100質量部であり、より好ましくは5質量部〜50質量部である。添加量が上記範囲内であると、顔料の水中への良好な分散安定性が確保できる。
1.7.4.樹脂エマルジョン
インクは、樹脂エマルジョンを含んでもよい。樹脂エマルジョンは、樹脂被膜を形成することで、インクをメディア上に十分定着させて画像の密着性、耐擦性を良好にする効果を発揮する。
また、バインダーとして機能する樹脂エマルジョンはインク中にエマルジョン状態で含有される。バインダーとして機能する樹脂をエマルジョン状態でインク中に含有させることにより、インクの粘度をインクジェット記録方式において適正な範囲に調整しやすく、かつ、インクの保存安定性及び吐出安定性に優れたものとなる。
樹脂エマルジョンとしては、以下に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、アクリロニトリル、シアノアクリレート、アクリルアミド、オレフィン、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、ビニルアルコール、ビニルエーテル、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルカルバゾール、ビニルイミダゾール、及び塩化ビニリデンの単独重合体又は共重合体、フッ素樹脂、及び天然樹脂が挙げられる。中でも、(メタ)アクリル系樹脂及びスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体系樹脂のうち少なくともいずれかが好ましく、アクリル系樹脂及びスチレン−アクリル酸共重合体系樹脂のうち少なくともいずれかがより好ましく、スチレン−アクリル酸共重合体系樹脂がさらに好ましい。なお、上記の共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、及びグラフト共重合体のうちいずれの形態であってもよい。
樹脂エマルジョンは、市販品を用いてもよく、以下のように乳化重合法などを利用して作製してもよい。インク中の熱可塑性樹脂をエマルジョンの状態で得る方法としては、重合触媒及び乳化剤を存在させた水中で、上述した水溶性樹脂の単量体を乳化重合させることが挙げられる。乳化重合の際に使用される重合開始剤、乳化剤、及び分子量調整剤は従来公知の方法に準じて使用できる。
樹脂エマルジョンの平均粒子径は、インクの保存安定性及び吐出安定性を一層良好にするため、好ましくは5nm〜400nmの範囲であり、より好ましくは20nm〜300nmの範囲である。
本明細書における平均粒子径とは、特に断りがない限りは体積基準の平均粒子径である。測定方法としては、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて回折散乱光の光強度分布パターンを検出し、その光強度分布パターンをMie散乱理論に基づいて計算することにより体積基準の粒度分布を求められる。その粒度分布から算出された体積平均粒子径は算出可能である。このようなレーザー回折式粒度分布測定装置としては、例えば、マイクロトラックUPA(日機装株式会社製)が挙げられる。
樹脂エマルジョンは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。樹脂の中でも樹脂エマルジョンの含有量は、インクの総質量(100質量%)に対して、0.5〜7質量%の範囲であることが好ましい。含有量が上記範囲内であると、固形分濃度を低くすることができるため、吐出安定性を一層良好にすることができる。
1.7.5.界面活性剤
インクは、界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、及びシリコーン系界面
活性剤が挙げられる。インクがこれらの界面活性剤を含むことにより、インクの保存安定性及び吐出安定性が一層良好となり、かつ、高速印刷が可能となる。界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
界面活性剤の含有量は、インクの保存安定性及び吐出安定性が一層良好なものとなるため、インクの総質量(100質量%)に対して、0.1質量%以上3質量%以下の範囲であることが好ましい。
1.7.6.水
インクは、水を含有してもよい。特に、当該インクが水性インクである場合、水は、インクの主となる媒体であり、インクジェット記録においてメディアが加熱される際、蒸発飛散する成分となる。
水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、及び蒸留水等の純水、並びに超純水のような、イオン性不純物を極力除去したものが挙げられる。また、紫外線照射又は過酸化水素の添加などによって滅菌した水を用いると、顔料分散液及びこれを用いたインクを長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができる。水の含有量は特に制限されず、必要に応じて適宜決定すればよい。
1.7.7.有機溶剤
インクは、有機溶剤を含んでいてもよい。有機溶剤としては、以下に限定されないが、例えば、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、iso−ブタノール、n−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、及びtert−ペンタノール等のアルコール類あるいはグリコール類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、及び1,1,3,3−テトラメチル尿素が挙げられる。有機溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。有機溶剤の含有量は特に制限されず、必要に応じて適宜決定すればよい。
1.7.8.pH調整剤
インクは、pH調整剤を含んでもよい。pH調整剤として、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ、アンモニア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、モルホリン、リン酸二水素カリウム、及びリン酸水素二ナトリウムが挙げられる。pH調整剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。pH調整剤の含有量は特に制限されず、必要に応じて適宜決定すればよい。
1.7.9.その他の成分
インクは、上記の成分に加えて、溶解助剤、粘度調整剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、消泡剤、腐食防止剤などの、種々の添加剤を適宜添加することもできる。また、インクが紫外線硬化型インクである場合には、例えば、重合性化合物、光重合開始剤を含む。
1.7.10.インクの製造方法
インクは、上述の成分(材料)を任意の順序で混合し、必要に応じて濾過などを行い、不純物を除去することにより得ることができる。ここで、顔料は、あらかじめ溶媒中に均一に分散させた状態に調製してから混合することが、取り扱いが簡便になるため好ましい。各材料の混合方法としては、メカニカルスターラーやマグネチックスターラー等の撹拌装置を備えた容器に順次材料を添加して撹拌混合する方法が好適に用いられる。濾過方法として、例えば、遠心濾過やフィルター濾過などを必要に応じて行うことができる。
1.8.メディア
メディア(被記録媒体)としては、例えば、吸収性又は非吸収性のメディアが挙げられる。特に、本発明は、インクの浸透が困難な非吸収性メディアから、インクの浸透が容易な吸収性メディアまで、様々な吸収性能を持つメディアに幅広く適用できる。
吸収性メディアとしては、特に限定されないが、特に布帛のような高い吸収性のメディアであることが好ましい。布帛としては、以下に限定されないが、例えば、絹、綿、羊毛、ナイロン、ポリエステル、及びレーヨン等の天然繊維又は合成繊維が挙げられる。
非吸収性メディアとしては、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチック類のフィルムやプレート、鉄、銀、銅、アルミニウム等の金属類のプレート、又はそれら各種金属を蒸着により製造した金属プレートやプラスチック製のフィルム、ステンレスや真鋳等の合金のプレート等が挙げられる。また、非吸収性メディアとしては、シリカ粒子やアルミナ粒子から構成されたインク吸収層、あるいは、ポリビニルアルコール(PVA)やポリビニルピロリドン(PVP)等の親水性ポリマーから構成されたインク吸収層が形成されていないものが好ましい。
1.9.インクジェット記録装置の動作
本実施形態のインクジェット記録装置1は、上述の構成を有し、例えば、以下のように動作する。図7〜図11は、インクジェット記録装置1の印刷動作のシーケンスの例を、模式的に示す図である。図7〜図11では、説明の簡略のため、方位矢印で示すように、メディア2及びキャリッジ30を、−Z方向に向かって見た状態を示している。したがって、各図の下段に示す第1プラズマ照射部21a、第2プラズマ照射部21b、及びヘッド40は、底面からではなく上面から透過したように仮想的に描かれている。
また、本明細書では、「印刷が完了する」との文言を用いているが、係る文言は、パス数に無関係に、最後のパスにおけるヘッド40による印刷が完了したことを指している。
1.9.1. 1パス印刷
図7は、1パス印刷による記録のシーケンスを示している。1パス印刷とは、メディア2の特定の部位Pの上を、キャリッジ30が一度だけ通過して印刷を行う印刷モードのことをいう。すなわち、図7中、1pass目の欄は、メディア2の部位P1上をキャリッジ30が+X方向に通過した状態を示している。また、2pass目の欄は、メディア2の部位P1上をキャリッジ30が−X方向に通過した状態を示している。すなわち、1pass目と2pass目との間で、メディア2が+Y方向に搬送され、キャリッジ30が通過する部位が移動されている。1パス目と2パス目の間のメディア2の移動距離は、ヘッド40のノズルの列のY方向の長さと対応するため、メディア2上の各部位における印刷は、キャリッジ30が1度通過したら完了する。そのため、このような印刷の態様を、本明細書では1パス印刷と称する。
図7に示すように、メディア2の部位のうち、奇数番号が付された部位(P1,P3・・・)は、いずれも、キャリッジ30が+X方向に移動し、第1プラズマ照射部21a、ヘッド40、第2プラズマ照射部21bの順で当該部位を通過する(図7の1pass目欄参照)。他方、メディア2の部位のうち、偶数番号が付された部位(P2,P4・・・)は、いずれも、キャリッジ30が−X方向に移動し、第2プラズマ照射部21b、ヘッド40、第1プラズマ照射部21aの順で当該部位を通過する(図7の2pass目欄参照)。
すなわち、メディア2内の部位Pに対してインクが吐出される前に、ヘッド40に対してキャリッジ30の進行方向の前方に位置する側の、第1プラズマ照射部21a又は第2プラズマ照射部21bから、部位Pに対して、部位Pを親水化するプラズマが照射され、親水化するプラズマが照射された部位Pに対して、インクを吐出することによって印刷を行い、部位Pに対する印刷が完了した後に、ヘッド40に対してキャリッジ30の進行方向の後方に位置する側の第1プラズマ照射部21a又は第2プラズマ照射部21bから部位Pに対して部位Pを撥水化するプラズマが照射される。
また、メディア2内の部位Pに対して印刷を行う際に、キャリッジ30が+X方向に移動するときは、第1プラズマ照射部21aから、部位Pに対して、部位Pを親水化するプラズマが照射され、第2プラズマ照射部21bから、部位Pに対して、部位Pを撥水化するプラズマが照射され、メディア2内の部位Pに対して印刷を行う際に、キャリッジ30が−X方向に移動するときは、第2プラズマ照射部21bから、部位Pに対して、部位Pを親水化するプラズマが照射され、第1プラズマ照射部21aから、部位Pに対して、部位Pを撥水化するプラズマが照射される。
図7に示すシーケンスを実行する場合には、第1プラズマ照射部21a及び第2プラズマ照射部21bは、いずれも切り替え機構60を備えており、メディア2のすべての部位に対して、親水化プラズマを照射した後、印刷が行われ、印刷が完了した後、撥水化プラズマが照射されて、印刷物が完成する。
図7に示すシーケンスは、図6に示すキャリッジ30の態様の(a)〜(e)のいずれであっても実行することができる。また、図6(a)、(c)又は(e)の態様であれば、プラズマ照射機構20は、スポット型でもライン型でも適用することができる。なお、図6(b)及び(d)の態様では、プラズマ照射機構20は、スポット型とし、+Y方向に外れて配置された部分プラズマ照射部27について、撥水化専用部分プラズマ照射部27aとすることにより、図7に示すシーケンスを実行することができる。
なお、印刷時にメディア2の表面が親水化され、印刷が完了した後にメディア2の表面が撥水化されることができれば、十分に効果を得ることができるため、印刷前に複数回親
水化プラズマが照射されてもよいし、印刷が完了した後に、複数回撥水化プラズマが照射されても効果が損なわれることはほとんどない。
また、メディア2の各部位ともに、印刷時のキャリッジ30の移動方向を、例えば、+X方向のみとすることも可能であり、その場合には、切り替え機構60は不要となる。しかし、上記のようにキャリッジ30の往路及び復路ともに印刷するほうが印刷に要する時間を短縮しやすく効率がよい。
1.9.2. 複数パス印刷
(2パス印刷)
図8は、2パス印刷による記録のシーケンスを示している。2パス印刷とは、メディア2の特定の部位Pの上を、キャリッジ30が2度だけ通過して印刷を行う印刷モードのことをいう。すなわち、図8中、1pass目の欄は、メディア2の部位P1上をキャリッジ30が+X方向に通過した状態を示しているが、通過時にヘッド40のノズル41が配置された領域の−Y方向側に位置する半分(1/2)の領域が部位P1上を通過する。また、2pass目の欄は、メディア2の部位P1及び部位P2上をキャリッジ30が−X方向に通過した状態を示しているが、通過時にヘッド40のノズル41が配置された領域の−Y方向側に位置する半分の領域が部位P2上を通過し、ヘッド40のノズル41が配置された領域の残りの半分(+Y方向側に位置する)の領域が部位P1上を通過する。すなわち、1pass目と2pass目との間で、メディア2が+Y方向に搬送され、キャリッジ30が通過する部位が移動されている。また、1パス目と2パス目の間のメディア2の移動距離は、ヘッド40のノズルの列のY方向の長さの半分(1/2)であるため、メディア2上の各部位における印刷は、キャリッジ30が2度通過したら完了する。そのため、このような印刷の態様を、本明細書では2パス印刷と称する。
図8に示すように、メディア2の部位のうち、奇数番号が付された部位(P1,P3・・・)は、いずれも、キャリッジ30が−X方向に移動し、第2プラズマ照射部21b、ヘッド40、第1プラズマ照射部21aの順で当該部位を通過する際に、印刷が完了し、撥水化プラズマが、第1プラズマ照射部21aから照射される(図8の2pass目、4pass目欄参照)。他方、メディア2の部位のうち、偶数番号が付された部位(P2,P4・・・)は、いずれも、キャリッジ30が+X方向に移動し、第1プラズマ照射部21a、ヘッド40、第2プラズマ照射部21bの順で当該部位を通過する際に、印刷が完了し、撥水化プラズマが、第2プラズマ照射部21bから照射される(図8の3pass目、5pass目欄参照)。
すなわち、図8のシーケンスにおいても、メディア2内の部位Pに対してインクが吐出される前に、ヘッド40に対してキャリッジ30の進行方向の前方に位置する側の、第1プラズマ照射部21a又は第2プラズマ照射部21bから、部位Pに対して、部位Pを親水化するプラズマが照射され、親水化するプラズマが照射された部位Pに対して、インクを吐出することによって印刷を行い、部位Pに対する印刷が完了した後に、ヘッド40に対してキャリッジ30の進行方向の後方に位置する側の第1プラズマ照射部21a又は第2プラズマ照射部21bから部位Pに対して部位Pを撥水化するプラズマが照射される。
また、メディア2内の部位Pに対して印刷を行う際に、キャリッジ30が+X方向に移動するときは、第1プラズマ照射部21aから、部位Pに対して、部位Pを親水化するプラズマが照射され、第2プラズマ照射部21bから、部位Pに対して、部位Pを撥水化するプラズマが照射され、メディア2内の部位Pに対して印刷を行う際に、キャリッジ30が−X方向に移動するときは、第2プラズマ照射部21bから、部位Pに対して、部位Pを親水化するプラズマが照射され、第1プラズマ照射部21aから、部位Pに対して、部位Pを撥水化するプラズマが照射される。
図8に示すシーケンスを実行する場合には、少なくとも、Y方向のノズル列の範囲内にある第1プラズマ照射部21aの2個の部分プラズマ照射部27のうち、+Y方向の側に配置された1つと、Y方向のノズル列の範囲内にある第2プラズマ照射部21bの2個の部分プラズマ照射部27のうち、+Y方向の側に配置された1つは、キャリッジ30の進行方向に応じて、メディア2を親水化するプラズマとメディア2を撥水化するプラズマとを切り替えて照射できるように構成される。これにより、メディア2のすべての部位に対して、親水化プラズマを照射した後、印刷が行われ、印刷が完了した後、撥水化プラズマが照射されて、印刷物が完成する。
図8に示すシーケンスは、図6に示すキャリッジ30の態様の(a)〜(e)のいずれであっても実行することができる。また、図6(b)及び(d)の態様では、プラズマ照射機構20は、+Y方向に外れて配置された部分プラズマ照射部27について、撥水化専用部分プラズマ照射部27aとすることにより、図8に示すシーケンスを実行することができる。したがって、図6(b)及び(d)の態様では、部分プラズマ照射部27のうち、Y方向におけるノズル列の範囲にある部分プラズマ照射部27を親水化専用部分プラズマ照射部27bとしてもよい。
なお、印刷時にメディア2の表面が親水化され、印刷が完了した後にメディア2の表面が撥水化されることができれば、十分に効果を得ることができるため、印刷前に複数回親水化プラズマが照射されてもよいし、印刷が完了した後に、複数回撥水化プラズマが照射されても効果が損なわれることはほとんどない。
なお、図8に示すシーケンスでは、例えば、2〜5pass目欄において、プラズマ照射部21の−Y方向に配置された部分プラズマ照射部27のうち、ヘッド40のキャリッジ30の進行方向の後方に位置するものは、プラズマの照射を行わないように描かれているが、必要に応じて、当該部分プラズマ照射部27から、親水化プラズマを照射してもよい。
(4パス印刷)
図9は、4パス印刷による記録のシーケンスを示している。4パス印刷とは、メディア2の特定の部位Pの上を、キャリッジ30が4度だけ通過して印刷を行う印刷モードのことをいう。すなわち、図9中、1pass目の欄は、メディア2の部位P1上をキャリッジ30が+X方向に通過した状態を示しているが、通過時にヘッド40のノズル41が配置された領域の−Y方向の端に位置する1/4の領域が部位P1上を通過する。また、2pass目の欄は、メディア2の部位P1及びP2上をキャリッジ30が−X方向に通過した状態を示しているが、通過時にヘッド40のノズル41が配置された領域の、−Y方向の端から2番目に位置する1/4の領域が部位P2上を通過し、ヘッド40のノズル41が配置された領域の−Y方向の端に位置する1/4の領域が部位P1上を通過する。すなわち、1pass目と2pass目との間で、メディア2が+Y方向に、ノズル列の1/4の長さ搬送され、キャリッジ30が通過する部位が移動されている。
3pass目の欄は、メディア2の部位P1〜P3上をキャリッジ30が+X方向に通過した状態を示しているが、通過時にヘッド40のノズル41が配置された領域の、−Y方向の端から3番目に位置する1/4の領域が部位P3上を通過し、ヘッド40のノズル41が配置された領域の−Y方向の端から2番目に位置する1/4の領域が部位P2上を通過し、ヘッド40のノズル41が配置された領域の−Y方向の端に位置する1/4の領域が部位P1上を通過する。すなわち、2pass目と3pass目との間で、メディア2が+Y方向に、ノズル列の1/4の長さ搬送され、キャリッジ30が通過する部位が移動されている。
同様に、4pass目の欄は、メディア2の部位P1〜P4上をキャリッジ30が−X方向に通過した状態を示しているが、通過時にヘッド40のノズル41が配置された領域の、+Y方向の端(−Y方向の端から4番目)に位置する1/4の領域が部位P4上を通過し、ヘッド40のノズル41が配置された領域の−Y方向の端から3番目に位置する1/4の領域が部位P3上を通過し、ヘッド40のノズル41が配置された領域の−Y方向の端から2番目に位置する1/4の領域が部位P2上を通過し、ヘッド40のノズル41が配置された領域の−Y方向の端に位置する1/4の領域が部位P1上を通過する。すなわち、3pass目と4pass目との間で、メディア2が+Y方向に、ノズル列の1/4の長さ搬送され、キャリッジ30が通過する部位が移動されている。
また、各パスの間のメディア2の移動距離は、ヘッド40のノズルの列のY方向の長さの1/4であるため、メディア2上の各部位における印刷は、キャリッジ30が4度通過したら完了する。そのため、このような印刷の態様を、本明細書では4パス印刷と称する。
図9に示すように、メディア2の部位のうち、奇数番号が付された部位(P1,P3・・・)は、いずれも、キャリッジ30が−X方向に移動し、第2プラズマ照射部21b、ヘッド40、第1プラズマ照射部21aの順で当該部位を通過する際に、印刷が完了し、撥水化プラズマが、第1プラズマ照射部21aから照射される(図9の4pass目欄参照)。他方、メディア2の部位のうち、偶数番号が付された部位(P2,P4・・・)は、いずれも、キャリッジ30が+X方向に移動し、第1プラズマ照射部21a、ヘッド40、第2プラズマ照射部21bの順で当該部位を通過する際に、印刷が完了し、撥水化プラズマが、第2プラズマ照射部21bから照射される(図9の5pass目欄参照)。
すなわち、図9のシーケンスにおいても、メディア2内の部位Pに対してインクが吐出される前に、ヘッド40に対してキャリッジ30の進行方向の前方に位置する側の、第1プラズマ照射部21a又は第2プラズマ照射部21bから、部位Pに対して、部位Pを親水化するプラズマが照射され、親水化するプラズマが照射された部位Pに対して、インクを吐出することによって印刷を行い、部位Pに対する印刷が完了した後に、ヘッド40に対してキャリッジ30の進行方向の後方に位置する側の第1プラズマ照射部21a又は第2プラズマ照射部21bから部位Pに対して部位Pを撥水化するプラズマが照射される。
また、メディア2内の部位Pに対して印刷を行う際に、キャリッジ30が+X方向に移動するときは、第1プラズマ照射部21aから、部位Pに対して、部位Pを親水化するプラズマが照射され、第2プラズマ照射部21bから、部位Pに対して、部位Pを撥水化するプラズマが照射され、メディア2内の部位Pに対して印刷を行う際に、キャリッジ30が−X方向に移動するときは、第2プラズマ照射部21bから、部位Pに対して、部位Pを親水化するプラズマが照射され、第1プラズマ照射部21aから、部位Pに対して、部位Pを撥水化するプラズマが照射される。
図9に示すシーケンスを実行する場合には、少なくとも、Y方向のノズル列の範囲内にある第1プラズマ照射部21aの4個の部分プラズマ照射部27のうち、最も+Y方向の側に配置された1つと、Y方向のノズル列の範囲内にある第2プラズマ照射部21bの4個の前記部分プラズマ照射部27のうち、+Y方向の側に配置された1つは、キャリッジ30の進行方向に応じて、メディア2を親水化するプラズマとメディア2を撥水化するプラズマとを切り替えて照射できるように構成される。これにより、メディア2のすべての部位に対して、親水化プラズマを照射した後、印刷が行われ、印刷が完了した後、撥水化プラズマが照射されて、印刷物が完成する。
図9に示すシーケンスは、図6に示すキャリッジ30の態様の(a)〜(e)のいずれであっても実行することができる。また、図6(b)及び(d)の態様では、プラズマ照射機構20は、+Y方向に外れて配置された部分プラズマ照射部27について、撥水化専用部分プラズマ照射部27aとすることにより、図9に示すシーケンスを実行することができる。したがって、図6(b)及び(d)の態様では、部分プラズマ照射部27のうち、Y方向におけるノズル列の範囲にある部分プラズマ照射部27を親水化専用部分プラズマ照射部27bとしてもよい。
なお、印刷時にメディア2の表面が親水化され、印刷が完了した後にメディア2の表面が撥水化されることができれば、十分に効果を得ることができるため、印刷前に複数回親水化プラズマが照射されてもよいし、印刷が完了した後に、複数回撥水化プラズマが照射されても効果が損なわれることはない。
したがって、図8に示すシーケンスでは、例えば、2〜5pass目欄において、プラズマ照射部21の−Y方向に配置された部分プラズマ照射部27のうち、ヘッド40のキャリッジ30の進行方向の後方に位置するものは、プラズマの照射を行わないように描かれているが、必要に応じて、当該部分プラズマ照射部27から、親水化プラズマを照射してもよい。
(mパス印刷)
図10及び図11は、それぞれ、2パス印刷及び4パス印刷の態様を基にして、mパス印刷に拡張した様子を模式的に説明する図である。mは、自然数であるが、m=1については、上述の1パス印刷と同様であるため、説明を省略し、以下では、mは、2以上の自然数の場合について説明する。
図10は、図8を用いて説明した2パス印刷から、mパス印刷(m=2)について説明する図である。図10中、m pass目の欄は、メディア2の部位Pm−1及び部位Pm上をキャリッジ30が+X方向に通過した状態を示しているが、通過時にヘッド40のノズル41が配置された領域の−Y方向側に位置する半分(1/m)の領域が部位Pm上を通過し、+Y方向側に位置する半分(1/m)の領域が部位Pm上を通過する。また、m+1 pass目の欄は、メディア2の部位Pm上をキャリッジ30が−X方向に通過した状態を示しているが、通過時にヘッド40のノズル41が配置された領域の+Y方向側に位置する半分(1/m)の領域が部位Pm上を通過する。すなわち、m pass目とm+1 pass目との間で、メディア2が+Y方向に搬送され、キャリッジ30が通過する部位が移動されている。また、mパス目とm+1パス目の間のメディア2の移動距離は、ヘッド40のノズルの列のY方向の長さの半分(1/m)であるため、メディア2上の各部位における印刷は、キャリッジ30がm回通過したら完了することがわかる。
同様に、図11は、図9を用いて説明した4パス印刷から、mパス印刷(mは4)について説明する図である。図11中、m pass目の欄は、メディア2の部位Pm−3〜Pm上をキャリッジ30が+X方向に通過した状態を示しているが、通過時にヘッド40のノズル41が配置された領域の+Y方向側の端に位置する1/mの領域が部位Pm−3上を通過する。また、m+1 pass目の欄は、メディア2の部位Pm−2〜Pm上をキャリッジ30が−X方向に通過した状態を示しているが、通過時にヘッド40のノズル41が配置された領域の+Y方向側の端に位置する半分の領域が部位Pm−2上を通過する。すなわち、m pass目とm+1 pass目との間で、メディア2が+Y方向に搬送され、キャリッジ30が通過する部位が移動されている。また、mパス目とm+1パス目の間のメディア2の移動距離は、ヘッド40のノズルの列のY方向の長さの1/mであるため、メディア2上の各部位における印刷は、キャリッジ30がm回通過したら完了する。
以上のように、本実施形態のインクジェット記録装置1は、mパス印刷(mは自然数)に好適に適用できる。すなわち、本実施形態のインクジェット記録装置1は、キャリッジ30が、メディア2内の部位P上をm回(mは2以上の自然数)通過することで、部位Pへの印刷が完了するように構成することができ、第1プラズマ照射部21a及び第2プラズマ照射部21bが、それぞれm個の部分プラズマ照射部を有し、m個の部分プラズマ照射部27が、Y方向に配列され、Y方向のうち、メディア2が送出される方向を+Y方向としたとき、第1プラズマ照射部21aのm個の部分プラズマ照射部27のうち、最も+Y方向の側に配置された1つと、第2プラズマ照射部21bのm個の部分プラズマ照射部27のうち、最も+Y方向の側に配置された1つは、キャリッジ30の進行方向に応じて、メディア2を親水化するプラズマとメディア2を撥水化するプラズマとを切り替えて照射できるように構成されれば、mパス印刷(mは自然数)に好適に適用できる。
また、m回目にキャリッジ30が部位P上を通過する際に、キャリッジ30が部位P上を+X方向に移動するときに、第1プラズマ照射部21aの部位Pに対応する位置に設けられた部分プラズマ照射部27から、部位Pに対して、部位Pを親水化するプラズマを照射し、第2プラズマ照射部21bの部位Pに対応する位置に設けられた部分プラズマ照射部27から、部位Pに対して、部位Pを撥水化するプラズマを照射し、m回目にキャリッジ30が部位P上を通過する際に、キャリッジ30が部位P上を−X方向に移動するときに、第2プラズマ照射部21bの部位Pに対応する位置に設けられた部分プラズマ照射部27から、部位Pに対して、部位Pを親水化するプラズマを照射し、第1プラズマ照射部21aの部位Pに対応する位置に設けられた部分プラズマ照射部27から、部位Pに対して、部位Pを撥水化するプラズマを照射することにより、mパス印刷(mは自然数)に好適に適用できる。
さらにキャリッジ30が、メディア2内の部位P上をm回(mは2以上の自然数)通過することで、部位Pへの印刷が完了するように構成でき、第1プラズマ照射部21a及び第2プラズマ照射部21bが、それぞれ、部位Pを親水化するプラズマを照射するための親水化専用部分プラズマ照射部27bと、部位Pを撥水化するプラズマを照射するための撥水化専用部分プラズマ照射部27aと、を備え、Y方向のうち、メディア2が送出される方向を+Y方向としたとき、撥水化専用部分プラズマ照射部27aは、親水化専用部分プラズマ照射部27bに対して+Y方向の側に配置されても、mパス印刷(mは自然数)に好適に適用できる。
1.10.作用効果等
本実施形態のインクジェット記録装置1によれば、親水化プラズマ処理の後、印刷が行われることで、メディアの濡れ性の良好な状態でインクの付与が可能であり、インクの濡れ拡がりによりメディア上でのインクの埋まり性が良好となる。しかも、印刷完了後に、撥水化プラズマ処理が行われることで、印刷後のメディアやインクの表面が疎水化されるため、水分等によるインクの剥がれ等の現象を生じにくい堅牢性の良好な印刷を行うことができる。
2.印刷方法
本実施形態に係る印刷方法は、上述のインクジェット記録装置1を用いて印刷する印刷方法である。そして、メディア2内の部位Pに対してインクが吐出される前に、ヘッド40に対してキャリッジ30の進行方向の前方に位置する第1プラズマ照射部21a又は第2プラズマ照射部21bから、部位Pに対して、部位Pを親水化するプラズマを照射する工程と、親水化するプラズマが照射された部位Pに対して、インクを吐出することによって印刷を行う工程と、部位Pに対する印刷が完了した後に、第1プラズマ照射部21a又は第2プラズマ照射部21bのうちヘッド40に対してキャリッジ30の進行方向の後方
に位置する照射部から部位Pに対して部位Pを撥水化するプラズマを照射する工程と、を有する。
各工程については、上記「インクジェット記録装置」の項で述べたとおりであり、詳細な説明を省略する。本実施形態に係る印刷方法によれば、親水化プラズマ処理の後、印刷をすることで、メディアの濡れ性の良好な状態でインクの付与が可能であり、インクの濡れ拡がりによりメディア上でのインクの埋まり性が良好となる。しかも、印刷後に、撥水化プラズマ処理を行うことで、印刷後のメディアやインクの表面が疎水化されるため、水分等によるインクの剥がれ等の現象を生じにくい堅牢性の良好な印刷を行うことができる。
3.実験例
以下に実験例を示し、本発明をさらに説明するが、本発明は以下の例によってなんら限定されるものではない。
実験例では、インクジェットプリンター(PX−H10000:セイコーエプソン株式会社)を改造して、ヘッド40の両側にプラズマ照射機構20を配置したプリンターを用いた。具体的には、図6(a)〜(e)で示したキャリッジ30内の配置で、スポット型又はライン型のプラズマ照射機構20を搭載したものをそれぞれ準備した。プラズマ照射部21からメディア2表面までの距離Bを変化させ、メディア2の表面からノズル41までの距離A及びノズル41とプラズマ照射口25との最短距離Cは、固定とし、それぞれ3mm及び50mmとした。各例で使用したプラズマ照射機構20の構成、各例のパス数、プラズマ照射条件を表1に記載した。
また各例で用いたインクの組成、及びメディアは、以下のとおりである。
(インク)
実験例では、デジタルラベル印刷機SurePress L−4033AW(セイコーエプソン株式会社製)で使用しているインクセットを用いた。
(メディア)
実験例では、メディアとしてプラスチックフィルム(フタムラ化学社製、商品名「FOR−BT」)を用いた。
プラズマ照射部からメディア2表面までの距離B、プラズマ原料のガス種、及びガスの流量の印刷条件を変化させて印刷し、画像を評価した。評価項目及び基準は以下のとおりである。
(埋まり性)
duty80%印刷部を顕微鏡(200倍)により観察した際に、下地が見える割合でインクの埋まりを判断した。評価基準は、
A:インクにより完全に下地が見えない
B:インクに被覆されず、下地が露出している部分が10%未満ある
C:インクに被覆されず、下地が露出している部分が10%以上ある
とした。
(堅牢性)
PET基材に1cm×10cmの範囲で100%dutyの印刷を施したものを用意した。ステンレス製の容器に純水を入れ、ホットプレートで加熱し、90℃〜93℃程度で安定的に煮沸している環境にしたのち、印刷部分を下にして当該純水に投入し、そのまま30分間印刷物ごと煮沸した。30分後、印刷物を取り出し、水分をふき取り、自然乾燥したのちにテープ剥離試験を行い、以下のように評価した。
A:5回テープ剥離試験を行い、5回とも剥離が起こらなかった
B:5回テープ剥離試験を行い、1回以上3回以下、剥離が起こった
C:5回テープ剥離試験を行い、4回以上、剥離が起こった
以下、表2〜4に、印刷の条件及び評価結果を示す。
表2は、距離Bを変化させて印刷した結果を示し、表3は、ガス種及び流量を変化させて印刷した結果を示し、表4は、プラズマ照射部の配置及びパス数を変化させて印刷した結果を示す。なお、表4中、例20及び例21は、親水化ガス又は撥水化ガスのいずれかを供給しないで印刷した結果を示す。
表2をみると、距離Bの値が、2mm以上10mm以下で、埋まり性及び堅牢性の良好な印刷が可能であることが判明した。ただし、距離Bが10mmの例5については、埋ま
り性及び堅牢性が若干不十分となった。これは、メディア2とプラズマ照射部が離間することにより、プラズマによる親水化及び撥水化の効果が弱まったためと考えられる。なお、表1の各例ともに、リモート型のプラズマ照射部を用いているため、メディア2に対する放電現象による印刷画像への影響は全く生じなかったが、例1のように距離Bが2mm程度の場合には、放電現象が生じる可能性がある。以下、表1の例3を基準として各例の結果を説明する。
表3の例6、7、10、11をみると、親水化ガス及び撥水化ガスともに、適正な流量の範囲があることが判明した。すなわち、ジェット型(スポット型)のプラズマ照射部の場合、流量が5(L)〜10(L)程度になると、プラズマ放電(グロー放電)よりもコロナ放電(不均一な放電)が優位となり、プラズマの発生が不安定となること、及び、流量が40(L)程度となると、プラズマは発生するもののガス中のプラズマの密度が低下していると考えられる。ただし、表3の例6、7、10、11程度の流量であれば、埋まり性及び堅牢性の良好な印刷が可能であることが判明した。
一方、表2の例3、表3の例8及び例9をみると、親水化ガスの種類として、窒素及び酸素(窒素97:酸素3)の混合ガスを原料とするほうが、窒素のみ(例8)とする場合、並びに、アルゴン及び酸素(アルゴン97:酸素3)の混合ガスとする場合よりも、埋まり性が良好であった。
また、表2の例3、表3の例12及び例13をみると、撥水化ガスの種類として、CFを原料とした場合(例3)及びCとした場合(例12)、良好な堅牢性が得られ、これに対して、窒素ガスを用いた場合(例13)には、堅牢性を確保できないことが判明した。このことから、撥水化ガスとしては、フッ素系のガスが非常に有効であることが判明した。
表4の例14、例15をみると、1パス印刷及び4パス印刷ともに、埋まり性及び堅牢性の良好な印刷が可能であることがわかる。例14では、埋まり性が若干劣っているが、これは、印刷部位に対する親水化プラズマ処理が、例3の2パス印刷の場合の2回に比較して、1回であるためと考えられる。また、例15では、堅牢性が若干劣っているが、これは、印刷部位に対する親水化プラズマ処理が、例3の2パス印刷の場合の2回に比較して、4回であるためと考えられる。なお、例15の4パス印刷では、親水化プラズマの照射を2パス目以降において停止させていないため、このような結果となったが、3パス目以降における親水化プラズマの照射を停止させるか、印刷完了までに親水化プラズマ照射を2回行うように制御すれば、例えば例3のようなさらに良好な結果となることが予想できる。
表4の例16をみると、ライン型のプラズマ照射部を用いても、スポット型の場合と遜色のない良好な結果が得られることが分かる。ただし、ライン型では、スポット型に比較して照射範囲の切り替えに制限が生じることがあり、また、原料ガスの使用量も大きくなることが分かっている。
表4の例17〜例19は、キャリッジ内のプラズマ照射機構の配置による影響を調べた結果である。例17は、ヘッドのノズル列の長さの範囲から外れて配置された部分プラズマ照射部を撥水化専用とし、ヘッドのノズル列の長さの範囲内に配置された部分プラズマ照射部を親水化専用とした例である。例17の結果をみると、例3と同様に良好な結果が得られることがわかった。また、例18は、例15に示したように、4パス印刷可能なキャリッジ構成で、2パス印刷を試みた例である。4パス印刷可能なキャリッジ構成であれば、部分プラズマ照射部の切り替え機構を制御することで、2パス印刷に使用しても、埋まり性及び堅牢性の良好な印刷が可能であることが判明した。例19は、ヘッドのノズル
列の長さの範囲から外れて配置された部分プラズマ照射部を撥水化専用とし、ヘッドのノズル列の長さの範囲内に配置された部分プラズマ照射部を親水化専用とし、4パス印刷に適用した例である。例17と同様に、良好な結果が得られることがわかった。ただし、図6(d)のキャリッジ構成は、2パス印刷には適用できないことがわかる。その理由は、撥水化専用プラズマ照射部のY方向の長さが、メディアの搬送長さの半分程度となってしまい、条件によっては全面を撥水化できないからである。
表4の例20及び例21は、それぞれ、親水化ガス及び撥水化ガスを供給しないで印刷した例である。いずれか一方のプラズマを照射しないと、本願の効果が得られないことが分かる。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1…インクジェット記録装置、2…メディア、10…搬送機構、11…ローラ、12…プラテン、20…プラズマ照射機構、21a…第1プラズマ照射部、21b…第2プラズマ照射部、22…ガス供給室、23…電極対、23a…電極、23b…電極、24…プラズマ電源、25…プラズマ照射口、26…排気管、26a…排気管、26b…排気管、27…部分プラズマ照射部、27a…撥水化専用部分プラズマ照射部、27b…親水化専用部分プラズマ照射部、30…キャリッジ、40…ヘッド、41…ノズル、60…切り替え機構、61a…親水化ガス供給源、61b…撥水化ガス供給源、62a,62b…マスフローコントローラー(MFC)、63…三方弁、65…シャッター、66…シャッター駆動部、67…制御部、

Claims (8)

  1. メディアをY方向に搬送する搬送機構と、
    放電部分で発生したプラズマをプラズマ照射口から射出して前記メディアの一部に照射するプラズマ照射機構、及びインクをノズルから吐出するヘッドを、前記Y方向に交わる+X方向及び−X方向に移動するキャリッジと、を備え、
    前記プラズマ照射機構は、前記ヘッドに対して前記+X方向の側に設けられた第1プラズマ照射部と、前記ヘッドに対して前記−X方向の側に設けられた第2プラズマ照射部と、を有し、
    前記メディア内の部位Pに対して前記インクが吐出される前に、前記ヘッドに対して前記キャリッジの進行方向の前方に位置する側の、前記第1プラズマ照射部又は前記第2プラズマ照射部から、前記部位Pに対して、前記部位Pを親水化するプラズマが照射され、
    前記親水化するプラズマが照射された前記部位Pに対して、前記インクを吐出することによって印刷を行い、
    前記部位Pに対する印刷が完了した後に、前記ヘッドに対して前記キャリッジの進行方向の後方に位置する側の前記第1プラズマ照射部又は前記第2プラズマ照射部から前記部位Pに対して前記部位Pを撥水化するプラズマが照射される、インクジェット記録装置。
  2. 請求項1において、
    前記キャリッジは、前記メディア内の部位P上をm回(mは自然数)通過することで前記部位Pへの印刷が完了するように構成されており、
    前記部位Pを撥水化するプラズマは、前記キャリッジが前記m回目に前記部位P上を通過するときにのみ照射される、インクジェット記録装置。
  3. 請求項1又は請求項2において、
    前記キャリッジは、前記メディア内の部位P上を1回通過することで前記部位Pへの印刷が完了するように構成されており、
    前記第1プラズマ照射部及び前記第2プラズマ照射部は、前記キャリッジの進行方向に応じて、前記メディアを親水化するプラズマと前記メディアを撥水化するプラズマとを切り替えて照射できるように構成されている、インクジェット記録装置。
  4. 請求項3において、
    前記メディア内の部位Pに対して印刷を行う際に、前記キャリッジが前記+X方向に移動するときは、前記第1プラズマ照射部から、前記部位Pに対して、前記部位Pを親水化するプラズマが照射され、前記第2プラズマ照射部から、前記部位Pに対して、前記部位Pを撥水化するプラズマが照射され、
    前記メディア内の部位Pに対して印刷を行う際に、前記キャリッジが前記−X方向に移動するときは、前記第2プラズマ照射部から、前記部位Pに対して、前記部位Pを親水化するプラズマが照射され、前記第1プラズマ照射部から、前記部位Pに対して、前記部位Pを撥水化するプラズマが照射される、インクジェット記録装置。
  5. 請求項1又は請求項2において、
    前記キャリッジは、前記メディア内の部位P上をm回(mは2以上の自然数)通過することで、前記部位Pへの印刷が完了するように構成されており、
    前記第1プラズマ照射部及び前記第2プラズマ照射部は、それぞれm個の部分プラズマ照射部を有し、
    前記m個の部分プラズマ照射部は、前記Y方向に配列されており、
    前記Y方向のうち、前記メディアが送出される方向を+Y方向としたとき、
    前記第1プラズマ照射部の前記m個の部分プラズマ照射部のうち、最も+Y方向の側に配置された1つと、前記第2プラズマ照射部の前記m個の前記部分プラズマ照射部のうち、最も+Y方向の側に配置された1つは、前記キャリッジの進行方向に応じて、前記メディアを親水化するプラズマと前記メディアを撥水化するプラズマとを切り替えて照射できるように構成されている、インクジェット記録装置。
  6. 請求項5において、
    m回目に前記キャリッジが前記部位P上を通過する際に、前記キャリッジが前記部位P上を+X方向に移動するときは、
    前記第1プラズマ照射部の前記部位Pに対応する位置に設けられた部分プラズマ照射部から、前記部位Pに対して、前記部位Pを親水化するプラズマが照射され、前記第2プラズマ照射部の前記部位Pに対応する位置に設けられた部分プラズマ照射部から、前記部位Pに対して、前記部位Pを撥水化するプラズマが照射され、
    m回目に前記キャリッジが前記部位P上を通過する際に、前記キャリッジが前記部位P上を−X方向に移動するときは、
    前記第2プラズマ照射部の前記部位Pに対応する位置に設けられた部分プラズマ照射部から、前記部位Pに対して、前記部位Pを親水化するプラズマが照射され、前記第1プラズマ照射部の前記部位Pに対応する位置に設けられた部分プラズマ照射部から、前記部位Pに対して、前記部位Pを撥水化するプラズマが照射される、インクジェット記録装置。
  7. 請求項1又は請求項2において、
    前記キャリッジは、前記メディア内の部位P上をm回(mは2以上の自然数)通過することで、前記部位Pへの印刷が完了するように構成されており、
    前記第1プラズマ照射部及び前記第2プラズマ照射部は、それぞれ、
    前記部位Pを親水化するプラズマを照射するための親水化専用部分プラズマ照射部と、
    前記部位Pを撥水化するプラズマを照射するための撥水化専用部分プラズマ照射部と、を備え、
    前記Y方向のうち、前記メディアが送出される方向を+Y方向としたとき、
    前記撥水化専用部分プラズマ照射部は、前記親水化専用部分プラズマ照射部に対して+Y方向の側に配置される、インクジェット記録装置。
  8. メディアをY方向に搬送する搬送機構と、
    放電部分で発生したプラズマをプラズマ照射口から射出して前記メディア内の一部に照射するプラズマ照射機構、及びインクをノズルから吐出するヘッドを、前記Y方向に交わる+X方向及び−X方向に移動するキャリッジと、を備え、
    前記プラズマ照射機構が、前記ヘッドに対して前記+X方向の側に設けられた第1プラズマ照射部と、前記ヘッドに対して前記−X方向の側に設けられた第2プラズマ照射部と、を有する、インクジェット記録装置を用いて印刷する印刷方法であって、
    前記メディア内の部位Pに対して前記インクが吐出される前に、前記ヘッドに対して前記キャリッジの進行方向の前方に位置する前記第1プラズマ照射部又は前記第2プラズマ照射部から、前記部位Pに対して、前記部位Pを親水化するプラズマを照射する工程と、
    前記親水化するプラズマが照射された前記部位Pに対して、前記インクを吐出することによって印刷を行う工程と、
    前記部位Pに対する印刷が完了した後に、前記第1プラズマ照射部又は前記第2プラズマ照射部のうち前記ヘッドに対して前記キャリッジの進行方向の後方に位置する照射部から前記部位Pに対して前記部位Pを撥水化するプラズマを照射する工程と、を有する、印刷方法。
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