JP2004025556A - インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】インク定着性に優れ、定着時間が短く、かつODが高い、より高品位な画像を得ることができるインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】ブラックインク用記録ヘッド101Bk、処理液用記録ヘッド101Cをキャリッジ107の走査方向に配列し、記録媒体が普通紙の場合は、矢印X方向にキャリッジ107が移動するときに、ブラックインクの上に処理液が付与されるように記録を行い、記録媒体が高速吸収紙の場合は、矢印Xとは反対方向にキャリッジ107が移動するとき、処理液の上にブラックインクが付与されるように記録を行う。このように、ブラックインクと処理液との付与順序を記録媒体に応じて異ならせることによって、インクの色材が必要以上に記録媒体表面から沈み込むことを防ぐ。
【選択図】 図1
【解決手段】ブラックインク用記録ヘッド101Bk、処理液用記録ヘッド101Cをキャリッジ107の走査方向に配列し、記録媒体が普通紙の場合は、矢印X方向にキャリッジ107が移動するときに、ブラックインクの上に処理液が付与されるように記録を行い、記録媒体が高速吸収紙の場合は、矢印Xとは反対方向にキャリッジ107が移動するとき、処理液の上にブラックインクが付与されるように記録を行う。このように、ブラックインクと処理液との付与順序を記録媒体に応じて異ならせることによって、インクの色材が必要以上に記録媒体表面から沈み込むことを防ぐ。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法に関し、詳しくは記録媒体に付与したインクの浸透性を調節する処理液を用いるインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
記録ヘッドよりインクを記録媒体に吐出して記録を行うインクジェット記録装置は、小型化が容易であり、かつカラー記録が安価に実現できるなどの理由により、急速に普及している。インクジェット記録装置におけるカラー記録は、記録媒体の同一画素に対して、イエロー、シアン、マゼンタといったカラーインクを打ち込むことにより、様々な色を表現している。したがって、ほぼ同時に複数色のインクが打ち込まれるため、画像品位の高いカラー記録を得るには、カラーインクのそれぞれは比較的浸透性の高いインクでなければならない。または、記録媒体表面に特殊な処理を施してインクの吸収性をよくした高速吸収紙を用いる必要がある。
【0003】
例えば、普通紙にカラー記録を行う場合は、カラーインクそれぞれに浸透性の高いインクが用いられる。しかしながら、浸透性の高いインクは、印字境界の滲み具合を表すエッジシャープネスが劣り、かつ光学濃度であるODが低下しがちである。文字など黒のみの記録の場合、浸透性の高いインクでは、文字の輪郭がぼやけ、さらに黒色の発色が不鮮明になるので、浸透性の低いインクに比べ、記録品位が落ちてしまう。このような問題を解決するために従来では、高浸透性のインクを用いるのではなく、記録媒体へ色材を含むインクを付与した後に、続いて、前記インクと液体状で混合されて反応し、記録媒体への定着性を上げることのできる処理液を付与するという方法がある。
【0004】
例えば、特開平11−245394号公報に記載されているように、色材を含む非浸透性のインクと高浸透性の処理液とを用いて普通紙に記録を行う場合、先にインクを吐出し、その上に処理液を付与することで、短い定着時間でインクを普通紙に定着させることができる。さらにODの高い高品位な画像を得ることができる。
【0005】
また、昨今のインクジェット記録装置に求められている高速記録を実現するためには、より高速な定着を求める必要がある。この1つの解決方法としてインクがより高浸透となるような紙(高速吸収紙)を使用する方法がある。この紙は処理液を用いずに色材を含むインクだけを用いてもインクをすばやく定着させることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなインクが浸透しやすい紙(高速吸収紙)を用いている上に、さらにインクに続いて処理液を付与してしまうと、処理液を使用しないでインク単独だけで記録した場合に比べてODが低くなる場合がある。これは、色材を含むインクが高浸透性の記録媒体(高速吸収紙)に付与されると、すぐにインクに含まれる色材が記録媒体に浸透し始めている上に、続けて処理液が付与されるので色材の浸透速度がさらに速くなり、紙の深さ方向へ深く浸透し、紙表面に残る色材が少なくなるからである。
【0007】
以上から明らかなように、インクと処理液を用いて記録を行うにあたり、普通紙に対してインク、処理液の順で吐出すると定着時間の短縮が図れるため好ましいが、高速吸収紙に対してインク、処理液の順で吐出すると、定着時間の点では好ましいものの、画像濃度が低下してしまうという問題がある。本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、インクと処理液とを用いて記録を行うにあたり、記録媒体の種類(普通紙、高速吸収紙等)によらず、画像濃度(OD値)を極力低下させずにより高速でインクを定着させることができるインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のインクジェット記録装置は、色材を含むインクを吐出するためのインク用記録ヘッドと、前記インクと反応してインクの記録媒体への浸透性を高める処理液を吐出するための処理液用記録ヘッドとを用い、前記各記録ヘッドから記録媒体へ前記インクおよび処理液を吐出して記録を行うインクジェット記録装置において、記録に使用する記録媒体の種類に応じて、記録媒体への前記インクと前記処理液の付与順序が異なることを特徴とする。
【0009】
詳しくは、前記記録媒体の種類が普通紙の場合、前記インク用記録ヘッドがインクを吐出した後、前記処理用記録ヘッドが処理液を吐出し、前記記録媒体の種類が前記普通紙よりもインク浸透性の高い媒体である場合、前記処理液用記録ヘッドが処理液を吐出した後、前記インク用記録ヘッドがインクを吐出することを特徴とする。
【0010】
また、本発明のインクジェット記録方法は、色材を含むインクを吐出するインク用記録ヘッドと、前記インクと反応してインクの記録媒体への浸透性を高める処理液を吐出する処理液用記録ヘッドとを用い、前記各記録ヘッドから記録媒体へインクおよび処理液を吐出して記録を行うインクジェット記録方法において、記録に使用する記録媒体の種類に応じて、記録媒体への前記インクと前記処理液の付与順序を異ならせることを特徴とする。
【0011】
以上の構成によれば、インクと処理液を用いて記録を行うにあたり、使用する記録媒体の種類(例えば、普通紙、高速吸収紙)に応じて、インクと処理液の付与順序を適切に異ならせているので、記録媒体の種類に適合した最適な付与順序で記録を行うことができ、その結果、定着性の向上および高濃度化を実現できる。特に、記録媒体が普通紙の場合は、インク、処理液の順に記録媒体に付与し、普通紙よりもインク浸透性の高い高速吸収紙の場合は、処理液、インクの順に記録媒体に付与することで、インクの色材が必要以上に記録媒体の深さ方向に深く浸透してしまうことを抑制して高濃度化を実現できると共に、短時間でのインク定着が可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
本実施形態のインクジェット記録装置は、インク(特にブラックインク)と処理液の記録媒体へ付与する順序を普通紙と高浸透性の記録媒体(高速吸収紙)とで異ならせることによって、いかなる種類の記録媒体であっても、常に良好な記録結果を得ようとするものである。つまり、浸透性の比較的悪い普通紙においては、ブリーディング低減のために、ブラックインクの定着速度を速めることが必要である。そこで、ブラックインクが吐出された後に処理液を付与することで、処理液がブラックインク本来の浸透速度を速めるので、より早く普通紙に定着することになる。つまり、インクを吐出した後に処理液を付与するという順序は、インク本来の浸透速度をより速める方向に作用するといえる。したがって、もともとインクの浸透速度が速い高速吸収紙において、インク付与後に処理液を付与すると、必要以上にインク浸透速度が速まってしまい、深さ方向の深い地点までインクが沈み込んでしまうことになる。
【0014】
一方、インクと処理液の記録媒体への付与順序を反転させることによって、以下の現象が起こると推察される。すなわち、高浸透性である処理液が高速吸収紙に付与されると、処理液は記録媒体の深さ方向へ浸透を始めるが、組成の一部は、記録媒体表面に残存する。続いてインクを付与すると、記録媒体の表面に残存している処理液の一部と色材が反応し、色材が記録媒体の表面に定着する。この現象によって、色材が表面に留まり、高ODが達成されると考えられる。
このように、普通紙に記録する場合と高速吸収紙に記録する場合とで、インク及び処理液の付与順序を変更することで高速吸収紙におけるODアップによる画質向上を達成できる。
【0015】
【実施例】
本発明の実施例について、図を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこのような実施例に限らず、これをさらに組み合わせたり、同様な課題を内包する他の分野の技術にも応用することができる。
【0016】
(実施例1)
図1は本実施例に係るシリアルタイプのインクジェット記録装置の斜視図であり、図2は概略構成を示す側面図である。
【0017】
インクジェット記録装置1は、X軸方向に走査可能な記録ヘッド101を備える。記録ヘッド101は、インク色ごとに分かれており、ブラックヘッド101Bk、シアンヘッド101C、マゼンタヘッド101M、イエローヘッド101Y、処理液ヘッド101Sの4種類となっている。また、各ヘッド101にはインクタンク108が接続されており、このインクタンク108内のインクまたは処理液がそれぞれ記録ヘッド101までインク路を経由して充填されている。インクタンク101は色別に分かれており、本実施例では、ブラックインクタンク108Bk、シアンインクタンク108C、マゼンタインクタンク108M、イエローインクタンク108Y,処理液インクタンク108Sである。これらは着脱可能なカートリッジとなっている。なお、インクタンクおよび記録ヘッドの並びは矢印X方向にブラック、処理液、シアン、マゼンタ、イエローの順となっている。
【0018】
この記録ヘッド101とインクタンク108とがキャリッジ107に搭載されている。このキャリッジ107は、ガイドレール109に沿って、不図示の駆動力によってX軸方向に往復走査が可能である。
【0019】
103は記録媒体であり、給紙トレイ105に積載されている。記録時は、そのうちの一枚が不図示の給紙ローラによってピックアップされ、記録ヘッド101と対峙する位置まで搬送される。キャリッジ107の走査に伴い、記録ヘッド101は記録媒体103にインクおよび処理液を吐出して記録を行う。記録媒体の一方端までキャリッジが移動すると、記録媒体103は搬送ローラによって所定量だけ矢印Y方向に搬送される。この紙送りが終わると、再度キャリッジが移動し、記録ヘッドによる記録が行われる。このように記録と紙送りとを繰り返すことにより、記録媒体103に画像が形成される。記録が終了すると、記録媒体103は不図示の排紙トレイに排出される。
【0020】
記録ヘッド101は、記録媒体と対峙する面に複数のノズルを配列しており、配列方向は矢印Y方向に略平行である。各ノズルには電気熱変換体が設けられており、記録時はこの電気熱変換体に電気信号を印加すると、インク中に気泡が発生し、該気泡の生成圧力によってインクを所定量だけ吐出することができる。なお、本実施例はこのようなバブルスルー方式で吐出を行うものとしたが、ピエゾ方式など他の方式で吐出を行うものでもよい。
【0021】
図4は、図1に示されるインクジェットプリンタ1の制御ブロック図である。同図に示されるように、インクジェットプリンタ1は、プリンタ全体の制御手段として機能するMPU50を含む。このMPU50には、バスラインを介してRAM51およびROM52が接続されている。RAM51は、各種データを一時的に保持等する受信バッファRB、プリントバッファPB、および、各種制御に伴う演算処理の作業領域として用いられるワークラムWRを有する。また、ROM52には、各種制御用プログラム等が記憶されている。
【0022】
更に、MPU50には、バスラインを介して入出力インターフェース53が接続されており、この入出力インターフェース53には、外部のホストコンピュータHCが接続される。また、上述の記録ヘッド101は、ヘッド駆動回路54を介して入出力インターフェース53に接続されており、MPU50によって制御される。同様に、キャリッジ駆動用のCRモータM1は、CRモータドライバ55を介して、給紙用のLFモータM2は、LFモータドライバ56を介して、入出力インターフェース53に接続されている。用紙送り用の送りモータM3および回復装置15も同様に、ドライバ57,58を介して入出力インターフェース53に接続されている。
【0023】
なお、ユーザインタフェース(UI)として不図示の入出力手段が設けられており、ユーザは適宜必要な情報を入力することができる。この入出力手段から入力された情報は前記制御部MPUへ送られ、制御部MPUはこの情報に従い、各駆動部へ駆動指令を出す。また、ユーザインタフェース(UI)として入出力手段はプリンタ側ではなく、ホスト側にあってもよい。つまり、ホストコンピュータのプリンタドライバによる表示画面を上記ユーザインタフェースとして用いてもよい。
【0024】
また、以上の構成において、各記録ヘッド間距離は1/2インチである。従って、ヘッド101Bk1と101Sとの距離は1/2インチとなり、また、走査方向の記録密度が720dpi、各ヘッドの吐出周波数は7.2kHzであることから、ヘッド101Bkの顔料インクが吐出されてから、ヘッド101Sの処理液が吐出されるまでの時間は0.1secとなる。
【0025】
また、ブラックのインクについては、浸透速度の比較的遅いインク(以下、「上乗せ系インク」という)を用い、処理液およびシアン、マゼンタ、イエローの各インクは浸透速度の速いそれぞれの処理液およびインク(以下、「高浸透性インク」という)を用いる。
【0026】
本実施例で使用する処理液および各インクの組成は次の通りである。なお、各成分の割合は重量部で示したものである。
[処理液]
ポリアリルアミン 3部
酢酸 3部
塩化ベンザルコニウム 0.5部
グリセリン 7部
ジエチレングリコール 5部
アセチレノールEH 2部
(川研ファインケミカル製)
水 残部
[イエロー(Y)インク]
C.I.ダイレクトイエロー86 3部
グリセリン 5部
ジエチレングリコール 5部
アセチレノールEH 1部
(川研ファインケミカル製)
水 残部
[マゼンタ(M)インク]
C.I.アシッドレッド289 3部
グリセリン 5部
ジエチレングリコール 5部
アセチレノールEH 1部
(川研ファインケミカル製)
水 残部
[シアン(C)インク]
C.I.ダイレクトブルー199 3部
グリセリン 5部
ジエチレングリコール 5部
アセチレノールEH 1部
(川研ファインケミカル製)
水 残部
[ブラック(Bk)インク]
顔料分散液 25部
グリセリン 6部
ジエチレングリコール 5部
アセチレノールEH 0.1部
(川研ファインケミカル製)
水 残部
【0027】
これらインクおよび処理液を吐出する記録ヘッド群(101Bk、101S、101C、101M、101Y)は、ガイドレール109に沿って往復走査が可能であり、普通紙と高速吸収紙とで記録方法が異なる。
【0028】
給紙部105へ普通紙がセッティングされた場合には、記録ヘッド群は矢印X方向へ移動している時だけに記録をし、矢印Xと反対方向へ移動する時には記録をしない。このように制御することによって、記録媒体にブラックインクが付与された後に処理液を付与することになる。一方、カラーインクに関しては処理液が先に付与されてから付与されることになる。
【0029】
ブラックの後に処理液を付与することによって、ブラックインクの定着性がよくなり、定着時間も短くなる。また普通紙自体は浸透性が低いので、ブラックインクが必要以上に深さ方向に深く浸透してしまうことがなく、良好な画像品位を得ることができる。
【0030】
給紙部105へ高速吸収紙がセッティングされた場合には、記録ヘッド群は矢印X方向へ移動している時には記録をせず、Xと反対方向へ移動しているときに記録を行う。このように制御することによって、記録媒体に処理液が付与された後にブラックインクを付与することになる。処理液の後にブラックインクを付与することによって、深さ方向に色材が必要以上に沈み込むことはなく、記録媒体表面に黒の色材を残すことができる。良好な定着性、短い定着時間という利点を生かしつつ、かつODが高い記録を行うことができる。
【0031】
なお、記録に使用する記録媒体が普通紙であるか高速吸収紙であるかの判別は、ユーザが入力手段(プリンタに設けられた記録媒体選択スイッチ、あるいはホストコンピュータのプリンタドライバ)において記録媒体に種類に関する情報を入力し、プリンタの制御部MPUがその入力された情報から現在給紙されている記録媒体の種類を判別する形態が考えられる。この形態の場合、プリンタの制御部MPUがその記録媒体の種類に応じて記録を行う走査方向を決定するので、インクと処理液の付与順序がプリンタ側で決定されることになる。一方、ホストコンピュータのプリンタドライバにおいて入力された記録媒体に種類に関する情報に基づいて、プリンタドライバ側で記録を行う走査方向を決定し、その走査方向に関するコマンドをプリンタに送信し、プリンタはその情報を受信することで記録媒体の種類に応じた記録を行う形態としてもよい。この形態の場合、インクと処理液の付与順序がホストコンピュータのプリンタドライバ側で決定されることになる。このように、インクと処理液の付与順序は、プリンタ側で決定してもよいし、ホスト側で決定してもよい。なお、下記実施例2〜4においても、インクと処理液の付与順序は、プリンタ側で決定してもよいし、ホスト側で決定してもよい。また、記録動作を行う前にテストプリントを記録媒体の端など目立たないところで行い、テストプリントで形成されるドットのドット径などを測定することによって、インクの浸透性を判断し、制御部はそのインクの浸透性から、記録を行う走査方向を決定するという形態でもよい。
【0032】
(実施例2)
図2は本実施例に係るフルラインタイプのインクジェット記録装置の概略構成を示す側面図である。
【0033】
このインクジェット記録装置1は、記録媒体の搬送方向(同図中、矢印A方向)にインク別に配置された複数のフルラインタイプの記録ヘッド(吐出部)によりインクおよび処理液を吐出して記録を行う。フルラインタイプの記録ヘッドは記録媒体の紙幅相当の長さを有しているため、実施例1のシリアルスキャンの記録ヘッドのように、記録媒体上を走査することなく、一度に記録を行うことができる。この記録ヘッド群がインクおよび処理液を吐出すると、矢印A方向に所定量だけ記録媒体が搬送される。この紙送り動作と前記記録動作とを繰り返すことにより、記録媒体全体に記録を行うことができる。むろん、搬送と記録は実質的に同時でも良い。
【0034】
記録に使用する記録媒体を普通紙とする場合には、普通紙103を給紙部115にセッティングし、記録ヘッド群101gと記録媒体搬送ベルト111との間を通過し、排紙される。記録媒体搬送ベルトは不図示の制御機構によって、記録媒体を静電搬送する。また、インクおよび処理液を高速に吸収する性質をもつ記録媒体(高速吸収紙)を記録紙103として用いる場合には、記録紙103を給紙部116にセッティングし、記録ヘッド群101gと記録媒体搬送ベルト111との間を通過し、排紙される。記録ヘッド101Bk、101S、101C、101Mおよび101Yはそれぞれ、記録媒体がその直下を通過する時に、ブラックインク、処理液、シアンインク、マゼンタインクおよびイエローインクを吐出する印字ヘッドである。記録ヘッドは実施例1と同様に複数のノズルが配列されており、各ノズルに設けられた電気熱変換体を発熱させることで吐出を行うバブルスルー方式である。
【0035】
このように本実施例では、普通紙と高速吸収紙によって、給紙部・記録媒体搬送方向を変更することによって、ブラックインクと処理液の付与順序が異なるようにしている。普通紙記録時には給紙部115に給紙され、矢印A方向に搬送されていくので、ブラックインク、処理液の順で付与されることになる。一方、高速吸収紙印字時には記録媒体は給紙部116に給紙され、矢印Aと本体方向に搬送されていくので、処理液、ブラックの順で付与されることになる。したがって、普通紙、高速吸収紙のそれぞれが実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0036】
なお、ブラックインクと処理液の記録ヘッドの配置は逆になっていてもよく、この場合は、給紙部に給紙する記録媒体の種類も逆になり、給紙部116に普通紙が給紙されることになる。
【0037】
(実施例3)
上記実施例2では、記録に使用する記録媒体が普通紙であるか高速吸収紙であるかに応じて記録媒体の搬送方向を変え、これによりインクと処理液の付与順序を異ならせているが、本実施例では、記録媒体の搬送方向は変えずに、ブラックインク用ヘッドと処理液用ヘッドの位置を変えることによりインクと処理液の付与順序を異ならせている。
【0038】
図3(a)及び(b)は、本実施例に係るフルラインタイプのインクジェット記録装置の概略構成を示す側面図である。
【0039】
このインクジェット記録装置1は、記録媒体が普通紙である場合には、図3(a)のように、記録媒体の搬送方向(同図中、矢印A方向)にインク別に配置された複数のフルラインタイプの記録ヘッド(吐出部)によりインクおよび処理液を吐出して記録を行う。すなわち、図3(a)に示されるように、記録媒体が普通紙である場合は、ブラックインク用ヘッドを搬送方向上流側に配置し、処理液用ヘッドを搬送方向下流側に配置する。
【0040】
一方、記録媒体が高速吸収紙である場合には、図3(b)のように、記録媒体の搬送方向(同図中、矢印A方向)にインク別に配置された複数のフルラインタイプの記録ヘッド(吐出部)によりインクおよび処理液を吐出して記録を行う。すなわち、図3(b)に示されるように、記録媒体が高速吸収紙である場合は、処理液用ヘッドを搬送方向上流側に配置し、ブラックインク用ヘッドを搬送方向下流側に配置する。
【0041】
ここで、ヘッド配置の変更は、ヘッド配置変更手段により機械的に行われることが好ましい。すなわち、図3(a)・(b)に示されるように、記録媒体の種類に応じたヘッド配置となるように、使用する記録媒体が普通紙から高速吸収紙へ変更される度、あるいは高速吸収紙から普通紙へ変更される度に、ブラックインク用ヘッドと処理液用ヘッドの位置を入れ替えるのである。(実施例4)
【0042】
上記実施例すべてにおいて、使用するブラックインクを下記のものと置き換える構成にしてもよい。
[ブラック(Bk)インク]
顔料分散液1 25部
顔料分散液2 25部
グリセリン 6部
ジエチレングリコール 5部
アセチレノールEH 0.1部
(川研ファインケミカル製)
水 残部
【0043】
ここで、顔料分散液1および顔料分散液2は、以下のような製法によって作られるものでも良い。
(第1の顔料)
本実施形態のインクに用いることのできる第2の顔料としては、自己分散型の顔料を用いることができる。自己分散型の顔料とは、水溶性高分子化合物の分散剤を用いることなしに水、水溶性有機溶剤あるいはこれらを混合した液体に対して安定して分散状態を維持し、インクジェット記録技術を用いたオリフィスからの正常なインク吐出に支障を来すような、顔料同士の凝集体を該液体中で生じることのないような顔料を指す。
【0044】
(アニオン性自己分散CB)
このような顔料としては、例えば少なくとも1つのアニオン性基が直接もしくは他の原子団を介して顔料表面に結合させたものが好適に用いられ、具体的な例は、少なくとも1つのアニオン性基が直接あるいは他の原子団を介して表面に結合しているカーボンブラックを含むものである。
【0045】
このようなカーボンブラックに結合されているアニオン性基の例としては、例えば、−COOM、−SO3M、−PO3HM、−PO3M2等(但し、式中のMは水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、または、有機アンモニウムを表し、Rは炭素数1〜12の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基、置換基もしくは未置換のフェニル基又は置換基もしくは未置換のナフチル基を表す。)が挙げられる。ここでRが置換基を有するフェニル基、又は置換基を有するナフチル基である場合の置換基としては、例えば炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基等が挙げられる。
【0046】
上記「M」のアルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、また「M」の有機アンモニウムとしてはモノ乃至トリメチルアンモニウム、モノ乃至トリエチルアンモニウム、モノ乃至トリメタノールアンモニウム等が挙げられる。
【0047】
これらのアニオン性基の中で、特に−COOMや−SO3Mはカーボンブラックの分散状態を安定させる効果が大きいため好ましい。
【0048】
ところで上記した種々のアニオン性基は他の原子団を介してカーボンブラックの表面に結合したものを用いることが好ましい。他の原子団としては、例えば、炭素数1から12の直鎖状もしくは未置換のアルキレン基、置換もしくは未置換のフェニレン基または置換もしくは未置換のナフチレン基が挙げられる。ここでフェニレン基やナフチレン基に結合してもよい置換基の例としては、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基等が挙げられる。
【0049】
他の原子団を介してカーボンブラックの表面に結合させるアニオン性基の具体例としては、例えば、−C2H4COOM、−PhSO3M、−PhCOOM等(ただし、Phはフェニル基を表す)が挙げられるが、勿論、これらに限定されることはない。
【0050】
ところで上記したような種々の親水性基は、カーボンブラックの表面に直接結合させてもよい。あるいは他の原子団をカーボンブラック表面と該親水性基との間に介在させ、該親水性基をカーボンブラック表面に間接的に結合させてもよい。ここで他の原子団の具体例としては例えば炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、置換もしくは未置換のフェニレン基、置換もしくは未置換のナフチレン基が挙げられる。ここでフェニレン基およびナフチレン基の置換基としては例えば炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基等が挙げられる。また他の原子団と親水性基の組み合わせの具体例としては、たとえば−C2H4COOM、−Ph−SO3M、−Ph−COOM等(ただし、Phはフェニル基を表す)が挙げられる。
【0051】
ところで、本実施形態にかかるインクに含有させる自己分散型の顔料はその80%以上が0.05〜0.3μm、とくには0.1〜0.25μmの粒径のものであるものとすることが好ましい。
【0052】
(第2の顔料)
本実施形態のインクに用いることのできる第2の顔料は、インクの分散媒、具体的には例えば水性媒体に対して高分子分散剤の作用によって分散させることができる顔料が挙げられる。即ち、顔料粒子の表面に高分子分散剤が吸着した結果として初めて水性媒体に対して安定に分散させ得るような顔料が好適に用いられる。そしてそのような顔料としては、例えば黒色顔料としては、例えばファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック顔料が挙げられる。このようなカーボンブラック顔料の具体例としては、例えば下記のものを単独で、あるいは適宜組み合わせて用いることができる。
カーボンブラック顔料:
・レイヴァン(Raven)7000、レイヴァン5750、レイヴァン5250、レイヴァン5000ULTRA、レイヴァン3500、レイヴァン2000、レイヴァン1500、レイヴァン1250、レイヴァン1200、レイヴァン1190ULTRA−II、レイヴァン1170、レイヴァン1255(以上コロンビア社製)、
・ブラックパールズ(Black Pearls)L、リーガル(Regal)400R、リーガル330R、リーガル660R、モウグル(Mogul)L、モナク(Monarch)700、モナク800、モナク880、モナク900、モナク1000、モナク1100、モナク1300、モナク1400、ヴァルカン(Valcan)XC−72R(以上キヤボット社製)
・カラーブラック(Color Black)FW1、カラーブラックFW2、カラーブラックW2V、カラーブラック18、カラーブラックFW200、カラーブラックS150、カラーブラックS160、カラーブラックS170、プリンテックス(Printex)35、プリンテックスU、プリンテックスV、プリンテックス140U、プリンテックス140V、スペシャルブラック(Spetial Black)6、スペシャルブラック5、スペシャルブラック4A、スペシャルブラック4(以上デグッサ社製)
・No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上三菱化学社製)。
【0053】
他の黒顔料としてはマグネタイト、フェライト等の磁性体微粒子やチタンブラック等を挙げることができる。
【0054】
また以上で述べた黒色顔料以外に、青色顔料、赤色顔料等も用いることができる。
【0055】
該第1および第2の顔料を合わせた色材の量は、インク全量に対し、0.1〜15重量%、より好ましくは、1〜10%重量である。第1の顔料と第2の顔料の比率は、5/95〜97/3、より好ましくは10/90〜95/5の範囲が好ましい。さらに好ましくは、第1の顔料/第2の顔料=9/1〜4/6である。更に好ましい別の範囲は、第1の顔料が多い範囲である。このような第1の顔料が多い場合においては、インクとしての分散性はもちろん、ヘッドの吐出安定性、特に吐出効率や吐出口面の濡れが少ないことによる信頼性を含めた安定性が発揮される。
【0056】
また紙上でのインクの挙動として、高分子分散剤の吸着した第2の顔料が少ないインクで効果的に紙の表面にインクが広がるため、高分子分散剤による均一な薄膜が表面に形成されると推定され、その効果により画像の耐擦過性も向上する。
【0057】
上記第2の顔料を水性媒体に分散させる為の高分子分散は、例えば該第2の顔料の表面に吸着して該第2の顔料を水性媒体に安定して分散させる機能を有するものが好適に用いられる。このような高分子分散剤の例としてはアニオン性高分子分散剤およびノニオン性高分子分散剤が挙げられる。
【0058】
(アニオン性高分子分散剤)
親水性基としてのモノマーと疎水性基としてのモノマーの重合体およびその塩等が挙げられる。親水性基としてのモノマーの具体例としては、例えば、スチレンスルホン酸、α、β−エチレン性不飽和カルボン酸、α、β−エチレン性不飽和カルボン酸誘導体、アクリル酸、アクリル酸誘導体、メタクリル酸、メタクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマル酸およびフマル酸誘導体が挙げられる。
【0059】
なおここで塩とは具体的には水素、アルカリ金属、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオン、ホスホニウムイオン、スルホニウムイオン、オキソニウムイオン、スチボニウムイオン、スタンノニウム、ヨードニウム等のオニウム化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また上記重合体やその塩に、ポリオキシエチレン基、水酸基、アクリルアミド、アクリルアミド誘導体、ジメチルアミノメチルメタクリレート、エトキシエチルメタクリレート、ブトキシエチルメタクリレート、エトキシトリエチルメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルアルコールおよびアルキルエーテル等を適宜付加してもよい。
【0060】
(ノニオン性高分子分散剤)
ノニオン性高分子分散剤の例は、ポリビニルピロリドン、ポリプロピレングリコール、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体等を含む。
上記した第1の顔料、第2の顔料及び高分子分散剤は、適宜その組み合わせを選択し、水性媒体に分散、溶解せしめることによって本態様のインクを得ることができるが、第1の顔料として、少なくとも1つのアニオン性の基が直接もしくは他の原子団を介して顔料の表面に結合されている自己分散型の顔料を用いる場合には、高分子分散剤としてアニオン性の高分子分散剤およびノニオン性の高分子分散剤から選ばれる少なくとも一方を組み合わせて含有させることで、良好なインクの安定性を確保することが出来る。
第2の顔料とそれを分散させる高分子分散剤とのインク中での割合は重量比で5:0.5〜5:2が好ましい。
【0061】
(水性媒体)
第1及び第2の顔料の分散媒となる水性媒体としては、水溶性有機溶剤が用いられる。この水溶性有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ペンタノール等の炭素数1〜5のアルキルアルコール類;ジメチルモルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトナルコール等のケトン又はケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のオキシエチレンまたはオキシプロピレン共重合体;エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール等のアルキレン基が2〜6の炭素原子を含むアルキレングリコール類;グリセリン;エチレングリコールモノメチル(またはエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(またはエチル)エーテル、トリエチレングリコール(またはエチル)エーテル等の低級アルキルエーテル類;トリエチレングリコールジメチル(又はエチル)エーテル、テトラエチレングリコールジメチル(またはエチル)エーテル等の多価アルコールの低級ジアルキルエーテル類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類;スルホラン、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。これらの水溶性有機溶剤は、単独でもあるいは混合物としても使用することができる。
【0062】
(高速吸収紙)
本発明における高速吸収紙の具体的な例として、以下を挙げる。
【0063】
[高速吸収紙の実施例]
原料パルプとして市販のLBKPをダブルディスクリファイナーによって叩解してカナディアンスタンダードフリーネス(C.S.F.)300mlの叩解原料(A)を得た。同様に市販のLBKPを基層と同じ装置で叩解して同450mlの叩解原料(B)を得た。叩解原料(A)と叩解原料(B)を乾燥重量比換算で9:1の割合で混合して抄紙原料を調整した。
【0064】
特開平9−99627号公報の実施例1に記載されているベーマイト構造のアルミナ水和物をイオン交換水に分散して固形分濃度10重量%のアルミナ水和物分散液を調整した。カチオン性樹脂としてワイステックスH−90(商品名、ナガセ化成工業社製、有効成分45%)をイオン交換水と混合して有効成分量10重量%のカチオン性樹脂分散液を調整した。このアルミナ水和物分散液とカチオン性樹脂分散液を1:1の割合で混合してオンマシン塗工液を調整した。
【0065】
上記抄紙原料を用いて長網抄紙機で坪量80g/m2に調節して抄紙し、2ロールサイズプレス装置で前記オンマシン塗工液を片面あたり4g/m2(アルミナ水和物2g/m2、カチオン性樹脂2g/m2)の量で塗工し、さらにスーパーカレンダーで表面を平滑化して被記録媒体を得た。手触りは普通紙と同じであった。
【0066】
[高速吸収紙のその他の実施例]
原料パルプとして市販のLBKPをダブルディスクリファイナーによって叩解してカナディアンスタンダードフリーネス(C.S.F.)300mlの叩解原料(A)を得た。同様に市販のLBKPを基層と同じ装置で叩解して同450mlの叩解原料(B)を得た。叩解原料(A)と叩解原料(B)を乾燥重量比換算で9:1の割合で混合して抄紙原料を調整した。
【0067】
特開平9−99627号公報の実施例1に記載されているベーマイト構造のアルミナ水和物をイオン交換水に分散して固形分濃度10重量%のアルミナ水和物分散液を調整した。カチオン性樹脂としてワイステックスH−90(商品名、ナガセ化成工業社製、有効成分45%)をイオン交換水と混合して有効成分量10重量%のカチオン性樹脂分散液を調整した。このアルミナ水和物分散液とカチオン性樹脂分散液を1:1の割合で混合して混合塗工液を調整した。
【0068】
市販の粗塩化希土をイオン交換水に分散して固形分濃度3重量%の水分散液を作成した。
【0069】
上記抄紙原料を用いて長網抄紙機で坪量80g/m2に調節して抄紙し、2ロールサイズプレス装置で前記アルミナ水和物とカチオン性樹脂の混合塗工液を乾燥固形分換算で片面あたり4g/m2(アルミナ水和物2g/m2、カチオン性樹脂2g/m2)の量で塗工し、次に2段目のサイズプレス装置で前記粗塩化希土分散液を乾燥固形分換算で片面あたり0.5g/m2塗工した。さらにスーパーカレンダーで表面を平滑化して被記録媒体を得た。
【0070】
(その他)
なお、本発明は、特にインクジェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために利用されるエネルギとして熱エネルギを発生する手段(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エネルギによりインクの状態変化を生起させる方式の記録ヘッド、記録装置において優れた効果をもたらすものである。かかる方式によれば記録の高密度化,高精細化が達成できるからである。
【0071】
その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4723129号明細書,同第4740796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド型,コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持されているシートや液路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体(インク)内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成長,収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも1つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4463359号明細書,同第4345262号明細書に記載されているようなものが適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4313124号明細書に記載されている条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことができる。
【0072】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明によれば、インクと処理液を用いて記録を行うにあたり、使用する記録媒体の種類(例えば、普通紙、高速吸収紙)に応じて、インクと処理液の付与順序を適切に異ならせているので、記録媒体の種類に適合した最適な付与順序で記録を行うことができ、その結果、定着性の向上および高濃度化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1におけるシリアルスキャンのインクジェット記録装置の斜視図である。
【図2】実施例2におけるフルラインのインクジェット記録装置の断面図である。
【図3】実施例3におけるフルラインのインクジェット記録装置の断面図である。
【図4】図1に示されるインクジェット記録装置の制御ブロック図である。
【符号の説明】
101 記録ヘッド
103 記録媒体
105 給紙部
107 キャリッジ
108 インクタンク
109 ガイドレール
111 記録媒体搬送ベルト
115 給紙部
116 給紙部
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法に関し、詳しくは記録媒体に付与したインクの浸透性を調節する処理液を用いるインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
記録ヘッドよりインクを記録媒体に吐出して記録を行うインクジェット記録装置は、小型化が容易であり、かつカラー記録が安価に実現できるなどの理由により、急速に普及している。インクジェット記録装置におけるカラー記録は、記録媒体の同一画素に対して、イエロー、シアン、マゼンタといったカラーインクを打ち込むことにより、様々な色を表現している。したがって、ほぼ同時に複数色のインクが打ち込まれるため、画像品位の高いカラー記録を得るには、カラーインクのそれぞれは比較的浸透性の高いインクでなければならない。または、記録媒体表面に特殊な処理を施してインクの吸収性をよくした高速吸収紙を用いる必要がある。
【0003】
例えば、普通紙にカラー記録を行う場合は、カラーインクそれぞれに浸透性の高いインクが用いられる。しかしながら、浸透性の高いインクは、印字境界の滲み具合を表すエッジシャープネスが劣り、かつ光学濃度であるODが低下しがちである。文字など黒のみの記録の場合、浸透性の高いインクでは、文字の輪郭がぼやけ、さらに黒色の発色が不鮮明になるので、浸透性の低いインクに比べ、記録品位が落ちてしまう。このような問題を解決するために従来では、高浸透性のインクを用いるのではなく、記録媒体へ色材を含むインクを付与した後に、続いて、前記インクと液体状で混合されて反応し、記録媒体への定着性を上げることのできる処理液を付与するという方法がある。
【0004】
例えば、特開平11−245394号公報に記載されているように、色材を含む非浸透性のインクと高浸透性の処理液とを用いて普通紙に記録を行う場合、先にインクを吐出し、その上に処理液を付与することで、短い定着時間でインクを普通紙に定着させることができる。さらにODの高い高品位な画像を得ることができる。
【0005】
また、昨今のインクジェット記録装置に求められている高速記録を実現するためには、より高速な定着を求める必要がある。この1つの解決方法としてインクがより高浸透となるような紙(高速吸収紙)を使用する方法がある。この紙は処理液を用いずに色材を含むインクだけを用いてもインクをすばやく定着させることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなインクが浸透しやすい紙(高速吸収紙)を用いている上に、さらにインクに続いて処理液を付与してしまうと、処理液を使用しないでインク単独だけで記録した場合に比べてODが低くなる場合がある。これは、色材を含むインクが高浸透性の記録媒体(高速吸収紙)に付与されると、すぐにインクに含まれる色材が記録媒体に浸透し始めている上に、続けて処理液が付与されるので色材の浸透速度がさらに速くなり、紙の深さ方向へ深く浸透し、紙表面に残る色材が少なくなるからである。
【0007】
以上から明らかなように、インクと処理液を用いて記録を行うにあたり、普通紙に対してインク、処理液の順で吐出すると定着時間の短縮が図れるため好ましいが、高速吸収紙に対してインク、処理液の順で吐出すると、定着時間の点では好ましいものの、画像濃度が低下してしまうという問題がある。本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、インクと処理液とを用いて記録を行うにあたり、記録媒体の種類(普通紙、高速吸収紙等)によらず、画像濃度(OD値)を極力低下させずにより高速でインクを定着させることができるインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のインクジェット記録装置は、色材を含むインクを吐出するためのインク用記録ヘッドと、前記インクと反応してインクの記録媒体への浸透性を高める処理液を吐出するための処理液用記録ヘッドとを用い、前記各記録ヘッドから記録媒体へ前記インクおよび処理液を吐出して記録を行うインクジェット記録装置において、記録に使用する記録媒体の種類に応じて、記録媒体への前記インクと前記処理液の付与順序が異なることを特徴とする。
【0009】
詳しくは、前記記録媒体の種類が普通紙の場合、前記インク用記録ヘッドがインクを吐出した後、前記処理用記録ヘッドが処理液を吐出し、前記記録媒体の種類が前記普通紙よりもインク浸透性の高い媒体である場合、前記処理液用記録ヘッドが処理液を吐出した後、前記インク用記録ヘッドがインクを吐出することを特徴とする。
【0010】
また、本発明のインクジェット記録方法は、色材を含むインクを吐出するインク用記録ヘッドと、前記インクと反応してインクの記録媒体への浸透性を高める処理液を吐出する処理液用記録ヘッドとを用い、前記各記録ヘッドから記録媒体へインクおよび処理液を吐出して記録を行うインクジェット記録方法において、記録に使用する記録媒体の種類に応じて、記録媒体への前記インクと前記処理液の付与順序を異ならせることを特徴とする。
【0011】
以上の構成によれば、インクと処理液を用いて記録を行うにあたり、使用する記録媒体の種類(例えば、普通紙、高速吸収紙)に応じて、インクと処理液の付与順序を適切に異ならせているので、記録媒体の種類に適合した最適な付与順序で記録を行うことができ、その結果、定着性の向上および高濃度化を実現できる。特に、記録媒体が普通紙の場合は、インク、処理液の順に記録媒体に付与し、普通紙よりもインク浸透性の高い高速吸収紙の場合は、処理液、インクの順に記録媒体に付与することで、インクの色材が必要以上に記録媒体の深さ方向に深く浸透してしまうことを抑制して高濃度化を実現できると共に、短時間でのインク定着が可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
本実施形態のインクジェット記録装置は、インク(特にブラックインク)と処理液の記録媒体へ付与する順序を普通紙と高浸透性の記録媒体(高速吸収紙)とで異ならせることによって、いかなる種類の記録媒体であっても、常に良好な記録結果を得ようとするものである。つまり、浸透性の比較的悪い普通紙においては、ブリーディング低減のために、ブラックインクの定着速度を速めることが必要である。そこで、ブラックインクが吐出された後に処理液を付与することで、処理液がブラックインク本来の浸透速度を速めるので、より早く普通紙に定着することになる。つまり、インクを吐出した後に処理液を付与するという順序は、インク本来の浸透速度をより速める方向に作用するといえる。したがって、もともとインクの浸透速度が速い高速吸収紙において、インク付与後に処理液を付与すると、必要以上にインク浸透速度が速まってしまい、深さ方向の深い地点までインクが沈み込んでしまうことになる。
【0014】
一方、インクと処理液の記録媒体への付与順序を反転させることによって、以下の現象が起こると推察される。すなわち、高浸透性である処理液が高速吸収紙に付与されると、処理液は記録媒体の深さ方向へ浸透を始めるが、組成の一部は、記録媒体表面に残存する。続いてインクを付与すると、記録媒体の表面に残存している処理液の一部と色材が反応し、色材が記録媒体の表面に定着する。この現象によって、色材が表面に留まり、高ODが達成されると考えられる。
このように、普通紙に記録する場合と高速吸収紙に記録する場合とで、インク及び処理液の付与順序を変更することで高速吸収紙におけるODアップによる画質向上を達成できる。
【0015】
【実施例】
本発明の実施例について、図を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこのような実施例に限らず、これをさらに組み合わせたり、同様な課題を内包する他の分野の技術にも応用することができる。
【0016】
(実施例1)
図1は本実施例に係るシリアルタイプのインクジェット記録装置の斜視図であり、図2は概略構成を示す側面図である。
【0017】
インクジェット記録装置1は、X軸方向に走査可能な記録ヘッド101を備える。記録ヘッド101は、インク色ごとに分かれており、ブラックヘッド101Bk、シアンヘッド101C、マゼンタヘッド101M、イエローヘッド101Y、処理液ヘッド101Sの4種類となっている。また、各ヘッド101にはインクタンク108が接続されており、このインクタンク108内のインクまたは処理液がそれぞれ記録ヘッド101までインク路を経由して充填されている。インクタンク101は色別に分かれており、本実施例では、ブラックインクタンク108Bk、シアンインクタンク108C、マゼンタインクタンク108M、イエローインクタンク108Y,処理液インクタンク108Sである。これらは着脱可能なカートリッジとなっている。なお、インクタンクおよび記録ヘッドの並びは矢印X方向にブラック、処理液、シアン、マゼンタ、イエローの順となっている。
【0018】
この記録ヘッド101とインクタンク108とがキャリッジ107に搭載されている。このキャリッジ107は、ガイドレール109に沿って、不図示の駆動力によってX軸方向に往復走査が可能である。
【0019】
103は記録媒体であり、給紙トレイ105に積載されている。記録時は、そのうちの一枚が不図示の給紙ローラによってピックアップされ、記録ヘッド101と対峙する位置まで搬送される。キャリッジ107の走査に伴い、記録ヘッド101は記録媒体103にインクおよび処理液を吐出して記録を行う。記録媒体の一方端までキャリッジが移動すると、記録媒体103は搬送ローラによって所定量だけ矢印Y方向に搬送される。この紙送りが終わると、再度キャリッジが移動し、記録ヘッドによる記録が行われる。このように記録と紙送りとを繰り返すことにより、記録媒体103に画像が形成される。記録が終了すると、記録媒体103は不図示の排紙トレイに排出される。
【0020】
記録ヘッド101は、記録媒体と対峙する面に複数のノズルを配列しており、配列方向は矢印Y方向に略平行である。各ノズルには電気熱変換体が設けられており、記録時はこの電気熱変換体に電気信号を印加すると、インク中に気泡が発生し、該気泡の生成圧力によってインクを所定量だけ吐出することができる。なお、本実施例はこのようなバブルスルー方式で吐出を行うものとしたが、ピエゾ方式など他の方式で吐出を行うものでもよい。
【0021】
図4は、図1に示されるインクジェットプリンタ1の制御ブロック図である。同図に示されるように、インクジェットプリンタ1は、プリンタ全体の制御手段として機能するMPU50を含む。このMPU50には、バスラインを介してRAM51およびROM52が接続されている。RAM51は、各種データを一時的に保持等する受信バッファRB、プリントバッファPB、および、各種制御に伴う演算処理の作業領域として用いられるワークラムWRを有する。また、ROM52には、各種制御用プログラム等が記憶されている。
【0022】
更に、MPU50には、バスラインを介して入出力インターフェース53が接続されており、この入出力インターフェース53には、外部のホストコンピュータHCが接続される。また、上述の記録ヘッド101は、ヘッド駆動回路54を介して入出力インターフェース53に接続されており、MPU50によって制御される。同様に、キャリッジ駆動用のCRモータM1は、CRモータドライバ55を介して、給紙用のLFモータM2は、LFモータドライバ56を介して、入出力インターフェース53に接続されている。用紙送り用の送りモータM3および回復装置15も同様に、ドライバ57,58を介して入出力インターフェース53に接続されている。
【0023】
なお、ユーザインタフェース(UI)として不図示の入出力手段が設けられており、ユーザは適宜必要な情報を入力することができる。この入出力手段から入力された情報は前記制御部MPUへ送られ、制御部MPUはこの情報に従い、各駆動部へ駆動指令を出す。また、ユーザインタフェース(UI)として入出力手段はプリンタ側ではなく、ホスト側にあってもよい。つまり、ホストコンピュータのプリンタドライバによる表示画面を上記ユーザインタフェースとして用いてもよい。
【0024】
また、以上の構成において、各記録ヘッド間距離は1/2インチである。従って、ヘッド101Bk1と101Sとの距離は1/2インチとなり、また、走査方向の記録密度が720dpi、各ヘッドの吐出周波数は7.2kHzであることから、ヘッド101Bkの顔料インクが吐出されてから、ヘッド101Sの処理液が吐出されるまでの時間は0.1secとなる。
【0025】
また、ブラックのインクについては、浸透速度の比較的遅いインク(以下、「上乗せ系インク」という)を用い、処理液およびシアン、マゼンタ、イエローの各インクは浸透速度の速いそれぞれの処理液およびインク(以下、「高浸透性インク」という)を用いる。
【0026】
本実施例で使用する処理液および各インクの組成は次の通りである。なお、各成分の割合は重量部で示したものである。
[処理液]
ポリアリルアミン 3部
酢酸 3部
塩化ベンザルコニウム 0.5部
グリセリン 7部
ジエチレングリコール 5部
アセチレノールEH 2部
(川研ファインケミカル製)
水 残部
[イエロー(Y)インク]
C.I.ダイレクトイエロー86 3部
グリセリン 5部
ジエチレングリコール 5部
アセチレノールEH 1部
(川研ファインケミカル製)
水 残部
[マゼンタ(M)インク]
C.I.アシッドレッド289 3部
グリセリン 5部
ジエチレングリコール 5部
アセチレノールEH 1部
(川研ファインケミカル製)
水 残部
[シアン(C)インク]
C.I.ダイレクトブルー199 3部
グリセリン 5部
ジエチレングリコール 5部
アセチレノールEH 1部
(川研ファインケミカル製)
水 残部
[ブラック(Bk)インク]
顔料分散液 25部
グリセリン 6部
ジエチレングリコール 5部
アセチレノールEH 0.1部
(川研ファインケミカル製)
水 残部
【0027】
これらインクおよび処理液を吐出する記録ヘッド群(101Bk、101S、101C、101M、101Y)は、ガイドレール109に沿って往復走査が可能であり、普通紙と高速吸収紙とで記録方法が異なる。
【0028】
給紙部105へ普通紙がセッティングされた場合には、記録ヘッド群は矢印X方向へ移動している時だけに記録をし、矢印Xと反対方向へ移動する時には記録をしない。このように制御することによって、記録媒体にブラックインクが付与された後に処理液を付与することになる。一方、カラーインクに関しては処理液が先に付与されてから付与されることになる。
【0029】
ブラックの後に処理液を付与することによって、ブラックインクの定着性がよくなり、定着時間も短くなる。また普通紙自体は浸透性が低いので、ブラックインクが必要以上に深さ方向に深く浸透してしまうことがなく、良好な画像品位を得ることができる。
【0030】
給紙部105へ高速吸収紙がセッティングされた場合には、記録ヘッド群は矢印X方向へ移動している時には記録をせず、Xと反対方向へ移動しているときに記録を行う。このように制御することによって、記録媒体に処理液が付与された後にブラックインクを付与することになる。処理液の後にブラックインクを付与することによって、深さ方向に色材が必要以上に沈み込むことはなく、記録媒体表面に黒の色材を残すことができる。良好な定着性、短い定着時間という利点を生かしつつ、かつODが高い記録を行うことができる。
【0031】
なお、記録に使用する記録媒体が普通紙であるか高速吸収紙であるかの判別は、ユーザが入力手段(プリンタに設けられた記録媒体選択スイッチ、あるいはホストコンピュータのプリンタドライバ)において記録媒体に種類に関する情報を入力し、プリンタの制御部MPUがその入力された情報から現在給紙されている記録媒体の種類を判別する形態が考えられる。この形態の場合、プリンタの制御部MPUがその記録媒体の種類に応じて記録を行う走査方向を決定するので、インクと処理液の付与順序がプリンタ側で決定されることになる。一方、ホストコンピュータのプリンタドライバにおいて入力された記録媒体に種類に関する情報に基づいて、プリンタドライバ側で記録を行う走査方向を決定し、その走査方向に関するコマンドをプリンタに送信し、プリンタはその情報を受信することで記録媒体の種類に応じた記録を行う形態としてもよい。この形態の場合、インクと処理液の付与順序がホストコンピュータのプリンタドライバ側で決定されることになる。このように、インクと処理液の付与順序は、プリンタ側で決定してもよいし、ホスト側で決定してもよい。なお、下記実施例2〜4においても、インクと処理液の付与順序は、プリンタ側で決定してもよいし、ホスト側で決定してもよい。また、記録動作を行う前にテストプリントを記録媒体の端など目立たないところで行い、テストプリントで形成されるドットのドット径などを測定することによって、インクの浸透性を判断し、制御部はそのインクの浸透性から、記録を行う走査方向を決定するという形態でもよい。
【0032】
(実施例2)
図2は本実施例に係るフルラインタイプのインクジェット記録装置の概略構成を示す側面図である。
【0033】
このインクジェット記録装置1は、記録媒体の搬送方向(同図中、矢印A方向)にインク別に配置された複数のフルラインタイプの記録ヘッド(吐出部)によりインクおよび処理液を吐出して記録を行う。フルラインタイプの記録ヘッドは記録媒体の紙幅相当の長さを有しているため、実施例1のシリアルスキャンの記録ヘッドのように、記録媒体上を走査することなく、一度に記録を行うことができる。この記録ヘッド群がインクおよび処理液を吐出すると、矢印A方向に所定量だけ記録媒体が搬送される。この紙送り動作と前記記録動作とを繰り返すことにより、記録媒体全体に記録を行うことができる。むろん、搬送と記録は実質的に同時でも良い。
【0034】
記録に使用する記録媒体を普通紙とする場合には、普通紙103を給紙部115にセッティングし、記録ヘッド群101gと記録媒体搬送ベルト111との間を通過し、排紙される。記録媒体搬送ベルトは不図示の制御機構によって、記録媒体を静電搬送する。また、インクおよび処理液を高速に吸収する性質をもつ記録媒体(高速吸収紙)を記録紙103として用いる場合には、記録紙103を給紙部116にセッティングし、記録ヘッド群101gと記録媒体搬送ベルト111との間を通過し、排紙される。記録ヘッド101Bk、101S、101C、101Mおよび101Yはそれぞれ、記録媒体がその直下を通過する時に、ブラックインク、処理液、シアンインク、マゼンタインクおよびイエローインクを吐出する印字ヘッドである。記録ヘッドは実施例1と同様に複数のノズルが配列されており、各ノズルに設けられた電気熱変換体を発熱させることで吐出を行うバブルスルー方式である。
【0035】
このように本実施例では、普通紙と高速吸収紙によって、給紙部・記録媒体搬送方向を変更することによって、ブラックインクと処理液の付与順序が異なるようにしている。普通紙記録時には給紙部115に給紙され、矢印A方向に搬送されていくので、ブラックインク、処理液の順で付与されることになる。一方、高速吸収紙印字時には記録媒体は給紙部116に給紙され、矢印Aと本体方向に搬送されていくので、処理液、ブラックの順で付与されることになる。したがって、普通紙、高速吸収紙のそれぞれが実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0036】
なお、ブラックインクと処理液の記録ヘッドの配置は逆になっていてもよく、この場合は、給紙部に給紙する記録媒体の種類も逆になり、給紙部116に普通紙が給紙されることになる。
【0037】
(実施例3)
上記実施例2では、記録に使用する記録媒体が普通紙であるか高速吸収紙であるかに応じて記録媒体の搬送方向を変え、これによりインクと処理液の付与順序を異ならせているが、本実施例では、記録媒体の搬送方向は変えずに、ブラックインク用ヘッドと処理液用ヘッドの位置を変えることによりインクと処理液の付与順序を異ならせている。
【0038】
図3(a)及び(b)は、本実施例に係るフルラインタイプのインクジェット記録装置の概略構成を示す側面図である。
【0039】
このインクジェット記録装置1は、記録媒体が普通紙である場合には、図3(a)のように、記録媒体の搬送方向(同図中、矢印A方向)にインク別に配置された複数のフルラインタイプの記録ヘッド(吐出部)によりインクおよび処理液を吐出して記録を行う。すなわち、図3(a)に示されるように、記録媒体が普通紙である場合は、ブラックインク用ヘッドを搬送方向上流側に配置し、処理液用ヘッドを搬送方向下流側に配置する。
【0040】
一方、記録媒体が高速吸収紙である場合には、図3(b)のように、記録媒体の搬送方向(同図中、矢印A方向)にインク別に配置された複数のフルラインタイプの記録ヘッド(吐出部)によりインクおよび処理液を吐出して記録を行う。すなわち、図3(b)に示されるように、記録媒体が高速吸収紙である場合は、処理液用ヘッドを搬送方向上流側に配置し、ブラックインク用ヘッドを搬送方向下流側に配置する。
【0041】
ここで、ヘッド配置の変更は、ヘッド配置変更手段により機械的に行われることが好ましい。すなわち、図3(a)・(b)に示されるように、記録媒体の種類に応じたヘッド配置となるように、使用する記録媒体が普通紙から高速吸収紙へ変更される度、あるいは高速吸収紙から普通紙へ変更される度に、ブラックインク用ヘッドと処理液用ヘッドの位置を入れ替えるのである。(実施例4)
【0042】
上記実施例すべてにおいて、使用するブラックインクを下記のものと置き換える構成にしてもよい。
[ブラック(Bk)インク]
顔料分散液1 25部
顔料分散液2 25部
グリセリン 6部
ジエチレングリコール 5部
アセチレノールEH 0.1部
(川研ファインケミカル製)
水 残部
【0043】
ここで、顔料分散液1および顔料分散液2は、以下のような製法によって作られるものでも良い。
(第1の顔料)
本実施形態のインクに用いることのできる第2の顔料としては、自己分散型の顔料を用いることができる。自己分散型の顔料とは、水溶性高分子化合物の分散剤を用いることなしに水、水溶性有機溶剤あるいはこれらを混合した液体に対して安定して分散状態を維持し、インクジェット記録技術を用いたオリフィスからの正常なインク吐出に支障を来すような、顔料同士の凝集体を該液体中で生じることのないような顔料を指す。
【0044】
(アニオン性自己分散CB)
このような顔料としては、例えば少なくとも1つのアニオン性基が直接もしくは他の原子団を介して顔料表面に結合させたものが好適に用いられ、具体的な例は、少なくとも1つのアニオン性基が直接あるいは他の原子団を介して表面に結合しているカーボンブラックを含むものである。
【0045】
このようなカーボンブラックに結合されているアニオン性基の例としては、例えば、−COOM、−SO3M、−PO3HM、−PO3M2等(但し、式中のMは水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、または、有機アンモニウムを表し、Rは炭素数1〜12の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基、置換基もしくは未置換のフェニル基又は置換基もしくは未置換のナフチル基を表す。)が挙げられる。ここでRが置換基を有するフェニル基、又は置換基を有するナフチル基である場合の置換基としては、例えば炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基等が挙げられる。
【0046】
上記「M」のアルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、また「M」の有機アンモニウムとしてはモノ乃至トリメチルアンモニウム、モノ乃至トリエチルアンモニウム、モノ乃至トリメタノールアンモニウム等が挙げられる。
【0047】
これらのアニオン性基の中で、特に−COOMや−SO3Mはカーボンブラックの分散状態を安定させる効果が大きいため好ましい。
【0048】
ところで上記した種々のアニオン性基は他の原子団を介してカーボンブラックの表面に結合したものを用いることが好ましい。他の原子団としては、例えば、炭素数1から12の直鎖状もしくは未置換のアルキレン基、置換もしくは未置換のフェニレン基または置換もしくは未置換のナフチレン基が挙げられる。ここでフェニレン基やナフチレン基に結合してもよい置換基の例としては、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基等が挙げられる。
【0049】
他の原子団を介してカーボンブラックの表面に結合させるアニオン性基の具体例としては、例えば、−C2H4COOM、−PhSO3M、−PhCOOM等(ただし、Phはフェニル基を表す)が挙げられるが、勿論、これらに限定されることはない。
【0050】
ところで上記したような種々の親水性基は、カーボンブラックの表面に直接結合させてもよい。あるいは他の原子団をカーボンブラック表面と該親水性基との間に介在させ、該親水性基をカーボンブラック表面に間接的に結合させてもよい。ここで他の原子団の具体例としては例えば炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、置換もしくは未置換のフェニレン基、置換もしくは未置換のナフチレン基が挙げられる。ここでフェニレン基およびナフチレン基の置換基としては例えば炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基等が挙げられる。また他の原子団と親水性基の組み合わせの具体例としては、たとえば−C2H4COOM、−Ph−SO3M、−Ph−COOM等(ただし、Phはフェニル基を表す)が挙げられる。
【0051】
ところで、本実施形態にかかるインクに含有させる自己分散型の顔料はその80%以上が0.05〜0.3μm、とくには0.1〜0.25μmの粒径のものであるものとすることが好ましい。
【0052】
(第2の顔料)
本実施形態のインクに用いることのできる第2の顔料は、インクの分散媒、具体的には例えば水性媒体に対して高分子分散剤の作用によって分散させることができる顔料が挙げられる。即ち、顔料粒子の表面に高分子分散剤が吸着した結果として初めて水性媒体に対して安定に分散させ得るような顔料が好適に用いられる。そしてそのような顔料としては、例えば黒色顔料としては、例えばファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック顔料が挙げられる。このようなカーボンブラック顔料の具体例としては、例えば下記のものを単独で、あるいは適宜組み合わせて用いることができる。
カーボンブラック顔料:
・レイヴァン(Raven)7000、レイヴァン5750、レイヴァン5250、レイヴァン5000ULTRA、レイヴァン3500、レイヴァン2000、レイヴァン1500、レイヴァン1250、レイヴァン1200、レイヴァン1190ULTRA−II、レイヴァン1170、レイヴァン1255(以上コロンビア社製)、
・ブラックパールズ(Black Pearls)L、リーガル(Regal)400R、リーガル330R、リーガル660R、モウグル(Mogul)L、モナク(Monarch)700、モナク800、モナク880、モナク900、モナク1000、モナク1100、モナク1300、モナク1400、ヴァルカン(Valcan)XC−72R(以上キヤボット社製)
・カラーブラック(Color Black)FW1、カラーブラックFW2、カラーブラックW2V、カラーブラック18、カラーブラックFW200、カラーブラックS150、カラーブラックS160、カラーブラックS170、プリンテックス(Printex)35、プリンテックスU、プリンテックスV、プリンテックス140U、プリンテックス140V、スペシャルブラック(Spetial Black)6、スペシャルブラック5、スペシャルブラック4A、スペシャルブラック4(以上デグッサ社製)
・No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上三菱化学社製)。
【0053】
他の黒顔料としてはマグネタイト、フェライト等の磁性体微粒子やチタンブラック等を挙げることができる。
【0054】
また以上で述べた黒色顔料以外に、青色顔料、赤色顔料等も用いることができる。
【0055】
該第1および第2の顔料を合わせた色材の量は、インク全量に対し、0.1〜15重量%、より好ましくは、1〜10%重量である。第1の顔料と第2の顔料の比率は、5/95〜97/3、より好ましくは10/90〜95/5の範囲が好ましい。さらに好ましくは、第1の顔料/第2の顔料=9/1〜4/6である。更に好ましい別の範囲は、第1の顔料が多い範囲である。このような第1の顔料が多い場合においては、インクとしての分散性はもちろん、ヘッドの吐出安定性、特に吐出効率や吐出口面の濡れが少ないことによる信頼性を含めた安定性が発揮される。
【0056】
また紙上でのインクの挙動として、高分子分散剤の吸着した第2の顔料が少ないインクで効果的に紙の表面にインクが広がるため、高分子分散剤による均一な薄膜が表面に形成されると推定され、その効果により画像の耐擦過性も向上する。
【0057】
上記第2の顔料を水性媒体に分散させる為の高分子分散は、例えば該第2の顔料の表面に吸着して該第2の顔料を水性媒体に安定して分散させる機能を有するものが好適に用いられる。このような高分子分散剤の例としてはアニオン性高分子分散剤およびノニオン性高分子分散剤が挙げられる。
【0058】
(アニオン性高分子分散剤)
親水性基としてのモノマーと疎水性基としてのモノマーの重合体およびその塩等が挙げられる。親水性基としてのモノマーの具体例としては、例えば、スチレンスルホン酸、α、β−エチレン性不飽和カルボン酸、α、β−エチレン性不飽和カルボン酸誘導体、アクリル酸、アクリル酸誘導体、メタクリル酸、メタクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマル酸およびフマル酸誘導体が挙げられる。
【0059】
なおここで塩とは具体的には水素、アルカリ金属、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオン、ホスホニウムイオン、スルホニウムイオン、オキソニウムイオン、スチボニウムイオン、スタンノニウム、ヨードニウム等のオニウム化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また上記重合体やその塩に、ポリオキシエチレン基、水酸基、アクリルアミド、アクリルアミド誘導体、ジメチルアミノメチルメタクリレート、エトキシエチルメタクリレート、ブトキシエチルメタクリレート、エトキシトリエチルメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルアルコールおよびアルキルエーテル等を適宜付加してもよい。
【0060】
(ノニオン性高分子分散剤)
ノニオン性高分子分散剤の例は、ポリビニルピロリドン、ポリプロピレングリコール、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体等を含む。
上記した第1の顔料、第2の顔料及び高分子分散剤は、適宜その組み合わせを選択し、水性媒体に分散、溶解せしめることによって本態様のインクを得ることができるが、第1の顔料として、少なくとも1つのアニオン性の基が直接もしくは他の原子団を介して顔料の表面に結合されている自己分散型の顔料を用いる場合には、高分子分散剤としてアニオン性の高分子分散剤およびノニオン性の高分子分散剤から選ばれる少なくとも一方を組み合わせて含有させることで、良好なインクの安定性を確保することが出来る。
第2の顔料とそれを分散させる高分子分散剤とのインク中での割合は重量比で5:0.5〜5:2が好ましい。
【0061】
(水性媒体)
第1及び第2の顔料の分散媒となる水性媒体としては、水溶性有機溶剤が用いられる。この水溶性有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ペンタノール等の炭素数1〜5のアルキルアルコール類;ジメチルモルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトナルコール等のケトン又はケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のオキシエチレンまたはオキシプロピレン共重合体;エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール等のアルキレン基が2〜6の炭素原子を含むアルキレングリコール類;グリセリン;エチレングリコールモノメチル(またはエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(またはエチル)エーテル、トリエチレングリコール(またはエチル)エーテル等の低級アルキルエーテル類;トリエチレングリコールジメチル(又はエチル)エーテル、テトラエチレングリコールジメチル(またはエチル)エーテル等の多価アルコールの低級ジアルキルエーテル類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類;スルホラン、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。これらの水溶性有機溶剤は、単独でもあるいは混合物としても使用することができる。
【0062】
(高速吸収紙)
本発明における高速吸収紙の具体的な例として、以下を挙げる。
【0063】
[高速吸収紙の実施例]
原料パルプとして市販のLBKPをダブルディスクリファイナーによって叩解してカナディアンスタンダードフリーネス(C.S.F.)300mlの叩解原料(A)を得た。同様に市販のLBKPを基層と同じ装置で叩解して同450mlの叩解原料(B)を得た。叩解原料(A)と叩解原料(B)を乾燥重量比換算で9:1の割合で混合して抄紙原料を調整した。
【0064】
特開平9−99627号公報の実施例1に記載されているベーマイト構造のアルミナ水和物をイオン交換水に分散して固形分濃度10重量%のアルミナ水和物分散液を調整した。カチオン性樹脂としてワイステックスH−90(商品名、ナガセ化成工業社製、有効成分45%)をイオン交換水と混合して有効成分量10重量%のカチオン性樹脂分散液を調整した。このアルミナ水和物分散液とカチオン性樹脂分散液を1:1の割合で混合してオンマシン塗工液を調整した。
【0065】
上記抄紙原料を用いて長網抄紙機で坪量80g/m2に調節して抄紙し、2ロールサイズプレス装置で前記オンマシン塗工液を片面あたり4g/m2(アルミナ水和物2g/m2、カチオン性樹脂2g/m2)の量で塗工し、さらにスーパーカレンダーで表面を平滑化して被記録媒体を得た。手触りは普通紙と同じであった。
【0066】
[高速吸収紙のその他の実施例]
原料パルプとして市販のLBKPをダブルディスクリファイナーによって叩解してカナディアンスタンダードフリーネス(C.S.F.)300mlの叩解原料(A)を得た。同様に市販のLBKPを基層と同じ装置で叩解して同450mlの叩解原料(B)を得た。叩解原料(A)と叩解原料(B)を乾燥重量比換算で9:1の割合で混合して抄紙原料を調整した。
【0067】
特開平9−99627号公報の実施例1に記載されているベーマイト構造のアルミナ水和物をイオン交換水に分散して固形分濃度10重量%のアルミナ水和物分散液を調整した。カチオン性樹脂としてワイステックスH−90(商品名、ナガセ化成工業社製、有効成分45%)をイオン交換水と混合して有効成分量10重量%のカチオン性樹脂分散液を調整した。このアルミナ水和物分散液とカチオン性樹脂分散液を1:1の割合で混合して混合塗工液を調整した。
【0068】
市販の粗塩化希土をイオン交換水に分散して固形分濃度3重量%の水分散液を作成した。
【0069】
上記抄紙原料を用いて長網抄紙機で坪量80g/m2に調節して抄紙し、2ロールサイズプレス装置で前記アルミナ水和物とカチオン性樹脂の混合塗工液を乾燥固形分換算で片面あたり4g/m2(アルミナ水和物2g/m2、カチオン性樹脂2g/m2)の量で塗工し、次に2段目のサイズプレス装置で前記粗塩化希土分散液を乾燥固形分換算で片面あたり0.5g/m2塗工した。さらにスーパーカレンダーで表面を平滑化して被記録媒体を得た。
【0070】
(その他)
なお、本発明は、特にインクジェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために利用されるエネルギとして熱エネルギを発生する手段(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エネルギによりインクの状態変化を生起させる方式の記録ヘッド、記録装置において優れた効果をもたらすものである。かかる方式によれば記録の高密度化,高精細化が達成できるからである。
【0071】
その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4723129号明細書,同第4740796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド型,コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持されているシートや液路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体(インク)内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成長,収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも1つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4463359号明細書,同第4345262号明細書に記載されているようなものが適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4313124号明細書に記載されている条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことができる。
【0072】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明によれば、インクと処理液を用いて記録を行うにあたり、使用する記録媒体の種類(例えば、普通紙、高速吸収紙)に応じて、インクと処理液の付与順序を適切に異ならせているので、記録媒体の種類に適合した最適な付与順序で記録を行うことができ、その結果、定着性の向上および高濃度化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1におけるシリアルスキャンのインクジェット記録装置の斜視図である。
【図2】実施例2におけるフルラインのインクジェット記録装置の断面図である。
【図3】実施例3におけるフルラインのインクジェット記録装置の断面図である。
【図4】図1に示されるインクジェット記録装置の制御ブロック図である。
【符号の説明】
101 記録ヘッド
103 記録媒体
105 給紙部
107 キャリッジ
108 インクタンク
109 ガイドレール
111 記録媒体搬送ベルト
115 給紙部
116 給紙部
Claims (10)
- 色材を含むインクを吐出するためのインク用記録ヘッドと、前記インクの記録媒体への浸透性を高める処理液を吐出するための処理液用記録ヘッドとを用い、前記インク用記録ヘッドおよび処理液用ヘッドから記録媒体へ前記インクおよび処理液を吐出して記録を行うインクジェット記録装置において、
記録に使用する記録媒体の種類に応じて、前記記録媒体への前記インクと前記処理液の付与順序が異なることを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記記録媒体の種類が普通紙の場合、前記インク用記録ヘッドがインクを吐出した後、前記処理液用記録ヘッドが処理液を吐出し、前記記録媒体の種類が前記普通紙よりもインク浸透性の高い媒体である場合、前記処理液用記録ヘッドが処理液を吐出した後、前記インク用記録ヘッドがインクを吐出することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
- 前記記録ヘッドを所定方向に走査させる走査手段と、
前記走査手段の走査方向と異なる方向へ前記記録ヘッドと前記記録媒体とを相対的に移動させる紙送り手段と、
前記走査手段による走査時に前記記録ヘッドが吐出を行う記録動作と、前記紙送り手段による紙送り動作とを繰り返すことにより画像を完成させる記録制御手段とを備え、
前記処理液用記録ヘッドおよび前記インク用記録ヘッドは前記走査方向にそれぞれ並列に配置され、
前記記録動作では記録ヘッドの走査方向先頭の記録ヘッドより吐出を行い、
前記走査手段は、前記記録媒体が普通紙の場合、前記インク用記録ヘッドの方が前記処理液用記録ヘッドよりも先頭となる走査方向へ前記記録ヘッドを走査させ、前記記録媒体が前記普通紙よりもインク浸透性の高い媒体である場合、前記処理液用記録ヘッドの方が前記インク用記録ヘッドよりも先頭となる走査方向へ前記記録ヘッドを走査させることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。 - 前記走査手段は往復走査を行い、前記記録媒体の種類に応じて、前記記録動作を往路または復路のみとすることを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録装置。
- 前記記録媒体と前記記録ヘッドとを相対的に所定方向へ移動させる紙送り手段と、
前記記録ヘッドが吐出を行う記録動作と、前記紙送り手段による紙送り動作とを繰り返し行うことにより画像を完成させる記録制御手段とを備え、
前記記録ヘッドはフルラインヘッドであり、
前記処理液用記録ヘッドおよび前記インク用記録ヘッドは、前記紙送り手段による紙送り方向に並列に配置され、
前記記録動作では、前記紙送り方向先頭の記録ヘッドより吐出を行い、
前記紙送り手段は、前記記録媒体が普通紙の場合、前記インク用記録ヘッドの方が前記処理液用記録ヘッドよりも先頭となる紙送り方向へ紙送りを行い、前記記録媒体が前記普通紙よりもインク浸透性の高い媒体である場合、前記処理液用記録ヘッドの方が前記インク用記録ヘッドよりも先頭となる紙送り方向へ紙送りを行うことを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。 - 前記紙送り手段の複数の紙送り方向ごとに前記記録媒体の給紙機構と排紙機構とを具えることを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録装置。
- 前記記録媒体と前記記録ヘッドとを相対的に所定方向へ移動させる紙送り手段と、
前記記録ヘッドが吐出を行う記録動作と、前記紙送り手段による紙送り動作とを繰り返し行うことにより画像を完成させる記録制御手段と、
前記処理液用記録ヘッドと前記インク用記録ヘッドとの紙送り方向におけるヘッド配置関係を変更する変更手段とを備え、
前記記録ヘッドはフルラインヘッドであり、
前記処理液用記録ヘッドおよび前記インク用記録ヘッドは、前記紙送り手段による紙送り方向に並列に配置され、
前記記録動作では、前記紙送り方向の下流側に位置する記録ヘッドよりも、前記紙送り方向の上流側に位置する記録ヘッドから先に前記記録媒体上の所定位置に対する記録を行い、
前記変更手段は、前記記録媒体が普通紙の場合、前記インク用記録ヘッドの方が前記処理液用記録ヘッドよりも紙送り方向の上流側に位置するようにヘッドを配置し、前記記録媒体が前記普通紙よりもインク浸透性の高い媒体である場合、前記処理液用記録ヘッドの方が前記インク用記録ヘッドよりも紙送り方向の上流側に位置するようにヘッドを配置することを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置 - 前記インクとして、ブラックインクを含み、
前記記録媒体に対する処理液の浸透性は、前記ブラックインクの浸透性よりも高いことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のインクジェット記録装置。 - 前記記録媒体の種類が普通紙の場合、前記インク用記録ヘッドがブラックインクを吐出した後、前記処理用記録ヘッドが処理液を吐出し、前記記録媒体の種類が前記普通紙よりもインク浸透性の高い媒体である場合、前記処理液用記録ヘッドが処理液を吐出した後、前記インク用記録ヘッドがブラックインクを吐出することを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録装置。
- 色材を含むインクを吐出するインク用記録ヘッドと、前記インクの記録媒体への浸透性を高める処理液を吐出する処理液用記録ヘッドとを用い、前記各記録ヘッドから記録媒体へインクおよび処理液を吐出して記録を行うインクジェット記録方法において、
記録に使用する記録媒体の種類に応じて、前記記録媒体への前記インクと前記処理液の付与順序を異ならせることを特徴とするインクジェット記録方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002183569A JP2004025556A (ja) | 2002-06-24 | 2002-06-24 | インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法 |
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JP2004025556A true JP2004025556A (ja) | 2004-01-29 |
Family
ID=31179747
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2002183569A Pending JP2004025556A (ja) | 2002-06-24 | 2002-06-24 | インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法 |
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JP (1) | JP2004025556A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007050555A (ja) * | 2005-08-16 | 2007-03-01 | Mimaki Engineering Co Ltd | インクジェットプリンタとそれを用いたプリント方法 |
JP2014012415A (ja) * | 2013-09-03 | 2014-01-23 | Seiko Epson Corp | 印刷装置 |
JP2014050968A (ja) * | 2012-09-05 | 2014-03-20 | Fujifilm Corp | キャリブレーション方法、キャリブレーション装置、印字方法および印字装置 |
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2002
- 2002-06-24 JP JP2002183569A patent/JP2004025556A/ja active Pending
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JP2014050968A (ja) * | 2012-09-05 | 2014-03-20 | Fujifilm Corp | キャリブレーション方法、キャリブレーション装置、印字方法および印字装置 |
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