JP6426729B2 - 会合及び凝集ナノ粒子の混合物を含有する硬化性歯科用組成物、これらの部分からなるキット、及びこれらの使用 - Google Patents

会合及び凝集ナノ粒子の混合物を含有する硬化性歯科用組成物、これらの部分からなるキット、及びこれらの使用 Download PDF

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Description

本発明は、歯科用充填材料、特にバルクフィル材料として有用な、又は、永久的複合型歯冠及びブリッジ、インレー、オンレー、並びにベニアなどの長期修復物の作製に有用な、歯科用組成物に関する。
複合型材料は歯科学において周知であり、例えば充填材料、永久的セメント、又は一時的歯冠及びブリッジ材料として使用できる。適用に応じて、それぞれ充填材量によって異なる複合型材料を区別できる。
充填用複合材料は、低磨耗性(低摩損性)などの良好な機械的特性を特徴とする、典型的に高度に充填される材料である。残念ながらその高い充填量によって、これらの材料は、時として脆性である傾向がある。
一時的歯冠及びブリッジ材料は、充填用複合材料と比べて充填材量が低い。これにより、多くの場合、弾性が改善されて破壊耐性が高くなるが、多くの場合、磨耗性又は摩損性の増加が伴って、これらの材料が長期的使用できなくなる。
歯冠などの歯科用修復物を作製するための市販のラボ用複合型材料は、診察室内又は治療用椅子のそばでの処置に使用できず、外部の歯科技工室の関与を必要とする。別の方法としては、Paradigm(商標)MZ 100(3M ESPE)などの複合型切削用ブロックは、診察室内又は治療用椅子のそばでの処置に使用できるが、極めて高価なCAD/CAM技術への投資を必要とする。
したがって、CAD/CAM技術への投資の必要がなく、診察室内又は治療用椅子のそばで複合型歯冠及びブリッジを製作することができる、上記材料特性を兼ね備える材料へのニーズがある。更に、患者及び歯科医は昨今、長時間持続する歯科用修復物に対する要求を増している。
欧州特許第2 167 013 A1号(3M)は、ウレタン基、尿素基、又はアミド基を含む多官能性(メタ)アクリレート含有歯科用組成物、その製造方法、及び使用方法に関する。
米国特許出願公開第2005/0234148 A1号(Heraeus)は、界面が少なくとも1つの隣接する粒子と融合している、200〜7000nmの無機粒子の0.5〜50μmの会合体からなる、歯科用材料向け会合無機充填材について説明する。国際公開第2012/057917 A1号(3M)は、ナノクラスター充填材の少なくとも50重量%の特定の樹脂系を含む未硬化歯科用修復組成物であって、第2の形状に形成されるのに十分に可鍛性である第1の形状を有する、未硬化歯科用修復組成物を含む、予備形成された半完成歯科用物品について説明する。
米国特許第6,730,156 B1号(Windischら)は、非重金属酸化物粒子と、重金属酸化物と、を含む、実質的に非晶質のクラスターを含む充填材に関する。この充填材を硬化性樹脂に混合し、所望の強度及び審美的特質を有する放射線不透過性歯科用材料を提供することができる。
具体的には、高い破壊耐性、低い摩損性、かつ十分な可撓性を備えて入手可能な、歯科用組成物を有することが望ましい。可能であれば、歯科用組成物を適用しやすくすることも必要である。理想的には、歯科用組成物が審美的に許容可能であることも必要である。
この目標は、本明細書に記載の歯科用組成物によって達成できる。
一実施形態では、本発明は、
−約30〜約70重量%の量の凝集ナノサイズ粒子を含む充填材(F1)と、
−約1〜約20重量%の量の会合ナノサイズ粒子を含む充填材(F2)と、
−少なくとも2つの官能基を有する、約450g/モル超の分子量を有する、ウレタン(メタ)アクリレートである硬化性成分(A1)と、
−少なくとも2つの成分(A1)と異なる官能基を有する、ラジカル重合性(メタ)アクリレートである硬化性成分(A2)と、
−レドックス開始剤系又は暗部硬化反応開始剤系と、を含む、歯科用組成物を特徴とする。
歯科用組成物は、典型的には、約10重量%を超える量で非会合ナノサイズ充填材(例えば、平均粒子サイズ約50nm未満)を含まない。
また本発明は、本明細書に記載される歯科用組成物と、
−混合手段と、
−歯科用印象材と、
−歯科用セメントと、のうち少なくとも1つ又は全ての部分と、からなる、キットにも関する。
また本発明は、歯冠、ブリッジ、インレー、オンレー、ベニアとして、又はこれらを製造するための、及びバルクフィル材料としての、本明細書に記載される歯科用組成物の使用にも関する。
定義
異なる定義がない限り、本明細書では、以下の用語は所与の意味を有するものとする:
「歯科用組成物」又は「歯科使用のための組成物」又は「歯科分野で使用するための組成物」は、歯科分野で使用することができる任意の組成物である。この点において、組成物は患者の健康にとって有害であってはならず、したがって、組成物から出て移動することのできる有害成分及び有毒成分は含まれない。歯科用組成物の例としては、永久的及び一時的歯冠及びブリッジ材料、人工歯冠、前部又は後部充填材料、接着剤、ミルブランク、ラボ材料、並びに歯列矯正装置が挙げられる。歯科用組成物は、典型的に、約30分間又は20分間又は10分間の時間枠内で、約15〜50℃又は約20〜40℃の温度範囲を含む周囲条件で固化し得る硬化性組成物である。高温は、患者に対して痛みを引き起こす可能性があり、患者の健康に有害であり得るため推奨されない。歯科用組成物は、典型的に、約0.1〜約100mL、又は約0.5〜約50mL、又は約1〜約30mLの範囲の体積である、同程度の少体積で施術者に提供される。したがって、有用な梱包装置の保存体積は、これらの範囲内である。
「硬化性成分又は材料」又は「重合性成分」は、例えば、加熱による重合、化学的架橋、放射線誘発性重合、又はレドックス開始剤を用いることによる架橋などによって硬化又は固化し得る任意の成分である。硬化性成分は、1つのみ、2つ、3つ、又はそれ以上の重合性基を含有してよい。重合性基の典型例としては、中でも(メチル)アクリレート基中に存在するビニル基のような、不飽和炭素基が挙げられる。「反応開始剤」は、硬化性組成物の硬化プロセスを開始又は惹起させることができる物質である。
「モノマー」は、オリゴマー又はポリマーに重合することが可能であり、それによって分子量が増加する重合性基((メタ)アクリレート基を含む)を有する、化学式によって特徴付けることができる任意の化学物質である。通常、モノマーの分子量は、与えられた化学式に基づいて単純に計算することができる。
本明細書で使用するとき、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」及び/又は「メタクリル」を指す略語である。例えば、「(メタ)アクリルオキシ」基は、アクリルオキシ基(すなわち、CH=CH−C(O)−O−)及び/又はメタクリルオキシ基(すなわち、CH=C(CH)−C(O)−O−)のいずれかを指す略語である。
「硬化(curing、hardening、又はsetting)反応」は互換的に使用され、個々の成分間の化学反応によって、組成物の粘度及び硬度などの物理的性質が経時的に変化する反応を指す。
「酸性基を含む重合性成分」は、エチレン性不飽和、並びに酸及び/又は酸前駆体官能基を有する、モノマー、オリゴマー、及びポリマーを含むことを意味する。酸性前駆体官能基としては、例えば、無水物、酸ハロゲン化物、及びピロリン酸塩が挙げられる。酸性基は、好ましくは、−COOH若しくは−CO−O−CO−などのカルボン酸残基、−O−P(O)(OH)OHなどのリン酸残基、C−P(O)(OH)OHなどのホスホン酸残基、−SOHなどのスルホン酸残基、又は−SOHなどのスルフィン酸残基のうち、1つ又は2つ以上を含む。
「粉末」とは、振蕩される又は傾けられる際に自由に流動することができる多数の微細な粒子からなる乾燥したバルク固体を意味する。
「粒子」は、幾何学的に測定できる形状を有する固体である物質を意味する。粒子は、典型的には、例えば粒度及び直径に関して分析され得る。
粉末の平均粒径は、粒度分布の累積曲線から得ることができ、ある粉末混合物の測定された粒度の算術平均として定義される。それぞれの測定は、市販の粒度計(例えばCILAS Laser Diffraction Particle Size Analysis Instrument)を用いて実施できる。
「ナノサイズ充填剤」は、その個々の粒子が、例えば、平均粒径約200nm未満、又は約100nm未満、又は約50nm未満のナノメートル範囲の寸法を有する充填剤である。米国特許第6,899,948号及び同第6,572,693号に有用な例が示されており、これらの特許の、特にナノサイズシリカ粒子に関する内容は、本明細書に参照として組み込まれる。
ナノ粒子の寸法測定は、好ましくは、TEM(透過電子顕微鏡法)法に基づくのが好ましく、これにより集団を分析して平均粒径を得る。粒径測定の好ましい方法を以下のように説明することができる。
厚さ約80nmの試料を、炭素安定化フォルムバール基板(SPI Supplies−Structure Probe,Inc.の一部門(West Chester,PA))付き200メッシュの銅グリッド上に配置する。透過型電子顕微鏡写真(TEM)を、200KVでJEOL200CX(JEOL,Ltd.(Akishima,Japan)、JEOL USA,Inc.より販売)を用いて得た。約50〜100粒子の集団寸法を測定することができ、平均直径を判定する。
「会合」は、通常は電荷又は極性により結合される粒子の弱い結合を説明しており、より小さな物質に分解され得る。会合粒子の比表面積は、会合体が作られる一次粒子の比表面積から本質的に外れていない(DIN 53206;1972参照)。
会合充填材は、例えば、Degussa、Cabot Corp、又はWackerから、Aerosil(商標)、CAB−O−SIL(商標)、及びHDKの製品名で市販されている。
「非会合充填材」は、充填材粒子が、樹脂中に、別個の結合していない(すなわち、会合も凝集もしていない)段階で存在することを意味する。所望の場合、TEM顕微鏡法でこれを証明できる。
非会合ナノサイズシリカは、例えば、Nalco Chemical Co.(Naperville,Ill.)から、製品名NALCO COLLOIDAL SILICAS、例えば、NALCO製品#1040、1042、1050、1060、2327及び2329として市販されている。例えば、欧州特許第2 167 013 B1号(3M)において、非会合充填材が使用され、記載されている。この参考文献の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書で使用するとき、「凝集」は、例えば残留化学処理又は部分焼結によって互いに結合していることが多い粒子の強い結合を説明する。凝集粒子の比表面積は、典型的には、凝集体が作られる一次粒子の比表面積より小さい(DIN 53206;1972参照)。
凝集体のより小さい物質への更なる分解は、凝集充填材を含有する組成物の表面に適用される研磨工程中に起こり得るが、凝集粒子の樹脂中への分散中には起こらない。
凝集充填材並びにこれらの製造及び表面処理プロセスは、例えば、国際公開第01/30304号及び米国特許第6,730,156号(3M)に記載されている。これらの参考文献の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
「樹脂内に分散した」は、充填材粒子が、会合粒子又は凝集粒子又は別個の(すなわち、結合も会合も凝集もしていない)粒子として、樹脂中に存在することを意味する。
「ウレタン基」は、「−NH−CO−O−」の構造を有する基である。
「尿素基」は、「−NH−CO−NH−」の構造を有する基である。
「アミド基」は、「−NH−CO−」の構造を有する基である。
「単位」は、化学分子の単一構築ブロック又はその部分構造である。単一単位は互いに連結する。典型的な単位として、CH−、−CH−、−O−、−S−、−NR−、−CO−、−CR=、
Figure 0006426729
−CR−が挙げられ、R及びRは、独立して、水素、直鎖アルキル基(C1、C2、C3、C4、C5、C6基を含む)、置換アルキル基(C1、C2、C3、C4、C5、C6基を含む)、アルケニル基(C1、C2、C3、C4、C5、C6基を含む)、シクロアルキル基(C4〜C14基を含む)、置換シクロアルキル基(C4〜C14基を含む)、アリールアルキル基(C7〜C20を含む)、アリール基(C6〜C14を含む)、又は置換アリール基(C7〜C20を含む)から選択される。これら単位は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、エステル基、ウレタン基、又はアミド基などの線状、分枝状、又は環状構造を形成することができる。
「連結要素」は、個々の(メタ)アクリレート含有側鎖を連結する中心として機能する要素である。連結要素は環状又は分枝状構造を有し得る。連結要素は、Nを含む単一の原子であってもよい。連結要素が環状構造を有する場合、飽和、不飽和若しくは芳香族同素環であってよく、すなわち、炭化水素若しくは置換炭化水素単位のみを含み、又は、飽和、不飽和若しくは芳香族複素環であってよく、すなわち、炭化水素若しくは置換炭化水素単位、並びに、−O−、−N=、−NH−、−NR−及び/若しくは−S−を含む少なくとも1つのヘテロ原子を含む。連結要素が分枝状構造を有する場合、該連結要素は、少なくとも3つ又は4つの個々の(メタ)アクリレート含有側鎖が延びているC又はNのような中心原子を含む。連結要素の化学構造とは独立に、連結要素に対する個々の(メタ)アクリレート含有側鎖の配置は、対称又は非対称であることができる。
「スペーサー基」は、化学的に定義された分子内の少なくとも2つの他の基を連結する基である。この基は置換又は非置換炭素鎖であることができ、更にはヘテロ原子(O、N及びSを含む)を含有することができ、又はカルボニル基のように機能する。
「歯科用印象材」は、歯肉などの歯牙構造の印象を採得するのに使用される材料である。歯科用印象材は、通常、歯科印象採得用トレーの上に適用される。歯科用印象材は異なる化学物質をベースにしてもよく、様々な化学反応(付加硬化材料及び縮合型硬化材料を含む)により架橋することができる。典型的な例には、シリコーンベースの印象材(例えばVPS材)、及びポリエーテルベースの印象材、並びにこれらの混合物が挙げられる。
「一時的歯冠及びブリッジ材料」は、歯科用歯冠及びブリッジを作製するのに使用する硬化性材料である。これら材料は、典型的には、歯科技工士が歯冠又はブリッジなどの永久的補綴物を作製するのに必要な期間の間使用される。これらの期間は、数日(1〜6日)、数週(1〜4週)又は数カ月(1〜6カ月)の間続く。長期歯冠及びブリッジ材料は、典型的には、約6〜24カ月の期間にわたって使用される。
長期歯冠及びブリッジ材料に対して、「永久的歯冠及びブリッジ材料」は、2年を超える、特に5年を超える期間にわたって使用できる。用語「可視光」は、約400〜約800ナノメートル(nm)の波長を有する光を指すために使用される。
「周囲条件」は、本発明の組成物が、保管及び取り扱い中に通常曝される条件を意味する。周囲条件は、例えば、約900〜約1100mbar(90〜約110kPa)の圧力、約−10〜約60℃の温度、及び約10〜約100%の相対湿度であり得る。技工室では、周囲条件は、約23℃及び約1013mbar(101.3kPa)に調整される。歯科及び歯列矯正分野では、周囲条件は、約950〜約1050mbar(約95〜約105kPa)の圧力、約15〜約40℃、の温度、及び約20〜約80%の相対湿度として合理的に理解される。
本明細書で使用するとき、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「該(the)」、「少なくとも1つ」及び「1つ以上」は、互換的に使用される。用語「含む(comprises)」又は「含有する(contains)」及びこれらの変形は、これら用語が説明及び特許請求の範囲で表示される場合、限定的な意味を有するものではない。用語「含んでいる(comprising)」は、より限定された表現の「から本質的になる(consisting essentially of)」及び「からなる(consisting of)」も包含する。
また、本明細書において、端点による数の範囲の列挙には、その範囲内に包含される全ての数が包含される(例えば、1〜5は1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。用語への「(s)」の付加は、その用語が単数形及び複数形を含むべきであることを意味する。例えば、用語「添加剤(s)」は、1つの添加剤及びそれ以上の数の添加剤(例えば、2、3、4、など)を意味する。
別途記載のない限り、明細書及び特許請求の範囲で使用される成分の量、下記のような物性の測定値などを表す全ての数は、全ての場合に用語「約」によって修飾されることが理解されるべきである。
本明細書に記載される組成物は、特に、高い磨耗耐性(すなわち、低い摩損性)、十分な可撓性、及び高い破壊耐性などの特性のバランスに対して、施術者のニーズを満たすことがわかっている。特定の樹脂マトリックスと組み合わせた、異なる充填材の特定量での組み合わせによって、一方では、高い充填材量を、他方では、よくバランスの取れた物理的特性と組み合わさった良好な取り扱い特性を有する、組成物の提供が可能である。
このことは、通常は達成することが難しい。高い充填材量は、典型的には、混合が難しく、固化した組成物の可撓性が不十分であることを伴う。一方、充填材量が低いと、典型的には混合を促進し、より良好な可撓性に寄与し得るが、通常は磨耗耐性が不十分になる。
その粘度特性によって、既知の混合及び分注システムから混合及び分注できるため、組成物の適用もしやすい。所望の場合、以下でより詳述する押出試験を用いてこれを検証できる。本明細書に記載される組成物は、施術者が、従来の一時的又は長期歯冠及びブリッジ材料と比べて、より長期間使用できる歯科用修復物を、患者に提供することが可能になる。組成物は、長期歯冠及びブリッジだけではなく、複合型材料ベースのインレー、オンレー及びベニアの作製に使用することもできる。また、バルクフィル材料としての使用も可能である。
更に、歯科用修復物を、治療用椅子のそばで、すなわち、歯科技工室が関与することなく作製できる。また、高価なCAD/CAM技術に投資する必要もない。本明細書に記載される歯科用組成物は、少なくとも2種類の充填材、充填材(F1)と充填材(F2)とを含む。歯科用組成物は、同等の高い充填材量を特徴とする。比較のため、典型的な一時的歯冠及びブリッジ材料の充填材量は、組成物全体の重量に対して約30〜約40重量%の範囲内にある。摩損耐性を高め、それによって患者の口腔内で長期間使用できる歯科用材料の提供が可能となるため、高い充填材量が有用であることがわかった。充填材(F1)は、凝集ナノサイズ粒子を含む。充填材(F1)の化学的性質は、本来の目的が達成できない場合を除いて、特に限定されない。
一実施形態によれば、充填材(F1)は、以下の特徴のうち少なくとも1つ又は全てを特徴とすることができる。
−約50〜約400、又は60〜約300、又は80〜約250m/gの比表面積
−SiO2、ZrO2、及びこれらの混合物からなる粒子を含む。
所望の場合、比表面積は、Brunauer、Emmet及びTeller(BET)に従って、Quantachromeから入手可能な装置(Monosorb)を用いることによって測定できる。
所望の場合、平均粒径は、例えば、Malvern Instrumentsから入手可能なMalvern Mastersizer 2000装置を用いて、光散乱法によって測定できる。充填材(F1)は、例えば、国際公開第01/30304号又は米国特許第6,730,156号に記載のプロセスに従って製造できる。
充填材(F1)は、好適なゾルと、塩、ゾル、溶液、又はナノサイズ粒子であってよい(これらの中でもゾルが好ましい)1つ又は2つ以上の酸素含有重金属化合物溶液前駆体から調製できる。本発明の目的のため、ゾルを、液体中のコロイド固体粒子の安定分散体として定義する。固体粒子は、典型的には周囲の液体より密度が高く、分散力が重力より大きくなるように十分に小さい。加えて、粒子は、通常は可視光を屈折させないように十分に小さい寸法を有する。前駆体ゾルを適切に選択すると、所望の程度の視覚的不透明度、強度などをもたらす。ゾルの選択を導く因子は、a)個々の粒子の平均径、好ましくは直径約100nm未満、b)酸度、ゾルのpHは、好ましくは約6未満、より好ましくは約4未満でなくてはならない、及びc)ゾルは、噴霧乾燥又はか焼などの後続工程中、容易に分散又は移動できず、それによって半透明性及び研磨性を低下させるより大きい寸法の粒子に、個々の別個の粒子を過度に凝集(充填材調製プロセス中)させる、不純物を含んではならない、という特性の組み合わせに依存する。
出発ゾルが塩基性である場合、例えば、硝酸又はその他好適な酸を添加してpHを下げることによって、酸性化しなくてはならない。しかしながら、塩基性の出発ゾルを選択することは、追加工程を必要とし、望まれない不純物の導入の原因となり得ることから望ましくない。好ましくは回避される典型的な不純物は、金属塩、特にアルカリ金属塩、例えばナトリウムである。
非重金属ゾル及び重金属酸化物前駆体を合わせて、好ましくは、硬化性樹脂の屈折率が一致するモル比で混合する。これにより、低く、望ましい視覚的不透明度が付与される。好ましくは、非HMO:HMOで表される非重金属酸化物(「非HMO」)対重金属酸化物(「HMO」)のモル比範囲は、約0.5:1〜約10:1、より好ましくは約3:1〜約9:1、最も好ましくは約4:1〜7:1である。
凝集ナノサイズ粒子がシリカ及びジルコニウム含有化合物を含む好ましい実施形態では、調製方法は、約5.5:1のモル比のシリカゾルと酢酸ジルコニルの混合物から開始する。
非重金属酸化物ゾルを重金属酸化物前駆体と混合する前に、非重金属酸化物ゾルのpHを、好ましくは低下させ、約1.5〜約4.0のpHを有する酸性溶液を準備する。その後、非重金属酸化物ゾルを、重金属酸化物前駆体を含む溶液とゆっくりと混合し、激しく撹拌する。好ましくは、ブレンドプロセスの間ずっと、激しい撹拌を行う。続いて、溶液を乾燥し、水及びその他揮発性成分を除去する。乾燥は、例えば、トレー乾燥、流動床、及び噴霧乾燥などの様々な方法で達成できる。酢酸ジルコニルを用いる好ましい方法では、噴霧乾燥による乾燥。
得られた乾燥物質は、好ましくは、小さい実質的に球状の粒子、並びに壊れた中空球から構成されている。次に、これらの画分をバッチ式でか焼し、残留有機物を更に除去する。残留有機物を除去すると、充填材がより脆性になり、更に効率よく粒径を小さくすることが可能になる。か焼中、浸漬温度を、好ましくは約200℃〜約800℃、より好ましくは約300℃〜約600℃に設定する。浸漬は、か焼される材料の量に応じて、約0.5時間〜約8時間行われる。か焼工程の浸漬時間を、平坦な表面積が得られるようにすることが好ましい。時間及び温度を、目視検査で判定するとき、得られる充填材が白色であり、黒色、灰色、又は琥珀色の粒子を含まないように選択することが好ましい。
その後、か焼した材料を、好ましくは、Sedigraph 5100(Micrometrics(Norcross,Ga.))を用いることによって測定し得るとき、約5μm未満、好ましくは2μm未満(体積基準で)の中央粒径まで粉砕する。粒径測定は、Accuracy 1330 Pycometer(Micrometrics(Norcross,Ga.))を用いて、充填材の比重を最初に得ることによって行うことができる。例えば、撹拌ミル、振動ミル、流体エネルギーミル、ジェットミル、及びボールミルなどの様々な方法によって、粉砕を達成できる。ボールミルが好ましい方法である。
得られた充填材は、凝集ナノサイズ粒子を含む、含有する、から本質的になる、又は、からなる。所望の場合、透過電子顕微鏡(TEM)によってこれを証明できる。充填材(F1)の粒子の表面を、表面処理してもよい。表面処理は、充填材(F2)の粒子について以下でより詳細に記載したものと同じ方法で、又は、米国特許第6,730,156号若しくは国際公開第01/30304号に記載されるプロセスに従って、達成できる。
一旦樹脂に分散されると、充填材(F1)は、凝集段階のまま留まる。すなわち、分散工程中、粒子は、別個の(すなわち個々の)結合していない(すなわち、会合も凝集もしていない)粒子に崩壊しない。充填材(F1)は、典型的には、組成物全体の重量に対して、少なくとも約30重量%、又は少なくとも約35重量%、又は少なくとも約40重量%の量で存在する。充填材(F1)は、典型的には、組成物全体の重量に対して、最大約70重量%、又は最大約60重量%、又は最大約50重量%の量で存在する。したがって、充填材(F1)は、典型的には、組成物全体の重量に対して、約30〜約70重量%、又は約35〜約60重量%、又は約40〜約50重量%の量で存在する。
歯科用組成物は、1種類のみの充填材(F1)、又は多種類、例えば2種類、3種類、若しくは4種類の充填材(F1)を含有してよい。特定の理論に束縛されるものではないが、充填材(F1)は、本明細書に記載される歯科用組成物の研磨性に寄与すると考えられる。充填材(F1)粒子の凝集体は研磨工程中に崩壊し、滑らかな表面と、荒い表面と比較して低い光散乱をもたらし得ることがわかった。臨床的観点から言えば、これによって、典型的には高い艶保持性と色安定性につながる。
代わりに、欧州特許第2 167 013(A1)号の実施例で使用されるものなどの非会合充填材を使用すると、所望の磨耗耐性を達成するのに好適ではないことがわかった。
更に、非会合充填材を使用すると、多くの場合粘度の増加を伴う。しかしながら、高粘度は、歯科用材料を混合し、手動分注機から押し出すのに要する力に、悪影響を及ぼす。加えて、その高い比表面積によって、大量(例えば約40重量%超)の非会合充填材の樹脂マトリックス内への組み込みは不可能なことが多い。
したがって、凝集ナノサイズ充填材を使用すると、歯科用組成物のより良い磨耗耐性をもたらし、歯科用組成物の樹脂マトリックス中の充填材量を多くすることが可能で、充填材のより良い濡れ特性によるペーストの作製を促進し、かつ、より良い取り扱い特性に寄与することがわかった。
歯科用組成物は、1種類のみの充填材(F2)、又は多種類、例えば2種類、3種類、若しくは4種類の充填材(F2)を含有してよい。充填材(F2)は、会合ナノサイズ粒子を含む。充填材(F2)の化学的性質は、本来の目的が達成できない場合を除いて、特に限定されない。充填剤粒子は、硬化性樹脂マトリックスを形成する硬化性成分(A1)との均質混合物を得ることができるような寸法でなくてはならない。
一実施形態によれば、充填材(F2)は、以下の特徴のうち少なくとも1つ又は全てを特徴とすることができる。
−約30〜約400、又は50〜約300、又は70〜約250m/gの会合ナノサイズ粒子の比表面積(Brunauer、Emmet及びTellerによるBET)
−SiO、ZrO、Al、及びこれらの混合物からなる粒子を含む。
所望の場合、比表面積を上記のように測定できる。
好適な会合ナノ粒子として、Degussa AG(Hanau,Germany)から入手可能なAerosil(商標)、例えば、Aerosil OX−130、−150、及び−200、Aerosil R8200、Cabot Corp(Tuscola,Ill.)から入手可能なCAB−O−SIL(商標)M5、Wackerから入手可能なHDK(商標)、例えば、HDK−H 2000、HDK H15;HDK H18、HDK H20及びHDK H30の商標名で販売されている製品のようなヒュームドシリカが挙げられる。
充填材(F2)の充填材粒子の表面を、樹脂相溶化表面処理剤で処理してよい。特に好ましい表面処理剤又は表面改質剤として、樹脂と重合可能なシラン処理剤が挙げられる。好ましいシラン処理剤として、Witco OSi Specialties(Danbury,Conn.)からA−174の商標表記で市販されているγ−メタクリルオキシルプロピルトリメトキシシラン、及びUnited Chemical Technologies(Bristol,Pa.)から入手可能なG6720の商標表記で市販される製品である、γ−グリシドオキシプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
あるいは、表面改質剤の組み合わせが有用な場合があり、これらの剤の少なくとも1つは、硬化性樹脂と共重合可能な官能基を有する。例えば、重合化基は、エチレン性不飽和であるか、又は開環重合を起こす環式官能基であり得る。エチレン性不飽和重合化基は、例えばアクリレート基若しくはメタクリレート基、又はビニル基であり得る。開環重合を起こす環式官能基には一般的に、酸素、硫黄、又は窒素のようなヘテロ原子が含まれており、好ましくは、エポキシドのように酸素が含まれている3員環である。硬化性樹脂と一般に反応しない他の表面改質剤が、分散性又はレオロジー特性を強化するために含まれ得る。この種のシランの例には、例えば、アルキル若しくはアリールポリエーテルシラン、アルキルシラン、シクロアルキルシラン、ヒドロキシアルキルシラン、アリールシラン、ヒドロキシアリールシラン、又はアミノアルキル官能性シランが挙げられる。
特定の理論に束縛されるものではないが、充填材(F2)は、本明細書に記載される歯科用組成物のレオロジー挙動に寄与すると考えられる。この種の充填材を使用すると、高度に充填されているにもかかわらず、依然として静的混合用チップを用いて混合可能な歯科用組成物を提供できる。臨床的観点から言えば、これによって、典型的には、ペーストの混合の容易さ及びカートリッジシステムからの押出力の低さなどの、取り扱い特性の改善につながる。充填材(F2)は、典型的には、組成物全体の重量に対して、少なくとも約1重量%、又は少なくとも約3重量%、又は少なくとも約5重量%の量で存在する。充填材(F2)は、典型的には、組成物全体の重量に対して、最大約20重量%、又は最大約15重量%、又は最大約10重量%の量で存在する。したがって、充填材(F2)は、典型的には、組成物全体の重量に対して、約1〜約20重量%、又は約3〜約15重量%、又は約5〜約10重量%の量で存在する。
本明細書に記載される歯科用組成物は、少なくとも2種類の硬化性成分、成分(A1)と成分(A2)を含む。成分(A1)及び成分(A2)は、暗部硬化性歯科用組成物の樹脂マトリックスの成分である。歯科用組成物は、少なくとも2つの官能基を有するウレタン(メタ)アクリレートである、少なくとも1つの硬化性成分(A1)を含む。
所望の場合、歯科用組成物は、少なくとも2種類、3種類、又は4種類の硬化性成分(A1)を含んでよい。硬化性成分(A1)の分子量は、少なくとも約450、又は少なくとも約800、又は少なくとも約1,000である。有用な範囲としては、約450〜約3,000、又は約800〜約2,700、又は約1,000〜約2,500が挙げられる。約450g/モル超、又は約1000g/モル超の分子量を有する分子は、通常、低分子量の分子より揮発性が低いため、生体適合性組成物の提供に寄与することができる。
更に、分子量が十分に高くない場合、硬化した歯科用組成物の所望の破壊耐性を得ることができない。
本明細書に記載される組成物において使用されるウレタン(メタ)アクリレートは、典型的には、NCO末端化合物を、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、好ましくはヒドロキシエチル−及びヒドロキシプロピルメタクリレートなどの好適な1官能性(メタ)アクリレートモノマーと反応させることによって形成される。
ウレタン(メタ)アクリレートは、当業者には既知である多くのプロセスによって得ることができる。例えば、ポリイソシアネート及びポリオールは反応して、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレートと続いて反応する、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを形成することができる。これらのタイプの反応は、室温又はそれ以上の温度において、任意にスズ触媒、三級アミンなどといった触媒の存在下で行うことができる。
イソシアネート官能性ウレタンプレポリマーの形成に使用できるポリイソシアネートは、少なくとも2つの遊離イソシアネート基を有する任意の有機イソシアネートであってよい。挙げられるのは、脂肪族、環式脂肪族、芳香族、及び芳香脂肪族イソシアネートである。
アルキル及びアルキレンポリイソシアネート、シクロアルキル及びシクロアルキレンポリイソシアネート、並びにアルキレン及びシクロアルキレンポリイソシアネートなどの組み合わせなどの、任意の既知のポリイソシアネートを使用してよい。
好ましくは、式X(NCO)2を有するジイソシアネートが用いられ、このときXは、2〜12個のC原子を有する脂肪族炭化水素基、5〜18個のC原子を有する脂環式炭化水素基、6〜16個のC原子を有する芳香族炭化水素基、及び/又は、7〜15個のC原子を有する芳香脂肪族炭化水素基を表す。
好適なポリイソシアネートの例として、2,2,4−トリメチルヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート(HDI)、シクロヘキシル−1,4−ジイソシアネート、4,4’メチレン−ビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,1’−メチレンビス(4−イソシアナト)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンジフェニルジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート(diisocycanate)、メタ−及びパラ−テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,6−及び2,4−トルエンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、2,4’及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、並びにこれらの混合物が挙げられる。
ポリウレタンの化学的見地から既知である官能性がより高いポリイソシアネート、あるいは、例えば、カルボジイミド基、アロファネート基、イソシアヌレート基、及び/又はビウレット基を含有する修飾ポリイソシアネートの使用も可能である。特に好ましいイソシアネートは、イソホロンジイソシアネート、2,4,4−トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネート、及びイソシアヌレート構造を有する官能性がより高いポリイソシアネートである。
イソシアネート末端ウレタン化合物は、(メタ)アクリレートでキャッピングされ、ウレタン(メタ)アクリレート化合物を生じる。一般には、末端ヒドロキシル基と、更にアクリル又はメタクリル部分(メタクリル部分が好ましい)とを有する任意の(メタ)アクリレートタイプのキャッピング剤を使用できる。
好適なキャッピング剤の例として、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート及び/又はトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレートが挙げられる。特に好ましいのは、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)及び/又は2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)である。
イソシアネート基とイソシアネート基に対して反応性のある化合物の当量比は、1.1:1〜8:1、好ましくは1.5:1〜4:1である。イソシアネート重付加反応は、ポリウレタンの化学的見地から既知である触媒、例えばジラウリン酸ジブチルスズなどの有機スズ化合物、又はジアザビシクロ[2.2.2]オクタンなどのアミン触媒の存在下で行うことができる。更に、合成は、プレポリマー調製前又はプレポリマー調製中に添加され得る溶解物の中で及び好適な溶媒の中での両方で行うことができる。好適な溶媒は、例えば、アセトン、2−ブタノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、エチルアセテート、エチレン及びプロピレングリコールのアルキルエーテル、並びに芳香族炭化水素である。溶媒としてエチルアセテートを使用するのが特に好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートの好適な例として、7,7,9−トリメチル−4,13−ジオキソ−3,14−ジオキサ−5,12−ジアザヘキサデカン−1,16−ジオキシ−ジメタクリレート(例えばPlex 666−1、Rohm)、7,7,9−トリメチル−4,13−ジオキソ−5,12−ジアザヘキサデカン−1,16−ジオキシ−ジメタクリレート(UDMA)、1,4及び1,3−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン(bezene)由来のウレタン(メタクリレート)(例えば、欧州特許第0934926 A1号に記載)、並びにこれらの混合物が挙げられる。
一実施形態によれば、硬化性成分(A1)は以下を特徴とすることができる。
構造A−(−S1−U−S2−MA)を有し、
このとき、Aは、少なくとも1つの単位を含む連結要素であり、
S1は、互いに連結した少なくとも4つの単位を含むスペーサー基であり、
S2は、互いに連結した少なくとも4つの単位を含むスペーサー基であり、
A、S1、及びS2の単位は、独立して、CH−、−CH−、−O−、−S−、−NR−、−CO−、−CR=、
Figure 0006426729
−CR−から選択され、
及びRは、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリールアルキル、アリール又は置換アリールから選択され、これらの単位は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、エステル基、ウレタン基、又はアミド基などの線状、分枝状、又は環状構造を形成することができ、
Uは、スペーサー基S1とS2を連結するウレタン基であり、
MAはアクリレート基又はメタクリレート基であり、
nは3〜6である。
一実施形態によれば、組成物の硬化性成分(A1)は以下の構造で表すことができる。
A−(−S1−U−S2−MA)
このとき、
Aは、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20単位を含む連結要素であり、
S1は、互いに連結した単位からなり少なくとも約4、5、6、7、8、9又は10単位を含むスペーサー基であり、
S2は、互いに連結した単位からなり少なくとも約4、5、6、7、8、9、10、12、15、20又は25単位を含むスペーサー基であり、
Uは、スペーサー基S1とS2を連結するウレタン基であり、
MAはアクリレート基又はメタクリレート基であり、
nは、約3〜6又は約4〜6又は約5〜6である。
Aが環状構造を有し、かつ少なくとも約6単位を含むことが好ましい場合がある。
S1が線状又は分枝状構造を有し、かつ少なくとも約4又は約6単位を含むことが更に好ましい場合がある。
S2が線状又は分枝状構造を有し、かつ少なくとも約6又は約8単位を含むことが更に好ましい場合がある。
Aが環状構造を有し、かつ少なくとも約6単位を含み、S1が線状構造を有し、かつ少なくとも約4単位を含み、S2が線状構造を有し、かつ少なくとも約8単位を含み、Uがウレタン基である硬化性化合物(A1)もまた好ましい場合がある。
S1とS2とを連結するウレタン基の原子も、(メタ)アクリル基の原子も、スペーサー基S1又はS2に属さない。したがって、ウレタン基の原子は、スペーサー基S1又はS2の単位として数えられない。
連結要素の性質及び構造は特に限定されない。連結要素は、飽和(二重結合なし)又は不飽和(少なくとも1つ又は2つの二重結合)単位、芳香族又ヘテロ芳香族単位(N、O及びSを含む原子を含有する芳香族構造)を含有することができる。
環状構造を有する連結要素Aの特定の例には、以下のものが挙げられる。
Figure 0006426729
非環状構造を有するが分枝状構造を有さない連結要素Aの特定の例には、以下のものが挙げられる。
Figure 0006426729
点線はスペーサー基S1への結合を示す。
スペーサー基S1又はS2の性質及び構造も、特に限定されない。
スペーサー基は、互いに連結した単位からなる。典型的な単位として、CH−、−CH−、−O−、−S−、−NR−、−CO−、−CR=、
Figure 0006426729
−CR−が挙げられ、このとき、R及びRは、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリールアルキル、アリール、又は置換アリールから選択される。
これら単位は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、エステル基、ウレタン基、又はアミド基などの線状、分枝状、又は環状構造を形成することができる。
S1の構造はS2の構造と同一であることができる。しかしながら、いくつかの実施形態においては、S1の構造はS2の構造と異なる。特定の実施形態においては、S1に存在する単位の数は、S2に存在する単位の数以下である。
特定の実施形態において、S1は飽和炭化水素構造を有してもよい。
別の特定の実施形態において、S2は飽和炭化水素構造を有してもよい。
S1に有用なスペーサー基の典型的な例には、以下のものが挙げられる。
Figure 0006426729
点線は、基A又は基Uのいずれかへの化学結合を示す。
S2に有用なスペーサー基の典型的な例には、以下のものが挙げられる。
Figure 0006426729
点線は、(メタ)アクリレート基又は基Uのいずれかへの化学結合を示す。本発明に従って数えられる単位の数をカッコ内に示す。
硬化性成分(A1)の特定の例には、以下のものが挙げられる。
Figure 0006426729
更に好適なウレタン(メタ)アクリレートは、α,ω末端ポリ(メタ)アクリレートジオール(poly(meth)acrylatdiols)(例えば、欧州特許第1242493 B1号に記載)ベースのものであり、ポリエステル、ポリエーテル、ポリブタジエン又はポリカーボネートポリカーボネートウレタン(メタ)アクリレート(例えば、米国特許第6936642 B2号に記載)であってよい。
硬化性成分(A1)は、典型的には、組成物全体の重量に対して、少なくとも約1重量%、又は少なくとも約3重量%、又は少なくとも約4.5重量%の量で存在する。
硬化性成分(A1)は、典型的には、組成物全体の重量に対して、最大約20重量%、又は最大約15重量%、又は最大約10重量%の量で存在する。
したがって、硬化性成分(A1)は、典型的には、組成物全体の重量に対して、約1〜約20重量%、又は約3〜約15重量%、又は約4.5〜約10重量%の量で存在する。
硬化性ウレタン(メタ)アクリレート成分、より具体的には上記成分を使用すると、十分な可撓性を備える固化した組成物の提供に有利であり、硬化した歯科用組成物の破壊靭性の改善に役立つ、ある種の強靭化剤として機能することがわかった。
歯科用組成物は、少なくとも2つの官能基を有するラジカル重合性(メタ)アクリレートである、硬化性成分(A2)を含む。硬化性成分(A2)は、例えば、官能基、化学的部分、分子量又はこれらの組み合わせについて、成分(A1)と異なる。硬化性成分(A2)は、典型的にはウレタン部分を含まない。
所望の場合、歯科用組成物は、少なくとも2種類、3種類、又は4種類の硬化性成分(A2)を含んでよい。硬化性成分(A2)の分子量は、少なくとも約170、又は少なくとも約200、又は少なくとも約300g/モルである。
硬化性成分(A2)の分子量は、典型的には、約170〜約3,000、又は約200〜約2,500、又は約300〜約2,000g/モルの範囲内である。
硬化性成分(A2)はフリーラジカル活性官能基を有し、2つ以上のエチレン性不飽和基を有するモノマー、オリゴマー、及びポリマーを含む。
かかるフリーラジカル重合性物質として、グリセロールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、ビス[1−(2−アクリルオキシ)]−p−エトキシフェニルジメチルメタン、ビス[1−(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシ)]−p−プロポキシフェニル−ジメチルメタンなどのジ−又はポリ−アクリレート及びメタクリレート;分子量200〜500のポリエチレングリコールのビス−アクリレート及びビス−メタクリレート、米国特許第4,652,274号のものなどのアクリレート化モノマーの共重合性混合物、並びに、米国特許第4,642,126号のものなどのアクリレート化オリゴマー;並びに、ジアリルフタレート、ジビニルスクシナート、ジビニルアジパート及びジビニルフタレートなどのビニル化合物が挙げられる。
好ましいエチレン性不飽和モノマーは、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール及びエイコサンジオールのジ(メタ)アクリレート、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコールのジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールA、例えば2,2’−ビス(4−(メタ)アクリルオキシテトラエトキシフェニル)プロパンのジ(メタ)アクリレート、並びに(メタ)アクリルアミドなどの、メタクリレート及びアクリレートモノマーである。使用するモノマーは、更には、[α]−シアノアクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸及びソルビン酸のエステルであり得る。
ビス[3[4]−メタクリル−オキシメチル−8(9)−トリシクロ[5.2.1.02,6]デシルメチルトリグリコレートなどの欧州特許第0 235 826号に記載のメタクリルエステルを使用することも可能である。特に好適なのは、2,2−ビス−4(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルプロパン(ビス−GMA)、2,2−ビス−4(3−メタクリルオキシプロポキシ)フェニルプロパン、トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、及びビスヒドロキシメチルトリシクロ−(5.2.1.02,6)デカンのジ(メタ)アクリレートである。
硬化性成分(A2)、より具体的には上記成分を使用すると、十分な機械的強度を備える固化した組成物の提供に有利であり得、硬化した歯科用組成物の機械的特性の改善に役立つ、ある種の架橋剤として機能できることがわかった。
硬化性成分(A2)は、典型的には、組成物全体の重量に対して、少なくとも約5重量%、又は少なくとも約10重量%、又は少なくとも約15重量%の量で存在する。
硬化性成分(A2)は、典型的には、組成物全体の重量に対して、最大約60重量%、又は最大約50重量%、又は最大約45重量%の量で存在する。
したがって、硬化性成分(A2)は、典型的には、組成物全体の重量に対して、約5〜約60重量%、又は約10〜約50重量%、又は約15〜約45重量%の量で存在する。本明細書に記載される歯科用組成物は、暗部硬化又はレドックス硬化反応開始剤成分又は系を含む。
フリーラジカル活性官能基の重合を開始できる反応開始剤の1種として、従来の化学的反応開始剤系、例えば有機過酸及びアミンの組み合わせが挙げられる。これらの反応開始剤は、レドックス反応に依存するが、多くの場合「自動硬化触媒(auto-cure catalysts)」と称される。それらは、典型的には、2成分系として供給され、その中で反応物質(還元剤及び酸化剤)は、互いに離れて保管され、その後使用直前に混ぜ合わされる。
更なる代替案において、フリーラジカル活性基の硬化又は重合を開始するために、熱を使用してよい。本発明の歯科用材料に好適な熱供給源の例としては、誘導、対流、及び放射が挙げられる。熱供給源は、標準条件下において、少なくとも40℃〜150℃の温度を生じることが可能でなくてはならない。この方法は、口腔環境外で生じる物質の重合を開始させるのに好ましい。
有機過酸化合物はいわゆる活性剤と相まって、レドックス開始剤系として好適である。具体的には、ラウロイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、並びに、p−クロロベンゾイルペルオキシド及びp−メチルベンゾイルペルオキシドなどの化合物は、有機過酸化合物であると考えることができる。
活性剤として好適なのは、例えば、米国特許第3,541,068号で既知のN,N−ビス−(ヒドロキシアルキル)−3,5−キシリジン、並びにN,N−ビス−(ヒドロキシアルキル)−3,5−ジ−t−ブチルアニリン、特に、N,N−ビス−([β]−オキシブチル)−3,5−ジ−t−ブチルアニリン並びにN,N−ビス−(ヒドロキシアルキル)−3,4,5−トリメチルアニリンなどの三級芳香族アミンである。
また、好適な活性剤は、米国特許出願公開第2003/008967号、独国特許第14 95 520号に記載されるようなバルビツール酸及びバルビツール酸誘導体、並びに米国特許第4,544,742号(欧州特許第0 059 451号に対応)に記載されるマロニルスルファミドである。好ましいマロニルスルファミドは、2,6−ジメチル−4−イソブチルマロニルスルファミド、2,6−ジイソブチル−4−プロピルマロニルスルファミド、2,6−ジブチル4−プロピルマロニルスルファミド、2,6−ジメチル4−エチルマロニルスルファミド、及び2,6−ジオクチル4−イソブチルマロニルスルファミドである。更なる促進のために、この重合は、重金属化合物及び無機ハロゲン又は擬ハロゲンの存在下で行われるのが好ましい。
重金属は、可溶性有機化合物の形態で好適に使用される。同様に、ハロゲン化物及び擬ハロゲン化物イオンは可溶性塩の形態で好適に使用され、例として可溶性アミン塩酸塩並びに四級塩化アンモニウム化合物を挙げることができる。好適な促進剤は、具体的には、鉄又は銅族の金属であり、好ましくは銅及び鉄錯体、特に銅錯体である。重金属は、好ましくは可溶性有機化合物の形態で用いられる。例えば、カルボン酸鉄、カルボン酸銅、プロセトナート鉄、プロセトナート銅、ナフテン酸銅、酢酸銅及びナフテン酸鉄が好適である。
更に好適なレドックス開始系は、G.Misra et al.,Prog.Polym.Sci.Vol.8,pp.61〜131(1982)に記載されている。貯蔵寿命の理由によって、反応開始系の暗部硬化成分は、酸化剤及び還元剤と別に保管が必要である。したがって、本明細書に記載される歯科用組成物は、典型的には2成分系として提供される。
暗部硬化系の一部の成分(以下(X)と称する)は、キットのベース部分又はペーストに含まれ、暗部硬化系の一部の成分(以下(Y)と称する)は、キットの触媒部分又はペーストに含まれる。
暗部硬化反応開始剤成分(X)(ベース部分に含まれる)の典型例として、アミン塩酸塩(例えばジブチルフェニルエチル−アミン塩酸塩)及び銅含有成分(例えば銅(II)ビス(1−フェニルペンタン−1,3−ジオン)錯体)が挙げられる。暗部硬化反応開始剤成分(Y)(触媒ベース部分に含まれる)の典型例として、バルビツール酸部分(例えば1−ベンジル−5−フェニル−バルビツール酸)及びマロニルスルファミド、過酸化物(例えばtert−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート)を含む成分が挙げられる。
暗部硬化反応開始剤成分以外に、本明細書に記載される歯科用組成物は、必要に応じて、可視光硬化反応開始剤成分を更に含んでもよい。
かかる反応開始剤は、典型的には、約400〜約800nmの波長を有する光エネルギーに曝露されると、重合するためのフリーラジカルを生成することが可能なものであり得る。可視光硬化反応開始剤成分の例として、例えば、アミン及びα−ジケトンに基づく系が挙げられる。好適な系は、例えば、米国特許第4,071,124号及び国際公開第2009151957号に記載されている。これらの参考文献の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
歯科用組成物は、加えて、以下の成分のうち少なくとも1つ又は全てを更に含んでよい。
●可塑剤、
●X線で視認可能な粒子、
●添加剤
可塑剤成分の添加は任意である。
添加できる可塑剤として、典型的には、重合性部分を含まない成分が挙げられる。有用な可塑剤の例として、ポリエチレングリコール誘導体、ポリプロピレングリコール、ジブチル−、ジオクチル−、ジノニル−及びジフェニルフタレート、アジピン酸、セバシン酸、及びクエン酸由来のエステル、リン酸トリクレシルなどのリン酸塩、パラフィン油、グリセロールトリアセテート、エトキシ化及びプロポキシ化ビスフェノールAジアセテート、及びシリコーンオイル、並びにこれらの混合物が挙げられる。
可塑剤の分子量は、典型的には、約200〜約2,500、又は約300〜約2,000g/モルの範囲内である。存在する場合、可塑剤は、典型的には、組成物全体の重量に対して、約0.1〜約10重量%、又は約0.5〜約7.5重量%、又は約1〜約5重量%の量で存在する。可塑剤を使用すると、特に組成物がペースト状で提供されなくてはならない場合、典型的には組成物の配合を容易にすることができる。
歯科用組成物にX線で視認可能な粒子を添加すると、施術者が、患者の口腔内の歯科用材料をよりよく確認でき、健全歯構造と歯科用修復材を区別できる点において有利である。歯科用材料は放射線不透過性になる。
歯科材料中の放射線不透過性は、X線を使用して歯の状態を診断する特定の場合において有利である。例えば、放射線不透過材料は、充填物の周囲の歯牙組織に形成されている場合がある二次う蝕の発見を可能とする。特定用途及びX線フィルムを診断する施術者の予測に応じて、所望の放射線不透過性の程度を変えることができる。
好適なX線で視認可能な粒子として、金属酸化物及び金属フッ化物の粒子が挙げられる。約28を超える原子番号を有する重金属の酸化物又はフッ化物が好ましい場合がある。中に分散した固化レジンに望ましくない色又は濃淡が付与されないように、重金属酸化物又はフッ化物を選択しなければならない。例えば、鉄及びコバルトは、歯科材料の歯の中間色に黒ずんだ色及び対比色を付与するので好まれない。より好ましくは、重金属酸化物又はフッ化物は、30を超える原子番号を有する金属の酸化物又はフッ化物である。好適な金属酸化物は、イットリウム、ストロンチウム、バリウム、ジルコニウム、ハフニウム、ニオビウム、タンタル、タングステン、ビスマス、モリブデン、スズ、亜鉛、ランタニド元素(即ち、原子番号57以上71以下の範囲の元素)、セリウム、及びこれらの組み合わせの酸化物である。好適な金属フッ化物は、例えば、三フッ化イットリウム及び三フッ化イッテルビウムである。より好ましくは、30超72未満の原子番号を有する重金属の酸化物又はフッ化物を、任意で本発明の材料に含めてよい。放射線不透過性を付与する特に好ましい金属酸化物には、酸化ランタン、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、酸化イッテルビウム、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化セリウム、及びこれらの組み合わせが挙げられる。放射線不透過性を上昇させる他の好適な充填材は、バリウム及びストロンチウムの塩、特に、硫酸ストロンチウム及び硫酸バリウムである。重金属酸化物又は金属フッ化物粒子を表面処理してよい。
X線で視認可能な粒子(非凝集状態)の平均粒径は、典型的には、約20〜約500nm、又は約50〜約300nmの範囲内である。存在する場合、X線で視認可能な粒子は、典型的には、組成物全体の重量に対して、約0.1〜約15重量%、又は約1〜約10重量%、又は約2〜約5重量%の量で存在する。
任意に添加することのできる更なる添加剤として、抑制剤、抗菌剤、色素、染料、光漂白性着色剤、安定剤、及びフッ化物放出材料が挙げられる。
用いることができる色素及び染料の例としては、二酸化チタン又は硫化亜鉛(リトポン)、ベンガラ3395、Bayferrox 920 Z Yellow、Neazopon Blue 807(銅フタロシアニン系染料)又はHelio Fast Yellow ERが挙げられる。これら添加物は、歯科用組成物の個々の着色剤として使用することができる。
存在し得る光漂白性着色剤の例としては、ローズベンガル、メチレンバイオレット、メチレンブルー、フルオレセイン、エオシンイエロー、エオシンY、エチルエオシン、エオシンブルーイッシュ、エオシンB、エリトロシンB、エリトロシンイエローイッシュブレンド、トルイジンブルー、4’,5’−ジブロモフルオレセイン、及びこれらのブレンドが挙げられる。光漂白性着色剤の更なる例は、米国特許第6,444,725号に見出すことができる。本発明の組成物の色は、増感化合物によって更に付与され得る。
存在し得るフッ化物放出剤の例としては、天然又は合成フッ化物鉱物が挙げられる。これらフッ化物源は、任意に、表面処理剤で処理してよい。添加することのできる更なる添加剤として、安定剤、特にフリーラジカルスカベンジャー、例えば、置換及び/又は非置換のヒドロキシ芳香族化合物(例えばブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール(2,6−ジ−tert−ブチル−4−エトキシフェノール)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(ジメチルアミノ)メチルフェノール又は2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(UV−9)、2−(2’−ヒドロキシ−4’,6’−ジ−tert−ペンチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、フェノチアジン、及びHALS(ヒンダードアミン光安定剤)が挙げられる。このような補助剤は、任意に、レジンと共重合するように反応性部分を含んでもよい。
好適な抑制剤は、例えば1,2−ジフェニルエチレンである。添加することのできる更なる添加剤として、吸収剤、乳化剤、酸化防止剤、及び湿潤剤が挙げられる。これら補助剤又は添加剤は絶対存在する必要はなく、補助剤又は添加剤は、全く存在しなくてもよい。しかし、これらが存在する場合、典型的には、意図する目的にとって有害ではない量で存在する。
添加剤の有用な量として、以下が挙げられる。
●少なくとも約0.1重量%、又は少なくとも約0.5重量%、又は少なくとも約1重量%、及び/又は
●最大約15重量%、又は最大約10重量%、又は最大約5重量%。
典型的な範囲としては、約0.1重量%〜約15重量%、又は約0.5重量%〜約10重量%、又は約1重量%〜約5重量%が挙げられる。
本明細書に記載される歯科用組成物中で使用される全ての構成成分は、十分に生体適合性でなくてはならず、すなわち、組成物は、生体組織の中に有毒な、有害な、又は免疫的な反応を引き起こしてはならない。本明細書に記載される組成物は、典型的には、以下から選択される成分を含まない。
○例えば、約5重量%を超える量の酸性基を含む重合性成分
○例えば、約5重量%を超える量の1官能性(メタ)アクリレート
○例えば、約5重量%を超える量の溶媒
○例えば、約5重量%を超える量の酸反応性充填材
○例えば、約10重量%、又は約5重量%を超える量の、約1〜約100μmの平均粒径を有する充填材粒子
○例えば、約10重量%、又は約5重量%を超える量の、非会合ナノサイズ充填材
及びこれらの混合物。
すなわち、これらの成分は、典型的には意図的に添加されず、そのため、組成物全体の重量に対して、約10重量%超、又は約8重量%超、又は約5重量%超、又は約2重量%超の量で存在しない。
しかしながら、選択された原材料によって、組成物が上記成分のいずれかをわずかに含有し得ることを、時として避けられない場合がある。
典型的には存在しない酸反応性充填材の例として、フルオロアルミノシリケート(fluoroaluminasilicate)ガラス(GIZガラスと称されることもある)、Ca(OH)、Mg(OH)、CaO、MgO、CaCO、MgCOなどのアルカリ土類金属の水酸化物、酸化物、及び炭酸塩が挙げられる。
約10重量%を超える量の上記範囲の平均粒径を有する充填材を添加すると、研磨性及び艶保持性などの特性に悪影響を及ぼす場合がある。
そのような種類の充填材の例として、フルオロアルミノシリケートガラス、石英、すりガラス、非水溶性フッ化物、例えばCaF、クリストバライト、ケイ酸カルシウム、モレキュラーシーブなどのゼオライト、金属酸化物粉末、例えば酸化アルミニウム又は酸化ジルコニア又はそれらの混合酸化物、硫酸バリウム、炭酸カルシウムが挙げられる。そのような充填材を大量に添加すると、固化した歯科用組成物の審美的特性に悪影響を及ぼす場合がある。
典型的には存在しない溶媒の例として、線状、分枝状、若しくは環状の飽和若しくは不飽和アルコール、ケトン、エステル、又は、2〜10個のC原子を有する2種類以上のかかる種類の溶媒の混合物、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、THF、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノール、トルエン、アルカン、及び酢酸アルキルエステルが挙げられる。
本明細書に記載される歯科用組成物は、組成物全体の重量に対して、以下の量の成分を含有してもよい。
●約30〜約70重量%、又は約35〜約60重量%の充填材(F1)
●約1〜約20重量%、又は約3〜約15重量%の充填材(F2)
●約1〜約20重量%、又は約3〜約15重量%、又は約4.5〜約10重量%の硬化性成分(A1)
●約5〜約60重量%、又は約10〜約50重量%、又は約15〜約45重量%の硬化性成分(A2)
●約0.1〜約5重量%、又は約0.3〜約4重量%、又は約0.5〜約3重量%の暗部硬化反応開始剤成分
●約0.1〜約10重量%、又は約0.5〜約7.5重量%、又は約1〜約5重量%の可塑剤
●約0.1〜約15重量%、又は約1〜約10重量%、又は約2〜約5重量%のX線で視認可能な粒子
●約0.1〜約15重量%、又は約0.5〜約10重量%、又は約1〜約5重量%の添加剤
本明細書に記載される組成物は、典型的には、2成分組成物として提供される。
1つの部分は、典型的にはベース部分と呼ばれ、一方別の部分は、典型的には触媒部分と呼ばれる。2つの部分を混合すると、硬化性組成物が得られる。
個々の部分がペースト状で提供される場合、個々のペーストの粘度は、典型的には、約1〜約100Pas、又は約10〜約75Pasの範囲内である(Physica Rheometerを用いて23℃、剪断速度30 1/sで測定)。
したがって、更なる実施形態によれば、歯科用組成物は、ベース部分(A)と、触媒部分(B)と、からなるキットとして提供される。
ベース部分(A)は、ベース部分の重量に対して、
−約30〜約70重量%の量の充填材(F1)と、
−約1〜約20重量%の量の充填材(F2)と、
−硬化性成分(A1)と、
−硬化性成分(A2)と、
−暗部硬化反応開始剤成分(X)と、
を含み、
触媒部分(B)は、
−充填材(F2)と、
−暗部硬化反応開始剤成分(Y)と、を含み、
暗部硬化反応開始剤成分(X)及び暗部硬化反応開始剤成分(Y)は、レドックス開始剤系を形成する。
更なる実施形態によれば、本明細書に記載される歯科用組成物は、ベース部分(A)と、触媒部分(B)と、からなるキットとして説明される。
ベース部分(A)は、ベース部分の重量に対して、
−約30〜約70重量%の量の充填材(F1)と、
−約1〜約20重量%の量の充填材(F2)と、
−約1〜約20重量%の量の硬化性成分(A1)と、
−約5〜約60重量%の量の硬化性成分(A2)と、
−暗部硬化反応開始剤成分(X)と、
を含み、
触媒部分Bは、触媒部分の重量に対して、
−約1〜約20重量%の充填材(F2)と、
−暗部硬化反応開始剤成分(Y)と、
を含み、
暗部硬化反応開始剤成分(X)及び暗部硬化反応開始剤成分(Y)は、レドックス開始剤系を形成する。
更なる実施形態によれば、歯科用組成物は、ベース部分(A)と、触媒部分(B)と、からなるキットとして提供される。
ベース部分(A)は、ベース部分の重量に対して、
−約30〜約70重量%の量の充填材(F1)と、
−約1〜約20重量%の量の充填材(F2)と、
−硬化性成分(A1)と、
−硬化性成分(A2)と、
−暗部硬化反応開始剤成分(X)と、
を含み、
触媒部分(B)は、触媒部分の重量に対して、
−約30〜約70重量%の量の充填材(F1)と、
−約1〜約20重量%の量の充填材(F2)と、
−硬化性成分(A1)と、
−硬化性成分(A2)と、
−暗部硬化反応開始剤成分(Y)と、
を含み、
暗部硬化反応開始剤成分(X)及び暗部硬化反応開始剤成分(Y)は、レドックス開始剤系を形成し、
ベース部分A又は触媒部分Bのいずれも、
−約5重量%を超える酸性基を含む重合性成分、
−5重量%を超える1官能性(メタ)アクリレート、
−約5重量%を超える量の溶媒、
−約5重量%を超える酸反応性充填材、
−約10重量%を超える量の、約1〜約100μmの平均粒径を有する充填材粒子、からなるいかなる成分も含まない。
充填材及び暗部硬化反応開始剤成分以外に、触媒部分(B)は、所望により可塑剤を含有し、ペーストの生成を促進する。使用できる可塑剤は上で記載されている。
特定の実施形態では、暗部硬化性又はレドックス反応硬化性組成物は、以下のパラメータの少なくとも1つ又は2つ以上、時として全てを満たす。
●作業時間:約30秒〜約1.5分、又は約45秒〜約1分
●硬化時間:約2.5〜約6分、又は約3〜約5分
●硬化後曲げ強度:約50〜約200MPa(ISO 4049に従って測定)
●硬化後破壊仕事:約5〜約15KJ/m
●硬化後衝撃強度:約5〜15KJ/m(ISO 179−1に従って測定)
●硬化後磨耗性:約20未満、又は約15未満、又は約10mm未満(実施例の項に記載するように測定)
特定の実施形態では、以下の特性、すなわち、高い曲げ強度、高い破壊仕事、及び低い磨耗性の組み合わせが望ましい。所望の場合、上記特性は、以下の実施例の項に記載されるように測定できる。
本明細書に記載される組成物は、それぞれの成分を混合することによって製造できる。混合は、典型的には、例えば、Hauschild + Co KG(Germany)から入手可能なスピードミキサー又は溶解器などの機械的装置を用いて実施される。充填材成分は、通常は粉末又は粒子として混合される。所望の場合、充填材成分を、組成物の液体成分中に最初に分散させてよい。
更なる態様では、本発明は、ペースト/ペースト状で提供され、2室型カートリッジのチャンバ、又は2つの別個の注射器内に充填されている本明細書に記載される歯科用組成物と、以下の部分のうち少なくとも1つ又は全部の部分と、からなるキットに関する。
●歯科用印象材
●歯科用セメント
●接着剤
使用中、2室型カートリッジは、典型的には、静的混合チップを備えており、混合及び送達手段として機能する。チャンバ(I)対チャンバ(II)の体積比は、典型的には、約1:1〜約20:1の範囲内であり、1:1〜約10:1が特に好ましい。有用なカートリッジは、米国特許出願第2007/0090079号及び米国特許第5,918,772号に記載されており、両特許の開示は参照により組み込まれる。使用することができるカートリッジは、SulzerMixpac AG(Switzerland)から市販されている。有用な静的混合チップは、米国特許出願第2006/0187752号及び米国特許第5,944,419号に記載されており、両特許の開示は参照により組み込まれる。使用することができる混合チップは、SulzerMixpac AG(Switzerland)から市販されている。
選択した処方によって、本明細書に記載される歯科用組成物を容易に混合し、手動で駆動するギアを用いる当該技術分野において既知の2室型カートリッジから送達できる。別の方法としては、ただしこれよりも好ましくはないが、本明細書に記載されるペースト/ペースト組成物を2つの別個の注射器で提供でき、個々のペーストを使用前に手で混合してもよい。所望の場合、適用に要する押出力が許容可能な範囲内にあるかどうかを判定するため、以下の試験を実施してよい。
触媒及びベースペーストが入った体積50mL(体積比1:1〜10:1)の2室型カートリッジに、混合チップ(Sulzer Mixpac)及びプランジャを備え付け、次に、10kNのロードセルを付けた万能試験機Zwick Z 010)のホルダ内に置く。歯科用組成物を押し出すため、プランジャの駆動板に力をかけるように押子を置く。押子の速度を25mm/分に調節する。>2Nの力(ソフトウェアtextXpert V 8.1)が記録された場合、データの記録を開始する。駆動板/押子が、カートリッジ内を合計20mm前方に進んだときに、測定を終える。約1000N未満、又は約800N未満、又は約600N未満の押出力を、許容可能と見なす。押出力が特定の値を超える場合、組成物を十分に押し出せず、手動の自動混合システムを用いて混合できない。
使用できる歯科用印象材の例として、アルギン酸、ポリエーテル技術を基にした材料、付加硬化性シリコーン材料(例えばVPS材)及び縮合硬化性シリコーン材料が挙げられる。
付加硬化性シリコーン材料及び硬化性ポリエーテル材料は、より良好な性能とより高い精度から好ましい場合がある。
歯科用印象材は、典型的には、以下の特徴のうち少なくとも1つ、それ以上、又は全てを特徴とする。
●稠度(ISO 4823に従って):0、1、2又は3
●硬化時間:周囲条件(例えば23℃)で混合後約15分以内
●ショアA硬度(ISO 4823に従って;24時間):少なくとも約20、又は少なくとも約40
●引張強度(DIN 53504に従って):少なくとも約0.2MPa、又は少なくとも3.0MPa
●破断点伸び(DIN 53504に従って):少なくとも約30%、又は少なくとも約150%、又は少なくとも約200%
●変形からの回復(ISO 4823に従って):少なくとも約90%、又は少なくとも約95%、又は少なくとも約98%
好適な歯科用印象材は、欧州特許第2 072 029 B1号、米国特許第6,677,393号、欧州特許第1 512 724 B1号、米国特許第6,127,449号、国際公開第2008/014224号、及び米国特許第5,569,691号にも記載されている。これらの参考文献の内容は、参照により本明細書に援用される。歯科用印象材は、例えば、3M ESPEから、Impregum(商標)又はImprint(商標)ブランドで市販されている。固化した歯科用組成物の、修復される歯牙構造の表面上への固定は、典型的には、接着剤及び/又は歯科用セメントを用いてなされる。
接着剤及び/又は歯科用セメントの性質及び特性は、所望の結果が得られない場合を除いて、特に限定されない。特に好ましいのは、接着剤及び自己接着性歯科用樹脂セメントである。接着剤又は自己接着性歯科用樹脂セメント系は、典型的に、重合性モノマーと、任意に重合性部分を含む酸性成分と、充填材と、任意に塩基性充填材と、レドックス開始剤系と、を含む。
好適なセメントは、国際公開第2007/140440(A2)号、米国特許出願公開第2010/0016466号、同第2004/0110864号にも記載されている。これらの参考文献の内容は、参照により本明細書に援用される。接着剤及び自己接着性歯科用樹脂セメントは、例えば、3M ESPEから、RelyX(商標)Unicem又はRelyX(商標)Ultimateブランドで市販されている。
本明細書に記載される歯科用組成物は、長期又は永久的歯冠及びブリッジ材料として特に有用である。長期歯冠及びブリッジ材料は、口腔内に直接配置し、その場で硬化(固化)することができるか、あるいは、口腔外で補綴物に加工して、その後、口腔内部の適切な位置に接着してもよい。
歯科用組成物は、インレー、オンレー、ベニアを作製するため、又はバルクフィル材料として使用することもできる。別の態様では、本発明は、長期又は永久的歯冠又はブリッジの作製方法に関し、この方法は、本明細書に記載される組成物を、固まった歯科用印象材の型内に配置する工程を含む。歯科用印象材は、アルギン酸塩、シリコーン(VPS)、又はポリエーテル歯科印象材であり得る。
市販のアルギン酸印象材として、Palgat(商標)(3M ESPE)が挙げられる。市販のシリコーン印象材として、Express(商標)、Imprint(商標)、及びPosition(商標)(3M ESPE)が挙げられる。市販のポリエーテル印象材として、Impregum(商標)(3M ESPE)が挙げられる。
歯科業における典型的なプロセスは、次のうちの1つ又は2つ以上の工程を含む。
a)歯科用印象材を使用して修復される硬い歯牙構造の印象材を作製し、歯牙構造の陰型を得る工程
b)歯科用印象材が固まるまで待つ工程
c)硬い歯牙構造から固まった歯科用印象材を取り外す工程
d)歯科用印象材の陰型内に本明細書に記載される硬化性組成物を配置する工程
e)充填した陰型を修復される歯牙構造上に再配置する工程
f)硬化性組成物が少なくとも部分的に硬化して、組成物の残留物を準備された又は成形された歯牙構造上に残すことなく、修復される歯牙構造から組成物を取り外すことができるようになるまで待つ工程
g)固まった印象材から硬化した組成物を取り外す工程
h)取り外された組成物を、修復される歯牙構造上に歯科用セメントを使用して接着固定する工程
本明細書中に引用される特許、特許文献、及び刊行物の完全な開示は、参照によりそれぞれが個々に組み込まれたかのようにその全体が本明細書に組み込まれる。
本発明を例示するため、以下の実施例を提供する。
指示がない限り、全ての割合及びパーセントは重量基準であり、全ての水は脱イオン水であり、全ての分子量は重量平均分子量である。更に、別途記載のない限り、全ての実施例は、周囲条件(23℃;1013mbar(101.3kPa))で行われた。
測定
曲げ強度及び破壊仕事
ISO 4049に従い、225mmの寸法の試験標本を用いて3点曲げ強度試験を実施することによって、曲げ強度を測定した。得られたデータに基づいて、破壊仕事を算出できる。破壊仕事は、[kJ/m]で示す。曲げ強度は、[MPa]で示す。
摩耗性
磨耗性[mm]は以下のように測定した。
磨耗試験を、30°のスロープを用いて特定の標本において実施した。この目的のため、M12のInbusネジのくぼみに材料を充填し、製造業者の指示に従って硬化した。
標本を、75μmのダイヤモンドソーを用いて平坦に研磨し、36℃にて4日間蒸留水中で保存した。その後、以下の条件下で模擬咀嚼試験を開始した。
咀嚼力:80N、横方向運動:4mm、摺動運動:10mm、対合歯:ステアタイトボール、咀嚼サイクル数:1,200,000、熱サイクル(5/55℃):5,000
模擬咀嚼試験の実施後、レーザー走査顕微鏡VK−X200(Keyence Company)を用いて体積の損失を測定することによって、磨耗性を判定した。
磨耗試験に関する更なる情報は、M.Rosentritt et al.,Materialprufung 39(1997),p.77〜80に記載されている。
組成物
略語
Figure 0006426729
凝集充填材(F1)の標準的合成:
Zr/Siナノクラスター充填材を、米国特許第6,730,156 B1号、第25欄、調製実施例Aに記載されるように調製した。得られた充填材粒子を、米国特許第6,730,156 B1号の調製実施例Bに記載されるプロセスに従って表面処理した。
歯科用組成物作製の全般的プロセス
それぞれの成分を、スピードミキサー(Hausschild)を使用して混合した。ベースペースト及び触媒ペーストを、2室型カートリッジ(SulzerMixpac)に充填した。カートリッジに、静的混合チップ(SulzerMixpac)を取り付け、手動で駆動するギアを用いて組成物を分注した。ベースペースト対触媒ペーストの混合比は、実施例1及び2、並びに比較実施例1〜3については10:1、実施例3については1:1とした。硬化したペーストを、その特定について分析した。結果を表8に示す。
(実施例1)
Figure 0006426729
比較実施例1:
(非会合ナノ充填材の使用)
Figure 0006426729
比較実施例2:
(比較実施例1と比較して増加させた量の非会合ナノ粒子の使用)
Figure 0006426729
(実施例2)
Figure 0006426729
比較実施例3:
(ウレタン(メタ)アクリレートを含まない処方)
Figure 0006426729
(実施例3)
(1:1処方)
Figure 0006426729
Figure 0006426729
結果:
実施例1〜3は、低い磨耗性を伴って、曲げ強度及び破壊仕事において高値を示した。比較実施例1において非会合ナノ充填材を使用した場合も高い破壊仕事が得られたが、充填材量が限られているため、磨耗性能に乏しかった。比較実施例2において非会合ナノ充填材を増加すると、実施例1〜3とは対照的に、分注できず、静的ミキサーによってそれ以上混合できない配合物が得られた。ウレタン(メタ)アクリレートを含まない比較実施例3は、低い機械的特性と、ある種の脆性を示す低値の破壊仕事を示した。本発明の実施態様の一部を以下の項目[1]−[15]に記載する。
[項目1]
歯科用組成物であって、
−約30〜約70重量%の量の凝集ナノサイズ粒子を含む充填材(F1)と、
−約1〜約20重量%の量の会合ナノサイズ粒子を含む充填材(F2)と、
−少なくとも2つの官能基を有し、約400〜約3,000g/モルの分子量を有する、ウレタン(メタ)アクリレートである硬化性成分(A1)と、
−少なくとも2つの前記成分(A1)と異なる官能基を有する、ラジカル重合性(メタ)アクリレートである硬化性成分(A2)と、
−レドックス硬化反応開始剤系と、を含み、
組成物全体の重量に対して、約10重量%を超える量の非会合ナノサイズ充填材を含まない、歯科用組成物。
[項目2]
前記充填材(F1)が、
−比表面積が約50〜約400m /gであること、
−SiO 、ZrO 、及びこれらの混合物から選択される粒子を含むこと、のうち、少なくとも1つ又は全てを特徴とする、項目1に記載の歯科用組成物。
[項目3]
前記充填材(F2)が、
−比表面積が約30〜約400m /gであること、
−SiO 、ZrO 、Al 、及びこれらの混合物から選択される粒子を含むこと、のうち、少なくとも1つ又は全てを特徴とする、項目1又は2に記載の歯科用組成物。
[項目4]
前記硬化性成分(A1)が、
構造A−(−S1−U−S2−MA) を有する化合物であって、
このとき、Aは、少なくとも1つの単位を含む連結要素であり、
S1は、互いに連結した少なくとも4つの単位を含むスペーサー基であり、
S2は、互いに連結した少なくとも4つの単位を含むスペーサー基であり、
Uは、スペーサー基S1とS2を連結するウレタンであり、
MAはアクリレート基又はメタクリレート基であり、
nは3〜6であり、
A、S1、及びS2の単位は、独立して、CH −、−CH −、−O−、−S−、−NR −、−CO−、−CR =、
Figure 0006426729
−CR −、
(R 及びR は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリールアルキル、アリール又は置換アリールから選択され、これらの単位は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、エステル基、ウレタン基、又はアミド基などの線状、分枝状、又は環状構造を形成することができる)、
及びこれらの混合物から選択される、項目1〜3のいずれか一項に記載の歯科用組成物。
[項目5]
前記硬化性成分(A2)が、グリセロールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、ビス[1−(2−アクリルオキシ)]−p−エトキシフェニル−ジメチルメタン、ビス[1−(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシ)]−p−プロポキシフェニルジメチルメタン、分子量200〜500の、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコールのビス−アクリレート及びジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAのジ(メタ)アクリレート、2,2’−ビス(4−(メタ)アクリルオキシテトラエトキシフェニル)プロパン、ビス[3[4]−メタクリル−オキシメチル−8(9)−トリシクロ[5.2.1.0 2,6 ]デシルメチルトリグリコレート、2,2−ビス−4(3−メタクリルオキシプロポキシ)フェニルプロパン、ビスヒドロキシメチルトリシクロ−(5.2.1.0 2,6 )デカンのジ(メタ)アクリレート、並びにこれらの混合物から選択される、項目1〜4のいずれか一項に記載の歯科用組成物。
[項目6]
前記レドックス硬化反応開始剤系が、過酸化物、バルビツール酸部分を含む成分、マロニルスルファミド、及びこれらの混合物から選択される成分を含む、項目1〜5のいずれか一項に記載の歯科用組成物。
[項目7]
●可塑剤、
●X線で視認可能な粒子、
●色素、
●抑制剤、抗菌剤、安定剤、フッ化物放出材料、吸収剤、乳化剤、酸化防止剤、及び湿潤剤、染料、並びにこれらの混合物から選択される添加剤、のうち、少なくとも1つ又は全ての成分を更に含む、項目1〜6のいずれか一項に記載の歯科用組成物。
[項目8]
ポリエチレングリコール部分を含む成分、ポリプロピレングリコール、ジブチル−、ジオクチル−、ジノニル−及びジフェニルフタレート、アジピン酸、セバシン酸、及びクエン酸由来のエステル、パラフィン油、グリセロールトリアセテート、エトキシ化及びプロポキシ化ビスフェノールAジアセテート、並びにシリコーンオイル、並びにこれらの混合物から選択される可塑剤を含む、項目1〜7のいずれか一項に記載の歯科用組成物。
[項目9]
○作業時間:約30秒〜約1.5分、
○硬化時間:約2.5〜約6分、
○硬化後曲げ強度:ISO 4049に従って測定するとき約50〜約200MPa、
○硬化後破壊仕事:約5〜約15KJ/m
○硬化後衝撃強度:ISO 179−1に従って測定するとき約5〜15KJ/m
○硬化後磨耗性:約20mm 未満、のうち、少なくとも1つ又は全てのパラメータを特徴とする、項目1〜8のいずれか一項に記載の歯科用組成物。
[項目10]
○約5重量%を超える量の酸性基を含む重合性成分、
○約5重量%を超える量の1官能性(メタ)アクリレート、
○約5重量%を超える量の溶媒、
○約5重量%を超える量の酸反応性充填材、
○約10重量%を超える量の、約1〜約100μmの平均粒径を有する充填材粒子、
○約10重量%を超える量の非会合ナノサイズ充填材、
及びこれらの混合物のうち、少なくとも1つ又は全ての成分を含まない、項目1〜9のいずれか一項に記載の歯科用組成物。
[項目11]
組成物全体の重量に対して、
●約30〜約70重量%の充填材(F1)量、
●約1〜約20重量%の充填材(F2)量、
●約1〜約20重量%の硬化性成分(A1)量、
●約5〜約60重量%の硬化性成分(A2)量、
を特徴とする、項目1〜10のいずれか一項に記載の歯科用組成物。
[項目12]
ベース部分(A)と、触媒部分(B)とを含むキットとして提供され、
ベース部分(A)が、前記ベース部分の重量に対して、
−約30〜約70重量%の量の充填材(F1)と、
−約1〜約20重量%の量の充填材(F2)と、
−硬化性成分(A1)と、
−硬化性成分(A2)と、
−暗部硬化反応開始剤成分(X)と、
を含み、
触媒部分(B)が、
−充填材(F2)と、
−暗部硬化反応開始剤成分(Y)と、
を含み、前記暗部硬化反応開始剤成分(X)及び前記暗部硬化反応開始剤成分(Y)がレドックス開始剤系を形成する、項目1〜11のいずれか一項に記載の歯科用組成物。
[項目13]
ベース部分(A)と、触媒部分(B)とを含むキットとして提供され、
ベース部分(A)が、前記ベース部分の重量に対して、
−約30〜約70重量%の量の充填材(F1)と、
−約1〜約20重量%の量の充填材(F2)と、
−約1〜約20重量%の量の硬化性成分(A1)と、
−約5〜約60重量%の量の硬化性成分(A2)と、
−暗部硬化反応開始剤成分(X)と、
を含み、
触媒部分(B)が、触媒部分の重量に対して、
−約30〜約70重量%の量の充填材(F1)と、
−約1〜約20重量%の量の充填材(F2)と、
−暗部硬化反応開始剤成分(Y)と、
を含み、
前記暗部硬化反応開始剤成分(X)及び前記暗部硬化反応開始剤成分(Y)がレドックス開始剤系を形成し、
前記ベース部分A又は前記触媒部分Bのいずれも、
○約5重量%を超える酸性基を含む重合性成分、
○5重量%を超える1官能性(メタ)アクリレート、
○約5重量%を超える量の溶媒、
○約5重量%を超える酸反応性充填材、
○約10重量%を超える量の、約1〜約100μmの平均粒径を有する充填材粒子、
○約10重量%を超える量の非会合ナノサイズ充填材、からなるいかなる成分も含まない、項目1〜12のいずれか一項に記載の歯科用組成物。
[項目14]
項目1〜13のいずれか一項に記載の歯科用組成物を含む部分からなるキット、又は、項目12若しくは13に記載される部分と、
●歯科用印象材、
●歯科用セメント、
●接着剤、のうち、少なくとも1つ又は全ての部分と、からなる、キット。
[項目15]
歯冠、ブリッジ、インレー、オンレー、ベニア、及びバルクフィル材料としての、又はこれらを製造するための、項目1〜14のいずれか一項に記載の歯科用組成物の使用。

Claims (9)

  1. 歯科用組成物であって、
    −約0〜約70重量%の量の凝集ナノサイズ粒子を含む充填材(F1)と、
    −約1〜約20重量%の量の会合ナノサイズ粒子を含む充填材(F2)と、
    −少なくとも2つの官能基を有し、約400〜約3,000g/モルの分子量を有する、ウレタン(メタ)アクリレートである硬化性成分(A1)と、
    −少なくとも2つの前記成分(A1)と異なる官能基を有する、ラジカル重合性(メタ)アクリレートである硬化性成分(A2)と、
    −レドックス硬化反応開始剤系と、を含み、
    組成物全体の重量に対して、約10重量%を超える量の非会合ナノサイズ充填材を含まず、
    硬化後磨耗性が、約20mm 未満である、歯科用組成物。
  2. 前記充填材(F1)が、
    −比表面積が約50〜約400m/gであること、
    −SiO、ZrO、及びこれらの混合物から選択される粒子を含むこと、のうち、少なくとも1つ又は全てを特徴とする、請求項1に記載の歯科用組成物。
  3. 前記充填材(F2)が、
    −比表面積が約30〜約400m/gであること、
    −SiO、ZrO、Al、及びこれらの混合物から選択される粒子を含むこと、のうち、少なくとも1つ又は全てを特徴とする、請求項1又は2に記載の歯科用組成物。
  4. 前記硬化性成分(A1)が、
    構造A−(−S1−U−S2−MA)を有する化合物であって、
    このとき、Aは、少なくとも1つの単位を含む連結要素であり、
    S1は、互いに連結した少なくとも4つの単位を含むスペーサー基であり、
    S2は、互いに連結した少なくとも4つの単位を含むスペーサー基であり、
    Uは、スペーサー基S1とS2を連結するウレタンであり、
    MAはアクリレート基又はメタクリレート基であり、
    nは3〜6であり、
    A、S1、及びS2の単位は、独立して、CH−、−CH−、−O−、−S−、−NR−、−CO−、−CR=、
    Figure 0006426729
    −CR−、
    (R及びRは、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリールアルキル、アリール又は置換アリールから選択され、これらの単位は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、エステル基、ウレタン基、又はアミド基などの線状、分枝状、又は環状構造を形成することができる)、
    及びこれらの混合物から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の歯科用組成物。
  5. 前記レドックス硬化反応開始剤系が、過酸化物、バルビツール酸部分を含む成分、マロニルスルファミド、及びこれらの混合物から選択される成分を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の歯科用組成物。
  6. ○作業時間:約30秒〜約1.5分、
    ○硬化時間:約2.5〜約6分、
    ○硬化後曲げ強度:ISO 4049に従って測定するとき約50〜約200MPa、
    ○硬化後破壊仕事:約5〜約15KJ/m
    ○硬化後衝撃強度:ISO 179−1に従って測定するとき約5〜15KJ/mうち、少なくとも1つ又は全てのパラメータを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の歯科用組成物。
  7. ○約5重量%を超える量の酸性基を含む重合性成分、
    ○約5重量%を超える量の1官能性(メタ)アクリレート、
    ○約5重量%を超える量の溶媒、
    ○約5重量%を超える量の酸反応性充填材、
    ○約10重量%を超える量の、約1〜約100μmの平均粒径を有する充填材粒子、
    ○約10重量%を超える量の非会合ナノサイズ充填材、
    及びこれらの混合物のうち、少なくとも1つ又は全ての成分を含まない、請求項1〜6のいずれか一項に記載の歯科用組成物。
  8. ベース部分(A)と、触媒部分(B)とを含むキットとして提供され、
    ベース部分(A)が、前記ベース部分の重量に対して、
    −約0〜約70重量%の量の充填材(F1)と、
    −約1〜約20重量%の量の充填材(F2)と、
    −硬化性成分(A1)と、
    −硬化性成分(A2)と、
    −暗部硬化反応開始剤成分(X)と、
    を含み、
    触媒部分(B)が、
    −充填材(F2)と、
    −暗部硬化反応開始剤成分(Y)と、
    を含み、前記暗部硬化反応開始剤成分(X)及び前記暗部硬化反応開始剤成分(Y)がレドックス開始剤系を形成する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の歯科用組成物。
  9. ベース部分(A)と、触媒部分(B)とを含むキットとして提供され、
    ベース部分(A)が、前記ベース部分の重量に対して、
    −約0〜約70重量%の量の充填材(F1)と、
    −約1〜約20重量%の量の充填材(F2)と、
    −約1〜約20重量%の量の硬化性成分(A1)と、
    −約5〜約60重量%の量の硬化性成分(A2)と、
    −暗部硬化反応開始剤成分(X)と、
    を含み、
    触媒部分(B)が、触媒部分の重量に対して、
    −約0〜約70重量%の量の充填材(F1)と、
    −約1〜約20重量%の量の充填材(F2)と、
    −暗部硬化反応開始剤成分(Y)と、
    を含み、
    前記暗部硬化反応開始剤成分(X)及び前記暗部硬化反応開始剤成分(Y)がレドックス開始剤系を形成し、
    前記ベース部分A又は前記触媒部分Bのいずれも、
    ○約5重量%を超える酸性基を含む重合性成分、
    ○5重量%を超える1官能性(メタ)アクリレート、
    ○約5重量%を超える量の溶媒、
    ○約5重量%を超える酸反応性充填材、
    ○約10重量%を超える量の、約1〜約100μmの平均粒径を有する充填材粒子、
    ○約10重量%を超える量の非会合ナノサイズ充填材、からなるいかなる成分も含まない、請求項1〜8のいずれか一項に記載の歯科用組成物。
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