JP6426117B2 - 油圧式トルクレンチの打撃トルク調節装置 - Google Patents

油圧式トルクレンチの打撃トルク調節装置 Download PDF

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Description

本発明は、油圧式トルクレンチの打撃トルク発生装置に関するものである。
従来、油圧式トルクレンチにおける打撃トルク発生装置として、騒音と振動が小さい油圧式の打撃トルク発生装置を使用した油圧式トルクレンチが実用化されている(例えば、特許文献1参照。)。
図11〜図12に示すものは、この油圧式トルクレンチの一例を示したものである。
この油圧式トルクレンチWの打撃トルク発生装置は、ライナーLに形成したライナー室Laに作動油を充填し、ライナーLに同軸に嵌挿した主軸Sに羽根挿入溝を設け、この羽根挿入溝内に羽根Brを嵌挿し、この羽根Brをばねにて常時主軸外周方向に付勢してライナー室Laの内周面に当接させるとともに、主軸Sの外周面及びライナー室Laの内周面にシール面を形成されている。そして、エアーモータRによりライナーLを回転させることにより、ライナー室Laの内周面に形成したシール面と、主軸Sの外周面に形成したシール面及び羽根Brとが合致したとき、主軸Sに打撃トルクを発生させるようにしている。
この油圧式トルクレンチWの打撃トルク発生装置の場合、主軸Sに羽根挿入溝を設け、この羽根挿入溝内に羽根Brを嵌挿し、この羽根Brをばねにて常時主軸外周方向に付勢してライナーLの内周面に当接する構成を採用しているため、羽根Brの先端とライナーLの内周面とが摺接することにより、両方の部材が摩耗しやすく、このほか、ばねの破損等を含め、装置の耐久性に問題を有していた。また、主軸Sに羽根挿入溝やばねを挿入する穴を設ける必要があることから、主軸Sの強度を維持するため、主軸Sの径を大きくしなければならず、これに伴い装置自体が大形化し、さらに、装置の構造も複雑になるという問題を有していた。さらに、羽根Brの先端とライナーLの内周面との摺接抵抗に加え、摺接部等の部材の隙間から作動油が漏洩しやすいため、エネルギ損失が大きく、また、摺接により発生する摩擦熱により作動油の温度が上昇し、作動油の粘度変化によって発生する打撃トルクの大きさに変動が生じるという問題を有していた。
従来の油圧式トルクレンチの打撃トルク発生装置の有する問題点に鑑み、本件出願人は、先に、この種の油圧式トルクレンチの打撃トルク発生装置において必須であった、主軸に嵌挿する羽根をなくすことにより、耐久性があり、小形で簡易な機構により大きな打撃トルクを安定して発生させることができる油圧式トルクレンチの打撃トルク発生装置を提案した(特許文献2参照。)。
特開平5−212686号公報 特開2009−83090号公報
特許文献2に記載の油圧式トルクレンチの打撃トルク発生装置は、上記従来の油圧式トルクレンチの打撃トルク発生装置の有する問題点を解消できるものであったが、打撃トルクの大きさを調節する出力調節機構は、油圧式トルクレンチの動作中は一定(固定)のため、以下(1)〜(4)の問題が生じていた。
(1)実際に発生する打撃トルクの大きさと設定した打撃トルクの大きさとの誤差が大きい。
(2)締付動作の開始時(締付部材の着座時)に異常な高い打撃トルクが発生しやすい。
(3)打撃トルク発生後(パルス発生後)の抵抗が大きく、打撃トルクの発生周期が長い。
(4)シール部への負荷圧力がかかりやすく耐久性が乏しい。
本発明は、特許文献2に記載の油圧式トルクレンチの打撃トルク発生装置の有する問題点に鑑み、この油圧式トルクレンチの打撃トルク発生装置の、主軸に嵌挿する羽根をなくすことにより、耐久性があり、小形で簡易な機構により大きな打撃トルクを安定して発生させることができるという利点を享有しながら、油圧式トルクレンチの打撃トルク発生装置が発生する打撃トルクの大きさの精度を高く、かつ、打撃トルクの発生周期を短くし、さらに、油圧式トルクレンチの打撃トルク発生装置の耐久性を向上することができる油圧式トルクレンチの打撃トルク調節装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の油圧式トルクレンチの打撃トルク調節装置は、主軸と、該主軸に、主軸に対して回転することなく軸方向に摺動可能に嵌挿され、外周面にカム溝を、内部に軸方向に貫通する導油孔を形成したカムと、主軸の基端部及びカムを収容するとともに、カムを挟んで作動油が充填される油室を形成したシリンダと、シリンダの内周面に突設した、カムのカム溝に嵌挿されるピンと、シリンダを回転駆動する駆動源に接続する駆動軸と、カムとシリンダの相対的な回転角に応じてカムに形成した導油孔を選択的に閉鎖することにより、カムを挟んで形成された油室間の作動油の流通を遮断するチェック弁と、カムを挟んで形成された油室同士を連通する第1の作動油流路と、該第1の作動油流路に配設した出力調節機構とからなる油圧式トルクレンチの打撃トルク発生装置において、主軸に、カムを挟んで形成された油室同士を連通する第2の作動油流路を形成し、該第2の作動油流路に第2の作動油流路を開放する方向に付勢された弁体を配設するとともに、該弁体の後背部に、打撃トルクの発生時に高圧室となる油室の油圧がかかるように該油室と連通する作動油連通路を形成して、高圧室の作動油の圧力の上昇に応じて、第2の作動油流路が弁体によって絞られるようにしたことを特徴とする。
本発明の油圧式トルクレンチの打撃トルク調節装置によれば、主軸に、カムを挟んで形成された油室同士を連通する第2の作動油流路を形成し、該第2の作動油流路に第2の作動油流路を開放する方向に付勢された弁体を配設するとともに、該弁体の後背部に、打撃トルクの発生時に高圧室となる油室の油圧がかかるように該油室と連通する作動油連通路を形成して、高圧室の作動油の圧力の上昇に応じて、第2の作動油流路が弁体によって絞られるようにすることにより、油圧式トルクレンチの打撃トルク発生装置が発生する打撃トルクの大きさの精度を高く、かつ、打撃トルクの発生周期を短くし、さらに、油圧式トルクレンチの打撃トルク発生装置の耐久性を向上することができる。
本発明の油圧式トルクレンチの打撃トルク発生装置を適用した油圧式トルクレンチを示す正面断面図である。 本発明の油圧式トルクレンチの打撃トルク発生装置の一実施例を示す正面断面図である。 (a)は図2のX−X断面図、(b)は図2のY−Y断面図である。 内側ケーシング及びケース蓋を示し、(a)は内側ケーシングの外観図、(b)は同断面図、(c)は同側面図、(d)はケース蓋の断面図である。 カムを示し、(a)はカムの外観図、(b)は同左側面図、(c)は同右側面図、(d)は同断面図、(e)はカム溝の展開図、(f)はカムの変形例の左側面図、(g)は同右側面図である。 チェック弁を示し、(a)はチェック弁の断面図、(b)は同側面図、(c)はチェック弁の変形例の断面図、(d)は同側面図である。 主軸を示す説明図である。 外側ケーシング及び出力調節機構を示し、(a)は外側ケーシングの側面図、(b)は同横断面図、(c)は同縦断面図、(d)は出力調節弁の説明図である。 本発明の油圧式トルクレンチの打撃トルク発生装置の動作を示す説明図である。 出力特性図を示し、(a)は従来例(作動油流路の大きさが油圧式トルクレンチの動作中は一定(固定))の場合を、(b)は本発明の実施例の場合を、それぞれ示す。 従来の油圧式トルクレンチの打撃トルク発生装置を示す正面断面図である。 従来の油圧式トルクレンチの打撃トルク発生装置の動作を示す説明図である。
以下、本発明の油圧式トルクレンチの打撃トルク発生装置の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
図1〜図9に、本発明の油圧式トルクレンチの打撃トルク発生装置の一実施例を示す。
この油圧式トルクレンチの打撃トルク発生装置は、図11〜図12に示すような従来の油圧式トルクレンチと同様、駆動源としてエアーモータのほか、電動モータ(本実施例においては、蓄電池Baによって駆動される電動モータM。)を用いるようにしている。
そして、特許文献2に記載された油圧式トルクレンチの打撃トルク発生装置と同様に、主軸3と、この主軸3に、主軸3に対して回転することなく軸方向に摺動可能に嵌挿され、外周面にカム溝41a、41bを、内部に軸方向に貫通する導油孔42a、42bを形成したカム4と、主軸3の基端部及びカム4を収容するとともに、カム4を挟んで作動油が充填される油室A、Bを形成したシリンダCと、シリンダCの内周面に突設した、カム4のカム溝41a、41bに嵌挿されるピン81、82と、シリンダCを回転駆動する駆動源である電動モータMに接続する駆動軸13と、カム4とシリンダCの相対的な回転角に応じてカム4に形成した導油孔42a、42bを選択的に閉鎖することにより、カム4を挟んで形成された油室A、B間の作動油の流通を遮断するチェック弁5と、カム4を挟んで形成された油室A、B同士を連通する第1の作動油流路L1と、この第1の作動油流路L1に配設した出力調節機構16とからその主要部が構成されている。
この場合において、シリンダCは、図2に示すように、一方の端面壁11、シリンダ部12及び駆動軸13を構成する外側ケーシング1と、この外側ケーシング1の内側に嵌合し、他方の端面壁21及びシリンダ部22を構成する内側ケーシング2と、外側ケーシング1のシリンダ部12の開口端部に螺合等することにより、外側ケーシング1に嵌合した内側ケーシング2を固定し、両者を一体化するケース蓋9とから構成されている。
また、基端部をシリンダC内に収容するようにした主軸3は、図1〜図2に示すように、基端32を、外側ケーシング1の端面壁11に形成した軸受穴14に軸支するとともに、カム4を主軸3に対して回転することなく軸方向に摺動可能に嵌挿するために、この部分の軸31の断面形状を、例えば、多角形状、スプライン形状等(本実施例においては、六角形状)に形成し、さらに、その先端側に抜け止めのための鍔部33を形成し、先端側を内側ケーシング2の端面壁21を貫通、延出するようにする。
主軸3に対して回転することなく軸方向に摺動可能に嵌挿するカム4は、図3及び図5に示すように、カム4を主軸3に対して回転することなく軸方向に摺動可能に嵌挿するために、この部分の孔43の断面形状を、主軸3に対応した、例えば、六角形状に形成するようにする。
また、カム4の外周面に形成するカム溝41a、41bは、駆動源に接続した外側ケーシング1の駆動軸13を介してシリンダCを回転駆動したとき、カム溝41a、41bに嵌挿されるシリンダCの内側ケーシング2のシリンダ部22の内周面に突設したピン81、82の作用によって、カム4を主軸3に対して回転することなく軸方向に摺動させることができるように、例えば、環状の螺旋形状に形成する。
ところで、本実施例においては、カム溝41a、41bを2個形成するようにしているが、カム溝の個数は、これに限定されず、1個又は3個以上の複数個とすることができる。そして、本実施例のように複数個のカム溝41a、41bを形成する場合には、シリンダCの内側ケーシング2のシリンダ部22の内周面に突設し、各々のカム溝41a、41bに嵌挿されるピン81、82を、均等な角度間隔(本実施例においては、180°)を有するように突設するようにする。このように、複数個のカム溝41a、41b及びピン81、82を設けることにより、大きな回転駆動力を、シリンダCからピン81、82を介してカム4に円滑に伝達することができ、カム4を嵌挿した主軸3に、打撃トルクを安定して発生させることができるものとなる。
また、カム4の内部に軸方向に貫通する導油孔42a、42bは、カム4が主軸3に対して回転することなく軸方向に摺動する際に、カム4を挟んで形成された油室A、B間の作動油の流通が円滑に行われる程度の十分な容量を有するように、特に限定されるものではないが、本実施例においては、2個の貫通孔で以て構成するようにしている。
カム4とシリンダCの相対的な回転角に応じてカム4に形成した導油孔42a、42bを選択的に閉鎖することにより、カム4を挟んで形成された油室A、B間の作動油の流通を遮断するチェック弁5は、一方の油室A内に、常に、ばね6によって、カム4の一端面に当接するように付勢されて配設され、シリンダCに従動して回転するようにする。
このチェック弁5は、図6に示すように、カム4の一端面に当接される円盤状の本体部51と、シリンダCの内側ケーシング2のシリンダ部22の内周面に沿う環状部53とからなる。
また、チェック弁5の環状部53には、シリンダCの内側ケーシング2のシリンダ部22の内周面に突設したピン54を嵌挿する長孔55を形成し、これにより、チェック弁5が、シリンダCに従動して回転するとともに、カム4の一端面に当接しながらカム4に従動して摺動するようにする。
そして、本体部51には、カム4に形成した導油孔42a、42bと導通して油室A、B間の作動油の流通を許容する湾曲した長孔52を形成するとともに、この長孔52間の孔を形成していない部分52a(本実施例においては、この部分52aは、180°の回転対称位置に設けるようにしている。)によって、カム4に形成した導油孔42a、42bを閉鎖するようにする。
なお、チェック弁5の変形例を示す、図6(c)及び(d)においては、長孔52間の孔を形成していない部分52aに加え、この部分52aの90°の回転対称位置に、長孔52間の孔を形成していない部分52bを設けるようにしている。この部分52bを設けることにより、当該位置では、図5(e)に示す、カム4に設けたカム溝41a、41bの形状から、この部分52bに該当する位置ではカム溝41a、41bが軸方向と直交(カム溝41a、41b同士は平行)し、カム4が実質的に軸方向に摺動しないため、カム4に形成した導油孔42a、42bを閉鎖するようにしても打撃トルクは発生せず、むしろ、カム4を挟んで形成された油室Aと油室Bとの間の作動油の流通を遮断することで、カム4の動作を安定させることができる利点がある。
また、長孔52間の孔を形成していない部分52bを設ける場合には、図5(f)及び(g)に示すように、カム4に形成した導油孔42a、42bに加え、この導油孔42a、42bに対して90°の回転対称位置に導油孔42c、42dを形成することができる。これにより、カム4を挟んで形成された油室A、B間の作動油の流通をより円滑に行うことができる。
この本体部51に形成する長孔52の位置及び数並びに導油孔42a、42bの形状によって、カム4とシリンダCが相対的に360°回転する間に発生する打撃トルクの発生数及びその大きさが決まることとなる。
そして、本実施例に示す位置に長孔52を形成することにより、カム4とシリンダCが相対的に360°回転する毎に、チェック弁5がカム4に形成した導油孔42a、42bを閉鎖し、カム4を挟んで形成された油室Aから油室Bへの作動油の流通を遮断するようにすることができ、これによって、カム4とシリンダCが相対的に360°回転する毎に、シリンダCの慣性を利用して1回ずつ大きな打撃トルクを発生させることができるものとなる。ここで、チェック弁5によって油室Bから油室Aへの作動油の流通が遮断されないように、チェック弁5を付勢するばね6の付勢力を設定するようにする。
ここで、チェック弁5が位置する油室A側に開口する導油孔42a、42bの開口形状を、図5(c)に示すように、半径方向を長軸とした角丸長方形、長円形、卵形等のオーバル形状に形成することが好ましい。なお、油室B側に開口する導油孔42a、42bの開口形状は、同形状としてもよいが、本実施例においては、孔開け加工の作業効率の関係上、円形に形成するようにしている。
これにより、チェック弁5がカム4に形成した導油孔42a、42bを閉鎖し、カム4を挟んで形成された油室Aから油室Bへの作動油の流通を遮断する際のメリハリを効かせ、大きな打撃トルクを発生させることができる。
なお、駆動源である電動モータMを逆方向に回転(駆動軸13側から見て左回転)することによって、主軸3に先とは逆方向の打撃トルクを発生させることができる。
また、シリンダCの外側ケーシング1及び内側ケーシング2には、カム4を挟んで形成した油室A、B同士を連通する導油路15、25からなる第1の作動油流路L1を形成するとともに、この第1の作動油流路L1を流通する作動油の流量を制限することにより発生する打撃トルクの大きさを任意に調節することができる出力調節機構16の操作軸17を、外側ケーシング1の端面壁11に螺合等することにより配設するようにする。
これにより、出力調節機構16の操作軸17を調節して、シリンダCにカム4を挟んで形成した油室A、B同士を連通する作動油流路L1を流通する作動油の流量を制限し、これによって、発生する打撃トルクの大きさを簡易に調節することができる。具体的には、出力調節機構16の操作軸17を調節して、作動油流路L1を絞って流通する作動油の流量を少なくする程、発生する打撃トルクの大きさを大きくすることができ、逆に、作動油流路L1を絞らずに流通する作動油の流量を多くする程、発生する打撃トルクの大きさを小さくすることができる。
また、外側ケーシング1の端面壁11には、油室A、Bに作動油を注入するための注油孔18を形成し、口栓19を螺合等することにより配設するようにする。
また、シリンダCの外側ケーシング1と内側ケーシング2との間、シリンダCの内側ケーシング2と主軸3間、出力調節機構16、口栓19等の位置には、作動油の漏出を防止するOリング等のシール部材71、72、73、74を配設するようにする。
ところで、本実施例の油圧式トルクレンチにおいては、主軸3に、カム4を挟んで形成された油室A、B同士を連通する第2の作動油流路L2を形成し、この第2の作動油流路L2に、ばね34によって第2の作動油流路L2を開放する方向に付勢された弁体35を配設するとともに、この弁体35の後背部に、打撃トルクの発生時に高圧室となる油室Aの油圧がかかるように、この油室Aと連通する作動油連通路36を形成して、高圧室の作動油の圧力の上昇に応じて、第2の作動油流路L2が弁体35によって絞られるようにする。なお、弁体35の後背部には、弁体35の位置を安定させるためのばね37(ばね37の付勢力は、ばね34の付勢力より小さく設定する。)を配設するようにする。
これにより、油圧式トルクレンチの打撃トルク発生装置が発生する打撃トルクの大きさの精度を高く、かつ、打撃トルクの発生周期を短くし、さらに、油圧式トルクレンチの打撃トルク発生装置の耐久性を向上することができる。
上記作用効果について、図10に示す出力特性図(図10(a)は従来例(作動油流路の大きさが油圧式トルクレンチの動作中は一定(固定))の場合を、図10(b)は本実施例の場合を、それぞれ示す。)を用いて説明すると、以下のとおりである。
(1)締付状態に応じて高圧室となる油室Aの作動油の圧力を正確にコントロールすることができることから、実際に発生する打撃トルクの大きさと設定した打撃トルクの大きさとの誤差が、従来例:Δt1>本実施例:Δt2となり、打撃トルクの大きさの精度を高くすることができる。
(2)締付動作の開始時(締付部材の着座時)は、作動油流路L2が大きくなる(絞られていない)ことから、従来例のような異常な高い打撃トルクtxが発生しない。
(3)打撃トルク発生後(パルス発生後)に、作動油流路L2が大きくなる(絞られていない)ことから、打撃トルク発生後(パルス発生後)の抵抗が小さく、打撃トルクの発生周期が、従来例:T1>本実施例:T2となり、締付に要する作業時間を短縮することができる。
(4)締付状態に応じて高圧室となる油室Aの作動油の圧力を正確にコントロールすることができることから、従来例のようなシール部への負荷圧力がかかりにくく、打撃トルク発生装置の耐久性を向上することができる。
以下、この油圧式トルクレンチの打撃トルク発生装置の動作について、図9に基づいて説明する。まず、駆動源である電動モータMを接続した駆動軸13を介してシリンダCを回転駆動(駆動軸13側から見て右回転)する。
シリンダCが回転駆動されることにより、カム4に形成した導油孔42a、42bと、チェック弁5に形成した長孔52とが導通している状態では、油室A、B間の作動油の流通が許容されるため、シリンダCの内周面に突設したピン81、82が嵌挿されているカム4を、主軸3に対して回転することなく軸方向に自由に摺動(カム4は、正面視して(図1及び図2において)、右側から左側に摺動し、作動油は、油室Bから油室Aへ流通する。)させることができ、この状態では、シリンダCとカム4が拘束されないため、打撃トルクは発生しない。
この状態から、シリンダCをさらに回転駆動すると、図9(2)に示すように、カム4に形成した導油孔42a、42bと、チェック弁5に形成した長孔52とが導通している状態(打撃トルクが発生しない図9(1)と同じ状態。ただし、カム4は、正面視して(図1及び図2において)、左側から右側に摺動し、作動油は、油室Aから油室Bへ流通する。)を経て、図9(3)に示すように、カム4に形成した導油孔42a、42bと、チェック弁5に形成した長孔52とが導通していない状態となる。
この図9(3)に示す状態のとき、カム4は、正面視して(図1及び図2において)、左側から右側に摺動しているため、摺動する方向にある油室Aが高圧に、これと反対方向にある油室Bが低圧になる。そして、高圧の油室Aから低圧の油室Bへの作動油の流通が遮断され、この状態で、さらに、シリンダCを回転駆動してカム4を軸方向に摺動させようとすると、油室Aが一層高圧に、油室Bが一層低圧になる。このとき、カム4の外周面に形成したカム溝41a、41bの高圧の油室A側の側面に、シリンダCの内周面に突設したピン81、82が強く当接されることになるが、高圧の油室Aから低圧の油室Bへの作動油の流通が遮断されることによりカム4の摺動が阻止されているため、カム溝41a、41bの側面とピン81、82間に大きな摩擦力が発生し、シリンダCとカム4が拘束される。これにより、回転駆動力を、シリンダCからピン81、82を介してカム4に伝達して、カム4を嵌挿した主軸3に、打撃トルクを発生させることができる。
この状態から、シリンダCをさらに回転駆動すると、図9(4)及び図9(5)に示すように、再び、カム4に形成した導油孔42a、42bと、チェック弁5に形成した長孔52とが導通している状態(打撃トルクが発生しない図9(1)と同じ状態。ただし、図9(4)においては、カム4は、正面視して(図1及び図2において)、左側から右側に摺動し、作動油は、油室Aから油室Bへ流通し、一方、図9(5)においては、カム4は、正面視して(図1及び図2において)、右側から左側に摺動し、作動油は、油室Bから油室Aへ流通する。)を経て、図9(6)に示すように、カム4に形成した導油孔42a、42bと、チェック弁5に形成した長孔52とが導通していない状態となる。
この図9(6)に示す状態のとき、カム4は、正面視して(図1及び図2において)、右側から左側に摺動しているため、摺動する方向にある油室Bが高圧に、これと反対方向にある油室Aが低圧になる。しかしながら、油室Bが高圧になると、図9(3)に示す状態の場合とは異なり、油室B内の作動油の油圧が、カム4に形成した導油孔42a、42bを介して、チェック弁5に作用し、ばね6の付勢力に抗して、カム4の一端面に当接していたチェック弁5を後退させ、高圧の油室Bから低圧の油室Aへの作動油の流通が許容されるため、シリンダCの内周面に突設したピン81、82が嵌挿されているカム4を、主軸3に対して回転することなく軸方向に自由に摺動させることができることとなり、シリンダCとカム4が拘束されないため、打撃トルクは発生しない。
この状態から、シリンダCをさらに回転駆動すると、図9(1)に示すように、再び、カム4に形成した導油孔42a、42bと、チェック弁5に形成した長孔52とが導通している状態(打撃トルクが発生しない状態)となる。
このように、この油圧式トルクレンチの打撃トルク発生装置によれば、実質的に、シリンダCとカム4が相対的に360°回転する毎に、チェック弁5がカム4に形成した導油孔42a、42bを閉鎖し、カム4を挟んで形成された油室A、B間の作動油の流通を遮断するようにすることができ、これによって、カム4とシリンダCが相対的に360°回転する毎に、シリンダCの慣性を利用して1回ずつ大きな打撃トルクを発生させることができるものとなる。
以上、本発明の油圧式トルクレンチの打撃トルク発生装置について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、例えば、本体部51に形成する長孔52の位置及び数を変更することによって、カム4とシリンダCが相対的に360°回転する間に1回又は複数回の打撃トルクが発生するように構成したり、駆動源として、電動モータMのほか、エアーモータを用いる等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
本発明の油圧式トルクレンチの打撃トルク調節装置は、主軸に嵌挿する羽根をなくすことにより、耐久性があり、小形で簡易な機構により大きな打撃トルクを安定して発生させることができるようにしながら、油圧式トルクレンチの打撃トルク発生装置が発生する打撃トルクの大きさの精度を高く、かつ、打撃トルクの発生周期を短くし、さらに、油圧式トルクレンチの打撃トルク発生装置の耐久性を向上することができることから、油圧式の打撃トルク発生装置を使用した油圧式トルクレンチの用途に好適に用いることができる。
A 油室
B 油室
C シリンダ
L1 第1の作動油流路
L2 第2の作動油流路
1 外側ケーシング
11 端面壁
12 シリンダ部
13 駆動軸
16 出力調節機構
2 内側ケーシング
21 端面壁
22 シリンダ部
3 主軸
34 ばね
35 弁体
36 作動油連通路
4 カム
41a、41b カム溝
42a、42b 導油孔
5 チェック弁
6 ばね
71、72、73、74 シール部材
81、82 ピン
9 ケース蓋

Claims (1)

  1. 主軸と、該主軸に、主軸に対して回転することなく軸方向に摺動可能に嵌挿され、外周面にカム溝を、内部に軸方向に貫通する導油孔を形成したカムと、主軸の基端部及びカムを収容するとともに、カムを挟んで作動油が充填される油室を形成したシリンダと、シリンダの内周面に突設した、カムのカム溝に嵌挿されるピンと、シリンダを回転駆動する駆動源に接続する駆動軸と、カムとシリンダの相対的な回転角に応じてカムに形成した導油孔を選択的に閉鎖することにより、カムを挟んで形成された油室間の作動油の流通を遮断するチェック弁と、カムを挟んで形成された油室同士を連通する第1の作動油流路と、該第1の作動油流路に配設した出力調節機構とからなる油圧式トルクレンチの打撃トルク発生装置において、主軸に、カムを挟んで形成された油室同士を連通する第2の作動油流路を形成し、該第2の作動油流路に第2の作動油流路を開放する方向に付勢された弁体を配設するとともに、該弁体の後背部に、打撃トルクの発生時に高圧室となる油室の油圧がかかるように該油室と連通する作動油連通路を形成して、高圧室の作動油の圧力の上昇に応じて、第2の作動油流路が弁体によって絞られるようにしたことを特徴とする油圧式トルクレンチの打撃トルク調節装置。
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