JP6425067B2 - 膜分離活性汚泥処理装置 - Google Patents
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Description
この装置は、膜分離装置3に対して充分な流速のクロスフロー流Cを形成すると同時に、気泡の微細化、分散効果により効率的な酸素の拡散移動を達成し、散気による反応槽内の好気性条件の維持、循環流による活性汚泥と被処理水の接触効率の向上、クロスフロー流の形成による膜表面の洗浄作用の安定化を達成するというものである。
しかしながら、攪拌翼を有する攪拌装置による攪拌は形成された水流が拡散するため膜分離装置内部に所定の洗浄水量(流速)を確保することができない。
また、水流ポンプを用いる方法では、大流量を供給できるポンプが必要となり、結果として動力コストが高くなり、動力コストを抑えるために間欠運転をする必要がある。
更に、特許文献3に記載されているような膜ユニットごとに自動開閉弁を設けて選択的に膜ユニットに水流を供給する方法は、実機化を考えると、大口径主ポンプ級のポンプを必要とすること、及び大口径自動開閉弁の分単位の頻繁な切り替えを要する点で問題があり、また、処理動力も膜分離活性汚泥法を導入する目安となる0.4kW/m3を上回るものとなる。
本発明は、機械的に水流を形成する膜分離活性汚泥処理装置における前記課題を解決することを目的とする。
(1)活性汚泥処理槽内に、散気装置、膜分離装置及びプロペラ式水中攪拌機を備えてなる膜分離活性汚泥処理装置であって、
前記散気装置と膜分離装置とは水平方向に離隔して配置されており、
前記活性汚泥処理槽はバッフル板によって散気装置を収容する領域と膜分離装置を収容する領域とに分けられており、バッフル板の上方と下方において二つの領域は連通しており、
前記プロペラ式水中攪拌機は前記膜分離装置の上方に配置されており、
前記プロペラ式水中攪拌機のプロペラ部分、該プロペラ部分の上方空間及び該プロペラ部分と膜分離装置の上端との間の空間は筒状の水流ガイドによって囲われており、
前記散気装置を収容する領域では上昇流が形成され、前記膜分離装置を収容する領域では下降流が形成されて循環流が形成されている、
ことを特徴とする膜分離活性汚泥処理装置。
(2)前記水流ガイドは、プロペラを囲む部分から下方の部分は膜分離装置の周縁部に向かってテーパ形状を有することを特徴とする上記(1)に記載の膜分離活性汚泥処理装置。
(3)前記水流ガイドは、プロペラを囲む部分の上部は上方に拡径する上流側に向かって広がるテーパ形状を有することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の膜分離活性汚泥処理装置。
(4)前記プロペラ式水中攪拌機のプロペラの下方には、前記プロペラの回転軸上に前記プロペラのプロペラ直径よりも小径の補助プロペラが設けられると共に、
前記補助プロペラを囲む筒状の補助水流ガイドが設けられていることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の膜分離活性汚泥処理装置。
(5)前記補助水流ガイドは、下流側に向かって広がるテーパ形状を有することを特徴とする上記(4)に記載の膜分離活性汚泥処理装置。
本発明の膜分離活性汚泥処理装置Aは基本的な構成として、活性汚泥処理槽1と前記活性汚泥処理槽1内に設けられた散気装置2、膜分離装置3、水流発生装置としてのプロペラ式水中攪拌機4を含んでいる。
以下、膜分離活性汚泥処理装置Aを構成する各構成要素について説明する。
本発明の装置の本体である活性汚泥処理槽1は、活性汚泥を収容して水処理を行なわせる槽であり、形状は、円筒形等種々の形態をとり得るが、通常は箱型である。
活性汚泥処理槽1内には散気装置2と膜分離装置3とが水平方向に離隔して配置されている。
このバッフル板5は活性汚泥処理槽1内に循環水流を円滑に形成させるためのものであり、バッフル板5で仕切られた一方の領域に活性汚泥菌に酸素を供給するための散気装置2を設置するとその領域には散気された気泡によって上昇流が形成される。そこで、他方の領域に膜分離装置3を設置すると、槽内に循環水流が形成されるために膜分離装置3の水流は下降流になる。
また、活性汚泥処理槽1には、溶存酸素濃度計、pH計、温度計などが適宜設けられる。
散気装置2は、気泡を噴出させて、活性汚泥への酸素供給と膜分離装置3の膜の洗浄とを行うものである。散気装置2は基本的に通常の散気装置と同様でよく、箱や管などの形をしたマニホールドに多数の空気噴出口を設けたものである。空気噴出口は、微細孔でよく、ノズルを取付けてもよい。細孔の孔径は酸素溶解効率を高くするために微細気泡を形成するように定められる。気泡の径は0.5〜4mm程度、特に0.5〜1.0mm程度とするのがよい。気泡径が過大では十分な酸素溶解効率が得られず、気泡径が過小であると散気装置の圧力損失が高くない安定した運転を行うことが困難となる。0.5〜1.0mmの気泡径であれば、30〜40%の酸素溶解効率が得られるため、好適である。この気泡径では気泡による膜洗浄効果は十分には得られないが、後述する水流による洗浄を併用するため、膜の運転には特に支障は無い。
これに対し、本発明では、後述するプロペラ式水中攪拌機を用いて膜洗浄に必要なせん断力を確保するため、微細気泡だけを用いて散気を行うことができ、その風量は活性汚泥の必要酸素量から決定される。
膜分離装置3は活性汚泥と処理水とを分離するもので、膜の孔径に関しては精密濾過膜あるいは限外濾過膜を適用することができる。膜の配置は、通常は水流および気泡流を妨げないように互いに平行とする。
膜分離装置3が中空糸タイプの膜の場合には、膜の孔径は0.01〜1μm程度の範囲であるものが好ましく、特に0.02〜0.5μmの範囲にあるものが清澄な処理水質が得られて経済的な透過水流束が得られるために多く用いられる。
水流を膜面に当てる角度はできるだけ浅いことが好ましく、0〜45度程度が適当である。活性汚泥処理槽に垂直に配置した膜において、槽全体に旋回流を生じさせることにより、効率的に膜面に平行な水流を生じることができる。
プロペラ式水中攪拌機4は、機械力によって水流を形成するものである。
プロペラ式水中攪拌機4はその撹拌翼(以下「プロペラ」ともいう)6が膜分離装置3に対向するように、かつ水流の方向が膜分離装置3に向くように配置される。
散気装置2から吐出された気泡は、散気装置2が収容された領域内で被処理水の上昇流を生じ、この上昇流はバッフル板5の上方から膜分離装置3が収容された領域に移動し、次いでプロペラ式水中攪拌機4のプロペラ6によって下降流となり、水流が膜分離装置3に導かれる
水流ガイドの例を図2に示す。
図2−1(a)に示すように、水流ガイド8を設けることによって、プロペラ6で駆動した被処理水の下降流が滞留することなく、効率よく膜分離装置3に向かう。更に、膜分離装置3に導かれる水流は流路断面に対して一様な速度分布を有するようになる。
水流ガイド8の形状は円筒状、角筒状、テーパ付円筒状、テーパ付角筒状とすることができるが、プロペラ6の部分では円筒状である形状とする。
水流ガイド8は、プロペラ式水中攪拌機4のプロペラ6を囲む部分から上方の部分は、旋回する流れが全てプロペラ部に供給される形状を有しており、プロペラ6を囲む部分から下方の部分は膜分離装置3の周縁部に繋がる形状を有している。
図2−1(b)に示すものにおいては、水流ガイドは直筒状であり、プロペラが水流ガイドの上端部分に配置されている。
図2−1(c)に示すものにおいては、プロペラ6の回転面積が膜分離装置3の流入部の面積よりも大きいため、水流ガイドの下方部分は下流側に向かって狭まるテーパ形状を有している。
図2−2(d)に示すものは、図2−1(b)に示すものにおいて、プロペラ6を水流ガイドの中央部に配置したものである。
図2−2(e)に示したものは、上流側の水流ガイドを下流側に向かって狭まるテーパ形状とし、下流側の水流ガイドを直筒状としたものである。このような形状とすることにより多くの処理水を膜分離装置3に導くことができる。
図2−3(f)に示したものは、上流側の水流ガイドを上流側に向かって広がるテーパ形状とし、下流側の水流ガイドを下流側に向かって広がるテーパ形状としたものである。
図2−3(g)に示したものは、上流側の水流ガイドを上流側に向かって広がるテーパ形状とし、下流側の水流ガイドを下流側に向かって狭まるテーパ形状としたものである。
図3(a)は膜分離活性汚泥処理装置の縦断面図であり、図3(b)はその平面図である。図2−3(f)に示した構造の水流ガイドを図3(a)に示したように設けることにより、この水流ガイドは膜分離装置の上流側には図3(b)のEで示すような旋回流がプロペラ部以外には流入しない構造を形成し、図3(a)における網掛け部分は通水しない領域Dとなる。このため、旋回流の全てがプロペラ6及び膜分離装置3を通過するようになる。この実施形態は多くの処理水を膜分離装置3に導くことができるので好ましい。
プロペラ上流部は図3(a)に示したように水流がプロペラ以外の領域を通過しない構造、例えば、プロペラ上流部は上流側に向かって拡大するテーパを有していることが好ましい。
この場合、プロペラのサイズが膜分離装置の流入部のサイズよりも大きい場合にはプロペラ下流部は図2−1(c)、図2−3(g)に示したように下流側に向かって縮小するテーパを有するようにする。
また、プロペラのサイズが膜分離装置の流入部と同じであればプロペラ下流部は図2−1(b)、図2−2(d)、(e)に示したような直筒状のものとする。
さらに、プロペラのサイズが膜分離装置の流入部よりも小さい場合にはプロペラ下流部は図2−1(a)、図2−3(f)に示したような下流側に向かって拡大するテーパを有するようにする。
上記図1に示したものでは、水流が膜面に均一に供給されるが、膜分離装置3に導かれる水流をより効果的に均一に膜面に供給するには、図4に示すように、水流ガイド8の内側に補助プロペラ7及びこの補助プロペラ7を囲う下流側に向かって広がるテーパ形状を有する補助水流ガイド9を設けることが好ましい。
プロペラが膜部よりも小さくプロペラ下部が広がる形状の場合、プロペラは不完全ではあるものの指向性を有するため、最拡部に効果的に水流を供給できない。補助水流ガイド9により直進的に膜部に流入する流体を最拡部に供給させ、水流として不足する中央部を補助プロペラ7にて供給することで、より効果的に均一に膜面に水流が供給することができる。
活性汚泥処理槽1としては、水深2.0m、水平断面が3.0m×2.2mの箱状の槽を用いた。
散気装置2の散気位置を水深1.5mに設定した。散気量は67.6m3/h、即ち被処理水に対する通気倍率として30vvhとなるように設定した。
膜分離装置3として2.2m×0.9m×0.4mの箱型で、分離膜は孔径0.2μmのMF膜モジュールを採用した。膜面積は108m2であった。処理水取り出し口は、膜モジュールの中央に設置されたセンターパイプを通じて、系外に取り出す構造とした。
前記プロペラ式水中攪拌機4は、回転直径が1.4mでプロペラ部での流速が1.0〜1.2m/sとなるように設定した。
この結果、処理水のBODは、1.5mg/L以下を達成でき、良好な生物処理を行うことができた。反応槽内のDOは、常に1.5mg/L以上を保持できた。
単位処理水量当りの曝気および膜洗浄に対する所要動力はブロワ動力0.39kWh/m3、攪拌動力0.39kWh/m3で、合計0.78kWh/m3であった。
図6に示される装置を用いた。すなわち、プロペラ式縦軸型水中攪拌機2に代えて、水流発生用ポンプ20を用い、散気装置2、膜分離装置3は実施例1で用いたものを用いた。
この結果、処理水のBODは、1.5mg/L以下を達成でき、良好な生物処理を行うことができた。反応槽内のDOは、常に1.0mg/L以上を保持できた。
また、単位処理水量当りの曝気および膜洗浄に対する所要動力はブロワ動力0.39kWh/m3、攪拌動力0.48kWh/m3で、合計0.87kWh/m3であった。
2 散気装置
3 膜分離装置
4 プロペラ式水中攪拌機
5 バッフル板
6 プロペラ(攪拌翼)
7 補助プロペラ
8 水流ガイド
9 補助水流ガイド
10 ポンプ
12 ガイドパイプ
20 水流ポンプ
21 旋回機構付プロペラ式水中攪拌機
A 膜分離活性汚泥処理装置
C クロスフロー流
D 通水しない領域
E 旋回流がプロペラ部以外に流入しない構造部
G 気泡
Claims (5)
- 活性汚泥処理槽内に、散気装置、膜分離装置及びプロペラ式水中攪拌機を備えてなる膜分離活性汚泥処理装置であって、
前記散気装置と膜分離装置とは水平方向に離隔して配置されており、
前記活性汚泥処理槽はバッフル板によって散気装置を収容する領域と膜分離装置を収容する領域とに分けられており、バッフル板の上方と下方において二つの領域は連通しており、
前記プロペラ式水中攪拌機は前記膜分離装置の上方に配置されており、
前記プロペラ式水中攪拌機のプロペラ部分、該プロペラ部分の上方空間及び該プロペラ部分と膜分離装置の上端との間の空間は筒状の水流ガイドによって囲われており、
前記散気装置を収容する領域では上昇流が形成され、前記膜分離装置を収容する領域では下降流が形成されて循環流が形成されている、
ことを特徴とする膜分離活性汚泥処理装置。 - 前記水流ガイドは、プロペラを囲む部分から下方の部分は膜分離装置の周縁部に向かってテーパ形状を有することを特徴とする請求項1に記載の膜分離活性汚泥処理装置。
- 前記水流ガイドは、プロペラを囲む部分の上部は上方に拡径する上流側に向かって広がるテーパ形状を有することを特徴とする請求項1または2に記載の膜分離活性汚泥処理装置。
- 前記プロペラ式水中攪拌機のプロペラの下方には、前記プロペラの回転軸上に前記プロペラのプロペラ直径よりも小径の補助プロペラが設けられると共に、
前記補助プロペラを囲む筒状の補助水流ガイドが設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の膜分離活性汚泥処理装置。 - 前記補助水流ガイドは、下流側に向かって広がるテーパ形状を有することを特徴とする請求項4に記載の膜分離活性汚泥処理装置。
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